JP5402889B2 - 圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、流体を圧縮して吐出する圧縮機に関する。
従来、圧縮機では、ハウジング内に収容され、潤滑油が混合された流体を圧縮して吐出する圧縮機構、圧縮機構から吐出された流体のうち潤滑油を分離して貯える潤滑油溜り等を備え、潤滑油溜りの内部の潤滑油を、給油通路を介してハウジング内における潤滑対象部(例えば、軸受け部等)に供給するものが知られている。なお、圧縮機の潤滑油溜りには、圧縮機構から吐出された流体に混合された潤滑油が溜められるので、潤滑油溜りの内部が圧縮機の吐出圧力となっている。このため、潤滑油溜りの内部とハウジング内の低圧空間との差圧によって、ハウジング内における圧縮機の吐出圧力よりも低圧となる中低圧空間に存する潤滑対象部位に潤滑油の供給が可能となる。
ところが、このような構成では、圧縮機の運転を停止する際に、潤滑油溜りの内部とハウジング内の低圧空間との差圧によって、潤滑油が潤滑油溜りから急激に流出してしまうことがある。この場合、圧縮機の再起動時において、圧縮機の潤滑油溜りの潤滑油不足が生ずるといった虞がある。
そこで、例えば、特許文献1に記載の圧縮機では、潤滑油溜りから各摺動部位へ潤滑油を導く給油通路にバイパス穴(径方向貫通孔)を設け、当該バイパス穴を介してハウジング内の高圧流体を給油通路に流入可能に構成している。さらに、駆動軸の回転駆動力を利用して、圧縮機の作動中には給油通路のバイパス穴を閉鎖し、圧縮機の停止中には給油通路のバイパス穴を開放する錘体付きの蓋体を備えている。
このような構成によれば、圧縮機の運転を停止する際に、潤滑油溜りの内部の潤滑油ではなく、バイパス穴から高圧流体が給油通路に流入するので、潤滑油溜りの内部から潤滑油が急激に流出してしまうことを抑制可能となる。
特許42322349号公報
しかしながら、特許文献1に記載の圧縮機では、給油通路のバイパス孔を開閉する構成として錘体付きの蓋体といった新たな部材を用いる必要がある。このため、圧縮機の部品点数が増加し、圧縮機のコストが増大してしまうといった問題がある。
本発明は上記点に鑑みて、圧縮機の部品点数を増加させることなく、圧縮機の運転を停止する際に潤滑油溜りから潤滑油が流出してしまうことを抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ハウジング(30)と、ハウジング(30)に収容され、潤滑油が混合された流体を流体吸入部(114)から吸入し、圧縮して吐出する圧縮機構部(10)と、圧縮機構部(10)から吐出された流体から潤滑油を分離して貯える油分離部(40)と、を備え、圧縮機構部(10)は、ハウジング(30)に固定された固定部材(12)と、回転駆動力が伝達されることによって固定部材(12)に対して回転変位する可動部材(11)とを有し、可動部材(11)の回転変位に伴って、固定部材(12)と可動部材(11)とで密閉される圧縮室(15)の容積を変化させる圧縮機であって、固定部材(12)には、油分離部(40)に貯えられた潤滑油を、ハウジング(30)の内部における圧縮機構部(10)から吐出される流体の圧力よりも低圧となる中低圧空間に存する潤滑対象部位へと導く固定側導油通路(127)が設けられ、可動部材(11)には、その回転変位に伴って一回転当りに所定回数だけ、中低圧空間と固定側導油通路(127)とを連通させる可動側導油通路(115)が設けられ、固定側導油通路(127)は、可動部材(11)に対する回転駆動力の伝達が遮断され、圧縮室(15)にて昇圧された流体の圧力によって、可動部材(11)が逆回転した際に、可動側導油通路(115)と非連通となる位置に形成されていることを特徴とする。
このように、固定側導油通路(127)と可動側導油通路(115)とが可動部材(11)の回転変位に伴って、断続的に連通する構成とし、可動部材(11)に対する回転駆動力の伝達が遮断され、可動部材(11)が逆回転した際に、固定側導油通路(127)と可動側導油通路(115)とが連通しない構成とすれば、新たに部材を追加することなく、圧縮機構部(10)における流体の圧縮を停止した際に、油分離部(40)の潤滑油が中低圧空間へと流出することを抑制することができる。
従って、部品点数を増加させることなく、圧縮機の再起動時における油分離部(40)の内部の潤滑油不足を抑制することが可能となる。
ここで、本発明者らの検討によれば、可動部材(11)に対する回転駆動力の伝達が遮断された際には、圧縮室(15)に残存する昇圧された流体の圧力、および可動部材(11)に作用する慣性力によって、可動部材(11)が基準角度、すなわち、圧縮室(15)の内部に流体吸入部(114)からの流体の吸入を完了した際の回転角度に対して190°〜310°の範囲に進角した角度まで可動部材(11)が逆回転するといった傾向があることが分かっている。
そこで、請求項に記載の発明では、可動側導油通路(115)は、可動部材(11)の回転変位に伴って一回転当りに一回だけ、中低圧空間と固定側導油通路(127)とを連通するように構成し、前記固定側導油通路(127)は、可動部材(11)が回転変位して、圧縮室(15)の内部に流体吸入部(114)からの流体の吸入を完了した際の回転角度を基準角度としたときに、可動部材(11)が基準角度に対して−45°以上、かつ、180°以下の範囲に進角した角度で可動側導油通路(115)と連通するように構成されていることを特徴とする。
これによれば、可動部材(11)に対する回転駆動力の伝達が遮断され、可動部材(11)が逆回転した際に、圧縮室(15)の内部に流体の吸入を完了した際の基準角度から−45°以上、かつ、180°以下の範囲に進角しなければ、固定側導油通路(127)と可動側導油通路(115)とは連通せず、圧縮機構部(10)における流体の圧縮を停止した際に、油分離部(40)の潤滑油が中低圧空間へと流出することを抑制することができる。
また、請求項に記載の発明では、請求項1に記載の圧縮機において、可動部材(11)に対して回転駆動力を供給する電動機部(20)を備え、電動機部(20)は、可動部材(11)に対する回転駆動力の供給を遮断して、圧縮室(15)にて昇圧された流体の圧力によって、可動部材(11)が逆回転した後に、固定側導油通路(127)および可動側導油通路(115)が非連通となる位置に可動部材(11)を回転変位させることを特徴とする。
これによれば、可動部材(11)に対する回転駆動力の供給を遮断した後に、可動部材(11)が逆回転したとしても、可動部材(11)が固定側導油通路(127)および可動側導油通路(115)が連通しない位置で停止することとなる。
従って、圧縮機構部(10)における流体の圧縮を停止した際に、油分離部(40)の潤滑油が中低圧空間へと流出することをより確実に抑制することができる。
具体的には、請求項に記載の発明の如く、請求項に記載の圧縮機において、電動機部(20)を、U相、V相、W相の巻線コイルを有する三相モータで構成し、U相、V相、W相の巻線コイルのうち、一相だけに電圧を印加することで、固定側導油通路(127)および可動側導油通路(115)が非連通となる位置まで可動部材(11)を回転変位させる構成とすることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態に係る圧縮機の軸方向断面図である。 可動スクロールが固定スクロールに対して一回公転したときの可動側開口穴の軌跡を説明するための説明図である。 図1に対して潤滑油の流れを追加した圧縮機の軸方向断面図である。 第2実施形態に係る電動機部のロータおよびステータの模式図である。 ステータコイルにおける各相の電流の流れを説明する説明図である。 ステータコイルのU相だけに電圧を印加した際の可動スクロールの停止位置を説明する説明図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1〜図3により、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態の圧縮機1は、ヒートポンプ式給湯機に適用されている。このヒートポンプ式給湯機は、ヒートポンプサイクルによって給湯水を加熱するもので、圧縮機1は、ヒートポンプサイクルにおいて冷媒を圧縮して吐出する機能を果たす。
ヒートポンプサイクルは、圧縮機1の吐出冷媒と給湯水とを熱交換させて給湯水を加熱する水−冷媒熱交換器、水−冷媒熱交換器から流出した冷媒を減圧膨張させる減圧手段としての可変絞り機構、可変絞り機構にて減圧膨張された冷媒を外気と熱交換させて蒸発させる室外蒸発器、および、圧縮機1を環状に接続した蒸気圧縮式の冷凍サイクルである。
さらに、本実施形態のヒートポンプサイクルでは、冷媒として二酸化炭素を採用しており、圧縮機1から吐出された高圧冷媒が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。また、冷媒には、圧縮機1の内部の各摺動部位を潤滑する潤滑油(冷凍機油)が混合されており、この潤滑油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
もちろん、ヒートポンプサイクルでは、室外蒸発器と圧縮機1との間に、冷媒の気液を分離して余剰冷媒を蓄えるとともに、圧縮機1側へ気相冷媒を流出させる気液分離器を配置してもよい。さらに、ヒートポンプ式給湯機は、ヒートポンプサイクルの他に、水−冷媒熱交換器にて加熱された給湯水を貯湯する貯湯タンク、貯湯タンクと水−冷媒熱交換器との間で給湯水を循環させる給湯水循環回路等を有して構成されている。
次に、図1により、本実施形態の圧縮機1の詳細構成について説明する。図1は、圧縮機1の模式的な軸方向断面図である。なお、図1中の上下の各矢印は、圧縮機1をヒートポンプ給湯機へ搭載した状態における上下の各方向を示している。
圧縮機1は、流体である冷媒を吸入し、圧縮して吐出する圧縮機構部10、この圧縮機構部10を駆動する電動機部20、および、電動機部20から圧縮機構部10へ回転駆動力を伝達する駆動軸であるシャフト25等をハウジング30内に収容した電動式の圧縮機である。
さらに、この圧縮機1は、図1に示すように、シャフト25の回転軸が鉛直方向(上下方向)に延びており、圧縮機構部10と電動機部20とを鉛直方向に配置した、いわゆる縦置きタイプに構成されている。より具体的には、本実施形態では、圧縮機構部10が電動機部20の下方側に配置されている。
まず、ハウジング30は、鉛直方向に延びる筒状部材31、筒状部材31の上端部を塞ぐ上蓋部材32および筒状部材31の下端部を塞ぐ下蓋部材33を有し、これらを一体に接合して密閉容器構造としたものである。筒状部材31、上蓋部材32および下蓋部材33は、いずれも鉄で形成されており、これらは溶接にて接合されている。
さらに、ハウジング30の筒状部材31の側方には、ブラケット44を介して後述する油分離器40が接合されている。ハウジング30および油分離器40はいずれも鉛直方向に延びる縦長形状に形成されている。
次に、電動機部20は、U相、V相、W相の巻線コイルを有する三相ブラシレスDCモータ(三相モータ)である。電動機部20における固定子をなすステータ21は、磁性材からなるステータコア211およびステータコア211に巻き付けられたステータコイル(巻線コイル)212によって構成されている。より具体的には、ステータ21には、ステータコイル212のU相、V相、W相の各相に対応する巻線コイルがステータコア211に設けられた各スロットに巻き付けられている。
ステータ21は、ステータコイル212における各相の巻線コイルに、図示しないインバータ回路等を介して、電力を供給することによって、ロータ22を回転させる回転磁界を発生させる。なお、ステータコイル212への電力の供給は、ハウジング30の上端部に配置された給電端子23を介して行われる。この給電端子23は、ハウジング30の上蓋部材32の中央部に形成された貫通穴を塞ぐように固定された給電端子固定板24の表裏を貫通するように配置されている。
一方、電動機部20における回転子をなすロータ22は、永久磁石を有して構成されており、ステータ21の内周側に配置されている。このロータ22は回転軸方向に延びる円筒状に形成され、さらに、ロータ22の軸中心穴には、回転軸方向に延びる略円筒状のシャフト25が圧入により固定されている。従って、ステータコイル212に電力が供給されて回転磁界が発生すると、ロータ22およびシャフト25が一体に回転する。
シャフト25は、略円筒状に形成され、その内部には前述の潤滑油を流通させる主給油通路25a、この主給油通路25aからシャフト25と後述する第1軸受部29との摺動部位(潤滑対象部位)へ潤滑油を導く第1副給油通路25b、および、主給油通路25aからシャフト25と後述する第2軸受部27との摺動部位(潤滑対象部位)へ潤滑油を導く第2副給油通路25cが形成されている。
シャフト25の内部に形成された主給油通路25aは、シャフト25の軸方向に延びてシャフト25の下端面にて開口しており、シャフト25の上端面においては閉塞部材26で閉塞されている。そして、主給油通路25aにはシャフト25の軸方向一端側である下端側から、後述する可動側導油通路115から流出した潤滑油が流入する。
第1副給油通路25bおよび第2副給油通路25cは、シャフト25の径方向に延びて主給油通路25aとシャフト25の外表面とを連通させる連通穴として形成されている。さらに、第2副給油通路25cは、第1副給油通路25bよりも鉛直方向上方側に配置されている。
また、主給油通路25aの内部には、シャフト25の下端側から流入したオイルを、第1副給油通路25bよりも上方側に配置された第2副給油通路25cの入口近傍へ導くガイド部材としての、管状のパイプ部材50が配置されている。
このパイプ部材50は、シャフト25の軸方向に延びるとともに、その下端部が残余の部位よりも拡径された配管で形成され、拡径された下端部の外周面が主給油通路の内壁面に圧入固定されている。なお、パイプ部材50としては、断面円形状の円管状、断面多角形状、断面楕円形状等の管を採用することができる。
従って、パイプ部材50によって導かれたオイルの一部は、パイプ部材50の上端部に設けられたオイル出口穴501を介して、まず第2副給油通路25cへ供給され、その残りのオイルが主給油通路25aとパイプ部材50との間を流通して第1副給油通路25bへ供給される。
また、シャフト25は、ロータ22よりも軸方向長さが長く形成されており、軸方向一端側である下端側(圧縮機構部10側)は、ロータ22の最下端部よりも下方側に延び、軸方向他端側(圧縮機構部10の反対側)は、ロータ22の最上端部よりも上方側に延びている。そして、シャフト25のロータ22よりも下方側の部位には、軸方向と垂直な水平方向に突出する鍔部251が形成されている。
鍔部251には、ロータ22およびシャフト25の偏心回転を抑制するバランスウェイト254が配置されている。なお、ロータ22の鉛直方向両側にも同様の機能を発揮するバランスウェイト221、222が配置されている。さらに、シャフト25のロータ22よりも下方側の部位のうち、ロータ22と鍔部251との間の部位は、ミドルハウジング36に形成された第1軸受部29によって回転可能に支持されている。
つまり、第1軸受部29は、シャフト25の軸方向一端側である下端側を支持している。さらに、第1軸受部29は、シャフト25の軸方向から見たときに、円形状となる内周面でシャフト25の外周面を受ける、すべり軸受として構成されている。
ミドルハウジング36は、上方側から下方側に向かって階段状に外径および内径が拡大する円筒形状を有しており、その外径および内径が最も小さい上方側部位に第1軸受部29が形成されている。さらに、その外径および内径が最も大きい下方側部位の外周面がハウジング30の筒状部材31に当接した状態で固定されている。
一方、シャフト25のロータ22よりも上方側の部位は、第2軸受部27によって回転可能に支持されている。つまり、第2軸受部27は、シャフト25の軸方向他端側である上端側を支持している。さらに、第2軸受部27は、シャフト25の軸方向から見たときに、その内周形状がシャフト25の外周形状と相似形の円形に形成されたすべり軸受として構成されている。
また、第2軸受部27は、介在部材28を介してハウジング30の筒状部材31に固定されている。介在部材28は、水平方向に拡がる環状板の外周部を下方側に向かって屈曲させた形状に形成され、その外周部がハウジング30の筒状部材31に当接した状態で固定されている。また、第2軸受部27の上端部には水平方向に突出する鍔部271が形成されており、鍔部271が介在部材28上に固定されている。
より具体的には、第2軸受部27の鍔部271が、図示しないボルトによって介在部材28に締結固定されている。これにより、介在部材28に対する第2軸受部27の水平方向位置を調整可能にして、シャフト25の軸合わせ(芯出し)を容易に実現できるようにしている。
次に、圧縮機構部10は、それぞれ渦巻き状に形成された歯部を有する可動スクロール11および固定スクロール12からなるスクロール型の圧縮機構である。可動スクロール11は、前述のミドルハウジング36のうち内径が最も大きい下方側部位の内周側に配置され、固定スクロール12は、可動スクロール11の下方側に配置されている。
可動スクロール11および固定スクロール12は、それぞれ円板状の基板部111、121を有しており、双方の基板部111、121は、互いに鉛直方向に対向するように配置されている。固定スクロール12の基板部(固定側基板部)121の外周側は、ハウジング30の筒状部材31に固定されている。なお、本実施形態の固定スクロール12は、ハウジング30の内部に固定される固定部材を構成している。
可動スクロール11における基板部(可動側基板部)111の上面側の中心部には、シャフト25の下端部が挿入される円筒状のボス部113が形成されている。シャフト25の下端部は、シャフト25の回転中心に対して偏心した偏心部253になっている。従って、可動スクロール11には、シャフト25の偏心部253が挿入されている。
さらに、可動スクロール11およびミドルハウジング36の間には、可動スクロール11が偏心部253周りに自転することを防止する自転防止機構が設けられている。このため、シャフト25が回転すると、可動スクロール11は偏心部253周りに自転することなく、シャフト25の回転中心を公転中心として旋回しながら公転運動する。つまり、可動スクロール11は、シャフト25を介して電動機部20から回転駆動力が供給されると、シャフト25の回転中心を公転中心として旋回しながら公転運動する。なお、本実施形態の可動スクロール11は、ハウジング30に固定された固定スクロール12に対して回転変位する可動部材を構成している。
また、可動スクロール11には、基板部111から固定スクロール12側に向かって突出する渦巻き状の歯部(可動側歯部)112が形成されている。一方、固定スクロールには、基板部121から可動スクロール11側に向かって突出するとともに、可動スクロール11の歯部112に噛み合う渦巻き状の歯部(固定側歯部)122が形成されている。
そして、両スクロール11、12の各歯部112、122同士が噛み合って複数箇所で接触することによって、回転軸方向から見たときに三日月形状に形成される密閉された作動室(以下では、圧縮室とも称することがある。)15が複数個形成される。なお、図1では図示の明確化のため、複数個の作動室15のうち、1つの作動室だけに符号を付しており、他の作動室については符号を省略している。
作動室15は、可動スクロール11が公転運動することによって回転軸周方向に外周側から中心側へ容積を変化(減少)させながら移動する。さらに、作動室15には、冷媒供給通路37、114を通じて冷媒が供給されるようになっており、作動室15の容積が減少することによって作動室15内の冷媒が圧縮される。
作動室15に冷媒を供給する冷媒供給通路37、114としては、具体的に、ハウジング30の筒状部材31に形成された冷媒吸入口37、および、ミドルハウジング36の内部に形成された冷媒吸入通路114によって構成される。この冷媒吸入口37には、配管接続部材38が接続されている。なお、この冷媒吸入通路114は、両スクロール11、12の各歯部112、122の最外周側に形成される圧縮室15に連通する流体吸入部を構成している。
また、可動スクロール11側の歯部112および固定スクロール12側の歯部122の軸方向先端部には、作動室15の気密性を確保するためのチップシール16、17が装着されている。チップシール16、17は、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂(PEEK)などの樹脂材料にて、歯部112、122の渦巻き方向に沿って延びる角柱状に形成されている。
そして、可動スクロール11側のチップシール16は、可動スクロール11側の歯部112のうち、固定スクロール12側の基板部121に対向する先端面に形成されたチップシール溝に嵌め込み固定され、固定スクロール12側のチップシール17は、固定スクロール12側の歯部122のうち、可動スクロール11側の基板部111に対向する先端面に形成されたチップシール溝に嵌め込み固定されている。
また、固定スクロール12側の基板部121の中心部には、作動室15で圧縮された冷媒が吐出される吐出穴123が形成されている。さらに、吐出穴123の下方側には、吐出穴123と連通する吐出室124が形成されている。吐出室124は、固定スクロール12の基板部121の下面に形成された凹部125と、固定スクロール12の下面に固定された区画部材18とによって区画形成されている。
さらに、吐出室124には、作動室15への冷媒の逆流を防止する逆止弁をなすリード弁19が配置されている。また、吐出室124へ流入した冷媒は、固定スクロール12側の基板部121内に形成された冷媒吐出通路、および、ハウジング30の筒状部材31に形成された冷媒吐出口(いずれも図示せず)を介して、ハウジング30外部へ吐出される。冷媒吐出口には、冷媒配管を介して、油分離器40の冷媒流入口が接続されている。
油分離器40は、ハウジング30から吐出された圧縮冷媒から潤滑油を分離し、分離された潤滑油をハウジング30内に戻す油分離部としての機能を果たす。具体的には、油分離器40は、鉛直方向に延びる筒状部材41、筒状部材41の上端部を塞ぐ上蓋部材42および筒状部材41の下端部を塞ぐ下蓋部材43を有し、これらを一体に接合して密閉容器構造としたものである。なお、油分離器40は、圧縮機構部10から吐出された高圧冷媒から潤滑油を分離するものであるため、油分離器40の内部は、圧縮機構部10から吐出された高圧冷媒と同等の高圧圧力となる。
筒状部材41、上蓋部材42および下蓋部材43は、いずれも鉄で形成されており、これらは、溶接にて接合されている。さらに、油分離器40の筒状部材41は、鉄で形成されたブラケット44を介して、ハウジング30の筒状部材31に溶接にて接合されている。これにより、前述の如く、油分離器40がハウジング30の側方に固定されている。
上蓋部材42は、外筒部材421および内筒部材422によって構成された二重筒構造になっている。外筒部材421および内筒部材422は、鉛直方向に延びる円筒状の部材であり、内筒部材422は、外筒部材421の内部のうち上方側に挿入されている。
そして、外筒部材421の内周側と内筒部材422の外周側との間に形成される円筒状空間42aには、図示しない油分離器40の冷媒流入口から流入した冷媒が導入される。従って、油分離器40の冷媒流入口は、外筒部材421のうち円筒状空間42aの側方部位に形成されている。
また、円筒状空間42aの上端部は内筒部材422によって閉塞されている。具体的には、内筒部材422の上端部が残余の部位よりも拡径されていて、外筒部材421の上端開口部421aを閉塞している。さらに、内筒部材422の上端開口部45は、潤滑油が分離された冷媒を油分離器40の外部、すなわち圧縮機1の外部の水−冷媒熱交換器の入口側へ吐出する冷媒吐出口を構成している。
油分離器40のうち筒状部材41および下蓋部材43によって形成される下方側部位は、冷媒から分離された潤滑油を貯める貯油タンクとしての役割を果たす。油分離器40の下蓋部材43には、貯められた潤滑油を油分離器40外部に流出させる油流出口431が形成されている。
油流出口431には油配管46が接続されており、油配管46は、ハウジング30の筒状部材31に固定された配管接続部材34に接続されている。配管接続部材34は、ハウジング30の筒状部材31に形成された貫通穴を貫通し、固定スクロール12側の基板部121の側面に形成された挿入穴126に挿入されている。
また、固定スクロール12側の基板部121の内部には、挿入穴126に連通する固定側導油通路127が形成されている。この固定側導油通路127は、配管接続部材34および挿入穴126を介して流入した潤滑油を固定スクロール12側の基板部121の上面(可動スクロール11側の基板部111側の面)に開口する固定側開口穴127aへ導く。なお、固定側開口穴127aは、固定側導油通路127と圧縮室15とが連通しないように、固定スクロール12側の歯部122よりも外周側に開口するように形成されている。
さらに、可動スクロール11側の基板部111の内部には、固定側導油通路127の一方の通路と断続的に連通する可動側導油通路115が形成されている。より具体的には、可動側導油通路115の一端側は、可動スクロール11側の基板部111の下面(固定スクロール12側の基板部121の面)に、固定スクロール12側の基板部121の上面に形成された固定側開口穴127aと対向するように開口している。なお、可動側導油通路115における可動スクロール11側の基板部111の下面に形成された可動側開口穴115aは、可動側導油通路115と圧縮室15とが連通しないように、可動スクロール11側の歯部112よりも外周側に開口するように形成されている。
これにより、可動スクロール11の公転運動に伴って可動側導油通路115の可動側開口穴115aが固定側導油通路127の固定側開口穴127aと重なったりずれたりすることになるので、可動側導油通路115が固定側導油通路127と断続的に連通することになる。そして、可動側導油通路115の他端側は、可動スクロール11のボス部113の内側に開口している。
具体的には、本実施形態の圧縮機構部10には、固定スクロール12側の基板部121に1つの固定側導油通路127が形成されると共に、可動スクロール11側の基板部111に1つの可動側導油通路115が形成されている。このため、固定側導油通路127および可動側導油通路115は、可動スクロール11の公転回転の一回転当りに一回だけ連通するように構成されている。
なお、固定側導油通路127は、油分離器40の潤滑油を、ハウジング30の内部における圧縮機構部10から吐出された高圧冷媒よりも低圧となる中低圧空間に存する摺動部位(潤滑対象部位)に導くための通路として機能する。また、可動側導油通路115は、公転回転する際に一回転当りに一回だけ、固定側導油通路127とハウジング30の内部の中低圧空間とを連通させる通路として機能する。
ここで、本実施形態の圧縮機1は、油分離器40の内部が圧縮機構部10から吐出された高圧冷媒と同等の高圧圧力となる。一方、シャフト25と第1軸受部29との摺動部位およびシャフト25と第2軸受部27との摺動部位は、ハウジング30の内部の中低圧空間に存している。
このため、可動側導油通路115と固定側導油通路127が断続的に連通する際に、油分離器40の内部と中低圧空間との差圧によって、油分離器40から固定側導油通路127へ流入した潤滑油が、可動側導油通路115を介して、ボス部113とシャフト25の偏心部253との間の隙間に導入され、次いでシャフト25の下端部側からシャフト25の内部に形成された主給油通路25aへ流入する。
そして、主給油通路25aから第1副給油通路25bを介してシャフト25と第1軸受部29との摺動部位、および、第2副給油通路25cを介してシャフト25と第2軸受部27との摺動部位へと潤滑油が流れる。
なお、第1副給油通路25bを介して第1摺動部位に供給された潤滑油は、第1摺動部位を潤滑した後、重力によってハウジング30内を下方側に流れ、ハウジング30の最下部に形成された貯油室35へ戻る。また、第2摺動部位に供給された潤滑油は、第2摺動部位を潤滑した後、重力によってハウジング30内を下方側に流れて貯油室35へ戻る。
貯油室35は、固定スクロール12の下方側に配置された区画部材18よりも下方側に形成された潤滑油を貯める空間である。区画部材18には、鉛直方向に貫通する貫通穴181が形成されている。この貫通穴181は、固定スクロール12側の基板部121の内部に形成された通路を介して、上述した冷媒吸入通路114と同様に、両スクロール11、12の歯部112、122の最外周側に形成される圧縮室15に連通している。
従って、圧縮室15へ流入する潤滑油の流量は、固定スクロール12側の基板部121の内部に形成された絞り通路の通路断面積(圧力損失)によって、調整することができる。また、貫通穴181には、貯油室35に貯留された潤滑油を吸い上げるパイプ182が下方側から挿入されている。
ところで、圧縮機1の運転を停止する場合に、可動スクロール11に対する電動機部20からの回転駆動力の供給が遮断されると、圧縮室15内の昇圧された高圧冷媒と、吸入冷媒通路内の低圧冷媒との差圧、および可動スクロール11は、高圧冷媒と低圧冷媒の差圧によって、可動スクロール11が逆回転する。本発明者らの実験・検討によると、圧縮機1の運転を停止した後、可動スクロール11が基準角度(圧縮室15の内部に冷媒供給通路114からの冷媒の吸入を完了した際の回転角度)に対して190°〜310°の範囲に進角した角度となったところで、圧縮室15内の冷媒と冷媒吸入通路114内の冷媒との圧力差が縮小して均圧し、可動スクロール11が停止する傾向があることが分かった。なお、逆回転時に可動スクロール11に慣性力が作用するため、可動スクロール11における圧縮室15の内部に冷媒供給通路114からの冷媒の吸入を完了した際の回転角度よりも進角した位置で停止する。
このとき、固定側導油通路127と可動側導油通路115とが連通していると、油分離器40の内部の高圧空間と、ハウジング30の内部の中低圧空間との差圧によって、油分離器40の潤滑油が、固定側導油通路127から可動側導油通路115へと急激に流出してしまう。この場合、油分離器40の内部の潤滑油が、急激に減少してしまい、圧縮機1の再起動時に、油分離器40が潤滑油不足となり、各摺動部位への給油遅れが生じてしまう。
そこで、本実施形態では、固定側導油通路127を、可動スクロール11に対する回転駆動力の伝達が遮断され、可動スクロール11が逆回転して停止した際に、可動側導油通路115と非連通となる位置に形成している。換言すれば、可動スクロール11に対する回転駆動力の伝達が遮断され、可動スクロール部材11が逆回転した際に、固定側導油通路127および可動側導油通路115は、非連通となるように構成されている。すなわち、可動スクロール11が逆回転して停止する位置付近で、可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通しない構成としている。
具体的には、本実施形態の固定側導油通路127は、圧縮室15内への冷媒の吸入が完了する吸入完了位置での可動スクロール11の回転角度を基準角度(θ=0°)としたときに、可動スクロール11が当該基準角度から−45°以上、かつ、180°以下の範囲に進角した回転角度で、可動側導油通路115に連通するように構成されている。このため、固定側導油通路127と可動側導油通路115とが連通する角度は、基準角度から−45°以上、かつ、180°以下の範囲に進角した回転角度となる。なお、吸入完了位置は、圧縮室15における圧縮開始位置でもある。
ここで、一例として、可動スクロール11の回転角度が基準角度から180°進角した角度となる位置で、固定側導油通路127と可動側導油通路115とが連通する構成を図2に基づいて説明する。図2は、可動スクロール11が固定スクロール12に対して一回公転したときの可動側開口穴115aの軌跡を説明するための説明図である。図2(a)は、圧縮室15内に冷媒の吸入が完了した吸入完了位置での可動側開口穴115aの位置(基準角度:θ=0°)を示し、図2(a)の状態から可動スクロール11を90°、180°、270°進角させた際の可動側開口穴115aの位置を図2(b)、図2(c)、図2(d)に示す。なお、図2では、固定スクロール12側の構成を点線で示し、可動スクロール11の公転時における可動側開口穴115aの軌跡を一点鎖線で示している。
まず、図2(a)に示すように、冷媒の吸入完了時には、可動側導油通路115の可動側開口穴115aは、一転鎖線で示す軌跡上で最も固定側導油通路127の固定側開口穴127aから離れており、固定側導油通路127と可動側導油通路115との連通が遮断され、非連通状態となる。
この図2(a)の状態から可動スクロール11が90°進角した状態(図2(b)参照)を経て、図2(c)の状態(基準角度から180°進角した状態)となるまで可動スクロール11が進角すると、固定側開口穴127aと可動側開口穴115aとが重合して、固定側導油通路127と可動側導油通路115とが連通する。
そして、図2(c)の状態からさらに進角すると、固定側導油通路127と可動側導油通路115の連通が再び遮断され、可動スクロール11が図2(d)に示す状態を経て、図2(a)の状態(吸入完了位置)へと戻る。
また、圧縮機1の運転停止時に、例えば、図2(d)の状態である場合には、図2(c)の状態→図2(b)の状態→図2(a)の状態へと可動スクロール11が逆回転し、可動スクロール11の回転角度が基準角度に対して310°から190°の範囲にて停止する。
なお、図2では、一例として可動スクロール11の回転角度が基準角度から180°進角した角度で固定側導油通路127と可動側導油通路115とが連通する構成としているが、基準角度から−45°以上、かつ、180°以下の範囲に進角した角度で固定側導油通路127と可動側導油通路115とが連通する構成としてもよい。
次に、上記構成における本実施形態の圧縮機1の作動を説明する。電動機部20のステータコイル212に電力が供給されてロータ22およびシャフト25が回転すると、シャフト25を介して可動スクロール11に回転駆動力が供給され、可動スクロール11がシャフト25に対して公転運動(旋回運動)する。
これにより、可動スクロール11側の歯部112と固定スクロール12側の歯部122との間に形成された三日月状の作動室15のうち、最外周に位置付けられる作動室15に冷媒および潤滑油が吸入される。具体的には、室外蒸発器から流出した冷媒が冷媒供給通路37、114を介して作動室15に供給され、貯油室35内の潤滑油がパイプ182を介して作動室15に供給される。
作動室15に供給された冷媒は、作動室15の容積の減少に伴って圧縮される。この際、作動室15に吸入された潤滑油によって、可動スクロール11および固定スクロール12の摺動部位を潤滑する。作動室15にて圧縮された冷媒は、潤滑油とともに固定スクロール12の吐出穴123、吐出室124、ハウジング30の冷媒吐出口を介して、ハウジング30の外部に吐出され、油分離器40の冷媒流入口に流入する。
油分離器40の冷媒流入口に流入した冷媒は、図3の太矢印に示すように、油分離器40内の円筒状空間42aに導入される。なお、図3は、図1の圧縮機1の軸方向断面図に対して、潤滑油の流れを太矢印で追加したものである。図3では、図示の明確化のために一部の構成要素の符号を省略している。
そして、円筒状空間42aにおいて冷媒に旋回流れを生じさせ、冷媒の旋回流れによって生じる遠心力の作用によって、冷媒から潤滑油が分離される。潤滑油が分離された冷媒は、油分離器40の冷媒吐出口(上端開口部45)から、圧縮機1の吐出冷媒として水−冷媒熱交換器の冷媒入口側へ吐出される。
また、冷媒から分離された潤滑油は、重力によって油分離器40の内部を流下して油分離器40内の下部に貯められる。油分離器40の内部に貯められた潤滑油は、油流出口431、油配管46、挿入穴126、固定側導油通路127、および可動側導油通路115を介して、断続的に、シャフト25の下端部側からシャフト25の内部に形成された主給油通路25aへ流入する。
シャフト25の主給油通路25aへ流入した潤滑油は、パイプ部材50によって、第2副給油通路25cの入口付近へ導かれて、その一部が第2副給油通路25cへ流入する。第2副給油通路25cへ流入した潤滑油は、シャフト25と第2軸受部27との摺動部位へ供給され、この摺動部位を潤滑した後、重力の作用によってハウジング30内を下方側に流れて再び貯油室35へ戻る。
パイプ部材50から流出した潤滑油のうち、第2副給油通路25cへ流入しなかった残りの潤滑油は、重力の作用によって主給油通路25aとパイプ部材50との間を第1副給油通路25b側へ向かって流れ、第1副給油通路25bへ流入する。第1副給油通路25bへ流入した潤滑油は、シャフト25と第1軸受部29との摺動部位へ供給されて、この摺動部位を潤滑した後、ハウジング30内へ流出して再び貯油室35へ戻る。
一方、貯油室35に貯留された潤滑油は、パイプ182、貫通穴181、固定スクロール12側の基板部121の内部に形成された通路を介して、両スクロール11、12の歯部112、122の最外周側に形成される圧縮室15に流入する。
また、電動機部20のステータコイル212への電力供給が遮断されてロータ22およびシャフト25が回転を停止すると、可動スクロール11への回転駆動力の供給が遮断される。そして、圧縮室15内に残存する昇圧された高圧冷媒によって、可動スクロール11が進角方向に対して逆回転して、固定側導油通路127および可動側導油通路115が非連通となった状態で可動スクロール11が停止する。
本実施形態の圧縮機1は、上記の如く作動して、ヒートポンプサイクルにおいて、冷媒を吸入し、圧縮して吐出する機能を発揮する。
さらに、本実施形態の圧縮機1では、固定側導油通路127と可動側導油通路115とが可動スクロール11の公転回転に伴って、断続的に連通する構成とし、可動スクロール11に対する回転駆動力の伝達が遮断され、可動スクロール11が圧縮室15と冷媒吸入通路114とが連通する位置まで逆回転した際に、固定側導油通路127と可動側導油通路115とが連通しない構成している。
このため、新たに部品を追加することなく、圧縮機構部10における冷媒の圧縮を停止した際に、油分離器40の内部の潤滑油が、可動側導油通路115および固定側導油通路127を介してハウジング30の内部の各摺動部位に流出してしまうことを抑制することができる。
従って、圧縮機1の部品点数を増加させることなく、圧縮機1の再起動時における油分離器40の潤滑油不足を抑制することが可能となり、ハウジング30内の各摺動部位への潤滑油の供給遅れを抑制することができる。
また、従来技術では、圧縮機1の運転を停止する際に、油分離器40から潤滑油が各摺動部位へと流出してしまうことを抑制するために、圧縮機1の回転駆動力を利用する構成としているので、圧縮機1の消費動力の増大を招くこととなる。
これに対して、本実施形態の構成では、圧縮機1の回転駆動力を利用することなく、圧縮機1の運転を停止する際の油分離器40から潤滑油が流出することを抑制することができるので、圧縮機1の消費動力の増大を招くことがない。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、圧縮機1の運転を停止(ステータコイル212への通電を遮断)して、可動スクロール11が停止した後、電動機部20にて可動スクロール11を可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通しない位置まで公転回転させ、当該位置で停止させる構成としている。
具体的には、本実施形態では、圧縮機1の運転を停止した後に、図示しないインバータ回路にて電動機部20のステータコイル212における三相の巻線コイルのうち一相だけに電圧を印加することで、可動スクロール11を可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通しない位置で停止させる。
ここで、ステータコイル212の三相の巻線コイルのうち、U相だけに電圧を印加した場合における電動機部20のロータ22の動作について、図4、図5に基づいて説明する。図4は、本実施形態の電動機部20のロータ22およびステータ21の模式図であり、図5は、ステータコイル212における各相の電流の流れを説明する説明図である。なお、本実施形態では、3相4極6スロットのブラシレスDCモータを採用した場合を例として説明する。
図4に示すように、電動機部20におけるステータコイル212のU相にインバータ回路を介して電圧を印加すると、図5に示すように、ステータコイル212のU相がN極に磁化され、V相およびW相がS極に磁化される。なお、電流は、ステータコイル212のU相からV相およびW相へと流れる。
このため、ロータ22のS極は、ステータコイル212のU相(N極)と対向する角度位置であって、ロータ22のN極がV相(S極)およびW相(S極)と対向する角度位置にて停止する。そして、ロータ22の移動と共に、可動スクロール11も公転回転して、所定の位置で停止する。
従って、U相だけに電圧を印加した際に可動スクロール11が停止する所定の位置を、可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通しない位置とすれば、圧縮機1の運転停止時に、可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通しない位置で可動スクロール11を停止させることが可能となる。
なお、U相だけに電圧を印加した際にロータ22が停止する角度位置は、ロータ22の一方のS極と一方のU相(N極)とが向き合う角度位置、および当該角度位置から180°回転して、ロータ22の一方のS極と他方のU相(N極)とが向き合う角度位置のうちいずれかとなる。
このため、本実施形態では、U相だけに電圧を印加した際に、ロータ22が停止する可能性がある2つの角度位置のうち、いずれの角度位置でも、可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通しない位置で可動スクロール11を停止させている。
この点について、図6に基づいて説明する。図6は、U相だけに電圧を印加した際の可動スクロール11の停止位置を説明する説明図である。ここで、図6(a)は、図2(a)の左下側に示した可動側開口穴115aおよび固定側開口穴127aの位置関係に対応する図である。また、図6(b)は、図2(a)に対応する図であり、図6(c)は、図6(b)に示す固定スクロール12とステータ21との位置関係との対応関係を示す図である。なお、図6(a)における一転鎖線は、可動スクロール11が一回公転した際の可動側開口穴115aの軌跡を示している。また、図6(a)〜図6(c)に示すX軸およびY軸は、各図で共通の方向を示すものである。
例えば、固定スクロール12とステータ21とを図6(a)と図6(c)で示す位置関係とし、可動スクロール11の回転角度を基準角度から180°進角させたときに、可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通する構成とした場合、図6(c)に示す位置に設けられたU相に電圧を印加することで、可動スクロール11を、図6(a)に示すように、基準角度θ=0°(吸入完了位置)から45°以上、かつ、135°以下、若しくは、225°以上、かつ、315°以下進角した角度で停止させる構成とすればよい。
これによれば、U相だけに電圧を印加した際にロータ22が停止する角度位置が、ロータ22の一方のS極と一方のU相(N極)とが向き合う角度位置、および当該角度位置から180°回転した角度位置のうちいずれであっても、可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通しない位置で可動スクロール11を停止させることが可能となる。
以上、説明した本実施形態の構成によれば、第1実施形態と同様に、新たに部品を追加することなく、油分離器40の内部の潤滑油が、可動側導油通路115および固定側導油通路127を介してハウジング30の内部の各摺動部位に流出してしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態では、圧縮機1の運転停止後に、電動機部20にて可動スクロール11を可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通しない位置で停止させる構成としているので、圧縮機1の運転停止時に、慣性力等によって、可動スクロール11が吸入完了位置を大幅に越えて逆転した場合であっても、可動スクロール11を可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通しない位置で停止させることが可能となる。
従って、本実施形態によれば、圧縮機1の運転を停止した際に、油分離器40の内部の潤滑油が、可動側導油通路115および固定側導油通路127を介してハウジング30の内部の各摺動部位に流出してしまうことをより確実に抑制することができる。
なお、本実施形態の構成は、圧縮機1の運転を停止し、可動スクロール11が吸入完了位置付近まで逆回転して停止した際の可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通する構成に適用した場合にでも、圧縮機1の運転停止時に油分離器40の内部の潤滑油がハウジング30の内部の各摺動部位に流出してしまうことを充分に抑制することが可能である。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態では、可動側導油通路115と固定側導油通路127とが可動スクロール11の一回転当りに一回連通する構成としているが、これに限定されない。すなわち、圧縮機1の運転停止時において、可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通しない構成であれば、可動スクロール11の一回転当りに所定回数連通する構成としてもよい。
(2)上述の第2実施形態では、ステータコイル212のU相、V相、W相の巻線コイルのうち、U相だけに電圧を印加した場合について説明したが、電圧を印加した際に可動スクロール11が停止する位置が可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通しない位置となるのであれば、U相に限らずV相やW相だけに電圧を印加する構成としてもよい。
(3)上述の第2実施形態では、電動機部20として、6スロットのステータ21、4極のロータ22で構成した三相モータを採用しているが、三相の巻線コイルの一相に電圧を印加した際に、可動スクロール11が停止する所定の位置を、可動側導油通路115と固定側導油通路127とが連通しない位置とすることが可能であれば、その他の構成の三相モータを採用することができる。
(4)上述の各実施形態では、油分離器40はハウジング30の外側に配置されているが、油分離器40はハウジング30の内部に収容されていてもよい。
(5)上述の各実施形態では、ヒートポンプサイクルが超臨界冷凍サイクルを構成しており、冷媒として二酸化炭素を採用しているが、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上とならない亜臨界冷凍サイクルを構成していてもよく、フロン系冷媒や炭化水素系冷媒等の冷媒を採用してもよい。
(6)上述の各実施形態では、縦置きタイプの圧縮機1について説明したが、シャフト25の回転軸が水平方向に延びる横置きタイプの圧縮機に適用することもできる。
(7)上述の各実施形態では、本発明をスクロール型の圧縮機に適用した例を示したが、これに限定されることなく、例えば、シリンダ(固定部材)内を回転変位する回転子(可動部材)を備えるロータリ型圧縮機等の流体を圧縮する圧縮機に適用可能である。
10 圧縮機構部
11 可動スクロール(可動部材)
111 基板部(可動側基板部)
112 歯部(可動側歯部)
114 冷媒吸入通路(流体吸入部)
115 可動側導油通路
12 固定スクロール(固定部材)
121 基板部(固定側基板部)
122 歯部(固定側歯部)
127 固定側導油通路
15 圧縮室(作動室)
20 電動機部
30 ハウジング
40 油分離器(油分離部)

Claims (3)

  1. ハウジング(30)と、
    前記ハウジング(30)に収容され、潤滑油が混合された流体を流体吸入部(114)から吸入し、圧縮して吐出する圧縮機構部(10)と、
    前記圧縮機構部(10)から吐出された流体から前記潤滑油を分離して貯える油分離部(40)と、を備え、
    前記圧縮機構部(10)は、前記ハウジング(30)に固定された固定部材(12)と、回転駆動力が伝達されることによって前記固定部材(12)に対して回転変位する可動部材(11)とを有し、
    前記可動部材(11)の回転変位に伴って、前記固定部材(12)と前記可動部材(11)とで密閉される圧縮室(15)の容積を変化させる圧縮機であって、
    前記固定部材(12)には、前記油分離部(40)に貯えられた潤滑油を、前記ハウジング(30)の内部における前記圧縮機構部(10)から吐出される流体の圧力よりも低圧となる中低圧空間に存する潤滑対象部位へと導く固定側導油通路(127)が設けられ、
    前記可動部材(11)には、その回転変位に伴って一回転当りに一回だけ、前記中低圧空間と前記固定側導油通路(127)とを連通させる可動側導油通路(115)が設けられ、
    前記固定側導油通路(127)は、
    前記可動部材(11)に対する前記回転駆動力の伝達が遮断され、前記圧縮室(15)にて昇圧された流体の圧力によって、前記可動部材(11)が逆回転した際に、前記可動側導油通路(115)と非連通となる位置に形成され
    さらに、前記可動部材(11)が回転変位して、前記圧縮室(15)の内部に前記流体吸入部(114)からの流体の吸入を完了した際の回転角度を基準角度としたときに、前記可動部材(11)が前記基準角度に対して−45°以上、かつ、180°以下の範囲に進角した角度で前記可動側導油通路(115)と連通するように構成されていることを特徴とする圧縮機。
  2. 前記可動部材(11)に対して前記回転駆動力を供給する電動機部(20)を備え、
    前記電動機部(20)は、前記可動部材(11)に対する前記回転駆動力の供給を遮断して、前記圧縮室(15)にて昇圧された流体の圧力によって、前記可動部材(11)が逆回転した後に、前記固定側導油通路(127)および前記可動側導油通路(115)が非連通となる位置に前記可動部材(11)を回転変位させることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記電動機部(20)は、U相、V相、W相の巻線コイルを有する三相モータで構成されており、前記U相、V相、W相の巻線コイルのうち、一相だけに電圧を印加することで、前記固定側導油通路(127)および前記可動側導油通路(115)が非連通となる位置まで前記可動部材(11)を回転変位させることを特徴とする請求項に記載の圧縮機。
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