JP2006310827A - 露光装置、露光方法、及びデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板を移動しつつ露光するときにも、露光光の光路空間を液体で所望状態に満たすことができる露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置は、露光光の光路空間K1を液体で満たすために液体を供給する液体供給装置と、露光光が照射可能な位置に配置された基板の表面と対向するように、且つ露光光の光路空間K1を囲むように設けられ、液体供給装置から供給された液体を基板との間で保持可能な第1ランド面75と、基板の表面と対向するように、且つ露光光の光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に配置された第2ランド面76とを備えている。第2ランド面76は、基板の表面と第2ランド面76との間に存在する液体の膜が第2ランド面76と接触しないように設けられている。
【選択図】図2
【解決手段】露光装置は、露光光の光路空間K1を液体で満たすために液体を供給する液体供給装置と、露光光が照射可能な位置に配置された基板の表面と対向するように、且つ露光光の光路空間K1を囲むように設けられ、液体供給装置から供給された液体を基板との間で保持可能な第1ランド面75と、基板の表面と対向するように、且つ露光光の光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に配置された第2ランド面76とを備えている。第2ランド面76は、基板の表面と第2ランド面76との間に存在する液体の膜が第2ランド面76と接触しないように設けられている。
【選択図】図2
Description
本発明は、液体を介して基板を露光する露光装置、露光方法、及びデバイス製造方法に関するものである。
半導体デバイスや液晶表示デバイス等のマイクロデバイスの製造工程の一つであるフォトリソグラフィ工程では、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に投影露光する露光装置が用いられる。この露光装置は、マスクを保持して移動可能なマスクステージと、基板を保持して移動可能な基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に投影露光するものである。マイクロデバイスの製造においては、デバイスの高密度化のために、基板上に形成されるパターンの微細化が要求されている。この要求に応えるために露光装置の更なる高解像度化が望まれている。その高解像度化を実現するための手段の一つとして、下記特許文献1に開示されているような、露光光の光路空間を液体で満たし、その液体を介して基板を露光する液浸露光装置が案出されている。
国際公開第99/49504号パンフレット
ところで、露光装置においては、デバイスの生産性向上等を目的として、基板(基板ステージ)の移動速度の高速化が要求される。ところが、基板(基板ステージ)を高速で移動した場合、露光光の光路空間を液体で所望状態に満たすことが困難となる可能性があり、液体を介した露光精度及び計測精度が劣化する可能性がある。例えば、基板(基板ステージ)の移動の高速化に伴って、露光光の光路空間を液体で十分に満たすことができなかったり、液体中に気泡が生成される等の不都合が生じると、露光光が基板上に良好に到達せず、基板上にパターンが形成されなかったり、基板上に形成されるパターンに欠陥が生じる等の不都合が生じる。また、基板(基板ステージ)の移動の高速化に伴って、光路空間に満たされた液体が漏出する不都合が生じる可能性もある。液体が漏出すると、周辺部材・機器が腐食したり故障する等の不都合が生じる。また、漏出した液体、回収しきれなかった液体などが、例えば液滴となって基板上に残留した場合、その残留した液体(液滴)が気化することによって基板に液体の付着跡(所謂ウォーターマーク)が形成される不都合が生じる可能性もある。また、漏出した液体の気化熱により基板や基板ステージが熱変形したり、露光装置の置かれている環境(湿度、クリーン度等)が変動し、基板上でのパターン重ね合わせ精度等を含む露光精度の劣化を招いたり、干渉計等を使った各種計測精度の劣化を招く虞がある。また、液体が残留(付着)した基板を基板ステージから搬出すると、その濡れた基板を保持する搬送系にも液体が付着し、被害が拡大する虞がある。また、基板(基板ステージ)の移動の高速化に伴って、液体で満たされる液浸領域が巨大化する可能性もあり、それに伴って露光装置全体が巨大化する不都合が生じる可能性がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、露光光の光路空間を液体で所望状態に満たすことができる露光装置、露光方法、及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は実施の形態に示す各図に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
本発明の第1の態様に従えば、基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、露光光(EL)の光路空間(K1)を液体(LQ)で満たすために液体(LQ)を供給する液体供給装置(11)と、露光光(EL)が照射可能な位置に配置された物体(P)の表面と対向するように、且つ露光光(EL)の光路空間(K1)を囲むように設けられ、液体供給装置(11)から供給された液体(LQ)を物体(P)との間で保持可能な第1面(75)と、物体(P)の表面と対向するように、且つ露光光(EL)の光路空間(K1)に対して第1面(75)の外側に配置された第2面(76)とを備え、第2面(76)は、物体(P)の表面と第2面(75)との間に存在する液体(LQ)の膜が第2面(76)と接触しないように設けられている露光装置(EX)が提供される。
本発明の第1の態様によれば、基板を所定方向に移動しつつ露光した場合にも、露光光の光路空間を液体で所望状態に満たすことができる。
本発明の第2の態様に従えば、基板(P)に液体(LQ)を介して露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置であって、露光光(EL)が照射可能な位置に配置される物体(P)の表面と対向し、且つ液体(LQ)を物体(P)との間で保持可能な部材(70)と、物体(P)と部材(70)の間で保持された液体(LQ)を回収する回収部(22)と、光路(K1)と回収部(22)との間に物体の表面と対向するように位置し、且つ物体(P)上の液体(LQ)と部材(70)の間に空間(SP)をもたらす空間形成領域(72、76)が部材(70)に形成されている露光装置(EX)が提供される。
本発明の第2の態様によれば、液体の漏出及び液浸領域の巨大化を抑制しつつ、露光光の光路の所定部分を液体で満たすことができる。
本発明の第3の態様に従えば、基板(P)に液体(LQ)を介して露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光方法であって、液体(LQ)を、基板(P)と対向するように配置された部材(70)と基板(P)との間に供給することと、基板(P)上の液体(LQ)と部材(70)との間に空間(SP)をもたらしつつ液体(LQ)を回収することと、基板(P)に液体(LQ)を介して露光光を照射して基板(P)を露光することを含む露光方法が提供される。
本発明の第3の態様によれば、液体の漏出及び液浸領域の巨大化を抑制しつつ、露光光の光路の所定部分を液体で満たした状態で基板を露光することができる。
本発明の第4の態様に従えば、上記態様の露光装置(EX)を用いるデバイス製造方法が提供される。
本発明の第5の態様に従えば、上記態様の露光方法を用いて基板(P)を露光することを含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の第4、第5の態様によれば、露光光の光路空間を液体で所望状態に満たすことができる露光装置、露光方法を使ってデバイスを製造することができる。
本発明によれば、露光光の光路空間を液体で所望状態に満たすことができ、液体を介した露光処理及び計測処理を良好に行うことができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係る露光装置を示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージMSTと、基板Pを保持して移動可能な基板ステージPSTと、マスクステージMSTに保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに保持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。
図1は第1実施形態に係る露光装置を示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージMSTと、基板Pを保持して移動可能な基板ステージPSTと、マスクステージMSTに保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに保持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、投影光学系PLの像面近傍における露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たすための液浸機構1を備えている。液浸機構1は、光路空間K1の近傍に設けられ、液体LQを供給する供給口12及び液体LQを回収する回収口22を有するノズル部材70と、供給管13、及びノズル部材70に設けられた供給口12を介して液体LQを供給する液体供給装置11と、ノズル部材70に設けられた回収口22、及び回収管23を介して液体LQを回収する液体回収装置21とを備えている。後に詳述するように、ノズル部材70の内部には、供給口12と供給管13とを接続する流路(供給流路)14が設けられているとともに、回収口22と回収管23とを接続する流路(回収流路)24が設けられている。なお図1には、供給口、回収口、供給流路、及び回収流路は図示されていない。ノズル部材70は、投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子LS1を囲むように環状に形成されている。
また、本実施形態の露光装置EXは、投影光学系PLの投影領域ARを含む基板P上の一部に、投影領域ARよりも大きく且つ基板Pよりも小さい液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する局所液浸方式を採用している。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板Pに転写している間、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子LS1と、投影光学系PLの像面側に配置された基板Pとの間の露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たし、投影光学系PLと光路空間K1に満たされた液体LQとを介してマスクMを通過した露光光ELを基板Pに照射することによって、マスクMのパターン像を基板Pに投影露光する。制御装置CONTは、液浸機構1の液体供給装置11を使って液体LQを所定量供給するとともに、液体回収装置21を使って液体LQを所定量回収することで、光路空間K1を液体LQで満たし、基板P上に液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する。
なお、以下の説明においては、露光光ELが照射可能な位置に基板Pを配置した状態で、すなわち投影光学系PLと基板Pとが対向している状態で光路空間K1が液体LQで満たされている場合について説明するが、基板P以外の物体(例えば基板ステージPSTの上面94)が投影光学系PLと対向している状態で光路空間K1が液体LQで満たされている場合も同様である。
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をY軸方向、水平面内においてY軸方向と直交する方向(非走査方向)をX軸方向、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ等の基材上に感光材(フォトレジスト)、保護膜のような膜を塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
露光装置EXは、床面上に設けられたベースBPと、そのベースBP上に設置されたメインコラム9とを備えている。メインコラム9には、内側に向けて突出する上側段部7及び下側段部8が形成されている。照明光学系ILは、マスクステージMSTに保持されているマスクMを露光光ELで照明するものであって、メインコラム9の上部に固定された支持フレーム10により支持されている。
照明光学系ILは、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域を設定する視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
本実施形態においては、液体LQとして純水が用いられる。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能である。マスクステージMSTは、マスクMを真空吸着(又は静電吸着)により保持する。マスクステージMSTの下面には非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)85が複数設けられている。マスクステージMSTは、エアベアリング85によりマスクステージ定盤2の上面(ガイド面)に対して非接触支持されている。マスクステージMST及びマスクステージ定盤2の中央部にはマスクMのパターン像を通過させる開口部がそれぞれ形成されている。マスクステージ定盤2は、メインコラム9の上側段部7に防振装置86を介して支持されている。すなわち、マスクステージMSTは、防振装置86及びマスクステージ定盤2を介してメインコラム9の上側段部7に支持された構成となっている。防振装置86によって、メインコラム9の振動がマスクステージMSTを支持するマスクステージ定盤2に伝わらないように、マスクステージ定盤2とメインコラム9とが振動的に分離されている。
マスクステージMSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含むマスクステージ駆動装置MSTDの駆動により、マスクMを保持した状態で、マスクステージ定盤2上において、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微少回転可能である。マスクステージMST上には移動鏡81が設けられている。また、移動鏡81に対向する位置にはレーザ干渉計82が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角はレーザ干渉計82によりリアルタイムで計測される。なおレーザ干渉計82でθX、θY方向の回転角を計測するようにしてもよい。レーザ干渉計82の計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計82の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動し、マスクステージMSTに保持されているマスクMの位置制御を行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、複数の光学素子で構成されており、それら光学素子は鏡筒PKで保持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子LS1は鏡筒PKより露出している。
投影光学系PLを保持する鏡筒PKの外周にはフランジPFが設けられており、投影光学系PLはフランジPFを介して鏡筒定盤5に支持されている。鏡筒定盤5は、メインコラム9の下側段部8に防振装置87を介して支持されている。すなわち、投影光学系PLは、防振装置87及び鏡筒定盤5を介してメインコラム9の下側段部8に支持された構成となっている。また、防振装置87によって、メインコラム9の振動が投影光学系PLを支持する鏡筒定盤5に伝わらないように、鏡筒定盤5とメインコラム9とが振動的に分離されている。
基板ステージPSTは、基板Pを保持する基板ホルダPHを有しており、基板ホルダPHに基板Pを保持して移動可能である。基板ホルダPHは、例えば真空吸着等により基板Pを保持する。基板ステージPST上には凹部93が設けられており、基板Pを保持するための基板ホルダPHは凹部93に配置されている。そして、基板ステージPSTのうち凹部93周囲の上面94は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面となっている。なお、光路空間K1に液体LQを満たし続けることができるならば、基板ステージPSTの上面94と基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とに段差があってもよい。
基板ステージPSTの下面には非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)88が複数設けられている。基板ステージPSTは、エアベアリング88により基板ステージ定盤6の上面(ガイド面)に対して非接触支持されている。基板ステージ定盤6は、ベースBP上に防振装置89を介して支持されている。また、防振装置89によって、ベースBP(床面)、メインコラム9などの振動が基板ステージPSTを支持する基板ステージ定盤6に伝わらないように、基板ステージ定盤6とメインコラム9及びベースBP(床面)とが振動的に分離されている。
基板ステージPSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含む基板ステージ駆動装置PSTDの駆動により、基板Pを基板ホルダPHを介して保持した状態で、基板ステージ定盤6上でXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に基板ステージPSTは、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能である。したがって、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。基板ステージPSTの側面には移動鏡83が設けられている。また、移動鏡83に対向する位置にはレーザ干渉計84が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計84によりリアルタイムで計測される。また、不図示ではあるが、露光装置EXは、基板ステージPSTに保持されている基板Pの表面の面位置情報を検出するフォーカス・レベリング検出系を備えている。
レーザ干渉計84の計測結果は制御装置CONTに出力される。フォーカス・レベリング検出系の検出結果も制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、基板ステージ駆動装置PSTDを駆動し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角(θX、θY)を制御して、基板Pの表面を投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面に合わせ込むとともに、レーザ干渉計84の計測結果に基づいて、基板PのX軸方向、Y軸方向、及びθZ方向における位置制御を行う。
液浸機構1の液体供給装置11は、露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たすために液体LQを供給するものであって、液体LQを収容するタンク、加圧ポンプ、供給する液体LQの温度を調整する温度調整装置、及び液体LQ中の異物を取り除くフィルタユニット等を備えている。液体供給装置11には供給管13の一端部が接続されており、供給管13の他端部はノズル部材70に接続されている。液体供給装置11の液体供給動作は制御装置CONTにより制御される。なお、液体供給装置11のタンク、加圧ポンプ、温度調整機構、フィルタユニット等は、その全てを露光装置EXが備えている必要はなく、露光装置EXが設置される工場等の設備を代用してもよい。
また、供給管13の途中には、液体供給装置11から送出され、投影光学系PLの像面側に供給される単位時間当たりの液体量を制御するマスフローコントローラと呼ばれる流量制御器19が設けられている。流量制御器19による液体供給量の制御は制御装置CONTの指令信号のもとで行われる。
液浸機構1の液体回収装置21は、露光光ELの光路空間K1に満たされている液体LQを回収するためのものであって、真空ポンプ等の真空系、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。液体回収装置21には回収管23の一端部が接続されており、回収管23の他端部はノズル部材70に接続されている。液体回収装置21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。なお、液体回収装置21の真空系、気液分離器、タンク等は、その全てを露光装置EXが備えている必要はなく、露光装置EXが設置される工場等の設備を代用してもよい。
ノズル部材70は、支持機構91に支持されている。支持機構91は、メインコラム9の下側段部8に接続されている。ノズル部材70を支持機構91を介して支持しているメインコラム9と、投影光学系PLの鏡筒PKをフランジPFを介して支持している鏡筒定盤5とは、防振装置87を介して振動的に分離されている。したがって、ノズル部材70で発生した振動が投影光学系PLに伝達されることは防止されている。また、メインコラム9と、基板ステージPSTを支持している基板ステージ定盤6とは、防振装置89を介して振動的に分離されている。したがって、ノズル部材70で発生した振動が、メインコラム9及びベースBPを介して基板ステージPSTに伝達されることが防止されている。また、メインコラム9と、マスクステージMSTを支持しているマスクステージ定盤2とは、防振装置86を介して振動的に分離されている。したがって、ノズル部材70で発生した振動がメインコラム9を介してマスクステージMSTに伝達されることが防止されている。
次に、図2〜図5を参照しながら、ノズル部材70について説明する。図2はノズル部材70近傍を示す概略斜視図の一部破断図、図3はノズル部材70を下側から見た斜視図、図4はXZ平面と平行な側断面図、図5はYZ平面と平行な側断面図である。
ノズル部材70は、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子LS1の近傍に設けられている。ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において最終光学素子LS1を囲むように設けられた環状部材であって、その中央部に投影光学系PL(最終光学素子LS1)を配置可能な穴部70Hを有している。また、本実施形態においては、ノズル部材70は複数の部材を組み合わせて構成されており、ノズル部材70の外形は平面視略四角形状である。ノズル部材70の外形は、平面視四角形状に限られず、例えば、平面視円形状であってもよい。なお、ノズル部材70は一つの材料(チタンなど)で構成されていてもよいし、例えばアルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ジュラルミン、及びこれらを含む合金によって構成されていてもよい。
ノズル部材70は、側板部70Aと、傾斜板部70Bと、側板部70A及び傾斜板部70Bの上端部に設けられた天板部70Cと、基板P(基板ステージPST)と対向する底板部70Dとを有している。傾斜板部70Bはすり鉢状に形成されており、最終光学素子LS1は、傾斜板部70Bによって形成された穴部70Hの内側に配置される。傾斜板部70Bの内側面(すなわちノズル部材70の穴部70Hの内側面)70Tと投影光学系PLの最終光学素子LS1の側面LTとは対向しており、傾斜板部70Bの内側面70Tと最終光学素子LS1の側面LTとの間には所定のギャップG1が設けられている。ギャップG1が設けられていることにより、ノズル部材70で発生した振動が、投影光学系PL(最終光学素子LS1)に直接的に伝達することが防止されている。また、傾斜板部70Bの内側面70Tは、液体LQに対して撥液性(撥水性)となっており、投影光学系PLの最終光学素子LS1の側面LTと傾斜板部70Bの内側面70Tとの間のギャップG1への液体LQの浸入が抑制されている。なお、傾斜板部70Bの内側面70Tを撥液性にするための撥液化処理としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料、シリコン系樹脂材料等の撥液性材料を付着する処理等が挙げられる。
底板部70Dの一部は、Z軸方向に関して、投影光学系PLの最終光学素子LS1の下面T1と基板P(基板ステージPST)との間に設けられる。また、底板部70Dの中央部には、露光光ELが通過する開口部74が形成されている。開口部74には、投影光学系PLの最終光学素子(光学部材)LS1を通過した露光光ELが通過するようになっている。本実施形態においては、露光光ELが照射される投影領域ARはX軸方向(非走査方向)を長手方向とするスリット状(略矩形状)に設けられ、開口部74は、投影領域ARに応じた形状を有しており、本実施形態においてはX軸方向(非走査方向)を長手方向とするスリット状(略矩形状)に形成されている。開口部74は投影領域ARよりも大きく形成されており、投影光学系PLを通過した露光光ELは、底板部70Dに遮られることなく、基板P上に到達できる。
ノズル部材70のうち基板P(基板ステージPST)と対向する下面は、露光光ELが照射可能な位置に配置された基板Pの表面と対向する第1面75を有している。第1面75は、XY平面と平行な平坦面となっている。第1面75は、露光光ELの光路空間K1(この空間を通過した露光光が基板P上に投影されて投影領域ARを形成する:本明細書では「光路空間K1」は露光光が通る空間を意図しており、この実施形態及び以下の実施形態では、最終光学素子LS1と基板Pとの間における露光光が通る空間を意味する)を囲むように設けられている。すなわち、第1面75は、底板部70Dのうち露光光ELが通過する開口部74の周囲に設けられた面である。ここで、露光光ELが照射可能な位置とは、投影光学系PLと対向する位置を含む。第1面75は、投影光学系PLを通過した露光光ELの光路空間K1を囲むように設けられているため、制御装置CONTは、露光光ELが照射可能な位置に基板Pを配置することにより、第1面75と基板Pの表面とを対向させることができる。
そして、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面はXY平面とほぼ平行であるため、ノズル部材70の第1面75は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面と対向するように、且つ基板Pの表面(XY平面)と略平行となるように設けられた構成となっている。そして、第1面75は、露光光ELの光路空間K1を満たすために液体供給装置11から供給された液体LQを基板Pとの間で保持可能となっている。以下の説明においては、ノズル部材70のうち、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路空間K1を囲むように設けられ、基板Pの表面(XY平面)と略平行となるように形成された第1面(平坦面)75を適宜、「第1ランド面75」と称する。
第1ランド面75は、ノズル部材70のうち、基板ステージPSTに保持された基板Pに最も近い位置に設けられている。すなわち、第1ランド面75は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面との距離(間隔)が最も小さくなる部分である。これにより、第1ランド面75と基板Pとの間で液体LQを良好に保持して液浸領域LRを形成することができる。本実施形態においては、基板Pの表面と第1ランド面75との距離(間隔)W1は、1mm程度に設定されている。
そして、第1ランド面75は、投影光学系PLの下面T1と基板Pとの間において、露光光ELの光路空間K1(投影領域AR)を囲むように設けられている。第1ランド面75は、ノズル部材70(底板部70D)の下面の一部の領域に設けられたものであって、上述のように、露光光ELが通過する開口部74を囲むように設けられている。第1ランド面75は、開口部74に応じた形状を有しており、本実施形態における第1ランド面75の外形は、X軸方向(非走査方向)を長手方向とする矩形状である。
開口部74は、第1ランド面75のほぼ中央部に設けられている。そして、図3等に示すように、Y軸方向(走査方向)における第1ランド面75の幅D1は、Y軸方向における開口部74の幅D2よりも小さくなっている。ここで、Y軸方向における第1ランド面75の幅D1とは、第1ランド面75の+Y側(−Y側)の端部(エッジ)Eと開口部74の+Y側(−Y側)の端部(エッジ)との距離である。本実施形態においては、開口部74は第1ランド面75のほぼ中央部に設けられているため、第1ランド面75の+Y側の端部Eと開口部74の+Y側の端部との距離と、第1ランド面75の−Y側の端部Eと開口部74の−Y側の端部との距離とはほぼ等しい。
また、本実施形態においては、Y軸方向における第1ランド面75の幅D1は、X軸方向における第1ランド面75の幅D3よりも小さくなっている。ここで、X軸方向における第1ランド面75の幅D3とは、第1ランド面75の+X側(−X側)の端部(エッジ)と開口部74の+X側(−X側)の端部(エッジ)との距離である。本実施形態においては、開口部74は第1ランド面75のほぼ中央部に設けられているため、第1ランド面75の+X側の端部と開口部74の+X側の端部との距離と、第1ランド面75の−X側の端部と開口部74の−X側の端部との距離とはほぼ等しい。
基板Pの表面と最終光学素子LS1の下面T1との距離は、基板Pの表面と第1ランド面75との距離よりも長くなっている。すなわち、最終光学素子LS1の下面T1は、第1ランド面75より高い位置に形成されている。また、底板部70Dは、最終光学素子LS1の下面T1及び基板P(基板ステージPST)とは接触しないように設けられている。そして、図5等に示すように、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間には、所定のギャップG2を有する空間が形成されている。底板部70Dの上面77は、露光光ELが通過する開口部74を囲むように設けられている。すなわち、底板部70Dの上面77は、露光光ELの光路空間K1を囲むように設けられ、最終光学素子LS1との間に所定のギャップG2を介して対向した構成となっている。以下の説明においては、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間の空間を含むノズル部材70の内側の空間を適宜、「内部空間G2」と称する。
また、ノズル部材70の下面のうち、第1ランド面75に対してY軸方向両側のそれぞれには凹部72(空間形成領域)が設けられている。凹部72は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面に対して離れるように凹んでいる。凹部72の内側には、基板ステージPSTに保持された基板Pと対向する第2面76が形成されている。第2面76は、露光光ELの光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に配置されている。第2面76は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れている。以下の説明においては、ノズル部材70のうち、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面と対向するように、且つ露光光ELの光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に配置され、基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れている第2面76を適宜、「第2ランド面76」と称する。
本実施形態においては、第2ランド面76は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面とほぼ平行な平坦面である。また、本実施形態においては、基板Pの表面と第2ランド面76との距離(間隔)W2は、3mm程度に設定されている。なお図面を見やすくするため、各図面における縮尺等は実際のものとは異なっている。
第2ランド面76は、Y軸方向(走査方向)において、第1ランド面75の両側のそれぞれに設けられている。図5等に示すように、本実施形態においては、第2ランド面76の外形は、X軸方向(非走査方向)を長手方向とする矩形状であり、第2ランド面76のX軸方向の大きさ及び第1ランド面75のX軸方向全体の大きさはほぼ同じ値D4である。そして、本実施形態においては、第1ランド面75の+Y側のエッジEは平面視においてX軸方向に延びるように直線状に形成されており、−Y側のエッジEも平面視においてX軸方向に延びるように直線状に形成されている。
また、第1ランド面75には光路空間K1に満たされた液体LQが接触するようになっており、最終光学素子LS1の下面T1にも光路空間K1に満たされた液体LQが接触するようになっている。すなわち、ノズル部材70の第1ランド面75及び最終光学素子LS1の下面T1のそれぞれは、液体LQと接触する液体接触面となっている。
一方、後述するように、第2ランド面76は、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQの膜が第2ランド面76と接触しないように設けられている。すなわち、光路空間K1を液体LQで満たすために第1ランド面75に液体LQを接触させて第1ランド面75と基板Pとの間で液体LQを保持した場合でも、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQの膜は第2ランド面76と接触しないようになっている。換言すれば、第2ランド面76を区画する凹部72(空間形成領域)の存在により、第2ランド面76と対向する基板P上に存在する液体LQ(液体LQの表面)と第2ランド面76との間に液体が存在しない空間がもたらされる。
第1ランド面75は、液体LQに対して親液性を有している。本実施形態においては、第1ランド面75を形成する底板部70Dはチタンによって形成されている。チタン材料は光触媒作用を有する不動態膜が表面に形成され、その表面の親液性(親水性)を維持することができるため、第1ランド面75における液体LQの接触角を例えば20°以下に維持することができる。
なお、第1ランド面75及び第2ランド面76をステンレス鋼(例えばSUS316)で形成し、その表面に液体LQへの不純物の溶出を抑えるための表面処理、あるいは親液性を高めるための表面処理を施してもよい。そのような表面処理としては、第1ランド面75及び第2ランド面76のそれぞれに酸化クロムを付着する処理が挙げられ、例えば株式会社神鋼環境ソリューションの「GOLDEP」処理あるいは「GOLDEP WHITE」処理が挙げられる。
一方、第2ランド面76は、液体LQに対して撥液性を有している。本実施形態においては、第2ランド面76には、液体LQに対して撥液性を付与する表面処理(撥液化処理)が施されている。そのような表面処理としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料、シリコン系樹脂材料等の撥液性材料を付着する処理が挙げられる。
ノズル部材70は、露光光ELの光路空間K1を満たすための液体LQを供給する供給口12と、露光光ELの光路空間K1を満たすための液体LQを回収する回収口22とを備えている。また、ノズル部材70は、供給口12に接続する供給流路14、及び回収口22に接続する回収流路24を備えている。また、図2〜図5においてはその図示を省略若しくは簡略しているが、供給流路14は供給管13の他端部と接続され、回収流路24は回収管23の他端部と接続される。
供給流路14は、ノズル部材70の傾斜板部70Bの内部を傾斜方向に沿って貫通するスリット状の貫通孔によって形成されている。また、本実施形態においては、供給流路14は、光路空間K1(投影領域AR)に対してY軸方向両側のそれぞれに設けられている。そして、供給流路(貫通孔)14の上端部と供給管13の他端部とが接続され、これにより、供給流路14が供給管13を介して液体供給装置11に接続される。一方、供給流路14の下端部は、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間の内部空間G2近傍に設けられており、この供給流路14の下端部が供給口12となっている。すなわち、供給口12は、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間の内部空間G2近傍に設けられており、内部空間G2と接続されている。本実施形態においては、供給口12は、露光光ELの光路空間K1の外側において、光路空間K1を挟んだY軸方向両側のそれぞれの所定位置に設けられている。
供給口12は、光路空間K1を満たすための液体LQを供給する。供給口12には液体供給装置11から液体LQが供給されるようになっており、供給口12は、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間、すなわち内部空間G2に液体LQを供給可能である。供給口12から最終光学素子LS1と底板部70Dとの間の内部空間G2に液体LQを供給することによって、最終光学素子LS1と基板Pとの間の露光光ELの光路空間K1が液体LQで満たされる。
また、ノズル部材70は、内部空間G2と外部空間K3とを連通させるための排気口16を有している。排気口16には排気流路15が接続されている。排気流路15は、ノズル部材70の傾斜板部70Bの内部を傾斜方向に沿って貫通するスリット状の貫通孔によって形成されている。また、本実施形態においては、排気流路15は、光路空間K1(投影領域AR)に対してX軸方向両側のそれぞれに設けられている。そして、排気流路(貫通孔)15の上端部は外部空間(大気空間)K3に接続されており、大気開放された状態となっている。一方、排気流路15の下端部は、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間の内部空間G2に接続されており、この排気流路15の下端部が排気口16となっている。すなわち、排気口16は、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間の内部空間G2近傍に設けられており、内部空間G2と接続されている。本実施形態においては、排気口16は、露光光ELの光路空間K1の外側において、光路空間K1を挟んだX軸方向両側のそれぞれの所定位置に設けられている。また、本実施形態においては、底板部70Dの上面77のうち排気口16近傍には凹部78が設けられている。排気口16は、排気流路15を介して、内部空間G2と外部空間K3とを連通させているため、内部空間G2の気体は、排気口16を介して、排気流路15の上端部より、外部空間K3に排出(排気)可能となっている。
ノズル部材70は、側板部70Aと傾斜板部70Bとの間において下向きに開口する空間部24を有している。回収口22は、空間部24の開口部に設けられている。また、空間部24は回収流路の少なくとも一部を構成する。そして、回収流路(空間部)24の一部に回収管23の他端部が接続される。
回収口22は、光路空間K1を満たすための液体LQを回収する。回収口22は、基板ステージPSTに保持された基板Pの上方において、その基板Pの表面と対向する位置に設けられている。回収口22と基板Pの表面とは所定距離だけ離れている。回収口22は、投影光学系PLの像面近傍の光路空間K1に対して供給口12の外側に設けられている。
回収口22は、光路空間K1に対して第2ランド面76の外側に設けられている。本実施形態においては、回収口22は、第1ランド面75及び第2ランド面76を囲むように、平面視において環状に設けられている。回収口22を第1ランド面75及び第2ランド面76を囲むように環状に設けることにより、液体LQの漏出や残留を十分に抑制することができる。
ノズル部材70は、回収口22を覆うように配置された、複数の孔を有する多孔部材25を備えている。多孔部材25は複数の孔を有したメッシュ部材により構成可能であり、例えば略六角形状の複数の孔からなるハニカムパターンを形成されたメッシュ部材によって構成可能である。また、多孔部材25は、チタンやステンレス鋼(例えばSUS316)などからなる多孔部材の基材となる板部材に孔あけ加工を施すことで形成可能である。あるいは、多孔部材25として、セラミックス製の多孔部材を用いることも可能である。本実施形態の多孔部材25は薄板状に形成されており、例えば100μm程度の厚みを有するものである。
多孔部材25は、基板ステージPSTに保持された基板Pと対向する下面26を有している。多孔部材25の下面26は、ノズル部材70の下面の一部であり、多孔部材25の基板Pと対向する下面26はほぼ平坦である。多孔部材25は、その下面26が基板ステージPSTに保持された基板Pの表面(すなわちXY平面)とほぼ平行になるように回収口22に設けられている。
多孔部材25の下面26と基板Pの表面との距離は、第1ランド面75と基板Pの表面との距離とほぼ等しくなっている。すなわち、回収口22に設けられた多孔部材25の下面26と第1ランド面75とは、基板Pの表面に対してほぼ同じ位置(高さ)に設けられている。そして、回収口22に設けられた多孔部材25は、液体LQを回収するときに液体LQと接触する。回収口22は、多孔部材25に接触した液体LQを回収することができる。回収口22及びその回収口22に配置された多孔部材25は、平面視において矩形の環状に形成されている。
また、本実施形態においては、多孔部材25は液体LQに対して親液性(親水性)を有している。多孔部材25を親液性にするための親液化処理(表面処理)としては、多孔部材25に酸化クロムを付着する処理が挙げられる。具体的には、上述したような「GOLDEP」処理あるいは「GOLDEP WHITE」処理が挙げられる。また、このような表面処理を施すことにより、多孔部材25から液体LQへの不純物の溶出が抑えられる。もちろん、親液性の材料自体で多孔部材25を形成してもよい。
次に、図6を参照しながら、本実施形態における液浸機構1による液体回収動作の原理について説明する。図6は多孔部材25の一部を拡大した断面図であって、多孔部材25を介して行われる液体回収動作を説明するための模式図である。本実施形態において、液浸機構1は、回収口22を介して液体LQのみを回収するように設けられている。したがって、液浸機構1は、回収口22を介して空間部24に気体を流入させること無く、液体LQを良好に回収することができる。
図6において、回収口22には多孔部材25が設けられている。また、多孔部材25の下側には基板Pが配置されている。そして、多孔部材25と基板Pとの間には、気体空間及び液体空間が形成されている。より具体的には、多孔部材25の第1孔25Haと基板Pとの間には気体空間が形成され、多孔部材25の第2孔25Hbと基板Pとの間には液体空間が形成されている。また、多孔部材25の上側には、回収流路(流路空間)24が形成されている。
多孔部材25の第1孔25Haと基板Pとの間の空間K3の圧力(多孔部材25Hの下面での圧力)をPa、多孔部材25の上側の流路空間24の圧力(多孔部材25の上面での圧力)をPc、孔25Ha、25Hbの孔径(直径)をd、多孔部材25(孔25Hの内側面)の液体LQとの接触角をθ、液体LQの表面張力をγとした場合、本実施形態の液浸機構1は、
(4×γ×cosθ)/d ≧ (Pa−Pc) …(1)
の条件を満足するように設定されている。なお、上記(1)式においては、説明を簡単にするために多孔部材25の上側の液体LQの静水圧は考慮してない。
(4×γ×cosθ)/d ≧ (Pa−Pc) …(1)
の条件を満足するように設定されている。なお、上記(1)式においては、説明を簡単にするために多孔部材25の上側の液体LQの静水圧は考慮してない。
この場合において、多孔部材25(孔25Hの内側面)の液体LQとの接触角θは、
θ ≦ 90° …(2)
の条件を満足する必要がある。
θ ≦ 90° …(2)
の条件を満足する必要がある。
上記条件が成立する場合、多孔部材25の第1孔25Haの下側(基板P側)に気体空間が形成された場合でも、多孔部材25の下側の空間K3の気体が孔25Haを介して多孔部材25の上側の流路空間24に移動(侵入)することが防止される。すなわち、上記条件を満足するように、多孔部材25の孔径d、多孔部材25の液体LQとの接触角(親和性)θ、液体LQの表面張力γ、及び圧力Pa、Pcを最適化することにより、液体LQと気体との界面を多孔部材25の第1孔25Haの内側に維持することができ、第1孔25Haを介して空間K3から流路空間24へ気体が侵入することを抑えることができる。一方、多孔部材25の第2孔25Hbの下側(基板P側)には液体空間が形成されているので、第2孔25Hbを介して液体LQのみを回収することができる。
本実施形態においては、多孔部材25の下側の空間K3の圧力Pa、孔径d、多孔部材25(孔25Hの内側面)の液体LQとの接触角θ、液体(純水)LQの表面張力γはほぼ一定であり、液浸機構1は、液体回収装置21の吸引力を制御して、上記条件を満足するように、多孔部材25の上側の流路空間24の圧力Pcを調整する。
なお、上記(1)式において、(Pa−Pc)の絶対値が大きいほど、すなわち、((4×γ×cosθ)/d)の絶対値が大きいほど、上記条件を満足するような圧力Pcの制御が容易になるので、孔径dは可能な限り小さく、多孔部材25の液体LQとの接触角θは可能な限り小さいことが望ましい。本実施形態においては、多孔部材25は液体LQに対して親液性を有しており、十分に小さい接触角θを有している。
このように、本実施形態では、多孔部材25が濡れた状態で、多孔部材25の上側の空間24と下側の空間K3との圧力差(多孔部材25の上面と下面との圧力差)を、上記条件を満足するように制御することで、多孔部材25の孔25Hから液体LQのみを回収する。これにより、液体LQと気体とを一緒に吸引することに起因する振動の発生を抑制することができる。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について説明する。
露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たすために、制御装置CONTは、液体供給装置11及び液体回収装置21のそれぞれを駆動する。制御装置CONTの制御のもとで液体供給装置11から送出された液体LQは、供給管13を流れた後、ノズル部材70の供給流路14を介して、供給口12より投影光学系PLの最終光学素子LS1と底板部70Dとの間の内部空間G2に供給される。供給口12から内部空間G2に供給された液体LQは、底板部70Dの上面77に濡れ拡がるように流れ、開口部74に達する。内部空間G2に液体LQが供給されることにより、内部空間G2に存在していた気体部分は排気口16及び/又は開口部74を介して外部空間K1に排出される。したがって、内部空間G2に対する液体LQの供給開始時に、内部空間G2に気体が留まってしまうといった不都合を防止することができ、光路空間K1の液体LQ中に気体部分(気泡)が生成される不都合を防止することができる。
また、本実施形態においては、底板部70Dの上面77の排気口16近傍には凹部78が設けられている。これにより、最終光学素子LS1の下面T1と底板部70Dの上面77との間のギャップが小さくても、排気口16近傍の流路は凹部78によって広くなっているので、内部空間G2の気体部分を凹部78及び排気口16を介して外部空間K3に円滑に排出することができる。
なお、ここでは、排気流路15の上端部は大気空間(外部空間)K3に接続されており、大気開放された状態となっているが、排気流路15の上端部を真空系などの吸引装置と接続して、内部空間G2の気体を強制的に排気するようにしてもよい。
また、光路空間K1に対してX軸方向の両側に設けられた口(排気口)16から内部空間G2に対して液体LQを供給するとともに、光路空間K1に対してY軸方向の両側に設けられた口(供給口)12から内部空間G2の気体部分を外部空間K3に排出するようにしてもよい。
内部空間G2に供給された液体LQは、内部空間G2を満たした後、開口部74を介して第1ランド面75と基板P(基板ステージPST)との間の空間に流入し、露光光ELの光路空間K1を満たす。このように、最終光学素子LS1と底板部70Dとの間の内部空間G2に液体LQを供給口12から供給することによって、最終光学素子LS1(投影光学系PL)と基板Pとの間の露光光ELの光路空間K1が液体LQで満たされる。
このとき、制御装置CONTの制御のもとで駆動されている液体回収装置21は、単位時間当たり所定量の液体LQを回収している。真空系を含む液体回収装置21は、空間部24を負圧にすることにより、回収口22(多孔部材25)と基板Pとの間に存在する液体LQを、回収口22を介して回収することができる。露光光ELの光路空間K1に満たされている液体LQは、ノズル部材70の回収口22を介して回収流路24に流入し、回収管23を流れた後、液体回収装置21に回収される。
以上のように、制御装置CONTは、液浸機構1を使って、光路空間K1に対して単位時間当たり所定量の液体LQを供給するとともに光路空間K1の液体LQを単位時間当たり所定量で回収することで、投影光学系PLと基板Pとの間の露光光ELの光路空間K1を満たす液体LQと、ノズル部材70と基板Pとの間の空間を満たす液体LQとで、基板P上に液浸領域LRを局所的に形成することができる。制御装置CONTは、露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たした状態で、投影光学系PLと基板Pとを相対的に移動しながらマスクMのパターン像を投影光学系PL及び光路空間K1の液体LQを介して基板P上に投影露光する。上述のように、本実施形態の露光装置EXは、Y軸方向を走査方向とする走査型露光装置であるため、制御装置CONTは、基板ステージPSTを制御して、基板PをY軸方向に移動しつつ基板P上に露光光ELを照射して、基板Pを露光する。
このような走査型露光装置において、ノズル部材の構造によっては、例えば基板Pの走査速度(移動速度)の高速化に伴って、回収口22を介して液体LQを十分に回収することができず、光路空間K1に満たされた液体LQが光路空間K1に対して回収口22よりも外側(ノズル部材70と基板Pとの間の空間の外側)へ漏出する可能性がある。
例えば、図7(A)の模式図に示すような状態から、液浸領域LRに対して基板Pを−Y方向に所定速度で所定距離だけ移動した場合、基板Pの移動に伴って、液浸領域LRの液体LQとその外側の空間との界面LGが露光光ELの光路空間K1に対して外側へ向かって移動するが、その移動中において、図7(B)の模式図に示すように、ノズル部材70の下面に接触していた液体LQがノズル部材70の下面の一部から離れ(剥離し)、基板P上に液体LQの膜(薄膜)を形成する可能性がある。ここで、以下の説明においては、ノズル部材70の下面のうち、基板Pの移動(界面LGの移動)に伴ってノズル部材70の下面に接触していた液体LQが離れる位置を適宜、「膜発生位置Fp」と称する。
形成された液体LQの膜は回収口22(多孔部材25)に対して離れるため、回収口22によってその液体LQの膜を回収できない状況が生じる可能性がある。すなわち、形成された液体LQの膜は回収口22に配置された多孔部材25に接触しないため、回収口22が液体LQを回収できない状況が発生する可能性がある。すると、液体LQが回収口22の外側に漏出したり、及び/又は液体LQの膜が基板P上でちぎれて基板P上に液滴となって残留する等の不都合が生じる可能性がある。そして、基板Pの移動速度の高速化に伴って、基板P上に液体LQの膜が形成される可能性が高くなるとともに、その膜の大きさLwも大きくなる可能性が高くなる。そのため、基板Pの移動の高速化に伴って、回収口22を介して液体LQを十分に回収することができなくなる可能性が高くなる。ここで、膜の大きさLwとは、膜発生位置Fpと、基板Pの移動方向前方側(ここでは−Y側)における液体LQの膜の先端部Hとの距離を指す。
本発明者の研究によると、液体LQの膜を光路空間K1に対して回収口22よりも内側に形成することができれば、回収口22を介して液体LQを回収することができることが分った。本発明者は、実験などを通じて、例えば、図7に示すように、基板Pを−Y方向に移動したとき(特に、−Y方向へ移動中の基板Pに+Y方向への加速度を与えたとき)、液体LQの膜の先端部H近傍の厚み(膜厚)が液体LQの表面張力等によって厚くなる現象が生じることを見いだした(図7(B)参照)。液体LQの先端部Hが光路空間K1に対して回収口22の外側のエッジ22Aよりも内側に形成されれば、換言すれば、回収口22(多孔部材25)と液体LQの膜の先端部Hとを対向させることができれば、回収口22の多孔部材25と液体LQ(先端部H)とを接触させることができ、回収口22を介して液体LQを回収することができる。また、液体LQの先端部Hが光路空間K1に対して回収口22の内側のエッジ22Bよりも内側に形成されれば、光路空間K1に対して液体LQの膜が形成された方向とは逆方向(ここでは+Y方向)に基板Pを移動することにより、形成された液体LQの膜を液浸領域LRの液体LQと一緒に回収口22を介して回収することができる。
ところが、上述のように、膜の大きさLwは、基板Pの移動速度の高速化に伴って巨大化する可能性が高いため、液体LQの膜を回収口22を介して回収しようとすると、光路空間K1(投影光学系PLの光軸AX)から離れた位置に回収口22を設ける必要があるため、ノズル部材70の巨大化、ひいては露光装置EX全体の巨大化を招く不都合が生じる。また、膜発生位置Fpが、光路空間K1(光軸AX)から離れていると、光路空間K1(光軸AX)と液体LQの膜の先端部Hとの距離Lsが大きくなり、液浸領域LRの巨大化を招くため、その液体LQを回収口22を介して回収しようとすると、ノズル部材70を巨大化する必要があり、ひいては露光装置EXの巨大化を招く。
そこで、本実施形態においては、基板Pを移動した場合においても、液浸領域LRの巨大化及びノズル部材70の巨大化を抑え、且つ光路空間K1を液体LQで良好に満たすことができるように、ノズル部材70のうち基板Pと対向する下面に、第1ランド面75と第2ランド面76(または第1ランド面75と隣り合う凹部72:空間形成領域)とが設けられている。
図8は、基板Pを−Y方向に移動したときの液浸領域LRの挙動の一例を説明するための模式図である。上述のように、第1ランド面75は基板Pの表面とほぼ平行な平坦面であって親液性を有しており、基板Pの表面と第1ランド面75との間に存在する液体LQは第1ランド面75に密着し、その液体LQは、基板Pの表面と第1ランド面75との間において良好に保持される。
そして、第2ランド面76は、基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れており、第1ランド面75のエッジEにおいて第2ランド面76との間に段差が設けられているため、基板Pの表面と第1ランド面75との間に保持されている液体LQの界面LGが、露光光ELの光路空間K1に対して第1ランド面75の外側へ向かって移動するときに、第1ランド面75に接触していた液体LQが、第1ランド面75のエッジEにおいて、第2ランド面76から離れるようになっている。そして、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQは、基板Pの表面と第1ランド面75との距離(間隔)W1よりも薄い膜になっており、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQの膜は、第2ランド面76と接触しないようになっている。換言すれば、第2ランド面76と対向する基板P上に存在する液体LQの膜と第2ランド面76との間には、液体が存在しない空間SPが形成されている。この空間SPは、第2ランド面76を区画する凹部76によりもたらされている。
このように、光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に第2ランド面76(凹部72)を設けたことにより、膜発生位置Fpが第1ランド面75のエッジEに設定されるようになっている。換言すれば、本実施形態のノズル部材70は、第1ランド面75と第2ランド面76(凹部72)とによって、膜発生位置Fpを制御することができる。
そして、図3等を参照して説明したように、Y軸方向(走査方向)における第1ランド面75の幅D1は十分に小さいため、光路空間K1(光軸AX)と、形成される液体LQの膜の先端部Hとの距離Lsを小さくすることができる。
また、本実施形態においては、第1ランド面75と第2ランド面76との境界であるエッジEで発生した液体LQの膜が露光光ELの光路空間K1に対して回収口22よりも内側に形成されるように、第1ランド面75のエッジEの位置と回収口22の位置及び大きさとが設定されている。図8に示す例では、液体LQの膜(先端部H)が、光路空間K1に対して回収口22の内側エッジ22Bよりも内側に形成されるように、第1ランド面75のエッジEと回収口22との位置関係(距離)が設定されている。すなわち、光路空間K1に対して回収口22の内側エッジ22Bよりも内側に形成されるように、空間形成領域である凹部72が光路空間K1と回収口22との間に形成されている。これにより、液体LQの漏出や残留を防止することができる。また、第2ランド面76は、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQを距離W1よりも薄くするように設けられており、第2ランド面76に液体LQの膜が接触しないようになっている。そして、第2ランド面76を基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離すことで、第2ランド面76に対する液体LQの付着や残留を防止できる。
また、図9に示すように、例えば基板Pの移動速度の高速化に伴って、膜の大きさLwが大きくなっても、液体LQの膜(先端部H)が、光路空間K1に対して回収口22の外側エッジ22Aよりも内側に形成されるように、第1ランド面75のエッジEの位置と回収口22の位置とが設定されている。すなわち、光路空間K1に対して回収口22の内側エッジ22Aよりも内側に形成されるように、空間形成領域である凹部72が光路空間K1と回収口22との間に形成されている。したがって、液体LQの漏出や残留を防止することができる。多孔部材25の下面26と基板Pの表面との距離は、第1ランド75と基板Pの表面との距離とほぼ同じであり、多孔部材25は、形成された液体LQの膜のうち、膜厚が厚い部分である先端部Hの液体LQと接触可能な位置に設けられている。そのため、図9に示すように、回収口22(多孔部材25)と液体LQの膜の先端部Hとが対向するように、すなわち液体LQの膜(先端部H)が回収口22の外側エッジ22Aよりも内側に形成されるように、第1ランド面75のエッジEの位置と回収口22(外側エッジ22A)の位置とを設定することで、液体LQを回収することができる。また、第2ランド面76(凹部72)の存在により、液体LQの膜の、厚さが薄い部分の上方には空間が存在している。すなわち、この実施形態では、基板P上に形成された液浸領域の液体LQは、液体LQは第2ランド面76との間に空間(凹部72内に区画される空間よりも下方の空間)SPを形成しつつ、回収口22から回収されている。
ここで、上述のように、液体LQの膜の大きさLwは、基板Pを露光するときの基板Pの移動速度などに応じて変化するため、液体LQの膜が回収口22の内側に形成されるように、Y軸方向における第2ランド面76(あるいは凹部72)の大きさD5を、基板Pを露光するときの基板PのY軸方向における移動速度に応じて設定することができる。基板ステージPSTの最高速度は予め分かっているので、この最高速度に応じて第2ランド面76(あるいは凹部72)の大きさD5を設定することができる。例えば、基板Pを高速で移動しつつ露光する場合には、液体LQの膜の大きさLwは大きくなる可能性が高いため、第2ランド面76の大きさD5、ひいては第1ランド面75のエッジEと回収口22との距離を大きくすることにより、液体LQの膜を回収口22の内側に形成することができる。したがって、液体LQの漏出や残留を防止できる。一方、基板Pを比較的低速で移動しつつ露光する場合には、液体LQの膜の大きさLwは小さい可能性が高いため、第2ランド面76の大きさD5、ひいては第1ランド面75のエッジEと回収口22との距離を小さくしても、液体LQの膜を回収口22の内側に形成することができる。したがって、ノズル部材70の小型化、ひいては露光装置EX全体の小型化を図ることができる。
なお、移動速度に限らず、基板Pを移動するときの加速度、移動距離、移動方向(移動軌跡)などに応じても、液体LQの膜の大きさLwが変化する可能性があるため、これら基板Pの移動速度、加速度、移動距離、移動方向(移動軌跡)の少なくとも1つを含む移動条件に応じて、第1ランド面75のエッジEの位置、及び第2ランド面76(凹部72)の大きさを設定することができる。
また、液体LQの膜の大きさLwは、基板Pと液体LQとの接触角に応じても変化する可能性がある。例えば、基板Pと液体LQとの接触角が小さい場合、換言すれば基板Pの表面が親液性である場合、その基板Pを移動しつつ露光した場合において、基板P上に形成される液体LQの膜の大きさLwは大きくなる可能性が高くなる。したがって、そのような場合には、第2ランド面76(あるいは凹部72)の大きさD5、ひいては第1ランド面75のエッジEと回収口22との距離を大きくすることにより、液体LQの膜を回収口22の内側に形成することができる。一方、基板Pと液体LQとの接触角が大きい場合、換言すれば基板Pの表面が撥液性である場合、その基板Pを移動しつつ露光した場合において、形成される液体LQの膜の大きさLwは小さくなる可能性が高くなる。したがって、そのような場合には、第2ランド面76(あるいは凹部72)の大きさD5、ひいては第1ランド面75のエッジEと回収口22との距離を小さくしても、液体LQの膜を回収口22の内側に形成することができる。したがって、ノズル部材70の小型化、ひいては露光装置EX全体の小型化を図ることができる。このように、第1ランド面75のエッジEの位置、及びY軸方向における第2ランド面76の大きさD5を、基板Pと液体LQとの接触角に応じて設定することができる。
また、液浸領域LRを形成するときの液浸条件によっても、液体LQの膜の大きさLwが変動する可能性がある。ここで、液浸条件とは、光路空間K1に対する液体LQの供給条件、及び光路空間K1の液体LQの回収条件の少なくとも一方を含む。液体LQの供給条件には、単位時間当たりの液体供給量、光路空間K1に対する液体LQの供給位置、供給方向等が含まれる。液体LQの回収条件には、単位時間当たりの液体回収量、光路空間K1に対する液体LQの回収位置、回収方向等が含まれる。このような液浸条件の違いによっても、形成される液体LQの膜の大きさLwが変化する可能性があるため、これら液浸条件に応じて、第1ランド面75のエッジEの位置、及び第2ランド面76(凹部72)の大きさを設定するようにしてもよい。
以上説明したように、基板Pの表面と第2ランド面76(凹部72)との間に存在する液体LQの膜が第2ランド面76に接触しないように第2ランド面76(凹部72)を設けたので、基板Pを移動しつつ露光する場合においても、液体LQの漏出や残留といった不都合を防止できる。そして、第1ランド面75によって液体LQを良好に保持することができ、露光光ELの光路空間K1を液体LQで所望状態に満たすことができる。
そして、第1ランド面75の大きさを十分に小さくすることで、膜発生位置Fpを光路空間K1(光軸AX)に近づけることができるため、液浸領域LRの小型化、ノズル部材70の小型化などを実現することができる。そのため、第1ランド面75のY軸方向の幅D1は、例えば基板Pを−Y方向に移動しつつ液浸露光した後、+Y方向に移動させた場合に、光路空間K1に気泡が生成されたり、気体部分が生成される現象(例えば光路空間K1の液体LQが切れる液切れ現象)が生じない範囲内で、可能な限り小さいことが望ましい。換言すれば、第1ランド面75は、基板Pを−Y方向に移動しつつ液浸露光した後、+Y方向に移動させた場合でも、第1ランド面75と基板Pとの間で液体LQを良好に保持可能な範囲内で、可能な限り小さいことが望ましい。同様に、第1ランド面75のX軸方向の幅D3は、基板PをX軸方向にステップ移動した場合でも、光路空間K1に気泡が生成されるなどの不都合が生じない範囲で可能な限り小さいことが望ましい。
本実施形態においては、第1ランド面75はX軸方向を長手方向とする矩形状であり、第1ランド面75のY軸方向の幅D1は、X軸方向の幅D3及び開口部74の幅D2よりも十分に小さく設けられており、液浸領域LRの巨大化を抑えつつ、光路空間K1を液体LQで良好に満たすことができるようになっている。
また、第2ランド面76は、Y軸方向において第1ランド面75の両側のそれぞれに設けられているので、基板PをY軸方向に関して移動しつつ露光する場合、+Y方向への移動と−Y方向への移動とのそれぞれに対応することができる。
なお、本実施形態においては、第2ランド面76は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面とほぼ平行な平坦面であるが、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面と平行でなくてもよいし、平坦面でなくてもよい。基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQの膜を第2ランド面76に接触させないようにすることができるのであれば、第2ランド面76の凹凸形状及び基板Pに対する角度等を含む表面状態は任意でよい。
本実施形態においては、第1ランド面75に対して凹部72となるように第2ランド面76を設けたが、基板Pとの間で液体LQを良好に保持できれば、第1ランド面75の傾き及び/又は形状を変更して、基板P上の液体とノズル部材70の下面との間に空間が形成されるようにしてもよい。例えば、第1ランド面75が回収口22向かって徐々に基板P側に近づくように連続的にまたは段階的に傾斜させてもよい。こうすることで、第1ランド面75の外側のエッジEの高さ(Z方向の位置)が内側のエッジ(光路空間K1側のエッジ)の高さよりも低くなり、第2ランド面76の高さが第1ランド面75の外側のエッジEの高さよりも高くなるため、第2ランド面76が第1ランド面75の内側のエッジと同じ高さであっても、基板Pの移動に伴って液体LQが光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に移動するときに、エッジEの外側で(第2ランド面76と基板Pとの間で)液体LQの上方に空間SPを形成することができる。
あるいは、第1ランド面75と第2ランド面を同じ高さとしつつ、第1ランド面75と第2ランド面との間に基板P側に突出する突起を設けてもよい。この突起により、基板Pの移動に伴って液体LQが光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に移動するときに、液体LQが突起を通過した直後に第2ランド面76と基板Pとの間の液体LQ上に空間SPを形成することができる。すなわち、基板Pの移動に伴って液体LQが光路空間K1に対して第1ランド面75の外側に移動するときに、光路空間K1から回収口22までの範囲において(特に、Y方向において)、ノズル部材70の下面と、基板P及びノズル部材70の下面の間に存在する液体LQとの間に空間SPが発生するような任意の形状または構造を有する領域(空間形成領域)を、ノズル部材70の下面に設けることができる。ただし、空間形成領域は、光路空間K1における液体を所望の状態に維持する、例えば、光路領域K1における液体に気体部分(気泡含む)を発生させない構造及び形状であることは言うまでもない。
なお、本実施形態において、第2ランド面76には撥液化処理が施されているが、第2ランド面76に撥液化処理を施さなくても、第2ランド面76を基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置に設けることにより、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQを第2ランド面76に接触させないようにすることができるため、第2ランド面76は必ずしも撥液性を有していなくてもよい。例えば、上述の「GOLDEP」処理あるいは「GOLDEP WHITE」処理などは、ノズル部材70から液体LQへの不純物の溶出を抑えることができるため、第2ランド面76を含むノズル部材70の所定位置に、「GOLDEP」処理あるいは「GOLDEP WHITE」処理を施すことができる。
また、基板Pとの間で液体LQを保持可能であれば、第1ランド面75に対する親液化処理を省略してもよい。すなわち第1ランド面75が親液性でなくてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図10を参照しながら説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分についてはその説明を簡略若しくは省略する。
次に、第2実施形態について図10を参照しながら説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分についてはその説明を簡略若しくは省略する。
上述の第1実施形態においては、第2ランド面76を基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置に設けることにより、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQの膜が第2ランド面76に接触させないようにしているが、第2ランド面76を撥液性にすることにより、第2ランド面76を基板Pの表面に対して第1ランド面75よりも離れた位置に設けなくても、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQの膜を第2ランド面76に接触させないようにすることができる。すなわち、本実施形態においては、図10に示すように、基板Pの表面に対する第1ランド面75の位置(高さ)と第2ランド面76の位置(高さ)とをほぼ同じにしても、第2ランド面76を撥液性にすることにより、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQの膜を第2ランド面76に接触させないようにすることができる。例えば、第2ランド面76における液体LQの接触角を100°以上にすることで、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQを第2ランド面76から剥離させることができる。すなわち、この実施形態では、撥液性を有する第2ランド面76が空間形成領域であり、この空間形成領域により、第2ランド面76の下方の基板P上に液体LQと第2ランド面76との間に空間SPが形成されている。
図10において、第1ランド面75と第2ランド面76とはほぼ面一に設けられており、第2ランド面76には、液体LQに対して撥液性を付与する撥液化処理が施されている。撥液化処理としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料、シリコン系樹脂材料等の撥液性材料を付着する処理が挙げられる。
第2ランド面76を撥液性にすることにより、第1実施形態同様、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQの膜を、第2ランド面76に接触させないようにすることができる。そして、基板Pの表面と第2ランド面76との間に存在する液体LQを、基板Pの表面と第1ランド面75との間の距離W1より薄くすることができる。そして、基板Pの表面と第1ランド面75との間の液体LQの界面LGが露光光ELの光路空間K1に対して第1ランド面75の外側へ向かって移動するときに、第1ランド面75に接触していた液体LQを第2ランド面76から離すことができる。この場合においても、第1ランド面75と第2ランド面76との境界E’で発生した液体LQの膜が、露光光ELの光路空間K1に対して回収口22の外側のエッジよりも内側に形成されるように、第1ランド面75のエッジE’と回収口22との位置関係、回収口22の大きさなどが設定されている。また、液体LQの膜が、露光光ELの光路空間K1に対して回収口22の外側のエッジよりも内側に形成されるように、Y軸方向における第2ランド面76の大きさが、第1実施形態と同様に、基板Pの移動速度、基板Pと液体LQとの接触角などに応じて設定される。
なお、上述の第1、第2実施形態において、第1ランド面75と多孔部材25の下面26とは高さ(Z方向の位置)は異なっていてもよい。すなわち、多孔部材25の下面26の高さ(Z方向の位置)は、基板P上に形成された液体LQの薄膜の先端部Hが触れるように配置されていればよい。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について図11及び図12を参照しながら説明する。図11及び図12において、回収口22にはフィン部材50が設けられている。フィン部材50は回収口22の多孔部材25の下面26に設けられている。フィン部材50は、多孔部材25の下面26うち、回収口22の外側エッジ22A近傍に設けられている。フィン部材50は、光路空間K1に対して放射状に複数設けられている。
次に、第3実施形態について図11及び図12を参照しながら説明する。図11及び図12において、回収口22にはフィン部材50が設けられている。フィン部材50は回収口22の多孔部材25の下面26に設けられている。フィン部材50は、多孔部材25の下面26うち、回収口22の外側エッジ22A近傍に設けられている。フィン部材50は、光路空間K1に対して放射状に複数設けられている。
また、本実施形態において、回収口22に配置された多孔部材25の下面26と基板Pの表面との距離W3は、第1ランド面75と基板Pの表面との距離W1よりも大きい。本実施形態においては、距離W1は1mm程度であり、距離W3は1.5mm程度である。また、基板Pの表面に対する第1ランド面75の位置(高さ)と、基板Pの表面に対するノズル部材70の側板部70Aの下端部の位置(高さ)とはほぼ同じに設けられている。すなわち、側板部70Aの下端部と基板Pの表面との距離は1mm程度であり、側板部70Aの下端部近傍は、回収口22に配置された多孔部材25の下面26よりも下方に突出している。そして、多孔部材25の下面26よりも下方に突出した側板部70Aの光路空間K1側を向く内側面によって、液体LQの漏れを防止するための壁部51が形成されている。したがって、壁部51のZ軸方向の大きさW4は0.5mm程度である。壁部51は、回収口22の周縁部(外側エッジ22A)に設けられており、光路空間K1に満たされた液体LQの漏れを防止するためのものである。そして、その壁部51に沿って、複数のフィン部材50が設けられている。
フィン部材50の下端部と基板Pの表面との距離は1mm程度である。すなわち、フィン部材50のZ軸方向の大きさは、壁部51のZ軸方向の大きさW4とはほぼ同じ値であり、フィン部材50の下端部と基板Pの表面との距離は、第1ランド面75と基板Pの表面との距離W1とほぼ同じ値である。
このように、回収口22に設けられたフィン部材50に液体LQの膜の先端部Hを接触させることができ、回収口22を介して液体LQを良好に回収することができる。また、壁部51によって、回収口22の外側に液体LQが漏出することを防止できる。
なお、フィン部材50に液体LQの薄膜の先端部Hを接触させることができさえすれば、フィン部材50の下端部と第1ランド面75とは高さが異なっていてもよい。
なお、本実施形態においては、フィン部材50は、環状に設けられた回収口22(多孔部材25)の周縁部に設けられた構成であるが、例えば多孔部材25の下面26の全部の領域に所定間隔で設けてもよいし、多孔部材25の下面26のうち光路空間K1に対してY軸方向両側のそれぞれの所定領域のみに設けてもよい。
なお、上述の第1〜第3実施形態においては、第2ランド面76は第1ランド面75に対してY軸方向両側のそれぞれに設けられているが、X軸方向両側のそれぞれに設けられていてもよい。
なお、上述の第1〜第3実施形態においては、第1ランド面75の外形は、X軸方向を長手方向とする矩形状であるが、基板Pとの間で液体LQを良好に保持可能であり、光路空間K1(光軸AX)と液体LQの膜の先端部Hとの距離Lsを小さくすることができるのであれば、円形状など任意の形状でよい。
なお、上述の第1〜第3実施形態において、第2ランド面76(空間形成領域)と回収口22とが離れていてもよい。例えば、ノズル部材70の下面のうち、光路空間K1に対して回収口22よりも内側であって、第2ランド面76よりも外側に、ノズル部材70と基板Pとの間の液体LQが自由に出入り可能なバッファ空間を形成してもよい。このバッファ空間の下端には、回収口22の内側エッジ22B近傍に露光光ELの光路を取り囲むように環状に形成された開口部が形成され、その上端は外部空間(大気空間)に接続されている。このように、回収口22の内側エッジ22B近傍にバッファ空間を設けることによって、光路空間K1の外側へ向かって流れる液体LQの一部がバッファ空間に流れ込み、回収口22へ到達する液体LQの量を少なくすることができる。したがって、より確実に液体LQの漏出を抑えることができる。なお、バッファ空間の下端の開口部を回収口22の外側エッジ22A近傍に配置してもよい。この場合、光路空間K1の外側へ向かって流れる液体LQのうち回収口22で回収されなかった液体LQがバッファ空間に流れ込むため、液体LQの漏出を抑えることができる。もちろん、回収口22の内側エッジ22B近傍及び外側エッジ22A近傍の両方に環状の開口部を形成し、それぞれの開口部に液体LQが自由に出入りすることができるバッファ空間を形成してもよい。この場合、第2ランド面76(空間形成領域)を有する部材と、回収口22を有する部材とが分離されていてもよい。
また、上述の第1〜第3実施形態においては、Y軸方向における第2ランド面76の大きさD5を、基板Pの移動速度や基板Pと液体LQとの接触角などに応じて設定するようにしているが、第2ランド面76の大きさD5に応じて、基板Pの移動条件(移動速度、加速度、移動方向、移動距離など)及び液浸条件(液体供給量、回収量など)の少なくとも一方を決めるようにしてもよい。また、第2ランド面76の大きさD5に応じて、露光装置EXで露光可能な基板P表面の膜条件(接触角など)を決めるようにしてもよい。
なお上記実施形態で用いたノズル部材70などの液浸機構1は、上述の構造に限られず、例えば、欧州特許公開第1420298号公報、国際公開第2004/055803号公報、国際公開第2004/057589号公報、国際公開第2004/057590号公報、国際公開第2005/029559号公報に記載されているものも用いることができる。
また、上述の実施形態においては、ノズル部材70の一部(底板部70D)が、投影光学系PLと基板Pとの間に配置されているが、ノズル部材70の一部が投影光学系PLと基板Pとの間に配置されていなくてもよい。すなわち、投影光学系PLの最終光学素子LS1の下面T1の全体が基板Pと対向していてもよい。この場合、最終光学素子LS1の下面T1とノズル部材70の下面とがほぼ面一であってもよい。
また、上述の実施形態において、供給口12は内部空間G2に接続されているが、ノズル部材70の下面に供給口を設けてもよい。
なお、上述の各実施形態においては、露光光ELが照射可能な位置に基板Pを配置した状態で、露光光ELの光路空間K1を液体LQで満たしているが、露光光ELが照射可能な位置に、例えば基板ステージPSTの上面94、あるいは基板ステージPSTとは別の物体を配置した状態で、露光光ELの光路空間K1が液体LQで満たされてもよい。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水である。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44程度と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子LS1が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
また、上述の実施形態の投影光学系は、先端の光学素子の像面側の光路空間を液体で満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、先端の光学素子のマスク側の光路空間も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。
また、液体LQとしては、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。更に、石英や蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で光学素子LS1を形成してもよい。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、上記実施形態では投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズなどの光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸領域が形成される。国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、特開平11−135400号公報や特開2000−164504号公報に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。この場合、計測ステージ上に液浸領域LRを形成することもできる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いてもよい。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図13に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンで基板を露光する露光処理を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
1…液浸機構、11…液体供給装置、12…供給口、16…排気口、22…回収口、25…多孔部材、50…フィン部材、51…壁部、75…第1ランド面、76…第2ランド面、77…上面、EL…露光光、EX…露光装置、G2…内部空間、K1…光路空間、K3…外部空間、LS1…最終光学素子、P…基板、PL…投影光学系
Claims (35)
- 基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
前記露光光の光路空間を液体で満たすために液体を供給する液体供給装置と、
前記露光光が照射可能な位置に配置された物体の表面と対向するように、且つ前記露光光の光路空間を囲むように設けられ、前記液体供給装置から供給された液体を前記物体との間で保持可能な第1面と、
前記物体の表面と対向するように、且つ前記露光光の光路空間に対して前記第1面の外側に配置された第2面とを備え、
前記第2面は、前記物体の表面と前記第2面との間に存在する液体の膜が前記第2面と接触しないように設けられている露光装置。 - 前記第1面は、前記物体の表面と第1の間隔だけ離れて配置されており、
前記第2面は、前記物体の表面と前記第2面との間に存在する液体が前記第1の間隔よりも薄い膜となるように設けられている請求項1記載の露光装置。 - 前記物体の表面と前記第1面との間の液体の界面が、前記露光光の光路空間に対して前記第1面の外側へ向かって移動するときに、前記第1面に接触していた液体が前記第2面から離れるように設けられている請求項1又は2記載の露光装置。
- 前記第1面は、前記物体の表面と略平行に設けられ、
前記第2面は、前記物体の表面に対して前記第1面よりも離れている請求項1〜3のいずれか一項記載の露光装置。 - 前記第1面は、前記物体の表面と略平行に設けられ、前記液体に対して親液性を有し、
前記第2面は、前記液体に対して撥液性を有する請求項1〜4のいずれか一項記載の露光装置。 - 前記基板を所定方向に移動しつつ前記露光光を前記基板に照射し、
前記第2面は、前記所定方向において前記第1面の両側のそれぞれに設けられている請求項1〜5のいずれか一項記載の露光装置。 - 前記第1面の外形は、前記所定方向と交差する方向を長手方向とする矩形状である請求項6記載の露光装置。
- 前記所定方向における前記第2面の大きさは、前記基板を露光するときの前記基板の移動速度に応じて設定されている請求項6又は7記載の露光装置。
- 前記所定方向における前記第2面の大きさは、前記基板と前記液体との接触角に応じて設定されている請求項6〜8のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記光路空間に対して前記第2面の外側に液体を回収する回収口を有する請求項1〜9のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記回収口は、前記物体と対向する位置に設けられている請求項10記載の露光装置。
- 前記回収口は、前記第1面及び前記第2面を囲むように設けられている請求項10又は11記載の露光装置。
- 前記第1面と前記第2面との境界で発生した前記液体の膜が前記露光光の光路空間に対して前記回収口よりも内側に形成されるように、前記第1面のエッジの位置と前記回収口の位置とが設定されている請求項10〜12のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記回収口に設けられ、前記液体と接触する所定部材を有する請求項10〜13のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記所定部材は多孔部材を含む請求項14記載の露光装置。
- 前記多孔部材と前記物体の表面との距離は、前記第1面と前記物体の表面との距離と略等しい請求項15記載の露光装置。
- 前記所定部材はフィン状の部材を含む14〜16のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記回収口の周縁部に前記液体の漏れを防止するための壁部を有する10〜17のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記露光光が通過する光学部材と、
前記露光光の光路空間を囲むように設けられ、前記光学部材との間に所定の隙間を介して対向する第3面と、
前記光学部材と前記第3面との間の所定空間の近傍に設けられ、前記液体供給装置から液体が供給される供給口とを有する請求項1〜18のいずれか一項記載の露光装置。 - 前記所定空間の近傍に設けられ、前記所定空間と外部空間とを連通させるための排気口とを更に有する請求項19記載の露光装置。
- 前記露光光が通過する光学部材と、
前記露光光の光路空間を囲むように設けられ、前記光学部材との間に所定の隙間を介して対向する第3面と、
前記光学部材と前記第3面との間の所定空間の近傍に設けられ、前記所定空間と外部空間とを連通させるための排気口とを有する請求項1〜18のいずれか一項記載の露光装置。 - 前記物体は、前記基板を含む請求項1〜21のいずれか一項記載の露光装置。
- 請求項1〜請求項22のいずれか一項記載の露光装置を用いるデバイス製造方法。
- 基板に液体を介して露光光を照射して前記基板を露光する露光装置であって、
前記露光光が照射可能な位置に配置される物体の表面と対向し、前記液体を前記物体との間で保持可能な部材と、
前記物体と部材の間で保持された液体を回収する回収部と、
前記光路と前記回収部との間に前記物体の表面と対向するように位置し、且つ前記物体上の液体と前記部材の間に空間をもたらす空間形成領域が前記部材に形成されている露光装置。 - 前記空間形成領域が、前記部材に形成された凹部である請求項24に記載の露光装置。
- 前記空間形成領域が、前記部材の表面に形成された撥液性領域である請求項24又は25に記載の露光装置。
- 前記部材の前記撥液性領域と前記光路との間に親液性領域が設けられている請求項26に記載の露光装置。
- 前記部材に前記回収部が設けられている請求項24〜27のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記基板に液体を介して露光光が照射されるときに、前記基板が所定方向に移動され、前記空間形成領域が前記所定方向における前記光路と前記回収部との間に設けられている請求項24〜28のいずれか一項に記載の露光装置。
- 請求項24〜請求項29のいずれか一項記載の露光装置を用いて基板を露光する工程を含むデバイス製造方法。
- 基板に液体を介して露光光を照射して前記基板を露光する露光方法であって、
前記液体を、前記基板と対向するように配置された部材と前記基板との間に供給することと、
前記基板上の液体と前記部材との間に空間をもたらしつつ液体を回収することと、
前記基板に液体を介して露光光を照射して前記基板を露光することを含む露光方法。 - さらに、前記基板に液体を介して露光光を照射するときに前記基板を所定方向に移動することを含み、前記所定方向において前記液体と前記部材との間に空間がもたらされつつ液体が回収される請求項31に記載の露光方法。
- さらに、前記基板を所定方向に移動することを含み、
前記所定方向における前記露光光の光路空間と前記基板と対向するように配置された液体回収部との間で前記空間がもたらされつつ前記液体回収部で液体が回収される請求項31又は32に記載の露光方法。 - 前記液体回収部は、前記部材に形成されている請求項33記載の露光方法。
- 請求項31〜請求項34のいずれか一項記載の露光方法を用いて基板を露光することを含むデバイス製造方法。
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