JP5476631B2 - 電子部品およびその製造方法 - Google Patents

電子部品およびその製造方法

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本発明は、電子部品およびその製造方法に関する。特に銅粉を含む導電性ペーストを焼き付けてなる外部電極を備える電子部品およびその製造方法に関する。
従来から、複数のセラミック層と内部電極とを有する積層体と、前記積層体の外表面上に形成され、前記内部電極と電気的に接続されている外部電極と、を備える電子部品が知られている。電子部品の例としては、例えば積層セラミックコンデンサが挙げられる。
外部電極は、通常、導電性ペーストを積層体の外表面上に塗布した後、これを焼き付けて形成される。導電性ペーストには、内部電極との相性やコストの面から、銅がよく使用されている。また、導電性ペーストに含まれる銅粉には、酸化の抑制や凝集の改善のため、あらかじめ表面処理が行われることが多い。導電性ペーストとしては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1記載の銅粉は、脂肪酸アミンで表面処理されたものである。
特開2006−4734号公報
積層セラミックコンデンサにおいては、近年、大容量化が要請されている。積層セラミックコンデンサの体積を一定にしたまま容量を増大しようとすると、外部電極を薄層化して、その分積層体の体積を大きくして容量を増大することが考えられる。しかしながら、外部電極を薄層化する際に従来の銅粉を用いた場合には、外部電極の層厚に対する銅粉の粒子数が少なくなるため、積層体の表面が露出するなど、外部電極の緻密性が低下する問題が生じた。
その対策として、本発明者は、微粒の銅粉を用いて、外部電極の層厚に対する銅粉の粒子数を多くして、外部電極の緻密性を確保することを試みた。ところが、微粒の銅粉を用いた場合には、銅の焼結開始温度が低下する。そのため、特許文献1のように脂肪酸アミンで表面処理された銅粉を用いた場合には、脂肪酸アミンに含まれる炭素が残存したまま銅の焼結が進んでしまう。その結果、残留する炭素が外部電極の内部に封止され、この炭素がガス化することにより、外部電極と積層体との間にブリスタ(膨れ)不良が発生する問題が生じた。ブリスタ不良は、製品の外観を損なうばかりでなく、外部電極と内部電極との密着強度を低下させるものである。また、このブリスタ不良は、表面処理が行われていない銅粉においても発生した。
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであって、外部電極の緻密性を確保しつつ、ブリスタ不良の発生しない電子部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、導電性ペーストに一定比率以上の微粒銅粉を混合することにより、外部電極の緻密性を確保できることを見出した。また、外部電極の焼結密度が80%の時点での外部電極中の炭素量とブリスタ不良との間には相関があり、外部電極中の炭素量が0.007wt%以下である場合に、ブリスタが発生しないことを見出した。焼結密度が80%の時点とは、外部電極が焼結による収縮を開始する前後の温度である。
本発明に係る電子部品は、複数のセラミック層と内部電極とを有する積層体と、前記積層体の外表面上に形成され、前記内部電極と電気的に接続されており、導電性ペーストを焼き付けてなる外部電極と、を備える電子部品において、前記導電性ペーストは、銅粉と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含み、前記銅粉は、平均粒径が1.0μm〜3.0μmの粗粒銅粉0〜70vol%と、0.1〜0.8μmの微粒銅粉30〜100vol%と、を混合して構成され、前記外部電極の焼結密度が80%の時点での外部電極中の炭素量が0.007wt%以下であることを特徴としている。
また、本発明に係る電子部品は、前記微粒銅粉に内包している炭素量が0.007wt%以下であることが好ましい。
また、本発明に係る電子部品は、前記微粒銅粉は有機物による表面処理がされていないことが好ましい。
また、本発明に係る電子部品は、前記微粒銅粉は脂肪酸で表面処理されていることが好ましい。
また、本発明は、複数のセラミック層と内部電極とを有する積層体と、前記積層体の外表面上に形成され、前記内部電極と電気的に接続されている外部電極と、を備える電子部品の製造方法であって、銅粉と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含み、前記銅粉は、平均粒径が1.0μm〜3.0μmの粗粒銅粉0〜70vol%と、0.1〜0.8μmの微粒銅粉30〜100vol%と、を混合して構成される導電性ペーストを前記積層体の外表面上に塗布する工程と、前記導電性ペーストが塗布された積層体を、300〜800℃の温度範囲を50〜400℃/分の昇温速度で、かつ、少なくとも500〜700℃の温度範囲を2.4×10-3mol%≦H2O/N2≦1.2×10-1mol%の条件で熱処理して、前記導電性ペーストを焼き付けてなる外部電極を形成する工程と、を備える電子部品の製造方法にも向けられる。
本発明では、導電性ペーストに一定比率以上の微粒銅粉を混合することにより、外部電極の緻密性を確保した。また、外部電極の焼結密度が80%の時点での外部電極の炭素量を一定値以下にすることにより、ブリスタ不良の発生しない電子部品を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る電子部品の断面図である。
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品の断面図である。本実施形態は、電子部品1が積層セラミックコンデンサの例である。
電子部品1は、積層体3と、一対の外部電極6および7とを備えている。積層体3は直方体状であり、複数のセラミック層2と内部電極4および5とを有している。セラミック層2は誘電体セラミックからなる。また、内部電極4および5は、積層体3の内部に、セラミック層2間の特定の界面に沿って形成されている。内部電極4および5は、導電成分として、例えばニッケルまたはニッケル合金を含んでいる。内部電極4と内部電極5とは、交互に配置され、間にセラミック層2を介在させた状態で互いに対向している。
外部電極6および7は、積層体3の外表面上であって、相対向する端部上に形成されている。一方の外部電極6は内部電極4と電気的に接続されている。また、他方の外部電極7は内部電極5と電気的に接続されている。外部電極6および7は、積層体3の外表面上に導電性ペーストを塗布して、焼き付けることによって形成される。
外部電極3は、めっき液の浸入による電子部品1の特性劣化を抑制するため、一般には30〜100μm程度の厚みに形成される。しかし、近年、積層セラミックコンデンサには大容量化が要請されている。本発明では、外部電極の薄層化による大容量化を進めるため、外部電極3の層厚が10〜20μmとなるように形成されている。
なお、図示していないが、外部電極6および7の表面上には、必要に応じてめっき層が形成される。めっき層は、はんだとの接合性を確保するために設けられる。めっき層は、例えば電解めっき法によって形成される。めっき層は、下地としてのニッケルめっき層と、その上に形成されるすずめっき層またははんだめっき層とを備えることが好ましい。
本発明に用いられる導電性ペーストは、銅粉と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含んでいる。銅粉は塗布後の焼結により、外部電極中の導電性金属となる。また、ガラスフリットは、塗布後の焼結により、外部電極中のガラスとなる。ガラスフリットは、焼結助剤として外部電極の緻密化を促進する役割と、外部電極中の空孔を充填して外部電極のシール性を確保する役割とを果たす。
本発明においては、銅粉は、平均粒径が1.0μm〜3.0μmの粗粒銅粉0〜70vol%と、0.1〜0.8μmの微粒銅粉30〜100vol%とを混合して構成される。銅粉に一定比率以上の微粒銅粉が含まれることにより、外部電極の層厚に対する銅粉の粒子数を多くして、外部電極の緻密性を確保する。
粗粒銅粉と微粒銅粉の混合比率は、粗粒銅粉が0〜70vol%の範囲内で、微粒銅粉が30〜100vol%の範囲内とする必要がある。微粒銅粉が30vol%未満の場合には、外部電極の緻密性が低下するためである。
微粒銅粉の平均粒径は、0.1〜0.8μmとする必要がある。本明細書中における平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により、銅粉の画像を撮影し、画像解析により3000個の粒子径を測定した平均値である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、銅粉の凝集が顕著となり、十分に分散できなかったり、酸化が進みやすかったりというおそれがある。微粒銅粉は、例えば液槽還元法により作製する。
粗粒銅粉の平均粒径は、1.0〜3.0μmとする必要がある。平均粒径が3.0μmを超える場合には、外部電極の緻密性が低下する。粗粒銅粉は、例えばアトマイズ法により作製する。
本発明においては、外部電極の焼結密度が80%の時点での外部電極中の炭素量が0.007wt%以下であることを特徴としている。外部電極が80%の時点の焼結密度は、熱処理の途中の導電性ペーストを形成した積層体を熱処理炉から取り出して、電極断面を研磨により露出させ、その観察像の画像処理により算出することで測定する。
外部電極中の炭素量は、後述する銅粉中に内包している炭素や、有機ビヒクル中の有機物の、熱処理後の残存量である。外部電極中の炭素量は、例えば炭素・硫黄分析装置(Carbon/Sulfur analyzer:CS計)を用いて測定される。
微粒銅粉は、微粒銅粉中に内包している炭素量が0.007wt%以下であることが好ましい。微粒銅粉に内包している炭素量は、熱処理前の銅粉の段階で含まれている炭素量である。内包とは、微粒銅粉の粒子の内部に含まれることを意味する。内包している炭素量は、例えば、500℃程度の熱処理により表面や付着したカーボンを燃焼させた後、CS計で測定する。
また、微粒銅粉は、有機物による表面処理がされていないことが好ましい。かかる場合には、導電性ペーストに含まれる炭素量が少なくなるため、ブリスタの発生を抑制することができる。
また、酸化防止や凝集改善のため、表面処理をする場合においても、微粒銅粉は脂肪酸で表面処理されていることが好ましい。脂肪酸は燃焼しやすいため、ブリスタの発生を抑制することができる。また、表面処理により微粒銅粉の凝集が抑制されるため、平滑な外部電極を得ることができるためである。
次に、本発明に係る電子部品の製造方法について説明する。
まず、複数のセラミック層と内部電極とを有する積層体を用意する。具体的には、例えば、セラミックグリーンシート上に、内部電極用ペーストを所定のパターンで印刷する。このシートを複数枚積み重ね、圧着して、セラミックグリーンシートと内部電極層とが交互に積層された未焼成の積層体を得る。得られた未焼成の積層体を所定の形状のチップに切断した後、高温で焼成する。
得られた積層体の外表面上に、導電性ペーストを塗布する。塗布は、例えば浸漬塗布工法で行う。
そして、導電性ペーストが塗布された積層体を熱処理して、外部電極を形成する。この時、熱処理は300〜800℃の温度範囲を50〜400℃/分の昇温速度で行うことが好ましい。300〜800℃の温度範囲は、主として炭素が燃焼する温度範囲である。昇温速度が50℃/分未満の場合には、外部電極の表面に亀裂が発生するおそれがある。また、昇温速度が400℃/分を超える場合には、ブリスタが発生するおそれがある。
また、熱処理時には、炭素を燃焼させつつ、銅の酸化を防ぐために、窒素を主成分として、酸素濃度を20ppm以下となるように制御することが好ましい。そのため、窒素に対する水の量を、少なくとも500〜700℃の温度範囲で2.4×10-3mol%≦H2O/N2≦1.2×10-1mol%の条件としておくことが好ましい。窒素雰囲気中の熱処理炉内に水を一定量存在させて、水性ガス反応により炭素を燃焼させるためである。500〜700℃の温度範囲は、銅の緻密化が不十分であり、かつ水性ガス反応によりCとH2Oが反応する温度範囲である。窒素に対する水の量が2.4×10-2mol%未満の場合には、ブリスタが発生する。また、窒素に対する水の量が1.2×10-1mol%を超える場合には、内部電極と外部電極の接合性が低下するおそれがある。
以下において、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
[実験例1]
実験例1では、微粒銅粉中に内包している炭素量を変えた場合における、外部電極の緻密性とブリスタの発生率を評価した。また、微粒銅粉の表面処理状態を変えた場合における、外部電極の緻密性とブリスタの発生率を評価した。
最初に、粗粒銅粉と微粒銅粉の二種類の銅粉を用意した。粒径の小さい微粒銅粉は液槽還元法により作製した。そして、還元剤の種類を変えることで微粒銅粉中の炭素量が0.012wt%であるものと0.007wt%であるものを作製した。微粒銅粉については、表面処理されていないものと、脂肪族アミンとしてアルキルアミンで表面処理されたものと、脂肪酸としてステアリン酸で表面処理されたものとを用いた。粒径の大きい粗粒銅粉はアトマイズ法により作製した。粗粒銅粉中の炭素量は、0.007wt%であるものを使用した。また、粗粒銅粉は表面処理がされていないものを使用した。
上記のように作製した微粒銅粉と粗粒銅粉について、平均粒径と構成比率を変えた銅粉と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを混合して、三本ロールミルにより解砕および分散させて導電性ペーストを作製した。銅粉と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとの混合比は、体積比で20:5:75の割合とした。ガラスフリットには、平均粒径1.0μm、軟化点約600℃のB−Si−Zn−R2Oガラスを用いた。また、有機ビヒクルはアクリル樹脂20重量%を含んだものを使用した。そして、それぞれ異なる条件で作製した銅粉に対応して、分子量の異なるアクリル樹脂を用いて、導電性ペーストの粘度をいずれも10〜15Pa・sとした。
作製した導電性ペーストを、1.0×0.5×0.5mmサイズで4.7μFの静電容量の積層体に浸漬塗布法により塗布した。その後150℃で10分間の乾燥を行った。
その後、塗布された積層体を熱処理して外部電極を形成した。熱処理条件は以下のようにした。まず、300〜800℃の温度範囲で昇温速度を150℃/分とした。そして、800℃で5分間保持した。その後、降温速度を100℃/分として室温まで降温した。また、熱処理雰囲気は、全温度範囲で窒素ガスを投入して、酸素濃度が20ppm以下となるように制御した。具体的には、窒素に対する水の量を、H2O/N2=1.2×10-2mol%となるように添加した。
各条件の外部電極について、焼結密度が80%の時点の炭素量を測定した。具体的には、あらかじめ熱処理温度と外部電極の焼結密度との関係を把握しておき、焼結密度が80%の時点の試料を熱処理炉から取り出して、その炭素量をCS計で測定した。なお、CS計の検出限界は0.005wt%である。
また、得られた各条件の外部電極について、外部電極の緻密性とブリスタの発生率を評価した。外部電極の緻密性は、10個の試料について評価した。まず、外部電極の断面を鏡面研磨で露出させて、外部電極とセラミック層の界面を観察した。そして、セラミックまで達する不連続部が1ヶ所でもあった場合に×と判定した。ブリスタは、20個の外観観察を行い、ブリスタの発生率を算出した。
また、銅粉が凝集した状態で導電性ペーストを作製した場合には、外部電極に凸部が発生する。この凸部はない方が望ましいが、銅粉の分散条件や保管状態で改善できるものである。凸部発生率は、100個の試料について評価した。凸部発生率は、外部電極の表面を観察して、直径50μm以上の凸部が認められたものの比率を算出した。
表1〜4に、微粒銅粉中に内包している炭素量と、微粒銅粉の表面処理状態を変えた場合において、それぞれ微粒銅粉と粗粒銅粉の平均粒径と構成比率を変えて、特性への影響を評価した結果を示す。表1に、微粒銅粉中に内包している炭素量が0.007wt%で、微粒銅粉に表面処理がされていない条件の評価結果を示す。また、表2に、微粒銅粉中に内包している炭素量が0.007wt%で、微粒銅粉に脂肪酸で表面処理がされている条件の評価結果を示す。表3に、微粒銅粉中に内包している炭素量が0.007wt%で、微粒銅粉に脂肪酸アミンで表面処理がされている条件の評価結果を示す。そして、表4に、微粒銅粉中に内包している炭素量が0.012wt%で、表面処理がされていない条件の評価結果を示す。
表1、表2の結果から明らかなように、平均粒径が4.0μmの粗粒銅粉が混合している条件1−1〜1−4および条件2−1〜2−4では、外部電極に不連続部がみられ、緻密性が低下した。また、微粒銅粉の割合が20vol%と小さい条件1−6、1−11、1−16、2−6、2−11および2−16においても、外部電極に不連続部がみられ、緻密性が低下した。
一方、表3の結果から明らかなように、表面処理が脂肪酸アミンの場合には、条件3−6〜3−20でブリスタが発生した。これは、脂肪族アミンの場合には、脂肪酸に比べて燃焼性が悪く、炭素として残存しやすいためと考えられる。また、表4の結果から明らかなように、微粒銅粉中に内包している炭素量が0.012wt%である場合には、全ての条件でブリスタが発生した。これは、微粒銅粉中に内包している炭素が燃焼・除去されなかったためと考えられる。
また、表1と表2を比較すると、脂肪酸で表面処理がされている表2では、凸部が発生しておらず、平滑な外部電極が得られることが分かる。これは、表面処理により銅粉の凝集が抑えられたためと考えられる。
表1〜4より、焼結密度80%の時点の外部電極中の炭素量とブリスタの発生率とは相関があり、外部電極中の炭素量が0.007wt%以下である場合に、ブリスタの発生が抑えられることが分かった。また、緻密性の観点から、粗粒銅粉の平均粒径は1.0〜3.0μmの範囲内として、微粒銅粉の平均粒径は0.1〜0.8μmの範囲内とする必要があることが分かった。この時、微粒銅粉の平均粒径に対する粗粒銅粉の平均粒径の比率は、3.75〜10の範囲内である。また、粗粒銅粉が0〜70vol%の範囲内として、微粒銅粉が30〜100vol%の範囲内とする必要があることが分かった。
[実験例2]
実験例2では、熱処理の昇温速度と熱処理炉中の雰囲気を変えた場合における、ブリスタの発生率と亀裂の発生率を評価した。評価は、実験例1の条件のうち、条件2−20の導電性ペーストについて行った。条件2−20は、平均粒径が0.1μmの微粒銅粉を100%用いたものであり、最も焼結性が高くブリスタが発生しやすいものである。また、銅粉中に内包している炭素量が0.007wt%以下であり、脂肪酸で表面処理がされているものである。
熱処理条件は以下のようにした。300〜800℃の温度範囲の昇温温度を10〜500℃/分と変えた。そして、800℃で5分保持した。その後、降温速度を100℃/分として室温まで降温した。熱処理雰囲気は、窒素に対する水の添加量をH2O/N2=1.2×10-3〜1.5×10-1mol%と変えた。
得られた試料について、熱処理後の外部電極を20個外観観察して、ブリスタの発生率と亀裂の発生率を算出した。また、内部電極と外部電極との接合性の評価としてCap取得率を評価した。窒素に対する水の量を多くし過ぎた場合には、炉内雰囲気が酸化側となり、内部電極と外部電極の間の接合性の低下が懸念されるためである。Cap取得率は、積層セラミックコンデンサの静電容量の設計値に対する実際の容量値の比率であり、100%に近くなるほど接合性が良好であることを示す。Cap取得率は97%以下を判定基準とした。
表5に、熱処理の昇温速度と、熱処理炉中の雰囲気を変えた場合における、ブリスタの発生率、亀裂の発生率、およびCap取得率を示す。
300〜800℃の温度範囲の昇温速度が10℃/分である条件5−1〜5−8、および30℃/分である条件5−9〜5−16では、全ての条件で外部電極の表面に亀裂が発生した。昇温速度が小さい場合には、ガラスフリットが軟化する前に局所的に銅粉が固相焼結してドメインを形成し、その後ガラスを介した液相焼結で銅粉の収縮が進む。そのため銅粉が収縮した際にドメイン間の間隔が大きくなり、表面に亀裂が顕在化する。一方、昇温速度が500℃/分である条件5−49〜5−56ではブリスタが発生した。昇温速度が大きい場合には、炭素が十分燃焼する前に銅の緻密化が進み、その後に炭素が燃焼したためと考えられる。
また、窒素に対するH2O量がH2O/N2=1.2×10-3mol%である条件5−17、5−25、5−33および5−41ではブリスタが発生した。水の量が少ない場合には、炭素が十分に燃焼しなかったためと考えられる。一方、窒素に対するH2O量がH2O/N2=1.5×10-1mol%である条件5−24、5−32、5−40および5−48ではCap取得率が低い結果となった。これは、熱処理時の雰囲気が酸化側になりすぎ、内部電極と外部電極の接合性が低下したためと考えられる。
以上より、300〜800℃の温度範囲を50〜400℃/分の昇温速度で、かつ、2.4×10-3mol%≦H2O/N2≦1.2×10-1mol%の条件で熱処理すると、ブリスタや亀裂が発生せず、内部電極との接合性に優れた外部電極を形成できることが分かった。
1 電子部品
2 セラミック層
3 積層体
4,5 内部電極
6,7 外部電極

Claims (5)

  1. 複数のセラミック層と内部電極とを有する積層体と、前記積層体の外表面上に形成され、前記内部電極と電気的に接続されており、導電性ペーストを焼き付けてなる外部電極と、を備える電子部品において、
    前記導電性ペーストは、銅粉と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含み、
    前記銅粉は、平均粒径が1.0〜3.0μmの粗粒銅粉0〜70vol%と、0.1〜0.8μmの微粒銅粉30〜100vol%と、を混合して構成され、
    前記外部電極の焼結密度が80%の時点での外部電極中の炭素量が0.007wt%以下である電子部品。
  2. 前記微粒銅粉に内包している炭素量が0.007wt%以下である、請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記微粒銅粉は有機物による表面処理がされていない、請求項1または2に記載の電子部品。
  4. 前記微粒銅粉は脂肪酸で表面処理されている、請求項1または2に記載の電子部品。
  5. 複数のセラミック層と内部電極とを有する積層体と、前記積層体の外表面上に形成され、前記内部電極と電気的に接続されている外部電極と、を備える電子部品の製造方法であって、
    銅粉と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、を含み、前記銅粉は、平均粒径が1.0〜3.0μmの粗粒銅粉0〜70vol%と、0.1〜0.8μmの微粒銅粉30〜100vol%と、を混合して構成される導電性ペーストを前記積層体の外表面上に塗布する工程と、
    前記導電性ペーストが塗布された積層体を、300〜800℃の温度範囲を50〜400℃/分の昇温速度で、かつ、少なくとも500〜700℃の温度範囲を2.4×10-3mol%≦H2O/N2≦1.2×10-1mol%の条件で熱処理して、前記導電性ペーストを焼き付けてなる外部電極を形成する工程と、
    を備える、電子部品の製造方法。
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