JP6990396B2 - 電界効果トランジスタを備えるバイオセンサ - Google Patents

電界効果トランジスタを備えるバイオセンサ Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 (1)公開1 ▲1▼発行日 : 平成29年(2017年)7月14日 ▲2▼刊行物 : 東京大学工学系研究科マテリアル工学専攻 修士論文発表会(開催場所:国立大学法人東京大学工学部、開催日時:平成29年7月26日)の要旨集 ▲3▼公開者 : 西谷象一 ▲4▼公開された発明の内容:西谷象一が、東京大学工学系研究科マテリアル工学専攻修士論文発表会要旨集にて、坂田利弥及び西谷象一が発明した電界効果トランジスタを備えるバイオセンサに関する研究の一部を公開した。 (2)公開2 ▲1▼開催日 : 平成29年(2017年)8月20日 ▲2▼集会名、開催場所 :「254th ACS National Meeting&Exposition」、平成29年(2017年)8月20日~24日開催、ワシントンDC ▲3▼公開者 : 西谷象一、坂田利弥 ▲4▼公開された発明の内容:西谷象一及び坂田利弥が、国際学会である「254th ACS National Meeting&Exposition」において、西谷象一及び坂田利弥が発明した電界効果トランジスタを備えるバイオセンサに関する研究の一部を公開した。 (3)公開3 ▲1▼発行日 : 平成29年(2017年)8月25日 ▲2▼刊行物 : 第78回応用物理学会秋季学術講演会予稿集 ▲3▼公開者 : 坂田利弥、西谷象一 ▲4▼公開された発明の内容:坂田利弥及び西谷象一が、第78回応用物理学会秋季学術講演会予稿集にて、坂田利弥及び西谷象一が発明した電界効果トランジスタを備えるバイオセンサに関する研究の一部を公開した。
本発明は、電界効果トランジスタを備えるバイオセンサに関し、特に、非検出対象からのノイズを抑制するためのゲート電極表面の修飾及びその方法に関する。
ポータブル医療や生体埋植型センサをはじめとする次世代医療の発展には、疾病や健康状態の指標となる低分子バイオマーカーを迅速、正確、かつ簡便に計測するバイオセンシング技術が必要である。そのようなバイオセンシングのためのバイオセンサは、化学物質を測定対象とする化学センサの一種であり、一般に、ターゲットとなる測定対象物質のみを認識する分子識別素子と、認識したという情報を電気的な信号等の物理的な信号に変換する信号変換素子とで構成される。
種々のバイオセンサのなかでも、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を用いたバイオセンサは、分子の吸着・結合により生じたセンサ界面の微小な電位(電化密度)の変化を検出することができるため、低分子量のターゲット化合物を高感度に計測できる手法として有用である。さらに、FETバイオセンサは、(1)測定までの手間や時間がかからない、(2)リアルタイム測定が可能である、(3)非標識、非侵襲での電気的計測が可能である、(4)半導体の微細加工技術により小型化、集積化が可能である、等の特徴を併せ持つものである。
従来のFETバイオセンサとしては、ターゲットとする化合物と特異的に相互作用し得る部位をセンサ表面に修飾することで選択性を高める試みがなされている(例えば、本発明者らによる特許文献1)。しかしながら、そのような高選択性化の構成を採用した場合であっても、夾雑物を多数含む生体サンプルを対象とした測定、特に低分子化合物をターゲットする測定では、夾雑物由来の応答ノイズの影響が大きかった。したがって、かかる低分子化合物を選択的に検出するためには、より高度なデバイス設計、特に電極界面の設計が必要となるが、未だプラットホームとなるデバイス概念は確立されていないのが現状である。
特許第5447716号公報
そこで、本発明は、夾雑物による応答ノイズを抑制し、低分子化合物等のターゲット分子を高感度及び高選択的に検出可能な電界効果トランジスタバイオセンサ、及びそのための新規センシング界面の構築方法を提供することを課題とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、電界効果トランジスタのゲート電極表面(界面)においてターゲット分子の特異的結合・吸着を目指す従来の手法とは異なり、電極表面上に一定の厚みを有するポリマー層を設け、当該ポリマー層により夾雑物を捕捉・排除(フィルタリング)することで、ターゲットとする分子のみを選択的に電極表面まで透過させ、低分子化合物を高感度で検出し得るバイオセンサを提供できることを見出した。さらに、電極表面を上記ポリマー層で修飾するにあたり、まずジアゾニウム化合物塩を用いて下地となる第1層を固定化させ、その後、原子移動ラジカル重合によりポリマー鎖を伸長させてフィルター領域となる第2層を形成することで、所望の密度及び厚さを制御可能なポリマー層を形成できることを見出した。これらの知見に基づき本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、一態様において、
<1>電界効果トランジスタを検出素子として備えるバイオセンサであって、
前記電界効果トランジスタのゲート電極の表面が、ポリマー層により表面修飾されており、前記ポリマー層は、検出対象とする物質の存在が電位変化として検出される検出領域と、当該検出対象とする物質以外の夾雑物を特異的に捕捉するための捕捉部を有するフィルター領域よりなり、
前記捕捉部は、前記ゲート電極の表面からデバイ長を超える位置に存在する、該バイオセンサ;
<2>前記ポリマー層が、10~100nmの厚さを有する、上記<1>に記載のバイオセンサ;
<3>前記ポリマー層が、当該層を構成するポリマー鎖の末端のアリール基においてゲート電極の表面と共有結合により固定化されている、上記<1>又は<2>に記載のバイオセンサ;
<4>前記電界効果トランジスタが、伸長ゲート型電界効果トランジスタである、上記<1>~<3>のいずれか1に記載のバイオセンサ;
<5>前記ゲート電極が、金ゲート電極である、上記<1>~<4>のいずれか1に記載のバイオセンサ;
<6>前記フィルター領域が、ポリメタクリル酸エステル骨格を有するポリマーよりなる、上記<1>~<5>のいずれか1に記載のバイオセンサ;及び
<7>前記捕捉部が、フェニルボロン酸である、上記<1>~<6>のいずれか1に記載のバイオセンサ
を提供するものである。
また、別の態様において、本発明は、
<8>バイオセンサに用いるための、電界効果トランジスタのゲート電極の表面修飾方法であって、(a)ジアゾニウム化合物塩を含む溶液を前記ゲート電極に接触させ、前記ゲート電極の表面に第1層を形成する工程、(b)原子移動ラジカル重合により前記第1層の末端からポリマー鎖を伸長し、第1層の上に第2層を形成する工程、及び(c)第2層を形成する前記ポリマー鎖に、検出対象とする物質以外の夾雑物を特異的に捕捉するための捕捉部を導入する工程、を含む該方法;
<9>前記工程(a)において、ジアゾニウム化合物塩に加えて、末端にチオール基を有する化合物を含む溶液を用いて第1層を形成し、その後、紫外線照射により当該チオール基を有する化合物とゲート電極の表面に形成された共有結合のみを分解させる工程を含む、上記<9>に記載の方法;
<10>前記工程(b)における原子移動ラジカル重合が光活性化触媒の存在下で行われる、上記<9>に記載の方法;
<11>前記電界効果トランジスタが、伸長ゲート型電界効果トランジスタである、上記<8>~<10>のいずれか1に記載の方法;
<12>前記ゲート電極が、金ゲート電極である、上記<8>~<11>のいずれか1に記載の方法;
<13>前記ジアゾニウム化合物塩が、アリールジアゾニウム塩である、上記<8>~<12>のいずれか1に記載の方法;
<14>前記ポリマー鎖が、ポリメタクリル酸エステル骨格を有する、上記<8>~<13>のいずれか1に記載の方法;及び
<15>前記捕捉部がフェニルボロン酸である、上記<8>~<14>のいずれか1に記載の方法
を提供するものである。
本発明のバイオセンサによれば、電界効果トランジスタ(FET)のゲート電極表面をポリマー層で修飾し、かつ夾雑物を選択的に捕捉する捕捉部を当該ポリマー層に導入することで、サイズ排除と特異的捕捉という2つのフィルタリング効果によって望ましくない夾雑物由来のノイズシグナルを大幅に抑制することができ、その結果、ターゲットとする低分子化合物をnMオーダーの高感度かつ選択的に検出することができる。このようなセンシング界面の設計は、電極界面にターゲット分子をいかに特異的に結合させるかを目指す従来の手法とは全く発想を異にするものである。
また、ゲート電極表面の修飾において、ジアゾニウム化合物塩を用いて電極表面との強固な結合を形成したうえで、その上方に原子移動ラジカル重合によりポリマー層を形成する手法を用いることで、所望の密度及び厚さを制御可能な多層ポリマー層のパターニングを可能とすることができる。
図1は、本発明のバイオセンサの全体構成を示す概略図である。 図2は、本発明における検出機構(B)と従来法(A)との比較を示す模式図である。 図3は、本発明におけるポリマー層の構造を示した図である。 図4は、本発明のバイオセンサによるリアルタイムFTE測定の結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
1.バイオセンサの全体構成
本発明のバイオセンサの好ましい実施態様における全体構成を図1に示す。バイオセンサ10は、検出対象物質の存在を識別するセンシング部11と、検出部としての電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)12とを備える。バイオセンサ10は、センシング部11において試料中に含まれる検出対象物質を識別し、識別された情報をFET12において電気的な信号に変換することにより、試料中の検出対象物質の存在及び濃度を検出する。ここで試料とは、非侵襲的に採取した試料、すなわち血液以外の生体液として、汗、涙、唾液を挙げることができる。
なお、図1では、代表的な例示として、ゲート電極21が金属線36を介して金属電極32と電気的に接続された構成を有する、いわゆる伸長ゲート(Extended-gate)型のFETを使用した場合を例に挙げて説明するが、本発明に係るバイオセンサは、このような例に限定されるものではない。例えば、検出素子として、絶縁膜上に測定対象を固定化する通常のFETを用いてもよい。
本発明のバイオセンサによる検出の対象物質としては、低分子のバイオマーカーが好適であり、そのようなバイオマーカーとしては、典型的には、システインやチロシン等のアミノ酸、糖尿病と関わりの深いグルコース、神経伝達物質であるドーパやドーパミン、アレルギー応答に関わりのあるヒスタミンなどの生体化合物を挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではなく乳酸、尿酸、シアル酸、シアリルラクトース、フルクトース、パロモマイシン(paromomycin)、カナマイシン(Kanamycin)、L-エピネフリン等を対象とすることもできる。
センシング部11は、ゲート電極(伸長ゲート電極)21と、ゲート電極21上に設けられたポリマー層22とを備える。当該ポリマー層は、後述のとおり、ターゲットとなる検出対象物質の応答を検出する際に、ノイズシグナルを生じさせて、本来目的とする検出対象物質によるシグナルに影響を与える夾雑物を選択的に捕捉又は排除する機能を有し、これにより検出対象物質のみをゲート電極21の界面付近に透過させるためのものである。
図1に示す実施態様では、センシング部11は、ゲート電極21の一側表面上に円筒状の壁部を設けて容器23が形成されており、当該容器23内に識別物質を含む試料を添加される。ゲート電極21は、好ましくは、金(Au)や銀(Ag)や銅(Cu)で形成することができるが、より好ましくは金である。性質を有することを意味する。容器23の容量については特に制限されるものではないが、バイオセンサの測定に必要な試料の量(例えば、0.1μL~1μL程度)以上の微量の体液を収容できることが好ましい。
FET12は、上述したセンシング部11と電気的に接続可能であり、上記の対象物質とセンシング部11との相互作用の結果生じる変化を検出する素子である。図1に示すように、FET12は、半導体基板31の表面に形成されたソース電極34及びドレイン電極35と、これらの上に形成されたゲート絶縁膜33とを備える。FET12としては、nチャネル型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(n-MOS)が好適であるが、pチャネル型MOSFET(p-MOS)やnチャネル接合型FET、pチャネル接合型FETを用いることもできる。ゲート絶縁膜33上には、金属電極32が形成されている。金属電極32は、配線36を介して、センシング部側のゲート電極21と電気的に接続されている。金属電極32は、Au、Ag、Cu等で形成することができる。
半導体基板31の素材としては、特に制限されるものではないが、Si、GaAs、透明酸化物半導体(例えば、ITO、IGZO、IZO)、有機半導体、炭素半導体(例えば、カーボンナノチューブ、グラフェン半導体、ダイヤモンド半導体等)等、公知の半導体を適宜選択して用いることができる。炭素半導体を用いる場合には、Siを使用した場合よりもセンサの測定感度をより高くすることができる点で好ましい。
ゲート絶縁膜33は、半導体基板31におけるソース電極34とドレイン電極35とに挟まれた部分(すなわち、図1のFETにおけるp型半導体部分)の表面に設けられており、SiO、Si(SiN)、Ta、Al等の酸化物又は窒化物等で形成することができる。
ソース電極34とドレイン電極35は、電源37及び電流計38が電気的に接続されており、ソース電極34からドレイン電極35へ流れるドレイン電流を計測するように形成されている。ゲート絶縁膜33上の電荷密度が変化すると、ドレイン電流の大きさが変化する。すなわちドレイン電流を一定に保つためには、ゲート絶縁膜33上の電荷密度の変化に伴いゲート電圧を変化させる必要がある。FET12は、このゲート電圧の変化を計測することにより、ゲート絶縁膜33上の電荷密度の変化を電気的に計測する。
この際、必要に応じて、図1に示すように参照電極24を設けてもよい。参照電極24は、センシング部11と電気的に接続され、ソース電極34及びドレイン電極35とともに閉回路を形成し、FETにおける電圧測定の基準電位となる電極であり、アースされることもある。実用上は、FETにおける電圧測定の際に必要となるが、他の方法により対象物質の測定が可能であれば参照電極24を設けることは必ずしも必須ではない。
なお、FETバイオセンサにおける一般的な検出原理については、例えば、特許第5447716号公報(特許文献1)において説明されており、当該文献を参照することができる。
2.ゲート電極表面のポリマー層
本発明のバイオセンサは、ゲート電極(伸長ゲート電極)21の表面がポリマー層により表面修飾されていることを特徴とする。当該ポリマー層を設けることによって、本来目的とする検出対象物質によるシグナルに対するノイズシグナルを生じさせる非検出対象物質、すなわち夾雑物を選択的に捕捉又は排除する機能を有する。これにより検出対象物質のみをゲート電極21の界面付近に透過させ、目的とする検出対象物質由来のシグナルのみを検出することができる。
本発明における検出機構と従来法との比較を示す模式図を図2に示す。図2Aは、電界効果トランジスタのゲート電極表面に検出対象とするターゲット分子と選択的に結合し得る物質を修飾することにより、ターゲット分子を特異的に検出するという従来のアプローチである。一方、図2Bは、それとは全く異なる本発明におけるアプローチを示したものである。すなわち、本発明では、ゲート電極表面に、ポリマー層(ポリマーフィルター)を設けることにより、「サイズ排除」と「特異的捕捉」という2つのフィルタリング効果によって望ましくない夾雑物が電極界面への侵入することを防ぎ、夾雑物由来の電気シグナルが検出されないようするとともに、ターゲット分子のみが電極界面に到達できるため、S/N比を向上させることができるというアプローチである。具体的には、ポリマー層の存在により、タンパク質等の大きな分子はサイズ排除効果によって電極界面への到達することができず、また、低分子の夾雑物については、ポリマー層にターゲット分子の検出の阻害となる夾雑物を選択的に捕捉する捕捉部を導入することで、当該夾雑物をポリマー層の段階で捕捉して電極界面への更なる侵入を防ぐものである。
本発明のバイオセンサにおけるポリマー層の構造を以下に説明する。当該ポリマー層は、i)検出対象とする物質の存在が電位変化として検出される検出領域と、ii)当該検出対象とする物質以外の夾雑物を特異的に捕捉するための捕捉部を有するフィルター領域よりなるものである。ポリマー層の好ましい態様をポリマー層の構造を図3に示す。当該態様は、検出ターゲットとする低分子化合物がアミノ酸の一種であるL-システインであり、夾雑物として同程度の低分子化合物であるドーパミンが存在する場合を想定したものである。好ましくは、ポリマー層は、10~100nmの厚さを有する。
図3に示すように、ポリマー層は、検出領域とそこからポリマーが伸長して形成されるフィルター領域を有している。検出領域はゲート電極に共有結合により連結され、その厚さは数ナノメートル以内であり、好ましくは、デバイ長以内であり、典型的には5nm以内である。ここで、デバイ長とは、ゲート電極近傍で化合物の存在による電位変化が観測され得る領域のことである。当該デバイ長は、測定に用いるセンシング部11内の溶液濃度等にも依存するものであり、場合によって、1、2、3、又は4nmであることもあり、或いは、5~10nmの範囲となることもある。また、当該フィルター領域の層は、最終的なポリマー層全体の密度を制御する際にも重要となる。
そして、検出領域の上方には、所定の長さを有するポリマー鎖で構成されるフィルター領域が存在する。当該フィルター領域において、ポリマー鎖には夾雑物と特異的に結合して捕捉するための捕捉部が導入されている。当該捕捉部は、ゲート電極の表面からデバイ長を超える位置に存在する。図3に示した例では、夾雑物であるドーパミンと特異的に結合して捕捉できるボロン酸構造が、捕捉部として導入されている。フェニルボロン酸は、ジオール含有分子と安定したエステルを形成することができ、カテコール基に対して非常に高い結合親和性を有することが知られている。そのため、試料中に存在するドーパミンは、フィルター領域においてフェニルボロン酸により捕捉され、デバイ長内の検出領域に侵入することができず、電位応答を生じさせない。これに対し、ターゲット分子であるL-システインは、フェニルボロン酸に対する親和性を有していないため、フィルター領域を通過し、選択的に検出領域に到達することができるため、L-システインを選択的に検出することが可能となる。
検出領域は、その末端で共有結合によりゲート電極表面に固定されており、好ましくは、検出領域末端の炭素原子と電極を構成するAu等の金属との共有結合により固定化されている。より好ましくは、検出領域末端のアリール基(すなわち、ポリマー鎖の末端のアリール基)においてゲート電極の表面と共有結合により固定化されていることができる。
フィルター領域のポリマー鎖を構成するポリマーとしては、親水性ポリマーを用いることができ、典型的には、ポリメタクリル酸エステル骨格を有するポリマーである。例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等を挙げることができる。また、ポリエチレングリコール等の当該技術分野において公知の親水性ポリマーを用いることもできる。また、フィルター領域を構成するポリマー鎖を互いに架橋させて、より強固な構造とすることもできる。
捕捉部としては、例えば、フェニルボロン酸及びその誘導体を用いることができるが、これに限定されるものではなく、対象とする夾雑物と選択的に相互作用して、その結合・捕捉が可能なものであれば任意の官能基等を用いることができる。例えば、酸性の標的化合物に対してはビニルピリジン、中性の標的化合物に対してはアクリルアミドやメタクリルアミドなどを用いることができ、尿酸を捕捉する場合にはメラミン構造を有する(2-ビニル-4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン)を用いることができる。また、場合によっては、分子鋳型ポリマーをフィルター領域に用いることにより、ポリマー中の鋳型部分で標的化合物を捕捉する態様を採用することも可能である。
本発明におけるポリマー層は、自己組織化単分子膜(SAMs:Self-Assembled Monolayers)であることが好ましい。一般に、自己組織化単分子膜とは、固体表面に結合、集積し、分子間力等の相互的に働く力によって自発的に形成される単分子膜のことをいう。
3.ゲート電極の表面修飾方法(ポリマー層の形成)
一態様において、本発明は、バイオセンサに用いるための、電界効果トランジスタのゲート電極の表面修飾方法にも関する。具体的には、本発明の方法は、以下の工程(a)~(c)を含むことを特徴とする。
(a)ジアゾニウム化合物塩を含む溶液を前記ゲート電極に接触させ、前記ゲート電極の表面に第1層を形成する工程、
(b)原子移動ラジカル重合により前記第1層の末端からポリマー鎖を伸長し、第1層の上に第2層を形成する工程、及び
(c)第2層を形成する前記ポリマー鎖に、検出対象とする物質以外の夾雑物を特異的に捕捉するための捕捉部を導入する工程。
工程(a)は、上記ポリマー層における検出領域に相当する第1層を形成する工程である。当該第1層は、後述のフィルター領域を形成させるための下地層ともなるものである。したがって、当該第1層は、検出領域がデバイ長の範囲内となる厚さとすることが好ましい。典型的には、ゲート電極の表面から5nmの範囲内の厚さであることが好ましい。当該第1層は、自己組織化単分子膜として形成されてもよい。
ジアゾニウム化合物塩を用いてかかる第1層部分を形成させる反応を行うことで、従来用いられてきた-S-結合ではなく、-C-結合により、Au等のゲート電極表面と強固な共有結合により固定化することができる。好ましくは、ジアゾニウム化合物塩は、アリールジアゾニウム塩である。
より具体的には、ジアゾニウム化合物塩は、反応性の炭素ラジカルを経て電極表面に結合する。炭素ラジカルの生成は、電気化学的還元によって行われ、水または有機溶媒中で電位サイクルを用いて還元電位を印加することにより、数サイクル以内に電極表面と結合することができる(数秒から数分のオーダー)。
Figure 0006990396000001
このようなジアゾニウム化合物塩、特にアリールジアゾニウム塩を用いる表面修飾の利点としては、簡便で迅速な修飾方法であること;炭素、金属、半導体などの様々な基板表面に適用できること;ジアゾニウム塩のp-置換基を設計することによって任意の官能基を柔軟に導入できること;及び、アリール=電極表面の間の強い共有結合を有することを挙げることができる。なお、後述の工程(b)におけるポリマー鎖の重合反応の観点から、ジアゾニウム塩のp-置換基は、ヒドロキシアルキル又はニトロ基であることが好ましい。
当該工程(a)の変形例として、ジアゾニウム化合物塩に加えて、末端にチオール基を有する化合物を含む溶液を用いて第1層を形成し、その後、紫外線照射により当該チオール基(-SH)を有する化合物とゲート電極の表面に形成された共有結合のみを分解させる工程を行うことも可能である。かかる工程の模式図を以下に示す。
Figure 0006990396000002
この場合には、上述のようなジアゾニウム化合物塩由来の層形成に加えて、チオール基に由来する-S-結合による層も形成されるが、かかる-S-結合は、紫外線(UV)照射によって分解されるため、-S-結合由来する層部分を除去し、ジアゾニウム化合物塩由来の層部分のみを残存させることができる。したがって、ジアゾニウム化合物塩とチオール基含有化合物との比率等を調整することで、第1層の密度を制御することが可能となる。
工程(b)は、上記(a)で形成された第1層の末端から、その上方にポリマー鎖を形成し、上記ポリマー層におけるフィルター領域に相当する第2層を形成する工程である。
具体的には、以下のスキーム中の(1)に示すように、原子移動ラジカル重合(ATRP:
Atom Transfer Radical Polymerization)を用いて第1層の末端からポリマー鎖を伸長し、第1層の上に第2層を形成する。原子移動ラジカル重合では、ポリマー分布や鎖長の制御が可能であるという利点がある。
Figure 0006990396000003
原子移動ラジカル重合反応を行うため、第1層の末端には、反応開始剤である臭化アルキル等のハロゲン化アルキル基が導入される。その後、触媒存在下でモノマーの重合反応を行う。ここで用いられるモノマーとしては、メタクリル酸エステル等を挙げることができ、好ましくは、メタクリル酸メチル(MAA)である。さらに好ましくは、親水性の制御のために、メタクリル酸メチルと2-ヒドロキシエチルメタクリレートの組み合わせを用いることもできる。なお、これら以外にも、上述のように、第2層を構成するポリマーとして種々の親水性ポリマーを用いることもできる。
原子移動ラジカル重合反応における触媒は、当該技術分野において公知の触媒を用いることができるが、好ましくは金属配位子錯体である。より好ましくは、触媒は光照射によって活性化し得る触媒(光活性化触媒)であり、そのような光活性化触媒の例としては、トリス(2-フェニルピリジナト)イリジウム(III)(fac-Ir(ppy))を挙げることができる。かかる光活性化触媒による重合反応を用いることで、光を照射した領域のみにポリマー伸長制御できるため、リソグラフィー等によりポリマー層を3次元的にパターン化することも可能となる。
工程(c)は、上記工程(b)で形成されたポリマー鎖に、検出対象とする物質以外の夾雑物を特異的に捕捉するための捕捉部を導入する工程である。当該導入は、所望の捕捉部の種類に応じて、当該技術分野において公知の手法によって行うことができる。好ましい例示として、上記スキーム中の(2)に示したように、ポリマー鎖がポリメタクリル酸エステル骨格である場合には、アミノ基を有するフェニルボロン酸化合物を用いるアミド化反応によって、捕捉部であるフェニルボロン酸を導入することができる。
上述のとおり、本発明の表面修飾によって得られるポリマー層(第1層と第2層)は、全体として10~100nmの厚さを有することが好ましい。また、第1層の厚さがデバイ長に対応した範囲内であるため、工程(c)で導入される捕捉部は、ゲート電極表面からの距離が当該デバイ長を超えた位置に存在することとなる。これにより、当該捕捉部で捕捉された夾雑物は、デバイ長内の領域(すなわち検出領域)には侵入できないため、ノイズシグナルを抑制することができ、S/N比の高い高感度で選択的にターゲット分子を検出することが可能となる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[試薬]
2-(4-アミノフェニル)エタノール(APE)、2-ブロモイソブチリルブロミド(BiBB)、4-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート(NBD)、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)、およびエチル2-ブロモイソブレート(EBiB)を東京化成工業からの市販品を用いた。テトラフルオロホウ酸(HBF 4)、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)、トリエチルアミン(TEA)、メタクリル酸(MAA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N、N'-メチレンビスアクリルアミド(MBAAm)、トリス(2-フェニルピリジナト)イリジウム(III)(fac-Ir(ppy)3)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロライド(DMT-MM)、m-アミノフェニルボロン酸(APBA)、ドーパミン塩酸塩、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-L-アラニン(L-DOPA)、システイン、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、1M 塩酸、ジクロロメタン、固体NaCl、Na2 HPO4、NaH2 PO4、蒸留水、エタノール、およびメタノールは和光純薬工業からの市販品を用いた。
1.ゲート電極表面の修飾
以下の手順により、FETの伸長ゲート電極(Au電極)の表面を修飾して、ポリマー層を形成した。なお、出発物質として、OH基末端を用いるジアゾニウム塩を用いる方法、及びニトロ基末端を有するジアゾニウム塩を用いる方法の2通りを行った。
1-1 OH末端を有するジアゾニウム塩を用いる修飾
(a)金電極におけるOH末端を有するアリールジアゾニウムのグラフト化
100mLの0.5M HClを300mLビーカー中で氷冷水中で撹拌した。28mg(0.2mmol)の2-(4-アミノフェニル)エタノール(APE)を添加し、5分間撹拌した。 次に、水中200mM NaNO2 2mLを1mL加え、15分間攪拌した。 洗浄したAu電極を溶液に浸漬し、50mV / sで0.4Vから-0.3Vまでの電位サイクルを行った。5サイクル後、基質をメタノールおよび水で十分に洗浄した。
(b)重合開始剤の導入
次いで、フェニル基の末端水酸基の臭化アルキルへのエステル化反応を、以下の手順で行った13。OH-Au電極をキャップ付きビーカー内のジクロロメタン50mLに浸漬し、氷冷水中で攪拌した。 712μL(5mmol)のトリエチルアミン(TEA)を添加した。次に、臭化2-ブロモイソブチリル(BiBB)628μL(5mmol)を混合物に滴下した。 混合物を4℃以下で2時間撹拌し、室温で撹拌した。 24時間。 得られたAu電極(Br-Au)をメタノールと水で十分に洗浄した。
(c)ポリマー重合
臭化アルキルを導入した表面に対して、光媒介性の原子移動ラジカル重合(ATRP)を用いた表面開始重合を以下の手順によって行った。メタクリル酸(MAA)3mL(35mmol)および2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)1.9mL(15mmol)をメタノール45mLに溶解した。 混合物を窒素ガスのバブリングにより30分間脱酸素化した。 次に、Br-Au基板を、キャップ付きビーカー内の溶液に撹拌機を用いて浸漬した。 次に、0.69mgのfac-Ir(ppy)3を混合物に添加した。 紫外光を混合物に24時間照射した。重合反応後、基質をメタノールに1時間浸漬し、次いで水で十分に洗浄した。
(d)ポリマーへのフェニルボロン酸の導入
メタクリル酸とm-アミノフェニルボロン酸(APBA)のアミド化は、水溶性触媒としてDMT-MMを用いて行った。 16.1mg(0.1mmol)のAPBAおよび28.2mg(0.1mmol)のDMT-MMを10mLのメタノールに溶解した。ポリマー被覆Au電極を溶液に浸漬し、12時間撹拌した。
1-2 ニトロ末端を有するジアゾニウム塩を用いる修飾
(a)ニトロ基末端を有するアリールジアゾニウムのグラフト化
4-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボラート(NBD)2.4mg(0.01mmol)およびnBu4PF6 98.8mg(0.25mmol)をアセトニトリル10mL(それぞれ1mMおよび25mM)に溶解した。8.1mg(0.02mmol)のDPPHを単層修飾のために添加した。 洗浄したAu電極を混合物に浸漬し、50mV / sで0.3Vから-0.7Vの電位サイクルを行った。合計5サイクル後、サンプルをメタノール中で2分間超音波処理し、次いで蒸留水で十分に洗浄した。
(b)ニトロ基の還元
ニトロベンゼンを、以下の手順によりアニリンに還元した。NB-Au基質を1/9 v%エタノール/水に浸漬した。電位サイクルは、50mV / sで0.2Vから1.2Vまで行った。 10サイクル後、変性Au電極をメタノールと水で洗浄した
(c)重合開始剤の導入
上記1-1(b)と同様の手順で臭化アルキルを導入した。
(d)ポリマー重合及びフェニルボロン酸の導入
上記1-1(c)及び(d)と同様の手順で電極表面上でのポリマー重合及びフェニルボロン酸の導入を行った。
2.リアルタイムFET測定
FETリアルタイムモニタリングシステムに接合型FET(K246-Y9A、東芝)を接続し、ゲートをAu電極に接続した。測定前に、市販の瞬間接着剤を使用して、1mLのリングを感知面の周囲に封入した。表面電位は、デバイス内のVSを自動的に変化させながら一定のIDS =700μAを印加して測定し、Voutとして抽出した。ここで、Voutの値は、VTまたは表面電位の尺度である。pH測定のために、以下の手順で調製した100mMリン酸緩衝液(5.6,6.0,6.4,6.8および7.2)を用いてpHを調整した。まず、蒸留水中の200mM Na2HPO4およびNaH2PO4を調製した。次に、各溶液を20mLの蒸留水に表1に記載の比率で添加した。 pH /イオンメーター(F-53、堀場製作所)を用いて溶液のpHを測定した。全てのサンプルはpH7.2で開始した。表面電位の安定化後、pHを7.2から5.6まで変化させ、次いで溶液を2回交換することによってpHを7.2に戻した。
Figure 0006990396000004
測定では、検体濃度を制御するために溶液を交換する代わりに、シリンジポンプ(Harvard)を使用して一定の速度(一般に5μL/分)で標的分子を連続的に注入した。これにより濃度は連続的かつ徐々に増加する。時間は、以下の仮定に基づいて濃度に変換された:(1)システムがパラフィルムで覆われているので、媒体の蒸発は無視できる。(2)緩衝液と標的溶液の密度が等しくなるように濃度が十分に低い。(3)kμL/分はk /60μL/ sに変換できる。そして、初期容積をV1(μL)とし、注入した目的溶液の濃度をM(mol / L)とすると、時刻t1(s)における濃度Ct(mol / L)は、 以下の関係式で表すことができる。
Figure 0006990396000005
2-1 Au電極のFETバイオセンサの検出能
まず、ポリマー層による表面修飾を有しないFETバイオセンサについて、低分子の生体化合物の検出能を評価した。伸長ゲート電極としてAuを用いた。結果を以下の表2に示す。表中、「感度」とは、センサによる検出限界である。「強度」とは、表面電位の最大変化である。「方向」は、信号シフトの方向である。「電荷」は、pH7.4での生体分子が有する電荷である。
Figure 0006990396000006
表中、「感度」とは、センサによる検出限界である。「強度」とは、表面電位の最大変化である。「方向」は、信号シフトの方向である。「電荷」は、pH7.4での生体分子が有する電荷である。
その結果、Auゲート電極は、標的分子に対する特異的結合部位などの表面修飾を行わない状態であっても、フルクトースとチロシン以外の低分子化合物を検出可能であることが分かった。ここで、検出応答が分子自体の有する電荷とは相関していないことから、かかる応答は、Au表面上への生体分子の単純な吸着に由来するものではないと考えられる。必ずしも理論的な解明がなされていないが、かかる現象は、これら生体分子とAuとの間で、酸化等の電気化学的反応が生じることでFET応答が観測された可能性が考えられる。
2-2 ポリマー層を導入したFETバイオセンサによるセンシング
次に、上記1-1により調整した伸長ゲート電極表面にポリマー層を有するFETバイオセンサを用いて、L-システインの選択的検出を行った。夾雑物として、ドーパミン及びL-DOPAを用いた。得られた結果を図4A~Dに示す。いずれの結果もフェニルボロン酸(PBA)を導入したものに加えて、比較例としてPBA無しの修飾電極を用いたものについて測定を行った。
図4Aは、ドーパミンを連続注入した場合の表面電位の変化を示した結果である。注入後、PBA有無の2つの異なるFETの応答の差異が明確に観察された。 両方の場合の表面電位は低下したが、PBAを含まないポリマーで被覆したものはより強い応答を示した。 この結果は、ドーパミンがポリマー層に捕捉され、検出領域に到達しなかったことを示している。
L-DOPAを添加した同様も結果が観察された(図4B)。なお、1mM L-DOPAを約1600nMの濃度で添加した場合、両デバイスの表面電位は同じ値に急激に低下したが、これはポリマー層におけるPBA単位の限られているため、高濃度では全てのL-DOPAを捕捉できないためである。
次に、標的分子であるL-システインを添加した場合の結果を図4Cに示す。ポリマー中のPBAの存在または非存在は、システインに対する応答にほとんど影響しなかった。これは、システインがPBAには結合せずにポリマー内を通過し、検出表面に到達したためである。 L-システインは、nM程度のオーダーで検出することができた。
最後に、0.03mMのL-DOPA及びシステインの混合溶液を注入した(図4D)。PBA含有ポリマーを含まないセンサはより大きな応答を示した。したがって、PBA含有ポリマーの場合には、夾雑物であるL-DOPAはポリマー層内に捕捉されたことが示唆される。この結果は、低分子量の生体分子であるL-システインを高感度かつ選択的な検出を実証するものである。
10 バイオセンサ
11 センシング部
12 FET(検出部)
21 ゲート電極(伸長ゲート電極)
22 ポリマー層
23 容器
24 参照電極
31 半導体基板
32 金属電極
33 ゲート絶縁膜
34 ソース電極
35 ドレイン電極
36 金属線
37 電源
38 電位計

Claims (13)

  1. 電界効果トランジスタを検出素子として備えるバイオセンサであって、
    前記電界効果トランジスタのゲート電極の表面が、ポリマー層により表面修飾されており、
    前記ポリマー層は、検出対象とする物質の存在が電位変化として検出される検出領域を構成する第1層と、当該検出対象とする物質以外の夾雑物を特異的に捕捉するための捕捉部を有するフィルター領域を構成する第2層よりなり、
    前記第2層は、前記第1層の上部末端からポリマー鎖が伸長することにより、前記第1層の上に形成されており、
    前記ポリマー層が、前記第1層の下部末端のアリール基においてゲート電極の表面と共有結合により固定化されており、
    前記ポリマー層が、10~100nmの厚さを有し、
    前記捕捉部は、前記ゲート電極の表面からデバイ長を超える位置に存在す
    該バイオセンサ。
  2. 前記電界効果トランジスタが、伸長ゲート型電界効果トランジスタである、請求項1に記載のバイオセンサ。
  3. 前記ゲート電極が、金ゲート電極である、請求項1又は2に記載のバイオセンサ。
  4. 前記フィルター領域が、ポリメタクリル酸エステル骨格を有するポリマーよりなる、請求項1~のいずれか1に記載のバイオセンサ。
  5. 前記捕捉部が、フェニルボロン酸である、請求項1~のいずれか1に記載のバイオセンサ。
  6. バイオセンサに用いるための、電界効果トランジスタのゲート電極の表面修飾方法であって、
    (a)ジアゾニウム化合物塩を含む溶液を前記ゲート電極に接触させ、前記ゲート電極の表面に、該表面と共有結合により固定化された第1層を形成する工程、
    (b)原子移動ラジカル重合により前記第1層の末端からポリマー鎖を伸長し、第1層の上に第2層を形成する工程、及び
    (c)第2層を形成する前記ポリマー鎖に、検出対象とする物質以外の夾雑物を特異的に捕捉するための捕捉部を導入する工程、
    を含み、
    前記第1層と前記第2層よりなるポリマー層が、10~100nmの厚さを有する、
    該方法。
  7. 前記工程(a)において、ジアゾニウム化合物塩に加えて、末端にチオール基を有する化合物を含む溶液を用いて第1層を形成し、その後、紫外線照射により当該チオール基を有する化合物とゲート電極の表面に形成された共有結合のみを分解させる工程を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記工程(b)における原子移動ラジカル重合が光活性化触媒の存在下で行われる、請求項7に記載の方法。
  9. 前記電界効果トランジスタが、伸長ゲート型電界効果トランジスタである、請求項6~8のいずれか1に記載の方法。
  10. 前記ゲート電極が、金ゲート電極である、請求項6~9のいずれか1に記載の方法。
  11. 前記ジアゾニウム化合物塩が、アリールジアゾニウム塩である、請求項6~10のいずれか1に記載の方法。
  12. 前記ポリマー鎖が、ポリメタクリル酸エステル骨格を有する、請求項6~11のいずれか1に記載の方法。
  13. 前記捕捉部がフェニルボロン酸である、請求項6~12のいずれか1に記載の方法。
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