JP5340516B2 - 防錆用コート剤組成物及び積層金属材料 - Google Patents

防錆用コート剤組成物及び積層金属材料 Download PDF

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Description

本発明は、優れた防錆効果だけでなく、塗膜の耐アルカリ性が良好であり、尚且つ耐水性、耐溶剤性、良好な加工性、金属材料への良好な密着性を有し、さらに低温で容易に造膜でき、得られる膜の透明性にも優れている防錆用コート剤組成物、及びそれから得られる被膜を有する積層金属材料に関するものである。
電気亜鉛めっき鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板などの金属めっき鋼板は自動車、家電、構造物などに広く用いられている中で、近年、優れた防錆性を有する表面処理鋼板に対する要求が強まっている。このような状況下において、亜鉛めっき鋼板の防錆性を一層高めるために、6価クロムを用いたクロメート処理が採用されてきている。このクロメート処理により亜鉛メッキ材料の防錆性は向上するが、有害な6価クロムによる作業環境や設置場所のクロム汚染の問題が指摘されており、クロムを使用しない、いわゆるノンクロメート防錆処理剤の開発が急務となっている。
新たなノンクロメート防錆処理剤の1つとして、様々な高分子化合物をベースとした処理剤が検討されている。例えば、オレフィン系の粉体樹脂を鋼板の表面に塗装する試みとして特開昭60−143952号公報、特開平7−207215号公報、あるいは特開平11−131259号公報には、エチレン−不飽和カルボン酸との共重合体樹脂粉末を粉体塗装することが開示されている。
しかしながら、このような粉体樹脂を用いて塗装する場合には、20μm以下の厚さに塗装するのは非常に困難であり、薄塗りの用途に使用することはできない。しかも、平滑性や均一性の優れた塗膜を得るのは困難であり、塗膜の平滑性や均一性を改善するためには粉体樹脂の流動性や平均粒子径に制限を受ける場合も多い。
塗装を薄く且つ均一にする方法として、樹脂を有機溶剤あるいは水性媒体に溶解または分散させることでコート剤を作製して、鋼板などにコーティングする方法が知られている。この場合、有機溶剤を使用するよりも、水性媒体を使用する方が、環境保護、省資源、消防法等による危険物規制、職場環境改善の立場から好ましい。
このような観点から、不飽和カルボン酸含有量の多いエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を用いて、樹脂中のカルボキシル基を塩基性化合物で中和することで水性媒体中に分散した水性防錆用コート剤が使用されている。例えば、特公平5−54823号公報、特開平6−246229号公報、特開2000−198949号公報等には、不飽和カルボン酸含有量が20質量%程度含有したエチレン−不飽和カルボン酸共重合体を主成分とした水性の防錆用コート剤が例示されている。
しかしながら、不飽和カルボン酸含有量の多い樹脂を塗装した場合、被膜の耐アルカリ性は著しく低下してしまうため、耐アルカリ性を必要とする用途には使用できない。
特開昭57−187246号公報には、不飽和カルボン酸含有量の少ないエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合樹脂で被覆した金属が開示されている。しかし、この場合も、フィルム化した樹脂を金属に被覆するため、樹脂層を10μm以下にすることは困難である。
不飽和カルボン酸含有量の少ないエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合樹脂などを水性媒体中に分散する場合、特開昭62−252478号公報、特開平7−82423号公報、特開平9−296081号公報記載の方法では、様々な乳化剤あるいは保護コロイド作用を有する化合物を必要とする。
しかしながら、このような方法では、系中に親水性の高い乳化剤や保護コロイド作用を有する化合物を含んでおり、これらは乾燥後も被膜中に残存するために、形成される被膜の耐水性が著しく低下してしまい、十分な防錆性が得られないという問題がある。さらに、乳化剤や保護コロイド作用を有する化合物を含む被膜は、それらがブリードアウトする恐れがあるために環境的、衛生的にも好ましくない。また、保護コロイド作用を有する化合物等を併用する場合には、それらが樹脂を可塑化するために、ポリオレフィン樹脂本来の特性が損なわれてしまう。つまり、乾燥後に、被膜中に残存するような化合物を実質的に添加することなくポリオレフィン樹脂を水性媒体中に微細,且つ均一に分散することが求められていた。
発明が解決しようとする課題
本発明者らは、上記のような問題に対して、薄塗りが可能であり、しかも優れた防錆性、耐アルカリ性、耐水性、耐溶剤性、加工性、及び金属材料への良好な密着性を有しており、さらに低温で容易に造膜でき、得られる膜の透明性にも優れている防錆コート剤組成物、及びそれから得られる被膜を有する積層金属材料を提供しようとするものである。
課題を解決するための手段
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の樹脂組成物を含有するコート剤を金属材料の表 面に塗布し、該樹脂組成物からなる層を形成させることにより、上記に示す数多くの優れた性能を発現することを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)下記ポリオレフィン樹脂と、有機アミン化合物とを含有する水性分散体であって、前記ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径が1μm以下であり、水性分散体中に乳化剤成分あるいは保護コロイド作用を有する化合物を実質的に含まないことを特徴とする防錆用コート剤組成物。
ポリオレフィン樹脂:
(A1)不飽和カルボン酸またはその無水物、
(A2)エチレン系炭化水素、
(A3)下記式(I)〜(IV)のいずれかで示される少なくとも1種の化合物とから構成される共重合体であって、各構成成分(A1)〜(A3)の質量比が下記式(1)、(2)をみたすポリオレフィン樹脂。
0.01≦(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100<5 (1)
(A2)/(A3)=55/45〜99/1 (2)
【化2】
(2)ポリオレフィン樹脂の190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜500g/10分であることを特徴とする(1)記載の防錆用コート剤組成物。
(3)不飽和カルボン酸またはその無水物(A1)成分が無水マレイン酸、アクリル酸またはメタクリル酸から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の防錆用コート剤組成物。
(4)エチレン系炭化水素(A2)がエチレンであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
(5)上記化合物(A3)が、式(I)で示される化合物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
(6)ポリオレフィン樹脂がエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体またはエチレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
(7)さらに多価金属イオンを含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
(8)さらに平均粒子径が0.005〜10μmの無機粒子を含有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
(9)さらにリン酸塩化合物を含有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
(10)水性分散体中の樹脂100質量部に対して、さらに架橋剤を0.01〜100質量部含有することを特徴とする(1)〜(9)いずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
(11)金属材料に(1)〜(10)のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物を乾燥して得られる被膜を設けてなる積層金属材料。
(12)金属材料が亜鉛めっき鋼、銅材料又はアルミニウム材料のいずれかである(11)記載の積層金属材料。
(13)被膜の膜厚が0.1〜10μmである(11)又は(12)記載の積層金属材料。
(14)(1)〜(10)のいずれかに記載の防錆コート剤組成物を金属材料に塗布後、30〜250℃で乾燥することを特徴とする積層金属材料の製造方法。
以下本発明を詳細に説明する。なお、防錆用コート剤組成物を「コート剤組成物」と略す。
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂は不飽和カルボン酸またはその無水物(A1)成分をこの樹脂全体〔(A1)+(A2)+(A3)〕に対して0.01質量%以上、5質量%未満、より好ましくは0.1質量%以上、5質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%以上、5質量%未満含有している必要があり、1〜4質量%が最も好ましい。(A1)成分の含有量が0.01質量%未満の場合は、樹脂を水性化(液状化)することが困難になり、良好な水性分散体を得ることが難しい。一方、不飽和カルボン酸またはその無水物の含有量が5質量%以上の場合は、水性化は容易になるが、他の添加剤との混合安定性が低下してしまう恐れがある。
ポリオレフィン樹脂の(A1)成分として用いることのできる不飽和カルボン酸またはその無水物は、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物であり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。また不飽和カルボン酸は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていれば良く、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
本発明に用いるポリオレフィン樹脂は、下記式(I)〜(IV)のいずれかで示される(A3)成分が構成成分として必要であり、この成分によって、ポリオレフィン樹脂に親水性が付与されるため、(A1)成分が5質量%未満であっても、乳化剤や保護コロイドの添加なしに水性化することができる。エチレン系炭化水素(A2)成分と(A3)成分との質量比(A2)/(A3)は、55/45〜99/1の範囲であることが必要であり、60/40〜98/2であることが好ましく、65/35〜97/3であることがより好ましく、70/30〜97/3であることがさらに好ましく、75/25〜97/3であることが特に好ましい。〔(A2)+(A3)〕に対する(A3)成分の比率が1質量%未満では、ポリオレフィン樹脂の水性化は困難になり、良好な水性分散体を得ることが難しい。一方、化合物(A3)の含有比率が45質量%を超えると、(A2)成分によるポリオレフィン樹脂としての性質が失われ、耐水性、耐アルカリ性等の性能が低下する。
本発明のポリオレフィン樹脂を構成するエチレン系炭化水素(A2)成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、特にエチレンが好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂を構成する上記式(I)〜(IV)のいずれかで示される(A3)成分としては、例えば、式(I)で代表される(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、式(II)で代表されるマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、式(III)で代表される(メタ)アクリル酸アミド類、式(IV)で代表されるメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。この中で、式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル類がより好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、あるいは(メタ)アクリル酸エチルが特に好ましい。
本発明に用いるポリオレフィン樹脂は、エチレン、アクリル酸メチルあるいはアクリル酸エチル、無水マレイン酸からなる三元共重合体が最も好ましい。ここで、アクリル酸エステル単位は、後述する樹脂の水性化の際に、エステル結合のごく一部が加水分解してアクリル酸単位に変化することがあるが、そのような場合には、それらの変化を加味した各構成成分の比率が規定の範囲にあればよい。
なお、本発明におけるポリオレフィン樹脂を構成する無水マレイン酸単位等の不飽和カルボン酸無水物単位は、樹脂の乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造を形成しているが、特に塩基性化合物を含有する水性媒体中では、その一部、または全部が開環してカルボン酸、あるいはその塩の構造を取りやすくなる。
また、本発明において、樹脂のカルボキシル基量を基準として量を規定する場合には、樹脂中の酸無水物基はすべて開環して2個のカルボキシル基をなしていると仮定して算出する。
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂には、その他のモノマーが、少量、共重合されていても良い。例えば、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二硫化硫黄等が挙げられる。
本発明に用いるポリオレフィン樹脂は、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.1〜500g/10分、好ましくは0.1〜400g/10分、より好ましくは0.1〜300g/10分、さらに好ましくは0.5〜250g/10分、最も好ましくは1〜250g/10分のものを用いることができる。ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが0.1g/10分未満では、樹脂の水性化は困難になり、良好な水性分散体を得ることが難しい。一方、ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが500g/10分を超えると、その水性分散体から得られる被膜は、硬くてもろくなり、機械的強度や加工性が低下する。
本発明に用いるポリオレフィン樹脂の合成法は特に限定されないが、本発明の主旨を考慮すれば、乳化剤や保護コロイドを用いない方が好ましい。一般的には、ポリオレフィン樹脂を構成するモノマーをラジカル発生剤の存在下、高圧ラジカル共重合して得られる。また、不飽和カルボン酸、あるいはその無水物はグラフト共重合(グラフト変性)されていても良い。
本発明の水性分散体は、上記のポリオレフィン樹脂が水性媒体に分散もしくは溶解されている。ここで、水性媒体とは、水を主成分とする液体からなる媒体であり、後述する水溶性の有機溶剤や塩基性化合物を含有していてもよい。
また、水性分散体中に分散しているポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径は、1μm以下である必要があり、0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましく、0.2μm以下がさらに好ましく、0.1μm未満が特に好ましい。なお、粒度分布については、特に限定されない。1μmを超えると粒子が沈降し易くなり、保存安定性が低下する。
本発明の水性分散体における、樹脂含有率は、成膜条件、目的とする樹脂被膜の厚さや性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではないが、コーティング組成物の粘性を適度に保ち、かつ良好な被膜形成能を発現させる点で、1〜60質量%が好ましく、3〜55質量%がより好ましく、5〜50質量%がさらに好ましく、10〜45質量%が特に好ましい。
本発明の水性分散体は、乳化剤あるいは保護コロイド作用を有する化合物を実質的に含有しないことを特徴とし、これらを用いずとも、ポリオレフィン樹脂を数平均粒子径1μm以下で水性媒体中に安定に維持することができる。乳化剤や保護コロイド作用を有する化合物は一般的に不揮発性であるので、被膜形成後にもポリオレフィン樹脂中に残存し、被膜を可塑化する作用を有し、被膜特性、特に防錆性、耐水性、耐アルカリ性の低下する原因となる。
ここで、「乳化剤あるいは保護コロイド作用を有する化合物を実質的に含有しない」とは、本発明の水性分散体の製造において、水性化促進や水性分散体の安定化の目的でこれらの不揮発性の薬剤や化合物を積極的には系に添加しないことにより、結果的にこれらを含有しないことを意味する。こうした化合物は、含有量がゼロであることが特に好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で、ポリオレフィン樹脂成分に対して0.1質量%未満含まれていても差し支えない。
本発明でいう乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やソルビタン誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常は5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物が挙げられる。
本発明の水性分散体において、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基は、塩基性化合物によって中和されていることが好ましい。中和によって生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって微粒子間の凝集が防がれ、水性分散体に安定性が付与される。
水性化の際に用いる塩基性化合物はカルボキシル基を中和できるものであれば良い。塩基性化合物としては、LiOH、KOH、NaOH等の金属水酸化物のほか、被膜形成時に揮発する化合物が被膜の耐水性の面から好ましく、中でも沸点が30〜250℃、より好ましくは50〜200℃の有機アミン化合物が好ましい。沸点が30℃未満の場合は、後述する樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化が完全に進行しない場合がある。沸点が250℃を超えると樹脂被膜から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させることが困難になり、被膜の耐水性が悪化する場合がある。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。塩基性化合物の添加量はポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍当量であることが好ましく、0.8〜2.5倍当量がより好ましく、1.01〜2.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、3.0倍当量を超えると被膜形成時の乾燥時間が長くなったり、水分散液が着色する場合がある。
本発明においては、ポリオレフィン樹脂の水性化を促進し、分散粒子径を小さくするために、水性化の際に有機溶剤を添加することが好ましい。使用する有機溶剤量は、水性分散体の40質量%以下が好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、2〜35質量%がさらに好ましく、3〜30質量%が特に好ましい。有機溶剤量が40質量%を超える場合には、実質的に水性媒体とはみなせなくなり、本発明の目的のひとつ(環境保護)を逸脱するだけでなく、使用する有機溶剤によっては水性分散体の安定性が低下してしまう場合がある。
一般に、水性分散体に含有される有機溶剤は、その一部をストリッピングと呼ばれる操作で系外へ留去させることができるが、本発明の水性分散体においても、この操作によって、水性分散体中の有機溶剤量を適度に減量してもよく、10質量%以下とすることができ、3質量%以下であれば、環境上好ましい。ストリッピングによって有機溶剤を留去するには、装置の減圧度を高めたり、操業時間を長くするなどの生産プロセスにおける処置が必要となるため、こうした生産性を考慮した有機溶剤量の下限は0.01質量%程度(本発明の測定に使用した分析機器の検出限界)である。しかし、0.01質量%未満であっても水性分散体としての性能は特に問題とはならない。本発明の水性分散体は、ストリッピングによって有機溶剤量を低くしても、特に性能面での影響はなく、各種用途に良好に使用することができる。
ストリッピングの方法としては、常圧または減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶剤を留去する方法を挙げることができる。有機溶剤の含有率はガスクロマトグラフィーで定量することができる。また、水性媒体が留去されることにより、固形分濃度が高くなるために、例えば、粘度が上昇し作業性が悪くなるような場合には、予め水性分散体に水を添加しておくこともできる。
有機溶剤としては、良好な水性分散体を得るという点から、ポーリング(Pauling)の電気陰性度が3.0以上の原子(具体的には酸素、窒素、フッ素、塩素)を分子内に1個以上有しているものを用いることが好ましい。さらにその中でも、20℃における水に対する溶解性が5g/L以上のものが好ましく用いられ、さらに好ましくは10g/L以上である。
本発明において使用される有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等が挙げられ、中でも沸点が30〜250℃のものが好ましく、50〜200℃のものが特に好ましい。これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用しても良い。なお、有機溶剤の沸点が30℃未満の場合は、樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化の効率が十分に高まらない場合がある。沸点が250℃を超える有機溶剤は樹脂被膜から乾燥によって飛散させることが困難であり、被膜の防錆性、耐水性が悪化する場合がある。
上記の有機溶剤の中でも、樹脂の水性化促進に効果が高く、しかも水性媒体中から有機溶剤を除去し易いという点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、低温乾燥性の点からイソプロパノールが特に好ましい。
次に、ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法について説明する。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を得るための方法は特に限定されないが、たとえば、既述の各成分、すなわち、特定組成のポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、有機溶剤、及び水を好ましくは密閉可能な容器中で加熱、攪拌する方法を採用することができ、この方法が最も好ましい。この方法によれば、乳化剤成分や保護コロイド作用を有する化合物を実質的に添加しなくとも特定組成のポリオレフィン樹脂を良好に水性分散体とすることができる。
容器としては、液体を投入できる槽を備え、槽内に投入された水性媒体と樹脂粉末ないしは粒状物との混合物を適度に撹拌できるものであればよい。そのような装置としては、固/液撹拌装置や乳化機として広く当業者に知られている装置を使用することができ、0.1MPa以上の加圧が可能な装置を使用することが好ましい。撹拌の方法、撹拌の回転速度は特に限定されない。
水性化に用いられるポリオレフィン樹脂の形状は特に限定されないが、水性化速度を速めるという点から、粒子径1cm以下、好ましくは0.8cm以下の粒状ないしは粉末状のものを用いることが好ましい。
この装置の槽内に水、塩基性化合物及び有機溶剤とからなる水性媒体、並びに粒状ないしは粉末状のポリオレフィン樹脂を投入し、好ましくは40℃以下の温度で攪拌混合しておく。次いで、槽内の温度を80〜200℃、好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは100〜200℃の温度に保ちつつ、好ましくは5〜120分間攪拌を続けることによりポリオレフィン樹脂を十分に水性化させ、その後、好ましくは攪拌下で40℃以下に冷却することにより、水性分散体を得ることができる。槽内の温度が80℃未満の場合は、ポリオレフィン樹脂の水性化が困難になる。槽内の温度が200℃を超える場合は、ポリオレフィン樹脂の分子量が低下する恐れがある。槽内の加熱方法としては槽外部からの加熱が好ましく、例えば、オイルや水を用いて槽を加熱する、あるいはヒーターを槽に取り付けて加熱を行うことができる。槽内の冷却方法としては、例えば、室温で自然放冷する方法や0〜40℃のオイルまたは水を使用して冷却する方法を挙げることができる。
なお、この後、必要に応じてさらにジェット粉砕処理を行ってもよい。ここでいうジェット粉砕処理とは、ポリオレフィン樹脂水性分散体のような流体を、高圧下でノズルやスリットのような細孔より噴出させ、樹脂粒子同士や樹脂粒子と衝突板等とを衝突させて、機械的なエネルギーによって樹脂粒子をさらに細粒化することであり、そのための装置の具体例としては、A.P.V.GAULIN社製ホモジナイザー、みずほ工業社製マイクロフルイタイザーM-110E/H等が挙げられる。
このようにして得られた水性分散体の固形分濃度の調整方法としては、例えば、所望の固形分濃度となるように水性媒体を留去したり、水で希釈したりする方法が挙げられる。
上記のようにして、本発明の水性分散体は、ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に分散又は溶解され、均一な液状に調製されて得られる。ここで、均一な液状であるとは、外観上、水性分散体中に沈殿、相分離あるいは皮張りといった、固形分濃度が局部的に他の部分と相違する部分が見いだされない状態にあることをいう。
また、水性分散体製造における水性化収率は、得られた水性分散体中に残存する粗大粒子の量によって知ることができる。具体的には、水性分散体を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、フィルター上に残存する樹脂量を測定する。
なお、残存樹脂が多く収率が低い場合でも、製造工程中で上記の濾過を行って、こうした粗大粒子を除去すれば、以降の工程で水性分散体としての使用は可能である。
本発明における水性化収率は、条件によってやや低下する場合もあるが、概ねきわめて良好であり、粗大粒子はほとんど残存することなく水性化が達成される。
このようにして製造したポリオレフィン樹脂水性分散体は、低温造膜性に優れており、樹脂の融点以下の乾燥条件においても透明な被膜を形成することができる。
ここでは、造膜性や透明性の目安として、室温でポリオレフィン樹脂水性分散体をコートしたコートフィルムの「ヘーズ(曇価)」を用いる。基材としてヘーズ2.0〜5.0(%)のPETフィルムを用い、これにポリオレフィン樹脂水性分散体を乾燥後コート膜厚2μmでコートし、25℃で乾燥する。こうして得られたコートフィルム全体のヘーズが20.0(%)以下である。この値は、15.0(%)以下がより好ましく、10.0(%)以下が特に好ましい。
本発明のコート剤組成物は、樹脂成分中の不飽和カルボン酸含有量が低いため、様々な添加剤との混合安定性に優れる。そのため、後述のような添加剤を配合して防錆性能等をさらに向上させることができる。
本発明において、防錆性を一層向上させるために、コート剤組成物中に多価金属イオン、無機粒子、リン酸塩化合物、架橋剤成分を含有させることが好ましい。
多価金属イオンとしては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属や亜鉛、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム等のイオンが挙げられる。なお、これらは、2種以上を混合して使用しても良い。多価金属イオンの添加量は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基量に対して10〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましい。多価金属イオンの添加量が10モル%未満の場合は、防錆性の向上効果の程度が小さく、添加量が90モル%を超えるとコート剤組成物の安定性が悪化する場合がある。
無機粒子としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン等の金属酸化物、炭酸カルシウム、シリカなどの無機粒子やバーミキュライト、モンモリロナイト、ヘクトライト等の水膨潤性の層状無機化合物を添加することができる。この中で、防錆性の点からシリカ、及び水膨潤性の層状無機化合物が好ましく、シリカが特に好ましい。これらの無機粒子の平均粒子径は0.005〜10μm、より好ましくは0.005〜5μmであることが水性分散体の安定性の面から好ましい。なお、これらは、2種以上を混合して使用しても良い。無機粒子の添加量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、1〜1000質量部が好ましく、2〜100質量部がより好ましく、3〜50質量部がさらに好ましく、5〜30質量部が特に好ましい。無機粒子の添加量が1質量部未満の場合は、防錆性の向上効果の程度が小さく、添加量が1000質量部を超えると金属への密着性が低下したり、均一な被膜が得られない場合がある。
無機粒子の分散性を向上させるために、無機粒子を添加したコート剤組成物をホモジナイザー処理、ボールミル処理、ペイントシェーカー処理、或いは前述したジェット粉砕処理等の高圧分散処理を行うことが好ましい。
リン酸塩化合物としては、金属のリン酸塩化合物が好ましく、中でも、防錆性の面から、多価金属のリン酸塩化合物が特に好ましく、例えば、リン酸亜鉛あるいはリン酸アルミニウム等を挙げることができる。なお、ここでいうリン酸塩とは、オルトリン酸塩、ポリリン酸塩、メタリン酸塩等を含んだ広義のリン酸塩を意味し、これらのいずれのリン酸塩構造をとっていてもよい。リン酸塩化合物の添加量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、1〜80質量部が好ましく、3〜80質量部がより好ましく、5〜70質量部がさらに好ましく、10〜70質量部が特に好ましい。金属塩化合物の添加量が1質量部未満の場合には、防錆性向上効果の程度が小さく、添加量が80質量部を超えると金属への密着性や加工性が低下しやすい。
リン酸塩化合物の水性媒体への溶解性が低い場合には、金属塩化合物の分散性を向上させるために、金属塩化合物を添加した樹脂水性分散体をホモジナイザー処理、ボールミル処理、ペイントシェイカー処理、あるいは前記したジェット粉砕処理等の分散処理を行うことが好ましい。中でも、ジェット粉砕処理等の高圧分散処理を行うことが、分散性、被膜の透明性向上の点から好ましい。
架橋剤成分の含有量は、樹脂水性分散体中の樹脂100質量部に対して0.1〜100質量部とすることが好ましく、0.5〜50質量部がより好ましく、0.5〜30質量部が特に好ましい。架橋剤の含有量が0.1質量部未満の場合には、防錆性向上の程度が小さく、100質量部を超える場合には、防錆性以外の物性、特に加工性が低下するだけでなく、ポリオレフィン樹脂の特性が失われてしまう。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤や、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、カルボキシル基またはカルボキシレートアニオンが複数配位して錯体を形成し得る金属等を用いることができ、例えば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン基含有化合物、カルボジイミド化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。中でもメラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤が、塗装金属材料の防錆性を高める上で特に好ましい。これらの架橋剤は併用することもできる。
さらに、本発明の樹脂水性分散体に必要に応じてレベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤や、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料あるいは染料を添加してもよい。また、樹脂水性分散体の安定性を損なわない範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を樹脂水性分散体に添加することもできる。
本発明において、樹脂水性分散体を塗装する金属材料は、特に限定されないが、中でも亜鉛めっき鋼、銅材料、あるいはアルミニウム材料に用いると、防錆効果が高く、好ましい。亜鉛めっき鋼のめっき方法としては、電気めっき法や溶融めっき法などが挙げられるが、いずれの方法を用いたものでもよい。また、亜鉛めっき鋼の表面は化成処理されていてもよい。化成処理方法としては、環境を配慮するとクロムを含まない化成液で処理されたものが好ましいが、本発明の樹脂水性分散体を用いたコート剤は、クロメート処理を施した亜鉛めっき鋼に使用しても防錆性を発揮することができる。亜鉛めっき鋼は、板状で使用される形態が代表的であり、銅材料の形態は、銅板や銅線などが挙げられ、またアルミニウム材料の形態、アルミニウム箔、アルミニウムシート、アルミニウム板などが挙げられる。
本発明の樹脂水性分散体は、被膜形成能に優れており、公知の方法により容易に製膜することができる。例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により各種基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥または乾燥と焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な樹脂被膜を各種基材表面に密着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、被コーティング物である基材の特性や後述する硬化剤の種類、配合量等により適宜選択されるものであるが、性能面や経済性を考慮した場合、加熱温度としては、30〜250℃が好ましく、60〜230℃がより好ましく、80〜210℃が特に好ましく、加熱時間としては、1秒〜20分が好ましく、5秒〜15分がより好ましく、10秒〜10分が特に好ましい。なお、架橋剤を添加した場合は、ポリオレフィン中のカルボキシル基と架橋剤との反応を十分進行させるために、加熱温度および時間は架橋剤の種類によって適宜選定することが望ましい。
また、本発明の樹脂水性分散体は、数平均粒子径が小さく、また液状であるため、基材表面に薄く塗ることが可能であり、例えば樹脂被膜として0.1〜10μmとすることができる。防錆性、透明性、加工性等を考慮すると、0.2〜8μmが好ましく、0.2〜5μmが特に好ましい。樹脂被膜の厚さが0.1μm未満では防錆性の効果が小さくなる。
なお、樹脂被膜の厚さを調節するためには、コーティングに用いる装置やその使用条件を適宜選択することに加えて、目的とする樹脂被膜の厚さに適した濃度の樹脂水性分散体を使用することが好ましい。このときの濃度は、調製時の仕込み組成により調節することができる。また、一旦調製した樹脂水性分散体を適宜希釈、あるいは濃縮して調節してもよい。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、各種の特性については以下の方法によって測定又は評価した。
(1)ポリオレフィン樹脂の構成
オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にて1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。
(2)水性化後のエステル基の残存量
水性化後のポリオレフィン水性分散を150℃で乾燥させた後、オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にて1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い、水性化前の(メタ)アクリル酸エステルのエステル基量を100%としてエステル基の残存率(%)を求めた。
(3)ポリオレフィン樹脂水性分散体の固形分濃度
ポリオレフィン分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、ポリオレフィン樹脂固形分濃度を求めた。
トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計(B型粘度計)を用い、温度20℃における水性分散体の回転粘度を測定した。
(5)ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒径
日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用い、数平均粒子径を求めた。
(6)水性化収率
水性化後の樹脂水性分散体を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)した際に、フィルター上に残存する樹脂質量を測定し、仕込み樹脂質量より収率を算出した。
(7)水性分散体の外観
樹脂水性分散体の色調を目視観察により評価した。
(8)ポットライフ
ポリオレフィン樹脂水性分散体を室温で90日放置した場合、水性分散体の外観を次の3段階で評価した。
○:外観に変化なし。
△:増粘がみられる。
×:固化、凝集や沈殿物の発生が見られる。
(9)耐水性評価方法
塗装鋼板は室温で1日放置後、評価した。塗膜を水で濡らした布で数回擦り、塗膜の状態を目視で評価した。
○:変化なし、△:塗膜がくもる、×:塗膜が完全に溶解
(10)耐アルカリ性評価方法
20℃においてpH12.0に調整したNaOH水溶液を45℃に加温して攪拌しておき、この水溶液に塗装した金属板を3分間浸漬した。その後、水洗いし、塗膜の状態を目視で評価した。
○:変化なし、△:塗膜がくもる、×:塗膜が溶解、または剥離
(11)耐溶剤性評価方法
塗装鋼板は室温で1日放置後、評価した。塗膜をエタノールで濡らした布で数回擦り、塗膜の状態を目視で評価した。
○:変化なし、△:塗膜がくもる、×:塗膜が完全に溶解
(12)防錆性評価方法
塗装鋼板は室温で1日放置後、評価した。JIS Z-2371規格の塩水噴霧試験機を用いて、35℃での5質量%NaCl水溶液の噴霧を行い、100時間後の塗膜状態を評価した。
◎:発錆面積率5%未満、○:発錆面積率5%以上、10%未満、△:発錆面積率10%以上、50%未満、×:発錆面積率50%以上
(13)加工性評価方法
塗装鋼板は室温で1日放置後、評価した。塗装面と反対の面が接するように塗装鋼板を折り曲げ、折り曲げ部分のクラックの有無を調べた。
○:クラックなし、×:クラックあり
(14)密着性評価(I):クロスカット・テープ剥離
塗装鋼板は室温で1日放置後、評価した。JIS K5400 8.5.2に準ずる。粘着テープにより1mm×1mm×100個の碁盤目部分をひき剥がし、剥離せずに残っている数で評価した。「n/100」は、試験後に100個の碁盤目中のn個が剥離せず残っていることを示す。
(15)密着性評価(II):エリクセン加工
塗装鋼板は室温で1日放置後、評価した。8mmのエリクセン加工を施し、加工部に粘着テープを接着後、勢いよくテープを剥離し、塗膜の状態を目視で評価した。
○:剥がれなし、×:剥がれあり
(16)ポリオレフィン樹脂水性分散体中の有機溶剤の含有率
島津製作所社製、ガスクロマトグラフGC-8A[FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG-HT(5%)-Uniport HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3mm、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n-ブタノール]を用い、樹脂水性分散体またはこれを水で希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
(17)ヘーズ(曇価)
JIS K7105に準じて、日本電色工業株式会社製のNDH2000「濁度、曇り度計」を用いて「ヘーズ(%)」を測定した。ヘーズが2.8%のPETフィルム(厚さ12μm)にポリオレフィン樹脂水性分散体を乾燥後のコート膜厚が2μmになるようにマイヤーバーを用いてコートした後、25℃の雰囲気中で3日放置して乾燥させてコートフィルムを作製した。このようにして作製したコートフィルム全体のヘーズを測定した。
使用した樹脂の組成を表1に示す。なお、表1に記載されている樹脂の融点はDSC(測定装置:パーキンエルマー社製DSC−7)で測定した値であり、メルトフローレートはJIS 6730記載(190℃、2160g荷重)の方法で測定した値である。
(コート剤組成物E−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(ボンダインHX−8210,住友化学製)、60.0gのイソプロパノール(以下、IPA)、4.5g(樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.2倍当量)のトリエチルアミン(以下、TEA)及び175.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。これをコート剤組成物E−1として用いた。
コート剤組成物の各種特性を表2に示した。数平均粒子径は0.068μmであり、その分布も1山であり、ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に良好な状態で分散していた。さらに、水性分散体のポットライフも90日以上であった。なお、水性化後の樹脂のエステル基残存率は99%であり、アクリル酸エチルの1%が加水分解されていた。このエステル基残存率は室温で90日、放置後でも変化せず99%であった。このコート剤組成物を前記した方法でコートしたコートフィルムのヘーズは2.8%であり、透明性は良好であった。
(コート剤組成物E−2の製造)
ポリオレフィン樹脂(B)(ボンダインTX−8030,住友化学製)を用い、IPA量を表2のように変更した以外はコート剤組成物E−1の製造と同様の操作でポリオレフィン樹脂水性分散体を得、これをコート剤組成物E−2として用いた。このコート剤組成物の各種特性を表2に示した。
(コート剤組成物E−3の製造)
E−1 250g、蒸留水85gを0.5リットルの2口丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ型冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱していき、水性媒体を留去した。約90gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、濾液の固形分濃度を測定したところ、20.5質量%であった。この濾液を攪拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度が20.0質量%になるように調整した。得られた水性分散体をコート剤組成物E−3とした。
このコート剤組成物中の有機溶剤(IPA)の含有率は0.3質量%であった。また、このコート剤組成物の外観を目視で観察したところ、沈殿や層分離の見られない均一なものであり、数平均粒子径は0.070μmであり、その分布も1山であった。また、室温で90日間、放置しても外観に変化はなく安定であった。このコート剤組成物を前記した方法でコートしたコートフィルムのヘーズは3.3%であり、透明性は良好であった。
(コート剤組成物E−4の製造)
コート剤組成物E−2を用いた以外は、コート剤組成物E−3の製造に準じた操作でポリオレフィン樹脂水性分散体を得、これをコート剤組成物E−4とした。コート剤組成物の各種特性を表2に示した。
(コート剤組成物H−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、45.0gのエチレン−アクリル酸共重合体樹脂(プリマコール5980I、アクリル酸20質量%共重合体、ダウ・ケミカル製)、12.6g(樹脂中のアクリル酸のカルボキシル某に対して1.0倍当量)のTEA、及び242.4gの蒸留水をカラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を100〜105℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の水性分散体を得た。これをコート剤組成物H−1とした。この際、フィルター上に樹脂は殆ど残っていなかった。
実施例1
コート剤組成物E−1を脱脂した溶融亜鉛めっき鋼板(日本テストパネル大阪社製、サイズ70mm×150mm×0.8mmt、実施例2〜13、比較例1、2でも同じものを使用)上にメイヤーバーで塗装し、200℃で2分間乾燥熱処理し、塗装鋼板を得た。乾燥後の塗膜厚みは2μmであった。性能評価結果を表3に示す。耐アルカリ性は良好であった。
実施例2〜4
コート剤組成物として、E−2(実施例2)、E−3(実施例3)、E−4(実施例4)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行って塗装鋼板を得た。性能評価結果を表3に示す。
実施例5
コート剤組成物E−3を用いて、乾燥熱処理を表3に示すように変えた以外は実施例1と同様の操作を行って塗装鋼板を得た。性能評価結果を表3に示す。
実施例6
コート剤組成物E−1中の樹脂100質量部に対してシリカ(アエロジル380、日本アエロジル社製)20質量部を添加、攪拌してコート剤組成物を調製した。このコート剤組成物を用いて実施例1と同様の操作を行って塗装鋼板を得た。性能評価結果を表3に示す。シリカを添加すると防錆性は向上した。
実施例7
実施例6で調製したコート剤組成物を用いて、乾燥後膜厚を表3に示すように変えた以外は実施例1と同様の操作を行って塗装鋼板を得た。性能評価結果を表3に示す。乾燥後膜厚が薄くても各種性能は良好であった。
実施例8
コート剤組成物E−2中の樹脂100質量部に対して無機層状化合物(クニミネ工業製、クニピアF(平均粒子径0.1〜0.5μm)、以下KFと略す。)を10質量部添加、攪拌した後、150MPa×2回(みずほ工業社製マイクロフルイタイザー)の処理を行いコート剤組成物を調製した。このコート剤組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行って塗装鋼板を得た。性能評価結果を表3に示す。無機層状化合物を添加すると防錆性は向上した。
実施例9
コート剤組成物E−1中の樹脂100質量部に対してリン酸アルミニウム(石津製薬社製)を40質量部添加、攪拌した後、150MPa×2回(みずほ工業社製マイクロフルイタイザー)の処理を行いコート剤組成物を調製した。このコート剤組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行って塗装鋼板を得た。性能評価結果を表3に示す。リン酸塩化合物を添加すると防錆性は向上した。
実施例10
コート剤組成物E−3中の樹脂中のカルボキシル基に対して水酸化カルシウム(和光純薬社製)を30mol%添加、攪拌してコート剤組成物を調製した。このコート剤組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行って塗装鋼板を得た。性能評価結果を表3に示す。水酸化カルシウムを添加すると防錆性は向上した。
実施例11〜13
コート剤組成物E−3中の樹脂100質量部に対して、架橋剤として10質量部のメラミン化合物(サイメル327、三井サイテック製、実施例11)、10質量部のオキサゾリン基含有化合物(エポクロスWS−700、日本触媒製、実施例12)、5質量部のエポキシ化合物(デナコールEX−313、ナガセ化成工業製、実施例13)をそれぞれ添加、攪拌してコート剤組成物を調製した。このコート剤組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行って塗装鋼板を得た。性能評価結果を表3に示す。架橋剤を添加すると防錆性は向上した。
比較例1
コート剤組成物としてH−1を用いた以外は実施例1に準じた操作を行って乾燥後膜厚2μmの塗装鋼板を得た。性能評価結果を表3に示す。耐アルカリ性以外の性能は実施例1とほぼ同様の結果であったが、耐アルカリ性は非常に悪かった。
比較例2
H−1中の樹脂100質量部に対してシリカ(アエロジル380、日本アエロジル社製)20質量部を添加、攪拌してコート剤組成物を調製した。このコート剤組成物を用いて実施例1に準じた操作を行って乾燥後膜厚2μmの塗装鋼板を得た。性能評価結果を表3に示す。防錆性は向上したが、耐アルカリ性は改善されず非常に悪かった。
実施例14、15
コート剤組成物E−1を脱脂した0.8mm厚の銅板(実施例14)及び、アルミ板(実施例15)上にメイヤーバーで塗装し、200℃で2分間乾燥熱処理し、塗装鋼板を得た。乾燥後の塗膜厚みは2μmであった。性能評価結果を表4に示す。
比較例3、4
コート剤H−1を脱脂した0.8mm厚の銅板(比較例3)及び、アルミ板(比較例4)上にメイヤーバーで塗装し、200℃で2分間乾燥熱処理し、塗装鋼板を得た。乾燥後の塗膜厚みは2μmであった。性能評価結果を表4に示す。
発明の効果
本発明によると、優れた防錆性を有するコート剤組成物が得られ、しかも同時に、耐アルカリ性、耐溶剤性、加工性、及び鋼板への良好な密着性を有する。コート剤組成物、及びそれより成る層を有する積層金属材料が提供される。

Claims (14)

  1. 下記ポリオレフィン樹脂と、有機アミン化合物とを含有する水性分散体であって、前記ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径が1μm以下であり、水性分散体中に乳化剤成分あるいは保護コロイド作用を有する化合物を実質的に含まないことを特徴とする防錆用コート剤組成物。
    ポリオレフィン樹脂:
    (A1)不飽和カルボン酸またはその無水物、
    (A2)エチレン系炭化水素、
    (A3)下記式(I)〜(IV)のいずれかで示される少なくとも1種の化合物とから構成される共重合体であって、各構成成分(A1)〜(A3)の質量比が下記式(1)、(2)をみたすポリオレフィン樹脂。
    0.01≦(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100<5 (1)
    (A2)/(A3)=55/45〜99/1 (2)
    【化1】
  2. ポリオレフィン樹脂の190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜500g/10分であることを特徴とする請求項1記載の防錆用コート剤組成物。
  3. 不飽和カルボン酸またはその無水物(A1)成分が無水マレイン酸、アクリル酸またはメタクリル酸から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防錆用コート剤組成物。
  4. エチレン系炭化水素(A2)がエチレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
  5. 上記化合物(A3)が、式(I)で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
  6. ポリオレフィン樹脂がエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体またはエチレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
  7. さらに多価金属イオンを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
  8. さらに平均粒子径が0.005〜10μmの無機粒子を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
  9. さらにリン酸塩化合物を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
  10. 水性分散体中の樹脂100質量部に対して、さらに架橋剤を0.01〜100質量部含有することを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の防錆用コート剤組成物。
  11. 金属材料に請求項1〜10のいずれかに記載の防錆用コート剤組成物を乾燥して得られる被膜を設けてなる積層金属材料。
  12. 金属材料が亜鉛めっき鋼、銅材料又はアルミニウム材料のいずれかである請求項11記載の積層金属材料。
  13. 被膜の膜厚が0.1〜10μmである請求項11又は12記載の積層金属材料。
  14. 請求項1〜10のいずれかに記載の防錆コート剤組成物を金属材料に塗布後、30〜250℃で乾燥することを特徴とする積層金属材料の製造方法。
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