JP5446593B2 - 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成方法、並びに、画像形成装置 - Google Patents
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Description
現像剤には、トナー及びキャリアからなる二成分現像剤と、磁性トナーなどのようにトナー単独で用いられる一成分現像剤とがある。その中でも二成分現像剤は、キャリアが現像剤の撹拌・搬送・帯電などの機能を分担し、現像剤として機能分離されているため、制御性がよいなどの特徴があり、現在広く用いられている。
特許文献1には、芯材粒子の表面に樹脂被覆層が形成されてなる樹脂被覆キャリアと、トナーとを有してなり、前記樹脂被覆キャリアの樹脂被覆層中に、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種のマグネシウム化合物が含有されていることを特徴とする負帯電性現像剤が開示されている。
特許文献2には、樹脂被覆キャリアの表面部分においてマグネシウム原子の含有率が2.0〜25.0(原子個数%)の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用キャリアが開示されている。
特許文献3には、主構成成分が鉄・酸素・マグネシウムで、該マグネシウムを0.5〜10重量%含有するコア材が樹脂被覆されている電子写真用キャリアであって、飽和磁化が55〜85(Am2/kg)、残留磁化が3(Am2/kg)以下、保磁力が4(kA/m)以下であり、且つ飽和磁化をσs(Am2/kg)とし、体積基準粒度分布1%粒径をx1(μm)としたとき、σsとx1が下記式を満足することを特徴とする電子写真用キャリアが開示されている。
(1/σs)×750≦x1
特許文献4には、少なくともマグネシウム元素を含有するフェライトよりなるコア粒子の表面に樹脂を被覆してなるキャリアにおいて、該コア粒子は異形化率が5個数%以下であり、且つ、コア粒子表面の最大グレイン径が2μm以上5μm以下であることを特徴とするキャリアが開示されている。
特許文献5には、核材に樹脂を被覆してなる樹脂被覆キャリアにおいて、該樹脂被覆キャリア総量中に占める残存溶剤量が100ppm以下であることを特徴とする静電荷像現像用樹脂被覆キャリアが開示されている。
<1>フェライト粒子、及び、前記フェライト粒子を被覆する樹脂層を有し、前記フェライト粒子のマグネシウム元素含有量が、3.0〜20.0重量%であり、前記フェライト粒子のマンガン元素含有量が、0.2〜0.8重量%であり、トルエンの含有量が、100ppmを越え2,000ppm以下であることを特徴とする静電荷像現像用キャリア、
<2>上記<1>に記載の静電荷像現像用キャリアと、静電荷像現像用トナーとを含む静電荷像現像剤、
<3>前記静電荷像現像用トナーが、乳化凝集トナーである上記<2>に記載の静電荷像現像剤、
<4>上記<2>又は<3>に記載の静電荷像現像剤を収納すると共に、像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体、前記像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、前記像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を備えるプロセスカートリッジ、
<5>像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、前記現像剤として上記<2>又は<3>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法、
<6>像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤として上記<2>又は<3>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成装置。
前記<2>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、高温高湿環境下での細線再現性及び画質に優れ、低温低湿環境下でのスターベーションを抑制できる静電荷像現像剤を提供することができる。
前記<3>に記載の発明によれば、乳化凝集トナーを有さない場合に比べて、画質に優れる静電荷像現像剤を提供することができる。
前記<4>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、高温高湿環境下での細線再現性及び画質に優れ、低温低湿環境下でのスターベーションを抑制できるプロセスカートリッジを提供することができる。
前記<5>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、高温高湿環境下での細線再現性及び画質に優れ、低温低湿環境下でのスターベーションを抑制できる画像形成方法を提供することができる。
前記<6>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、高温高湿環境下での細線再現性及び画質に優れ、低温低湿環境下でのスターベーションを抑制できる画像形成装置を提供することができる。
なお、本実施形態において、「A〜B」との記載は、AからBの間の範囲だけでなく、その両端であるA及びBも含む範囲を表す。例えば、「A〜B」が数値範囲であれば、AよりBが大きい数値である場合は「A以上B以下」を表し、BよりAが大きい数値である場合は「B以上A以下」を表す。
本実施形態の静電荷像現像用キャリア(以下、単に「キャリア」ともいう。)は、フェライト粒子、及び、前記フェライト粒子を被覆する樹脂層を有し、前記フェライト粒子のマグネシウム元素含有量が、3.0〜20.0重量%であり、前記フェライト粒子のマンガン元素含有量が、0.2〜0.8重量%であり、トルエンの含有量が、100ppmを越え2,000ppm以下であることを特徴とする。
しかし、マグネシウムフェライトの場合、飽和磁化を上げるためにはフェライトの結晶性を上げる必要があるが、マグネシウムはフェライト内で超交換作用を期待することができず、より高い結晶性が必要となる。しかしながら、高い結晶性をもつフェライトは電子の移動が容易となるため、電気抵抗が下がることを本発明者等は見出した。
これらの組み合わせにより、マグネシウムを含むフェライトは、飽和磁化と電気抵抗とを両立することが可能となる。なお、同様な理由により、リチウムを用いたフェライトでも同様の効果を得ることができるが、リチウムはマグネシウムに比べ水との親和性が高く、高温高湿下と低温低湿下との電気抵抗差が大きくなってしまう。マグネシウムを含むフェライトの場合、前記の構造をとったとき、構造による高抵抗化は、環境に影響を受けにくく、マグネタイトやマンガンフェライトなどに比べ、抵抗の環境差を小さくすることが可能となる。
高温高湿環境下での細線再現及びキャリア飛散抑制を得るためには、キャリアの抵抗を高くする必要がある。キャリアの抵抗が低いと、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)の帯電が低くなり、細線に対し、余計なトナー分まで現像してしまう。その結果、細線を描くことが困難となる。
また、キャリアの抵抗が低いと、トナーの電荷がキャリアに移行し、キャリアが現像されてしまうことがある。この場合、画像に白抜けや、色筋などの欠損が生じる。これらを改善するにはキャリアの抵抗を上げる必要がある。しかし、一般に高温高湿での抵抗値と低温低湿での抵抗値では、低温低湿での抵抗値の方が高くなる。この差が大きいと、高温高湿下に合わせた抵抗で設計したキャリアは、低温低湿では抵抗が高すぎる結果となり、スターベーションが起こる場合がある。
キャリアが保持していたトナーが感光体に移行すると、トナーの持つ電荷の逆電荷がキャリアに蓄積される。このようにキャリアに逆電荷が蓄積されると、トナーの一部がこの電荷により引き寄せられ、再びキャリアに付着してしまう。この結果、白抜けが生じる。これは、キャリアの抵抗が高いほど電荷が抜けにくく、起こりやすい。一方で、前記のような不均一なグレン構造、元素ばらつきをもつ構造は、逆電荷の蓄積が起こりにくくなるため、スターベーションが起こりにくい。
スターベーションは、例えば、画像が副走査方向に低濃度画像から高濃度画像に変化するエッジ部分で生じやすい。この場合、低濃度画像の後端部の濃度が低下する。これは低濃度画像部分に付着しているトナーが高濃度画像部の電界によって現像剤側に引き戻されることで発生していると考えられる。
本実施形態のキャリアでは、環境による抵抗差が小さく、高温高湿環境下での優れた細線再現性、キャリア飛散による画像欠損抑制と、低温低湿環境下でのスターベーション抑制との両立を図ることが容易である。また、特に、高温高湿環境下、及び、低温低湿環境下での交互使用下においても、前記両立を図ることが容易である。
本実施形態の静電荷像現像用キャリア中におけるトルエンの含有量は、100ppmを越え2,000ppm以下である。
本実施態様では、キャリア中のトルエンの含有量を100ppmを越え2,000ppm以下に制御することでキャリアの親水性を制御し、高温高湿環境と低温低湿環境とでの環境依存性を少なくさせている。キャリア中の含有トルエンは、キャリアを製造する際のコート液中で使用するトルエン由来のものである。このトルエン含有量は、キャリアを製造する際の乾燥時間によって制御することが可能であることを本発明者等は見出した。
また、本実施形態に用いられるフェライト粒子におけるトルエンの含有量は、800〜1,600ppmであることが好ましい。
また、本実施態様のキャリアにおけるトルエンの含有量は、経時変化の揮発により微量であるが減少していく傾向にある。そのことからも、望ましい範囲として上記範囲が挙げられる。
具体的には、カラムはTC−17(GLサイエンス(株)製、0.32mmΦ、30m、液相0.25μm)を用い、カラム温度は初期温度40℃で5分保持し、4℃/minで昇温し、80℃で2分保持し、注入口温度180℃でスプリットレス法30秒でパージし、キャリアガスにヘリウム(He)を用い、35kPaで分析した。分析試料は、キャリアを1g秤量し、クロロホルム20mlに溶解抽出後、メタノール5mlを添加し一昼夜放置し、その上澄み液を分析した。
残存溶剤としては、被覆樹脂溶解用の溶剤、及び、後添加の溶剤が主として考えられる。
本実施形態に用いられるフェライト粒子は、マグネシウム元素を3.0〜20.0重量%含有し、かつ、マンガン元素を0.2〜0.8重量%含有する。
また、本実施形態に用いられるフェライト粒子におけるマグネシウム元素の含有量は、6.0〜10.0重量%であることが好ましい。
マグネシウムフェライトの製造において、マンガン成分は、コンタミネーション、原料の不純物などにより微量に混入してしまうことが多い。
マンガンは、フェライトにおいて、結晶格子の中に入り、マンガンフェライトの特性を発揮する。一方で、マグネシウムフェライトは、飽和磁化を高くすると電気抵抗が大きく低下してしまう傾向を持つ。
上記の理由により、従来、マグネシウムフェライトは、磁化と抵抗のバランスを取ることが困難であった。マグネシウムフェライトの磁化と抵抗を両立させるには、内部のグレンの構成を不均一にし、結晶の境界面を不連続にする必要がある。
本発明者等は、マグネシウムフェライトの磁化と抵抗のバランスを取るためにマンガン元素を微量含有することが好適であることを見出した。フェライト粒子中のマンガン元素の含有量が0.8重量%を超えると、結晶化のコントロールが困難(温度によるMnとMgの動きの違い)となり、狙いの構造を作ることが難しくなる。また、マンガン元素の含有量が0.2重量%未満であると、マグネシウムフェライトの結晶化が早く、コントロールしにくくなる。
また、本実施形態に用いられるフェライト粒子におけるマンガン元素の含有量は、0.3〜0.7重量%であることが好ましい。
蛍光X線による測定方法について説明する。
試料の前処理は、フェライト粒子を加圧成型器を用いて10t、1分間の加圧成型を行い、(株)島津製作所の蛍光X線(SRF−1500)を使用し、測定条件は管電圧49kV、管電流90mA、測定時間30分で測定する。
なお、キャリアからフェライト粒子を単離する方法としては、樹脂被覆キャリアを、例えば200℃にて被覆樹脂成分を炭化し、イオン交換水で洗浄した後、蛍光X線にて元素分析を行えばよい。マグネシウム、マンガンそれぞれの元素の検量線を作成することにより、含有量が定量的に測定される。
また、フェライト粒子中の鉄元素等の他の元素の含有量についても、測定可能な範囲で同様に蛍光X線により測定することができる。
(MO)X(Fe2O3)Y
式中、Mは、Mg及びMnを主体とするが、Li、Ca、Sr、Sn、Cu、Zn、Ba、Fe、Ti、Ni、Al、Co及びMoよりなる群から選ばれた少なくとも1種又は数種を組み合わせることも可能である。また、X、Yは重量mol比を示し、かつ条件X+Y=100を満たす。
また、本実施態様に用いることができるフェライト粒子の体積平均粒径としては、10〜500μmであることが好ましく、20〜120μmであることがより好ましく、30〜100μmであることが更に好ましく、30〜80μmであることが特に好ましい。
前記樹脂層は、その主成分(樹脂層の50重量%以上の成分)として、結着樹脂を含有することが好ましい。
被覆樹脂としては、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、モノクロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレンなどのビニル系フッ素含有モノマーの共重合体;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレンなどのスチレン類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの含窒素アクリル類;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのビニルピリジン類;ビニルエーテル類;ビニルケトン類;エチレン、モノクロロエチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン類;メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンなどのシリコーン類などの単独重合体、又は、共重合体を使用することができ、さらに、ビスフェノール、グリコール等を含むポリエステル類を使用することもできる。また、被覆樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、被覆樹脂としては、スチレン類の単独重合体、又は、共重合体を含むことが好ましく、スチレン類とα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類との共重合体であることがより好ましく、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体であることが更に好ましい。
導電粉として具体的には例えば、金、銀、銅等の金属粒子;カーボンブラック;ケッチェンブラック;アセチレンブラック;酸化チタン、酸化亜鉛等の半導電性酸化物粒子;酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラック、金属等で覆った粒子;などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの種類としては、特に制限はないが、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が50ml/100g以上250ml/100g以下であるカーボンブラックが、製造安定性に優れて好ましい。
測定法としては、界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液50ml中に測定試料を2g加え、超音波分散機(1,000Hz)にて2分間分散して、試料を作製し、測定する。
得られたチャンネルごとの体積平均粒子径を、体積平均粒子径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒子径とする。
導電粉の体積電気抵抗は、101Ω・cm以上1011Ω・cm以下であることが好ましく、103Ω・cm以上109Ω・cm以下がより好ましい。
また、導電粉の体積電気抵抗は、芯材の体積電気抵抗と同様にして測定する。
樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、比較的硬度を上げることが容易な観点から熱硬化性樹脂が好ましく、トナーに負帯電性を付与する観点からは、N原子を含有する含窒素樹脂による樹脂粒子が好ましい。なお、これらの樹脂粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子の体積平均粒子径としては、0.1μm以上2.0μm以下が好ましく、0.2μm以上1.0μm以下がより好ましい。樹脂粒子の平均粒径が0.1μm以上であると、樹脂層における樹脂粒子の分散性に優れる。一方、2.0μm以下であると、樹脂層から樹脂粒子の脱落が生じにくく、本来の効果を十分発揮できる。
樹脂粒子の体積平均粒子径は、導電粉の体積平均粒子径と同様な測定を行うことによって求めることができる。
樹脂粒子の含有量は、樹脂層全体に対し、1重量%以上50重量%以下であることが好ましく、1重量%以上30重量%以下であることがより好ましく、1重量%以上20重量%以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子の含有率が1重量%以上であると、樹脂粒子の効果が十分得られ、50重量%以下であると、樹脂層からの脱落が生じにくく、安定した帯電性が得られる。
樹脂層は、ワックスや帯電制御剤などの公知の添加剤を含有していてもよい。
また、樹脂層は、単層に限られず、2層以上の構成であってもよい。
本実施形態の静電荷像現像用キャリアの製造方法は、特に制限はないが、鉄化合物及びマグネシウム化合物を含むキャリア材料を準備する準備工程、前記キャリア材料を焼成する仮焼成1工程、前記仮焼成工程の後、焼成したキャリア材料を粉砕する粉砕1工程、前記粉砕1工程の後、粉砕したキャリア材料を造粒する造粒1工程、前記造粒1工程の後、前記キャリア材料を焼成する仮焼成2工程、前記仮焼成工程の後、焼成したキャリア材料を粉砕する粉砕2工程、前記粉砕2工程の後、粉砕したキャリア材料を造粒する造粒2工程、前記造粒2工程の後、造粒したキャリア材料を焼成する本焼成工程、前記本焼成工程の後、前記本焼成工程での焼成温度より高い温度で焼成する追加焼成工程、並びに、前記追加焼成工程を経て得られたフェライト粒子の表面に樹脂及びトルエンを含む液により樹脂を被覆する被覆工程を含む製造方法であることが好ましい。
また、前記追加焼成工程の後、前記被覆工程の前に、焼成したキャリア材料を粉砕する粉砕3工程、前記粉砕3工程の後、粉砕したキャリア材料を分級する分級工程をさらに含むことがより好ましい。
キャリア材料としては、特に制限はなく、公知の材料を用いることができる。例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩などが例示できる。
これらの中でも、Fe2O3とMgO又はMg(OH)2とを少なくとも用いることが好ましく、Fe2O3と、MgO又はMg(OH)2と、TiO2、SrCO3又はCaCO3とを用いることがより好ましい。
鉄化合物及びマグネシウム化合物、また、必要に応じてその他の元素を含む化合物の使用量は、所望のフェライト組成に応じて、適宜調整することができる。
前記仮焼成工程における焼成温度は、800℃以上1,200℃以下であることが好ましい。
前記仮焼成工程における焼成時間としては、キャリア材料の組成や、焼成温度、乾燥の程度などにもよるが、0.5〜48時間であることが好ましく、1〜12時間であることがより好ましい。
前記仮焼成工程、前記本焼成工程、及び、前記追加焼成工程の焼成は、公知の装置を用いて行うことができ、例えば、電気炉やロータリーキルン等が挙げられる。
前記仮焼成工程の前においては、キャリア材料を粉砕し、混合しておくことが好ましい。また、前記仮焼成工程の前においては、粉砕混合したキャリア材料を、スプレードライヤーなどを使用して造粒し、乾燥させることがより好ましい。
前記仮焼成1工程、及び、前記仮焼成2工程における焼成温度は、800℃以上1,200℃以下であることが好ましいが、前記仮焼成1工程における焼成温度より前記仮焼成2工程における焼成温度のほうが高いことがより好ましい。
前記仮焼成1工程と前記仮焼成2工程との間に行ってもよい前記粉砕1工程においては、焼成したキャリア材料の体積平均粒径が0.5〜5μmになるまで粉砕することが好ましい。
前記本焼成工程における焼成温度は、800〜1,400℃であることが好ましく、800〜1,200℃であることがより好ましい。
前記本焼成工程における焼成時間としては、キャリア材料の組成や、焼成温度、乾燥の程度などにもよるが、1〜24時間であることが好ましく、2〜12時間であることがより好ましい。
前記追加焼成工程における焼成温度は、前記本焼成工程での焼成温度より高い温度であればよいが、900〜1,400℃であることが好ましく、1,000〜1,250℃であることがより好ましく、1,100〜1,400℃であることが更に好ましい。
前記本焼成工程における焼成時間としては、キャリア材料の組成や、焼成温度などにもよるが、0.5〜24時間であることが好ましく、1〜6時間であることがより好ましい。
また、前記本焼成工程と前記追加焼成工程とは、連続して行うことが好ましい。
前記粉砕工程においては、公知の装置を用いることができ、例えば、湿式ボールミル等を好ましく挙げることができる。
前記造粒工程においては、公知の装置を用いることができ、例えば、スプレードライヤー等を好ましく挙げることができる。
前記粉砕工程においては、焼成したキャリア材料の体積平均粒径が1〜10μmになるまで粉砕することが好ましく、体積平均粒径が2〜8μmになるまで粉砕することがより好ましい。
また、前記本焼成工程後における粉砕工程においては、所望のキャリア粒径に合わせて粉砕すればよく、体積平均粒径が10〜500μmになるまで粉砕することが好ましく、体積平均粒径が30〜100μmになるまで粉砕することがより好ましい。
また、前記造粒工程の後、造粒したキャリア材料を乾燥する乾燥工程を含むことが好ましい。
フェライト粒子の表面に樹脂を被覆する方法としては、前記被覆樹脂、及び、必要に応じて各種添加剤を、トルエンを含む溶媒に加えた樹脂層形成用液(「コート液」ともいう。)により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、トルエンを含む以外には特に限定はなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよいが、トルエン50重量%以上を含む溶媒であることが好ましく、トルエン80重量%以上を含む溶媒であることがより好ましく、トルエンであることが特に好ましい。
具体的な樹脂被覆方法としては、フェライト粒子を樹脂層形成用液中に浸漬する浸漬法、樹脂層形成用液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、フェライト粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で樹脂層形成用液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でフェライト粒子と樹脂層形成用液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
本実施形態の静電荷像現像剤(「現像剤」ともいう。)は、本実施形態の静電荷像現像用キャリアと静電荷像現像用トナーとを含んでいればよい。
本実施形態の静電荷像現像剤における本実施形態の静電荷像現像用キャリアと静電荷像現像用トナーとの混合比(重量比)は、トナー:キャリア=1:99〜20:80の範囲であることが好ましく、3:97〜12:88の範囲であることがより好ましい。
キャリアとトナーとの混合方法としては、特に制限はなく、例えば、Vブレンダー等の公知の装置や方法により混合することができる。
本実施形態に用いることができる静電荷像現像用トナー(「トナー」ともいう。)は、特に規定されるものではないが、トナーとしては、特に制限はなく、公知のトナーを用いることができる。トナーとしては例えば、結着樹脂と着色剤を有する着色トナーを挙げることができる。その他にも、結着樹脂と赤外線吸収剤を有する赤外線吸収トナーなどを用いることも可能である。
本実施形態に用いることができるトナーとしては、トナー母粒子と外部添加剤(外添剤)とからなる外添トナーであることが、流動性、帯電特性を制御するために好ましい。
本実施形態に用いることができるトナーのトナー母粒子は、結着樹脂と着色剤を含有し、必要に応じて離型剤、シリカ及び帯電制御剤も含有するものであることが好ましい。
また、前記結晶性ポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50重量%以下の場合、この共重合体も結晶性ポリエステルと呼ぶ。
前記酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が望ましく特に直鎖型のカルボン酸が望ましい。直鎖型のカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。中でも、炭素数6〜10のものが結晶融点や帯電性の観点から好ましい。結晶性を高めるためには、これら直鎖型のジカルボン酸を、酸構成成分の95mol%以上用いることが好ましく、98mol%以上用いることがより好ましい。なお、低級アルキルとは、炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表す。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の着色剤の分散を良好にできる点で有効である。また樹脂全体を水に乳化又は懸濁して、トナー母粒子を微粒子に作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで乳化或いは懸濁が可能となる場合があるので好ましい。このようなスルホン酸基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸の含有量は0.1〜2.0mol%であることが好ましく、0.2〜1.0mol%であることが好ましい。含有量が2.0mol%以下であると、帯電性が良好である。なお、本実施形態において「構成mol%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(酸由来構成成分、アルコール由来構成成分)をそれぞれ1単位(mol)したときの百分率を指す。
アルコール由来構成成分としては脂肪族ジアルコール(脂肪酸ジオール)が好ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。中でも、炭素数6〜10のものが結晶融点や帯電性の観点から好ましい。結晶性を高めるためには、これら直鎖型のジアルコール(ジオール)を、アルコール構成成分の95mol%以上用いることが好ましく、98mol%以上用いることがより好ましい。
その他の二価のジアルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本実施形態において、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融点とみなす。
また、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を例示することができる。
離型剤の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;エステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系ワックス;石油系ワックス;及びそれらの変性物等を使用することができる。
離型剤の添加量は、トナー全量に対して50重量%以下の範囲で添加することが好ましい。
これらの中でも、本実施形態のトナーは、乳化凝集法、又は、乳化重合凝集法により得られたトナー(乳化凝集トナー)であることが好ましい。
したがって、上述したトナーの体積平均粒径を有することによって、写真や絵画、パンフレット等の画像面積の大きく、濃度階調がある原稿の繰り返し複写においても微細な潜像のドットに対して、忠実な再現性が期待できるので好ましい。
なお、前記形状係数SF1の平均値(平均形状係数)は、250倍に拡大した1,000個のトナー像を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEX III、(株)ニレコ製)に取り込み、その最大長及び投影面積から、個々の粒子について前記SF1の値を求め平均したものである。
本実施形態におけるトナーの外部添加剤(外添剤)は特に限定されないが、少なくとも1種は、粉体流動性、帯電制御等の機能を担う、1次粒径が平均粒径で7〜40nmの小径無機酸化物であることが好ましい。小径無機酸化物としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタン酸化物(酸化チタン、メタチタン酸等)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カーボンブラック等を挙げることができる。
これらのうち、特にシリカ粒子、酸化チタン粒子が好ましい。
特に、体積平均粒径が15〜40nmの酸化チタンを用いることが、透明性に影響を与えず、良好な帯電性、環境安定性、流動性、耐ケーキング性、安定した負帯電性・画質維持性が得られる点で好ましい。
また、小径無機微粒子については、表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなるので好ましい。表面処理としては、具体的に、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等による疎水化処理が好ましく用いられる。
当該単分散球形シリカの平均粒径は、100〜200nmであることがより好ましい。
なお、球形化度は、Wadellの球形化度は下記式より求めた。
球形化度=(実際の粒子と同じ体積を有する球の表面積)/(実際の粒子の表面積)
前記小径無機酸化物の添加量は、トナー母粒子100重量部に対し、0.5〜2.0重量部の範囲であることが好ましい。また、前記大径無機酸化物を添加する場合、該大粒径無機酸化物の添加量は、トナー母粒子100重量部に対し、1.0〜5.0重量部であることが好ましい。
滑剤粒子としてグラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、高級アルコール、脂肪族アルコール、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス;及びそれらの変性物を併用してもよい。
これら滑剤粒子の形状係数SF1は、優れたクリーニング性を得るために、140以上であることがより好ましい。
研磨剤としては、公知の無機酸化物を使用することができる。例えば、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、アルミナ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、シリカ、酸化チタン、窒化ホウ素、ピロリン酸カルシウム、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、炭酸カルシウム等を挙げることができる。また、これらの複合材料を用いてもよい。
トナーは、例えば、前記トナー母粒子及び前記外部添加剤をヘンシェルミキサー又はVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
本実施形態の画像形成方法は、像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、前記現像剤として本実施形態の静電荷像現像剤を用いる方法であることが好ましい。また、必要に応じて潜像保持体表面に残ったトナーをクリーニングするクリーニング工程を含んでもよい。
像保持体からのトナー画像を紙等に転写する転写装置としては、コロトロンが利用できる。コロトロンは用紙を均一に帯電する手段としては有効であるが、被転写体である用紙に所定の電荷を与えるために、数kVという高圧を印加しなければならず、高圧電源を必要とする。また、コロナ放電によってオゾンが発生するため、ゴム部品や像保持体の劣化を引き起こすので、弾性材料からなる導電性の転写ロールを像保持体に圧接して、用紙にトナー画像を転写する接触転写方式が好ましい。本実施形態の画像形成方法においては、転写装置に関し、特に制限を受けるものではない。
最も一般的に採用されている方式として、ポリウレタン等のゴム製のブレードを潜像保持体に圧接させるブレードクリーニング方式である。これに対し、内部に磁石を固定配置し、その外周に回転可能な円筒状の非磁性体のスリーブを設け、そのスリーブ表面に磁性キャリアを保持させてトナーを回収する磁気ブラシ方式や、半導電性の樹脂繊維や動物の毛をロール状に回転可能にし、トナーと反対極性のバイアスをそのロールに印加してトナーを除去する方式でもよい。前者の磁気ブラシ方式では、クリーニングの前処理用コロトロンを設置してもよい。本実施形態の画像形成方法においては、クリーニング方式については少なくともブレードを有するクリーニング工程である。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤として本実施形態の静電荷像現像剤を用いる装置であることが好ましい。
前記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。
前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用できる。また、本実施形態で用いる画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本実施形態の画像形成装置は前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
本実施形態のプロセスカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像剤を収納すると共に、像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体、前記像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、前記像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を備えるプロセスカートリッジであることが好ましい。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、その他必要に応じて、除電手段等、その他の部材を含んでもよい。
本実施形態のプロセスカートリッジは、公知の構成を採用してもよく、例えば、特開2008−209489号公報、及び、特開2008−233736号公報等を参照することができる。
まず、実施例、比較例で用いたキャリア等の物性測定方法について説明する。
キャリアのフェライト粒子のマグネシウム元素量は、蛍光X線法により測定される。
蛍光X線による測定方法について説明する。
試料の前処理は、フェライト粒子を加圧成型器でで10t、1分間の加圧成型を行い、(株)島津製作所の蛍光X線(SRF−1500)を使用し、測定条件は管電圧49KV、管電流90mA、測定時間30分で測定した。
マグネシウム含有量が既知のサンプルを数種用意して測定して、検量線を作成し、その後、測定サンプルを測定し、検量線からその含有量を計算した。
融点及びガラス転移温度の測定は、「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)を使用し、試料10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱して測定した。
結晶性樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めた。
なお、結晶性樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融点とみなした。
また、非結晶性樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値である。
本実施形態の静電荷像現像用トナーにおいて、特定の分子量分布は、以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は、東ソー(株)製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
粒子の体積平均粒径測定には、コールターマルチサイザー−II型(ベックマン・コールター社製)を用いた。この場合、50μmのアパーチャーを用いて測定した。測定した粒子の粒径は、特に断りのない場合、体積平均粒径を表すものとする。
測定法としては分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を1.0mg加える。これを前記電解液100ml中に添加して試料を懸濁した電解液を作製した。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザー−II型により、アパーチャー径として50μmアパーチャーを用いて1〜30μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求める。測定する粒子数は50000であった。
粒子の粒径がおよそ5μm以下の場合は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。
さらに、粒径がナノメーターオーダーの場合は、BET式の比表面積測定装置(Flow SorbII2300、(株)島津製作所製)を用いて測定した。
キャリア中におけるトルエンの含有量の測定は、特に制限はなく、公知の測定方法を用いられるが、ガスクロマトグラフ測定器(Gas Chromatograph263−50;(株)日立製作所製)により実施した。
具体的には、カラムはTC−17(GLサイエンス(株)製、0.32mmΦ、30m、液相0.25μm)を用い、カラム温度は初期温度40℃で5分保持し、4℃/minで昇温し、80℃で2分保持し、注入口温度180℃でスプリットレス法30秒でパージし、キャリアガスにヘリウム(He)を用い、35kPaで分析した。分析試料は、キャリアを1g秤量し、クロロホルム20mlに溶解抽出後、メタノール5mlを添加し一昼夜放置し、その上澄み液を分析した。
Fe2O3 79.9部、MnO2 0.8部、Mg(OH)2 19.3部を混合し、湿式ボールミルで25時間混合/粉砕してスプレードライヤーにより造粒、乾燥した後ロータリーキルンを用いて1,050℃、7時間の仮焼成1を行った。こうして得られた仮焼成1物を、湿式ボールミルで5時間粉砕し、平均粒径を1.2μmとした後、更にスプレードライヤーにより造粒、乾燥した後ロータリーキルンを用いて1,150℃、6時間の仮焼成2を行った。こうして得られた仮焼成2物を、湿式ボールミルで2時間粉砕し、平均粒径を5.6μmとした後、更にスプレードライヤーにより造粒、乾燥した後電気炉で温度900℃用いて12時間の焼成を行ったのちに、1,200℃にて4時間の追加焼成を行った。解砕工程、分級工程を経て粒径36μmのMgフェライト粒子1(芯材1)を調製した。
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(スチレン:メタクリル酸メチル=79:21(重量比)、重量平均分子量8万) 30重量部
・カーボンブラック VXC72(キャボット) 6重量部
・トルエン 250重量部
・イソプロピルアルコール 50重量部
上記成分とガラスビーズ(粒径:1mm、トルエンと同量)とを関西ペイント(株)製サンドミルに投入し、回転速度1,200rpmで30分間攪拌し固形分10%のコート液1を調製した。
真空脱気型ニーダーに芯材1を2,000重量部入れ、更にコート液1を400重量部を入れ、撹拌しながら、60℃にて常圧(1気圧)−200mmHgまで減圧し20分混合した後、昇温/減圧させ90℃/(常圧−720mmHg)で15分間撹拌乾燥させ、コート粒子を得た。次に75μmメッシュの篩分網で篩分を行い、キャリア1を得た。
得られたキャリア1を、200℃にてコート成分を炭化し、イオン交換水で洗浄した後、蛍光X線にて元素分析を行った。鉄、マグネシウム、マンガンそれぞれの元素の検量線を作成し、含有量を定量したところ、マグネシウム元素は8.0重量%、マンガン元素は0.5重量%であった。また、トルエンの含有量は1,200ppmであった。
・シアン顔料:銅フタロシアニンB15:3(大日精化工業(株)製) 50重量部
・アニオン性界面活性剤:ネオゲンSC(第一工業製薬(株)製) 5重量部
・イオン交換水 200重量部
上記を混合し、IKA社製ウルトラタラックスにより5分間、更に超音波バスにより10分間分散し、固形分21%の着色剤粒子分散液1を得た。(株)堀場製作所製粒度測定器LA−700にて体積平均粒径を測定したところ、160nmであった。
・パラフィンワックス:HNP−9(日本精蝋(株)製) 19重量部
・アニオン性界面活性剤:ネオゲンSC(第一工業製薬(株)製) 1重量部
・イオン交換水 80重量部
上記を耐熱容器中で混合し、90℃に昇温して30分、撹拌を行った。次いで、容器底部より溶融液をゴーリンホモジナイザーへと流通し、5MPaの圧力条件のもと、3パス相当の循環運転を行った後、圧力を35MPaに昇圧し、更に3パス相当の循環運転を行った。こうして出来た乳化液を前記耐熱溶液中で40℃以下になるまで冷却し、離型剤粒子分散液1を得た。(株)堀場製作所製粒度測定器LA−700にて体積平均粒径を測定したところ240nmであった。
<油層>
・スチレン(和光純薬工業(株)製) 30重量部
・アクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製) 10重量部
・β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華(株)製) 1.3重量部
・ドデカンチオール(和光純薬工業(株)製) 0.4重量部
<水層1>
・イオン交換水 17重量部
・アニオン性界面活性剤(ダウファックス、ダウケミカル社製) 0.4重量部
<水層2>
・イオン交換水 40重量部
・アニオン性界面活性剤(ダウファックス、ダウケミカル社製) 0.05重量部
・ペルオキソ二硫酸アンモニウム(和光純薬工業(株)製) 0.4重量部
上記の油層成分と水層1の成分をフラスコに入れて撹拌混合し単量体乳化分散液とした。反応容器に上記水層2の成分を投入し、容器内を窒素で十分に置換し、撹拌をしながらオイルバスで反応系内が75℃になるまで加熱した。反応容器内に上記の単量体乳化分散液を3時間かけて徐々に滴下し、乳化重合を行った。滴下終了後更に75℃で重合を継続し、3時間後に重合を終了させ、樹脂粒子分散液1を得た。
・樹脂粒子分散液1 150重量部
・着色剤粒子分散液1 30重量部
・離型剤粒子分散液1 40重量部
・ポリ塩化アルミニウム 0.4重量部
上記の成分をステンレス製フラスコ中でIKA社製のウルトラタラックスを用い十分に混合、分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら48℃まで加熱した。48℃で80分保持した後、ここに上記と同じ樹脂粒子分散液1を緩やかに70重量部追加した。
その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを6.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、撹拌軸のシールを磁力シールして撹拌を継続しながら97℃まで加熱して3時間保持した。反応終了後、降温速度を1℃/分で冷却し、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。これをさらに40℃のイオン交換水3,000重量部を用いて再分散し、15分間300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作をさらに5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続してトナー母粒子を得た。
このトナー母粒子に、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある。)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO2)粒子と、メタチタン酸とイソブチルトリメトキシシランとの反応生成物である一次粒子平均粒径20nmのメタチタン酸化合物粒子とを、トナー母粒子の表面に対する被覆率が40%となるように添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、トナー1を作製した。
キャリア1とトナー1とを使用して、以下の評価を行った。
DocuCentre Color400(富士ゼロックス(株)製)の改造機を用い、下記の条件で印刷を行った。
(1)キャリア1とトナー1とが100:12の重量比になるように混合し、現像剤を得た。
(2)得られた現像剤を使用し、A4の用紙に網点面積率20%(Cin20%、画像濃度20%)にてA4横全面印刷を高温高湿環境(30℃、88%RH)で1時間出力を行い、その後、低温低湿環境(10℃、12%RH)で同様に1時間出力を行い、これを24時間交互に繰り返した。
(3)A4の用紙に、Cin20%にてA4横全面印刷を20枚行い、画像欠損を目視により確認した。
(4)次いで、MSゴシック体、4及び3ポイントで「間」を5枚印刷し、文字のつぶれを目視により確認した。
なお、高温高湿環境下での画像欠損評価及び文字の再現性評価の評価基準は、以下に示す基準で行った。
◎:画像欠損がない。
○:僅かに小さな白抜けが生じるが、実用上問題ないレベルの画像欠損である。
×:白抜けや色筋などの実用上問題あるレベルの画像欠損が生じている。
◎:いずれの文字もつぶれがない。
○:4ポイントの文字でつぶれがないが、3ポイントの文字がつぶれ気味である。
×:いずれも文字がつぶれる。
DocuCentre Color400(富士ゼロックス(株)製)の改造機を用い、下記の条件で印刷を行った。
(1)キャリア1とトナー1とが100:2の重量比になるように混合し、現像剤を得た。
(2)得られた現像剤を使用し、A4の用紙にCin20%にてA4横全面印刷を低温低湿環境(10℃、12%RH)で1時間出力を行い、高温高湿環境(30℃、88%RH)で同様に1時間出力を行い、これを24時間交互に繰り返した。
(3)A4の用紙に、印刷方向に対して、1cm角、かつCin20%の正方形、1cm角、かつCin100%の正方形が隣接して並ぶ画像を2回繰り返した画像を印刷し、画像欠損を目視により確認した。
なお、低温低湿環境下での画像欠損評価の評価基準は、以下に示す基準で行った。
◎:画像欠損がない。
○:僅かに小さな白抜けが生じるが、実用上問題ないレベルの画像欠損である。
×:白抜けによる実用上問題あるレベルの画像欠損が生じている。
表1に示したFe2O3、MnO2、及び、Mg(OH)2の混合量とした以外は、芯材1の調製と同様に、芯材2〜19をそれぞれ調製した。
得られた芯材2〜19を使用し、90℃/(常圧−720mmHg)での乾燥時間を表1に記載の時間に変更した以外は、キャリア1の調製と同様に、キャリア2〜19をそれぞれ調製した。
得られたキャリア2〜19とトナー1とを、表2に記載の組み合わせて使用し、実施例1と同様の評価を行った。
また、実施例1〜13、及び、比較例1〜6の評価結果をまとめて表2に示す。
Claims (6)
- フェライト粒子、及び、前記フェライト粒子を被覆する樹脂層を有し、
前記フェライト粒子のマグネシウム元素含有量が、3.0〜20.0重量%であり、
前記フェライト粒子のマンガン元素含有量が、0.2〜0.8重量%であり、
トルエンの含有量が、100ppmを越え2,000ppm以下であることを特徴とする
静電荷像現像用キャリア。 - 請求項1に記載の静電荷像現像用キャリアと、静電荷像現像用トナーとを含む静電荷像現像剤。
- 前記静電荷像現像用トナーが、乳化凝集トナーである請求項2に記載の静電荷像現像剤。
- 請求項2又は3に記載の静電荷像現像剤を収納すると共に、
像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
像保持体、前記像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、前記像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を備える
プロセスカートリッジ。 - 像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
前記像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、
前記現像剤として請求項2又は3に記載の静電荷像現像剤を用いる
画像形成方法。 - 像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、
トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、
前記現像剤として請求項2又は3に記載の静電荷像現像剤を用いる
画像形成装置。
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