JP5365197B2 - 近赤外線吸収性組成物、及び近赤外線吸収フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、PDP(プラズマディスプレイパネル)などのディスプレイ(画像表示装置)から発生する近赤外線を吸収する機能を有する、近赤外線吸収性組成物、及び該組成物を用いた近赤外線吸収フィルタに関するものである。
近年、電気電子機器の機能高度化と利用増加に伴い、電磁気的なノイズ妨害(Electro Magnetic Interference;EMI)が増え、陰極線管(CRTという)、プラズマディスプレイパネル(PDPという)などのディスプレイでも電磁波が発生する。プラズマディスプレイパネルは、データ電極と蛍光層を有するガラスと透明電極を有するガラスとの組合体であり、作動すると電磁波、及び近赤外線が大量に発生する。
尚、本願明細書においては、「電磁波」の語はMHz〜GHz程度の周波数帯域以下の電磁波の意味で使用し、赤外線、可視光線、及び紫外線とは区別して用いる。
プラズマディスプレイ前面より発生する波長800〜1,100nmの近赤外線は、他のVTRなどの機器を誤作動させるので遮蔽する必要がある。通常、発生する近赤外線を遮蔽するために、近赤外線を吸収する機能を有する近赤外線吸収フィルタ(光学フィルタ)がPDPの観察者側に設けられる。
上記近赤外線吸収フィルタは、通常、近赤外線吸収性粘着剤層を含み、該近赤外線吸収性粘着剤層は、近赤外線吸収機能を有する近赤外線吸収剤とディスプレイ本体や前面板に前記フィルタを貼り合わせるための粘着機能を有する粘着剤から構成される。従来、近赤外線吸収性粘着剤としては、有機系近赤外線吸収剤(色素)を用いたものが検討されている(特許文献1)。
特開2005−272588号公報 特開2002−311843号公報 特開2006−154516号公報 特開2007−095971号公報
特許文献2には、電磁波遮蔽シートの基材と金属メッシュとの間の接着剤層、金属メッシュの凹凸を平坦化する平坦化層、又は硝子基板との接着剤層に、可視光及び/又は近赤外の特定の波長を吸収する吸収剤が含有されている電磁波遮蔽シートが開示されており、硝子基板、導電性メッシュ層、又は、導電性メッシュ層と電磁波遮蔽シートの基材間の接着剤層に接触する箇所に有機系近赤外線吸収剤が含有されている。このような場合には、該近赤外線吸収剤が劣化しやすいという問題があった。これは、硝子基板中に由来するナトリウムイオン等のアルカリ金属イオン、導電性メッシュに由来する銅等の金属原子(乃至金属イオン)、ウレタン系接着剤層に由来するウレタン結合と有機系近赤外線吸収剤とが反応する為である。また、硝子基板と有機系近赤外線吸収剤の接触を避けるために、硝子基板と有機系近赤外線吸収剤との間に樹脂基材を挿入すると、硝子基板と樹脂基材とを接着するための接着剤が必要になるため、工程数が多くなり、材料費が増えるという問題があった。また、粘着剤層として機能するような従来用いていたアクリル系粘着剤層に、有機系近赤外線吸収剤を含有させると、該近赤外線吸収剤とこれら隣接層との反応により光学フィルタとしての分光特性の変化が促進するという問題が生じており、層構成の簡略化の為、粘着剤層中に近赤外線吸収剤を含有させ、且つ該粘着剤層が金属メッシュ層或いは硝子基板と接触する様な構成を実用化するのは困難であった。
一方、特許文献3には、複合タングステン酸化物微粒子を用いたPDP用近赤外線吸収フィルタが記載されている。しかしながら、複合タングステン酸化物微粒子は顔料であるため、反射防止層のような比較的薄い膜として設けられる層に複合タングステン酸化物微粒子を含有させると、層における微粒子密度が高くなって、ヘイズが高くなるという問題も発生し易い。
また、複合タングステン酸化物微粒子を含む粘着剤層が硝子基板や導電性メッシュ層等の金属に接触する箇所にある場合、該硝子基板及び該金属に対する粘着剤の密着性も重要となる。
特許文献4には、透明基材の一方の面に、少なくとも銅メッシュ層、粘着剤層、被着体層がこの順に設けられており、該粘着剤層が酸価を有する粘着剤及び酸化防止剤を含む電磁波遮蔽シートが記載されている。該粘着剤の酸価を高くすると、該粘着剤中のカルボキシル基、スルホ基、アクリル酸基、メタクリル酸基、リン酸基等の酸性基が増えるため、該粘着剤の密着性は向上するが、一方、空気中の水分を吸着しやすくなり、吸着した水分によって該粘着剤に接する金属が錆びやすくなる。そのため、硝子基板や金属との密着性と金属の錆防止を両立するためには、該粘着剤中に更に酸化防止剤を含有させる必要があった。
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、硝子基板や金属との密着性と金属の錆防止を両立できる近赤外線吸収性組成物を提供することを第一の目的とする。また、樹脂に対する複合タングステン酸化物微粒子の分散性を向上し、且つ、再剥離性に優れた近赤外線吸収性組成物を提供することを第二の目的とする。更に、長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難い近赤外線吸収層を有する近赤外線吸収フィルタ、及び前記近赤外線吸収層を実現することができる近赤外線吸収性組成物を提供することを第三の目的とする。
本発明に係る近赤外線吸収性組成物は、カルボキシル基を有し、且つ、酸価が0.6以上30以下である樹脂に、近赤外線吸収剤として、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子を分散させていることを特徴とする。
本発明において近赤外線吸収剤として用いられる前記複合タングステン酸化物微粒子は、耐熱性、耐湿性、耐光性が高く、又硝子基板と直接接触する層に添加しても硝子に由来するナトリウムイオンによる色素の劣化も無い。その上、前記複合タングステン酸化物微粒子は、ディスプレイ前面より発生する波長800〜1,100nmの近赤外線帯域全般を該複合タングステン酸化物微粒子のみで吸収し得るので、更に劣化しやすい有機系近赤外線吸収剤を併用しなくても良い。
従って、本発明に係る近赤外線吸収性組成物を光学フィルタの近赤外線吸収層として用いた場合、長時間の使用、特に高温下や高湿下での長時間の使用によっても、近赤外線吸収剤の劣化に帰属されるフィルタの色ムラが起こり難い。また、近赤外線吸収剤の劣化防止のために、ディスプレイ表面等の硝子基板、光学フィルタ基材間の接着剤層等から近赤外線吸収層を隔離する必要性がない。
また、本発明に係る近赤外線吸収性組成物においては、カルボキシル基を有し、且つ、酸価が0.6以上30以下である樹脂を用いることにより、該樹脂に対する複合タングステン酸化物微粒子の分散性が良好となり、ヘイズの上昇を抑制することができる。また、上記特定の樹脂を含む近赤外線吸収性組成物を粘着剤として用いる場合、基板又は他の層上に該近赤外線吸収性組成物からなる近赤外線吸収層(粘着剤層)を一旦貼り合せた後、皺が寄ったり、貼り合せ位置を修正するために、該粘着剤層を剥離し、再度貼り合せることが可能なリワーク性のある再剥離性を達成することが可能となる。
更に、上記特定の樹脂を用いることにより、本発明に係る近赤外線吸収性組成物は、硝子基板や金属との密着性と金属の錆防止を両立することができる。
そのため、本発明に係る近赤外線吸収性組成物のような近赤外線吸収機能を有しながら、硝子基板や金属との密着性と金属の錆防止の両立が可能な組成物が実用化可能となった。
本発明に係る近赤外線吸収性組成物において、前記樹脂は、アクリル系樹脂であることが、透明性を確保しやすいため好ましい。
本発明に係る近赤外線吸収性組成物において、前記樹脂は、粘着剤であることがディスプレイ本体や前面板に貼付可能な接着性を確保できるため好ましい。
本発明に係る近赤外線吸収性組成物においては、該組成物の酸価は1以上19以下であることが、前記樹脂に対する複合タングステン酸化物微粒子の分散性を向上でき、ヘイズが上がらない点から好ましい。
本発明に係る近赤外線吸収性組成物においては、前記複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒径が800nm以下であることが、可視域の透過率が高く、ヘイズも小さくなる点から好ましい。
本発明に係る近赤外線吸収性組成物においては、前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶、立方晶のいずれか1種類以上の結晶構造を含むことが、光学特性の耐久性向上の点から好ましい。
本発明に係る近赤外線吸収性組成物においては、前記複合タングステン酸化物微粒子を表す一般式MxWyOzにおいて、M元素がCs(セシウム)であり、該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有することが、光学特性の耐久性向上の点から好ましい。
本発明に係る近赤外線吸収性組成物においては、前記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alから選択される1種類以上の元素を含有する酸化物で被覆されていることが、光学特性の耐久性向上の点から好ましい。
本発明に係る近赤外線吸収性組成物においては、平均粒子径が前記複合タングステン酸化物微粒子よりも小である酸化ジルコニウム微粒子を更に含有することが、反射色調の青味を消す点から好ましい。
本発明に係る近赤外線吸収フィルタは、前記本発明に係る近赤外線吸収性組成物からなる近赤外線吸収層を有することを特徴とする。
本発明によれば、長時間の使用、特に高温高湿下での近赤外線吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難く透明度の高い近赤外線吸収フィルタを提供することができる。
本発明の近赤外線吸収性組成物は、カルボキシル基を有し、且つ特定の範囲の酸価を有する樹脂を用いることにより、該樹脂に対する複合タングステン酸化物微粒子の分散性が良好となり、ヘイズの上昇を抑制することができる。また、上記特定の樹脂を含む近赤外線吸収性組成物を粘着剤として用いる場合、リワーク性のある再剥離性を達成することが可能となる。また、上記特定の樹脂を用いることにより、本発明の近赤外線吸収性組成物は、硝子基板や金属との密着性と金属の錆防止を両立することができる。
更に、本発明の近赤外線吸収フィルタは、上記近赤外線吸収性組成物からなる近赤外線吸収層を有することにより、長時間の使用、特に高温下や高湿下での長時間の使用によっても近赤外線吸収剤劣化に帰属される分光特性変化や接着剤の変色に帰属されるフィルタの色ムラを起こり難くすることができる。
本発明に係る近赤外線吸収フィルタの一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る近赤外線吸収フィルタの他の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る近赤外線吸収フィルタの他の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る近赤外線吸収フィルタの製造方法の一例を模式的に示した平面図である。 本発明に係る近赤外線吸収フィルタの製造方法の他の一例を模式的に示した平面図である。 本発明に係る近赤外線吸収フィルタの製造方法の他の一例を模式的に示した平面図である。 本発明に係る近赤外線吸収フィルタの層状態の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る近赤外線吸収フィルタの製造方法の他の一例を模式的に示した平面図である。
符号の説明
1A 近赤外線吸収フィルタ
1B 近赤外線吸収フィルタ
1C 近赤外線吸収フィルタ
1D 近赤外線吸収フィルタ
10 透明基材
20 近赤外線吸収層(粘着剤層)
30 導電性メッシュ層
31 透明性導電層
40 表面保護層
50 プラズマディスプレイパネル
60 観察者
70 前面板
80 長手方向(走行方向)
90 導電性メッシュ空孔部
本発明に係る近赤外線吸収性組成物は、カルボキシル基を有し、且つ、酸価が0.6以上30以下である樹脂に、近赤外線吸収剤として、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子を分散させていることを特徴とする。
本発明において近赤外線吸収剤として用いられる前記複合タングステン酸化物微粒子は、耐熱性、耐湿性、耐光性が高い。特に、斯かる複合タングステン酸化物微粒子は、従来の有機系近赤外線吸収色素を劣化させる要因となっていた導電性メッシュの金属層、ディスプレイ前面板の硝子基材、又はウレタン結合を有する接着剤層と接触する層に含有させても、これらの層との反応による特性劣化を生じ難い。その上、前記複合タングステン酸化物微粒子は、ディスプレイ前面より発生する波長800〜1,100nmの近赤外線帯域全般を該複合タングステン酸化物微粒子のみで吸収し得るので、更に劣化しやすい有機系近赤外線吸収剤を併用しなくても良い。従って、本発明の近赤外線吸収性組成物を用いて光学フィルタの近赤外線吸収層を形成した場合、長時間の使用、特に高温下や高湿下での長時間の使用によっても、近赤外線吸収剤の劣化に帰属されるフィルタの色ムラが起こり難くい。また、近赤外線吸収剤の劣化防止のために、ディスプレイ表面等の硝子基板、光学フィルタ基材間の接着剤層等から近赤外線吸収剤を含む層を隔離する必要性がない。
また、本発明に係る近赤外線吸収性組成物においては、カルボキシル基を有する樹脂を用い、且つ、該樹脂の酸価を0.01以上100以下、好ましくは0.6以上30以下、より好ましくは1以上19以下、さらに好ましくは4以上7以下とする。該樹脂の酸価を0.6以上とすることにより、該樹脂に対する複合タングステン酸化物微粒子の分散性が良好となり、ヘイズの上昇を抑制することができる。また、該樹脂の酸価を30以下とすることにより、リワーク性のある再剥離性を達成することが可能となる。特に、該樹脂の酸価を4以上7以下とすることにより、該樹脂に対する複合タングステン酸化物微粒子の分散性が高まり、近赤外線吸収性能が向上するため好ましい。また、該樹脂の酸価を上記範囲内とすることにより、硝子基板や金属との密着性と金属の錆防止を両立することができる。そのため、本発明に係る近赤外線吸収性組成物のような近赤外線吸収機能を有しながら、硝子基板や金属との密着性と金属の錆防止の両立が可能な組成物が実用化可能となった。
ここで樹脂の酸価とは、カルボキシル基を含有する樹脂1gに含まれる全酸性成分(例えば、カルボキシル基、スルホ基等)の量を表すものであり、全酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表される。酸価の測定方法は滴定、例えば、JIS K2501などで定められている方法を用いることができる。
また、該樹脂が、アクリル系粘着剤の場合、樹脂の酸価は、該樹脂1gに含まれるカルボキシル基数に相当する。
以下、本発明に用いられる近赤外線吸収性組成物の組成、製造方法、特性、及び該組成物を用いた近赤外線吸収フィルタについて順に説明する。
<近赤外線吸収性組成物の組成>
(複合タングステン酸化物微粒子)
前記一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で示される複合タングステン酸化物微粒子は、本発明において近赤外線吸収剤として機能する。従って本発明に係る近赤外線吸収性組成物は、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1,100nmの波長域を吸収するものであり、該帯域の近赤外線の透過率が20%以下、更に15%以下であることが好ましい。
前記一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子は、六方晶、正方晶、立方晶の結晶構造を有する場合に耐久性に優れることから、該六方晶、正方晶、立方晶から選ばれる1つ以上の結晶構造を含むことが好ましい。例えば、六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子の場合であれば、好ましいM元素として、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの各元素から選択される1種類以上の元素を含む複合タングステン酸化物微粒子が挙げられる。中でも、M元素としては、耐久性の点から、Cs(セシウム)であることが好ましい。
このとき、添加されるM元素の添加量xは、0.001以上1.0以下が好ましく、更に好ましくは0.33付近が好ましい。これは六方晶の結晶構造から理論的に算出されるxの値が0.33であり、この前後の添加量で好ましい光学特性が得られるからである。一方、酸素の存在量zは、2.2以上3.0以下が好ましい。例えば、Cs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WOなどを挙げることができるが、x、zが上記の範囲に収まるものであれば、有用な近赤外線吸収特性を得ることができる。
このような複合タングステン酸化物微粒子は、各々単独で使用してもよいが、混合して使用することも好ましい。
また、上記複合タングステン酸化物微粒子の表面を、Si、Ti、Zr、Alのいずれか1種類以上の元素を含有する酸化物で被覆することが、耐候性をより向上させることができる点から好ましい。
複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒径は、本発明に係る近赤外線吸収性組成物を近赤外線吸収層として用いた場合の透明性の点から800nm以下であることが好ましく、更に好ましくは200nm以下、特に好ましくは100nm以下である。尚、ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径をいい、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、日機装(株)製、ナノトラック粒度分布測定装置)を用いて測定することができる。
また、複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径は、40〜200nmであることが好ましく、40〜80nmであることが更に好ましく、40〜60nmであることが特に好ましい。平均粒子径が40nm未満であると近赤外線吸収能が不十分となり、一方、平均粒子径が200nmを超えると、ミー散乱によって白濁を生じ、コントラストが低下してしまう。
なお、上記平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製「H−7100FA型」、加速電圧100kV)により撮像し、無作為に、例えば50個の複合タングステン酸化物微粒子を抽出して該粒子径を測定し、これを平均したものである。また、粒子の形状が球形でない場合には、長径を測定して算出したものと定義する。
複合タングステン酸化物微粒子の含有量は、特に限定されないが、樹脂中に、1〜25重量%であることが好ましい。含有量が1重量%以上であれば、十分な近赤外線吸収機能を発現でき、25重量%以下であれば、十分な量の可視光線を透過できる。
(樹脂)
本発明の近赤外線吸収性組成物において、樹脂は、カルボキシル基を有する粘着性及び/又は非粘着性の樹脂である。該樹脂は、上記複合タングステン酸化物微粒子、及びその他の成分の分散性、製膜性、並びに透明性を考慮し、適宜選択して用いることができる。
該樹脂の透明性は、人が透明と感じる程度であれば特に制限はないが、JIS K7136に準拠した曇度(ヘイズ)が5以下のものが好ましく、3以下が特に好ましい。
樹脂は、前記複合タングステン酸化物微粒子を分散可能であれば有機材料であってもよいし、無機材料であってもよい。
有機材料としては、それ自体は重合反応性のない非重合性樹脂、光硬化性や熱硬化性等の重合反応性樹脂のいずれを用いても良い。
非重合性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂あるいはポリエステル系樹脂等を用いることができるが、中でも(メタ)アクリル系樹脂が透明性に優れるため、特に好ましい。
上記アクリル系樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル酸及びこれらの誘導体の(メタ)アクリル系単量体から誘導される繰り返し単位を有する重合体である。
尚、本発明において、(メタ)アクリル系は、アクリル系及び/又はメタクリル系を、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを、(メタ)アクリロニトリル、は、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルを意味し、(共)重合体は、重合体及び/又は共重合体を意味する。
上記(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、及び(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n‐プロピル、(メタ)アクリル酸sec‐プロピル、(メタ)アクリル酸n‐ブチル、(メタ)アクリル酸sec‐ブチル、(メタ)アクリル酸tert‐ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n‐ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n‐オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2‐エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル及び(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
光硬化性樹脂としては、上記非重合性樹脂の化学骨格に、ビニル基や(メタ)アクリル基等のエチレン性二重結合含有基を導入した光硬化性樹脂や、上記非重合性樹脂に、エチレン性二重結合含有基を1分子あたり2つ以上有する多官能のモノマー又はオリゴマーを混合した組成物が用いられる。
多官能のモノマー又はオリゴマーのうち、2官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのジアクリレートまたはジメタクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジアクリレートまたはジメタクリレート類を挙げることができる。
3官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等の3価以上の多価アルコールのトリアクリレート又はトリメタクリレート類を挙げることができる。
4官能以上の多官能モノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等を挙げることができる。
また、熱硬化性有機材料としては、上記非重合性樹脂の化学骨格に、グリシジル基等のエポキシ含有基を導入した熱硬化性樹脂や、上記非重合性樹脂に、エポキシ含有基を1分子あたり2つ以上有する多官能のエポキシ樹脂を混合した組成物が用いられる。
有機樹脂の総配合量は、近赤外線吸収層全体の固形分に対して40〜99重量%、更に50〜98重量%であることが好ましい。
一方、無機材料としては、可視光領域での光線透過率の高い成分であれば限定されるものではなく、例えば公知のオルガノポリシロキサン又は水ガラス(珪酸ナトリウムの濃水溶液)を用いることができる。
前記オルガノポリシロキサンとしては、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水性や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
上記の(1)の場合、一般式YSiX4−n(n=1〜3)で表されるケイ素化合物の1種又は2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が主体となる。上記一般式でYはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、または、エポキシ基を挙げることができ、Xはハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、または、アセチル基を挙げることができる。
具体的には、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt‐ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt‐ブトキシシラン;n‐プロピルトリクロルシラン、n‐プロピルトリブロムシラン、n‐プロピルトリメトキシシラン、n‐プロピルトリエトキシシラン、n‐プロピルトリイソプロポキシシラン、n‐プロピルトリt‐ブトキシシラン;n‐ヘキシルトリクロルシラン、n‐ヘキシルトリブロムシラン、n‐ヘキシルトリメトキシシラン、n‐ヘキシルトリエトキシシラン、n‐ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n‐ヘキシルトリt‐ブトキシシラン;n‐デシルトリクロルシラン、n‐デシルトリブロムシラン、n‐デシルトリメトキシシラン、n‐デシルトリエトキシシラン、n‐デシルトリイソプロポキシシラン、n‐デシルトリt‐ブトキシシラン;n‐オクタデシルトリクロルシラン、n‐オクタデシルトリブロムシラン、n‐オクタデシルトリメトキシシラン、n‐オクタデシルトリエトキシシラン、n‐オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n‐オクタデシルトリt‐ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt‐ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt‐ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt‐ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt‐ブトキシシラン;γ‐グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリt‐ブトキシシラン;γ‐メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ‐メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ‐メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ‐メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ‐メタアクリロキシプロピルトリt‐ブトキシシラン;γ‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ‐アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ‐アミノプロピルトリt‐ブトキシシラン;γ‐メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ‐メルカプトプロピルトリt‐ブトキシシラン;β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン;および、それらの部分加水分解物;および、それらの混合物を使用することができる。
また、樹脂として、特にフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンが好ましく用いることができ、具体的には、下記のフルオロアルキルシランの1種又は2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
CF(CF)CHCHSi(OCH)
CF(CF)CHCHSi(OCH)
CF(CF)CHCHSi(OCH)
CF(CF)CHCHSi(OCH)
(CF)CF(CF)CHCHSi(OCH)
(CF)CF(CF)CHCHSi(OCH)
(CF)CF(CF)CHCHSi(OCH)
CF(C)CSi(OCH)
CF(CF)(C)CSi(OCH)
CF(CF)(C)CSi(OCH)
CF(CF)(C)CSi(OCH)
CF(CF)CHCHSiCH(OCH)
CF(CF)CHCHSiCH(OCH)
CF(CF)CHCHSiCH(OCH)
CF(CF)CHCHSiCH(OCH)
(CF)CF(CF)CHCHSiCH(OCH)
(CF)CF(CF)CHCHSiCH(OCH)
(CF)CF(CF)CHCHSiCH(OCH)
CF(C)CSiCH(OCH)
CF(CF)(C)CSiCH(OCH)
CF(CF)(C)CSiCH(OCH)
CF(CF)(C)CSiCH(OCH)
CF(CF)CHCHSi(OCHCH)
CF(CF)CHCHSi(OCHCH)
CF(CF)CHCHSi(OCHCH)
CF(CF)CHCHSi(OCHCH)
CF(CF)SON(C)CCHSi(OCH)
上記の様なフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンを樹脂として用いることにより、光触媒含有層の非光照射部の撥水性が大きく向上し、ブラックマトリックス用塗料や着色層用塗料の付着を妨げる機能を発現する。
また、上記(2)の反応性シリコーンとしては、下記化学式(1)で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
Figure 0005365197
ただし、nは2以上の整数である。R,Rはそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基である。モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R,Rがメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコン化合物をバインダーに混合してもよい。
前記水ガラスとは、一般的にケイ酸ナトリウムNaO・nSiO(n=2〜4)が水に溶けた粘度の高い溶液である。一般的な水ガラスの製造方法としては、珪砂と炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムを混合し、1,100℃以上で溶融することでガラス状の塊(カレットと称す)を得て、このカレットをオートクレーブで加圧下(5〜7kgf/cm×数時間)にて水に溶解後、ろ過して得る方法(乾式法)と、珪砂またはケイ酸白土と水酸化ナトリウムを混合後、オートクレーブで溶解後ろ過して得る方法(湿式法)がある。
また、本発明に用いられる樹脂は、透明性を確保する点から、アクリル系樹脂であることが好ましく、さらに硝子基材や金属との密着性を確保する点から、粘着剤であることが好ましい。
粘着剤とは、接着剤の1種をいい、接着剤のうち、接着の際には室温下で単に適度な、通常、軽く手で押圧する程度の加圧のみにより、表面の粘着性のみで接着可能なものをいう。粘着剤の接着力発現には、通常特に、加熱、加湿、放射線(紫外線や電子線等)照射といった物理的なエネルギー乃至作用が不要で、且つ重合反応等の化学反応も不要である。又、粘着剤は、接着後も再剥離可能な程度の接着力を経時的に維持し得るものである。本発明においては、公知の粘着剤として慣用されているものの中から、適度な粘着性(接着力)、透明性、分散性、塗工適性を有し、光学フィルタの透過スペクトルを実質的に変化させることの無いものを適宜選択して用いることができる。
粘着剤としては、例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル樹脂系(以後、アクリル系とも略称)、ポリビニルエーテル系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等が挙げられ、なかでもアクリル系が好ましい。
合成ゴム系の具体例としては、スチレン‐ブタジエンゴム、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソブチレン‐イソプレンゴム、スチレン‐イソプレンブロック共重合体、スチレン‐ブタジエンブロック共重合体、スチレン‐エチレン‐ブチレンブロック共重合体が挙げられる。シリコーン樹脂系の具体例としては、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの粘着剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボキシル基を有するアクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸及び/又はそれ以外のカルボキシル基含有モノマーから誘導される繰り返し単位を含む(メタ)アクリル系粘着性重合体が挙げられ、例えば、(メタ)アクリル酸を含み、必要に応じて他のモノマーを含む2以上のモノマーを重合させた共重合体や、(メタ)アクリレートと非(メタ)アクリレート系のカルボキシル基含有モノマーと必要に応じてさらに他のモノマーを含む2以上のモノマーを重合させた共重合体が挙げられる。炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとカルボキシル基及び炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有するモノマーとの共重合体や、炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸と炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含む2種以上を用いた共重合体であるのが一般的である。
斯かるアクリル系粘着剤の繰り返し単位となるカルボキシル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸モノブチル、ビニル酢酸、及びβ‐カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基を含有するビニルモノマーを挙げることができる。
本発明に係る粘着剤は、上記(メタ)アクリル酸の単独重合体でもよいが、カルボキシル基を有しないモノマーと、カルボキシル基を有するモノマーとを、適切な共重合比で共重合させた共重合体を用いることが好ましい。これにより酸価のコントロール等所望の物性を粘着剤に付与することができる。
ここで使用されるカルボキシル基を有しないモノマーとしては、上述した様な(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、特に炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられる。
また、本発明で用いられるアクリル系粘着剤には、上記の他に、アクリル系粘着剤の特性を損なわない範囲内で他の官能基を有するモノマーが共重合されていても良い。他の官能基を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2‐ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2‐ヒドロキシプロピル及びアリルアルコール等の水酸基を含有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、N‐メチル(メタ)アクリルアミド及びN‐エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を含有するモノマー;N‐メチロール(メタ)アクリルアミド及びジメチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基とメチロール基とを含有するモノマー;アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びビニルピリジン等のアミノ基を含有するモノマーのような官能基を有するモノマー;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマーなどが挙げられる。この他にもフッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル等の他、スチレン及びメチルスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニル化合物などを挙げることができる。
さらに、本発明で用いられるアクリル系粘着剤の繰り返し単位となるモノマーとしては、上記の様なカルボキシル基以外の官能基を有するモノマーの他に、他のエチレン性二重結合を有するモノマーを使用することができる。ここでエチレン性二重結合を有するモノマーの例としては、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル及びフマル酸ジブチル等のα,β‐不飽和二塩基酸のジエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルエーテル;スチレン、α‐メチルスチレン及びビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。
また、上記の様なエチレン性二重結合を有するモノマーの他に、エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を併用することもできる。この様な化合物の例としては、ジビニルベンゼン、ジアリルマレート、ジアリルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
さらに、上記の様なモノマーの他に、アルコキシアルキル鎖を有するモノマー等を使用することができる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸2‐メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2‐メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3‐メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2‐メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4‐メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2‐エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3‐エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4‐エトキシブチルなどを挙げることができる。
アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば、商品名:コーポニール5705‐L、5407、N−2147、5698(日本合成化学工業(株)製)、商品名:サイビノールAT‐361(サイデン化学(株)製)、商品名:PE123(日本カーバイド工業(株)製)、商品名:SKダインSK2094 SK1850G、SK2006、SK1888、SK1831、SK1863(綜研化学(株)製)等が、ヘイズが低くなり、且つ、粘着力の点から、好適に用いられる。
(分散剤)
分散剤は、分散対象である顔料に吸着し、凝集している顔料粒子を溶剤などで濡れやすくすることで、顔料粒子の一次粒子化の促進、凝集防止、粘度低下、流動性改善、沈降防止等の機能を有する。本発明において、顔料である複合タングステン酸化物微粒子を粘着剤に分散する場合には適宜、公知の樹脂型分散剤、無機分散剤を用いることができる。
樹脂型分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、粘着剤や溶剤と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して粘着剤や溶剤への分散を安定化する働きをするものである。また、顔料粒子の表面電荷を増加させたり、立体障害による粒子間の反発力(排除体積効果)を高める働きをする。樹脂型顔料分散剤としては、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などが用いられる。また、(メタ)アクリル酸‐スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸‐(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン‐マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物等が用いられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
無機分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等のリン酸化合物、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸化合物が挙げられる。
(界面活性剤)
界面活性剤は、上記分散剤の機能を補助する役割を果たす。
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン‐アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤;が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
上記界面活性剤としてはその他、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
(酸化ジルコニウム微粒子)
近赤外線吸収剤として、複合タングステン酸化物微粒子を用いる場合、反射色調が青色を呈する傾向がある。反射色調が青色を呈すると、コントラストが不充分となる上、不使用時のディスプレイの外観が青味がかり、意匠上も好ましくない。
反射色調が青色となる原因としては、近赤外線吸収剤として用いられる前記複合タングステン酸化物微粒子の粒子径が小さいことに起因するレイリー散乱によるものと考えられる。
これに対して本発明に係る近赤外線吸収性組成物は、反射色調の青味を消す観点から、前記複合タングステン酸化物微粒子との屈折率差が小さい酸化ジルコニウム微粒子を含有することが好ましい。例えば、前記複合タングステン酸化物微粒子としてCs0.33WO(セシウム含有酸化タングステン)を例にとると、その屈折率は2.5〜2.6である。一方、酸化ジルコニウム微粒子の屈折率は不純物、結晶構造によって多少異なるが、2.0〜2.2の範囲であり、該複合タングステン酸化物微粒子との屈折率差を0.3程度以下にすることが出来る。
樹脂中に平均粒子径40〜200nmの複合タングステン酸化物微粒子を分散させた近赤外線吸収性組成物に、該複合タングステン酸化物微粒子よりも平均粒子径が小さく、且つ屈折率が近似する酸化ジルコニウム微粒子を添加することで、レイリー散乱に起因する青色を低減出来る機構については、未解明であるが、以下のように推察される。
即ち、樹脂の屈折率は通常1.5前後であり、一方、前記複合タングステン酸化物微粒子の屈折率は2.0〜2.5前後である。従って、該複合タングステン酸化物微粒子表面における樹脂との屈折率差は0.5〜1.0前後とかなり高く、しかも屈折率は該複合タングステン酸化物微粒子表面において不連続的に変化する。そのため、該複合タングステン酸化物微粒子表面の光反射率は高くなり、これが散乱強度を高める一因と推測される。
本発明においては、高屈折率で光反射性の強い該複合タングステン酸化物微粒子の周囲に、これと屈折率は近似するがより小粒子径の該酸化ジルコニウム微粒子がハロー状に包囲し(恐らくは、該複合タングステン酸化物微粒子に近づく程、分布密度が濃くなると推測される)、これによって該複合タングステン酸化物微粒子の表面近傍において、該複合タングステン酸化物微粒子と該酸化ジルコニウム微粒子と樹脂とを平均した屈折率が、該複合タングステン酸化物微粒子から外方に向かって連続的に低下するようになる(該複合タングステン酸化物微粒子表面と樹脂との屈折率の段差を緩和)。そのため、該複合タングステン酸化物微粒子表面における光反射が低減し、これが散乱強度の低減に寄与すると推測される。
酸化ジルコニウム微粒子の平均粒子径は、前記複合タングステン酸化物微粒子よりも小であることが、近赤外線吸収層(近赤外線吸収フィルタ)の反射色が青色を呈することを防止する点から必要である。特に、前記複合タングステン酸化物微粒子の粒子径が40〜200nm、好ましくは40〜60nmであること、及びレイリー散乱の効果を考慮すると、酸化ジルコニウム微粒子の粒子径は、特に、5〜30nmの範囲であることが好ましく、更に10〜20nmの範囲であることが好ましい。平均粒子径が5nm未満であると、反射色調の青味を消すことができない。一方、平均粒子径が30nmを超えると、反射色調の青味を消す効果が低減してくると同時に白濁を生じる場合がある。
また、酸化ジルコニウム微粒子の形状については特に制限はないが、通常、球形が用いられる。
なお、酸化ジルコニウム微粒子の平均粒子径は、前記複合タングステン酸化物微粒子と同様に透過型電子顕微鏡を用いた方法により測定したものである。
上記酸化ジルコニウム微粒子の近赤外線吸収性組成物における含有量は、前記複合タングステン酸化物微粒子100質量部に対して50〜200質量部であることが好ましい。50質量部以上であると、反射色調の青味を消すことができ、一方、200質量部以下であると白濁の問題が生じない。
(溶剤)
溶剤は前記近赤外線吸収性組成物を均一に混合、分散し、該組成物に塗工性を付与するものである。
溶剤としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合溶剤であってもよい。
(その他の成分)
本発明に係る近赤外線吸収性組成物には、上記本発明の効果が損なわれない限り、更に、金属不活性化剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、シランカップリング剤、イソシアネート化合物等の架橋剤等を1種以上含有させても良い。
ここで、金属不活性化剤とは、一般に、重金属イオンとキレートを形成することに基づいて、そのレドックス電位を低下させるものである。
金属不活性化剤としては、サリチル酸誘導体、ヒドラジド誘導体、シュウ酸アミド誘導体、イオウ含有ホスファイトなどが挙げられ、なかでも、ヒドラジド誘導体を用いることが好ましい。
サリチル酸誘導体としては、ADK STAB CDA−1、ADK STAB CDA−6などが挙げられ、特に、ADK STAB CDA−1を用いることが好ましい。また、ヒドラジド誘導体としては、Irganox MD 1024などが好ましく用いられる。
シュウ酸アミド誘導体としては、Naugard XL−1が好ましく用いられ、またイオウ含有ホスファイトとしては、Hostanox OSP−1が好ましく用いられる。
可塑剤としては、例えばオリゴアクリレート系等が挙げられる。また、酸化防止剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物は、導電性メッシュ層と直接接触する箇所に用いられる場合、導電性メッシュ層が酸化され色変化するのを防ぐのに好適である。
また、上記近赤外線吸収性組成物には、ネオン光吸収剤、色補正色素、紫外線吸収剤等の光学的機能を調節する成分を含有させてもよい。
(1.ネオン光吸収剤)
ネオン光吸収剤は、プラズマディスプレイパネルから放射されるネオン光即ちネオン原子の発光スペクトルを吸収する機能を有する。ネオン光吸収剤が含まれる場合には、少なくともディスプレイからのオレンジ色発光が抑制可能で、鮮やかな赤色を得ることができる。ネオン光の発光スペクトル帯域は波長550〜640nmの為、ネオン光吸収層として機能する場合の分光透過率は波長590nmにおいて50%以下、更に25%以下になるように設計することが好ましい。ネオン光吸収剤は、少なくとも550〜640nmの波長領域内に吸収極大を有する色素を用いることができる。該色素の具体例としては、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはポルフィリン系等を挙げることができる。これらの中でもポルフィリン系が好ましい。その中でも特に、特許第3834479号公報に開示されるような、テトラアザポルフィリン系色素が、粘着剤層中でも分散性が良好で、且つ耐熱性、耐湿性、耐光性が良好な点から好ましい。
ネオン光吸収剤の含有量は、特に限定されないが、粘着剤層中に、0.05〜5重量%であることが好ましい。含有量が0.05重量%以上であれば、充分なネオン光吸収機能を発現でき、5重量%以下であれば、十分な量の可視光線を透過できる。
(2.色補正色素)
また、色補正色素とは、パネルからの発光の色純度や色再現範囲、電源OFF時のディスプレイ色などの改善の為にディスプレイ用フィルタの色を調整する機能を有する。各ディスプレイ毎に色補正機能の要求が異なるため、適宜調整して用いられる。
色補正色素として用いることのできる公知の色素としては、特開2000−275432号公報、特開2001−188121号公報、特開2001−350013号公報、特開2002−131530号公報等に記載の色素が好適に使用できる。更にこのほかにも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素を使用することができる。
色補正色素の含有量は、補正すべき色に合わせて適宜調整され、特に限定されない。通常、粘着剤層中に0.01〜10重量%程度含有する。
(3.紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等の有機系化合物、微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム等からなる無機系化合物からなる公知の化合物を用いることができる。
<近赤外線吸収性組成物の製造方法>
本発明に係る近赤外線吸収性組成物は以下の3段階の手順によって製造することができる。
(1)複合タングステン酸化物微粒子分散液の調製
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液は、例えば、必須成分の複合タングステン酸化物微粒子を、必要に応じて分散剤と共に、適量の溶剤中に混合し、必要に応じて適切に分散処理することにより得られる。
(2)樹脂ワニスの調製
上記複合タングステン酸化物微粒子分散液とは別に、本発明に係る樹脂を適量の溶剤に混合し、ワニスとする。
(3)近赤外線吸収性組成物の調製
上記複合タングステン酸化物微粒子分散液及び上記樹脂含有ワニスを混合、十分に撹拌することで目的の近赤外線吸収性組成物が得られる。
本発明に係る近赤外線吸収性組成物においては、樹脂の酸価を0.6以上30以下とすることで、該樹脂に対する複合タングステン酸化物微粒子の分散性が良好となり、ヘイズの上昇を抑制することができ、透明性に優れたものとすることができる。
<近赤外線吸収性組成物の特性>
上記方法で調製した近赤外線吸収性組成物の固形分濃度、粘度及びヘイズ等は以下の範囲であることが好ましい。
(固形分濃度)
固形分濃度とは近赤外線吸収性組成物中の複合タングステン酸化物微粒子及び樹脂(粘着剤)等固形分の濃度であり、塗布性、製膜性及び近赤外線吸収性を考慮し、固形分濃度は5重量%乃至60重量%とすることが好ましい。
(ヘイズ)
本発明に係る近赤外線吸収性組成物は、膜厚25μmの塗膜を形成し、JIS K7136に準拠したヘイズ値を測定したときに、ヘイズ値が5以下となるように調製されることが好ましい。該ヘイズ値はより好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。
(近赤外線吸収性)
本発明に係る近赤外線吸収性組成物は、近赤外線領域、即ち、800nm〜1,100nmの波長域の近赤外線の透過率が20%以下、更に15%以下であることが好ましい。
(ガラス密着性)
本発明に係る近赤外線吸収性組成物は、半永久的な使用に耐え得るように自然な剥がれやズレが生じず、且つ、貼りつけ後も自重を超える充分強い力で意図的に剥がせば、平滑な面からは比較的容易に剥がすことができる程度の接着性を有することが好ましく、乾燥膜厚が25μmの塗膜のガラス密着性が、0.5〜30N/25mmであることが好ましい。ここで上記ガラス密着性は、JIS Z0237−2000の試験に準拠して、ナトリウムソーダガラスに貼り合わせ、速度200mm/minで、90度で剥離させて測定することができる。ガラス密着性は、さらに好ましくは、1〜20N/25mm、より好ましくは5〜15N/25mmである。
(耐久性)
本発明に係る近赤外線吸収性組成物は、高温雰囲気下(例えば、温度80℃、湿度10%以下)、或いは、高温高湿雰囲気下(例えば、温度60℃、湿度90%RH)に500時間放置する前後のガラス密着性の値の差が、10N/25mm以下であることが望ましい。また、500時間放置した後のガラス密着性が、5N/25mm以上、更に8N/25mm以上であることが好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物は、高温雰囲気下に放置する前後の色度(x、y)の値の差Δx及びΔyがいずれも、0.03以下、更に好ましくは0.02以下であることが望ましい。更に、以下のように耐湿熱性試験を行った場合に、高温高湿雰囲気下に放置する前後の色度(x、y)の値の差Δx及びΔyがいずれも、0.03以下、更に好ましくは0.02以下であることが望ましい。
耐湿熱性試験方法としては、本発明の近赤外線吸収性組成物の層をガラス(旭硝子社製PD−200:厚み2.8mm)上に形成した後、該層の上にPETフィルム(東洋紡績社製A4100:厚み50μm)を積層して耐久性試験用サンプルを調製する。該耐久性試験用サンプルの耐久性試験前の色度(x、y)を測定する。色度は、例えば分光光度計(島津製作所社製、品番:「UV−3100PC」)を用いて測定することができる。
次に、得られた耐久性試験用サンプルを高温雰囲気下(例えば、温度80℃、湿度10%以下)、或いは、高温高湿雰囲気下(例えば、温度60℃、湿度90%RH)に1000時間放置した後、上記と同様に耐久性試験後の色度を測定する。上記高温雰囲気下、或いは高温高湿雰囲気下に放置する前後の色度の測定値から、色度(x、y)の値の差Δx及びΔyを求める。
<近赤外線吸収フィルタ>
本発明の近赤外線吸収フィルタは、透明基材の一方の面に、透明性導電層を備え、透明性導電層と同一又は反対側の面に本発明に係る近赤外線吸収性組成物からなる近赤外線吸収層(粘着剤層)が形成され、該透明基材の該粘着剤層と反対側の面に反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能よりなる群から選択される1種以上の機能を有する表面保護層が形成され、該粘着剤層は、カルボキシル基を有する樹脂を含有し、該樹脂には、前記複合タングステン酸化物微粒子が分散されている。該樹脂は、粘着剤であることがディスプレイ本体や前面板に貼付可能な接着性を確保できるため好ましい。
また、本発明に係る近赤外線吸収フィルタの実際の使用様態としては、観察者側に表面保護層が形成されることが好ましい。
また、本発明の近赤外線吸収フィルタにおいて、透明基材及び透明性導電層からなる部分を電磁波遮蔽シートとも呼称する。
(近赤外線吸収フィルタの層構成)
本発明に係る近赤外線吸収フィルタの層構成について図面を用いて説明する。
本発明による近赤外線吸収フィルタの一例の断面図を図1で概念的に示す。なお、図1以下の断面図において、説明の容易化のために、厚み方向(図の上下方向)を面方向(図の左右方向)の縮尺よりも大幅に拡大誇張して図示してある。図1に示す近赤外線吸収フィルタ1Aは、本発明に係る近赤外線吸収フィルタの好適な実施形態のうちの第一の実施形態であり、透明基材10のPDP50側の面に導電性メッシュ層30及び近赤外線吸収層(粘着剤層)20が形成され、透明基材10の観察者60側の面には、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能よりなる群から選択される1種以上の機能を有する表面保護層40が形成されている。
図2は、本発明に係る近赤外線吸収フィルタの好適な実施形態のうちの第二の実施形態であり、近赤外線吸収フィルタ1Bは、透明基材10のPDP50側の面に、透明基材10に近い側から、透明性導電層31及び近赤外線吸収層(粘着剤層)20がこの順序で積層され、透明基材10の観察者60側の面には、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能よりなる群から選択される1種以上の機能を有する表面保護層40が形成されている。
図3は、本発明に係る近赤外線吸収フィルタの好適な実施形態のうちの第三の実施形態であり、近赤外線吸収フィルタ1Cは、透明基材10のPDP50側の面に、透明基材10に近い側から、透明性導電層31及び近赤外線吸収層(粘着剤層)20がこの順序で積層され、透明基材10の観察者60側の面には、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能よりなる群から選択される1種以上の機能を有する表面保護層40が形成され、近赤外線吸収フィルタ1Cは粘着剤層20を介在して前面板70に貼り付けられている。
本発明の近赤外線吸収フィルタによれば、1つの透明基材とその両面を用いて、近赤外線吸収機能以外に、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、及び/又は耐擦傷機能等の各種機能を複合化するように設計されている。そのため、光学機能発現部分は、従来のように、各個に透明基材を有し合計で複数(2乃至3層程度)の透明基材を有する積層構成をとらない。従って、従来複数含まれていた光学フィルタの透明基材やそれらを貼り合わせるための接着剤層を減らすことができる。その結果、本発明の近赤外線吸収フィルタは、材料費が低減できる。また、本発明のような層構成を有する場合には、層数削減により界面反射を抑えることができるというメリットがある。
本発明において近赤外線吸収剤として用いられる前記複合タングステン酸化物微粒子は、耐熱性、耐湿性、耐光性が高い。特に、斯かる複合タングステン酸化物微粒子は、従来の有機系近赤外線吸収色素を劣化させる要因となっていた導電性メッシュの金属層、ディスプレイ前面板の硝子層、或いはウレタン結合を有する接着剤層と接触する層に含有させても、これらの層との反応による特性劣化を生じ難い。その上、前記複合タングステン酸化物微粒子は、ディスプレイ前面より発生する波長800〜1,100nmの近赤外線帯域全般を該複合タングステン酸化物微粒子のみで吸収し得るので、更に劣化しやすい有機系近赤外線吸収剤を併用しなくても良い。従って、本発明に係る近赤外線吸収フィルタによれば、長時間の使用、特に高温下や高湿下での長時間の使用によっても、近赤外線吸収剤の劣化に帰属されるフィルタの色ムラが起こり難い。また、近赤外線吸収剤の劣化防止のために、ディスプレイ表面等のガラス基板、光学フィルタ基材間の接着剤層等から近赤外線吸収層を隔離する必要性がない。そのため、本発明に係る近赤外線吸収フィルタのようなフィルタの色ムラがなく外観に優れた近赤外線吸収機能及び表面保護機能の各機能を有しながら、積層工程数を減らして生産効率に優れ、少ない積層数で、材料費も低減できる構成を実用化可能となった。
また、反射防止層のような比較的薄い膜として設けられる層に複合タングステン酸化物微粒子を含有させると、層における微粒子密度が高くなって、ヘイズが高くなるという問題も発生するが、本発明のように粘着剤層に含有させると反射防止層に比べて層が厚いため、ヘイズが高くなることを抑制できるというメリットもある。
以下、本発明に係る近赤外線吸収フィルタについて、透明基材、近赤外線吸収層(粘着剤層)、透明性導電層及び表面保護層を順に説明する。
(透明基材)
透明基材は近赤外線吸収フィルタを構成する一部の層であり、必要に応じて紫外線吸収機能を付加され得る層の1つである。従って、透明基材としては、機械的強度、光透過性と共に、適宜紫外線吸収能を有すれば、その他、耐熱性等の性能を適宜勘案したものを用途に応じて選択すればよい。このような、透明基材の具体例としては、樹脂等の有機材料からなるシート(乃至フィルム。以下同様。)、或は樹脂等の有機材料又は硝子等の無機材料からなる板が挙げられる。透明基材の透明性は高いほどよいが、好ましくは可視光域380〜780nmにおける光線透過率が70%以上、より好ましくは80%以上となる光透過性が良い。なお、光透過率の測定は、分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いることができる。
透明基材の材料として用いる透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸‐イソフタル酸‐エチレングリコール共重合体、テレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール‐エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン‐アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
又、透明基材として用いられる無機材料としては、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛硝子、硼珪酸硝子等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等が挙げられる。
なお、上記樹脂は、単独、又は複数種類の混合樹脂(ポリマーアロイを含む)として用いられ、透明基材の層構成は、単層、又は2層以上の積層体として用いられる。また、樹脂フィルムの場合、1軸延伸や2軸延伸した延伸フィルムが機械的強度の点でより好ましい。また、これら樹脂中には、必要に応じて適宜、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
透明基材の厚さは、基本的には用途に応じ選定すればよく、特に制限はないが、通常は12〜5000μm、シートの場合では、好ましくは50〜300μm、より好ましくは50〜200μmである。このような厚み範囲ならば、機械的強度が充分で、反り、弛み、破断などを防ぎ、連続帯状で供給して加工する事も容易である。又、板の場合では、好ましくは、500〜3000μmである。
なお、本発明では、透明基材とは、樹脂シート(樹脂フィルムも含む)以外に樹脂板と呼ばれるものも含めて呼ぶことにする。但し、近赤外線(NIR)吸収、ネオン光吸収、色補正を各フィルタフィルム毎に積層することによる総厚増加を回避して近赤外線吸収フィルタの薄型化を図る観点から、透明基材は薄いものが好ましい。
この様な点で、透明基材の形態としては樹脂板よりは透明樹脂フィルムが好ましい。該樹脂フィルムのなかでも特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルムが、透明性、耐熱性、コスト等の点で好ましく、より好ましくは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが最適である。
また、本発明においては、透明基材が紫外線吸収機能を有する場合、該透明基材は、該透明基材の樹脂中に紫外線吸収剤をフィルム中に添加したり、該透明基材の構成層の一部として紫外線吸収剤を含む表面コート層を表面に設けたり、或いはこれら両方を併用した、構成とする。なお、表面コート層を設ける表面は表裏面のいずれか片側、両側のいずれでもよい。
また、透明基材の一方の面に表面保護層を設ける関係上、該表面保護層形成面側に、紫外線吸収剤を含む前記表面コート層を形成する場合には、該表面コート層と表面保護層とを兼用してこれを表面保護層とする形態としても良い。
(近赤外線吸収層(粘着剤層))
近赤外線吸収層(特に、樹脂が粘着剤形態の場合は、粘着剤層と称呼する)は、前記本発明に係る近赤外線吸収性組成物を用いて形成されたものであり、近赤外線吸収機能を有し、且つ光学フィルタに必要な透明性を確保している。
(透明性導電層)
透明性導電層とは、該透明性導電層を通して、PDPの表示画像を観賞できる光透過性を有し、且つ、PDPから発生する電磁波を遮蔽できる導電性を有する層のことを意味する。透明性導電層としては、インジウム‐錫系酸化物(ITO)等の透明導電性材料を用いて非パターン状(ソリッド状)に形成した薄膜、或いは銅、銅合金、アルミニウムその他の金属材料等の不透明性の導電性材料を用いて微細なメッシュパターン状に形成した導電性メッシュ層を用いることができる。本発明では、透明性導電層の材料及び形成方法は特に限定されるものではなく、従来公知の透明性導電層を適宜採用できるものである。
(1.導電性メッシュ層)
導電性メッシュ層は、導電性を有することで電磁波遮蔽機能を担える層であり、それ自体は不透明性だがメッシュ状の形状で多数の開口部が存在するメッシュにより、電磁波遮蔽性能と光透過性を両立させている層である。また、本発明の代表的な実施形態においては、導電性メッシュ層は、主たる層として銅メッキ層と黒化層とを含み、場合により、更に銅スパッタ層や、銅メッキ層上に更に第2の黒化層、公知の黒化層又は防錆層を形成しても良い。尚、電磁波遮蔽シートの使用状態においては、黒化層による外光吸収の機能を発揮させるために、電磁波遮蔽シートの黒化層が設けられた側が観察者を向くように配置される。
(2.導電性メッシュ層の形成方法)
本発明において、メッシュ領域や接地用領域を有する導電性メッシュ層の材料や形成方法は特に限定はなく、従来公知の電磁波遮蔽シートにおけるものを適宜採用できる。
このような、メッシュ領域を有する導電性メッシュ層の形成方法は、特に制限されず、例えば、次の(1)〜(4)の方法が挙げられる。
(1)透明基材上へ導電インキをパターン状に印刷する方法。該導電インキとしては、銀、黒鉛等の導電性粒子をアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂バインダー中に分散した組成物が用いられる。印刷法としては、シルクスクリーン、凹版、フレキソ等の方式が適用出来る。導電インキのみで導電性が不足の場合は、該導電インキ層の上へ銅、銀等の金属層をメッキする方法も有る(例えば、特開2000−13088号公報参照)。
(2)透明基材へ、導電インキ又は化学メッキ触媒含有感光性塗布液を全面に塗布して塗布層を形成し、塗布層をフォトリソグラフィー法でメッシュ状とした後に、該メッシュの上へ銅メッキする方法(例えば、住友大阪セメント株式会社新材料事業部新規材料研究所新材料研究グループ、“光解像性化学メッキ触媒”、[online]、掲載年月日記載なし、住友大阪セメント株式会社、[平成15年1月7日検索]、インターネット〈URL:http://www.socnb.com/product/hproduct/display.html〉)。
(3)透明基材の一方の面へ、金属薄膜をスパッタなどにより形成して導電処理層などを形成し、その上に電解メッキにより銅メッキ層を形成し、さらに、その上に第2の黒化層や公知の他の黒化層を形成して、導電体層の全ての層の形成を完了させた透明基材を準備し、該透明基材上の導電体層を、フォトリソグラフィー法でメッシュ状とする(例えば、特許第3502979号公報、特開2004−241761号公報参照)。
(4)透明基材の一方の面へ、金属箔をドライラミネート法により接着して導電体層とし、該透明基材上の導電体層を、フォトリソグラフィー法でメッシュ状とする(例えば、特許第3388682号公報等参照)。
(表面保護層)
本発明に用いられる表面保護層は、透明基材の表面を保護する層であり、反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能よりなる群から選択される1種以上の機能を有するものである。表面保護層は単層の他、多層として形成してもよい。但し、本発明の2層以上の表面保護層間には基材は介しない。画像表示装置表面での外来光の鏡面反射による背景の映り込み、画像の白化、及び画像コントラスト低下を低減する為の手段として、本発明の近赤外線吸収フィルタの最上層には、反射防止機能、防眩機能を付与することが好ましく、所謂防眩層及び/又は所謂反射防止層を形成することが好ましい。前者の防眩層としては、曇りガラスのように光を散乱もしくは拡散させて外来光による背景像を暈す手法である。また、後者の反射防止層としては、屈折率の高い材料と低い材料を交互に積層し、最表面が低屈折率層となるように多層化(マルチコート)し、各層界面での反射光を干渉によって相殺することで、表面の反射を抑え、良好な反射防止効果を得る手法であり、所謂狭義の反射防止層である。
また、近赤外線吸収フィルタに紫外線遮蔽機能をもたらす点から、表面保護層中に紫外線吸収剤を含有させても良い。
(1.防眩層)
防眩層(Anti Glare層、略称してAG層)は、外来光を散乱もしくは拡散させるために、光の入射面を粗面化することが基本である。この粗面化処理には、サンドブラスト法やエンボス法等により基体表面に直接微細凹凸を形成して粗面化する方法;基体表面に放射線、熱の何れかもしくは組み合わせにより硬化するバインダー樹脂中に、光拡散性粒子としてシリカなどの無機フィラーや、樹脂粒子などの有機フィラーを含有させた塗膜により粗面化層を設ける方法;及び基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法等を挙げることができる。バインダー樹脂の樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、後述する耐擦傷機能(ハードコート)層同様に電離放射線硬化性樹脂等が好適に使用される。
防眩層の厚みは特に限定されるものではないが、0.07μm以上20μm以下が好ましい。
(2.反射防止層)
反射防止層(Anti Reflection層、略称してAR層)は、低屈折率層の単層、或いは、低屈折率層と高屈折率層とを、該低屈折率層が最上層に位置する様に交互に積層した多層構成が一般的であり、蒸着やスパッタ等の乾式成膜法で、或いは塗工等の湿式成膜法も利用して形成することができる。なお、低屈折率層はケイ素酸化物、フッ化マグネシウム、氷晶石、フッ素含有樹脂等が用いられ、高屈折率層には、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等が用いられる。尚、ここで高(低)屈折率層とは、該層と隣接する層(例えば、透明基材、或いは低(高)屈折率層)と比較して該層の屈折率が相対的に高(低)いという意味である。
反射防止層に更に耐擦傷機能を付与する場合には、耐擦傷機能(ハードコート)層の項で記載したような硬度の高い材料を適宜用いて形成する。
反射防止効果を向上させるためには、低屈折率層の屈折率は、光学理論上理想的には、直下の層(高屈折率層或は透明基材)の屈折率の平方根とする。斯かる理論値が正確に満たされない場合は、出来るだけ理論値に近付けるように設計する。例えば、高屈折率層の場合でも通常、屈折率は高くても2.1程度である為、通常は低屈折率層の屈折率は1.45以下であることが好ましい。これらの特徴を有する材料としては、例えばLiF(屈折率n=1.36)、MgF(屈折率n=1.38)、3NaF・AlF (屈折率n=1.4)、AlF(屈折率n=1.37)、NaAlF(屈折率n=1.33)、SiO(屈折率n=1.45)、NaF(屈折率n=1.33)、CaF(屈折率n=1.44)、等の無機材料を微粒子化し、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等に含有させた無機系低反射材料、フッ素系・シリコーン系の有機化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、放射線硬化型樹脂等の有機低反射材料を挙げることができる。
また、低屈折率層には、空隙を有する微粒子を用いても良い。空隙を有する微粒子とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、塗膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。空隙を有する微粒子は、無機物、有機物のいずれであってもよく、例えば、金属、金属酸化物、樹脂からなるものが挙げられ、好ましくは、酸化珪素(シリカ)微粒子が挙げられる。
さらに、5〜30nmのシリカ超微粒子を水もしくは有機溶剤に分散したゾルとフッ素系の皮膜形成剤を混合した材料を使用することもできる。該5〜30nmのシリカ超微粒子を水又は有機溶剤に分散したゾルは、ケイ酸アルカリ塩中のアルカリ金属イオンをイオン交換等で脱アルカリする方法や、ケイ酸アルカリ塩を鉱酸で中和する方法等で知られた活性ケイ酸を縮合して得られる公知のシリカゾル、アルコキシシランを有機溶媒中で塩基性触媒の存在下に加水分解と縮合することにより得られる公知のシリカゾル、さらには上記の水性シリカゾル中の水を蒸留法等により有機溶剤に置換することにより得られる有機溶剤系のシリカゾル(オルガノシリカゾル)が用いられる。これらのシリカゾルは水系及び有機溶剤系のどちらでも使用することができる。有機溶剤系シリカゾルの製造に際し、完全に水を有機溶剤に置換する必要はない。前記シリカゾルはSiOとして0.5〜50質量%濃度の固形分を含有する。シリカゾル中のシリカ超微粒子の構造は球状、針状、板状等様々なものが使用可能である。また、皮膜形成剤としては、アルコキシシラン、金属アルコキシドや金属塩の加水分解物や、ポリシロキサンをフッ素変性したものなどを用いることができる。低屈折率層の好ましい態様によれば、「空隙を有する微粒子」を利用することが好ましい。
低屈折率層は、上記で述べた材料を例えば溶剤に希釈し、スピンコーティング、ロールコーティングや印刷等によるウェットコーティング法や、真空蒸着、スパッタリング、プラズマCVD、イオンプレーティング等による気相法で、高屈折率層上に設けて乾燥後、熱や放射線(紫外線の場合は公知の光重合開始剤を使用する)等により硬化させることによって得ることができる。
高屈折率層の形成は、屈折率を高くするために高屈折率のバインダ樹脂を使用するか、高い屈折率を有する超微粒子をバインダ樹脂に添加することによって行なうか、あるいはこれらを併用することによって行なう。高屈折率層の屈折率は1.55〜2.70の範囲にあることが好ましい。
高屈折率層に用いる樹脂については、透明なものであれば任意の樹脂が使用可能であり、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、放射線(紫外線を含む)硬化型樹脂などを用いることができる。熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を用いることができ、これらの樹脂に、必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えることができる。
高い屈折率を有する超微粒子としては、例えば、紫外線遮蔽の効果をも得ることができる、ZnO(屈折率n=1.9)、TiO(屈折率n=2.3〜2.7)、CeO(屈折率n=1.95)の微粒子、また、帯電防止効果が付与されて埃の付着を防止することもできる、アンチモンがドープされたSnO(屈折率n=1.95)又はITO(屈折率n=1.95)の微粒子が挙げられる。その他の微粒子としては、Al(屈折率n=1.63)、La(屈折率n=1.95)、ZrO(屈折率n=2.05)、Y(屈折率n=1.87)等を挙げることができる。これらの微粒子は単独又は混合して使用され、有機溶剤又は水に分散したコロイド状になったものが分散性の点において良好であり、その粒径としては、1〜100nm、塗膜の透明性から好ましくは、5〜20nmであることが望ましい。
高屈折率層を設けるには、上記で述べた材料を例えば溶剤に希釈し、スピンコーティング、ロールコーティング、印刷等の方法で基体上に設けて乾燥後、熱や放射線(紫外線の場合は公知の光重合開始剤を使用する)等により硬化させればよい。反射防止層の厚みは特に限定されるものではないが、通常、低屈折率層の厚みと屈折率との積が、反射防止すべき可視光線帯域の波長(380nm〜780nm)の1/4程度(95〜195nm)である。
(3.耐擦傷機能層)
耐擦傷機能(ハードコート)層は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましく、このような硬度と上記透明基材と同様な透明性を実現できるものであれば、材料は特に限定されない。
耐擦傷機能(ハードコート)層は、通常樹脂硬化層として形成される。用いる硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートプレポリマー、或いは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを単独で或いはこれらの中から2種以上選択して組み合わせて配合した電離放射線硬化性樹脂を用いた塗膜として形成することができる。なおここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する複合的表記である。耐擦傷機能(ハードコート)は上記材料を必要に応じて溶剤で希釈して上記透明基材上に塗工等の湿式成膜法により形成することができる。
耐擦傷機能層の厚みは特に限定されるものではないが、1.0μm以上20μm以下が好ましく、より好ましくは3.0μm以上5μm以下である。
(4.紫外線吸収層)
本発明において、紫外線吸収層は、上記本発明の近赤外線吸収層(粘着剤層)に含有される光吸収剤の劣化を防止するために、粘着剤層自体に紫外線吸収剤を添加して紫外線吸収層と粘着剤層を兼用しても良いし、或いは上記粘着剤層とは独立した層(基材を含む)として粘着剤層よりも観察者側に配置される層としても良い。上述のように電磁波遮蔽シートの透明基材に紫外線吸収機能を付与する態様の他、該表面保護層として設ける。上記他の機能を有する表面保護層に紫外線吸収剤を含有させた、他の機能と紫外線吸収機能を兼ねる層であっても良いし、或いは独立した紫外線吸収層であっても良い。上記機能層に用いる紫外線吸収剤としては、上記本発明に係る近赤外線吸収性組成物において記載したものと同様の紫外線吸収剤を用いることができる。独立した層とする場合に用いられるバインダ樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が用いられる。
また、市販の紫外線カットフィルタ、例えば、富士写真フィルム社製の「シャープカットフィルターSC−38」(商品名)、「同SC−39」、「同SC−40」、三菱レーヨン社製の「アクリプレン」(商品名)等を用いることもできる。
紫外線吸収層の厚みは特に限定されるものではないが、1.0μm以上30μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上20μm以下である。
(5.その他の層)
その他の層としては、例えば、ネオン光吸収層、色補正層等が挙げられる。しかしながら、ネオン光吸収層、色補正層は、生産効率の点から、単独の層として形成されるよりも、前述した近赤外線吸収層(粘着剤層)や他の層にネオン光吸収剤や色補正色素を含有させて、ネオン光吸収層、色補正層を兼用する層とする方が好ましい。単独の層として形成される場合であっても、ネオン光吸収剤及び色補正色素としては、上記本発明に係る近赤外線吸収性組成物において記載したものと同様のネオン光吸収剤及び色補正色素を用いることができる。
(6.その他の機能)
また、上記の表面保護層は、耐汚染性向上の点で、シリコーン系化合物、フッ素系化合物などを添加するのもよく、その他、帯電防止剤、抗菌剤などを添加するのもよい。
また、表面保護層は、防汚染層として、近赤外線吸収フィルタを使用する際に、その表面に不用意な接触や環境からの汚染が原因でごみや汚染物質が付着するのを防止し、あるいは付着しても除去しやすくするために形成される層であっても良い。例えば、フッ素系コート樹脂、シリコン系コート剤、シリコン・フッ素系コート剤等が使用され、中でもシリコン・フッ素系コート剤が好ましく適用される。これらの防汚染層としての厚さは好ましくは100nm以下で、より好ましくは10nm以下であり、更に好ましくは5nm以下である。これらの防汚染層の厚さが100nmを超えると防汚染性の初期値は優れているが、耐久性において劣るものとなる。防汚染性とその耐久性のバランスから5nm以下が最も好ましい。
また、本発明に用いられる表面保護層は、1層で複数の機能を兼ねる層として形成されることが好ましい。
例えば耐擦傷機能に加えて、更に外来光の鏡面反射防止機能を有していても良い。具体的には、耐擦傷機能層を防眩層或いは反射防止層とする形態である。例えば、防眩層とする場合は、表面保護層において最上層にある耐擦傷機能層中に上記のような光拡散性粒子を添加した形態、耐擦傷機能層の表面が粗面賦形された形態を挙げることができる。
なお、表面を賦形で粗面とするには、耐擦傷機能層を形成する為の樹脂組成物を、透明基材面又は電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に適用した後或いは適用時に、樹脂を硬化させる場合は完全硬化前で賦形可能な流動性を有するうちに、賦形シートや賦形版で表面を賦形すれば良い。
また、反射防止層とする場合は、表面保護層において最上層にある耐擦傷機能層を前記の反射防止層のところで述べたような手法により、その直下の層よりも低屈折率化すれば良い。
(7.表面保護層の形成)
表面保護層の形成は、下記粘着剤層の形成と同様に行うことができる。例えば電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層上に表面保護層が形成される場合には、後述する条件で間欠塗工又は間欠貼合が行われることが好ましい。
<近赤外線吸収フィルタの製造方法>
近赤外線吸収フィルタの製造方法としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、透明基材フィルムとして連続帯状のものを用意し、これを連続帯状で連続的又は間欠的に走行させて、連続的又は間欠的に必要な層を形成していくのが好ましい。つまり、いわゆるロールツーロール加工で製造するのが、生産性などの点で好ましい。その場合、最後の層積層までを一台の機械で全て連続的に行うのがより好ましい。
また、各層を形成する順序も特に制限はなく仕様により適宜順に行えばよい。例えば、図1の近赤外線吸収フィルタの構成を例に挙げて説明する。
透明基材を先ず用意し、この透明基材に対して、
(A):1.表面保護層の形成、2.透明基材の該表面保護層と反対側の面への導電層の形成とその後の該導電層のエッチングによる導電性メッシュ層の形成、3.透明基材の該導電性メッシュ層側の面への近赤外線吸収層(粘着剤層)の形成。
(B):1.導電層の形成とその後の該導電層のエッチングによる導電性メッシュ層の形成、2.透明基材の該導電性メッシュ層と反対側の面への表面保護層の形成、3.透明基材の該導電性メッシュ層側の面への近赤外線吸収層(粘着剤層)の形成。
(C):1.導電層の形成、2.透明基材の該導電層と反対側の面への表面保護層の形成、3.該導電層のエッチングによる導電性メッシュ層の形成、4.透明基材の該導電性メッシュ層側の面への近赤外線吸収層(粘着剤層)の形成。
などである。
上記粘着剤層は、例えば、前述したような特定の複合タングステン酸化物微粒子と樹脂とを少なくとも含有する粘着剤層用塗工液を、上記第一の実施形態(図1参照)においては導電性メッシュ層上、上記第二の実施形態(図2参照)においては透明性導電層上に塗工する等の湿式製膜法により形成することができる。
粘着剤層は、離型処理されたPETフィルムなどの離型シート上に上記粘着剤層用塗工液を塗工、乾燥して形成しても良い。この場合、電磁波遮蔽シートに貼り合わせられるまで、該離型シート上に形成された粘着剤層を同様の離型シートを用いて上から保護しておくことが好ましい。
或いは、粘着剤層は、前記特定の複合タングステン酸化物微粒子を均一に分散させた樹脂組成物を押し出し成型することにより、形成されても良い。この場合も粘着剤層の両面を離型シートにより保護しておくことが好ましい。
特に、前記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層上に、該導電性メッシュ層の凹凸を平坦化し、且つ該導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるように、粘着剤層を設ける場合には、粘着剤層を間欠塗工又は間欠貼合する。導電性メッシュ層の周縁部の一部を露出させるために、粘着剤層は全面形成するのではなく、パターン状に形成する。
図1の例示における該近赤外線吸収層(粘着剤層)20は、導電性メッシュ層の凹凸内に空気が入らないように、凹凸部分を完全に埋めつつ、粘着剤層表面が平坦化するように塗工又は貼合されることが、近赤外線吸収フィルタの透明性を向上する点から好ましい。また、露出させる導電性メッシュ層の周縁部の一部としては、前述のように接地用領域として用いられる部分とすれば充分である。中でも該粘着剤層は、前記導電性メッシュ層の周縁部4辺全てを露出させるように設けられることが好ましい。
(間欠塗工)
導電性メッシュ層上に導電性メッシュ層の凹凸内に空気が入らないように、凹凸部分を完全に埋めつつ、粘着剤層表面が平坦化するように塗工するためには、粘着剤層形成用塗工液は、前記導電性メッシュ層上に積層時に流動性を有することが好ましい。このような場合は、電磁波遮蔽シートと粘着剤層の積層時にメッシュの開口部内の隅々にまで粘着剤層が行き渡るため、開口部内に気泡が残留することを防止できる。従って、メッシュ面への平坦化工程を省略しながら、気泡の光散乱による近赤外線吸収フィルタの曇価(ヘイズ)が上昇するという不都合を回避でき、透明性の高い近赤外線吸収フィルタを生産効率良く得ることができる。従って本発明における粘着剤層が有する流動性は、粘着剤層が流入してメッシュ状領域開口部内の空気と置換し、該開口部を充填し得る程度の流動性とする。本発明における粘着剤層が有する流動性とは、外力に対して復元力を持たないか、或いは持っても僅かで、事実上無制限に変形、変位する性質をいう。例えば水の様なNewton粘性、ダイラタンシー又はティキソトロピックの様な非Newton粘性、或いはクリープ変形性を包括していう。目安として、該粘着剤がメッシュ面に塗工される時に、1000cps以下、好ましくは5000cps以下程度の粘度を有するようにして用いることが好ましい(C型粘度計での測定値。接着時の温度における値)。但し、電磁波遮蔽シートのメッシュ開口部に積層した以降は、必要に応じて、該粘着剤層の流動性を低下させる方が好ましい。即ち、導電性メッシュ層との接着時においては、メッシュ開口部を確実に充填する都合上、粘着剤層の流動性は高い程好ましい。しかしながら、積層後は粘着剤層の流動性は不要であり、寧ろ粘着剤の流動性は積層界面から接着剤が流出したり、光吸収剤や色素の変褪色を促進する場合が有り、好ましくないからである。
粘着剤層形成用塗工液が流動性を有するようにするには、粘着剤層を構成する材料を溶剤で希釈しても良いし、溶剤を含有することなくそれ自体室温で流動性を有する天然ゴムや合成樹脂、或いは反応モノマー中にその重合体が溶解しているようなシロップ型の粘着剤からなる粘着剤材料を用いても良い。また、適宜温度をかけることにより溶融して流動性を有するホットメルト型の粘着剤を用いても良い。更に、室温で液状の重合反応性モノマーを含有する粘着剤層であって、積層後に光及び/又は熱により硬化させる形態をとる粘着剤層であっても良い。尚、粘着及び積層後に必要に応じて、粘着剤層の流動性を低下させる方法としては、例えば、希釈溶剤を乾燥させたり、予め粘着剤層中に架橋剤を添加し、加熱、紫外線照射等により、粘着剤を架橋乃至は重合せしめる方法等が挙げられる。
間欠塗工を行う方法としては、ロールコータ、ダイコータ、ブレードコータ、スクリーン印刷等が挙げられる。特に本発明において、粘着剤層形成用塗工液を上記流動性を有するように調製して用いる場合には、溶剤希釈が好ましく用いられる。
間欠塗工を行う場合には、生産速度を上げやすく、生産性をより向上し易いというメリットがある。
(間欠貼合)
まず、上述のように粘着剤層を離型シート上に形成し、連続帯状の粘着剤層を得る。この場合の連続帯状の粘着剤層の幅は、貼り合わせる電磁波遮蔽シートの幅よりも小さく且つ導電性メッシュ層の幅よりも若干大きい幅に適宜調節することが好ましい。このようにすると、連続帯状の粘着剤層と連続帯状の電磁波遮蔽シートを貼り合わせた場合に、電磁波遮蔽シートにおける導電性メッシュ層の周縁のうち連続帯状の幅方向が露出して接地用領域となり得る。
メッシュ層の周縁のうち連続帯状の幅方向のみだけでなく、メッシュ層の周縁4辺を接地用領域とする場合には、連続帯状の流れ方向も露出させるために、間欠貼合を行う。
間欠貼合は、前記連続帯状の電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層面上に、電磁波遮蔽シートの幅よりも適宜狭い幅を有する連続帯状の粘着剤層を導電性メッシュ層の周縁4辺が露出するような大きさに切断しつつ、導電性メッシュ層上に位置合わせを行いながら、間欠的に貼り合わせを行う。
ラミネーターは、ロール式、平板式等、粘着剤層及び電磁波遮蔽シートに対して加圧することができるものであればかまわないが、ロールツーロール方式に対応すること及び気泡の混入を防ぐことが容易である点や、連続生産が可能な点からロール式ラミネーターを用いることが好ましい。
積層時の加圧は特に限定されないが、例えばロール式ラミネーターを用いる場合、線圧で1〜20kgf/cmが好ましい。積層時の加圧部分の温度も特に限定されないが、設備負担の点からは低温であるほうが好ましく、20℃〜80℃であるほうが好ましい。但し、必要に応じて80℃以上に加熱しても良い。
また、間欠貼合を行った場合、導電性メッシュ層の凹凸内に空気が入らないように、粘着剤層が凹凸部分を完全に埋めつつ、粘着剤層表面が平坦化するように、加熱加圧処理を行うことが好ましい。加熱加圧処理の条件としては、例えば、0.2〜1.0MPaの加圧下で、50〜100℃で、10〜90分間処理を行うことが挙げられる。
間欠貼合を行う場合には、間欠塗工に比べて装置が簡潔で、歩留まりが高いというメリットがある。また、粘着剤層とその保護フィルム層の大きさが同じになるので、該保護フィルムの剥がれや歪みが生じ難いというメリットがある。
形成された粘着剤層は貼着機能を有するため、ディスプレイに貼着するまでの間は、不用意な接着の防止のため、シリコーン処理した易剥離性のPETフィルム等の一時的な保護膜を積層しておくことが好ましい。
ロールツーロール加工で近赤外線吸収フィルタを製造する場合、例えば導電性メッシュ層の接地用領域を露出させる目的で、粘着剤層を部分的に形成するには、連続帯状の積層体(透明基材フィルムに導電性メッシュ層を積層済みの積層フィルム)に対して、その幅方向(走行方向に対して直角方向)の両端又は片端のみを露出させ、長手方向(走行方向)は連続層として粘着剤層を形成する様な部分的形成の形態(形態A)であれば、粘着剤層の形成は、例えば塗布幅をその分狭くし長手方向には連続して塗布すれば良い(図4参照、尚、粘着剤層の下に存在する導電性メッシュ層の空孔90を点線で表わす)。
また、粘着剤層を部分的に形成する際に、連続帯状の積層体に対してその幅方向の全幅に亘るように部分的に露出させる様な形態(形態B:わかりやすく言えば、形態Aとは縦横関係が90度異なるような形態)では、長手方向では該部分が幅方向に露出するように粘着剤層が形成されていない様に間欠塗工すれば良い。つまり、全面形成するのではなく、パターン状に形成する。間欠塗工ではいわゆる塗工法の他、転写を含めた印刷法でも良く、これらは公知の方法から適宜採用することができる(図5参照)。
また、最も一般的な形態でもあるが、導電性メッシュ層が中央部のメッシュ領域とその四辺周囲の額縁状の接地用領域とを有し、この接地用領域の露出を額縁状にする様な場合には(形態C)、上記形態Aで狭幅にしてなお且つ間欠塗工すればよい(図6参照)。
なお、粘着剤層を部分的に形成する場合、接地用領域の一部、通常はメッシュ領域側となる内側の一部にも形成する。その理由は、多少の形成位置ズレがあっても機械的に弱いメッシュ領域を確実に保護できるようにするためである(図7参照)。
そして、このようにして連続帯状で製造した、適用するディスプレイ1単位に対応した1単位の近赤外線吸収フィルタが長手方向に複数連なったものを、該近赤外線吸収フィルタ1単位毎に裁断して枚葉化する(図8参照)。
<近赤外線吸収フィルタの特性>
(1)ヘイズ
本発明に係る近赤外線吸収フィルタは、膜厚25μmの近赤外線吸収層の塗膜を形成し、JIS K7136に準拠したヘイズ値を測定したときに、ヘイズ値が5以下であることが好ましい。該ヘイズ値はより好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。
(2)透明性
また、本発明に係る近赤外線吸収フィルタは、可視光領域、即ち、380〜780nmの波長域で、充分な光線透過率、すなわち視感透過率20%以上、更に30%以上を有することが望ましい。
(3)近赤外線吸収性
本発明に係る近赤外線吸収フィルタは、近赤外線領域、即ち、800nm〜1,100nmの波長域の近赤外線の透過率が20%以下、更に15%以下であることが好ましい。
(4)ネオン光吸収性
また、本発明に係る近赤外線吸収フィルタは、代表的な用途であるプラズマディスプレイパネルの前面に適用される場合には、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻るときに発光するネオン光、即ち、570〜610nmの波長域における光線透過率が50%以下、更に40%以下であることが好ましい。
なお、本発明における光線透過率は、JIS−Z8701に準拠して分光光度計(例えば、品番:UV−3100PC、会社名:株式会社島津製作所)にて測定することができる。
(5)耐久性
本発明の近赤外線吸収フィルタは、優れた光学フィルタ機能の耐久性を有し、高温高湿下での長時間の使用によっても光吸収剤の劣化に帰属される分光特性の変化が起こり難い。具体的には、高温雰囲気下(例えば、温度80℃、湿度10%以下)、或いは、高温高湿雰囲気下(例えば、温度60℃、湿度90%RH)に1000時間放置した前後の色度(x、y)の値の差Δx及びΔyが、いずれも、0.03以下、更に好ましくは0.02以下であることが望ましい。
本発明は、上記形態に限定されるものではない。上記形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(実施例1)
酸価6.8のアクリル樹脂系粘着剤(商品名:SK2094、綜研化学(株)製)に、セシウムタングステン酸化物(Cs0.33WO)含有量18.5重量%のメチルイソブチルケトン(MIBK)分散液(商品名:YMF‐02、平均分散粒径50nm、住友金属鉱山(株)製)を10重量%添加し、さらにMIBKを40重量%添加し撹拌、混合する。これに硬化剤(商品名:E‐5XM、綜研化学(株)製)を添加して近赤外線吸収性組成物を得た。該組成物を、100μm透明無色の2軸延伸PETフィルムA4300(商品名:東洋紡績(株)製)に塗工を行い、乾燥し、溶媒を除去し、近赤外線吸収フィルタを得た。
(実施例2)
上記実施例1の粘着剤を酸価6.5のアクリル樹脂系粘着剤(商品名:SK1850G、綜研化学(株)製)に、変更した以外は実施例1と同様に近赤外線吸収フィルタを作製した。
(実施例3)
上記実施例1の粘着剤を酸価4.5のアクリル樹脂系粘着剤(商品名:SK1888、綜研化学(株)製)に、変更した以外は実施例1と同様に近赤外線吸収フィルタを作製した。
(実施例4)
上記実施例1の粘着剤を酸価11.77のアクリル樹脂系粘着剤(商品名:SK2096、綜研化学(株)製)に、変更した以外は実施例1と同様に近赤外線吸収フィルタを作製した。
(実施例5)
上記実施例1の粘着剤を酸価1.0のアクリル系樹脂(商品名:BR−88、三菱レイヨン(株)製)に、変更した以外は実施例1と同様に近赤外線吸収フィルタを作製した。
(実施例6)
上記実施例1の粘着剤を酸価18.5のアクリル系樹脂(商品名:BR−77、三菱レイヨン(株)製)に、変更した以外は実施例1と同様に近赤外線吸収フィルタを作製した。
(実施例7)
上記実施例1の近赤外線吸収性組成物中に、更に、平均粒子径15nmの酸化ジルコニウム微粒子を37質量%添加して成る実施例7の近赤外線吸収性組成物を得た。該近赤外線吸収性組成物を用い、其の他は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルタを得た。
(実施例8)
上記実施例1の近赤外線吸収性組成物中に、更に、平均粒子径50nmの酸化ジルコニウム微粒子を37質量%添加し成る実施例8の近赤外線吸収性組成物を得た。該近赤外線吸収性組成物を用い、其の他は実施例1と同様にして近赤外線吸収フィルタを得た。
(比較例1)
上記実施例1の粘着剤を酸価0のアクリル樹脂系粘着剤(商品名:SK1435、綜研化学(株)製)に、変更した以外は実施例1と同様に近赤外線吸収フィルタを作製した。
(比較例2)
上記実施例1の粘着剤を酸価0のアクリル樹脂系粘着剤(商品名:SK2137、綜研化学(株)製)に、変更した以外は実施例1と同様に近赤外線吸収フィルタを作製した。
(比較例3)
上記実施例1の粘着剤を酸価0.1のアクリル系樹脂(商品名:MB2952、三菱レイヨン(株)製)に、変更した以外は実施例1と同様に近赤外線吸収フィルタを作製した。
(比較例4)
上記実施例1の粘着剤を酸価228のアクリル系樹脂(商品名:BR605、三菱レイヨン(株)製)に、変更した以外は実施例1と同様に近赤外線吸収フィルタを作製した。
<評価>
上記、各実施例、及び比較例に対して、以下の点を評価した。その結果を表1に記載する。
(1)ヘイズ
各実施例及び比較例で製造した近赤外線吸収フィルタのヘイズ値をJIS K7136に準拠した方法で測定した。
(2)耐久性
まず、耐久性試験前の各近赤外線吸収フィルタの色度(x、y)を測定した。尚、色度は、分光光度計(島津製作所社製、品番:「UV−3100PC」)を用いて測定した。
〔高温耐久性試験〕
各近赤外線吸収フィルタを高温(気温80℃、相対湿度10%以下)雰囲気下に1000時間放置した後、上記と同様に色度(x、y)を測定した。
上記高温雰囲気下に放置する前後の色度(x、y)の測定値から、色度(x、y)の値の差Δx及びΔyを求めた。
〔高温高湿耐久性試験〕
各近赤外線吸収フィルタを高温高湿(気温60℃、相対湿度90%RH)雰囲気下に1000時間放置した後、上記と同様に色度(x、y)を測定した。
上記高温高湿雰囲気下に放置する前後の色度(x、y)の測定値から、色度(x、y)の値の差Δx及びΔyを求めた。
尚、評価基準は以下の通りとした。
・0.03以下:○
・0.03超過:×
〔セシウムタングステン酸化物微粒子及び酸化ジルコニウム微粒子の平均粒子径の測定〕
近赤外線吸収性組成物(粘着剤層)を樹脂(2液硬化型エポキシ樹脂系)に包埋し、クライオシステムによるダイヤモンドナイフ(DIATOME社製「DIATOME ULTRA CRYO DRY」)が装着されたウルトラミクロトーム(切片作製装置、ライカ(株)製「EM−FCS」)を用いて、トリミングし、面出しをした。次いで、金属酸化物による上記染色を施し、超薄切片作製後、透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製「H−7100FA型」、加速電圧100kV)を用いて観察を実施した。倍率12万倍で電子顕微鏡写真を撮影後、セシウムタングステン酸化物微粒子及び酸化ジルコニウム微粒子をそれぞれ50個無作為に選び、粒子の形状が球形でない場合には、長径を測定して平均粒子径を算出した。
〔青味の評価〕
各実施例及び比較例で製造したフィルム形態の近赤外線吸収フィルタを、黒色アクリル樹脂板の上に、透明粘着剤(日東電工(株)製CS−9621)を用いて貼り合せた後、(株)協真エンジニアリング製オートクレーブ機にて、70℃、0.5MPaの条件で30分保持した。その後、人口太陽燈で光を照射した。アクリル樹脂板上での明るさは、2500ルクスとした。人口太陽燈、人間、アクリル樹脂板の位置関係としては、アクリル板を水平に置き、斜め上方30度の角度(角度はアクリル樹脂板の法線から測る。以下同様。)から観察し、光は斜め上方45度の方向から照射した。評価は人が目視にて行った。
Figure 0005365197

Claims (10)

  1. カルボキシル基を有し、且つ、酸価が0.6以上30以下である樹脂に、近赤外線吸収剤として、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子を分散させていることを特徴とする、近赤外線吸収性組成物。
  2. 前記樹脂は、アクリル系樹脂であることを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の近赤外線吸収性組成物。
  3. 前記樹脂は、粘着剤であることを特徴とする、請求の範囲第1項又は第2項に記載の近赤外線吸収性組成物。
  4. 前記酸価が1以上19以下であることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
  5. 前記複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒径が800nm以下であることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
  6. 前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶、立方晶のいずれか1種類以上の結晶構造を含むことを特徴とする、請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
  7. 前記複合タングステン酸化物微粒子を表す一般式MxWyOzにおいて、M元素がCs(セシウム)であり、該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有することを特徴とする、請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
  8. 前記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alから選択される1種類以上の元素を含有する酸化物で被覆されていることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
  9. 平均粒子径が前記複合タングステン酸化物微粒子よりも小である酸化ジルコニウム微粒子を更に含有することを特徴とする、請求の範囲第1項〜第8項のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
  10. 前記請求の範囲第1項〜第9項のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物からなる近赤外線吸収層を有することを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
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