<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ3と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ4と、マスクステージ3に保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージ4に保持されている基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置7とを備えている。なお、ここでいう基板は半導体ウエハ等の基材上に感光材(フォトレジスト)を塗布したものを含み、マスクは基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。なお、本実施形態においては、マスクとして透過型のマスクを用いるが、反射型のマスクを用いてもよい。
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をY軸方向、水平面内においてY軸方向と直交する方向をX軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、投影光学系PLの像面側の露光光ELの光路Kを液体LQで満たす第1液浸システム1を備えている。第1液浸システム1の動作は制御装置7に制御される。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板Pに投影している間、第1液浸システム1を用いて、露光光ELの光路Kを液体LQで満たす。露光装置EXは、投影光学系PLと光路Kに満たされた液体LQとを介してマスクMを通過した露光光ELを基板P上に照射することによって、マスクMのパターン像を基板P上に投影する。また、本実施形態の露光装置EXは、光路Kに満たされた液体LQが、投影光学系PLの投影領域ARを含む基板P上の一部の領域に、投影領域ARよりも大きく且つ基板Pよりも小さい液体LQの液浸領域LR1を局所的に形成する局所液浸方式を採用している。
また、本実施形態の露光装置EXは、第1液浸システム1とは別の第2液浸システム2を備えている。第2液浸システム2の動作は制御装置7に制御される。第2液浸システム2は、基板P上に液体LQの液浸領域LR2を形成可能である。以下の説明においては、第1液浸システム1により形成される液浸領域を適宜、第1液浸領域LR1と称し、第2液浸システム2により形成される液浸領域を適宜、第2液浸領域LR2と称する。第2液浸システム2は、光路Kに対して第1液浸領域LR1の外側に、第1液浸領域LR1の液体LQの流出を防止するための第2液浸領域LR2を形成する。また、本実施形態においては、液体LQとして水(純水)を用いる。
なお、本実施形態においては、主に液浸領域LR1、LR2は基板P上に形成される場合を例にして説明するが、投影光学系PLの像面側において、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子FLと対向する位置に配置された物体上、例えば基板ステージ4の一部等にも形成可能である。
露光装置EXは、床面上に設けられたベースBPと、そのベースBP上に設置されたメインコラム6とを備えている。照明光学系ILは、メインコラム6の上部に固定された支持フレーム6Fにより支持されている。照明光学系ILは、マスクM上の所定の照明領域を均一な照度分布の露光光ELで照明するものである。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
マスクステージ3は、リニアモータ等のアクチュエータを含むマスクステージ駆動装置3Dの駆動により、マスクMを保持した状態で、マスクステージ定盤3B上で、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能である。マスクステージ3は、エアベアリング3Aによりマスクステージ定盤3Bの上面(ガイド面)に対して非接触支持されている。マスクステージ定盤3Bは、メインコラム6の内側に向かって突出する上側支持部6Aに防振装置3Sを介して支持されている。マスクステージ3(ひいてはマスクM)の位置情報はレーザ干渉計3Lによって計測される。レーザ干渉計3Lは、マスクステージ3上に設けられた移動鏡3Kを用いてマスクステージ3の位置情報を計測する。制御装置7は、レーザ干渉計3Lの計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置3Dを駆動し、マスクステージ3に保持されているマスクMの位置制御を行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターン像を所定の投影倍率で基板Pに投影するものであって、複数の光学素子を有しており、それら光学素子は鏡筒5で保持されている。鏡筒5はフランジ5Fを有しており、投影光学系PLはフランジ5Fを介して鏡筒定盤5Bに支持されている。鏡筒定盤5Bは、メインコラム6の内側に向かって突出する下側支持部6Bに防振装置5Sを介して支持されている。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ4は、基板Pを保持する基板ホルダ4Hを有しており、リニアモータ等のアクチュエータを含む基板ステージ駆動装置4Dの駆動により、基板ホルダ4Hに基板Pを保持した状態で、基板ステージ定盤4B上で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。基板ステージ4は、エアベアリング4Aにより基板ステージ定盤4Bの上面(ガイド面)に対して非接触支持されている。基板ステージ定盤4Bは、ベースBPに防振装置4Sを介して支持されている。基板ステージ4(ひいては基板P)の位置情報はレーザ干渉計4Lによって計測される。レーザ干渉計4Lは、基板ステージ4に設けられた移動鏡4Kを用いて基板ステージ4のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。また、基板ステージ4に保持されている基板Pの表面の面位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)は、不図示のフォーカス・レベリング検出系によって検出される。制御装置7は、レーザ干渉計4Lの計測結果及びフォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて基板ステージ駆動装置4Dを駆動し、基板ステージ4に保持されている基板Pの位置制御を行う。また、基板ホルダ4Hは、基板ステージ4上に設けられた凹部4Rに配置されており、基板ステージ4のうち凹部4R以外の上面4Fは、基板ホルダ4Hに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面となっている。なお、基板ホルダ4Hに保持された基板Pの表面と基板ステージ4の上面4Fとの間に段差があってもよい。
次に、第1、第2液浸システム1、2について説明する。図2は第1、第2液浸システム1、2の要部を示す側断面図、図3は下側から見た平面図である。
まず、第1液浸システム1について説明する。図2及び図3において、第1液浸システム1は、基板ステージ4(基板ホルダ4H)に保持された基板Pと、その基板Pと対向する位置に設けられた投影光学系PLの最終光学素子FLとの間の光路Kを液体LQで満たして、基板P上に第1液浸領域LR1を形成する。最終光学素子FLは、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い光学素子であり、光路Kを満たす液体LQは、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、最終光学素子FLのみに接触する。
第1液浸システム1は、光路Kの近傍に設けられ、第1液浸領域LR1を形成するための液体LQを光路Kに対して供給する第1供給口12及び液体LQを回収する第1回収口22を有する第1ノズル部材70と、第1供給管13、及び第1ノズル部材70の第1供給口12を介して液体LQを供給する第1液体供給装置11と、第1ノズル部材70の第1回収口22、及び第1回収管23を介して液体LQを回収する第1液体回収装置21とを備えている。図1に示すように、第1ノズル部材70は、第1支持機構61を介して、メインコラム6の下側支持部6Bに支持されている。
第1液体供給装置11は、供給する液体LQの温度を調整する温度調整装置、供給する液体LQの気体成分を低減する脱気装置、及び液体LQ中の異物を取り除くフィルタユニット等を備えている。第1液体供給装置11には、第1供給管13の一端が接続されている。また、第1ノズル部材70の内部には、第1供給管13の他端と第1供給口12とを接続する内部流路(第1供給流路)14が形成されており、第1液体供給装置11は、清浄で温度調整された液体LQを、第1供給管13及び第1供給流路14を介して第1供給口12に供給可能である。
第1液体回収装置21は、真空ポンプ等の真空系を備えている。第1液体回収装置21には、第1回収管23の一端が接続されている。また、第1ノズル部材70の内部には、第1回収管23の他端と第1回収口22とを接続する内部流路(第1回収流路)24が形成されており、第1液体回収装置21は、液体LQを、第1回収口22、第1回収流路24、及び第1回収管23を介して回収可能である
第1ノズル部材70は、最終光学素子FLを囲むように環状に形成されている。第1ノズル部材70と最終光学素子FLとの間には所定のギャップが設けられている。第1ノズル部材70は、最終光学素子FLの下面と対向する上面79を有する底板78を有している。底板78の一部は、Z軸方向に関して、投影光学系PLの最終光学素子FLの下面と基板P(基板ステージ4)の表面との間に配置されている。また、底板78の中央部には、露光光ELが通過する開口76が形成されている。開口76は、露光光ELが照射される投影領域ARよりも大きく形成されている。本実施形態においては、開口76は、露光光ELの断面形状(すなわち投影領域AR)に応じた平面視略矩形状に形成されている。また、第1ノズル部材70の底板78は、基板ステージ4に保持された基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路K(開口76)を囲むように設けられた下面77を有している。下面77は、XY平面と平行な平坦面であり、第1ノズル部材70のうち、基板ステージ4に保持された基板Pに最も近い位置に設けられている。
最終光学素子FLの下面と底板78の上面79との間には所定のギャップを有する空間が設けられている。以下の説明においては、最終光学素子FLの下面と底板78の上面79との間の空間を含む第1ノズル部材70の内側の空間を適宜、内部空間GPと称する。
第1供給口12は、内部空間GPに接続する位置に設けられている。本実施形態においては、第1供給口12は、露光光ELの光路Kの外側において、光路Kを挟んだY軸方向両側のそれぞれの所定位置に設けられている。第1供給管13及び第1供給流路14は、複数(2つ)の第1供給口12に対応するように複数設けられている。また、不図示ではあるが、第1ノズル部材70は、内部空間GPの気体を外部空間(大気空間)に排出(排気)する排出口を備えている。
第1回収口22は、基板ステージ4に保持された基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路K、及び下面77を囲むように環状に設けられている。第1回収口22は、第1ノズル部材70において、光路Kに対して第1供給口12の外側に設けられている。
第1回収口22には、複数の孔を有する多孔部材25が配置されている。多孔部材25は、例えばチタン製のメッシュ部材、あるいはセラミックス製の多孔体によって構成可能である。多孔部材25は、基板ステージ4に保持された基板Pの表面と対向する下面26を有している。多孔部材25の下面26は、基板ステージ4に保持された基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路K、及び下面77を囲むように設けられている。多孔部材25の下面26はほぼ平坦であり、多孔部材25は、その下面26が基板ステージ4に保持された基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行になるように回収口22に配置されている。本実施形態においては、底板78の下面77と多孔部材25の下面26とはほぼ面一である。
なお、第1ノズル部材70や多孔部材(メッシュ)25の材質としてチタンを用いる場合、チタン金属の表面にアナターゼ型の酸化チタン膜を形成したものを用いるのが望ましい。アナターゼ型の酸化チタン膜は親水能力が高いばかりでなく、その親水能力を長期間維持することができるため、ノズル部材70(メッシュ)と基板Pとの間、あるいはノズル部材70とステージ上面との間に安定して、液体LQを保持することができる。表面にアナターゼ型の酸化チタン膜を形成したチタン金属としては、例えば、有限会社イールド社製の「チタニスター(登録商標)」が知られている。
以下の説明においては、底板78の下面77及び多孔部材26の下面26を合わせて適宜、第1ノズル部材70の第1下面71と称する。
次に、第1液浸システム1の動作について説明する。第1液体供給装置11及び第1液体回収装置21の動作は制御装置7に制御されるようになっており、露光光ELの光路Kを液体LQで満たして第1液浸領域LR1を形成するために、制御装置7は、第1液体供給装置11及び第1液体回収装置21のそれぞれを駆動する。第1液体供給装置11から送出された液体LQは、第1供給管13を流れた後、第1ノズル部材70の第1供給流路14を介して、第1供給口12より内部空間GPに供給される。第1供給口12から内部空間GPに供給された液体LQは、内部空間GPを満たした後、開口76を介して第1ノズル部材70の第1下面71と基板Pの表面との間の光路Kを含む第1空間G1に流入し、光路Kを含む第1空間G1を満たす。このとき、第1液体回収装置21は、単位時間当たり所定量の液体LQを回収している。真空系を含む第1液体回収装置21は、第1回収流路24を負圧にすることにより、第1供給口12から供給され、第1ノズル部材70の第1下面71と基板Pの表面との間の第1空間G1に存在する液体LQを、第1回収口22に配置された多孔部材25を介して回収することができる。光路Kを含む第1空間G1に満たされている液体LQは、第1ノズル部材70の第1回収口22(多孔部材25)を介して第1回収流路24に流入し、第1回収管23を流れた後、第1液体回収装置21に回収される。このように、制御装置7は、第1液浸システム1を制御して、第1供給口12による液体供給動作と第1回収口22による液体回収動作とを並行して行い、第1ノズル部材70の第1下面71と基板ステージ4に保持された基板Pの表面との間の光路Kを含む第1空間G1を液体LQで満たすことによって、第1液浸領域LR1を形成する。
次に、第2液浸システム2について説明する。第2液浸システム2は、光路Kに対して第1液浸領域LR1の外側に、第1液浸領域LR1の液体LQの流出を防止するための第2液浸領域LR2を形成する。
第2液浸システム2は、第2液浸領域LR2を形成するための液体LQを供給する第2供給口32及び液体LQを回収する第2回収口42を有する第2ノズル部材80と、第2供給管33、及び第2ノズル部材80の第2供給口32を介して液体LQを供給する第2液体供給装置31と、第2ノズル部材80の第2回収口42、及び第2回収管43を介して液体LQを回収する第2液体回収装置41とを備えている。図1に示すように、第2ノズル部材80は、第2支持機構62を介して、メインコラム6の下側支持部6Bに支持されている。
第2液体供給装置31は、供給する液体LQの温度を調整する温度調整装置、供給する液体LQの気体成分を低減する脱気装置、及び液体LQ中の異物を取り除くフィルタユニット等を備えている。第2液体供給装置31には、第2供給管33の一端が接続されている。また、第2ノズル部材80の内部には、第2供給管33の他端と第2供給口32とを接続する内部流路(第2供給流路)34が形成されており、第2液体供給装置31は、清浄で温度調整された液体LQを、第2供給管33及び第2供給流路34を介して第2供給口32に供給可能である。
第2液体回収装置41は、真空ポンプ等の真空系を備えている。第2液体回収装置41には、第2回収管43の一端が接続されている。また、第2ノズル部材80の内部には、第2回収管43の他端と第2回収口42とを接続する内部流路(第2回収流路)44が形成されており、第2液体回収装置41は、液体LQを、第2回収口42、第2回収流路44、及び第2回収管43を介して回収可能である。
第2ノズル部材80は、第1ノズル部材70を囲むように環状に形成されている。第2ノズル部材80と第1ノズル部材70との間には所定のギャップが設けられている。第2ノズル部材80は、基板ステージ4に保持された基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路Kに対して第1ノズル部材70の第1下面71の外側に設けられた第2下面81を有している。第2ノズル部材80の第2下面81は、第1ノズル部材70の第1下面71を囲むように環状に設けられている。第1下面81は、XY平面と平行な平坦面であり、第2ノズル部材80のうち、基板ステージ4に保持された基板Pに最も近い位置に設けられている。
第2回収口42は、基板ステージ4に保持された基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路K、及び第1ノズル部材70の第1下面71を囲むように環状に設けられている。第2回収口42は、第2ノズル部材80において、光路Kに対して第1回収口22の外側に設けられている。
第2回収口42には、複数の孔を有する多孔部材45が配置されている。多孔部材45は、第1回収口22に配置されている多孔部材25と同様、例えばチタン製のメッシュ部材、あるいはセラミックス製の多孔体によって構成可能である。多孔部材45は、基板ステージ4に保持された基板Pの表面と対向する下面46を有している。多孔部材45の下面46は、基板ステージ4に保持された基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路K、及び第1下面71(第1回収口22)を囲むように設けられている。
第2ノズル部材80や多孔部材(メッシュ)45は、第1ノズル部材70と同様、その材質としてチタンを用いる場合には、チタン金属の表面にアナターゼ型の酸化チタン膜を形成したものを用いるのが望ましい。
多孔部材45の下面46はほぼ平坦であり、多孔部材45は、その下面46が基板ステージ4に保持された基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行になるように第2回収口42に配置されている。また、多孔部材45の下面46は、第2ノズル部材80の第2下面81の一部を構成しており、環状の第2下面81の内側の領域を構成している。すなわち、第2ノズル部材80の第2下面81は、多孔部材45の下面46と、その他の領域を構成する下面87とによって構成されている。本実施形態においては、第2下面81のうち、多孔部材45の下面46と、光路Kに対して下面46の外側の領域を構成する下面87とはほぼ面一である。そして、下面87に第2供給口32が形成されている。
本実施形態においては、第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80は、第1ノズル部材70の第1下面71と第2ノズル部材80の第2下面81とがほぼ同じ高さ(面一)となるように、第1支持機構61及び第2支持機構62のそれぞれに支持されている。
第2供給口32は、第2ノズル部材80の第2下面81(下面87)に設けられている。第2供給口32は、光路Kに対して第1、第2回収口22、42の外側に設けられている。本実施形態においては、第2供給口32は、光路K、及び第1、第2回収口22、42を囲むように環状に設けられている。また、本実施形態においては、第2供給口32は、第2ノズル部材80の下面87において、所定のスリット幅を有する環状のスリット状に形成されている。
第2供給口32に液体LQを供給する第2供給流路34は、第2供給口32に接続する第1流路部34Aと、第1流路部34Aよりも大きいバッファ空間を含む第2流路部34Bとを有している。第2流路部34Bは、光路Kに対して第1流路部34Aの外側に設けられており、第2供給管33と接続されている。第1流路部34Aは、光路Kの外側から内側に向かうにつれて、すなわち光路Kに近づくにつれて基板Pとの間隔(距離)が漸次小さくなるように傾斜している。そして、第1流路部34Aの下端に第2供給口32が設けられている。本実施形態においては、第1流路部34Aは、基板ステージ4に保持された基板Pの表面(XY平面)に対して所定角度(例えば30°〜45°程度)傾斜している。第1流路部34Aの下端に設けられた第2供給口32は、光路Kに向けて傾斜方向に液体LQを供給する。
第1流路部34Aは、環状のスリット状に形成された第2供給口32に対応するように、XY平面に沿った断面視において環状に形成されたスリット状の流路である。第2流路部34Bのバッファ空間は、第1流路部34Aの幅よりも十分に大きい幅を一様に有している。バッファ空間を含む第2流路部34Bには第2供給管33の他端が接続される。
次に、第2液浸システム2の動作について説明する。第2液体供給装置31及び第2液体回収装置41の動作は制御装置7に制御されるようになっており、第2液浸領域LR2を形成するために、制御装置7は、第2液体供給装置31及び第2液体回収装置41のそれぞれを駆動する。第2液体供給装置31から送出された液体LQは、第2供給管33を流れた後、供給流路34のうちバッファ空間を含む第2流路部34Bに流入し、第2流路部34B及び第1流路部34Aを介して第2供給口32に供給される。第2流路部34B及び第1流路部34Aを含む供給流路34より第2供給口32に供給された液体LQは、第2供給口32より第2ノズル部材80の第1下面81と基板Pの表面との間の第2空間G2に供給される。第1流路部34Aは、光路Kに近づくにつれて基板Pとの間隔(距離)が漸次小さくなるように所定角度傾斜しており、第1流路部34Aの下端に設けられた第2供給口32は、光路Kに向けて傾斜方向に液体LQを供給する。
本実施形態においては、供給流路34の第2流路部34Bと第2供給管33との接続位置は、第2ノズル部材80の側面において周方向(θZ方向)にほぼ等間隔で複数設定されており、それら複数の接続位置のそれぞれに第2供給管33の他端が接続されている。第2流路部34Bのバッファ空間は、第2液体供給装置31から第2供給管33を介して供給された液体LQのエネルギー(圧力、流速)を分散して均一化し、バッファ空間から第1流路部34Aに流入する液体LQの単位時間当たりの量(流速)を、スリット状の流路である第1流路部34Aの各位置において均一化する。バッファ空間を設けて第2供給管33から供給された液体LQのエネルギーを分散して均一化することによって、第1流路部34Aを介してスリット状の第2供給口32の各位置に供給される液体LQの流量(流速)を均一化することができ、液体LQは、円環状のスリット状の第2供給口32の各位置において第2空間G2に対してほぼ均一な供給量で供給される。このように、第2液浸システム2は、バッファ空間を含む第2流路部34B及び第1流路部34Aを介して第2供給口32に供給された液体LQを、スリット状の第2供給口32から第2空間G2に対してほぼ均一に供給することができる。
第2供給口42から第2空間G2に供給された液体LQは、第2空間G2を満たす。このとき、第2液体回収装置41は、単位時間当たり所定量の液体LQを回収している。真空系を含む第2液体回収装置41は、第2回収流路44を負圧にすることにより、第2供給口32から供給され、第2ノズル部材80の第2下面81と基板Pの表面との間の第2空間G2に存在する液体LQを、第2回収口42に配置された多孔部材45を介して回収することができる。第2空間G2に満たされている液体LQは、第2ノズル部材80の第2回収口42(多孔部材45)を介して第2回収流路44に流入し、第2回収管43を流れた後、第2液体回収装置41に回収される。このように、制御装置7は、第2液浸システム2を制御して、第2供給口32による液体供給動作と第2回収口42による液体回収動作とを並行して行い、第2ノズル部材80の第2下面81と基板Pの表面との間の第2空間G2を液体LQで満たすことによって、第2液浸領域LR2を形成する。
図2に示すように、第2液浸システム2は、光路Kに対して第1液浸領域LR1の外側に、第1液浸領域LR1から離れた位置に、第2液浸領域LR2を形成する。本実施形態においては、第2供給口32及び第2回収口42は、光路K(第1下面71)を囲むように環状に形成されており、第2供給口32による液体供給動作と第2回収口42による液体回収動作とを並行して行うことにより、第2液浸システム2は、環状の第2液浸領域LR2を形成することができる。すなわち、第2液浸領域LR2は、第2液浸システム2によって、露光光ELの光路K、及び第1液浸領域LR1を囲むように環状に形成される。
また、第2供給口32は、光路Kに向けて傾斜方向に液体LQを供給しており、第2回収口42は、光路Kに対して第2供給口32よりも内側に設けられているため、第2液浸システム2は、液体LQの流出を招くことなく、第2液浸領域LR2を良好に形成することができる。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。
基板Pを露光するために、制御装置7は、第1液浸システム1を用いて、基板ステージ4に保持された基板P上に第1液浸領域LR1を形成するとともに、第2液浸システム2を用いて、第1液浸領域LR1を囲むように、第2液浸領域LR2を形成する。そして、制御装置7は、第1、第2液浸領域LR1、LR2を形成した状態で、露光光ELの光路K(投影光学系PL)と基板Pとを相対的に移動しながら、マスクMのパターン像を投影光学系PL及び第1液浸領域LR1の液体LQを介して基板P上に投影する。上述のように、本実施形態の露光装置EXは、Y軸方向を走査方向とする走査型露光装置であり、制御装置7は、基板ステージ4を用いて、基板PをY軸方向に移動しつつ、基板Pを露光する。
このような走査型露光装置において、例えば基板Pの走査速度(移動速度)の高速化に伴って、第1回収口22を介して液体LQを十分に回収することができず、光路Kに満たされた液体LQが光路Kに対して第1回収口22よりも外側へ流出する可能性がある。例えば、図4(A)の模式図に示すような状態から、第1液浸領域LR1に対して基板Pを−Y方向に所定速度で所定距離だけ移動した場合、基板Pの移動に伴って、第1液浸領域LR1の液体LQとその外側の空間との界面LGが、露光光ELの光路Kに対して外側へ向かって移動する可能性がある。その移動中において、界面LGの移動速度が大きくなったり、あるいは界面LGの形状が大きく変化して、液体LQが第1回収口22の外側に流出する可能性がある。例えば、図4(B)の模式図に示すように、第1ノズル部材70の第1下面71に接触していた液体LQが、第1ノズル部材70の第1下面71の一部から離れ(剥離し)、基板P上に液体LQの膜(薄膜)を形成する可能性がある。形成された液体LQの膜は第1回収口22(多孔部材25)に対して離れるため、第1回収口22によってその液体LQの膜を回収できない状況が生じる可能性がある。すなわち、形成された液体LQの膜は第1回収口22に配置された多孔部材25に接触しないため、第1回収口22が液体LQを回収できない状況が発生する可能性がある。すると、液体LQが第1回収口22の外側に流出したり、あるいは、形成された液体LQの膜が基板P上でちぎれて基板P上に滴となって残留する等の不都合が生じる可能性がある。そして、基板Pの移動速度の高速化に伴って、第1回収口22を介して液体LQを十分に回収することができなくなる可能性が高くなり、液体LQが流出したり、基板P上に残留する可能性が高くなる。
本実施形態においては、制御装置7は、第2液浸システム2を用いて、光路Kに対して第1液浸領域LR1の外側に、第1液浸領域LR1の液体LQの流出を防止するための第2液浸領域LR2を形成しているため、光路Kを満たす液体LQが光路Kに対して第1回収口22より外側に流出しても、その液体LQが第2ノズル部材80(第2回収口42)の外側に流出することを防止することができる。
図5は第2液浸領域LR2によって、第1液浸領域LR1の液体LQの流出が防止される状態を示す図である。制御装置7は、第2液浸システム2を用いて、第1液浸領域LR1を囲むように第2液浸領域LR2を形成しており、基板Pの移動方向前方側には、第2液浸領域LR2が形成された状態となっている。そのため、基板Pの−Y方向への移動に伴って、第1液浸領域LR1の液体LQが−Y方向へ流出しようとしても、基板Pの移動方向前方側、すなわち第1液浸領域LR1の−Y側に形成された第2液浸領域LR2によって、その第1液浸領域LR1の液体LQの流出(第2ノズル部材80の外側への流出)を防止することができる。
第2液浸領域LR2は、第2ノズル部材80の第2下面81と基板Pの表面との間を満たす液体LQによって形成され、第1液浸領域LR1の液体LQの流出を防止するための壁として作用する。このように、第2液浸システム2は、第2供給口32から供給した液体LQにより、第2ノズル部材80の第2下面81と基板Pの表面との間に、第1液浸領域LR1の液体LQの流出を防止するための壁を隙間無く形成することができる。したがって、図4を参照して説明したように、基板P上に液体LQの膜が形成された場合でも、その液体LQの流出等を防止できる。
そして、本実施形態において、第2供給口32は、光路Kに向けて傾斜方向に液体LQを供給しており、第2液浸システム2は、第2液浸領域LR2に、光路Kに対して外側から内側へ向かう液体LQの流れを生成している。すなわち、例えば基板Pが−Y方向に移動する場合にも、第2供給口32から供給される液体LQは+Y側に向かって流れようとする。したがって、基板Pが所定方向(−Y方向)に移動しても、第2供給口32から第2空間G2に供給された液体LQが、光路Kに対して第2ノズル部材80の外側に流出することが防止される。また、第2供給口32から供給された液体LQは、第1液浸領域LR1の流出しようとする液体LQに対して、その流出しようとする方向(−Y方向)とは反対方向(+Y方向)の運動量を与えることができる。したがって、第1液浸領域LR1の液体LQの流出を効果的に防止することができる。
そして、図5に示すように、第1液浸領域LR1から流出した液体LQは、第2液浸領域LR2に吸収され、第2液浸領域LR2の液体LQとともに、第2回収口42から回収される。このように、本実施形態では、光路Kを満たす第1液浸領域LR1の液体LQが第1回収口22より外側に流出しても、その液体LQが第2ノズル部材80(第2回収口42)の外側に流出することが防止される。
また、本実施形態においては、制御装置7は、少なくとも基板Pが移動している間、第2液浸領域LR2を形成しているので、基板Pの移動に伴って、第1液浸領域LR1の液体LQが、基板Pの移動方向前方側に流出しようとしても、その液体LQの流出を、第2液浸領域LR2で防止することができる。
また、制御装置7は、基板P上の複数のショット領域を順次露光するときのショット間において、基板PをX軸方向にステッピング移動するが、そのステッピング移動によっても液体LQが流出する可能性がある。本実施形態では、制御装置7は、少なくとも基板Pを移動している間、第2液浸領域LR2を形成しているので、基板Pを走査方向(スキャン方向、Y軸方向)に移動しつつ露光しているときのみならず、基板Pを非走査方向(ステッピング方向、X軸方向)に移動する場合でも、第2液浸領域LR2を用いて、第1液浸領域LR1の液体LQの流出を防止することができる。
以上説明したように、第2液浸領域LR2によって、第1液浸領域LR1の液体LQの流出を防止することができる。したがって、液体LQの流出に伴って、例えば周辺機器が誤作動したり、露光装置EXが置かれている環境(湿度等)が変動したり、あるいは、基板P上に液体LQの滴が残留する等の不具合の発生を抑制することができる。したがって、基板Pを良好に露光することができる。
また、第1液浸領域LR1の外側で、例えば基板Pの表面に検出光を照射することによって所定の検出を行う検出装置(例えばフォーカス・レベリング検出系)が設けられている場合、液体LQが流出すると、その液体LQによって検出精度が劣化したり、検出動作にエラーが生じる等の不具合が発生する可能性があるが、液体LQの流出を防止することで、そのような不具合の発生を防止することができる。したがって、その検出に基づいて実行される基板Pの露光も良好に行うことができる。
また、本実施形態においては、第2液浸領域LR2は、第1液浸領域LR1を囲むように環状に形成されているので、基板Pのスキャン方向、ステッピング方向への移動のみならず、基板PがXY平面内において所定方向に移動する場合の移動方向前方側に第2液浸領域LR2が存在することになる。したがって、基板PがXY平面内においていずれの方向に移動する場合でも、液体LQの流出を防止することができる。
なお、図6に示すように、例えば基板Pが例えば+Y方向に移動する場合には、第2下面81に接触していた液体LQが、第2ノズル部材80の第2下面81の一部から離れ(剥離し)、基板P上に液体LQの膜(薄膜)を形成する可能性があるが、その液体LQは、第1液浸領域LR1の液体LQに取り込まれるため、その液体LQの膜や滴が基板P上に残留することはない。
なお、第1実施形態においては、底板78の下面77と多孔部材25の下面26とはほぼ面一であるが、多孔部材25の下面26が、基板Pの表面に対して底板78の下面77よりも離れて設けられていてもよいし、多孔部材25の下面26がXY平面に対して傾斜していてもよい。また、多孔部材45の下面46が、基板Pの表面に対して下面87よりも離れて設けられていてもよいし、基板Pの表面に近い位置に設けられていてもよいし、多孔部材45の下面46がXY平面に対して傾斜していてもよい。
また、第1実施形態においては、第1ノズル部材70の第1下面71と、第2ノズル部材80の第2下面81とはほぼ面一であるが、第1ノズル部材70の第1下面71と第2ノズル部材80の第2下面81とが、Z軸方向に関して、互いに異なる位置(高さ)に設けられていてもよい。
また、第1ノズル部材70を支持する第1支持機構61及び第2ノズル部材80を支持する第2支持機構62の少なくとも一方に、第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80の少なくとも一方を駆動する駆動装置(アクチュエータ)を設けてもよい。そして、その駆動装置を用いて、第1ノズル部材70、第2ノズル部材80の位置(姿勢)や、第1下面71と第2下面82との位置関係、あるいは基板Pに対する第1下面71、第2下面81の位置関係を調整するようにしてもよい。例えば、第2液浸領域LR2を形成するための第2ノズル部材80の位置(Z軸方向の位置)及び姿勢(θX、θY方向の位置)を、基板Pの移動中に、基板Pの移動条件に応じて調整してもよい。ここで、基板Pの移動条件とは、基板Pの移動速度、加速度、減速度、移動方向、及び基板Pを所定の一方向に移動するときの移動距離の少なくとも一部を含む。あるいは、投影光学系PLの像面に対して基板Pの表面の位置を調整しつつ基板Pを走査方向に移動しながら露光する場合において、基板Pの表面をZ軸、θX、及びθY方向の少なくとも一方向に移動する場合には、その基板Pの表面の移動に応じて(例えば追従するように)、第1ノズル部材71の第1下面71、及び第2ノズル部材80の第2下面81の少なくとも一方の位置、姿勢を調整するようにしてもよい。
あるいは、基板Pの移動条件に応じて、第2液浸領域LR2を形成するときの液浸条件を調整するようにしてもよい。ここで、液浸条件とは、第2供給口32からの液体LQの供給条件(供給量、供給方向、供給位置など)、及び第2回収口42を介した液体LQの回収条件(回収量、回収方向、回収位置など)を含む。例えば、基板Pの移動速度が高速の場合には、第2供給口32からの単位時間当たりの液体供給量を増やしたり、あるいは、第2ノズル部材80の第2下面81の基板Pの表面に対する位置を調整し、基板Pの表面と第2供給口32との位置関係(距離)を調整することができる。また、第2供給口32が複数に分割されている場合には、基板Pの移動条件(移動方向など)に応じて、複数の第2供給口32のうち、特定の第2供給口32から液体LQを供給するようにしてもよい。また、基板Pの移動条件に応じて、例えば第2回収口42を介した単位時間当たりの液体回収量を調整したり、第2ノズル部材80を駆動して、基板Pの表面と第2回収口42(多孔部材45)との位置関係(距離)を調整するようにしてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図7は第2実施形態に係る第1、第2液浸システム1、2の要部を示す図である。図7に示すように、本実施形態においては、第2ノズル部材80は省略されており、第1ノズル部材70の下面(基板Pの表面と対向する面)の第1領域71’と基板Pの表面との間の光路Kを含む第1空間G1を満たす液体LQによって第1液浸領域LR1が形成され、光路Kに対して第1領域71’の外側の第2領域81’と基板Pの表面との間の第2空間G2を満たす液体LQによって第2液浸領域LR2が形成されている。そして、第1ノズル部材70の下面のうち、光路Kに対して第1液浸領域LR1を形成するための液体LQを供給する第1供給口12の外側には第1回収口22が設けられ、光路Kに対して第1回収口22の外側には第2回収口42が設けられ、光路Kに対して第2回収口42の外側には第2液浸領域LR2を形成するための第2供給口32が設けられている。
このように、基板Pとの間で第1液浸領域LR1を形成するための液体LQが満たされる第1空間G1を形成する第1領域(第1下面)71’と、第2液浸領域LR2を形成するための液体LQが満たされる第2空間G2を形成する第2領域(第2下面)82’とが、同じ部材(第1ノズル部材70)に設けられていてもよい。
なお、上述の第1実施形態のように、第1液浸領域LR1を形成するための第1下面と、第2液浸領域LR2を形成するための第2下面とを別々の部材に設けることにより、上述のように、例えば基板Pの表面に対する第1下面71と第2下面81との位置関係等を適宜調整することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について図8を参照して説明する。図8に示すように、本実施形態においても、第2ノズル部材80は省略されており、第1ノズル部材70の下面(基板Pの表面と対向する面)の第1領域71’と基板Pの表面との間の光路Kを含む第1空間G1を満たす液体LQによって第1液浸領域LR1が形成され、光路Kに対して第1領域71’の外側の第2領域81’と基板Pの表面との間の第2空間G2を満たす液体LQによって第2液浸領域LR2が形成されている。そして、第1ノズル部材70の下面のうち、光路Kに対して第1液浸領域LR1を形成するための液体LQを供給する第1供給口12の外側には回収口22が設けられ、光路Kに対して回収口22の外側には第2液浸領域LR2を形成するための第2供給口32が設けられている。
このように、第1液浸領域LR1の液体LQの回収動作と、第2液浸領域LR2の液体LQの回収動作とが、同じ回収口22を用いて行われるようにしてもよい。換言すれば、第1液浸システム1と第2液浸システム2とが回収口22を兼用してもよい。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について図9を参照して説明する。図9に示すように、本実施形態においては、露光装置EXは、第1ノズル部材70と第2ノズル部材80とを備えており、第1ノズル部材70の第1下面71には回収口22が設けられている。また、第2ノズル部材80の第2下面81には第2供給口32が設けられている。そして、第2下面81には回収口は設けられていない。第1液浸領域LR1は、第1供給口12からの液体供給動作と、回収口22を介した液体回収動作とによって形成され、第2液浸領域LR2は、第2供給口32からの液体供給動作と、回収口22を介した液体回収動作とによって形成される。
なお、第2液浸領域LR2は、第1ノズル部材70の第1下面71と第2ノズル部材80の第2下面81とに跨るようにして形成されるが、第1ノズル部材70と第2ノズル部材80との間のギャップは、液体LQが浸入しない程度に小さく設定されている。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について図10を参照して説明する。図10に示すように、露光装置EXは、第1ノズル部材70と第2ノズル部材80とを備えており、第1ノズル部材70は第1供給口12を備えている。そして、第1ノズル部材70の第1下面71には回収口22が設けられていない。また、第2ノズル部材80の第2下面81には、回収口42と第2供給口32とが設けられている。第1液浸領域LR1は、第1供給口12からの液体供給動作と、回収口42を介した液体回収動作とによって形成され、第2液浸領域LR2は、第2供給口32からの液体供給動作と、回収口22を介した液体回収動作とによって形成される。
なお、第1液浸領域LR1は、第1ノズル部材70の第1下面71と第2ノズル部材80の第2下面81とに跨るようにして形成されるが、第1ノズル部材70と第2ノズル部材80との間のギャップは、液体LQが浸入しない程度に小さく設定されている。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について図11を参照して説明する。上述の第1〜第5実施形態においては、第2液浸領域LR2は、第1液浸領域LR1を囲むように、環状に形成されているが、第2液浸領域LR2を、光路Kに対して第1液浸領域LR1の外側の複数の所定領域のそれぞれに形成するようにしてもよい。例えば、図11の模式図に示すように、第2液浸領域LR2を形成するための第2ノズル部材80を、第1ノズル部材70を囲むように複数設け、第1液浸領域LR1の外側に複数の第2液浸領域LR2を形成することができる。図11に示す例では、第2ノズル部材80は4つ設けられ、第1ノズル部材70に対して、+Y側、−Y側、+X側、及び−X側のそれぞれに配置されている。第2液浸領域LR2は、第1液浸領域LR1に対して、+Y側、−Y側、+X側、及び−X側のそれぞれに形成される。
また、制御装置7は、基板P上に第1液浸領域LR1を形成した状態で、基板PをXY方向に移動するとき、複数の第2ノズル部材80のそれぞれに設けられた第2供給口32のうち、特定の第2ノズル部材80の第2供給口32から液体LQを供給し、基板Pの移動方向前方側に、第2液浸領域LR2を形成することができる。例えば、制御装置7は、基板P上に第1液浸領域LR1を形成した状態で、基板Pを−Y方向に移動するとき、複数(4つ)の第2ノズル部材80のうち、少なくとも、第1ノズル部材70(第1液浸領域LR1)に対して−Y方向に配置されている第2ノズル部材80の第2供給口32から液体LQを供給し、基板Pの移動方向前方側、すなわち−Y側に第2液浸領域LR2を形成する。こうすることにより、基板Pの−Y方向への移動に伴って、第1液浸領域LR1の液体LQが−Y方向に流出しようとしても、その液体LQの流出を、第2液浸領域LR2で防止することができる。
なお、上述の第1〜第6実施形態においては、第2液浸領域LR2は、1重の環状に形成されるように説明したが、もちろん、2重、3重など任意の複数の環状の液浸領域で、第1液浸領域LR1を囲むようにしてもよい。
なお、上述の第1〜第6実施形態においては、第1液浸領域LR1の液体LQと第2液浸領域LR2の液体LQとは、同じ種類(水)、且つ同じ品質(水質)であるが、例えば、第1液浸領域LR1を形成する液体LQの種類(物性)と、第2液浸領域LR2を形成する液体LQの種類とが異なっていてもよい。また、第1液浸領域LR1を形成する液体LQの品質と、第2液浸領域LR2を形成する液体LQの品質とが異なっていてもよい。例えば、第2液浸領域LR2の液体LQが、第1液浸領域LR1の液体LQと異なる温度であってもよい。この場合、第2液浸領域LR2の液体LQで基板Pの温度調整を行うことができる。例えば、第2液浸領域LR2の液体LQの温度を第1液浸領域LR1の液体LQの温度よりも高くしておくことにより、第1液浸領域LR1の液体LQの一部が気化するときの気化熱に起因する基板Pの温度低下を、第2液浸領域LR2の液体LQで補償することができる。あるいは、第1供給口12から供給される液体LQの脱気レベルと、第2供給口32から供給される液体LQの脱気レベルとが異なっていてもよい。
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について図12及び図13を参照して説明する。図12は第7実施形態に係る要部を示す側断面図、図13は模式的な平面図である。本実施形態の露光装置EXは、基板ステージ4に保持された基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路Kを囲むように設けられた第1下面71を有するノズル部材70と、基板ステージ4に保持された基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路Kに対して第1下面71の外側に設けられた第2下面91を有する所定部材90と、第1下面71と基板Pの表面との間の光路Kを含む所定空間G1を液体LQで満たして基板P上に液浸領域LR1を形成する液浸システム1と、液浸領域LR1の液体LQの流出を防止するために、所定部材90と基板Pとを離した状態で、所定部材90の位置を調整する調整機構60とを備えている。
ノズル部材70は、上述の第1〜第6実施形態同様、露光光ELの光路Kを液体LQで満たして基板P上に液浸領域LR1を形成するための液体LQを供給する供給口12と、液体LQを回収する回収口22とを備えている。
調整機構60は、所定部材90を支持する支持機構62を備えており、所定部材90は、支持機構62を介してメインコラム6の下側支持部6Bに支持されている。また、調整機構60は、所定部材90を駆動する駆動機構63を備えている。駆動機構63は、支持機構62の一部を構成しており、所定部材90をX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に駆動可能である。駆動機構63は、例えばボイスコイルモータ等のローレンツ力によって所定部材90を駆動可能なアクチュエータや、ピエゾ素子を含むアクチュエータを含んで構成されている。本実施形態では、駆動機構63は、所定部材90の位置調整を所定の精度で実行可能な例えばボイスコイルモータを含む粗動用アクチュエータと、所定部材90の位置調整を高精度で実行可能な例えばピエゾ素子を含む微動用アクチュエータとを備えている。
ノズル部材70と所定部材90とは離れている。すなわち、ノズル部材70を支持する支持機構61と、所定部材90を支持する支持機構62とは、ノズル部材70と所定部材90とが離れるように、ノズル部材70と所定部材90とのそれぞれを支持している。これにより、駆動機構63によってノズル部材70に対して所定部材90を駆動するときの所定部材90の移動は妨げられない。
図13の模式図に示すように、本実施形態においては、所定部材90は、ノズル部材70を囲むように、ひいては液浸領域LR1を囲むように、複数設けられている。本実施形態では、所定部材90は、ノズル部材70に対して、+Y側、−Y側、+X側、及び−X側のそれぞれに配置されている。
また、所定部材90は、液体LQに対して撥液性を有している。本実施形態においては、所定部材90は、例えば例えばPTFE(ポリテトラフロエラエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)などのフッ素系樹脂を含む材料を含んで構成されている。これらの材料は、液体(水)LQに不純物(溶出物)を溶出し難い材料、すなわち液体(水)を汚染し難い材料である。なお、所定部材90を金属などの所定の材料で形成し、その表面を、フッ素系材料等の撥液性を有する材料の膜で被覆する(コーティング)するようにしてもよい。
次に、上述の露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。
例えば図14に示すように、基板P上に液浸領域LR1を形成した状態で、基板Pを−Y方向に移動したとき、液浸領域LR1の液体LQが、光路Kに対してノズル部材70よりも−Y方向に流出する可能性がある。制御装置7は、駆動機構63を有する調整機構60を用いて、液体LQの流出を防止するために、複数の所定部材90のうち、少なくとも基板Pの移動方向前方側、すなわち液浸領域LR1に対して−Y側に配置されている所定部材90の位置を調整する。具体的には、制御装置7は、調整機構60の駆動機構63を用いて、所定部材90を駆動し、所定部材90の第2下面91と、基板ステージ4に保持されている基板Pの表面とのギャップを調整する。例えば、制御装置7は、調整機構60を用いて、液体LQの流出を防止するために、液浸領域LR1に対して−Y側に設けられている所定部材90の第2下面91を、ノズル部材70の第1下面71よりも基板Pの表面に近づける。
こうすることにより、所定部材90によって、液体LQの流出を防止することができる。所定部材90は、第1液浸領域LR1の液体LQの流出を防止するための壁として作用する。調整機構60は、液体LQの流出が生じない程度に、基板Pの表面と所定部材90の第2下面91とのギャップを十分に小さくしているので、そのギャップを介して、光路Kに対して所定部材90の外側に液体LQが流出することが防止されている。また、所定部材90の表面は撥液性を有しているので、ギャップを介して液体LQが外側に流出したり、あるいは所定部材90の表面に付着した液体LQが残留すること等が防止されている。
また、例えば基板Pを+Y方向に移動するときには、制御装置7は、調整機構60を用いて、液浸領域LR1に対して+Y側に配置されている所定部材90の第2下面91を基板Pの表面に近づけ、他の所定部材90の第2下面91を基板Pの表面から離す。同様に、基板Pを+X方向(又は−X方向)に移動する場合には、制御装置7は、調整機構60を用いて、液浸領域LR1に対して+X側(又は−X側)に配置されている所定部材90の第2下面91を基板Pの表面に近づけ、他の所定部材90の第2下面91を基板Pの表面から離す。
本実施形態では、制御装置7は、基板Pの露光を行う前に、フォーカス・レベリング検出系を用いて、基板Pの面位置情報を検出しており、基板Pを露光するときには、その検出結果に基づいて、基板ステージ4を制御し、投影光学系PLの像面に対する基板Pの表面の位置関係を調整しつつ、基板Pを露光する。具体的には、制御装置7は、基板Pの露光を行う前に、フォーカス・レベリング検出系を用いて、基板Pの表面形状(近似曲面)を予め求めており、基板Pを露光するときには、投影光学系PLの液体LQを介した像面と基板Pの表面とが合致するように、基板ステージ4を制御しつつ、基板Pを露光する。そして、基板Pの露光中においては、制御装置7は、予め求めてある、基板Pの面位置情報(表面形状に関する情報)に基づいて、所定部材90の第2下面91と基板Pの表面との位置関係が所望状態となるように、すなわち、所定部材90の第2下面91と基板Pの表面とのギャップが所望状態になるように、調整機構60を用いて調整する。このように、本実施形態においては、制御装置7は、少なくとも基板Pを移動している間、予め求めてある基板Pの面位置情報に基づいて、フィードフォワード制御によって、基板Pの表面に対する所定部材90の第2下面91の位置を調整しつつ、基板Pを露光する。
また、基板Pを移動しないときには、制御装置7は、所定部材90と基板Pとが当たらないように、複数の所定部材90のそれぞれを+Z方向に移動し、基板Pから所定部材90を退避させておくことが望ましい。
以上説明したように、所定部材90によって、基板Pを移動しつつ露光した場合にも、液体LQの流出を防止し、基板Pを良好に露光することができる。また、調整機構60は、所定部材90の第2下面91と基板Pの表面との間に所定のギャップを形成するので、所定部材90と基板Pとが当たることによる不都合の発生を防止することができる。
また、本実施形態では、複数の所定部材90のうち、基板Pの移動方向前方側に設けられている所定部材90を動かして、その所定部材90の第2下面91を、ノズル部材70の第1下面71よりも基板Pの表面に近づけており、他の所定部材90の第2下面91は、基板Pの表面から十分に離れている。したがって、それら他の所定部材90と基板Pとが当たる等の不都合が抑制される。
また、本実施形態では、所定部材90は、ノズル部材70の外側の複数(4つ)設けられた構成であり、各所定部材90の軽量化を図ることができる。したがって、所定部材90のそれぞれの位置制御を行うときの制御性を向上することができる。
なお、本実施形態では、複数設けられた所定部材90のうち、基板Pの移動方向前方側に配置されている所定部材90の第2下面91のみを基板Pの表面に近づけるように説明したが、他の所定部材90を基板Pの表面に近づけるようにしてもよい。例えば、基板Pを−Y方向に移動するときには、制御装置7は、調整機構60を用いて、液浸領域LR1に対して例えば−Y側、+X側、及び−X側に配置されている所定部材90の第2下面91を基板Pの表面に近づけるようにしてもよい。また、例えば基板PがY軸方向に対して傾斜方向に移動する場合には、制御装置7は、液体LQの流出を防止できるように、複数の所定部材90のうち、任意の所定部材90の第2下面91を基板Pの表面に近づけることができる。
なお、本実施形態では、所定部材90は、ノズル部材70の周囲に、4つ設けられているが、その数及び配置は任意に設定可能である。
なお、本実施形態では、調整機構60は、所定部材90を6自由度の方向に駆動可能であるが、例えば上下方向のみ(Z軸方向のみ)に駆動可能であってもよい。
なお、本実施形態では、所定部材90の第2下面91は平面状であるが、例えば曲面であってもよいし、互いに異なる方向を向く複数の平面を組み合わせたものであってもよい。
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について図15を参照して説明する。本実施形態の特徴的な部分は、基板Pの表面と所定部材90の第2下面91との位置関係を検出する第1検出装置94を設けた点にある。図15において、露光装置EXは、基板Pの表面と所定部材90の第2下面91との位置関係を検出する第1検出装置94を備えている。第1検出装置94は、所定部材90の所定位置に設けられている。第1検出装置94は、流出した液体LQと直接的に接触しない位置に設けられている。本実施形態においては、第1検出装置94は、所定部材90のうち、光路K(第1液浸領域LR1)を向く側面とは反対側の側面に設けられている。第1検出装置94は、基板Pの表面に対して検出光を照射し、基板Pの表面で反射した検出光を受光し、その受光結果に基づいて、所定部材90の第2下面91と基板Pの表面との距離を検出可能である。第1検出装置94の検出結果は制御装置7に出力される。
また、第1検出装置94は、1つの所定部材90に対して複数設けられており、制御装置7は、これら複数の第1検出装置94の検出結果に基づいて、基板Pの表面に対する所定部材90の第2下面91の傾斜方向(θX、θY方向)に関する位置関係を求めることもできる。また、制御装置7は、複数の第1検出装置94の検出結果の平均値から、所定部材90の第2下面91と基板Pの表面との距離を求めるようにしてもよい。このように、本実施形態の第1検出装置94は、所定部材90の第2下面91と基板Pの表面との位置関係を光学的に検出し、制御装置7は、第1検出装置94の検出結果に基づいて、所定部材90の第2下面91と基板Pの表面との位置関係を求めることができる。
そして、制御装置7は、基板Pを移動しつつ露光しているときに、液体LQの流出を防止するために、第1検出装置94の検出結果に基づいて、調整機構60を用いて、所定部材90の位置を調整する。すなわち、制御装置7は、第1検出装置94の検出結果から求めた、所定部材90の第2下面91と基板Pの表面との位置関係に基づいて、所定部材90の第2下面92と基板Pの表面との位置関係(ギャップ)が所望状態となるように、調整機構60を用いて、所定部材90の位置を調整する。これにより、所定部材90と基板Pとの衝突を防止しつつ、液体LQの流出を防止することができる。
<第9実施形態>
次に、第9実施形態について図16を参照して説明する。本実施形態の特徴的な部分は、液体LQの流出を検出する第2検出装置96Aを設けた点にある。図16において、露光装置EXは、液浸領域LR1の液体LQが、ノズル部材70の外側に流出したか否かを検出する第2検出装置96Aを備えている。第2検出装置96Aは、流出した液体LQと接触できるように設けられた検知用部材97を含んで構成されている。本実施形態においては、検知用部材97は、所定部材90のうち、光路K(液浸領域LR1)を向く側面に設けられている。また、検知用部材97は、液体LQに浮くことができるように構成されており、所定部材90に対してZ軸方向に移動自在に支持されている。検知用部材97と液体LQとが接触していない状態、すなわち液浸領域LR1の液体LQの流出を検出していない状態のときには、制御装置7は、駆動機構63を含む調整機構60を用いて、所定部材90の第2下面91をノズル部材70の第1下面71よりも基板Pから遠ざけ、所定位置に退避させている。このとき、検知用部材97は、流出した液体LQと接触できるように、その少なくとも一部が、基板Pと接触しない範囲において、所定部材90の第2下面91よりも下方に配置されている。
液浸領域LR1の液体LQが流出し、その流出した液体LQと検知用部材97と接触すると、検知用部材97には流出した液体LQに基づく力が作用する。例えば、流出した液体LQにより、検知用部材97には浮力が作用する。検知用部材97は液体LQに浮くことができるように構成された浮き部材であり、所定部材90に対してZ軸方向に移動自在に支持されているため、液体LQと接触することにより、上方に移動する(浮く)。また、検知用部材97には、検知用部材97に作用する液体LQの力を検出可能なセンサが接続されている。第2検出装置96Aは、検知用部材97に作用する液体LQの力に基づいて、液体LQが流出したか否かを判断することができる。
制御装置7は、第2検出装置96Aの検出結果に基づいて、液体LQが流出したと判断したとき、駆動機構63を含む調整機構60を用いて、所定部材90の第2下面91を、ノズル部材70の第1下面71よりも基板Pの表面に近づける。すなわち、制御装置7は、第2検出装置96Aの検出結果に基づいて、液体LQが流出したと判断したとき、液体LQの流出を防止するために、所定部材90の第2下面91と基板Pの表面との位置関係を、液体LQの流出が防止できるギャップとなるように調整する。所定部材90の第2下面91が基板Pの表面に対して近づいても、検知用部材97は所定部材90に対してZ軸方向に移動自在に支持されており、液体LQに浮くことができるので、検知用部材97と基板Pとの接触は防止される。
ここで、本実施形態においては、基板Pの面位置情報は、フォーカス・レベリング検出系によって検出されている。したがって、制御装置7は、フォーカス・レベリング検出系の検出結果と駆動機構63の駆動量に関する情報とに基づいて、基板Pの表面に対する所定部材90の第2下面91の位置関係を最適化することができる。
一方、制御装置7は、第2検出装置96Aの検出結果に基づいて、液体LQが流出していないと判断したとき、駆動機構63を含む調整機構60を用いて、所定部材90の第2下面91を、ノズル部材70の第1下面71よりも基板Pの表面から遠ざける。
なお、第9実施形態において、上述の第8実施形態で説明したような第1検出装置94を設けておき、第1検出装置94の検出結果に基づいて、基板Pの表面に対する所定部材90の第2下面91の位置関係を最適化するようにしてもよい。あるいは、基板Pを露光する前に予め求めた基板Pの表面形状に関する情報に基づいて、所定部材90を調整してもよい。
なお、本実施形態では、第2検出装置96Aは、検知用部材97が液体LQから受ける力を利用して、液体LQが流出したか否かを検出しているが、例えば渦電流センサなど、所定部材90に液体LQが接触したか否かを検出可能な液体有無センサを含んで構成されていてもよい。
<第10実施形態>
次に、第10実施形態について図17を参照して説明する。本実施形態の特徴的な部分は、液体LQの流出を検出する第2検出装置96Bが、ノズル部材70に設けられている点にある。図17において、ノズル部材70の第1下面71には、液浸領域LR1の液体LQの流出を検出する第2検出装置96Bが設けられている。第2検出装置96Bは、ノズル部材70の第1下面71の外縁領域に設けられている。本実施形態においては、回収口22には多孔部材25が配置されており、第2検出装置96Bは、多孔部材25の下面26の外縁領域に設けられている。なお、第2検出装置96Bは、第1下面71のうち多孔部材25の下面26よりも外側に設けられていてもよい。
第2検出装置96Bは、例えば渦電流センサ等、液体LQの有無を検出可能なセンサによって構成可能である。あるいは、第2検出装置96Bとして、ノズル部材70に設けられ、検出光を基板P上に投射可能な投射部と、基板P上で反射した検出光を受光可能な受光部とを有し、受光部の受光結果に基づいて、液体LQの流出を光学的に検出するものであってもよい。ノズル部材70の第1下面71のうち、第2検出装置96Bが設けられた位置と基板Pの表面との間に液体LQが有る場合と無い場合とでは、液体と気体との屈折率の違いにより、受光部での受光状態が異なるため、第2検出装置96Bは、受光部の受光結果に基づいて、ノズル部材70の第1下面71の第2検出装置96Bが設けられた位置と基板Pとの間に液体LQが有るか否か、すなわち液体LQが流出したか否かを求めることができる。
そして、制御装置7は、第2検出装置96Bの検出結果に基づいて、液浸領域LR1の液体LQが流出したと判断したとき、調整機構60を用いて、所定部材90の第2下面91をノズル部材70の第1下面71よりも基板Pの表面に近づける。一方、制御装置7は、第2検出装置96Bの検出結果に基づいて、液浸領域LR1の液体LQが流出していないと判断したとき、調整機構60を用いて、所定部材90の第2下面91をノズル部材70の第1下面71よりも基板Pから遠ざける。
本実施形態においては、基板Pの面位置情報は、フォーカス・レベリング検出系によって検出されており、制御装置7は、フォーカス・レベリング検出系の検出結果と駆動機構63の駆動量に関する情報とに基づいて、基板Pの表面に対する所定部材90の第2下面91の位置関係を最適化することができる。また、本実施形態においても、上述の第8実施形態で説明したような第1検出装置94を設けておき、第1検出装置94の検出結果に基づいて、基板Pの表面に対する所定部材90の第2下面91の位置関係を最適化するようにしてもよい。あるいは、基板Pを露光する前に予め求めた基板Pの表面形状に関する情報に基づいて、所定部材90を調整してもよい。
<第11実施形態>
次に、第11実施形態について図18を参照して説明する。本実施形態の特徴的な部分は、液体LQの流出を検出する第2検出装置96Cが、メインコラム6の下側支持部6Bに設けられている点にある。図18の第2検出装置96Cは、基板Pの表面のうち、光路Kに対してノズル部材70よりも外側の所定位置に検出光Laを投射する投射部と、基板Pの表面で反射した検出光Laを受光する受光部とを備えている。制御装置7は、第2検出装置96Cの受光部の受光結果に基づいて、液体LQの流出を検出することができる。基板Pの表面のうち、第2検出装置96Cから検出光Laが照射された位置に液体LQが有る場合と無い場合とでは、液体と気体との屈折率の違いにより、受光部での受光状態が異なるため、第2検出装置96Cは、受光部の受光結果に基づいて、基板Pの表面のうち、光路Kに対してノズル部材70の外側に液体LQが有るか否か、すなわち液体LQが流出したか否かを求めることができる。
そして、上述の第10実施形態同様、制御装置7は、第2検出装置96Cの検出結果に基づいて、液浸領域LR1の液体LQが流出したと判断したとき、調整機構60を用いて、所定部材90の第2下面91をノズル部材70の第1下面71よりも基板Pの表面に近づける。一方、制御装置7は、第2検出装置96Cの検出結果に基づいて、液浸領域LR1の液体LQが流出していないと判断したとき、調整機構60を用いて、所定部材90の第2下面91をノズル部材70の第1下面71よりも基板Pから遠ざける。
<第12実施形態>
次に、第12実施形態について図19を参照して説明する。図19(A)は第12実施形態を説明するための模式的な平面図、図19(B)は側面図である。本実施形態の特徴的な部分は、液体LQの流出を検出する第2検出装置96Dが、液体LQの流出を検出するための検出光Laを、基板Pの表面とほぼ平行に照射する点にある。図19の第2検出装置96Dは、基板Pの表面とほぼ平行に検出光Laを投射する投射部96Kと、投射部96Kから投射された検出光Laを受光可能な位置に設けられた受光部96Lとを備えている。検出光Laは、液浸領域LR1の界面(エッジ)LGの外側の近傍に照射される。液浸領域LR1の液体LQがノズル部材70の回収口22よりも外側に流出した場合には、検出光Laの光路上に液体LQが存在することになる。検出光Laの光路上に液体LQが有る場合と無い場合とでは、受光部96Lでの受光状態が異なるため、制御装置7は、第2検出装置96Dの受光部96Lの受光結果に基づいて、液体LQの流出を検出することができる。
<第13実施形態>
なお、上述の第7〜第12実施形態においては、所定部材90は、ノズル部材70の外側において、複数分割して設けられた構成であるが、図20の模式図に示すように、ノズル部材70(液浸領域LR1)を囲むように環状に形成してもよい。こうすることにより、露光光ELの光路Kに対して交差するいずれの方向においても液体LQの流出を防止することができる。また、第13実施形態においても、上述の実施形態で説明したように、環状の所定部材90の位置をフィードフォワード制御で調整するようにしてもよいし、第1検出装置94の検出結果を用いて調整するようにしてもよい。
以上のように、上述の各実施形態においては、液浸領域LR1の外側に、液浸領域LR1の液体LQの流出を防止するための壁を形成する流出防止装置が設けられた構成となっており、その流出防止装置によって、液体LQの流出を防止することができる。したがって、液体LQの流出に伴う種々の不具合の発生を防止し、基板Pを良好に露光することができる。
なお、基板Pの露光のみならず、液体LQを介して行われる各種計測などにおいても、液浸領域LR1の液体LQが流出する可能性がある。例えば基板ステージ4の上面4Fに設けられたセンサ上に液浸領域LR1を形成した状態で、そのセンサを用いて計測動作を行う場合においても、その液浸領域LR1の外側に、第2液浸領域LR2を形成したり、あるいは第2部材90を配置することができる。これにより、液浸領域LR1の液体LQを介して行われる各種計測を、液体LQの流出を防止しつつ、高精度に実行することができる。したがって、その計測に基づいて実行される基板Pの露光も良好に行うことができる。
また、特開平11−135400号公報や特開2000−164504号公報に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材や各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも、上述の各実施形態を適用することができる。計測ステージ上に液浸領域LR1を形成した場合においても、その液浸領域LR1の外側に、第2液浸領域LR2を形成したり、あるいは所定部材90を配置することができる。
なお、上述の各実施形態の投影光学系は、先端の光学素子の像面側の露光光ELの光路を液体で満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、先端の光学素子の物体面側の光路も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。
また、液体LQとしては、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。更に、石英や蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で光学素子FLを形成してもよい。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに開示されているような露光対象の基板の表面全体が液体中に浸かっている状態で露光を行う液浸露光装置にも適用可能である。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いてもよい。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図21に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。