JP5416473B2 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車などの塗装に使用される複層塗膜形成方法に関する。
1つの塗料を塗装した後、硬化させることなく、その上に別の塗料を塗装する、いわゆるウェット・オン・ウェット塗装が自動車塗装において行われている。最近では3層をウェット・オン・ウェットで塗装する3ウェット塗装も採用されている。そのような3ウェット塗装系では、水性塗料の上に別の水性塗料が塗装される場合がある。このように水性塗料同士でウェット・オン・ウェット塗装を行う場合には、これまで一般的であった水性塗料の塗装後に溶剤型塗料を塗装する場合と異なり、上層と下層との混層が起こりやすいという問題点を有している。
この混層防止に関しては、固形分率、粘度、吸水率等の塗膜の物性値を制御することが一般的に知られている(例えば、特許文献1〜4)。また、活性エネルギー線を照射することにより硬化が進行する塗料を下層に採用し、活性エネルギー線照射により混層を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献5)。
一方、低温でカルボキシル基との付加反応が進行するカルボジイミド化合物は、水性塗料の硬化剤として知られており(例えば、特許文献6)、カルボジイミド化合物をメラミン硬化剤と併用した水性塗料が開示されている(例えば、特許文献7)。しかし、この水性塗料の上層には、溶剤型クリヤー塗料が塗装されるものであり、カルボジイミド化合物は層間制御の目的で使用されているものではない。また、カルボジイミド化合物は、他の硬化剤に比べて反応性が高いため、これを含む水性塗料は夏場の高温条件のような加温状態での貯蔵安定性に欠けるという問題点を有している。
特開2009−028576号公報 特開2004−351369号公報 特開2004−358462号公報 特開2004−097917号公報 特開2004−290721号公報 特開2000−007642号公報 特開2004−351359号公報
本発明は、カルボジイミド化合物の反応性を制御して、加温状態での貯蔵安定性を向上した水性塗料を提供する。
即ち、本発明は、第1の水性塗料を基材上に塗装する第1塗装工程、第1の塗装工程で得られた塗膜を硬化せずに第2の水性塗料を塗装する第2塗装工程、第2工程の後、塗膜を焼付硬化する焼付工程をこの順で行う複層塗膜の形成方法において、
前記第1の水性塗料が
(a)水酸基およびカルボキシル基を有する水性バインダー成分、
(b)硬化剤、および
(c)下記化学式(1):
Figure 0005416473
(式中、nは1〜5を表し、 およびRは、一般式R−(−O−CH−CH−)−OH(式中、pは6〜20の整数を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、および、一般式:
Figure 0005416473
(式中、qは15〜60の整数を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表されるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルとの混合物の残基を表す。)
で表されるカルボジイミド組成物を層間制御剤として含有することを特徴とする、複層塗膜形成方法を提供する。
上記のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルと、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルとのとの混合モル比率は、60:40〜40:60であるのが好ましい。
上記の層間制御剤は、より具体的には、下記化学式(1):
Figure 0005416473
(式中、nは1〜5を表し、 は、一般式R−(−O−CH−CH−)−(式中、pは6〜20の整数を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるポリエチレングリコールモノアルキルエーテルからOHを除いた基を示し、Rは、一般式:
Figure 0005416473
(式中、qは15〜60の整数を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表されるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルからOHを除いた基を示す。)
で表されるカルボジイミド化合物を主成分とするものである。
本発明の複層塗膜形成方法では、第2の水性塗料の塗装工程と前記焼き付け工程との間に、クリヤー塗料を塗装する工程をさらに有するのが好ましい。
本発明では、層間制御剤として特定のカルボジイミド化合物(またはカルボジイミド組成物)を用いることにより、いわゆるウエット・オン・ウェットで塗装した場合でも、二層間の混層が有効に防止される。従来技術では、通常そのような二層間の混層が防止できた場合、水性塗料の貯蔵安定性、特に加温時の貯蔵安定性が低下することがあるが、本願発明の特定のカルボジイミド化合物(またはカルボジイミド組成物)を用いると、二層間の混層が防止されるばかりでなく、加温状態における貯蔵安定性も良好になることが解った。
何故そのような特性が発揮できるのかは、必ずしも限定的でないが、本発明のカルボジイミド化合物(またはカルボジイミド組成物)は、例えば特開2000−007642号公報(特許文献6)に記載のカルボジイミド化合物に比べて、プロピレンオキシドユニットの数がかなり大きい。このようにプロピレンオキシドユニットの数が多いと、カルボジイミド化合物の性質は若干疎水性側にシフトする。また、プロピレンオキシドユニットが多くなると、カルボジイミド化合物の反応性も若干小さくなる。本発明では、特定の構造を有するカルボジイミド化合物(またはカルボジイミド組成物)を用いることにより、二層間の混層が有効に防止されて、加温状態における貯蔵安定性も良好になる。
本発明の複層塗膜形成方法は、第1の水性塗料を基材上に塗装する第1塗装工程、第1の塗装工程で得られた塗膜を硬化せずに第2の水性塗料を塗装する第2塗装工程、得られた2層の塗膜を焼付硬化する焼付工程をこの順で行うものである。この方法は、いわゆるツーコート・ワンベークの塗装方法と考えられる。本発明では、また、第2塗装工程と焼付工程との間に、クリヤー塗料を塗装する第3塗装工程を設けても良い。その場合、クリヤー塗料もウェット・オン・ウェットで塗装され、形成された三層を一度に焼付硬化する、いわゆるスリーコート・ワンベーク塗装方法と考えられる。それぞれの工程に用いられる塗料をまず説明する。
第1の水性塗料
第1の水性塗料は、自動車塗装においては、一般的に水性中塗り塗料と呼ばれるものが相当し、下地を隠蔽し、上塗り塗装後の表面肌外観を確保(外観向上)し、耐衝撃性等の塗膜物性を付与するために塗布されるものである。本発明の方法で用いる第1水性塗料は、水性媒体中に分散または溶解された状態で、水酸基およびカルボキシル基含有アクリル樹脂エマルション、硬化剤および特定の層間制御剤を含有する。この第1水性塗料には更に顔料および自動車車体用水性中塗り塗料に通常含まれる添加剤を含有させてよい。
水酸基およびカルボキシル基含有アクリル樹脂エマルションは第1水性塗料(水性中塗り塗料)において塗膜形成性樹脂として機能し、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(i)、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマー(ii)、及び水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(iii)を含むモノマー混合物を乳化重合して得ることができる。尚、モノマー混合物の成分として以下に例示される化合物は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用してよい。尚、本明細書中において、「メタ(アクリル)」とは、アクリルまたはメタクリルの両方を表す。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(i)はアクリル樹脂エマルションの主骨格を構成するために使用する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(i)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマー(ii)は、得られるアクリル樹脂エマルションの保存安定性、機械的安定性、凍結に対する安定性等の諸安定性を向上させ、塗膜形成時におけるメラミン樹脂等の硬化剤との硬化反応を促進するために使用する。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エタクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸及びフマル酸等が挙げられる。
水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(iii)は、水酸基に基づく親水性をアクリル樹脂エマルションに付与し、これを塗料として用いた場合における作業性や凍結に対する安定性を増すと共に、メラミン樹脂やイソシアネート系硬化剤との硬化反応性を付与するために使用する。
水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(iii)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール、ε−カプロラクトン変性アクリルモノマー等が挙げられる。
ε−カプロラクトン変性アクリルモノマーの具体例としては、ダイセル化学工業(株)製の「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」及び「プラクセルFM−5」等が挙げられる。
モノマー混合物は、任意成分として、スチレン系モノマー、(メタ)アクリロニトリル及び(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含んでよい。スチレン系モノマーとしては、スチレンのほかにα−メチルスチレン等が挙げられる。
乳化重合は、上記モノマー混合物を水性液中で、ラジカル重合開始剤及び乳化剤の存在下で、攪拌下加熱することによって実施することができる。反応温度は例えば30〜100℃程度として、反応時間は例えば1〜10時間程度が好ましく、水と乳化剤を仕込んだ反応容器にモノマー混合物又はモノマープレ乳化液の一括添加又は暫時滴下によって反応温度の調節を行うとよい。
ラジカル重合開始剤としては、通常アクリル樹脂の乳化重合で使用される公知の開始剤が使用できる。具体的には、水溶性のフリーラジカル重合開始剤として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩が水溶液の形で使用される。また、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの酸化剤と、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸などの還元剤とが組み合わされたいわゆるレドックス系開始剤が水溶液の形で使用される。
乳化剤としては、炭素数が6以上の炭素原子を有する炭化水素基と、カルボン酸塩、スルホン酸塩又は硫酸塩部分エステルなどの親水性部分とを同一分子中に有するミセル化合物から選ばれるアニオン系又は非イオン系(ノニオン系)の乳化剤が用いられる。このうちアニオン系の乳化剤としては、アルキルフェノール類又は高級アルコール類の硫酸半エステルのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;アルキル又はアリルスルホナートのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエーテルの硫酸半エステルのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩などが挙げられる。また非イオン系の乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエーテルなどが挙げられる。またこれら一般汎用のアニオン系、ノニオン系乳化剤の他に、分子内にラジカル重合性の不飽和二重結合を有する、すなわちアクリル系、メタクリル系、プロペニル系、アリル系、アリルエーテル系、マレイン酸系などの基を有する各種アニオン系、ノニオン系反応性乳化剤なども適宜、単独又は2種以上の組み合わせで使用される。
また乳化重合の際、メルカプタン系化合物や低級アルコールなどの分子量調節のための助剤(連鎖移動剤)の併用は、乳化重合を進める観点から、また塗膜の円滑かつ均一な形成を促進し基材への接着性を向上させる観点から、好ましい場合も多く、適宜状況に応じて行われる。
また乳化重合としては、通常の一段連続モノマー均一滴下法、多段モノマーフィード法であるコア・シェル重合法や、重合中にフィードするモノマー組成を連続的に変化させるパワーフィード重合法など、いずれの重合法もとることができる。
このようにして本発明で用いられる水酸基およびカルボキシル基含有アクリル樹脂エマルションが調製される。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、一般的に5万〜100万程度であり、例えば10万〜80万程度である。なお、本明細書中の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィによるスチレン標準換算値である。
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−50℃〜20℃、好ましくは−40℃〜10℃、さらに好ましくは−30℃〜0℃の範囲とする。この範囲の樹脂のTgとすることにより、アクリル樹脂エマルションを含む水性中塗り塗料をウェットオンウェット方式において用いた場合に、下塗り塗料及び上塗り塗料との親和性や密着性が良好となり、ウェット状態の上側塗膜との界面でのなじみを抑制し反転を防ぐことができる。また、最終的に得られる塗膜の適度な柔軟性が得られ、耐チッピング性が高められる。これらの結果、非常に高外観を有する複層塗膜が形成できる。樹脂のTgが−50℃未満では塗膜の機械的強度が不足し、耐チッピング性が弱い。一方、樹脂のTgが20℃を超えると、塗膜が硬くて脆くなるため、耐衝撃性に欠け、耐チッピング性が弱くなる。前記各モノマー成分の種類や配合量を、樹脂のTgが上記範囲となるように選択する。
アクリル樹脂の酸価は2〜60mgKOH/g、好ましくは5〜50mgKOH/gの範囲とする。この範囲の樹脂の酸価とすることにより、樹脂エマルションやそれを用いた水性中塗り塗料の保存安定性、機械的安定性、凍結に対する安定性等の諸安定性が向上し、また、塗膜形成時におけるメラミン樹脂等の硬化剤との硬化反応が十分起こり、塗膜の諸強度、耐チッピング性、耐水性が向上する。樹脂の酸価が2mgKOH/g未満では、上記諸安定性が劣り、また、メラミン樹脂等の硬化剤との硬化反応の促進が十分行われず、塗膜の諸強度、耐チッピング性、耐水性が劣る。一方、樹脂の酸価が60mgKOH/gを超えると、樹脂の重合安定性が悪くなったり、上記諸安定性が逆に悪くなったり、得られた塗膜の耐水性が劣るものとなる。前記各モノマー成分の種類や配合量を、樹脂の酸価が上記範囲となるように選択する。前述したように、酸基含有エチレン性不飽和モノマー(b)の内でもカルボキシル基含有モノマーを用いることが重要であり、モノマー(b)の内、カルボキシル基含有モノマーが好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上含まれる。
アクリル樹脂の水酸基価は10〜120mgKOH/g、好ましくは20〜100mgKOH/gの範囲とする。この範囲の樹脂の水酸基価とすることにより、樹脂が適度な親水性を有し、樹脂エマルションを含む塗料組成物として用いた場合における作業性や凍結に対する安定性が増すと共に、メラミン樹脂やイソシアネート系硬化剤との硬化反応性も十分である。水酸基価が10mgKOH/g未満では、前記硬化剤との硬化反応が不十分で、塗膜の機械的性質が弱く、耐チッピング性に欠け、耐水性及び耐溶剤性にも劣る。一方、水酸基価が120mgKOH/gを超えると、逆に得られた塗膜の耐水性が低下したり、前記硬化剤との相溶性が悪く、塗膜にひずみが生じ硬化反応が不均一に起こり、その結果、塗膜の諸強度、特に耐チッピング性、耐溶剤性及び耐水性が劣る。前記各モノマー成分の種類や配合量を、樹脂の水酸基価が上記範囲となるように選択する。
得られたアクリル樹脂エマルションに対し、カルボン酸の一部又は全量を中和してアクリル樹脂エマルションの安定性を保つため、塩基性化合物が添加される。これら塩基性化合物としては、通常アンモニア、各種アミン類、アルカリ金属などが用いられ、本発明においても適宜使用される。
第1水性塗料には、必要に応じて、水酸基含有ポリエステル樹脂を配合しても良い。この水酸基含有ポリエステル樹脂は、塗膜のフロー性および物性の調整のために添加される。
水酸基含有ポリエステル樹脂
上記水酸基含有ポリエステル樹脂としては、多価アルコール成分と多塩基酸成分とを縮合してなるオイルフリーポリエステル樹脂、または多価アルコール成分および多塩基酸成分に加えてヒマシ油、脱水ヒマシ油、桐油、サフラワー油、大豆油、アマニ油、トール油、ヤシ油など、およびそれらの脂肪酸のうち1種、または2種以上の混合物である油成分を、上記酸成分およびアルコール成分に加えて、三者を反応させて得られる油変性ポリエステル樹脂などを挙げることができる。また、アクリル樹脂やビニル樹脂をグラフト化したポリエステル樹脂も使用できる。更に、多価アルコール成分と多塩基酸成分とを反応させてなるポリエステル樹脂に、ポリイソシアネート化合物を反応させて得るウレタン変性ポリエステル樹脂も使用することができる。
上記水酸基含有ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、800〜10000、好ましくは1000〜8000である。Mnが800未満であるとポリエステル樹脂を水分散させた時の安定性が低下し、また10000を超えると樹脂の粘度が上がるため、塗料にした場合の固形分濃度が下がり、塗装作業性が低下する。
上記水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基価は、35〜170、好ましくは50〜150である。水酸基価が35未満であると得られる塗膜の硬化性が低下し、また170を超えると塗膜の耐チッピング性が低下する。
上記水酸基含有ポリエステル樹脂は15〜100mgKOH/gの酸価を有することが好ましい。好ましくは20〜80である。酸価が15未満であるとポリエステル樹脂の水分散安定性が低下し、また100を超えると塗膜にした時の耐水性が低下する。
また、上記水酸基含有ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、−40〜50℃であることが好ましい。上記ガラス転移温度が−40℃未満である場合、得られる塗膜の硬度が低下する恐れがあり、50℃を超える場合、下地隠蔽性が低下する恐れがある。さらに好ましくは、−40〜10℃である。なお、ガラス転移温度は、示差走査型熱量計(DSC)等によって実測することができる。
上記多価アルコール成分の例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水素化ビスフェノールA等のジオール類、およびトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上のポリオール成分、並びに、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等のヒドロキシカルボン酸成分を挙げることができる。
上記多塩基酸成分の例としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸および酸無水物;ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、1,4−及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸および無水物;無水マレイン酸、フマル酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の脂肪族多価カルボン酸および無水物等の多塩基酸成分およびそれらの無水物等を挙げることができる。必要に応じて安息香酸やt−ブチル安息香酸などの一塩基酸を併用してもよい。
ポリエステル樹脂を調製する際には、反応成分として、更に、1価アルコール、カージュラE(商品名:シエル化学製)などのモノエポキサイド化合物、およびラクトン類(β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、クロトラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトンなど)を併用してもよい。特にラクトン類は、多価カルボン酸および多価アルコールのポリエステル鎖へ開環付加してそれ自身ポリエステル鎖を形成し、さらには水性中塗り塗料組成物の耐チッピング性を向上するのに役立つ。これらは、全反応成分の合計質量の3〜30%、好ましくは5〜20%、特に7〜15%で含有されてよい。
上記水酸基含有ポリエステル樹脂は、その酸価を調整し、カルボキシル基を塩基性物質で中和(例えば、50%以上)することで容易に水性化可能である。ここで用いられる塩基性物質としては、例えばアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどがあり、このうち、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが好適である。また、上記中和の際の中和率は特に限定されず、例えば、80〜120%である。
硬化剤
第1水性塗料に配合される硬化剤は、エマルションとして含まれるアクリル樹脂や水酸基含有ポリエステル樹脂と硬化反応を生じ、第1水性塗料(水性中塗り塗料)中に配合することができるものであれば特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられる。これらの1種又は2種以上が適宜組み合わされ使用される。塗膜性能上、メラミン樹脂を含有することが好ましい。
メラミン樹脂としては特に限定されず、硬化剤として通常用いられるものを使用することができる。但し、疎水性メラミン樹脂が好ましい。得られる複層塗膜の外観が向上するからである。
メラミン樹脂は、硬化剤として通常用いられるものを使用することができる。例えば、アルキルエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂が好ましく、メトキシ基及び/又はブトキシ基で置換されたメラミン樹脂がより好ましい。このようなメラミン樹脂としては、メトキシ基を単独で有するものとして、サイメル325、サイメル327、サイメル370、マイコート723;メトキシ基とブトキシ基との両方を有するものとして、サイメル202、サイメル204、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル254、サイメル266、サイメル267(何れも商品名、三井サイテック社製);ブトキシ基を単独で有するものとして、マイコート506(商品名、三井サイテック社製)、ユーバン20N60、ユーバン20SE(何れも商品名、三井化学社製)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、サイメル325、サイメル327、マイコート723がより好ましい。
イソシアネート樹脂は、ジイソシアネート化合物を適当なブロック剤でブロックしたものである。上記ジイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等の脂肪族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ジイソシアネート類;キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族−脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ジイソシアネート類;ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、水素化されたTDI(HTDI)、水素化されたXDI(H6XDI)、水素化されたMDI(H12MDI)等の水素添加ジイソシアネート類、及び以上のジイソシアネート類のアダクト体及びヌレート体等を挙げることができる。さらに、これらの1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
ジイソシアネート化合物をブロックするブロック剤としては、特に限定されず、例えば、メチルエチルケトオキシム、アセトキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類;m−クレゾール、キシレノール等のフェノール類;ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類;ε−カプロラクタム等のラクタム類;マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステル等のジケトン類;チオフェノール等のメルカプタン類;チオ尿酸等の尿素類;イミダゾール類;カルバミン酸類等を挙げることができる。なかでも、オキシム類、フェノール類、アルコール類、ラクタム類、ジケトン類が好ましい。
層間制御剤
本発明の層間制御剤は、上記の一般式(1)で表されるカルボジイミド組成物であり、4、4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
Figure 0005416473
から得られるイソシアネート末端ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドと、一般式R−(−O−CH−CH−)−OH(式中、pは6〜20の整数を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、および、一般式:
Figure 0005416473
(式中、qは15〜60の整数を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表されるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルとの混合物から合成されるものである。尚、前記式(1)中、nは1〜5の整数を表す。
本発明のカルボジイミド組成物は、更に具体的には、上記4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応により、イソシアネート末端ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドを合成し、更にこのイソシアネート末端ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドと、一般式R−(−O−CH−CH−)−OH(式中、pは6〜20の整数を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、および、一般式:
Figure 0005416473
(式中、qは15〜60の整数を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表されるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルとの混合物とを反応させることにより製造することができる。
上記イソシアネート末端ジシクロヘキルメタンカルボジイミドの製造は、基本的には従来のポリカルボジイミドの製造方法(米国特許第2,941,956号明細書や特公昭47−33279号公報、J. Org. Chem., 28, 2069〜2076(1963)、 Chemical Review 1981、 vol. 81、 No. 4,619〜4,621参照)によることができる。
上記ジシクロヘキルメタンジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応は、カルボジイミド化触媒の存在下に進行するが、この触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1ーフェニル−2−ホスホレン−1−オキシド或はこれらの3−ホスホレン異性体等の、ホスホレンオキシドを使用することができ、反応性の面からは3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好適である。
また、上記縮合反応における反応温度としては、80℃〜180℃の範囲内とすることが好ましく、反応温度がこの範囲を下回ると反応時間が極めて長くなり、反応温度が上記範囲を上回ると、副反応が起こって良質のカルボジイミドは得られなくなり、いずれの場合も好ましくない。
更に、縮合度は1〜5が好ましく、縮合度が5を超える場合は、水性ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドを水性樹脂へ添加するときの分散性が低下し、又、水性ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドを予め水溶液或いは水分散液とする場合、分散性が低いために良好な水溶液或いは水分散液が得られない。尚、反応を速やかに完結させるためには、上記4、4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの反応は窒素等の不活性ガスの気流下で行うことが好ましい。
一般式R−(−O−CH−CH−)−OH(式中、pは6〜20の整数を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるポリエチレングリコールモノアルキルエーテルは、具体的にはポリ(エチレンオキサイド)モノメチルエーテル、ポリ(エチレンオキサイド)モノエチルエーテル、ポリ(エチレンオキサイド)モノプロピルエーテル等を挙げることができ、特にポリ(エチレンオキサイド)モノメチルエーテルが好適である。
一般式:
Figure 0005416473
(式中、qは15〜60の整数を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表されるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルは、具体的にはポリ(プロピレンオキサイド)モノメチルエーテル、ポリ(プロピレンオキサイド)モノエチルエーテル、ポリ(プロピレンオキサイド)モノフェニルエーテル等を挙げることができ、特にポリ(プロピレンオキサイド)モノメチルエーテルが好適である。
本発明において、前記ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルと、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルとの混合モル比率が、60:40〜40:60の割合で混合して使用することが好ましく、50:50の割合で使用するのがより好ましい。上記範囲外の場合、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルの割合が少なくなる(ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルの割合が多くなる)と、親水性が低下して、水に分散しないか、分散したとして貯蔵安定性が十分でないおそれがある。一方、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルの割合が多くなる(ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルの割合少なくなる)と、親水性が増加して、水と親和しやすくなり、カルボジイミド基が失活してしまうおそれがある。
上記イソシアネート末端ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドと、上記ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルと、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルとの混合物との付加反応には、一般的に触媒が使用される。
上記反応の反応温度としては、60℃〜160℃の範囲内、好ましくは100℃〜150℃の範囲内であり、反応温度がこの範囲を下回ると反応時間が極めて長くなり、逆に反応温度が上記範囲を上回ると、副反応が起こって良質のカルボジイミド組成物が得られなくなり、いずれの場合も好ましくない。
本発明の水性ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドは、反応系から通常の方法に従って単離することができ、その構造が一般式(1)で表されることは、赤外線吸収(IR)スペクトル及び核磁気共鳴吸収(NMR)スペクトルによって支持される。
本発明で用いる層間制御剤は、別の記載方法をすれば、下記化学式(1):
Figure 0005416473
(式中、nは1〜5を表し、 は、一般式R−(−O−CH−CH−)−(式中、pは6〜20の整数を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるポリエチレングリコールモノアルキルエーテルからOHを除いた基を示し、Rは、一般式:
Figure 0005416473
(式中、qは15〜60の整数を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表されるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルからOHを除いた基を示す。)
で表されるカルボジイミド化合物を主成分とするということができる。
上記式中において、pが6未満の場合は、親水性を付与できず、水分散ができなくなる。また、pが20を超えると、分子量の増加にみあった効果が得られない。また、式中のqが15未満の場合は、疎水性を付与できず、水分散後の安定性、特に貯蔵安定性が悪くなる。qが60を超えると、原料のポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルの反応性が弱くなって、イソシアネート基との付加反応が充分に進行しないおそれがある。
その他の成分
本発明で用いる第1水性塗料(水性中塗り塗料)は、さらに以下の成分を含むことができる。例えば、追加の樹脂成分、顔料分散ペースト、増粘剤、その他の添加剤成分等である。
上記追加の樹脂成分としては特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂エマルション、アクリル樹脂、カーボネート樹脂及びエポキシ樹脂等を挙げることができる。
顔料分散ペーストは、顔料と顔料分散剤とを少量の水性媒体に予め分散して得られる。顔料分散剤の固形分中には、揮発性の塩基性物質が全く含まれていないか、又は3質量%以下の割合で含まれている。本発明で用いる水性中塗り塗料においては、このような顔料分散剤を用いることによって、水性中塗り塗料から形成される塗膜中の揮発性塩基性物質の量が少なくなり、得られる複層塗膜の黄変を抑えることができる。従って、顔料分散剤の固形分中に揮発性の塩基性物質が3質量%を超えて含まれていると、得られる複層塗膜が黄変し、仕上がり外観が悪くなる傾向にあるため好ましくない。
揮発性の塩基性物質とは、沸点が300℃以下の塩基性物質を意味するものであり、無機及び有機の窒素含有塩基性物質を挙げることができる。無機の塩基性物質としては、例えば、アンモニア等が挙げられる。有機の塩基性物質としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジメチルドデシルアミン等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基含有1〜3級アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状ヒドロキシアルキル基含有1〜3級アミン;ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基及び炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のヒドロキシアルキル基を含有する1〜3級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の炭素数1〜20の置換又は非置換鎖状ポリアミン;モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の炭素数1〜20の置換又は非置換環状モノアミン;ピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N,N−ジメチルピペラジン等の炭素数1〜20の置換又は非置換環状ポリアミン等のアミン類を挙げることができる。
本発明で用いる第1水性塗料には、上記顔料分散剤以外の成分にも、揮発性の塩基性物質が含まれる場合がある。従って、上記顔料分散剤に含まれる揮発性の塩基性物重量は、より少なく抑える程、より好ましい。すなわち、揮発性の塩基性物質を実質的に含まない顔料分散剤を用いて分散することが好ましい。また、従来一般的に使用されているアミン中和型の顔料分散樹脂を使用しないことが更に好ましい。そして、複層塗膜形成時に、単位面積1mmあたりの揮発性の塩基性物質が7×10−6mmol以下になるように顔料分散剤を用いることが好ましい。
顔料分散剤は、顔料親和部分及び親水性部分を含む構造を有する樹脂である。顔料親和部分及び親水性部分としては、例えば、ノニオン性、カチオン性及びアニオン性の官能基を挙げることができる。顔料分散剤は、1分子中に上記官能基を2種類以上有していてもよい。
ノニオン性官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、アミド基、ポリオキシアルキレン基等が挙げられる。カチオン性官能基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基等が挙げられる。また、アニオン性官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。このような顔料分散剤は、当業者にとってよく知られた方法によって製造することができる。
顔料分散剤としては、その固形分中に揮発性の塩基性物質を含まないか、又は3質量%以下の含有量であるものであれば特に限定されないが、少量の顔料分散剤によって効率的に顔料を分散することができるものが好ましい。例えば、市販されているもの(以下いずれも商品名)を使用することもでき、具体的には、ビックケミー社製のアニオン・ノニオン系分散剤であるDisperbyk 190、Disperbyk 181、Disperbyk 182(高分子共重合物)、Disperbyk 184(高分子共重合物)、EFKA社製のアニオン・ノニオン系分散剤であるEFKAPOLYMER4550、アビシア社製のノニオン系分散剤であるソルスパース27000、アニオン系分散剤であるソルスパース41000、ソルスパース53095等を挙げることができる。
顔料分散剤の数平均分子量は、下限1000、上限10万であることが好ましい。1000未満であると、分散安定性が充分ではない場合があり、10万を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。より好ましくは、下限2000、上限5万であり、更に好ましくは、下限4000、上限5万である。
前記顔料分散ペーストは、顔料分散剤と顔料とを公知の方法に従って混合分散することにより得られる。顔料分散ペースト製造時の顔料分散剤の割合は、顔料分散ペーストの固形分に対して、下限1質量%、上限20質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、顔料を安定に分散しにくく、20質量%を超えると、塗膜の物性に劣る場合がある。好ましくは、下限5質量%、上限15質量%である。
顔料としては、通常の水性塗料に使用される顔料であれば特に限定されないが、耐候性を向上させ、かつ隠蔽性を確保する点から、着色顔料であることが好ましい。特に二酸化チタンは着色隠蔽性に優れ、しかも安価であることから、より好ましい。
二酸化チタン以外の顔料としては、例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、金属錯体顔料等の有機系着色顔料; 黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック等の無機系着色顔料等が挙げられる。これら顔料に、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の体質顔料を併用しても良い。
また顔料として、カーボンブラックと二酸化チタンとを主要顔料とした標準的なグレーの塗料を用いることもできる。他にも、上塗り塗料と明度又は色相等を合わせた塗料や各種の着色顔料を組み合わせた塗料を用いることもできる。
増粘剤としては特に限定されないが、例えば、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、市販されているものとしては、チローゼMH及びチローゼH(いずれもヘキスト社製、商品名)等のセルロース系のもの;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、市販されているもの(以下いずれも商品名)としては、プライマルASE−60、プライマルTT−615、プライマルRM−5(いずれもローム&ハース社製)、ユーカーポリフォーブ(ユニオンカーバイト社製)等のアルカリ増粘型のもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、市販されているもの(以下いずれも商品名)としては、アデカノールUH−420、アデカノールUH−462、アデカノールUH−472、UH−540、アデカノールUH−814N(旭電化工業社製)、プライマルRH−1020(ローム&ハース社製)、クラレポバール(クラレ社製)等の会合型のものを挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増粘剤を含有することにより、第1水性塗料の粘度を高くすることができ、第1水性塗料を塗装する際に、タレが発生することを抑制することができる。また、中塗り塗膜とベース塗膜との間での混層をより抑制することができる。その結果、増粘剤を含まない場合に比べて、塗装時の塗装作業性が向上し、得られる塗膜の仕上がり外観を優れたものとすることができる。
その他の添加剤としては、上記成分の他に通常添加される添加剤、例えば、紫外線吸収剤;酸化防止剤;消泡剤;表面調整剤;ピンホール防止剤等が挙げられる。これらの配合量は当業者の公知の範囲である。
本発明で使用する第1水性塗料は、上述のアクリル樹脂エマルション、硬化剤、及び顔料分散ペースト等を混合して調製される。
硬化剤は、硬化剤およびアクリル樹脂エマルションの固形分に対して下限2質量%、上限50質量%、好ましくは下限4質量%、上限40質量%、より好ましくは下限5質量%、上限30質量%となるように使用する。2質量%より少ないと、得られる塗膜の耐水性が低下する傾向がある。また、50質量%を超えると、得られる塗膜のピーリング性が低下する傾向がある。
追加の樹脂成分、顔料分散ペーストやその他の添加剤は、適量混合すれば良い。但し、追加の樹脂成分は、第1水性塗料用組成物中に含まれる全ての樹脂の固形分を基準として、50質量%以下の割合で配合することが好ましい。50質量%を越えて配合した場合は、塗料中の固形分濃度を高くすることが困難になるため、好ましくない。
顔料は、第1水性塗料中に含まれる全ての樹脂の固形分及び顔料の合計質量に対する顔料濃度(PWC;pigment weight content)が、10〜60質量%であることが好ましい。10質量%未満では、隠蔽性が低下するおそれがある。60質量%を超えると、硬化時の粘性増大を招き、フロー性が低下して塗膜外観が低下することがある。
層間制御剤の含有量は、上記第1水性塗料の樹脂固形分(第1水性塗料に含まれる全ての樹脂の固形分)100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると第2水性塗料がウェット・オン・ウェットで塗装されたときに、界面が乱れる。30質量部を超えると、外観及び得られる塗膜の諸性能が低下するおそれがある。
これら成分を加える順番は、エマルションに硬化剤を加える前でもよいし、後でも良い。第1水性塗料は、水性であれば形態は特に限定されず、例えば、水溶性、水分散型、水性エマルション等の形態であればよい。
第2水性塗料
本発明の複層塗膜形成方法に用いられる第2水性塗料は、一般に水性ベース塗料と呼ばれているもので、(a)架橋性モノマーを0.2〜20質量%含んだモノマー混合物をエマルション重合して得られるアクリル樹脂エマルションが固形分で10〜60質量%、(b)水溶性アクリル樹脂が固形分で5〜40質量%、および(c)メラミン樹脂が固形分で20〜40質量%、更に顔料を含有する。
成分(a)
成分(a)のアクリル樹脂エマルションは、架橋性モノマーとその他のα,β−エチレン性不飽和モノマーとのモノマー混合物であり、モノマー混合物の質量を100%とした時に架橋性モノマーを0.2〜20質量%含有する。従って、その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーは80〜99.8質量%含有することになる。
成分(a)のアクリル樹脂エマルションは、水性ベース塗料中に10〜60質量%、好ましくは15〜50質量%の量で配合する。10質量%未満では、高固形分化と良好なFF性が得られない。60質量%を超えると、塗装時の固形分が低くなる。
成分(a)のアクリル樹脂エマルションを形成するモノマー混合物は、架橋性モノマーを0.2〜20質量%、好ましくは0.5〜20質量%含有する。架橋性モノマーが0.2質量%未満の場合は、塗装時の固形分が低下して、タレが発生する。また、光輝性顔料の配向が乱れてFF性が低下する。架橋性モノマーが20質量%を超えると、樹脂がゲル化して、エマルションの合成が困難になる。
架橋性モノマーは、分子内に2つ以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のジビニル化合物が挙げられ、トリアリルシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等も挙げられる。架橋性モノマーは、上記のモノマーの組合せであってもよい。好ましい架橋性モノマーは、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびジビニルベンゼンである。これらの架橋性モノマーは、比較的取扱が容易であるからである。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とはアクリルとメタクリルとの両方を意味するものとする。
アクリル樹脂エマルション(a)は、必要に応じて、酸価または水酸基価を有するのが好ましい。アクリル樹脂の酸価または水酸基価はそれが合成されるモノマー混合物の酸価または水酸基価と実質上同じである。本発明で用いるモノマー混合物は酸価が好ましくは3〜50mgKOH/gであり、より好ましくは7〜40mgKOH/gである。酸価が3mgKOH/g未満では、作業性を向上させることができず、50mgKOH/gを上回ると、塗膜の耐水性が低下する。一方、上記水性ベース塗料が硬化性を有する必要がある場合には、モノマー混合物は水酸基価が10〜150mgKOH/gであり、好ましくは20〜100mgKOH/gである必要がある。水酸基価が10mgKOH/g未満では、充分な硬化性が得られず、150mgKOH/gを上回ると、塗膜の耐水性が低下する。また、上記モノマー混合物を共重合して得られるポリマーのガラス転移温度は、−20〜80℃の間であることが、得られる塗膜の機械的物性の点から好ましい。
上記モノマー混合物は、酸基または水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーをその中に含むことにより、上記酸価および水酸基価を有することができる。
上記酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α−ハイドロ−ω−((1−オキソ−2−プロペニル)オキシ)ポリ(オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル))、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3−ビニルサリチル酸、3−ビニルアセチルサリチル酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体である。
一方、水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタクリルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物である。
さらに、上記モノマー混合物はさらにその他のα,β−エチレン性不飽和モノマーを含んでいてもよい。上記その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニル等)、重合性アミド化合物(例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド、N−モノオクチル(メタ)アクリルアミド2,4−ジヒドロキシ−4’−ビニルベンゾフェノン、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等)、重合性芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレン及びビニルナフタレン等)、重合性ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、ジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン等)、重合性芳香族化合物、重合性ニトリル、α−オレフィン、ビニルエステル、及びジエンを挙げることができる。これらは目的により選択することができるが、親水性を容易に付与する場合には(メタ)アクリルアミドを用いることが好ましい。
本発明の水性ベース塗料に含まれるアクリル樹脂エマルションは、上記モノマー混合物を乳化重合して得られるものである。ここで行われる乳化重合は、通常よく知られている方法を用いて行うことができる。具体的には、水、または必要に応じてアルコールなどのような有機溶剤を含む水性媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、上記モノマー混合物および重合開始剤を滴下することにより行うことができる。乳化剤と水とを用いて予め乳化したモノマー混合物を同様に滴下してもよい。
好適に用いうる重合開始剤としては、アゾ系の油性化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など)、および水性化合物(例えば、アニオン系の4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジンおよびカチオン系の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン));並びにレドックス系の油性過酸化物(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびt−ブチルパーベンゾエートなど)、および水性過酸化物(例えば、過硫酸カリおよび過硫酸アンモニウムなど)が挙げられる。
乳化剤には、当業者に通常使用されているものを用いうるが、反応性乳化剤、例えば、アントックス(Antox)MS−60(日本乳化剤社製)、エレミノールJS−2(三洋化成工業社製)、アデカリアソープNE−20(旭電化社製)およびアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)などが特に好ましい。
また、分子量を調節するために、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタンおよびα−メチルスチレンダイマーなどのような連鎖移動剤を必要に応じて用いうる。
反応温度は開始剤により決定され、例えば、アゾ系開始剤では60〜90℃であり、レドックス系では30〜70℃で行うことが好ましい。一般に、反応時間は1〜8時間である。モノマー混合物の総量に対する開始剤の量は、一般に0.1〜5質量%であり、好ましくは0.2〜2質量%である。
上記乳化重合は多段階で行うことができ、例えば、二段階で行うことができる。すなわち、まず上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物のうちの一部(モノマー混合物1)を乳化重合し、ここに上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の残り(モノマー混合物2)をさらに加えて乳化重合を行うものである。
ここでクリヤー塗膜とのなじみ防止の点から、モノマー混合物1はアミド基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含有していることが好ましい。またこの時、モノマー混合物2は、アミド基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含有していないことがさらに好ましい。なお、モノマー混合物1および2を一緒にしたものが、上記モノマー混合物であるため、先に示した上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の要件は、モノマー混合物1および2を一緒にしたものが満たすことになる。
上記アクリル樹脂エマルションの粒子径は0.01〜1.0μmの範囲であることが好ましい。粒子径が0.01μm未満であると作業性の改善の効果が小さく、1.0μmを上回ると得られる塗膜の外観が悪化する恐れがある。この粒子径の調節は、例えば、モノマー組成や乳化重合条件を調整することにより可能である。
上記アクリル樹脂エマルションは、必要に応じて塩基で中和することにより、pH5〜10で用いることができる。これは、このpH領域における安定性が高いからである。この中和は、乳化重合の前または後に、ジメチルエタノールアミンやトリエチルアミンのような3級アミンを系に添加することにより行うことが好ましい。
成分(b)
本発明の第2水性塗料は、水溶性アクリル樹脂(b)を含有する。水溶性アクリル樹脂は、水性ベース塗料中に5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%の量で含有する。5質量%より少ないと、固形分が下がりすぎる傾向があり、40質量%を超えると、良好なFF性が出なくなる。
水溶性アクリル樹脂は、数平均分子量3000〜50000、好ましくは6000〜30000であることが好ましい。3000より小さいと作業性および硬化性が十分でなく、50000を越えると塗装時の不揮発分が低くなりすぎ、かえって作業性が悪くなる。
また、水溶性アクリル樹脂は10〜100mgKOH/g、更に20〜80mgKOH/gの酸価を有することが好ましく、上限を越えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると樹脂の水分散性が低下する。また、20〜180mgKOH/g、更に30〜160mgKOH/gの水酸基価を有することが好ましく、上限を越えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると塗膜の硬化性が低下する。
この水溶性アクリル樹脂は、先のモノマー混合物のところで述べた酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを必須成分とし、それ以外のα,β−エチレン性不飽和モノマーとともに溶液重合を行うことにより得ることができる。
なお、上記水溶性アクリル樹脂は、通常、塩基性化合物、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミンのような有機アミンで中和し、水に溶解させて用いるが、この中和は、水溶性アクリル樹脂そのものに対して行っても、後述する第2水性塗料の製造時に行ってもよい。
成分(c)
本発明の第2水性塗料は、メラミン樹脂(c)を硬化剤として含有する。メラミン樹脂は、水溶性であっても、非水溶性であってもよい。メラミン樹脂のなかでも水トレランスが3.0以上のものを用いることが、安定性上好ましい。ここで用いる水トレランスとは、親水性の度合を評価するためのものであり、その値が高いほど親水性が高いことを意味する。水トレランス値の測定方法は、25℃において、100mlビーカー内で、サンプル0.5gをアセトン10mlに混合して分散させ、ビュウレットを用いてイオン交換水を徐々に加え、混合物が白濁を生じるまでに要するイオン交換水の量(ml)を測定し、このイオン交換水の量(ml)を水トレランス値としたものである。
メラミン樹脂の含有量は第2水性塗料組成物中の樹脂固形分に対し、20〜40質量%であることが好ましい。20質量%未満では硬化性が低下し、40質量%を超えると塗料の安定性が低下するおそれがある。
その他の成分
本発明の第2水性塗料は、顔料を含む。顔料としては、光輝性顔料および着色顔料が挙げられる。光輝性顔料としては、形状は特に限定されず、また着色されていてもよいが、例えば、平均粒径(D50)が2〜50μmであり、かつ厚さが0.1〜5μmであるものが好ましい。また、平均粒径が10〜35μmの範囲のものが光輝感に優れ、さらに好適に用いられる。具体的には、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属または合金等の無着色あるいは着色された金属製光輝剤およびその混合物が挙げられる。この他に干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料などもこの中に含めるものとする。
一方、着色顔料としては、例えば有機系のアゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等が挙げられ、無機系では黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等が挙げられる。
本発明の第2水性塗料中の全顔料濃度(PWC)としては、0.1〜50質量%であることが好ましい。さらに好ましくは、0.5〜40質量%であり、特に好ましくは、1.0〜30質量%である。上限を越えると塗膜外観が低下する。また、光輝性顔料が含まれる場合、その顔料濃度(PWC)としては、一般的に18.0質量%以下であることが好ましい。上限を越えると塗膜外観が低下する。さらに好ましくは、0.01〜15.0質量%であり、特に好ましくは、0.01〜13.0質量%である。
また、上記第2水性塗料は、ポリエーテルポリオールを含むことができる。このポリエーテルポリオールを含むことで、これから得られる複合塗膜のフリップフロップ性をより高めることができるので、さらに塗膜外観を向上させることができる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、1分子中に少なくとも一級水酸基を1つ以上有しており、数平均分子量300〜3000、水酸基価が30〜700mgKOH/g、かつ先の水トレランスが2.0以上であるものを用いることが好ましい。上記条件を満たしていない場合には、耐水性の低下や目的とする外観の向上が得られないことがある。
このようなポリエーテルポリオールは、多価アルコール、多価フェノール、多価カルボン酸類などの活性水素含有化合物にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドが付加した化合物を用いることができる。具体的なものとしては、プライムポールPX−1000、サニックスSP−750(上記いずれも三洋化成工業社製)、PTMG−650(三菱化学社製)などの市販品を挙げることができる。上記ポリエーテルポリオールは、塗料樹脂固形分中、1〜40質量%含有されることが好ましく、3〜30質量%がさらに好ましい。
またさらに、本発明の第2水性塗料には、上塗り塗膜とのなじみ防止、塗装作業性を確保するために、その他の粘性制御剤を添加することができる。粘性制御剤としては、一般にチクソトロピー性を示すものを使用でき、例えば、架橋あるいは非架橋の樹脂粒子、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドの燐酸塩等のポリアマイド系のもの、酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系等のもの、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等の有機ベントナイト系のもの、ケイ酸アルミ、硫酸バリウム等の無機顔料、顔料の形状により粘性が発現する偏平顔料等を挙げることができる。
本発明に用いられる第2水性塗料中には、上記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤等を配合してもよい。これらの配合量は当業者の公知の範囲である。
上記第2水性塗料は、成分(c)のメラミン樹脂硬化剤の他に、他の硬化剤を含んでもよい。そのような硬化剤としては、塗料一般に用いられているものを使用することができる。このようなものとして、ブロックイソシアネート、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、金属イオン等が挙げられる。得られた塗膜の諸性能、コストの点からブロックイソシアネート樹脂が一般的に用いられる。
上記ブロックイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートに活性水素を有するブロック剤を付加させることによって得ることができるものであって、加熱によりブロック剤が解離してイソシアネート基が発生するものが挙げられる。
本発明の第2水性塗料には、更に必要に応じて、ポリエステル樹脂を配合してもよい。ポリエステル樹脂は酸成分およびアルコール成分を縮重合して得られる。上記酸成分としては特に限定されず、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、無水フタル酸等の多価カルボン酸化合物およびそれらの無水物を挙げることができる。さらに、酸成分として、ジメチロールプロピオン酸等の1分子中にカルボン酸基と水酸基とを有する化合物を用いることができる。また、上記アルコール成分としては特に限定されず、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール等の多価アルコール化合物を挙げることができる。上記ポリエステル樹脂は、好ましくは、樹脂固形分酸価20〜80mgKOH/g、および数平均分子量1000〜15000を有する。ポリエステル樹脂は、得られる塗膜の色ムラを抑制するために添加される。ポリエステル樹脂の塗料中の配合量は、5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%である。5質量%より少ないと、色ムラ抑制の効果が小さく、30質量%より多いと、フリップフロップ性が低下するおそれがある。
本発明に用いられる塗料の製造方法は、後述するものを含めて、特に限定されず、顔料等の配合物をニーダーまたはロール等を用いて混練、分散する等の当業者に周知の全ての方法を用い得る。
塗装方法
本発明の複層塗膜形成方法は、前述のように、第1水性塗料と第2水性塗料とをウェット・オン・ウェットで塗装した後、2層を同時に硬化する2コート・1ベーク塗装方法であるが、この方法は第2水性塗料の塗装後に更にクリヤー塗料をウェット・オン・ウェットで塗装してその後に3層を同時に硬化する3コート・1ベーク塗装方法にすることもできる。説明のために、3コート・1ベーク塗装方法を中心に説明するが、2コート・1ベーク塗装方法の場合は、最上層のクリヤー塗膜を形成しない方法と考えられる。
複層塗膜形成方法では、まず、電着塗膜が形成された被塗物を提供する。電着塗膜は被塗物に対して電着塗料を塗装し、焼き付け硬化して形成する。被塗物は、カチオン電着塗装可能な金属製品であれば特に制限されない。例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛及びこれらの金属を含む合金等を挙げることができる。
電着塗料は、特に限定されるものではなく公知のカチオン電着塗料やアニオン電着塗料を使用することができる。また、電着塗装及び焼き付けは、自動車車体を電着塗装するのに通常用いられる方法及び条件で行なえばよい。
次いで、電着塗膜の上に第1水性塗料(水性中塗り塗料)を塗布して第1水性塗膜を形成する。第1水性塗料は、例えば、通称「リアクトガン」と言われるエアー静電スプレー、通称「マイクロ・マイクロベル(μμベル)」、「マイクロベル(μベル)」、「メタリックベル(メタベル)」等と言われる回転霧化式の静電塗装機等を用い、スプレーして塗布することができる。
塗布量は、硬化塗膜の膜厚が10〜40μm、好ましくは15〜30μmになるように調節する。膜厚が10μm未満であると得られる塗膜の外観及び耐チッピング性が低下するおそれがあり、40μmを越えると塗装時のタレや焼付け硬化時のピンホール等の不具合が起こることがある。
この第1水性塗膜は、第2水性塗料(水性ベース塗料)を塗布する前に、加熱または送風することによって予備乾燥(プレヒート)させることが好ましい。その理由は、乾燥が不充分な場合、塗膜中に残存した水が複層塗膜を焼き付ける工程で突沸を起こし、ワキを発生しやすくなるからである。また第1塗膜上にベースを塗装した際にベースと混ざりやすくなり外観が低下する可能性があるからである。
ついで、第1塗膜を硬化させないで第1塗膜の上に第2水性塗料および必要に応じてクリヤー塗料を、ウェットオンウェットで順次塗布してベース塗膜および必要に応じてクリヤー塗膜を形成する。ここで、ウェットオンウェット塗布とは、複数の塗膜を硬化させることなく、予備乾燥(プレヒート)程度で塗り重ねることをいう。
第2水性塗料(水性ベース塗料)は、通常、塗膜の硬化後の膜厚が10〜30μmとなるように塗布量が調節される。硬化後の膜厚が10μm未満である場合、下地の隠蔽が不充分になったり、色ムラが発生するおそれがあり、また、30μmを超える場合、塗装時にタレや、加熱硬化時にピンホールが発生したりするおそれがある。

クリヤー塗料は、通常、塗膜の乾燥硬化後の膜厚が10〜70μmとなるように塗布量が調節される。硬化後の膜厚が10μm未満であると複層塗膜のつや感などの外観が低下し、70μmを越えると鮮映性が低下したり、塗装時にムラ、流れ等の不具合が起こったりする。
次いで、第1塗膜、第2塗膜および必要に応じて形成されたクリヤー塗膜を同時に焼き付け硬化させる。焼き付けは、通常110〜180℃、好ましくは120〜160℃の温度に加熱して行われる。これにより、高い架橋度の硬化塗膜を得ることができる。加熱温度が110℃未満であると、硬化が不充分になる傾向があり、180℃を超えると、得られる塗膜が固く脆くなるおそれがある。加熱する時間は、上記温度に応じて適宜設定することができるが、例えば、温度が120〜160℃である場合、10〜60分間である。
クリヤー塗料
本発明の方法で用いるクリヤー塗料は自動車車体用クリヤー塗料として通常使用される塗料組成物であればよい。例えば、媒体中に分散または溶解された状態で、塗膜形成性樹脂、硬化剤及びその他の添加剤を含むものを挙げることができる。塗膜形成性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらはアミノ樹脂及び/又はイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いると良い。透明性又は耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂及び/若しくはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組み合わせ、又は、カルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂及び/若しくはポリエステル樹脂等を用いることが好ましい。
クリヤー塗料の塗料形態としては、有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルション)、非水分散型、粉体型のいずれでもよく、また必要により、硬化触媒、表面調整剤等を含有させても良い。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
製造例1
2鎖型カルボジイミド組成物Aの製造
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート250部に、カルボジイミド化触媒である3−メチル−1―フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド2.5部を加え、170℃でNCO当量が300になるまで反応させた。反応生成物は1分子あたりカルボジイミド基を平均2.8個有していた。ここに繰り返し数が平均9のポリエチレングリコールモノメチルエーテル106部、繰り返し数が平均19のポリプロピレングリコールモノブチルエーテル295部およびジブチル錫ジラウレート0.18部を加え、IRでNCOの吸収がなくなるまで90℃で反応を行い、2鎖型カルボジイミド組成物Aを得た。
製造例2
2鎖型カルボジイミド組成物Bの製造
2鎖型カルボジイミド組成物Aの製造(製造例1)で、繰り返し数が平均19のポリプロピレングリコールモノブチルエーテル295部の代わりに、繰り返し数が平均47のポリプロピレングリコールモノブチルエーテル696部を用いて、製造例1と同様に処理して2鎖型カルボジイミド組成物Bを得た。
製造例3
2鎖型カルボジイミド組成物Cの製造
2鎖型カルボジイミド組成物Aの製造(製造例1)で、繰り返し数が平均9のポリエチレングリコールモノメチルエーテル106部を、繰り返し数が平均16のポリエチレングリコールモノメチルエーテル186部に変更して、製造例1と同様に処理して2鎖型カルボジイミド組成物Cを製造した。
比較製造例1
比較用カルボジイミド組成物1の製造
2鎖型カルボジイミド組成物Aの製造(製造例1)で、繰り返し数が平均19のポリプロピレングリコールモノブチルエーテル295部に代えて、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル61部(繰り返し数3)を用いて、製造例1と同様に処理して比較用カルボジイミド組成物1を得た。
比較製造例2
比較用カルボジイミド組成物2の製造(特開2001-009357号公報の[0081]製造例1親水化変性カルボジイミド化合物の製造を参照)
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート700部をカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)14部と共に180℃で16時間反応させ、イソシアネート末端4,4−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド(カルボジイミド基の含有量:4当量)を得た。次いで、得られたカルボジイミド226.8部を90℃加熱下でN−メチルピロリドン106.7部に溶解させた。次に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量:2000)200部を40℃で10分間撹拌後、ジブチル錫ジラウレート0.16部を加え、再度90℃まで昇温し、3時間反応させた。さらに、オキシエチレン単位を8個有するポリ(オキシエチレン)モノ−2−エチルヘキシルエーテル96.4部を加え100℃で5時間反応させて、カルボジイミド組成物2を得た。
比較製造例3
比較用カルボジイミド組成物3の製造
2鎖型カルボジイミド組成物Aの製造で、繰り返し数が平均4のポリエチレングリコールモノメチルエーテル106部を、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル51部を用いて、製造例1と同様に処理して比較用カルボジイミド組成物3を得た。
比較製造例4
比較用カルボジイミド組成物4の製造
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート3,930部を、カルボジイミド化触媒である3−メチル−1―フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド79部と共に、180℃で16時間反応させ、1分子にカルボジイミド基を4個有し、両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物を得た。ここに、オキシエチレン基の繰り返し単位が平均9個であるポリエチレングリコールモノメチルエーテル1,296部及びジブチル錫ジラウレート2部を加え、90℃で2時間加熱して、末端がイソシアネート基及び親水性基であるカルボジイミド化合物を得た。次に、グリセリンの3つの水酸基に、OR基に相当するプロピレンオキサイドを平均で16.7モルずつ付加した構造を有するGP−3000(三洋化成社製)3000部を加え、90℃で、6時間反応させた。反応物は、IRによってイソシアネート基が消失していることが確認された。ここに脱イオン水18,800部を加えて撹拌し、樹脂固形分30質量%のカルボジイミド組成物(水分散体)4を得た。
製造例4:水酸基含有アクリル樹脂エマルションの調製
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器及び窒素導入管などを備えた通常のアクリル系樹脂エマルション製造用の反応容器に、水445部及びニューコール293(日本乳化剤(株)製)5部を仕込み、攪拌しながら75℃に昇温した。メタクリル酸0.4部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル2.0部、スチレン8.6部、アクリル酸−n−ブチル9.4部、アクリル酸エチル4.2部からなるモノマー混合物24.6部、水240部及びニューコール293(日本乳化剤(株)製)30部の混合物をホモジナイザーを用いて乳化し、そのモノマープレ乳化液を上記反応容器中に3時間にわたって攪拌しながら滴下した。モノマープレ乳化液の滴下と併行して、重合開始剤としてAPS(過硫酸アンモニウム)1部を水50部に溶解した水溶液を、上記反応容器中に上記モノマープレ乳化液の滴下終了時まで均等に滴下した。モノマープレ乳化液の滴下終了後、さらに80℃で1時間反応を継続し、その後、冷却した。冷却後、ジメチルアミノエタノール2部を水20部に溶解した水溶液を投入し、不揮発分40.6質量%の水酸基含有アクリル樹脂エマルションを得た(EmA〜EmJ)。30%ジメチルアミノエタノール水溶液を用いてアクリル樹脂エマルションのpHを7.2に調整した。
製造例5:水酸基含有ポリエステル樹脂の調製
反応器にイソフタル酸25.6部、無水フタル酸22.8部、アジピン酸5.6部、トリメチロールプロパン19.3部、ネオペンチルグリコール26.7部、ε−カプロラクトン17.5部、ジブチルスズオキサイド0.1部を加え、混合撹拌しながら170℃まで昇温した。その後3時間かけ220℃まで昇温しつつ、酸価8となるまで縮合反応により生成する水を除去した。次いで、無水トリメリット酸7.9部を加え、150℃で1時間反応させ、酸価が40のポリエステル樹脂を得た。さらに、100℃まで冷却後ブチルセロソルブ11.2部を加え均一になるまで撹拌し、60℃まで冷却後、イオン交換水98.8部、ジメチルエタノールアミン5.9部を加え、固形分50質量%、固形分酸価40、水酸基価110、数平均分子量2870、ガラス転移温度(Tg)−3℃の水酸基含有ポリエステル樹脂を得た。上記水酸基含有ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、セイコーインスツル(SII)社製の示差走査熱量計(DSC220C)を用いて測定した[測定条件:試料量10mg、上昇速度10℃/分、測定温度−20〜100℃]。
製造例6:顔料分散ペーストの調製
市販分散剤「Disperbyk 190」(ビックケミー社製アニオン系・ノニオン分散剤、商品名)4.5部、消泡剤「BYK−011」(ビックケミー社製消泡剤)0.5部、イオン交換水22.9部、ルチル型二酸化チタン72.1部を予備混合した後、ペイントコンディショナー中でガラスビーズ媒体を加え、室温で粒度5μm以下となるまで混合分散し、顔料分散ペーストを得た
実施例1:複層塗膜の形成
製造例4で調製した水酸基含有アクリル樹脂エマルション24.6部、製造例5で調製した水酸基含有ポリエステル樹脂99.9部、硬化剤としてサイメル211(三井サイテック社製イミノ型メラミン樹脂、商品名)37.5部、製造例1で得られたカルボジイミド組成物A33.3部、および製造例6で調製した顔料分散ペースト139部を混合して、第1水性塗料(水性中塗り塗料)を得た。
次に、リン酸亜鉛処理したダル鋼板に、パワーニクス110(日本ペイント社製カチオン電着塗料、商品名)を、乾燥塗膜が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間の加熱硬化後冷却して、鋼板基板を準備した。
得られた基板に、上記第1水性塗料をエアースプレー塗装にて20μm塗装し、80℃で5分プレヒートを行った後、アクアレックスAR−2000シルバーメタリック(日本ペイント社製水性メタリックベース塗料、商品名)を第2水性塗料としてエアースプレー塗装にて10μm塗装し、80℃で3分プレヒートを行った。更に、その塗板にクリヤー塗料として、マックフロー O−1800W−2クリヤー(日本ペイント社製酸エポキシ硬化型クリヤー塗料、商品名)をエアースプレー塗装にて35μm塗装した後、140℃で30分間の加熱硬化を行い、3コート・1ベーク塗装の試験片を得た。
また、別の試験片として、第2水性塗料をエアースプレー塗装した後に、クリヤー塗料を塗装せずに140℃で30分加熱硬化を行い、2コート・1ベーク塗装の試験片を得た。
加熱硬化後に得られた複層塗膜の仕上がり外観を以下の評価基準に従って目視評価した。結果を以下の表1に示す。なお、上記第1水性塗料(水性中塗り塗料)、第2水性塗料(水性ベース塗料)およびクリヤー塗料は、下記条件で希釈し、塗装に用いた。
第1水性塗料
シンナー:イオン交換水
40秒/NO.4フォードカップ/20℃
塗料固形分は、54質量%であった。
第2水性塗料
シンナー:イオン交換水
45秒/NO.4フォードカップ/20℃
クリヤー塗料
シンナー:EEP(エトキシエチルプロピオネート)/S−150(エクソン社製芳香族系炭化水素溶剤、商品名)=1/1(質量比)の混合溶剤
30秒/NO.4フォードカップ/20℃
外観評価
塗膜の仕上がり外観(3コート・1ベーク塗膜)は、ウェーブスキャン(ビッグケミー−ガードナー社製)を用いて、800〜2400μmの中波長領域の測定値(W2値)および320〜800μmの低波長領域(W3値)の測定を行った。これらの値が低いほど外観は良好である。
色差(ΔE)
第1水性塗料を塗装して焼き付けを行って得られた塗膜の上に、2コート1ベークで得られた塗膜を基準とし、3コート1ベークにより得られた積層塗膜との色差(ΔE)をコニカミノルタ社製の分光測色計CM512m3を用いて測定した。
貯蔵安定性
第1水性塗料を製造直後と、40℃で1ヶ月貯蔵した後でそれぞれ複層塗膜を作成した際の外観変化を、○・・・特に変化なし、×・・・外観低下を確認におより判断。
実施例2
第1水性塗料に配合したカルボジイミド組成物Aを製造例2で製造されたカルボジイミド組成物Bに変更する以外は、実施例1と同様に処理して、2種類の試験片を得た。その試験片について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
実施例3
第1水性塗料に配合したカルボジイミド組成物Aを製造例3で製造されたカルボジイミド組成物Cに変更する以外は、実施例1と同様に処理して、2種類の試験片を得た。その試験片について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
比較例1
第1水性塗料に配合したカルボジイミド組成物Aを比較製造例1で製造された比較用カルボジイミド組成物1に変更する以外は、実施例1と同様に処理して、2種類の試験片を得た。その試験片について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
比較例2
第1水性塗料に配合したカルボジイミド組成物Aを比較製造例2で製造された比較用カルボジイミド組成物2に変更する以外は、実施例1と同様に処理して、2種類の試験片を得た。その試験片について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
比較例3
第1水性塗料に配合したカルボジイミド組成物Aを比較製造例3で製造された比較用カルボジイミド組成物3に変更する以外は、実施例1と同様に処理して、2種類の試験片を得た。その試験片について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
比較例4
第1水性塗料に配合したカルボジイミド組成物Aを比較製造例4で製造された比較用カルボジイミド組成物4に変更する以外は、実施例1と同様に処理して、2種類の試験片を得た。その試験片について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
比較例5
第1水性塗料に配合したカルボジイミド組成物Aを用いない以外は実施例1と同様に処理して、2種類の試験片を得た。その試験片について、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
Figure 0005416473
表中、PEOはポリエチレンオキシドの略で、ポリエチレンオキシドの数とはポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル中のポリエチレンオキシドの繰り返し単位数を意味し、PPOはポリプロピレンオキシドの略で、ポリプロピレンオキシドの数とはポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル中のポリプロピレンオキシドの繰り返し単位数を意味する。
実施例1〜3に見られるように、本発明範囲内であれば、カルボジイミド組成物が有効に働いて外観も優れ、貯蔵安定性も優れている。一方、比較例1はカルボジイミド組成物のポリプロピレンオキシドの数が3と少なく、親水性が高めになり、層間制御剤としては機能するものの、40℃で貯蔵した際にカルボジイミド基と水との接触が起こりやすく、塗料の貯蔵安定性が低下した。比較例2では、カルボジイミド化合物が鎖延長型であるので、水分散性に基づく貯蔵安定性は十分であるが、カルボジイミド基の数が多いため、貯蔵時にバインダーと反応して、塗料の安定性は高くなくなる。比較例3の場合、カルボジイミド組成物のポリエチレンオキシドの数が4と少なく、水性が弱くなって水分散性に劣り、塗料中に均一分散ができなくなって外観不良が生じる。比較例4では、カルボジイミド組成物が3鎖型になるので、水分散性に基づく貯蔵安定性は十分であるが、カルボジイミド基の数が多いため、貯蔵時にバインダーと反応して、塗料の安定性は高くなくなる。比較例5は、層間制御剤としてのカルボジイミド組成物を含まないもので、層間制御されないので、第1塗膜と第2塗膜の混ざり合いが生じ、外観が劣る。
本発明の複層塗膜形成方法は、自動車の仕上げ塗装に用いることができる。本発明の複層塗膜形成方法では、第1水性塗料(特に、水性中塗り塗料)と第2水性塗料(特に、水性ベース塗料)をウェット・オン・ウェットで塗装する際に、両方の層間で生じる混層が有効に防止されるだけでなく、水性中塗り塗料の貯蔵安定性が向上して、加温状態、特に40℃程度の温度で貯蔵した場合でも高い安定性が確保される。

Claims (4)

  1. 第1の水性塗料を基材上に塗装する第1塗装工程、第1の塗装工程で得られた塗膜を硬化せずに第2の水性塗料を塗装する第2塗装工程、第2の塗装工程の後、塗膜を焼付硬化する焼付工程をこの順で行う複層塗膜の形成方法において、
    前記第1の水性塗料が
    (a)水酸基およびカルボキシル基を有する水性バインダー成分、
    (b)硬化剤、および
    (c)下記化学式(1):
    Figure 0005416473
    (式中、nは1〜5を表し、 およびRは、一般式R−(−O−CH−CH−)−OH(式中、pは6〜20の整数を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、および、一般式:
    Figure 0005416473
    (式中、qは15〜60の整数を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表されるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルとの混合物の残基を表す。)
    で表されるカルボジイミド組成物を層間制御剤として含有することを特徴とする、複層塗膜形成方法。
  2. 前記ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルと、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルとの混合モル比率が、60:40〜40:60である請求項1記載の複層塗膜形成方法。
  3. 前記層間制御剤が、下記化学式(1):
    Figure 0005416473
    (式中、nは1〜5を表し、 は、一般式R−(−O−CH−CH−)−(式中、pは6〜20の整数を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるポリエチレングリコールモノアルキルエーテルからOHを除いた基を示し、Rは、一般式:
    Figure 0005416473
    (式中、qは15〜60の整数を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表されるポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルからOHを除いた基を示す。)
    で表されるカルボジイミド化合物を主成分とする請求項1記載の複層塗膜形成方法。
  4. 第2の水性塗料の塗装工程と前記焼き付け工程との間に、クリヤー塗料を塗装する工程をさらに有する請求項1または2記載の複層塗膜形成方法。
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