JP5043344B2 - 非水電解質二次電池用負極 - Google Patents

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Description

本発明は、高容量で、長寿命である非水電解質二次電池に関し、詳しくは非水電解質二次電池用負極の改良に関する。
非水電解質二次電池の負極として、高電圧で高エネルギー密度を実現可能な金属リチウムを用いる研究開発が多く行われてきた。そして現在、リチウムを可逆的に吸蔵および放出し、サイクル寿命と安全性に優れた黒鉛材料を負極に用いたリチウムイオン電池が実用化されている。
しかし、黒鉛材料を負極に用いた電池において、達成されている黒鉛の実用容量は約350mAh/gであり、黒鉛材料の理論容量(372mAh/g)にかなり接近している。そのため、負極に黒鉛材料を用いる限り、将来の飛躍的な容量向上は望めない。一方、携帯機器の高機能化に伴い、そのエネルギー源となる非水電解質二次電池に要求される容量は増大する傾向にある。よって、さらなる高容量化を実現するためには、黒鉛以上の容量を有する負極材料が必要となる。
高容量を与える材料として、現在ケイ素を含む合金材料やスズを含む合金材料が注目されている。ケイ素、スズ等の金属元素はリチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出可能であり、黒鉛材料に比べて非常に大きな容量の充放電が可能である。例えばケイ素であればその理論放電容量は4199mAh/gであり、黒鉛の11倍の高容量を有することが知られている。
一方合金材料は、リチウムを吸蔵する際に、リチウム−ケイ素、リチウム−スズといったリチウム合金を形成する。リチウム合金の形成は、合金の結晶構造の変化に基づく非常に大きな膨張を伴う。例えばケイ素の体積は、最大限までリチウムを充電することにより、理論上4.1倍に膨張する。そのため活物質である合金材料が負極の集電体から剥がれ落ちて、電気的な導通が失われ、高率放電特性や充放電サイクル特性などが低下する。黒鉛の場合リチウムが黒鉛層間に挿入されるインターカレーション反応を利用するため、黒鉛の体積は1.1倍しか膨張しない。
上記のような膨張を緩和し、かつ高容量を得る観点から、黒鉛と合金材料とを組み合わせて用いる検討が多く試みられている。しかし、単に黒鉛と合金材料とを混合した場合、合金材料の膨張が黒鉛材料に比べて大きく、かつ極板内で不均一な方向に膨張するため、周りの黒鉛が応力を受けて移動し、剥離に至る。その結果、合金材料を単独で用いた負極と同様に電子伝導性が低下し、電池の高率放電特性や充放電サイクル特性が低下する。
上記の課題を解決することを目的として、特許文献1では、黒鉛粒子表面に結晶質のSi微粒子が付着し、さらに前記黒鉛粒子の少なくとも一部に炭素皮膜が被覆されている造粒体を活物質に用いることにより、上記課題を改善する試みを行っている。また、特許文献2においても、同様に黒鉛粒子表面にSiおよび/またはSi化合物を含む炭素質材料が付着した造粒体を活物質に用いることを提案している。
これらの提案は、より膨張・収縮の小さく、かつ電気化学的に活性な黒鉛上に、大きな膨張・収縮を繰り返すSi材料を配置し、さらに、その上から炭素被覆している。これによりSi材料が黒鉛から剥がれ落ちにくく、かつ安定な集電性を付与させ、充放電サイクル特性の向上を試みている。しかしながら、被覆した炭素が強固なために、Si材料の膨張により造粒体が破壊されてしまい、充分な特性向上には至らない。また、炭素材料が表面に被覆しているため、結着剤と濡れにくく、充分な接着力が得られない。そのため、混練時に強力な負荷を与えることにより、活物質表面に結着剤を付与させるプロセスが必要不可欠になる。その際に、被覆した炭素およびSi材料とが、上記負荷によって、黒鉛表面から剥がれてしまうという重大な課題を有することが判明した。
特開2002−8652号公報 特開2004−182512号公報
上述のように、高容量な合金材料を負極材料として使いこなす観点から、合金材料と黒鉛材料との併用が広く検討がされているが、いずれの提案も合金材料の不均一な膨張による影響を十分に低減できていない。すなわち、従来の提案の場合、負極内において粒子間の電気的導通の切断や集電体または黒鉛材料から合金材料の剥離が発生し、結局負極の電子伝導性が低下し、電池特性も低下する。
上記を鑑み本発明は、Liを電気化学的に吸蔵および放出可能な合金材料と黒鉛材料とを活物質として用いる場合における、上述のような合金材料の膨張に伴う電池特性の低下を抑制することを目的とするものである。
本発明の非水電解質二次電池用負極は、Liを電気化学的に吸蔵および放出可能な活物質であって、TiおよびZrの少なくとも一方とSiとを含む合金材料、並びに黒鉛材料を含み、前記黒鉛材料と前記合金材料とのメカノフュージョン処理により、前記黒鉛材料の表面が前記合金材料により被覆されている負極活物質と、導電剤と、結着剤とを具備し、放電状態における空孔率が34%以上75%以下であり、前記結着剤はカルボキシル基を有することを特徴とする。
本発明によれば、合金材料と黒鉛材料とを併用した負極において、合金材料の膨張に伴う電池特性の低下を抑制できるため、高容量で、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を実現できる。
本発明に係る負極活物質は、Liを電気化学的に吸蔵および放出可能な非水電解質二次電池用負極活物質であって、TiおよびZrの少なくとも一方とSiとを含む合金材料、並びに黒鉛材料を含み、前記黒鉛材料の表面が前記合金材料により被覆されていることを特徴とする。
本発明の一実施の形態における負極活物質の形状を図1に示す。本発明に係る活物質は、黒鉛材料の表面が合金材料により被覆されることによって、合金材料が膨張および収縮した場合においても、常に黒鉛材料と接触を維持することが可能になる。その結果、負極の電子伝導性の低下を抑制する。よって、この合金材料と黒鉛とを含む本発明の非水電解質二次電池用負極は、高容量で、サイクル特性に優れた電池を与える。
また、本発明に係る負極活物質は、水に濡れにくい黒鉛材料の表面を、親水性の高いTi−Si合金材料またはZr−Si合金材料が被覆する構造を有することにより、負極活物質の表面が容易に結着剤と結びつくことが可能となる。そのため、高い応力をかける混練の必要なく、負極活物質の表面に充分な量の結着剤が付着した状態を調製することが可能となる。その結果、混練時に黒鉛材料と合金材料とが剥がれてしまう不具合の発生を防ぐ。さらには、上記活物質表面に結着剤が付着し、活物質の表面を覆うように存在することにより、合金材料の膨張・収縮による、黒鉛材料からの剥がれを抑制する。さらに、結着剤の多くは、有機高分子材料あるいはゴム系の材料である。そのような材料は、柔軟性に富んでいるから、上記合金材料の膨張・収縮に追随することにより、合金材料の活物質からの剥離を防ぐことが可能になる。
さらには上記のような構造をとることにより、集電性が向上することによって、電極の高率放電特性が向上する。
上記合金材料は、TiおよびZrの少なくとも一方とSiとを含むことを特徴とする。TiおよびZrは、他の遷移金属元素に比較して、酸素との反応性が高く、かつ粒子の最表面に安定な酸化物を形成し、過剰な酸化を防止する役割を果たす。また、上記のように表面に酸化物が形成されていることにより、他の金属粒子に比較して濡れ性が高く、特に、水に対する濡れ性が高くなるので、前述のような効果を引き出すことが可能になる。
上記合金材料は、さらに、少なくとも、Siを主体とする相(以下A相という)と金属間化合物TiSi2またはZrSi2の相(以下B相という)の2つの相を有することにより、より高容量かつ長寿命な電池を実現する。A相は、Liの吸蔵および放出を担う相であり、電気化学的にLiと反応可能な相である。A相は、Siを主体とする相であればよいが、好ましくはSi単体からなる相である。A相がSi単体からなる場合、単位重量もしくは単位体積あたりの合金材料が吸蔵および放出するLi量を非常に多量にすることができる。ただし、Si単体は半導体であるため、電子伝導性に乏しい。よって、微量の添加元素、例えばリン(P)や水素(H)等、あるいは遷移金属元素等を5重量%程度までA相に含ませることが有効である。
B相は、金属間化合物TiSi2またはZrSi2の相を少なくとも有する。Siを含む金属間化合物は、A相との親和性が高く、結晶界面での割れなどが生じにくい。また、B相は遷移金属元素とSiとの金属間化合物の中でも、特にTiまたはZrとSiとからなる金属間化合物相が、Si単体相に比較して電子伝導性が高く、かつ硬度も高い。その中でも特にTiSi2またはZrSi2の相が、A相であるSiを主とした相と親和性が高く、好ましい。よって、B相は、A相の低い電子伝導性を補うとともに、膨張応力に対抗して、合金粒子の形状を維持させるように働く。
さらにB相は、複数種存在していてもよく、TiSi2またはZrSi2の相と組成の異なる金属間化合物Ti−SiまたはZr−SiがTiSi2またはZrSi2の相とともに存在してもよい。例えば、TiSi2とTiSi、Ti5Si4、Ti3Siとが合金粒子内に存在してもよい。同様にZrSi2とZiSi、Zr5Si4、Zr3Si2およびZi2Siとが合金粒子内に存在してもよい。
また、それぞれ異なる遷移金属元素を含む金属間化合物、例えばTiSi2とZrSi2とが同時に合金粒子内に存在してもよい。さらにはTi、Zr以外の遷移金属元素も少量であれば存在していてもよい。その量は合金材料中、Siを除いた元素中10重量%以下が好ましい。
A相および/またはB相は、微結晶または非晶質の領域からなることが好ましい。微結晶または非晶質の合金材料を用いる場合、Liの吸蔵に伴う膨張による合金粒子の割れが発生しにくい。これは合金材料の組織が微結晶になればなるほど、結晶粒界が多く存在することになり、1つの結晶粒界にかかる膨張の応力が相対的に小さくなるためである。また、非晶質では粒界という概念が失われ、極めて微細な領域で膨張応力が分散されるため、同様に割れが発生しにくい。
さらに本発明では、Siを主体とする相の結晶粒径が50nm以下であることが特に望ましい。ここで、結晶粒(結晶子)の直径が50nm以下である合金材料を微結晶であると定義する。合金材料が微結晶の領域を有する場合、X線回折測定で得られる合金粒子の回折スペクトルの中には、シャープではないが、半価幅を求め得る比較的明瞭なピークが一つ以上観測される。合金材料の結晶粒(結晶子)の直径は、X線回折測定で得られる合金粒子の回折スペクトルの中で最も強度の大きなピークの半価幅を求めることにより、その半価幅とScherrerの式から算出することができる。
一方、合金材料が非晶質な領域を有する場合、X線回折測定で得られる合金粒子の回折スペクトルの2θ=15〜40°の範囲には、半価幅を認識できない程度のブロードなハローパターンが観測される。
上記合金材料中に含まれるSi量は、Zrとの合金の場合、少なくとも38重量%以上であることが好ましい。同様に上記合金材料に含まれる元素がTiおよびSiのみであった場合、Si量は54重量%以上であることが好ましい。逆に上記合金材料中に含まれるSi量は、多くとも95重量%以下であることが好ましい。これらの範囲の組成において、上記A相とB相とが混在し、かつ微細に分散することが可能となる。
より好ましいSi量は、60重量%以上93重量%以下である。前記組成の範囲において本発明の負極活物質として高容量および長寿命を両立することができる。
前記合金材料の平均粒径は5μm未満であることが望ましい。特に好ましくは3μm以下である。合金材料の平均粒径が小さくなればなるほど、膨張による一粒子あたりの変位量は小さくなり、黒鉛材料表面からの剥離は生じにくくなる。
本発明で用いる黒鉛は、一般的に非水電解質二次電池に用いることができる黒鉛材料であればどのようなものでも構わない。例えば、天然黒鉛や、様々な方法で製造される人造黒鉛を用いることができる。
黒鉛の平均粒径は、5μm以上45μm以下が好ましく、7μm以上25μm以下が更に好ましい。黒鉛の平均粒径が微細になりすぎると、黒鉛自身の比表面積が増加する。黒鉛と電解液等との副反応を抑制し、黒鉛表面に生成する皮膜を低減し、負極の不可逆容量を少量に制限する観点からは、黒鉛の平均粒径を5μm以上とし、黒鉛自身の比表面積をあまり増大させないことが望ましい。また、黒鉛の平均粒径が50μmより大きくなると、負極表面に凸凹が形成され易くなるとともに、負極活物質間の空隙が大きくなり、負極内部にある合金への集電がとりにくい。集電性に優れた負極を得る観点からは、黒鉛の平均粒径が50μm以下であることが望ましい。
さらに本発明の負極活物質の比表面積は、15m2/g以上であることが好ましい。この条件を満たすことにより、負極活物質の充放電反応をスムーズに進行することが可能になる。ただし、負極活物質に含まれる黒鉛材料自身の比表面積は、5m2/g以下であることが望ましい。この条件を満たすことにより、黒鉛表面に生成する電解液などとの副反応による皮膜の過剰発生を抑え、良好な電池特性を与える。
本発明の非水電解質二次電池用負極は、TiおよびZrの少なくとも一方とSiとを含む合金材料、並びに黒鉛材料を含み、前記黒鉛材料の表面が前記合金材料により被覆されている負極活物質を具備し、放電状態、つまり負極活物質からLiを放出した状態であり、電気化学的にはLiに対して0.8Vより貴な電位をもつ状態における空孔率が34%以上75%以下である。上記の空孔率とは、負極に含まれる構成要素それぞれの混合比率および真密度から算出される負極の真密度をDideal、負極の密度をDrealとしたとき、以下の式で表される。
上記負極活物質は、膨張・収縮が大きい合金材料を含み、その膨張・収縮にかかる応力が各々の負極活物質粒子の外側に広がるため、放電状態においては負極内部に充分な空間を有する必要がある。負極の空孔率が34%未満であると、上記理由により、膨張が充分に負極内で吸収できなくなり、負極合剤が崩壊あるいは剥離する恐れがある。逆に負極の空孔率が75%より大きいと、負極内部で膨張応力を吸収することは容易になるが、負極活物質は極めて少量になるため、電池として低容量になってしまう。好ましくは空孔率が56%以上75%以下である。
さらに充電状態、つまり負極活物質にLiを吸蔵した状態であり、電気化学的にはLiに対して0.3Vより卑な電位をもつ状態においては、上記空孔率は5%以上50%以下であることが望ましい。空孔率が5%未満であると、非水電解液が負極中にしみこむことが困難になり、反応に関与できない負極活物質が存在し、逆に50%より大きいと、負極活物質は極めて少量になるため、電池として低容量になる。
非水電解質二次電池用負極には、上記負極活物質のみではなく、通常導電剤および結着剤が含まれる。導電剤は、負極活物質同士および負極活物質と集電体との間の導電ネットワーク形成を助ける働きをする。導電剤の材料としては、カーボンブラック、黒鉛および炭素材料からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、導電剤の平均粒径は5μmであることが好ましい。上記条件を満たすことで負極活物質の膨張を効果的に吸収することが可能になり、良好な導電ネットワークを維持することが可能になる。上記導電剤は、負極活物質100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは1重量部以上5重量部以下である。
また負極中には、負極活物質同士または負極活物質および導電剤を互いに固着させるとともに、合剤層を集電体に固着させるための結着剤が含まれる。結着剤は、負極活物質および導電剤に対して接着能力があるものであればどのような材料を用いても構わないが、負極の使用電位の範囲においてLiに対して電気化学的に不活性であり、他の物質にできるだけ影響を及ぼさない材料が選択される。好ましくは結着剤中に官能基としてカルボキシル基を有する材料がよい。上記負極活物質中に含まれる合金材料の最表面は、空気酸化による酸化物に覆われており、その酸化物表面と結着剤中のカルボキシル基とが水素結合を介して強力な接合を得ることが可能になる。その結果、負極は非常に強い力で負極活物質の膨張に耐えることができる。
官能基としてカルボキシル基を有する結着剤は、例えば、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等が適している。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。さらに上記結着剤とともに助剤として、例えばスチレン−ブチレン共重合ゴム、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどを添加した系でも構わない。結着剤の添加量は、合剤層の構造維持の観点からは多いほど好ましいが、電池容量の向上および放電特性の向上の観点からは少ない方が好ましい。
本発明における負極には集電体が含まれ、集電体の厚みは8μm以上40μm以下であることが望ましい。8μmより薄い集電体を用いた場合、負極作製時に集電体の破断・破損の可能性が高く、使用が困難である。逆に40μmより厚い集電体を用いた場合、電池内部における多くの体積を集電体にとられるため、充分な量の活物質や電解液を入れることができず、低容量となる。
集電体には銅箔または銅合金箔を用いることが望ましい。銅合金箔の場合、Cuの含有量は90重量%以上であることが好ましい。集電体の強度あるいは柔軟性を向上させる観点からは、集電体にP、Ag、Cr等の元素を含ませることが有効である。Cuは安価かつ箔状で充分な強度を有し、また非常に電子伝導性に富む元素である。本発明において好ましくは10μm以上25μm以下の厚みを有する電解銅箔である。
本発明の負極は、負極活物質、導電剤、結着剤等の混合物および集電体からなる。負極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり、一般に10μm以上100μm以下であり、好ましくは25μm以上60μm以下である。合剤層の厚みは10μmより薄くてもよいが、負極中に占める集電体の体積割合が大きくなりすぎないように配慮する必要がある。また、合剤層の厚みは100μmより厚くてもよいが、集電体近傍まで電解液が浸み渡りにくくなるため、高率放電特性が低下することがある。
本発明の非水電解質二次電池は、上記の負極と、Liを電気化学的に吸蔵および放出可能な正極と、非水電解液とを具備する。
正極は、非水電解質二次電池の正極に使用できるとして知られているものであれば、特に限定なく用いることができる。正極の製造法は従来通りに行えばよい。例えば、正極活物質と、カーボンブラックなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを、液相中で混合し、得られたペーストをAl等からなる正極集電体上に塗布し、乾燥し、圧延することによって正極が得られる。
正極活物質としては、リチウム含有遷移金属化合物が好ましい。リチウム含有遷移金属化合物の代表的な例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiMnO2などを挙げることができるが、これらに限定されない。前記の化合物の遷移金属元素を異種の金属元素に置換した化合物も好ましく用いられる。例えば、LiCo1-xMgx2、LiNi1-yCoy2、LiNi1-y-zCoyMnz2(0<x<1、0<y<1、0<z<1)等が挙げられる。
非水電解液としては、非水電解質二次電池の電解液として知られているものであれば、特に限定なく用いることができるが、非水溶媒とそれに可溶なリチウム塩からなる電解液が好ましい。非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート類とジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類との混合溶媒が一般的に用いられる。さらには非水溶媒にγ−ブチロラクトンやジメトキシエタンなどが混合されていても構わない。
また、リチウム塩としては無機リチウムフッ化物やリチウムイミド化合物等が挙げられる。前者としては、LiPF6、LiBF4等が挙げられ、後者としてはLiN(CF3SO23等が挙げられる。さらにはリチウム塩にLiClO4やLiCF3SO3等を混合してもよい。非水電解液はゲル状電解質でもよく、固体電解質を用いてもよい。
正極と負極との内部短絡を防ぐために、これらの間にはセパレータが設置される。セパレータの材質としては、非水電解液を適度に通過させ、かつ正極と負極との接触を妨げるものであればどのようなものでも構わない。非水電解質二次電池には、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる微多孔性フィルムが一般的に用いられており、その厚みは10μm以上30μm以下が一般的である。
本発明は、円筒型、扁平型、コイン型、角形等の様々な形状の非水電解質二次電池に適用可能であり、電池の形状は特に限定されない。本発明は、金属製の電池缶やラミネートフィルム製のケースに、電極、電解液等の発電要素を収容した電池を含め、様々な封止形態の電池に適用可能であり、電池の封止形態は特に限定されない。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい形態を例示するものであり、本発明が下記の実施例に限られるわけではない。
《実施例1および2》
本実施例においては、以下の要領で負極および円筒型電池を作製し、そのサイクル寿命と放電容量について評価した。
(1)合金材料の作製
金属Ti(純度99.99%、(株)高純度化学研究所製、100〜150μm品)と、金属Si(純度99.999%、関東化学(株)製、100〜150μm品)とを、重量比がTi:Si=10:90になるように秤量して混合した。同様に、金属Zr(純度99.99%、(株)フルウチ化学製、100〜150μm品)と上述の金属Siとを重量比がZr:Si=12:88になるように秤量して混合した。
これらの混合粉をそれぞれ3.5kg秤量し、各々の混合粉ごとに用意した振動ミル装置(中央化工機(株)製、FV−20)に投入し、さらにステンレス鋼製ボール(直径2cm)をミル装置の内容積の70体積%を占めるように投入した。容器内部を真空に引いた後、Ar(純度99.999%、日本酸素)を導入して、1気圧になるようにした。ミル装置の振動数は720Hzとした。これらの条件でメカニカルアロイング操作を80時間行った。
上記操作によって得られたTi−Si合金、およびZr−Si合金を回収し、粒度分布を調べたところ、0.5μm〜80μmの広い粒度分布を有することが判明した。これらの合金を篩い(45μmアンダー)で分級することによって、最大粒径45μm、平均粒径16μmの合金材料を得た。これらの合金材料を固形分濃度20重量%になるように純水中に分散させ、ビーズミル(商品名:ダイノーミル KD−6、(株)シンマルエンタープライゼス製)を用いて、ペースト流量2L/min、解砕媒としてジルコニアビーズ(直径Φ1mm)により1時間解砕を行った。この結果、平均粒径1.5μm、最大粒径3.5μmの合金材料を得た。
これらの合金材料をX線回折測定で分析したところ、本実施例で作製した合金材料は、いずれも微結晶であり、Scherrerの式に基づいて強度の最も大きなピークの半価幅から算出した結晶粒(結晶子)の粒径は18nmであった。
さらにX線回折測定の結果から、Ti−Si合金およびZr−Si合金中には、それぞれSi単体相(A相)とそれぞれTiSi2相またはZrSi2相(B相)とが存在していることが推定された。
上記の2種の合金材料を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、非晶質領域と、粒径10nm程度の結晶粒(結晶子)からなるSi単体相と、粒径15〜20nm程度の結晶粒(結晶子)を有するTiSi2相またはZrSi2相とが、それぞれ存在していることが判明した。
黒鉛材料としてMCMB((株)大阪ガスケミカル製、平均粒径25μm)を選択した。上記の各合金材料と黒鉛材料とを重量比で20:80の割合で混合し、メカノフュージョン装置((株)ホソカワミクロン製、AMS−lab)中に混合粉200gを投入した。装置内を窒素気流下にし、1000rpmで10分間処理することによって負極活物質を得た。合金材料としてTi−Si合金を用いたものを負極活物質1、Zr−Si合金を用いたものを負極活物質2と称する。
上記操作によって得られた負極活物質1は、その形状が図1の通りであり、黒鉛材料表面に合金材料が均一に付着している様子がわかった。
(2)負極の作製
上記で得た各負極活物質100重量部に対して、結着剤としてポリアクリル酸(分子量15万、和光純薬工業(株)製)を7重量部および導電剤としてアセチレンブラック(商品名デンカブラック、電気化学工業(株)製)を2重量部添加し、純水を加えて充分に混練することにより、それぞれ負極合剤ペーストを得た。
負極合剤ペーストを厚み10μmの電解銅箔(古河サーキットフォイル(株)製)からなる集電体の両面に塗布し、乾燥し、圧延した。その結果、集電体と、その両面に担持された負極合剤層からなる負極が得られた。
得られた負極の断面を走査電子顕微鏡(SEM)によって観察したところ、混練によって合金材料が黒鉛から剥がれるような現象は観察されなかった。負極合剤層の密度は1.3〜1.4g/cm3であり、負極合剤層の空孔率は40〜45%であった。
(3)正極の作製
Li2CO3とCoCO3とを所定のモル比で混合し、950℃で加熱することによって正極活物質LiCoO2を合成した。これを45μm以下の大きさに分級した。この正極活物質100重量部に対して、導電剤としてアセチレンブラックを5重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを4重量部、および分散媒として適量のN−メチル−2−ピロリドンを加え、充分に混合し、正極合剤ペーストを得た。
正極合剤ペーストを厚み15μmのアルミニウム箔(昭和電工(株)製)からなる集電体の両面に塗布し、乾燥し、圧延した。その結果、集電体と、その両面に担持された正極合剤層からなる正極が得られた。
(4)円筒型電池の作製
上記の負極および正極を所定のサイズに切断し、正極の集電体には、アルミニウム製の正極リードを、また負極の集電体には、ニッケル製の負極リードをそれぞれ接続した。これらの負極、正極、および両者間に挿入した厚さ20μmのポリエチレン樹脂製微多孔フィルムからなるセパレータを渦巻き状に捲回して極板群を構成し、円筒形の電池ケースに組み入れ、図2に示すような円筒型のリチウムイオン二次電池を作製した。
図2において、11は正極、12は負極を表している。正極11、負極12、および両極板より幅広のセパレータ13からなる極板群の外面はセパレータ13で覆われている。極板群の上下には、それぞれ上部絶縁リング16および下部絶縁リング17が配されている。極板群を電池ケース18に収容した後、非水電解液を注液し、極板群に含浸させている。電池ケースの開口部は、封口板19により封口されている。正極リード11は、封口板19に設けられた正極端子20に接続された金具に溶接されている。負極リード15は、電池ケース19の内底面に溶接されている。
負極活物質1を用いたものを電池A1、負極活物質2を用いたものを電池A2と称する。それぞれ電池A1および電池A2が実施例1および実施例2に相当する。
非水電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積比1:1の混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムを1モル/Lの濃度で溶解したものを用いた。
《比較例1》
黒鉛100重量部、結着剤のポリアクリル酸4重量部、および導電剤のアセチレンブラック2重量部から上記と同様にして負極を作製した。この負極を用いた他は電池A1と同様にして電池B1を作製した。
《比較例2および3》
負極の作製において、黒鉛およびビーズミル処理後の微粉合金を、メカノフュージョン装置を通さずに混練機で混合させただけで用い、他の操作は電池A1および電池A2と同様にして、それぞれ比較例2の電池B2および比較例3の電池B3を作製した。
電池A1、A2およびB1〜B3について、以下の評価を行った。
(5)電池の評価
(a)放電容量
20℃に設定した恒温槽の中で、円筒型電池を、定電流0.2Cで電池電圧が4.05Vになるまで充電し、次いで4.05Vの定電圧で電流値が0.01Cになるまで充電した。その後、0.2Cの電流で電池電圧が2.5Vになるまで放電した。このときの放電容量を表1に示す。
(b)サイクル寿命
20℃に設定した恒温槽の中で、上記放電容量を測定後の電池の充放電サイクルを以下の条件で繰り返した。
定電流1Cで電池電圧が4.05Vになるまで充電し、次いで4.05Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電し、その後、高率放電に相当する2Cの電流で電池電圧が2.5Vになるまで放電する操作を繰り返した。そして、2サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合を百分率で求め、容量維持率(%)とした。容量維持率が100%に近いほどサイクル寿命が良好であることを示す。これらの結果を表1に示す。
電池A1およびA2は、特に電池B1に比べて容量が向上し、かつ電池B2およびB3に比べてサイクル寿命が向上していることがわかる。
また、これら電池A1、A2およびB1〜B3を100サイクル後に、充電状態で分解し、その膨張度合いを評価した。その結果、それぞれの充放電前の負極厚みに比べて、電池B1では1.1倍、電池B2およびB3ではそれぞれ1.6倍および1.7倍に膨張していた。これらに対して、電池A1およびA2では、約1.3倍の膨張が確認された。すなわち、実施例の電池は、負極の過度な膨張を抑制し、ひいては負極合剤の電子伝導性を維持することによって長寿命性を実現していることがわかる。
《実施例3〜10》
合金材料の作製時にTiまたはZrとSiとの混合比を表2に示すような割合で混合し、電池A1と同様の手法で負極活物質を合成した。本実施例で作製した合金材料は、いずれも必ずSi単相であるA相およびTiSi2相またはZrSi2相からなるB相の他に、例えば電池A3およびA4においてはTiSi相およびTi5Si4相がX線回折結果から確認された。また、電池A5およびA6からはZrSi相およびZr5Si4相が同様に確認された。X線回折結果から算出されたこれらの合金材料の結晶粒径は15〜35nmであった。また、ビーズミルによる解砕処理後の平均粒径は1.8〜3.8μmであった。本実施例で用いた黒鉛は電池A1と同様MCMBである。上記以外は、電池A1と同様にして、電池A3〜A10を作製した。
電池A3〜A10について、電池A1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
電池A3〜A6においては、高容量かつ長寿命を両立する結果が得られることが判明した。ただし、電池A7およびA9については、ほぼ前述の電池B1と同様の容量であるが、高い容量維持率を示した。これは合成時に前述のA相がほとんど生成しておらず、B相に相当するTiSi2あるいはZrSi2の金属間化合物相のみが生成していることから、リチウムの吸蔵・放出ができないためと考えられる。しかしながら、黒鉛表面に付着した合金材料が容易に結着剤と接着することにより、電池B1に比べて高い容量維持率を示したものと考えられる。さらに電池A8およびA10においては、どの実施例よりも高容量ではあるが、サイクル性が低下している。この要因は、電池A7およびA9とは逆に、リチウムの吸蔵・放出をうけもつA相のみが生成しており、その結果、過度な膨張・収縮によって容量劣化が他の実施例に比べて大きいためと考えられる。
《実施例11〜15、比較例4および5》
電池1と同様の操作によって得られた0.5μm〜80μmの広い粒度分布を有するTi−Si合金を、第1の篩い(45μmアンダー)を通して45μmより大きな粒子を除去し、次いで第2の篩い(20μmアンダー)を通すことによって20μmより小さな粒子を除去し、20〜45μmの粒度分布を有し、平均粒径32μmの合金材料を得た。
上記合金材料を用いたこと以外、電池A1と同様にメカノフュージョン処理および解砕処理することにより、負極活物質を合成し、電池A11を作製した。
電池A1と同様の操作によって得られた0.5μm〜80μmの広い粒度分布を有するTi−Si合金を、第1の篩い(20μmアンダー)を通し、次いで第2の篩い(5μmアンダー)を通して、5〜20μmの粒度分布を有し、平均粒径9μmの合金材料を得た。
上記合金材料を用いたこと以外、電池A1と同様にメカノフュージョン処理および解砕処理することにより負極活物質を合成し、電池A12を作製した。
電池A1と同様の組成で混合したTiおよびSi混合粉を電池A1と同様の振動ミル装置で運転時間を5時間、20時間、および40時間と変えることにより、それぞれの条件での合金材料を得た。これらの合金材料を、まず100μmアンダーの篩いによって100μm以上の合金粒子を除去した後、電池A1と同様にビーズミルで解砕することによって、それぞれ平均粒径2μmの合金材料を得た。運転時間が5時間、20時間、および40時間で合成された合金材料をそれぞれ合金a、合金b、および合金cと称する。これらの合金材料をX線回折で結晶性および相構造を評価すると、合金aにおいてはTiとSiそれぞれ単体の結晶質のピークが観察された。この結果から、合金aでは合金化には至っておらず、TiとSiとの混合物であることが判明した。合金bに関しては、A相(Si単相)およびB相(TiSi2相)が生成しているものの、そのXRDピークは結晶性であり、その半価幅を用いてScherrerの式から結晶粒径を算出すると1.5μmと大きかった。合金cに関しては、合金bと同様に、A相およびB相の生成が確認されたが、その結晶粒径は80nmであった。また、実施例1と同様に、TEMによって合金材料の相を観察したところ、ほぼ上記の結晶粒径を有していることが判明した。
これらの合金材料と黒鉛材料(MCMB)とを実施例1と同様にメカノフュージョン処理することにより負極活物質を合成し、電池A1と同様にして、電池A13〜A15を作製した。
Ti粉末のかわりにNiまたはFe粉末(どちらも(株)高純度化学研究所製、粒径100〜150μm)を用いて電池A1と同様の条件で合金材料を得た。このときNi−Si合金の混合比はNi:Si=30:70であり、Fe−Si合金の混合比はFe:Si=25:75(どちらも重量比)である。ビーズミルによる解砕処理後の合金材料は、平均粒径1.6μmであることが判明した。これらの合金材料をX線回折測定で分析したところ、電池A1と同様に微結晶であり、Scherrerの式に基づいて強度の最も大きなピークの半価幅から算出した結晶粒(結晶子)の粒径は23nmであった。さらにX線回折測定の結果から、それぞれSi単体相(A相)とNiSi2相またはFeSi2相(B相)とが存在していることが判明した。
上記の各合金材料と黒鉛材料(MCMB)とを電池A1と同様にメカノフュージョン処理することにより、負極活物質を合成し、電池A1と同様にして、電池を作製した。Ni−Si合金を用いた電池をB4、Fe−Si合金を用いた電池をB5とする。
これら電池A11〜A15、B4およびB5について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
電池A11〜A15は高容量かつ長寿命を有していた。ここで、電池A1やA2に比べて容量維持率が低下しているが、これは電池A11およびA12を100サイクル後に分解して負極を観察したところ、合剤の剥離によるものであった。さらに、集電体にもシワの発生や端部に亀裂が観察され、さらには剥離した合剤をSEM観察したところ、合金材料の粒径がさらに微粉化していることが判明した。
同様に電池A13〜A15においても100サイクル後の負極は、振動ミル装置の運転時間の長さに対して、剥離の度合いが減っていた。これらの結果より、本発明に用いる合金材料としては、平均粒径が微細であり、かつ結晶粒径も微細になっていることが好ましい。
また電池B4およびB5では、電池A1およびA2に比較して、低容量、かつサイクル特性も低いことが判明した。これらの負極単体を対極の金属リチウムで評価したところ、その不可逆容量は30〜40%と大きく、またNi−Si合金およびFe−Si合金中に含まれる酸素量はそれぞれ5.6重量%および7.1重量%と大きかった。これらの結果から推察するに、上記合金はその多くがSiOなどの酸化物を生成しており、初回の充電時に前記酸化物が還元されるために電気量が消費される。その結果、可逆な容量分を食いつぶしてしまい、電池として低容量になっているものと推測される。また、前記酸化物の還元によって生成したリチウム酸化物は、不導体であるために、負極活物質自身の電子伝導性を低下させる要因となり、それがサイクル特性を低下させる要因であると考えられる。
《実施例16〜実施例18、参考例1〜3
電池A1の負極について、表4に示すような密度および空孔率になるように圧延を行い、その評価を行った。前記密度および空孔率は、全て電池組立前の測定値である。さらに、これらの電池を100サイクル後、充電状態で分解したときに測定された負極厚みの変化を膨張率として記載した。これは電池組立前の厚みに対して、サイクル後も厚みが変わらなければ100(%)としている。
電池A1と同様にして、電池A16〜A21(電池A19〜A21は参考例1〜3)を作製し、電池A1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
表4の結果より、負極を高密度、つまり低空孔率にするほど高容量になるが、サイクル特性は低下する傾向にあった。また、その要因として、過剰な高密度化、例えば電池A20、によって電極の膨張率が増大し、これにより負極にシワが発生したり、正極−負極間の距離が不均一になったりすることにより、電池が不均一に反応するようになる。この結果、サイクル特性が低下したと考えられる。
《実施例1922
電池A1で使用した導電剤であるアセチレンブラックに代えて、微小黒鉛(商品名KS4 Timcal社製、平均粒径3μm)、気相法炭素繊維(商品名 VGCF 昭和電工(株)製、繊維径0.15μm)、または鱗片状黒鉛(商品名 SGP (株)エスイーシー製、平均粒径8μm)をアセチレンブラックと同重量部用いて、またはアセチレンブラック1重量部とVGCF1重量部の混合体を用いて電池A1と同様にして、それぞれ電池A22〜A25を作製し、電池A1と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
表5より、電池A1と同様に良好な特性を示したものの、電池A24においては、100サイクル後に分解して負極を観察したところ、合剤の剥離が観察された。電池A22、A23およびA25は、100サイクル後においても平滑な状態を維持しており、微小な導電剤を用いることにより、負極の変形を抑制し、安定な充放電サイクル特性を示すと考えられる。
《実施例23および24
電池A1で使用した結着剤であるポリアクリル酸に代えて、カルボキシメチルセルロース(商品名 1290 ダイセル化学(株)製)5重量部とスチレン−ブタジエン共重合ゴム(商品名 0589 JSR(株)製)3重量部との混合物を用いて負極を作製した。また、結着剤にポリフッ化ビニリデン(商品名 1320 呉羽化学(株)製)を10重量部用い、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(関東化学(株)製)を用いて負極を作製した。これらの負極を電池A1と同様にして電池A26およびA27を作製した。
上記電池A26およびA27について実施例1と同様の評価を行った。結果を表6に示す。
表6より、電池A1と同様に良好な特性を示した。しかし、電池A27は、100サイクル後に分解して負極を観察したところ、合剤の剥離が観察された。一方、電池A26は、100サイクル後においても平滑な状態を維持していた。これは電池A26が電池A1と同様に、カルボキシル基を有する結着剤を使用しており、特にカルボキシル基と合金材料表面とが強固に接着することによって合剤の剥離を防いでいる。その結果、充放電サイクル特性が良好であったと考えられる。
本発明の非水電解質二次電池用負極は、高容量および良好な充放電サイクル特性を両立する優れた非水電解質二次電池を与える。本発明は、あらゆる形態の非水電解質二次電池に適用可能であり、例えば実施例で挙げた円筒型のみでなく、コイン型、角型、扁平型などの形状を有し、かつ捲回型、積層型などの極板群構造を有する電池にも適用可能である。本発明の非水電解質二次電池は、移動体通信機器、携帯電子機器などの主電源に有用である。
本発明の実施例における負極の一例の断面の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例で作製した円筒型電池の縦断面図である。

Claims (10)

  1. Liを電気化学的に吸蔵および放出可能な活物質であって、TiおよびZrの少なくとも一方とSiとを含む合金材料、並びに黒鉛材料を含み、前記黒鉛材料と前記合金材料とのメカノフュージョン処理により、前記黒鉛材料の表面が前記合金材料により被覆されている負極活物質と、導電剤と、結着剤とを具備し、放電状態における空孔率が34%以上75%以下であり、前記結着剤はカルボキシル基を有することを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
  2. 前記合金材料は、少なくとも、Siを主体とする相と、金属間化合物TiSi2またはZrSi2の相とを含み、前記相の少なくとも一方は微結晶または非晶質の領域からなる請求項1記載の非水電解質二次電池用負極。
  3. 前記Siを主体とする相の結晶粒径が50nm以下である請求項2記載の非水電解質二次電池用負極。
  4. 前記合金材料中のSi量が、38重量%以上95重量%以下である請求項1記載の非水電解質二次電池用負極。
  5. 前記合金材料の平均粒径が、5μm未満である請求項1記載の非水電解質二次電池用負極。
  6. 放電状態における空孔率が56%以上75%以下である請求項1記載の非水電解質二次電池用負極。
  7. 前記合金材料の最表面は酸化物に覆われており、前記酸化物と前記カルボキシル基とが水素結合している請求項1記載の非水電解質二次電池用負極。
  8. 前記導電剤はカーボンブラック、黒鉛および炭素材料からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項記載の非水電解質二次電池用負極。
  9. 前記結着剤はポリアクリル酸である請求項記載の非水電解質二次電池用負極。
  10. 請求項記載の負極と、リチウム含有遷移金属酸化物を含む正極と、リチウム塩を含む非水電解質とを具備する非水電解質二次電池。
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