以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の第1の実施形態は、可視光を発光する固体光源と、蛍光体光学濃度が互いに異なっており、前記固体光源により励起され前記固体光源の発光波長より長波長の蛍光を発光する複数の蛍光体領域を有する蛍光回転体とを備え、該蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、前記複数の蛍光体領域に対応する円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように前記複数の蛍光体領域が配置されており、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
より具体的には、前記蛍光回転体の回転軸を中心としてある半径で円弧を描くとき、前記複数の蛍光体領域に対応する前記円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように、前記蛍光回転体は、前記複数の蛍光体領域を区分する境界線の少なくとも1本が曲線状になっている。
なお、上記蛍光体領域とは、蛍光体層を有する領域であって、後述のように、蛍光体層に対応させて、バンドパスフィルターなどが設けられる場合には、蛍光体層とともに、これらをも含めたものを指すものとする。以下では、便宜上、蛍光体層とこれに対応する蛍光体領域には、同じ符号を付している。
また、本発明では、可視光を発光する固体光源の色と、固体光源により励起され固体光源の発光波長より長波長の蛍光色との両方の色光の混色によって、各蛍光体領域それぞれにおいて白色等の照明光を得ており、各蛍光体領域における蛍光体光学濃度の違いにより、それぞれの蛍光体領域で得られる光の色を変えている。ここで、蛍光体光学濃度とは、蛍光体層の蛍光体濃度と蛍光体層の膜厚とにより決められるものであり、両者の積に比例するものである。すなわち、蛍光体光学濃度を高くするには、蛍光体濃度を高くするか、蛍光体膜厚を厚くするか、あるいは、その両方を変化(蛍光体濃度を高くし膜厚を厚くする)させればよい。
図3は、本発明の第1の実施形態の光源装置の一構成例を示す図である。図3を参照すると、この光源装置10は、可視光を出射する固体光源5と、回転軸Xの周りに回転可能な(モーター4によって回転する)蛍光回転体1とを備えている。図4は、図3の光源装置10に用いられる蛍光回転体1の一例を示す図である。図4の例では、蛍光回転体1は、透明な基板(例えば石英ガラス基板)上に、蛍光体光学濃度が互いに異なっており、固体光源5により励起され固体光源5の発光波長より長波長の蛍光を発光する3つの蛍光体層2a,2b,2cを有しており(蛍光体層2aが蛍光体光学濃度が最も高く、蛍光体層2cが蛍光体光学濃度が最も低く、蛍光体層2bが蛍光体層2aと蛍光体層2cとの中間の蛍光体光学濃度を有しており)、蛍光体層2a,2bの領域を区分する境界線3a、蛍光体層2b,2cの領域を区分する境界線3bは、蛍光回転体1の回転軸X(回転中心)を通って半径方向に延びる直線となっているが、蛍光体層2a,2cの領域を区分する境界線3cは、曲線状になっている。すなわち、複数の蛍光体領域2a,2b,2cのうち、蛍光体光学濃度が最も高い蛍光体領域2aと蛍光体光学濃度が最も低い蛍光体領域2cとを区分する境界線3cが曲線状になっている。これにより、蛍光回転体1の回転軸Xを中心としてある半径で円弧を描くとき、複数の蛍光体領域2a,2b,2cに対応する円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように構成されている。
本発明では、各蛍光体領域2a,2b,2cから発する光が、固体光源5からの光と、各蛍光体領域2a,2b,2cに配置された蛍光体層からの光との、両方を含むことを特徴としている。
より具体的に、固体光源5としては、例えば青色の可視光を出射するものが用いられ、また、図4の蛍光回転体1の各蛍光体層2a,2b,2cとして、いずれも、例えば黄色蛍光体層が用いられる場合、各蛍光体層2a,2b,2cからの光は、光源5からの青色光と各蛍光体層2a,2b,2cからの黄色光との混色により、白色になる。この際、蛍光体層の蛍光体光学濃度を高くすれば、この蛍光体層の蛍光体領域は黄色っぽい白色光を出射する蛍光体領域となり、逆に、蛍光体層の蛍光体光学濃度を低くすれば、この蛍光体層の蛍光体領域は青っぽい白色光を出射する蛍光体領域となる。
また、図3の光源装置10では、図4の蛍光回転体1を用いていることから、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段6によって変化させることにより、照明色を変化させることができる。
固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変にする(変化させる)可変手段6としては、固体光源5が固定されている場合、蛍光回転体1を蛍光回転体1の回転軸Xと直交する方向に移動させる移動手段を利用することができる。ここで、移動手段としては、図5に示すように、モーター7の回転を直線運動に変えるラックアンドピニオン機構8を用いた一般的なものが使用可能である。
図3乃至図5の構成では、モーター4によって蛍光回転体1を回転させることで、可視光(例えば青色光)と蛍光体層2a,2b,2cからの光(例えば黄色光)との混色により白色光を得て、さらに白色光の色を変化させたい場合、蛍光回転体1の蛍光体層2aの領域と蛍光体層2cの領域とを区分する境界線3cが曲線状となっていることから、固体光源5と蛍光回転体1の回転軸Xとの距離を可変手段6によって可変にすることにより(変化させることにより)、後述するような原理で、蛍光体層2bの励起時間を固定し、蛍光体層2cと蛍光体層2aの励起時間を変化させて、青味と黄味をコントロールすることができ、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、黄味を増すように照明色を変化させることが可能となる。すなわち、これらの蛍光体領域2a,2b,2cからの出射光の時間的な加法混色としての照明白色光の照明色を変化させることができる。このことは、市販の蛍光灯を考えた場合、白色を中心に黄味を増した電球色や青味を増した昼光色を容易に得られることを意味している。
なお、図3に示した光源装置10では、蛍光回転体1が透過型のものとして構成され、固体光源5からの光、および、固体光源5からの励起光によって励起された各蛍光体層2a,2b,2cからの発光のうち、固体光源5側とは反対側に出射する光を用いるようになっている。以下、この形式の蛍光回転体を、透過型蛍光回転体と称す。ここで、各蛍光体層2a,2b,2cからの固体光源5からの光も含む出射光を考えると、上記透過光(固体光源5側とは反対側に出射する光)とともに、蛍光体層2a,2b,2cで反射されて固体光源5側へ戻って行く発光、つまり反射光も存在している。蛍光体領域に蛍光体層を単に配置しただけの蛍光回転体では、この反射光は照明光として利用できない光となってしまう。
蛍光回転体1として透過型蛍光回転体を用いる場合に、蛍光体層2a,2b,2cからの上記反射光を照明光として利用するため、図6に示すように(なお、図6は図4のB−B線における断面図であり、図6の例では、各蛍光体層2a,2b,2cは、膜厚の違いにより蛍光体光学濃度を互いに異にしている)、蛍光回転体1の蛍光体層2a,2b,2cより固体光源5側に、固体光源5が発する光を透過し蛍光体層2a,2b,2cが発する光を反射する光学手段(バンドパスフィルター)12を設けることができる。より具体的には、蛍光回転体1の蛍光体層2a,2b,2cが固体光源5側とは反対側の基板11面上に配置されており、かつ、固体光源5側の基板11面上には、固体光源5が発する光を透過し蛍光体層2a,2b,2cが発する光を反射する光学手段(バンドパスフィルター)12が設けられている。固体光源5側の基板11面上に、固体光源5が発する光を透過し蛍光体層2a,2b,2cが発する光を反射する光学手段(バンドパスフィルター)12が設けられていることにより、蛍光体層2a,2b,2cで反射されて固体光源5側へ戻って行く発光、つまり反射光をも、照明光として利用することができる。
図7は、本発明の第1の実施形態の光源装置の他の構成例を示す図である。なお、図7において、図3と対応する箇所には同じ符号を付している。図7の光源装置30も、図3の光源装置と同様に、可視光を出射する固体光源5と、回転軸Xの周りに回転可能な(モーター4によって回転する)蛍光回転体21とを備えている。ここで、蛍光回転体21は、図4に示す蛍光体層2a,2b,2cが蛍光体領域として設けられているものを用いているが、図7の光源装置30では、蛍光回転体21が反射型のものとして構成され、固体光源5からの光、および、固体光源5からの励起光によって励起された各蛍光体層2a,2b,2cからの発光のうち、固体光源5側に出射する光を用いるようになっている。以下、この形式の蛍光回転体を、反射型蛍光回転体という。ここで、蛍光体層2a,2b,2cからの固体光源5からの光も含む出射光を考えると、入射励起光に対して反射する光とともに、蛍光体層2a,2b,2cで多重反射され固体光源5とは反対側に透過する発光や、蛍光体層2a,2b,2cを励起せず励起光のまま固体光源5と反対側に透過する光も存在している。もし、蛍光回転体21の蛍光体層2a,2b,2cを配置する基板が透明であるとすると、これらの光は蛍光回転体21の裏側に抜ける透過光となり、照明光として利用できない光となってしまう。
反射型蛍光回転体21を用いる場合に、蛍光体層2a,2b,2cからの上記透過光を照明光として利用するため、図8に示すように(図8は図6(透過型蛍光回転体)に対応する図であり、図8の例でも、各蛍光体層2a,2b,2cは、膜厚の違いにより蛍光体光学濃度を互いに異にしている)、蛍光回転体21の基板31自体を金属製とすることができる。あるいは、蛍光回転体21の蛍光体層2a,2b,2cを配置する基板上に反射面を設けることができる。具体的には、透明な基板上に金属膜を配置することができる。
図7の光源装置30では、図4の蛍光回転体21を用いていることから、固体光源5と蛍光回転体21の回転軸Xとの距離を可変手段6によって変化させることにより、照明色を変化させることができる。
固体光源5と蛍光回転体21の回転軸Xとの距離を可変にする(変化させる)可変手段6としては、固体光源5が固定されている場合、蛍光回転体21を蛍光回転体21の回転軸Xと直交する方向に移動させる移動手段を利用することができる。ここで、移動手段としては、図9に示すように、モーター7の回転を直線運動に変えるラックアンドピニオン機構8を用いた一般的なものが使用可能である。
図7乃至図9の構成では、モーター4によって蛍光回転体21を回転させることで、可視光(例えば青色光)と蛍光体層2a,2b,2cからの光(例えば黄色光)との混色により白色光を得て、さらに白色光の色を変化させたい場合、蛍光回転体21の蛍光体層2aの領域と蛍光体層2cの領域とを区分する境界線3cが曲線状となっていることから、固体光源5と蛍光回転体21の回転軸Xとの距離を可変手段6によって可変にすることにより(変化させることにより)、後述するような原理で、蛍光体層2bの励起時間を固定し、蛍光体層2cと蛍光体層2aの励起時間を変化させて、黄味と青味をコントロールすることができ、基準となる白色に対して、黄味を増すように照明色を変化させたり、青味を増すように照明色を変化させることが可能となる。すなわち、これらの蛍光体領域2a,2b,2cからの出射光の時間的な加法混色としての照明白色光の照明色を変化させることができる。このことは、市販の蛍光灯を考えた場合、白色を中心に黄味を増した電球色や青味を増した昼光色を容易に得られることを意味している。
以下、本発明の第1の実施形態の光源装置10、30をより詳細に説明する。
本発明の第1の実施形態の光源装置10、30において、固体光源5には、例えば、GaN系の材料を用いた発光波長が約460nmの青色光を発光する発光ダイオードを用いることができる。なお、固体光源5としては、発光ダイオードに限らず、青色光を放出する光源であれば良く、半導体レーザー等を用いることもできる。
また、蛍光回転体1、21には、青色の励起光により黄色に発光する蛍光体層2a,2b,2cをその膜厚を互いに変えて、膜厚の違いにより蛍光体光学濃度を互いに異にする3つの蛍光体層2a,2b,2cが設けられたものが用いられ、図4に示すように、蛍光体光学濃度が最も高い蛍光体領域2aと最も低い蛍光体領域2cとを区分する境界線3cが曲線状になっているものを使用できる(すなわち、蛍光体層2aと蛍光体層2cとの間の領域を区分する境界線3cが曲線状になるように配置したものを使用できる)。蛍光体領域2a,2b,2cの形成は、それぞれの蛍光体層パターンに対応する開口部(メタルメッシュ開口)を有するスクリーンを用いた印刷法などが利用できる。印刷法の場合は、使用するスクリーンの版厚を変えることにより、形成する蛍光体領域(蛍光体層)の膜厚を変えることができる。本発明では、固体光源5の青色光と、固体光源5により励起される黄色蛍光体層の蛍光色との両方の色光の混色により、各蛍光体領域それぞれにおいて白色等の照明光を得ているため、この実施形態における蛍光体領域も、この考え方に従って設計されている。つまり、膜厚が薄過ぎて青色が強過ぎる条件や、逆に、膜厚が厚過ぎて黄色が強過ぎる条件での設計はしない。
また、透過型蛍光回転体1の基板11としては、透明基板(石英ガラス基板など)が使用され、反射型蛍光回転体21の基板31としては、アルミなどの金属基板が使用可能である。
また、蛍光体層2a,2b,2cには、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、Y3Al5O12:Ce3+ (YAG)、(Sr,Ba)2SiO4:Eu2+、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+等の黄色蛍光体を用いることができる。
図6に示す透過型蛍光回転体1では、透明な石英ガラス基板11の固体光源5とは反対側の面に蛍光体層2a,2b,2cが設けられ、また、固体光源5側の面には光学手段(バンドパスフィルター)12が配置されている。ここで、バンドパスフィルター12には、青色光を透過して黄色光を反射させるように設計された誘電体多層膜(具体的には、高屈折率材料(TiO2,LaTiO,Ta2O5,Nb2O5等)と低屈折率材料(SiO2,MgF2等)とが交互に積層された膜)からなるバンドパスフィルターを使用することができる。
また、図8に示す反射型蛍光回転体21では、アルミ金属基板31上に蛍光体層2a,2b,2cが配置されている。なお、基板31に石英ガラス基板のような透明なものを使用する場合は、基板31上に反射面としてアルミなどの金属膜を蒸着などの方法で形成する必要がある。図8に示すようなアルミなどの金属基板を使用する場合は反射面は不要である。
次に、図4に示す蛍光回転体1、21を用いた図3、図5に示す光源装置10、または、図7、図9に示す光源装置30で照明色を変化させられる原理を説明する。固体光源5の光軸上を図4に示すA点が横切るように蛍光回転体1、21を配置した場合、蛍光回転体1、21をモーター4で回転させると、蛍光回転体1、21の回転軸Xを中心として持つA点を通る円弧上の部分の蛍光体層2a,2b,2cが固体光源5によりそれぞれの発光色(黄色)で発光し、固体光源5からの青色光との混色によって、ほぼ白色の照明光となる。A点を通る円弧上での蛍光体光学濃度の異なる各蛍光体層2a,2b,2cに対する円弧の長さはほぼ等しくなり、この時に照明光が基準となる白色になるように、例えば、各蛍光体層2a,2b,2cの蛍光体光学濃度(例えば、各蛍光体層2a,2b,2cの膜厚など)を調整しておく。この基準となる白色に対して青味を持たせるためには、蛍光体光学濃度が低い蛍光体層2cへの青色光の励起時間を延ばし、蛍光体光学濃度が高い蛍光体層2aへの青色光の励起時間を短くすれば良いが、図4に示す蛍光回転体1、21では、A点より外側に位置する蛍光回転体の回転軸Xを中心とする円弧上を固体光源5により励起すれば良いことになる。この状態を実現するために、例えば図5、図9に示すように蛍光回転体1、21およびモーター4を、図5、図9上で右方向に位置移動させれば良い。これにより、青味を持たせた照明色に変化させることができる。逆に、基準となる白色に対して黄味を持たせるためには、図5、図9上で蛍光回転体1、21およびモーター4を左方向に移動させれば良い。この場合には、A点より内側に位置する蛍光回転体1、21の回転軸Xを中心とする円弧上を固体光源5により励起することになり、蛍光体光学濃度が高い蛍光体層2aの励起時間を延ばし、蛍光体光学濃度が低い蛍光体層2cの励起時間を短くすることができ、黄味を持たせた照明色に変化させることができる。以上のように、蛍光回転体1、21およびモーター4をモーター7とラックアンドピニオン機構8により連続的に動かせば、照明色を、青味を持った白色から、黄味を持った白色まで、連続的に変化させることができる。
この第1の実施形態では、蛍光回転体の回転につれて、つまり時間的に照明色が変化することになるが、照明色の変化が少なく、図1に示す赤緑青の蛍光回転体を用いた時のように照明色の変化が大きなものでないため、カラーブレイクを生じず、かつ、照明色を変化させられる光源装置を提供できる。
さらに、透過型蛍光回転体においては、蛍光回転体1の蛍光体層2a,2b,2cより固体光源5側に、固体光源5が発する光を透過し前記蛍光体層2a,2b,2cが発する光を反射する光学手段(バンドパスフィルター)12を設けることにより、また、反射型蛍光回転体においては、蛍光回転体21の蛍光体層2a,2b,2cを配置する基板31上に反射面を形成したりすることにより、効率の高い光源装置を提供することができる。
なお、図4の例では、蛍光体層2a,2cの領域を区分する境界線3cだけが曲線状になっているが、本発明の第1の実施形態では、蛍光回転体1、21の回転軸Xを中心としてある半径で円弧を描くとき、複数の蛍光体領域2a,2b,2cに対応する円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように、蛍光回転体1、21は、複数の蛍光体領域2a,2b,2cを区分する境界線3a,3b,3cの少なくとも1本が曲線状になっていればよく、図4の例のように蛍光体層2a,2cの領域を区分する境界線3cだけが曲線状になっている場合に限らず、蛍光回転体1、21の回転軸Xを中心としてある半径で円弧を描くとき、複数の蛍光体領域2a,2b,2cに対応する円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するという条件を満たす限り、蛍光体層2a,2bの領域を区分する境界線3aや、蛍光体層2b,2cの領域を区分する境界線3bをも曲線状にすることも可能である。また、図4の例では、蛍光回転体1、21には、3つの蛍光体領域2a,2b,2cが設けられている場合を示したが、例えば蛍光体光学濃度が高中低の蛍光体領域がそれぞれ2つずつ高中低の順に繰り返し設けられている場合(6つの蛍光体領域が設けられている場合)なども、本発明の範囲に含まれる。あるいは、蛍光体光学濃度が高中低の3段階以上に区分けされた3つ以上の蛍光体領域が設けられている場合なども、本発明の範囲に含まれる。
また、蛍光回転体1、21としては、図10に示すように、2つの蛍光体領域25、26で形成された蛍光回転体を用いることもできる。すなわち、図10の蛍光回転体は、青色の励起光により黄色に発光する蛍光体層を有する2つの黄色蛍光体領域25、26(黄色蛍光体領域25は蛍光体光学濃度が高く、黄色蛍光体領域26は蛍光体光学濃度が低くなっている)が配置され、2つの黄色蛍光体領域25、26を区分する境界線27a,27bが曲線状で塗り分けられたものである。図10では、2つの境界線27a,27bが曲線状になっているが、2つの境界線27a,27bのうちの片方の境界線のみが曲線状になっているものでもよい。
ここで、図10の蛍光回転体においても、図6、図8に示したと同様の透過型蛍光回転体28、または、反射型蛍光回転体29として構成することができる。そして、図10の蛍光回転体28、29においても、蛍光回転体28、29の回転軸Xを中心としてある半径で円弧を描くとき、2つの蛍光体領域25、26に対応する円弧上の長さの比率が前記半径に依存して変化するように2つの蛍光体領域25、26が配置されており、この場合も、図4の蛍光回転体1、21と同様の原理で、A点に対して蛍光回転体28、29を右方向、左方向に位置移動させることで、基準となる白色に対して青味、黄味を持たせることができる。
本発明の第2の実施形態は、可視光を発光する固体光源と、蛍光体光学濃度が互いに異なっており、前記固体光源により励起され前記固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する複数の蛍光体領域を有する蛍光回転体とを備え、該蛍光回転体上に配置された各蛍光体領域が前記蛍光回転体の回転軸を中心とした同心円状の帯状の領域となっており、前記固体光源と前記蛍光回転体の回転軸との距離を可変にする可変手段が設けられていることを特徴としている。
なお、上記蛍光体領域とは、蛍光体層を有する領域であって、後述のように、蛍光体層に対応させて、バンドパスフィルターなどが設けられる場合には、蛍光体層とともに、これらをも含めたものを指すものとする。以下では、便宜上、蛍光体層とこれに対応する蛍光体領域には、同じ符号を付している。
また、同心円状の帯状とは、円周上全周に渡って繋がった一定の幅を持ったドーナツ状の形状をいい、全周に渡って繋がっておらず円周上の一部の円弧状で一定の幅を持った形状は含まれない。
また、本発明では、可視光を発光する固体光源の色と、固体光源により励起され固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光色との両方の色光の混色によって、各蛍光体領域それぞれにおいて白色等の照明光を得ており、各蛍光体領域における蛍光体光学濃度の違いにより、それぞれの蛍光体領域で得られる光の色を変えている。ここで、蛍光体光学濃度とは、蛍光体層の蛍光体濃度と蛍光体層の膜厚とにより決められるものであり、両者の積に比例するものである。すなわち、蛍光体光学濃度を高くするには、蛍光体濃度を高くするか、蛍光体膜厚を厚くするか、あるいは、その両方を変化(蛍光体濃度を高くし膜厚を厚くする)させればよい。
図11は、本発明の第2の実施形態の光源装置の一構成例を示す図である。なお、図11において、図3と同様の箇所には同じ符号を付している。図11を参照すると、この光源装置40は、可視光を出射する固体光源45と、回転軸Xの周りに回転可能な(モーター4によって回転する)蛍光回転体41とを備えている。図12は、図11の光源装置40に用いられる蛍光回転体41の一例を示す図である。図12の例では、蛍光回転体41は、透明な基板(例えば石英ガラス基板)上に,蛍光体光学濃度が互いに異なっており、固体光源45により励起され固体光源45の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する3つの蛍光体層42a,42b,42cが、蛍光回転体1の回転軸Xを中心とした同心円状の帯状蛍光体領域として配置されている。ここで、蛍光体層42aは蛍光体光学濃度が最も高く(蛍光体層の厚さが最も厚く)、蛍光体層42cは蛍光体光学濃度が最も低く(蛍光体層の厚さが最も薄く)、蛍光体層42bは蛍光体層42aと蛍光体層42cとの中間の蛍光体光学濃度を有している。
本発明では、各蛍光体領域42a,42b,42cから発する光が、固体光源45からの光と、各蛍光体領域42a,42b,42cに配置された蛍光体層からの光との、両方を含むことを特徴としている。
より具体的に、固体光源45としては、例えば青色の可視光を出射するものが用いられ、また、図12の蛍光回転体41の各蛍光体層42a,42b,42cとして、いずれも、例えば黄色蛍光体層が用いられる場合、各蛍光体層42a,42b,42cからの光は、光源45からの青色光と各蛍光体層42a,42b,42cからの黄色光との混色により、白色になる。この際、蛍光体層の蛍光体光学濃度を高くすれば、この蛍光体層の蛍光体領域は黄色っぽい白色光を出射する蛍光体領域となり、逆に、蛍光体層の蛍光体光学濃度を低くすれば、この蛍光体層の蛍光体領域は青っぽい白色光を出射する蛍光体領域となる。
また、図11の光源装置40では、固体光源45と蛍光回転体41の回転軸Xとの距離を可変にする可変手段6が設けられている。
図11の光源装置40では、図12の蛍光回転体41を用いていることから、固体光源45と蛍光回転体41の回転軸Xとの距離を可変手段6によって変化させることにより、蛍光回転体を用いた場合でも、複雑な制御系などを必要とせずに、簡単に照明色を変化させることができる。
固体光源45と蛍光回転体41の回転軸Xとの距離を可変にする(変化させる)可変手段6としては、固体光源45が固定されている場合、蛍光回転体41を蛍光回転体1の回転軸Xと直交する方向に移動させる移動手段を利用することができる。ここで、移動手段としては、図13に示すように、モーター7の回転を直線運動に変えるラックアンドピニオン機構8を用いた一般的なものが使用可能である。
図11、図13の構成では、固体光源45と蛍光回転体41の回転軸Xとの距離を可変手段6によって変化させることにより、固体光源45から発せられる光の照射スポットの中に入る蛍光回転体41上の各領域42a,42b,42cの面積割合が変化することになり、それぞれの領域42a,42b,42cから発せられる各色光の混合割合が変化するため、照明色を変えることができる。
より詳細に、可視光(例えば青色光)と蛍光体層42a,42b,42cからの光(例えば黄色光)との混色により白色光を得て、さらに白色光の色を変化させたい場合、固体光源45と蛍光回転体41の回転軸Xとの距離を可変手段6によって可変にすることにより(変化させることにより)、後述するような原理で、固体光源45から発せられる光の照射スポットの中に入る蛍光回転体41上の蛍光体領域42bの面積割合を固定し、蛍光体領域42cと蛍光体領域42aの面積割合を変化させて、青味と黄味をコントロールすることができ、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、黄味を増すように照明色を変化させることが可能となる。すなわち、蛍光体領域42bを挟んで両隣に蛍光体領域42aおよび蛍光体領域42cを配置した蛍光回転体41を利用して、例えば青味を増す場合には青色光の照射スポットに入る蛍光体領域42cの面積を大きくする一方で、蛍光体領域42aの面積が小さくなるように、固体光源45と蛍光回転体41の回転軸Xとの距離を変化させればよい。蛍光体領域42cの照射面積を大きくし、蛍光体領域42aの照射面積を小さくすることは、図12に示す蛍光回転体41を用い、固体光源45と蛍光回転体41の回転軸Xとの距離を変化させれば自動的に実現される。このように、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、黄味を増すように照明色を変化させることは、市販の蛍光灯を考えた場合、白色を中心に黄味を増した電球色や青味を増した昼光色を容易に得られることを意味している。
なお、図11に示した光源装置40では、蛍光回転体41が透過型のものとして構成され、固体光源45からの光、および、固体光源45からの励起光によって励起された各蛍光体層42a,42b,42cからの発光のうち固体光源45側とは反対側に出射する光を用いるようになっている。以下、この形式の蛍光回転体を、透過型蛍光回転体と称す。ここで、各蛍光体層42a,42b,42cからの固体光源45からの光も含む出射光を考えると、上記透過光(固体光源45側とは反対側に出射する光)とともに、蛍光体層42a,42b,42cで反射されて固体光源45側へ戻って行く発光、つまり反射光も存在している。蛍光体領域に蛍光体層を単に配置しただけの蛍光回転体では、この反射光は照明光として利用できない光となってしまう。
蛍光回転体41として透過型蛍光回転体を用いる場合に、蛍光体層42a,42b,42cからの上記反射光を照明光として利用するため、図14に示すように(なお、図14は図12のC−C線における断面図であり、図14の例では、各蛍光体層42a,42b,42cは、膜厚の違いにより蛍光体光学濃度を互いに異にしている)、蛍光回転体41の蛍光体層42a,42b,42cより固体光源45側に、固体光源45が発する光を透過し蛍光体層42a,42b,42cが発する光を反射する光学手段(バンドパスフィルター)52を設けることができる。より具体的には、蛍光回転体41の蛍光体層42a,42b,42cが固体光源45側とは反対側の基板51面上に配置されており、かつ、固体光源45側の基板51面上には、固体光源45が発する光を透過し蛍光体層42a,42b,42cが発する光を反射する光学手段(バンドパスフィルター)52が設けられている。固体光源45側の基板51面上に、固体光源45が発する光を透過し蛍光体層42a,42b,42cが発する光を反射する光学手段(バンドパスフィルター)52が設けられていることにより、蛍光体層42a,42b,42cで反射されて固体光源45側へ戻って行く発光、つまり反射光をも、照明光として利用することができる。
図15は、本発明の第2の実施形態の光源装置の他の構成例を示す図である。なお、図15において、図11と対応する箇所には同じ符号を付している。図15の光源装置60も、図11の光源装置40と同様に、可視光を出射する固体光源45と、回転軸Xの周りに回転可能な(モーター4によって回転する)蛍光回転体61とを備えている。ここで、蛍光回転体61は、図12に示す蛍光体層(蛍光体光学濃度が互いに異なっており、固体光源45により励起され固体光源45の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する3つの蛍光体層)42a,42b,42cが蛍光体領域として設けられているものを用いているが、図15の光源装置60では、蛍光回転体61が反射型のものとして構成され、固体光源45からの光、および、固体光源45からの励起光によって励起された各蛍光体層42a,42b,42cからの発光のうち固体光源45側に出射する光を用いるようになっている。以下、この形式の蛍光回転体を、反射型蛍光回転体という。ここで、蛍光体層42a,42b,42cからの固体光源45からの光も含む出射光を考えると、入射励起光に対して反射する光とともに、蛍光体層42a,42b,42cで多重反射され固体光源45とは反対側に透過する発光や、蛍光体層42a,42b,42cを励起せず励起光のまま固体光源45と反対側に透過する光も存在している。もし、蛍光回転体61の蛍光体層42a,42b,42cを配置する基板が透明であるとすると、これらの光は蛍光回転体61の裏側に抜ける透過光となり、照明光として利用できない光となってしまう。
反射型蛍光回転体61を用いる場合に、蛍光体層42a,42b,42cからの上記透過光を照明光として利用するため、図16に示すように(図16は図14(透過型蛍光回転体)に対応する図であり、図16の例でも、各蛍光体層42a,42b,42cは、膜厚の違いにより蛍光体光学濃度を互いに異にしている)、蛍光回転体61の基板71自体を金属製とすることができる。あるいは、蛍光回転体61の蛍光体層42a,42b,42cを配置する基板上に反射面を設けることができる。具体的には、透明な基板上に金属膜を配置することができる。
図15の光源装置60では、蛍光回転体61を用いていることから、固体光源45と蛍光回転体61の回転軸Xとの距離を可変手段6によって変化させることにより、蛍光回転体を用いた場合でも、複雑な制御系などを必要とせずに、簡単に照明色を変化させることができる。
固体光源45と蛍光回転体61の回転軸Xとの距離を可変にする(変化させる)可変手段6としては、固体光源45が固定されている場合、蛍光回転体61を蛍光回転体61の回転軸Xと直交する方向に移動させる移動手段を利用することができる。ここで、移動手段としては、図17に示すように、モーター7の回転を直線運動に変えるラックアンドピニオン機構8を用いた一般的なものが使用可能である。
図15、図17の構成では、固体光源45と蛍光回転体61の回転軸Xとの距離を可変手段6によって変化させることにより、固体光源45から発せられる光の照射スポットの中に入る蛍光回転体61上の各領域42a,42b,42cの面積割合が変化することになり、それぞれの領域42a,42b,42cから発せられる各色光の混合割合が変化するため、照明色を変えることができる。
より詳細に、可視光(例えば青色光)と蛍光体層2a,2b,2cからの光(例えば黄色光)との混色により白色光を得て、さらに白色光の色を変化させたい場合、固体光源45と蛍光回転体61の回転軸Xとの距離を可変手段6によって可変にすることにより(変化させることにより)、後述するような原理で、固体光源45から発せられる光の照射スポットの中に入る蛍光回転体61上の蛍光体領域42bの面積割合を固定し、蛍光体領域42cと蛍光体領域42aの面積割合を変化させて、青味と黄味をコントロールすることができ、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、黄味を増すように照明色を変化させることが可能となる。すなわち、蛍光体領域42bを挟んで両隣に蛍光体領域42aおよび蛍光体領域42cを配置した蛍光回転体61を利用して、例えば青味を増す場合には青色光の照射スポットに入る蛍光体領域42cの面積を大きくする一方で、蛍光体領域42aの面積が小さくなるように、固体光源45と蛍光回転体61の回転軸Xとの距離を変化させればよい。蛍光体領域42cの照射面積を大きくし、蛍光体領域42aの照射面積を小さくすることは、固体光源45と蛍光回転体61の回転軸Xとの距離を変化させれば自動的に実現される。このように、基準となる白色に対して、青味を増すように照明色を変化させたり、黄味を増すように照明色を変化させることは、市販の蛍光灯を考えた場合、白色を中心に赤味を増した電球色や青味を増した昼光色を容易に得られることを意味している。
以下、本発明の第2の実施形態の光源装置40、60をより詳細に説明する。
本発明の第2の実施形態の光源装置40、60において、固体光源45には、例えば、GaN系の材料を用いた発光波長が約460nmの青色光を発光する発光ダイオードを用いることができる。なお、固体光源45としては、発光ダイオードに限らず、青色光を放出する光源であれば良く、半導体レーザー等を用いることもできる。
また、蛍光回転体41、61には、青色の励起光により黄色に発光する3つの蛍光体光学濃度が異なる蛍光体領域42a,42b,42cを蛍光回転体41、61の回転軸Xを中心とした同心円状の帯状に配置したものが用いられる。蛍光体領域(蛍光体層)42a,42b,42cの形成は、それぞれの蛍光体層パターンに対応する開口部(メタルメッシュ開口)を有するスクリーンを用いた印刷法などが利用できる。印刷法の場合は、使用するスクリーンの版厚を変えることにより、形成する蛍光体領域の膜厚を変えることができる。本発明では、固体光源の青色光と、固体光源により励起され黄色蛍光体の蛍光色との両方の色光の混色により、各蛍光体領域それぞれにおいて白色等の照明光を得ているため、この実施形態における蛍光体領域も、この考え方に従って設計されている。つまり、膜厚が薄過ぎて青色が強過ぎる条件や、逆に膜厚が厚過ぎて黄色が強過ぎる条件での設計はしない。
また、透過型蛍光回転体41の基板51としては、透明基板(石英ガラス基板など)が使用され、反射型蛍光回転体61の基板71としては、アルミなどの金属基板が使用可能である。
また、蛍光体層42a,42b,42cには、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、Y3Al5O12:Ce3+ (YAG)、(Sr,Ba)2SiO4:Eu2+、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+等の黄色蛍光体を用いることができる。
図14に示す透過型蛍光回転体41では、透明な石英ガラス基板51の固体光源45とは反対側の面に蛍光体層42a,42b,42cが設けられ、また、固体光源45側の面には光学手段(バンドパスフィルター)52が配置されている。ここで、バンドパスフィルター52には、紫外光を透過して可視光を反射させるように設計された誘電体多層膜(具体的には、高屈折率材料(TiO2,LaTiO,Ta2O5,Nb2O5等)と低屈折率材料(SiO2,MgF2等)とが交互に積層された膜)からなるバンドパスフィルターを使用することができる。
また、図16に示す反射型蛍光回転体61では、アルミ金属基板71上に蛍光体層42a,42b,42cが配置されている。なお、基板71に石英ガラス基板のような透明なものを使用する場合は、基板71上に反射面としてアルミなどの金属幕を蒸着などの方法で形成する必要がある。図16に示すようなアルミなどの金属基板71を使用する場合は反射面は不要である。
次に、図12に示す蛍光回転体41、61を用いた図11、図13に示す光源装置40、または、図15、図17に示す光源装置60で、照明色を変化させられる原理を説明する。
固体光源45から発せられる青色光の照射スポットの中に、蛍光回転体41、61上の各蛍光体領域42a,42b,42cがほぼ同じ面積で入るように、固体光源45および蛍光回転体41、61の位置を調整する。この時に、基準となる白色の照明光が得られるように各蛍光体領域42a,42b,42cの蛍光体光学濃度や帯の幅を調整する。
図18は、図11、図13の光源装置40、または、図15、図17の光源装置60における、同心円状の帯状の各領域42a,42b,42cと固体光源45からの照射スポットとの位置関係を示している。ここで、同心円状の帯状の各領域42a,42b,42cの幅Wa,Wb,Wcは、0.3〜7mmの範囲であるが、蛍光体領域2aの幅Wa、蛍光体領域2cの幅Wcは、蛍光体領域2bの幅Wbに比べて広くなっている。そして、図18において、固体光源45に対する蛍光回転体41、61およびモーター4の位置がP0のときには、可視光(青色光)の照射スポットはS0に示す範囲にあり、このときには、基準となる白色の照明光が得られる。この基準となる白色に対して青味を持たせるためには、固体光源45に対し蛍光回転体41、61およびモーター4を、図13、図17上で左方向に位置移動させれば良い。これにより、固体光源45からの可視光(青色光)の照射スポットは、S1に示す範囲となり、蛍光体領域42aの照射面積が減少し、蛍光体領域42cの照射面積が増加し、この結果、青味を持たせた照明色に変化させることができる。逆に、基準となる白色に対して黄味を持たせるためには、図13、図17上で蛍光回転体41、61およびモーター4を右方向に移動させれば良い。この場合には、固体光源5からの可視光(青色光)の照射スポットは、S2に示す範囲となり、蛍光体領域42cの照射面積が減少し、蛍光体領域42aの照射面積が増加し、この結果、、黄味を持たせた照明色に変化させることができる。以上のように、蛍光回転体41、61およびモーター4をモーター7とラックアンドピニオン機構8により連続的に動かせば、照明色を、青味を持った白色から、黄味を持った白色まで連続的に変化させることができる。
この第2の実施形態では、同心円状に蛍光体層を配置する蛍光回転体であり、その形状から原理的に、蛍光回転体の回転につれて、つまり時間的に照明色が変化しないため、カラーブレイクを生じず、かつ、照明色を変化させられる光源装置を提供できる。
さらに、透過型蛍光回転体においては、蛍光回転体41の蛍光体層42a,42b,42cより固体光源45側に、固体光源45が発する光を透過し前記蛍光体層42a,42b,42cが発する光を反射する光学手段(バンドパスフィルター)52を設けることにより、また、反射型蛍光回転体においては、蛍光回転体61の蛍光体層42a,42b,42cを配置する基板71上に反射面を形成したりすることにより、効率の高い光源装置を提供することができる。
なお、上述の例では、蛍光回転体41、61には、3つの蛍光体領域42a,42b,42cが設けられている場合を示したが、例えば蛍光体光学濃度が高中低の蛍光体領域がそれぞれ2つずつ高中低の順に繰り返し帯状に設けられている場合(蛍光回転体の回転軸Xを中心とした同心円状の6つの帯状蛍光体領域が設けられている場合)なども、本発明の範囲に含まれる。あるいは、蛍光体光学濃度が高中低の3段階以上に区分けされた3つ以上の蛍光体領域が設けられている場合なども、本発明の範囲に含まれる。
また、蛍光回転体41、61としては、例えば、蛍光体光学濃度の高い蛍光体領域と蛍光体光学濃度の低い蛍光体領域との2つの蛍光体領域が、蛍光回転体の回転軸Xを中心とした同心円状の帯状蛍光体領域として設けられている場合なども、本発明の範囲に含まれる。また、例えば、蛍光体光学濃度が高低の蛍光体領域がそれぞれ2つずつ高低の順に繰り返し帯状に設けられている場合(蛍光回転体の回転軸Xを中心とした同心円状の4つの帯状蛍光体領域が設けられている場合)なども、本発明の範囲に含まれる。
さらに、第2の実施形態の蛍光回転体として、図19に示すように、固体光源により励起され固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する蛍光体の蛍光体光学濃度が連続的に変化するような蛍光体領域73を有している蛍光回転体74、75を用いることもできる。より詳細に、図19の蛍光回転体74、75は、蛍光回転体74、75上に配置された蛍光体領域73の蛍光体光学濃度が、蛍光回転体74、75の回転軸Xを中心とした同心円上では全円周にわたって等しく、かつ、同心円の半径方向に連続的に(外側ほど高く、内側ほど低く)変化している。
図20は図19の蛍光回転体が透過型蛍光回転体74である場合の図19のD−D線における断面図、図21は図19の蛍光回転体が反射型蛍光回転体75である場合の図19のD−D線における断面図である。なお、図20、図21において、図14、図16と同様の箇所には同じ符号を付している。図20、図21が図14、図16と相違しているところは、図20、図21の蛍光回転体74、75では、蛍光体層73は、半径方向に膜厚が連続的に変化しており、これにより、半径方向に蛍光体光学濃度が連続的に変化している点である。
このように、図20、図21の蛍光回転体74、75は、青色の励起光により黄色に発光する蛍光体を蛍光回転体上に配置された蛍光体領域73の蛍光体光学濃度が蛍光回転体の回転軸Xを中心とした同心円上では全円周に渡って等しく、かつ同心円の半径の変化に従って連続的に変化するように配置したものである。ここで、蛍光体領域73の形成は蛍光体領域のパターンに対応する開口部(メタルメッシュ開口)を有するスクリーンを用いた印刷法などが利用できる。また、蛍光体光学濃度を連続的に変えるには、印刷法に使用するスクリーンの版厚、もしくはメタルメッシュ開口比率を連続的に変えたものを用いればよい。本発明では、固体光源の青色光と、固体光源により励起され黄色蛍光体の蛍光色の両方の色光の混色により蛍光体領域の各場所において白色等の照明光を得ているため、この実施形態における蛍光体領域も、この考え方に従って設計されている。つまり、膜厚が薄過ぎて青色が強過ぎる条件や、逆に膜厚が厚過ぎて黄色が強過ぎる条件での設計はしない。
図11または図15の第2の実施形態の光源装置40または60に、図19に示す蛍光回転体74または75を用いる場合に、照明色を変化させられる原理は次のとおりである。すなわち、図11または図15に示す蛍光回転体74または75をモーター4ごと、図11または図15上の左右方向に可変手段6によって位置移動すれば、図19に示す蛍光回転体74または75上の固体光源45から発せられる青色光の照射スポットの位置が変化することになり、各位置ごとに異なる蛍光体光学濃度に対応した蛍光色と固体光源45の青色光との両方の色光の混色により得られる照明色を変化させることができる。
このように、固体光源45と蛍光回転体74または75の回転軸Xとの距離を可変手段6によって変化させることにより、蛍光回転体を用いた場合でも、複雑な制御系などを必要とせずに、簡単に照明色を変化させることができる。
以上のように、第2の実施形態の光源装置40または60に図19に示す蛍光回転体74または75を用いる場合にも、蛍光回転体74または75を用いて色割れを防止することができ、かつ、蛍光回転体74または75を用いた場合でも、カラーブレイク現象を生じさせないようにすることに加えて、さらに、照明色を変化させることができる。
なお、上述した各例では、図5、図9、図13、図17に示したように、蛍光回転体1、21、41、61等を回転軸Xと直交する方向に移動させる移動手段として、モーター7とラックアンドピニオン機構8を用いたが、移動手段としては、モーター7とラックアンドピニオン機構8に限らず、蛍光回転体1、21、41、61等を回転軸Xと直交する方向に移動させるものであれば、任意の機構を用いることができる。例えば、図22に示すように、移動手段としては、モーター37と、モーター37に取り付けられた回転アーム38とを備え、回転アーム38上のモーター37とは反対側に、蛍光回転体1、21、41、61等と蛍光回転体回転用のモーター4を搭載した構成にすることもできる。図22の構成では、回転アーム38の矢印Rの方向の動きに従って蛍光回転体1、21、41、61等を回転軸Xと直交する方向に移動させている(なお、図5、図9、図13、図17の構成では、蛍光回転体1、21、41、61等を直線移動させるのに対して、図22の構成では、蛍光回転体1、21、41、61等が円弧上を動く点で、相違している)。
図23は第1、第2の実施態様で示した光源装置(10、30、40、60等)を用いた照明装置の一構成例を示す図である。図23の照明装置は、照明装置外郭を形作るケース82と、ケース82内に格納された光源装置(10、30、40、60等)と、光源装置(10、30、40、60等)からの光を前方に所定の配光特性を持って照射するレンズ系83とにより構成されている。
また、図24は第1、第2の実施態様で示した光源装置(10、30、40、60等)を用いた照明装置の他の構成例を示す図である。図24の照明装置は、照明装置外郭を形作るケース84と、ケース84内に格納された光源装置(10、30、40、60等)と、光源装置(10、30、40、60等)からの光を前方に所定の配光特性を持って照射するズームレンズ系85とにより構成されている。図24の照明装置では、ズームレンズ系85にすることによって配光を可変することができる。特に電動式のズームレンズ系を用いた時には遠隔操作によって配光を可変することができる。
図23や図24のようにレンズ系を用いた時でも、本発明の光源装置を用いれば、カラーブレイク現象を生じさせない照明装置を実現できる。
上述したように、本発明の光源装置を利用して(本発明の第1、第2の実施形態の光源装置を利用して)、照射領域端部で色割れが発生することなしに、かつ、蛍光回転体を用いた場合でも、カラーブレイク現象を生じさせず、さらには、照明色を変化させることの可能な照明装置を実現できる。
さらに、透過型蛍光回転体においては、蛍光回転体の蛍光体層より固体光源側に、固体光源が発する光を透過し前記蛍光体層が発する光を反射する光学手段(バンドパスフィルター)を設けることにより、また、反射型蛍光回転体においては、蛍光回転体の蛍光体層を配置する基板上に反射面を形成したりすることにより、効率の高い光源装置および照明装置を提供することができる。
もっとも、第2の実施形態の発明と同じ照明は、蛍光回転体を用いず、単に基板上に複数の蛍光体領域を配置したものでも実現することができる。本発明が威力を発揮するのは、蛍光体が耐えられない位の強力な励起光(例えば10W程度)を用いる場合であり、蛍光回転体の持つ冷却効果により耐久性を心配せずに使用可能であるため、狭い光源面積で大光量の光を発することができることが最大の特徴である。この特徴はレンズ系を用いた照明装置において特に有用である。
なお、上述の各例では、固体光源5、45に可視光として青色光を出射するものを用い、各蛍光体層には黄色蛍光体層を用いているが(この場合は、照明色は、青味を持った白色から黄味を持った白色に変化可能な白色となる)、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、固体光源5、45に可視光として青色光を出射するものを用い、各蛍光体層には緑色蛍光体層を用いることもできる(この場合は、照明色は、青緑色から緑青色に変化可能な水色となる)。あるいは、例えば、固体光源5、45に可視光として緑色光を出射するものを用い、各蛍光体層には赤色蛍光体層を用いることもできる(この場合は、照明色は、黄緑色からオレンジ色に変化可能な黄色となる)。