JP5434157B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。より詳細には、本発明は、負極活物質としてケイ素を含むリチウムイオン二次電池の、サイクル特性を向上させるための改良に関する。
近年、地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性、および高いエネルギー密度を発揮することが求められている。したがって、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を集電体の表面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を集電体の表面に塗布した負極とが、電解質を含む電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。
従来、リチウムイオン二次電池の負極を構成する負極活物質としては、充放電サイクルの寿命やコスト面で有利な炭素・黒鉛系材料が用いられてきた。炭素・黒鉛系材料を負極活物質として用いると、リチウムイオンの黒鉛結晶中への吸蔵・放出により充放電反応が進行する。かようなメカニズム上の制約により、炭素・黒鉛系材料を負極活物質として用いた場合には、最大リチウム導入化合物であるLiCから得られる理論容量372mAh/g以上の充放電容量が得られないという欠点がある。このため、炭素・黒鉛系材料を負極活物質として採用し、車両用途の実用化レベルを満足する容量、エネルギー密度を得るのは困難であると予想される。
これに対し、リチウムイオン二次電池において、リチウムと合金化しうる材料であるケイ素(Si)を負極活物質として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。かような電池は、従来の炭素・黒鉛系負極材料と比較して高いエネルギー密度を達成可能であり、車両用電池の候補として期待されている。ケイ素は、充放電において下記反応式(1)に示すように1モルあたり4.4モルのリチウムイオンを吸蔵放出しうる。このため、Li22Siにおいては4200mAh/g程度と極めて大きい理論容量を有する。
Figure 0005434157
特開2004−296315号公報
しかしながら、ケイ素を含む材料(以下、「ケイ素系負極材料」とも称する)から構成された負極活物質は、充放電時における膨張・収縮が大きい。例えば、リチウムイオンを吸蔵した場合の体積膨張は、黒鉛では約1.2倍であるのに対し、ケイ素系負極材料では約4倍にも達する。このように負極活物質が大きく膨張すると、充放電を繰り返すうちに、活物質の割れや微粉化、集電体からの剥離等が起こり、所望のサイクル特性が得られないという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、負極活物質としてケイ素系負極材料を用いたリチウムイオン二次電池において、サイクル特性を向上させる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行なった。その結果、所定の水溶性高分子電解質およびカルボキシメチルセルロースを負極活物質のバインダ材料として使用することにより、優れたサイクル特性が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池は、正極活物質層と、電解質層と、負極活物質層と、が順次積層されてなる少なくとも1つの単電池層を含む発電要素を有する。そして、負極活物質層は、ケイ素系負極材料を主成分とする負極活物質と、バインダと、を含む。バインダは、水溶性高分子電解質およびカルボキシメチルセルロースを含み、当該カルボキシメチルセルロースの含有割合は、バインダの全質量に対して、30〜70質量%である。そして、水溶性高分子電解質は、イオン性官能基を含む繰り返し構造単位数の、繰り返し構造単位の全体数に対する比率が20%以上となる、DNA、RNA、ケラチン、コラーゲン、ポリグルタミン酸、フィブロイン、アガロペクチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む点に特徴を有する
本発明によれば、ケイ素表面に存在するシラノール(Si−OH)と、水溶性高分子電解質に含まれるカルボキシル基、リン酸基、または硫酸基等のイオン性官能基とがエステル結合を形成しうる。このような化学結合によりケイ素系負極材料とバインダとは負極活物質層中で強固に結着するので、繰り返し充放電による、活物質の割れや微粉化、集電体からの剥離等が防止でき、優れたサイクル特性を発揮しうる。
本形態に係る双極型でない積層型のリチウムイオン二次電池の全体構造を模式的に表した断面概略図である。 本形態に係る双極型の積層型リチウムイオン二次電池の全体構造を模式的に表した概略断面図である。 本形態に係る組電池の代表的な実施形態の外観図である。図3Aは組電池の平面図であり、図3Bは組電池の正面図であり、図3Cは組電池の側面図である。 本形態に係る組電池を搭載した電気自動車の概念図である。
以下、本発明の好ましい形態を説明する。本形態は、正極活物質層と、電解質層と、負極活物質層と、が順次積層されてなる少なくとも1つの単電池層を含む発電要素を有する、リチウムイオン二次電池に関する。そして、負極活物質層は、ケイ素系負極材料を主成分とする負極活物質と、バインダと、を含む。バインダは、水溶性高分子電解質を含む。
以下、図面を参照しながら、本形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本形態に係る双極型でない積層型のリチウムイオン二次電池(以下、単に「リチウムイオン電池」とも称する)の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素17が、電池外装材であるラミネートフィルム22の内部に封止された構造を有する。詳しくは、高分子−金属複合ラミネートフィルムを電池外装材として用いて、その周辺部の全部を熱融着にて接合することにより、発電要素17を収納し密封した構成を有している。
発電要素17は、正極集電体11の両面(発電要素の最下層用および最上層用は片面のみ)に正極活物質層12が配置された正極と、電解質層13と、負極集電体14の両面に負極活物質層15が配置された負極とを積層した構成を有している。具体的には、1つの正極活物質層12とこれに隣接する負極活物質層15とが、電解質層13を介して対向するようにして、正極、電解質層13、負極がこの順に積層されている。
これにより、隣接する正極、電解質層13および負極は、1つの単電池層16を構成する。したがって、本実施形態のリチウムイオン電池10は、単電池層16が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。また、単電池層16の外周には、隣接する正極集電体11と負極集電体14との間を絶縁するためのシール部(絶縁層)(図示せず;図2の符号43を参照)が設けられていてもよい。発電要素17の両最外層に位置する最外層正極集電体11aには、いずれも片面のみに正極活物質層12が配置されている。なお、図1とは正極および負極の配置を逆にすることで、発電要素17の両最外層に最外層負極集電体が位置するようにし、該最外層負極集電体の片面のみに負極活物質層が配置されているようにしてもよい。
正極集電体11および負極集電体14には、各電極(正極および負極)と導通される正極端子18および負極端子19がそれぞれ取り付けられ、ラミネートフィルム22の端部に挟まれるようにラミネートフィルム22の外部に導出される構造を有している。正極端子18および負極端子19は、必要に応じて正極端子リード20および負極端子リード21を介して、各電極の正極集電体11および負極集電体14に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい(図1にはこの形態を示す)。ただし、正極集電体11が延長されて正極端子18とされ、ラミネートフィルム22から導出されていてもよい。同様に、負極集電体14が延長されて負極端子19とされ、同様に電池外装材22から導出される構造としてもよい。
図2は、本形態に係る双極型の積層型リチウムイオン二次電池(以下、単に「双極型リチウムイオン電池」とも称する)の全体構造を模式的に表した概略断面図である。
図2に示すように、本実施形態の双極型リチウムイオン電池30の発電要素37は、集電体31の一方の面に電気的に結合した正極活物質層32が形成され、集電体31の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層33が形成された複数の双極型電極34を有する。各双極型電極34は、電解質層35を介して積層されて発電要素37を形成する。なお、電解質層35は、基材としてのセパレータの面方向中央部に電解質が保持されてなる構成を有する。この際、一の双極型電極34の正極活物質層32と前記一の双極型電極34に隣接する他の双極型電極34の負極活物質層33とが電解質層35を介して向き合うように、各双極型電極34および電解質層35が交互に積層されている。すなわち、一の双極型電極34の正極活物質層32と前記一の双極型電極34に隣接する他の双極型電極34の負極活物質層33との間に電解質層35が挟まれて配置されている。
隣接する正極活物質層32、電解質層35、および負極活物質層33は、一つの単電池層36を構成する。したがって、双極型二次電池34は、単電池層36が積層されてなる構成を有するともいえる。なお、発電要素37の最外層に位置する正極側最外層集電体31aには、片面のみに正極活物質層32が形成されている。また、発電要素37の最外層に位置する負極側最外層集電体31bには、片面のみに負極活物質層33が形成されている。ただし、正極側最外層集電体31aの両面に正極活物質層32が形成されてもよい。同様に、負極側最外層集電体31bの両面に負極活物質層33が形成されてもよい。
さらに、図2に示す双極型リチウムイオン電池30では、正極側最外層集電体31aに隣接するように正極集電板44aが配置され、これが延長されて電池外装材であるラミネートフィルム42から導出している。一方、負極側の最外層集電体31bに隣接するように負極集電板44bが配置され、同様にこれが延長されて電池の外装であるラミネートフィルム42から導出している。
図2に示す双極型リチウムイオン電池30においては、通常、各単電池層36の周囲にシール部(絶縁層)43が設けられる。このシール部43は、電池内で隣り合う集電体31どうしが接触したり、発電要素37における単電池層36の端部の僅かな不揃いなどに起因する短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。かようなシール部43の設置により、長期間の信頼性および安全性が確保され、高品質の双極型リチウムイオン二次電池30が提供されうる。
なお、単電池層36の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。双極型リチウムイオン電池30はこのように、単電池層36の積層回数を多くすることによって、高い電圧を得ることができる点で有利である。また、双極型リチウムイオン電池30では、電池の厚みを極力薄くしても十分な出力が確保できれば、単電池層36の積層回数を少なくしてもよい。双極型リチウムイオン電池30でも、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、発電要素37を電池外装材であるラミネートフィルム42に減圧封入し、正極集電板44aおよび負極集電板44bをラミネートフィルム42の外部に取り出した構造とするのがよい。
リチウムイオン二次電池10と双極型リチウムイオン電池30の各構成要件および製造方法に関しては、双方の電池内の電気的な接続形態(電極構造)が異なることを除いては、基本的には同様である。よって、上記したリチウムイオン二次電池10の各構成要件を中心に、以下説明する。ただし、双極型リチウムイオン電池30の各構成要件および製造方法に関しても、同様の構成要件および製造方法を適宜利用して構成ないし製造することができることは言うまでもない。
以下、本形態のリチウムイオン二次電池を構成する部材について簡単に説明するが、下記の形態のみに制限されることはなく、従来公知の形態も同様に採用されうる。
[集電体]
集電体は導電性材料から構成され、その両面に活物質層が配置されて電池の電極を構成する。集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。集電体の厚さについても特に制限はない。集電体の厚さは、通常は1〜100μm程度である。
集電体を構成する材料に特に制限はない。例えば、金属や、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂が採用されうる。具体的には、金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位の観点からは、アルミニウム、ステンレス鋼、銅が好ましい。
また、導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、およびポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Sb、およびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限はないが、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、5〜35質量%程度である。
[正極活物質層]
活物質層は活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni−Co−Mn)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
正極活物質層に含まれる正極活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜20μmであり、より好ましくは1〜5μmである。ただし、この範囲を外れる形態が採用されても、勿論よい。なお、本明細書において、「粒子径」とは、活物質粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
正極活物質層の厚さについては特に制限はなく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、正極活物質層の厚さは、2〜100μm程度である。
[負極活物質層]
負極活物質層は、負極活物質を含む。本形態に係るリチウムイオン二次電池における特徴の1つは、負極活物質層に含まれる負極活物質として、ケイ素(Si)を主成分とする負極活物質が用いられる点である。上述したように、ケイ素系負極材料を用いて負極活物質を構成すると、従来の炭素・黒鉛系負極材料を負極活物質として用いた場合と比較して、高いエネルギー密度が達成されうる。なお、本明細書において、「負極活物質がケイ素を主成分とする」とは、負極活物質層に含まれる負極活物質の総質量に占めるケイ素の質量が50質量%以上であることを意味する。より大きい理論容量を達成可能であるという観点からは、好ましくは、当該質量は70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
負極活物質としてのケイ素には、所定の元素(ドーピング元素)がドーピングされていることが好ましい。本来、ケイ素の導電性は低いものの、上記所定のドーピング元素をケイ素にドープして負極活物質として用いることで、ケイ素が半導体の性質を示すようになる。すなわち、ケイ素系負極材料の低い導電性が改善され、負極活物質としてより一層有効に機能することが可能となる。当該ドーピング元素は、好ましくは、周期律表における13族または15族の元素からなる群から選択される1種または2種以上の元素である。具体的には、周期律表における13族の元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)が挙げられる。また、周期律表における15族の元素としては、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)が挙げられる。なかでも、電池特性に優れた電池を提供するという観点からは、B、Al、Ga、In、N、P、As、Sb、またはBiが好ましく、より好ましくはB、Al、Ga、またはInであり、特に好ましくはBまたはAlである。これらのドーピング元素は1種のみが単独でドープされてもよいし、2種以上が組み合わせてドープされてもよい。
ケイ素へのドーピング元素のドープ量について特に制限はないが、負極活物質層における導電性の向上という観点からは、好ましくは1×10−20atom/cm以上であり、より好ましくは1×10−18atom/cm以上、特に好ましくは1×10−15atom/cm以上である。
なお、場合によっては、上述したドープされていてもよいケイ素に加えて、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素系負極材料、スズ系負極材料などの金属材料、リチウム−チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:LiTi12)等のリチウム−遷移金属複合酸化物、およびその他の従来公知の負極活物質の1種または2種以上が併用されてもよい。
負極活物質層の積層方向の厚さは特に制限されない。ただし、電池特性に優れた電池を提供するという観点からは、好ましくは100nm〜100μmであり、より好ましくは1〜100μmであり、さらに好ましくは1〜10μmである。負極活物質層はケイ素からなる粒子状の負極活物質(および必要に応じてその他の負極活物質)と、後述するバインダや導電助剤等の添加剤とが混合されてなる合剤層の形態でありうる。かような形態において、粒子状活物質であるケイ素またはスズからなる負極活物質粒子のサイズについて特に制限はない。一例を挙げると、後述のバインダとの結着性をより高める観点からは、該負極活物質の一次粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm〜100μmであり、より好ましくは10nm〜45μmであり、さらに好ましくは50nm〜5μmである。なお、上述した合剤層の形状の負極活物質層を構成する各成分の配合量については、従来公知の知見が適宜参照されうる。また、かような形態の負極活物質層は、従来公知の合剤層の形状の負極活物質層と同様の液相プロセスにより作製されうる。例えば、まず、負極活物質層を構成する各成分(粒子状活物質ならびに、必要であればバインダおよび導電助剤)を適量の溶媒(N−メチル−2−ピロリドンなど)に分散させて、スラリーを調製する。次いで、当該スラリーを集電体に塗布し、乾燥させることで、負極活物質層本体が作製されうる。
[バインダ]
バインダは、正極活物質層または負極活物質層において、活物質層どうしを結着させる役割を果たす添加剤である。また、活物質層には、必要により導電助剤が添加されうるが、バインダは、この導電助剤と活物質とを結着させる役割も果たす。
本形態に係る電池における特徴のもう1つは、負極活物質層に含まれるバインダとして、水溶性高分子電解質が含まれる点である。本明細書において、「水溶性高分子電解質」とは、重量平均分子量が5000以上である高分子において、イオン性官能基を含むモノマー(単量体、高分子の繰り返し構造単位)数のモノマー全体数に対する比率(以下、「イオン性官能基比率」とも称する。)が20%以上となるポリペプチド、核酸、および多糖からなる群から選択される少なくとも1種またはこれらの複合体を意味する。また、な「イオン性官能基」とは、水中で電離することによって陰イオンを形成する官能基を意味する。また、ポリペプチド、核酸、および多糖からなる群から選択される少なくとも1種またはこれらの複合体は、生体から得られたものであってもよいし、人工的に合成したものであっても構わない。イオン性官能基の具体例としては、カルボキシル基、リン酸基、および硫酸基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。かような水溶性高分子電解質をバインダとして用いることによって、ケイ素表面に存在するシラノール(Si−OH)と、水溶性高分子電解質に含まれるカルボキシル基、リン酸基、または硫酸基等とがエステル結合を形成しうる。このような化学結合によりケイ素系負極材料とバインダとは負極活物質層中で強固に結着するので、繰り返し充放電による、活物質の割れや微粉化、集電体からの剥離等が防止でき、優れたサイクル特性を発揮しうるのである。
水溶性高分子電解質としては、上記の定義に含まれる高分子化合物であれば特に制限はなく、自然界から得られる種々の高分子化合物を用いることできる。好ましい水溶性高分子電解質としては、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)といった核酸;コラーゲン、ケラチン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、ポリグルタミン酸、フィブロイン、およびグロブリン等のポリペプチド;アガロペクチン、アルギン酸、フコダイン、ペクチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、およびヘパリン等の多糖が挙げられる。
このうち、核酸は、ヌクレオチドがリン酸エステル結合によって多数結合した水溶性高分子電解質である。リン酸基を中心に見ると、1つのリン酸基の3つの水素原子のうち、2つがリボースの水酸基とエステル結合した構造を有しているともいえる。残りの1つの水素は、他の水酸基と結合してエステル結合を形成することができる。本形態においては、上述のケイ素系負極材料のケイ素表面に存在するシラノール(Si−OH)と、核酸のリン酸基に存在する残りの水酸基とがエステル結合を形成することによって、ケイ素系負極材料が活物質層中で強固に結着されうる。したがって、繰り返し充放電による、活物質の割れや微粉化、集電体からの剥離等が防止できるという効果が得られるものと考えられる。同様に、ポリペプチド中に含まれるグルタミン酸残基またはアスパラギン酸残基、多糖中のウロン酸に含まれるカルボキシル基、または硫酸糖に含まれる硫酸基も、シラノールとエステル結合を形成できるので、上述の核酸の場合と同様の効果を得ることができるのである。さらに、カルボキシル基、リン酸基、または硫酸基は、イオン性官能基であるので、活物質層中のリチウムイオンを伝播する役割も兼ね備えており、電池性能をより向上させることができる。
本形態の水溶性高分子電解質に含まれるイオン性官能基の割合は、前述したイオン性官能基比率が20%以上であることが必須であるが、好ましくは25%以上である。かような量のイオン性官能基を含むことによって、ケイ素系負極材料とバインダとの結着性が強まるとともに、リチウムイオンの伝播をより向上させることができる。また、水溶性高分子電解質の重量平均分子量は、5000以上であることが好ましく、100000〜5000000であることがより好ましいが、これらに制限されるものではない。このような重量平均分子量を有する水溶性高分子電解質を使用することによって、より強い結着力が得られうる。
また、核酸、ポリペプチド、または多糖は、上記のカルボキシル基、リン酸基、または硫酸基の他にも、アミノ基、カルボニル基、および水酸基などの官能基を含む。水酸基は、カルボキシル基、リン酸基、または硫酸基と、エステル結合を形成しうる。アミノ基は、カルボキシル基、リン酸基、または硫酸基と、イオン結合を形成しうる。また、アミノ基、カルボニル基、水酸基は、互いに水素結合を形成しうる。このように、水溶性高分子電解質中に含まれる官能基によりエステル結合、イオン結合、または水素結合が形成されることによって、水溶性高分子電解質同士の結着もより強固なものとなりうる。イオン結合が形成されやすいという観点からは、分子内にカルボキシル基およびアミノ基を豊富に含むポリペプチドを用いることが好ましい。なお、上記の核酸、ポリペプチド、および多糖は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用しても勿論構わない。
本形態においては、負極活物質層に含まれるバインダとして、生体由来の水溶性高分子電解質を使用することが必須であるが、該水溶性高分子電解質以外の従来公知のバインダ材料を組み合わせて使用することも勿論可能である。公知のバインダ材料としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、合成ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。このうちカルボキシメチルセルロースを使用することが好ましい。かような公知のバインダ材料を組み合わせることにより、活物質層の製膜性をより向上することができる。なお、水溶性高分子電解質と公知のバインダ材料とを組み合わせる場合は、公知のバインダ材料の含有割合は、バインダの全質量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。なお、正極活物質層中に含まれるバインダは、特に制限はなく、上記の水溶性高分子電解質を使用してもよいし、公知のバインダ材料のみを使用しても構わない。
正極活物質層および負極活物質層に含まれうるその他の添加剤としては、例えば、導電助剤、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等が挙げられる。
導電助剤とは、正極活物質層または負極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。
正極活物質層および負極活物質層中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)やイオン伝導性を考慮して調整されうる。
[電解質層]
電解質層は、正極活物質層と負極活物質層との間の空間的な隔壁(スペーサ)として機能する。また、これと併せて、充放電時における正負極間でのリチウムイオンの移動媒体である電解質を保持する機能をも有する。
電解質層を構成する電解質に特に制限はなく、液体電解質、ならびに高分子ゲル電解質および高分子固体電解質などのポリマー電解質が適宜用いられうる。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート類が挙げられる。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiN(SO、LiN(SOCF、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSOCFなどの電極の活物質層に添加されうる化合物を同様に用いることができる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない高分子固体電解質に分類される。
ゲル電解質は、リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体などが挙げられる。かようなマトリックスポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィンやポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素、ガラス繊維などからなる微多孔膜が挙げられる。
高分子固体電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が高分子固体電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
高分子ゲル電解質や高分子固体電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発揮しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合などの重合処理を施せばよい。なお、上記電解質は、電極の活物質層中に含まれていてもよい。
[シール部]
シール部は、双極型二次電池に特有の部材であり、電解質層の漏れを防止する目的で単電池層の周縁部に配置されている。このほかにも、電池内で隣り合う集電体同士が接触したり、積層電極の端部の僅かな不揃いなどによる短絡が起こったりするのを防止することもできる。図2に示す形態において、シール部43は、集電体31と電解質層35とで挟持されるように、単電池層36の周縁部に配置されている。シール部の構成材料としては、例えば、PE、PPなどのポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム、ポリイミドなどが挙げられる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、製膜性、経済性などの観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
[正極および負極端子]
リチウムイオン二次電池においては、電池外部に電流を取り出す目的で、集電体に電気的に接続された端子(正極端子および負極端子)が外装材であるラミネートフィルムの外部に取り出されている。
端子を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の端子として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。端子の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極端子と負極端子とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。また、双極型リチウムイオン電池30においては、図2に示すように、集電板(44a、44b)を延長することにより端子としてもよいし、別途準備した端子を集電板(44a、44b)に接続してもよい。
[正極および負極リード]
図1に示すリチウムイオン電池10においては、正極リード20および負極リード21をそれぞれ介して、集電体は端子と電気的に接続されている。
正極および負極リードの材料は、公知のリチウムイオン電池で用いられるリードを用いることができる。なお、電池外装材から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
[外装材]
外装材としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができる。そのほか、図1や図2に示すようなラミネートフィルム(22、42)を外装材として用いて、発電要素(17、37)をパックしてもよい。ラミネートフィルムは、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されうる。
[組電池]
本形態のリチウムイオン二次電池は、複数個接続されて、組電池を構成しうる。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。また、本形態のリチウムイオン二次電池を用いることで、サイクル耐久性に優れ長期信頼性の高い組電池が提供されうる。なお、本形態の組電池では、本形態の非双極型リチウムイオン二次電池と双極型リチウムイオン二次電池とを用いて、これらを直列に、並列に、または直列と並列とに、複数個組み合わせて、組電池を構成することもできる。
図3は、本形態に係る組電池の代表的な実施形態の外観図である。図3Aは組電池の平面図であり、図3Bは組電池の正面図であり、図3Cは組電池の側面図である。
図3に示すように、本形態に係る組電池300においては、まず、本形態のリチウムイオン二次電池が複数、直列または並列に接続されて装脱着可能な小型の組電池250を形成している。そして、この装脱着可能な小型の組電池250をさらに複数、直列または並列に接続して、組電池300が構成されている。かような構成とすることで、高エネルギー密度、高出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池300が得られる。装脱着可能な小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続され、接続治具310を用いて複数段積層される。何個の非双極型または双極型のリチウムイオン二次電池を接続して組電池250を作製するかや、何段の組電池250を積層して組電池300を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
[車両]
本形態のリチウムイオン二次電池や組電池は、車両の駆動用電源として用いられうる。本形態の二次電池または組電池は、例えば、自動車ならばハイブリット車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いられうる。これにより、高寿命で信頼性の高い自動車が提供されうる。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両であれば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
図4は、本形態に係る組電池300を搭載した電気自動車400の概念図である。図4に示すように、組電池300を電気自動車400に搭載するには、電気自動車400の車体中央部の座席下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームに搭載してもよい。以上のような組電池300を用いた電気自動車400は優れた耐久性を有し、長期間使用しても十分な出力を発揮しうる。
以上、本発明の好ましい形態について示したが、本発明は、以上の形態に限られず、当業者によって種々の変更、省略、および追加が可能である。
本発明の作用効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。以下では、各種バインダ材料を使用してリチウムイオン二次電池を作製し、該電池のサイクル特性を評価した。
<負極活物質ペーストの調製>
[実施例1]
ケイ素粉末(負極活物質、一次粒子の平均粒子径1μm)、アセチレンブラック(導電助剤)、鮭白子由来DNA(バインダ)、カルボキシメチルセルロース(バインダ)を、40:40:10:10(質量比)となるように80℃の蒸留水を溶媒として混合し、負極活物質ペーストを得た。なお、鮭白子由来DNAに含まれるイオン性官能基の割合は、前述のイオン性官能基比率で100%であった。
[実施例2]
ケイ素粉末(負極活物質、一次粒子の平均粒子径1μm)、アセチレンブラック(導電助剤)、コラーゲン(バインダ)、カルボキシメチルセルロース(バインダ)を、40:40:10:10(質量比)となるように80℃の蒸留水を溶媒として混合し、負極活物質ペーストを得た。なお、コラーゲンに含まれるイオン性官能基の割合は、イオン性官能基比率で33%であった。
[実施例3]
ケイ素粉末(負極活物質、一次粒子の平均粒子径1μm)、アセチレンブラック(導電助剤)、アガロペクチン(バインダ)、カルボキシメチルセルロース(バインダ)を、40:40:10:10(質量比)となるように80℃の蒸留水を溶媒として混合し、負極活物質ペーストを得た。なお、アガロペクチンに含まれるイオン性官能基の割合は、イオン性官能基比率で25%であった。
[比較例1]
ケイ素粉末(負極活物質、一次粒子の平均粒子径1μm)、アセチレンブラック(導電助剤)、ポリフッ化ビニリデン(バインダ)を、40:40:20(質量比)となるように蒸留水を溶媒として混合し、負極活物質ペーストを得た。
[比較例2]
ケイ素粉末(負極活物質、一次粒子の平均粒子径1μm)、アセチレンブラック(導電助剤)、カルボキシメチルセルロース(バインダ)を、40:40:20(質量比)となるように蒸留水を溶媒として混合し、負極活物質ペーストを得た。
<正極活物質ペーストの調製>
LiCoO(正極活物質)、アセチレンブラック(導電助剤)、ポリフッ化ビニリデン(バインダ)、80:10:10(質量比)となるようにN−メチルピロリドンを溶媒として混合し、正極活物質ペーストを得た。
<負極の作製>
銅箔(集電体)の両面に、上記で得た負極活物質ペーストをそれぞれ20μmとなるように塗布し、十分に乾燥させることによって、負極を作製した。
<リチウムイオン二次電池の作製>
上記で作製した負極と、ステンレスディスクに金属リチウムを貼り付けた正極とを対向させ、この間にセパレータ(厚さ20μm、ポリオレフィン製)を配置した。この負極・セパレータ・正極の積層体を電池缶(SUS304製)に配し、電解液(エチレンカーボネート:ジエチレンカーボネート=50:50(容積比)の混合溶液に1Mの濃度でLiPFを溶解させたもの)を注入し、密閉し、リチウムイオン二次電池を得た。
<サイクル特性評価>
上記の方法で作製した各リチウムイオン二次電池について、30℃の雰囲気下、定電流方式(CC、電流:0.1C)で2.0Vまで充電し、10分間休止させた後、定電流(CC、電流:0.1C)で0.01Vまで放電し、放電後10分間休止させた。この充放電過程を1サイクルとし、10サイクルの充放電試験を行い、放電容量保持率を調べた。結果を下記の表1に示す。なお、表1において「放電容量保持率」は、1サイクル目の放電容量に対する10サイクル目の放電容量の割合を表す(百分率表示)。
Figure 0005434157
表1の結果より、PVdFまたはCMCのみを含む比較例1および2は、10サイクル後までに著しく放電容量が低下した。一方、本形態に係る生体由来の水溶性高分子化合物をバインダとして含む実施例1〜3は、10サイクル後においても、高い放電容量を維持することが示された。この結果より、生体由来の水溶性高分子化合物とケイ素との化学結合、および該水溶性高分子化合物に含まれる官能基によるイオン結合または水素結合により、ケイ素を含む負極活物質の割れや微粉化、集電体からの剥離等を効果的に防止しているものと考えられた。
10 リチウムイオン電池、
11 正極集電体、
11a 最外層正極集電体、
12、32 正極活物質層、
13、35 電解質層、
14 負極集電体、
15、33 負極活物質層、
16、36 単電池層、
17、37 発電要素、
18 正極端子、
19 負極端子、
20 正極端子リード、
21 負極端子リード、
22、42 ラミネートフィルム、
30 双極型リチウムイオン電池、
31 集電体、
31a 正極側最外層集電体、
31b 負極側最外層集電体、
34 双極型電極、
43 シール部(絶縁層)、
44a 正極集電板、
44b 負極集電板、
250 小型の組電池、
300 組電池、
310 接続治具、
400 電気自動車。

Claims (5)

  1. 正極活物質層と、電解質層と、負極活物質層と、が順次積層されてなる少なくとも1つの単電池層を含む発電要素を有するリチウムイオン二次電池であって、
    前記負極活物質層は、ケイ素系負極材料を主成分とする負極活物質と、バインダと、を含み、
    前記バインダは、水溶性高分子電解質およびカルボキシメチルセルロースを含
    前記カルボキシメチルセルロースの含有割合は、バインダの全質量に対して、30〜70質量%であり、
    前記水溶性高分子電解質は、イオン性官能基を含む繰り返し構造単位数の、繰り返し構造単位の全体数に対する比率が20%以上となる、DNA、RNA、ケラチン、コラーゲン、ポリグルタミン酸、フィブロイン、アガロペクチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記水溶性高分子電解質は、DNAコラーゲン、アガロペクチンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記負極活物質の一次粒子の平均粒子径が、10nm〜100μmである請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記ケイ素系負極材料は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、窒素、リン、ヒ素、アンモンチン、ビスマスからなる群より選択される少なくとも1種がドーピングされてなる、請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 双極型である、請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
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