JP5396793B2 - 建材用極薄冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

建材用極薄冷延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、建材用極薄冷延鋼板およびその製造方法に関し、特に板厚が0.2 mm以下の極薄冷延鋼板に対して、建材用として必要とされる強度および平坦度に加え、良好な表面平滑性を付与したものである。
近年、極薄冷延鋼板の建材用途への需要が増大している。
すなわち、極薄冷延鋼板を、必要に応じて溶融めっき、電気めっき、塗装などの表面処理を施した後、例えば木製あるいは樹脂製などの基板に貼り合わせて、建物の内壁や外壁および屋根等の用途に供している。
基板との貼り合わせに際し、鋼板に耳伸びや腹伸びが発生していると、基板との貼り合わせ後、基板と鋼板の間にすき間が生じやすく、外観不良や腐食等の問題が発生するため、鋼板は極力耳伸びや腹伸びの発生がなく平坦であることが望まれる。
上記のような用途では、冷延鋼板は、ほとんど加工することなしに使用される。
また、かような用途においては、延性やr値などの成形性よりも、むしろ板厚精度や強度、形状(平坦度)が重要視される。すなわち、極薄で、高い強度を有し、耳伸びや腹伸びで評価される平坦度に優れることが必要とされる。
さらに、かかる用途に用いる場合、汎用材として安価であることも必要とされる。
ここで、極薄冷延鋼板の製造方法としては、例えば特許文献1に、C≦0.010%でかつC+N≦0.012%、Si≦0.01%、Mn≦0.15、P≦0.02%、S≦0.020%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼の熱間圧延後のコイルを、中間焼鈍なしに冷延率:80〜99%にて板厚:0.5mm以下まで冷間圧延することが、開示されている。この技術は、鋼中のC含有量およびN含有量を低減することで、冷間圧延における加工硬化を低減し、高い圧延率での冷間圧延を可能として、極薄鋼板を製造しようとするものである。
しかしながら、上記したような建材用の用途においては、高い強度、具体的には、降伏強度YS:700 MPa以上が要求されているが、特許文献1の技術では、冷間圧延後の高強度を達成するのが困難であった。また、上記の技術では、CおよびNをともに低減する必要があることから、製造コストが高くなるという不利があった。
特開平3−79726号公報
上記の問題を解決するものとして、発明者らは先に、特願2008−050920において、
「質量%で、C:0.01%以上 0.10%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.005%以上 0.5%以下、P:0.01%以上 0.20%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以上 0.1%以下、N:0.010%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、板厚:0.2mm以下まで冷間圧延された鋼板であって、該冷間圧延後の鋼板の平均硬さ(HR30T)が68以上 83以下で、かつ板幅方向にわたる硬さ変動量が平均硬さの±2以内となる割合が鋼板全体の90%以上であることを特徴とする建材用極薄冷延鋼板。」
を提案した。
これにより、板厚が0.2mm以下で強度および平坦度に優れた建材用極薄冷延鋼板が、安価に得られるようになった。
本発明は、上掲した特願2008−050920に開示の技術の改良に係るもので、板厚が0.2mm以下の建材用極薄冷延鋼板について、その表面形状とくに平滑性の一層の向上を達成することを目的とする。
従来、建材用鋼板の形状については、主に耳伸びや腹伸びなどの平坦度が指標として用いられてきたが、この平坦度が良好とされる鋼板においても、断熱材に貼着してパネルとした場合に、断熱材との接着に問題が生じる場合があった。
そこで、発明者らは、この問題を解決すべく種々検討を重ねた結果、厚みが0.2 mm以下の極薄の鋼板では、断熱材との接着性をさらに改善するには、鋼板の全面に発生する微小凹凸の形状を適正に制御して平滑化することが重要であるとの知見を得た。
本発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.01%以上0.10%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.005%以上0.5%以下、P:0.01%以上0.20%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以上0.1%以下およびN:0.010%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、板厚:0.2 mm以下で、下記に規定する形状指数A,Bで示す鋼板の表面形状が下記式(1)の関係を満足することを特徴とする建材用極薄冷延鋼板。

B≦−0.08×A+1.7 --- (1)
ここで、A:製品単位長さ当たりの凹凸数(個/1500mm)
B:凹凸の平均高さ(mm)
2.質量%で、C:0.01%以上0.10%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.005%以上0.5%以下、P:0.01%以上0.20%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以上0.1%以下およびN:0.010%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼素材を、加熱温度:1150℃以上に加熱後、仕上圧延温度:700℃以上790℃未満の条件で熱間圧延を施したのち、巻取り温度:550℃以上700℃以下でコイルに巻き取り、巻き厚中心部のコイル幅方向端部での、巻取り温度から400℃までの間の平均冷却速度を54℃/h以上125℃/h以下として熱延板とし、ついで該熱延板を酸洗後、冷延圧下率:85%以上 95%以下にて板厚:0.2mm以下まで冷間圧延し、さらに伸び率:0.15%以上の形状矯正処理を施すことを特徴とする建材用極薄冷延鋼板の製造方法。
本発明によれば、建材用として必要とされる強度および平坦度が得られるのはいうまでもなく、その表面形状とくに平滑性に優れた建材用極薄冷延鋼板を得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において鋼板の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、各元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り、単に「%」で示す。
C:0.01%以上 0.10%以下
Cは、鋼に固溶して素材の強度を上昇させる効果があるが、含有量が0.10%を超えると炭化物を形成し、冷間圧延時の負荷が極めて大きくなり、板厚:0.2mm以下の冷延鋼板を得ることが難しくなり、平滑性も悪くなる。そこで、本発明では、冷間圧延性および平滑性の観点からC量の上限を0.10%とした。また、C量は、冷間圧延性の点からは低減することが望ましいが、著しい低減は鋼板の強度低下につながり、また製鋼時のC低減のためのコストを増大させ、素材を安価に提供することが難しくなる。そこで、強度確保およびコストの面からC量の下限を0.01%とした。冷間圧延性およびコスト両者の観点から好適なC量は0.02%以上 0.07%以下である。
なお、板厚を0.12mm程度まで薄肉化した場合には、レベラー処理時にける破断を防止する観点から、C量は0.045%以下とすることが望ましい。
Si:0.03%以下
Siは、鋼の強度を上昇させる元素として有効であるが、多量の含有は冷間圧延性のみならず、表面処理性、化成処理性、耐食性を低下させることになるので、この観点からSi量は0.03%以下に限定した。
Mn:0.005%以上 0.5%以下
Mnは、Sによる熱間割れを抑制する働きがあるので、この効果を得るために0.005%以上含有させる。より好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.05%以上である。しかしながら、Mnの多量添加は鋼板素材を硬質化させ、冷間圧延性を低下させるだけでなく、溶接性および溶接後の溶接部成形性を低下させるので、Mnの上限は0.5%とした。なお、より良好な形状および耐食性が要求される場合には、Mn量は0.30%以下とすることが望ましい。
P:0.01%以上 0.20%以下
Pは、鋼板素材の強度を上昇させる効果があるので、0.01%以上含有させるものとした。しかしながら、多量添加は冷間圧延性を低下させる。またPは、鋼中で偏析する傾向が強く、溶接部の脆化を招く。このため、本発明では、P:0.20%を上限とした。なお、より望ましくは0.10%以下である。
S:0.03%以下
Sは、鋼中で主として介在物として存在し、耐食性を低下させるため、極力低減することが望ましいが、0.03%までであれば許容できる。このため、本発明では、S量の上限は0.03%とした。なお、S量の下限は、特に限定する必要はなく、上記したように極力低減することが好ましいが、製鋼能力およびコストの点からは0.005%程度とするのが好ましい。
Al:0.01%以上 0.1%以下
Alは、脱酸剤として添加され、鋼の清浄度を向上させる元素であるので、積極的に添加する。しかしながら、Al量が0.01%未満では脱酸の効果が小さく、介在物が残存して成形性を低下させる。とはいえ、0.1 %を超えると鋼板の表面清浄度が低下するので、本発明では0.01%以上 0.1%以下に限定した。なお、材質安定性の観点からは、Al:0.02%以上 0.080%以下とすることが望ましい。
N:0.010%以下
Nは、鋼板に固溶し、含有量が0.010%を超えると鋼板を著しく硬質化させるため、0.010%以下とした。なお、N量の下限は、特に限定されるものではないが、製鋼能力やコストを考慮すると0.0010%程度とすることが好ましい。
残部はFeおよび不可避的不純物からなる。
ここに、不可避的不純物としては、Cu,Ni,Cr,Mo,Nb,TiおよびBなどが考えられるが、それぞれCu:0.20%以下、Ni:0.20%以下、Cr:0.20%以下、Mo:0.20%以下、Nb:0.02%以下、Ti:0.02%以下、B:0.0010%以下の範囲に制限することが望ましい。
上記の好適成分組成範囲に調整することにより、冷間圧延後の鋼板の平均硬さをロックウェル硬さ(HR30T)で68以上 83以下の範囲におさめることができる。
また、レベラー処理後に、鋼板の平坦度を2mm以下、降伏強度(YS)を700 MPa以上とすることができる。
冷間圧延後の鋼板の硬さ(硬質度)は、製品形状に大きく影響するので、本発明において硬質度は重要である。本発明では、製品板厚が0.2mm以下と極薄であるため、硬質度は板表面を測定し、板表面硬さを求めるものとする。 試験方法はJIS Z 2245「ロックウエル硬さ試験方法」に準拠する。
この平均硬さ(HR30T)が68未満では、レベラー処理後にYS≧700 MPaを確保することが難しく、製品に腰折れが発生する場合があり、一方83より大きいとレベラー処理による形状矯正が困難となり、製品形状の悪化が著しくなるおそれがある。より好ましくはHR30Tで80以下である。
また、鋼板の平均硬さは、HR30Tで68以上 83以下の範囲を満たしていても、最大硬さと最小硬さの差すなわち硬度差があまりに大きいと、やはりレベラー処理後に形状の劣化が懸念されるので、硬度差は6以下好ましくは4以下とすることが望ましい。
上記のようにして、建材用として必要とされる強度および平坦度をそなえる極薄冷延鋼板を得ることができる。
しかしながら、強度や平坦度が上記の好適範囲を満足しているだけでは、断熱材に貼着した場合に、必ずしも良好な接着性が得られるとは限らないことは、前述したとおりである。
そこで、本発明では、鋼板の表面形状の指数として下記で規定する形状指数A,Bを用い、これらA,Bで示される鋼板の表面形状について、下記式(1)の関係を満足させることにしたのである。

B≦−0.08×A+1.7 --- (1)
ここで、A:製品単位長さ当たりの凹凸数(個/1500mm)
B:凹凸の平均高さ(mm)
従来、冷延鋼板の形状不良は、一般に図1(a),(b)に示すような、鋼板1に生じる耳伸び2や腹伸び3などの平坦度不良で評価されていたが、冷延鋼板の平滑性の観点からは図2に示すような、鋼板全面に発生する微小凹凸4の形状が重要となる。
そこで、発明者らは、先に特願2008−087404において提案した、
「 厚みが0.4 mm以下の冷延鋼板の表面形状を測定するに当り、距離計を用いて、該冷延鋼板の表面との距離を一定長さにわたって測定し、該測定値から、冷延鋼板の厚みに対して1000倍以上2000倍以下の周期を有する成分を抽出し、該抽出結果における山の個数および山高さに基づいて、鋼板表面の微小凹凸を検知することを特徴とする冷延鋼板の形状測定方法。」
を用いて、本発明において必要とされる微小凹凸の形状すなわち平滑性の程度について検討した。
その結果、単位長さ当たりの凹凸数(単位長さ当たりの山の個数)をA(個/1500mm)、一方凹凸の平均高さ(平均山高さ)をB(mm)と規定したとき、これらの形状指数A,Bについて、上掲式(1)の関係を満足させることにより、所望の平滑性が得られ、その結果、極薄鋼板を断熱材に貼着する場合に極めて良好な接着性が得られることが究明されたのである。
そこで、本発明では、鋼板表面の微小凹凸形状について、上掲式(1)の関係を満足させることにしたのである。
より好ましくは、次式(2)の範囲である。
B≦−0.08×A+1.2 --- (2)
ここで、A:製品単位長さ当たりの凹凸数(個/1500mm)
B:凹凸の平均高さ(mm)
ここで、上記した鋼板表面の微小凹凸を検知する冷延鋼板の形状測定方法について説明する。
上記した微小凹凸の発生は、鋼板が圧延中に上下ロールで挟まれた部分、つまりロールバイト内での鋼板に作用する応力に起因していると考えられる。すなわち、圧延時にロールバイト内において上下から圧縮された材料は幅方向にも広がろうとし、幅方向に圧縮応力が発生する。この板幅方向の圧縮応力が、ロールバイト出側にて開放され、局所的な幅広がりが発生して、厚みが小さい極薄鋼板の場合、この局所的な幅広がりが座屈して、鋼板全面にわたる微小な凹凸形状が形成されると考えられる。
このような、厚みが0.4mm以下の冷延鋼板において鋼板全面に発生する微小な凹凸による形状不良を把握するのは、従来の形状測定方法あるいは形状測定装置では不可能であった。
そこで、鋼板表面の微小な凹凸形状を有する冷延鋼板において、非接触式の距離計を鋼板長手方向に走査して鋼板表面の変位を測定し、その測定データについて、フーリエ変換によるスペクトル解析を行い、徴小な凹凸の周期を検討した。
種々の厚みの冷延鋼板について、微小凹凸の周期を調査したところ、冷延鋼板の厚みと微小凹凸の周期には相関があり、微小凹凸の周期は鋼板厚みの1000倍以上2000倍以下の大きさであることが新たに判明した。また、微小凹凸による形状不良の度合いは、微小凹凸の周期は変わらずに、その山高さが大きくなることで高まることも判った。
すなわち、冷延鋼板の表面形状の良否を判断するためには、冷延鋼板の厚みに応じて、変位測定データから微小凹凸の周期に相当する成分を抽出し、抽出した成分の変位データから微小凹凸の程度を判断すれば良い。微小凹凸の程度は、微小凹凸における山の単位長さ当りの個数および山高さの平均値から適宜判断すれば良い。山高さについては、平均値を用いることにより、測定範囲の大きさに関係なく安定した評価が可能となる。
これらの検討をもとに、本発明では上記したように、平滑性の良否判断を、上掲式(1)あるいはさらに上掲式(2)をもとに判断することとした。
以下に、上記測定方法について、厚み:0.15mmおよび幅:1000mmの冷延鋼板を例に、さらに詳細に説明する。
上記測定方法では、まず、冷延鋼板の形状を、好ましくは非接触式の距離計を用いて測定する。このとき、幅方向での測定位置については、詳細に測定してもよいが、対象とする微小凹凸は、鋼板の全面に発生するため、任意の位置での一定の長さにわたる測定、例えば、鋼板の幅方向中央において長手方向1500mmにわたって変位を測定すれば、十分である。
次に、冷延鋼板の長手方向での一定長さ、ここでは1500mmの長さについての距離計の測定値から、微小凹凸に相当する成分として、冷延鋼板の厚みに対して1000倍以上2000倍以下の周期の成分を抽出する。すなわち、鋼板の厚みが0.15mmであるから、徴小凹凸成分の周期は150mm以上300mm以下である。なお、測定値データから特定の周期の成分を抽出するためには、フーリエ変換など一般的な信号処理手法を用いればよい。
かくして抽出された周期150mm以上300mm以下の凹凸成分について、山の個数と山高さから、鋼板の形状の良否を判定する。
なお、冷延鋼板の表面との距離を測定する「一定長さ」は、少なくとも微小凹凸の一山が測定できる長さは必要であり、例えば鋼板の厚みが0.4m以下では、微小凹凸成分の上限が鋼板厚の2000倍であるから、0.4×2000=800(mm)以上の長さが必要になる。一方、上限はとくに定める必要 はないが、2000mm程度で十分である。
次に、本発明の製造方法について説明する。
前記した好適成分組成になる溶鋼を、転炉や電気炉等の公知の炉を用いて溶製した後、連続鋳造法や造塊−分塊法、薄スラブ鋳造法等の公知の方法でスラブとし、鋼素材とする。これら公知の方法の中でも、マクロ偏析を防止する上では連続鋳造法がより好ましい。
ついで、鋼素材を、加熱し、熱間圧延を施す。この際、素材の加熱温度が、1150℃未満では、熱間圧延時の変形抵抗が高くなり、圧延荷重が増加して熱間圧延が困難となるので、加熱温度は1150℃以上とする。また、材質均一化のためにも1150℃以上が好適である。但し、1300℃を超えて加熱すると、結晶粒が粗大化し、延性が低下するので、加熱温度はは1300℃以下とすることが好ましい。
ついで、熱間圧延を施すが、本発明では、この熱間圧延における仕上温度が重要である。
すなわち、仕上圧延温度を700℃以上790℃未満とすることにより、軟質な熱延鋼板が得られ、冷間圧延時の負荷が軽減するため、所望の板厚:0.2mm以下の冷延材を板厚精度よく得ることができる。この点、仕上温度が700℃未満では、熱延板が軟質となりすぎるために、冷間圧延時の負荷は低減されるものの、製品で腰折れが発生し、製品形状が悪くなる。また、仕上温度が700℃より低くなると熱間圧延時の負荷が大きくなる。このため熱延板の仕上温度は700℃以上とする。より好ましくは750℃以上である。一方、仕上圧延温度が790℃以上になると、熱延板が硬質となり、冷間圧延での負荷が大きくなり、冷間圧延性が低下する。このため、仕上圧延温度は790℃未満とする。
なお、Ar3変態点は、次式で求めることができる。
Ar3変態点=901−325〔%C〕−92〔%Mn〕+33〔%Si〕+287〔%P〕
但し、〔 〕内は、各元素の含有量(mass%)
巻取り温度:550℃以上 700℃以下
巻取り温度を550℃以上とすることにより、熱延終了後の結晶粒が成長、粗大化し、さらに炭化物が凝集粗大化する。これにより、軟質な熱延板を得ることができ、冷間圧延時の負荷が低くなって冷間圧延性が大きく向上すると共に、平滑性を良好にすることができる。しかしながら、巻取り温度が700℃を超えて高すぎると、表面スケールの発生が多くなり、熱延板の表面性状ひいては冷間圧延後の表面性状が悪化するおそれがあり、平滑性にも悪影響を及ぼす。このため、巻取り温度は550℃以上 700℃以下とする。より好ましくは、640℃以上、660℃以下である。
巻き厚中心部のコイル幅方向端部での巻取り温度から400℃までの間の平均冷却速度:54℃/h以上125℃/h以下
この温度域における平均冷却速度が、鋼板の平均硬さおよび最大硬さと最小硬さの差(硬度差)に強く影響する。
図3に、熱間圧延後、巻取り温度:660℃でコイルに巻き取ったのち、種々の冷却速度(A)で400℃まで冷却し、ついで冷間圧延を行って得た冷延鋼板の板幅方向の表面硬さのバラツキについて調べた結果を、上記冷却速度(A)をパラメータとして示す。ここで、平均冷却速度は、図4に示すように、コイルの平均温度を測定する上で最も好適と考えられる巻き厚中心部のコイル幅方向端部を測定点として求めたものである。
同図に示したとおり、冷却速度(A)が200℃/hの場合に比較して、冷却速度(A)を100℃/hとした場合には板幅方向の表面硬さのバラツキが大幅に改善され、さらに冷却速度(A)を80℃/hとした場合には、とくにエッジ部近傍における表面硬さのバラツキがさらに改善されている。
発明者らは、上記のような検討を重ねた結果、この平均冷却速度が125℃/h超では、レベラー処理後に満足のいく平滑性を得ることが難しく、この平均冷却速度を125℃/h以下とすることで良好な平滑性が確保できることを見出した。
そこで、本発明では、図4に示したように、コイルの平均温度を測定する上で最も好適と考えられる巻き厚中心部のコイル幅方向端部を測定点として、上記の温度域における平均冷却速度を125℃/h以下に限定した。好ましくは100℃/h以下、より好ましくは80℃/h以下である。
なお、冷却速度の下限については、生産効率の観点から、54℃/hとする。また、かような制御冷却を施すべき温度範囲の下限を400℃としたのは、400℃未満の温度域では冷却速度による硬さへの影響が小さく、硬さの変化が生じないためである。
ついで、酸洗後、冷間圧延により冷延板とする。
熱延板の酸洗条件は特に規定する必要はなく、表面スケールを除去できれば良い。そのためには、公知の方法、例えば、塩酸、硫酸等の酸で表面スケールを除去すればよい。
冷間圧延は、圧下率:85%以上 95%以下の条件で、板厚:0.2mm以下まで圧延する。ここに、冷間圧延における圧下率が85%未満になると、熱延板の板厚を1.3mm以下とする必要が生じ、所定の温度以上の仕上げ温度を確保するのが困難となり、圧延時の負荷が増加したり、コイル内での温度バラツキが大きくなって、所望の材質が得られなくなり、一方95%を超える圧延は形状が悪化する場合があるので、冷間圧下率は85〜95%の範囲に限定した。
ついで、テンションレベラーなどにより、伸び率:0.15%以上の形状矯正処理を施して、鋼板の平坦度および平滑性を改善する。
ここに、かかる形状矯正処理における伸び率が0.15%に満たないと、前掲(1)式を満足するような十分な平滑性が得られない。
なお、伸び率の上限についてはとくに制限はないが、伸び率が0.5%を超えると、レベラー加工中に鋼板が破断するおそれが大きくなるので、伸び率は0.5%以下とすることが好ましい。破断の確率を低減する上で、より好ましくは0.3%以下である。
なお、上記では、形状矯正処理としてレベラー処理を例示して説明したが、本発明はこれだけに限定されるものではなく、レベラー処理と同様の効果を有する形状矯正処理であれば、いずれもが適合する。
形状矯正処理後の鋼板は、必要に応じて表面処理を施しても良い。
施される表面処理としては、脱脂、乾燥後、溶融亜鉛めっき、その後クロメート処理を施す、あるいは脱脂、乾燥、電気めっき後、カラーコーティングを施す、あるいは乾燥後、カラーコーティングを施す等の方法が挙げられる。さらには、錫めっき、ニッケルめっき等のめっきや、各種合金めっき、化成処理など、通常の冷延鋼板に適用される表面処理いずれもが適合する。
実施例1
表1に示す成分組成の鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法で260mm厚のスラブとした。ついで、これらのスラブを、1200℃に加熱後、Ar3変態点温度以下である仕上圧延温度:780℃で熱間圧延して2.0mm厚の熱延板としたのち、650℃の温度でコイルに巻き取り、ついで巻き厚中心部のコイル幅方向端部を測定点として400℃までを78℃/hの速度で冷却したのち、酸洗し、ついで圧下率:94%で冷間圧延して、最終板厚:0.12mmの冷延鋼板とした。なお、板幅は1000mmとした。さらに、得られた冷延鋼板に0.3%の伸び率でレベラー処理を施した。
冷間圧延後、レベラー処理前の冷延鋼板の板表面平均硬さ(HR30T)および硬度さについて調査した結果を表1に併記する。
また、表1には、レベラー処理後の鋼板の表面形状について、長手方向:1500mmにわたり非接触レーザ式距離計を用いて、前記の方法で調べた結果も併せて示す。
なお、鋼板の表面形状(平滑性)については、製品単位長さ当たりの凹凸個数Aと凹凸の平均高さBが、図5に示す3つの領域のどの領域に属するかで判断し、それぞれ◎、○、×で評価した。
Figure 0005396793
同表から明らかなように、本発明に従い製造された冷延鋼板はいずれも、良好な表面形状(平滑性)が得られていた。
実施例2
C:0.035%、Si:0.010%、Mn:0.14%、P:0.011%、S:0.006%、Al:0.052%およびN:0.0018%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法で260mm厚のスラブとした。ついで、これらのスラブを、1200℃に加熱後、Ar3変態点温度以下である仕上圧延温度:780℃で熱間圧延して2.0mm厚の熱延板としたのち、650℃の温度でコイルに巻き取り、ついで巻き厚中心部のコイル幅方向端部を測定点として400℃まで種々のパターンで冷却したのち、酸洗し、ついで圧下率:94%で冷間圧延して、最終板厚:0.12mmの冷延鋼板とした。なお、板幅は1000mmとした。さらに、得られた冷延鋼板に表2に示す伸び率でレベラー処理(TLV)を施した。
なお、冷却パターンは、図6にa〜eで示すとおり、次の5種類とした。
a)巻取り温度:650℃から400℃までの冷却時間:1.3時間→平均冷却速度:192℃/h(従来例)
b)同じ温度域における冷却時間:2.0時間→平均冷却速度:125℃/h(発明例1)
c)同じ温度域における冷却時間:3.2時間→平均冷却速度:78 ℃/h(発明例2)
d)同じ温度域における冷却時間:4.6時間→平均冷却速度:54 ℃/h(発明例3)
e)同じ温度域における冷却時間:7.2時間→平均冷却速度:35 ℃/h(発明例4)
冷間圧延後、レベラー処理前の冷延鋼板の板表面平均硬さ(HR30T)および硬度さについて調査した結果を表2に併記する。
また、表2には、レベラー処理後の鋼板の表面形状および操業安定性について調べた結果も併せて示す。
なお、操業安定性とは、レベラー加工中に鋼板が破断する確率を意味し、以下で評価した。
○:破断する確率が5%以下
△:破断する確率が5%超え、20%以下
Figure 0005396793
同表から明らかなように、本発明に従い製造された冷延鋼板はいずれも、良好な表面形状(平滑性)が得られただけでなく、操業安定性にも優れていた。
また、冷間圧延後の板表面硬さも適正な範囲を満足していた。
鋼板に生じた耳伸びおよび腹伸びの形状を示す図である。 極薄鋼板に特有の微小凹凸の形状を示す図である。 冷延鋼板の板幅方向の表面硬さのバラツキを、冷却速度(A)をパラメータとして示す図である。 コイル温度の測定点を示す図である。 凹凸個数Aと凹凸の平均高さBの関係で規定した、鋼板の表面形状(平滑性)の評価内容を示す図である。 熱間圧延後の冷却パターンを示す図である。
符号の説明
1 鋼板
2 耳伸び
3 腹伸び
4 微小凹凸

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.01%以上0.10%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.005%以上0.5%以下、P:0.01%以上0.20%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以上0.1%以下およびN:0.010%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、板厚:0.2 mm以下で、下記に規定する形状指数A,Bで示す鋼板の表面形状が下記式(1)の関係を満足することを特徴とする建材用極薄冷延鋼板。

    B≦−0.08×A+1.7 --- (1)
    ここで、A:製品単位長さ当たりの凹凸数(個/1500mm)
    B:凹凸の平均高さ(mm)
  2. 質量%で、C:0.01%以上0.10%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.005%以上0.5%以下、P:0.01%以上0.20%以下、S:0.03%以下、Al:0.01%以上0.1%以下およびN:0.010%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼素材を、加熱温度:1150℃以上に加熱後、仕上圧延温度:700℃以上790℃未満の条件で熱間圧延を施したのち、巻取り温度:550℃以上700℃以下でコイルに巻き取り、巻き厚中心部のコイル幅方向端部での、巻取り温度から400℃までの間の平均冷却速度を54℃/h以上125℃/h以下として熱延板とし、ついで該熱延板を酸洗後、冷延圧下率:85%以上95%以下にて板厚:0.2mm以下まで冷間圧延し、さらに伸び率:0.15%以上の形状矯正処理を施すことを特徴とする建材用極薄冷延鋼板の製造方法。
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