JP5338304B2 - 加熱調理器用ガラストッププレート - Google Patents

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Description

本発明は、加熱調理器の上部に配置する調理器用ガラストッププレートに関する。
近年、オール電化住宅の普及に伴い、電磁調理器の需要は拡大し続けている。そのような背景の中で、電磁調理器については様々な機能を有するものへと進化し、それに伴って、機器内部の構造物が複雑化してきた。そのような理由から、電磁調理器用トッププレートについても、電磁調理器内部の構造物を今まで以上に隠蔽しなければならなくなってきた。
また、電磁調理器の調理面上で主な操作を可能としたガラスタッチ方式の天面操作型の電磁調理器が普及している。そして、ガラスタッチ方式の天面操作は、例えば、スイッチとなる部分において、基板の裏側面にカーボン電極や配線回路等を形成することによって可能となる。
そして、上記天面操作のスイッチを視認させる方法としては、濃色で遮光性の高いカーボン電極の周辺に透光性を有する部分を設け、電磁調理器の内部に配置した光源を発光させて上記透光性を有する部分を照射し浮かび上がらせることにより、光源の発光時にのみスイッチ形成部を出現させて識別させる方式が求められている。
また、スイッチ形成部のみならず、火力やタイマーの表示部分等も、ガラストッププレートの下方に設けた光源からの光を透過させる構造となっている。そのため、これらの部分についても、光源の発光時にのみ出現させて識別させる方式が求められている。
そして、電磁調理器内部の構造物の隠蔽することができ、上述のスイッチ形成部等の認識方法を実現できるガラストッププレートとしては、ガラス基板の裏側面に濃色のラスター層を形成し、その上に必要な部分にカーボン電極を設けたり、表示部等以外の部分に遮光層を設ける構成を有するものがある。
このガラストッププレートは、濃色のラスター層を設けることにより、内部の構造物を隠蔽することができる。
また、カーボン電極や遮光層を形成していない部分は、ガラストッププレートの下に配置させた光源の発光時には、その光を十分に透過させることができる。そして、カーボン電極の形成部(天面操作のスイッチ部分)、及び遮光層の形成部は、カーボン電極及び遮光層の高い遮光性により、光源からの光を透過させない。そのため、光源の発光時には、カーボン電極及び遮光層の未形成部が浮かび上がり、カーボン電極の形成位置や、表示部等を明確に識別できるようになっている。
さらに、ガラストッププレートの調理面側からは、カーボン電極あるいは遮光層と濃色のラスター層とが重なっている部分と、濃色のラスター層のみが形成されている部分との色差がなく、光源の未発光時には両者は識別し難い状態となっており、光源の発光時のみ、スイッチ部分や、表示部等を識別できる構造となっている。
特許第3758445号公報
しかしながら、上述のガラストッププレートの構成では濃色の色彩しか表現することができず、白色系等の明度の高い色調の表現は困難である。
一方、電磁調理器が配置されるキッチンカウンターにおいては白色系の需要が多く、カウンターと色彩的に調和が取れるパール調効果を発現する白色系等の明度の高い色彩の加熱調理器用ガラストッププレートが強く望まれるようになっている。しかし、上記の現状からすれば、これに応えることができない。
パール調シルバーグレー系の加熱調理器用ガラストッププレートとしては、特許文献1に、透光性低膨張ガラスセラミックスにパール調絵具層を形成する構成で、パール調効果を発揮でき、透光性低膨張ガラスセラミックス本来の強度を有するパール調絵付けガラスセラミックスが記載されている。また、特許文献1には、上記パール調絵具層上に遮光層を設けることにより、電磁調理器内部の構造物を隠蔽するための遮光性を得られることが記載されている。
特許文献1の透光性低膨張セラミックスにパール調絵具層を形成した構成において、上記パール調絵具層上にカーボン電極や配線回路を形成した場合には、パール調効果は得られるが、パール調絵具層による隠蔽性が弱く、調理器内部の構造物の隠蔽性が不十分であったり、カーボン電極等の形成パターンが透過してしまい、光を透過させてスイッチを視認させるという意匠的な機能が低下する。
そして、上記特許文献1の上記パール調絵具層上に遮光層を設ける構成では、シルバー調の輝度を有する意匠表現が可能となり、また、光の透過率を低下させることにより調理器内部の構造物を隠蔽し、カーボン電極等の形成パターンの透過を防止するのに十分な遮光性は得られる。しかし、このような構造をとった場合には、光源を発光させた場合にも、その光が透過し難くなるため、光を透過させてスイッチを視認させるという意匠的な機能が低下するという問題がある。
また、上記パール調絵具層上に遮光層を設ける構成を有する場合に、調理器内部の構造物の隠蔽、カーボン電極等の形成パターンの透過防止、及び光源の発光時の光の透過によるスイッチの視認性を得るために、カーボン電極近傍や、火力やタイマーの表示部分等の光を透過させたい部分において、上記パール調絵具層あるいは上記遮光層を非連続に形成させて、パール調絵具層あるいは遮光層を形成していない部分(透光部)に光を透過させる方法も考えられる。
しかしながら、この場合には、上記透光部と、その他の部分とが色差を有することになり、光源の未発光時であっても、透光部の位置が認識できてしまい、意匠面で劣るという問題がある。
そして、現在は、パール調絵具層上に遮光層を設ける構成と、上述の濃色のラスター層を設ける構成とを組み合わせ、カーボン電極近傍や、火力やタイマーの表示部分等透光部を含む部分は濃色のラスター層を帯状に形成し、その他の内部の構造物の隠蔽が要求される部分はパール調絵具層上に遮光層を設ける構成とするトッププレートを提供している。これにより、調理器内部の構造物の隠蔽、カーボン電極、遮光層等の形成パターンの透過防止、及び光源の発光時の光の透過による透光部の視認性を得ることはできる。しかし、部分的であっても、濃色ラスター層を形成するため、パール調の品位を低下させる等、ガラストッププレート全体の意匠性が低下してしまう。
また、上記カーボン電極層や配線回路は、一般的に導電素材と耐熱樹脂とを混練したカーボンペーストを用いて形成されるものである。そのため、明度の高い色調を有する絵付け層の上にカーボン電極等を形成する場合には、形成時の印刷、キュア(硬化)によって、カーボン電極層等の形成部と未形成部との間に若干の後述する濡れ性による色差が発生する。そのため、上記光源の未発光時であっても、色差によりスイッチ部が目立つという問題があった。また、この濡れ性による色差については、後述するが、調理器内部の構造物等を隠蔽するために設けられる遮光層についても同様に起こる問題である。
カーボン電極層や遮光層が形成されている部分では光の散乱が生じないが、カーボン電極層や遮光層が形成されていない部分では光の散乱が生じるので、カーボン電極層や遮光層の有無で色差を生じる。ここで言う色差を濡れ性による色差とする。
そのため、スイッチ形成部分、火力やタイマーの表示部分等の透光部を含めたガラストッププレート全体が明度の高い色調で表現され、調理器内部の構造物を十分に隠蔽することができ、発光時のみ透光部が出現するという意匠的な機能を有する調理器用ガラストッププレートが望まれている。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、明度の高い色調であっても、調理器内部の構造物を十分に隠蔽することができ、かつ、光源の未発光時においては、調理面から透光部を識別し難く、上記光源の発光時においては、上記光源の発光により透光部を明確に視認できることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレートを提供しようとするものである。
本発明は、加熱調理器の上部に配置されるガラストッププレートにおいて、
透光性低膨張ガラスセラミックスからなる基板と、該基板における調理面とは反対側の面である裏側面上に形成されたパール調層と、該パール調層上に形成された被覆層とを有し、
上記被覆層上に無機顔料を含有する樹脂よりなる保護層を配置することにより構成した遮光部と、
上記被覆層上に透明の樹脂よりなる透明樹脂層を配置することにより構成した透光部とを有し、
該透光部の可視光透過率は3.5%以上であり、
上記透光部において、上記ガラストッププレートの下方に配置された光源からの光を透過させ、上記遮光部において上記光源からの光を遮光するよう構成されており、
上記被覆層上にカーボン電極層を配置することにより構成した電極部を有し、
該電極部は、上記ガラストッププレートの天面操作のスイッチ部であり、
上記透光部は、上記スイッチ部の表示用であり、
上記光源の未発光時における、上記基板の調理面における上記透光部と上記遮光部との色差ΔEは1.5以下であることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレートにある(請求項1)。
本発明の加熱調理器用ガラストッププレートは、上述の要件を全て具備する構成とすることにより、近年、強く望まれている白色系等の明度の高い色調を有する場合であっても、調理器内部の構造物を十分に隠蔽することができ、さらに、発光時のみ透光部を現し出すことができ、意匠的に特に優れたものとすることができる。
上記加熱調理器用ガラストッププレートは、上記基板の裏側面に、パール調層を設けることにより、加熱調理器用ガラストッププレートにパール調の色調を付与することができる。なお、パール調層の組成、厚み等により、透過率や明度を調整することができる。
また、上記パール調層の上に、被覆層を積層させる。上記被覆層は、上記パール調層の質感を阻害することなく、透光性を確保したまま、上記保護層の濃色の透過を抑制するものである。また、上記被覆層は、上記パール調層を保護する役割も有する。
また、トッププレートの下方に配置された光源からの光を透過させる透光部、及び上記光源からの光を遮光する遮光部が設けられている。
上記透光部は、トッププレートの下方に配置された光源からの光を透過させる部分である。つまり、光源の発光時には、識別できるように浮き出る部分である。
そのため、上記透光部は必ず、光源からの光を透過させるように構成されている必要があり、上記パール調層及び上記被覆層は、光源からの光を透過させるように積層されていなければならない。
また、上記光源は、トッププレートの下方において、上記透光部を照射できるように配設されていればどのように配置されていてもよい。
また、上記遮光部は、上記被覆層上に無機顔料を含有する樹脂よりなる保護層を配置することにより構成してある。これにより、光源からの光が透光部以外の部分に散乱することを防止することができる。また、下方に調理器内部の構造物が配置されている部分等に形成し、遮光性を付与することによって、上記構造物を隠蔽するという効果を有する。また、高機能付加の電磁調理器においては、内部部品がガラストッププレートと接近し、狭い隙間しかないものもある。こういった場合、例えば、輸送中の振動で上記ガラストッププレートの裏側面に積層した上記パール調層や上記被覆層に磨耗痕を発生させるおそれがある。そして、上記保護層は、上記加熱調理器用ガラストッププレートの裏側面の損傷を抑制する保護効果も有する。
また、上記遮光部は、記被覆層上に無機顔料を含有する樹脂よりなる保護層を配置することにより構成してある。そして、保護層形成時の印刷キュアによって、保護層形成部と保護層未形成部との間には、濡れ性による色差が生まれる。
なお、上述したように、濡れ性は、保護層形成部では光の散乱が生じず、保護層未形成部では光の散乱が生じることによる色差である。そして、色差が生じている場合は、調理面側から観察した際に、上記保護層形成部分(遮光部)が濡れているような色調に変化した状態となる。
そして、上記透光部は、上記被覆層上に透明の樹脂よりなる透明樹脂層を配置することにより構成してある。そのため、上記被覆層上に、透明樹脂層を形成することにより、透光性を低下させることなく、あるいは透光性を向上させて、上記透光部に濡れ性を付与することができる。遮光部と同様に透光部にも濡れ性を付与することにより、上記保護層形成部(遮光部)との色差を低減することができる。すなわち、光源の未発光時においては、上記透光部と、上記遮光部との色差が小さく、識別し難くなることにより、透光部を調理面から認識し難くすることができる。一方、上記光源の発光時においては、上記透光部のみが光を透過して浮き出てくるため、透光部を明確に視認することができる。
また、上記パール調層自体がある程度の遮光性を有しているため、上記被覆層、及び上記保護層により多少の色の影響を受けることがあるとしても、パール調効果の質感を阻害されることはない。そのため、加熱調理器用ガラストッププレートは、パール調層のパール調効果により比較的明度の高いパール調の色彩を実現することができる。
このように、本発明によれば、明度の高い色調であっても、調理器内部の構造物を十分に隠蔽することができ、かつ、光源の未発光時においては、調理面から透光部を識別し難く、上記光源の発光時においては、上記光源の発光により透光部を明確に視認できることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレートを提供することができる。
本発明の加熱調理器用ガラストッププレートは、上述したように、透光性低膨張ガラスセラミックスからなる基板と、該基板における調理面とは反対側の面である裏側面上に形成されたパール調層と、該パール調層上に形成された被覆層とを有する。
上記透光性低膨張ガラスセラミックスは、透光性で膨張率の低いものであれば特に限定しないが、例えば、主結晶相にβ−石英固溶体を析出したものがある。
β−石英固溶体を析出した透光性低膨張ガラスセラミックスの結晶化度は、例えば、体積で約70%、結晶の大きさは0.1μm以下である。β−石英固溶体は負の膨張特性を示し、残存ガラス相の正の膨張特性と打ち消し合って熱膨張率がほぼゼロになる。屈折率(nD)は1.541であり、β−石英固溶体の析出結晶の大きさは0.1μm以下で可視光の波長より小さく、結晶相と残存ガラス相の屈折率もほぼ同程度であるため、光の散乱がなく、外観的には透明であり、可視光域から赤外域の光をよく透過する。
上記パール調層を形成していない場合には、パール調効果を発現することができず、明度の高い色調を実現することができないという問題がある。
また、上記パール調層は、1層のみからなっても良いが、2層以上積層させても良い。そして、パール調層によるパール調効果を強く発現させるために、上記パール調層は2層からなることが好ましい。
また、上記パール調層は、必ずしも上記裏側面の全面に設ける必要はない。
また、上記パール調層の膜厚は3〜30μmの範囲内であることが好ましい。
上記パール調層の膜厚が3μm未満の場合には、透過率が高くなるおそれがあり、透光部が十分な隠蔽力を有することができず、透光部において、機器内部の構造物の隠蔽をし難くなるおそれや、光源の未発光時の上記保護層や後述のカーボン電極層の透過の防止をし難くなるおそれがある。一方、上記パール調層の膜厚が30μmを超える場合には、熱膨張差により、パール調層が剥離するおそれがある。上記パール調層の膜厚は、より好ましくは、5〜15μmである。
また、上記被覆層を形成していない場合には、上記パール調層に保護層を形成することとなるが、上記保護層の濃色の透過を抑制することができず、たとえ透光部に透明樹脂層を形成したとしても、光源の未発光時における透光部と遮光部や後述のカーボン電極層との色差を解消することができないという問題がある。
また、上記遮光部は、上記被覆層上に無機顔料を含有する樹脂よりなる保護層を配置することにより構成してある。
上記保護層を設けない場合には、調理器内部の構造物の隠蔽が不十分になるおそれがある。また、光源からの光が透光部以外の部分に散乱することを防止することができず、意匠性が劣るおそれがある。
また、上記遮光部は、光源の光を遮光する必要がない部分であっても、磨耗の影響を受けやすい場所等に所望のパターンに形成することも好ましい。
上記保護層は、上記被覆層上において、上記透光部、及び後述する電極部を除いた範囲全面に設けていることが好ましい。
また、上記透光部は、上記被覆層上に透明の樹脂よりなる透明樹脂層を配置することにより構成してある。
上記透明の樹脂としては、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂等を用いることができる。
上記透明樹脂層において、透明とは、JIS R 3106より380〜780nmの波長域での光の透光率が65%以上であることとする。
そして、上記透明の定義を満たす範囲であれば、上記樹脂は無機顔料を含有していても良い。そして、上記無機顔料の添加量は少ない方が好ましく、上記透光部に光を透過させた際に無機顔料の分散が不十分であると、異物のように見えてしまうおそれがあるため、無機顔料の添加量の上限を20質量%以下とする。上記透明樹脂層は、無機顔料を添加していないことが好ましい。
そして、上記透光部において、上記被覆層上に透明樹脂層を配置しない場合には、透光部と上記遮光部との間に色差が生じ、光源の未発光時においても透光部が識別される状態となるという問題がある。
また、上記樹脂が透明でない場合には、上記透光部の透過率が低下し、上記光源の発光時に、上記光源の光が上記透光部を透過し難くなり、透光部の視認性が低下するという問題がある。
また、上記透明樹脂層は、上記保護層や、後述するカーボン電極層と部分的に重なり合っていても問題はない。
上記加熱調理器用ガラストッププレートは、上記光源の未発光時における、上記基板の調理面における上記透光部と上記遮光部との色差ΔEは1.5以下であることが好ましい
この場合には、特に、光源の未発光時において、特に、上記透光部を目立ち難くすることができる。
上記透光部において上記透明樹脂層を設けていれば、設けていない場合と比較して、光源の未発光時における上記透光部と上記遮光部との色差を低減することが可能である。しかし、上記色差ΔEが1.5を超える場合には、色差の低減が十分ではなく、光源の未発光時において透光部が認識され易くなるおそれがあり、さらに、上記色差ΔEが2.0を超える場合には、光源の未発光時において、スイッチ部が調理面から認識され易くなるおそれがある。
なお、上記色差とは、Lab表色素において、ΔE={(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)21/2で表される数値である。
また、上記透光部の可視光透過率は3.5%以上であることが好ましい
この場合には、特に、光源の発光時に上記透光部を明瞭に認識することができる。
なお、上記可視光透過率とは、JIS R 3106より、380〜780nmの波長域における光の透過率をいう。また、透光部の透過率は、上記パール調層、及び上記被覆層が重なった厚みに影響を受ける。
上記光の透過率が3.5%未満の場合には、上記光源の発光時に上記光源の光が上記透光部を透過し難くなり、光源の発光時における透光部の視認性が低下するおそれがある。
また、上記透光部の可視光透過率については、光源発光時の光を透過させるという機能を鑑みた場合には透光率は高ければ高い方が良いが、透光部と遮光部との色差を鑑みた場合には5〜15%であることがより好ましい。
また、上記基板にパール調層及び被覆層のみを形成した場合の可視光透過率は、3.5〜15%であることが好ましい。
上記基板にパール調層及び被覆層のみを形成した場合の可視光透過率が3.5%未満の場合には、上記光源の発光時に、上記光源の光が上記透光部を透過し難くなり、天面操作のスイッチ部の視認性が低下するおそれがある。一方、可視光透過率が15%を超える場合には、調理面における遮光部と透光部との色差ΔEが1.5を超え、透光部に透明樹脂層を配したとしても透光部と遮光部との色差を解消できず、光源の未発光時に透光部が目立ち易くなるおそれがある。
また、上記基板に、パール調層及び被覆層のみを形成した場合の可視光透過率は、5〜12%であることがより好ましい。
そして、上述の可視光透過率を実現するためには、上記基板に上記パール調層のみを形成した際の可視光透過率が20〜35%であり、上記基板に上記被覆層のみを形成した際の可視光透過率が10〜55%であることが好ましい。
上記特定の透過率を有するパール調層を設けることにより、上記トッププレートに明度の高いパール調の色調を付与することができる。
上記基板に上記パール調層のみを形成した際の可視光透過率が20%未満である場合には、調理面における明度(L値)が70を下回る可能性があり、白味を帯びた色調(白色系の色調)を呈することが困難になるおそれがある。また、透光部に必要な透光性を得ることができず、上記光源の発光時に、上記光源の光が上記透光部を透過し難くなり、スイッチ部の視認性が低下するおそれがある。一方、上記透過率が35%を超える場合には、パール調層による遮光性が低下し、透光部に十分な隠蔽力を持たせるためには、被覆層に遮光性が必要となる。被覆層に遮光性を持たせると、調理面における明度が70を下回るおそれがあり、白味を帯びた色調(白色系の色調)を呈することが困難になるおそれがある。
上記基板に上記パール調層のみを形成した際の上記可視光透過率は、20〜30%であることがより好ましい。
また、上記特定の透過率を有する被覆層を積層させることにより、上記パール調層の質感を阻害することなく、透光性を確保したまま、上記カーボン電極層の濃色の透過、及び上記保護層の濃色の透過を抑制することができる。
また、上記基板に上記遮光層のみを形成した際の可視光透過率が10%未満である場合には、被覆層が遮光性を発現し、調理面における明度(L値)が70を下回る可能性があり、白味を帯びた色調(白色系の色調)を呈することが困難になるおそれがある。また、上記光源の発光時に、上記光源の光が上記透光部を透過し難くなり、透光部の視認性が低下するという問題がある。一方、上記基板に上記遮光層のみを形成した際の可視光透過率が55%を超える場合には、パール調層と被覆層を重ねた場合の可視光透過率が15%を超えるおそれがあり、調理面における遮光部と透光部との色差ΔEが1.5を超え、光源の未発光時にスイッチ部を目立ち難くするという意匠面の機能を低下させてしまうおそれがある。
また、上記基板に上記被覆層のみを形成した際の可視光透過率は15〜50%であることがより好ましい。
また、上記被覆層上にカーボン電極層を配置することにより構成した電極部を有することが好ましい
これにより、電磁調理器の調理面上で主な操作を可能としたガラスタッチ方式の天面操作型の電磁調理器に対応可能とすることができる。
また、上記カーボン電極層は、ガラストッププレートの天面操作のスイッチ部分の電極に限らず、配線回路等も含むものとする。
上記カーボン電極層は、一般的に導電素材と耐熱樹脂等とを混練したカーボンペーストを用いて形成されるものである。そして、上記被覆層上にカーボン電極層を形成すると、上記遮光層と同様に、形成時の印刷キュアによって、カーボン電極層形成部とカーボン電極層未形成部との間に濡れ性による色差がうまれる。しかし、遮光部と電極部とは色差はほとんどなく、また、透光部には透明樹脂層が配置されているため、光源の未発光時に、上記透光部、上記遮光部、及び上記電極部を識別し難くすることができる。
また、上記透光部を上記電極部(スイッチ部分)近傍に設けると、光源の発光時には、上記カーボン電極層近傍の透光部がスイッチ部分を識別できるように浮き出ることとなる。そのため、光源の未発光時においては、調理面から電極部(スイッチ部分)を識別させることがなく、発光時のみスイッチ部が出現し、明確に視認することができるという意匠的な機能を有することができる。
また、上記調理面における明度(L値)が70以上であることが好ましい(請求項)。
この場合には、上記加熱調理器用ガラストッププレートは、白味を帯びた色調(白色系の色調)を呈することができる。
上記明度は70未満であっても、調理器内部の構造物を十分に隠蔽することができ、かつ、光源の未発光時においては、調理面から透光部を識別し難く、上記光源の発光時においては、上記光源の発光により透光部を明確に視認できれば本発明の目的は達成される。しかし、上述したように、従来の技術では濃色の色彩しか表現することができず、白色系等の明度の高い色調の表現は困難であったため、本発明は、白色系等の明度の高い色調を表現する場合に特に適している。
上記明度(L値)は、明暗の度合いであって、例えば、エックスライト社製分光測色計X−rite SP60を用いて測定することができる。
また、上記パール調層は、パール調材料の含有量が10質量%超え30質量%以下であり、シリコーンレジン又はシリカ質ゾルが10質量%以上30質量%以下、有機バインダーが40質量%以上80質量%未満であるパール調絵具を上記基板に絵付焼成してなることが好ましい(請求項)。
この場合には、上記特定の組成を有するパール調絵具を用いてパール調層を設けることにより、低コストで、かつ十分なパール調効果を発現させることができる。
上記パール調絵具は、上記パール調材料を、10質量%超え30質量%以下含有しているため、上記加熱調理器用ガラストッププレートに、十分なパール調効果を発現させることができる。また、隠蔽力を付与することもできる。
また、上記パール調絵具には、上記特定量のシリコーンレジン又はシリカ質ゾルが含有されている。これらは、上記パール調絵具と上記基板との間を結合する結合材として働き、調理面からの衝撃や熱衝撃等に耐え得る、優れた耐久性を有するパール調層とすることができる。
また、上記パール調絵具に含有させた特定量の上記有機バインダーは、上記パール調材料を比較的多く含有するパール調絵具に流動性を付与し、上記基板へのパール調層形成において、ムラやカスレ等の不具合を抑制し、良好な塗装性を得ることができる。
つまり、上記パール調絵具に、上記シリコーンレジン又はシリカ質ゾル、及び上記有機バインダーを特定量含有させることにより、多量のパール調材料が、上記基板に良好に付着したパール調層を形成することができる。そのため、十分なパール調効果を有し、隠蔽力を有し、かつ、実用上問題のない強度を有することができる。
また、上記パール調絵具を用いて上記パール調層を形成する場合には、パール調材料、シリコーンレジン又はシリカ質ゾル、及び有機バインダーよりなるため、低コストで得ることができる。
上記パール調材料は、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄等により無機顔料を被覆したものである。上記無機顔料の色は何色であってもよく、パール調材料は、その色にパール調を加味した色を呈する。
上記無機顔料としては、特に限定しないが、カオリン、タルク、セリサイト、ピロフェライト、天然雲母、合成雲母、酸化アルミニウム等を用いることが好ましい。
また、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄等の被覆方法は、公知の技術を用いることができる。例えば、酸化チタンを無機顔料としてのマイカに被覆するにあたっては、希薄なチタン酸水溶液中にマイカ粉体を懸濁させ、70〜100℃に加温し、チタン塩を加水分解してマイカ粉体表面に水和酸化チタン粒子を析出させ、その後700℃〜1000℃の高温で焼成する方法がある。
また、上記パール調材料の含有量が10質量%以下の場合には、十分なパール調効果を発揮することができないおそれがある。一方、上記パール調材料の含有量が30質量%を超える場合には、有機バインダーの量が低下してしまい、ペーストとしての粘調性が悪化するため、透光性低膨張ガラスセラミックへの塗膜形成において、ムラやカスレ等の不具合が発生してしまうおそれがある。あるいは、上記シリコーンレジン又はシリカ質ゾルの含有量が低下し、パール調層と基板との付着力が著しく低下してしまうおそれがある。
また、上記シリコーンレジンとは、シロキサン結合を主骨格とする有機珪素化合物の重合体をいう。そして、必要に応じて、シリコーンレジンが溶解しうる有機溶剤を用いる。
上記シリカ質ゾルは、例えば、エチルシリケート等を加水分解して得られるシリカゾル、コロイド状シリカゾル等を用いることができる。
また、上記シリコーンレジン又はシリカ質ゾルの含有量が10質量%未満の場合には、パール調層と基板との付着力が著しく低下してしまうおそれがある。一方、上記シリコーンレジン又はシリカ質ゾルの含有量が30質量%を超える場合には、シリコーンレジンあるいはシリカ質ゾルがパール調材料を被覆し、パール調効果を低下させるおそれがある。また、パール調絵具におけるパール調材料の割合が低下することとなり、十分なパール調効果を発揮することができないおそれがある。また、有機バインダーの量が低下してしまい、ペーストとしての粘調性が悪化するため、透光性低膨張ガラスセラミックへの塗膜形成において、ムラやカスレ等の不具合が発生してしまうおそれがある。
上記有機バインダーとしては、例えば、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、アルキッド系樹脂、セルロース系樹脂等を用いることができる。また、必要に応じて有機溶剤を添加しても良い。
また、上記有機バインダーの含有量が40質量%未満の場合には、流動性を有するペーストが得られなくなり、透光性ガラスセラミックスへの塗膜形成において、ムラやカスレ等の不具合を発生してしまう可能性がある。また、パール調材料の割合が増加し、上述したように、透光性低膨張ガラスセラミックへの塗膜形成において、ムラやカスレ等の不具合が発生してしまうおそれがある。一方、上記有機バインダーの含有量が80質量%以上の場合には、流動性を有するペーストは得られるが、パール調材料の割合が低下し、パール調効果が得られなくなる可能性や、上記シリコーンレジン又はシリカ質ゾルの含有量が低下し、パール調層と基板との付着力が著しく低下してしまうおそれがある。
なお、上記パール調層を複数層重ねて形成する場合にも、上記焼成は1回でよい。
また、上記パール調絵具には、パール調材料の色を調整するために、パール調材料の重量に対して、50%以下の重量で無機顔料を添加しても良い。但し、無機顔料を含有させる場合には、パール調材料と無機顔料を合わせた粉体の含有量が、30質量%を超えてはならない。
上記無機顔料としては、例えば、白色無機顔料、黒色無機顔料、灰色無機顔料、黄色無機顔料、茶色無機顔料、緑色無機顔料、青色無機顔料、桃色無機顔料等がある。
具体的には、上記白色無機顔料としては、例えば、TiO2、ZrO2、ZrSiO4、Al23、3Al23−2SiO2、Al2TiO5等が挙げられる。
また、上記黒色無機顔料としては、例えば、Cr−Fe系酸化物、Co−Mn−Cr−Fe系酸化物、Co−Ni−Cr−Fe系酸化物、Co−Ni−Cr−Fe−Mn系酸化物等が挙げられる。
また、上記灰色無機顔料としては、例えば、Sn−Sb系酸化物、Sn−Sb−V系酸化物等が挙げられる。
また、上記黄色無機顔料としては、例えば、Sn−V系酸化物、Zr−V系酸化物、Zr−Si−Pr系酸化物、Ti−Cr−Sb系酸化物等が挙げられる。
また、上記茶色無機顔料としては、例えば、Zn−Al−Cr−Fe系酸化物、Zn−Mn−Al−Cr−Fe系酸化物等が挙げられる。
また、緑色無機顔料としては、例えば、Ca−Cr−Si系酸化物、Cr−Al系酸化物、Co−Zn−Al−Cr系酸化物、Zr−Si−Pr−V系酸化物等が挙げられる。
また、上記青色粉末としては、例えば、Co−Al−Zn系酸化物、Co−Al系酸化物、Zr−Si系酸化物等が挙げられる。
また、上記桃色無機顔料としては、例えば、Mn−Al系酸化物、Ca−Sn−Si−Cr系酸化物、Sn−Cr系酸化物、Zr−Si−Fe系酸化物等が挙げられる。
これらの顔料は、所望の色を得るように任意の割合で混合することが可能である。
上記パール調絵具に無機顔料を含有させる場合には、パール調材料15%の場合には、無機顔料の含有量は、最大7.5%ということである。パール調材料と無機顔料を合わせた粉体の含有量が30質量%の場合には、無機顔料の含有量は、最大10%である。
そして、パール調絵具に無機顔料を含有させる際に、上記無機顔料の含有量が50%を超える場合には、パール調が低下するという問題がある。
また、パール調材料と無機顔料を合わせた粉体の含有量が30質量%を超える場合には、上記シリコーンレジン又はシリカ質ゾルの含有量が低下し、パール調層と基板との付着力が著しく低下してしまう、あるいは、上記有機バインダーの含有量が低下し、ペーストとしての粘調性が悪化するため、透光性ガラスセラミックスへの塗膜形成において、ムラやカスレ等の不具合を発生してしまう可能性がある。
なお、本発明は、上記構成を有することにより、比較的明度の高い色彩で、調理器に適用することが可能なガラストッププレートを得ることができるものであるが、所望の色彩を有するパール調材料や無機顔料を用いることにより、白色系に限らず、多様な色調を表現できることは言うまでもない。
また、上記被覆層は、上記パール調層上に有機金属化合物の希釈溶液を塗布し焼成してなることが好ましい(請求項)。
この場合には、上述の効果だけでなく、上記加熱調理器用ガラストッププレートに耐熱性を付与することができる。
上記有機金属化合物の希釈溶液としては、例えば、Au、Pt、Pd、Rh、Ru、Bi、Sn、Ni、Fe、Cr、Ti、Ca、Si、Ba、Sr、Mg、Ag、Zr、In、Mn、Zn、Al等の有機金属化合物の希釈溶液が挙げられる。これらの有機金属化合物の希釈溶液は、単体で用いても良いし、任意の割合で複数混合することもできる。
また、上記被覆層は、上記有機金属化合物の希釈溶液を上記パール調層上に塗布し、焼成することにより形成することができる。また、上記有機金属化合物の希釈溶液の塗布は、スクリーン印刷により行うことが好ましい。
上記被覆層は、上記パール調層と同時に焼成させたものであってもよし、パール調層の焼成後に別途焼成させたものであってもよい。
また、上記保護層は、耐熱樹脂と無機顔料を塗布し焼成してなることが好ましい(請求項)。
この場合には、上述の効果だけでなく、さらにガラストッププレートに耐熱性を付与することができる。
上記保護層は、耐熱樹脂と無機顔料からなるペーストを上記被覆層上に塗布し、200〜450℃で焼成することにより形成することが好ましい。
上記ペーストの塗布は、スクリーン印刷により行うことが好ましい。
また、上記ペーストは、必要に応じて有機溶剤を含有してもよい。
上記焼成温度が200℃未満の場合には、耐熱樹脂層の焼付が十分に行われ難く、焼付け後に耐熱樹脂層が剥離しやすく、保護層としての機能を十分に発現しないおそれがある。一方、上記焼成温度が450℃を超える場合には、上記耐熱樹脂が消失し、保護効果がなくなるおそれがある。
また、上記焼成温度は、より好ましくは、250〜400℃である。
また、上記耐熱樹脂は、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、あるいはこれらの複合体であることが好ましい。この場合には、上述の保護効果を特に良好に得ることができる。
また、上記無機顔料は、上述の無機顔料等を用いることができる。
また、無機顔料の含有量は50質量%以下であることが好ましい。無機顔料の含有量が50質量%を超える場合には、耐熱樹脂の含有量が不十分となり、密着性が低下するおそれがあり、上述の機能を発揮することが困難になる。
また、上記カーボン電極層は、導電性カーボンペーストを塗布し焼成してなることが好ましい(請求項)。
上記導電性カーボンペーストとしては、導電素材として球状及び鱗片状の黒鉛粉末とアセチレンブラックとを含有し、ヴィヒクルとしてポリエステルシリコーン樹脂を含有し、上記球状の黒鉛粉末、鱗片状の黒鉛粉末、アセチレンブラック、及びポリエステルシリコーン樹脂の含有量の合計を100重量部とすると、上記導電性カーボンペーストは、上記球状の黒鉛粉末を15〜25重量部、上記鱗片状の黒鉛粉末を15〜25重量部、上記アセチレンブラックを10〜20重量部、及び上記ポリエステルシリコーン樹脂を40〜55重量部含有し、上記球状及び鱗片状の黒鉛粉末は、その平均粒径が10μm〜20μmである導電性カーボンペーストを用いることが好ましい。
電磁調理器のタッチ式操作パネルの配線回路においては、配線回路が高温になる場合が想定されるが、上記導電性カーボンペーストを用いて配線回路を形成すると、耐熱性に優れるという特性を最大限に発揮することができる。
また、電磁調理器のタッチ式操作パネルにおいては、使用に伴ってカーボンペーストにより形成した配線回路が摩耗により剥離するおそれがあるが、上記導電性カーボンペーストは密着性に優れているため、このような問題がほとんど起こることはない。
また、上記導電性カーボンペーストは、シリコーンなどの樹脂層に対しても充分な密着強度で帖着できる。
上記カーボン電極層は、導電性カーボンペーストを上記被覆層上に塗布し、200〜450℃で焼成することにより形成することが好ましい。
また、上記導電性カーボンペーストの塗布は、スクリーン印刷により、電極や配線回路等、必要な場所に応じて塗布することが好ましい。
また、上記基板の調理面の一部又は全面に、ガラス組成物又はガラス組成物と無機顔料からなる絵付けガラス装飾層が積層されていることが好ましい。
この場合には、鍋などの被加熱物と加熱調理器用ガラストッププレートの調理面との摩耗により、上記調理面が傷つくことを防止したり、上記被加熱物を滑り難くするという効果を得ることができる。
また、意匠に多様性を付与することができる。
また、上記絵付けガラス装飾層は、上記調理面に占める割合は80%以下であることが好ましい。この場合には、意匠性を損なうことなく、摩耗強度を維持することができる。上記絵付けガラス装飾層の占有面積が80%を超える場合には、調理器用ガラストッププレートの調理面の露出部分が小さくなり、意匠性が低下するおそれがある。
上記絵付けガラス装飾層の占有面積は、より好ましくは、50%以下である。
また、上記絵付けガラス装飾層は、厚みが1〜15μmであることが好ましい。上記絵付けガラス装飾層の膜厚が1μm未満の場合には、上述した効果が十分に得られないおそれがある。一方、上記絵付けガラス装飾層の膜厚が15μmを超える場合には、上記絵付けガラス装飾層が剥離するおそれがある。
上記絵付けガラス装飾層の膜厚は、より好ましくは、2〜10μmである。
上記ガラス組成物としては、リサイクル性などを考慮し、無鉛ガラス組成物であることが好ましい。
また、上記ガラス組成物は、軟化点が650℃以下であることが好ましい。また、上記ガラス組成物は、SiO2、Al23、B23、Li2O、及びK2Oを必須成分として含有し、必要に応じてNa2O、CaO、SrO、BaO、ZnO、TiO2、ZrO2のうち1種以上を添加成分として含有し、750〜900℃で熱処理することにより熔着する無鉛ガラス組成物を用いることがより好ましい。
また、上記無機顔料は、上述した無機顔料を用いることができる。
また、上記絵付けガラス装飾層は、任意のパターンとなるように形成されていることが好ましい。
この場合には、意匠性を損なうことなく、摩耗強度を維持することができる。
上記任意のパターンとしては、例えば、ドット状、ライン状、ある面積をもった石目状等がある。
(実施例1)
本例は、本発明の実施例にかかる加熱調理器用ガラストッププレートについて、図1、及び図2を用いて説明する。
図1は、本例の加熱調理器用ガラストッププレートを示す断面図であり、図2は、加熱調理器用ガラストッププレートの裏側面から見た図である。
図1及び図2に示すように、本例の加熱調理器用ガラストッププレート1は、加熱調理器の上部に配置されるガラストッププレート1であって、透光性低膨張ガラスセラミックスからなる基板2と、該基板2における調理面21とは反対側の面である裏側面22上に形成されたパール調層3と、該パール調層3上に形成された被覆層4とを有する。
上記被覆層4上に無機顔料を含有する樹脂よりなる保護層61を配置することにより構成した遮光部6と、上記被覆層4上に透明の樹脂よりなる透明樹脂層51を配置することにより構成した透光部5とを有する。
上記透光部5において、ガラストッププレート1の下方に配置された光源81からの光を透過させ、上記遮光部6において光源81からの光を遮光するよう構成されている。
以下、これを詳説する。
上記加熱調理器用ガラストッププレート1を作製するに当たっては、まず、上記基板2として、β−石英固溶体を主結晶とする透光性低膨張結晶化ガラスセラミックス(ネオセラムN−0)を用意した。
また、上記パール調層3を形成するためのパール調層形成材料として、市販の白色パール調材料(粒径4〜50μm)20質量%とシリコーン樹脂15質量%及びアクリル樹脂65質量%からなるパール調絵具を用意した。
また、上記被覆層4を形成するための被覆層形成材料として、Au、Ti、及びBiからなる有機金属酸化物の希釈溶液を用意した。この被覆層形成材料を用いて基板2に被覆層4のみを形成した際の可視光透過率は25%であった。
また、上記保護層61を形成する保護層形成材料として、シリコーンワニス70質量%と黒色無機顔料30質量%からなる材料を用意した。
また、上記透明樹脂層51を構成する透明樹脂層形成材料として、シリコーンワニスを用意した。
また、後述するカーボン電極層71を形成するためのカーボン電極層形成材料として、導電素材とヴィヒクルとからなる導電性カーボンペーストを用意した。導電性カーボンペーストは、上記導電素材として、球状の黒鉛粉末を15〜25重量部、鱗片状の黒鉛粉末を15〜25重量部、及びアセチレンブラックを10〜20重量部含有し、上記ヴィヒクルとしてポリエステルシリコーン樹脂を40〜55重量部含有する。また、黒鉛粉末の平均粒径は15μmである。
そして、上記導電性カーボンペーストは、具体的に、以下のように準備する。
まず、導電素材として、球状の黒鉛粉末、鱗片状の黒鉛粉末、及びアセチレンブラックを準備した。球状の黒鉛粉末及び鱗片状の黒鉛粉末としては、いずれも平均粒径が15μmのものを用いた。また、ヴィヒクルとして、ポリエステルシリコーン樹脂を準備した。本例においてはポリエステルシリコーン樹脂として、信越化学工業株式会社製の「KR−5230」を用いた。
次いで、上述の球状黒鉛粉末:19重量部、鱗片状黒鉛粉末:19重量部、アセチレンブラック:15.5重量部、及びポリエステルシリコーン樹脂:46.5重量部を混合させることにより導電性カーボンペーストを作製した。
そして、上記基板2の裏側面22に対して、上記パール調層形成材料をステンレス250メッシュで二層印刷した。その後850℃焼成して2層で構成されるパール調層3を形成した。上記パール調層3は、厚みが18μmであった。また、パール調層3の可視光透過率(380〜780nmの波長域での光の透過率)は、25%であった。パール調層3の膜厚は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて測定した。
その後、上記パール調層3上に、上記被覆層形成材料をステンレス250メッシュで印刷した。その後850℃で再度焼成して被覆層4を形成した。
次に、上記被覆層4上の、遮光部6となる部分に、上記保護層形成材料をステンレス250メッシュで印刷した。
また、上記被覆層4上の、透光部5となる部分に、上記シリコーンワニスをテトロン250メッシュで印刷した。
そして、裏側面22の天面操作のスイッチにあたる部位等の必要な部分(電極部7)に、上記カーボン電極層形成材料をステンレス250メッシュで印刷した。
その後250℃でキュアし、遮光部6を構成する保護層61、電極部7を構成するカーボン電極層71(電極、配線回路等)、透光部5を構成する透明樹脂層51を形成し、天面操作型加熱調理器用の加熱調理器用ガラストッププレート1を得た。
この際、上記透明樹脂層51の一部と、上記カーボン電極層71の一部は重なり合っていても良い。
本例において得られた加熱調理器用ガラストッププレート1は、白味を強く帯びたシルバーの色調を呈した。
本例の加熱調理器用ガラストッププレート1は、上記基板2の裏側面に、パール調層3を設けることにより、加熱調理器用ガラストッププレート1にパール調の色調を付与することができる。
また、上記パール調層3の上に、被覆層4が積層されている。上記被覆層4は、上記パール調層の質感を阻害することなく、透光性を確保したまま、上記保護層61の濃色の透過を抑制することができる。また、上記被覆層4は、上記パール調層3を保護する役割も有する。
また、上記遮光部6は、上記被覆層4上に無機顔料を含有する樹脂よりなる保護層61を配置することにより構成してある。これにより、光源81からの光が透光部5以外の部分に散乱することを防止することができる。また、下方に調理器内部の構造物が配置されている部分等に形成し、遮光性を付与することによって、光源81の発光時においても上記構造物を隠蔽するという効果を有する。また、高機能付加の電磁調理器においては、内部部品がガラストッププレート1と接近し、狭い隙間しかないものもある。こういった場合、例えば、輸送中の振動で上記基板2の裏側面に積層した上記パール調3層や上記被覆層4に磨耗痕を発生させるおそれがある。そして、上記保護層61は、上記加熱調理器用ガラストッププレート1の裏側面の損傷を抑制する保護効果も有する。
そして、上記透光部5は、上記被覆層4上に透明の樹脂よりなる透明樹脂層51を配置することにより構成してある。上記被覆層4上に、透明樹脂層51を形成することにより、透光性を低下させることなく、あるいは透光性を向上させて、上記透光部5に濡れ性を付与することができる。遮光部6と同様に透光部5にも濡れ性を付与することにより、上記保護層61形成部(遮光部6)との色差を低減することができる。すなわち、光源81の未発光時においては、上記透光部5と、上記遮光部6との色差が小さく、識別し難くなることにより、透光部5を調理面21から認識し難くすることができる。一方、上記光源81の発光時においては、上記透光部5のみが光を透過して浮き出てくるため、透光部5を明確に視認することができる。
また、上記パール調層3自体がある程度の遮光性を有しているため、上記被覆層4、及び上記保護層61により多少の色の影響を受けることがあるとしても、パール調効果の質感を阻害されることはない。そのため、加熱調理器用ガラストッププレート1は、パール調層3のパール調効果により比較的明度の高いパール調の色彩を実現することができる。
また、上記被覆層4上にカーボン電極層71を配置することにより構成した電極部7を有する。これにより、電磁調理器の調理面上で主な操作を可能としたガラスタッチ方式の天面操作型の電磁調理器に対応可能とすることができる。
また、上記透光部5を上記電極部7(スイッチ部分)近傍に設けているため、光源81の発光時には、上記カーボン電極層71近傍の透光部5が電極部7を識別できるように浮き出ることとなる。そのため、光源81の未発光時においては、調理面から電極部7を識別させることがなく、発光時のみ電極部7が出現し、スイッチ部分を明確に視認することができるという意匠的な機能を有することができる。
(実施例2)
本例は、図3に示すように、上記実施例1において作製した加熱調理器用ガラストッププレート1におけるパール調層3を1層で構成されるパール調層302に変更した加熱調理器用ガラストッププレート102を作製した例である。
具体的には、上記実施例1の基板と同様の基板2の裏側面22に対して、上記実施例1のパール調絵具と同様のパール調層形成材料をステンレス250メッシュで一層印刷した。その後850℃焼成して1層で構成されるパール調層302を形成した。上記パール調層302は、厚みが12μmであった。また、可視光透過率は30%であった。
その他の工程は、上記実施例1と同様にして行い、加熱調理器用ガラストッププレート102を作製した。
本例において得られた加熱調理器用ガラストッププレート102は、白色を帯びたシルバーの色調を呈した。
(実施例3)
本例は、図4に示すように、上記実施例1において作製した加熱調理器用ガラストッププレート1の基板2の調理面21に絵付けガラス装飾層82を形成した例である。
本例の加熱調理器用ガラストッププレート103を作製するに当たっては、まず、絵付けガラス装飾層82を形成するための装飾層形成材料として、ガラスフラックス80質量%と、有機バインダー100質量%と、無機顔料20質量%とを混合するペースト材料を用意した。
ここで、上記ガラスフラックスとしては、SiO2を65質量%、Al23を5質量%、B23を23質量%、Li2Oを1質量%、及びNa2Oを2質量%、K2Oを2質量%、TiO2を1質量%、ZrO2を1質量%含有するものを用いた。また、有機バインダーとしては、アクリル樹脂、無機顔料としては酸化チタン粉末をそれぞれ用いた。
そして、上記実施例1の基板2と同様の基板2の調理面21の調理器が設置されるヒータ部分に、上記装飾層用のペースト材料を、ステンレス350メッシュで、φ0.8mm、ピッチ3.5mmで整列したドット状に印刷した。その後850℃で焼成して絵付けガラス装飾層82を形成した。上記絵付けガラス装飾層82は、厚みが6μmであった。絵付けガラス装飾層82の厚みは、パール調層と同様の方法で測定した。
その後、実施例1と同様にして、上記基板2の裏側面22に対して、パール調層3、被覆層4、保護層61、透明樹脂層51、及びカーボン電極層71を形成し、加熱調理器用ガラストッププレート103を得た。
本例において得られた加熱調理器用ガラストッププレート103は、実施例1と同じく、白味を強く帯びたシルバーの色調を呈した。
(実施例4)
本例は、図5に示すように、上記実施例3において作製した加熱調理器用ガラストッププレート103におけるパール調層3を1層で構成されるパール調層302に変更した加熱調理器用ガラストッププレート104を作製した例である。つまり、上記実施例2において作製した加熱調理器用ガラストッププレート1の基板2の調理面21に、上記実施例3と同様の絵付けガラス装飾層82を形成した例である。
本例の加熱調理器用ガラストッププレート104を作製するに当たっては、上記実施例3におけるパール調層3に替えて、上記実施例2と同様の方法でパール調層302を形成する以外は、上記実施例3と同様の方法で行い、加熱調理器用ガラストッププレート104を作製した。
本例において得られた加熱調理器用ガラストッププレート104は、実施例2と同じく、白味を帯びたシルバーの色調を呈した。
(実施例5)
本例は、上記実施例1におけるパール調層形成材料を変更して加熱調理器用ガラストッププレートを作製した例である。
具体的には、本例では、パール調層形成材料として、それを用いて基板にパール調層のみを形成した際の可視光透過率が28%となるパール調絵具を用いた。具体的には、上記パール調絵具は、市販の白色パール調材料(粒径4〜50μm)12質量%とシリコーン樹脂15質量%及びアクリル樹脂73質量%からなる。
その他の工程は、上記実施例1と同様にして行った。
本例において得られた加熱調理器用ガラストッププレートは、わずかな青味を帯びたシルバーブルーの色調を呈した。
(実施例6)
本例は、上記実施例1における被覆層形成材料を変更して加熱調理器用ガラストッププレートを作製した例である。
具体的には、本例では、被覆層形成材料として、それを用いて基板に被覆層のみを形成した際の可視光透過率が15%となるAu、Ti、Bi等からなる有機金属酸化物の希釈溶液を用いた。
その他の工程は、実施例1と同様にして行い、加熱調理器用ガラストッププレートを作製した。
本例において得られた加熱調理器用ガラストッププレートは、わずかな青味を帯びたグレーシルバーの色調を呈した。
(比較例1)
本例は、本発明の比較例としての加熱調理器用ガラストッププレートについて説明する。
図6に示すように、本例の加熱調理器用ガラストッププレート901は、上記実施例1の加熱調理器用ガラストッププレート1における透光部5に、透明樹脂層51を配置しない構成としたものである。
本例では、透明樹脂層51を配置しない以外は、上記実施例1と同様の方法を行うことにより、加熱調理器用ガラストッププレート901を作製した。
本例において得られた加熱調理器用ガラストッププレート901は、白味を強く帯びたシルバーの色調を呈した。
(比較例2)
本例では、図7に示すように、上記実施例1の加熱調理器用ガラストッププレート1における保護層61を形成していない構成を有する加熱調理器用ガラストッププレート902を作製した。
本例では、保護層を配置しない以外は、上記実施例1と同様の方法を行うことにより、加熱調理器用ガラストッププレート902を作製した。
本例において得られた加熱調理器用ガラストッププレート902は、白味を強く帯びたシルバーの色調の色調を呈した。
(比較例3)
本例では、図8に示すように、上記実施例1の加熱調理器用ガラストッププレート1におけるパール調層3を形成していない構成を有する加熱調理器用ガラストッププレート903を作製した。
本例では、パール調層を配置しない以外は、上記実施例1と同様の方法を行うことにより、加熱調理器用ガラストッププレート903を作製した。
本例において得られた加熱調理器用ガラストッププレート903は、パール調を呈しない青色の色調を呈した。
(比較例4)
本例では、図9に示すように、上記実施例1の加熱調理器用ガラストッププレート1における被覆層4を形成していない構成を有する加熱調理器用ガラストッププレート904を作製した。
本例では、被覆層を配置しない以外は、上記実施例1と同様の方法を行うことにより、加熱調理器用ガラストッププレート904を作製した。
本例において得られた加熱調理器用ガラストッププレート904は、わずかに黒味を帯びたグレーシルバーの色調を呈した。
(比較例5)
本例では、図10に示すように、基板2における裏側面22上に形成されたラスター層91と、該ラスター層91上に透光部6を有するように形成されたカーボン電極層71とを有する調理器用ガラストッププレート905を作製した。
本例の加熱調理器用ガラストッププレート905を作製するに当たっては、まず、上記実施例1と同様の基板2の裏側面22に、ステンレス250メッシュを用いて、黒色のラスターペーストL−900(商品名)を塗布した。その後、850℃にて焼成して、ラスター層91を形成した。上記ラスター層91は、厚みが2μmであった。
その後、上記ラスター層91上に、上記実施例1と同様の方法で電極部7を形成し、加熱調理器用ガラストッププレート905を得た。
本例において得られた加熱調理器用ガラストッププレート905は、ラスター層91の色彩である黒色を呈した。
(比較例6)
本例は、図11に示すように、上記比較例5において得られる調理器用ガラストッププレート905における基板2とラスター層91との間にパール調層3を形成した例である。
本例の加熱調理器用ガラストッププレート906を作製するに当たっては、まず、上記実施例1と同様の基板2の裏側面22に対し、上記実施例1と同様の方法でパール調層3を形成した。その後、上記パール調層3上に、上記比較例7と同様の方法で、ラスター層91、及びカーボン電極層71を形成することにより、加熱調理器用ガラストッププレート906を作製した。
本例において得られた加熱調理器用ガラストッププレート906は、パール調層3のパール調効果に上記ラスター層91の色彩が影響したパール調のシルバーグレーを呈した。
(実験例1)
上記実施例1〜実施例6、及び上記比較例1〜比較例6において得られた加熱調理器用ガラストッププレートについて、加熱調理器用ガラストッププレートの調理面における明度の測定、380nmから780nmの波長における加熱調理器用ガラストッププレートの透光部の透過率、上記透光部と上記遮光部との色差ΔE、及び電磁調理器内部部品の隠蔽性の評価を行った。
<明度>
加熱調理器用ガラストッププレートの調理面における明度は、実施例1〜6、比較例1、2、及び比較例5、6において得られた加熱調理器用ガラストッププレートについて、エックスライト社製分光測色計X−rite SP60を用いて明度(L値)測定した。結果を表1に示す。
また、表1には、加熱調理器用ガラストッププレートの外観色も併せて示す。
<透過率>
透光部の透過率の測定は、実施例1〜6、比較例1、2、及び比較例5、6において得られた加熱調理器用ガラストッププレートの透光部について、日本分光社製JASCO V−570を用いて透過率の測定を行った。結果を表1に示す。
<色差>
上記透光部と上記遮光部(保護層形成部)との色差ΔEは、実施例1〜6、比較例1〜3、及び比較例5、6において得られた加熱調理器用ガラストッププレートについて、エックスライト社製分光測色計X−rite sp60を用いて測定した。L、a、b値をそれぞれの部位で測定し、ΔE={(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)21/2により算出した。
なお、上記遮光部が形成されていない加熱調理器用ガラストッププレート(比較例2、比較例5、及び比較例6)については、比較例2は、被覆層上に何も積層されていない部位と電極部あるいは透光部との色差を測定し、比較例5及び比較例6は、上記透光部と上記電極部との色差を測定した。
色差ΔEが1.5以下である場合を評価○とし、色差ΔEが1.5を超える場合を評価×とした。
<電磁調理器内部部品の隠蔽性>
電磁調理器内部部品の隠蔽性は、実施例1〜6、比較例1、2、及び比較例4〜6において得られた加熱調理器用ガラストッププレートについて、加熱調理器用ガラストッププレートを配した電磁調理器において、プレート上部(調理面)より内部部品が透過するかどうかを目視で判定することにより評価した。内部部品を十分に隠蔽できている場合には評価○とし、内部部品がうっすらと透過して確認できる場合には評価△とし、内部部品が明らかに透過して確認できる場合には評価×とした。評価が○の場合を合格、評価が△あるいは×の場合を不合格とした。
Figure 0005338304
表1より分かるように、実施例1〜実施例6において得られた加熱調理器用ガラストッププレートは、いずれも、透光部の透過率が8%以上であるため、光源の発光時においては、上記光源の発光によりスイッチ部を明確に視認できる。また、内部部品を十分に隠蔽でき、色差ΔEが1.5以下であるため、光源の未発光時においては、調理面からスイッチ部を目立たなくすることができることが分かる。さらに、L値が70以上の高い明度を示し、パール調層の色彩が反映された色調を呈した。
また、表1より知られるごとく、比較例1において得られた加熱調理器用ガラストッププレートは、透光部に透明樹脂層を配置していないため、色差ΔEが大きくなり、色差が不合格であった。
また、比較例2において得られた加熱調理器用ガラストッププレートは、保護層を配置していないため、電磁調理器内部部品の隠蔽性が不十分であり、光源発光時に周辺部に光が拡散し、意匠性に劣るものであった。また、被覆層上に何も積層していない部分と、透光部あるいは電極部との間に色差が生じており、不合格であった。
また、比較例3において得られた加熱調理器用ガラストッププレートは、パール調層を配置していないため、電磁調理器内部部品の隠蔽性が不十分であり、かつパール調層を形成していないため、パール調を有していないものであった。
また、比較例4において得られた加熱調理器用ガラストッププレートは、被覆層を配置していないため、光源の未発光時に、保護層とカーボン電極層の濃色がやや透過してしまい、透光部と遮光部の色差ΔEが大きくなり、色差が不合格であった。
また、比較例5において得られた加熱調理器用ガラストッププレートは、基板にラスター層を設けているため、透光部の透過率、調理器内部部品の隠蔽性、色差については良好な結果が得られるものの、明度が70%を下回り、かつパール調層を形成していないため、パール調を有していないものであった。
また、比較例6において得られた加熱調理器用ガラストッププレートは、パール調層上にラスター層を形成しているため、透光部の透過率が低く、光源発光時において、スイッチ部を明確に視認させるという機能において不十分であった。
また、上記実施例1〜実施例6おいて得られた加熱調理器用ガラストッププレートに対して、衝撃試験、及び熱衝撃試験を行い、加熱調理器用ガラストッププレートとして必要な強度を有しているか否かを評価した。
<衝撃試験>
衝撃試験は、上記加熱調理器用ガラストッププレートを実際に使用する場合に、プレート上に鍋等が落下したときを想定して行った。
それぞれの加熱調理器用ガラストッププレートについて、40cm×50cm角の大きさの板を用意し、角4箇所を2cmチップで支持し固定した。
そして、上記プレートに対して500gの硬球を落下させる試験を行った。落下の高さは50mmから開始し、50mm毎に高くして400mmまで行った。400mmをパスすれば、実用上問題のない強度である。
結果を表2に示す。表2において、400mmをパスした場合は○と表示した。
Figure 0005338304
<熱衝撃試験>
熱衝撃試験は、上記加熱調理器用ガラストッププレートを実際に使用する場合、プレートが600℃近くまで加熱されることがあるため、加熱されたトッププレートに水がこぼれたときを想定して行った。
それぞれの加熱調理器用ガラストッププレートについて、10cm角に切り出したプレートを用意した。
そして、上記プレートを620℃になるように炉で加熱し、これを20℃の水中に投下する試験を5回繰り返した。
結果を表3に示す。表3において、基板にクラックが発生しなかった場合(評価○)、及びパール調層が基板から剥がれなかった場合(評価○)は、実用上問題のない強度を有していると言える。
Figure 0005338304
表2、及び表3より知られるように、実施例1〜実施例6において得られたいずれの加熱調理器用ガラストッププレートも、実用上問題のない強度を有していることが分かる。
このように、本例によれば、明度の高い色調であっても、調理器内部の構造物を十分に隠蔽することができ、かつ、光源の未発光時においては、調理面から透光部を識別し難く、上記光源の発光時においては、上記光源の発光により透光部を明確に視認できることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレートを提供できることがわかる。
実施例1における、加熱調理器用ガラストッププレートを示す断面図。 実施例1における、加熱調理器用ガラストッププレートを示す説明図。 実施例2における、加熱調理器用ガラストッププレートを示す断面図。 実施例3における、加熱調理器用ガラストッププレートを示す断面図。 実施例4における、加熱調理器用ガラストッププレートを示す断面図。 比較例1における、加熱調理器用ガラストッププレートを示す断面図。 比較例2における、加熱調理器用ガラストッププレートを示す断面図。 比較例3における、加熱調理器用ガラストッププレートを示す断面図。 比較例4における、加熱調理器用ガラストッププレートを示す断面図。 比較例5における、加熱調理器用ガラストッププレートを示す断面図。 比較例6における、加熱調理器用ガラストッププレートを示す断面図。
符号の説明
1 加熱調理器用ガラストッププレート
2 基板
21 調理面
22 裏側面
3 パール調層
4 被覆層
5 透光部
51 透明樹脂層
6 遮光部
61 保護層
81 光源

Claims (6)

  1. 加熱調理器の上部に配置されるガラストッププレートにおいて、
    透光性低膨張ガラスセラミックスからなる基板と、該基板における調理面とは反対側の面である裏側面上に形成されたパール調層と、該パール調層上に形成された被覆層とを有し、
    上記被覆層上に無機顔料を含有する樹脂よりなる保護層を配置することにより構成した遮光部と、
    上記被覆層上に透明の樹脂よりなる透明樹脂層を配置することにより構成した透光部とを有し、
    該透光部の可視光透過率は3.5%以上であり、
    上記透光部において、上記ガラストッププレートの下方に配置された光源からの光を透過させ、上記遮光部において上記光源からの光を遮光するよう構成されており、
    上記被覆層上にカーボン電極層を配置することにより構成した電極部を有し、
    該電極部は、上記ガラストッププレートの天面操作のスイッチ部であり、
    上記透光部は、上記スイッチ部の表示用であり、
    上記光源の未発光時における、上記基板の調理面における上記透光部と上記遮光部との色差ΔEは1.5以下であることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
  2. 請求項1において、上記調理面における明度(L値)が70以上であることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
  3. 請求項1又は2において、上記パール調層は、パール調材料の含有量が10質量%超え30質量%以下であり、シリコーンレジン又はシリカ質ゾルが10質量%以上30質量%以下、有機バインダーが40質量%以上80質量%未満であるパール調絵具を上記基板に絵付焼成してなることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記被覆層は、上記パール調層上に有機金属化合物の希釈溶液を塗布し焼成してなることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、上記保護層は、耐熱樹脂と無機顔料を塗布し焼成してなることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、上記カーボン電極層は、導電性カーボンペーストを塗布し焼成してなることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
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