本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、長期使用および高温高湿環境下での使用においてもカブリや濃度薄、画像ムラ、フィルミングおよびトナーや無機微粉体の潜像担持体および現像剤担持体表面への融着や層厚規制部材への融着等、部材汚染、クリーニング不良といった問題の発生がなく、転写効率および低温定着性、耐オフセット性に優れた画像を得るという課題を達成するためには、
結着樹脂、着色剤、ワックス、及び結晶性ポリエステル樹脂を少なくとも含有するトナー粒子と無機微粉体を有するトナーであって、該トナー粒子が水系媒体中で少なくとも重合性単量体及び結晶性ポリエステル樹脂の存在下で過酸化物系重合開始剤を用いて重合することで製造され、該過酸化物系重合開始剤が下記式(1)に示す構造を有することが重要であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
(R1、R3、R4、R6はH、非置換あるいは置換のアルキル基、非置換あるいは置換の芳香族よりなる群より選択される。R2、R5は非置換あるいは置換のアルキル基、非置換あるいは置換の芳香族よりなる群より選択される。)
以下に詳細について説明する。
即ち、本発明のトナー、結着樹脂、着色剤、ワックス、及び結晶性ポリエステル樹脂を少なくとも含有するトナー粒子と無機微粉体を有するトナーであって、該トナー粒子が水系媒体中で少なくとも重合性単量体及び結晶性ポリエステル樹脂の存在下で過酸化物系重合開始剤を用いて重合することで製造され、該過酸化物系重合開始剤が下記式(1)に示す構造を有することにより以下の効果が得られる。
(R1、R3、R4、R6はH、非置換あるいは置換のアルキル基、非置換あるいは置換の芳香族よりなる群より選択される。R2、R5は非置換あるいは置換のアルキル基、非置換あるいは置換の芳香族よりなる群より選択される。)
通常、水系媒体中でトナー粒子を製造する場合、粉砕法により製造する場合と比較してワックスなどの内包化が容易であり、且つ円形度が高いトナーが得られるため、画像形成の際、定着性と現像性の両立が容易である。一方、結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子をこの方法で製造するとトナー中における結晶性ポリエステルの分布状態を制御できる。また、結晶性ポリエステルのシャープメルト性および溶融粘度の低さから定着時には迅速に離型層を形成することで優れた低温定着性と耐オフセット性を発揮する。
しかしながら、上記の2つの利点を活かす為、水系媒体中で結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を製造しようとした場合、結晶性ポリエステルが非晶性ポリエステルと比較しても格段に溶解性が低いことから、トナー中の結晶性ポリエステルの分散状態を制御するのが困難となる。
水系媒体中で結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子の製造方法の1つとして、結晶性ポリエステルが溶解する有機溶剤に結晶性ポリエステルを着色剤など他の原材料と溶解させ、水系媒体中に分散させ、脱溶剤工程を経て製造する方法がある。この方法では、脱溶剤工程初期において結晶性ポリエステルが他の原材料に先んじて析出してしまうため、トナー中での結晶性ポリエステルの分散径が大きくなりやすく、トナー粒子中における結晶性ポリエステルの分布状態が偏ってしまう。そのため、均質なトナー粒子が得られず、トナー粒子の表面形態も平滑ではなくなるため、帯電分布がブロードになったり、ワックスの偏在によりトナー規制部材やトナー担持体が汚染されたりという問題が生じやすい。
これは懸濁重合でトナー粒子を得る場合も同様である。すなわち、重合反応が進むにつれ、重合性単量体が消費される。その過程で、重合性単量体中に溶解していた結晶性ポリエステルが、その溶解性の低さから、他の原材料に先んじて析出してしまうため、同様に不均質なトナー粒子になるため望ましくない。
水系媒体中で結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子の別の製造方法として、結晶性ポリエステルの分散液とスチレンアクリル系樹脂粒子や着色剤、離型剤などの分散液を混合し、凝集、合一させてトナー粒子を得る方法がある。この方法では、結晶性ポリエステルの分散液における結晶性ポリエステルの分散径の分布がブロードになりやすく、また、分散径自体が大きくなりやすいため、トナー粒子中において結晶性ポリエステルが偏在しやすい。特に着色剤が顔料である場合は、結晶性ポリエステルと顔料がなじみにくいため、トナー中における顔料の偏在が起こりやすく、トナーの着色力や帯電性といった点で望ましくない。
これに対して、本発明のトナーのように、水系媒体中で少なくとも重合性単量体及び結晶性ポリエステル樹脂の存在下で特定のパーオキシエステル型過酸化物系重合開始剤を用いて重合することでトナーを製造すると、結晶性ポリエステルに対して開始剤から発生するラジカルが結晶性ポリエステルに対して適度な水素引き抜き反応を起こす。これにより該結晶性ポリエステル分子中に発生したラジカルと、共存する重合性単量体によりグラフト重合した結晶性ポリエステルが生成する。このグラフト重合した結晶性ポリエステルは元の結晶性ポリエステルと比較して溶解性が良いため、前述のようにトナー製造工程初期から析出するような事態を回避できる。そのため、均質かつ表面の平滑なトナーを得ることができる。特に懸濁重合においてトナーを製造する場合は、重合の進行に伴い重合性単量体が消費される。しかしながら、それに伴い、結晶性ポリエステルのグラフト共重合も進行し結晶性ポリエステルの溶解性が向上するため、反応中期以降においても該結晶性ポリエステルは重合反応初期とほぼ同等の溶解状態が維持できる。そのため、着色剤の分散状態が急変することがないため、着色剤が偏析するのを抑制できる。それに対して、結晶性ポリエステルのグラフト共重合がほとんど発生しない場合は重合初期に結晶性ポリエステルが析出するため、一部の結晶性ポリエステルがトナー表面に露出したりして、トナーの表面構造を乱す。結果としてワックスもトナー表面に露出するなど、トナーのコアシェル構造が崩れるため、トナー規制部材やトナー担持体が汚染されるという問題が生じ、望ましくない。更には帯電分布がブロードになるためカブリや転写効率の点でも望ましくない。
逆に、結晶性ポリエステルのグラフト共重合が発生しすぎると、結晶性ポリエステルの結晶性が低下するためシャープメルト性が低下し、定着性に関しての効果が低下する。また、該結晶性ポリエステルは溶解性が高いためにワックス中に埋没したり、結晶性ポリエステルがワックスを強固にトラップし、定着時にワックスが迅速に離型層を形成できないため望ましくない。
更には、現像性についても、結晶性の低下により耐熱性が低下するため、トナー層規制部材やトナー担持体への融着およびカブリといった点で望ましくない。
それに対して、本発明のトナーは、結晶性ポリエステルのグラフト共重合の発生が適度であるため、反応の進行に伴う溶解性の向上により、着色剤やワックスなどの偏在を引き起こすことなく、トナー粒子が生成される。その際、トナー粒子中での結晶性ポリエステルとワックスの析出のタイミングが極端にずれることがないため、適度に結晶性ポリエス
テルがワックスをトラップする。このときワックスは適度な分散径でもって微分散する。これにより定着時に結晶性ポリエステルがシャープメルトするのに伴い、ワックスに対して熱の伝導が迅速に行われる為、ワックスがすばやく離型層を形成する。そのため低温定着性や耐オフセット性の点で望ましい。加えて、結晶性ポリエステルが適度にワックスをトラップしているため、画像形成に際し発生する熱によりトナー中からワックスがしみ出すのを抑制することができる。結果として、トナー規制部材やトナー担持体への汚染が抑制されるため望ましい。
また、本発明のトナーは、使用される特定の重合開始剤がラジカルを発生する際、二酸化炭素が発生する。その時、発生した二酸化炭素が水に溶解し、水系媒体のpHが若干下がる。これにより、結晶性ポリエステルが持つカルボキシル基がイオン化しにくくなる。そのため、該結晶性ポリエステルは重合性単量体やワックスといった疎水性の物質となじみやすい。結果として、着色剤やワックスなどの偏在を引き起こすことなく、且つ結晶性ポリエステルが適度にワックスをトラップするので、現像性と定着性の両立といった点で望ましい。但し、重合開始剤がジアシルパーオキサイドやパーオキシジカルボネートのようなものであると二酸化炭素の発生量が多く、水系媒体中に溶解される量より過剰な量の二酸化炭素が発生するため、発泡が激しくなる。これらの重合開始剤は主に重合性単量体などからなる油滴中においてラジカルを発生、重合反応を行う。そのため、当然、二酸化炭素による発泡も油滴中で発生する。発泡が激しいと油滴中の各材料の分散が発泡により乱されるため望ましくない。また、トナーの形状も平滑ではなくなり、帯電性などの面で望ましくない。更には二酸化炭素の発生量および発生速度が大きいことで、水系媒体中への溶解によるpHの低下も急激となり、その変化に各原料の分散状態が対応できず、偏析などを引き起こすため望ましくない。従って本発明に用いられる構造を有する重合開始剤が望ましい。
更には、結晶性ポリエステルへの水素引き抜き反応の点で考えると、以下のことがいえる。ジアシルパーオキサイドやパーオキシジカルボネートのようなものであると、重合開始剤が開裂して、まずアルカノイルオキシラジカルが大量に発生し、脱炭酸してアルキルラジカルになる前に、水素引き抜き反応を起こす確率が非常に高くなる。そのため、グラフト重合が盛んに行われ、結晶性ポリエステルの結晶化度が下がりすぎることになるため望ましくない。更にその結果、未反応の重合性単量体が大量に残留することになるため、部材汚染やカブリ、トナーの帯電性などの点で望ましくない。それに対し、本発明で用いられる重合開始剤であれば、まず開裂して発生するラジカルはアルコキシラジカルとアルカノイルオキシラジカルであり、更に脱炭酸してアルキルラジカルが生成する。そのため、水素引き抜き反応が適度に行われ、且つ重合性単量体との重合反応も十分に進行する。そのため、未反応の重合性単量体が多量に残留することも無いため望ましい。
本発明に用いられる過酸化物系重合開始剤の活性酸素量は2.00〜9.00%であれば望ましく、4.00〜7.50%であるとより望ましく、4.00〜7.00%であると一層望ましい。これは、活性酸素量が2.00%未満であると重合性単量体の重合反応および結晶性ポリエステルへの水素引き抜き反応ともに進行しにくく、9.00%超であると逆に反応が進行しすぎで結晶性ポリエステルの結晶化度が大きく低下しやすいためである。
上記活性酸素量とは、過酸化物系重合開始剤の分子内の過酸化結合の、分子中における濃度を表し、以下の式で求めることが可能である。
(式)活性酸素量(%)=(過酸化結合の数×16)/分子量×純度(%)
本発明に用いられる過酸化物系重合開始剤の10時間半減期温度は35.0℃以上105.0℃以下であれば望ましいが、44.0℃以上78.0℃以下であればより望ましく、44.0℃以上70.0℃以下であれば一層望ましく、44.0℃以上66.0℃以下であればより一層望ましい。これは、10時間半減期温度が35.0℃未満であると安全性、保存性の面で望ましくないためである。また、105.0℃を超える場合は、水系媒
体中での使用においてはラジカルの生成が十分ではなく、重合性単量体の重合反応および結晶性ポリエステルへの水素引き抜き反応ともに進行しにくいため望ましくない。
本発明に用いられる過酸化物系重合開始剤は下記式(1)に示す構造を有すると本発明の効果を得られるが、下記式(2)に示す構造を有すると更に望ましい。
これは、ラジカルとしては第3級アルコキシラジカルや第3級アルキルラジカルの方が第1級や第2級のアルコキシラジカルやアルキルラジカルと比較して、重合性単量体の重合反応および結晶性ポリエステルへの水素引き抜き反応が効率的なためだからである。
更には該炭素数を超えた第3級アルコキシラジカルや第3級アルキルラジカルと比較してラジカルが不安定なため、反応性が高く、反応が効率的になるためだからである。
(R1、R3、R4、R6はH、非置換あるいは置換のアルキル基、非置換あるいは置換の芳香族よりなる群より選択される。R2、R5は非置換あるいは置換のアルキル基、非置換あるいは置換の芳香族よりなる群より選択される。)
上記式(1)に示すの構造を有する過酸化物系重合開始剤の例としては、t−ブチルパーオキシラウレート、α、α‘ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられる。
上記トナー粒子が水系媒体中で少なくとも重合性単量体及び結晶性ポリエステル樹脂の存在下で過酸化物系重合開始剤を用いて重合することで製造されたトナー(本発明のトナー)は「従来のトナー」に比して、以下の違いが生じる。
シャープメルト性、顔料分散など原料のトナー中における分散状態が良好であり、円形度が高く、ガラス転移温度やフローテスター100℃粘度が低くても耐久性や帯電性に優れる。
次に、本発明に用いられる上記結晶性ポリエステルは2価以上の多価カルボン酸とジオールの反応により得ることができる。その中でも、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とするポリエステルが、結晶化度が高く好ましい。結晶性ポリエステルは、1種類のみを用いても、複数種を併用しても良い。更に、結晶性ポリエステルの他に非晶質のポリエステルをトナーに含有させても良い。
本発明において結晶性ポリエステルとは、示差走査熱量測定(DSC)において昇温時
に吸熱ピークがあり、降温時に発熱ピークを有するポリエステルを指し、その測定は「ASTM D 3417−99」に準じて行う。
このような結晶性ポリエステルを得るためのアルコール単量体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタジエングリコールその他が挙げられる。
また、本発明においては上記の如きアルコール単量体が主成分として用いられるが、上記成分の他に、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の二価のアルコール、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の三価のアルコール等を用いても良い。
上記結晶性ポリエステルを得るためのカルボン酸単量体としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、n−ドデシルコハク酸、n−デドセニルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、これらの酸の無水物又は低級アルキルエステル等が挙げられる。
また、本発明においては上記の如きカルボン酸単量体を主成分として用いるが、上記の成分の他に三価以上の多価カルボン酸を用いても良い。
三価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。
特に好ましい結晶性ポリエステルとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールとアジピン酸とを反応して得られるポリエステル、テトラメチレングリコール及びエチレングリコールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステル、ヘキサメチレングリコールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、テトラメチレングリコールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル、ジエチレングリコールとデカンジカルボン酸とを反応して得られるポリエステルを挙げることができる。該結晶性ポリエステルは飽和ポリエステルであると一層望ましい。該結晶性ポリエステルが不飽和部分を有する場合と比較して、該過酸化物系重合開始剤との反応で架橋反応が起こらないため、該結晶性ポリエステルの溶解性の点で有利なためである。
本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分とジアルコ−ル成分をエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させ
ることによって得ることができる。
エステル化又はエステル交換反応の時には、必要に応じて硫酸、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム等の通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、通常の重合触媒、例えば、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の公知のものを使用することができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
該触媒としてはチタン触媒を用いると望ましく、キレート型チタン触媒であると更に望ましい。これはチタン触媒の反応性が適当であり、本発明において望ましい分子量分布のポリエステルが得られるためである。また、チタン触媒を用いて作製された結晶性ポリエステルの方が作成中にポリエステル内部に取り込まれたチタンもしくはチタン触媒がトナーの帯電性の点で優れるためである。キレート型チタン触媒であるとそれらの効果が大きく、且つ該触媒が反応中に加水分解されたものがポリエステル中に取り込まれることによって、該過酸化物系重合開始剤からの水素引き抜き反応を適切に制御するため望ましい。更に、トナーの耐久性も向上するためである。
結晶性ポリエステルの酸価と水酸価の関係を調整するためには、アルコール単量体の使用量によってこの関係を調整することができる。
すなわち、前記アルコール単量体と前記カルボン酸単量体との比率をモル比で1.01〜1.10:1と、アルコール単量体を多めに使用することで調整することが可能である。酸価自体の調整については、反応を経時で追跡し、酸価が適当な範囲内になった時点でポリエステル化を終了すればよい。
結晶性ポリエステルは、示差走査熱量測定(DSC)において、60℃以上110℃以下の範囲に吸熱のピークトップ(以下、単に吸熱のピークトップともいう)を有することが好ましい。結晶性ポリエステルの吸熱のピークトップが60℃より低い場合は、トナーのブロッキングが生じやすくなり、保存性が低下する可能性がある。一方、結晶性ポリエステルの吸熱のピークトップが110℃よりも高いと低温定着性が損なわれるため好ましくない。また、本発明において好適なトナーの製造方法である懸濁重合法によりトナーを得る場合においては、結晶性ポリエステルの重合性単量体への溶解性が悪化し易く、着色剤や結晶性ポリエステル等のトナー構成材料の分散性が悪化するため、カブリの増加を生じやすい。
結晶性ポリエステルの吸熱のピークトップが、60〜110℃であると、保存性、定着性が維持でき、かつ重合法によりトナー粒子を製造する場合に重合性単量体への溶解性が高くなり、好ましい。結晶性ポリエステルの吸熱のピークトップは、上述のように示差走査熱量測定(DSC)を用い、常法にて測定することができる。また結晶性ポリエステルの吸熱のピークトップは、使用するアルコール単量体やカルボン酸単量体の種類、重合度等によって調整することができる。
結晶性ポリエステルの数平均分子量(Mn)は2,000〜10,000であることが好ましく、2000〜9000であることがより好ましい。
結晶性ポリエステルの数平均分子量が2,000〜10,000である場合、得られるトナー粒子において、結晶性ポリエステルの分散性が向上され、耐久安定性が向上するため望ましい。
結晶性ポリエステルの数平均分子量が2,000未満の場合では、結晶性ポリエステルの密度が低くなり、耐久安定性は向上しないことがある。一方、結晶性ポリエステルの数
平均分子量が10,000を超える場合には、結晶性ポリエステルの溶融に時間がかかり、分散状態が不均一になるために、現像安定性の向上効果が低くなってしまうことがある。結晶性ポリエステルの数平均分子量は、使用するアルコール単量体やカルボン酸単量体の種類、重合時間や重合温度等によって調整することができる。
尚、結晶性ポリエステルの数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、常法に従い測定することができる。
結晶性ポリエステルの酸価(AV)は0.0〜20.0mgKOH/gであることが好ましく、0.1〜20.0mgKOH/gであるとより望ましく、1.0〜20.0mgKOH/gであると特に望ましい。酸価を下げることにより、画像形成時におけるトナーと紙との接着性は向上する。また重合法によりトナー粒子を製造する場合、結晶性ポリエステルの酸価(AV)が20.0mgKOH/g以下であると、トナー粒子同士の凝集が起こりにくくなる傾向にある。また、トナー中における該結晶性ポリエステルの分布状態に偏りが出にくくなるため、帯電安定性及び耐久安定性が向上するため望ましい。さらに、特に該結晶性ポリエステルの酸価が1.0mgKOH/g以上であるとトナー中における該結晶性ポリエステルの分布がコア部に集中せず、中間および表層近傍にもある一定割合以上分布するため低温定着性、耐オフセット性およびカブリ、転写性、トナー層規制部材やトナー担持体への融着といった点で望ましい。
結晶性ポリエステルの酸価の測定方法は、特に限定されるものではないが、例えばJIS K0070−1992に示される方法を挙げることができる。また上記の方法によって結晶化ポリエステルの水酸基価を測定することができる。
結晶性ポリエステルのキシレン不溶分は0.1〜5.0質量%であると望ましく、0.1〜2.0質量%であるとより望ましい。これは0.1質量%以上であると耐久性、耐熱性の点で望ましく、5.0質量%以下であると溶解性の点で望ましいからである。また、5.0質量%以下であると重合開始剤の反応、特に水素引き抜き反応を阻害しない点でも望ましい。結晶性ポリエステルのキシレン不溶分が0.1〜2.0質量%であると特に耐久性、耐熱性、溶解性のバランスが優れるので望ましい。
結晶性ポリエステル中のキシレン不溶分の割合の測定方法は以下の通りである。
サンプル作製としては、結晶性ポリエステル10.00gをキシレン1000.0gに分散し、72時間静置したものを遠心分離機により、遠心分離を行い、上澄み液を除去した後、減圧乾燥し、キシレン不溶分を得た。
結晶性ポリエステル中のキシレン不溶分の割合=(得られたキシレン不溶分の質量/10.00)×100(質量%)
として算出した。
尚、遠心分離の条件は以下の通りである。
<遠心分離条件>
遠心分離機:H−9R(株式会社コクサン製)
回転速度 :15000rpm
回転時間 :10分
温度 :15℃
本発明のトナーは、トナー中に(トナー100質量部に対して)結晶性ポリエステルを3.0〜30.0質量部含有することが好ましく、3.0〜25.0質量部含有することがより好ましく、1.0〜20.0質量部含有することが特に好ましい。結晶性ポリエステルの含有量が3.0質量部以上では上述した本発明の効果が大きいため望ましい。さらに、結晶性ポリエステルの含有量が3.0質量部以上では、定着性がより良好であり、こすり濃度の低下を抑制する点でもより望ましい。また、結晶性ポリエステルは吸湿し易い
ため、その含有量が結着樹脂に対して30.0質量部よりも多いとトナーの帯電の均一性が損なわれ易く、カブリの増加等を招くので好ましくない。特に20.0質量部以下であるとトナーの帯電性に関して望ましい。
また、結晶性ポリエステルの含有量が30.0質量部より大きくなる場合には、過剰な結晶性ポリエステルの存在による結着樹脂への相溶が起こりやすくなり、溶融粘度の低下が起こるためにオフセットが発生し易くなる。さらに、重合トナーでは、トナー粒子の表面形状の平滑性が低下することから、帯電特性が低下し、画像濃度が低下することがあるため望ましくない。
本発明のトナーにおいては上記過酸化物系重合開始剤の活性酸素量が4.00〜7.00%で且つ、10時間半減期温度が44.0℃以上78.0℃以下で且つ、該結晶性ポリエステルの数平均分子量が2000以上10000以下であると特に効果が大きい。4.00〜7.00%で且つ、10時間半減期温度が44.0℃以上70.0℃以下で且つ、該結晶性ポリエステルの数平均分子量が2000以上9000以下であるとより一層効果が大きい。4.00〜7.00%で且つ、10時間半減期温度が44.0℃以上66.0℃以下で且つ、該結晶性ポリエステルの数平均分子量が2000以上9000以下であると最も効果が大きい。これは該過酸化物系重合開始剤の該結晶性ポリエステルへの水素引き抜き反応が最適な状態になるからである。該水素引き抜き反応は結晶性ポリエステルと過酸化物系重合開始剤由来のラジカルとの衝突頻度と結晶性ポリエステル自身の水素の引き抜かれやすさ、過酸化物系重合開始剤自身のラジカルの反応性やラジカルの生成速度などの影響を受けるためである。そのため、結晶性ポリエステルの分子数や粘度に影響を及ぼす結晶性ポリエステルの分子量、過酸化物系重合開始剤の活性酸素量と10時間半減期温度を最適な範囲にすることが本発明の効果を最大限引き出す上で有効となる。
本発明のトナーの平均円形度は0.950〜0.990であることが望ましいが、0.960〜0.990であるとより望ましく、0.970〜0.990であると特に望ましい。これは、該トナーの平均円形度が0.950未満であるとトナーの帯電性および流動性に劣り、0.990を超えるとクリーニング性に劣るためである。また特に、0.970以上であると高画質な画像が得られるため望ましい。
上記トナーの平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100型」(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合には1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
具体的な測定方法としては、まず、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意する。その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させた。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃
±0.5℃にコントロールし、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行った。
トナーの円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナーを1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm未満のデータをカットして、トナーの平均円形度を求めた。
この値はトナーがどれだけ球状に近いかを表し、1.000が真球状、それより小さい値は徐々に凸凹な不定形になっていくことを表す。
一方、本発明のトナーにおいて、上記フロー式粒子像分析装置を用いて測定された、2.0μm以下のトナーの割合が2.0〜20.0個数%であると望ましく、2.0〜10.0個数%であると更に望ましい。さらに、トナーの1.0μm以下のトナーの割合が1.0〜6.0個数%であると望ましい。これは、トナー担持体やトナー規制部材への汚染、融着といった点で望ましく、長期間の使用においてより高画質な画像が得られるためである。
上記トナーの平均円形度の制御方法としては水系媒体中で製造を行う手法が本発明において望ましい。特に懸濁重合による製造が望ましい。
その際トナー製造時に極性樹脂を含有させ、該極性樹脂の酸価や組成、含有量を調整すると本発明のトナーにおいては特に望ましい。
トナーの凝集度および帯電性の制御方法としてはトナーの粒子径や平均円形度、無機微粉体の粒子径及び表面処理を制御する手法がある。水系媒体中で製造を行う手法を用いる場合、特に、懸濁重合を用いてトナーを製造する場合はトナーの表面特性や帯電特性を制御するのに有利である。トナー作製時に極性樹脂を含有させること、該極性樹脂の酸価を調整することでトナー表面に分布させることで本発明のトナーの物性に制御することが可能である。
スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂およびポリエステル樹脂を上記極性樹脂として、トナーに含有させ、その酸価や分子量を調整することでトナー表面への分布状態をも制御し、本発明のトナーの物性に制御することが特に望ましい。
本発明のトナーはフローテスターによる測定において、100℃での粘度が6000〜45000Pa・sであると望ましく、15000〜42000Pa・sであるとより望ましく、20000〜42000Pa・sであると特に望ましい。
上記100℃での粘度が6000Pa・s以上であると保存安定性の点で優れる。且つ、トナー供給部材やトナー規制部材に対するトナーの融着、固着などによる汚染が抑えられるため、長期使用においてもトナーに対して十分に摩擦帯電がなされる点で望ましい。45000Pa・s以下であると低温での定着性に優れるため望ましい。更に、トナー供給部材およびトナー規制部材およびトナー同士での摩擦帯電において、トナー粒子から無機微粉体が剥離しにくい。従って、本発明の効果が十分得られ、且つ無機微粉体によるトナー供給部材およびトナー規制部材、潜像担持体の汚染を抑制できるため望ましい。
トナーのフローテスターによる100℃での粘度は以下のように求められる。
フローテスターCFT−500A型(島津製作所製)を用いる。試料を1.00g秤量する。これを、成形器を使用し、10MPaの加重で1分間加圧する。
この加圧サンプルを下記の条件で、常温常湿下(温度約20〜30℃、湿度30〜70%RH)でフローテスター測定を行い、100℃での粘度を測定した。測定モードは昇温法とした。
RATE TEMP 4.0 D/M(℃/分)
SET TEMP 50.0 DEG(℃)
MAX TEMP 200.0 DEG
INTERVAL 4.0 DEG
PREHEAT 300.0 SEC(秒)
LOAD 10.0 KGF(kg)
DIE(DIA) 1.0 MM (mm)
DIE(LENG) 1.0 MM
PLUNGER 1.0 CM2(cm2)
本発明のトナーは、重量平均粒径(D4)が3.0μm以上9.0μm以下であると望ましく、4.0μm以上7.8μm以下であると更に望ましく、5.0μm以上6.5μm以下であると特に望ましい。これは重量平均粒径が3.0μm未満であるとトナーの比表面積が大きいため長期使用において耐久性や耐熱性において問題が発生しやすく、重量平均粒径が9.0μmを超える場合はトナーの着色力及び画像の解像度の点で劣るため望ましくない。
また、該トナーは4μm以下の粒子が10〜40個数%であると望ましい。これは、4μm以下の粒子が10個数%以上であるとトナーの着色力及び画像の解像度の点で望ましく、40個数%以下であると長期使用において耐久性や耐熱性において望ましい。
トナーの重量平均粒径はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能である。本発明においてはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピューターを接続した。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100ml中に分散剤としてコンタミノン水溶液(和光純薬製)0.1mlを加え、更に測定試料を5mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、分散液を得る。得られた分散液をコールターマルチサイザーのアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4:各チャンネルの中央値をチャンネルの代表値とする)を求める。
本発明のトナーのBET比表面積は1.5〜3.5(m2/g)であると望ましく、1.7〜3.5(m2/g)であると更に望ましく、1.7〜3.0(m2/g)であると特に望ましい。
これはBET比表面積が1.5(m2/g)以上であるとトナーが長期間にわたって十分な流動性を得られ、3.5(m2/g)以下であるとトナー規制部材や潜像担持体の汚染、クリーニング不良に対して優れた性能を有することになるため望ましい。
トナーのBET比表面積の測定方法は、以下の通りである。
トナーのBET比表面積は、湯浅アイオニクス(株)製、全自動ガス吸着量測定装置(オートソーブ1)を使用し、吸着ガスに窒素を用い、BET多点法により求める。なお、サンプルの前処理としては、温度50℃で10時間の脱気を行う。
本発明のトナーは、非磁性トナーであることが望ましい。本発明のトナーが非磁性一成分現像に用いられる場合はより本発明の効果が顕著となり望ましい。これは二成分現像と違い、キャリアの助けがないため、トナーの粉体特性や画像形成方法の影響を大きく受けるためである。また、磁性トナーと違い、トナー中に磁性体を含有しないため、耐久性の
点で磁性体の機械的強度、磁気拘束力および帯電性への助けが無く、トナーの粉体特性や画像形成方法の影響を大きく受けるためである。特に非磁性一成分接触現像に用いられる場合は、潜像担持体からトナー担持体への熱の伝導の影響が強いため、トナー規制部材へのトナーの融着を抑制する点で効果が顕著であり望ましい。
本発明のトナーは極性樹脂を含有し、該極性樹脂は少なくともチタン触媒を使用して重合した非晶性ポリエステル樹脂であると望ましい。
これは、トナーの帯電性、及び耐久性の点で優れているためである。特にキレート型チタン触媒を用いて製造した非晶性ポリエステル樹脂は耐熱性の点で優れるためである。
特に水系媒体中でトナーを製造する場合は、トナー中における(トナー100質量部に対し)該非晶性ポリエステル樹脂の含有量は0.5〜20.0質量部が望ましく、より望ましくは0.5〜15.0質量部、更に望ましくは1.0〜10.0質量部であり、1.0〜8.0質量部であると特に望ましい。0.5質量部以上では該非晶性ポリエステル層が十分な厚みを持ってトナー表面全域を覆え、特に機械的特性、帯電性の点で効果が大きく、望ましい。また、ワックスの内包化が十分なため現像性、耐久性に優れるため望ましい。20.0質量部以下の場合、トナーの低温定着性の点で優れ、更にワックスによる迅速な離型層の形成がなされるため、耐オフセット性の点でも望ましい。更には粒径分布がシャープになり、帯電分布もシャープになること、加えて湿度のトナーへの影響が小さく、トナーの帯電安定性に優れるため望ましい。
また、該非晶性ポリエステル樹脂の酸価は3.0〜25.0mgKOH/gであると望ましく、4.0〜20.0mgKOH/gであるとより望ましく、4.0〜15.0mgKOH/gであると更に望ましく、4.0〜10.0mgKOH/gであると特に望ましい。酸価が3.0mgKOH/g以上では該非晶性ポリエステルはトナー表面に均一な層を形成する点で望ましく、25.0mgKOH/g以下ではトナー化した際に湿度の影響を受けにくく帯電安定性の点で望ましい。
加えて、該非晶性ポリエステル樹脂はトナーと水系媒体との中間の極性を持つことでトナー粒子製造時において分散安定成分としての作用が得られる。酸価が3.0mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下では、トナー表層に安定した状態で均一に分布するため効果が大きく、異形粒子発生が抑えられ、トナーの帯電分布において均一となり、望ましい。
本発明のトナーにおいては該非晶質ポリエステルの酸価は上記結晶性ポリエステルの酸価より高いことが望ましい。その理由は、結晶性ポリエステルの酸価が非晶性ポリエステルの酸価より高い場合は該結晶性ポリエステルとワックスとの相互作用が低下するからである。また、該結晶性ポリエステルの大半が非晶性ポリエステルよりトナー表層に分布することになり、どちらかと言うと疎水性である該過酸化物系重合開始剤の結晶性ポリエステルに対する水素引き抜き反応の点で、結晶性ポリエステルとの水素引き抜き反応の頻度が低下するからである。
上記ポリエステル樹脂の酸価は以下のように求められる。基本操作は、JIS K0070に準ずる。
試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次によって試験を行う。
(1)試薬
(a)溶剤の調製
試料の溶剤としては、エチルエーテル−エチルアルコール混液(1+1または2+1)またはベンゼン−エチルアルコール混液(1+1または2+1)を用いる。これらの溶液は使用直前にフェノールフタレインを指示薬として0.1モル/リットルの水酸化カリウ
ムエチルアルコール溶液で中和しておく。
(b)フェノールフタレイン溶液の調製
フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)0.1モル/リットルの水酸化カリウム−エチルアルコール溶液の調製
水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJISK 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
(2)操作
試料1〜20gを正しくはかりとり、これに溶剤100mlおよび指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これを0.1モル/リットルの水酸化カリウム−エチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
(3)計算式 つぎの式によって酸価を算出する。
A=B×f×5.611/S
A;酸価(mgKOH/g)
B;0.1mol/L水酸化カリウムエタノ−ル溶液の使用量
f;0.1mol/L水酸化カリウムエタノ−ル溶液のファクター
S;試料(g)
上記非晶性ポリエステル樹脂中のキシレン不溶分が5.00質量%以下であると望ましく、2.50質量%であると更に望ましい。これは、キシレン不溶分が5.00質量%以下であると異形粒子を生成しにくく、帯電性や耐久性の点で望ましい。特にカブリ、フィルミングの発生といった点で望ましい。
非晶性ポリエステル樹脂中のキシレン不溶分の割合の測定方法は以下の通りである。
サンプル作製としては、樹脂10.00gをキシレン1000.0gに分散し、72時間静置したものを遠心分離機により、遠心分離を行い、上澄み液を除去した後、減圧乾燥し、キシレン不溶分を得た。
非晶性ポリエステル樹脂中のキシレン不溶分の割合=(得られたキシレン不溶分の質量/10.00)×100(質量%)
として算出した。
遠心分離の条件は以下の通りである。
<遠心分離条件>
遠心分離機:H−9R(株式会社コクサン製)
回転速度 :15000rpm
回転時間 :10分
温度 :15℃
非晶性ポリエステル樹脂はガラス転移温度(Tg)が、好ましくは50乃至80℃、より好ましくは60乃至80℃、さらに好ましくは65乃至80℃、特に好ましくは70乃至76℃、最も好ましくは73乃至76℃である。ガラス転移温度が50℃未満の場合には、トナーの耐ブロッキング性、耐久性が低下しやすい。ガラス転移温度が80℃を超える場合には、トナーの低温での定着性、耐低温オフセット性が低下しやすい。なお、上記Tgは示差走査熱量測定(DSC)を用いた中点法により求められる値をいう。
非晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が6,000乃至100,000であることが好ましく、より好ましくは6,500乃至85,000、更に好ましくは6
,500乃至45,000である。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が6,000未満の場合、連続画像出力においてトナー表面の外添剤が耐久によって埋没しやすく、転写性の低下を招きやすくなる。逆に、重量平均分子量が100,000を超える場合には、重合性単量体に該非晶性ポリエステル樹脂を溶解するのに時間を多く費やしてしまう。さらに、重合性単量体組成物の粘度が上昇し、粒径が小さくかつ、粒度分布の揃ったトナーが得にくくなる。
非晶性ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が3,000乃至80,000であることが好ましく、より好ましくは3,500乃至60,000、更に好ましくは3,500乃至12,000である。該非晶性ポリエステル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)における分子量分布のメインピーク値(Mp)が、分子量4,500乃至40,000の領域、より好ましくは分子量6,000乃至30,000の領域に存在することが良い。より好ましくは分子量6,000乃至20,000の領域である。上記範囲外であると重量平均分子量の場合と同様の傾向を示す。
非晶性ポリエステル樹脂はMw/Mnが1.2乃至3.0であることが好ましく、より好ましくは1.5乃至2.5である。Mw/Mnが1.2以上の場合には、トナーの多数枚耐久性及び耐オフセット性の点で望ましく、3.0以下の場合には、低温定着性の面で望ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば、カルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、エステル交換反応で製造される。触媒としては、エステル化反応に使う一般の酸性、アルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物などでよい。好ましくはチタン化合物を用いるのが良い。その後、再結晶法、蒸留法などにより高純度化させてもよい。
特に好ましい製造方法は、原料の多様性、反応のしやすさからカルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応である。
縮合系樹脂としてポリエステルを用いる際のポリエステルの組成について以下に説明する。
ポリエステルは、全成分中43〜57mol%がアルコール成分であり、57〜43mol%が酸成分であることが好ましい。
アルコール成分としては、エチルグリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記式(I)
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ1以上の整数を示し、かつx+yの平均値は2〜10を示す。)で示されるビスフェノー誘導体、又は下記式(
II)
で示されるジオールの如きジオール類が挙げられる。
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ジフェニル−P・P′−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸,ジフェニルメタン−P・P′−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4′−ジカルボン酸,1,2−ジフェノキシエタン−P・P′−ジカルボン酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グリタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリエチレンジカルボン酸、マロン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。
特に好ましいアルコール成分としては上記式(I)で示されるビスフェノール誘導体であり、酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はその無水物、こはく酸、n−ドデセニルコハク酸、又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸の如きジカルボン酸が挙げられる。
ポリエステルユニットは、2価のジカルボン酸及び2価のジオールから合成することにより得ることが可能であるが、場合により、3価以上のポリカルボン酸又はポリオールを、本発明に悪影響を与えない範囲で少量使用しても良い。
3価以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸類、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシルプロパン、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−メチレンカルボキシルプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸及びそれらの無水物が挙げられる。
3価以上のポリオールとしては、スルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4−メタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂は芳香族系飽和ポリエステルであると望ましい。これは、該トナーの帯電性、耐久性、定着性に優れ、該トナー及び該ポリエステルの物性の制御が容易であるためである。特に芳香族の有するπ電子の相互作用により帯電性に優れる。また、不飽和ポリエステルを含有していると、トナーを作製する際に不飽和部が反応し、架橋することでトナーが硬くなるため、特に定着性において劣るため望ましくない。
本発明のトナーはスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂を含有していると望ましい。これは、長期使用において、トナーの帯電性が安定するためである。
更に該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂のガラス転移温度が、好ましくは50〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。これはガラス転移温度が100℃以上であるとトナーの定着性が低下してしまうためであり、50℃未満では保存安定性が悪く、また画像形成の過程において部材汚染を引き起こし易いため望ましくない。
スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂、トナー、ポリエステル樹脂のガラス転移点及びワックスの融点は示差走査熱量(DSC)測定により求められる。
DSC測定では、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7やTAインスツルメンツジャパン社製のDSC−2920が利用できる。
本発明ではTAインスツルメンツジャパン社製DSC−2920を用いて測定を行う。
測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。測定試料は10mgを精秤する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。この昇温過程で温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。この時の比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、ガラス転移点(Tg)とする。また、得られた昇温時のDSC曲線からワックス成分の最大吸熱ピーク温度を得、これをワックスの融点とする。
該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂は、ある程度の酸価を有することが好ましく、一般的に塩基性を有することの多い着色剤との組み合わせにおいて、該樹脂の酸と着色剤の塩基が結合するように分布するため着色剤(顔料)の電荷リークサイトを該樹脂で覆うためトナーが優れた帯電性を有することとなり好ましい。
該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂を製造するために用いられる単量体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、或いは、下記構造を有するマレイン酸アミド誘導体、マレイミド誘導体、スチレン誘導体が挙げられる。好ましくは、スルホン酸基を含有する(メタ)アクリルアミドである。
該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であることが好ましい。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系芳香族炭化水素、(メタ)アクリル酸エステルの如き重合性単量体が好ましく用いられる。より具体的には、以下に例示する如き単量体を用いることができる。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリルレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso
−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル酸エステル;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントテラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテルが挙げられる。
該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂は、該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有するモノマーに由来するユニットを0.01乃至20質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.05乃至10質量%、さらに好ましくは0.1乃至7質量%含有する。0.01質量%未満の場合には、該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂の添加効果が十分に得られず、また20質量%を超える場合には、トナー化する際に結着樹脂との相溶性が悪化しやすくなるためトナーの形状を制御する上で望ましくない。また、製造時において吸湿性の増大から水分やカウンターイオンなどを保持しやすいため不純物が残留しやすいため望ましくない。
該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂は、イオン性基および非イオン性の電子供与基および電子吸引基を置換基に有しない芳香族を側鎖に有するモノマーユニットを0.01乃至10質量%含有することが好ましい。また、0.10乃至5.0質量%含有するとトナー中における分散状態がより良好となりより好ましい。特にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル系のモノマーユニットの場合その効果が大きい。
該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂の製造方法は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、イオン重合等があるが、操作性などの面から溶液重合が好ましい。
該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂は、
X(SO3 -)n・mYk+
(X:前記重合性単量体に由来する重合体部位を表し、Y+;カウンターイオンを表し、
kはカウンターイオンの価数であり、m及びnは整数であり、n=k×mである。)
の如き構造を有する。カウンターイオンとしては、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオンであることが良く、より好ましくは水素イオンである。
該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂の酸価(mgKOH/g)は3乃至80が好ましく、より好ましくは5乃至40、さらに好ましくは10乃至30である。
酸価が3未満の場合には、十分な電荷制御作用が得られにくく、かつ環境安定性に劣る傾向がある。逆に、酸価が80を超える場合には、この様な樹脂を含有する組成物を用いて、懸濁重合で粒子を造る場合、トナー粒子がいびつな形状を有する様になり、円形度が小さくなってしまい、含有する離型剤がトナー表面に現れ、現像性の低下を引き起こしやすくなる。
該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂は、結着樹脂100質量部当り0.01乃至15質量部含有されていることが好ましく、より好ましくは0.1乃至10質量部である。
該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂の含有量が0.01質量部未満の場合には、十分な電荷制御作用が得られにくく、15質量部を超えると、水系媒体中において造粒を行う際に、造粒性が低下し、現像性や転写性の低下を引き起こす傾向にある。
更に、本発明においては、結着樹脂100質量部当り0.001乃至3質量部の該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有するモノマーに由来するユニットを含有していることが好ましく、更には0.005乃至2質量部、特には0.01乃至1.5質量部が好ましい。
トナー中の該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂の含有量は、X線光電子分光分析等の任意の方法により測定される。また、キャピラリー電気泳動法などを用いて測定することもできる。
該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂の分子量は、重量平均分子量(Mw)が500乃至100000が好ましい。より好ましくは1000乃至70000であり、さらに好ましくは5000乃至50000である。重量平均分子量(Mw)が500未満の場合には、部材汚染を生じやすく、重量平均分子量(Mw)が100000を超える場合には、単量体への溶解に時間がかかることに加え、相溶性の低下からトナー中において均一に分散せず、トナーの帯電性において効果が十分に得られず、更には着色剤(顔料)の分散性を向上させる効果が小さくなり、トナーの着色力が低下してしまう。
なお、上記の如き物性を求めるにあたって、該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂のトナーからの抽出を必要とする場合には、抽出方法は特に制限されるものではなく、任意の方法が扱える。
本発明のトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)において、2000〜5000の間に少なくともピークまたはショルダーを有していることが望ましい。これはトナーの低温定着性、耐オフセット性、耐久性において優れるためである。
結着樹脂、結晶性ポリエステル、非晶性ポリエステル、及び、スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂のGPCによる分子量及び分子量分布は以下の方法で測定される。
GPC測定装置(HLC−8120GPC 東ソー(株)社製)を用いて、下記の測定条件で測定することができる。
<測定条件>
・カラム(昭和電工株式会社製):Shodex GPC KF−801、Shodex GPC KF−802、Shodex GPC KF−803、Shodex GPC KF−804、Shodex GPC KF−805、Shodex GPC KF−806、Shodex GPC KF−807(直径8.0mm、長さ30cm)の7連
・温度:40℃
・流速:0.6ml/min
・検出器:RI
・サンプル濃度:0.1質量%の試料を10μl
検量線は、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。
試料は以下のようにして作製する。
試料をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、たとえば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。
本発明においては、上記非晶性ポリエステル樹脂の酸価(AV1)と上記スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂の酸価(AV2)とが、AV1<AV2<3.5×AV1であると望ましく、AV1<AV2<2.5×AV1の関係を満たしているとより望ましく、AV1<AV2<2.0×AV1の関係を満たしていると更に望ましい。この場合には、湿式法によるトナー粒子の製造時の造粒工程において、水系媒体中で、該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂が該非晶性ポリエステル樹脂と共存しつつ、液滴の最表面に偏在する割合が多くなる。そのため、トナーの帯電能としては該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂の帯電性能を有効に発揮できるため好ましい。本発明においては特に、AV1<AV2<2.0×AV1の場合は、該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂と該非晶性ポリエステル樹脂の存在状態が最適化されていることから、定着時の熱の伝導が、何れのトナー表面からも均一且つ迅速に行われるため定着性の点でも望ましい。この効果はトナー中に含有されるワックスがパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックスの場合に顕著である。これは、エステルワックス等と比較すると、ポリメチレンワックスの極性が低く、トナー表面近傍に分布する量が少ないため、結果として該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂と該非晶性ポリエステル樹脂の存在状態の影響が大きくなるためである。
この際、該スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂の酸価の測定方法は該非晶性ポリエステル樹脂の酸価の測定方法と同様である。
本発明に用いられるワックスとしては、重量平均分子量(Mw)が350乃至4000
、数平均分子量(Mn)が200乃至4000であることが好ましく、より好ましくはMwが400乃至3500、Mnが250乃至3500である。Mwが350未満、Mnが200未満の場合には、トナーの耐ブロッキング性が低下する傾向にあり、Mwが4000を超え、Mnが4000を超える場合には、ワックス自体の結晶性が高まり、OHP定着画像の透明性が低下する傾向にある。
ワックスの分子量及び分子量分布はGPCにより次の条件で測定される。
(GPC測定条件)
装置 :GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−MT30cm2連(東ソー社製)
温度 :135℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速 :1.0ml/min
試料 :0.15%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
本発明で用いるワックスの少なくとも1つは、融点(温度20乃至200℃の範囲におけるDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークに対応する温度)が好ましくは30乃至120℃、より好ましくは50乃至100℃である。また、室温で固体の固体ワックスが好ましく、特に融点50乃至100℃の固体ワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性、耐オフセット性の点で良い。
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス、ケトンワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体が挙げられ、これらは低分子量成分が除去されたDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。
好ましく用いられるワックスとしては、トナー中への内包化に有利で、遊離ワックスがほぼ発生しないため、トナーの現像性を阻害しないことから、少なくとも1つはパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックスが挙げられる。特に望ましくはフィッシャートロプシュワックスである。本発明のトナーにおいては、特にフィッシャートロプシュワックスであると効果が顕著である。フィッシャートロプシュワックスは該結晶性ポリエステルと該過酸化物系重合開始剤との水素引き抜き反応により生成するグラフト共重合体との相性が良く、かつ該過酸化物系重合開始剤の脱炭酸反応によるpH変化や気泡によりトナー中での分散状態が影響されにくい。従って、該ワックスと該グラフト共重合体の相互作用の影響の方が大きく、安定した分散状態を維持できる。
重合法により、トナーを生成する場合には、ワックスは、重合性単量体100質量部に対して1乃至40質量部(より好ましくは、5〜15質量部)配合することが好ましく、トナーとしては、結着樹脂100質量部当りワックス1乃至40質量部(より好ましくは、5〜15質量部)含有されるのが良い。
溶融混練粉砕法による乾式トナー製法に比べ、重合法によるトナー製法においては、極性樹脂によりトナー内部に多量のワックスを内包化させ易いので乾式トナー製法と比較し、一般に多量のワックスを用いることが可能となり、定着時のオフセット防止効果は更に
優れたものとなる。
上記ワックスの添加量が下限より少ないとオフセット防止効果が低下しやすい。逆に上限を超える場合では耐ブロッキング効果が低下し耐オフセット効果にも悪影響を与えやすいばかりでなく、トナーのドラム融着、トナーの現像スリーブ融着を起こしやすく、重合法によりトナーを生成する場合には粒度分布の広いトナーが生成する傾向にある。
本発明に使用されるワックスは、135℃における溶融粘度は1〜300cPsであることが好ましく、更に好ましくは3〜50cPsである。1cPsより低い溶融粘度を有する場合は、非磁性一成分現像方式で塗布ブレード等により現像スリーブにトナー層を薄層コーティングする際、機械的なズリカによりスリーブ汚染を招きやすい。300cPsを超える溶融粘度を有する場合には、重合法を用いてトナーを製造する際、重合性単量体組成物の粘度が高くなり、粒度分布のシャープな微小粒径のトナーを得ることが困難となる傾向にある。
ワックスの溶融粘度は、HAAKE社製VP−500にてコーンプレート型ローター(PK−1)を用いて測定することができる。
また、ワックスの針入度は、好ましくは14以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。針入度が14を超える場合には、感光ドラム表面上にフィルミングを発生し易くなる。尚、針入度の測定は、JIS−K2235に準ずる。
なお、上記の如き物性を求めるにあたって、ワックスのトナーからの抽出を必要とする場合には、抽出方法は特に制限されるものではなく、任意の方法が扱える。
一例を挙げると、所定量のトナーをトルエンにてソックスレー抽出し、得られたトルエン可溶分から溶剤を除去した後、クロロホルム不溶分を得る。
その後、IR法などにより同定分析をする。
また、定量に関しては、DSCなどにより定量分析を行う。
固体エステルワックスを用いる場合、好ましくはエステル基が1〜6個であるエステルワックスであり、更に好ましくはエステル基が1〜4個であるエステルワックスである。
上記エステルワックスとしては、好ましくは、下記(I)から(V)に属するエステルワックスである。
(式中、a及びbは0〜4の整数であり、a+bは4である。R
1及びR
2は炭素数が1〜40の有機基である。m及びnは0〜40の整数であり、mとnは同時に0になることはない。)
(式中、a及びbは0〜3の整数であり、a+bは1〜3である。R
1及びR
2は炭素数が1〜40の有機基である。R
3は水素原子または炭素数が1以上の有機基である。kは1
〜3の整数であり、a+b+k=4である。m及びnは0〜40の整数であり、mとnが同時に0になることはない。)
(式中、R
1及びR
3は炭素数1〜40の有機基であり、R
1とR
3は同じものであっても異なっていても良い。R
2は炭素数1〜40の有機基を示す。)
(式中、R
1及びR
3は炭素数1〜40の有機基であり、R
1とR
3は同じものであってもなくてもよい。R
2は炭素数1〜40の有機基を示す。)
(式中、aは0〜4の整数であり、bは1〜4の整数であり、a+bは4である。R
1は
炭素数1〜40の有機基である。m及びnは0〜40の整数であり、mとnが同時に0になることはない)
具体的には、以下のものが例示される。尚、以下に示す離型剤は、例示した構造式で表される化合物を50質量%以上含むものである。
更には、トータルの炭素数が同一のエステル化合物を50〜95質量%(ワックス基準)含有しているエステルワックスが中でも好ましい。トータルの炭素数が同一のエステル化合物の含有量は、下記に説明するガスクロマトグラフィー法(GC法)によって測定することができる。
ガスクロマトグラフィー法(GC法)による炭素数が同一のエステル化合物の含有量の測定には、GC−17A(島津製作所製)が用いられる。試料は、予めトルエンに1質量%濃度で溶解させた溶液1μlを、オンカラムインジェクターを備えたGC装置に注入す
る。カラムは、0.5mm径×10m長のUltraAlloy−1(HT)を用いる。カラムは初め40℃から40℃/min.の昇温スピードで200℃迄昇温させ、更に15℃/min.で、350℃迄昇温させ、次に7℃/min.の昇温スピードで450℃迄昇温させる。キャリアガスは、Heガスを50kPaの圧力条件で流す。化合物種の同定は、別途炭素数が既知のアルカンを注入し同一の流出時間同士を比較したり、ガス化成分をマススペクトマトグラフィーに導入したりすることで構造を同定する。エステル化合物の含有量はクロマトグラムの総ピーク面積に対するピーク面積の比を求めることで算出する。
本発明のトナーは、荷電制御剤を使用しても良い。
トナーを負荷電性に制御する荷電制御剤としては、下記の物質が挙げられる。例えば、有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、けい素化合物、ノンメタルカルボン酸系化合物及びその誘導体が挙げられる。
これらの中でも、本発明のトナーにおいては含金属サリチル酸系化合物の如き荷電制御剤が好ましく用いられる。本発明のトナーを懸濁重合により作製する場合は特に好ましい。
又、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、下記の物質が挙げられる。例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;が挙げられる。これらを単独或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
荷電制御剤は、トナー中の結着樹脂100質量部当り、0.01乃至20質量部、より好ましくは0.5乃至10質量部となる様に含有させるのが良い。
本発明に用いられる結着樹脂としては、特に制限されるものではなく、トナー用樹脂として一般に用いられている樹脂が使用できる。具体的には、ポリエステル樹脂;ポリスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テル
ペン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが挙げられる。これらは、単独あるいは混合して使用できる。
特に本発明のトナーにおいては2000≦Mw≦6000の樹脂を含有させることで該トナーのフローテスターで測定した場合の粘度を所望の範囲にしても良く、その際には優れた定着性および耐久性を両立させやすいため望ましい。
本発明のトナーは、着色剤を含有している。黒色着色剤としては、カーボンブラック、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
イエロー着色剤としては、顔料系としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.PigmentYellow 3,7,10,12,13,14,15,17,23,24,60,62,74,75,83,93,94,95,99,100,101,104,108,109,110,111,117,123,128,129,138,139,147,148,150,166,168,169,177,179,180,181,183,185,191:1,191,192,193,199が好適に用いられる。染料系としては、例えば、C.l.solventYellow33,56,79,82,93,112,162,163、C.I.disperse Yellow42.64.201.211が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレッド19が特に好ましい。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が特に好適に利用される。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し1乃至20質量部となる様に添加して用いられる。
本発明における重合法を用いてトナーを得る場合、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要がある。好ましくは、着色剤の表面改質、例えば、重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほうが良い。特に、染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。重合阻害性を有する着色剤(特に染料)の好適な使用方法としては、あらかじめこれら着色剤の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体組成物に添加するのが好ましい。また、カーボンブラックについては、上記着色剤と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等でグラフト処理を行ってもよい。
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーを製造する方法としては、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に記載されている懸濁重合法を用いて直接トナーを生成する方法によるトナー化;単量体には可溶で水溶性重合開始剤の存在下で直接重合させてトナーを生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合法によるトナー化;マイクロカプセル製法のような界面重合法、in site重合法によるトナー化;コアセルベーション法によるトナー化;特開昭62−106473号公報や特開昭63−186253号公報に開示されている様な少なくとも1種以上の微粒子を凝集させ所望の粒径のものを得る会合重合法によるトナー化;単分散を特徴とする分散重合法によるトナー化;非水溶性有機溶媒に必要な樹脂類を溶解させた後水中でトナー化する乳化分散法によりトナーを得る方法が挙げられる。
中でも、懸濁重合法、会合重合法、乳化分散法によるトナーの製造が好ましい。
より一層好ましくは小粒径のトナーが容易に得られる懸濁重合方法が望まれる。さらに一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめるシード重合方法も本発明に好適に利用することができる。このとき、吸着せしめる単量体中に、極性を有する化合物を分散あるいは溶解させて使用することも可能である。
トナーの製造方法として懸濁重合を利用する場合には、以下の如き製造方法によって直接的にトナーを製造することが可能である。単量体中にワックス、着色剤、結晶性ポリエステル、及び過酸化物系重合開始剤、並びに必要に応じて架橋剤等その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた重合性単量体組成物を、分散安定剤を有する水系媒体中に通常の攪拌機またはホモミキサー、ホモジナイザーにより分散せしめる。好ましくは重合性単量体組成物の液滴が所望のトナーのサイズを有するように攪拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の攪拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、通常50〜95℃(好ましくは55〜85℃)の温度に設定して重合を行う。重合反応後半に昇温しても良く、必要に応じpHを変更しても良い。更に、定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により収集し、乾燥する。
本発明の場合、重合反応終了後、用いられる結晶性ポリエステルのDSCにおける吸熱のピークトップの温度+0℃〜+10℃の温度で保持し、その後短時間で室温あたりまで冷却する工程を経た後、洗浄・ろ過を行うと望ましい。これは、該結晶性ポリエステルのトナー中における分散状態を最適に制御するためである。
造粒中の水系媒体中のpHは特に制約は受けないが、好ましくは、pH4.5〜13.0、更に好ましくは4.5〜12.0、特に好ましくは4.5〜11.0、最も好ましくは4.5〜7.5である。pHが4.5未満の場合は分散安定剤の一部に溶解がおこり、分散安定化が困難になり、造粒出来なくなることがある。またpHが13.0を超える場合はトナー中に添加されている成分が分解されてしまうことがあり、十分な帯電能力が発揮出来なくなることがある。造粒を酸性領域で行った場合には、分散安定剤に由来する金属のトナー中における含有量が過剰となるのを抑制することができ、本発明の規定を満たすようなトナーが得られやすくなる。
また、トナー粒子の洗浄をpH3以下、より好ましくは、pH1.5以下の酸を用いて行うことが好ましい。トナー粒子の洗浄を酸で行うことにより、トナー粒子表面に存在する分散安定剤を低減することができる。洗浄に用いる酸としては、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸の如き無機酸を用いることができる。これによりトナー粒子の帯電性
を所望の範囲に調整することも可能である。
本発明に用いられる分散安定剤としては、例えばリン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイドなどが挙げられる。
又、分散安定剤としては、少なくともマグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、燐のいずれかが含まれているものが用いられるが、好ましくは、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、燐のいずれかが含まれていることが望まれる。
上記分散安定剤に有機系化合物、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを併用しても構わない。
これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.01〜2.00質量部を使用することが好ましい。
さらに、これら分散安定剤の微細化のため0.001〜0.100質量%の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
本発明のトナーを重合法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。
該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン,p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビ
ニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2′−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2′−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテルが挙げられる。
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独或いは、2種以上組み合わせて、又は、上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用する。多官能性重合性単量体は架橋剤として使用することも可能である。更にこれらにマクロモノマーを組み合わせて使用することも可能である。
上記した重合性単量体の重合の際に用いられる重合開始剤としては、本発明で用いられるもの以外にも本発明の効果を阻害しない範囲であれば油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が適宜用いることが可能である。例えば、油溶性開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルの如きアゾ化合物、本発明に規定されている以外の過酸化物などが挙げられる。
水溶性開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2′−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2′−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1
−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2′−
アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}、塩酸塩硫酸第一鉄又は過酸化水素が挙げられる。
本発明においては、重合性単量体の重合度を制御する為に、連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
また本発明においては、架橋剤を用いて架橋を有する樹脂とすることもでき、架橋剤として、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いることができる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらは単独もしくは混合物として用いられる。
本発明のトナー粒子の形状係数を制御する方法としては、例えば、乳化重合、懸濁重合、分散重合などによる重合法によりトナー粒子を製造する際の重合条件をコントロールしてトナーを製造する方法が挙げられる。
具体的にはトナー粒子を製造する際の分散安定剤の種類及び量、撹拌条件、水層のpH及び重合条件、添加剤の分子量をコントロールすることにより、トナー粒子の形状係数を調整することができる。
更には生成したトナー粒子を乾燥させた後、分級や篩いなどの手段を用いることで所望の粒度、粒度分布、円形度のトナー粒子を得ることも可能である。
また、懸濁重合法を用いてトナー粒子を得る方法においては、重合単量体の重合反応を阻害無く行わせしめるという観点からも、極性樹脂を同時に添加することが特に好ましい。本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体,スチレンと不飽和カルボン酸エステル等との共重合体、アクリロニトリル等のニトリル系単量体、塩化ビニル等の含ハロゲン系単量体、アクリル酸或はメタクリル酸等の不飽和カルボン酸、その他不飽和二塩基酸及び不飽和二塩基酸無水物、ニトロ系単量体等の重合体若しくはこれらの単量体とスチレン系単量体等との共重合体、マレイン酸共重合体,ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂は、単量体と反応しうる不飽和基を分子中に含まないものが特に好ましい。これらの極性重合体及び/又は共重合体の添加量としては、重合性単量体の0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%であると特に好ましい。
本発明のトナーは、無機微粉体を含有する。その他にも、本発明のトナーにおいては各種特性付与を目的として様々な無機、有機の添加剤を用いることも可能である。用いる無機微粉体又は添加剤としては、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の1/10以下の粒径であることが好ましい。この無機微粉体又は添加剤の粒径とは、走査型電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。これら特性付与を目的とした無機微粉体又は添加剤としては、例えば、以下のようなものが用いられるが、特に何ら限定するものではない。
1)流動性付与剤としては:金属酸化物(シリカ、疎水性シリカ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなど)、カーボンブラック、フッ化カーボンなど。それぞれ、疎水化処理を行ったものがより好ましい。
2)研磨剤としては:金属酸化物(チタン酸ストロチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)などが好ましい。
3)滑剤としては:フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなど)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど)などが好ましい。
4)荷電制御性粒子としては:金属酸化物(酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなど)、カーボンブラックなどが好ましい。
また他にも、有機微粒子としては、例えば乳化重合法やスプレードライ法による、スチレン、アクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートの如きトナー用結着樹脂に用いられるモノマー成分の単独重合体あるいは共重
合体を適宜用いることが出来る。
上記無機微粉体は、トナー100質量部に対し、0.01〜5質量部(好ましくは0.02〜3質量部)が用いられるのが良い。無機微粉体は単独で用いても、複数併用しても良い。
また、上記無機微粒子は疎水化処理されていると望ましい。
疎水化度の範囲としては20%以上99%以下が望ましく、より望ましくは40%以上99%以下であり、特にシリカの場合は80%以上が望ましい。
<無機微粉体の疎水化度の測定方法>
無機微粉体の疎水化度の測定方法として、メタノール滴定試験を用いることができる。
メタノール滴定試験は、疎水化された表面を有する無機微粉体の疎水化度を確認する実験的試験である。
処理された無機微粉体の疎水化度を評価するための“メタノール滴定試験”は次の如く行う。供試無機微粉体0.2gを容器中の水50mlに添加する。メタノールをビュレットから無機微粉体の全量が湿潤されるまで滴定する。この際、容器内の溶液はマグネチックスターラーで常時撹拌する。その終点は無機微粉体の全量が液体中に懸濁されることによって観察され、疎水化度は、終点に達した際のメタノール及び水の液状混合物中のメタノールの百分率として表わされる。
上記無機微粉体の疎水化処理方法としては、従来公知の方法が使用される。例えば具体的には、あらかじめ上記の酸化チタン微粉体を真空下で100〜150℃に加熱し、デシケーター中に貯蔵することによって処理し、水を除去しておく。例えば、脱水処理した酸化チタン微粉体とシランカップリング剤とを、トルエン中で反応させ、酸化チタン表面のOH基を疎水化処理する方法(溶剤湿式処理法)が挙げられる。その他にも溶剤乾式噴霧法、水系エマルジョン処理法、水系加水分解法などが挙げられる。
無機微粉体の疎水化処理を行う疎水性処理剤としては以下のようにシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルなどが利用できる。
シランカップリング剤としては、例えばヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ポリエチレンイミン含有シラン等が挙げられる。好ましくはオクチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、更に好ましくはγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
チタンカップリング剤としては、例えばビス〔ジオクチルパイロホスフェート〕オキシアセテートチタネート、ビス〔ジオクチルパイロホスフェート〕エチレンチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート等が挙げられる。特に好ましくはビス〔ジオクチルパイロホスフェート〕エチレンチタネートである。
更に、上記無機微粉体にはシリコーンオイル処理されているシリカ微粉体を含有することが望ましい。
本発明に用いられる無機微粉体は疎水性であることが好ましく、シランカップリング剤、チタンカップリング剤など各種カップリング剤を用いることが可能であるが、シリコーンオイルで疎水化度を高くすることで、高湿下での無機微粉体の水分吸着を抑制し、更には規制部材や帯電部材などの汚染が抑制されるため高品位の画像が得られるためより好ましい。
シリコーンオイルとしては例えばジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロロフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられ、特にクロロフェニルシリコーンオイルやメチルフェニルシリコーンオイルのごとき芳香族を含有する官能基を有するものやアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイルが好ましいが、上記のものに限定されるわけではない。
上記シリコーンオイルは温度25℃における粘度が50乃至1000mm2/sの物が好ましい。50mm2/s未満では熱が加わることにより一部揮発し、帯電特性が劣化しやすい。1000mm2/sを超える場合では、処理作業上取扱いが困難となる。シリコーンオイル処理の方法としては、公知技術が使用できる。例えば、ケイ酸微粉体とシリコーンオイルとを混合機を用い、混合する。ケイ酸微粉体中にシリコーンオイルを、噴霧器を用い噴霧する。或いは溶剤中にシリコーンオイルを溶解させた後、ケイ酸微粉体を混合する方法が挙げられる。処理方法としてはこれに限定されるものではない。
本発明に用いられる無機微粉体は、ハイドロタルサイト系化合物類を含有することが、特に高湿環境下での電荷の保持能の点で望ましい。該ハイドロタルサイト系化合物類の好ましい粒子径としては、通常100nm以上500nm以下、より好ましくは200nm以上400nm以下であるのが望ましい。粒子径が500nmを超えて大きい場合は、外添時にトナー表面に付着しにくくなるため装置内の汚染が激しくなり好ましくない。また、粒子径が100nm未満では効果が小さい。
また、ハイドロタルサイト化合物類の中でも特に好ましくは、下記一般式(III)で表される化合物の粉末を含有するのが最適である。
Mg2+ y1・M22+ y2・・・Mj2+ yjAl3+ x1 L23+ x2・・・Lk3+ xk(OH)2 ・(X/n)An― ・mH2 O …(III)
上記一般式(III)中の記号の意味は下記の通りである。
(式中、0<〔X=(x1+x2+…+xk)〕≦0.5、Y=(y1+y2+…+yj)=1−Xであり、j及びkは2以上の整数、M2,M3,…及びMjはZn、Ca、Ba、Ni、Sr,Cu及びFeからなる群より選ばれるそれぞれ異なる金属、L2,L3…及びLkはB、Ga、Fe、Co及びInからなる群より選ばれるそれぞれ異なる金属
、An−はn価のアニオン、m≧0である。)この時特にy1≧0.6であると望ましく、更には該ハイドロタルサイト中にZnが含有されていると、より望ましい。
本発明に使用されるハイドロタルサイト類の比表面積は、3.0〜150m2/gであることが好ましく、より好ましくは7.0〜120m2/gである。3.0m2/g以上である方が効果が大きく、150m2/g以下の方がトナーの流動性が良く、画像濃度の均一性の面でより好ましい。3.0m2/g未満であると接触面積が小さいため効果が小さく、150m2/g超であるとトナーが過帯電になるため、転写効率が低下し、望ましくない。
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソープ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出した。
さらに本発明に使用されるハイドロタルサイトの体積抵抗値は、5.0×106〜8.0×1015Ω・cmが好ましい。5.0×106Ω・cm以上であれば、特に高湿環境下での電荷の保持能が高く好ましい。また8.0×1015Ω・cm以下であると、トナーの帯電性の制御がより容易となり好ましい。
また本発明に使用されるハイドロタルサイトのモース硬度は2.0〜2.5が好ましい。モース硬度が2.0以上の場合、トナー規制部材等に対する耐ストレス性の面で好ましい。またモース硬度が2.5以下の場合、トナー表面への付着が容易なため好ましい。
本発明に使用されるハイドロタルサイトは、表面処理剤によって疎水化処理を行なうことが環境安定化を図る上で好ましい。表面処理剤としては、高級脂肪酸類、カップリング剤類、エステル類が使用可能であり、特に高級脂肪酸類が好ましい。具体的には、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリル酸が例示される。中でも特にリノール酸、リノレン酸が好ましい。
表面処理剤による化合物(III)の表面処理は、例えば、該表面処理剤が液状の場合、あるいは水、アルコール類などに溶解して液状にした場合には、これら液状の表面処理剤と化合物(III)の粉末もしくはその水性懸濁液を、加熱条件下もしくは非加熱条件下で機械的に混合することによって行うことができる。また、例えば該表面処理剤が加熱条件下で溶解する場合には、加熱溶解条件下で化合物(III)と機械的に混合することによって行うこともできる。充分な混合処理の後、必要に応じて水洗、脱水、乾燥、粉砕、分級等の手段を適宜選択して実施し、表面処理物を得ることができる。上述のようにして得ることのできる化合物(III)の表面処理物の表面処理剤の含有量は適当に選択変更できるが、化合物(III)の重量に基づいて、約0.1〜約10重量%のごとき量を例示することができる。
なお、化合物(III)は、公知の手法で製造することができる。例えば、特公昭46−2280号公報、特公昭47−32198号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭48−29477号公報、特公昭51−29129号公報等に記載されている製法ないしはそれらに類する製法により製造可能である。また、従来手法で得られる化合物(III)を、例えばオートクレーブ中、水媒体中で、例えば約120〜約250℃の温度及び約5〜約40時間のごとき条件下で加熱処理し、濾過・乾燥等を行うことにより、所望のBET比表面積及び平均2次粒子径の化合物(III)を得ることができる。上記加熱処理は、前記BET比表面積及び平均2次粒子径条件を満足するようになるまで、加圧条件下に水熱処理すればよく、高温側の採用がより好ましい。
本発明の画像形成方法は、トナー供給部材によりトナー担持体にトナーを供給し、トナー担持体上に薄層を形成させるための規制部材によりトナー層を形成し、感光体に非接触もしくは接触して現像するトナー担持体によりトナーを現像して感光体上にトナー像を得る画像形成方法であって、前記トナーが本発明のトナーであることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、感光体と、トナー担持体と、前記トナー担持体にトナーを供給するためのトナー供給部材と、前記トナー担持体上に薄層を形成させるための規制部材と、前記感光体に非接触もしくは接触して現像する前記トナー担持体によりトナーを現像して感光体上にトナー像を得、前記トナー像を転写材に転写するための転写部材とを備えた画像形成装置であって、前記トナーが本発明のトナーであることを特徴とする。
さらに、本発明の現像装置は、トナーを収容するための現像剤容器と、前記現像剤容器の開口部に設けられたトナー担持体と、前記トナー担持体とニップを形成し前記トナー担持体上に担持されているトナーの層厚を規制し、且つ前記トナーを摩擦帯電させるためのトナー規制部材と、前記トナー担持体にトナーを供給するトナー供給部材とを備えた現像装置において、前記トナーが本発明のトナーであることを特徴とする。
尚、本発明のトナーは、非磁性一成分接触現像に用いられることが好ましい。また、本発明のトナーは中間転写体を介して被転写体に転写される画像形成方法に用いられることが好ましい。
以下に上記画像形成方法、画像形成装置及び現像装置について詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらに限定されることはない。
まず、図1は本発明に適用される非磁性一成分接触現像方式での画像形成方法および現像装置の具体例である。図1において、現像装置13は、一成分現像剤として非磁性トナー17を収容した現像剤容器23と、現像剤容器23内の長手方向に延在する開口部に位置し潜像担持体(以下、感光体又は感光ドラムともいう)10と対向設置されたトナー担持体14(以下、現像ローラともいう)とを備え、潜像担持体10上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。感光体接触帯電部材11は潜像担持体10に当接している。感光体接触帯電部材11のバイアスは電源12により印加されている。
トナー担持体14は、上記開口部にて図に示す右略半周面を現像容器23内に突入し、左略半周面を現像剤容器23外に露出して横設されている。この現像容器23外へ露出した面は、図1のように現像装置13の図中左方に位置する潜像担持体10に当接している。
トナー担持体14は矢印B方向に回転駆動され、またその表面は、トナー17との摺擦確率を高くし、かつ、トナー17の搬送を良好に行うための適度な凹凸を有している。トナー担持体14は、図1のようにトナー担持体14を潜像担持体10に当接させて用いる場合は、一例として、NBRの基層にエーテルウレタンを表層コートした、直径14〜25mm、表面粗さRzが3〜15μm、抵抗が104〜108Ωの弾性ローラーを用いることができる。潜像担持体10の周速は50〜170mm/s、トナー担持体14の周速は潜像担持体10の周速に対して1〜2倍の周速で回転させている。
トナー担持体14の上方位置には、SUS等の金属板や、ウレタン、シリコーン等のゴム材料または、バネ弾性を有するSUSまたはリン青銅の金属薄板を基体とし、トナー担持体14への当接面側にゴム材料を接着したもの等からなる規制部材16が、ブレード支持板金24に支持され、自由端側の先端近傍をトナー担持体14の外周面に面接触にて当接するように設けられており、その当接方向としては、当接部に対して先端側がトナー担持体14の回転方向上流側に位置するいわゆるカウンター方向になっている。トナー規制部材の一例としては、厚さ1.0〜1.5mmの板状のウレタンゴム等をブレード支持板金24の当接部分もしくは全面に接着した構成で、トナー担持体14に対する当接圧を、適宜設定したものである。なお、線圧の測定は、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚当接部
に挿入し、中央の1枚をばねばかりで引き抜いた値から換算した。また、規制部材16についてはL字型形状の金属板を用い、L字の曲がり角に相当する部分をトナー担持体14に当接する方式を用いても良い。
弾性ローラー15は、トナー規制部材16のトナー担持体14表面との当接部に対しトナー担持体14の回転方向上流側に当接され、かつ回転可能に支持されている。この構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や芯金上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、トナー担持体14へのトナー17の供給および未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましく、弾性ローラーの一例としては、芯金15a上にポリウレタンフォームを設けた直径12〜18mmの弾性ローラー15を用いた。この弾性ローラー15のトナー担持体14に対する当接幅としては、0.5〜8mmが有効で、またトナー担持体14に対してその当接部において相対速度を持たせることが好ましい。
またトナー帯電ローラー29の駆動については、トナー担持体14との間は従動または同周速が必須であり、トナー帯電ローラー29、トナー担持体14間に周速差が生じるとトナーコートが不均一になり、画像上にムラが発生するため好ましくない。
トナー帯電ローラー29のバイアスは、電源27によってトナー担持体14と潜像担持体10の両者間に直流で(図1の27)印加されており、トナー担持体14上のトナー17はトナー帯電ローラー29より、放電によって電荷付与を受ける。
トナー帯電ローラー29のバイアスは、トナーと同極性の放電開始電圧以上のバイアスであり、トナー担持体14に対して1000〜2000Vの電位差が生じるように設定される。
トナー帯電ローラー29による帯電付与を受けた後、トナー担持体14上に薄層形成されたトナー層は、一様に潜像担持体10との対向部である現像部へ搬送される。
この現像部において、トナー担持体14上に薄層形成されたトナー層は、図1に示すように、電源27によってトナー担持体14と潜像担持体10の両者間に印加された直流バイアスによって、潜像担持体10上の静電潜像にトナー像として現像される。
なお、以上は現像方法および画像形成装置本体に着脱可能な現像装置からなるプロセスカートリッジに適用した場合について説明したが、画像形成装置本体内に固定され、トナーのみを補給するような構成の現像装置に適用してもよい。また、少なくとも上記現像装置を備え、必要に応じ感光ドラム、クリーニングブレード、廃トナー収容容器、帯電装置の全てを、あるいはいくつかを一体で形成し画像形成装置本体に対し着脱可能なプロセスカートリッジに適用してもよい。
更に、ブレード状のクリーニング部材を感光体に圧接配置するなどして転写されずに感光体上に残留したトナーをクリーニングする工程が存在する場合、クリーニング工程の前段階においてはクリーニングを容易にするために感光体表面を除電する除電工程を付加することが望ましい。
更に非磁性一成分系現像剤を用いる非磁性一成分非接触現像による画像形成方法および現像装置について図2に示す概略構成図に基づいて説明する。
現像装置170は、非磁性トナーとしての非磁性一成分系現像剤176を収容する現像容器171、現像容器171に収容されている一成分系非磁性現像剤176を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体172、現像剤担持体上に一成分系非磁性現像剤を
供給するための供給ローラー173、現像剤担持体上の現像剤層厚を規制するための現像剤層厚規制部材としての弾性ブレード174、現像容器171内の一成分系非磁性現像剤176を攪拌するための攪拌部材175を有している。
図中169は静電潜像を担持するための潜像担持体であり、潜像形成は図示しない電子写真プロセス手段または静電記録手段によりなされる。現像剤担持体172は現像スリーブを有し、該現像スリーブはアルミニウムあるいはステンレスからなる非磁性スリーブである。
現像スリーブは、アルミニウム、ステンレスの粗管をそのまま用いてもよいが、好ましくはその表面をガラスビーズで吹きつけて均一に荒らしたものや、鏡面処理したもの、あるいは樹脂でコートしたものがよい。なかでも、スリーブ表面を樹脂でコートする方法は、樹脂中に各種粒子を分散させることで、スリーブ表面荒さや導電性を調整することや、スリーブ表面に滑性を付与することが簡便に行えるため、好適に用いられる。
スリーブ表面をコートするのに用いられる樹脂および樹脂に添加される各種粒子については特に限定されるものではないが、樹脂としてはスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂及びポリイミド樹脂等の熱或いは光硬化性樹脂が好適に用いられる。
また、添加する各種粒子としてはPMMA、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、又はこれらの共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂粒子;ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;酸化チタン、酸化すず、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリ、酸化アンチモン及び酸化インジウム等の金属酸化物;アルミニウム、銅、銀及びニッケル等の金属、グラファイト、金属繊維及び炭素繊維等の無機系充填剤が好適に用いられる。
一成分系非磁性現像剤176は現像容器171に貯蔵されており、供給ローラー173によって現像剤担持体172上へ供給される。供給ローラー173はポリウレタンフォームの如き発泡材より成っており、現像剤担持体に対して、順または逆方向に0でない相対速度をもって回転し、現像剤の供給とともに、現像剤担持体172上の現像後の現像剤(未現像現像剤)のはぎ取りも行っている。現像剤担持体172上に供給された一成分系非磁性現像剤は現像剤層厚規制部材としての弾性ブレード174によって均一かつ薄層に塗布される。
弾性ブレード174と現像剤担持体172との当接圧力は、現像スリーブ母線方向の線圧として0.3〜25kg/m、好ましくは0.5〜12kg/mが有効である。当接圧力が0.3kg/mより小さい場合、一成分系非磁性現像剤の均一塗布が困難となり、一成分系非磁性現像剤の帯電量分布がブロードとなりカブリや飛散の原因となる。当接圧力が25kg/mを超えると、一成分系非磁性現像剤に大きな圧力がかかり、一成分系非磁性現像剤が劣化するため、一成分系非磁性現像剤の凝集が発生するなど好ましくない。また、現像剤担持体を駆動させるために大きなトルクを要するため好ましくない。即ち、当接圧力を0.3〜25kg/mに調整することで、本発明のトナーを用いた一成分系非磁性現像剤の凝集を効果的にほぐすことが可能になり、さらに一成分系非磁性現像剤の帯電量を瞬時に立ち上げることが可能になる。
弾性ブレードとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドの如きエラストマー;ステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体が使用でき、さらにそれらの複合体であっても使用できる。好ましくは、バネ弾性を有するSUSまたはリン青銅の金属薄板上にウレタン、シリコーン等のゴム材料やポリアミドエラストマー等の各種エラストマーを射出成型して設けたものが良い。
この非磁性一成分現像方法において、ブレードにより現像スリーブ上に一成分系非磁性現像剤を薄層コートする系においては、十分な画像濃度を得るために、現像スリーブ上の一成分系非磁性現像剤層の厚さを現像スリーブと潜像担持体との対抗間隙αよりも小さくし、この間隙に交番電場を印加することが好ましい。すなわち図に示す電源9(バイアス電源)により、現像スリーブ172と潜像担持体169との間に交番電場または交番電場に直流電場を重畳した現像バイアスを印加することにより、現像スリーブ上から像担持体上への一成分系非磁性現像剤の移動を容易にし、更に良質の画像を得ることができる。
本発明においては、潜像担持体169と現像剤担持体172との間隙αは、例えば50〜500μmに設定され、現像剤担持体上に担持される現像剤層の層厚は、例えば40〜400μmに設定されることが好ましい。
現像スリーブは潜像担持体に対し、100〜200%の周速で回転される。交番バイアス電圧は、ピークトゥーピークで0.1kV以上、好ましくは0.2〜3.0kV、更に好ましくは0.3〜2.0kVで用いるのが良い。交番バイアス周波数は、1.0〜5.0kHz、好ましくは1.0〜3.0kHz、更に好ましくは1.5〜3.0kHzで用いられる。交番バイアス波形は、矩形波、サイン波、のこぎり波、三角波の如き波形が適用できる。さらに、正、逆の電圧、時間の異なる非対称交流バイアスも利用できる。直流バイアスを重畳するのも好ましい。
次に非磁性トナーとしての本発明のトナーとキャリアとから構成される二成分現像剤を用いる現像方法を図3に示す概略構成図に基づいて説明する。
現像装置120は、二成分系現像剤128を収納する現像容器126、現像容器126に収納されている二成分系現像剤128を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体としての現像スリーブ121、現像スリーブ121上に形成される現像剤層の層厚を規制するための現像剤層厚規制手段としての現像ブレード127を有している。
現像スリーブ121は、非磁性のスリーブ基体122内にマグネット123を内包している。
現像容器126の内部は、隔壁130によって現像室(第1室)R1と攪拌室(第2室)R2と区画され、攪拌室R2の上方には隔壁130を隔ててトナー貯蔵室R3が形成されている。現像室R1及び攪拌室R2内には現像剤128が収容されており、トナー貯蔵室R3内には補給用トナー(非磁性トナー)129が収容されている。なお、トナー貯蔵室R3には補給口131が設けられ、補給口131を経て消費されたトナーに見合った量の補給用トナー129が攪拌室R2内に落下補給される。
現像室R1内には搬送スクリュー124が設けられており、この搬送スクリュー124の回転駆動によって現像室R1内の現像剤128は、現像スリーブ121の長手方向に向けて搬送される。同様に、貯蔵室R2内には搬送スクリュー125が設けられ、搬送スクリュー125の回転によって、補給口131からの攪拌室R2内に落下したトナーを現像スリーブ121の長手方向に沿って搬送する。
現像剤128は、非磁性トナーと磁性キャリアとを有した二成分系現像剤である。
現像容器126の感光ドラム119に近接する部位には開口部が設けられ、該開口部から現像スリーブ121が外部に突出し、現像スリーブ121と感光ドラム119との間には間隙が設けられている。非磁性材にて形成される現像スリーブ121には、バイアスを印加するためのバイアス印加手段132が配置されている。
スリーブ基体122に固定された磁界発生手段としてのマグネットローラー、即ち磁石123は、上述したように、現像磁極S1とその下流に位置する磁極N3と、現像剤128を搬送するための磁極N2、S2、N1とを有する。磁石123は、現像磁極S1が感光体ドラム119に対向するようにスリーブ基体122内に配置されている。現像磁極S1は、現像スリーブ121と感光ドラム119との間の現像部の近傍に磁界を形成し、該磁界によって磁気ブラシが形成される。
現像スリーブ121の上方に配置され、現像スリーブ121上の現像剤128の層厚を規制する現像剤層規制ブレード127は、アルミニウム、SUS316の如き非磁性材料で作製される。非磁性ブレード127の端部と現像スリーブ121面との距離Aは300〜1000μm、好ましくは400〜900μmである。この距離Aが300μmより小さいと、磁性キャリアがこの間につまり現像剤層にムラを生じやすいと共に、良好な現像を行うのに必要な現像剤を塗布することができず濃度の薄いムラの多い現像画像しか得られないという問題点がある。現像剤中に混在している不用粒子による不均一塗布(いわゆるブレードづまり)を防止するためには、400μm以上が好ましい。距離Aが1000μmより大きいと現像スリーブ121上へ塗布される現像剤量が増加し所定の現像剤層厚の規制が行えず、感光ドラム119への磁性キャリア粒子の付着が多くなると共に現像剤の循環、非磁性の現像剤層及び規制ブレード127による現像剤規制力が弱まりトナーのトリボが不足しカブリやすくなるという問題点がある。
この二成分系現像装置120の現像は、交番電界を印加しつつ、トナーと磁性キャリアとにより、構成される磁気ブラシを像担持体(例えば、感光体ドラム)119に接触している状態で現像を行う。この磁気ブラシと像担持体とが接触することによって、転写後、像担持体上に担持されている転写残トナーは、磁気ブラシに取り込まれ現像室R1に回収される。現像剤担持体(現像スリーブ)121と感光体ドラム119の距離(S−D間距離)Bは100〜1000μmであることがキャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好である。100μmより狭いと現像剤の供給が不十分になりやすく、画像濃度が低くなり、1000μmを越えると磁石S1からの磁力線が広がり磁気ブラシの密度が低くなり、ドット再現性に劣り、キャリアを拘束する力が弱まりキャリア付着が生じやすくなる。
交番電界のピーク間の電圧は500〜5000Vが好ましく、周波数は500〜10000Hz、好ましくは500〜3000Hzであり、それぞれプロセスに適宜選択して用いることができる。この場合、波形としては三角波、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形から選択して用いることができる。印加電圧が、500Vより低いと十分な画像濃度が得られにくく、非画像部のカブリトナーを良好に回収することができない場合がある。印加電圧が5000Vを超える場合には磁気ブラシを介して、静電像を乱してしまい、画質低下を招く場合がある。
良好に帯電したトナーを有する二成分系現像剤を使用することで、カブリ取り電圧(Vback)を低くすることができ、感光体の一次帯電を低めることができるために感光体寿命を長寿命化できる。Vbackは、現像システムにもよるが150V以下、より好ま
しくは100V以下が良い。
コントラスト電位としては、十分画像濃度が出るように200V〜500Vが好ましく用いられる。
周波数が500Hzより低いとプロセススピードにも関係するが、キャリアへの電荷注入が起こるためキャリア付着、あるいは潜像を乱すことで画質を低下させる場合がある。周波数が10000Hzを超えると電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
十分な画像濃度を出し、ドット再現性に優れ、かつキャリア付着のない現像を行うために、現像スリーブ121上の磁気ブラシの感光体ドラム119との接触幅(現像ニップC)を好ましくは3〜8mmにすることである。現像ニップCが3mmより狭いと十分な画像濃度とドット再現性を良好に満足することが困難であり、8mmより広いと、現像剤のパッキングが起き機械の動作を止めてしまう。またキャリア付着を十分に押さえることが困難になる。現像ニップの調整方法としては、現像剤規制部材127と現像スリーブ121との距離Aを調整したり、現像スリープ121と感光ドラム119との距離Bを調整することでニップ幅を適宜調整する。
上記の二成分系現像剤を用いる現像方式は、転写後に感光体ドラム上に残存する転写残トナーを、転写工程における転写部と帯電工程における帯電部との間及び帯電部と現像工程における現像部との間に、感光体ドラムの表面に当接するクリーニング部材を設けずに、現像工程において現像装置が回収する現像同時クリーニングを行うことができる。
現像同時クリーニング方式においては、潜像担持体の移動方向に対して、現像部、転写部及び帯電部の順で位置しており、転写部と帯電部との間及び帯電部と現像部との間に、潜像担持体の表面に当接して潜像担持体の表面に存在する転写残トナーを除去するためのクリーニング部材を有していない。
現像同時クリーニング方式を用いた画像形成方法について、現像工程において、トナーの帯電極性と潜像担持体の静電潜像の帯電極性が同極性で現像を行う反転現像を例に挙げて説明すると、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いた場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化された像を転写材に転写することになるが、転写材の種類(厚み、抵抗、誘電率の違い)と画像面積の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。それゆえ、現像時に一様にマイナス極性に帯電したトナー粒子が感光体表面に存在していても、現像方法として反転現像を用いた場合、マイナスに帯電された転写残余のトナーは、トナーの現像されるべき明部電位部には残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には残らず、現像電界の関係上、現像剤の磁気ブラシ又は現像剤担持体の方に引き寄せられ、残留しない。
上記いずれの画像形成方法および画像形成装置の場合においても、本発明のトナーを用いる場合は、該トナーが中間転写体を介して被転写体に転写される画像形成方法および画像形成装置であると、本発明のトナーの優れた転写効率およびクリーニング性のため望ましい。
これは、トナー中における結晶性ポリエステル、着色剤、ワックスなどの原材料の分散状態が均一であり、帯電性が高く、且つ帯電分布がシャープであるため、また、耐熱性、耐久性に優れるため長期間の使用および高温高湿環境下や低温低湿環境下での使用に際し
ても、転写効率が高く、且つ中間転写体へのトナーの融着なども抑制されるためであり、望ましい。
図4は、中間転写ドラムを用い中間転写ドラム上に一次転写された4色のカラートナー画像を記録材に一括して二次転写する際の二次転写手段として、転写ベルトを用いた画像形成装置の説明図である。
図4に示す装置システムにおいて、現像器244−1、244−2、244−3、244−4に、それぞれシアントナーを有する現像剤、マゼンタトナーを有する現像剤、イエロートナーを有する現像剤及びブラックトナーを有する現像剤が導入され、感光体241に形成された静電荷像を現像し、各色トナー像が感光体241上に形成される。感光体241はa−Se、Cds、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトである。感光体241は図示しない駆動装置によって矢印方向に回転される。
感光体241としては、アモルファスシリコン感光層、又は有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する、単一層型でもよく、又は、電荷輸送層と電荷発生層を成分とする機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
有機感光層の結着樹脂はポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性、クリーニング性が良く、クリーニング不良、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくい。
帯電工程では、コロナ帯電器を用いる感光体241とは非接触である方式と、ローラー等を用いる接触型の方式がありいずれのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のために図4に示す如く接触方式のものが好ましく用いられる。
帯電ローラー242は、中心の芯金242bとその外周を形成した導電性弾性層242aとを基本構成とするものである。帯電ローラー242は、感光体241面に押圧力をもって圧接され、感光体241の回転に伴い従動回転する。
帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラーの当接圧が5〜500g/cmで、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±1.5kVであり、直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2〜±5kVである。
この他の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
接触帯電手段としての帯電ローラー及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜をもうけても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
感光体上のトナー像は、電圧(例えば、±0.1〜±5kV)が印加されている中間転
写ドラム245に転写される。転写後の感光体表面は、クリーニングブレード248を有するクリーニング手段249でクリーニングされる。
中間転写ドラム245は、パイプ状の導電性芯金245bと、その外周面に形成した中抵抗の弾性体層245aからなる。導電性芯金245bは、プラスチックのパイプに導電性メッキをほどこしたものでも良い。
中抵抗の弾性体層245aは、シリコーンゴム、テフロン(登録商標)ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)などの弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化ケイ素の如き導電性付与材を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を105〜1011Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
中間転写ドラム245は感光体241に対して並行に軸受けさせて感光体241の下面部に接触させて配設してあり、感光体241と同じ周速度で矢印の反時計方向に回転する。
感光体241の面に形成担持された第1色のトナー像が、感光体241と中間転写ドラム245とが接する転写ニップ部を通過する過程で中間転写ドラム245に対する印加転写バイアスで転写ニップ域に形成された電界によって、中間転写ドラム245の外面に対して順次に中間転写されていく。
必要により、着脱自在なクリーニング手段280により、転写材へのトナー像の転写後に、中間転写ドラム245の表面がクリーニングされる。中間転写ドラム上にトナー像がある場合、トナー像を乱さないようにクリーニング手段280は、中間転写体表面から離される。
中間転写ドラム245に対して並行に軸受けさせて中間転写ドラム245の下面部に接触させて転写手段が配設され、転写手段247は例えば転写ローラー又は転写ベルトであり、中間転写ドラムと同じ周速度で矢印の時計方向に回転する。転写手段は直接中間転写ドラムと接触するように配設されていても良く、またベルト等が中間転写ドラムと転写手段との間に接触するように配置されても良い。
転写ローラーの場合、中心に芯金とその外周を形成した導電性弾性層とを基本構成とするものである。
中間転写ドラム及び転写ローラーとしては、一般的な材料を用いることが可能である。中間転写ドラムの弾性層の体積固有抵抗値よりも転写ローラーの弾性層の体積固有抵抗値をより小さく設定することで転写ローラーへの印加電圧が軽減でき、転写材上に良好なトナー像を形成できると共に転写材の中間転写体への巻き付きを防止することができる。特に中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値が転写ローラーの弾性層の体積固有抵抗値より10倍以上であることが特に好ましい。
中間転写ドラム及び転写ローラーの硬度は、JIS K−6301に準拠し測定される。本発明に用いられる中間転写ドラムは、10〜40度の範囲に属する弾性層から構成されることが好ましく、一方、転写ローラーの弾性層の硬度は、中間転写ドラムの弾性層の硬度より硬く41〜80度の値を有するものが中間転写ドラムへの転写材の巻き付きを防止する上で好ましい。中間転写ドラムと転写ローラーの硬度が逆になると、転写ローラー側に凹部が形成され、中間転写ドラムへの転写材の巻き付きが発生しやすい。
図4では中間転写ドラム245の下方には、転写ベルト247が配置されている。転写ベルト247は、中間転写ドラム245の軸に対して並行に配置された2本のローラー、すなわちバイアスローラー247aとテンションローラー247cに掛け渡されており、駆動手段(不図示)によって駆動される。転写ベルト247は、テンションローラー247c側を中心にしてバイアスローラー247a側が矢印方向に移動可能に構成されていることにより、中間転写ドラム245に対して下方から矢印方向に接離することができる。バイアスローラー247aには、二次転写バイアス源247dによって所望の二次転写バイアスが印加されており、一方、テンションローラー247cは接地されている。
次に、転写ベルト247であるが、本実施の形態では、熱硬化性ウレタンエラストマーにカーボンを分散させ厚さ約300μm、体積抵抗率108〜1012Ω・cm(1kV印加時)に制御した上に、フッ素ゴム20μm、体積抵抗率1015Ω・cm(1kV印加時)に制御したゴムベルトを用いた。その外径寸法は周長80×幅300mmのチューブ形状である。
上述の転写ベルト247は、前述のバイアスローラー247aとテンションローラー247cによって約5%延ばす張力印加がなされている。
転写手段247は中間転写ドラム245と等速度或は周速度に差をつけて回転させる。転写材246は中間転写ドラム245と転写手段247との間に搬送されると同時に、転写手段247にトナーが有する摩擦電荷と逆極性のバイアスを二次転写バイアス源247dから印加することによって、中間転写ドラム245上のトナー像が転写材246の表面側に転写される。
転写用回転体の材質としては、帯電ローラーと同様のものも用いることができ、好ましい転写のプロセス条件としては、ローラーの当接圧が5〜500g/cmで、直流電圧が±0.2〜±10kVである。
例えば、バイアスローラー247aの導電性弾性層247a1はカーボン等の導電材を分散させたポリウレタン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)等の体積抵抗106〜1010Ω・cm程度の弾性体でつくられている。芯金247a2には定電圧電源によりバイアスが印加されている。バイアス条件としては、±0.2〜±10kVが好ましい。
次いで転写材246は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵させた加熱ローラーとこれと押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラーとを基本構成とする定着器281へ搬送され、加熱ローラーと加圧ローラー間を通過することによってトナー像が転写材に加熱加圧定着される。フィルムを介してヒータにより定着する方法を用いても良い。
本発明において、図1に示す画像形成装置を構成する部材としては例えば次のようなものが用いられる。現像ローラーとして使用できる材料としては、弾性ローラーの構成としては、導電性基体上に弾性層、及び好ましくは比較的高抵抗層を設けたものが用いられる。ローラー弾性層としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ポリウレタンゴム、エポキシゴム、ブチルゴム、シリコーンゴムなどのゴム又はスポンジや、スチレン−ブタジエンサーモプラスチックエラストマー、ポリウレタン系サーモプラスチックエラストマー、ポリエステル系サーモプラスチックエラストマー、エチレン−酢酸ビニルサーモプラスチックエラストマー等のサーモプラスチックエラストマーなどで形成することができ、導電層としては、体積 抵抗率が109Ωcm以下で、望ましくは103Ωcm以上である。
導電性を制御する手段としては、カーボン・アルミニウム・ニッケル・酸化チタンなどの導電性粒子を分散する方法、4級アンモニウム塩・過塩素酸リチウムなどを含有させイオン導電性を利用する方法が挙げられる。
比較的高抵抗層としては、例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素系樹脂、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、シリコーンアクリルなどのシリコーン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−12、ナイロン−46、アラミド類などのポリアミド系樹脂、PETなどのポリエステル系樹脂、PEやPPなどのポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、メラミン系樹脂、スチロール系樹脂、ポリメタクリル酸エステルなどのアクリル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、フェノール系樹脂などが適宜抵抗調整の上使用できる。
本発明に用いられる感光体の感光層は、単層または積層構造を有する。単層構造の場合、感光層はキャリアを生成する電荷発生材料とキャリアを輸送する電荷輸送材料とを共に含有する。積層構造の場合、キャリアを生成する電荷発生材料を含有する電荷発生層と、キャリアを輸送する電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とが積層されて感光層が構成される。表面層を形成するのは電荷発生層または電荷輸送層どちらの場合もある。
単層感光層は5〜100μmの厚さが好ましく、特には10〜60μmであることが好ましい。また、電荷発生材料や電荷輸送材料を層の全質量に対し20〜80質量%含有することが好ましく、特には30〜70質量%であることが好ましい。単層感光層は、前記電荷発生材料、電荷輸送材料以外にバインダー樹脂を含有し、必要に応じて紫外線吸収剤や酸化防止剤、その他の添加剤等を含有することができる。
積層感光層においては、電荷発生層の膜厚は0.001〜6μmであることが好ましく、特には0.01〜2μmであることが好ましい。電荷発生材料の含有量は層の全質量に対し10〜100質量%であることが好ましく、特には40〜100質量%であることが好ましい。電荷発生層は電荷発生材料のみで構成される場合もあるが、それ以外の場合には上記バインダー樹脂等を含有することができる。電荷輸送層の膜厚は5〜100μmであることが好ましく、特には5〜19μmであることが好ましい。電荷輸送材料の含有量は20〜80質量%であることが好ましく、特には30〜70質量%であることが好ましい。電荷輸送層は電荷輸送材料以外にバインダー樹脂を含有し、上記同様のその他任意成分を含有することができる。
本発明に用いられる感光体は、上述の様に感光層の上に保護層を積層してもよい。保護層の膜厚は、0.01〜20μmであることが好ましく、特には0.1〜10μmであることが好ましい。保護層は通常バインダー樹脂に電荷発生材料または電荷輸送材料や、金属およびその酸化物、窒化物、塩、合金、更にはカーボン等の導電材料等が分散された構成を有する。保護層に用いるバインダー樹脂、電荷発生材料、電荷輸送材料としては、上記感光層に用いられる材料と同様のものが挙げられる。
本発明に用いられる感光体に用いられる導電性支持体は、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン、スズ、アンチモン、インジウム、鉛、亜鉛、金および銀等の金属や合金、あるいはそれらの酸化物やカーボン、導電性樹脂等が使用可能である。形状は円筒形、ベルト状やシート状のものがある。また、前記導電性材料は、成型加工される場合もあるが、塗料として塗布したり、蒸着してもよい。なお、本例に用いられている導電性支持体は、直径約30mmの円筒形のものである。
また、上述の様に導電性支持体と感光層との間に、下引層を設けてもよい。下引層は主
にバインダー樹脂からなるが、前記導電性材料やアクセプター性の化合物を含有してもよい。下引層を形成するバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ボリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリアリルエーテル、ポリアセタール、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂およびブチラール樹脂等が挙げられる。
さらに、上述の様に導電性支持体と感光層との間に、導電層を設けてもよい。感光体が下引層と導電層を共に有する場合には、通常、導電性支持体、導電層、下引層、感光層の順に積層される。導電層は、一般的には、上記下引層に用いられるのと同様なバインダー樹脂に前記導電性材料が分散された構成を有する。
本発明に用いられる感光体を製造する方法としては、通常、導電性支持体上に下引層、感光層および保護層等を、蒸着や塗布等で積層する方法が用いられる。塗布にはバーコーター、ナイフコーター、ロールコーター、アトライター、スプレー、浸漬塗布、静電塗布および粉体塗布等が用いられる。また、上記下引層、感光層および保護層等を塗布法により形成させるには、各層毎にその構成成分を、有機溶媒等に溶解、分散させた溶液、分散液等を上記の方法により塗布した後、溶媒を乾燥等によって除去すればよい。あるいは、反応硬化型のバインダー樹脂を用いる場合には、各層の構成成分を樹脂原料成分および必要に応じて添加される適当な有機溶媒等に溶解、分散させた溶液、分散液等を上記の方法により塗布した後、例えば、熱や光等により樹脂原料を反応硬化させ、さらに必要に応じて溶媒を乾燥等によって除去すればよい。
感光体接触帯電部材としては、ローラーまたはブレードの場合は、導電性基体として、鉄、銅、ステンレス等の金属、カーボン分散樹脂、金属あるいは金属酸化物分散樹脂などが用いられ、その形状としては棒状、板状等が使用できる。例えば、弾性ローラーの構成としては、導電性基体上に弾性層、導電層、抵抗層を設けたものが用いられ、ローラー弾性層としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ポリウレタンゴム、エポキシゴム、ブチルゴムなどのゴム又はスポンジや、スチレン−ブタジエンサーモプラスチックエラストマー、ポリウレタン系サーモプラスチックエラストマー、ポリエステル系サーモプラスチックエラストマー、エチレン−酢ビサーモプラスチックエラストマー等のサーモプラスチックエラストマーなどで形成することができ、導電層としては、体積抵抗率を107Ω・cm以下、望ましくは106Ω・cm以下である。例えば、金属蒸着膜、導電性粒子分散樹脂、導電性樹脂等が用いられ、具体例としては、アルミニウム、インジウム、ニッケル、銅、鉄等の蒸着膜、導電性粒子分散樹脂の例としては、カーボン、アルミニウム、ニッケル、酸化チタンなどの導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂中に分散したものなどが挙げられる。導電性樹脂としては、4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。抵抗層は、例えば、体積抵抗率が106〜1012Ω・cmの層であり、半導性樹脂、導電性粒子分散絶縁樹脂等を用いることができる。半導性樹脂としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、共重合ナイロン、ポリビニルヒドリン、カゼイン等の樹脂が用いられる。導電性粒子分散樹脂の例としては、カーボン、アルミニウム、酸化インジウム、酸化チタンなどの導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチル等の絶縁性樹脂中に少量分散したものなどが挙げられる。
帯電部材としてのブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものが用いられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。
また導電材としては、これも一般に知られている導電材が使用可能であり、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀等の金属あるいは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の金属酸化物、さらにはカーボンブラック等の導電粉が挙げられる。なおこれら導電粉は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。ブラシの形状としては、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当り1.5×107〜4.5×108本程度)のものが好ましく用いられる。
本発明の画像形成方法においては感光体接触帯電部材としてはローラーであると帯電の均一性に優れているので望ましい。
本発明において、カブリの測定は、画像形成装置として後述の評価機を用い、常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃、湿度80%RH)および低温低湿環境下(L/L:温度10℃、湿度10%RH)にて印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久10000枚印字後に各環境下において6日間放置し、その後の1枚目の画像サンプルのカブリ量を東京電色社製のREFLECT METER MODELTC−6DSを使用して測定し、下記式より算出した。数値が小さい程、カブリが少ない。カブリ量が2%以下を実用上問題無しとした。耐久試験に用いた転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
カブリ量(%)=(プリントアウト前の白色度)−(プリント後の記録材の非画像形成部(白地部)の白色度)
本発明において、ボタ落ちは常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃、湿度80%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久10000枚印字後、各環境下に6日間放置し、その後1枚目の画像サンプルについて目視にて評価した。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
A:全く発生せず
B:画像上に1つ存在
C:画像上に2〜3つ存在するが実用上問題無し
D:発生し、実用上問題あり
本発明において、画像濃度低下は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃、湿度80%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久5000枚目及び8000枚目の画像サンプルについて東京電色社製のREFLECT METER MODELTC−6DSを使用して濃度を測定し、その濃度差を評価した。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。A:濃度低下なし
B:濃度低下が0.02以下
C:濃度低下が0.03以上0.05以下
D:濃度低下が0.06以上0.07以下
E:濃度低下が0.08以上0.10以下
F:濃度低下が0.11以上
本発明において、ベタ画像均一性は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃、湿度6
0%RH)、低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて連続印字で耐久試験を行い、10枚目と4000枚目の画像を印字した直後および4000枚印字後7日間各環境下に放置した後に、それぞれ全面ベタチャートを1枚印字し、画像評価を行った。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
画像サンプルについて以下のように評価した
A :全面に均一にトナーが転写され着色されている
B :画像先端から50mm以降において濃度の薄い個所が部分的に存在する
C :画像先端から50mm以降においてトナーが紙に転写されておらず紙の地肌が露出している箇所が存在する
本発明において、画像ムラは常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃、湿度80%RH)および低温低湿環境
下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて連続印字で6000枚印字後、2日間各環境下にて放置し、その後の1枚目のハーフトーン画像について評価を行った。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
評価画像としては、全面に50%濃度のハーフトーン画像を印字している画像を用いた。
画像サンプルについて以下のように評価した
A :画像上にムラは全く無い
B :画像上に軽微にムラが存在するが、実用上問題ない
C :画像上にムラが存在し、実用上問題あり
本発明において、初期画像濃度は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)、低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて連続印字で耐久試験を行い、耐久試験前および耐久試験10枚目、100枚目の画像を印字した直後において、それぞれ全面ベタチャートを1枚印字し、各画像の画像濃度を測定した。画像サンプルの濃度については東京電色社製のREFLECT METER MODELTC−6DSを使用して濃度を測定した。画像濃度が1.20以上の場合を実用上問題無しとした。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
A:濃度1.30以上
B:濃度1.25以上1.29以下
C:濃度1.20以上1.24以下
D:濃度1.15以上1.19以下
E:濃度1.14以下
本発明において、定着性は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)、低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて後述の評価機を用い、マシンおよびトナーを充填したカートリッジが環境になじんだ状態(該環境下に24時間放置後)から電源を入れウェイトアップ直後に200μm幅の横線パターン(横幅200μm、間隔200μm)をプリントアウトし、50枚目のプリント画像を定着性の評価に用いた。
定着性の評価は画像をシルボン紙で5往復100g荷重でこすり、画像のはがれを反射濃度の低下率(%)の平均で評価した。
評価には表面平滑度10〔sec〕以下のボンド紙を用いた。以下に評価基準を示す。A:濃度低下率3%未満
B:濃度低下率3%以上5%未満
C:濃度低下率5%以上10%未満
D:濃度低下率10%以上15%未満
E:濃度低下率15%以上20%未満
本発明において、耐オフセット性は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)にて後述の評価機を用い、マシンおよびトナーを充填したカートリッジが環境になじんだ状態(該環境下に24時間放置後)から電源を入れウェイトアップ直後に全面ベタ画像を100枚プリントアウトし、その画像サンプルについて評価を行った。
評価にはOHPフィルム(CG3700、住友スリーエム株式会社製)を用いた。以下に評価基準を示す。
A:オフセットは全く発生せず
B:オフセットは極軽微に発生したが実用上問題無し(かつ発生枚数1枚)
C:オフセットは極軽微に発生したが実用上問題無し(かつ発生枚数2枚)
D:オフセットは極軽微に発生したが実用上問題無し(かつ発生枚数3〜4枚)
E:オフセットが発生し、実用上問題あり
本発明において、現像剤担持体およびトナー層規制部材へのトナーの融着や固着は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃、湿度80%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久8000枚目の画像サンプルについて目視にて評価した。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
A:全く発生せず
B:軽微に発生したが実用上問題無し
C:発生し、実用上問題あり
本発明において、フィルミングは常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)、低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて連続印字にて耐久試験を行い、初期から耐久2000枚目の画像サンプルについて目視にて評価した。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
A:全く発生せず
B:極軽微に発生したが実用上問題無し
C:軽微に発生したが実用上問題無し
D:発生し、実用上問題あり
本発明において、クリーニング性は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)、低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃、湿度80%RH)にて後述の評価機を用い、印字率2%で連続4000枚プリントアウトし、クリーニング性と画質を目視にて評価した。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。(クリーニングが良好なものはA、不良なもの、即ち、ブレードの弾性が低下し、トナーがすり抜けることにより画像に黒い横スジが軽微に発生したが、実用上問題の無いものはB、発生し、実用上問題のあるものはCで示した。)
本発明において、転写効率は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃、湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃、湿度80%RH)にて後述の評価機を用い、印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐
久10000枚印字後、各環境下において2日間放置した後において潜像担持体から中間転写体(1次転写)および中間転写体から転写材(2次転写)への転写効率を測定した。転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
転写効率の算出方法は以下の通りである。
[転写効率]
10cm2のベタ画像を感光体上に形成し、感光体上のトナーの量(W1)と、転写後の紙上のトナーの量(W2)を用い、両者の比:W2/W1×100(%)より算出した。
耐久試験終了後に、画像面積比5%の帯状ベタ画像の画像形成を行い、その際の転写前のトナー画像におけるトナー量(単位面積あたり)と、転写後のトナー量(単位面積あたり)を測定し、その値から以下のようにして転写効率を算出した。尚、画像形成は、1次転写評価用と2次転写評価用として、それぞれ1枚ずつ行った。
1次転写効率(%)
={(中間転写体上のトナー量)/(感光体上の転写前のトナー量)}×100
2次転写効率(%)
={(転写材上のトナー量)/(中間転写体上のトナー量)}×100
評価方法は以下の基準に基づき、耐久後の転写効率で判断した。
A:92%以上
B:88%〜92%未満
C:84%〜88%未満
D:84%未満
以下、発明を実施例により具体的に説明するがこれは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の実施例等における「部」は「質量部」である。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例1〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ セバシン酸 : 230質量部
・ フマル酸 : 30質量部
・ 1、4−シクロヘキサンジメタノール: 140質量部
・ ジブチル錫オキサイド :0.80質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で5時間反応を行い、その後210℃で1.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例2〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ セバシン酸 : 230質量部
・ 1、4−シクロヘキサンジメタノール: 145質量部
・ トリメリット酸 : 5質量部
・ ジブチル錫オキサイド :0.80質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で5時間反応を行い、その後220℃で1.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂2を得た。得られた結
晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例3〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ セバシン酸 : 240質量部
・ 1、4−シクロヘキサンジメタノール: 145質量部
・ テトラブチルチタネート :0.85質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で5時間反応を行い、その後220℃で1.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂3を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例4〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ セバシン酸 : 240質量部
・ 1、4−シクロヘキサンジメタノール: 145質量部
・ トリメリット酸 : 5質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.80質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で5時間反応を行い、その後220℃で1.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂4を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例5〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ セバシン酸ジメチル : 200質量部
・ セバシン酸 : 50質量部
・ 1、4−シクロヘキサンジメタノール: 145質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.45質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で8時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で3.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂5を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例6〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ アジピン酸 : 240質量部
・ トリエチレングリコール : 155質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム:0.70質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で6時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で1.0時間反応して結晶性ポリエステル樹脂6を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例7〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートク
レープ中に、
・ コハク酸 : 140質量部
・ ヘキサメチレングリコール: 120質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム:0.70質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で6時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で1.0時間反応して結晶性ポリエステル樹脂7を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例8〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ 1、10−デカンジカルボン酸: 245質量部
・ トリエチレングリコール : 155質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.85質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で6時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で1.0時間反応して結晶性ポリエステル樹脂8を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例9〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ 1、10−デカンジカルボン酸 : 210質量部
・ 1、10−デカンジカルボン酸ジメチル: 50質量部
・ トリエチレングリコール : 155質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.40質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で6時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で1.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂9を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例10〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ コハク酸 : 105質量部
・ アジピン酸 : 30質量部
・ トリエチレングリコール : 155質量部
・ トリメリット酸 : 5質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム:0.70質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で6時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で1.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂10を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例11〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ コハク酸ジメチル : 50質量部
・ コハク酸 : 95質量部
・ トリエチレングリコール : 75質量部
・ テトラメチレングリコール: 60質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム:0.65質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で7時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で2.0時間反応して結晶性ポリエステル樹脂11を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例12〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ セバシン酸 : 240質量部
・ 1、4−シクロヘキサンジメタノール: 145質量部
・ トリメリット酸 : 2質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.80質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で5時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で0.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂12を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例13〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ セバシン酸 : 200質量部
・ アジピン酸 : 35質量部
・ 1、4−シクロヘキサンジメタノール: 110質量部
・ ジエチレングリコール : 35質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.75質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で5時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で1.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂13を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例14〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ セバシン酸 : 210質量部
・ コハク酸ジメチル : 15質量部
・ 1、10−デカンジカルボン酸: 25質量部
・ トリエチレングリコール : 120質量部
・ ジエチレングリコール : 35質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.60質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で5時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で1.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂14を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔結晶性ポリエステル樹脂製造例15〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ セバシン酸ジメチル : 250質量部
・ 1、4−シクロヘキサンジメタノール: 145質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.45質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で200℃で8時間反応を行い、その後更に10〜20mmHgの減圧下で220℃で3.5時間反応して結晶性ポリエステル樹脂15を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性は表1に示す。
〔非晶性ポリエステル樹脂製造例1〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に
・ テレフタレート : 20質量部
・ イソフタレート : 20質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物: 59質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド3モル付加物: 37質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.025質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で22時間反応を行い、更に10〜20mmHgの減圧下で2時間反応させた。その後、190℃に降温し、無水トリメリット酸を1.5質量部添加して、190℃で1.5時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂の物性は表2に示す。
〔非晶性ポリエステル樹脂製造例2〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ テレフタル酸 : 21質量部
・ イソフタル酸 : 21質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物: 87.5質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド3モル付加物: 25.5質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.030質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で18時間反応を行い、更に10〜20mmHgの減圧下で1時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂2を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂の物性は表2に示す。
〔非晶性ポリエステル樹脂製造例3〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ テレフタル酸 : 21質量部
・ イソフタル酸 : 21質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物: 89.5質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド3モル付加物: 23.0質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.030質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で15時間反応を行い、更に10〜20mmHgの減圧下で1時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂3を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂の物性は表2に示す。
〔非晶性ポリエステル樹脂製造例4〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ テレフタル酸 : 24質量部
・ イソフタル酸 : 24質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物: 87.5質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド3モル付加物: 20.5質量部
・ ビスフェノールA−エチレンオキサイド2モル付加物 : 2.5質量部
・ ネオペンチルグリコール : 1質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.035質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で210℃で23時間反応を行い、その後シュウ酸チタン酸カリウムを0.005質量部追加し、220℃で1.0時間反応させ、更に10〜20mmHgの減圧下で1.5時間反応させた。その後、180℃に降温し、無水トリメリット酸を0.10質量部添加して、180℃で1.5時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂4を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂の物性は表2に示す。
〔非晶性ポリエステル樹脂製造例5〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、
・ テレフタル酸 : 21質量部
・ イソフタル酸 : 21質量部
・ ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物: 120質量部
・ シュウ酸チタン酸カリウム :0.030質量部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で15時間反応を行い、更に10〜20mmHgの減圧下で0.5時間反応させ、その後、180℃に降温し、無水トリメリット酸を0.01質量部添加して、180℃で1.5時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂5を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂の物性は表2に示す。
〔スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂製造例1〕
攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管の付いた2Lフラスコにトルエン100部、メタノール350部、スチレン470部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸40部、アクリル酸−2−エチルヘキシル70部、メタクリル酸ベンジル20部、ラウリルパーオキサイド10部を仕込み、攪拌、窒素導入下65℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、イソプロピルアルコールで洗浄後、40℃で96時間減圧乾燥後、ハンマーミルにて粗砕し、該粗砕物を更に40℃で48時間減圧乾燥した。スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1を製造した。得られた樹脂の物性は、Mw=24000、Tg=67℃、残存モノマー=350ppmであった。
尚、得られたスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1
の酸価は、20mgKOH/gであった。
〔スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂製造例2〕
攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管の付いた2Lフラスコにトルエン300部、メタノール150部、スチレン470部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸40部、アクリル酸−2−エチルヘキシル70部、メタクリル酸ベンジル20部、ラウリルパーオキサイド7部仕込み、攪拌、窒素導入下65℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、40℃で減圧乾燥後、ハンマーミルにて粗砕し、該粗砕物を更に40℃で48時間減圧乾燥した。スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂2を製造した。得られた樹脂の物性は、Mw=40000、樹脂Tg=68℃、残存モノマー=380ppmであった。
尚、得られたスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂2の酸価は、18mgKOH/gであった。
〔スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂製造例3〕
攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管の付いた2Lフラスコにトルエン100部、メタノール350部、スチレン470部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸50部、アクリル酸−2−エチルヘキシル60部、メタクリル酸ベンジル20部、ラウリルパーオキサイド10部を仕込み、攪拌、窒素導入下65℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出し、イソプロピルアルコールで洗浄後、40℃で96時間減圧乾燥後、ハンマーミルにて粗砕し、該粗砕物を更に40℃で48時間減圧乾燥した。スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1を製造した。得られた樹脂の物性は、Mw=20000、Tg=66℃、残存モノマー=360ppmであった。
尚、得られたスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂3の酸価は、24mgKOH/gであった。
〔疎水性シリカ製造例1〕
シリカ(AEROSIL 200CF、日本アエロジル製)100部をヘキサメチルジシラザン10部で処理して疎水性シリカ1を得た。一次粒子径は12nm、疎水化度=70であった。
〔疎水性シリカ製造例2〕
シリカ(AEROSIL 200CF、日本アエロジル製)をメチルフェニルシリコーンオイル20部で処理して疎水性シリカ2を得た。一次粒子径は12nm、疎水化度=97であった。
〔疎水性シリカ製造例3〕
シリカ(AEROSIL 200CF、日本アエロジル製)をγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10部で処理して疎水性シリカ3を得た。一次粒子径は12nm、疎水化度=70であった。
〔疎水性シリカ製造例4〕
シリカ(AEROSIL 200CF、日本アエロジル製)をヘキサメチルジシラザン10部およびメチルフェニルシリコーンオイル15部で処理して疎水性シリカ5を得た。一次粒子径は12nm、疎水化度=97であった。
〔疎水性シリカ製造例5〕
シリカ(AEROSIL 380、日本アエロジル製)をヘキサメチルジシラザン20部で処理して疎水性シリカ5を得た。一次粒子径は7nm、疎水化度=70であった。
〔疎水性酸化チタン製造例1〕
酸化チタン(P25、日本アエロジル製)100部をトルエン中においてγ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン20部で処理した後濾過、乾燥して疎水性酸化チタン1を得た。一次粒子径は25nm、疎水化度=60であった。
(参考例1)
<分散媒>
反応容器中のイオン交換水1000質量部に、リン酸ナトリウム14質量部ならびに10%塩酸を4.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に7.8質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
<重合性単量体組成物>
・スチレン 48質量部
・ 着色剤(C.I.ピグメントレッド 122/C.I.ピグメントレッド 57=1/1) 7質量部
・ 荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
上記材料をアトライター分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に
・スチレン 16質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・結晶性ポリエステル樹脂1 1.5質量部
・非晶性ポリエステル樹脂1 2.5質量部
・離型剤 No.5(融点=70℃) 9質量部
を加えた。
別容器中で上記材料を66℃に保温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤t−ブチルパーオキシラウレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルL」、分子量:272、10時間半減期温度:98.3℃、活性酸素量:5.24%)3.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで5分間攪拌し、pH5.8で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ65℃で6時間、さらに90℃に昇温し、6時間反応させた。
重合反応終了後、61.8℃まで1時間で冷却し、61.8℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷し、その後10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間攪拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄する。上記
と同様にそのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、減圧乾燥し、その後風力分級し、マゼンタ着色粒子を得た。
得られたマゼンタ着色粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ5を2.0質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー1を得た。得られたトナー1の物性等については表4−1に記載した。
(参考例2)
着色剤をC.I.ピグメントブルー15:3に変更した以外は参考例1と同様にして、
外添剤を有するトナー2を得た。得られたトナー2の物性等については表4−1に記載した。
(参考例3)
着色剤をC.I.ピグメントイエロー17に変更した以外は参考例2と同様にして、外添剤を有するトナー3を得た。得られたトナー3の物性等については表4−1に記載した。
(参考例4)
着色剤をカーボンブラックに変更した以外は参考例2と同様にして、外添剤を有するトナー4を得た。得られたトナー4の物性等については表4−1に記載した。
(参考例5)
重合開始剤をα、α'ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(日本油脂社製、商品名「パークミルBF」、分子量:535、10時間半減期温度:35.9℃、活性酸素量:2.99%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー5を得た。得られたトナー5の物性等については表4−1に記載した。
(参考例6)
重合開始剤をクミルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パークミルND」、分子量:306、10時間半減期温度:36.5℃、活性酸素量:3.65%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー6を得た。得られたトナー6の物性等については表4−1に記載した。
(参考例7)
重合開始剤を1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーオクタND」、分子量:300、10時間半減期温度:40.7℃、活性酸素量:3.72%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー7を得た。得られたトナー7の物性等については表4−1に記載した。
(参考例8)
重合開始剤を1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーシクロND」、分子量:313、10時間半減期温度:41.4℃、活性酸素量:3.58%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー8を得た。得られたトナー8の物性等については表4−1に記載した。
(参考例9)
重合開始剤をt−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルND」、分子量:272、10時間半減期温度:44.5℃、活性酸素量:4.11%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー9を得た。得られたトナー9の物性等については表4−1に記載した。
(参考例10)
重合開始剤をt−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーブチル355」、分子量:230、10時間半減期温度:97.1℃、活性酸素量:6.74%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー10を得た。得られたトナー10の物性等については表4−1に記載した。
(参考例11)
重合開始剤をt−ブチルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーブチルND」、分子量:244、10時間半減期温度:46.4℃、活性酸素量:4.59%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー11を得た。得られたトナー11の物性等については表4−1に記載した。
(参考例12)
重合開始剤をt−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃、活性酸素量:5.54%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー12を得た。得られたトナー12の物性等については表4−1に記載した。
(参考例13)
重合開始剤をt−ブチルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルPV」、分子量:174、10時間半減期温度:54.6℃、活性酸素量:6.43%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー13を得た。得られたトナー13の物性等については表4−1に記載した。
(参考例14)
重合開始剤を1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーオクタO」、分子量:272、10時間半減期温度:65.3℃、活性酸素量:5.28%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー14を得た。得られたトナー14の物性等については表4−1に記載した。
(参考例15)
重合開始剤をt−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルO」、分子量:244、10時間半減期温度:69.9℃、活性酸素量:5.990%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー15を得た。得られたトナー15の物性等については表4−1に記載した。
(参考例16)
重合開始剤をt−ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「
パーブチルO」、分子量:216、10時間半減期温度:72.1℃、活性酸素量:7.18%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー16を得た。得られたトナー16の物性等については表4−1に記載した。
(参考例17)
重合開始剤をt−ブチルパーオキシイソブチレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルIB」、分子量:160、10時間半減期温度:77.3℃、活性酸素量:7.39%)に変更した以外は参考例1と同様にして、外添剤を有するトナー17を得た。得られたトナー17の物性等については表4−1に記載した。
(参考例18)
<樹脂粒子分散液1の調製>
・スチレン 75質量部
・nブチルアクリレート 25質量部
・アクリル酸 3質量部
・結晶性ポリエステル樹脂1 2質量部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2質量部をイオン交換水120質量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム1.5質量部を溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った後、t−ブチルパーオキシラウレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルL」、分子量:272、10時間半減期温度:98.3℃、活性酸素量:5.24%)1.0質量部を5分間ゆっくり撹拌しながら更に添加した。その後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が0.29μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液1を調製した。
<樹脂粒子分散液2の調製>
・スチレン 40質量部
・nブチルアクリレート 58質量部
・ジビニルベンゼン 0.03質量部
・アクリル酸 3質量部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2質量部をイオン交換水120質量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム0.9質量部を溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が0.31μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液2を調製した。
<樹脂粒子分散液3の調製>
・スチレン 73質量部
・nブチルアクリレート 25質量部
・ジビニルベンゼン 0.25質量部
・アクリル酸 3質量部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.2質量部をイオン交換水120質量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム0.9質量部を溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が0.31μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液3を調製した。
<着色剤粒子分散液1の調製>
・C.I.ピグメントレッド122 20質量部
・アニオン性界面活性剤 3質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この着色剤粒子分散液1における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
<離型剤粒子分散液の調製>
・離型剤 No.5(融点=70℃) 50質量部
・アニオン性界面活性剤 7質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200質量部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が0.5μmである離型剤を分散させてなる離型剤粒子分散液を調製した。
<帯電制御粒子分散液の調製>
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 5質量部
(帯電制御剤、ボントロンE−84、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 3質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78質量部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この帯電制御粒子分散液1における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる帯電制御粒子の平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
<混合液調製>
・樹脂粒子分散液1 280質量部
・樹脂粒子分散液2 100質量部
・着色剤分散液1 40質量部
・離型剤分散液 70質量部
以上を、撹拌装置、冷却管、温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液を1N−水酸化カリウムを用いてpH=5.2に調整した。
<凝集粒子形成>
この混合液に凝集剤として、8%塩化ナトリウム水溶液150質量部を滴下し、加熱用オイルバス中でフラスコ内を撹拌しながら55℃まで加熱した。この温度の時、樹脂粒子分散液3を3質量部と帯電制御剤粒子分散液を10質量部とを加えた。55℃で2時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が約3.3μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
<融着工程>
その後、ここにアニオン製界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3質量部を追加した後、ステンレス製フラスコ中で磁力シールを用いて撹拌を継続しながら95℃まで加熱し、4.5時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、45℃で流動層乾燥を行い、スプレードライヤーで200〜300℃の気相中に分散させることより形状を調整し、マゼンタ着色粒子を得た。
得られたマゼンタ着色粒子100質量部と、疎水性シリカ1を2.5質量部、疎水性シリカ5を1.0質量部、疎水性酸化チタン1を0.05質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー18を得た。得られたトナー18の物
性等については表4−1に記載した。
(参考例19)
<トナーバインダーの合成>
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物660部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物100部、テレフタル酸290部およびジブチルチンオキサイド2.5部を入れ、常圧で220℃で12時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で6.5時間反応した後、190℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート180部と2時間反応を行い、イソシアネート含有プレポリマー(1)を得た。次いでプレポリマー(1)267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量65000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物624部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物100部、テレフタル酸138部、イソフタル酸138部を常圧下、230℃で5時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5.5時間反応して、ピーク分子量6300の変性されていないポリエステル(a)を得た。ウレア変性ポリエステル(1)250部と変性されていないポリエステル(a)630部と結晶性ポリエステル樹脂1を100部、スチレンを20部とをテトラヒドロフラン溶剤2000部に溶解、混合し、トナーバインダー(1)のテトラヒドロフラン溶液を得た。
<トナーの作成>
ビーカー内に前記のトナーバインダー(1)のテトラヒドロフラン溶液240部、C.I.ピグメントレッド122顔料4部、t−ブチルパーオキシラウレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルL」、分子量:272、10時間半減期温度:98.3℃、活性酸素量:5.24%)1.0質量部を入れ、55℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させた。ビーカー内にイオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.17部を入れ均一に溶解した。ついで55℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投
入し10分間攪拌した。ついでこの混合液を攪拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、マゼンタ着色粒子を得た。
得られたマゼンタ着色粒子100質量部と、疎水性シリカ5を2.5質量部、疎水性酸化チタン1を0.5質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー19を得た。得られたトナー19の物性等については表4−1に記載した。
(参考例20)
結晶性ポリエステル樹脂1を結晶性ポリエステル樹脂2に変更し、重合反応終了後、63.1℃まで1時間で冷却し、63.1℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷した以外は参考例10と同様にして、外添剤を有するトナー20を得た。得られたトナー20の物性等については表4−1に記載した。
(参考例21)
結晶性ポリエステル樹脂1を結晶性ポリエステル樹脂3に変更し、重合反応終了後、63.3℃まで1時間で冷却し、63.3℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷した以外は参考例10と同様にして、外添剤を有するトナー21を得た。得られたトナー21の物性等については表4−1に記載した。
(参考例22)
結晶性ポリエステル樹脂1を結晶性ポリエステル樹脂4に変更し、重合反応終了後、64.1℃まで1時間で冷却し、64.1℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷した以外は参考例10と同様にして、外添剤を有するトナー22を得た。得られたトナー22の物性等については表4−1に記載した。
(参考例23)
重合開始剤をt−ブチルパーオキシイソブチレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルIB」、分子量:160、10時間半減期温度:77.3℃、活性酸素量:7.39%)に変更した以外は参考例22と同様にして、外添剤を有するトナー23を得た。得られたトナー23の物性等については表4−1に記載した。
(参考例24)
重合開始剤をt−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルO」、分子量:244、10時間半減期温度:69.9℃、活性酸素量:5.90%)に変更した以外は参考例23と同様にして、外添剤を有するトナー24を得た。得られたトナー24の物性等については表4−1に記載した。
(参考例25)
結晶性ポリエステル樹脂4を結晶性ポリエステル樹脂5に変更し、重合反応終了後、95℃まで1時間で冷却し、95℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷した以外は参考例24と同様にして、外添剤を有するトナー25を得た。得られたトナー25の物性等については表4−1に記載した。
(参考例26)
結晶性ポリエステル樹脂4を結晶性ポリエステル樹脂15に変更し、重合反応終了後、95℃まで1時間で冷却し、95℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷した以外は参考例24と同様にして、外添剤を有するトナー26を得た。得られたトナー26の物性等については表4−1に記載した。
(参考例27)
結晶性ポリエステル樹脂4を結晶性ポリエステル樹脂6に変更し、重合反応終了後、63.1℃まで1時間で冷却し、63.1℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷した以外は参考例24と同様にして、外添剤を有するトナー27を得た。得られたトナー27の物性等については表4−1に記載した。
(参考例28)
結晶性ポリエステル樹脂4を結晶性ポリエステル樹脂7に変更し、重合反応終了後、95℃まで1時間で冷却し、95℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷した以外
は参考例24と同様にして、外添剤を有するトナー28を得た。得られたトナー28の物性等については表4−1に記載した。
(参考例29)
結晶性ポリエステル樹脂4を結晶性ポリエステル樹脂8に変更し、重合反応終了後、91.7℃まで1時間で冷却し、91.7℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷した以外は参考例24と同様にして、外添剤を有するトナー29を得た。得られたトナー29の物性等については表4−1に記載した。
(参考例30)
結晶性ポリエステル樹脂4を結晶性ポリエステル樹脂9に変更し、重合反応終了後、94.3℃まで1時間で冷却し、94.3℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷した以外は参考例24と同様にして、外添剤を有するトナー30を得た。得られたトナー30の物性等については表4−1に記載した。
(参考例31)
結晶性ポリエステル樹脂の添加量を25質量部に変更した以外は参考例28と同様にして、外添剤を有するトナー31を得た。得られたトナー31の物性等については表4−1に記載した。
(参考例32)
結晶性ポリエステル樹脂の添加量を19質量部に変更した以外は参考例28と同様にして、外添剤を有するトナー32を得た。得られたトナー32の物性等については表4−1に記載した。
(参考例33)
結晶性ポリエステル樹脂の添加量を4質量部に変更した以外は参考例28と同様にして、外添剤を有するトナー33を得た。得られたトナー33の物性等については表4−2に記載した。
(参考例34)
結晶性ポリエステル樹脂7を結晶性ポリエステル樹脂10に、該結晶性ポリエステル樹脂の添加量を10質量部にし、重合反応終了後、96.7℃まで1時間で冷却し、96.7℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷するように変更した以外は参考例28と同様にして、外添剤を有するトナー34を得た。得られたトナー34の物性等については表4−2に記載した。
(参考例35)
結晶性ポリエステル樹脂10を結晶性ポリエステル樹脂11に変更し、重合反応終了後、95℃まで1時間で冷却し、95℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷した以外は参考例34と同様にして、外添剤を有するトナー35を得た。得られたトナー35の物性等については表4−2に記載した。
(参考例36)
結晶性ポリエステル樹脂10を結晶性ポリエステル樹脂12に変更し、重合反応終了後、66.8℃まで1時間で冷却し、66.8℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷したした以外は参考例34と同様にして、外添剤を有するトナー36を得た。得られたトナー36の物性等については表4−2に記載した。
(参考例37)
結晶性ポリエステル樹脂10を結晶性ポリエステル樹脂13に変更し、重合反応終了後、73.9℃まで1時間で冷却し、73.9℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷したした以外は参考例34と同様にして、外添剤を有するトナー37を得た。得られたトナー37の物性等については表4−2に記載した。
(参考例38)
重合開始剤を1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーオクタO」、分子量:272、10時間半減期温度:65.3℃、活性酸素量:5.28%)に変更した以外は参考例37と同様にして、外添剤を有するトナー38を得た。得られたトナー38の物性等については表4−2に記載した。
(実施例39)
重合開始剤をt−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルND」、分子量:272、10時間半減期温度:44.5℃、活性酸素量:4.11%)に変更した以外は参考例37と同様にして、外添剤を有するトナー39を得た。得られたトナー39の物性等については表4−2に記載した。
(実施例40)
重合開始剤をt−ブチルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーブチルND」、分子量:244、10時間半減期温度:46.4℃、活性酸素量:4.59%)に変更した以外は参考例37と同様にして、外添剤を有するトナー40を得た。得られたトナー40の物性等については表4−2に記載した。
(実施例41)
重合開始剤をt−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃、活性酸素量:5.54%)に変更した以外は参考例37と同様にして、外添剤を有するトナー41を得た。得られたトナー41の物性等については表4−2に記載した。
(実施例42)
重合開始剤をt−ブチルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルPV」、分子量:174、10時間半減期温度:54.6℃、活性酸素量:6.43%)に変更した以外は参考例37と同様にして、外添剤を有するトナー42を得た。得られたトナー42の物性等については表4−2に記載した。
(実施例43)
離型剤 No.5を植物蝋(株式会社 加藤洋行製、商品名=「カルナウバ1号」、融点=83℃)に変更した以外は実施例42と同様にして、外添剤を有するトナー43を得た。得られたトナー43の物性等については表4−2に記載した。
(実施例44)
離型剤 No.5を合成ワックス(シューマン・サゾ−ル社製、商品名=「サゾ−ルA2」、融点=101℃)に変更した以外は実施例42と同様にして、外添剤を有するトナー44を得た。得られたトナー44の物性等については表4−2に記載した。
(実施例45)
離型剤 No.5をパラフィンワックス(日本精鑞社製、商品名=「HNP−9」、融点=76℃)に変更した以外は実施例42と同様にして、外添剤を有するトナー45を得た。得られたトナー45の物性等については表4−2に記載した。
(実施例46)
離型剤 No.5を合成ワックス(シューマン・サゾ−ル社製、商品名=「サゾ−ルSPRAY30」、融点=98℃)に変更した以外は実施例42と同様にして、外添剤を有するトナー46を得た。得られたトナー46の物性等については表4−2に記載した。
(実施例47)
離型剤 No.5を白蝋(エヌエスケミカル有限会社製、商品名=「精製白蝋A」、融点=53.3℃)に変更した以外は実施例42と同様にして、外添剤を有するトナー47を得た。得られたトナー47の物性等については表4−2に記載した。
(参考例48)
非晶性ポリエステル樹脂1を非晶性ポリエステル樹脂2に変更し、重合反応終了後、63.1℃まで1時間で冷却し、63.1℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷した以外は実施例46と同様にして、外添剤を有するトナー48を得た。得られたトナー48の物性等については表4−2に記載した。
(実施例49)
結晶性ポリエステル樹脂13を結晶性ポリエステル樹脂14に変更し、重合反応終了後、87.8℃まで1時間で冷却し、87.8℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷したした以外は参考例48と同様にして、外添剤を有するトナー49を得た。得られたトナー49の物性等については表4−2に記載した。
(実施例50)
非晶性ポリエステル樹脂2を非晶性ポリエステル樹脂3に変更し、重合反応終了後、63.3℃まで1時間で冷却し、63.3℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷したしたした以外は実施例49と同様にして、外添剤を有するトナー50を得た。得られたトナー50の物性等については表4−2に記載した。
(実施例51)
<分散媒>
反応容器中のイオン交換水1000質量部に、リン酸ナトリウム18質量部ならびに10%塩酸を4.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に10.1質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
<重合性単量体組成物>
・スチレン 48質量部
・ 着色剤(C.I.ピグメントレッド 122/C.I.ピグメントレッド 57=1/1) 7質量部
・ 荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
上記材料をアトライター分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に
・スチレン 16質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・結晶性ポリエステル樹脂14 10質量部
・非晶性ポリエステル樹脂1 2.5質量部
・合成ワックス(シューマン・サゾ−ル社製、商品名=「サゾ−ルSPRAY30」、融点=98℃) 6質量部
・スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1
1.0質量部
を加えた。
別容器中で上記材料を66℃に保温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤t−ヘキシルパーオキ
シネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルND」、分子量:272、10時間半減期温度:44.5℃、活性酸素量:4.11%)3.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで5分間攪拌し、pH5.8で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ65℃で6時間、さらに90℃に昇温し、6時間反応させた。
重合反応終了後、87.8℃まで1時間で冷却し、87.8℃で1時間保持した後、室温まで反応容器を急冷し、その後10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間攪拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、減圧乾燥し、その後風力分級し、マゼンタ着色粒子を得た。
得られたマゼンタ着色粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ1を1.5質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー51を得た。得られたトナー51の物性等については表4−2に記載した。
(実施例52〜54)
スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1をスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂2に変え、且つ非晶性ポリエステル樹脂1を表3に記載された通りに非晶性ポリエステル樹脂1〜3にした以外は実施例51と同様にして、外添剤を有するトナー52〜54を得た。得られたトナー52〜54の物性等については表4−2に記載した。
(実施例55〜57)
スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1をスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂3に変え、且つ非晶性ポリエステル樹脂1を表3に記載された通りにポリエステル樹脂1〜3にした以外は実施例51と同様にして、外添剤を有するトナー55〜57を得た。得られたトナー55〜57の物性等については表4−2に記載した。
(実施例58)
スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1をスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂2に変え、非晶性ポリエステル樹脂1を非晶性ポリエステル樹脂4に変えた以外は実施例51と同様にして、外添剤を有するトナー58を得た。得られたトナー58の物性等については表4−2に記載した。
(実施例59)
重合開始剤t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルND」、分子量:272、10時間半減期温度:44.5℃、活性酸素量:4.11%)の添加量を4.0質量部に変更した以外は実施例51と同様にして、外添剤を有するトナー59を得た。得られたトナー59の物性等については表4−2に記載した。
(実施例60)
重合開始剤t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーヘ
キシルND」、分子量:272、10時間半減期温度:44.5℃、活性酸素量:4.11%)の添加量を5.0質量部に変更した以外は実施例51と同様にして、外添剤を有するトナー60を得た。得られたトナー60の物性等については表4−2に記載した。
(実施例61)
重合開始剤t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルND」、分子量:272、10時間半減期温度:44.5℃、活性酸素量:4.11%)の添加量を5.5質量部に変更した以外は実施例51と同様にして、外添剤を有するトナー61を得た。得られたトナー61の物性等については表4−2に記載した。
(実施例62)
重合開始剤t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルND」、分子量:272、10時間半減期温度:44.5℃、活性酸素量:4.11%)の添加量を6.0質量部に変更した以外は実施例51と同様にして、外添剤を有するトナー62を得た。得られたトナー62の物性等については表4−2に記載した。
(実施例63)
重合開始剤t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルND」、分子量:272、10時間半減期温度:44.5℃、活性酸素量:4.11%)の添加量を2.0質量部に変更した以外は実施例51と同様にして、外添剤を有するトナー63を得た。得られたトナー63の物性等については表4−2に記載した。
(実施例64)
非晶性ポリエステル樹脂1を非晶性ポリエステル樹脂5に、スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1をスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂2に、疎水性シリカ1を疎水性シリカ2に変更した以外は実施例51と同様にして、外添剤を有するトナー64を得た。得られたトナー64の物性等については表4−2に記載した。
(実施例65)
非晶性ポリエステル樹脂1を非晶性ポリエステル樹脂5に、スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1をスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂2に、疎水性シリカ1を疎水性シリカ3にし、且つハイドロタルサイトB(表8)をステアリン酸5質量部で処理したもの(粒子径:350nm、BET比表面積:70m2/g)0.05質量部もともに加えた以外は実施例51と同様にして、外添剤を有するトナー65を得た。得られたトナー65の物性等については表4−2に記載した。
(実施例66)
非晶性ポリエステル樹脂1を非晶性ポリエステル樹脂5に、スルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂1をスルホン酸もしくはスルホン酸塩基、スルホン酸エステルを有する樹脂2に、疎水性シリカ1を疎水性シリカ4に変更した以外は実施例51と同様にして、外添剤を有するトナー66を得た。得られたトナー66の物性等については表4−2に記載した。
(比較例1)
<分散媒>
反応容器中のイオン交換水1000質量部に、リン酸ナトリウム14質量部ならびに10%塩酸を4.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交
換水10質量部に7.8質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
<重合性単量体組成物>
・スチレン 48質量部
・ 着色剤(C.I.ピグメントレッド 122/C.I.ピグメントレッド 57=1/1) 7質量部
・ 荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
上記材料をアトライター分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に
・スチレン 16質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・非晶性ポリエステル樹脂1 2.5質量部
・離型剤 No.5(融点=70℃) 9質量部
を加えた。
別容器中で上記材料を66℃に保温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤t−ブチルパーオキシラウレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルL」、分子量:272、10時間半減期温度:98.3℃、活性酸素量:5.28%)3.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで5分間攪拌し、pH5.8で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ65℃で6時間、さらに90℃に昇温し、6時間反応させた。
重合反応終了後、室温まで10時間で冷却し、その後10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間攪拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、減圧乾燥し、その後風力分級し、マゼンタ着色粒子を得た。
得られたマゼンタ着色粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ5を2.0質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー67を得た。得られたトナー67の物性等については表4−2に記載した。
(比較例2)
<分散媒>
反応容器中のイオン交換水1000質量部に、リン酸ナトリウム14質量部ならびに10%塩酸を4.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に7.8質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括
投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
<重合性単量体組成物>
・スチレン 48質量部
・ 着色剤(C.I.ピグメントレッド 122/C.I.ピグメントレッド 57=1/1) 7質量部
・ 荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
上記材料をアトライター分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に
・スチレン 16質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・結晶性ポリエステル樹脂1 1.5質量部
・非晶性ポリエステル樹脂1 2.5質量部
・離型剤 No.5(融点=70℃) 9質量部
を加えた。
別容器中で上記材料を66℃に保温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤ラウロイルパーオキサイド(日本油脂社製、商品名「パーロイルL」、分子量:399、10時間半減期温度:61.6℃、活性酸素量:3.93%)3.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで5分間攪拌し、pH5.8で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ65℃で6時間、さらに90℃に昇温し、6時間反応させた。
重合反応終了後、室温まで10時間で冷却し、その後10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間攪拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、減圧乾燥し、その後風力分級し、マゼンタ着色粒子を得た。
得られたマゼンタ着色粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ5を2.0質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー68を得た。得られたトナー68の物性等については表4−2に記載した。
(比較例3)
<分散媒>
反応容器中のイオン交換水1000質量部に、リン酸ナトリウム14質量部ならびに10%塩酸を4.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に7.8質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括
投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
<重合性単量体組成物>
・スチレン 48質量部
・ 着色剤(C.I.ピグメントレッド 122/C.I.ピグメントレッド 57=1/1) 7質量部
・ 荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
上記材料をアトライター分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に
・スチレン 16質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・結晶性ポリエステル樹脂1 1.5質量部
・非晶性ポリエステル樹脂1 2.5質量部
・離型剤 No.5(融点=70℃) 9質量部
を加えた。
別容器中で上記材料を66℃に保温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤ジターシャリーブチルパーオキサイド(日本油脂社製、商品名「パーブチルD」、分子量:146、10時間半減期温度:123.7℃、活性酸素量:10.72%)3.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで5分間攪拌し、pH5.8で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ65℃で6時間、さらに90℃に昇温し、6時間反応させた。
重合反応終了後、室温まで10時間で冷却し、その後10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間攪拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、減圧乾燥し、その後風力分級し、マゼンタ着色粒子を得た。
得られたマゼンタ着色粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ5を2.0質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー69を得た。得られたトナー69の物性等については表4−2に記載した。
(比較例4)
<分散媒>
反応容器中のイオン交換水1000質量部に、リン酸ナトリウム14質量部ならびに10%塩酸を4.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に7.8質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括
投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
<重合性単量体組成物>
・スチレン 48質量部
・ 着色剤(C.I.ピグメントレッド 122/C.I.ピグメントレッド 57=1/1) 7質量部
・ 荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
上記材料をアトライター分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に
・スチレン 16質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・結晶性ポリエステル樹脂1 1.5質量部
・非晶性ポリエステル樹脂1 2.5質量部
・離型剤 No.5(融点=70℃) 9質量部
を加えた。
別容器中で上記材料を66℃に保温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日本油脂社製、商品名「パーブチルI」、分子量:176、10時間半減期温度:98.7℃、活性酸素量:8.62%)3.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで5分間攪拌し、pH5.8で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ65℃で6時間、さらに90℃に昇温し、6時間反応させた。
重合反応終了後、室温まで10時間で冷却し、その後10%塩酸を加えpH=2とした状態で2時間攪拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、減圧乾燥し、その後風力分級し、マゼンタ着色粒子を得た。
得られたマゼンタ着色粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ5を2.0質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー70を得た。得られたトナー70の物性等については表4−2に記載した。
(比較例5)
<分散媒>
反応容器中のイオン交換水1000質量部に、リン酸ナトリウム14質量部ならびに10%塩酸を4.5質量部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10質量部に7.8質量部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括
投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
<重合性単量体組成物>
・スチレン 48質量部
・ 着色剤(C.I.ピグメントレッド 122/C.I.ピグメントレッド 57=1/1) 7質量部
・ 荷電制御剤(オリエント:ボントロンE−88) 0.20質量部
上記材料をアトライター分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に
・スチレン 16質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・結晶性ポリエステル樹脂1 1.5質量部
・非晶性ポリエステル樹脂1 2.5質量部
・離型剤 No.5(融点=70℃) 9質量部
を加えた。
別容器中で上記材料を66℃に保温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂社製、商品名「パーブチルZ」、分子量:194、10時間半減期温度:104.3℃、活性酸素量:8.08%)3.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで5分間攪拌し、pH5.8で造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ65℃で6時間、さらに90℃に昇温し、6時間反応させた。
重合反応終了後、室温まで10時間で冷却し、その後10%塩酸を加えpH=2とした
状態で2時間攪拌しながら分散安定剤を溶解させる。そのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄する。得られたケーキを再び、1000質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpH=1以下とした状態で2時間攪拌しながら、再洗浄する。上記と同様にそのエマルションを加圧濾過しさらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、充分通気をした後、減圧乾燥し、その後風力分級し、マゼンタ着色粒子を得た。
得られたマゼンタ着色粒子100質量部に、まず疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、次に疎水性シリカ5を2.0質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、外添剤を有するトナー71を得た。得られたトナー71の物性等については表4−2に記載した。
(評価方法)
市販のLBP−3700(接触現像方式、且つ中間体転写体を介する方式)(キヤノン株式会社製)のプロセススピードを100mm/sに改造し、評価機とした。また、その
市販のマゼンタカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー規制部材の表面にラミネートされている樹脂フィルムを剥がし、トナー担持体を適宜付け替え、本発明のトナーを100g充填し、その他のシアン、イエロー、ブラックのカートリッジについては製品トナーを抜いて各ステーションに挿入して、評価を行った。実施例39〜47、及び49〜66、参考例1〜38及び48、並びに比較例1〜5についての評価結果を表5−1、5−2、6−1、6−2、7−1及び7−2に示す。