JP5475585B2 - 繊維束体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水性ボールペン、マーキングペン、サインペン等の筆記具や化粧料を塗布する化粧具などの塗布具の中継芯や中綿(吸蔵体)等に好適に用いることができる繊維束体及びその製造方法に関する。
従来より、合成樹脂製の繊維や天然繊維等の繊維束よりなる繊維束体を取り付けた筆記具や、化粧具などの塗布具は、多種多様なものが知られている。
これらの筆記具や化粧具などに用いられる繊維束体は、中綿、ペン芯や中継芯として使用されており、例えば、熱可塑性繊維からなる繊維束の外周に樹脂フィルムを巻きつけて繊維束に付着したインキが表面に滲み出さないようにしたものが知られているが、生産効率、コスト、インキ組成物や塗布液の効率的な浸透性などの点に課題があった。
一方、樹脂フィルムによる巻きを行なわないで繊維束体を製造する技術としては、例えば、1)熱可塑性合成繊維の外郭を熱加工し外周に膜状壁を形成すると共に、内部を柔軟な繊維状となし、この繊維部分に液を浸透させ筆記するように構成した合成繊維による穂先(例えば、特許文献1参照)、2)熱に弱い(低融点の)合成繊維の一種若しくは二種以上を混合したもの、或いは上記繊維に他の各種繊維を混合したものを用いて任意径の円柱棒状繊維体を形成し、該繊維体を加熱してその周面繊維層を溶解し、その溶解部分の凝固により上記円柱棒状繊維体の周面に皮膜を形成し、その皮膜で周面を覆われた連続する棒状の繊維体を所望の長さに切断してマジックペン用芯材を設けることを特徴とするマジックペン用芯材の製造法(例えば、特許文献2参照)、3)熱可塑性繊維からなる集束体を、熱硬化性樹脂で一体化させて棒状のペン芯を形成するとともに、このペン芯の外周部全面に、前記熱可塑性繊維の溶融によるインキ非透過性の熱可塑性樹脂層を均一に形成したことを特徴とするペン先素材(例えば、特許文献3参照)が知られている。
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載される技術は、熱可塑性樹脂の繊維を、ラッパ状の入り口を持つ加工用管で加熱し、表面を溶融させて被覆ペン芯等を製造するものであるが、被覆された内部の繊維の束が整列して均一となっているか否か特に記載が無く不明である。また、極細の繊維束を製造しようとしたときなどには、内部の繊維の束までが全て溶融してしまい、繊維束体としての機能を発揮できないことが容易に推察でき、また、事前に繊維の束が十分に加熱・加圧されていなければ、内部の繊維を均一に整列させられない恐れがある。この特許文献1及び2に記載された技術では、内部の繊維同士が適切な密度で、断面方向にも、長手方向にも、均一に整列し、かつ、表面に溶融した層を設けることは製造上困難といえる。
上記特許文献3のペン先素材は、熱可塑性の繊維束体に熱硬化性樹脂モノマーの溶液を塗布し、加熱により溶剤部分を蒸発硬化させた後、更に加熱して今度は繊維の熱可塑性樹脂を溶融させ、外周全面を熱可塑性樹脂で完全に覆う被覆ペン芯となるペン先素材となるものであり、繊維束を組成する熱可塑性樹脂の繊維とは別に、熱硬化性樹脂を加えており、更に熱硬化性樹脂のモノマーを溶かす溶剤も加えているため、製造工程が多く、コスト高となり、また、その構造特性も本発明とは相違するものである。
特公昭36−18027号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開昭51−46226号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2004−243561号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、繊維束に付着したインキが表面に滲み出ることなく、繊維束体としての優れた機能を有し、樹脂フィルムの使用や低融点繊維の併用、または、熱硬化性樹脂溶液を使用することなく、低コストで簡単でかつ効率よく製造できる筆記具や化粧具などの塗布具の中継芯や中綿(吸蔵体)等に好適な繊維束体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、熱可塑性樹脂の繊維からなり、インキ組成物を浸透させる繊維束体であって、熱可塑性樹脂の繊維同士を特定構造となる繊維束に形成すると共に、繊維束体の外周部全面に、特定物性の繊維融着層を形成することにより、上記目的の繊維束体及びその製造方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)に存する。
(1) 熱可塑性樹脂の繊維からなり、インキ組成物を浸透させる繊維束体であって、熱可塑性樹脂の繊維同士を引き揃えて固化・結束させた繊維束を形成すると共に、該繊維束の外周部全面に、前記熱可塑性樹脂の溶融体からなる繊維融着層を形成したことを特徴とする繊維束体。
(2) 前記繊維束体の繊維融着層を組成する樹脂が、前記繊維を組成する熱可塑性樹脂と同一種の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の繊維束体。
(3) 前記繊維束体の繊維融着層を組成する熱可塑性樹脂の分子量及び分子量分布、並びに、前記繊維を組成する熱可塑性樹脂の分子量及び分子量分布が、略等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維束体。
(4) 前記繊維束体を構成する熱可塑性樹脂の繊維は、単一の種類の繊維からなり、前記繊維融着層内部は、略均一な密度の繊維束であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の繊維束体。
(5) 直径が10mm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の繊維束体。
(6) 熱可塑性樹脂からなる繊維を引き揃えて束ね、この繊維の束を加熱し、繊維同士を固化・結束させた繊維束を形成し、更に、この繊維束の外周全面を加熱し、繊維の溶融により繊維融着層を繊維束の外周全面に形成させることを特徴とする繊維束体の製造方法。
なお、本発明で規定する「分子量が略等しい」とは、樹脂の重量分子量測定の結果が±10%程度の結果となるという。また、「分子量分布が略等しい」とは、数平均分子量/重量平均分子量の数値が、±10%程度の結果となるという。更に、「略均一な密度の繊維束である」とは、ペン芯の毛細管の圧力損失測定による流路抵抗値が、長手方向に略等しいことをいう。
本発明によれば、繊維束に付着したインキが表面に滲み出ることなく、繊維束体としての優れた機能を有し、樹脂フィルムの使用や低融点繊維の併用、または、熱硬化性樹脂溶液を使用することなく、低コストで簡単でかつ効率よく製造できる筆記具や化粧具などの塗布具の中継芯や中綿(吸蔵体)等に好適な繊維束体及びその製造方法が提供される。特に、単一の樹脂種で構成することによって、更に、低コストで簡単でかつ効率よく製造できるものとなる。
(a)は本発明の繊維束体を製造するための製造工程の実施形態の一例を断面態様で示す概略図である。 本発明方法で得られる繊維束体の一例を示す電子顕微鏡写真である。 (a)比較例1の繊維束体で用いる繊維を断面態様で示す概略図、(b)は比較例1で得られる繊維束体の電子顕微鏡写真である。 (a)比較例2の繊維束体で用いる繊維を断面態様で示す概略図、(b)は比較例2で得られる繊維束体の電子顕微鏡写真である。
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の繊維束体は、熱可塑性樹脂の繊維からなり、インキ組成物を浸透させる繊維束体であって、熱可塑性樹脂の繊維同士を引き揃えて、固化・結束させた繊維束を形成すると共に、該繊維束の外周部全面に、前記熱可塑性樹脂の溶融体からなる繊維融着層を形成したことを特徴とするものである。
また、本発明の繊維束体の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる繊維を引き揃えて束ね、この繊維の束を加熱し、繊維同士を固化・結束させた繊維束を形成し、更に、この繊維束の外周全面を加熱し、繊維の溶融により繊維融着層を繊維束の外周全面に形成させることを特徴とするものである。
以下に「本発明」というときは、上記繊維束体及びその製造方法の両方を含むものである。
本発明に用いる繊維としては、熱可塑性樹脂の繊維の少なくとも1種、好ましくは、融点150℃以上、更に好ましくは、融点150℃以上300℃以下の熱可塑性樹脂の繊維の少なくとも1種、具体的には、ポリエステル系合成樹脂〔ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等〕、ポリアミド系合成樹脂(6,6−ナイロン、6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン等)、ポリオレフィン系合成樹脂〔ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等〕、ポリウレタン系合成樹脂、ポリアクリロニトリル系合成樹脂(ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等)、ポリメタクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂:PMMA)、ポリアセタール系樹脂 (POM)などから選択することができる。
これらの中でも、融点150℃以上のポリエステル系合成樹脂が好ましい。また、柔軟性、融点あるいはガラス転移点を揃え製造工程の管理上の利点、繊維束体として更なる性能を発揮する点から、上記熱可塑性樹脂の繊維は、単一の種類から構成されるものが望ましい。
また、本発明に用いる熱可塑性樹脂の繊維には、フィラメント(モノフィラメント、マルチフィラメント)、スライバーがあり、長手方向に均一な密度の繊維束体を得るにはモノフィラメント、又は、マルチフィラメントが好ましい。更に、個々の糸を合糸して引き揃えて束ねる際の取扱いの簡便さにおいて、マルチフィラメントが好ましい。そして、その長手方向に熱収縮性を有し、かつ、熱により拡径するという特性を活かし、第一熱成形機において均一な円柱形状への成形を行えるということから、融点150℃以上の熱可塑性樹脂の繊維の少なくとも1種からなる捲縮繊維を用いることが好ましい。なお、捲縮繊維とは、繊維に二次元または三次元的な捲縮・ひずみを付与し、このひずみを適当な方法で固定し、繊維間相互の平行性を乱すことによって、かさ高性と伸縮性を与えた繊維をいう。
これらの繊維の繊度は、20デニール以下のもの、好ましくは、2〜5デニールのものが望ましい。
なお、サイドバイサイド型や芯鞘型、または、低融点繊維と高融点繊維を混合した繊維の使用では、目的の繊維束体を効率よく得ることが難しく、また、捲縮加工が出来なかったり、均一な混合が難しかったりするため、上記繊維の使用は好ましくない。
本発明の繊維束体は、上記特性等の熱可塑性樹脂からなる繊維の少なくとも1種、好ましくは融点150℃以上の熱可塑性樹脂の繊維の少なくとも1種を引き揃えて束ね、この繊維の束を加熱(第一熱成形)し、繊維同士をバインダー樹脂又は溶剤を用いず加熱・加圧して固化させた繊維束、すなわち、繊維同士を固化・結束させた繊維束を形成する。例えば、図1に示すように、第一熱成形機10に、上記特性等の熱可塑性樹脂からなる繊維11を前方の方に配置した引張ローラー12で引張しながら長手方向に引き揃えたものを配置し、それを束ねて繊維同士をバインダー樹脂又は溶剤を用いず加熱・加圧して固化させて、断面の真円度が高く、繊維同士が固化して結束し、その外周となる部分は融着膜が未だ形成されていない繊維束を形成する。この際の加熱方法は、繊維同士の融着が起こらない範囲とすることが重要であり、また、加熱温度、時間は、この第一熱成形の目的が繊維同士を熱及び圧力により固化・結束させダイス引抜抵抗に勝る結束力を有する繊維束を形成できる範囲であればよく、繊維種、製造する繊維束体の大きさにより変動するが、用いる繊維が単一の種類から構成であれば、用いる捲縮繊維の融点より、熱収縮完了温度以上の温度で、加熱することにより繊維同士を熱により固化・結束させた繊維束を形成する。例えば、熱可塑性樹脂からなる繊維をPET系繊維を使用し、その熱収縮完了温度が200℃の場合には、200℃以上、かつ、融点未満で加熱することにより繊維同士を固化・結束させることができる。
次に、この繊維同士を熱により固化・結束させた繊維束の外周全面に、繊維融着層を形成する。この繊維束体の外周全面に形成する繊維融着層を組成する樹脂は、用いる繊維を組成する熱可塑性樹脂と同一種の樹脂であるもの、好ましくは、前記繊維束体の繊維融着層を組成する熱可塑性樹脂の分子量及び分子量分布、並びに、前記繊維を組成する熱可塑性樹脂の分子量及び分子量分布が、略等しいものを用いることが望ましい。
この場合の繊維融着層の形成は、上記繊維同士を熱により固化・結束させた繊維束の外周全面に、用いる繊維を組成する熱可塑性樹脂と同一種の樹脂を予め用意し、この樹脂を溶融して吐出ノズルを用いて繊維束の外周全面に均一に塗布することにより行うことができる。
更に好ましくは、製造効率、同一物性の繊維束体を得ることなどの点から、上記繊維同士を熱により固化・結束させた繊維束の外周全面を、繊維を構成する樹脂の融点以上に加熱し、繊維束の外周全面を溶融し、その後冷却することにより、繊維融着層を繊維束の外周全面に形成することが望ましい。例えば、図1に示すように、第一熱成形機10から連続的に第二熱成形機13に、上記固化・結束させた繊維束なる繊維を前方の方に配置した引張ローラー12で引張しながら、繊維束の外周全面を高温ダイス14で外皮部を、繊維を構成する樹脂の融点以上に加熱、径を絞りつつ引取り、繊維束内部の構造を壊すことなく、外部のみ溶融することによりインキ不透過層を形成する。
この際の加熱方法は、特に制約は無く、加熱温度、時間は、この熱成形の目的が繊維束の外周全面に均一な繊維融着層を形成できる範囲であればよく、繊維種、製造する繊維束体の大きさにより変動するが、用いる繊維が単一の種類から構成であれば、用いる繊維の融点以上となる高い温度(溶融温度)で加熱した後、そのまま室温下で放置することにより繊維融着層を形成する。
上記それぞれの方法で得る繊維融着層の厚さは、繊維束体の用途、例えば、中綿、ペン芯、中継芯等の用途に応じて、任意の厚さとすることができる。
上記各方法により繊維融着層を形成した繊維束体は、繊維束体の用途、例えば、ペン芯、中継芯等の用途に応じて、任意の長さに切断、その後必要に応じて用途ごとに加工処理することにより、目的の繊維束体を得ることができる。
得られる繊維束体において、繊維融着層内部には、略均一な密度の繊維束となるものが好ましい。略均一な密度の繊維束とするためには、第一の成形の時点で1000〜7000d/mmの糸密度となる繊維束を成形することにより行うことができる。
また、このような製造方法においては、直径1mm以上、繊維密度が1,000d/mm以上の繊維融着層を持つ繊維束体を良好に製造することができる。直径1mm未満、繊維密度が1,000d/mm未満の仕上がりとなるようにすると、第二熱成形機において外皮を溶融させる際、ダイス内壁との間に起こる溶融粘着性によって、第一成形で均一化された繊維同士の結束が崩れ、形状が崩壊する恐れがある。仕上がり寸法が1mm以上、繊維密度が1,000d/mm以上となるようにすることが、本発明においては望ましい。
このように構成される本発明となる繊維束体では、筆記具製造時に必要な最低限の強度を保ち、繊維束体としての優れた機能を有し、樹脂フィルムの使用や低融点繊維の併用、または、熱硬化性樹脂溶液を使用することなく、低コストで簡単でかつ効率よく製造できる筆記具や化粧具などの塗布具に好適な繊維束体及びその製造方法が提供されることとなる。特に、単一の樹脂種で構成することによって、更に、繊維融着層の形成を、繊維同士熱により融着させた繊維束の外周全面を、加熱溶融することにより、繊維融着層を繊維束の外周全面に形成すれば、更に低コストで簡単でかつ効率よく製造できるものとなる。また、本発明方法では、熱硬化性樹脂溶液などのバインダー樹脂も使用しないので、製造の際に、VOC(揮発性有機化合物)ガスなどの大気放出による、大気汚染の問題を克服できるメリットもある。
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例等により限定されるものではない。
(実施例1)
下記熱可塑性樹脂からなる繊維を用いて、下記に示す方法で繊維束体を得た。
(熱可塑性樹脂からなる繊維の物性)
ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(マルチフィラメント、太さ5デニール、融点260℃、捲縮の熱収縮完了温度220℃)を使用。
(繊維束体の製造法)
図1(a)に示すように、第一熱成形機10で、繊維同士を長手方向に引き揃えて、熱可塑性樹脂の繊維同士を固化・結束させた繊維束を形成した。この際の固化・結束させる温度は240℃、ダイスを通過させる時間は25秒である。また、得られた繊維束は、4200d/mmの糸密度となる繊維束であった。
次に、得られた繊維同士を融着させた繊維束を第二熱成形機を用いて、具体的には、高温ダイスで外皮部を加熱し、径を絞りつつ引取り、繊維束内部の構造を壊すことなく、外皮部のみ溶融することにより、繊維融着層の厚さ30μmとなる直径1.75mm、繊維密度が4200d/mmとなる繊維束体を得た。
この繊維束体を電子顕微鏡(SEM)により確認したところ、繊維融着層内部は、略均一な密度の繊維束となっており、図2に示すように、繊維束の外周前面に均一な厚さとなる繊維融着層が形成されていることが確認された。
この繊維束体を100mmの長さに切断して、三菱鉛筆社製の水性ボールペン「UB−200」(インキ種:黒インキ)の中継芯として製造を行ったところ、通常のバインダー樹脂を配合した中継芯を使用する場合に較べ、フィルム等の巻き付け工程が無いため安価に、かつ、簡便に製造を行うことができた。ボールペンの製造時においても、中継芯自体繊維融着層を有するため、その強度が十分であり、折れ、曲がりなどの事故が無く、問題なく製造することが出来た。また、製造された上記のボールペン自体も、インク吸い上げ性が向上した結果、ボール先端までのインク到達時間が短縮され、組み立て直後から遅滞なく筆記することができた。
(実施例2)
上記実施例1と同様の繊維を用いて、下記に示す方法でインク吸蔵体(中綿)を得た。
(中綿の製造法)
上記実施例1における中継芯の製造方法と同様であるが、ダイスの径を6mmとした第一熱成形機10で、繊維同士を長手方向に引き揃えて、熱可塑性樹脂の繊維同士を固化・結束させた繊維束を形成した。この際の固化・結束させる温度は240℃、ダイスを通過させる時間は25秒である。また、得られた繊維束は、1600d/mmの糸密度となる繊維束であった。
次に、得られた繊維同士を融着させた繊維束を、今度はダイスの径を5.5mmとした第二熱成形機を用いて、具体的には、高温ダイスで外皮部を加熱し、径を絞りつつ引取り、繊維束内部の構造を壊すことなく、外皮部のみ溶融することにより、繊維融着層の厚さ30μmとなる直径5.5mm、繊維密度が1600d/mmとなる繊維束体を得た。
この中綿を電子顕微鏡(SEM)により確認したところ、繊維融着層内部は、略均一な密度の繊維束となっており、上記中継芯の実施例と同様に、繊維束の外周前面に均一な厚さとなる繊維融着層が形成されていることが確認された。
この中綿を79.5mmの長さに切断して、三菱鉛筆社製の油性染料マーカー「PA−152TR(商品名:ピース)」(インキ種:黒インキ)の中綿として製造を行ったところ、通常のバインダー樹脂を配合した中綿を使用する場合に較べ、フィルム等の巻き付け工程が無いため安価に、かつ、自動機による扱いにも十分に耐えうる強度を持ち、簡便に製造、組み立てを行うことができた。また、製造された上記のマーカー自体も、中綿のインク吸い上げ性が向上した結果、十分な筆記距離を筆記することができた。
(比較例1)
下記熱可塑性樹脂からなる繊維を用いて、上記実施例1と同一の方法で中継芯を得た。
図3(a)に示すように、「低融点(100〜140℃)非晶性の共重合ナイロンの繊維、マルチフィラメント、太さ5デニール」と、融点(240℃)のポリエステル繊維(太さ5デニール)、マルチフィラメントを混合したものを用いて熱成形し、バインダーレス製造を試みた場合の例である。
得られた繊維束体を電子顕微鏡(SEM)により確認したところ、図3(b)に示すように、「マルチフィラメント」(複数単糸の集合体)同士の合糸状態が融着部の偏りの原因となり、インキ不透過層も形成できず、繊維束体の形態を成していないことが判った。
この繊維束体を実施例1と同様に使用したところ、インク流出が一定ではなく、普通の使用でボテが見られ、かつ、カスレが頻繁に見られた。
(比較例2)
下記熱可塑性樹脂からなる繊維を用いて、上記実施例1と同一の方法で中継芯を得た。
図4(a)に示すように、芯鞘型複合繊維、並びに、サイドバイサイド型の低融点複合繊維を用いた。
芯鞘型複合繊維:鞘部をポリエーテルエステルブロック共重合体(融点:150℃)、芯部をポリブチレンテレフタレート(融点:255℃)各々の重量比を1:1とした複合繊維(太さ5デニール)。
サイドバイサイド型複合繊維:片側をポリエーテルエステルブロック共重合体(融点:150℃)、もう一方をポリブチレンテレフタレート(融点:255℃)各々の重量比を1:1とした複合繊維(太さ5デニール)。
芯鞘型繊維を用いた中綿では、繊維融着層の厚さ約100μmとなる直径2mmの中継芯を得た。
また、サイドバイサイド型の繊維束体でも、繊維融着層の厚さ約100μmとなる直径2mmの中継芯を得た。
得られた芯鞘型繊維を用いた中継芯を電子顕微鏡(SEM)により確認したところ、図4(b)に示すように、インク不透層の部分は繊維が密に折り重なった比較的厚い層で、相対的にインクの流路が狭いものとなっていることが判った。また、この場合、低融点繊維を用いた略均一な密度の繊維束場合の最大の問題として、「研削加工時の研削熱発生」による気孔部の融着があり、インキ流出を目的としたペン芯などの繊維束体として筆記具部品としての役割を果たすことが不可能になることが判った。
また、サイドバイサイド型の中継芯でも、上記芯鞘型繊維と同様の結果となることが判った。
(比較例3)
上記実施例1において、実施例1と同じ熱可塑性樹脂からなる繊維を用いて、繊維同士を長手方向に引き揃えて、第一熱成形機10を用いず(熱可塑性樹脂の繊維同士を融着させず)に、直接、第二熱成形機12を用いて、実施例1と同様に加熱処理して、繊維融着層形成を試みたところ、繊維融着層の一部は裂けて、真円度の高い均一な繊維融着層とはならないことが判った。また、捲縮加工された繊維の加熱による「捲縮発現効果」(バルキ性向上)も均一性を保持できないことも判った。
上記の原因は、第一成形機を用いないので、繊維同士を融着できないことによるものであった。
(比較例4)
三菱鉛筆社製の油性染料マーカー「PA−152TR(商品名:ピース)」(インキ種:黒インキ)に従来用いられている中綿(繊維:ポリエステル(太さ3デニール)、外周面のフィルム:ポリプロピレン、長さ79.5mm、直径13.0mm、インキ不透過層の厚さ(外皮厚)200μm)を用いて上記実施例2の中綿と性能を比較したところ、上記した通りの差が見られた。
この中綿を電子顕微鏡(SEM)により確認したところ、インキ不透過層内部は、略均一な密度の繊維束となっており、上記実施例2と同様に、繊維束の外周全面のフィルムは均一な厚さとなっていることが確認された。
以上の実施例1〜2及び比較例1〜4の結果から明らかなように、本発明となる中継芯及び中綿は、中継芯内を通るインク、あるいは、中綿内に吸蔵されたインクが表面に滲み出ることなく、中継芯としてインク流量を一定に保ち、中綿として高い吸蔵量を誇るという優れた機能を有し、いずれの場合も低コストで簡単でかつ効率よく製造できることが判った。
筆記具や、化粧料を塗布する化粧具などの塗布具に好適な中継芯または中綿が得られる。
10 第一熱成形機
11 熱可塑性樹脂の繊維
13 第二熱成形機

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂の繊維からなり、インキ組成物を浸透させる繊維束体であって、熱可塑性樹脂の繊維同士を引き揃えて固化・結束させた繊維束を形成すると共に、該繊維束の外周部全面に、前記熱可塑性樹脂の溶融体からなる繊維融着層を備えたことを特徴とする繊維束体。
  2. 前記繊維束体の繊維融着層を組成する樹脂が、前記繊維を組成する熱可塑性樹脂と同一種の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の繊維束体。
  3. 前記繊維束体の繊維融着層を組成する熱可塑性樹脂の分子量及び分子量分布、並びに、前記繊維を組成する熱可塑性樹脂の分子量及び分子量分布が、略等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維束体。
  4. 前記繊維束体を構成する熱可塑性樹脂の繊維は、単一の種類の繊維からなり、前記繊維融着層内部は、略均一な密度の繊維束であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の繊維束体。
  5. 直径が10mm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の繊維束体。
  6. 熱可塑性樹脂からなる繊維を引き揃えて束ね、この繊維の束を加熱し、繊維同士を固化・結束させた繊維束を形成し、更に、この繊維束の外周全面を加熱し、繊維の溶融により繊維融着層を繊維束の外周全面に形成させることを特徴とする繊維束体の製造方法。
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