JP5117014B2 - 灯油用脱硫剤、脱硫方法およびそれを用いた燃料電池システム - Google Patents
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Description
一般的に燃料電池用の燃料ガスとしては水素を主成分とするガスが用いられるが、その原料には天然ガス、LPG、ナフサ、灯油等の炭化水素、あるいはメタノール、エタノール等のアルコール、若しくはジメチルエーテル等のエーテルなどが用いられる。これら炭素と水素を含む原料を水蒸気とともに触媒上で高温処理して改質したり、酸素含有気体で部分酸化したり、また水蒸気と酸素含有気体が共存する系において自己熱回収型の改質反応を行うことにより得られる水素を、基本的には燃料電池用の燃料水素としている。
このため原料を改質して得られた改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気と反応させ、水素と二酸化炭素に転化し、さらに微量残存した一酸化炭素を選択酸化で除去する方法が採られる。
最終的に一酸化炭素が十分低い濃度になるまで除去された燃料水素は燃料電池の陰極に導入され、ここでは電極触媒上でプロトンと電子に変換される。生成したプロトンは電解質中を陽極側へ移動し、外部回路を通ってきた電子とともに酸素と反応し、水を生成する。電子が外部回路を通ることにより電気を発生する。
従って、原料中に含まれる硫黄分を十分に除去することが水素製造工程に用いられている触媒さらには電極触媒を本来の性能で使用するために必要不可欠であると考えられる。
基本的に硫黄を除去する、いわゆる脱硫工程は水素製造工程の最初に行われる。その直後の改質工程に用いる触媒が十分機能するレベルまで硫黄濃度を低減する必要があるからである。従来はその硫黄濃度は0.1質量ppm以下あるいは0.05質量ppm(50質量ppb)以下と言われてきたが、近年、脱硫の要求性能は厳しくなっており、0.02質量ppm(20質量ppb)以下とすることが求められるようになってきた。
このため低圧系でも十分に脱硫機能を発現することができる触媒系について検討が行われている。例えば、ニッケル系脱硫剤で脱硫した灯油を水蒸気改質して水素を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。しかし、この方法では脱硫可能な温度範囲が150〜300℃であるというプロセス上の制約がある。また銅−亜鉛系の脱硫剤についての提案がなされている(例えば、特許文献3および特許文献4参照。)。しかし、この脱硫剤は比較的高温で用いても炭素析出は少ないものの、脱硫活性がニッケルに比べて低いため、天然ガス、LPG、ナフサ等の軽質炭化水素の脱硫は行えるが、灯油の脱硫に対しては不十分であるという問題がある。また脱硫作用を行わせるために活性炭あるいは薬液を用いる方法が提案されている(特許文献5参照)。しかし、この脱硫剤は起動時常温で脱硫効果があることが示されているが、原料は常温でのガス体に限定されている。ニッケル−亜鉛系も提案されているが(特許文献6参照)、水素共存、加圧下での使用が前提となっており、水素非共存条件では、ニッケル含有量が少ないため脱硫性能が低下する。特許文献7〜10には、ニッケル−銅系脱硫剤が提案されているが、さらに一層の耐久性の向上と、炭素析出の抑制効果に優れた脱硫剤が求められていた。
本発明の脱硫剤は、酸化ニッケルおよび酸化銅およびシリカから基本的に構成されるものであり、ニッケルおよび銅およびシリカを含む成分を共沈法により形成した前駆体を焼成することにより得ることができる。
シリカの含有量は、10〜30質量%であることが必要であり、好ましくは15〜25質量%である。シリカの含有量が10質量%未満では脱硫剤の表面積が小さくなるため好ましくなく、30質量%より多いと酸化ニッケル、酸化銅の割合が低くなり、性能が低下する。
使用するシリカのBET比表面積は、250m2/g以上であることが好ましく、より好ましくは300m2/g以上である。シリカのBET比表面積の上限については特に制限はないが、通常は1000m2/g以下である。
本発明の脱硫剤は脱硫後に含まれる二環芳香族の増加分も0.5ポイント以内とすることができるため、炭素析出による脱硫剤の劣化を抑制できるだけでなく、脱硫器の後に設置される改質触媒の劣化も抑制することができる。水素については共存下で使用することも可能で、その場合は脱硫剤の耐久性は向上する。
ニッケル化合物および銅化合物としては、各々の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩、水酸化物などを用いることができる。具体的には、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、水酸化ニッケル、塩化銅、硝酸銅、硫酸銅、酢酸銅、水酸化銅などが好ましい。
塩基としてはアンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの水溶液が使用できる。
沈殿生成物を洗浄した後、沈殿生成物を粉砕し、次いで乾燥を行う。乾燥後、続いて焼成を行う。沈殿生成後の洗浄が不十分であった場合、焼成後に再び洗浄を行ってもよい。この場合もイオン交換水あるいは既述の塩基の水溶液を使用することができる。
なお改質の反応条件は限定されるものではないが、反応温度は200〜1000℃が好ましく、特に500〜850℃が好ましい。反応圧力は常圧〜1MPaが好ましく、特に常圧〜0.2MPaが好ましい。LHSVは0.01〜40h−1が好ましく、特に0.1〜10h−1が好ましい。
シフト工程とは一酸化炭素と水とを反応させ水素と二酸化炭素に転換する工程であり、例えば、鉄−クロムの混合酸化物、銅−亜鉛の混合酸化物、白金、ルテニウム、イリジウムなどを含有する触媒を用い、一酸化炭素含有量を2vol%以下、好ましくは1vol%以下、さらに好ましくは0.5vol%以下に低減させる。
シフト反応は原料となる改質ガス組成等によって、必ずしも反応条件は限定されるものではないが、反応温度は120〜500℃が好ましく、特に150〜450℃が好ましい。圧力は常圧〜1MPaが好ましく、特に常圧〜0.2MPaが好ましい。GHSVは100〜50000h−1が好ましく、特に300〜10000h−1が好ましい。通常、リン酸形燃料電池ではこの状態の混合ガスを燃料として用いることができる。
燃料タンク3内の原燃料(灯油)は燃料ポンプ4を経て脱硫器5に流入する。この時、必要であれば一酸化炭素選択酸化反応器11または低温シフト反応器10からの水素含有ガスを添加できる。脱硫器5には、本発明の脱硫剤が充填されている。脱硫器5で脱硫された燃料は水タンク1から水ポンプ2を経た水と混合した後、気化器6に導入され、改質器7に送り込まれる。
この様にして製造された水素と一酸化炭素を含有するガスは高温シフト反応器9、低温シフト反応器10、一酸化炭素選択酸化反応器11を順次通過させることで一酸化炭素濃度は燃料電池の特性に影響を及ぼさない程度まで低減される。これらの反応器に用いる触媒の例としては高温シフト反応器9には鉄−クロム系触媒、低温シフト反応器10には銅−亜鉛系触媒、一酸化炭素選択酸化反応器11にはルテニウム系触媒等をあげることができる。
アノードオフガスは加温用バーナー18において消費される。カソードオフガスは排気口16から排出される。
硝酸ニッケル六水和物(市販試薬特級)136.3gと硝酸銅三水和物(市販試薬特級)7.6gをイオン交換水に溶解し、1400mlとした水溶液をA液とする。炭酸ナトリウム(市販試薬特級)58.3gをイオン交換水に溶解し、市販のシリカゾル(粒径約15nm)40g(シリカ含有量12.5g)と混合、600mlとした溶液をB液とする。A液とB液を攪拌しながら40℃にて混合し、沈殿を形成した。沈殿をイオン交換水で洗浄後、得られたケーキを粉砕し、120℃で10時間乾燥後、360℃で4時間焼成し、焼成粉50gを得た。焼成粉の組成はNiO/CuO/SiO2=70質量%/5質量%/25質量%、残存Naは0.05質量%以下であった。
得られた焼成粉を押出成型し、直径1.0mmφとした脱硫剤(BET比表面積330m2/g)6cm3を直径1.27cmの流通式反応管に充填し、水素気流中、350℃にて3時間還元した後、反応温度220℃、反応圧力0.3MPa(ゲージ圧)、LHSV=1.0h−1にて、水素非共存条件で、JIS1号灯油(硫黄濃度:9質量ppm、芳香族量一環:18.5容量%、二環:0.3容量%)の脱硫試験を行い、1500時間経過時の脱硫後の灯油の硫黄濃度、抜出脱硫剤上に蓄積した炭素量、100h経過時の脱硫後の灯油中に含まれる二環芳香族量と増加分をポイントで表1に示した。
酢酸ニッケル四水和物(市販試薬特級)91.6gと酢酸銅一水和物(市販試薬特級)25.1gをイオン交換水に溶解し、1400mlとした水溶液をA液とする。炭酸ナトリウム(市販試薬特級)57.6gをイオン交換水に溶解し、市販のシリカゾル(粒径約15nm)40g(シリカ含有量12.5g)と混合、600mlとした溶液をB液とする。A液とB液を攪拌しながら40℃にて混合し、沈殿を形成した。沈殿をイオン交換水で洗浄後、得られたケーキを粉砕し、120℃で10時間乾燥後、360℃で4時間焼成し、焼成粉50gを得た。焼成粉の組成はNiO/CuO/SiO2=55質量%/20質量%/25質量%、残存Naは0.05質量%以下であった。
得られた焼成粉を押出成型し、直径1.0mmφとした脱硫剤(BET比表面積310m2/g)6cm3を直径1.27cmの流通式反応管に充填し、水素気流中、350℃にて3時間還元した後、反応温度220℃、反応圧力0.3MPa(ゲージ圧)、LHSV=1.0h−1にて、水素非共存条件で、JIS1号灯油(硫黄濃度:9質量ppm、芳香族量一環:18.5容量%、二環:0.3容量%)の脱硫試験を行い、1500時間経過時の脱硫後の灯油の硫黄濃度、抜出脱硫剤上に蓄積した炭素量、100h経過時の脱硫後の灯油中に含まれる二環芳香族量と増加分をポイントで表1に示した。
硝酸ニッケル六水和物(市販試薬特級)146.0gと硝酸銅三水和物(市販試薬特級)22.3gをイオン交換水に溶解し、1400mlとした水溶液をA液とする。炭酸ナトリウム(市販試薬特級)69.5gをイオン交換水に溶解し、市販のシリカゾル(粒径約15nm)17g(シリカ含有量5.0g)と混合、600mlとした溶液をB液とする。A液とB液を攪拌しながら40℃にて混合し、沈殿を形成した。沈殿をイオン交換水で洗浄後、得られたケーキを粉砕し、120℃で10時間乾燥後、360℃で4時間焼成し、焼成粉50gを得た。焼成粉の組成はNiO/CuO/SiO2=75質量%/15質量%/10質量%、残存Naは0.05質量%以下であった。
得られた焼成粉にバインダーとして、シリカマグネシアを3質量%添加し、混練し、押出成型し、直径1.0mmφとした脱硫剤(BET比表面積310m2/g)6cm3を直径1.27cmの流通式反応管に充填し、水素気流中、350℃にて3時間還元した後、反応温度220℃、反応圧力0.3MPa(ゲージ圧)、LHSV=1.0h−1にて、水素非共存条件で、JIS1号灯油(硫黄濃度:9質量ppm、芳香族量一環:18.5容量%、二環:0.3容量%)の脱硫試験を行い、1500時間経過時の脱硫後の灯油の硫黄濃度、抜出脱硫剤上に蓄積した炭素量、100h経過時の脱硫後の灯油中に含まれる二環芳香族量と増加分をポイントで表1に示した。
硝酸ニッケル六水和物(市販試薬特級)77.9gと硝酸銅三水和物(市販試薬特級)60.8gをイオン交換水に溶解し、1400mlとした水溶液をA液とする。炭酸ナトリウム(市販試薬特級)60.5gをイオン交換水に溶解し、市販のシリカゾル(粒径約15nm)33g(シリカ含有量10.0g)と混合、600mlとした溶液をB液とする。A液とB液を攪拌しながら40℃にて混合し、沈殿を形成した。沈殿をイオン交換水で洗浄後、得られたケーキを粉砕し、120℃で10時間乾燥後、360℃で4時間焼成し、焼成粉50gを得た。焼成粉の組成はNiO/CuO/SiO2=40質量%/40質量%/20質量%、残存Naは0.05質量%以下であった。
得られた焼成粉を押出成型し、直径1.0mmφとした脱硫剤(BET比表面積300m2/g)6cm3を直径1.27cmの流通式反応管に充填し、水素気流中、350℃にて3時間還元した後、反応温度220℃、反応圧力0.3MPa(ゲージ圧)、LHSV=1.0h−1にて、水素非共存条件で、JIS1号灯油(硫黄濃度:9質量ppm、芳香族量一環:18.5容量%、二環:0.3容量%)の脱硫試験を行い、1200時間経過時の脱硫後の灯油の硫黄濃度、抜出脱硫剤上に蓄積した炭素量、100h経過時の脱硫後の灯油中に含まれる二環芳香族量と増加分をポイントで表1に示した。
酢酸ニッケル四水和物(市販試薬特級)116.6gと酢酸銅一水和物(市販試薬特級)6.3gをイオン交換水に溶解し、1400mlとした水溶液をA液とする。炭酸ナトリウム(市販試薬特級)58.3gをイオン交換水に溶解し、市販のγ−アルミナ(BET比表面積230m2/g)12.5gと混合、600mlとした溶液をB液とする。A液とB液を攪拌しながら40℃にて混合し、沈殿を形成した。沈殿をイオン交換水で洗浄後、得られたケーキを粉砕し、120℃で10時間乾燥後、360℃で4時間焼成し、焼成粉50gを得た。焼成粉の組成はNiO/CuO/Al2O3=70質量%/5質量%/25質量%、残存Naは0.05質量%以下であった。
得られた焼成粉を押出成型し、直径1.0mmφとした脱硫剤(BET比表面積180m2/g)6cm3を直径1.27cmの流通式反応管に充填し、水素気流中、350℃にて3時間還元した後、反応温度220℃、反応圧力0.3MPa(ゲージ圧)、LHSV=1.0h−1にて、水素非共存条件で、JIS1号灯油(硫黄濃度:9質量ppm、芳香族量一環:18.5容量%、二環:0.3容量%)の脱硫試験を行い、950時間経過時の脱硫後の灯油の硫黄濃度、抜出脱硫剤上に蓄積した炭素量、100h経過時の脱硫後の灯油中に含まれる二環芳香族量と増加分をポイントで表1に示した。
硝酸ニッケル六水和物(市販試薬特級)136.3gをイオン交換水に溶解し、1400mlとした水溶液をA液とする。炭酸ナトリウム(市販試薬特級)54.6gをイオン交換水に溶解し、市販のシリカゾル(粒径約15nm)50g(シリカ含有量15.0g)と混合、600mlとした溶液をB液とする。A液とB液を攪拌しながら40℃にて混合し、沈殿を形成した。沈殿をイオン交換水で洗浄後、得られたケーキを粉砕し、120℃で10時間乾燥後、360℃で4時間焼成し、焼成粉50gを得た。焼成粉の組成はNiO/SiO2=70質量%/30質量%、残存Naは0.05質量%以下であった。
得られた焼成粉を押出成型し、直径1.0mmφとした脱硫剤(BET比表面積300m2/g)6cm3を直径1.27cmの流通式反応管に充填し、水素気流中、350℃にて3時間還元した後、反応温度220℃、反応圧力0.3MPa(ゲージ圧)、LHSV=1.0h−1にて、水素非共存条件で、JIS1号灯油(硫黄濃度:9質量ppm、芳香族量一環:18.5容量%、二環:0.3容量%)の脱硫試験を行い、300時間経過時の脱硫後の灯油の硫黄濃度、抜出脱硫剤上に蓄積した炭素量、100h経過時の脱硫後の灯油中に含まれる二環芳香族量と増加分をポイントで表1に示した。
硝酸ニッケル六水和物(市販試薬特級)146.0gと硝酸銅三水和物(市販試薬特級)22.3gをイオン交換水に溶解し、1400mlとした水溶液をA液とする。炭酸ナトリウム(市販試薬特級)69.5gをイオン交換水に溶解し、市販のシリカゾル(粒径約15nm)17g(シリカ含有量5.0g)と混合、600mlとした溶液をB液とする。A液とB液を攪拌しながら40℃にて混合し、沈殿を形成した。沈殿をイオン交換水で洗浄後、得られたケーキを粉砕し、120℃で10時間乾燥後、360℃で4時間焼成し、焼成粉50gを得た。焼成粉の組成はNiO/CuO/SiO2=75質量%/15質量%/10質量%、残存Naは0.05質量%以下であった。
得られた焼成粉にバインダーとして、市販のγ−アルミナ粉を3質量%添加し、混練し、押出成型し、直径1.0mmφとした脱硫剤(BET比表面積320m2/g)6cm3を直径1.27cmの流通式反応管に充填し、水素気流中、350℃にて3時間還元した後、反応温度220℃、反応圧力0.3MPa(ゲージ圧)、LHSV=1.0h−1にて、水素非共存条件で、JIS1号灯油(硫黄濃度:8質量ppm、芳香族量一環:18.5容量%、二環:0.3容量%)の脱硫試験を行い、1500時間経過時の脱硫後の灯油の硫黄濃度、抜出脱硫剤上に蓄積した炭素量、100h経過時の脱硫後の灯油中に含まれる二環芳香族量と増加分をポイントで表1に示した。
硝酸ニッケル六水和物(市販試薬特級)136.3gと硝酸銅三水和物(市販試薬特級)7.6gをイオン交換水に溶解し、1400mlとした水溶液をA液とする。炭酸ナトリウム(市販試薬特級)58.3gをイオン交換水に溶解し、市販のシリカ粉(BET比表面積300m2/g)12.5gと混合、600mlとした溶液をB液とする。A液とB液を攪拌しながら40℃にて混合し、沈殿を形成した。沈殿をイオン交換水で洗浄後、得られたケーキを粉砕し、120℃で10時間乾燥後、360℃で4時間焼成し、焼成粉50gを得た。焼成粉の組成はNiO/CuO/SiO2=70質量%/5質量%/25質量%、残存Naは0.05質量%以下であった。
得られた焼成粉を押出成型し、直径1.0mmφとした脱硫剤(BET比表面積230m2/g)6cm3を直径1.27cmの流通式反応管に充填し、水素気流中、350℃にて3時間還元した後、反応温度220℃、反応圧力0.3MPa(ゲージ圧)、LHSV=1.0h−1にて、水素非共存条件で、JIS1号灯油(硫黄濃度:9質量ppm、芳香族量一環:18.5容量%、二環:0.3容量%)の脱硫試験を行い、1100時間経過時の脱硫後の灯油の硫黄濃度、抜出脱硫剤上に蓄積した炭素量、100h経過時の脱硫後の灯油中に含まれる二環芳香族量と増加分をポイントで表1に示した。
硝酸ニッケル六水和物(市販試薬特級)136.3gと硝酸銅三水和物(市販試薬特級)7.6gをイオン交換水に溶解し、1400mlとした水溶液をA液とする。炭酸ナトリウム(市販試薬特級)58.3gをイオン交換水に溶解し、市販のシリカゾル(粒径約15nm)40g(シリカ含有量12.5g)と混合、600mlとした溶液をB液とする。A液とB液を攪拌しながら40℃にて混合し、沈殿を形成した。沈殿をイオン交換水で洗浄後、得られたケーキを粉砕し、120℃で10時間乾燥後、360℃で4時間焼成し、焼成粉50gを得た。焼成粉の組成はNiO/CuO/SiO2=70質量%/5質量%/25質量%、残存Naは0.2質量%であった。
得られた焼成粉を押出成型し、直径1.0mmφとした脱硫剤(BET比表面積330m2/g)6cm3を直径1.27cmの流通式反応管に充填し、水素気流中、350℃にて3時間還元した後、反応温度220℃、反応圧力0.3MPa(ゲージ圧)、LHSV=1.0h−1にて、水素非共存条件で、JIS1号灯油(硫黄濃度:9質量ppm、芳香族量一環:18.5容量%、二環:0.3容量%)の脱硫試験を行い、1500時間経過時の脱硫後の灯油の硫黄濃度、抜出脱硫剤上に蓄積した炭素量、100h経過時の脱硫後の灯油中に含まれる二環芳香族量と増加分をポイントで表1に示した。
このとき水蒸気改質にはRu系触媒を用い、S/C=3、温度700℃、LHSV=1h−1の条件で、シフト工程(反応器10)では銅−亜鉛系触媒を用い、200℃、GHSV=2000h−1の条件で、一酸化炭素選択酸化工程(反応器11)ではRu系触媒を用い、O2/CO=3、温度150℃、GHSV=5000h−1の条件で運転を行った。燃料電池も正常に作動し電気負荷15も順調に運転された。
2 水ポンプ
3 燃料タンク
4 燃料ポンプ
5 脱硫器
6 気化器
7 改質器
8 空気ブロアー
9 高温シフト反応器
10 低温シフト反応器
11 一酸化炭素選択酸化反応器
12 アノード
13 カソード
14 固体高分子電解質
15 電気負荷
16 排気口
17 固体高分子形燃料電池
18 加温用バーナー
Claims (3)
- 酸化ニッケルを50〜75質量%、酸化銅を3〜30質量%およびシリカを10〜30質量%含有し、かつアルミナ含有量が1質量%以下、およびナトリウム含有量が0.1質量%以下であり、BET比表面積が250m2/g以上である脱硫剤であって、水素非共存下で、反応温度:180〜250℃、反応圧力:常圧〜0.6MPa、LHSV:0.5〜2.0h−1の条件で、硫黄分を0.1〜30質量ppm含有する灯油を1500h以上通油した場合に、通油後の抜出脱硫剤上に蓄積される炭素量が5質量%以下で、脱硫後の灯油の硫黄濃度が20質量ppb以下であり、かつ脱硫灯油に含有される二環芳香族の増加分が0.5ポイント以内であることを特徴とする灯油用脱硫剤。
- 請求項1に記載の灯油用脱硫剤を−50℃から400℃の温度範囲、常圧から0.9MPaの圧力範囲で使用することを特徴とする灯油の脱硫方法。
- 請求項1に記載の灯油用脱硫剤を充填した脱硫装置を備えた燃料電池システム。
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