JP2010040171A - 調理器用トッププレート - Google Patents
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Abstract
【課題】トッププレートの温度が高温度にまで上昇したとしても耐熱樹脂層が劣化せず、センサーの接着剤による染みが発生せず外観が良好な調理器用トッププレートを提供すること。
【解決手段】電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして用いられる調理器用トッププレート(1)であって、低膨張透明結晶化ガラス板(2)の表面に無機顔料とガラスからなる多孔質の遮光層(3)が形成され、前記遮光層の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層(4)が形成されてなり前記耐熱樹脂層には、シランカップリング剤が含有されていることを特徴とする調理器用トッププレートとする。
【選択図】図1
【解決手段】電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして用いられる調理器用トッププレート(1)であって、低膨張透明結晶化ガラス板(2)の表面に無機顔料とガラスからなる多孔質の遮光層(3)が形成され、前記遮光層の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層(4)が形成されてなり前記耐熱樹脂層には、シランカップリング剤が含有されていることを特徴とする調理器用トッププレートとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートに関する。
電気調理器の加熱系には、ラジエントヒーターや、高出力タイプで知られるハロゲンヒーターなどの赤外線発生装置や、インダクションヒーター(IH)などの電磁加熱装置が用いられている。
従来、赤外線加熱装置を備えた調理器のトッププレートには、可視光を遮断して赤外光を透過する濃色結晶化ガラス板が利用されている。可視光の遮断は、加熱装置部品を見えにくくすることや、ハロゲンヒーターからの強力な可視発光を軽減し、眩しくないようにするためである。なおこの種の調理器は、赤熱したヒーター部が濃色結晶化ガラス板を通して視認できるため、それを加熱時の目印としている。
一方、電磁加熱装置を備えた調理器は、赤外線加熱装置のように可視光の発生を伴わないため、加熱時の目印となるヒーター部の点灯がない。そこでこの種の調理器では、発光ダイオードなどを用いて電磁加熱パワーを別途表示するようになってきている。この加熱パワー表示体は、調理器の側部に設けられるものもあるが、加熱部の近傍に設置してトッププレートを通して加熱パワーを確認できるものが主流となりつつある。ところが発光ダイオードの光は、従来の赤外線加熱ヒーターから発せられる光ほど強くない。このため濃色結晶化ガラス板ではダイオードの光が目立たず、見にくいという難点がある。
そこで、電磁加熱装置のトッププレートには、発光ダイオードを表示する部位を除いて遮光層を設けることで、調理器の内部構造を見えないようにした透明結晶化ガラス板が用いられつつある。例えば、特許文献1では、この遮光層を備えた調理器用トッププレートとして、無機顔料とガラスからなる多孔質の遮光層が形成されたトッププレートが提案されている。かかるトッププレートにおいては、ガラスが少なく無機顔料が多いものを使用することよって遮光層を多孔質にしているため、透明結晶化ガラス板との膨張差に起因した遮光層のクラックの発生を防ぐことができる。
ところが多孔質の遮光層を採用した場合、トッププレート裏面の電磁加熱部分に取り付けられる温度センサー(熱電対)の接着痕が目立ち、外観上好ましくないという問題があった。
この問題を解決するために、下記特許文献2では、低膨張透明結晶化ガラス板の表面に無機顔料とガラスからなる多孔質の遮光層が形成され、遮光層の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層が形成された調理器用トッププレートが提案されている。かかるトッププレートにおいては、耐熱樹脂層が存在することにより、センサーの接着剤が遮光層の隙間に流れ込むのを防止することができ、良好な外観を得ることができる。
ところで、トッププレートの温度が上昇すると、温度センサーの接着剤が軟化し、広がり易くなる。一方、近年、電磁加熱装置の性能の向上により、電磁加熱調理器具の加熱温度が飛躍的に上昇し、トッププレートも従来に比べて高温度にまで上昇するに至っている。トッププレートが高温度(例えば200℃以上)に達すると、耐熱樹脂層が劣化(クラック発生)し易くなる。この結果、先記の軟化した温度センサーの接着剤が、耐熱樹脂層の隙間を通って遮光層にまで浸透することとなり、これが使用面から見て染みとなって視認され、外観上好ましくないという新たな問題が発生している。
特開平10−273342号公報
特開2003−338360号公報
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するためのものであって、トッププレートの温度が高温度にまで上昇したとしても耐熱樹脂層が劣化せず、センサーの接着剤による染みが発生せず外観が良好な調理器用トッププレートを提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして用いられる調理器用トッププレートであって、低膨張透明結晶化ガラス板の表面に無機顔料とガラスからなる多孔質の遮光層が形成され、前記遮光層の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層が形成されてなり、前記耐熱樹脂層には、シランカップリング剤が含有されていることを特徴とする調理器用トッププレートに関する。
請求項2に係る発明は、前記耐熱樹脂層を構成する樹脂が、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、又はそれらの複合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の調理器用トッププレートに関する。
請求項3に係る発明は、前記シランカップリング剤が、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、ウレイドシランカップリング剤、メタクリルシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、スチリルシランカップリング剤のうちの少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の調理器用トッププレートに関する。
請求項4に係る発明は、前記耐熱樹脂層は、前記耐熱樹脂層を構成する樹脂と前記シランカップリング剤とが、質量比で80:1〜13:1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調理器用トッププレートに関する。
請求項5に係る発明は、前記低膨張透明結晶化ガラス板が、30〜750℃における平均線熱膨張係数が−10〜+30×10−7/℃である結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調理器用トッププレートに関する。
請求項1に係る発明によれば、耐熱樹脂層には、シランカップリング剤が含有されていることから、樹脂を形成する3次元網目構造の結合が強化され、トッププレートが高温に達したとしても、耐熱樹脂層の劣化(クラックの発生)を防止することができる。これにより、高温で軟化し広がった温度センサーの接着剤が、耐熱樹脂層の隙間を通って遮光層へと浸透するのを防止することができ、染みの発生を防止して、良好な外観を呈する調理器用トッププレートとすることができる。
請求項2に係る発明によれば、耐熱樹脂層を構成する樹脂が、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、又はそれらの複合体を含むことから、耐熱性がより高いことにより、耐熱樹脂層の劣化をより確実に防止することができる。これにより、高温で軟化し広がった温度センサーの接着剤が、耐熱樹脂層の隙間を通って遮光層へと浸透するのをより確実に防止することができ、染みの発生を防止して、良好な外観を呈する調理器用トッププレートとすることができる。
請求項3に係る発明によれば、シランカップリング剤が、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、ウレイドシランカップリング剤、メタクリルシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、スチリルシランカップリング剤のうちの少なくとも1種以上を含むことから、耐熱樹脂層と遮光層の無機顔料粒子表面との接着が良好となるため、耐熱樹脂層が遮光層から剥離するのをより確実に防止することができる。これにより、高温で軟化し広がった温度センサーの接着剤が、耐熱樹脂層の隙間を通って遮光層へと浸透するのをより確実に防止することができ、染みの発生を防止して、良好な外観を呈する調理器用トッププレートとすることができる。
請求項4に係る発明によれば、耐熱樹脂層は、耐熱樹脂層を構成する樹脂とシランカップリング剤とが、質量比で80:1〜13:1であることから、強固な耐熱樹脂層とすることができるとともに、耐熱樹脂層の劣化をより確実に防止することができる。これにより、高温で軟化し広がった温度センサーの接着剤が、耐熱樹脂層の隙間を通って遮光層へと浸透するのをより確実に防止することができ、染みの発生を防止して、良好な外観を呈する調理器用トッププレートとすることができる。
請求項5に係る発明によれば、低膨張透明結晶化ガラス板が、30〜750℃における平均線熱膨張係数が−10〜+30×10−7/℃である結晶化ガラスからなることから、加熱と冷却が繰り返されたとしても、透明結晶化ガラス板がより低い膨張率であることにより、遮光層や耐熱樹脂層が結晶化ガラス板から剥離するのを防止することができる。これにより、高温で軟化し広がった温度センサーの接着剤が、耐熱樹脂層の隙間を通って遮光層へと浸透するのをより確実に防止することができ、染みの発生を防止して、良好な外観を呈する調理器用トッププレートとすることができる。
以下、本発明に係る調理器用トッププレートの好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る調理器用トッププレートの概略構成図である。
本発明に係る調理器用トッププレート(1)は、図1に示す通り、透明結晶化ガラス板(2)の表面に遮光層(3)及び耐熱樹脂層(4)が形成されている。
透明結晶化ガラス板(2)は、無色の透明低膨張結晶化ガラスであることが好ましいが、本発明の目的が達成されるのであれば有色の透明結晶化ガラスでも差し支えない。結晶化ガラス板(2)は、加熱、冷却が繰り返されるため、低膨張であることが求められ、30〜750℃における平均線熱膨張係数が−10〜+30×10−7/℃、特に−10〜+20×10−7/℃の範囲にあるものを使用することが望ましい。熱膨張係数が上記範囲内にあれば、加熱時にトッププレート内部の温度分布により膨張差で割れることがなく、遮光層(3)や耐熱樹脂層(4)が結晶化ガラス板(2)から剥離するのを防止することができるため、高温で軟化し広がった温度センサーの接着剤が、耐熱樹脂層(4)の隙間を通って遮光層(3)へと浸透するのを防止することができ、染みの発生を防止して、良好な外観を呈する調理器用トッププレート(1)とすることができる。この条件を満たす結晶化ガラスとして、例えば日本電気硝子株式会社製N−0がある。
遮光層(3)は、無機顔料とガラスからなる。また結晶化ガラス板(2)との膨張差によるクラック発生を防止するために多孔質である。遮光層(3)の形成には、無機顔料粉末とガラス粉末の割合が質量比で5:5〜9:1、好ましくは5:5〜8:2の範囲にある形成材料を使用することが好ましい。ガラス粉末の割合が1割以上であれば、無機顔料粉末を結晶化ガラス板(2)に強固に固定することができ、また5割以下であれば、ガラス粉末が緻密に焼結することがなく、容易に多孔質膜を得ることができる。
無機顔料粉末としては、TiO2、ZrO2、ZrSiO4白色顔料の他、Co−Al−Zn系、Co−Al−Si系、Co−Al−Ti系の青色顔料、Co−Al−Cr系、Co−Ni−Ti−Zn系の緑色顔料、Ti−Sb−Cr系、Ti−Ni系の黄色顔料、Co−Si系の赤色顔料、Ti−Fe−Zn系、Fe−Zn系、Fe−Ni−Cr系、Zn−Fe−Cr−Al系の茶色顔料、Cu−Cr系、Cu−Cr−Fe系、Cu−Cr−Mn系の黒色顔料などを単独又は混合して用いることができる。
ガラス粉末としては、B2O3−SiO2系、Na2O−CaO−SiO2系、Li2O−Al2O3−SiO2系、ZnO−Al2O3−P2O5系等のガラスが使用できる。
遮光層(3)の厚みは0.1〜50μm、特に0.2〜40μmであることが好ましい。厚みが0.1μm以上であれば加熱装置を隠すための可視光遮蔽が可能となり、また50μm以下であれば、印刷回数の増加や材料コストの増加による成膜コストの上昇を抑制することができる。さらに、トッププレートは再溶融してリサイクルされるが、被膜に含まれる無機顔料はガラスにとって不純物となり、ガラスの着色の原因となる。しかし膜厚が薄ければ着色が生じ難くなる。
なお、遮光層(3)は、透明結晶化ガラス板(2)の全面に形成してもよいが、必要に応じて未形成部分を設けても良い。例えば加熱部分周辺に発光ダイオード表示領域を形成するための未形成部分を設けることができる。
また電磁加熱装置だけでなく、赤外線加熱装置も備えた調理器に用いられる場合には、赤外線加熱部分の遮光層(3)の印刷密度を電磁加熱部分のそれより低くしたり、電磁加熱部分よりも遮光層(3)の膜厚を薄くしたりすることが望ましい。また、赤外線加熱部において、遮光層(3)に代えて、ラスター層(金属光沢膜)を形成してもよい。つまり、遮光層(3)は赤外線を透過しにくいため、赤外線加熱部分の無機顔料層の印刷密度を低くしたり、膜厚を薄くしたり、あるいはラスター膜にすることにより、赤外線加熱に必要な量の赤外線を透過させることが可能になるためである。なお、「印刷密度」とは、単位面積当たりの膜形成(印刷)面積を意味している。例えばトッププレートの或る領域1cm2当たりの膜形成部分の総面積が0.5cm2である場合、印刷密度は50%である。また「赤外線加熱部分の印刷密度」とは、調理器の赤外線加熱装置と対応する領域全体の平均印刷密度であり、「電磁加熱部分の印刷密度」とは、電磁加熱装置と対応する領域全体の平均印刷密度を意味している。
印刷密度を低くする場合、電磁加熱部分の印刷密度の30〜80%、特に40〜80%となるようにすることが好ましい。赤外線加熱部分の印刷密度が電磁加熱部分の30%以上であれば、加熱装置を完全に隠すための可視光遮蔽が可能となり、また印刷密度が80%以下であれば、赤外線透過量が十分となり、高い調理性能が得られる。
遮光層(3)の印刷密度を低くし、十分な赤外線透過量を確保する方法としては、例えば多数の開孔を設ける方法がある。開孔を形成する場合、赤外線加熱部分の遮光層全体に均一に開孔を分布させることが望ましい。各開孔の大きさは、直径0.05〜5mm程度、特に0.1〜3mm程度であることが好ましい。また1cm2当たり5〜500個程度、特に10〜500個程度の開孔を形成することが好ましい。
遮光層(3)の膜厚を薄くする場合、電磁加熱部分の遮光層(3)の10〜50%程度、特に10〜40%程度の膜厚とすることが好適である。10%以上であれば周囲とのコントラストが大きくならず、目立ちにくくなる。また50%以下であれば赤外線透過量が大きくなり、十分な調理性能が得られる。
ラスター膜にする場合、Au、Pt、Pd、Rh、Ru、Bi、Sn、Ni、Fe、Cr、Ti、Ca、Si、Mgなどの金属元素、及びそれらの複合体を含むものが使用可能である。特にAu、Pd、Bi、Sn、Fe、Ti等を含むものが好適に使用できる。ラスター膜の膜厚は平均0.1〜10μm、特に0.1〜5μmであることが好ましい。
耐熱樹脂層(4)には、高温(例えば約200℃以上)に対する耐熱性が必要とされる。耐熱性を有する樹脂としては、ポリイミド系樹脂、(芳香族)ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂又はこれらの複合体を主成分として用いることができ、特にシリコーン系樹脂を使用することが好ましい。
耐熱樹脂層(4)には、シランカップリング剤が含有される。耐熱樹脂層にシランカップリング剤が含有されることにより、樹脂を形成する3次元網目構造の結合が強化され、トッププレートが高温に達したとしても、耐熱樹脂層(4)の劣化(クラックの発生)を防止することができる。これにより、高温で軟化し広がった温度センサーの接着剤が、耐熱樹脂層(4)の隙間を通って遮光層(3)へと浸透するのを防止することができ、染みの発生を防止して、良好な外観を呈する調理器用トッププレート(1)とすることができる。
耐熱樹脂層(4)に含有されるシランカップリング剤としては、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、ウレイドシランカップリング剤、メタクリルシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、スチリルシランカップリング剤のうちの少なくとも1種以上が使用されることが好ましい。これにより、耐熱樹脂層(4)と遮光層(3)の無機顔料粒子表面との接着が良好となるため、耐熱樹脂層(4)が遮光層(3)から剥離するのをより確実に防止することができるからである。これにより、高温で軟化し広がった温度センサーの接着剤が、耐熱樹脂層(4)の隙間を通って遮光層(3)へと浸透するのをより確実に防止することができ、染みの発生を防止して、良好な外観を呈する調理器用トッププレート(1)とすることができる。
耐熱樹脂層(4)は、構成する耐熱樹脂とシランカップリング剤との配合割合が、80:1〜13:1であることが好ましい。耐熱樹脂の質量割合が80を超えると、トッププレートの温度が200℃を超えた場合に耐熱樹脂層(4)が劣化するのを防止し難くなり、また、耐熱樹脂の質量割合が13より低いと、耐熱樹脂層(4)が硬くなりすぎるために過熱及び冷却による膨張及び収縮によってクラックが生じる可能性があり、センサーの接着剤が遮光層(3)へと浸透することによって生じる染みを防ぎ難くなるためである。
耐熱樹脂層(4)は無色有色を問わないが、遮光層(3)の外観を調整するために、耐熱有機顔料や無機顔料を含有させてもよい。耐熱樹脂層(4)に顔料及びシランカップリング剤が含有されることにより、樹脂の3次元網目構造を強化させるのに加えて、樹脂と顔料をより強固に結合させることができ、耐熱樹脂層(4)に顔料を含有させたとしても、耐熱樹脂層(4)の劣化を防止することができる。
耐熱樹脂層(4)の膜厚は、0.01〜50μmが好ましい。0.01μm以上であれば接着剤の浸透を防ぐことが可能である。また50μm以下であれば、コストアップの問題や、回収ガラスの再溶融の際にガラスの還元が起こる、といった問題が生じにくい。
耐熱樹脂層(4)は、電磁加熱部分のみに施してもよいが、その他の部分に施してもよい。例えば調理器本体へのトッププレートの取り付けに接着剤を用いる場合、電磁加熱部分と同様にその接着痕が現れることがあるが、その部分にも耐熱樹脂層(4)を形成しておくことにより、良好な外観を得ることができる。遮光層(3)全体の色調を均一にするためにも、耐熱樹脂層(4)は、赤外線加熱部分を除いた遮光層(3)全面に施すことが望ましい。なお耐熱樹脂層(4)の耐熱性が高く、赤外線加熱時の高温に耐えられる場合は、赤外線加熱部分にも耐熱樹脂層(4)を付与すると、さらに良好な外観を得ることができる。
本発明の調理器用トッププレート(1)は、遮光層(3)及び耐熱樹脂層(4)が調理器本体側、即ち電磁加熱装置(及び赤外線加熱装置)と対向するように調理器に取り付けて使用される。調理器への取り付けは、調理器本体に設けられたトッププレートの支持枠に、シリコーン樹脂等を用いて接着、固定することにより行われる。
なお調理器の上面となる面にも、意匠性向上やヒーター位置の表示等のために、必要に応じて装飾被膜を印刷形成することができる。装飾被膜も無機顔料粉末とガラス粉末からなる材料を用いて形成できるが、擦れても剥がれないように、また汚れが付着しにくいように、強固で平滑な膜にすることが必要である。それゆえ装飾被膜用材料には、遮光層用材料よりもガラス含有率の高いものを選択することが重要である。具体的には、装飾被膜材料中のガラス含有率は、質量基準で5割以上であることが好ましい。またガラス粉末や無機顔料粉末には、遮光層(3)に用いるものと同様の材料を使用することができる。
本発明の調理器用トッププレート(1)は、次のようにして作製される。まず所定のサイズに成形、加工された低膨張透明結晶化ガラス板(2)を用意する。また無機顔料とガラス粉末との混合粉末をペースト化する。次いで結晶化ガラス板表面にペーストを例えばスクリーン印刷等の方法で印刷し、乾燥後、焼成して透明結晶化ガラス板上に遮光層(3)を形成する。さらに耐熱樹脂層(4)となるシランカップリング剤が含有された耐熱塗料を遮光層(3)上に塗布し、乾燥することにより、好ましくは乾燥後、焼成することにより、本発明の調理器用トッププレート(1)を得ることができる。
なお耐熱塗料からなる塗膜の乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥機を使用し、50〜100℃で10分〜1時間程度乾燥する方法がある。乾燥が不十分であると、塗膜中に残留した溶剤が焼成時に急激に気化して、ピンホール状の塗膜欠陥を生ずる。また、上記耐熱塗料を塗布した後、ある程度の時間乾燥放置すれば、適当な流動性が一定時間保たれるため、塗膜面を平滑にする作用も有する。
焼成は、例えば、電気炉等で行われる。焼成温度は200〜400℃、好ましくは250〜350℃であり、焼成時間は10分〜1時間、好ましくは30分〜1時間である。焼成工程において、焼成温度を400℃以上とすると、耐熱樹脂の熱分解が起こり、好ましくない。
また、耐熱樹脂層(4)の膜厚を厚くする際には、1回の耐熱塗料の塗布によって形成しても良いが、複数回の塗布により形成したほうが好ましい。複数回の塗布を行う場合は、塗布ごとに乾燥、焼成を行った方が、残存している揮発成分によるピンホール状の塗膜欠陥を生じにくいため好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1〜5)
まず市販のCu−Cr−Mn系黒色無機顔料とB2O3−SiO2系ガラス粉末(SiO2 63%、B2O3 19%)からなるフリットを65:35になるように混合し、樹脂及び有機溶剤を添加してペーストを作製した。次に、このペーストを日本電気硝子株式会社製の透明結晶化ガラス板N−0(30〜750℃の平均線熱膨張係数−4×10−7/℃)に膜厚が5μmになるように、スクリーン印刷した。続いてペーストを100〜150℃で10〜20分間乾燥させた後、850℃で30分間焼成を行い遮光層を形成した。
まず市販のCu−Cr−Mn系黒色無機顔料とB2O3−SiO2系ガラス粉末(SiO2 63%、B2O3 19%)からなるフリットを65:35になるように混合し、樹脂及び有機溶剤を添加してペーストを作製した。次に、このペーストを日本電気硝子株式会社製の透明結晶化ガラス板N−0(30〜750℃の平均線熱膨張係数−4×10−7/℃)に膜厚が5μmになるように、スクリーン印刷した。続いてペーストを100〜150℃で10〜20分間乾燥させた後、850℃で30分間焼成を行い遮光層を形成した。
続いて、シリコーン樹脂とシランカップリング剤を表1の割合で混合し、有機溶剤を添加して作製した耐熱塗料を遮光層上に全面にわたってスクリーン印刷によって塗布した。なお、シリコーン樹脂としては、KR−300(信越化学工業株式会社製)を、シランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを使用した。次に300℃で30分間焼成して耐熱樹脂層を形成し、実施例1〜5のトッププレートを作製した。
(比較例)
耐熱樹脂層にシランカップリング剤を含有しなかったこと以外は、実施例1〜5と同様にしてトッププレートを作製し、比較例とした。
耐熱樹脂層にシランカップリング剤を含有しなかったこと以外は、実施例1〜5と同様にしてトッププレートを作製し、比較例とした。
(耐熱性試験)
このようにして作製したトッププレートを電磁加熱装置に組み込み、鍋で湯を30分間沸騰させ続けた後に15分間冷却するサイクルを3回繰り返した。トッププレートの温度は、湯の沸騰中において200℃であった。冷却後、センサーの接着剤の染みを目視観察し、染みが全く確認できないものを◎、染みがわずかに確認できるが、気にならない程度のものを○、染みが確認できるものを×として評価した。結果を表1に示す。
このようにして作製したトッププレートを電磁加熱装置に組み込み、鍋で湯を30分間沸騰させ続けた後に15分間冷却するサイクルを3回繰り返した。トッププレートの温度は、湯の沸騰中において200℃であった。冷却後、センサーの接着剤の染みを目視観察し、染みが全く確認できないものを◎、染みがわずかに確認できるが、気にならない程度のものを○、染みが確認できるものを×として評価した。結果を表1に示す。
表1の結果より、実施例1〜3では染みを全く確認することができず、また、実施例4、5では染みが気にならない程度であったのに対して、比較例では染みが確認されたことがわかる。
(実施例6〜10)
シランカップリング剤として、表2の割合で3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用した以外は、実施例1〜5と同様にしてトッププレートを作成し、実施例6〜10のトッププレートを作成し、同様の耐熱性試験を行った。結果を表2に示す。
シランカップリング剤として、表2の割合で3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用した以外は、実施例1〜5と同様にしてトッププレートを作成し、実施例6〜10のトッププレートを作成し、同様の耐熱性試験を行った。結果を表2に示す。
表2の結果より、実施例6〜8では染みを全く確認することができず、実施例9、10では染みが気にならない程度であり、シランカップリング剤として表1のγ−アミノプロピルトリエトキシシランを使用した場合と同様の結果であることがわかる。
本発明は、電磁加熱調理器に使用される調理器用トッププレートとして好適に使用することができる。
1 調理器用トッププレート
2 透明結晶化ガラス板
3 遮光層
4 耐熱樹脂層
2 透明結晶化ガラス板
3 遮光層
4 耐熱樹脂層
Claims (5)
- 電磁加熱装置を備えた調理器のトッププレートとして用いられる調理器用トッププレートであって、低膨張透明結晶化ガラス板の表面に無機顔料とガラスからなる多孔質の遮光層が形成され、前記遮光層の少なくとも電磁加熱部分上に耐熱樹脂層が形成されてなり、
前記耐熱樹脂層には、シランカップリング剤が含有されていることを特徴とする調理器用トッププレート。 - 前記耐熱樹脂層を構成する樹脂が、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、又はそれらの複合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の調理器用トッププレート。
- 前記シランカップリング剤が、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、ウレイドシランカップリング剤、メタクリルシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、スチリルシランカップリング剤のうちの少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の調理器用トッププレート。
- 前記耐熱樹脂層は、前記耐熱樹脂層を構成する樹脂と前記シランカップリング剤とが、質量比で80:1〜13:1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調理器用トッププレート。
- 前記低膨張透明結晶化ガラス板が、30〜750℃における平均線熱膨張係数が−10〜+30×10−7/℃である結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調理器用トッププレート。
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JP (1) | JP2010040171A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011192535A (ja) * | 2010-03-15 | 2011-09-29 | Nippon Electric Glass Co Ltd | 電磁加熱調理器用トッププレート |
JP2011216457A (ja) * | 2010-03-15 | 2011-10-27 | Nippon Electric Glass Co Ltd | 電磁加熱調理器用トッププレート |
JP2015021692A (ja) * | 2013-07-22 | 2015-02-02 | 鳴海製陶株式会社 | ガス調理器用ガラストッププレート |
-
2008
- 2008-07-31 JP JP2008197837A patent/JP2010040171A/ja active Pending
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