JP5429978B2 - 多層成形品の製造方法、及び、多層成形品の製造に用いる金型セット - Google Patents

多層成形品の製造方法、及び、多層成形品の製造に用いる金型セット Download PDF

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Description

本発明は、複数の樹脂により複合成形された多層成形品の製造方法、及び、多層成形品の製造に用いる金型セットに関する。
複数の樹脂層の間にインサートシートが埋設される多層成形品は、例えば、次のような工程で製造される。第1型(キャビティ型)とインサートシートが配置された第2型(第1コア型)とを型締めして、第1型とインサートシートとの間に形成された第1キャビティに第1樹脂を射出してインサートシートの一方の側に第1樹脂層を成形する。次に、第1型(第キャビティ型)に第1樹脂層とインサートシートとを保持させつつ、第1型(キャビティ型)と第3型(第2コア型)とを型締めして、インサートシートと第3型(第2コア型)との間に形成された第2キャビティに第2樹脂を射出してインサートシートの他方の側に第2樹脂層を成形する。このようにして、複数の樹脂層の間にインサートシートが埋設される樹脂成形品を得る(特許文献1参照)。
上記構成によれば、インサートシートの両面に第1樹脂層と第2樹脂層とを積層できるので、製造された多層成形品の第1樹脂層と第2樹脂層のうち、表面側の樹脂層に着色された樹脂を用いると、多層成形品が配置された装置本体の内部を隠蔽できる。また、逆に表面側の樹脂層に透明の樹脂を用いると、裏面側の樹脂層が透けて見える形態にすることもできる。
特開2005−66834号公報
多層成形品において、第1樹脂層と第2樹脂層との間に基体シート上に加飾層が形成されたインサートシートを配置することが望まれる場合がある。例えば多層成形品の表面側となる第1樹脂層を透明な材質にするとともに、加飾層として適当な色や図柄を配すれば、第1樹脂層を通して加飾層の色や図柄を視認できることになり、奥行き感のある意匠を与えることができて、美観性に優れたものとなる。
しかしながら、第1樹脂層と第2樹脂層との間にこのようなインサートシートを設けると、インサートシートが二次成形用の樹脂注入時にこの樹脂の熱の影響を受けて再溶融する現象、いわゆる「ゲート飛び」が起こる虞があった。「ゲート飛び」とは、高温(250℃〜280℃)の二次成形用の樹脂がインサートシートに接触した際に、この樹脂の熱がインサートシートに伝熱する一方、その熱は一次成形品の断熱効果に金型に伝熱し難いため、インサートシートは金型で冷却されることなく高温となって溶融し、結果的に加飾層に施された図柄等が流れて変形する現象をいう。
また、樹脂の注入により多層成形品の背面にリブやボス等を形成した場合、リブやボス等の箇所で「ヒケ」が発生することがある。「ヒケ」とは、樹脂収縮に伴い、樹脂の厚みが急激に厚くなる部分の表面が凹む現象をいう。この場合に、加飾層に光反射層が含まれていると、この「ヒケ」の部分が多層成形品の表側から透けて視認され多層成形品の美観を損なうことがあった。
本発明は、意匠性を向上させた多層成形品の製造方法、及び、多層成形品の製造に用いられる金型セットを提供する点にある。
本発明の多層成形品の製造方法の第1特徴手段は、
基体シート上に加飾層が形成されたインサートシートを挟んで配置された樹脂層を備えた多層成形品の製造方法であって、
第2型に前記インサートシートを配置し、第1型と当該第2型とを型締めして、前記インサートシートと前記第1型との間に第1キャビティを形成する工程と、
前記第1キャビティに第1樹脂を注入して表側樹脂層を成形するとともに、前記インサートシートの外周の一部に前記表側樹脂層の外周から突出する突出片を形成する工程と、
第3型に前記表側樹脂層が接するように前記表側樹脂層及び前記インサートシートを保持させつつ、当該第3型と第4型とを型締めして、前記インサートシートと前記第4型との間に第2キャビティを形成する工程と、
前記突出片と前記第4型とで挟まれた空間を介して前記第2キャビティに第2樹脂を注入して裏側樹脂層を成形する工程と、を備えた点にある。
この特徴手段により、多層成形品の製造に際し、第1キャビティに第1樹脂を注入されて表側樹脂層が先に成形され、第2キャビティに第2樹脂を注入されて裏側樹脂層が表側樹脂層の後に成形される。つまり、裏側樹脂層となる第2樹脂を注入する際、第2キャビティのインサートシートの側は表側樹脂層で支持されることとなる。したがって、裏側樹脂層の樹脂の厚みが急激に厚くなるような場合、「ヒケ」は裏側樹脂層のインサートシートの側ではなく第4型の側に発生する。その結果、表側樹脂層及びインサートシートが透過性を有する場合であっても、多層成形品の表側から裏側樹脂層の「ヒケ」の部分が目立ち難くなった。
また、インサートシートの突出片と第4型とで挟まれた空間を介して第2キャビティに第2樹脂を注入して裏側樹脂層を成形するので、第2樹脂がインサートシートの突出片にまず接触してから第2キャビティに注入されることとなる。このとき、高温の第2樹脂がインサートシートに接触して第2樹脂の熱がインサートシートに伝熱しても、インサートシートの熱が突出片を通して第3型に伝熱される。つまり、突出片が結果的に第3型で冷やされることとなって、インサートシートはそれほど高温にはならない。したがって、インサートシートの溶融によって加飾層に施された図柄等が流れて変形する現象を抑制できる。特に、インサートシートにおける突出片近傍の箇所は注入される高温の第2樹脂の影響により高温になり易く、インサートシートが溶融し易いものであるが、その突出片近傍の箇所の熱が突出片から突出片を支持する第3型に伝熱されることにより、インサートシートの溶融が適切に抑制される。
こうして、裏側樹脂層が多層成形品の表側から透けて視認できるような場合に、裏側樹脂層の一部にリブやビス等が成形されて樹脂層の厚みが急激に変化しても、多層成形品の表側から裏側樹脂層表面の「ヒケ」による凹凸部分が目立ち難く、「ゲート飛び」の発生も抑制され、外観上、美観性に優れた多層成形品の製造が可能となった。
本発明の多層成形品の製造方法の第2特徴手段は、前記裏側樹脂層を成形する工程では、前記突出片の縁部を固定した状態で前記第2樹脂が注入される点にある。
この特徴手段により、インサートシートの突出片の縁部を固定した状態で第2樹脂が注入されるので、裏側樹脂層を成形する工程において発生し得る、インサートシートの位置のずれ、インサートシートの浮きや「めくれ」等を防止できる。その結果、突出片と第3型との接触を良好に維持されて、インサートシートの熱が突出片を通して第3型に確実に伝熱されるので、インサートシートの溶融を一層抑制できる。
本発明の多層成形品の製造に用いる金型セットの第1特徴構成は、
基体シート上に加飾層が形成されたインサートシートを挟んで配置された樹脂層を備えた多層成形品の製造に用いる金型セットであって、
第1型と、
前記インサートシートを配置して前記第1型と型締めしたときに、前記インサートシートと前記第1型との間に第1キャビティを形成する第2型と、
前記第1キャビティに表側樹脂層となる第1樹脂を注入する第1ゲートと、
前記表側樹脂層が接するように前記表側樹脂層及び前記インサートシートを保持する第3型と、
前記表側樹脂層及び前記インサートシートが保持された前記第3型と型締めしたときに、前記インサートシートとの間に第2キャビティを形成する第4型とを有し、
前記第3型には、前記インサートシートの外周の一部に前記表側樹脂部の外周から突出するよう形成される突出片を支持する支持部を備えており、
前記支持部と前記第4型との間に形成される流路を介して前記第2キャビティに裏側樹脂層となる第2樹脂を注入する第2ゲートを設けた点にある。
この構成により、多層成形品の製造に際し、第1キャビティに第1樹脂を注入されて表側樹脂層が先に成形され、第2キャビティに第2樹脂を注入されて裏側樹脂層が表側樹脂層の後に成形されるので、第2樹脂の注入の際、第2キャビティのインサートシートの側は表側樹脂層で支持されている。したがって、裏側樹脂層の樹脂の厚みが急激に厚くなるような場合、「ヒケ」は裏側樹脂層のインサートシートの側ではなく第4型の側に発生する。その結果、表側樹脂層及びインサートシートが透過性を有する場合であっても、多層成形品の表側から裏側樹脂層の「ヒケ」の部分が目立ち難くなった。
また、インサートシートの突出部を支持する第3型の支持部と第4型との間に形成される流路を介して第2キャビティに裏側樹脂層となる第2樹脂を注入する第2ゲートを設けたので、第2樹脂がインサートシートの突出片にまず接触してから第2キャビティに注入されることとなる。このとき、高温の第2樹脂がインサートシートに接触して第2樹脂の熱が加飾層に伝熱しても、インサートシートの熱は突出片を通して第3型に伝熱される。つまり、突出片が結果的に第3型で冷やされることとなって、インサートシートはそれほど高温にはならない。したがって、インサートシートの溶融によって加飾層に施された図柄等が流れて変形する現象を抑制できる。こうして、外観上、美観性に優れた多層成形品の製造が可能となった。
本発明の多層成形品の製造に用いる金型セット第2特徴構成は、前記突出片の縁部を固定する固定手段を備えている点にある。
この構成により、インサートシートの突出片の縁部が固定手段で固定されるので、第2樹脂の注入時に発生し得る、インサートシートの位置のずれ、インサートシートの浮きや「めくれ」等を防止できる。その結果、突出片と第3型との接触を良好に維持されて、インサートシートの熱が突出片を通して第3型に確実に伝熱されるので、インサートシートの溶融を一層抑制できる。
本発明の多層成形品の製造に用いる金型セットの第3特徴構成は、前記固定手段は、前記型締めに基づいて前記縁部を挟持固定するように前記第3型と前記第4型とに設けられた押付け部である点にある。
この構成により、第3型及び第4型の押付け部で突出片の縁部を挟持して固定するので、第3型と第4型を型締めするだけで第3型及び第4型と突出片との間のすべりを防止する。したがって、第2樹脂の注入時に発生し得る、インサートシートの位置のずれ、インサートシートの浮きや「めくれ」等を防止できる。しかも、第3型及び第4型の押付け部で突出片を挟持するので、突出片を挟持する構成を別途設ける必要もなく、金型セットの構成の簡素化を図ることができる。
第1実施形態の一次成形工程を示す図 第1実施形態の二次成形工程を示す図 第1実施形態の二次成形用金型を型締めしたときの平断面図 第1実施形態の一次成形工程(表側樹脂層の成形工程)の拡大断面図 第1実施形態の二次成形工程(裏側樹脂層の成形工程)の拡大断面図 第1実施形態の多層成形品の全体斜視図 多層成形品の樹脂層の間に配置されるインサートシートの断面図 第2実施形態の一次成形工程を示す図 第2実施形態の一次成形工程(表側樹脂層の成形工程)の拡大断面図 第2実施形態の二次成形工程(裏側樹脂層の成形工程)の拡大断面図 第3実施形態の一次成形用金型を型締めしたときの平断面図 図11のXII−XII矢視断面図 図11のXIII−XIII矢視断面図 第3実施形態の二次成形用金型を型締めしたときの平断面図 図14のXV−XV矢視断面図 図14のXVI−XVI矢視断面図 第3実施形態における多層成形品の全体斜視図 別実施形態の一次成形用金型を型締めしたときの側断面図 別実施形態の二次次成形用金型を型締めしたときの側断面図 別実施形態の二色成形用金型による成形工程を示す図 別実施形態の二色成形用金型による成形工程を示す図 別実施形態の二色成形用金型による成形工程を示す図 別実施形態の二色成形用金型による成形工程を示す図
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る成形用金型について説明する。
本発明に係る成形用金型は2台の単色成形機(一次成形機及び二次成形機)に備えられており、図1は一次成形機に備えられた金型を示し、図2は二次成形機に備えられた金型を示す。一次成形用金型は、第1型1及び第2型2を有し、二次成形用金型は、第3型3及び第4型を有している。すなわち、本発明に係る多層成形品は、2台の単色成形機を用いた2重成形により製造される。ここで、2重成形とは、ある単色成形機の金型で製造された樹脂成形品を一旦取り出して、別の単色成形機の金型を用いて異なる層の樹脂成形を行うことをいう。なお、第1型1と第3型3とはほぼ同型の金型であるが、一次成形において成形される表側樹脂層7が収縮するため、第3型3のキャビティは第1型1のキャビティより小さめに構成されている。
図1(a)は第1型1が第2型2から離間された状態を示す。図1(b)に示すように第1型1を第2型2に向けて移動させて第1型1と第2型2とが型締めされると、第1樹脂を受け入れる第1キャビティ6が形成される。図1(c)は第1樹脂の注入が完了した状態を示し、図1(d)は第1型1を再び第2型2から離間させて型開きした状態を示す。
図2(a)は第3型3が第4型4から離間された状態を示す。図2(b)に示すように、第3型3を第4型4に向けて移動させて第3型3と第4型4とが型締めされると、第2樹脂を受け入れる第2キャビティ8が形成される。図2(c)は第2樹脂の注入が完了した状態を示し、図2(d)は第3型3を再び第4型4から離間させて型開きした状態を示す。
図1(a)の一次成形用金型の型締め前の状態では、第2型2には一次成形で用いられるインサートシート5が保持されている。一次成形機はインサートシート5を第2型2に設置するためのロボット装置15を備えている。図2(a)の二次成形用金型の型締め前の状態では、第4型4と対向した第3型3には、一次成形機で成形された一次成形品F1(表側樹脂層7とインサートシート5)が保持されている。
ここで、インサートシート5は、図7に示すように、基体シート5B上に加飾層5Aを形成したものである。加飾層5Aは各種印刷方法等を用いて基体シート5B上に形成され、図柄や色を付加するものである。加飾層5Aには、例えば金属メッキ層、金属蒸着薄膜層、光輝性メタリックインキ層等の光反射層等が含まれていてもよい。光反射層としては、反射率が高く基体シート5B上に形成しやすい金属蒸着薄膜層や光輝性メタリックインキ層が好ましい。基体シート5Bは、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹、ポリエチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アセテート系樹脂、ポリアミド系樹脂などのプラスチックシート又はプラスチックフィルムである。
図1(b)に示すように、第1型1と第2型2とを型締めすると、第1樹脂を受け入れる第1キャビティ6が第2型2に支持されたインサートシート5と第1型1との間に形成される。第1キャビティ6に第1樹脂を射出するための第1ゲート10は第2型2に設けられている。図2(b)に示すように、第3型3と第4型4とを型締めすると、第3型3に支持されたインサートシート5と第4型4との間に、第2樹脂を受け入れる第2キャビティ8が形成される。第2キャビティ8に第2樹脂を射出するための第2ゲート11は第4型4に設けられている。
尚、第1樹脂と第2樹脂とは、異なる色の樹脂としてもよいし、互いに硬度その他の特性が異なる別の種類の樹脂としてもよい。例えば、第1樹脂をポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、或いは、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂のアロイなどとし、第2樹脂をPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)としてもよい。特に第1樹脂をABS樹脂とし、第2樹脂をPMMAとすると、ABS樹脂は成形性が高いため、二色成形などの多層成形を良好に行える。しかも、ABS樹脂の軟化温度がPMMAの軟化温度より低くても、インサートシート5の存在により、PMMAを注入するときに成形済みのABS樹脂がPMMAの熱によって変形することが抑制される。
図6に示すように、固化後に第4型4から取り出された二次成形品F2にはインサートシート5の対向する2辺部分から突出する2つの突出片5a,5cが形成されている。突出片5a,5cは、インサートシート5の辺のほぼ全幅から延出された矩形状を呈している。図1(c)及び図4に示すように、第1型1と第2型2とを型締めしたときに、突出片5cを収容可能な補助キャビティ19が形成される。第1樹脂を注入するための第1ゲート10は、第1樹脂が必ず補助キャビティ19を介して第1キャビティ6に注入されるような位置に設けてある。また、図2(c)及び図5に示すように、第3型3と第4型4とを型締めしたときに、突出片5aを収容可能な補助キャビティ20が形成される。第2樹脂を注入するための第2ゲート11は、第2樹脂が必ず補助キャビティ20を介して第2キャビティ8に注入されるような位置に設けてある。
より詳細には、図4に示すように、第1ゲート10は基準パーティングラインPLと比較して第1型1寄りに設けられている。補助キャビティ19は、第1ゲート10の近傍から第2型2の第1段部2Aに向かう直線状の第1連通部19Aと、基準パーティングラインPLに沿って第2型2の第2段部2Bに向かう直線状の第2連通部19Bとを備えている。したがって、第1ゲート10から射出された第1樹脂は、第1連通部19Aから第2連通部19Bに注入され、インサートシート5の突出片5cに対してほぼ垂直方向から接触することとなるので、インサートシート5の浮きや「めくれ」を抑制し、インサートシート5と第2型2との隙間への第1樹脂の流入も防止することができる。図3に示すように、突出片5cを収容可能な補助キャビティは、一次成形品F1に近づくほど幅広になる末広がり状を呈している。
また、図5に示すように、第3型3の第4型4の第2ゲート11に対向する部分は基準パーティングラインPLと比較して第4型4寄りに設けられている。補助キャビティ20は、第2ゲート11の近傍から第4型4の第1段部4Aに向かう直線状の第1連通部20Aと、基準パーティングラインPLに沿って第4型4の第2段部4Bに向かう直線状の第2連通部20Bとを備えている。したがって、第2ゲート11から射出された第2樹脂は、第1連通部20Aから第2連通部20Bに注入され、インサートシート5の突出部5aに対してほぼ垂直方向から接触することとなるので、インサートシート5の浮きや「めくれ」を抑制し、インサートシート5と第3型3との隙間への第2樹脂の流入も防止することができる。図5に示すように、突出部5aを収容可能な補助キャビティ20は、二次成形品F2に近づくほど幅広になる末広がり状を呈している。
本発明に係る二重成形による多層成形品の具体的な製造方法について説明する。
図1(a)に示すように、型開きした状態で成形済みのインサートシート5をロボット装置15によって、一次成形機の第2型2に設置する。次に、図1(b)に示すように、第1型1と第2型2とを型締めする。これにより、第2型2に支持されインサートシート5と第1型1との間に第1キャビティ6が形成される。
次に、図1(c)及び図4に示すように、第1ゲート10から射出した第1樹脂が第1キャビティ6に注入され、インサートシート5の上面に表側樹脂層7が成形されて、一次成形品F1となる。
その後、図1(d)に示すように、第1型1と第2型2とを型開きする。この型開きによって、一次成形品F1を第1型1から取り外し、図2(a)に示すように、ロボット装置等を用いて一次成形品F1を二次成形機の第3型3に表側樹脂層7が接するように設置する。
次に、図2(b)に示すように、一次成形品F1(表側樹脂層7とインサートシート5)を保持させつつ、第3型3と第4型4とを型締めする。これにより、第3型3に支持された一次成形品F1のインサートシート5と第4型4との間に第2キャビティ8が形成される。次に、図2(c)及び図5に示すように、第2ゲート11から射出した第2樹脂が第2キャビティ8に注入され、一次成形品F1と裏側樹脂層9とが一体化した二次成形品F2が成形される。
その後、図2(d)に示すように、第3型3と第4型4とを型開きする。この型開きによって、固化した二次成形品F2を第4型4から取り外す。尚、仕上げ工程として、完成品である多層成形品Aの外部に突出する突出片5a,5cを切断する(図6を参照)。
このように、基体シート5B上に加飾層5Aが形成されたインサートシート5が2層の樹脂層の中間に配置された多層成形品を製造する場合に、一次成形機を用いて第1キャビティ6に第1樹脂を注入して表側樹脂層7を先に成形し、その後に、二次成形機を用いて第2キャビティ8に第1樹脂を注入して裏側樹脂層9を成形する。このとき、裏側樹脂層9にリブ部やビス部を成形することで、裏側樹脂層9の厚みが急激に変化し、裏側樹脂層9の表面に「ヒケ」が発生する場合がある。しかし、裏側樹脂層9と接するインサートシート5の裏側に表側樹脂層7が存在し、この表側樹脂層7によって裏側樹脂層9が支持されるので、「ヒケ」は主に裏側樹脂層9と接する第4型4の側に発生する。したがって、表側樹脂層及び加飾層が透過性を有する場合であっても、多層成形品の表側から裏側樹脂層9の「ヒケ」の部分が目立ち難くなった。
また、補助キャビティ20を構成する結果、第2樹脂を注入するとき、第2樹脂は第1連通部20A,第2連通部20Bを通ってインサートシート5に接触を開始する。したがって、高温の第2樹脂がインサートシート5に接触して第2樹脂の熱がインサートシート5に伝熱するとしても、インサートシート5が受ける熱は面積の大きな突出片5aを介して第3型3へと効果的に放熱されるため、インサートシート5はあまり高温にならず、インサートシート5の溶融および図柄の変形が防止される。
しかも、第2ゲート11から射出された第2樹脂は、補助キャビティ20の第1連通部20Aから第2連通部20Bに注入されて、インサートシート5の突出部5aに対してほぼ垂直方向から接触することとなるので、突出片5aと第3型3との接触も良好に維持される。したがって、インサートシート5の熱が突出片5aを通して第3型3に確実に放熱され、インサートシート5の溶融を確実に防止できる。さらに、インサートシート5の浮きや「めくれ」等が防止されて、多層成形品を良好に製造できる。
〔第2実施形態〕
図8〜図10に示す第2実施形態では、主に第1実施形態の構成と異なる構成についてのみ説明し、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。第2実施形態で用いる金型も2台の単色成形機(一次成形機及び二次成形機)に備えられており、図8及び図9は一次成形機に備えられた金型を示し、図10は二次成形機に備えられた金型を示す。図8に示すように、一次成形用金型の第1型1には、転写フィルム12を送り出すフィルム送り出し装置13と、転写フィルム12を巻き取るフィルム巻き取り装置14と、転写フィルム12を第1型1の側に押え付ける矩形枠状のクランプ16とが設けられている。なお、第1型1と第3型3とはほぼ同型の金型であるが、一次成形において成形される表側樹脂層7が収縮することに加えて、第1型1に配置される転写フィルム12が第3型3には配置されないため、第3型3のキャビティは第1型1のキャビティより小さめに構成されている。
ここで、転写フィルム12は、表側樹脂層7に融着される加飾部12aとハンドリング用の基体シート12bとが一体化されており、加飾部12aが樹脂層に融着された後の任意の工程で基体シート12bは剥がされる。加飾部12aは一般に、最終的な多層成形品の最外層となる剥離保護層と、樹脂層に融着される接着層とを有し、一般的に剥離保護層と接着層との間に図柄層が設けられているが、模様のない無地の色付きフィルムとしてもよい。
基体シート12bの材質としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂等から選択される単層シート、または上記の中から選択された2種以上の樹脂による積層シートまたは共重合シート等を使用することができる。また、基体シート12bの剥離性を高めるために、基体シート12bと加飾部12aとの間にアミノアルキド系樹脂等からなる離型層を形成してもよい。基体シート12bの厚みとしては、5〜500μmが好ましい。
剥離保護層の材質としては、アクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂等を用いるとよい。剥離保護層の厚みは、0.5〜50μmが好ましい。図柄層の材質としては、アクリル系樹脂、硝化綿系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等の樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。接着層は融着させる対象の樹脂と親和性の高い材質を選択すべきである。接着層の厚みは、0.5〜50μmが好ましい。
第2型2には、インサートシート5の一部を固定するスライド駒17(固定手段の一例)と、型締めの際にクランプ16を収容する略矩形の凹溝18とが設けられている。図8(b)に示すように、第1型1と第2型2とを型締めすると第1樹脂を受け入れる第1キャビティ6が形成される。また、図10に示すように、第3型3と第4型4とを型締めすると、第2樹脂を受け入れる第2キャビティ8が形成される。
また、図10に示すように、第3型3と第4型4と型締めしたときに突出部5aを収容可能な補助キャビティ20が形成される。第2樹脂を注入する第2ゲート11は、第2樹脂が必ず補助キャビティ20を介して第2キャビティ8に注入されるような位置に設けてある。より詳細には、第3型3と第4型4と型締めしたときに、第3型3と第4型4との間に、第2ゲート11と第2キャビティ8とを連通させる連通流路が形成される。連通流路はインサートシート5の突出部5aと縁部5bに面して補助キャビティ20を構成する。第1実施形態と同様に、突出片5aを収容可能な補助キャビティ20は、一次成形品F1に近づくほど幅広となる末広がり状を呈している。
第2実施形態における多層成形品の具体的な製造方法について説明する。
まず、一次成形機において、図8(a)に示すように、第2型2には、ロボット装置15によってインサートシート5が保持される。第1型1においては、フィルム送り出し装置13によって一定長さの転写フィルム12を送り出し、同時に、フィルム巻き取り装置14によって一定長さの転写フィルム12を巻き取って、転写フィルム12を第1型1に対向させる。尚、転写フィルム12はクランプ16によって第1型1の縁部に押え付け、加熱装置(不図示)によって転写フィルム12を加熱するとともに、吸引装置(不図示)によって転写フィルム12を第1型1の凹部に密着させる。
次に、図8(b)に示すように、第1型1と第2型2とを型締めして、第2型2に支持されたインサートシート5と第1型1との間に第1キャビティ2を形成する。同時に、型締めに際してクランプ16によって押されたスライド駒17が突出部5aの側にスライド移動することで、スライド駒17(押付け部の一例)と第2型2の一部(押付け部の一例)とが突出片5aの縁部5bを挟持固定する。
次に、図8(c)及び図9に示すように、第1ゲート10から射出された第1樹脂は第1キャビティ6に注入され、第1型1とインサートシート5との間に第1樹脂による表側樹脂層7が形成される。その後、第1型1と第2型2とを型開きする。この型開きによって、第1型1に支持されている転写フィルム12の基体シート12bが加飾部12aから自然に剥がされ、加飾部12aのみが表側樹脂層7の表面に転写された一次成形品F1が得られる。その後、一次成形品F1を第1型1から取り外し、ロボット装置等を用いて一次成形品F1を二次成形機の第3型3に表側樹脂層7が接するように設置する。
次に、二次成形機の第3型3に前工程で成形された一次成形品F1(表側樹脂層7とインサートシート5)を保持させつつ、第3型3と第4型4とを型締めする。第3型3に支持された一次成形品F1のインサートシート5と第4型4との間に第2キャビティ8が形成される。図10に示すように、第2ゲート11から射出された第2樹脂は補助キャビティ20を介して第2キャビティ8に注入され、一次成形品F1と第2樹脂による裏側樹脂層9とが一体化された二次成形品F2が得られる。
その後、第3型3を第4型4から型開きさせる。そこで、固化した二次成形品F2を第4型4から取り外す。こうして、裏側樹脂層9とインサートシート5と表側樹脂層7と転写フィルム12の加飾部12aとが順次積層された二次成形品F2を製造する。表側樹脂層7に転写された加飾部12aは、表側樹脂層7に融着されている接着層と中間の図柄層と最外側の剥離保護層とからなる。
〔第3実施形態〕
図11〜図16に示すように、一次成形機に第1型1及び第2型2を備え、二次成形機に第3型3及び第4型4を備えている。図11〜図13は一次成形の第1樹脂を注入した後の状態、図14〜図16は二次成形の第2樹脂を注入した後の状態を示す。また、第3実施形態はインサートシート5のみを用い、表側樹脂層7の表面を加飾する転写フィルム12を用いない例を示す。
一次成形機において、インサートシート5を保持した第2型2と第1型1とを型締めすると、インサートシート5と第1型1との間に第1キャビティ6が成形される。図12と図13は、この第1キャビティ6に第1樹脂が注入され、表側樹脂層7が成形された一次成形品F1が得られた状態を示す。
図11に示すように、インサートシート5の突出片5aは、インサートシート5における一方側の長辺のほぼ全幅から突出する矩形状を呈している。図12に示すように、第2型2のパーティング面2aと凸部2bとの間には、凸部2bの一つの長辺に沿って断面がV字状の溝2cが形成されている。他方、第1型1のパーティング面1aと凹部1bとの間には、溝2cに入り込む断面がV字状の突条1cが形成されている。したがって、第1型1と第2型2とを型締めすると、突条1cの一方の側面と溝2cの一方の側面とが接触し、同時に、突条1cの他方の側面(押付け部の一例)と溝2cの他方の側面(押付け部の一例)とでインサートシート5の突出片5aが挟持される。
図13に示すように、第1型1と第2型2とを型締めすると、第1型1と第2型2との間に、第1ゲート10と第1キャビティ6とを連通させる連通流路30が形成される。第1ゲート10から射出された第1樹脂は、この連通流路30を経て第1キャビティ6に注入される。連通流路30は、第1型1のパーティング面1aと第2型2のパーティング面2aとの間に形成された直線状の第1連通部31と、突条1cの一方の側面と溝2cの一方の側面との間に形成された直線状の第2連通部32と、突条1cの他方の側面と溝2cの他方の側面との間に形成された第3連通部33を備えている。第3連通部33は、第2連通部32から一次成形品F1に向かうほど幅広になる末広がり状を呈する。第2連通部32は第1連通部31に対して、第3連通部33は第2連通部32に対して折れ曲がり状に接続されている。
二次成形機において、第4型4に対して、前工程で注入/成形された一次成形品F1を保持した第3型3を型締めすると、一次成形品F1のインサートシート5と第4型4との間に第2キャビティ8が形成される。図15と図16は、この第2キャビティ8に第2樹脂が注入され、裏側樹脂層9が成形された二次成形品F2が得られた状態を示す。
図16に示すように、第3型3と第4型4との間に、インサートシート5の突出片5aを収容可能な補助キャビティ20が形成され、第2樹脂を注入する第2ゲート11は、第2樹脂が必ず補助キャビティ20を介して第2キャビティ8に注入される位置に設けられている。
図15に示すように、第3型3のパーティング面3aと凹部3bとの間には、溝4cに入り込むV字状の突条3cが形成されている。第3型3と第4型4とを型締めすると、突条3cの一方の側面と溝4cの一方の側面とが接触し、同時に、突条3cの他方の側面(押付部の一例)及び溝4cの他方の側面(押付け部の一例)とでインサートシート5の突出片5aを挟持される。
図16に示すように、第3型3と第4型4とを型締めすると、第3型3と第4型4との間に、第2ゲート11と第2キャビティ20とを互いに連通させる連通流路40が形成される。第2ゲート11から射出される第2樹脂は、この連通流路40を経て第2キャビティ20に注入される。連通流路40は、第3型3のパーティング面3aと第4型4のパーティング面4aとの間に形成された直線状の第1連通部41と、突条3cの一方の側面と溝4cの一方の側面との間に形成された直線状の第2連通部42と、突条3cの他方の側面と溝4cの他方の側面との間に形成された第3連通部43とを備えている。第2連通部42は第1連通部43に対して、第3連通部43は第2連通部42に対して折れ曲がり状に接続されている。突条3cの他方の側面と溝4cの他方の側面との間には、インサートシート5の突出片5aの一部を収容可能な補助キャビティ20が形成されている。ここでは、インサートシート5に形成された突出片5aの一部が露出する第3連通部分43が補助キャビティ20を構成している。
このような連通流路40の構成の結果、第2樹脂を注入するとき、常に第2樹脂は補助キャビティ20の突出片5aと第4型4とで囲まれた空間を通ってインサートシート5に接触する。したがって、高温の第2樹脂がインサートシート5に接触して第2樹脂の熱がインサートシート5に伝熱するとしても、インサートシート5が受ける熱は面積の大きい突出片5aを介して第3型3へと効果的に放熱されるため、インサートシート5は余り高温にならず、インサートシート5の溶融が防止される。
しかも、一次成形機の第1型1と第2型2との型締めの際に、図11及び図12に示すように、突出片5aにおける第3連通部33に重複していない両側部分が、第1型1と第2型2との間で挟持固定されている。このため、第1ゲート10から第1キャビティ6に第1樹脂を注入してインサートシート5の上面に一次成形品F1を成形する際に、第1樹脂が第2型2との間の隙間に入り込むこともない。
また、二次成形機の第3型3と第4型4との型締めの際にも、図14及び図15に示すように、突出片5aにおける第3連通部43に重複していない両側部分が、第3型3と第4型4との間で挟持固定されている。このため、第2キャビティ8に第2ゲート11から射出された第2樹脂を注入してインサートシート5に下面に二次成形品F2を成形する際に、第2樹脂が第3型3との間の隙間に入り込むこともない。
二次成形機の第3型3と第4型4とを型開きして、多層成形品F2を第4型4から取り外す。尚、仕上げに、完成品である多層成形品Aの外部に突出する突出片5a、表側樹脂層7及び裏側樹脂層9の突出部分を切断する(図22を参照)。このとき、多層成形品Aにおける一方側の長辺から突出片5a、表側樹脂層7及び裏側樹脂層9の突出部分が突出しているので、一回の切断だけで済む等、工程の削減及び生産性の向上を図れる。また、第3型3と第4型4にて突出片5aを挟持するので、突出片5aを挟持する構成を別に設けることが無い等、構成の簡素化を図れる。
〔第4実施形態〕
上記実施形態では、2台の単色成形機を用いた多層成形品の製造方法を示したが、図20〜23に示すように、二色成形機を用いて多層成形品を製造するようにしてもよい。
この二色成形機による多層成形品の製造工程を以下に示す。なお、この二色成形機では、第1型1Aと第1型1Bとが同型の金型で構成されており、各金型が本願発明の第1型と第3型とを兼用する。
まず、図20に示すように、型開きした状態で成形済みのインサートシート5をロボット装置15によって第2型2に設置し、転写フィルム12を別のロボット装置によって第1型1に設置する。
次に、図21に示すように、回転盤9を固定盤8の側に移動させて、第1型1Aと第2型2とを型締めするととともに、第1型1Bと第4型4とを型締めする。これにより、第2型2に支持されたインサートシート5と第1型1Aに支持された転写フィルム12との間に第1キャビティ6が形成される。これと同時に第4型4と第1型1Bに支持された一次成形品F1との間に第2キャビティ8が形成される。
次に、図22に示すように、第1ゲート10から射出した第1樹脂が第1キャビティ6に注入され、インサートシート5の上面に表側樹脂層7が成形されて、一次成形品F1となる。第1ゲート10から射出された第1樹脂は、第1実施形態と同様に、インサートシート5の突出片5cに対してほぼ垂直方向から接触することとなるので、インサートシート5の浮きや「めくれ」を抑制し、インサートシート5と第2型2との隙間への第1樹脂の流入も防止することができる。
他方、第2ゲート11から射出した第2樹脂は第2キャビティ8に注入され、一次成形品F1と裏側樹脂層9とが一体化した二次成形品F2が成形される。第2ゲート11から射出された第2樹脂は、第1実施形態と同様に、インサートシート5の突出片5aに対してほぼ垂直方向から接触することとなるので、インサートシート5の浮きや「めくれ」を抑制し、インサートシート5と第4型4との隙間への第2樹脂の流入も防止することができる。
その後、図23に示すように、回転盤51を固定盤50から離間させて、第1型1A及び第1型1Bと第2型2及び第4型4とを型開きする。この型開きによって、固化した二次成形品F2を第4型4から取り外し、回転盤51を180度回転させる。こうして、次に、第1型1Aと第4型4とを対向させ、第4型4の第2ゲート11の射出による二次成形を行うとともに、第1型1Bと第2型2とを対向させ、第2型2の第1ゲート10の射出による一次成形を行う。そして、上記操作を繰り返すことにより、第1樹脂による表側樹脂層7とインサートシート5と第2樹脂による裏側樹脂層9とが順次積層された二次成形品F2を製造する。
〔別実施形態〕
(1)第3実施形態の変形例として、例えば、図18に示すように、一次成形機の第1型1のパーティング面1aと凹部1bとの間には、第1型1の側の傾斜部1dが形成され、第2型2のパーティング面2aと凸部2bとの間には、傾斜部1dに対向する第2型2の側の傾斜部2dが形成されるように構成する。そして、図19に示すように、二次成形機の第4型4のパーティング面4aと凸部4bとの間には、傾斜部3dに対向する第4型4の側の傾斜部4dが形成されるように構成してもよい。こうすると、第1型1と第2型2との間に、第1樹脂を第1キャビティ6に注入するための連通流路30を第1キャビティ6に向けて傾斜させることなく形成できる。また、第3型3と第4型4との間においても、第2樹脂を第2キャビティ8に注入するための連通流路40を第2キャビティ8に向けて傾斜させることなく形成できる。
(2)尚、上記実施形態において矩形状の突出片5aを示したが、突出片5aの形状は矩形状に限定されない。
(3)第2実施形態及び第4実施形態では、転写フィルム12を用いて表側樹脂層7の表面に加飾部12aを転写する構成を示したが、これに代えて無地の基体シートまたは基体シート上に模様等が付されたインサートシートをそのまま一体化する構成にしてもよいし、転写フィルム12及びインサートシートを用いない構成にしてもよい。尚、転写フィルム12はシート状であってよいし、インサートシートはフィルム状であってもよい。また、第1実施形態及び第3実施形態では、表側樹脂層7の表面に転写フィルム12及びインサートシートをいずれも用いない構成を示したが、これに代えて転写フィルム12及びインサートシートのいずれかを用いる構成にしてもよい。
(4)上記実施形態では、インサートシート5の裏側に第2樹脂による裏側樹脂層9を設ける構成を例示したが、裏側樹脂層9に、例えば携帯電話の筺体に嵌合する嵌合部を一体成形してもよい。さらに、裏側樹脂層9のインサートシート5とは反対の側を、転写フィルムやインサートシートを用いて加飾するようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、第1ゲート10を第2型2に設け、第2ゲート11を第4型4に設けたが、第1ゲート10を第1型1に設けてもよいし、第2ゲート11を第3型3に設けてもよい。また、第1型1,第3型3を固定型で構成し、第2型2,第4型4を可動型で構成してもよい。
本発明に係る多層成形品の製造方法及び多層成形品の製造に用いる金型セットは、各種の内装品、外装品の製造に広く用いることができる。
1 第1型
2 第2型
3 第3型
4 第4型
5 インサートシート
5A 加飾層
5B 基体シート
5a,5c 突出片
5b 縁部
6 第1キャビティ
7 表側樹脂層
8 第2キャビティ
9 裏側樹脂層
10 第1ゲート
11 第2ゲート
17 固定手段
19,20 補助キャビティ
A 多層成形品

Claims (5)

  1. 基体シート上に加飾層が形成されたインサートシートを挟んで配置された樹脂層を備えた多層成形品の製造方法であって、
    第2型に前記インサートシートを配置し、第1型と当該第2型とを型締めして、前記インサートシートと前記第1型との間に第1キャビティを形成する工程と、
    前記第1キャビティに第1樹脂を注入して表側樹脂層を成形するとともに、前記インサートシートの外周の一部に前記表側樹脂層の外周から突出する突出片を形成する工程と、
    第3型に前記表側樹脂層が接するように前記表側樹脂層及び前記インサートシートを保持させつつ、前記第3型と第4型と型締めして、前記インサートシートと前記第4型との間に第2キャビティを形成する工程と、
    前記突出片と前記第4型とで挟まれた空間を介して前記第2キャビティに第2樹脂を注入して裏側樹脂層を成形する工程と、を備えた多層成形品の製造方法。
  2. 前記裏側樹脂層を成形する工程では、前記突出片の縁部を固定した状態で前記第2樹脂が注入される請求項1に記載の多層成形品の製造方法。
  3. 基体シート上に加飾層が形成されたインサートシートを挟んで配置された樹脂層を備えた多層成形品の製造に用いる金型セットであって、
    第1型と、
    前記インサートシートを配置して前記第1型と型締めしたときに、前記インサートシートと前記第1型との間に第1キャビティを形成する第2型と、
    前記第1キャビティに表側樹脂層となる第1樹脂を注入する第1ゲートと、
    前記表側樹脂層が接するように前記表側樹脂層及び前記インサートシートを保持する第3型と、
    前記表側樹脂層及び前記インサートシートが保持された前記第3型と型締めしたときに、前記インサートシートとの間に第2キャビティを形成する第4型とを有し、
    前記第3型には、前記インサートシートの外周の一部に前記表側樹脂部の外周から突出するよう形成される突出片を支持する支持部を備えており、
    前記支持部と前記第4型との間に形成される流路を介して前記第2キャビティに裏側樹脂層となる第2樹脂を注入する第2ゲートを設けた金型セット。
  4. 前記突出片の縁部を固定する固定手段を備えている請求項3に記載の金型セット。
  5. 前記固定手段は、前記型締めに基づいて前記縁部を挟持固定するように前記第3型と前記第4型とに設けられた押付け部である請求項4に記載の金型セット。
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