JP5462686B2 - 炭化水素用脱硫剤の製造方法、炭化水素の脱硫方法、燃料ガスの製造方法及び燃料電池システム - Google Patents

炭化水素用脱硫剤の製造方法、炭化水素の脱硫方法、燃料ガスの製造方法及び燃料電池システム Download PDF

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Description

本発明は、炭化水素用の脱硫剤の製造方法に関し、より詳しくは燃料電池などに供給される灯油などの原料を脱硫するために使用される炭化水素用脱硫剤の製造方法に関する。本発明はまた、上記脱硫剤を用いた炭化水素の脱硫方法、燃料ガスの製造方法、及び上記脱硫剤が充填された脱硫装置を備える燃料電池システムに関する。
近年、環境問題から新エネルギー技術が脚光を浴びており、その技術のひとつとして燃料電池が注目されている。燃料電池は、燃料の燃焼反応による自由エネルギー変化を直接電気エネルギーとして取り出すことができるため、高いエネルギー効率が得られるという特徴がある。このような特徴を有する燃料電池は、有害物質を排出しないことも相俟って、様々な用途への展開が図られている。特に固体高分子形燃料電池は出力密度が高く、コンパクトで、しかも低温で作動が可能といった利点も有している。
一般的に、燃料電池用の燃料としては水素を主成分とする燃料ガスが用いられるが、これを得るための原料には天然ガス、LPG、ナフサ、灯油等の炭化水素、あるいはメタノール、エタノール等のアルコール、若しくはジメチルエーテル等のエーテルなどが用いられる。炭素原子及び水素原子を含むこれら原料は、水蒸気と共に触媒上で改質処理する、酸素含有気体で部分酸化する、或いは、水蒸気と酸素含有気体が共存する系において自己熱回収型の改質処理を施すことにより、水素と一酸化炭素とが含まれるガスとし、更に一酸化炭素を低減或いは除去する工程を経て燃料電池用の燃料ガスにされる。
ところで、上記の原料、特に石油由来の原料中には不純物として硫黄化合物が存在することが多く、天然ガス等の場合には漏洩検出のための着臭剤として硫黄化合物が含まれることもある。硫黄化合物が含まれる原料をそのまま用いて燃料電池用の燃料ガスを製造した場合、ガス中に混入した硫黄化合物が、原料改質や一酸化炭素除去などの燃料ガス製造工程で用いられる触媒に対して触媒毒として作用してしまう。また、燃料電池の陰極の電極触媒には、貴金属又は銅などの金属を還元状態で使用されることが多く、このような状態の金属触媒に対しても硫黄化合物は触媒毒として作用する。燃料ガス製造工程における触媒活性や電池自体の触媒活性が低下すると、電池としての効率が低下してしまう。そのため、燃料電池を長期間安定して使用するには、触媒が本来の性能を発揮できるよう原料中に含まれる硫黄分を十分に除去することが必要不可欠である。
原料中の硫黄分を除去する脱硫工程は、改質工程での触媒を十分機能させるために、通常、燃料ガス製造工程の前に設けられる。従来、脱硫工程にて処理された原料中の硫黄分濃度は、硫黄原子として0.1質量ppm以下あるいは0.05質量ppm(50質量ppb)以下とされてきたが、近年、脱硫の要求性能は厳しくなっており、0.02質量ppm(20質量ppb)以下とすることが求められるようになっている。
燃料電池用燃料ガスの原料を脱硫する方法としては、従来、水素化脱硫触媒を用い、難脱硫性の有機硫黄化合物を水素化脱硫により吸着除去し易い硫化水素に変換しながら、適当な吸着剤と組み合わせて処理する方法が適していると考えられてきた。ところが、一般的な水素化脱硫触媒は高い水素圧力を必要とするのに対し、燃料電池システムにおける圧力は、大気圧、或いは高くても1MPa程度の圧力とすることを目指して技術開発が行われている。そのため、従来の水素化脱硫触媒を用いた脱硫工程を採用できないのが現状である。
燃料電池システムの分野では、低圧条件下で原料から硫黄分を低減する脱硫技術について種々の検討がなされている。例えば、下記特許文献1及び2には、ニッケル系脱硫剤で脱硫した灯油を水蒸気改質して燃料電池用水素を製造する方法が開示されている。また、燃料ガスの原料を脱硫するための脱硫剤として、銅−亜鉛系の脱硫剤(例えば、下記特許文献3及び4を参照)、ニッケル−亜鉛系の脱硫剤(例えば、下記特許文献5を参照)などが提案されている。更に、下記特許文献6には、ニッケル、モリブデン及び無機酸化物を含有する炭化水素用脱硫剤が開示されている。また、下記特許文献7には、活性炭及びゼオライトを含まず、銅、銀、亜鉛、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの混合物を含む触媒を用いて、炭化水素ガスからイオウ化合物を除去する方法が開示されている。
特開平1−188404号公報 特開平1−188405号公報 特開平2−302302号公報 特開平2−302303号公報 特開2001−62297号公報 特開2007−254275号公報 特表2006−511678号公報
近年、燃料電池の市場の拡大により、燃料電池用燃料ガスの原料を脱硫できる脱硫剤の需要が高まっている。
そこで、本発明は、炭化水素中の硫黄分を十分除去できる脱硫性能を有する脱硫剤を効率よく製造できる炭化水素用脱硫剤の製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、係る脱硫剤を用いた炭化水素の脱硫方法、燃料ガスの製造方法及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究した結果、共沈法によって特定の沈殿物を生成し、これを焼成して得られた脱硫剤が、水素非共存下であっても、炭化水素に含まれた硫黄分、特には灯油に含まれた硫黄分を十分除去でき、優れた硫黄吸着能力を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、共沈法により、多孔性無機酸化物及び/又はその前駆体と、ニッケル化合物と、亜鉛化合物と、白金化合物と、が含まれる溶液若しくは懸濁液から沈殿物(沈殿して得られる固形物(ケーキ))を生成し、該沈殿物を焼成して、多孔性無機酸化物と、ニッケルと、亜鉛と、白金とを含有する焼成物を得る炭化水素用脱硫剤の製造方法であって、焼成物が、ニッケルをニッケル単体換算で45〜75質量%含み、亜鉛を亜鉛単体換算で3〜40質量%含み、多孔性無機酸化物を10〜30質量%含み、かつ、白金を白金単体換算で0.05〜5質量%含むものであることを特徴とする炭化水素用脱硫剤の製造方法を提供する。
本発明の製造方法によって得られる炭化水素用脱硫剤は、水素非共存下であっても、炭化水素に含まれた硫黄分、特には灯油、液化石油ガス(LPG)或いは都市ガスに含まれた硫黄分を、十分低濃度になるまで除去することができる。また、本発明の炭化水素用脱硫剤の製造方法によれば、白金を含有する脱硫剤を含浸などの担持工程なしに得ることができるので、上記の効果を有する脱硫性能を有する脱硫剤を効率よく製造できる。
本発明に係る炭化水素用脱硫剤を用いることにより、硫黄分を含む炭化水素、特には灯油、液化石油ガス(LPG)或いは都市ガスを燃料ガスの原料とする燃料電池システムにおいて触媒の性能低下を十分抑制することができ、燃料電池システムの長期安定化を図ることができる。
本発明の製造方法においては、上記白金化合物として水酸化白金酸を用いることができる。水酸化白金酸は、塩基性水溶液には溶解し、中性水溶液には不溶な性質を有することから、水酸化白金酸を用いることにより、酸性の溶液と塩基性の溶液との中和反応により複数の金属化合物を同時に沈殿させる共沈法において、白金の共沈が可能となる。
本発明の製造方法において、上記焼成物が、ニッケルをニッケル単体換算で45〜75質量%含み、亜鉛を亜鉛単体換算で3〜40質量%含み、多孔性無機酸化物を10〜30質量%含むものであることが好ましい。上記焼成物における上記成分の含有量を上記範囲内とすることにより、脱硫剤の脱硫性能を更に向上させることができる。
また、上記焼成物が、白金を白金単体換算で0.05〜5質量%含むものであることが好ましい。上記焼成物における酸化白金の含有量を上記範囲内とすることにより、脱硫剤の脱硫性能を更に向上させることができる。
本発明はまた、硫黄分が含まれる炭化水素を、上記本発明の炭化水素用脱硫剤の製造方法により得られる炭化水素用脱硫剤に接触させることを特徴とする炭化水素の脱硫方法を提供する。
本発明の炭化水素の脱硫方法によれば、本発明に係る炭化水素用脱硫剤を用いることにより、水素非共存下であっても、炭化水素に含まれた硫黄分を十分低濃度になるまで除去することができる。
上記炭化水素が灯油、液化石油ガス(LPG)及び都市ガスのうちのいずれかである場合には、灯油、液化石油ガス(LPG)又は都市ガスに含まれた硫黄分を十分低濃度になるまで除去することができる。
本発明はまた、硫黄分が含まれる炭化水素を、上記本発明の炭化水素用脱硫剤の製造方法により得られる炭化水素用脱硫剤に接触させる脱硫工程と、該脱硫工程を経た炭化水素を、水素を含む燃料ガスに改質する改質工程と、を備えることを特徴とする燃料ガスの製造方法を提供する。本発明の燃料ガスの製造方法によれば、上記脱硫工程を備えることによって、燃料ガスの原料である炭化水素から硫黄分を十分除去することができるので、改質工程での硫黄分による悪影響を十分低減することができ、安定して燃料ガスを製造することができる。また、本発明の燃料ガスの製造方法により得られる燃料ガスは、硫黄分が十分少ないので、燃料電池の燃料として用いた場合、陰極の電極触媒の性能を低下させにくい。
上記炭化水素が灯油、液化石油ガス(LPG)及び都市ガスのうちのいずれかである場合には、灯油、液化石油ガス(LPG)又は都市ガスに含まれた硫黄分を十分低濃度になるまで除去することができ、灯油、液化石油ガス(LPG)又は都市ガスから水素を含む燃料ガスを安定して製造することができる。
本発明はまた、硫黄分が含まれる炭化水素を、上記本発明の炭化水素用脱硫剤の製造方法により得られる炭化水素用脱硫剤に接触させる脱硫手段と、該脱硫手段を経た前記炭化水素を、水素を含む燃料ガスに改質する改質手段と、を備えることを特徴とする燃料電池システムを提供する。本発明の燃料電池システムは、上記脱硫手段を備えることによって、燃料ガスの原料とする炭化水素から硫黄分を十分除去することができるので、改質手段に対して硫黄分による悪影響を十分低減することができ、長期間安定して発電を行うことができる。
本発明の燃料電池システムにおいて、上記炭化水素が灯油、液化石油ガス(LPG)及び都市ガスのうちのいずれかであることが好ましい。燃料ガスの原料として灯油、液化石油ガス(LPG)又は都市ガスを供給することにより、長期間安定して発電を行うことができる。
本発明の炭化水素用脱硫剤の製造方法によれば、炭化水素中の硫黄分を十分除去できる脱硫性能を有する脱硫剤を効率よく製造することができる。本発明の炭化水素用脱硫剤の製造方法によって得られる脱硫剤は、水素非共存下であっても、炭化水素中の硫黄分、特には灯油、液化石油ガス(LPG)又は都市ガス中の硫黄分を低濃度(20質量ppb程度)になるまで除去できる脱硫性能を有することができる。本発明はまた、係る脱硫剤を用いた炭化水素の脱硫方法、燃料ガスの製造方法及び燃料電池システムを提供することができる。本発明の燃料電池システムは、触媒の性能低下が生じにくく、長期間安定して発電を行うことができる。
本発明の燃料電池システムの一実施形態を示す概略図である。
本発明の炭化水素用脱硫剤の製造方法は、共沈法により、多孔性無機酸化物及び/又はその前駆体と、ニッケル化合物と、亜鉛化合物と、白金化合物と、が含まれる溶液若しくは懸濁液から沈殿物を生成し、該沈殿物を焼成して、多孔性無機酸化物と、ニッケルと、亜鉛と、白金とを含有する焼成物を得ることを特徴とする。
本発明の炭化水素用脱硫剤の製造方法は、白金を共沈によって他の金属とともに脱硫剤に組み入れるため、多孔性無機酸化物に各成分を滴下する方法や、多孔性無機酸化物存在下でニッケル成分及び亜鉛成分を共沈させ、得られた共沈物に白金溶液を滴下する方法などの方法に比べて、効率よく脱硫剤を製造することができる。
共沈法により上記沈殿物を生成する方法としては、酸性の水溶液と塩基性の水溶液とを調製し、これらを中和反応させることで上記金属成分を同時に沈殿させる方法が挙げられる。酸性水溶液と塩基性水溶液の具体例としては、下記の組み合わせが挙げられる。
1)ニッケル化合物及び亜鉛化合物が溶解した酸性水溶液に多孔性無機酸化物若しくはその前駆体が分散した酸性水溶液A1と、白金化合物が溶解した塩基性水溶液B1。
2)ニッケル化合物及び亜鉛化合物が溶解した酸性水溶液A2と、白金化合物が溶解した塩基性水溶液に多孔性無機酸化物若しくはその前駆体が分散した塩基性水溶液B2。
本実施形態の場合、例えば、白金化合物として、塩基性の水溶液(例えば、pH7.5以上)には溶解し、中性〜酸性域(例えば、pH1.0〜7.0)では不溶となる(沈殿する)水酸化白金(HPt(OH))を用いることにより、ニッケル成分及び亜鉛成分が中和反応により沈殿していくのと同時に白金成分を沈殿させることができる。これにより、白金の担持工程を省くことができる。
また、本実施形態の場合、ニッケル化合物としては、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩、水酸化物などを用いることができ、具体的には、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、水酸化ニッケルなどを用いることができる。また、亜鉛化合物としては、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩、水酸化物などを用いることができ、具体的には、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、水酸化亜鉛などを用いることができる。また、白金化合物としては、水酸化白金酸を用いることができる。
多孔性無機酸化物及びその前駆体としては、例えば、シリカ、アルミナ、ボリア、マグネシア、ジルコニア、チタニア及び酸化マンガン、並びに、これらの成分からなる複合酸化物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。本発明においては、脱硫剤上に炭素状物質が沈着することを抑制して耐久性を向上させる、すなわち、十分な脱硫性能を維持できる期間をより長くする観点から、シリカが好ましい。シリカとしては、シリカ粉末、シリカゾル、シリカゲルが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。シリカの平均粒径は、脱流性能や表面積のバランスの観点から、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜25nmである。
本実施形態においては、生成した沈殿物をろ過し、イオン交換水などで洗浄することが好ましい。洗浄が不十分であると、脱硫剤上に塩素、硝酸痕、硫酸痕、酢酸痕、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが残り、脱硫剤の性能に悪影響を与える可能性がある。特にナトリウムイオンは脱硫剤性能に悪影響を与える傾向にあるので、乾燥させた沈殿物における残存ナトリウム量が0.1質量%以下となるまで、好ましくは0.05質量%以下となるまで洗浄を行うのが望ましい。
洗浄後の沈殿物は粉砕し、次いで乾燥を行うことが好ましい。乾燥方法としては、例えば、空気中での加熱乾燥、減圧下での脱気乾燥、スプレードライ法等を挙げることができる。空気雰囲気下に加熱乾燥する場合、100〜150℃で、5〜15時間乾燥を行うことが好ましい。
焼成の条件としては、空気雰囲気下、200〜600℃、好ましくは250〜450℃で、0.1〜10時間、好ましくは1〜5時間加熱することが望ましい。なお、共沈操作後の沈殿物の洗浄が不十分であった場合、焼成後に再び洗浄を行ってもよい。この場合も、イオン交換水あるいはアンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの塩基の水溶液を使用することができる。
こうして、ニッケル、亜鉛、白金及び多孔性無機酸化物を含む本発明に係る焼成物(以下、「共沈焼成物」という場合もある)が得られる。ニッケル、亜鉛及び白金はそれぞれ一部或いは全部が、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化白金として含有されていてもよい。
上記で得られた焼成物は、前処理として水素等による還元処理を施すことが好ましい。本実施形態においては、焼成物に、水素流通下、150〜500℃、好ましくは250〜400℃の温度で、0.1〜15時間、好ましくは2〜10時間の還元処理を施すことが好ましい。
なお、本明細書において炭化水素用脱硫剤とは、炭化水素中に含まれる硫黄化合物などの硫黄成分を吸着する機能、硫黄化合物をより吸着され易い硫黄化合物へと変換する触媒機能、及び変換された硫黄化合物を吸着する機能、のうちの少なくとも1種を有するものをいう。
本発明に係る炭化水素用脱硫剤の形状としては、粉体として得られた焼成物そのままの状態であってもよく、焼成物を打錠成形し、成形体としたものでもよく、また、その成形体を粉砕後、適当な範囲に整粒したものでもよく、さらには、押出成形体としてもよい。成形に際しては、適当なバインダーを加えることができる。バインダーとしては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、カーボンブラック、及びこれらの混合物等が挙げられる。バインダーを添加する場合、その添加量の下限は、バインダーとしての機能を発揮できるものであればよく、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。また、脱流性能と表面積のバランスの観点から、バインダーの添加量は、脱硫剤全重量基準で30質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることがより好ましい。更に、脱硫剤には、有機物からなる成形助剤を配合することができる。
共沈焼成物におけるニッケルの含有量は、ニッケル単体換算で、焼成物全量を基準として45〜75質量%とすることが好ましく、50〜70質量%とすることがより好ましい。ニッケルの含有量が45質量%未満であると、ニッケル成分の量が不足して脱硫性能が低下する傾向にあり、一方、75質量%を超えると、相対的に多孔性無機酸化物の含有量が小さくなることで脱硫剤の比表面積が小さくなり、ニッケル成分等の分散が低下することから、脱硫性能が低下する傾向にある。
共沈焼成物における亜鉛の含有量は、亜鉛単体換算で、焼成物全量を基準として3〜40質量%とすることが好ましく、5〜30質量%とすることがより好ましい。亜鉛の含有量が3質量%未満であると、灯油の脱硫において、灯油中の二環芳香族の生成を抑制して脱硫剤上での炭素状物質の生成を抑制するという亜鉛成分による効果が十分に発現されなくなり、炭素状物質の沈着による脱硫性能の経時的低下が進行し易くなる傾向にある。一方、40質量%を超えると、相対的にニッケル成分及び多孔性無機酸化物の含有量が少なくなることから、やはり脱硫性能が低下する傾向となる。
共沈焼成物における多孔性無機酸化物の含有量は、焼成物全量を基準として10〜30質量%とすることが好ましく、15〜30質量%とすることがより好ましい。多孔性無機酸化物の含有量が10質量%未満であると、脱硫剤の比表面積が減少することで脱硫性能が低下する傾向にあり、一方、30質量%を超えると、相対的にニッケル成分及び亜鉛成分等の含有量が少なくなり、脱硫性能が低下する傾向にある。
共沈焼成物における白金の含有量は、白金単体換算で、焼成物全量を基準として0.05〜5質量%とすることが好ましく、0.10〜3質量%とすることがより好ましい。白金の含有量が0.10質量%未満であると、水素化脱硫性能が低下する傾向にあり、一方、3質量%を超えると、白金成分の分散状態が低下し、やはり水素化脱硫性能が低下する傾向にある。
共沈焼成物におけるニッケル、亜鉛、多孔性無機酸化物及び白金の含有量は、上述した酸性水溶液及び塩基性水溶液を調製する際に多孔性無機酸化物及び/又はその前駆体、ニッケル化合物、亜鉛化合物、及び白金化合物の配合量を適宜調整することや、酸性水溶液及び塩基性水溶液の混合割合を適宜調整することによって、上記の好適な範囲とすることができる。
次に、上述の本発明に係る炭化水素用脱硫剤を用いた炭化水素の脱硫方法について説明する。
本発明の炭化水素の脱硫方法は、硫黄分が含まれる炭化水素を、上記の方法によって得られる本発明に係る炭化水素用脱硫剤に接触させることを特徴とする。これにより、水素非共存下であっても、硫黄分を十分低濃度になるまで除去することができる。
脱硫を行う炭化水素としては、天然ガス(都市ガス)、液化石油ガス(LPG)、ナフサ、灯油等が挙げられる。これらの中でも、入手が容易である点で灯油、液化石油ガス(LPG)、都市ガス等が好ましい。灯油、液化石油ガス(LPG)、都市ガスは、燃料電池以外の一般用途に使用される灯油、液化石油ガス(LPG)、都市ガスを使用することができる。
本実施形態に係る灯油、液化石油ガス(LPG)又は都市ガスの脱硫方法において原料として用いられる灯油、液化石油ガス(LPG)、都市ガスは、通常、硫黄分を含有しており、その原料灯油、原料液化石油ガス(LPG)及び原料都市ガスに含まれる硫黄分は0.1〜30質量ppmであることが好ましく、1〜25質量ppmであることがより好ましく、5〜20質量ppmであることが更により好ましい。灯油、液化石油ガス(LPG)及び都市ガスが含有する硫黄分は少ないほど好ましいが、通常の石油精製工程において硫黄分を0.1質量ppm未満まで脱硫することは、設備コスト及び運転コストが大きくなり好ましくない。一方、硫黄分が30質量ppmを超える場合には、本発明に係る炭化水素用脱硫剤が脱硫性能を維持できる期間が短くなってしまうことから好ましくない。
本明細書において硫黄分とは、炭化水素油中に含まれる全硫黄化合物の濃度を硫黄原子換算にした硫黄濃度(質量ppmあるいは質量ppb)を意味する。
以下、本発明に係る炭化水素油の脱硫方法について、灯油の脱硫方法を一例として挙げて説明する。本実施形態に係る灯油の脱硫方法においては、灯油を液相にて本発明に係る炭化水素用脱硫剤に接触されることが好ましい。この場合、炭化水素用脱硫剤上に炭素状物質が沈着することを抑制でき、脱硫性能を長時間維持することができる。灯油を気相若しくは気液混相にて本発明に係る炭化水素用脱硫剤に接触させると、該脱硫剤上への炭素状物質の沈着により短時間にて脱硫性能が低下するため好ましくない。
本実施形態に係る灯油の脱硫方法における圧力条件は、燃料電池システムの経済性、安全性等も考慮し、常圧〜0.9MPaの範囲の低圧が好ましく、常圧〜0.7MPaがより好ましい。反応温度としては、硫黄分濃度を低下させる温度であれば、特に限定されるものではないが、燃料電池システムの機器スタート時からの立ち上がりと定常時における効率とを考慮して設定することが好ましく、例えば、0℃〜400℃が好ましく、0℃〜300℃がより好ましく、100℃〜260℃が更により好ましい。
上記の圧力及び温度条件を選択することにより、灯油を液相状態に保つことができる。この場合、液時間空間速度(LHSV)は高すぎると脱硫効率が低下し、一方低すぎると装置が大きくなるため、適した範囲にLHSVを設定することが好ましい。LHSVとしては、0.01〜15h−1の範囲が好ましく、0.05〜5h−1の範囲がより好ましく、0.1〜3h−1の範囲がさらにより好ましい。
本発明の炭化水素の脱硫方法においては、水素非共存条件下でも十分に脱硫することができるが、少量の水素を導入してもよい。そのときの水素の流量は、例えば、灯油1gあたり0.05〜1.0NLとすることができる。
本発明の炭化水素の脱硫方法が実施される脱硫装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、流通式固定床方式を用いることができる。脱硫装置の形状としては、円筒状、平板状などが挙げられるが、プロセスの目的に応じて公知の種々の形状を適宜採用することができる。
本発明の炭化水素の脱硫方法によれば、水素非共存条件下で、上記したような含有量で硫黄分を含有する灯油の硫黄分濃度を20質量ppb以下にまで低減することができる。なお、硫黄分濃度は、紫外蛍光法により測定される。
本発明に係る炭化水素用脱硫剤はまた、燃料電池用の燃料ガスを製造するために利用できる。すなわち、本発明は、硫黄分が含まれる炭化水素を本発明に係る炭化水素用脱硫剤に接触させる脱硫工程と、脱硫工程を経た炭化水素を、水素を含む燃料ガスに改質する改質工程とを備える燃料ガスの製造方法を提供する。このガスは燃料電池用燃料ガスとして好適に使用される。
脱硫工程は、上述した本発明の炭化水素の脱硫方法と同様に行うことができる。
改質工程としては、特に限定されるものではないが、原料炭化水素を水蒸気とともに触媒上で高温処理して改質する水蒸気改質や、酸素含有気体との部分酸化や、水蒸気と酸素含有気体が共存する系において自己熱回収型の改質反応を行うオートサーマルリフォーミングなどが挙げられる。
水蒸気改質の場合に用いられる触媒としては、ニッケル系、ルテニウム系、ロジウム系などの触媒が挙げられる。
改質工程の反応条件は限定されるものではないが、反応温度は200〜1000℃が好ましく、500〜850℃がより好ましい。反応圧力は、常圧〜1MPaが好ましく、常圧〜0.2MPaがより好ましい。LHSVは、0.01〜40h−1が好ましく、0.1〜10h−1がより好ましい。
改質工程により得られる一酸化炭素と水素を含む混合ガスは、固体酸化物形燃料電池のような場合であればそのまま燃料電池用の燃料として用いることができる。また、リン酸形燃料電池や固体高分子形燃料電池のように一酸化炭素の除去が必要な燃料電池に対しては、改質工程で得られた混合ガスを更にシフト工程及び一酸化炭素除去工程で処理することが好ましい。これにより、水素に富む燃料ガスを製造することができ、このガスは上記の燃料電池の燃料ガスとして好適に使用される。
シフト工程は、一酸化炭素と水とを反応させ水素と二酸化炭素に転換する工程であり、例えば、鉄−クロムの混合酸化物、亜鉛−亜鉛の混合酸化物、白金、ルテニウム、イリジウムなどを含有する触媒を用い、一酸化炭素含有量を2容量%以下、好ましくは1容量%以下、さらに好ましくは0.5容量%以下に低減させる。シフト工程は、改質ガスの組成等によって反応条件を適宜設定され、例えば、反応温度は120〜500℃が好ましく、150〜450℃がより好ましい。圧力は常圧〜1MPaが好ましく、常圧〜0.2MPaがより好ましい。ガス空間速度(GHSV)は100〜50000h−1が好ましく、300〜10000h−1がより好ましい。なお、シフト工程は、高温シフト反応器と、低温シフト反応器の2つの反応器を直列に設けてもよい。高温シフト反応器には鉄−クロム系触媒、低温シフト反応器には銅−亜鉛系触媒などが好ましく用いられる。通常、リン酸形燃料電池ではこの状態の混合ガスを燃料として用いることができる。
固体高分子形燃料電池では、一酸化炭素濃度をさらに低減させることが必要であるので、一酸化炭素を更に除去する一酸化炭素除去工程を設けることが望ましい。この工程としては、例えば、吸着分離法、水素分離膜法、一酸化炭素選択酸化工程などの各種の方法を用いることができるが、装置のコンパクト化、経済性の面から、一酸化炭素選択酸化工程を用いるのが特に好ましい。この工程では、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、亜鉛、銀、金などを含有する触媒を用い、残存する一酸化炭素モル数に対し0.5〜10倍モル、好ましくは0.7〜5倍モル、さらに好ましくは1〜3倍モルの酸素を添加し、一酸化炭素を選択的に二酸化炭素に転換することにより一酸化炭素濃度を低減させる。この方法の反応条件としては、反応温度は80〜350℃が好ましく、100〜300℃がより好ましい。圧力は常圧〜1MPaが好ましく、常圧〜0.2MPaがより好ましい。GHSVは1000〜50000h−1が好ましく、3000〜30000h−1がより好ましい。この場合、一酸化炭素の酸化と同時に共存する水素と反応させメタンを生成させることで一酸化炭素濃度の低減を図ることもできる。
次に、本発明の燃料電池システムについて説明する。
図1は、本発明の燃料電池システムの一実施形態を示す概略図である。図1に示される燃料電池システムにおいては、燃料タンク3内の原燃料(例えば、灯油)が燃料ポンプ4を経て脱硫器5に流入する。この時、必要であれば改質器7の下流、シフト反応器9の下流、及び一酸化炭素選択酸化反応器10の下流、及びアノードオフガスの少なくともいずれかからの水素含有ガスを添加できる。脱硫器5には、本発明に係る炭化水素用脱硫剤が充填されており、ここで上述した本発明の炭化水素の脱硫方法が実施される。脱硫器5で脱硫された燃料は、水タンク1から水ポンプ2を経た水と混合した後、気化器6に導入され、改質器7に送り込まれる。
改質器7は加温用バーナー17で加温される。加温用バーナー17の燃料には主に燃料電池16のアノードオフガスを用いるが、必要に応じて燃料ポンプ4から吐出される燃料を補充することもできる。改質器7に充填する触媒としては、ニッケル系、ルテニウム系、ロジウム系などの触媒を用いることができる。
この様にして製造された水素と一酸化炭素を含有するガスは、シフト反応器9、一酸化炭素選択酸化反応器10を順次通過させることで一酸化炭素濃度は燃料電池の特性に影響を及ぼさない程度まで低減される。
固体高分子形燃料電池16はアノード11、カソード12、固体高分子電解質13からなり、アノード側には上記の方法で得られた高純度の水素を含有する燃料ガスが、カソード側には空気ブロアー8から送られる空気が、それぞれ必要であれば適当な加湿処理を行なった後(加湿装置は図示していない)導入される。この時、アノードでは水素ガスがプロトンとなり電子を放出する反応が進行し、カソードでは酸素ガスが電子とプロトンを得て水となる反応が進行する。これらの反応を促進するため、それぞれ、アノードには白金黒、活性炭担持のPt触媒あるいはPt−Ru合金触媒などが、カソードには白金黒、活性炭担持のPt触媒などが用いられる。通常アノード、カソードの両触媒とも、必要に応じてポリテトラフロロエチレン、低分子の高分子電解質膜素材、活性炭などと共に多孔質触媒層に成形される。
次いでNafion(デュポン社製)、Gore(ゴア社製)、Flemion(旭硝子社製)、Aciplex(旭化成社製)等の商品名で知られる高分子電解質膜の両側に該多孔質触媒層を積層しMEA(Membrane Electrode Assembly)が形成される。さらにMEAを金属材料、グラファイト、カーボンコンポジットなどからなるガス供給機能、集電機能、特にカソードにおいては重要な排水機能等を持つセパレータで挟み込むことで燃料電池が組み立てられる。電気負荷14はアノード、カソードと電気的に連結される。アノードオフガスは加温用バーナー17において消費される。カソードオフガスは排気口15から排出される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<炭化水素用脱硫剤の調製>
(脱硫剤E−1)
セパラブルフラスコに炭酸ナトリウム19.6gを量り取り、イオン交換水300gを加えて溶解した。この溶液に、水酸化白金酸0.07gを溶解した。次に、得られた溶液を、240rpmで攪拌しながら、フラスコ内の液温度が80℃になるまで加熱して攪拌溶液aを得た。
他方で、ビーカーに硫酸ニッケル(II)六水和物43.67g、及び硫酸亜鉛七水和物5.33gを量り取り、イオン交換水150gを加えてスターラーで攪拌しながらこれらを完全に溶解させた。次に、得られた溶液にシリカゾル24.07gを加え、均一な溶液になるまで攪拌を続けて滴下溶液bを得た。
240rpmで攪拌され、液温度が80℃に維持されているセパラブルフラスコ内の攪拌溶液aに、滴下溶液bをローラーポンプにより約1時間かけて滴下した。なお、滴下溶液bの攪拌は、滴下中も続けた。
滴下終了後、セパラブルフラスコ内の反応懸濁液を、温度80℃に保持し、240rpmで2時間攪拌を継続し、熟成を行った。
熟成後の反応懸濁液(スラリー)をブフナロートで濾過し、イオン交換水6L(1L×6回)で洗浄した。得られたケーキを120℃で12時間以上乾燥させ、乳鉢で粉砕し、これを250℃で3時間焼成した。なお、焼成炉の昇温プログラムは、室温から10分間かけて150℃まで昇温→150℃で15分間維持→150℃から20分間かけて250℃まで昇温→250℃で3時間焼成とした。
焼成後に得られた黒色粉末を、200kg/cmでプレスし、打錠成型することにより脱硫剤を得た。
得られた脱硫剤におけるニッケル、亜鉛、珪素、白金の含有量(金属単体換算での質量%)を表1に示す。
Figure 0005462686

(脱硫剤E−2)
セパラブルフラスコに硫酸ニッケル(II)六水和物43.67g、及び硫酸亜鉛七水和物5.33gを量り取り、イオン交換水150gを加えてスターラーで攪拌しながらこれらを完全に溶解させた。次に、得られた溶液を、240rpmで攪拌しながら、フラスコ内の液温度が80℃になるまで加熱して攪拌溶液aを得た。
他方で、ビーカーに炭酸ナトリウム19.6gを量り取り、イオン交換水300gを加えて溶解した。この溶液に、水酸化白金酸0.07gを溶解した。その後シリカゾル24.07gを加え、均一な溶液になるまで攪拌を続けて滴下溶液bを得た。
240rpmで攪拌され、液温度が80℃に維持されているセパラブルフラスコ内の攪拌溶液aに、滴下溶液bをローラーポンプにより約1時間かけて滴下した。なお、滴下溶液bの攪拌は、滴下中も続けた。
滴下終了後、セパラブルフラスコ内の反応懸濁液を、温度80℃に保持し、240rpmで2時間攪拌を継続し、熟成を行った。
熟成後の反応懸濁液(スラリー)をブフナロートで濾過し、イオン交換水6L(1L×6回)で洗浄した。得られたケーキを120℃で12時間以上乾燥させ、乳鉢で粉砕し、これを250℃で3時間焼成した。なお、焼成炉の昇温プログラムは、室温から10分間かけて150℃まで昇温→150℃で15分間維持→150℃から20分間かけて250℃まで昇温→250℃で3時間焼成とした。
焼成後に得られた黒色粉末を、200kg/cmでプレスし、打錠成型することにより脱硫剤を得た。
(脱硫剤E−3)
セパラブルフラスコに炭酸ナトリウム19.6gを量り取り、イオン交換水300gを加えて溶解した。この溶液に、水酸化白金酸0.07gを溶解した。次に、得られた溶液を、240rpmで攪拌しながら、フラスコ内の液温度が80℃になるまで加熱し、その後シリカゾル12.30gを加え、均一な溶液になるまで攪拌を続けて攪拌溶液aを得た。
他方で、ビーカーに硫酸ニッケル(II)六水和物43.67g、及び硫酸亜鉛七水和物5.33gを量り取り、イオン交換水150gを加えてスターラーで攪拌しながらこれらを完全に溶解させて、滴下溶液bを得た。
240rpmで攪拌され、液温度が80℃に維持されているセパラブルフラスコ内の攪拌溶液aに、滴下溶液bをローラーポンプにより約1時間かけて滴下した。
滴下終了後、セパラブルフラスコ内の反応懸濁液を、温度80℃に保持し、240rpmで2時間攪拌を継続し、熟成を行った。
熟成後の反応懸濁液(スラリー)をブフナロートで濾過し、イオン交換水6L(1L×6回)で洗浄した。得られたケーキを120℃で12時間以上乾燥させ、乳鉢で粉砕し、これを250℃で3時間焼成した。なお、焼成炉の昇温プログラムは、室温から10分間かけて150℃まで昇温→150℃で15分間維持→150℃から20分間かけて250℃まで昇温→250℃で3時間焼成とした。
焼成後に得られた黒色粉末を、200kg/cmでプレスし、打錠成型することにより脱硫剤を得た。
(脱硫剤E−4)
セパラブルフラスコに硫酸ニッケル(II)六水和物43.67g、及び硫酸亜鉛七水和物5.33gを量り取り、イオン交換水150gを加えてスターラーで攪拌しながらこれらを完全に溶解させた。次に、得られた溶液を、240rpmで攪拌しながら、フラスコ内の液温度が80℃になるまで加熱した。そこへシリカゾル24.07gを加え、均一な溶液になるまで攪拌を続けて攪拌溶液aを得た。
他方で、ビーカーに炭酸ナトリウム19.6gを量り取り、イオン交換水300gを加えて溶解した。この溶液に、水酸化白金酸0.07gを溶解して滴下溶液bを得た。
次に、240rpmで攪拌され、液温度が80℃に維持されているセパラブルフラスコ内の攪拌溶液aに、滴下溶液bをローラーポンプにより約1時間かけて滴下した。
滴下終了後、セパラブルフラスコ内の反応懸濁液を、温度80℃に保持し、240rpmで2時間攪拌を継続し、熟成を行った。
熟成後の反応懸濁液(スラリー)をブフナロートで濾過し、イオン交換水6L(1L×6回)で洗浄した。得られたケーキを120℃で12時間以上乾燥させ、乳鉢で粉砕し、これを250℃で3時間焼成した。なお、焼成炉の昇温プログラムは、室温から10分間かけて150℃まで昇温→150℃で15分間維持→150℃から20分間かけて250℃まで昇温→250℃で3時間焼成とした。
焼成後に得られた黒色粉末を、200kg/cmでプレスし、打錠成型することにより脱硫剤を得た。
(脱硫剤CE−1)
セパラブルフラスコに炭酸ナトリウム23.52gを量り取り、イオン交換水300gを加えて溶解した。次に、得られた溶液を、240rpmで攪拌しながら、フラスコ内の液温度が80℃になるまで加熱し、その後シリカゾル24.07gを加え、均一な溶液になるまで攪拌を続けて攪拌溶液aを得た。
他方で、ビーカーに硫酸ニッケル(II)六水和物43.67g、及び硫酸亜鉛七水和物5.33gを量り取り、イオン交換水150gを加えてスターラーで攪拌しながらこれらを完全に溶解させて、滴下溶液bを得た。
次に、240rpmで攪拌され、液温度が80℃に維持されているセパラブルフラスコ内の攪拌溶液aに、滴下溶液bをローラーポンプにより約1時間かけて滴下した。
滴下終了後、セパラブルフラスコ内の反応懸濁液を、温度80℃に保持し、240rpmで2時間攪拌を継続し、熟成を行った。
熟成後の反応懸濁液(スラリー)をブフナロートで濾過し、イオン交換水6L(1L×6回)で洗浄した。得られたケーキを120℃で12時間以上乾燥させ、乳鉢で粉砕し、これを250℃で3時間焼成した。なお、焼成炉の昇温プログラムは、室温から10分間かけて150℃まで昇温→150℃で15分間維持→150℃から20分間かけて250℃まで昇温→250℃で3時間焼成とした。
焼成後に得られた黒色粉末を、200kg/cmでプレスし、打錠成型することにより成型体を得た。
Pt(NH(NO)0.273gを1.61gのイオン交換水に溶解させ、この溶液を成型体1.9gにポアフィル担持した。その後、120℃で12時間以上乾燥させ、これを250℃で3時間焼成した。なお、焼成炉の昇温プログラムは、室温から10分間かけて150℃まで昇温→150℃で15分間維持→150℃から20分間かけて250℃まで昇温→250℃で3時間焼成とした。
<炭化水素の脱硫>
(実施例1)
内筒底に攪拌子を仕込んだガラス内筒に、原料として硫黄濃度が400質量ppmになるようにジオクチルスルフィドで調整したノルマルドデカン50mLを入れ、更にそこへ、0.2gの触媒E−1を加えた。なお、触媒E−1は、成形した脱硫剤0.5gを直径1.27cmの流通式反応管に充填し、水素気流中、280℃にて5時間還元したものを用いた。
次に、上記で得られたガラス内筒を、オートクレーブ中に仕込み、常圧、温度200℃下で2時間攪拌させることで脱硫反応を行った。脱硫反応後、下記に示す方法にしたがって、脱硫剤による硫黄化合物の脱硫性能を評価した。
[脱硫性能の評価]
脱硫剤による硫黄化合物の脱硫性能)は、下記式によって算出されるS−pick upの値を求め、この値に基づいて評価した。
S−pick up(質量%)=[{原料の重量(g)×(原料中に含まれる硫黄の濃度(質量ppm)−生成物中に含まれる硫黄の濃度(質量ppm))}/10]/触媒重量(g)×100
(実施例2〜4)
脱硫剤E−1に代えて脱硫剤E−2〜4をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、脱硫反応を行い、脱硫性能を評価した。
(比較例1)
脱硫剤E−1に代えて脱硫剤CE−1を用いたこと以外は実施例1と同様にして、脱硫反応を行い、脱硫性能を評価した。
Figure 0005462686

1…水タンク、2…水ポンプ、3…燃料タンク、4…燃料ポンプ、5…脱硫器、6…気化器、7…改質器、8…空気ブロアー、9…シフト反応器、10…一酸化炭素選択酸化反応器、11…アノード、12…カソード、13…固体高分子電解質、14…電気負荷、15…排気口、16…固体高分子形燃料電池、17…加温用バーナー。

Claims (8)

  1. 共沈法により、多孔性無機酸化物及び/又はその前駆体と、ニッケル化合物と、亜鉛化合物と、白金化合物と、が含まれる溶液若しくは懸濁液から沈殿物を生成し、該沈殿物を焼成して、多孔性無機酸化物と、ニッケルと、亜鉛と、白金とを含有する焼成物を得る炭化水素用脱硫剤の製造方法であって、
    前記焼成物が、ニッケルをニッケル単体換算で45〜75質量%含み、亜鉛を亜鉛単体換算で3〜40質量%含み、多孔性無機酸化物を10〜30質量%含み、かつ、白金を白金単体換算で0.05〜5質量%含むものであることを特徴とする炭化水素用脱硫剤の製造方法。
  2. 前記白金化合物が水酸化白金酸であることを特徴とする、請求項1に記載の炭化水素用脱硫剤の製造方法。
  3. 硫黄分が含まれる炭化水素を、請求項1又は2に記載の炭化水素用脱硫剤の製造方法により得られる炭化水素用脱硫剤に接触させることを特徴とする炭化水素の脱硫方法。
  4. 前記炭化水素が、灯油、液化石油ガス(LPG)及び都市ガスのうちのいずれかであることを特徴とする請求項に記載の炭化水素の脱硫方法。
  5. 硫黄分が含まれる炭化水素を、請求項1又は2に記載の炭化水素用脱硫剤の製造方法により得られる炭化水素用脱硫剤に接触させる脱硫工程と、該脱硫工程を経た炭化水素を、水素を含む燃料ガスに改質する改質工程と、を備えることを特徴とする燃料ガスの製造方法。
  6. 前記炭化水素が、灯油、液化石油ガス(LPG)及び都市ガスのうちのいずれかであることを特徴とする請求項に記載の燃料ガスの製造方法。
  7. 硫黄分が含まれる炭化水素を、請求項1又は2に記載の炭化水素用脱硫剤の製造方法により得られる炭化水素用脱硫剤に接触させる脱硫手段と、該脱硫手段を経た前記炭化水素を、水素を含む燃料ガスに改質する改質手段と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  8. 前記炭化水素が、灯油、液化石油ガス(LPG)及び都市ガスのうちのいずれかであることを特徴とする請求項に記載の燃料電池システム。
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