JP4549138B2 - 弾性クローラ - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載の弾性クローラは、周方向において一定の間隔をおいて並ぶ複数の駆動突起が内周面から一体に突設されたゴム様弾性体よりなる無端帯状のクローラ本体と、前記クローラ本体の外周面に所定のラグパターンで形成されたラグ群とを備えている。
上記ラグ群は、クローラ本体の帯幅方向に延びるラグが、帯幅方向両側に振り分けて配置されるとともに、周方向に位相がずれて千鳥状に配置されている。
また、周方向に並ぶラグ同士の間隔が大きいために、クローラ本体の外周面が直接路面と接しやすくなる。このため、石などの突起物によってクローラ本体が損傷を受けやすく、弾性クローラの耐久性の低下を招く場合がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、低振動で耐久性に優れる弾性クローラを提供することを目的とする。
本発明によれば、周方向に隣り合うメインラグ同士の間かつクローラ本体の転輪通過領域に補助ラグが配置されているので、従来の弾性クローラのように、転輪の一方のホイールがラグ間に落ち込むのを極力防止することができる。また、メインラグ間におけるクローラ本体の外周面が補助ラグによって保護される。従って、石などの突起物がクローラ本体の外周面に接触することによって生じるクローラ本体の損傷をより一層減少させることができる。
この場合には、メインラグの頂面に浅溝が形成されることで、ラグの剛性が緩和される。従って、弾性クローラの屈曲性が向上する。
この場合には、排土性を向上させるための傾斜部が設けられることによって、弾性クローラのトラクション性が向上する。
ランド・シー比が30%未満の場合には、海部面積に対して陸部面積が小さくなりすぎ、石などの突起物がクローラ本体の外周面により接触しやすくなる。このため、クローラ本体が損傷を受けやすくなる。また、ラグ自体の剛性が小さくなり、悪条件下で使用すると損傷を受けやすく、ラグが欠落する場合もある。
また、ランド・シー比が60%を越える場合には、海部面積に対して陸部面積が大きくなりすぎ、弾性クローラの屈曲性が大幅に低下するとともに、軟弱地でのトラクション性が低下する。従って、ランド・シー比を、30%以上60%以下にすることで、弾性クローラの耐久性、屈曲性及びトラクション性を良好に保持することができる。
接地面積の比率が30%未満では、メインラグの頂面の面積に対して補助ラグの頂面の面積が小さくなりすぎ、転輪の振動を軽減する効果も小さくなるとともに、突起物がクローラ本体の外周面に接触しやすくなる。また、面積比率が70%を越える場合では、メインラグの頂面の面積に対して補助ラグの頂面の面積が大きくなりすぎ、弾性クローラの屈曲性が著しく損なわれる。
図2は、本発明の実施形態にかかる弾性クローラ1が装着されたクローラ走行装置2を示している。なお、図における弾性クローラ1は、一部の図示を省略している。
図2に示すように、このクローラ走行装置2は、農業機械や土木作業機械などに用いられるもので、クローラ走行装置2の進行方向前側に設けられる駆動輪としてのスプロケット3と、クローラ走行装置2の進行方向後側に設けられるアイドラ4と、スプロケット3とアイドラ4との間に列設された複数の転輪5とを備えている。そして、これらのスプロケット3、アイドラ4及び転輪5の外周に、弾性クローラ1が巻き掛けられている。
図1(b)に示すように、この弾性クローラ1は、周方向において一定の間隔をおいて並ぶ複数の駆動突起7が内周面8aから一体に突設されたクローラ本体8と、このクローラ本体8の外周面8bに所定のラグパターンで形成されたラグ群9と、クローラ本体8の内部8cに周方向に沿って埋設された抗張体10とを備えている。なお、本実施形態で示す弾性クローラ1は、クローラ本体8の内部に芯金などの幅方向補強体が設けられていない芯金レスのものである。
駆動突起7は、周方向に一定間隔をおいて、クローラ本体8の全周に亘って設けられている。この駆動突起7に、前記スプロケット3を係合させることによって、弾性クローラ1を周方向に沿って駆動できるようになっている。
抗張体10は、クローラ本体8を周方向に補強するもので、周方向に沿って延設されたスチールコードなどよりなる抗張力コードを並設することによって構成されている。
また、上記の弾性クローラ1を構成するゴムの硬度は、クローラ本体8における抗張体10の外周側では60〜75°(JIS−A)、クローラ本体8における抗張体の10の内周側では73〜83°(JIS−A)、駆動突起7及びラグ群9では、82〜92°(JIS−A)に調整されている。
第1ラグ列9X及び第2ラグ列9Yは、断面台形状で頂面91aが略正方形状のメインラグ91と、断面台形状で頂面92aが長方形状の補助ラグ92とが組み合わされて構成されている。また、補助ラグ92は、その頂面92aの面積が、メインラグ91の頂面91aの面積よりも小さく形成されている。なお、図1におけるメインラグ91及び補助ラグ92の頂面91a,92aには、便宜上ハッチングを施している。
また、補助ラグ92の頂面92aの面積が、メインラグ91の頂面91aの面積よりも小さく形成されているので、弾性クローラ1の屈曲性及び排土性を良好に保持することができる。
本実施形態が第1実施形態と異なる主な点は、メインラグ91の頂面91aに、屈曲を容易にするための浅溝Uが形成されるとともに、メインラグ91及び補助ラグ92の周方向端部に、排土性を向上させるための傾斜部20が形成されている点である。
具体的には、図において、浅溝Uが、メインラグ91における周方向中央部、かつ、帯幅方向中央部から同方向内側の端部に向かって形成されている。そして、傾斜部20が、メインラグ91及び補助ラグ92の帯幅方向中央部から同方向外側の端部に向かって当該メインラグ91及び補助ラグ92の周方向頂面長さBa,Bbがそれぞれ短くなるように先細り状に形成されている。
また、本実施形態における弾性クローラ1は、補助ラグ92の周方向頂面長さBbが、
メインラグ91の周方向頂面長さBaより小さく形成されている。より詳細には、メインラグ91の周方向頂面長さBaに対する、補助ラグ92の周方向頂面長さBbの比率が30〜75%に形成されている。
本変形例が上記の第2実施形態の弾性クローラ1と異なる主な点は、浅溝Uの周方向の溝幅Uaが小さく形成されており、補助ラグ92の周方向頂面長さBbが溝幅Uaよりも大きくなるように形成されている点である。
本変形例が上記の第1の変形例と異なる主な点は、メインラグ91の周方向両端部に形成される傾斜部20が、クローラ本体8の周方向一方(図5の下方)に傾斜し、浅溝Uがメインラグ91の頂面幅Bdとほぼ同一の長さで、当該メインラグ91の帯幅方向に延びるように形成されている点である。
本変形例が上記の第2の変形例と異なる主な点は、浅溝Uが、メインラグ91の頂面幅Bdのほぼ半分の長さで、当該メインラグ91の帯幅方向外側に形成され、この浅溝Uによって、メインラグ91の平面形状がコの字状になっている点である。
図8に示すように、このクローラ走行装置2は、装置フレーム20の前後に配置される非駆動のアイドラ21と、装置フレーム20の上部に配置される駆動輪としてのスプロケット22と、前後のアイドラ21間に配置される非駆動の複数の転輪23とを有している。そして、弾性クローラ1が、これらのアイドラ21、スプロケット22及び転輪23の外周に巻き掛けられ、側面視ほぼ二等辺三角形状となっている。
図9に示すクローラ走行装置2が、図7に示すクローラ走行装置2と異なる点は、スプロケット22の位置が装置2の前後方向一方側にずれて配置されており、スプロケット22と一方のアイドラ21との間にガイド輪24が設けられている点である。弾性クローラ1は、これらのアイドラ21、スプロケット22、転輪23及びテンション輪24の外周に巻き掛けられ、側面視ほぼ直角三角形状になっている。
例えば、クローラ本体8の内部に芯金などの幅方向補強体が埋設された弾性クローラ1においても適用可能である。
7 駆動突起
8 クローラ本体
8a (クローラ本体の)内周面
8b (クローラ本体の)外周面
9 ラグ群
10 抗張体
20 傾斜部
91 メインラグ
91a (メインラグの)頂面
92 補助ラグ
92a (補助ラグの)頂面
U 浅溝
Ba 周方向の頂面長さ
L 陸部面積
S 海部面積
Claims (5)
- 周方向において一定の間隔をおいて並ぶ複数の駆動突起が内周面から一体に突設されたゴム様弾性体よりなる無端帯状のクローラ本体と、前記クローラ本体の外周面に所定のラグパターンで形成されたラグ群と、前記クローラ本体の内部に周方向に沿って埋設されて当該クローラ本体を補強する抗張体とを備えている弾性クローラであって、
前記ラグ群は、メインラグと、補助ラグとを備え、
前記メインラグは、帯幅方向両側に振り分けて配置されるとともに、周方向に位相がずれて千鳥状に配置され、かつ帯幅方向両側のメインラグの間で跨ぎホイールの乗り継ぎが連続するように配置されており、
前記補助ラグは、その周方向の幅が前記メインラグの周方向の幅よりも小さく形成されることによって当該メインラグの頂面の面積よりも小さな頂面の面積を有し、周方向に隣り合う前記メインラグ同士の間かつ前記クローラ本体の転輪通過領域に配置されていることを特徴とする弾性クローラ。 - 前記メインラグの頂面には、屈曲を容易にするための浅溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性クローラ。
- 前記メインラグ及び前記補助ラグにおける周方向両端部には、排土性を向上させるための傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性クローラ。
- 前記メインラグ及び補助ラグにおける頂面の面積の合計で表される陸部面積の、前記クローラ本体の外周面の面積で表される海部面積に対するランド・シー比が、30%以上60%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の弾性クローラ。
- 前記メインラグの頂面の面積に対する前記補助ラグの頂面の面積の比率が、30%以上70%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の弾性クローラ。
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