JP5391578B2 - 制振装置及び車両 - Google Patents

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Description

本発明は、発生する振動を抑制する制振装置及びこれを備えた車両に関する。
従来から車両のエンジンの出力トルク変動により生じた車両振動について、加振手段によって制振力を発生させて積極的に加振させることで、車両振動を打ち消す制振装置が知られている。より具体的には、このような制振装置としては、振動発生源となるエンジンに設けられた加振手段となるリニアアクチュエータと、振動発生源となるエンジンの回転数を検出する手段と、制振するべき位置における振動を検出する振動検出手段と、検出されたエンジンの回転数及び制振するべき位置の振動に基づいてリニアアクチュエータに加振指令を出力する適応制御アルゴリズムとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この制振装置では、適応制御アルゴリズムによってエンジン回転数と制振するべき位置で現在検出されている振動に応じた最適な振幅と位相とを有する加振指令を出力することが可能であり、これにより加振手段から発生する制振力によって振動発生源となるエンジンから発生し、座席部など制振するべき位置に伝達される振動を低減させることができるものである
また、車両に加振機と、加振機の設置箇所から車室内の所定点までの振動伝達特性を記憶した特性マップと、加速度センサによる検出信号と振動伝達特性とから車室内の所定点における振動を予測するデジタルフィルタとを備え、予測した振動を低減するように加振機によって振動を与えることによって振動を低減する装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
一方,往復動を行う加振手段として,可動子が,固定子に対して往復動可能であるように弾性支持部(板バネ)によって支持されたリニアアクチュエータが知られている(例えば,特許文献3参照)。このリニアアクチュエータは,可動子が摩耗しないため,長期間にわたって使用した後でも軸支持の精度が低下しない。また,可動子に摺動抵抗が作用しないため,摺動抵抗による消費電力の損失が少ない。さらにまた,嵩の張るコイルと弾性支持部とを近接して配置できるので,リニアアクチュエータを小型化できるという特徴がある。
特許文献3に記載されたリニアアクチュエータは,駆動時の反力によって,制振しようとする対象機器が発生している振動を相殺することができる。すなわち,制振対象機器の振動加速度に対して,アクチュエータの発生反力が逆位相になるように電流指令を印加することにより,アクチュエータは制振対象機器の振動を低減することができる。なお,一般的には,アクチュエータの反力を増加させるため,可動子には補助質量(おもり)が付与される。このようなリニアアクチュエータを用いた制振装置を自動車の車体に取り付けることにより,自動車のエンジンから車体に加わる力を相殺することができるため,車体の振動を低減することができる。
特開平10−049204号公報 特開平08−226489号公報 特開2004−343964号公報
ところで、特許文献1に示す制振装置は、加振手段であるリニアアクチュエータを車体の振動発生源であるエンジン近傍に装着しているが、例えば特許文献3に記載されたリニアアクチュエータを加振手段として車体に後付けしようとしても、設置スペースの都合上、エンジン近傍や制振するべき位置近傍に装着できない場合がある。このような場合、加振手段の装着位置をエンジンや制振するべき位置から離す必要があるが、振動発生源(エンジン)、加振手段(リニアアクチュエータ)、制振するべき位置(座席部)が異なることになるため、最適な制振力を得られないという問題がある。すなわち、振動発生源から制振するべき位置までの伝達特性と、加振手段が設けられた位置から制振するべき位置までの伝達特性が異なるため、加振手段によって発生させるべき制振力の振幅と位相を、エンジン回転数から一意に決めることができなくなるのである。なお、各伝達特性は、車体の剛性や、加振手段の指令に対する応答性や、加速度センサのフィルタ特性などによって決定される。
このような問題を解決するために、特許文献2の制振装置は、振動伝達特性に基づいて、発生している振動を予測し、加振手段によって発生させるべき制振力の位相と振幅を求めるようにしたため、振動伝達特性を考慮して、振動抑制制御を行うことができる。
ところで、特許文献3に記載されたリニアアクチュエータを加振手段として用い、補助質量を振動させたときの反力による制振力を使用して、対象機器の制振制御を行う場合、制御対象機器の振動状態値に基づいて求めた振幅指令値及び周波数指令値に応じて、リニアアクチュエータに対して印加する電流値を制御することにより、自動車のエンジンから車体に加わる力を相殺することにより車体の振動を低減することができる。この制振制御を行う場合に、制御対象機器の振動状態値に対して、収束ゲインを掛けることによって、制御の応答性の調整が行われる。一般に、この収束ゲインの値を大きくすると、制御の速応性が向上し、制御結果の目標値に近くすることができる。
しかしながら、この収束ゲインを大きくしすぎると制御系の動作が不安定になり、発振現象が発生しやすくなるという問題がある。特に、制振対象周波数を選択的に制御する場合においては、制振力を発生させる加振手段の共振周波数と制振対象振動周波数が近接している場合に、ゲインを大きくしすぎると、制御系のループゲインが大きくなりすぎて制御動作が不安定になってしまい十分な制振効果を得ることができないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、制振対象周波数を選択的に制御する場合において、制御系の動作を安定させて十分な制振効果を得ることができる制振装置及び車両を提供することを目的とする。
本発明は、振動発生源に起因して生じる制振するべき位置の振動を検出して振動信号として出力する振動検出手段と、前記制振するべき位置と異なる位置または同じ位置に設けられ、固定子に対して可動子を往復動させることによって前記振動を打ち消すために制振力を発生させる加振手段と、前記振動発生源が発生する振動の周波数を検出する周波数検出手段と、制振すべき位置の振動の共振周波数に近いほどゲインが小さくなるように設定した収束ゲインの値が振動の周波数毎に予め関係付けられて記憶され、前記周波数検出手段が検出した周波数に関係付けられた収束ゲインの値を前記振動検出手段が出力した振動信号に対して乗算するゲイン乗算手段と、前記ゲイン乗算手段により前記収束ゲインの値が乗算された振動信号に基づいて、前記加振手段が発生するべき制振力の加振指令を出力する加振指令発生手段とを備えたことを特徴とする。
この構成においては、周波数検出手段が振動発生源が発生する振動の周波数を検出すると、ゲイン乗算手段が、振動源の振動の周波数に関係付けられた収束ゲインの値を振動検出手段が出力した振動信号に対して乗算する。そして、加振指令発生手段が、ゲイン乗算手段により収束ゲインの値が乗算された振動信号に基づいて、加振手段が発生するべき制振力の加振指令を出力する。すると、加振手段は、加振指令発生手段から出力された加振指令に基づいて制振力を発生させる。
そのため、制振するべき振動の周波数が変化しても、振動の周波数に応じた収束ゲインが乗算された振動信号に基づいて加振指令が発生されるため、発振現象等を発生させることなく安定的に制振制御を実施することができ、期待する制振効果を得ることができる。
ここで、収束ゲインは、制御系のゲイン特性等を考慮して制振するべき振動の周波数毎に予め求めた最適値を記憶しておいた値である。
また、本発明の車両は、制振装置を備えることを特徴としている。
この発明によれば、制振装置により安定的に振動を減衰させることができるため、発振現象の発生などで制振効果の低減によって生じる違和感を乗員に与えることを防止することができる。
本発明によれば、ゲイン乗算手段が、振動源の振動の周波数に関係付けられた収束ゲインの値を振動検出手段が出力した振動信号に対して乗算する。このため、制振するべき振動の周波数が変化しても、振動の周波数に応じた収束ゲインが乗算された振動信号に基づいて加振指令が発生されるため、発振現象等を発生させることなく安定的に制振制御を実施することができ、期待する制振効果を得ることができるという効果が得られる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による制振装置を説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、自動車等の車両を走行させるための駆動力を発生するために車両に搭載されたエンジン(振動発生源)であり、車両内に発生する振動の発生源である。符号10は、所定の質量を有する補助質量11を備え、この補助質量11を振動させることにより得られる反力によって車両内に発生する振動を抑制するための制振力を発生するリニアアクチュエータ(以下、「アクチュエータ」(加振手段)と称する)である。符号2は、車両の車体フレームであり、エンジンマウント1mによってエンジン1が搭載されるとともに、所定の位置にアクチュエータ10が装着される。ここでは、アクチュエータ10は、車体フレーム2に発生する上下方向(重力方向)の振動を抑制制御するものとする。
符号3は、アクチュエータ10に制振力を発生させて、車両内に発生する振動を抑制する制御を行う制御部である。符号4は、制御部3から出力される指令値に基づいて、アクチュエータ10を駆動するための電流をアクチュエータ10に対して供給するアンプである。符号5は、車両内の乗員用の座席6の近傍に装着された加速度センサ(振動検出手段)である。制御部3は、エンジン1から出力されるエンジンパルス信号やエンジン回転数情報等(点火タイミング信号)と、加速度センサ5から出力される加速度センサ出力信号に基づいて、アクチュエータ10を駆動するための加振指令を求めて、アンプ4へ出力する。アンプ4は、この加振指令に基づいて、アクチュエータ10に対して供給するべき電流値を求めてアクチュエータ10へ供給することにより、補助質量が往復運動(図1に示す例では、上下方向の運動)を行い、その反力を使用して、発生している振動を低減することができる。
ここで、図2を参照して、図1に示すアクチュエータ10の詳細な構成を説明する。図2は、図1に示すアクチュエータ10の詳細な構成を示す図である。この図において、符号12は、永久磁石を備える固定子であり、車体フレーム2に固定される。符号13は、可動子であり、抑制するべき振動方向と同方向の往復動(図2の紙面では上下動)を行う。ここでは、車体フレーム2の抑制するべき振動の方向と可動子13の往復動方向(推力方向)とが一致するように、車体フレーム2に固定される。符号14は、可動子13及び補助質量11を推力方向に移動可能なように支持する板バネであり固定子12に固定されている。符号15は、可動子13と補助質量11を接合する軸であり、板バネ14によって支持されている。アクチュエータ10と補助質量11によって、動吸振器が構成されていることになる。
次に、図2に示すアクチュエータ10の動作を説明する。アクチュエータ10を構成するコイル(図示せず)に交流電流(正弦波電流、矩形波電流)を流した場合、コイルに所定方向の電流が流れる状態では、磁束が、永久磁石においてS極からN極に導かれることにより、磁束ループが形成される。その結果、可動子13には、重力に逆らう方向(上方向)に移動する。一方、コイルに対して所定方向とは逆方向の電流を流すと、可動子13は、重力方向(下方向)に移動する。可動子13は、交流電流によるコイルへの電流の流れの方向が交互に変化することにより以上の動作を繰り返し、固定子12に対して軸15の軸方向に往復動することになる。これにより、軸15に接合されている補助質量11が上下方向に振動することになる。アクチュエータ10と補助質量11によって構成される動吸振器は、アンプ4から出力する電流制御信号に基づいて、補助質量11の加速度を制御して制振力を調節することにより、車体フレーム2に発生する振動を相殺して振動を低減することができる。
次に、図4を参照して、図1に示す車体フレーム2の振動伝達特性について説明する。ここでは、車体フレーム2の振動の振動源はエンジン1のみであるとし、車体フレーム2に発生する振動のうち、乗員用の座席(運転席)6付近で発生する振動を抑制するものとして説明する。エンジン1を駆動するためのエンジンパルスは、点火するタイミングで立ち上がるパルスであり、たとえば4気筒のエンジン1の回転数が1200rpmであれば40Hzのパルス信号となって出力されることになる(図4(a)参照)。このエンジンパルスに応じて、エンジン1の各気筒は、点火することになるため、この点火タイミングに同期した振動がエンジン1から発生することになる(図4(b)参照)。エンジン1において発生した振動波は、車体フレーム2を伝達して座席6に到達する。このときの車体フレーム2の振動伝達特性をG’とする。エンジン1で発生した振動は、車体フレーム2の振動伝達特性G’によって、位相が変化する(例えば、θ’だけ遅れる)とともに、振幅も変化して、座席6の振動として現れることになる。この振動波を加速度センサ5に検出することにより、座席6において発生する振動を検出することが可能となる(図4(c)参照)。加速度センサ5により得られた振動波の信号の逆位相の振動(図4の破線で示す振動波)を座席6の位置において発生すれば座席6に発生している振動を相殺することができるため、座席6の振動を抑制することが可能となる。
しかし、座席6の近傍に振動抑制のための制振力を発生する振動源を設けることは車両のレイアウトの制限上できない場合がある。そのため、図1に示すアクチュエータ10は、振動を抑制するべき位置(加速度センサ5が設けられている位置)とは異なる位置に設けなければならない場合がある。したがって、補助質量11を振動させることによって発生する制振力は、車体フレーム2を伝達して座席6に到達することになる。このとき、車体フレーム2の伝達特性Gによって、アクチュエータ10に発生させた振動波の位相と振幅が変化してしまう。このため、アクチュエータ10によって発生させるべき振動波は、アクチュエータ10の装着位置から加速度センサ5の装着位置(座席6の位置)までの振動伝達特性Gに基づく位相変化と振幅変化を考慮して(例えば、位相をθだけ早めたり、振幅を大きくするなど)、加速度センサ5の出力信号の逆位相の信号を生成する必要がある(図4(d)参照)。そこで、アクチュエータ10の装着位置から加速度センサ5の装着位置(座席6の位置)までの振動伝達特性Gに基づく位相変化と振幅変化を考慮して、制振力を発生させれば、期待する制振効果を得ることが可能となる。ただし、経年変化や温度変化等によって振動伝達特性Gが変化するため、本発明は、振動伝達特性の変化に応じて、アクチュエータ10が発生するべき振動波の補正を行うようにして、特性変化が生じることにより振動伝達特性が変化しても期待する制振効果を得ることができるようにするものである。
次に、図3を参照して、図1に示す制御部3がアクチュエータ10の装着位置から加速度センサ5の装着位置までの振動伝達特性Gに基づく位相変化と振幅変化を考慮して、制振力を発生させるための振動波の信号(加振指令)を生成する動作を説明する。制御部3は、振動波の信号を生成する場合に、振動伝達特性の変化に応じて、生成する振動波の位相を補正した信号を生成する。図3は、図1に示す制御部3の詳細な構成を示す制御ブロック図である。制御部3は、加速度センサ5の出力信号と、エンジン1のエンジンパルス信号を入力し、アンプ4に対して、加振指令を出力するものである。
初めに、制御部3がアクチュエータ10の装着位置から加速度センサ5の装着位置までの振動伝達特性Gに基づく位相変化と振幅変化を考慮して、制振力を発生させるための振動波の信号(加振指令)を生成する基本動作を説明する。
正弦波発振器32は、エンジン1から出力されるエンジンパルス信号を入力し、起振周波数検出部31によってエンジンパルス信号の周波数f検出して、この周波数fから、内蔵された図示しない電気角生成部によって基準角度ωtを生成し、該基準角度ωtから基準正弦波sin(ωt)と基準余弦波cos(ωt)を出力する。
一方、起振周波数検出部31が検出したエンジンパルス信号の周波数fを入力して、エンジンパルス信号の周波数近傍の周波数のみを通過させるBPF(バンドパスフィルタ)50により加速度センサ5から出力される加速度センサ出力信号のうち、エンジンパルス信号の周波数近傍の周波数成分の信号(Asin(ωt+φ))を得る。この信号がエンジン1を起振源として発生した振動の検出信号(振動信号)であるため、この信号の位相を反転した信号を生成し、この位相を反転した信号に対して、振動伝達特性Gの逆特性(1/G)を与えて、アンプ4へ出力することにより、エンジン1を起振源として発生した振動の制振制御を行う。
次に、BPF50から出力される信号(Asin(ωt+φ))に対して、乗算器53により収束ゲインを乗算して出力する。このとき、ゲイン設定部52は、起振周波数検出部31が検出したエンジンパルス信号の周波数fに対して関係付けられている収束ゲインμ0の値を乗算器53に対して出力する。乗算器53は、BPF50から出力される信号に対して、ゲイン設定部52から出力される収束ゲインの値を乗算して出力する。
ここで、図12を参照して、ゲイン設定部52内に予め記憶されている収束ゲインの値の例について説明する。図12において、ゲイン特性(入力に対する出力比)は、アクチュエータ10への加振指令に対する加速度センサ出力のゲイン特性を示している。収束ゲイン設定値は、起振周波数検出部31が検出する周波数fに対して、収束ゲイン値が定義されたものであり、ゲイン特性の値と収束ゲイン設定値を乗算すると,たとえば「1」になるように収束ゲイン設定値は定義されて、ゲイン設定部52内にテーブル化されて記憶されている。この収束ゲイン設定値は、制御系のゲイン特性等を考慮して制振するべき振動の周波数毎に予め求めた最適値が用いられる。ゲイン設定部52は、周波数fが入力されると、入力された周波数fに関係付けられた収束ゲイン設定値に基準ゲインを乗じた値を乗算器53に対して出力する。したがって、起振周波数検出部31が検出した周波数fの変動に応じて、収束ゲインの値も変動することになる。なお,テーブルは実験的に求めた周波数とゲインとの関係を用いても良い。
次に、乗算器53から出力する信号に対して、乗算器33、34によって基準正弦波sin(ωt)と基準余弦波cos(ωt)のそれぞれと乗算して、積分器35、36によって積分すると、積分器35、36から振幅補正成分と位相差成分の両方を有する信号がそれぞれ出力される。すなわち、積分器35からは−A’cosφ’が出力され、積分器36からは−A’sinφ’が出力されることになる。図3及び以下の説明において、振幅成分Aと位相成分φについて、「’」を付与した成分は、制御部3内において生成した成分であることを示し、「’」が付与されていない振幅成分Aと位相成分φは加速度センサ5によって検出した成分に基づく成分であることを示している。
値設定部37には、車体フレーム2の振動伝達特性Gの位相成分∠1/G(jω)と、振動伝達特性Gの振幅成分|1/G(jω)|が、周波数毎に関係付けられて予め記憶された2つのテーブルを備えている。値設定部37は、起振周波数検出部31が検出したエンジンパルス信号の周波数を入力し、この周波数から求めた周波数に関係付けられた位相成分∠1/G(jω)と振幅成分|1/G(jω)|を2つのテーブルからそれぞれ読み出し、位相成分をPとし、振幅成分を(1/G)として正弦波発振器38へ出力する。正弦波発振器38は、起振周波数検出部31によってエンジンパルス信号の周波数を検出した結果と、振動伝達特性Gの位相成分P、振幅成分(1/G)を入力する。そして、正弦波発振器38は、これらの入力値に基づいて、振動伝達特性Gの逆特性(∠1/G(jω)及び|1/G(jω)|)を乗算した基準正弦波(1/G)sin(ωt+P+Δp)と基準余弦波(1/G)cos(ωt+P+Δp)を出力する。ここで、Δpは、振動伝達特性Gの逆特性の位相成分Pを補正するための位相補正量であり、詳細については後述する。
そして、積分器35から出力される振幅補正成分と位相差成分である−A’sinφ’と基準余弦波(1/G)cos(ωt+P+Δp)とを乗算器39によって乗算し、積分器36から出力される振幅補正成分と位相差成分である−A’cosφ’と基準正弦波(1/G)sin(ωt+P+Δp)とを乗算器40によって乗算する。続いて、乗算器39と乗算器40の出力を加算器41によって加算すると、三角関数の加法定理に基づき、−(A’/G)sin(ωt+φ’+P+Δp)の信号が得られる。即ち、エンジンパルス信号の周波数近傍の周波数成分の信号(Asin(ωt+φ))に対して、位相を反転するための(−1)と、振動伝達特性Gの振幅成分(1/G)とが乗算されるとともに、位相補正量Δpを含む位相差成分(P+Δp)が位相成分に加算された信号が得られることになる。乗算器41から出力される信号(−(A’/G)sin(ωt+φ’+P+Δp))が、アクチュエータ10の装着位置から加速度センサ5の装着位置までの振動伝達特性Gに基づく位相変化と振幅変化を考慮して、制振力を発生させるための振動波の信号(加振指令)となる。
この加振指令をアンプ4へ出力すると、補助質量11が振動して制振力を発生することにより、加速度センサ5によって検出されるエンジン1が発生する振動が抑制されることになる。このとき、アクチュエータ10が補助質量を振動させることにより発生する制振力は、アクチュエータ10の装着位置から加速度センサ5の装着位置までの振動伝達特性Gに基づく位相変化と振幅変化を考慮した制振力であるため、振動を検出する位置(座席6の位置)と制振力を発生する位置が異なっていても発生する振動を効率よく抑制することができる。
また、起振周波数検出部31が検出する周波数fに応じた収束ゲインの値をBPF50を通過した加速度センサ出力信号に対して乗算するようにしたため、アクチュエータ10の伝達特性やゲイン特性を考慮して収束ゲインの補正を行うことが可能となり、制振対象の周波数が変動する場合であっても発振現象等を発生させることなく応性が高い制振制御を行うことができる。
次に、振動波の信号を生成する場合に、変化量抑制部42、位相補正部43、変化勾配抑制部45及びテーブル補正部49が、振動伝達特性の変化に応じて、生成する振動波の位相を補正した信号を生成する動作を説明する。
まず、テーブル補正部49は、積分器36が出力する振幅補正成分と位相差成分である−A’sinφ’と正弦波発振器32が出力する基準余弦波cos(ωt)とを乗算器46によって乗算した信号と、積分器35が出力する振幅補正成分と位相差成分である−A’cosφ’と正弦波発振器32が出力する基準正弦波sin(ωt)とを乗算器47によって乗算した信号とを、三角関数の加法定理に基づき加算器48によって加算した信号(−A’sin(ωt+φ’))を入力する。加算器48が出力する信号は、振動伝達特性Gを考慮して生成した信号となる。また、テーブル補正部49は、BPF50が出力する加速度センサ5から出力される加速度センサ出力信号のうち、エンジンパルス信号の周波数近傍の周波数成分の制限した信号(Asin(ωt+φ))を入力する。BPF50が出力する信号は、現時点で発生している振動を検出した信号となる。
次に、テーブル補正部49は、入力した2つの信号(−A’sin(ωt+φ’)とAsin(ωt+φ))の位相差を検出する。このとき、振動伝達特性Gに経年変化等がなければ、2つの信号は、ゼロクロスが一致し、2つの信号の位相は逆位相となる。一方、振動伝達特性Gに変化がある場合、ゼロクロスは一致せず、位相がずれた状態となる。テーブル補正部49は、位相ずれが発生している場合、BPF50の出力信号(発生している振動の検出信号)の位相に対する加算器48の出力信号(振動を打ち消すための振動波信号)の位相のずれの方向を求める。
ここで、図9〜図11を参照して、テーブル補正部49が入力した2つの信号(−A’sin(ωt+φ’)とAsin(ωt+φ))の位相ずれ、すなわち位相差が生じている状態について説明する。図9は、2つの入力信号の位相ずれが発生していない状態(ゼロクロスが一致している状態)を示す図である。図9に示すように、2つの信号の位相が一致(2つの信号は、位相が反転しているため、180°位相がずれている状態で位相が一致しているものとする)している場合、テーブル補正部49は、位相補正の必要がないと判定する。
また、図10は、制御部3内において生成した信号(−A’sin(ωt+φ’))が、検出によって得られた信号(Asin(ωt+φ))に対し、位相が進んでいる状態(ゼロクロスが一致していない状態)を示す図である。図10に示すように、生成した信号(−A’sin(ωt+φ’))が進んでいる場合、その位相差Δφを補正するべく決定されている位相補正量Δpを補正する。ここで、この位相補正量Δpは、正負の符号を有する値である。この補正は、生成した信号(−A’sin(ωt+φ’))の符号が負から正に変化するゼロクロスポイントにおいて、その時点での検出によって得られた信号(Asin(ωt+φ))の符号を検出し、符号が正である場合に、「位相進み」と判定し、今回の位相補正量Δp(f、n)が前回の位相補正量Δp(f、n−1)に対して以下の式に示すように予め設定された固定角度h(例えば1°)だけ減算する。
Δp(f、n)=Δp(f、n−1)−h
また、図11は、制御部3内において生成した信号(−A’sin(ωt+φ’))が、検出によって得られた信号(Asin(ωt+φ))に対し、位相が遅れている状態(ゼロクロスが一致していない状態)を示す図である。図11に示すように、生成した信号(−A’sin(ωt+φ’))が遅れている場合、同様に、その位相差Δφを補正するべく決定されている位相補正量Δpを補正する。この補正は、同様にゼロクロスポイントにおいて、その時点での検出によって得られた信号(Asin(ωt+φ))の符号が負である場合に、「位相遅れ」と判定し、今回の位相補正量Δp(f、n)が前回の位相補正量Δp(f、n−1)に対して以下の式に示すように予め設定された固定角度h(例えば1°)だけ加算する。
Δp(f、n)=Δp(f、n−1)+h
そして、テーブル補正部49は、求めたΔpの値と、起振周波数検出部31から出力される周波数fとに基づいて、補正値テーブル44を更新する。図5に図3に示す補正値テーブル44のテーブル構造を示す。図5に示すように、補正値テーブル44は、周波数毎に、位相補正量(Δp)が関係付けられて記憶されるテーブルであり、このテーブルの位相補正値の初期値は、全ての周波数について、「0」が記憶されているものである。補正値テーブル44は、不揮発性メモリから構成され、電源が切断されても記憶内容は保持される。
テーブル補正部49は、補正値を更新する場合、更新しようとする周波数に関係付けられた位相補正値を読み出し、この位相補正値に対して、位相ずれを直すための所定の補正値を加算する。例えば、図5に示す例では、周波数fが40Hzの場合、位相補正量Δpは、前回の状態で「−1°」と定義されている(Δp(40Hz、n−1)=−1°)。このとき、「位相遅れ」が検出されたならば、以下の式に示すように、前回の位相補正量Δp(40Hz、n−1)に対して、予め決定されている値(例えば、1°)だけ加算する。
Δp(40Hz、n)=Δp(40Hz、n−1)+1°=0°
ここで、加算する値を所定の小さい値としているのは、位相ずれ量を正確に求めるには、演算量が増大すること、一度の補正で大きい補正を行うと制御が不安定になる可能性があることが理由である。経年変化による特性の変化は、短い時間で変化するものではないため、一度に補正する値は小さい値にしておき、制御動作を安定に保ったまま徐々に補正しようとするものである。この動作によって、補正値テーブル44は、常に特性変化に伴う振動伝達特性Gが変化した場合の位相補正値が記憶されることになる。
一方、変化量抑制部42は、制御周期毎に出力したPの値を内部に保持しておき、値設定部37から出力されるPの値と、前回出力されたPの値と比較し、新たに出力しようとするPの値と前回出力されたPの値との差が、予め決められた所定値(変化可能上限値)より大きい場合に、前回出力されたPの値との差が所定値を超えないように、新たに出力しようとする値を修正して出力する(図6参照)。このように、制御周期毎に出力されるPの値の変化量が所定値を超えないように抑制するようにしたため、制御が発散することなく安定的に制御を実施することができる。
次に、位相補正部43は、起振周波数検出部31から出力される周波数に関係付けられた位相補正量(Δp)を補正値テーブル44から読み出し、この読み出した位相補正値を、変化量抑制部42から出力される信号に加算する。位相補正値が加算された信号(P+Δp)は、変化勾配抑制部45に入力する。変化勾配抑制部45は、制御周期毎に出力したP+Δpの値を内部に保持しておき、前回出力されたP+Δpの値から新たに出力しようとするP+Δpの値(位相補正されたPの値)へ変化する場合の変化勾配が緩やかになるように新たに出力しようとする値を修正して出力する(図7参照)。すなわち、新たに出力しようとするP+Δpの値にする場合に、1制御周期間には、予め決められた変化勾配制限値sずつP+Δpの値を変化させて、図7の例では、前回のP+Δpの値から新たに出力しようとするP+Δpの値までに4制御周期を費やして変化させることにより、変化勾配を緩やかにする。このように、制御周期毎に出力されるP+Δpの値の変化勾配が所定の変化勾配なるように変化勾配を抑制するようにしたため、制御が発散することなく安定的に制御を実施することができる。
ここで、変化勾配制限値sとは、固定角度hよりも小さな値の制御値をいうものであり、例えば、固定角度hの1/20(0.05)に設定される。
この位相補正がなされたP+Δpの値は正弦波発振器38へ入力して、前述した基本動作によって、アクチュエータ10の装着位置から加速度センサ5の装着位置までの振動伝達特性Gに基づく位相変化と振幅変化を考慮して、制振力を発生させるための振動波の信号(加振指令)が生成されることになる。ここで、生成される振動波の信号(加振指令)は、位相補正部43によって、振動伝達特性の変化に応じた位相補正がなされた信号となる。
なお、テーブル補正部49が補正値テーブル44に記憶されている補正値を更新する場合に、補正するべき振動周波数の補正値を更新するともに、この補正するべき振動周波数の近傍の振動周波数の補正値に対して補正するべき振動周波数の補正量に所定値を乗算した補正量を加算して更新するようにしてもよい。例えば、図8及び以下の式に示すように、振動周波数f40Hzの位相補正量Δp「0」に対して所定値「1」を加算して「+1」に更新する場合、40Hzの近傍の振動周波数f39.9Hz及び40.1Hzの補正値「0」に対して、所定値「1」の1/2である「0.5」を加算する。さらに、39.8Hzと40.2Hzの補正値「0」に対して、所定値「1」の1/4である「0.25」を加算する。このようにすることによって、1つの周波数の補正値のみが大きくなってしまうことを防止することができ、周波数毎の補正値の変化を連続的することができるため、位相補正を安定的に行うことが可能となる。
Δp(39.8Hz、n)=Δp(39.8Hz、n−1)+0.25°
Δp(39.9Hz、n)=Δp(39.9Hz、n−1)+0.5°
Δp(40.0Hz、n)=Δp(40.0Hz、n−1)+1°
Δp(40.1Hz、n)=Δp(40.1Hz、n−1)+0.5°
Δp(40.2Hz、n)=Δp(40.2Hz、n−1)+0.25°
また、位相補正部43は、位相補正を実施する場合に、不感帯を設け、予め決められたしきい値より小さい位相ずれに対して位相補正を行わないようにしてもよい。このようにすることにより、位相安定時における制振振動周波数が変動することを軽減することができる。このため、制振するべき位置における振動の状態をより安定的なものとしつつ、経年変化や温度変化等による振動伝達特性の変化に対して好適な制振効果を得ることができる。
また、位相補正部43は、振動発生源(エンジン1)からの振動が安定しているときに位相の補正動作を実施するようにしてもよい。ここでいう「振動が安定している」とは、検出した振動周波数の値が、予め決められた回数連続したことをいう。このようにすることにより、振動信号の周波数の変動が過渡的なときに補正が行われることを防止し、振動信号の周波数が安定しているときにのみ位相の補正を行うことができる。このため、制振するべき位置における振動の状態が不安定化することを防止しつつ、経年変化や温度変化等による振動伝達特性の変化に対して好適な制振効果を得ることができる。
また、位相補正部43は、アンプ4へ供給されている加振指令が安定しているときに位相の補正動作を実施するようにしてもよい。ここでいう「加振指令が安定している」とは、アンプ4へ供給した加振指令が、予め決められた回数近い値(変動誤差が2%以内)であったことをいう。このようにすることにより、加振指令の振幅の変動が過渡的なときに補正が行われることを防止し、加振指令の振幅が安定しているときにのみ位相の補正を行うことができる。このため、制振するべき位置に伝達される制振力が不安定化することを防止しつつ、経年変化や温度変化等による振動伝達特性の変化に対して好適な制振効果を得ることができる。
また、位相補正部43は、加速度センサ5によって検出した振動の振幅が大きいときに位相の補正動作を実施するようにしてもよい。ここでいう振動の振幅が大きいとは、検出した振動の振幅が予め決められた閾値より大きい場合をいい、人間が大きい振動であると感じる振動のことである。このようにすることにより、閾値よりも小さいときには、十分に位相の補正がなされている状態であるとして補正を行わないので、演算負荷を軽減することができるとともに、量子化誤差による誤演算を防止することができる。このため、経年変化や温度変化等による振動伝達特性の変化に対応しつつ、効率的かつ安定的に制振するべき位置における制振を行うことができる。
経年変化や温度変化は、極めて短い時間内に変化するものではないため、上記のように制御系が安定するのを待って位相補正を行っても問題がないとともに、制御系が安定したときに位相補正を行うことにより、正確な位相補正を行うことが可能となる。
また、補正値テーブル44は、必ずしも不揮発性のメモリである必要はない。この場合には、補正値テーブル44に記憶された振動周波数毎の位相補正値を所定のタイミングで不揮発性記録媒体に保存して、再起動時に保存しておいた振動周波数毎の位相補正値を読み出して位相補正を行なえばよい。また、再起動の際、前回記録した補正結果に対し所定のゲインを乗じた値で制振制御開始を行うようにしてよい。
このように、発生している振動の検出信号の位相に対する振動を打ち消すための振動波信号の位相のずれを求め、この位相ずれに基づいて、発生するべき振動波の位相を補正するようにしたため、経年変化や温度変化等により車体フレーム2の振動伝達特性Gが変化しても期待する制振効果を得ることができる。これにより、アクチュエータ10が装着される位置から制振するべき位置(座席6)までの振動伝達特性Gの逆特性1/Gを乗じた振動波をアクチュエータ10に与える場合に、経年変化に応じて制振装置内に予め設定されている振動伝達特性Gを修正する必要が発生しても振動伝達特性Gの変化を制振装置が自律的に補正することができるため、修正作業を行う必要がない。
また、発生するべき振動波の信号に対して、振動伝達特性Gの逆特性1/Gを乗算する場合、得られた発生するべき振動波の瞬時値では、周波数等を簡単に求めることはできないため、所定時間の振動波信号を解析することにより周波数等を求めて、この求めた周波数に応じた逆特性を乗じる必要がある。本発明による演算は、基準振動波を発生する時点で予め逆特性1/Gを乗算しておくため、所定時間の振動波信号を解析する等の処理が不要となり、逆特性を乗算する演算をテーブル参照のみで行うことができ、演算処理を簡略化できるため、演算時間も短縮することができる。
また、振動伝達特性の逆特性1/Gを考慮して、発生するべき振動波を生成するようにしたため、アクチュエータ10を車体フレーム2の任意の位置に装着することができ、制振装置を装着する位置決めの自由度を向上させることができる。また、アクチュエータ10を任意の位置に装着することが可能となるため、車両に対して制振装置を後付けで装着することが可能となる。
なお、図3においては、乗算器41とアンプ4の間に(アンプ4への入力の直前に)BPF(バンドパスフィルタ)51を設けてある。バンドパスフィルタ51は、起振周波数検出部31から出力されるエンジンパルス信号の周波数fを入力して、エンジンパルス信号の周波数近傍の周波数のみを通過させるフィルタである。制振するべき周波数が変動した場合、制御部3は、この変動に追従して制振対象の振動周波数が変動する。この周波数が変動するときの過渡的現象の影響や制御力の位相補正などを随時行う場合に、制振を行うための制御力に対象周波数以外の加振力成分が含まれてしまう現象が発生する場合がある。この結果、制振するべき周波数以外の周波数による加振が発生してしまい、制振効果を得られにくい状況が発生する。特に、制振するべき周波数が制御対象の固有振動数近傍である場合、制振力に含まれる近傍周波数成分により共振点がさらに加振されて振動がさらに大きくなってしまう現象が発生してしまう場合がある。
このような問題を解決するため、アンプ4への入力直前に、制振対象振動の周波数成分のみを選択的に通過させるBPF51を設けたため、制振対象周波数変動に伴う過渡的現象により発生する制振対象以外の周波数の加振力成分や、制御部3内における位相補正処理に伴う制振対象以外の周波数成分を効果的に除去することができ、制振効果を高めることが可能となる。特に、制振対象周波数が制御対象の固有振動数近傍である場合でも、共振点を励振することがなくなり制振効果をより向上させることができる。
なお、前述した説明においては、図2に示すリニアアクチュエータ10を使用して、制振力を発生するものとして説明したが、補助質量11を振動させることによって振動を抑制することができる反力を発生できる駆動源であれば、補助質量11を振動させる手段は何でもよい。
なお、制御部3は、加振指令発生手段及び位相補正手段として兼用されるものであり、具体的には、正弦波発振器32、ゲイン2μ、乗算器33、34、積分器35、36、加算器41が、加振指令発生手段として機能するものである。また、位相補正部43、補正値テーブル44、正弦波発振器38、乗算器39、40が、位相補正手段として機能するものである。
本発明による制振装置は、振動を抑制するべき位置と制振力を発生させる位置が異なる場合における振動抑制する用途に適用することができる。また、前述した説明においては、制振対象を自動車の車体フレームであるものとして説明したが、本発明の制振装置による制振対象機器は必ずしも自動車の車体フレームである必要はなく、自律走行搬送車の車体、ロボットアーム等であってもよい。
本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。 図1に示すアクチュエータ10の構成を示す模式図である。 図1に示す制御部3の構成を示すブロック図である。 図1に示す車体フレーム2の振動伝達特性G、G’を示す説明図である。 図3に示す補正値テーブル44のテーブル構成を示す説明図である。 図3に示す変化量抑制部42の動作を示す説明図である。 図3に示す変化勾配抑制部45の動作を示す説明図である。 図3に示すテーブル補正部49の動作を示す説明図である。 生成した信号と検出した信号の位相ずれ状態を示す説明図である。 生成した信号と検出した信号の位相ずれ状態を示す説明図である。 生成した信号と検出した信号の位相ずれ状態を示す説明図である。 図3に示すゲイン設定部52内に予め記憶されている収束ゲインの値の一例を示す説明図である。
符号の説明
1・・・エンジン、2・・・車体フレーム、3・・・制御部(加振指令発生手段、位相補正手段)、4・・・アンプ、5・・・加速度センサ(振動検出手段)、6・・・座席、10・・・・アクチュエータ(リニアアクチュエータ、加振手段)、11・・・補助質量、31・・・起振周波数検出部(周波数検出手段)、32、38・・・正弦波発振器、37・・・値設定部、42・・・変化量抑制部、43・・・位相補正部、44・・・補正値テーブル、45・・・変化勾配抑制部、49・・・テーブル補正部、50、51・・・BPF(バンドパスフィルタ)、52・・・ゲイン設定部(ゲイン乗算手段)、53・・・乗算器(ゲイン乗算手段)

Claims (2)

  1. 振動発生源に起因して生じる制振するべき位置の振動を検出して振動信号として出力する振動検出手段と、
    前記制振するべき位置と異なる位置または同じ位置に設けられ、固定子に対して可動子を往復動させることによって前記振動を打ち消すために制振力を発生させる加振手段と、
    前記振動発生源が発生する振動の周波数を検出する周波数検出手段と、
    制振すべき位置の振動の共振周波数に近いほどゲインが小さくなるように設定した収束ゲインの値が振動の周波数毎に予め関係付けられて記憶され、前記周波数検出手段が検出した周波数に関係付けられた収束ゲインの値を前記振動検出手段が出力した振動信号に対して乗算するゲイン乗算手段と、
    前記ゲイン乗算手段により前記収束ゲインの値が乗算された振動信号に基づいて、前記加振手段が発生するべき制振力の加振指令を出力する加振指令発生手段と
    を備えことを特徴とする制振装置。
  2. 請求項1に記載の制振装置を備えることを特徴とする車両。
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