JP5447716B1 - バイオセンサ及び分子識別部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】非侵襲的に採取した微量の体液試料を使用可能であり、且つ、このような微量の試料を用いた場合や試料中の測定対象物質の濃度が低い場合であっても対象物質を高精度に測定可能な、より高感度の高いバイオセンサを提供する。
【解決手段】体液中に含まれる対象物質を測定するためのバイオセンサ100において、体液を浸透可能であり、浸透した体液中に含まれる対象物質と相互作用可能な分子識別素子113を有する分子識別部材110と、分子識別部材110と接続可能であり、分子識別素子113と対象物質との相互作用の結果生じる変化を検出する検出素子120と、を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、バイオセンサ及び分子識別部材に関し、特に、電界効果トランジスタを用い、体液に含まれる成分を測定対象とするバイオセンサ及びこれに用いられる分子識別部材に関する。
近年、様々なバイオセンサが研究・開発され、医療、創薬、臨床検査等の分野で利用されている。バイオセンサは、生物の持つ優れた分子識別力を利用して外界の情報(例えば、化学的要素)を何らかの物理的な信号として認識するもので、様々な原理や測定対象がある。より詳細には、バイオセンサは、化学物質を測定対象とする化学センサの一種であり、測定対象物質のみを認識する分子識別素子と、認識したという情報を電気的な信号等の物理的な信号に変換する信号変換素子とで構成される。一般には、分子識別素子には、酵素、抗体、DNA、細胞、微生物等の生体分子や生体分子を捉える化合物を用いるためバイオセンサと呼ばれる。
また、信号変換素子としては、電極、サーミスタ、水晶振動子、表面プラズモン共鳴、半導体素子等の通常の電子機器や化学センサが使用されるが、最近では電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を用いたバイオセンサの研究が盛んになってきている。FETを用いたバイオセンサでは、分子識別素子が測定対象となる化学物質を認識すると、熱、質量、電荷等の物理的変化や対象物質の分解、物質の生成等の化学的変化が起こり、この変化を信号変換素子であるFETで電気信号に変換して対象物質を測定する。FETを用いたバイオセンサは、(1)イオンや分子固有の電荷を電気的に検出できる、(2)測定までの手間や時間がかからない、(3)リアルタイム測定が可能である、(4)非標識、非侵襲での電気的計測が可能である、(5)半導体の微細加工技術により小型化、集積化が可能である、等の特徴を有する。
このようなFETを用いたバイオセンサを、生きている細胞を非侵襲で解析に利用する方法に適用する技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。この特許文献1に記載されたバイオセンサは、負電荷等の物理的特性の変化を検出する検出表面が、シアル酸試料(細胞そのもの又は細胞由来の糖鎖)と結合するフェニルボロン酸基で被覆された構造を有するものである。当該バイオセンサによれば、従来の糖鎖解析方法では不可能であった蛍光等の標識を用いない非侵襲な、且つ簡便に使用することのできるリアルタイム細胞診断ツール、及びそれを用いて目的細胞の糖鎖を堅守する方法を提供することができる、とされている。
特開2010−107496号公報
ところで、病気の診断や治療方針の決定のため体液に含まれる成分を測定する際に、患者の負担軽減や試料採取の簡易化等の観点から、微量の試料を用いた場合でも対象物質を高精度に測定可能な測定方法が求められている。また、非侵襲的に採取した体液試料の中には試料中の測定対象物質の濃度が低い場合もあり、このような場合でも、高精度の測定が可能であることが望ましい。そのためには、より高感度のバイオセンサが必要となる。
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術でいう「非侵襲」とは、細胞等に対する侵襲が無い(例えば、細胞等に付加を与えず外的な要素を付加しなくても良い)という意味であり、患者の負担軽減等の観点から患者の人体を傷付けない(例えば、患者から血液を採取しなくても良い等)という意味での非侵襲ではない。すなわち、特許文献1に記載された技術においては、患者の負担軽減や試料採取の簡易化等のための非侵襲的な測定に関しては考慮されているとはいえない。
さらに、上記特許文献1に記載された技術では、微量の試料を用いた場合や試料中の測定対象物質の濃度が低い場合に、体液中の対象物質を高精度に測定することに関し、特に考慮されているわけではない。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、非侵襲的に採取した微量の体液試料を使用可能であり、且つ、このような微量の試料を用いた場合や試料中の測定対象物質の濃度が低い場合であっても対象物質を高精度に測定可能な、より高感度のバイオセンサ及びこれに用いられる分子識別部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、測定対象物質と相互作用可能な分子識別素子を有する分子識別部材と、この分子識別部材と接続可能であり測定対象物質と分子識別素子との相互作用の結果生じる変化を検出する検出素子と、を設け、分子識別部材を体液を浸透可能なものとすることにより、非侵襲的に採取した微量の体液試料や、測定対象物質の濃度が低い体液試料を使用した場合であっても、対象物質を高精度に測定できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、体液中に含まれる対象物質を測定するためのバイオセンサであって、前記体液を浸透可能な基材と前記基材に固定化され、前記基材に浸透した前記体液中に含まれる前記対象物質と相互作用可能な分子識別素子と、を有する分子識別部材と、前記分子識別部材と接続可能であり、前記相互作用の結果生じる変化を検出する検出素子と、を備え、前記分子識別素子が、前記基材に分散担持された貴金属と結合することで前記基材に固定化されており、前記検出素子が、第1の電極及び第2の電極が設けられた半導体基板と、前記半導体基板の前記第1の電極と前記第2の電極とに挟まれた部分の表面に設けられた絶縁体と、を有し、前記分子識別部材が、前記絶縁体を介して前記半導体基板に接続されている、バイオセンサである。
前記バイオセンサにおいて、前記分子識別部材が、更に可撓性を有することが好ましい。
前記バイオセンサにおいて、前記分子識別部材が、前記検出素子に着脱自在に接続されることが好ましい
記バイオセンサにおいて、前記分子識別素子が、前記対象物質と反応して前記分子識別部材における電荷密度とキャパシタンスの少なくともいずれか一方を変化させる物質であり、前記検出素子が、前記分子識別部材における電荷密度とキャパシタンスの少なくともいずれか一方の変化を電位の変化として検出し、前記検出素子により検出された電位の変化に基づき、前記対象物質を定量するようにしてもよい。
前記バイオセンサにおいて、前記対象物質が、グルコースであってもよい。
この場合に、前記分子識別素子が、フェニルボロン酸、グルコース結合蛋白質(GBP)又はそれらの誘導体であってもよい。
前記バイオセンサにおいて、前記体液が、涙、汗、唾液又は鼻水であってもよい。
前記バイオセンサにおいて、前記絶縁体が、前記半導体基板の前記第1の電極と前記第2の電極とに挟まれた部分の表面に設けられた絶縁膜であってもよい。
前記バイオセンサが、前記絶縁膜上に金属電極と、前記金属電極と前記分子識別部材とを接続する金属線と、を更に備え、前記分子識別部材が、前記金属電極と前記金属線を介して前記絶縁膜に接続されていてもよい。
前記バイオセンサが、前記絶縁膜上に導電性部材を更に備え、前記分子識別部材が、前記導電性部材を介して前記絶縁膜に接続されていてもよい。
前記バイオセンサにおいて、前記分子識別部材が、前記絶縁膜上に積層されていてもよい。
また、本発明は、体液を浸透可能な基材と前記基材に固定化され、前記基材に浸透した前記体液中に含まれる対象物質と相互作用可能な分子識別素子と、を備え、且つ、前記相互作用の結果生じる変化を検出する検出素子と接続するための分子識別部材であり、前記分子識別素子が、前記基材に分散担持された貴金属と結合することで前記基材に固定化されており、前記検出素子が、第1の電極及び第2の電極が設けられた半導体基板と、前記半導体基板の前記第1の電極と前記第2の電極とに挟まれた部分の表面に設けられた絶縁体と、を有し、前記絶縁体を介して前記半導体基板に着脱自在に接続可能な分子識別部材である。
前記分子識別部材が、更に可撓性を有することが好ましい。
前記分子識別部材において、前記分子識別素子が、前記対象物質と反応して前記分子識別部材における電荷密度とキャパシタンスの少なくともいずれか一方を変化させる物質であってもよい。
前記分子識別部材において、前記対象物質が、グルコースであってもよい。
この場合に、前記分子識別素子が、フェニルボロン酸、グルコース結合蛋白質(GBP)又はそれらの誘導体であってもよい。
前記分子識別部材において、前記体液が、涙、汗、唾液又は鼻水であってもよい。
前記分子識別部材が、前記体液中に含まれる前記対象物質を測定するためのバイオセンサに用いられてもよい。
本発明によれば、非侵襲的に採取した微量の体液試料を使用可能であり、且つ、このような微量の試料を用いた場合や試料中の測定対象物質の濃度が低い場合であっても対象物質を高精度に測定可能な、より高感度のバイオセンサ及びこれに用いられる分子識別部材を提供することが可能となる。
本実施形態に係るバイオセンサの一例としてのグルコースセンサの概略的な構成を示す模式図である。 分子識別素子が分子識別部材の基材の表面に固定化された状態の一例を示す模式図である。 図2に示す分子識別素子が固定化物質へ吸着している状態の一例を示す模式図である。 分子識別素子が分子識別部材の基材の表面に固定化された状態の他の例を示す模式図である。 本実施形態に係る分子識別素子と体液中の対象物質との反応機構の一例を示す図である。 本実施形態に係る分子識別部材の変更例の概略的な構成を示す模式図である。 本発明の実施例に係るバイオセンサのグルコースの濃度応答性の評価結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面においては、同一の符号が付された構成要素は、実質的に同一の構造または機能を有するものとする。
なお、本実施形態に係るバイオセンサについては、以下の順序で説明する。
1 バイオセンサの構成
2 バイオセンサの製造方法
3 バイオセンサの用途・使用方法
4 変更例
[バイオセンサの構成]
初めに、図1を参照しながら、本実施形態に係るバイオセンサの一例として、測定対象物質がグルコースであるグルコースセンサを挙げ、その構成について説明する。図1は、本実施形態に係るバイオセンサの一例としてのグルコースセンサ100の概略的な構成を示す模式図である。なお、以下の説明では、測定の対象物質をグルコースとし、検出素子として所謂拡張ゲート(Extended−gate)型のFETを使用した場合を例に挙げて説明するが、本発明に係るバイオセンサは、このような例に限定されるものではない。例えば、検出素子として、絶縁膜上に測定対象を固定化する通常のFETを用いてもよい。
図1に示すように、グルコースセンサ100は、検出素子としてFETを用い、体液中に含まれる対象物質(本例ではグルコースを測定対象物質とする。)を測定するためのバイオセンサであって、分子識別部材110と、検出素子120と、を主に備える。
(対象物質)
グルコースセンサ100は、上述のように、測定対象物質をグルコースとしているが、本実施形態に係るバイオセンサの対象物質としては、グルコースに限定されず、非侵襲的に採取可能な体液中の成分であればグルコースには限られず、アミノ酸、生物化学的酸素要求量(BOD:Biochemical Oxygen Demand)、抗原、DNA、細胞からの代謝産物でもよい。
また、対象物質を含む体液としては、非侵襲的に採取可能なものであれば特に限定はされないが、対象物質をグルコースとした場合には、体液として、例えば、涙、汗、唾液、鼻水等を用いることができる。
(分子識別部材110)
分子識別部材110は、体液を浸透可能な部材であり、浸透した体液中に含まれる対象物質(グルコースセンサ100の測定対象物質)と相互作用可能な分子識別素子113を有する。また、本実施形態では、分子識別部材110は、検出素子120と接続可能である。より具体的には、分子識別部材110は、後述する絶縁膜127を介して半導体基板125に接続され、FETにおけるゲート電極としての役割も有している。この分子識別素子110は、例えば、基材111と、当該基材111に付加される分子識別素子113とを有する。
<基材111>
基材111は、分子識別素子113を固定化するための部材である。この基材111は、体液を浸透可能な材質で形成される。対象物質を含む体液を微量しか採取できないような場合であっても、基材111が体液を浸透可能な材質で形成されることで、微量の体液試料を採取することが容易となる。本実施形態における「基材111が体液を浸透可能」とは、基材111がその内部に体液を吸収及び吸収した体液の少なくとも一部を保持することが可能な性質を有することを意味する。基材111の体液の保持能については特に制限されるものではないが、基材111が、バイオセンサ(本実施形態では、グルコースセンサ100)の測定に必要な体液試料の量(例えば、0.1μL〜1μL程度)以上の微量の体液を保持できることが好ましい。
ここで、基材111が、可撓性を有していることが好適である。基材111が可撓性を有することにより、涙、汗、唾液、鼻水等の体液を非侵襲的に採取する際に、採取箇所(例えば、目の周囲、腋、口腔内等の眼球、皮膚、粘膜等)に対する損傷を防止し、あるいは刺激等を低減させ、より安全に体液を採取することができる。従って、本実施形態における「可撓性」を有するためには、単に撓ませることができるだけでなく、眼球、皮膚、粘膜等に対する損傷を防止し、あるいは刺激等を低減させることが可能な程度の柔軟性を有していることが好ましい。
また、眼球、皮膚、粘膜等に対する損傷を防止し、あるいは刺激等を低減させるという観点からは、基材111が、生体適合性を有していることが好適である。ここでいう「生体適合性」とは、基材111の材料と生体間の相互作用、あるいは、基材111の材料に隣接する生体組織の局所的反応及び全身的反応を引き起こさない性質のことをいう。従って、例えば、基材111の材料が、人体に対する干渉がないため無害である、あるいは、人体(皮膚、粘膜等)に干渉しない(影響を与えない)場合には、生体適合性を有すると言える。
以上説明した性質を有する基材111に適用可能な材料としては、体液を浸透可能な材料であれば特に制限されるものではないが、例えば、親水性ポリマーや、吸液性を有する材料等が挙げられる。
≪親水性ポリマー≫
ここでいう親水性ポリマーとは、親水性の官能基(水酸基、カルボキシル基等)を有するポリマーであり、紙、ハイドロゲル、高吸水性ポリマー(SAP:Superabsorbent Polymer)等が例示される。
紙とは、植物繊維その他の繊維を膠着させて製造したものである。紙の原料である植物繊維は、セルロースが主成分である。セルロースをさらに細かく分けると、セルロース、ヘミセルロース、リグニンに分けられ、セルロースが骨格を、ヘミセルロースが骨格同士の結合を、リグニンが空隙の充填を担う。セルロースは、多数有する水酸基同士が水素結合により結合する性質を有しており、これにより紙を構成する植物繊維同士がくっつき合うことができる。また、その他の繊維としては、鉱物、金属、合成樹脂等を繊維状にしたもの等が挙げられるが、上述した生体適合性を有するという観点、及び後述する分子識別素子113をより強固に固定化するという観点から、基材111の材料としては、植物繊維(セルロース)からなる紙が好適である。
ハイドロゲルとは、親水性高分子鎖間が架橋されて多量の水を保持し、吸水性に優れるゲル状材料である。ハイドロゲルは、基材111に生体適合性を持たせ、人体に対する安全性をより高める(眼球、皮膚、粘膜等に対する損傷を防止し、あるいは刺激等を低減させる)という観点から好適な材料である。なお、基材111の材料としては、ヤング率が数百Pa程度のハイドロゲルを用いることが好ましい。
このようなハイドロゲルとしては、例えば、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(Poly−HEMA、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとも称する。)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。Poly−HEMAは、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のホモポリマーであってもよく、他のモノマー(例えば、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)等)とのコポリマーであってもよい。なお、Poly−HEMAは、コポリマーとした方がより含水率が高くなる傾向にある。また、PVPとしては、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)のホモポリマーであってもよく、NVPを主成分として、HEMA、メチルメタクリレート(MMA)等と架橋剤を加えて重合したコポリマーであってもよい。このようなハイドロゲルは、コンタクトレンズの材料としても使用されている生体適合性を有する材料であるため、例えば、体液試料として涙を採取する場合には、安全性が十分に保障されている。従って、例えば、ハイドロゲルを用いた分子識別部材110を直接眼球と接触させても問題が無い。
SAPは、自重の数百倍から約千倍までの水を吸収及び保持できる高分子である。また、アクリル酸の重合体はカルボキシル基を多数有するために非常に親水性が高く、さらに網目構造に架橋させ、ナトリウム塩の形とすると高い吸水性を持つゲルとなり、優れた特性を示すことから、SAPとしては、ポリアクリル酸ナトリウムが現在主流となっている。このようなSAPは、紙おむつや生理用品等の吸水剤としても使用されている生体適合性を有する材料であるため、体液試料を採取する場合には、安全性が十分に保障されている。
また、基材111の材料として有用なその他の親水性ポリマーの例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)などのセルロース誘導体;アルギン酸、ヒアルロン酸、アガロース、デンプン、デキストラン、プルラン等の多糖類及びその誘導体;カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸等のホモポリマー、当該ホモポリマーと多糖類等との共重合体、及び当該ホモポリマーを構成するモノマーと他のモノマーとの共重合体;コラーゲン、ゼラチン等のタンパク質及びその誘導体;ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、デキストラン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸等のグリコサミノグリカン、キチン、キトサン等の多糖類やムコ多糖類を挙げることができる。
さらには、基材111の材料として、1−ビニル−2−ピロリジノン、プロペノン酸2−メチルエステル、モノメタクリロイルオキシエチルフタレート、アンモニウムスルファトエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシエチル)−2−(トリメチルアンモニオエチル)ホスフェート等の生体適合性を有する親水性ポリマーを用いてもよい。
以上例示したような親水性ポリマーは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
≪吸液性を有する材料≫
また、ここでいう吸液性を有する材料とは、液を吸収する性能を有する材料であって、上記の親水性ポリマーには属さないものであり、シリカゲル、吸水性ゴム、吸水性発泡プラスチック、綿、不織布、織布、繊維等が例示される。
≪好適な材料≫
また、上述した各種の材料のうち、可撓性と生体適合性の少なくともいずれか一方を有するものが、基材111の材料として好ましく用いられ、可撓性と生体適合性の両方を有するものが、基材111の材料としてより好ましく用いられる。以上のような材料を基材111の材料として使用することにより、分子識別部材110全体として可撓性や生体適合性を持たせることが可能となる。
≪その他≫
なお、後述する分子識別素子113自体が高分子であり、且つ、体液を浸透可能な材質である場合には、必ずしも基材111を設ける必要は無い。この場合は、分子識別素子113が、上述した基材111の性質も兼ね備えたものとなる。
<分子識別素子113>
分子識別素子113は、分子識別部材110の一方の面(例えば、後述する半導体基板125と接続される側と反対側の面)に固定化されており、体液中に含まれる対象物質を識別する機能を有する。ここでいう「識別」とは、分子識別素子113が対象物質と相互作用することで、熱、質量、電荷、光の屈折率等の物理的変化や、対象物質の分解、物質の生成等の化学的変化を起こすことをいう。また、「相互作用」としては、グルコース等の対象物質と反応して電荷が誘導されるような反応様式等が挙げられ、具体的には、例えば、ジオール同士の結合、配位結合、DNAハイブリダイゼーション、抗原・抗体反応、物理吸着等がある。本実施形態に係るグルコースセンサ100は、分子識別素子113の一例として、体液試料中の対象物質と反応して電荷を発生して分子識別部材110表面の電荷密度とキャパシタンスの少なくともいずれか一方を変化させる物質を用いている。このような物質としては、例えば、フェニルボロン酸及びその誘導体(例えば、ビニル基を有するフェニルボロン酸等)、グルコース結合蛋白質(GBP)及びその誘導体等が挙げられる。これら以外にも、分子識別素子113としては、対象物質と相互作用可能なものであれば特に制限はされず、例えば、対象物質と相互作用して分子識別部材110表面の光の屈折率又は質量を変化させる物質等であってもよい。
また、本実施形態では、分子識別素子113は、基材111に付加されている。ここでいう「付加」とは、分子識別素子113が基材111の表面に何らかの形で固定化されている状態、あるいは、分子識別素子113が基材111の内部に何らかの形で存在している状態を指す。具体的には、(1)分子識別素子113が所定の固定化物質を介して基材111に間接的に結合(固定化)されている場合、(2)分子識別部材113が基材111に直接結合している場合(例えば、分子識別部材113が基材111の材料である高分子のモノマーと共重合している場合)、(3)分子識別部材113が基材111の表面に物理吸着している場合等が、本実施形態における「付加」という概念に含まれる。
上記(1)〜(3)の具体例のうち、例えば、(1)の場合のように、分子識別素子113(例えば、フェニルボロン酸)と直接結合させることが難しい材質(例えば、紙)で基材111が形成される場合には、分子識別部材110は、例えば、測定対象物質を含む体液を浸透可能な基材111と、この基材111に担持され、分子識別素子113を基材111に固定化する固定化物質と、を有するようにすることが好ましい。この場合、例えば、基材111の材質として紙等の体液を浸透可能なものを用い、固定化物質として、分子識別素子113(例えば、フェニルボロン酸)を化学結合可能な物質(例えば、Au,Ag,Cu等の貴金属)を用いればよい。
また、分子識別部材110に可撓性を持たせるという観点からは、基材111に担持される固定化物質としては、微粒子状のものが好適である。なお、ここでいう微粒子とは、可撓性を有する基材111に固定化物質を担持した場合に、基材111が可撓性を維持できる程度の大きさの粒子であればよく、例えば、1μm以下の粒径のものを微粒子とすることができる。なお、微粒子状の固定化物質の粒径の下限は特に規定されないが、現実的に入手可能なものとしては、例えば、10nm以上のものが挙げられる。
また、固定化物質としては、分子識別素子113を固定化(例えば、化学結合)可能な物質であれば特に限定はされないが、例えば、Au、Ag、Cu等の貴金属、SiO、TiO、Al等の酸化物を使用することができる。このような物質を使用することで、基材111の表面に分子識別素子113を固定化することが容易となる。
ここで、図2及び図3を参照しながら、本実施形態に係る分子識別素子113の基材111表面への固定化について説明する。図2は、分子識別素子113が基材111の表面に固定化された状態を示す模式図である。図3は、図2に示す分子識別素子113が固定化物質へ吸着している状態を示す模式図である。なお、図2及び図3に示す例では、分子識別素子113として、グルコースと反応して負電荷を発生するフェニルボロン酸を用い、基材111として紙(セルロース繊維)を用い、固定化物質としてAuを用いた場合を例に挙げて説明するが、本実施形態に係るバイオセンサ(例えば、グルコースセンサ100)は、これらの構成に限定されるものではない。
図2に示すように、分子識別部材110は、基板111としてのセルロース繊維からなる紙上に、固定化物質としてのAuの微粒子が担持された構造を有しており、分子識別素子113(図2の例ではフェニルボロン酸)が、Auに吸着している。ここで、例えば、フェニルボロン酸は、Auに以下のような機構で吸着する。すなわち、図3に示すように、フェニルボロン酸にチオール基(−SH)やジスルフィド基(−S−S−)を導入し、チオールやジスルフィドの誘導体とする。このようなチオール誘導体やジスルフィド誘導体は、Au、Ag、Cu等の貴金属の表面に高密度な薄膜を形成することが知られており、チオール基等が導入されたフェニルボロン酸は、例えば、Au−Sのような強い結合を形成する。また、各フェニルボロン酸は、隣り合うフェニルボロン酸との間で、芳香環間のπ−π相互作用が働く。そのため、フェニルボロン酸のAuへの結合量が増え、密度が高くなると、芳香環間のπ−π相互作用により更に高密度に集積し、最終的に高配向な単分子膜が形成される。このように、固体表面に結合、集積し、分子間力等の相互的に働く力におって自発的に形成される単分子膜を自己組織化単分子膜(SAMs:Self−Assembled Monolayers)という。
ここで、本形態に係るグルコースセンサ100において、SAMsを形成するために求められる条件として、(A)基材111表面の固定化物質と結合する官能基を有すること、(B)自己組織化的に集合し、高密度な薄膜を形成する分子間相互作用を有することの2点が挙げられる。(A)の官能基としては、上述したチオール基(−SH)やジスルフィド基(−S−S−)等がある。(B)の分子間相互作用としては、上述した芳香環間のπ−π相互作用やアルキル鎖間のファンデルワールス力等がある。従って、上記のような官能基や分子間相互作用を有する分子識別素子113を用いることで、固定化物質の表面にSAMsを形成することができる。その結果、基材111表面における分子識別素子113が高密度に存在することとなるため、測定対象物質を含む体液が微量である場合や、体液中の測定対象物質の濃度が低い場合であっても、グルコースセンサ100は、高感度のグルコース濃度の測定を行うことができる。
また、図2に示すように、基材111として、測定対象物質であるグルコースと同様に隣り合う2個の水酸基を有するセルロースのような高分子を用いた場合には、Au等の固定化物質に固定された分子識別素子113(この例ではフェニルボロン酸)の一部が、グルコースとの反応と同様の機構(後述する図5を参照)により、セルロースが有する2個の水酸基と反応し、結合を形成する。このように、分子識別素子113の一部が基材111を構成する高分子と反応することにより、分子識別素子113と基材111とをより強固に固定化することができるとともに、残りの分子識別素子113を測定対象物質との反応に用いることができる。このような効果は、上述したように、SAMsが形成され、分子識別素子113の密度が高い場合により顕著なものとなる。
また、例えば、基材111として上述したようなハイドロゲル(例えば、poly−HEMA)を用いた場合や、基材111として紙等を用いた場合でも直接分子識別素子113を結合させることが可能な場合には、上述した固定化物質を介して分子識別素子113を基材111に固定化させる場合と異なり、固定化物質を基材111に担持させる必要はなく、基材111であるハイドロゲルに直接、フェニルボロン酸等の分子識別素子113を結合させることもできる。この場合、例えば、基材111がpoly−HEMAで形成されている場合には、図4に示すように、HEMAがビニル結合を有することから、分子識別素子113としてビニル基を有するもの(この例では、p−ビニルフェニルボロン酸)を用いて、HEMAとp−ビニルフェニルボロン酸とを共重合させることで、基材111に直接、分子識別素子113を付加することができる。
また、分子識別素子113は、分子識別部材110の内部に存在していることが好ましい。ここで、「分子識別部材110の内部に存在する」例としては、以下の(1)〜(3)のような形態が挙げられる。
(1)分子識別部材113が、分子識別部材110のマトリックスとなる材料(例えば、本実施形態では基材111を構成する材料)の骨格自体に組み込まれている場合
この場合の例としては、上述した図4に示す例のように、マトリックスとなる材料がpoly−HEMA等のポリマーであって、このポリマーを構成するHEMA等のモノマーとp−ビニルフェニルボロン酸等の分子識別素子113とが共重合しているような場合が挙げられる。
(2)分子識別部材113が、分子識別部材110のマトリックスとなる材料と共有結合している場合(ただし、(1)の場合を除く。)
この場合の例としては、上述した図2に示す例のように、マトリックスとなる材料がセルロース等のポリマーであって、このポリマーが有する官能基(セルロースの場合は水酸基)と、分子識別素子113が有する官能基とが共有結合しているような場合が挙げられる。
(3)分子識別部材113が、分子識別部材110のマトリックスとなる材料とは化学結合せず、当該材料中に混合されている場合
上記の例のように、分子識別素子113が、分子識別部材110の内部に存在する場合には、分子識別素子110の内部に浸透した体液中に含まれる測定対象物質が、分子識別素子113とより効率的に相互作用することができる。また、分子識別素子113が分子識別部材110の表面に必ずしも露出していなくても良いので、分子識別素子113が表面に露出するような形態にすること等を考慮する必要が無く、分子識別部材110の形態の自由度が高い。
(検出素子120)
検出素子120は、上述した分子識別部材110と接続可能であり、上記の対象物質と分子識別素子113との相互作用の結果生じる変化を検出する素子であり、このような素子として、FET等の半導体素子、フォトダイオードや光電子倍増管等の受光素子、サーミスタ、QCM(Quartz Crystal Microbalance:水晶振動子マイクロバランス)、表面プラズモン共鳴を利用した素子等を使用することもできる。
図1に示した例では、検出素子120としてFETを用いており、具体的には、第1の電極(例えば、ソース電極121)及び第2の電極(例えば、ドレイン電極123)が設けられた半導体基板125と、本実施形態に係る絶縁体の一例としての絶縁膜127と、を主に有する。
<半導体基板125>
半導体基板125は、例えば、p型半導体であり、その一部(例えば2箇所)が局所的にドーピングされて形成されたn型半導体部分にソース電極121及びドレイン電極123が設けられる。すなわち、グルコースセンサ100で使用されるFETは、所謂nチャネル型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。なお、本実施形態に係るバイオセンサで使用するFETは、上記のnチャネル型MOSFET(n−MOS)に限られず、pチャネル型MOSFET(p−MOS)、nチャネル接合型FET、pチャネル接合型FETであってもよい。
また、半導体基板125の素材としては、特に制限されるものではないが、Si、GaAs、透明酸化物半導体(例えば、ITO、IGZO、IZO)、有機半導体、炭素半導体(例えば、カーボンナノチューブ、グラフェン半導体、ダイヤモンド半導体等)等、公知の半導体を適宜選択して用いることができる。なお、半導体基板125の素材として炭素半導体を用いると、Siを使用した場合よりもグルコースセンサ100の測定感度をより高くすることができる(体液試料中の対象物質濃度が低くても高精度に測定することができる)。
<絶縁膜127>
絶縁膜127は、半導体基板125の第1の電極(例えば、ソース電極121)と第2の電極(例えば、ドレイン電極123)とに挟まれた部分(図1に示すグルコースセンサ100では、p型半導体部分)の表面に設けられており、SiO、Si(SiN)、Ta、Al等の酸化物又は窒化物等からなる膜である。
(測定原理)
次に、本実施形態に係る検出素子120としてFETを用いた場合のグルコースセンサ100の測定原理について説明する。分子識別部材110は分子識別素子113を有しており、検出素子120としてのFETが、測定対象物質(例えば、グルコース)が分子識別素子113と相互作用することにより生じた分子識別部材110における電位の変化を検出する。より詳細には、測定対象物質(例えば、グルコース)が分子識別素子113(例えば、フェニルボロン酸)と反応することで、分子識別部材110における電荷密度とキャパシタンスの少なくともいずれか一方が変化し、これをFETが電位の変化として検出することで、対象物質の濃度を測定することができる。この場合に、分子識別部材110が対象物質を含む体液を浸透可能な材質で形成されていることから、対象物質を含む体液を微量しか採取できなかった場合や、採取した体液中の対象物質の濃度が低い場合であっても、高精度に測定するために必要な量の対象物質を分子識別素子113と反応させることができる。従って、グルコースセンサ100によれば、微量の体液試料を用いた高感度の測定を行うことができる。また、微量しか採取することができない体液(例えば、涙等)を試料として用いる場合であっても、グルコースセンサ100によれば、分子識別部材110が対象物質を含む体液を浸透可能な材質で形成されていることから、微量の体液試料を採取することが容易となる。
特に、グルコースの測定の場合、上述したような非侵襲的に採取可能な涙、汗、唾液等の体液中のグルコース濃度は、侵襲的に採取される血液中の血糖値の100分の1程度であり、測定対象物質の濃度が非常に低い。従って、従来のような酵素電極法を用いて、涙、汗、唾液等の体液中のグルコース濃度を高精度に測定することは、酵素電極法の装置の感度が低いことから困難である。一方、グルコースセンサ100によれば、分子識別部材110(ゲート基材)が体液を浸透可能な材質で形成されており、且つ、検出素子として感度の高いFETを用いていることから、涙、汗、唾液等のグルコース濃度の非常に低い体液試料を用いても、高感度の高い測定を行うことが可能となる。また、上記酵素電極法では、測定に比較的多量の試料が必要であり、また、測定感度も比較的低いことから、これらの方法で測定するため必要な量の涙、汗等の体液を採取することは困難であり、現状では、グルコース濃度の測定には侵襲的に採取される血液を試料せざるを得ない。また、高速液体クロマトグラフィ(HPLC:Hign performance liquid chromatography)では、測定感度は高いものの、装置が高価且つ大型であることから、例えば、糖尿病患者が毎日血糖値を測定するといった用途には適していない。なお、必要な試料の量としても装置が大型であるが故に比較的多くの量を必要とする。一方、グルコースセンサ100によれば、微量の試料でも測定に供することができることから、涙や汗等の体液を試料として用いることができる。
なお、酵素電極法、HPLC及び本実施形態に係るバイオセンサにおける測定感度と必要な試料の量との関係は概ね以下の表1の通りである。
Figure 0005447716
(分子識別部材113の着脱)
また、グルコースセンサ100においては、検出素子として、上述したように拡張ゲート型のFETを使用している。具体的には、グルコースセンサ100は、絶縁膜127上に金属電極150を更に備えており、分子識別部材110が、金属電極150と金属線151等を介して絶縁膜127と電気的に接続されている。このように、拡張ゲート型のFETを用いたグルコースセンサ100では、分子識別部材110がFET本体(ソース電極121及びドレイン電極123が設けられた半導体基板125)から分離しており、分子識別部材110を半導体基板125から着脱自在に接続することが容易である。そのため、分子識別部材110を容易に交換することができる。これを利用して、多様な糖類や相補的にDNAに特異吸着する分子、またDNAをそれぞれ分子識別部材110に固定化することで、分子識別部材110を交換するだけで様々な対象物質についての測定が可能となる。また、分子識別部材110は、FET本体から分離させることができるため、分子識別部材110に微細な加工を容易に施すことができる。さらに、それぞれの測定対象物質に対してそれに応じた分子識別部材110を用意するだけで済むので低コストでの測定が可能となる。加えて、本実施形態では、ゲート電極の役割を有する分子識別部材110として体液を浸透可能な材質のものを用いることから、分子識別部材110がFET本体と接触した状態であると、分子識別部材110を透過した体液がFET本体まで到達し、FET本体が継続的な測定に使用できない状態となる恐れもある。これに対して、拡張ゲート型のFETを用いたグルコースセンサ100によれば、分子識別部材110がFET本体(すなわち、検出素子120)から分離しているため、分子識別部材110のみを交換することで、FET本体を継続的に測定に使用することができる。
なお、グルコースセンサ100では、金属電極150及び金属線151により、分子識別部材110と絶縁膜127とが電気的に接続されているが、金属電極150と金属線151とを別個に設けずに、金属電極150と金属線151の役割を兼ねるものとして一体的に形成し、一つの導電性部材としてもよい。また、金属電極150及び金属線151や、上記導電性部材を設けずに、絶縁膜127上に分子識別部材110を積層した(拡張ゲート型でない)通常のFETの構成としてもよい。
(その他)
なお、本実施形態に係るバイオセンサ(例えば、グルコースセンサ100)は、図1に示すように、必要に応じて参照電極160を設けてもよい。参照電極160は、分子識別部材110と電気的に接続され、ソース電極121及びドレイン電極123とともに閉回路を形成し、FETにおける電圧測定の基準電位となる電極であり、アースされることもある。実用上は、FETにおける電圧測定の際に必要となるが、他の方法により対象物質の測定が可能であれば参照電極160を設けなくてもよい。
[バイオセンサの製造方法]
以上、本実施形態に係るバイオセンサの構成について詳細に説明したが、続いて、このような構成を有するバイオセンサの製造方法について説明する。以下では、上述したグルコースセンサ100を例に挙げて説明するが、他のバイオセンサについても、以下に説明する方法に適宜公知の技術を適用することで製造することができる。
グルコースセンサ100は、上述したように検出素子120としてFETを使用するバイオセンサである。このようなグルコースセンサ100は、分子識別部材110を製造した後に、得られた分子識別部材110をFETにゲート電極部として組み込むことで、製造される。
FETとしては、公知の技術を用いて作製してもよく、あるいは市販されているものを用いても良い。
(分子識別部材110の製造方法)
次に、分子識別部材110の製造方法について説明する。ここでは、固定化物質を用いずに分子識別素子113を基材111に付加する場合と、固定化物質を用いて分子識別素子113を基材111に付加する場合を例に挙げて説明する。
<固定化物質を用いない場合>
固定化物質を用いない場合には、例えば、本実施形態に係るグルコースセンサ100における分子識別部材110は、ハイドロゲル等の親水性ポリマーからなる基材111と、分子識別素子113(例えば、フェニルボロン酸基)を有するポリマーとの混合体または共重合体からなり、公知の方法によって製造することができる。
親水性ポリマーと分子識別素子113とを有するポリマーの混合体は、例えば、親水性ポリマー及び分子識別素子113を有するポリマーを溶媒に溶解し、混合した後、乾燥させて溶媒を除去することで得ることができる。
本実施形態の分子識別部材110を製造するのに有用な親水性ポリマーとしては、上述したように、体液を浸透可能であれば特に制限はされず(可撓性や生体適合性を有することが好適である。)、具体的には、上述した材料を例示することができる。
また、本実施形態の分子識別部材110を製造するのに有用なフェニルボロン酸基を有するポリマーの例としては、ポリビニルフェニルボロン酸、ポリ(m−アクリルアミドフェニルボロン酸−CO−N−ビニルピロリドン)、ポリ3−アクリルアミドフェニルボロン酸、ポリメタクリルアミドフェニルボロン酸等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよく、更には他のポリマーとの共重合体の形で用いてもよい。
ポリマーを溶解させる溶媒としては、特に制限はされず、公知の有機溶媒を用いることができる。
また、親水性ポリマーと分子識別素子113を有するポリマーとの共重合体は、例えば、親水性モノマーと分子識別素子113を有するモノマーとをラジカル共重合させることによって得ることもできる。
これらの共重合ポリマーは、吸水性および乾燥防止などの点からハイドロゲル状あることが好ましい。このようなハイドロゲルは、親水性モノマーと分子識別素子113を有するモノマーに更に架橋モノマーを加えてラジカル共重合することによって得られる。架橋モノマーの例は特に限定されないが、不飽和ビニル基を二つ以上有する多官能モノマーであり、化学架橋を形成する公知の架橋剤を使用することができる。架橋モノマーの例としては、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸ビニル等が挙げられる。
<固定化物質を用いる場合>
固定化物質を用いる場合には、例えば、本実施形態に係るグルコースセンサ100における分子識別部材110は、紙等の基材111に固定化物質を担持させた後に、固定化物質に分子識別素子113を付加させることにより製造することができる。
固定化物質として用いることができるものとしては、上述した通りである。また、この固定化物質を基材111に担持する方法としては、特に制限されるものではなく、物理吸着と化学吸着のいずれでもよい。
また、固定化物質に分子識別素子113を付加させる方法としては、分子識別素子113に固定化物質と結合可能な官能基を公知の手法により導入し、分子識別素子113の誘導体を形成する。次いで、この誘導体を固定化物質に結合させることで、分子識別素子113が固定化物質を介して基材111の表面に付着(固定化)された分子識別部材110を製造することができる。なお、基材111として紙を、固定化物質としてAuを、分子識別素子113としてフェニルボロン酸を用いた場合の製造例については、上述した通りである。
[バイオセンサの用途・使用方法]
次に、上述した本実施形態に係るバイオセンサの用途及び使用方法について順に説明する。
(バイオセンサの用途)
本実施形態に係るバイオセンサは、上述したように、体液中のグルコース濃度を測定するグルコースセンサの他、体液(汗等)中のNa及びClの濃度を測定するセンサ(アルツハイマーの診断に用いる)、体液(唾液等)中の臭い成分を測定するセンサ(口臭の診断に用いる)、体液(鼻水、唾液等)中のウイルス(例えば、インフルエンザウイルスやノロウイルス等)を測定するセンサ(インフルエンザやウイルス性胃腸炎等の診断に用いる)等の用途に用いることができる。
(バイオセンサの使用方法)
次に、再び図1、図3及び図5を参照しながら、本実施形態のバイオセンサの使用方法を、上述したグルコースセンサ100を例に挙げて説明する。図5は、本実施形態に係る分子識別素子113と体液中の対象物質との反応機構を示す図である。
<試料(体液)の採取>
初めに、測定対象物質(ここではグルコース)を含む試料である体液を採取する。グルコースセンサ100において使用可能な体液としては、特に限定されない。ここで、例えば、糖尿病患者は日常生活において血糖値のコントロールを行うため、血糖値を自己測定しインスリン注入のタイミングを管理する必要がある。現状では、血糖値の測定にはグルコースオキシダーゼを利用した酵素電極法が広く用いられているが、この酵素電極法による測定では、試料(体液)として血液が用いられており、血液の採取が必要となる。この血液採取は糖尿病患者にとって肉体的にも精神的にも大きな負担となっており、患者に負担を強いることのない、血液以外の体液での非侵襲的な診断が望まれている。このような非侵襲的に採取可能な体液としては、尿、汗、涙、唾液等が考えられるが、本発明者らが検討したところによると、各体液には、以下のような特徴がある。
第1に、尿については、尿に糖(グルコース)が出始めるのが高濃度の状態になってからであり、空腹時などその時の状態によって出ないこともある。また、血糖値が正常であっても、腎臓の機能が低下していると尿に糖が出ることがある。従って、体液試料として尿を使用して糖濃度を測定した結果は、正確にその時の体内の糖濃度を反映していない可能性もあることから、試料としてあまり適切でないものと考えられる。
第2に、汗については、汗中には糖が含まれているが、その濃度は血糖値の100分の1程度である。また、汗はpHの変動幅が大きく、診断する際に常に安定して同質の体液を採取することが困難である。さらに、汗の通常時のpHが酸性側によっており、グルコースセンサ100で測定できるpH範囲から外れているため、汗を血液の代わりとして糖濃度を測定するに際しては様々な工夫が必要になるものと思われる。
第3に、涙については、涙中にも糖が含まれており、涙中の糖濃度と血糖値との間には相関が見られる。涙は、涙腺内の毛細血管から得た血液から血球を取り除き、液体成分を取り出したものであり、血液中の成分を良く反映していると言える。また、涙のpHは7.5〜8.0程度であり、グルコースセンサ100の測定可能範囲内である。ただし、涙中の糖濃度は、血糖値の10分の1〜100分の1程度であり、高感度のグルコースセンサによる測定が必要と考えられる。
第4に、唾液は、水、電解質、各種のタンパク質や酵素からなるが、唾液中にも糖が含まれている。唾液中の糖濃度は、血糖値の50分の1〜100分の1程度である。唾液のpHは通常は6.8程度であるが、唾液量が多い場合や唾液腺が刺激された場合等はpHが高くなる傾向にある。唾液は、分泌量が多く、採取が比較的容易に行える一方で、食事等によるコンタミネーションを避けることが困難であり、採取方法を工夫する必要がある。
以上のように、理論的には、汗、涙、唾液等がグルコースセンサ100の試料として使用できる体液となり得るが、これらの中でも、血液中の成分を良く反映していること、pHが安定していること、採取が容易であること等の理由で、涙を使用することが特に好適である。
<分子識別部材110での反応>
以上のような非侵襲的に採取した体液が分子識別部材110に浸透すると、分子識別部材110に付加された分子識別素子113(例えば、フェニルボロン酸)が、体液中の測定対象物質(例えば、グルコース)と反応して、図1及び図3に示すように負電荷を発生する。この反応機構は、図5に示す通り、フェニルボロン酸(i)のホウ素に水酸化物イオン(OH)が配位したアニオン型(ii)となる。このアニオン型(ii)に隣接する2個の水酸基を有するグルコースが反応することで、負電荷を発生する。ここで、フェニルボロン酸がグルコースと結合し、ボロン酸ジエステルの状態になるとpKaが大きく低下するため、適切なpHで結合させると、アニオン型のボロン酸ジエステルの割合が大きくなり、全体としてアニオン型の状態の数が増加する。
<対象物質の測定>
以上のようにして、分子識別素子113(例えば、フェニルボロン酸)が対象物質(例えば、グルコース)と反応することにより、例えば負電荷が発生し、分子識別部材110の表面の電荷密度が変化すると、電位差が発生する。その結果、半導体基板125に実質的に与えられる電位(ゲート電圧)の値が変わるため、半導体基板125の電気伝導度が変化する。従って、ドレイン電流の値を一定にした場合にゲート電圧のシフトが計測でき、そのゲート電圧の変化から分子識別部材110上の電荷密度が測定でき、この電荷密度から対象物質の量(例えば、グルコース濃度)を算出することができる。すなわち、本実施形態に係るバイオセンサ(例えば、グルコースセンサ100)は、FETが、分子識別部材110表面の電荷密度の変化を電圧の変化として検出することで、対象物質の量を測定するものである。
[変更例]
次に、上述した本実施形態に係るグルコースセンサ100の変更例について説明する。
(分子識別素子と検出素子との組合せの変更例)
上述したグルコースセンサ100は、下記表2に示すように、分子識別素子110としてフェニルボロン酸(PBA)やグルコース結合蛋白質(GBP)等を使用し、検出素子120としてFETを使用したものである。ここで、分子識別素子110としてPBAを使用した場合には、分子識別素子と対象物質との反応による変化として電荷密度又はキャパシタンスの変化が起こり、この変化を検出素子120が電位の変化として検出する。また、分子識別素子110としてGBPを使用した場合には、分子識別素子と対象物質との反応による変化としてキャパシタンスの変化が起こり、この変化を検出素子120が電位の変化として検出する。
また、本実施形態に係るバイオセンサとしては、グルコースセンサ100とは異なり、検出素子としてQCMを使用することができる。この場合には、分子識別素子110としてフェニルボロン酸(PBA)やグルコース結合蛋白質(GBP)等を使用することができる。また、分子識別素子と対象物質との反応による変化としては、分子識別部材上での質量の変化が起こり、この変化を検出素子が振動数の変化として検出する。さらに、本実施形態に係るバイオセンサとしては、検出素子として表面プラズモン共鳴を利用した素子を使用することができる。この場合には、分子識別素子と対象物質との反応による変化としては、分子識別部材に照射した光の屈折率の変化が起こり、この変化を検出素子が屈折角の変化として検出する。
Figure 0005447716
(分子識別部材の形態の変更例)
次に、図6を参照しながら、分子識別部材の形態の変更例について説明する。図6は、本実施形態に係るバイオセンサの変更例の構成を示す模式図である。
図6には、本変更例に係るバイオセンサとして、綿棒型のグルコースセンサ200を示している。グルコースセンサ200は、分子識別部材210と、半導体素子220と、金属線230と、を主に備える。
<分子識別部材210>
分子識別部材210は、その材質や、分子識別素子(図示せず)を有する点については、上述した分子識別部材110と同様であるが、試料となる体液として涙を採取する場合に特に適した構造を有している。具体的には、分子識別部材210は、綿棒の綿部分と類似した形状(例えば、略球状又は略楕円球状)を有しており、また、可撓性及び生体適合性を有し、柔らかい材質(例えば、上述したハイドロゲル等)である。従って、分子識別部材210によれば、眼球やその周囲の皮膚を傷付けずに、微量の涙液を採取することができる。
<半導体素子220>
半導体素子220は、本変更例に係る検出素子(の少なくとも一部)として機能するものであり、測定対象物質(例えば、グルコース)の体液(例えば、涙液)中の濃度に応じた電荷密度の変化を検出する。具体的には、この半導体素子220は、上述した検出素子120のうち、ソース電極121及びドレイン電極123が形成された半導体基板125と、絶縁膜127と、金属電極150とからなる構成に対応するものである。
<金属線230>
金属線230は、分子識別部材210と半導体素子220とを電気的に接続する。これにより、分子識別部材210に存在する分子識別素子と測定対象物質との相互作用(例えば、化学反応)の結果、分子識別部材210に生じた電荷密度の変化(例えば、負電荷の発生)を、金属線230を通じて半導体素子220で検出することができる。
なお、実際の測定の際には、グルコースセンサ200により涙液等の体液を採取した後、グルコースセンサ200は、半導体素子220と回路を形成することが可能な計測機器等への外部機器に接続される。これにより、例えば、測定対象物質(例えば、グルコース)の体液(例えば、涙液)中の濃度に応じた電荷密度の変化を電位の変化として検出することができるようになる。
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
本実施例では、分子識別部材として、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とビニルフェニルボロン酸とを共重合させたゲルを用い(即ち、分子識別素子としてはフェニルボロン酸を用いた。)、検出素子として半導体素子(MOSFET)を用い、試料として体液を模したグルコース溶液を用い、グルコースの濃度応答性を評価した。具体的には以下のようにして評価した。
(グルコースセンサの作製)
本実施例では、検出素子としてMOSFETを用い、拡張ゲート型のゲート電極部を以下のようにして作製した。まず、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA) 3.8gと、ビニルフェニルボロン酸 0.2gと、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.02gと、を10mlの超純水に溶解し、混合した後、重合開始剤としてペルオキソ二硫酸カリウム(和光純薬工業社製)5mg、テトラメチレンジアミン(東京化成社製)5μl加えることで重合を開始させた。重合条件は、窒素雰囲気下、室温にて24時間、HEMAとビニルフェニルボロン酸とを共重合させることで行った。重合反応終了後、共重合体を含む溶液を超純水に浸漬し、未反応分モノマーを除去することで、HEMAとビニルフェニルボロン酸とが共重合したゲル状の分子識別部材を得た。
次に、本実施例では溶液中での測定を行うため、上述のようにして得られた分子識別部材上に、外径12mm、内径10mm、高さ10mmのガラスリングを、エポキシ樹脂を用いて固定した。なお、このガラスリング内には、最大で約800μlの溶液を入れることができる。
以上のようにして作成したガラスリングが固定された分子識別部材を拡張ゲート型のゲート電極部として、MOSFETに電気的に接続し、本実施例のグルコースセンサを作製した。
(グルコースの濃度応答性の評価方法)
上述したようにして作製したグルコースセンサを用いて、以下のようにして、グルコースの濃度応答性を評価した。まず、グルコースをPBS(Phosphate Buffered Saline)に溶解し、グルコース濃度が0.001mM、0.01mM、0.1mM、1mM、10mMのグルコース溶液をそれぞれ400μlずつ調製した。
次に、上記のグルコースセンサのガラスリング内にまずPBSのみを入れ、半導体パラメータアナライザ(アジレート社製)を用いて、Vg−Id特性の測定を行うことで、一定電流(Id=2mA)におけるVg(即ち、分子識別部材の表面電位)の変化を測定した。なお、測定温度は室温で、測定時のpHは7.4でほぼ一定の条件であり、参照電極としては、銀−塩化銀(Ag/AgCl)電極を用いた。
(グルコースの濃度応答性の評価結果)
以上の測定の結果を図7に示す。図7は、本発明の実施例に係るバイオセンサのグルコースの濃度応答性の評価結果を示すグラフである。図7の縦軸は、分子識別部材の表面電位の変化(mV)を示し、横軸は、グルコース濃度(mM)を示している。
図7に示すように、グルコース濃度が0.001mM〜10mMの範囲のいずれでも、表面電位の変化が検出され、いずれの濃度でも充分な感度で測定できることが分かった。また、図7に示す結果から、グルコース濃度と表面電位Vgの変化との間には直線的な関係があり、本実施例のグルコースセンサを使用して定量的にグルコース濃度を測定できることが分かった。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述した形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で当業者が想到し得る他の形態または各種の変更例についても本発明の技術的範囲に属するものと理解される。
100、200 グルコースセンサ
110、210 分子識別部材
111 基材
113 分子識別素子
120 検出素子
121 ソース電極
123 ドレイン電極
125 半導体基板
127 絶縁膜
150 金属電極
151、230 金属線
160 参照電極
220 半導体素子

Claims (20)

  1. 体液中に含まれる対象物質を測定するためのバイオセンサであって、
    前記体液を浸透可能な基材と前記基材に固定化され、前記基材に浸透した前記体液中に含まれる前記対象物質と相互作用可能な分子識別素子と、を有する分子識別部材と、
    前記分子識別部材と接続可能であり、前記相互作用の結果生じる変化を検出する検出素子と、
    を備え
    前記分子識別素子が、前記基材に分散担持された貴金属と結合することで前記基材に固定化されており、
    前記検出素子が、第1の電極及び第2の電極が設けられた半導体基板と、前記半導体基板の前記第1の電極と前記第2の電極とに挟まれた部分の表面に設けられた絶縁体と、を有し、
    前記分子識別部材が、前記絶縁体を介して前記半導体基板に接続されている、バイオセンサ。
  2. 前記分子識別部材が、更に可撓性と生体適合性の少なくともいずれか一方を有する、請求項1に記載のバイオセンサ。
  3. 前記分子識別素子が、前記分子識別部材の内部に存在する、請求項1又は2に記載のバイオセンサ。
  4. 前記分子識別部材が、前記検出素子に着脱自在に接続される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  5. 前記分子識別素子が、前記対象物質と反応して前記分子識別部材における電荷密度とキャパシタンスの少なくともいずれか一方を変化させる物質であり、
    前記検出素子が、前記分子識別部材における電荷密度とキャパシタンスの少なくともいずれか一方の変化を電位の変化として検出し、
    前記検出素子により検出された電位の変化に基づき、前記対象物質を定量する、請求項1〜のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  6. 前記対象物質が、グルコースである、請求項1〜のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  7. 前記分子識別素子が、フェニルボロン酸、グルコース結合蛋白質(GBP)又はそれらの誘導体である、請求項に記載のバイオセンサ。
  8. 前記体液が、涙、汗、唾液又は鼻水である、請求項1〜のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  9. 前記絶縁体が、前記半導体基板の前記第1の電極と前記第2の電極とに挟まれた部分の表面に設けられた絶縁膜である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  10. 前記絶縁膜上に金属電極と、前記金属電極と前記分子識別部材とを接続する金属線と、を更に備え、
    前記分子識別部材が、前記金属電極と前記金属線を介して前記絶縁膜に接続されている、請求項9に記載のバイオセンサ。
  11. 前記絶縁膜上に導電性部材を更に備え、
    前記分子識別部材が、前記導電性部材を介して前記絶縁膜に接続されている、請求項9に記載のバイオセンサ。
  12. 前記分子識別部材が、前記絶縁膜上に積層されている、請求項9に記載のバイオセンサ。
  13. 体液を浸透可能な基材と前記基材に固定化され、前記基材に浸透した前記体液中に含まれる対象物質と相互作用可能な分子識別素子と、を備え、且つ、前記相互作用の結果生じる変化を検出する検出素子と接続するための分子識別部材であり、
    前記分子識別素子が、前記基材に分散担持された貴金属と結合することで前記基材に固定化されており、
    前記検出素子が、第1の電極及び第2の電極が設けられた半導体基板と、前記半導体基板の前記第1の電極と前記第2の電極とに挟まれた部分の表面に設けられた絶縁体と、を有し、
    前記絶縁体を介して前記半導体基板に着脱自在に接続可能な分子識別部材。
  14. 更に可撓性と生体適合性の少なくともいずれか一方を有する、請求項13に記載の分子識別部材。
  15. 前記分子識別素子が、前記分子識別部材の内部に存在する、請求項13又は14に記載の分子識別部材。
  16. 前記分子識別素子が、前記対象物質と反応して前記分子識別部材における電荷密度とキャパシタンスの少なくともいずれか一方を変化させる物質である、請求項1315のいずれか一項に記載の分子識別部材。
  17. 前記対象物質が、グルコースである、請求項1316のいずれか一項に記載の分子識別部材。
  18. 前記分子識別素子が、フェニルボロン酸、グルコース結合蛋白質(GBP)又はそれらの誘導体である、請求項17に記載の分子識別部材。
  19. 前記体液が、涙、汗、唾液又は鼻水である、請求項1318のいずれか一項に記載の分子識別部材。
  20. 前記体液中に含まれる前記対象物質を測定するためのバイオセンサに用いられる、請求項1319のいずれか一項に記載の分子識別部材。
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