従来より、納豆を小売り販売するための納豆容器として、ポリスチレン系樹脂等の合成樹脂発泡シートにより成形された、容器本体と蓋体とが一体に連設されてなる容器が使用されており、通常、納豆の生産段階から使用される。
納豆の生産においては、納豆メーカーの専用の納豆生産ラインで、蒸し大豆とともに納豆菌を前記納豆容器の容器本体に収納し、開蓋状態のままで、あるいは通気性を損なわないように部分的なヒートシールにより容器本体と蓋体とを接合した閉蓋状態で温度調節された発酵用の部屋に搬入し、所定の発酵、熟成が行われる。醤油タレや芥子等の調味材料を袋に収納してなる調味材収納袋は、発酵、熟成を行うまでに、前記容器内の大豆や納豆の上に保護用の樹脂フィルムを置いて、該樹脂フィルム上に収容しておくか、または、前記熟成後に、前記のように容器内の樹脂フィルム上に収容する。
そして、熟成後、蓋体を容器本体に被着した閉蓋状態にして、複数個(主に2個又は3個)の納豆容器を段積みしてテープ状フィルムをかけて包装し、これを段ボール箱により梱包した状態で小売店へ搬送し、小売店の店頭に並べて販売される。通常、前記発酵及び熟成中、さらに輸送中においても、容器内部に空気を取り入れる必要があることから、閉蓋状態においても通気性を保有するように通気手段が設けられる。各家庭では、ヒートシールされた前記テープ状フィルムを剥がし、さらに蓋体を剥がし、前記樹脂フィルムを取り除き、醤油タレや芥子等の調味用材料をかけて攪拌して食する。この際、前記納豆容器は、攪拌用の容器として使用される。
前記のように使用される納豆容器としては、比較的安価であることから、ポリスチレン系樹脂の発泡シートが多く使用されており、成形後のトリミングにおいては、シートからの取効率の関係から、外形が方形をなすのが一般的であり、また容器本体の収納凹部も外形と対応した平面方形とされているのが普通である。
しかし、容器本体の収納凹部が平面方形であると、角部に丸みが付けられていたとしても、薬味としての醤油タレや芥子等の調味材を掛けて攪拌する際に、箸先が側壁に当たって攪拌し難く、食感の良好な状態にするのに時間がかかることになり、また箸先で側壁を破損させる虞もある。そのため、収納凹部を平面円形に形成しておくことが望まれるが、容器本体の外形を含めて平面円形とすると、複数個の納豆容器を段積みしてテープ状フィルムにより一つに纏めて包装し難くなる。さらに、既存の納豆生産ラインにおいて、方形のバケット等の支持部材の変更を要することになる。
また、前記の納豆容器において、蓋体を閉蓋状態に保持するために、蓋体と容器本体のフランジ部を部分的にヒートシールしただけのものは、一旦ヒートシールを剥がして開封すると、二度と閉蓋することができないため、使用後に容器本体内部の納豆の臭いが外部に出てしまい、ゴミ箱等から悪臭が発生する等の問題があり、さらに使用後の粘つくテープ状フィルムや醤油タレ等の調味材収納袋等の残骸を容器に入れて一括して捨てることができない。また、閉蓋状態においても、容器本体と蓋体の両フランジ部間に隙間が生じて、空気が過剰に侵入し易く、内部の納豆に悪影響を与える虞もある。
近年、前記の納豆容器において、容器本体に対する蓋体の被着状態を安定化させるとともに、熟成後の過剰な空気の侵入を防ぎ、かつ、ライン移動中や商品輸送中に開口部周囲のフランジ部に加わる衝撃等に対する緩衝と補強を兼ねて、前記蓋体に、容器本体の開口部内側に嵌合する下面側への突出状をなすリブ状凸部を設けることが提案されている(特許文献1)。
しかし、この提案の納豆容器の場合、前記収納凹部が平面方形をなすものであると、納豆を食する際の攪拌が容易でないと言う問題がある。また、蓋体の被着状態において、前記開口部に対するリブ状凸部の通常の嵌合では、蓋体が開き易く、閉蓋状態を安定性よく保持できず、やはりヒートシールを必要とする。
したがって、この種の納豆容器としては、外形を平面方形にして収納凹部を平面円形にしておくのが好ましい。また、収納凹部の開口部に対してリブ状凸部の嵌合による被着状態を安定性よく保持できることが望まれる。
さらに、かかる納豆容器の複数個(2個又は3個)を積み重ねてテープ状フィルムで巻いて包装する際、該テープ状フィルムにテンションをかけると、下段の容器の蓋体の中央部が沈み込むように変形することになるため、テープ状フィルムに強いテンションをかけられず、そのため安定した包装できないことになる。
したがって、この種の納豆容器としては、前記の積み重ね包装の際の蓋体の沈み込み変形を抑制できることが望まれる。
さらにまた、納豆メーカーの既存の納豆生産ラインにおいて、蒸した大豆や納豆菌等の納豆充填ラインでは、通常、前記納豆容器のをコンベアに載置し、収納凹部の側壁をガイドに沿わせるようにして搬送するが、この際、前記収納凹部が平面円形をなすものであると、容器がコンベア上で回転し、充填作業に支障が生じる等の問題もある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになしたものであり、内部の納豆の攪拌が容易で、かつヒートシールを要さずに閉蓋でき、また一旦開封した後の再度の閉蓋も容易に可能であり、さらに複数の容器を積み重ね包装した場合の下段容器の蓋体の沈み込み変形を抑制でき、積み重ね包装を良好になし得る納豆容器を提供するものである。
さらに、本発明は、納豆生産ラインにおいて前記の納豆容器をコンベアで搬送する際、収納凹部の側壁が平面円形に近い形状であっても、該側壁をガイドに沿わせることで搬送時の回転を規制できる納豆容器をも提供するものである。
上記の課題を解決する本発明は、納豆を収納するための収納凹部が開口部周囲に平面方形のフランジ部を残して形成されてなる容器本体と、前記容器本体にヒンジ部を介して連設された平面方形の蓋体とよりなる納豆容器であって、前記容器本体の収納凹部の側壁が、開口部から連続して下方に向かって延びる上部側壁と、開口部に近い高さ位置で該上部側壁から内方に屈曲して形成された段部と、該段部からテーパ状に傾斜して下方に延びて平面円形の底部に至る下部側壁とからなり、前記蓋体には、収納凹部の開口部との対応位置に、該開口部と対応した形状で環状をなしかつ閉蓋時に該開口部及び上部側壁の内側に嵌合するリブ状凸部が形成され、該リブ状凸部の一個所もしくは複数個所に、外周面で凸状をなすように外方へ拡張形成された張り出し部が設けられてなることを特徴とする。
前記構成の本発明の納豆容器によれば、蓋体のリブ状凸部が蓋体の曲がりや撓み変形を抑制する役目を果たすばかりか、該リブ状凸部に外周面で凸状をなすように拡張形成された張り出し部により、該リブ状凸部による蓋体の曲がりや撓み変形の抑制の効果及び保形効果がさらに高められ、特には積み重ね包装した場合における下段の容器の蓋体の沈み込み変形を抑制できる。しかも、蓋体の前記リブ状凸部を容器本体の収納凹部の開口部及び上部側壁の内側に嵌合して蓋体を被着した状態(閉蓋状態)においては、前記張り出し部が前記開口部及び上部側壁の内周に弾力的に嵌合することで、閉蓋状態を安定性よく保持できる。
前記の納豆容器において、前記容器本体の収納凹部における開口部は、前記ヒンジ部側の半部がコーナー部の丸みを大きくした方形、前記ヒンジ部とは反対側の半部が半円形をなす形状であり、前記蓋体のリブ状凸部が前記開口部と対応した形状で環状をなしているものとすることができる。これにより、下部側壁が単に平面円形のテーパ状をなす場合よりも容積を拡張でき、収納凹部の深さを浅くして必要量の納豆を収容でき、しかも蓋体の曲がりや撓み変形の抑制効果にも優れる。
また本発明は、前記の納豆容器において、前記の容器本体の前記半円形部分の外方のフランジ部における二つのコーナー部近傍には、前記収納凹部の開口部に連続して係合凹部が形成され、これに対応する蓋体のフランジ部のコーナー部近傍には、前記リブ状凸部に連続して、閉蓋時に前記係合凹部に嵌合する係合凸部が設けられてなるものとすることができる。これにより、ヒートシールを使用せずとも密封性よく閉蓋でき、前記リブ状凸部の張り出し部による嵌合状態の保持作用と相俟って、一旦開封した後の再度の閉蓋状態も良好に保持できる。
前記の納豆容器において、前記リブ状凸部における張り出し部が、環状のリブ状凸部の180度対称の位置には存さない配置で複数個所に形成されてなるものとすることができる。これにより、蓋体の曲がりや撓み変形抑制の効果が高められる。
前記の納豆容器において、前記リブ状凸部のうちの前記ヒンジ部に沿う部分と、該ヒンジ部と直交する両側辺に沿う部分とに前記張り出し部が設けられてなるものとすることができる。これにより、蓋体の縦横方向の折れ曲がり抑制の効果が高められる。
また本発明は、前記の納豆容器において、容器本体における前記収納凹部の下部側壁が、上下方向の凸条と凹条が周方向に交互に連続した波形状をなして前記底部に連続しているものとすることができる。これにより、収納凹部の側壁強度を高め、保形性が高められるばかりか、納豆のかき混ぜの効果が高められる。
前記の納豆容器において、段部に連続する上部が前記開口部形状に対応した形状をなすとともに、該上部から下端側に向かって前記底部と対応する形状に漸次変化するように形成されてなるものとすることができる。これにより、下部側壁が単に平面円形のテーパ状をなす場合よりも容積を拡張でき、収納凹部の深さを浅くして必要量の納豆を収容できる。
さらに、前記の納豆容器において、前記下部側壁は、前記段部に連続する上部が前記底部に連続する下部よりも緩傾斜となるように所定高さ位置で屈曲形成され、容器本体の4方各辺に沿う部分において、それぞれ複数の凹条の上部と下部の屈曲境界部が各辺と平行な直線上に並ぶように形成されてなるものとすることができる。これにより、外周側で凸となる前記凹条は、容器本体の4方各辺に沿う部分で前記複数の凹条の屈曲境界部の外面が直線上に並ぶことになる。このため、納豆生産ラインにおいて、前記納豆容器をコンベアで搬送する際、前記並列した複数の凹条の前記屈曲境界部の外面をコンベアに沿って設けた方向規制のガイドに沿わせるようにして搬送することにより、容器回転を規制できることになる。
前記の納豆容器において、4方各辺に沿う部分において、それぞれ各3本の凹条の上部と下部の屈曲境界部が各辺と平行な直線上に並ぶように形成されてなるものとすることができる。この場合、前記のコンベアによる容器搬送時の回転規制の効果が高められる。
前記の納豆容器において、前記屈曲境界部に連なる前記凹条の下部が、各辺と平行な直線上に並ぶように形成されてなるものとすることができる。
前記の納豆容器において、合成樹脂発泡シートからの真空成形により、前記容器本体及び蓋体が一体形成され連設されてなるものとすることができる。
本発明の納豆容器によれば、容器本体の収納凹部の下部側壁が平面円形の底部に連続しているために、納豆を食する際の攪拌が容易であり、しかも外形がフランジ部による平面方形をなしていることで、既存の納納豆生産ラインの方形状バケット等の支持手段をそのまま利用でき、複数の納豆容器を積み重ね包装するのも容易である。また、蓋体には、収納凹部の開口部との対応位置に、閉蓋時に該開口部の内側に嵌合するリブ状凸部が設けられていることで、閉蓋状態での過剰な空気侵入を防止できる。
特に、本発明の場合は、前記蓋体のリブ状凸部に外周面で凸状をなすように外方へ拡張形成された張り出し部が形成されているため、該張り出し部により前記リブ状凸部による保形及び補強の効果がさらに高められ、これにより、蓋体の曲がりや撓み変形を効果的に抑制できる。特には積み重ね包装した場合における下段の容器の蓋体の沈み込み変形を抑制でき、ひいてはテープ状フィルムに充分なテンションをかけて、安定性よく積み重ね包装できることになる。
しかも、前記リブ状凸部の張り出し部が開口部内面に弾力的に嵌合することで、ヒートシールを使用せずに閉蓋でき、かつ一旦開封した後の再度の閉蓋状態も良好に保持できることになる。そのため、使用後に容器本体内部の納豆の臭いが外部に放出されて悪臭が発生する等の問題も生じないことになる。また、調味材収納袋等の使用後の残骸を容器内に詰め込んで閉蓋することにより一括して捨てることができ、廃棄処理も容易である。
さらに、本発明において、前記容器本体の収納凹部の下部側壁を、上下方向の凸条と凹条が周方向に交互に連続した波形状をなして前記底部に連続するものとすることにより、納豆の攪拌が容易でよくかき混ぜることができ、食感のよい納豆を得ることができる。
その上、前記段部に連続する上部が前記底部に連続する下部よりも緩傾斜となるように所定高さ位置で屈曲形成され、容器本体の4方各辺に沿う部分において、それぞれ複数の凹条の上部と下部の屈曲境界部が各辺と平行な直線上に並ぶように形成されていることにより、納豆生産ラインにおいて該納豆容器をコンベアで搬送する際、直線上に並んだ前記複数の凹条の屈曲境界部の外面を方向規制のためのガイド作用に利用することができ、搬送中の容器回転を規制できて、容器を一定の方向に保持して搬送することができる。
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
この実施例の納豆容器Aは、主として合成樹脂材により成形されてなる容器であって、基本的構成として、上面に開口する断面凹状をなし、内容物である納豆を収納するための収納凹部2が開口部3の周囲に平面方形のフランジ部4を残して形成されてなる容器本体1と、該容器本体1の一側端にヒンジ部6を介して開閉自在に連設された蓋体5とよりなる。通常、前記容器本体1のフランジ部4は納豆生産ラインでの移送用の支持部材やアーム部材等による受け部として利用される。前記ヒンジ部6は、例えば図のように平行な2条のV形溝により180°折曲できるように形成される。前記V形溝の谷部には図のようにミシン目状の断続した切込み61,62を形成しておくことができる。
図の場合、前記容器本体1は、前記収納凹部2の開口部3の形状が、前記ヒンジ部6側の半部がコーナー部の丸み(アール)を大きくした方形、前記ヒンジ部6とは反対側の半部が半円形をなしている。31は開口部3の方形部分を示し、32は半円形部分を示している。前記収納凹部2の側壁20は、前記開口部3から下方に向かって延びる上部側壁21と、該開口部3に近い高さ位置で前記上部側壁21から内方向きに屈曲して形成された段部22と、該段部22から下方に向かって延びて実質的に平面円形をなす底部24に連なる下部側壁23とよりなり、該下部側壁23が下方ほど径小のテーパ状に傾斜して前記平面円形の底部24に連続している。
この実施例の場合、前記下部側壁23は、前記段部22に連続する上部が前記開口部3の形状に対応した形状をなすとともに、該上部から下端側に向かって平面円形の底部24と対応する形状に漸次変化するように形成されている。すなわち、収納凹部2の上部側壁21に連なる段部22が全周にわたって同程度内方向きに延びており、該段部22から連続する下部側壁23が、下端側では底部24に対応した円形になっている。特に、図の場合、箸による納豆の攪拌操作を阻害しないように、前記開口部3のヒンジ部6側の方形部分31のコーナー部の丸みを大きくして、下部側壁23が前記のように形成されている。これにより、前記収納凹部2の容積、特には下部側壁23による容積を拡張できて、収納凹部2の深さを浅くして必要量の納豆を収容できるようになっている。
そして、前記下部側壁23は、全周にわたって、内周側で凸及び凹となる(外周側では逆に凹及び凸となる)上下方向の凸条25aと凹条25bとが周方向に交互に主として曲面で連続して形成された波形状をなしている。前記凸条25a,凹条25bはそれぞれ曲面で前記底部24に連続している。これにより、収納凹部2を補強でき、保形性を高めることができるようになっており、さらに後述するように収納された納豆の攪拌効果を高めることができるようになっている。
さらに、前記下部側壁23は、前記段部22に連続する上部23aが前記底部24に連続する下部23bよりも緩傾斜となるように所定高さ位置で屈曲形成され、容器本体1の4方各辺に沿う部分において、それぞれ外周側で凸となる複数の凹条25bの上部と下部の屈曲境界部26が各辺と平行な直線L(図2の鎖線)上に並ぶように、つまりは該屈曲境界部26の外面が直線L上に並ぶように形成されており、納豆生産ラインにおいて該納豆容器をコンベアで搬送する際、前記並列した複数の凹条の前記屈曲境界部の外面をコンベアに沿う方向規制のガイドに沿わせるようにして搬送することにより、容器回転を規制できるようになっている。
図の場合、容器本体1の4方各辺に沿う部分において、それぞれ各3本の凹条25bの上部と下部の屈曲境界部26が各辺と平行な直線L上に並ぶように形成されている。
前記直線L上に並ぶ複数の凹条25bについては、前記屈曲境界部26の部分のみが直線上に並ぶように形成されているものであってもよいが、実施上は、図示する実施例のように、屈曲境界部26から下方に連続する下部の全体が各辺と平行な直線上に並ぶように形成しておくのが、前記方向規制のガイドに沿わせて搬送する上で好ましい。
前記下部側壁23の前記凸条25aと凹条25bによる波形については、三角波形状をなすものであってもよいが、箸による攪拌操作性の点から、図のように滑らかな曲面による波形状をなすものが好ましい。また、前記凸条25aと凹条25bによる波形の内外方向の振幅及び周方向の波のピッチは、攪拌効果を考慮して適宜設定できるが、通常、前記凸条25aと凹条25bによる前記振幅が2〜6mm、好ましくは3〜4mm、ピッチ5〜10mm程度とする。もちろん前記範囲以外での実施も可能である。
また、前記底部24には、その内面(収納凹部側の面)に球面状に僅かに盛り上がった凸面27が多数形成され、攪拌効果を考慮して、例えば直径数mm、高さ0.5〜2mm程度の球面形状の凸面27が多数形成されており、収納された納豆の攪拌効果を高めることができるようになっている。
そして、前記蓋体5は、外周部に前記容器本体1のフランジ部4と対応する平面方形のフランジ部7を残して、前記収納凹部2の開口部3との対応位置に、該開口部3と対応した形状をなすように閉蓋時の下面側(内面側)に突出形成され、かつ図のように閉蓋時に該開口部3及び上部側壁21の内側に嵌合する環状のリブ状凸部8が設けられている。すなわち、前記リブ状凸部8は、前記開口部3の形状に対応してヒンジ部6側の半部が方形、ヒンジ部6とは反対側半部が半円形の環状に連続したリブ状をなしている。
前記リブ状凸部8は、蓋体5を容器本体1に被着した閉蓋状態において、前記容器本体1の上部側壁21に対し嵌合するが、この状態において、突出端部(閉蓋時の下端部)が前記段部22に僅かに隙間を存して近接した状態で嵌合するか、あるいは軽く当接して嵌合するように設けられる。
前記凸部8が上部側壁21に接して嵌合する場合は、閉蓋状態において収納凹部2に収納されている納豆の発酵、熟成に必要な空気を取り入れるために、例えば前記リブ状凸部8より内方部分の所要個所(複数個所)に、通気性は有するがゴミ等の侵入は抑制できる針孔状の通気用の細孔(図示せず)が設けられる。前記凸部8と前記上部側壁21との間に前記隙間を有する場合、必ずしも通気用の細孔を設けておく必要はない。
そして、本発明の場合、図示するように、前記リブ状凸部8の一個所もしくは複数個所に、外周面で凸状をなすように外方へ拡張形成された張り出し部9が設けられており、該張り出し部9によりリブ状凸部8による蓋体5の保形、曲がり変形抑制の効果を高めることができるようになっている。
前記リブ状凸部8における張り出し部9については、複数個所に設けておくのがよいが、実施上は、前記リブ状凸部8の180度対称の位置には存しない配置、すなわち前記環状をなすリブ状凸部8の縦横の中心線が交わる中心Oに関して180度対称の位置には存さない配置で複数個所に設けておくのが、前記の保形、曲がり変形抑制の効果の点から特に望ましい。図の場合は、前記リブ状凸部8のうちの前記ヒンジ部6に沿う部分と、該ヒンジ部6と直交する両側辺に沿う部分とにそれぞれ前記張り出し部9が設けられており、縦横の折れ曲がり変形を抑制できるようになっている。
前記張り出し部9としては、リブ状凸部8の外周壁のみを拡張形成しておくことも可能であるが、実施上は、図のように、リブ状凸部8の内周壁と外周壁の双方を拡張形成した張り出し部9とするのが、蓋体5のリブ状凸部より内方部の曲がりや撓み変形を抑制する効果の点から特に好ましい。また、ヒンジ部6と直交する両側辺に沿う部分の張り出し部9の内周壁側の張り出し形状のように、該張り出し部9の領域内で周方向の一部に本来の内周壁部分を凸状に残余させて複数に分離して拡張形成しておくことができる。
図示する実施例においては、上記の構成に加えて、前記容器本体1の前記開口部3の半円形部分32の外方のフランジ部4と、これに対応する蓋体5のフランジ部7の個所、好ましくは図のように、前記開口部3及び前記リブ状凸部8の半部を半円形にしたことによって生じる前記両フランジ部4,7のコーナー部のスペースを利用して、前記両フランジ部4,7におけるヒンジ部6とは反対側で隣り合う二つのコーナー部近傍の個所に、閉蓋時に互いに嵌合する係合凹部12と係合凸部52とが、それぞれ該フランジ部4,7の外形側の所要幅を残余させて形成されている。この係合凹部12と係合凸部52とが素材の弾性力を利用して嵌合することで、閉蓋状態を保持できる。前記係合凹部12は、その外側面がフランジ部4の各辺の外形線と平行な直線上に位置するように形成され、方形状バケット等の支持手段の平行な支持部材により、二つの係合凹部12の外側面に当接させて前記フランジ部4の外形側部分を受支できるようになっている。
図の場合、前記係合凹部12は、前記収納凹部2の開口部3に連続して形成され、また前記係合凸部52が前記蓋体5のリブ状凸部8に連続して形成され、さらに前記係合凸部52が形成されている前記リブ状凸部8の部分の内周壁が僅かに外方へ張り出し形成されている。これにより、前記係合凸部52の部分でも前記張り出し部9と同様の曲がり変形抑制の効果を奏するようになっている。
前記の納豆容器Aの構成材としては、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種の合成樹脂シートを用いることができる。特に、使用上における断熱性や保冷効果の点から、前記合成樹脂の発泡シート、中でも、比較的剛性があって保形性のよい、ポリスチレン系樹脂の発泡シートやポリプロピレン樹脂の発泡シートが好適に用いられ、該発泡シートから真空成形等の熱成形加工手段により前記容器本体1と蓋体5とがヒンジ部6を介して一体に成形される。
前記発泡シートの発泡倍率や厚みは、素材によっても異なるが、ポリスチレン系樹脂の発泡シートの場合、発泡倍率は3〜25倍、厚みは0.5〜5.0mmとされる。
上記した納豆容器Aは、納豆生産ラインにおける納豆充填ラインにおいて、容器本体1の収納凹部2に蒸した大豆および納豆菌等の納豆材料を収納し、さらにこの上に保護用の樹脂フィルム(図示省略)を置いて、醤油タレや芥子等の調味材を袋に収納してなる調味材収納袋(図示省略)を収納する。
前記の納豆材料を充填するラインでは、前記納豆容器Aをコンベアにより搬送しながら前記納豆材料の充填が行われる。この際、コンベア(図示せず)に沿って設けた方向規制のガイド(図示せず)に前記納豆容器Aの側壁20を沿わせるようにして、コンベア上で位置きめし方向を併せるようにして搬送するが、本発明の納豆容器Aの場合、4方各辺と平行な直線上に並ぶように形成された複数の凹条25bの上部と下部の屈曲境界部26の外面、すなわち外周側で凸となる前記凹条25bの前記屈曲境界部26の外面を、前記ガイドに沿わせることにより、搬送中の容器回転を規制できて、該納豆容器Aを一定の方向に保持して搬送することができることになる。
前記の充填の後、図5及び図6のように容器本体1に対し蓋体5を被着する。図示する実施例の納豆容器Aの場合、蓋体5を容器本体1に被着するには、該蓋体5をヒンジ部6で折り曲げて、該蓋体5の閉蓋状態の下面側に突出するリブ状凸部8を容器本体1の収納凹部2の開口部3の内側に嵌合するとともに、蓋体5のフランジ部7に有する係合凸部52を容器本体1のフランジ部4に有する係合凹部12に嵌合して閉蓋状態に保持する。この際、前記リブ状凸部8については、張り出し部9を前記開口部3の内側に弾力的に嵌合する。そのため、従来のようにヒートシール手段により両者のフランジ部4,7を接合しなくても、閉蓋状態に保持できる。もちろん、必要に応じて、両者のフランジ部4,7の個所をスポット的にヒートシールして接合しておくこともできる。
そして、前記の閉蓋状態において、前記納豆容器Aを温度調節した発酵室内に置いて発酵、熟成を行なう。このとき、開口部3にリブ状凸部8が嵌合していることで、該開口部3からの過剰な空気侵入を防止できる。なお、開蓋状態で発酵、熟成を行った後、納豆の上に樹脂フィルム及び調味材収納袋を置いて蓋体5を被せることもできる。納豆生産ラインにおいて、方形状バケット等の支持手段を用いる場合、前記フランジ部4,7のた外形側部分を該支持手段により受けるようにして支持して取り扱うことができる。
そして、前記の発酵、前記の納豆容器Aを単独で、あるいは数個個を積み重ねて、テープ状フィルムをかけて包装し、これを段ボール箱に収納し梱包した状態で小売店に搬送し、小売店の店頭に並べて販売される。
複数の納豆容器Aを積み重ねする場合、前記蓋体5のリブ状凸部8に外方へ拡張形成された張り出し部9が形成されているため、該張り出し部9により前記リブ状凸部8による曲がりや撓み変形の抑制効果がさらに高められ、これにより、蓋体5の曲がりや撓み変形を効果的に抑制できる。そのため、積み重ね包装した場合における下段の容器の蓋体の沈み込み変形を抑制でき、ひいてはテープ状フィルムに充分なテンションをかけて安定性よく積み重ね包装できることになる。
なお、納豆を食する際は、蓋体5を開き、前記樹脂フィルムを取り除き、醤油タレや芥子等の調味用材料をかけて攪拌して食する。この際、容器本体1の収納凹部2の下部側壁23が平面円形の底部24側に連続していることにより、納豆を食する際の納豆の攪拌操作が比較的容易であり、攪拌の際に側壁20を破損する虞がない。さらに、上記した実施例のように、前記収納凹部2の下部側壁23を、上下方向の凸条25aと凹条25bとが周方向に交互に連続した波形状をなすものとした場合には、納豆の攪拌を容易に効果的に行え、容易に食感の好い納豆を得ることができる。
また、前記のように、蓋体8のリブ状凸部8の開口部3に対する嵌合と、係合凸部52と係合凹部12の嵌合により、前記のようにヒートシールを要さずに閉蓋できることで、一旦開封した後の再度の閉蓋状態も良好に保持でき、ひいては使用後に容器本体内部の納豆の臭いが外部に出て、ゴミ箱等から悪臭が発生することがなく、また調味材収納袋等の使用後の残骸を容器内に詰め込んで閉蓋することにより一括して捨てることができる。