JP2008150414A - 耐衝撃性に優れた軽量繊維補強樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 密度が1000kg/m以下と軽量であるにもかかわらず、耐衝撃性および曲げ特性に優れた繊維補強樹脂成形体を提供する。
【解決手段】 ビニロンショート繊維のカット糸が変性ポリプロピレン樹脂中に含有されてなり、ノッチ付き試験片のシャルピー衝撃強度が8.5kJ/m以上、3点曲げ強度が45MPa以上、密度1000kg/m以下であるビニロン繊維補強樹脂組成物およびそれからなる成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレンン樹脂中にビニロン繊維のショートカット糸が含有してなる樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形して得られる繊維補強樹脂成形体に関する。
従来より、ガラス繊維で補強した熱可塑性樹脂成形体が補強性能に優れるため多用されている。
しかしながら、近年、自動車材料は燃費を下げたり、加速性を向上させるために、車体の軽量化が重要な課題となってきている。ガラス繊維で補強した熱可塑性樹脂成形体は、ガラスの密度が重いため、20重量%以上含有させると密度1000kg/m以上になるため、自動車材料に用いた場合には上記した課題が解決できないという問題があった。また該成形体を廃棄する際に、離脱したガラス繊維が飛散し、肌がチクチクするなど人体への影響が懸念されるだけでなく、焼却が困難なため炉を傷めやすいという問題があった。
上記したようなガラス繊維の代替として、有機繊維の短繊維に集束剤で集束し、これをカットして集束糸とし、さらに熱可塑性樹脂とコンパウンドして繊維補強熱可塑性樹脂とし、繊維補強成形体を得る方法が用いられるようになってきた(例えば、特許文献1〜6参照。)。
しかしながら、これらの方法を用いても、強度、耐衝撃性、軽量の3つの重要な性能をバランスよく満たした繊維補強熱可塑性樹脂および成形体は得られていない。
特開平7−251437号公報 特開平9−267327号公報 特開昭48−042035号公報 特開平8−336879号公報 特開2002−060502号公報 特開平7−080834号公報
本発明は、かかる問題点を鑑みてなされたもので、密度が1000kg/m以下と軽量であるにもかかわらず、優れた耐衝撃性および曲げ強度を有する繊維補強樹脂組成物および成形体を提供することを目的とする。
本発明者等は上記問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、補強繊維としてビニロン繊維からなるショートカット糸を用い、そして多数本のビニロン繊維のショートカット糸に過剰な集束剤を付着させることなくポリプロピレン樹脂をコーティングし、ペレット状に裁断した樹脂組成物を用いて成形することにより、得られる成形体は軽量であるにもかかわらず優れた耐衝撃性および曲げ特性を備えていることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、ビニロン繊維のショートカット糸がポリプロピレン樹脂中に含有されてなり、ノッチ付き試験片のシャルピー衝撃強度が8.5kJ/m以上、3点曲げ強度が45MPa以上、密度が1000kg/m以下である繊維補強樹脂組成物であり、好ましくはビニロン繊維のショートョートカット糸が10〜35質量%ポリプロピレン樹脂中に含有された上記の繊維補強樹脂組成物であり、より好ましくは上記の樹脂組成物からなる繊維補強樹脂成形体である。
本発明の樹脂組成物は多数本のビニロン繊維のショートカット糸をポリプロピレン樹脂が被覆して保護しているため、成形加工の工程において損傷を生じることがなく、加工中の繊維の絡まりが少ない。また着色剤や充填剤、難燃剤、顔料、増量剤、無機フィラー等とのコンパウンドによるペレットを製造するために好適に使用可能であり、しかも成形時には補強繊維に集束剤等を必要としないために繊維の分散性も良好で高品質の成形体を成形できる。具体的には本発明のビニロン繊維のショートカット糸がポリプロピレン樹脂中に含有された樹脂組成物は、密度が1000kg/m以下と軽量であるにも関わらず、シャルピー衝撃強度が8.5kJ/m以上、3点曲げ強度が45MPa以上と高性能であるため、成形体とした場合、軽量化と薄型化が可能となる。また、さらにはビニロンショートカット糸の含有量により耐衝撃性、曲げ特性が向上するので、用途に応じた物性を自在にコントロール可能である。
本発明で補強用ショートカット糸として用いられるビニロン繊維は、形態的には連続繊維であれば、フィラメント糸を多数に集束して形成されたビニロン繊維束、あるいは撚りを加えたヤーンであってもよい。補強繊維束を構成する補強繊維の繊維径、フィラメント本数は特に限定されないが繊維径は3〜200μmであることが好ましく、より好ましくは5〜20μmであり、一方フィラメント本数は500〜10000本であることが好ましく、より好ましくは500〜4000本である。
補強繊維としてビニロン繊維を用いることにより、後述するが、得られる繊維補強樹脂組成物および成形体は従来のガラス繊維、無機フィラーやポリエステル、ナイロン等の汎用の有機繊維、アラミド繊維等の高強力繊維を用いた補強では達成できなかった耐衝撃性、曲げ特性などの補強性能を有するものとなる。
本発明に用いられるビニロン繊維の製法は特に限定されないが、ポリビニルアルコール系ポリマーを水または有機溶剤に溶解して調製した紡糸原液を、ポリビニルアルコールに対して固化能を有する水または有機溶媒を含有する固化浴に湿式紡糸方法または乾湿式紡糸方法にて繊維を製造するのが好ましい。なお、湿式紡糸方法とは、紡糸口金から直接固化浴に紡糸原液を吐出する方法のことであり、一方乾湿式紡糸方法とは、紡糸口金から一旦空気や不活性ガス中に紡糸原液を吐出し、それから固化浴に導入する方法のことである。本発明に用いられるビニロン繊維の構成は特に限定されないが、機械的特性、耐熱性等の点からは平均重合度1000以上さらに1200以上であるのが好ましく、5000以下、特に4000以下であるのが好ましい。また同理由からケン化度は99モル%以上、特に99.8モル%以上であるのが好ましい。繊維を構成するビニルアルコール系ポリマーは他の成分により変性されていたり、共重合されていてもよい。
自動車の燃費効率を高める方法として車体重量を軽量化することが求められている。そのために成形体においては密度の低い材料で、かつ従来の製品と同等の衝撃強さおよび曲げ強さが要求されたり、もしくは、密度が同じであっても従来の製品の数倍の衝撃強さおよび曲げ強さの材料にすることで厚さを薄くすることが要求されている。
本発明において、ポリプロピレン樹脂にビニロン繊維のショートカット糸が含有した樹脂組成物は、密度が1000kg/m以下と軽量であるにも関わらず、ノッチ付き試験片のシャルピー衝撃強度が8.5kJ/m以上、3点曲げ強度45MPa以上を達成することができる。ここで、シャルピー衝撃強度が8.5kJ/mよりも低い場合、耐衝撃性が要求される用途に使用することができない。好ましくは10kJ/m以上、より好ましくは15kJ/m以上50kJ/m以下である。また成形体の密度は材料の軽量化を図る点から1000kg/m以下であることが必要であり、好ましくは990kg/m以下、より好ましくは970kg/m以下である。
用いるポリプロピレン樹脂は通常のホモポリプロピレンポリマーからなる樹脂であることが重要であり、高重合体、低重合体のものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらのポリプロピレン樹脂を組み合わせて混合して用いてもよく、さらにこれらのポリプロピレン樹脂に着色剤や充填剤、難燃剤等を適当量添加してもよい。また第三成分として無機フィラー等を含有する場合には耐衝撃性は低下するが、ビニロン繊維のショートカット糸が含有することで高い耐衝撃性を維持しながら、高い曲げ強度が得られる。用いる無機フィラーは特に限定されるものではないが、マイカであることが好ましく、しかも高アスペクト比でフレーク形状のものがより好ましい。またポリプロピレン樹脂へのマイカの添加量は得られる樹脂組成物の密度を1000kg/m以下とするためには1〜15質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましい。
本発明のビニロン繊維のショートカット糸がポリプロピレン樹脂中に含有された樹脂組成物において、ポリプロピレン樹脂がビニロンショートカット糸からなる繊維束の外周に位置する連続繊維に接着されていることにより、ポリプロピレン樹脂が剥がれ難くなる。したがって、この樹脂組成物をロータリー方式のカッティングマシーンやギロチン方式のカッティングマシーン等を用いて裁断する工程においてポリプロピレン樹脂がビニロン繊維のショートカット糸からなる繊維束から剥がれる等のトラブルを防止することができる。
次に本発明のビニロン繊維のショートカット糸がポリプロピレン樹脂中に含有された樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明は、多数本のビニロン繊維束を走行させた状態で、その繊維束を包囲するように溶融したポリプロピレン樹脂を押出し、その周囲にポリプロピレン樹脂を通す円筒状の通路を有している芯鞘タイプの紡糸ノズルを用い、芯部にビニロン繊維を通過させ、鞘部よりポリプロピレン樹脂を加圧下で前記ビニロン繊維束の外周に接触させて繊維をポリプロピレン樹脂で被覆させる方法がより好ましく、紡糸ノズルから吐出された樹脂と多数本のビニロン繊維を貼り合わせた後に樹脂を溶融させ束ねることにより繊維を樹脂で被覆する方法が挙げられるが、特に限定されるものではない。
次にビニロン繊維束がポリプロピレン樹脂中に含有された樹脂組成物とポリプロピレン樹脂とをチップブレンド等の方法により混合した後、溶融押出機で押出ししたり、射出成形する等の方法によりストランドを作製した後、裁断してポリプロピレン樹脂中にビニロン繊維のショートカット糸が含有してなるペレットとする。裁断方法としてはロータリー方式のカッティングマシーンやギロチン方式のカッティングマシーン等を用いて裁断する方法が挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記例示した裁断方法により得られるペレットの長さは、後に溶融押出機で押出ししたり、射出成形する等の方法により成形体を製造する際の混練性、補強繊維の分散性の面から2〜15mmであることが好ましく、3〜10mmの長さであることがより好ましい。
また、ポリプロピレン樹脂中にはビニロン繊維のショートカット糸が10〜35質量%されていることが好ましい。該ショートカット糸の含有量が10質量%より少ないと、目的とする耐衝撃性、曲げ特性が得られない場合がある。一方、該ショートカット糸の含有量が35質量%よりも多い場合、樹脂中における繊維の分散性が悪くなる。より好ましくは15〜33質量%、さらに好ましくは20〜30質量%である。
さらに得られるペレットを熱風乾燥機等で乾燥し、ペレット中の水分率を低くすることが溶融押出機で押出しする際や、射出成形する際により好ましい。
上記したような方法にて得られたペレットを溶融押出や射出成形等の成形方法で成形することで成形体を得る。このようにして得られる成形体は、従来のガラス繊維、無機フィラーや、ポリエステル、ナイロン等の汎用の有機繊維、あるいはアラミド繊維等の高強力繊維で補強した熱可塑性樹脂成形体では達成できなかった、密度が1000kg/m以下と軽量であるにも関わらず、耐衝撃性、曲げ特性等において優れた補強性能を有するものとなる。
以下実施例によって、本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。なお本発明においてシャルピー衝撃強度、3点曲げ強度、密度は以下の測定方法により測定されたものを意味する。
[シャルピー衝撃強度 kJ/m
株式会社東洋精機製デジタル衝撃試験機「DG−CB」を用い、JIS K7111試験法に準拠してノッチ付き試験片のシャルピー衝撃強度を測定した。
[3点曲げ強度 MPa]
株式会社島津製作所製オートグラフAG/Rを用い、JIS K7171試験法に準拠して測定した。
[密度 kg/m
ミラージュ貿易株式会製電子比重計SD−120Lを用い、JIS K7112試験法に準拠して測定した。
[実施例1]
(1)ビニロンフィラメントとして株式会社クラレ製「5501−2」(繊維径;14μm、フィラメント数;2000本)、ポリプロピレン樹脂としてプライムポリマー株式会社製ポリプロピレン「Y−2005GP」を用いて、糸の通過するノズルの内径0.95mm、前記樹脂の押出されるノズルの内径1.20mmのノズルにて紡糸ヘッド温度200℃、ポリプロピレン樹脂の吐出量12g/min、巻取速度15m/minの条件にてビニロン繊維束の外周にポリプロピレン樹脂が被覆してなる樹脂組成物を得た。
(2)上記(1)で得られた樹脂組成物を切断し、断面を日立製作所社製電子顕微鏡「S510」で倍率100倍にて観察したところ、樹脂がビニロン繊維束を取囲んだ構造が形成されており、樹脂はビニロン繊維束の外周の連続繊維に接着されていた。さらに被覆されたポリプロピレン樹脂を剥がして内部のビニロン繊維束を観察したところ、内部のビニロン繊維に損傷は見られず、したがって上記(1)の工程でビニロン繊維に損傷は生じていなかった。得られた樹脂組成物は柔軟であった。
(3)さらに上記(1)で得られた樹脂組成物をカッターで切断し、該樹脂組成物と上記(1)と同じプライムポリマー株式会社製ポリプロピレン「Y−2005GP」とをビニロン含有率が10質量%となるようにチップブレンドして、押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになるようにカットしてペレット化した。このようにして得られたペレットを用いて射出成形機(名機製作所株式会社製「M−100C」、型締力100トン)にてシリンダー温度200℃、金型温度40℃、射出時間10秒、冷却時間33秒の条件にてビニロン繊維補強樹脂成形体を成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
ビニロン含有率を20質量%とする以外は実施例1と同様にペレットを作製し、このペレットを用いて実施例1と同じ射出成形機にて、実施例1と同条件にてビニロン繊維補強樹脂成形体を成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
ビニロン含有率を30質量%とする以外は実施例1と同様にペレットを作製し、このペレットを用いて実施例1と同じ射出成形機にて、実施例1と同条件にてビニロン繊維補強樹脂成形体を成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、得られた樹脂組成物と、プライムポリマー株式会社製ポリプロピレン「Y−2005GP」、株式会社クラレ製マイカ「クラライトマイカ200−D」をそれぞれビニロン含有率が5質量%、マイカ含有率が14質量%となるようにチップブレンドして押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになるようにカットしてペレット化し、さらにこのペレットを用いて実施例1と同じ射出成形機にて、実施例1と同条件にてビニロン繊維補強樹脂成形体を成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
ビニロン繊維が添加されていないプライムポリマー株式会社製ポリプロピレン「Y−2005GP」を用いて実施例1と同じ射出成形機にて、実施例1と同条件にて成形体を成形し性能評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すとおり、ビニロン繊維が添加されない樹脂の性能において、耐衝撃性は低いものであった。
[比較例2]
(1)ビニロン繊維のフィラメントの代わりにユニチカ株式会社製ポリエステル繊維「E−721」(繊維径;21μm、フィラメント数;384本)、熱可塑性樹脂としてプライムポリマー株式会社製ポリプロピレン「Y−2005GP」を用いて、糸の通過するノズルの内径0.75mm、樹脂の押出されるノズルの内径0.86mmのノズルにて紡糸ヘッド温度200℃、ポリプロピレン樹脂の吐出量6g/min、巻取速度9m/minの条件にてポリエステル補強繊維束の外周にポリプロピレン樹脂が被覆してなる樹脂組成物を得た。
(2)上記(1)で得られた樹脂組成物をカッターで切断し、該樹脂組成物と上記(1)と同じプライムポリマー株式会社製ポリプロピレン「Y−2005GP」とをポリエステル繊維含有率が10質量%となるようにチップブレンドして押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになるようにカットしてペレット化し、さらにこのペレットを用いて実施例1と同じ射出成形機にて、実施例1と同条件にて繊維補強樹脂成形体を成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
(3)表1に示すとおり、得られた成形体は衝撃性、曲げ強度とも全て満足する性能が得られなかった。
[比較例3]
旭ファイバーグラス株式会社製チョップドストランド「グラスロン03JAFT17」とプライムポリマー株式会社製ポリプロピレン「Y−2005GP」をガラス繊維含有率が20質量%となるようにチップブレンドして押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになるようにカットしてペレット化し、さらにこのペレットを用いて実施例1と同じ射出成形機にて、実施例1と同条件にて繊維補強樹脂成形体を成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すとおり、得られた成形体において繊維の添加量を実施例1の2倍添加することで、曲げ強度は実施例1と同等のものが得られたが、耐衝撃性はシャルピー衝撃強度が3.8kJ/mであり、不十分であった。
[比較例4]
(1)ビニロンフィラメントの代わりにデュポン・東レ・ケブラー株式会社製アラミド繊維「TYPE956」(繊維径;14μm、フィラメント数;2000本)、ポリプロピレン樹脂としてプライムポリマー株式会社製ポリプロピレン「Y−2005GP」を用いて、糸の通過するノズルの内径0.75mm、樹脂の押出されるノズルの内径1.16mmのノズルにて紡糸ヘッド温度200℃、ポリプロピレン樹脂の吐出量12g/min、巻取速度15m/minの条件にてアラミド繊維束の外周にポリプロピレン樹脂が被覆してなる樹脂組成物を得た。
(2)上記(1)で得られた樹脂組成物をカッターで切断し、該樹脂組成物と上記(1)と同じプライムポリマー株式会社製ポリプロピレン「Y−2005GP」とをアラミド繊維含有率が10質量%となるようにチップブレンドして押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになるようにカットしてペレット化し、さらにこのペレットを用いて実施例1と同じ射出成形機にて、シリンダー温度230℃、金型温度40℃、射出時間10秒、冷却時間33秒の条件にて繊維補強樹脂成形体を成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
(3)表1に示すとおり、得られた成形体のシャルピー衝撃強度は4.7kJ/mであり、満足する耐衝撃性が得られなかった。
[比較例5]
アラミド繊維含有率を20質量%とする以外は比較例4と同様にペレットを作製し、このペレットを用いて実施例1と同じ射出成形機にて、比較例4と同条件にて繊維補強樹脂成形体を成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。得られた成形体のシャルピー衝撃強度は6.2kJ/mであり、満足する耐衝撃性が得られなかった。
[比較例6]
アラミド繊維含有率を30質量%とする以外は比較例4と同様にペレットを作製し、このペレットを用いて実施例1と同じ射出成形機にて、比較例4と同条件にて繊維補強樹脂成形体を成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。得られた成形体のシャルピー衝撃強度は7.2kJ/mであり、満足する耐衝撃性が得られなかった。
[比較例7]
(1)エチレン成分を7質量%含有してなるエチレンー酢酸ビニル共重合樹脂のエマルジョン濃度が55質量%であるエマルジョンと保護コロイドとしてノニオン系界面活性剤をエチレンー酢酸ビニル共重合樹脂に対して7質量%添加したエマルジョン(株式会社クラレ製「パンフレックスOM−5000」を水で濃度8質量%まで希釈した。次に実施例1と同じビニロン繊維束を該希釈液中に通過させ乾燥後、カット長3mmに切断してエチレンー酢酸ビニル共重合樹脂の付着量が2.7質量%であるビニロン繊維チョップド・ストランドを作製した。
(2)上記(1)で得られたチョップド・ストランドをビニロン繊維含有率が30質量%となるように、実施例1と同じプライムポリマー株式会社製ポリプロピレン「Y−2005GP」とチップブレンドして実施例1と同じ射出成形機にて、実施例1と同条件にてビニロン繊維補強樹脂成形体を成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2008150414
表1の実施例1〜4に示すように、ポリプロピレン樹脂に本発明のビニロン繊維を含有してなる樹脂組成物をペレット化し、このペレットを用いて射出成形した繊維補強樹脂成形体は、密度が1000kg/m以下と軽量であるにも関わらず、耐衝撃性、曲げ強度とも従来の繊維補強樹脂成形体に比べて優れたものとなる。
一方、比較例1の補強繊維を添加されない成形体や、比較例2の補強繊維にポリエステル繊維を用いた樹脂組成物をペレット化し、このペレットを用いて射出成形した繊維補強樹脂成形体は、耐衝撃性、曲げ強度とも本発明のビニロン繊維補強樹脂成形体よりも劣り、さらに比較例3のガラス繊維を用いた樹脂組成物や比較例4〜6のアラミド繊維をペレット化し、これらのペレットを用いて射出成形した繊維補強樹脂成形体は、耐衝撃性が本発明のビニロン繊維補強樹脂成形品よりも劣るものであった。
また、比較例7のようにビニロン繊維束を集束剤に含浸させたチョップド・ストランドを用いたビニロン繊維補強樹脂成形体は樹脂中におけるビニロン繊維の分散性が不良であるため、本発明のビニロン繊維補強樹脂成形体に比べて耐衝撃性、曲げ強度とも劣っていた。
本発明の樹脂組成物は、多数本の連続繊維からなる補強繊維束をポリプロピレン樹脂が覆って保護しており、且つ適度な柔軟性を有しているため、加工の工程において損傷を生じることがなく、繊維補強ポリプロピレン樹脂成形体用ペレットを製造するために好適に使用可能であり、しかも、成形時には、補強繊維に集束剤等を必要としないために得られる繊維補強樹脂成形体は繊維の分散も良く、高品質の繊維補強樹脂成形体を成形できるという特長を有している。また製造工程が簡単で、安価に製造可能であり、生産性が良い等の特徴も有している。またガラス繊維を含まない繊維補強樹脂成形体あるため焼却も可能であり、該成形体を埋め立てする必要もない。
上記したような特長を有する本発明の繊維補強樹脂成形体は、自動車用途ではバンパー、フェンダー、スポイラー、エアロパーツ、コンソールボックスなどに使用できる他、ヘルメット、その他射出成形機にて成形される繊維補強樹脂成形体用途にも使用可能である。

Claims (3)

  1. ビニロン繊維のショートカット糸がポリプロピレン樹脂中に含有されてなり、ノッチ付き試験片のシャルピー衝撃強度が8.5kJ/m以上、3点曲げ強度が45MPa以上、密度が1000kg/m以下である繊維補強樹脂組成物。
  2. ビニロン繊維のショートカット糸が10〜35質量%ポリプロピレン樹脂中に含有された請求項1記載の繊維補強樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載の樹脂組成物からなる繊維補強樹脂成形体。
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