JP5348992B2 - 弾性履帯 - Google Patents
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Description
そこで、土木工事用弾性履帯のラグ間を狭めてラグを密に配し、ラグの接地面の面圧を低くして緑化管理用のトラックローダーに使用することが考えられる。なお、これとは手段が異なるが、走行時に牧草地が荒れるのを防止するためのゴム製のクローラベルトが特許文献1に開示されている。
ラグのうち、長ラグにおける弾性履帯幅方向両端部に面取りを行って牧草地の荒れを防止するものであるが、依然剛性は低く、これを土木工事用走行車両に装着した場合には、走行車両からの脱落を防止することができない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、土木工事用クローラ式走行車両および緑化管理用クローラ式走行車両のいずれにもこれら車両の機能を損なうことなく装着可能な弾性履帯を提供することを目的とする。
好ましくは、前記2種類以上のラグにおける接地端面の総面積が、前記履帯本体を前記周方向と前記幅方向との直交する2つの方向で規定される仮想平面に投影したときの面積に対して40%以上である。
以下の説明において、クローラ式走行車両に装着されたときにおける弾性履帯1の接地側を「外周側」といい、接地側の反対側を「内周側」という。また、クローラ式走行車両が走行するときに弾性履帯1が循環する方向を「周方向」、このときの周方向に直交し、かつクローラ式走行車両の転輪等の回転軸に平行な方向を「幅方向」というものとする。
等からなる。
芯金2は、金属等の硬質材料によって形成される。芯金2は、全体として略長い芯金本体11および1対の突起部12,12からなる。
履帯本体3は、肉厚帯状のゴムの両端が接合されて無端帯状に形成されたものである。履帯本体3は、埋め込まれた隣り合う芯金2,2の間における幅方向の中央に、内周側と外周側とを貫通する係合孔15,…,15を備えている。係合孔15は、弾性履帯1が装着されるクローラ式走行車両の駆動輪の爪に係合されて、駆動輪の回転により弾性履帯1を循環運動させるためのものである。
履帯本体3の外周側には、幅方向中央を通り幅方向に直交して周方向に拡がる面に対して面対称となるように、幅方向両側に第1ラグ4a,…,4a、第2ラグ4b,…,4bおよび補助ラグ5…,5が設けられている。なお、第1ラグ4aに対して幅方向反対側には第2ラグ4bが配されるので、幅方向両側で第1ラグ4a,4a同士が面対称に配されてはいないが、後に説明するように、第1ラグ4aおよび4a、第2ラグ4bは面対称の形状を有するので、弾性履帯1は、形状のみに着目すれば、その幅方向において第1ラグ4a,…,4a、第2ラグ4b,…,4bおよび補助ラグ5…,5が面対称に配されているといえる。これは、後に説明する弾性履帯1B,1C,1Dにおいても同様である。
第1ラグ4aは、芯金2における幅方向(弾性履帯1においては周方向)の一方の側の端縁(折り曲げ部14)に、周方向において重なる位置に設けられる。第1ラグ4aは、幅方向中央側から端側に向けて並ぶ、第1中央側ブロック41a、第1中ブロック41bおよび第1端側ブロック41cで形成される。第1中央側ブロック41a、第1中ブロック41bおよび第1端側ブロック41cは、1つのラグを幅方向に並ぶ3つのブロックに分割したものであり、それぞれの周方向断面の形状は略同一である。
を有する。
さて、弾性履帯1は、緑化管理用クローラ式走行車両に装着可能なように、第1ラグ4a、第2ラグ4bを、その接地端面43a〜43c,44a〜44cが芯金2の端縁を含む一部に周方向において重なるように接近させて配して、第1ラグ4aおよび第2ラグ4bの間に補助ラグ5の配置を可能にし、ラグ頂面積Lを大きくする(L/S≧0.40)ことにより、接地端面の(単位面積当たりの)面圧を低下させている。
また、弾性履帯1には、芯金2の翼部13におけるその幅方向両側の端近傍の、第1ラグ4aおよび第2ラグ4bに重なる部分に、折り曲げ部14,14が設けられている。芯
金2にこの折り曲げ部14,14を設けることにより、弾性履帯1は、走行時に主たるラグである第1ラグ4aおよび第2ラグ4bに加わる走行面からの反力により履帯本体3に生ずる応力を、折り曲げ部14,14で分散することができ、応力集中に起因して履帯本体3に生ずるクラックを防止することができる。
次に、図4を参照して、弾性履帯1の特徴について説明する。
弾性履帯1において、第1ラグ4aと第2ラグ4bとの間の溝底17は、幅方向に略一定の深さで続く。第1ラグ4aと補助ラグ5との間における溝底18は、第1端側ブロック41cと端側ブロック51bとの間(18a)で、幅方向端縁に近づくにつれてさらに徐々に深く(D2)なっている。同様に、第2ラグ4bと補助ラグ5との間の溝底19も、第2端側ブロック42cと端側ブロック51bとの間で、幅方向端縁に近づくに伴い深く(D2)なっている。
上に説明した弾性履帯1は、装着されたクローラ式走行車両が、例えば芝等の上を走行する場合に、接地端面の総面積が大きいために単位面積当たりの芝等に加わる圧力(面圧)が低下し、芝切れ等の緑地の破損を回避することができる。
また、弾性履帯1は、芯金2の折り曲げ部14,14と抗張体6との間に硬度の低いゴムRsが使用されていることにより、このようなゴムRsが使用されていない場合に比べてゴムに生じる応力が分散される。
ガイドおよび弾性履帯のテンションを強く維持するための装置等、足回りに特別の配慮が必要であり、クローラ式走行車両の製造コストが増加するという問題があった。
弾性履帯1は、上に説明したように、適度な屈曲性と剛性とを有し、土木工事用のクローラ式走行車両に特別な装置を追加する必要がないためにクローラ式走行車両の製造コストの増加を強いることがなく、既存の土木工事用のクローラ式走行車両にも装着することが可能である。
弾性履帯1Bにおいてその基本的構造等が弾性履帯1におけるものと略同一の構成を有するものは説明を省略し、図5において弾性履帯1における符合と同一の符合を付す。
弾性履帯1Bは、芯金2,2、履帯本体3、第1ラグ4Ba,4Ba、第2ラグ4Bb,4Bb、および1対の抗張体6等からなる。
第1ラグ4Ba,4Baおよび第2ラグ4Bb,4Bbは、いずれも幅方向において係合孔の外方横近傍から周方向に直交して幅方向の端縁に向けて延びている。
第1ラグ4Ba,4Baおよび第2ラグ4Bb,4Bbは、履帯本体3の外周側に、いずれも弾性履帯1における第1ラグ4aおよび第2ラグ4bと同様に、幅方向中央を通り幅方向に直交して周方向に拡がる面に対して、両側に面対称に設けられている。
第1ラグ4Baおよび第2ラグ4Bbは、その各接地端面43Bb,44Bbの総面積Lが、履帯本体3を周方向と幅方向との直交する2つの方向で規定される仮想平面に投影したときの面積S(係合孔面積除く)の40%以上となるように設計されるのが好ましい。
弾性履帯1Bにおいても、芯金2は折り曲げ部14,14を有しており、折り曲げ部14,14は、芯金2における幅方向両側の端近傍の所定の幅の部分が、内周側に曲げ角度θで折り曲げられている。所定の幅として、翼部13全体の幅に対して略3分の1〜5分の1が好ましい。また、曲げ角度θは、10度以上45度以下が好ましい。
弾性履帯1Bは、芯金2の翼部13におけるその幅方向両側の端近傍の、第1ラグ4Baおよび第2ラグ4Bbに重なる部分に折り曲げ部14,14を設けることにより、走行時に第1ラグ4Baおよび第2ラグ4Bbに加わる走行面からの反力により履帯本体3に生ずる応力を、折り曲げ部14,14で分散することができ、応力集中に起因するクラックが履帯本体3に生ずるのを防止することができる。
底の歪みを低減させる。これらのことから、弾性履帯1Bは、第1ラグ4Baおよび第2ラグ4Bbの接地端面43Bb,44Bbの総面積を増加させることができ、緑化管理用および土木工事用のいずれのクローラ式走行車両にも装着できる。
弾性履帯1Cにおいてその基本的構造等が弾性履帯1におけるものと略同一の構成を有するものはその説明を省略し、図6および図7において弾性履帯1における符合と同一の符合を付す。
履帯本体3は、その幅方向両端近傍における外周側の表面が、曲面となって端縁に向かうほど履帯本体3の厚さを減少させている。
第1ラグ群7Ca,7Ca、第2ラグ群7Cb,7Cbおよび第3ラグ群7Cc,7Ccは、いずれも2つのラグで構成される。このそれぞれを構成するラグを、第1下位ラグ71Ca,71Cb、第2下位ラグ72Ca,72Cbおよび第3下位ラグ73Ca,73Cbというものとする。
第2ラグ群7Cbおよび第3ラグ群7Ccは、それぞれの第1ラグ群7Caに近い側の第1下位ラグ72Cbおよび第2下位ラグ73Caが周方向において芯金2に重なる。
第1ラグ群7Ca、第2ラグ群7Cbおよび第3ラグ群7Ccは、その各接地端面の総面積Lが、履帯本体3を周方向と幅方向との直交する2つの方向で規定される仮想平面に
投影したときの面積S(係合孔面積除く)の40%以上となるように設計されるのが好ましい。
折り曲げ部14C,14Cの所定の幅として、翼部13全体の幅に対して略3分の1〜5分の1が好ましい。折り曲げ部14C,14Cは、全体が円筒の側壁状に湾曲されており、その外周側の湾曲表面の曲率半径Crは、10mm以上50mm以下であることが好ましい。
弾性履帯1Cは、折り曲げ部14C,14Cを有することにより、芯金2と抗張体6との間により多くのゴムを介在させることができ、屈曲性を向上させて走行車両への装着を容易にし、かつラグ端のラグ底の歪みを低減させる。
図8は他の弾性履帯1Dを接地側から見た図、図9は図8におけるE−E矢視断面図、図10は図8におけるF−F矢視断面図である。
弾性履帯1Dは、芯金2,2、履帯本体3D、第1ラグ4Da,…,4Da、第2ラグ4Db,…,4Db、中間ラグ8D,…,8Dおよび1対の抗張体6,6等からなる。
芯金本体11における長手方向の両端から中央に向けて一定の長さが板状の翼部13,13となっており、翼部13の幅方向両側の端近傍の所定の幅の部分が、突起部12が突出する側、すなわち弾性履帯1Dにおける内周側に曲げ角度θで折り曲げられた折り曲げ部14,14となっていることは、弾性履帯1における芯金2と同じである。所定の幅は、翼部13の幅に対して略3分の1〜5分の1とするのが好ましく、折り曲げ部14の曲げ角度は、10度以上45度以下とするのが好ましい。
履帯本体3Dは、図9を参照して、その外周側における幅方向の端縁近傍が、端縁に向かうにつれて履帯本体3Dの厚みを減少させる湾曲面(ラウンドショルダー)22D,22Dとなっている。
対して、面対称となるように設けられている。
第1ラグ4Da,…,4Da、第2ラグ4Db,…,4Dbおよび中間ラグ8D…,8Dは、いずれも幅方向において係合孔15の外方横近傍から周方向に直交して幅方向の端縁に向けて延びている。
第1ラグ4Da、第2ラグ4Dbおよび中間ラグ8Dは、それぞれの接地端面47Da,47Db,47Dcの主要部分の(弾性履帯1Dの周方向における)幅が略同じである。
第1ラグ4Daと第2ラグ4Dbとの間の溝底17Dは、第1ラグ4Daと中間ラグ8Dとの間の溝底18Dおよび第2ラグ4Dbと中間ラグ8Dとの間の溝底19Dよりも浅い位置とされている。溝底17Dは、周方向において芯金2に重なり、溝底18Dおよび溝底19Dは、周方向において芯金2に重ならない。
上述の実施形態において、弾性履帯1,1B,1C,1Dのいずれかが有する構成を他の弾性履帯に適用することができる。例えば、弾性履帯1において、芯金2の折り曲げ部14,14と抗張体6との間に、転輪走行帯16を形成するゴムRhよりも硬度の低いゴムRsが使用されるが、この構成を弾性履帯1Bだけではなく、弾性履帯1C,1Dに適用することができる。弾性履帯1,1B,1C,1Dにおいて、硬度の低いゴムRsを、折り曲げ部14,14の外周側だけでなく、芯金2と抗張体6との間に使用してもよい。
これらの構成は、それぞれが独立してまたは他の構成と協働して、弾性履帯1,1B,1C,1Dを緑化管理用および土木工事用のいずれのクローラ式走行車両にも装着可能とするために寄与する。
2 芯金
3,3D 履帯本体
4a,4Ba,4Da ラグ(第1ラグ)
4b,4Bb,4Db ラグ(第2ラグ)
5 ラグ(補助ラグ)
6 抗張体
7Ca ラグ群(第1ラグ群)
7Cb ラグ群(第2ラグ群)
7Cc ラグ群(第3ラグ群)
8D ラグ(中間ラグ)
13 翼部
14,14C 端縁の近傍(折り曲げ部)
16 転輪走行帯
22D 履帯本体の外周側端縁近傍の湾曲面
43a 接地端面(第1中央側ブロックの接地端面)
43b 接地端面(第1中ブロックの接地端面)
43c 接地端面(第1端側ブロックの接地端面)
44a 接地端面(第2中央側ブロックの接地端面)
44b 接地端面(第2中ブロックの接地端面)
44c 接地端面(第2端側ブロックの接地端面)
47Da 接地端面(第1ラグの接地端面)
47Db 接地端面(第2ラグの接地端面)
47Dc 接地端面(中間ラグの接地端面)
52a 接地端面(中側ブロックの接地端面)
52b 接地端面(端側ブロックの接地端面)
71Ca,71Cb 第1下位ラグ
72Ca,72Cb 第2下位ラグ
73Ca,73Cb 第3下位ラグ
75 溝(第1ラグ群と第2ラグ群とを区画する溝)
76 溝(第1ラグ群と第3ラグ群とを区画する溝)
77 溝(第2ラグ群と第3ラグ群とを区画する溝)
78 溝(第2下位ラグを区画する溝)
79 溝(第3下位ラグを区画する溝)
L 接地端面の総面積
S (履帯本体の)投影面積
Claims (4)
- ゴムにより無端帯状に形成された履帯本体と、
その長手方向両側にそれぞれ板状の翼部を備え前記履帯本体の周方向に間隔を有して前記履帯本体に埋め込まれた複数の芯金と、
前記翼部よりも前記履帯本体の外周側に配され前記履帯本体の幅方向両側に埋め込まれた1対の抗張体と、
前記履帯本体の外周側の表面から突出し前記履帯本体の幅方向両側においてそれぞれ前記周方向に繰り返し配される2種類以上のラグと、で形成され、
前記履帯本体は、その内周側に、装着を予定されるクローラ式走行車両の転輪が走行する転輪走行帯を備えており、
前記芯金における前記翼部は、
前記周方向の両端縁が前記2種類以上のラグのいずれかの突出端における接地端面と前記周方向において重なる位置に配され、かつ前記両端縁の近傍がいずれも前記幅方向にわたり前記抗張体から離れる方向に折り曲げられまたは円筒の側壁状に湾曲されており、
前記周方向に隣り合う前記ラグを区画する複数種の溝のうち1種または2種の前記溝は、前記芯金と前記周方向において重なる位置に配され、
他の種の前記溝は、前記芯金と前記周方向において重ならない位置に配され、
前記芯金と前記周方向において重なる位置に配された溝が、前記芯金と前記周方向において重ならない位置に配された溝よりもその深さが浅く、
前記翼部における前記抗張体から離れる方向に折り曲げられまたは円筒の側壁状に湾曲された前記両端縁の近傍と前記抗張体との間に使用されたゴムが、前記転輪走行帯を形成するゴムよりも硬度が低い
ことを特徴とする弾性履帯。 - 前記翼部における前記両端縁から前記翼部の幅に対して5分の1〜3分の1の範囲は、
10度以上45度以下の曲げ角度で折り曲げられ、または外周側の湾曲表面の曲率半径が10mm以上50mm以下の円筒の側壁状に湾曲されている
請求項1に記載の弾性履帯。 - 前記2種類以上のラグにおける接地端面の総面積が、
前記履帯本体を前記周方向と前記幅方向との直交する2つの方向で規定される仮想平面に投影したときの面積に対して40%以上である
請求項1または請求項2に記載の弾性履帯。 - 前記履帯本体は、
その外周側の表面における前記幅方向の端縁近傍が当該端縁に向かうにつれて前記履帯本体の厚みを減少させる湾曲面となっている
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の弾性履帯。
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