JP5444935B2 - 転がり軸受用潤滑装置 - Google Patents

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Description

この発明は、鉄道車両の車軸を台車に対して回転自在に支持する為の転がり軸受の潤滑装置の改良に関する。具体的には、転がり軸受の内部に潤滑油を効率良く循環させられる構造を、小型且つ軽量に構成でき、しかも低コストで得られる様にするものである。
鉄道車両の車軸は台車に保持した軸受箱に対して、複列円すいころ軸受、或いは複列円筒ころ軸受等の転がり軸受により、回転自在に支持している。この様な用途に使用される転がり軸受は、例えば前記鉄道車両が新幹線等の高速車両である場合には、非常に大きなラジアル荷重を支承しつつ高速で回転する。この為、前記転がり軸受の信頼性及び耐久性を確保する為には、この転がり軸受の内部に十分量の潤滑油を循環させる潤滑装置が必要になる。この為従来から、例えば特許文献1、2に記載されている様に、軸受箱の内部に潤滑油溜りを設けると共に、転がり軸受の下部をこの潤滑油溜りに貯溜した潤滑油中に浸漬し、この潤滑油をこの転がり軸受の内部を通じて循環させる潤滑装置が知られている。図7は、この様な潤滑装置を組み込んだ、鉄道車両の車軸支持用の転がり軸受装置の、従来構造の1例を示している。
この従来構造は、軸受箱1の内径側に車軸2の端部を、複列円筒ころ軸受3により、回転自在に支持している。この複列円筒ころ軸受3は、1個の内輪4と、1対の外輪5、5と、1個の外輪間座6と、複数個の円筒ころ7、7とを備える。このうちの内輪4は、内輪本体8と鍔輪9とを組み合わせて成る。このうちの内輪本体8は、一端部(図7の右端部)外周面に外向フランジ状の内輪鍔10を形成すると共に、外周面の残部を、複列円筒状の内輪軌道11としている。又、前記鍔輪9は、前記内輪鍔10と同等の外径寸法を有する円輪状としている。一方、前記両外輪5、5は、それぞれの中間部内周面を円筒状の外輪軌道12、12とし、それぞれの両端部内周面に、内向フランジ状の外輪鍔13、13を形成している。又、前記外輪間座6は、前記両外輪5、5の互いに対向する端面同士の間に挟持している。この外輪間座6は、円環状で、円周方向に関する複数個所に、それぞれがこの外輪間座6を径方向に貫通してこの外輪間座6の内外両周面同士を連通させる、通孔14、14を形成している。これら各通孔14、14が、前記複列円筒ころ軸受3の内部に潤滑油を送り込む為の給油通路を構成する。更に、前記各円筒ころ7、7は、保持器15、15により転動自在に保持された状態で、前記内輪軌道11と前記両外輪軌道12、12との間に、両列毎に複数個ずつ設けられている。
上述の様な複列円筒ころ軸受3は、前記軸受箱1の内周面と前記車軸2の端部外周面との間に設けている。先ず、この複列円筒ころ軸受3の外輪5、5と外輪間座6とを、前記軸受箱1に内嵌した状態で、この軸受箱1の内周面の内端寄り(図示しない車輪本体寄りで、図7の右寄り)部分に形成した段部16と、前記軸受箱1の外端(図示しない車輪本体と反対側の端で、図7の左端)開口部に内嵌した前蓋17の円筒部18の先端縁との間で挟持している。又、Oリング19により、この円筒部18と前記軸受箱1の内周面との嵌合部の油密保持を図っている。尚、前記前蓋17の中央部に設けた開口部20は、点検や給油の為のもので、運転時には、図示しないゴムキャップにより塞いでおく。
又、前記内輪4は、油切り21と共に、前記車軸2の端部寄り部分に外嵌固定している。この油切り21は、全体を段付円筒状としたもので、前記車軸2の中間部端部寄り部分に形成した、軸端に向かうに従って外径が小さくなる方向に傾斜した肩部22に、異物の浸入を十分に防止できる程度に隙間なく外嵌している。又、前記車軸2の端部に形成した雄ねじ部23に円環状のナット24を螺着している。前記内輪4は、前記内輪本体8の内端面を前記油切り21の外端面に突き当てると共に、前記ナット24により前記鍔輪9を、前記内輪本体8の外端面に向け抑え付ける事で、前記車軸2の端部に外嵌固定している。尚、前記車軸2の端部で前記ナット24から突出した部分には、回り止めリング25を外嵌している。この回り止めリング25は、内周縁の1乃至複数個所に突設した突片26と、前記車軸2の端部外周面に形成した凹溝27とを係合させる事により、この車軸2に対する回転を阻止している。更に、前記回り止めリング25を挿通した複数本のボルト28を、前記ナット24の一部に軸方向に形成したねじ孔29、29(本発明の実施の形態を示す図4参照)に螺合し更に締め付けている。この構成により、前記ナット24の緩み止めを図っている。
前記軸受箱1の内端開口部と前記油切り21との間に、前記車軸2の中央側から順番に、ラビリンスシール30と、接触式のシールリング31とを設けている。これらラビリンスシール30及びシールリング31を設ける為、前記軸受箱1の内端部に、後蓋32を組み付けている。これら軸受箱1と後蓋32との嵌合部はOリング33によりシールしている。又、この後蓋32の内周面に設けた断面L字形の固定側突条34と、前記油切り21の内端部外周面に設けた断面L字形の回転側突条35とを近接対向させて、前記ラビリンスシール30を構成している。又、上記後蓋32の内端寄り部分の下端部には、外部からこのラビリンスシール30の内部に浸入した雨水等の異物を、再び外部に排出する為の排出孔46を設けている。又、前記シールリング31の芯金を前記後蓋32の外端部に内嵌固定すると共に、このシールリング31の弾性材を、前記油切り21の中間部外周面に摺接させている。更に、この油切り21の外端部と前記内輪4の内端面との間に、円輪状のスリンガ36を挟持固定している。
前記軸受箱1のうち、組み付け状態で車体の重量を支承しない非負荷圏である下端部に、潤滑油溜り37を設けている。この潤滑油溜り37は、前記軸受箱1の下端部の軸方向中間部を両側部分よりも下方に凹ませて成るもので、中央部に設けたドレン孔38を、ねじ蓋39により塞いでいる。又、前記軸受箱1の下端部内周面で前記潤滑油溜り37を軸方向両側から挟む部分と、前記両外輪5、5の下端部外周面とを互いに離隔させて、当該部分をそれぞれ戻り通路40a、40bとしている。運転時には、前記潤滑油溜り37を含む、前記軸受箱1の下部に、前記複列円筒ころ軸受3を潤滑する為に適切な潤滑油を貯溜する。この潤滑油の量は、液面が前記両外輪5、5に形成した外輪鍔13の内周面の下端位置よりも少し上側に存在する様に規制する。従って、前記複列円筒ころ軸受3の下端部内側には、前記軸受箱1の下部に貯溜された潤滑油が入り込む。
上述の図7に示した構造の運転時には、前記車軸2の回転に伴って惹起される潤滑油の流れにより、前記複列円筒ころ軸受3の内部に潤滑油が流通する。具体的には、前記外輪間座6の通孔14から前記複列に配置された円筒ころ7、7同士の間に入り込んだ潤滑油が、これら各円筒ころ7、7を設置した空間を軸方向に流れ、前記複列円筒ころ軸受3の両端開口から排出される。更に、この両端開口から排出された潤滑油は、前記両戻り通路40a、40bを通じて前記潤滑油溜り37に回収され、再び前記通孔14を通じて、前記複列円筒ころ軸受3の内部に送り込まれる。
上述の様な転がり軸受用潤滑装置の機能を十分に果たさせる為には、前記複列円筒ころ軸受3の内部を流通する潤滑油の量を確保する必要がある。例えば特許文献1に記載されている様に、転がり軸受が複列円すいころ軸受である場合には、複列円すいころ軸受特有のポンプ作用により、転がり軸受の内部に十分量の潤滑油を循環させる事ができる。これに対して、図7に示す様な複列円筒ころ軸受3の場合には、転動体である円筒ころ7、7の中心軸と回転軸である車軸2の中心軸とが平行である為、前記複列円筒ころ軸受3自体は、殆どポンプ作用をする事がない。この為、そのままではこの複列円筒ころ軸受3の内部に十分な潤滑油を流通させる事ができない。図7に示した構造では、スリンガ36の回転に伴って潤滑油の流れが惹起されるが、その流れは、主として内側(図7の右側)の列の円筒ころ7、7部分を流通する。外側(図7の左側)の列の円筒ころ7、7部分には、必ずしも十分量の潤滑油が流通しない。これに対して、例えば、鉄道車両の車軸を台車に対して回転自在に支持する為の複列転がり軸受の場合、車軸から加わるモーメントの影響で、外側列の負荷が内側列の負荷よりも大きくなる。従って、新幹線等の高速鉄道車両の如く、使用条件が厳しい場合には、図7に示す様な構造では十分な耐久性を確保できなくなる可能性がある。
この様な事情に鑑みて、特許文献2には、図8に示す様に、鍔輪9aを大型化して、潤滑油の流れを惹起させる為の遠心流惹起部材を構成した構造が記載されている。この従来構造の第2例の場合には、前記鍔輪9aの軸方向寸法を大きくして、この鍔輪9aの外半部を外側の外輪5の外端面よりも外方に突出させている。そして、この突出した部分の外周面に、それぞれが外向フランジ状である、複数の遠心流惹起板部41、41を形成している。運転時には、前記鍔輪9aの回転に伴って、これら遠心流惹起板部41、41が潤滑油の流れを惹起させる。即ち、運転時にはこれら遠心流惹起板部41、41が、軸受箱1の下部に貯溜された潤滑油の一部にそれぞれの下部を漬からせた状態のまま回転する。そして、遠心力に基づいて前記各遠心流惹起板部41、41の近傍部分に、これら各遠心流惹起板部41、41の内径側から外径側に向かい、更に前記各遠心流惹起板部41、41の外周縁よりもこれら各遠心流惹起板部41、41の径方向外側に向かう潤滑油の流れを惹起させる。これに伴って、複列円筒ころ軸受3aの外端開口近傍部分の圧力が低下し、複列に配置された円筒ころ7、7の間部分からこの外端開口近傍部分に向かう、潤滑油の流れが惹起される。又、前記複列円筒ころ軸受3aの外端開口に対向する内側の遠心流惹起板部41の回転に伴って、この遠心流惹起板部41の内側に沿って径方向外側に流れる気流が惹起される。そして、外側列の円筒ころ7、7部分に、軸方向に関して内側から外側に向かう気流が惹起され、この気流に乗って潤滑油の飛沫が送られる。この結果、外側列の円筒ころ7、7部分に関しても、十分量の潤滑油を流通させられる。
この様な特許文献2に記載された従来構造の第2例の場合、潤滑油の流通量確保の面からは十分な性能を得られるが、小型・軽量化、低コスト化の面からは改良の余地がある。即ち、前記遠心流惹起板部41、41を設けるべく、前記鍔輪9aの軸方向寸法を大きくする分、車軸2の軸方向寸法も大きくする必要を生じる。この為、これら鍔輪9a及び車軸2の大型化、重量増大が避けられず、小型・軽量化を図りにくい。又、前記遠心流惹起板部41、41を前記鍔輪9aと一体に造る以上、この遠心流惹起板部41、41も、軸受鋼等の硬質金属製とする必要がある。硬質金属により、この遠心流惹起板部41、41を一体化した前記鍔輪9aを造る事は面倒で、低コスト化の妨げとなる。
小型・軽量化のみを図るのであれば、図9に示す様に、ナット24aの外周面に遠心流惹起板部41a、41aを形成する事も考えられる。この様に構成すれば、車軸2の軸方向寸法も大きくする必要がなくなり、小型・軽量化を図れるが、低コスト化を図る面からは、必ずしも十分とは言えない。即ち、前記ナット24aは、前記鍔輪9a(図8参照)程は硬い材料で造る必要はない為、加工コストに関しても、前記従来構造の第2例よりも低く抑えられる。但し、前記ナット24aにしても、或る程度硬い材料により造る必要があり、前記各遠心流惹起板部41a、41aの加工を十分容易に行えるとは言えず、低コスト化を図る面からは、依然として改良の余地がある。
特開2006−83945号公報 特開2009−41728号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、複列円筒ころ軸受等の転がり軸受の内部に潤滑油を効率良く循環させられる構造を、小型且つ軽量に構成でき、しかも低コストで得られる様にすべく発明したものである。
本発明の転がり軸受用潤滑装置は、前述の特許文献2に記載されて従来から知られている転がり軸受用潤滑装置と同様に、潤滑油溜りと、給油通路と、遠心流惹起部材と、戻り通路とを備える。
このうちの潤滑油溜りは、軸受箱の如き回転しないハウジングの内径側に、車軸の如き回転軸を支持する為の、複列円筒ころ軸受の如き転がり軸受の内部に潤滑油を循環させる為、前記ハウジングの下端部内側に設けられている。
又、前記給油通路は、前記転がり軸受を構成する複数個の転動体の列を挟んで、当該列の軸方向片側に設けられたもので、外径側を前記潤滑油溜りに貯溜された潤滑油内に開口させると共に、内径側を前記転がり軸受の内部に通じさせている。
又、前記遠心流惹起部材は、円環状で、前記回転軸と共に回転する状態で前記各転動体の列を挟んで軸方向他側に設けられたもので、下部外径寄り部分を、前記潤滑油溜りに貯溜された潤滑油中に浸漬させている。
、前記戻り通路は、前記遠心流惹起部材と前記潤滑油溜りとの間に設けられている。
又、前記転がり軸受が、外周面に複列の内輪軌道を有する内輪と、それぞれの内周面に外輪軌道を有する1対の外輪と、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた、それぞれが転動体であるころとを備えている。
又、前記内輪は、軸方向両端部外周面に外向フランジ状の鍔を有すると共に、外周面の残部を、前記内輪軌道としたものである。
更に、前記内輪の軸方向他側に隣接する位置に前記回転軸と共に回転する状態で、この内輪を抑え付ける為の円環状部材であるナットが設けられている。
特に、本発明の転がり軸受用潤滑装置に於いては、前記遠心流惹起部材が、前記ナットに、このナットと共に回転する状態、且つ軸方向変位が抑えられた状態で外嵌支持されている。
この様な本発明の転がり軸受用潤滑装置を実施する場合、具体的には、請求項2に記載した発明の様に、前記回転軸を鉄道車両用の車軸とし、前記ハウジングを軸受箱とする。又、前記転がり軸受を、外周面に複列円筒状の内輪軌道を有する内輪と、それぞれの内周面に円筒状の外輪軌道を有する1対の外輪と、これら両外輪同士の間に挟持された外輪間座と、前記両内輪軌道と前記両外輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた、それぞれが転動体である円筒ころとを備えたものとする。又、前記給油通路を、前記外輪間座の一部を径方向に貫通する状態で設けられた通孔とする。更に、前記ナットの外周面と遠心流惹起部材の内周面とを非円形係合させる。
上述の様に構成する本発明の転がり軸受用潤滑装置によれば、複列円筒ころ軸受等の転がり軸受の内部に潤滑油を効率良く循環させられる構造を、小型且つ軽量に構成でき、しかも低コストで得られる。
先ず、潤滑油を効率良く循環させられる事は、回転軸の回転に伴って遠心流惹起部材が、転動体の列の軸方向他側部分に存在する潤滑油に、遠心流、即ち、遠心流惹起部材の内径側から外径側に向かう潤滑油の流れを惹起し、前記転動体の列の軸方向片側部分から他側部分に向けて潤滑油の流れを惹起させる事により実現できる。この点に関しては、前述した特許文献2に記載された従来構造の場合と同様である。
又、小型且つ軽量に構成できる事は、前記遠心流惹起部材を、ナットの周囲に外嵌支持する事により実現できる。即ち、これら遠心流惹起部材とナットとを径方向に重畳させた状態で設ける為、この遠心流惹起部材を設置する事に伴って、鍔輪や回転軸等、一部の部材の軸方向寸法を大きくする必要がなくなり、優れた潤滑性能を有する構造を、小型且つ軽量に構成できる。この点に関しては、前述の図9に示した、先に考えた構造の場合と同様である。
更に、低コストで得られる事は、前記特許文献2に記載された従来構造の様に、硬質金属製の鍔輪や、或る程度の強度を必要とするナットに遠心流惹起板部を加工する必要がない事により図れる。前記遠心流惹起部材は、回転に伴う遠心力や、潤滑油に浸漬する事に伴って発生する摩擦抵抗に基づく応力、運転に伴って発生する振動等により破損しない程度の強度があれば足りる。従って、軸受鋼の如き硬質金属製とする必要はなく、耐油性を有する合成樹脂や、銅、アルミニウム等の、比較的軟質の金属により造る事ができて、低コスト化を図れる。
本発明の実施の形態の1例を示す断面図。 図1のイ部拡大図。 同ロ部拡大図。 ナットを軸方向から見た図。 遠心流惹起部材を軸方向から見た図(A)、及び、(A)のハ−ハ断面図(B)。 遠心流惹起部材の形状の6例を示す半部断面図。 従来構造の第1例を示す断面図。 同第2例を示す断面図。 本発明に先立って考えた構造の1例を示す断面図。
図1〜5は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例の特徴は、外側(図1の左側)の列の転動体設置部分に潤滑油を流通させる為の遠心流惹起部材42の設置部分の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図7〜8に示した従来構造と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の転がり軸受用潤滑装置の場合、複列円筒ころ軸受3の内輪4を抑え付ける為のナット24bに遠心流惹起部材42を外嵌支持して、これらナット24bと遠心流惹起部材42とが、互いに同期して回転する様にしている。この為に本例の場合には、前記ナット24bの外周面の基本形状を円筒状とし、この外周面の円周方向等間隔複数箇所(図示の例では6箇所)に、それぞれが径方向内方に凹入した、係止切り欠き43、43を形成している。尚、これら各係止切り欠き43、43は、前記ナット24bを車軸2の端部に設けた雄ねじ部23に螺合し更に締め付ける為の工具の先端部を係止する為の構造を、そのまま利用できる。
一方、前記遠心流惹起部材42は、円筒部44の内周面の円周方向等間隔複数箇所(図示の例では6箇所)に、それぞれが径方向内方に突出した係止突部45、45を形成している。前記遠心流惹起部材42は、これら各係止突部45、45と前記各係止切り欠き43、43とを係合させつつ、前記円筒部44を前記ナット24bに外嵌している。この状態で前記遠心流惹起部材42がこのナット24bの周囲に、このナット24bと同期した回転を自在に支持される。又、この状態で、前記各係止突部45、45が、鍔輪9と回り止めリング25との間に挟持されて、前記遠心流惹起部材42の軸方向変位が抑えられる。又、この遠心流惹起部材42は、前記円筒部44の外周面に遠心流惹起板部41b、41bを、径方向外方に突出する状態で設けて成る。これら各遠心流惹起板部41b、41bは、前記ナット24bと共に回転し、軸受箱1の底部に貯溜された潤滑油のうちで前記各遠心流惹起板部41b、41bの下端部が浸漬された部分の潤滑油に遠心流、即ち、これら各遠心流惹起板部41b、41bの内径側から外径側に向かう流れを惹起させる。そして、前記複列円筒ころ軸受3の内部の軸方向中央部から前記遠心流惹起部材42に向かう方向の、潤滑油の流れを惹起させる。
上述の様に本例の転がり軸受用潤滑装置は、前述の図8に示した従来構造の第2例の場合と同様に、車軸2の回転に伴って前記遠心流惹起部材42が、外側列(図1の左側列)の円筒ころ7、7の軸方向外側部分に存在する潤滑油に遠心流を惹起させる事に基づき、外側列の円筒ころ7、7の軸方向内側部分から外側部分に向けて潤滑油の流れを惹起させる。この結果、荷重条件が厳しい、前記外側列の円筒ころ7、7の設置部分に、潤滑油を効率良く循環させられる。
特に本例の転がり軸受用潤滑装置の場合には、前記遠心流惹起部材42を、既存の、即ち、軸受箱1の内側に前記車軸2を回転自在に支持する為に元々必要であった、前記ナット24bの周囲に外嵌支持している為、上述の様に優れた潤滑性能を有する、前記各遠心流惹起板部41b、41bを備えた構造を、小型且つ軽量に構成できる。即ち、前記遠心流惹起部材42と前記ナット24bとを径方向に重畳させた状態で設けている為、この遠心流惹起部材42を設置する事に伴って、鍔輪9や車軸2等、一部の部材の軸方向寸法を大きくする必要がない。この為、前記各遠心流惹起板部41b、41bを備えた構造を、小型且つ軽量に構成できる。
前記遠心流惹起部材42は、前記鍔輪9とは別体である為、この鍔輪9を構成する硬質金属製である必要がない。前記遠心流惹起部材42の強度は、回転に伴う遠心力や、潤滑油に浸漬する事に伴って発生する摩擦抵抗に基づく応力、運転に伴って発生する振動等により破損しない程度あれば十分である。従って、前記遠心流惹起部材42を、軸受鋼の如き硬質金属製とする必要はなく、耐油性を有する合成樹脂や、銅、アルミニウム等の、比較的軟質の金属により造る事ができて、前記各遠心流惹起板部41b、41bの加工が容易になる。この結果、前記遠心流惹起部材42の加工コストを抑え、この遠心流惹起部材42を組み込んだ転がり軸受用潤滑装置の低コスト化を図れる。
本発明を実施する場合に、遠心流惹起部材の外周面形状は、特許文献2に記載された従来構造の第2例の場合と同様、特に問わない。要は、遠心流惹起部材の回転に伴って、この遠心流惹起部材の下端部が浸漬された潤滑油に遠心流を惹起できる形状であれば良い。例えば、図6の(A)〜(F)に示した様な形状を採用できる。
このうちの(A)に示したものは、円筒部44の外周面に、外径が異なる3本の遠心流惹起板部を形成したものである。
又、(B)に示したものは、円筒部44の外周面に、外径が同じ3本の遠心流惹起板部を形成したものである。
又、(C)に示したものは、円筒部44の外周面に、外径が同じ2本の遠心流惹起板部を形成したものである。図1〜5に示した実施の形態の1例には、この(C)に示した遠心流惹起部材を組み込んでいる。
又、(D)に示したものは、円筒部44の外周面に、外径が異なる2本の遠心流惹起板部を形成したものである。
又、(E)に示したものは、円筒部44の外周面の遠心流惹起板部を厚肉にし、転がり軸受の開口部に対向する内側面を、外径側に向かうに従って軸方向外側に向かう方向に傾斜した傾斜面としたものである。
更に、(F)に示したものは、円筒部44の外周面の遠心流惹起板部を厚肉にし、この遠心流惹起板部の両側面を、中心軸に対し直交する方向の平坦面としたものである。
何れの構造を採用するかは、潤滑油の遠心流惹起能力、強度等、遠心流惹起部材に要求される性能に応じて設計的に定める。
1 軸受箱
2 車軸
3、3a 複列円筒ころ軸受
4 内輪
5 外輪
6 外輪間座
7 円筒ころ
8 内輪本体
9、9a 鍔輪
10 内輪鍔
11 内輪軌道
12 外輪軌道
13 外輪鍔
14 通孔
15 保持器
16 段部
17 前蓋
18 円筒部
19 Oリング
20 開口部
21 油切り
22 肩部
23 雄ねじ部
24、24a、24b ナット
25 回り止めリング
26 突片
27 凹溝
28 ボルト
29 ねじ孔
30 ラビリンスシール
31 シールリング
32 後蓋
33 Oリング
34 固定側突条
35 回転側突条
36 スリンガ
37 潤滑油溜り
38 ドレン孔
39 ねじ蓋
40a、40b 戻り通路
41、41a、41b 遠心流惹起板部
42 遠心流惹起部材
43 係止切り欠き
44 円筒部
45 係止突部
46 排出孔

Claims (2)

  1. 回転しないハウジングの内径側に回転軸を支持する為の転がり軸受の内部に潤滑油を循環させる為、前記ハウジングの下端部内側に設けられた潤滑油溜りと、前記転がり軸受を構成する複数個の転動体の列を挟んで、当該列の軸方向片側に設けられた、外径側を前記潤滑油溜りに貯溜された潤滑油内に開口させると共に、内径側を前記転がり軸受の内部に通じさせた給油通路と、前記回転軸と共に回転する状態で前記各転動体の列を挟んで軸方向他側に設けられ、下部外径寄り部分を前記潤滑油溜りに貯溜された潤滑油中に浸漬させた、円環状の遠心流惹起部材と、この遠心流惹起部材と前記潤滑油溜りとの間に設けられた戻り通路とを備え、
    前記転がり軸受が、外周面に複列の内輪軌道を有する内輪と、それぞれの内周面に外輪軌道を有する1対の外輪と、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた、それぞれが転動体であるころとを備え、
    前記内輪が、軸方向両端部外周面に外向フランジ状の鍔を有すると共に、外周面の残部を前記内輪軌道としたものであり、
    前記内輪の軸方向他側に隣接する位置に前記回転軸と共に回転する状態で、この内輪を抑え付ける為の円環状部材であるナットが設けられた転がり軸受用潤滑装置に於いて、
    前記遠心流惹起部材が、前記ナットに、このナットと共に回転する状態、且つ軸方向変位が抑えられた状態で外嵌支持されている事を特徴とする転がり軸受用潤滑装置。
  2. 回転軸が鉄道車両用の車軸であり、ハウジングが軸受箱であり、転がり軸受が、外周面に複列円筒状の内輪軌道を有する内輪と、それぞれの内周面に円筒状の外輪軌道を有する1対の外輪と、これら両外輪同士の間に挟持された外輪間座と、前記両内輪軌道と前記両外輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた、それぞれが転動体である円筒ころとを備えたものであり、給油通路が、前記外輪間座の一部を径方向に貫通する状態で設けられた通孔であり、前記ナットの外周面と遠心流惹起部材の内周面とを非円形係合させている、請求項1に記載した転がり軸受用潤滑装置。
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