JP5346449B2 - 光学用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、特定のポリカーボネート樹脂からなる光学用フィルムに関する。更に詳しくは、特定のポリカーボネート樹脂を特定の押出成形条件で成形することにより得られた、耐熱性、機械特性、耐環境特性に優れた光学用フィルムに関する。
近年、石油資源の枯渇の懸念や、地球温暖化を引き起こす空気中の二酸化炭素の増加の問題から、原料を石油に依存せず、また燃焼させても二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルが成り立つバイオマス資源が大きく注目を集めるようになり、ポリマーの分野においても、バイオマス資源から生産されるバイオマスプラスチックが盛んに開発されている。
バイオマスプラスチックの代表例がポリ乳酸であり、バイオマスプラスチックの中でも比較的高い耐熱性、機械特性を有するため、食器、包装材料、雑貨などに用途展開が広がりつつあるが、更に、工業材料としての可能性も検討されるようになってきた。
しかしながら、ポリ乳酸は、押出成形品などの工業材料として使用するに当っては、その耐熱性や耐環境特性が不足するという問題がある。
バイオマス資源を原料として使用し、かつ耐熱性が高い非晶性のポリカーボネート樹脂として、糖質から製造可能なエーテルジオール残基から得られる原料を用いたポリカーボネート樹脂が検討されている。
例えば、下記式(a)
Figure 0005346449
に示したエーテルジオールは、たとえば糖類およびでんぷんなどから容易に作られ、3種の立体異性体が知られているが、具体的には下記式(b)
Figure 0005346449
に示す、1,4:3,6ージアンヒドローDーソルビトール (本明細書では以下「イソソルビド」と呼称する)、下記式(c)
Figure 0005346449
に示す、1,4:3,6ージアンヒドローDーマンニトール(本明細書では以下「イソマンニド」と呼称する)、下記式(d)
Figure 0005346449
に示す、1,4:3,6ージアンヒドローLーイジトール(本明細書では以下「イソイディッド」と呼称する)である。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドはそれぞれDーグルコース、Dーマンノース、Lーイドースから得られる。たとえばイソソルビドの場合、Dーグルコースを水添した後、酸触媒を用いて脱水することにより得ることができる。
これまで上記のエーテルジオールの中でも、特に、モノマーとしてイソソルビドを中心に用いてポリカーボネートに組み込むことが検討されてきた。特にイソソルビドのホモポリカーボネートについては特許文献1、2、非特許文献1、2に記載されている。このうち特許文献1では、溶融エステル交換法を用いて203℃の融点を持つホモポリカーボネートを報告している。また非特許文献1では、酢酸亜鉛を触媒として用いた溶融エステル交換法において、ガラス転移温度が166℃のホモポリカーボネートを得ているが、熱分解温度(5%重量減少温度)が283℃と熱安定性は充分でない。非特許文献2においては、イソソルビドのビスクロロフォーメートを用いた界面重合を用いてホモポリカーボネートを得ているが、ガラス転移温度が144℃と耐熱性(殊に吸湿による耐熱性)が充分でない。一方、耐熱性が高い例として、特許文献2では昇温速度10℃/分での示差熱量測定によるガラス転移温度が170℃以上であるポリカーボネートを報告しているが、工業材料への展開を考えた場合、押出成形などによって成形品を得るには、ガラス転移温度が高いため成形加工温度が高くなり、ポリマーの分解が促進されるなどの課題がある。
すなわち、モノマーとしてイソソルビドを用いたポリカーボネート樹脂で、押出成形に適した溶融流動特性と耐熱安定性を有し、かつ優れた耐熱性、機械特性、耐環境特性を発揮する押出成形品を提供できるものは、未だ得られていなかった。
また、近年、液晶表示装置の技術進歩は著しく携帯電話やパソコンからテレビまで幅広い分野で使用されている。液晶表示装置では従来から用いられてきたTN(ツイストネマチック)モードのほかに、最近ではVA(垂直配向)モードの素子構成が主流となりつつあるが、該モードにおいて視野角補償に用いられる位相差フィルムにはコントラストの点から波長分散の小さいものが求められている(特許文献3参照)。
また、テレビのように大型化が進んだ現在では額縁故障の問題、すなわちパネル組み立て後の応力発生による光漏れが問題となっており、その点から液晶表示装置に使われる光学用フィルムには光弾性定数が低いものが求められているのが現状である。
ビスフェノールAをジオール成分とする芳香族ポリカーボネート樹脂ではこれらの要求特性を満足するのは難しく、これまでその改善が検討されてきた。例えばモノマーに脂環族ジオールを用いて芳香族成分のない脂肪族ポリカーボネート樹脂とする試みは数多くなされてきたが、多くの場合ガラス転移温度(Tg)、すなわち耐熱性に劣るため光学フィルム用途としては適用困難であった。その中で、耐熱性に優れた脂肪族ポリカーボネート樹脂としては、脂環族構造を有するものが提案されている(特許文献4参照)。実施例からはTgの高いポリカーボネート樹脂が得られているが、モノマーの合成、入手が難しく実用面からは課題が多い。
また、実用性の高い例として特定の脂環族構造のジオールを含む新規な脂肪族ポリカーボネート樹脂からなる光学フィルムの提案がある(特許文献5および6)。この中で得られた光学用フィルムは光弾性定数が低く、それから得られるフィルムは位相差値の波長分散が小さいが、熱安定性および耐熱性の両方の面で更なる改良が必要である。
英国特許出願公開第1079686号明細書 国際公開第2007/013463号パンフレット 特開2004−062023号公報 特開平05−339395号公報 特開2006−028441号公報 特開2006−232897号公報 "Journal of Applied Polymer Science",2002年, 第86巻, p.872〜880 "Macromolecules",1996年,第29巻,p.8077〜8082
したがって、本発明の第1の目的は、耐熱性、機械特性、耐環境特性に優れたバイオマス資源を原料として使用されたポリカーボネート樹脂からなる光学用フィルムを提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、バイオマス資源を原料とした光弾性定数が低いポリカーボネート樹脂から、位相差値の波長分散が小さく、かつ耐熱性と熱安定性との両方が高い光学用フィルムを提供することにある。
本発明者らはかかる目的を達成すべく鋭意研究の結果、特定の構造及び溶融流動特性を有するバイオマス資源を原料としたポリカーボネート樹脂を、特定の条件で押出成形すると、耐熱性、機械特性、耐環境特性に優れた光学用フィルムが得られること、および特定の比粘度を持つバイオマス資源を原料とした脂肪族ホモポリカーボネート樹脂が、耐熱性と熱安定性が充分に高く、かつ光弾性率が低く、それから得られるフィルムは位相差値の波長分散が小さく、液晶表示装置の位相差板、基板などの光学用途に適することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、
1.下記式(1)で表されるカーボネート構成単位よりなる脂肪族ホモポリカーボネート樹脂であって、樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.20〜0.45であり、ガラス転移温度(Tg)が150〜200℃であり、且つ5%重量減少温度(Td)が330〜400℃であることを特徴とするポリカーボネート樹脂からなる光学用フィルム
Figure 0005346449
.ポリカーボネート樹脂は、下記式(a)で示されるエーテルジオールと炭酸ジエステルとを、触媒として含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物とを併用して使用して溶融重縮合された前項1記載の光学用フィルム
Figure 0005346449
.ポリカーボネート樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.20〜0.37である前項記載の光学用フィルム、
.上記式(1)で表されるカーボネート構成単位がイソソルビド(1,4;3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール)由来のカーボネート構成単位である前項記載の光学用フィルム、
.ポリカーボネート樹脂の光弾性定数が25×10−12Pa−1以下である前項記載の光学用フィルム、および
.下記式(I)を満足する前項記載の光学用フィルム、
1.010<R(450)/R(550)<1.070 (I)
(式中、R(450)、R(550)はそれぞれ波長450nm、550nmにおけるフィルム面内の位相差値である。)
が提供される。
以下、本発明であるポリカーボネート樹脂からなる光学用フィルムについて、順次具体的に説明する。
光学用フィルム
<A成分について>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、上記式(1)のカーボネート構成単位からなるポリカーボネート樹脂であり、ASTM D6866 05に準拠して測定された生物起源物質含有率が83%〜100%が好ましく、84%〜100%がより好ましい。特に好ましくは上記式(1)のカーボネート構成単位のみからなるホモポリカーボネート樹脂である。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、250℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート600secー1の条件下で0.2×10〜4.0×10Pa・sの範囲にあるものであり、0.4×10〜3.0×10Pa・sの範囲にあることがより好ましく、0.4×10〜2.0×10Pa・sの範囲にあることがさらに好ましい。溶融粘度がこの範囲であると、ポリマーの分解が抑制される良好な条件にて押出成形でき、各種特性に優れた成形品を得ることができる。溶融粘度が下限より小さいと押出成形可能であっても機械特性が不良であり、上限を超えると溶融流動性に劣り、成形加工温度を上げるとポリマーの分解が促進されてしまう。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度としては0.14〜0.5のものを好ましく用いることができる。比粘度の下限は0.20以上がより好ましく、0.22以上がさらに好ましい。また上限は0.45以下がより好ましく、0.37以下がさらに好ましく、0.34以下が特に好ましい。また比粘度が0.14より低くなると本発明に用いられるポリカーボネート樹脂組成物より得られた成形品に充分な機械強度を持たせることが困難となる。また比粘度が0.5より高くなると溶融流動性が高くなりすぎて、成形に必要な流動性を有する溶融温度が分解温度より高くなってしまう。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、そのガラス転移温度(Tg)の下限が145℃以上が好ましく、より好ましくは150℃以上であり、また上限は165℃以下が好ましい。Tgが145℃未満だと耐熱性(殊に吸湿による耐熱性)に劣り、165℃を超えると本発明に用いられるポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形する際の溶融流動性に劣り、ポリマー分解が少ない温度範囲で押出成形ができなくなる。TgはTA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定される。
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、その5%重量減少温度の下限が330℃以上が好ましく、より好ましくは340℃以上であり、さらに好ましくは350℃以上であり、また上限は400℃以下が好ましく、より好ましくは390℃以下であり、さらに好ましくは380℃以下である。5%重量減少温度が上記範囲内であると、本発明に用いられるポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形する際の樹脂の分解がほとんど無く好ましい。5%重量減少温度を上昇させるためには、後述の通り溶融重合触媒として好ましい化合物を選択することが有効である。5%重量減少温度はTA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定される。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、下記式(a)
Figure 0005346449
で表されるエーテルジオールおよび炭酸ジエステルとから溶融重合法により製造することができる。エーテルジオールとしては、具体的には下記式(b)、(c)および(d)
Figure 0005346449
Figure 0005346449
Figure 0005346449
で表されるイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドなどが挙げられる。
これら糖質由来のエーテルジオールは、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
特に、カーボネート構成単位がイソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドローDーソルビトール)由来のカーボネート構成単位を含んでなるポリカーボネート樹脂が好ましい。イソソルビドはでんぷんなどから簡単に作ることができるエーテルジオールであり資源として豊富に入手することができる上、イソマンニドやイソイディッドと比べても製造の容易さ、性質、用途の幅広さの全てにおいて優れている。
反応温度は、エーテルジオールの分解を抑え、着色が少なく高粘度の樹脂を得るために、できるだけ低温の条件を用いることが好ましいが、重合反応を適切に進める為には重合温度は180℃〜280℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは180℃〜260℃の範囲である。
また、反応初期にはエーテルジオールと炭酸ジエステルとを常圧で加熱し、予備反応させた後、徐々に減圧にして反応後期には系を1.3×10ー3〜1.3×10ー5MPa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる方法が好ましい。反応時間は通常0.5〜4時間程度である。
炭酸ジエステルとしては、水素原子が置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基またはアラルキル基、もしくは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、mークレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでも反応性、コスト面からジフェニルカーボネートが好ましい。
炭酸ジエステルはエーテルジオールに対してモル比で1.02〜0.98となるように混合することが好ましく、より好ましくは1.01〜0.98であり、さらに好ましくは1.01〜0.99である。炭酸ジエステルのモル比が1.02より多くなると、炭酸ジエステル残基が末端封止として働いてしまい充分な重合度が得られなくなってしまい好ましくない。また炭酸ジエステルのモル比が0.98より少ない場合でも、充分な重合度が得られず好ましくない。
重合触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、二価フェノールのナトリウム塩またはカリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。なかでも、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物とを併用して使用することが好ましい。これらの触媒を用いて重合したものは、5%重量減少温度が十分高く保たれるため好ましい。
これらの重合触媒の使用量は、それぞれ炭酸ジエステル成分1モルに対し、好ましくは1×10ー9〜1×10ー3当量、より好ましくは1×10ー8〜5×10ー4当量の範囲で選ばれる。また反応系は窒素などの原料、反応混合物、反応生成物に対し不活性なガスの雰囲気に保つことが好ましい。窒素以外の不活性ガスとしては、アルゴンなどを挙げることができる。更に、必要に応じて酸化防止剤等の添加剤を加えてもよい。
上記のごとく反応を行う事により得られるポリカーボネート樹脂(A成分)は、その末端構造はヒドロキシ基または、炭酸ジエステル残基となるが、本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、その特性を損なわない範囲で別途末端基を導入しても良い。かかる末端基は、モノヒドロキシ化合物を重合時に添加することにより導入することができる。モノヒドロキシ化合物としては下記式(2)または(3)で表されるヒドロキシ化合物が好ましく用いられる。
Figure 0005346449
Figure 0005346449
上記式(2),(3)中、Rは炭素原子数4〜30のアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数4〜30のパーフルオロアルキル基、または下記式(4)
Figure 0005346449
であり、好ましくは炭素原子数4〜20のアルキル基、炭素原子数4〜20のパーフルオロアルキル基、または上記式(4)であり、特に炭素原子数8〜20のアルキル基、または上記式(4)が好ましい。Xは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミノ結合およびアミド結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合が好ましいが、より好ましくは単結合、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合であり、なかでも単結合、エステル結合が好ましい。aは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、特に1が好ましい。
また、上記式(4)中、R,R,R,R及びRは、夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、好ましくは夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数6〜10のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、特に夫々独立してメチル基及びフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基が好ましい。bは0〜3の整数であり、1〜3の整数が好ましく、特に2〜3の整数が好ましい。cは4〜100の整数であり、4〜50の整数が好ましく、特に8〜50の整数が好ましい。本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、上記式(a)で表される再生可能資源のエーテルジオールから得られるカーボネート構成単位を主鎖構造に持つことから、これらのモノヒドロキシ化合物もまた植物などの再生可能資源から得られる原料であることが好ましい。植物から得られるモノヒドロキシ化合物としては、植物油から得られる炭素数14以上の長鎖アルキルアルコール類(セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール)などが挙げられる。
これらの末端基を導入することにより、該ポリカーボネート樹脂からなる押出成形品、殊に光学用フィルムの成膜製、耐吸湿性または表面エネルギー性(防汚性や摩耗耐性)等を向上させる効果が得られる。これらの末端基は好ましくはポリマー主鎖構造に対して0.3〜9.0重量%含まれており、より好ましくは0.3〜7.5重量%含まれており、特に好ましくは0.5〜6.0重量%含まれている。
<その他の成分について>
本発明の押出成形品、すなわち光学フィルムは、上述のポリカーボネート樹脂(A成分)に各種成分を加えた樹脂組成物からなるものであってもよい。それら使用可能な成分を次に例示する。
(i)無機充填材
本発明の押出成形品を構成する樹脂組成物において、無機充填材を更に配合すると、機械特性、寸法特性などに優れた成形品を得ることができるようになる。
無機充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、ワラストナイト、カオリンクレー、マイカ、タルクおよび各種ウイスカー類(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカーなど)といった一般に知られている各種無機充填材を挙げることができる。無機充填材の形状は繊維状、フレーク状、球状、中空状を自由に選択でき、樹脂組成物の強度や耐衝撃性の向上のためには繊維状、フレーク状のものが好適である。
中でも、無機充填材としては、好適には天然鉱物の粉砕物からなる無機充填材であり、より好適には珪酸塩の天然鉱物の粉砕物からなる無機充填材であり、さらにその形状の点からは、マイカ、タルク、およびワラストナイトが好ましい。
一方、これらの無機充填材は、炭素繊維のような石油資源材料に比較して脱石油資源材料であることから、環境負荷のより低い原料を用いることとなり、結果として環境負荷の小さいA成分を使用する意義がより高められるという効果を奏する。さらに、前記のより好適な無機充填材は、炭素繊維などに比較して良好な難燃性が発現するとの有利な効果を奏する。
本発明で使用できるマイカは、その平均粒子径が走査型電子顕微鏡により観察し、1μm以上のものを抽出した合計1000個の数平均にて算出される数平均粒子径で10〜500μmが好ましく、より好ましくは30〜400μm、さらに好ましくは30〜200μm、最も好ましくは35〜80μmである。数平均粒子径が10μm未満となると衝撃強度が低下する場合がある。また500μmを超えると、衝撃強度は向上するが外観が悪化しやすい。
マイカの厚みとしては、電子顕微鏡観察により実測した厚みが0.01〜10μmのものを使用できる。好ましくは0.1〜5μmのものを使用できる。アスペクト比としては5〜200、好ましくは10〜100のものを使用できる。また使用するマイカはマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴパイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成でき、より好適な押出成形品が提供される。
また、マイカの粉砕法としては、マイカ原石を乾式粉砕機にて粉砕する乾式粉砕法と、マイカ原石を乾式粉砕機にて粗粉砕した後、水などの粉砕助剤を加えてスラリー状態にて湿式粉砕機で本粉砕し、その後脱水、乾燥を行う湿式粉砕法がある。本発明のマイカはいずれの粉砕法において製造されたものも使用できるが、乾式粉砕法の方が低コストで一般的である。一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効であるがコストがかかる。マイカは、シランカップリング剤、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよく、さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
本発明で使用できるタルクとは、層状構造を持った鱗片状の粒子であり、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO2・3MgO・2H2Oで表され、通常SiO2を56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、H2O約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFe23が0.03〜1.2重量%、Al23が0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、K2Oが0.2重量%以下、Na2Oが0.2重量%以下などを含有しており、比重は約2.7、モース硬度は1である。
本発明で使用できるタルクの平均粒子径は0.5〜30μmが好ましい。該平均粒子径はJIS M8016に従って測定したアンドレアゼンピペット法により測定した粒度分布から求めた積重率50%時の粒子径である。タルクの粒子径は2〜30μmがより好ましく、5〜20μmがさらに好ましく、10〜20μmが最も好ましい。0.5〜30μmの範囲のタルクは押出成形品に剛性および低異方性に加えて、良好な表面外観および難燃性を付与する。
またタルクを原石から粉砕する際の製法に関しては特に制限はなく、軸流型ミル法、アニュラー型ミル法、ロールミル法、ボールミル法、ジェットミル法、および容器回転式圧縮剪断型ミル法等を利用することができる。さらに粉砕後のタルクは、各種の分級機によって分級処理され、粒子径の分布が揃ったものが好適である。分級機としては特に制限はなく、インパクタ型慣性力分級機(バリアブルインパクターなど)、コアンダ効果利用型慣性力分級機(エルボージェットなど)、遠心場分級機(多段サイクロン、ミクロプレックス、ディスパージョンセパレーター、アキュカット、ターボクラシファイア、ターボプレックス、ミクロンセパレーター、およびスーパーセパレーターなど)などを挙げることができる。
さらにタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の成形品中に混入させない点で好ましい。
また、本発明で使用できるワラストナイトは、実質的に化学式CaSiO3で表され、通常SiO2が約50重量%以上、CaOが約47重量%以上、その他Fe23、Al23等を含んでいる。ワラストナイトは、ワラストナイト原石を粉砕、分級した白色針状粉末で、モース硬度は約4.5である。使用するワラストナイトの平均繊維径は0.5〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、1〜5μmが最も好ましい。該平均繊維径は走査型電子顕微鏡により観察し、0.1μm以上のものを抽出した合計1000個の数平均にて算出されるものである。
これら無機充填材の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部あたり、0.3〜200重量部が好ましく、1.0〜100重量部がより好ましく、3〜50重量部が最も好ましい。かかる配合量が0.3重量部より小さい場合には、本発明の成形品の機械特性に対する補強効果が十分でなく、また200重量部を超えると、成形加工性や色相が悪化するため好ましくない。
なお、本発明の押出成形品を構成する樹脂組成物において、繊維状無機充填材やフレーク状無機充填材を用いる場合、それらの折れを抑制するための折れ抑制剤を含むことができる。折れ抑制剤はマトリックス樹脂と無機充填材との間の密着性を阻害し、溶融混練時に無機充填材に作用する応力を低減して無機充填材の折れを抑制する。折れ抑制剤の効果としては(1)剛性向上(無機充填材のアスペクト比が大きくなる)、(2)靭性向上、(3)導電性の向上(導電性無機充填材の場合)などを挙げることができる。折れ抑制剤は具体的には、(i)樹脂と親和性の低い化合物を無機充填材の表面に直接被覆した場合の該化合物、および(ii)樹脂と親和性の低い構造を有し、かつ無機充填材の表面と反応可能な官能基を有する化合物である。
樹脂と親和性の低い化合物としては各種の滑剤を代表的に挙げることができる。滑剤としては例えば、鉱物油、合成油、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ポリオルガノシロキサン(シリコーンオイル、シリコーンゴムなど)、オレフィン系ワックス(パラフィンワックス、ポリオレフィンワックスなど)、ポリアルキレングリコール、フッ素化脂肪酸エステル、トリフルオロクロロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレングリコールなどのフッ素オイルなどが挙げられる。
樹脂と親和性の低い化合物を無機充填材の表面に直接被覆する方法としては、(1)該化合物を直接、または該化合物の溶液や乳化液を無機充填材に浸漬する方法、(2)該化合物の蒸気中または粉体中に無機充填材を通過させる方法、(3)該化合物の粉体などを無機充填材に高速で照射する方法、(4)無機充填材と該化合物を擦り付けるメカノケミカル的方法などを挙げることができる。
樹脂と親和性の低い構造を有し、かつ無機充填材の表面と反応可能な官能基を有する化合物としては、各種の官能基で修飾された前記の滑剤を挙げることができる。かかる官能基としては例えばカルボキシル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、エステル基、アミノ基、アルコキシシリル基などを挙げることができる。
好適な折れ抑制剤の1つは、炭素数5以上のアルキル基が珪素原子に結合したアルコキシシラン化合物である。かかる珪素原子に結合したアルキル基の炭素数は好ましくは5〜60、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは6〜18、特に好ましくは8〜16である。アルキル基は1または2が好適であり、特に1が好ましい。またアルコキシ基としてはメトキシ基およびエトキシ基が好適に例示される。かかるアルコキシシラン化合物は、無機充填材表面に対する反応性が高く被覆効率に優れる点で好ましい。したがってより微細な無機充填材において好適である。
好適な折れ抑制剤の1つは、カルボキシル基、およびカルボン酸無水物基から選択された少なくとも1種の官能基を有するポリオレフィンワックスである。分子量としては重量平均分子量で500〜20,000が好ましく、より好ましくは1,000〜15,000である。かかるポリオレフィンワックスにおいて、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基の量としては、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基から選択される少なくとも1種の官能基を有する滑剤1g当り0.05〜10meq/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜6meq/gであり、さらに好ましくは0.5〜4meq/gである。折れ抑制剤中の官能基の割合は、カルボキシル基以外の官能基においても前記のカルボキシル基およびカルボン酸無水物基の割合と同程度であることが好ましい。
折れ抑制剤として特に好ましいものとしてα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体を挙げることができる。かかる共重合体は、常法に従いラジカル触媒の存在下に、溶融重合あるいはバルク重合法で製造することができる。ここでα−オレフィンとしてはその炭素数が平均値として10〜60のものを好ましく挙げることができる。α−オレフィンとしてより好ましくはその炭素数が平均値として16〜60、さらに好ましくは25〜55のものを挙げることができる。
前記折れ抑制剤は本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部当り0.01〜2重量部が好ましく、0.05〜1.5重量部がより好ましく、0.1〜0.8重量部がさらに好ましい。
(ii)有機充填材
本発明の押出成形品を構成する樹脂組成物には、有機充填材を配合することもでき、有機充填材としてはアラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維などの合成繊維や、ケナフ、麻、竹などの天然繊維が例示される。有機充填材についても、環境負荷の観点から、天然繊維を用いることが好ましい。有機充填材の好ましい配合量は、無機充填材と同様である。
(iii)難燃剤
本発明の押出成形品を構成する樹脂組成物には、難燃剤を配合することもできる。難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、および塩素化ポリエチレンなどのハロゲン系難燃剤、モノホスフェート化合物およびホスフェートオリゴマー化合物などのリン酸エステル系難燃剤、ホスフィネート化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物などのリン酸エステル系難燃剤以外の有機リン系難燃剤、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤などの有機金属塩系難燃剤、並びにシリコーン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム系難燃剤、トリアジン系難燃剤等が挙げられる。また別途、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)や滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)等を配合し、難燃剤と併用してもよい。
上述の難燃剤の中でも、塩素原子および臭素原子を含有しない化合物は、焼却廃棄やサーマルリサイクルを行う際に好ましくないとされる要因が低減されることから、環境負荷の低減をも1つの特徴とする本発明の成形品における難燃剤としてより好適である。
本発明の押出成形品を構成する樹脂組成物において、これら難燃剤を配合する場合には、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部当たり0.05〜50重量部の範囲が好ましい。0.05重量部未満では十分な難燃性が発現せず、50重量部を超えると成形品の強度や耐熱性などを損なう。
(iv)熱安定剤
本発明の押出成形品を構成する樹脂組成物においては、さらに良好な色相かつ安定した流動性を得るため、リン系安定剤を含有することが好ましい。殊にリン系安定剤として、下記一般式(5)に示すペンタエリスリトール型ホスファイト化合物を配合することが好ましい。
Figure 0005346449
[式中R21、R22はそれぞれ水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、または炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示す。なお、シクロアルキル基およびアリール基は、アルキル基で置換されていてもよい。]
前記ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、より具体的には、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトおよびビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
他のリン系安定剤としては、前記以外の各種ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合物が挙げられる。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
さらに他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができ、少なくともペンタエリスリトール型ホスファイト化合物を有効量配合することが好ましい。リン系安定剤はポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
(v)弾性重合体
本発明の押出成形品を構成する樹脂組成物には、衝撃改良剤として弾性重合体を使用することができ、弾性重合体の例としては、天然ゴムまたは、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種または2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げることができる。より好適な弾性重合体は、ゴム成分のコアに前記モノマーの1種または2種以上のシェルがグラフト共重合されたコア−シェル型のグラフト共重合体である。
またかかるゴム成分と上記モノマーのブロック共重合体も挙げられる。かかるブロック共重合体としては具体的にはスチレン・エチレンプロピレン・スチレンエラストマー(水添スチレン・イソプレン・スチレンエラストマー)、および水添スチレン・ブタジエン・スチレンエラストマーなどの熱可塑性エラストマーを挙げることができる。さらに他の熱可塑性エラストマーして知られている各種の弾性重合体、例えばポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー等を使用することも可能である。
衝撃改良剤としてより好適なのはコア−シェル型のグラフト共重合体である。コア−シェル型のグラフト共重合体において、そのコアの粒径は重量平均粒子径において0.05〜0.8μmが好ましく、0.1〜0.6μmがより好ましく、0.1〜0.5μmがさらに好ましい。0.05〜0.8μmの範囲であればより良好な耐衝撃性が達成される。弾性重合体は、ゴム成分を40%以上含有するものが好ましく、60%以上含有するものがさらに好ましい。
ゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコーン複合ゴム、イソブチレン−シリコーン複合ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−アクリルゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加されたものを挙げることができるが、燃焼時の有害物質の発生懸念という点から、ハロゲン原子を含まないゴム成分が環境負荷の面において好ましい。
ゴム成分のガラス転移温度は好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下であり、ゴム成分としては特にブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコーン複合ゴムが好ましい。複合ゴムとは、2種のゴム成分を共重合したゴムまたは分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造をとるように重合したゴムをいう。
ゴム成分に共重合するビニル化合物における芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができ、特にスチレンが好ましい。またアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタアクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチルが特に好ましい。これらの中でも特にメタクリル酸メチルなどのメタアクリル酸エステルを必須成分として含有することが好ましい。より具体的には、メタアクリル酸エステルはグラフト成分100重量%中(コア−シェル型重合体の場合にはシェル100重量%中)、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上含有される。
ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含有する弾性重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであってもよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生するグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。さらに重合法としては一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また懸濁重合法において、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法、および連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数〜数十μm径の細径オリフィスまたは多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方法などを行ってもよい。コア−シェル型のグラフト重合体の場合、その反応はコアおよびシェル共に、1段であっても多段であってもよい。
かかる弾性重合体は市販されており容易に入手することが可能である。例えばゴム成分として、ブタジエンゴム、アクリルゴムまたはブタジエン−アクリル複合ゴムを主体とするものとしては、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリーズ(例えばB−56など)、三菱レイヨン(株)のメタブレンCシリーズ(例えばC−223Aなど)、Wシリーズ(例えばW−450Aなど)、呉羽化学工業(株)のパラロイドEXLシリーズ(例えばEXL−2602など)、HIAシリーズ(例えばHIA−15など)、BTAシリーズ(例えばBTA−IIIなど)、KCAシリーズ、ローム・アンド・ハース社のパラロイドEXLシリーズ、KMシリーズ(例えばKM−336P、KM−357Pなど)、並びに宇部サイコン(株)のUCLモディファイヤーレジンシリーズ(ユーエムジー・エービーエス(株)のUMG AXSレジンシリーズ)などが挙げられ、ゴム成分としてアクリル−シリコーン複合ゴムを主体とするものとしては三菱レイヨン(株)よりメタブレンS−2001あるいはSRK−200という商品名で市販されているものが挙げられる。
衝撃改良剤の組成割合は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部あたり0.2〜50重量部が好ましく、1〜30重量部が好ましく、1.5〜20重量部がより好ましい。かかる組成範囲は、剛性の低下を抑制しつつ組成物に良好な耐衝撃性を与えることができる。
(vi)その他の添加剤
本発明の押出成形品を構成する樹脂組成物には、本発明の効果を発揮する範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えば、他のポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、並びにフェノキシまたはエポキシ樹脂など)、酸化防止剤(例えば、ヒンダ−ドフェノ−ル系化合物、イオウ系酸化防止剤等)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系など)、光安定剤(HALSなど)、離型剤(飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、フッ素化合物、パラフィンワックス、蜜蝋など)、流動改質剤(ポリカプロラクトンなど)、着色剤(カーボンブラック、二酸チタン、各種の有機染料、メタリック顔料など)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリコーン架橋粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、赤外線吸収剤、並びにフォトクロミック剤紫外線吸収剤などを配合してもよい。これら各種の添加剤は、ビスフェノールAからなるポリカーボネート等の熱可塑性樹脂に配合する際の周知の配合量で利用することができる。
<樹脂組成物の製造方法について>
本発明の押出成形品を構成する樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば各成分、並びに任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式二軸押出機が好ましい。他に、各成分、並びに任意に他の成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法も取ることもできる。溶融混練する際のシリンダー温度は220〜270℃の範囲で行うことが好ましく、230〜260℃の範囲がより好ましく、230〜250℃の範囲が更に好ましい。シリンダー温度が270℃を超えると、本発明に用いられるポリカーボネートの熱分解の進行が大きくなってくる。
<押出成形品の製造について>
本発明における押出成形品は、溶融プロセスによって押出機のダイの形状によって賦形された成形品であり、一般的にはシート、フィルム、ロッド、チューブなどの形で提供される。ここでシートとは、溶融ポリマーをダイ等からシート状に押出して冷却した厚み0.5〜20mm程度のものを指し、延伸処理を特別に施していなくても良い。一方フィルムは、溶融ポリマーをダイ等からフィルム状に押出して冷却したものやシートまたはフィルムを一軸方向又は二軸方向に逐次延伸或いは同時延伸し、分子鎖を配向させた厚み5〜500μm程度のものを指す。
本発明の押出成形品は、通常の公知の製造方法を用いることができ、例えばフィルム及びシートを製造する際には、例えばギアポンプを経てTダイ又はIダイが接続された一軸又は二軸スクリューの押出機のホッパーに原料のポリカーボネート樹脂を供給して、押出機のシリンダ内で溶融させてダイからシート状に押出し、それをキャスティングロールにより冷却することで製造できる。キャスティングロールについては、静電密着装置やエアナイフを用いてシートを密着させることが、厚み斑やエアの巻き込みを防止できる等の点から好ましい。
本発明の押出成形品が延伸フィルムの場合、ポリカーボネート樹脂に対して用いられる従来公知のフィルムの製造方法で行うことが出来る。例えばTダイやIダイによる押出成形法、環状ダイを用いるインフレーション押出成形法、流延成形法、カレンダー成形法、プレス成形法などを挙げることが出来るが、ロールやテンターを用いた一軸延伸や二軸延伸のうちの任意の延伸方法を用いて成形することが好ましい。二軸延伸としては、逐次二軸延伸、同時二軸延伸等が挙げられる。
本発明の押出成形品は、シリンダー温度220〜270℃の範囲で押出成形して得られる。ポリマーの分解による着色や分子量低下を抑制するために、この温度範囲は230〜260℃の範囲がより好ましく、230〜250℃の範囲が更に好ましい。シリンダー温度が270℃を超えると、ポリマーの分解が大きく促進されてしまう。
本発明の押出成形品は、構造部材、包装用材料、電気電子用途や自動車用途などの工業材料などに使用できるだけでなく、更に熱成形用の材料としても活用することができる。
また、シートは、自動車の窓ガラスやルーフ、位相差板、偏光板、光拡散板等の光学用材料、壁材、床材、アーケード屋根材、ベランダ腰板、防風、防雪板等の建材、展示用のケースやショーウィンドウ、各種トレイ、各種銘板(計器類の保護カバー等)、ヘルメット用シールド等に好適に使用できる。フィルムは、液晶表示装置の位相差フィルムや基板用フィルム、ブルーレイディスクの光透過層用フィルム、偏光板の保護フィルム等の表面保護フィルム、絶縁フィルム等に好適に使用できる。
さらに本発明の押出成形品には、表面改質を施すことによりさらに他の機能を付与するとこが可能である。ここでいう表面改質とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着等)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等)、塗装、コーティング、印刷等の樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常のシート、フィルムなどの押出成形品に用いられる方法が適用できる。
[光学用フィルム]
本発明に用いられるバイオマス資源を原料とした光弾性定数が低いポリカーボネート樹脂は、位相差値の波長分散が小さく、かつ耐熱性と熱安定性との両方が高い光学用フィルムとして好適に使用される。
本発明の光学用フィルムは、下記式(1)のカーボネート構成単位よりなる脂肪族ホモポリカーボネート樹脂からなる光学用フィルムである。
Figure 0005346449
本発明の光学用フィルムに用いるポリカーボネート樹脂は、樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.20〜0.45であり、好ましくは0.20〜0.37であり、より好ましくは0.22〜0.34である。比粘度が0.20より低くなると得られた光学用フィルムに充分な機械強度を持たせることが困難となる。また比粘度が0.45より高くなると溶融流動性が高くなりすぎて、溶融製膜法による成膜に必要な流動性を有する溶融温度が分解温度より高くなってしまい好ましくない。
本発明の光学用フィルムに用いるポリカーボネート樹脂は、250℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート600secー1の条件下で0.2×10〜4.0×10Pa・sの範囲にあるものが好ましく、0.4×10〜3.0×10Pa・sの範囲にあることがより好ましく、0.4×10〜2.0×10Pa・sの範囲にあることがさらに好ましい。溶融粘度がこの範囲であると、ポリマーの分解が抑制される良好な条件にて押出成形でき、各種特性に優れた成形品を得ることができる。溶融粘度が下限より小さいと押出成形可能であっても機械特性が不良であり、上限を超えると溶融流動性に劣り、成形加工温度を上げるとポリマーの分解が促進されてしまう。
本発明の光学用フィルムに用いるポリカーボネート樹脂は、ガラス転移温度(Tg)は下限が150℃以上であり、好ましくは155℃以上である。また上限は200℃以下であり、好ましくは190℃以下であり、より好ましくは168℃以下であり、さらに好ましくは165℃以下であるTgが150℃未満だと耐熱性(殊に吸湿による耐熱性)に劣り、200℃を超えると本発明の光学用フィルムを溶融製膜法による成膜する際の溶融流動性に劣る。TgはTA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定される。
また、本発明の光学用フィルムに用いるポリカーボネート樹脂は、その5%重量減少温度が330〜400℃であり、好ましくは340〜390℃であり、より好ましくは350〜380℃である。5%重量減少温度が上記範囲内であると、溶融製膜法による成膜時の樹脂の分解がほとんど無く好ましい。5%重量減少温度はTA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定される。
該ポリカーボネート樹脂の製造方法や添加剤については上述したものと同様である。ただし、添加剤は光学フィルムの透明性等本発明の目的が達成される範囲内で適宜使用される。
本発明の光学用フィルムの製造方法としては、本発明で用いるポリカーボネート樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶液を用いる溶液キャスト法、本発明で用いるポリカーボネート樹脂をそのまま溶融させて流延する溶融製膜法が挙げられる。
溶液キャスト法によりフィルムを作成する場合には、使用する溶媒としては、汎用性、製造コスト面からハロゲン系溶媒、中でも塩化メチレンを用いることが最も好ましく、溶液組成物としては塩化メチレンを60重量%以上含有する溶媒15〜90重量部に対して脂肪族ポリカーボネート樹脂10重量部を溶解させたものが好ましい。溶媒量が90重量部より多いと膜厚が厚く、かつ表面平滑性に優れたキャストフィルムが得られにくいことがあり、また溶媒量が15重量部未満と少ない場合は溶液粘度が高すぎてフィルム製造が困難となることがある。
溶媒として塩化メチレン以外にも必要に応じて製膜性を妨げない範囲で他の溶媒を加えてもよく、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール類、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒が挙げられる。
本発明では、かかる脂肪族ポリカーボネート樹脂の溶液組成物(ドープ)を支持基板上に流延した後、加熱して溶媒を蒸発させることによりフィルムを得ることが出来る。支持基板としてガラス基板、ステンレスやフェロタイプなどの金属基板、PETなどのプラスチック基板などを使用し、ドクターブレードなどでドープを均一に支持基板上に流延させる。工業的にはダイからドープをベルト状もしくはドラム状の支持基板上に連続して押し出す方法が一般的である。
支持基板上に流延したドープは発泡が起きないよう低温から徐々に加熱乾燥していくことが好ましく、加熱して大部分の溶媒を除去して自立性のあるフィルムとしてから支持基板から剥離し、さらにフィルム両面から加熱乾燥して残りの溶媒を除去することが好ましい。基板から剥離した後の乾燥工程では、熱収縮による寸法変化によりフィルムに応力がかかる可能性が高いため、液晶表示装置に用いる光学用フィルムのように精密な光学特性のコントロールが必要とされる製膜においては、乾燥温度、フィルムの固定条件などに留意して行うことが必要である。一般には剥離後の乾燥においては用いるポリカーボネートの(Tg−100℃)〜Tgの範囲で段階的に昇温しながら乾燥する方法をとることが好ましい。Tg以上で乾燥するとフィルムの熱変形が起こり好ましくなく、(Tg−100℃)以下では乾燥温度が著しく遅くなるため好ましくない。
溶液キャスト法で得るフィルム中の残留溶媒量は2重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1重量%以下である。2重量%以上と残留溶媒量が多いとフィルムのガラス転移点の低下が著しくなり好ましくない。
溶融製膜法によりフィルムを作成する場合には、一般にTダイから融液を押し出して製膜される。製膜温度(溶融混練する際のシリンダー温度)は、ポリカーボネートの分子量、Tg、溶融流動特性などから決められるが、220〜270℃の範囲で行うことが好ましく、230〜260℃の範囲がより好ましく、230〜250℃の範囲が更に好ましい。温度が低すぎると粘度が高くなりポリマーの配向、応力歪みが残りやすいことがあり、逆に温度が高すぎるのも熱劣化、着色、Tダイからのダイライン(筋)などの問題がおきやすくなることがある。
かくして得られる未延伸フィルムの膜厚は特に制限はなく目的に応じて決められるが、フィルムの製造面、靭性などの物性、コスト面などから10〜300μmが好ましく、より好ましくは20〜200μmである。
本発明の光学用フィルムとしては、該未延伸フィルムを1軸延伸または2軸延伸など公知の延伸方法によりポリマーを配向させたものも好適である。かかる延伸により例えば液晶表示装置の位相差フィルムとして用いることが出来る。延伸温度はポリマーのTg近傍の、通常(Tg−20℃)〜(Tg+20℃)の範囲で行われ、延伸倍率は縦一軸延伸の場合、通常1.02倍〜3倍である。延伸フィルムの膜厚としては20〜200μmの範囲であることが好ましい。
本発明の光学用フィルムを構成するポリカーボネート樹脂は、光弾性定数が25×10−12Pa−1以下であることが好ましく、より好ましくは20×10−12Pa−1以下である。光弾性定数が25×10−12Pa−1より高い場合には、該光学用フィルムを張り合わせる際の張力によって位相差が発現したり、他の材料との寸法安定性の違いから生じる応力により位相差が生じやすく、その結果光漏れ、コントラストの低下などの現象が生じて長期的な安定性に劣る場合がある。
また、本発明の光学用フィルムは、その位相差値の波長分散が下記式(I)
1.010<R(450)/R(550)<1.070 (I)
を満足することが好ましく、下記式(II)
1.010<R(450)/R(550)<1.060 (II)
を満足することがより好ましい。
ここでR(450)、R(550)はそれぞれ波長450nm、550nmにおけるフィルム面内の位相差値である。このような位相差値の波長分散が小さい位相差フィルムを用いると、特に液晶表示装置のVA(垂直配向)モードにおいて、視野角特性、コントラストに優れたものが得られる。
また、本発明の光学用フィルムは、その位相差を膜厚で割った値(Δn=R(550)/フィルム膜厚(μm))が、未延伸の状態で下記式(III)
Δn<0.2 (III)
を満足することが好ましく、下記式(IV)
Δn<0.15 (IV)
を満足することがより好ましい。下限は特に限定されず0(零)より大きい範囲であればよい。
さらに、ポリマーのTg近傍の(Tg−10℃)〜(Tg+10℃)の範囲で延伸した場合、Δnと延伸倍率の関係において下記式(V)
a≧8 (V)
を満足することが好ましく、下記式(VI)
a≧8.5 (VI)
を満足することがより好ましい。上記式中、aはΔn(s)=aXs+bを満足する値である(sは延伸倍率、Δn(s)は延伸倍率sにおけるΔn、aは傾き、bは定数)。上限は特に限定されないが、100以下で十分に性能を発揮する。
上述したΔnおよびaの範囲を満足する特性を持つ光学フィルムは、延伸後の位相差が発現し易く、位相差制御性が良好であり工業的にも好適である。
本発明の光学用フィルムは、全光線透過率は88%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、ヘイズ値は5%以下が好ましく、より好ましくは3%以下である。本発明の光学用フィルムは、透明性に優れることから光学用フィルムとして好適である。
本発明の光学用フィルムは1枚単独で用いてもよいし、2枚以上積層して用いてもよい。また他の素材からなる光学用フィルムと組み合わせて用いてもよい。偏光板の保護膜として用いてもよいし、また液晶表示装置の透明基板用フィルムとして用いてもよい。
本発明は、バイオマス資源を原料としたポリカーボネート樹脂から得られる押出成形品であって、良好な耐熱性、機械特性、および耐環境特性を有し、加えて環境負荷の低減された押出成形品であることから、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、遊戯具および雑貨などの各種用途に有用であり、その奏する産業上の効果は格別である。
また、本発明の光学用フィルムは、光弾性定数が低く、位相差の発現性および位相差制御性が良好で、視野角特性に優れ、かつ耐熱性および熱安定性に優れることから、偏光板の保護膜や液晶表示装置の透明基板用フィルムとして好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
[押出成形品の実施例]
下記の製造例に示す方法により、ポリカーボネート樹脂の製造を行った。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)溶融粘度
(株)東洋精機製キャピラリーレオメータ(キャピログラフ 型式1D)を用い、キャピラリー長10.0mm、キャピラリー径1.0mm、測定温度250℃にて測定速度を任意に変更し測定した結果得られたShear Rate/Viscosityカーブより600sec-1での溶融粘度を読み取った。
(2)ガラス転移温度
TA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定した。
(3)5%重量減少温度
TA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定した。
<製造例1:ポリカーボネートA−1成分の製造>
イソソルビド1608重量部(11モル)とジフェニルカーボネート2356重量部(11モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを1.0重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して1×10−4モル)、および水酸化ナトリウムを1.1×10−3重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して0.25×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下常圧で180℃に加熱し溶融させた。
撹拌下、反応槽内を30分かけて徐々に減圧し、生成するフェノールを留去しながら13.3×10−3MPaまで減圧した。この状態で20分反応させた後に200℃に昇温し、次いで20分かけて徐々に減圧し、フェノールを留去しながら4.00×10−3MPaで20分間反応させ、さらに、220℃に昇温し30分間、250℃に昇温し30分間反応させた。
次いで、徐々に減圧し、2.67×10−3MPaで10分間、1.33×10−3MPaで10分間反応を続行し、さらに減圧し、4.00×10−5MPaに到達したら、徐々に昇温し、最終的に250℃、6.66×10−5MPaで40分間反応させた。その結果、ガラス転移温度156℃、シェアレート600sec−1における溶融粘度が0.53×10Pa・s、5%重量減少温度360℃のポリマーが得られた。
<製造例2:ポリカーボネートA−2成分の製造>
最終的に260℃、6.66×10−5MPaで60分間反応せしめた以外は製造例1と同様にしてポリマーを得た、このポリマーのガラス転移温度は164℃、シェアレート600sec−1における溶融粘度は1.7×10Pa・s、5%重量減少温度は362℃であった。
<製造例3:ポリカーボネートA−3成分の製造>
イソソルビド1590重量部(10.88モル)、p−tert−ブチルフェノール36重量部(0.24モル)を温度計、撹拌機付き反応器にし込み、窒素置換した後、あらかじめよく乾燥したピリジン5500重量部、塩化メチレン32400重量部を加え溶解した。撹拌下25℃でホスゲン1400重量部(14.14モル)を100分要して吹込んだ。ホスゲン吹込み終了後、約20分間そのまま撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈し、ピリジンを塩酸で中和除去後、導電率がイオン交換水と殆ど同じになるまで繰り返し水洗し、その後塩化メチレンを蒸発した。その結果、ガラス転移点172℃、シェアレート600sec−1における溶融粘度が5.1×10Pa・s、5%重量減少温度362℃のポリマーが得られた。
<製造例4:ポリカーボネートA−4成分の製造>
イソソルビド1608重量部(11モル)とジフェニルカーボネート2427重量部(11.33モル)とした以外は製造例1と同様にしてポリマーを得た。このポリマーのガラス転移温度は138℃、シェアレート600sec−1における溶融粘度は0.13×10Pa・s、5%重量減少温度は355℃であった。
下記の実施例、比較例に示す方法により、押出成形品の製造を行った。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)引張強度、引張弾性率:ISO527に準拠してフィルムの引張特性を測定した。
(2)耐薬品性:フィルムを、室温下、トルエン、キシレン、アセトン、トリクロロエタン中に24時間浸漬し、表面状態を観察した。
(3)耐加水分解性:フィルムを、恒温恒湿槽中、80℃×90%相対湿度の条件にて10日間処理した後の比粘度(ηsp)を、処理前の値に対する保持率で評価した。
原料としては、以下のものを用いた。
(添−1)酸化防止剤:ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト((株)アデカ製 アデカスタブPEP−36)
また、比較用樹脂としては、以下のものを用いた。
(比−1)ビスフェノールA−ポリカーボネート樹脂:L−1250(帝人化成(株)製)
(比−2)ポリ−L−乳酸樹脂:LACEA H−100J(三井化学(株)製)
<実施例1〜2、比較例1〜5>
表1に示す組成で100℃で12時間乾燥させたポリカーボネート樹脂と添加剤を押出機ホッパーに供給し、溶融温度250℃にて溶融し、1mmのスリット状ダイを通して表面温度25℃の回転冷却ドラム上に押出し、急冷して厚さ0.3mmのフィルムを得た。これらのフィルムを用いて各特性を測定した。なお、ビスフェノールA−ポリカーボネート樹脂は、シリンダー温度310℃にて、またポリ−L−乳酸は、シリンダー温度220℃にて押出成形した。これらのフィルムを用いて各特性を測定した。それらの測定結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005346449
Figure 0005346449
表1及び表2の結果から明らかな通り、特定の分子量、ガラス転移温度を有する本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、特定の温度範囲で押出成形した場合に良好なフィルム状成形品を得ることができ、その耐熱性、機械特性に優れていることがわかる。更に、最も代表的なエンジニアリングプラスチックであるビスフェノールA−ポリカーボネート樹脂よりも優れた耐薬品性と、それに匹敵する耐加水分解性を有し、また最も代表的なバイオマス資源を原料とするプラスチックであるポリ−L−乳酸よりも優れた耐薬品性及び耐加水分解性を有することもわかり、その耐環境性も非常に高い水準にある。
[光学用フィルムの実施例]
下記の参考例、実施例および比較例中の物性測定は以下のようにして行ったものである。なお、溶融粘度、ガラス転移温度(Tg)、5%重量減少温度(Td)は上述した方法と同様に測定した。
(1)比粘度(ηsp
ペレットを塩化メチレンに溶解、濃度を約0.7g/dLとして、温度20℃にて、オストワルド粘度計(装置名:RIGO AUTO VISCOSIMETER TYPE VMR−0525・PC)を使用して測定した。なお、比粘度ηspは下記式から求められる。
ηsp=t/t−1
t :試料溶液のフロータイム
:溶媒のみのフロータイム
(2)フィルムの膜厚
ミツトヨ製の膜厚測定計で測定した。
(3)光弾性定数
幅1cm、長さ6cmのフィルムを準備し、このフィルムの無荷重状態の位相差、1N、2N、3N荷重時の波長550nmの光の位相差を日本分光(株)製分光エリプソメーター「M220」で測定し(位相差)×(フィルム幅)/(荷重)を計算することにより求めた。
(4)フィルムの全光線透過率およびヘイズ値
日本電色工業(株)製濁度計NDH−2000型を用いて測定した。
(5)位相差値(R(450)、R(550))およびその波長分散(R(450)/R(550))
日本分光(株)製分光エリプソメーター「M220」により、波長450nmおよび波長550nmで測定した。位相差値はフィルム面に対して垂直入射光線に対する位相差値を測定した。
(6)フィルム中の残留溶媒量
フィルムを230℃で6時間加熱乾燥した前後の重量変化から算出した。
[参考例1](実施例で用いるポリカーボネート樹脂の製造)
イソソルビド1608重量部(11モル)とジフェニルカーボネート2356重量部(11モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを1.0重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して1×10−4モル)、および水酸化ナトリウムを1.1×10−3重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して0.25×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下常圧で180℃に加熱し溶融させた。
撹拌下、反応槽内を30分かけて徐々に減圧し、生成するフェノールを留去しながら13.3×10−3MPaまで減圧した。この状態で20分反応させた後に200℃に昇温した後、20分かけて徐々に減圧し、フェノールを留去しながら4.00×10−3MPaで20分間反応させ、さらに、220℃に昇温し30分間、250℃に昇温し30分間反応させた。
次いで、徐々に減圧し、2.67×10−3MPaで10分間、1.33×10−3MPaで10分間反応を続行し、さらに減圧し、4.00×10−5MPaに到達したら、徐々に260℃まで昇温し、最終的に250℃、6.66×10−5MPaで1時間反応せしめた。反応後のポリマーをペレット化した。得られたポリマーの比粘度は0.26、ガラス転移温度は162℃、5%重量減少温度は357℃であった。
[参考例2](比較例で用いるポリカーボネート樹脂の製造)
イソソルビド24.84重量部と1,6−ヘキサンジオール3.55重量部とジフェニルカーボネート42.84重量部とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを1.82×10−3重量部(ジオール成分1モルに対して1×10−4モル)、および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を27.2×10−6重量部(ジオール成分1モルに対して0.5×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した以外は参考例1と同様にしてポリカーボネート樹脂の溶融重合を行った。得られたポリマーの比粘度は0.28、ガラス転移温度は123℃であった。
[実施例3]
参考例1で得られたポリカーボネート樹脂をKZW15−30MGフィルム成形装置((株)テクノベル製)及びKYA−2H−6 ロール温調機((株)加藤理機製作所製)を用いて溶融製膜フィルムを得た。押出し機シリンダー温度は220℃〜260℃の範囲内に保持し、ロール温度は250℃にて行った。得られたフィルムの物性を表3及び表4に示した。
[実施例4〜6]
実施例3で得た未延伸のポリカーボネートフィルムを、延伸機を用いて延伸温度170℃で3通りの延伸倍率にて1軸延伸を行い、延伸フィルムを得た。これらの延伸フィルムおよび未延伸フィルムの位相差値およびその波長分散の物性を表4に示した。
[比較例6]
ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂である帝人化成(株)製パンライト(登録商標)L1225を用いて、実施例3と同様にして溶融製膜フィルムを得た。このフィルムの物性を表3に示した。実施例3のポリカーボネートフィルムと比べて光弾性定数が高く、また位相差値の波長分散が大きいことが分かる。
[比較例7〜9]
参考例2で得られたポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解させ、濃度18重量%の溶液を得た。該溶液をステンレス基板上にキャストして温度40℃で20分、温度60℃で30分加熱乾燥後、フィルムを基板から剥離してさらにフィルム周囲をゆるく固定して60℃で30分、80℃で30分、100℃で1時間、120℃で1時間、140℃で1時間乾燥してフィルムを得た。このポリカーボネートフィルムを、延伸機を用いて延伸温度120℃で2通りの延伸倍率にて1軸延伸を行い、延伸フィルムを得た。これらの未延伸フィルム(比較例7)および延伸フィルム(比較例8および9)の位相差値およびその波長分散の物性を表3及び表4に示した。実施例3〜6のポリカーボネートフィルムと比べて光弾性定数が高く、また位相差値の波長分散が大きく、延伸後の位相差が発現し難く、位相差制御性に劣ることが分かる。
Figure 0005346449
Figure 0005346449

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表されるカーボネート構成単位よりなる脂肪族ホモポリカーボネート樹脂であって、樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.20〜0.45であり、ガラス転移温度(Tg)が150〜200℃であり、且つ5%重量減少温度(Td)が330〜400℃であることを特徴とするポリカーボネート樹脂からなる光学用フィルム
    Figure 0005346449
  2. ポリカーボネート樹脂は、下記式(a)で示されるエーテルジオールと炭酸ジエステルとを、触媒として含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物とを併用して使用して溶融重縮合された請求項1記載の光学用フィルム
    Figure 0005346449
  3. ポリカーボネート樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.20〜0.37である請求項記載の光学用フィルム。
  4. 上記式(1)で表されるカーボネート構成単位がイソソルビド(1,4;3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール)由来のカーボネート構成単位である請求項記載の光学用フィルム。
  5. ポリカーボネート樹脂の光弾性定数が25×10−12Pa−1以下である請求項記載の光学用フィルム。
  6. 下記式(I)を満足する請求項記載の光学用フィルム。
    1.010<R(450)/R(550)<1.070 (I)
    (式中、R(450)、R(550)はそれぞれ波長450nm、550nmにおけるフィルム面内の位相差値である。)
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