JP5151354B2 - 高張力冷延鋼板及び高張力冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高張力冷延鋼板、特に、鋼板性状および伸びフランジ性に優れる高マルテンサイト比率の高張力冷延鋼板及び高張力冷延鋼板の製造方法に関する。
近年、自動車における安全性向上及び軽量化による燃費向上が今まで以上に要求されるようになってきており、高強度且つ軽量な材料に対する要求が強まっている。このような状況にあって、引張強度が980MPa級以上の高張力冷延鋼板が、複雑なプレス加工やロールフォーミングなどにより製造されるような補強部品に対して使用されている。この場合、機械加工する際に用いられる加工設備に鋼板を装入する際の妨げとならないように、また、加工後の製品形状の精度を阻害することがないように、加工前の鋼板の形状は良好であること、つまり、反り量が10mm以下であることが必要とされる。
しかし、通常の水焼入れを行う連続焼鈍プロセスにより、980MPa級以上のマルテンサイト比率の高いフェライト−マルテンサイト組織、若しくは100%マルテンサイト組織を有する高張力冷延鋼板を製造した場合には、冷却変態時にマルテンサイト変態膨張応力と冷却収縮応力の相反する方向の力が鋼板の降伏点を超えてしまった時、板幅方向で大きな反り、例えば20mm〜40mm程度の反りが発生する場合がある。このような大きな反りが発生すると、反りを矯正する工程で大きな機械加工を加える必要があり、その結果、鋼板の延性が低下する問題があった。
従来、反りを矯正する工程で大きな機械加工を加えず形状矯正し、延性の低下を抑制する方法として、水焼入れ時の形状を改善する技術が報告されている。
例えば、特許文献1には、引張強度が1470MPa〜1960MPa級の鋼板に対する反り高さと、鋼板中のマルテンサイト比率との関係が述べられている。その中で、特定成分の鋼を熱延板において組織を均一微細化し、続く連続焼鈍でマルテンサイト体積率が80〜97%で残部がフェライトからなる微細な2相組織とすることにより、成形性とストリップ形状の良好な超高強度冷延鋼板が製造できるとしている。
また、特許文献2には、980MPa級の鋼板に対し、焼入れ時の鋼板の温度を搬送方向位置での2回微分した微分係数の最大値が、あらかじめ定められた許容最大反り量に対応する微分係数値以下となるように鋼板の焼入れを行うことにより、形状の良好な(反り量の小さい)高強度冷延鋼板の製造方法について記載されている。
特開平4−289120号公報 特開2004−43878号公報
しかし、上記特許文献1に開示されている技術においては、焼鈍段階において鋼板中のマルテンサイト比率を制御することにより、鋼板の反り高さを改善できるとしているが、十分な特性とは言い難い。また、この技術では、伸びフランジ性については、全く考慮されていない。
また、上記特許文献2に記載の技術は、水焼入れによる冷却速度を低くすることにより、焼入れ時に発生する鋼板の形状不良を改善することを意図したものである。しかし、これを980MPa級以上のマルテンサイト比率の高いフェライト−マルテンサイト組織や100%マルテンサイト組織を有する鋼板に適用した場合、鋼板の冷却速度不足による強度低下の影響が発生し、必要強度の冷延鋼板を安定して製造することが難しいという問題がある。さらに、この技術においても、高張力鋼板の伸びフランジ性の向上については、一切開示が無い。
そこで、本発明では、このような従来技術の課題を鑑みて、鋼板の形状性、伸びフランジ性に優れる980MPa以上の引張強度を有する高張力冷延鋼板およびそれを製造する技術を提供することを目的とした。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有する。
[1]鋼の成分組成が、質量%で、C:0.04%以上、0.20%以下、Si:0.39%以上、2.5%以下、Mn:1.0%以上、3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.03%以下、Sol.Al:0.01%以上、0.10%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物であり、調質圧延後の鋼板表面の平均粗さRaが1.4μm以上であり、マルテンサイト面積率が70%以上を有することを特徴とする引張強さが980MPa以上の高張力冷延鋼板
[2]上記[]において、鋼の成分組成として、さらに、質量%で、Nb:0.1%以下、Ti:0.2%以下、B:0.01%以下、V:0.1%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.3%以下、Ni:0.3%以下、の1種または2種以上を含有することを特徴とする高張力冷延鋼板。
]成分組成が、質量%で、C:0.04%以上、0.20%以下、Si:0.39%以上、2.5%以下、Mn:1.0%以上、3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.03%以下、Sol.Al:0.01%以上、0.10%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物である鋼素材を、熱間圧延し、冷間圧延した後、連続焼鈍プロセスにより焼鈍するに際し、Ac変態点以上の温度で焼鈍したのち、650〜750℃から400℃/sec以上の平均冷却速度で急速冷却し、次いで、100〜450℃の温度で、100〜1200sec保持する焼戻処理を行った後、鋼板表面の平均粗さRaが1.4μm以上となるように調質圧延を施すことを特徴とするマルテンサイトを面積率で70%以上有する引張強さが980MPa以上の高張力冷延鋼板の製造方法。
[4]上記[]において、鋼素材が、成分組成として、さらに、質量%で、Nb:0.1%以下、Ti:0.2%以下、B:0.01%以下、V:0.1%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.3%以下、Ni:0.3%以下、の1種または2種以上を含有することを特徴とする高張力冷延鋼板の製造方法。
本発明によれば、引張強さが980MPa以上の高張力冷延鋼板、特に、マルテンサイト面積率が70%以上の高張力冷延鋼板に対して、優れた伸びフランジ性を有するとともに、良好な鋼板形状(所定の平坦度)を有する高張力冷延鋼板及び高張力冷延鋼板の製造方法が提供される。本発明の高張力冷延鋼板は、良好な伸びフランジ性や成形加工後に良好な部品形状が求められる自動車骨格構造部品など、自動車軽量化部品への適用に好適であり、また、高強度で加工性の求められる建材用途、家電用途の素材としても十分に適用できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例を説明する。
本発明に係る高張力冷延鋼板は、調質圧延後の鋼板表面の平均粗さRaが1.4μm以上であって、マルテンサイト面積率が70%以上を有する引張強さが980MPa以上の高張力冷延鋼板である。
以下、本発明に係る各構成要件について詳細に説明する。
一般に、引張強度が980MPa以上の高張力冷延鋼板は、変態組織強化(オーステナイトからのマルテンサイト変態による焼入れ強化)を活用して製造されているが、連続焼鈍においてマルテンサイトを多く含む鋼板を製造する場合、マルテンサイト変態時の塑性ひずみと冷却時の熱ひずみにより、鋼板形状が劣化する(板幅方向に反る)という問題が発生する。こうした問題に対して、本発明者等は、調質圧延後の鋼板表面の平均粗さRaが1.4μm以上となるように調質圧延を施すことにより、高張力冷延鋼板の形状が著しく改善できることを見出した。つまり、鋼板表面の平均粗さRaが1.4μm以上となるように調質圧延を施す際において、ロール表面粗度が比較的大きい(表面凹凸の比較的大きい)圧延ロールを用いて調質圧延を行うことにより、ロール表面の凸部に荷重集中が起こり、鋼板の表層のみの伸長効果で鋼板表面の歪が緩和され、反りが低減する(例えば、反り量が10mm以下を得ることが可能となる)。
このような鋼板表層の伸長効果を利用した調質圧延の場合には、調質圧延時の圧延荷重を下げることができ、鋼板の深さ方向(鋼板内部)への加工ひずみの導入が小さくなり、加工硬化を防止できる。その結果、調質圧延による鋼板の延性の低下を防止できる。
調質圧延後の鋼板表面の平均粗さRaが1.4μm以上となるように調質圧延を行うには、例えば、表面平均粗さRaが5.0〜10.0μmの圧延ロールを有する圧延設備を用いて伸び率が0.1%以上の調質圧延を施すことで実現できる。ロール表面に所期した表面粗度を付与する方法としては、放電ダル加工、レーザーダル加工、ショットブラスト加工などの方法を用いることができる。
また、調質圧延後の鋼板表面の平均粗さRaが1.4μm未満となるような場合(従来の調質圧延)、鋼板表層部において上述の伸長効果は得られない。このため、鋼板形状を矯正するには、高い圧延荷重を付与することが必要となり、圧延性(生産能率、ロール磨耗等)や鋼板延性の低下が問題となる。
このように、鋼板表面の平均粗さRaが1.4μm以上となるように調質圧延を行うことで鋼板内部の加工硬化が防止され、延性を低下させずに形状矯正が可能となり、加工性に優れる鋼板が得られる。なお、表面粗度が2.2μm以上となると表面粗さが高いことに起因して高速プレス加工などにおける摩擦係数増加による成形性の低下や塗装密着性を劣化させる懸念がある。そのため、鋼板表面の平均粗さRaは1.4μm以上、2.2μm未満が好ましい。また、安定した形状矯正効果を得る為には平均粗さRaは1.6μm超、2.2μm未満がより好ましい。
引張強度が980MPaより低い冷延鋼板は降伏強度が低く、またマルテンサイト面積率が70%未満のフェライト−マルテンサイト冷延鋼板は、フェライトの歪緩和により形状矯正を行えるため、もともと高い圧延荷重で形状矯正を行う必要がなく、加工硬化による延性の低下は問題とならない。しかしながら、マルテンサイト面積率が70%より低いと、軟質なフェライトと、より硬質なマルテンサイトとの相界面の面積率が増大するため、伸びフランジ成形時に、フェライト/マルテンサイト界面への応力集中が多く発生し、伸びフランジ割れが発生する。このため、本発明では、マルテンサイト面積率を70%以上とし、好ましくは、90%以上である。
従って、良好な伸びフランジ性を有するとともに、鋼板表面の平均粗さRaが1.4μm以上となるように調質圧延を施すことによる調質圧延時の圧延荷重低減、形状矯正効果を得るには、マルテンサイト面積率が70%以上を有する引張強さ980MPa以上の高張力冷延鋼板において有効に機能する。また、鋼板の引張強度が1470MPaを超えると、延性、伸びブランジ性が低くなり、プレス成形が極めて困難となる。プレス成形性を考慮し、引張強度は1470MPa以下とするのが好ましい。
ここで、前記平均粗さRaは、「JIS B 0601」に基づき、表面の粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取りの部分の平均線の方向にx軸を、縦倍率の方向にy軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、次式(1)によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
Figure 0005151354
なお、本発明における鋼板表面の平均粗さRaの値としては、鋼板表面の代表位置における上式(1)で求めたRaの値としてもよく、また、鋼板表面の複数位置において測定したRaの値を平均した値としてもよい。なお、通常、基準長さとしては4mm(カットオフ0.8mm)が用いられる。
本発明に係る冷延鋼板では、所望の引張強度と鋼板組織を安定して得るために、鋼の成分組成として、質量%で、C:0.04%以上、0.20%以下、Si:2.5%以下、Mn:1.0%以上、3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.03%以下、Sol.Al:0.01%以上、0.10%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とする。さらに、Nb:0.1%以下、Ti:0.2%以下、B:0.01%以下、V:0.1%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.3%以下、Ni:0.3%以下、の1種または2種以上を含有することができる。
以下、これらの各成分の限定理由を説明する。
[C]
C量が増えるほどマルテンサイト硬度が増大する。所期したマルテンサイト面積率と引張強度を安定的に得るためには、C量は0.04%以上必要である。しかし、C量が0.20%を超えると、スポット溶接性が劣化する。このため、C量は0.04%以上0.20%以下とした。
[Si]
Siは、製鋼過程における脱酸元素として、また鋼を強化するのに有効な元素であるが、Si量が2.5%超えると化成処理性を損なう。このため、Si量は2.5%以下とした。また、特別な表面処理を行わないで化成処理性を保つ為には、1.5%以下が好ましい。
[Mn]
Mnは、高強度化に有効な元素であり、所望のマルテンサイト面積率と引張強さ(980MPa以上)を得るためには、1.0%以上必要である。しかし、Mn量が3.0%超えると、連続鋳造時にスラブ割れが発生しやすくなる。このため、Mn量は1.0%以上、3.0%以下、好ましくは1.0%以上、2.5%以下とする。
[P]
Pは、その含有量が0.1%を超えると耐二次加工性の劣化やスポット溶接性の低下(ナゲット部の脆化による十字引張強度の低下)の問題が発生する。このため、P量は0.1%以下、好ましくは0.05%以下とする。
[S]
Sは、伸びフランジ特性を劣化させるので極力低減することが好ましい。S量が0.03%を超えると、その悪影響がとくに大きくなる。このため、S量は0.03%以下、好ましくは0.005%以下とする。
[Sol.Al]
Sol.Alは、製鋼過程における脱酸作用のため0.01%以上含有する必要がある。しかし、Sol.Al量が0.10%を超えてもその効果は飽和するので0.10%以下とする。このため、Sol.Al量は0.01%以上、0.10%以下、好ましくは0.01%以上、0.05 %以下とする。
本発明の高張力冷延鋼板は上記の成分組成を必須成分とし、残部はFeおよび不可避的不純物とするが、以下の成分については所定の範囲で含有することができる。
[Nb,Ti,B,V,Cr,Mo,Ni]
Nb,Ti,B,V,Cr,Mo,Niの各元素は、焼入れ硬化能を発現するのに有効であるため、これらの1種または2種以上を含有しても良い。これらの元素を含有させる場合、Nb:0.01%以上、Ti:0.01%以上、B:0.001%以上、V:0.01%以上、Cr:0.03%以上、Mo:0.05%以上、Ni:0.05%以上含有することが好ましい。しかし、これらは高価な元素であり、多量の添加はコスト上昇になることから、上限をNb:0.1%以下、Ti:0.2%以下、B:0.01%以下、V:0.1%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.3%以下、Ni:0.3%とした。
本発明の高張力冷延鋼板は、上述した鋼板表面粗さ、マルテンサイト面積率、引張強度を有する冷延鋼板である。本発明の冷延鋼板を製造するための製造方法の一実施形態について、以下に説明する。
本発明の製造方法は、上記の成分組成を有する鋼素材を用いて、熱間圧延し、冷間圧延した後、連続焼鈍プロセスにより焼鈍するに際し、Ac1変態点以上の温度で焼鈍したのち、650〜750℃から400℃/sec以上の平均冷却速度で急速冷却し、次いで、100〜450℃で、100〜1200sec保持する焼戻処理を行った後、鋼板表面の平均粗さRaが1.4μm以上となるように調質圧延を施すことを特徴とするマルテンサイトを面積率で70%以上を有する引張強さが980MPa以上の高張力冷延鋼板の製造方法である。
熱間圧延、酸洗、冷間圧延の工程では、スラブ加熱温度、熱延終了温度、熱延巻取温度、酸洗処理、冷間圧延率を、例えば、以下のような条件で行うことができる。
[スラブ加熱温度]
スラブ加熱温度が1050℃未満では、熱延仕上げ温度が低下(Ar変態点より低下)し、この結果、熱延組織が板厚方向で不均一になる恐れが生じ、また、スラブ加熱温度が1300℃を超えると、鋼板表層のSi,Mn粒界酸化が増加し、表面性状が低下するばかりか、スケール量の増加に伴い歩留りが低下する懸念がある。そのため、スラブ加熱温度の範囲は、好ましくは1050℃以上1300℃以下、より好ましくは1150℃以上1250℃以下とする。なお、省エネルギーの観点から、連続鋳造スラブを再加熱したり、連続鋳造後にAr変態点以下に降温したりすることなく、直ちに若しくは保温処理を施した後、熱間圧延を行うこともできる。
[熱延終了温度]
熱延終了温度は、圧延負荷、熱延組織の均一化の観点からAr変態点以上とするのが好ましい。
[熱延巻取温度]
熱延後の巻取温度が650℃を超えると、鋼板表層においてのSi,Mn粒界酸化が増加し、冷間圧延・連続焼鈍後に表層部の粒界酸化に起因した表面品質不良が発生する懸念がある。そのため、熱延巻取温度は650℃以下とするのが好ましい。また、450℃を下回ると材質硬化するので、冷間圧延が困難となることから450℃以上とすることが好ましい。
[酸洗処理]
熱延後の表層酸化層を除去するため酸洗処理を行う。ここで、酸の種類や方法については、通常の方法に従えば良く、条件を規制する必要はない。
[冷間圧延率]
冷間圧延率は、本発明の鋼板の材質、組織を制御する観点からは特に規定する必要はないが、圧延時の負荷の観点から70%以下が好ましい。
[焼鈍(熱処理)]
焼鈍(熱処理)は、Ac1変態点以上の温度域まで加熱し均熱を行う。Ac変態点未満では、水焼入れ後にマルテンサイト組織を得ることが出来ない為、焼鈍温度はAc変態点以上とする。Ac変態点は、実測しても求めても良いし、また、計算式(Ac変態点(℃)=723−10.7×(質量%Mn)+29.1×(質量%Si))を用いて求めても良い。
焼鈍後の冷却において、650〜750℃から400℃/sec以上の平均冷却速度で急速冷却する。冷却開始温度が650℃より低いと、冷却中にフェライトが多く生成し、所望のマルテンサイト面積率を得ることが難しくなり、また冷却開始温度が750℃を超えると、冷却収縮応力が増加し、本発明を用いても形状矯正できないほどの大きな反りが発生する。また、平均冷却速度が400℃/sec未満では、冷却中にフェライト、パーライト変態が促進し、マルテンサイト組織を安定して得ることが困難となる。このため、冷却開始温度を650〜750℃、平均冷却速度を400℃/sec以上とするのが好ましい。このような急速冷却を行う方法としては、例えば、気水冷却、ミスト冷却、水スプレー冷却、水ディップ冷却等の何れかの方法を用いることで行うことができる。
[焼戻処理]
上記の条件にて、Ms点以下まで急速冷却したのち、焼戻処理を行う。焼戻処理は、鋼板の靭性を改善するため、100℃以上で行うのが好ましい。また、焼戻処理温度が高温になるとマルテンサイト内にセメンタイトなどの炭化物が生成し、鋼板が脆化してしまうため、焼戻処理温度は450℃以下が好ましい。また、上記の焼戻処理温度で処理する時間は100〜1200secが好ましい。この時間が100sec未満では靭性の向上が十分に得られず、1200secを超えると、焼戻処理温度が450℃以下でも炭化物の生成量が増加し鋼板の脆化を招くことから好ましくない。
焼戻処理したのち、調質圧延を鋼板表面の平均粗さが1.4μm以上となるように行う。鋼板表面の平均粗さをこのような範囲に制御するには、例えば、表面平均粗さRaが5.0〜10.0μmの圧延ロールを有する圧延設備を用いて伸び率が0.1%以上の調質圧延を施すことで実現できる。ロール表面に所期した表面粗度を付与する方法としては、放電ダル加工、レーザーダル加工、ショットブラスト加工などの方法を用いることができる。
表1に示す成分組成を有する鋼を溶製、鋳造し、スラブ(鋼素材)を製造したのち、熱間圧延(スラブ加熱温度:1250℃、熱延終了温度:870℃、巻取温度:560〜620℃)、冷間圧延(圧延率:50〜70%)を施し、板厚1.2〜1.8mmの冷延鋼板を製造した。得られた冷延鋼板に、表2に示す条件にて連続焼鈍、調質圧延を行い、高張力冷延鋼板を製造した。
こうして得られた高張力冷延鋼板の表面平均粗さ、組織面積率、反り量、引張特性、穴拡げ率を測定した。なお、鋼板の表面平均粗さは、触針式の2次元粗さ計を用いて、JIS B 0601に準拠した表面粗さ(基準長さ4mm、カットオフ0.8mm)を求めた。また、金属組織は、圧延方向に平行な断面を有する試料面を機械研磨した後、1〜5%硝酸エタノールで腐食し、顕微鏡にて撮影した組織写真を用いて、面積率を定量化した。
また、鋼板の反り量は、図1に示すように、鋼帯の状態で圧延方向に対して垂直方向の山と谷の最大高さを反り量として測定した。
引張特性は、試験片の長手方向が圧延方向に平行なJIS5号試験片を用いて、JIS Z 2241に基づく引張試験を実施して求めた。
さらに、穴拡げ率(λ)は、JFST1001(日本鉄鋼連盟規格)に基づく穴拡げ試験を行い求めた。
上記特性の評価結果を表2に併せて示す。
Figure 0005151354
Figure 0005151354
本発明例(鋼番No.1,2,8,11)では、いずれも鋼板表面の平均粗さが1.4μm以上であり、マルテンサイト面積率が70%以上で、引張強度が980MPa以上を満足していた。さらに、鋼板形状は良好であり(反り量は10mm以下)、また、高い穴拡げ率を有していることから、伸びフランジ性にも優れている。
これに対し、鋼板表面の平均粗さが本発明範囲を外れる比較例(鋼番No.3,4,6,7,9,10,12,13)は、鋼板形状、延性のいずれかの特性が低下している。ここで、比較例(鋼番No.3,6,9,12)は、表面の平均粗さが低い圧延ロールを用いて、伸長率を高めて鋼板形状を矯正したものであるが、鋼板の延性が低下するばかりか、圧延性が問題(圧延負荷の増大、能率の低下)となる。また、比較例(鋼番No.14〜16)は、マルテンサイト面積率が本発明範囲から外れるため、λが低く、伸びフランジ性が劣化している。
本発明に係る実施例において、鋼板の反り量を測定する方法を説明するための図である。

Claims (4)

  1. 鋼の成分組成が、質量%で、C:0.04%以上、0.20%以下、Si:0.39%以上、2.5%以下、Mn:1.0%以上、3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.03%以下、Sol.Al:0.01%以上、0.10%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物であり、調質圧延後の鋼板表面の平均粗さRaが1.4μm以上であり、マルテンサイト面積率が70%以上を有することを特徴とする引張強さが980MPa以上の高張力冷延鋼板。
  2. 鋼の成分組成として、さらに、質量%で、Nb:0.1%以下、Ti:0.2%以下、B:0.01%以下、V:0.1%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.3%以下、Ni:0.3%以下、の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項に記載の高張力冷延鋼板。
  3. 成分組成が、質量%で、C:0.04%以上、0.20%以下、Si:0.39%以上、2.5%以下、Mn:1.0%以上、3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.03%以下、Sol.Al:0.01%以上、0.10%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物である鋼素材を、
    熱間圧延し、冷間圧延した後、連続焼鈍プロセスにより焼鈍するに際し、Ac変態点以上の温度で焼鈍したのち、650〜750℃から400℃/sec以上の平均冷却速度で急速冷却し、次いで、100〜450℃の温度で、100〜1200sec保持する焼戻処理を行った後、鋼板表面の平均粗さRaが1.4μm以上となるように調質圧延を施すことを特徴とするマルテンサイトを面積率で70%以上有する引張強さが980MPa以上の高張力冷延鋼板の製造方法。
  4. 鋼素材が、成分組成として、さらに、質量%で、Nb:0.1%以下、Ti:0.2%以下、B:0.01%以下、V:0.1%以下、Cr:0.3%以下、Mo:0.3%以下、Ni:0.3%以下、の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項に記載の高張力冷延鋼板の製造方法。
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