JP5326524B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
この公知技術では、車室床面の段差部によって、車両前側の床面(下段面)よりも車両後側の床面(上段面)が一段高くされている。そして上段面には、複数のキャッチ部(車両用シートを固定するための部材)が、シート前後に並列して設けてある。
そしてリンクアームの一端が、車両用シートの前側に回転可能に配設されており、リンクアームの他端が、摺動部材を介して、下段面のスライドレールに摺動可能に軸支されている。そしてスライドレールには、摺動部材をロックするためのロック位置が複数設けてあり、各々のロック位置で摺動部材が停止可能とされる。
またリンクアームの前側への回転動作によって、車両用シートを前側に変位させつつ、車両用シート下部のロック部を、車両前側の第二キャッチ部に係合させる。さらに摺動部材を、スライドレールの前側のロック位置に停止させることで、車両用シートを、段差部から車両前側に張り出させて固定する(前方ポジションで保持する)ことができる。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、よりシンプル且つコンパクトな構成によって、車両用シートのポジション変位を行うことにある。
そして車両用シートを、上段面上に配置する他方ポジションと、車両一側(下段面側)に張り出す一方ポジションの間を変位させるのであるが、この種の構成は極力コンパクトであることが望ましい。
そして一方リンクアームと他方リンクアームの連携回転によって、車両一側を向く車両用シート一側を、車両他側を向く車両用シート他側よりも下方に配置した状態で車両一側又は車両他側に変位させる(変位動作)。そして他方リンクアームの更なる回転による倒れ動作によって、車両用シート一側の高さ位置に車両用シート他側の高さ位置を対応させる(位置合わせ動作)。そして車両用シートを、これら両動作によって、上段面上に配置する他方ポジションと、車両一側に張り出す一方ポジションの間で変位させる構成とする。
さらに本発明では、他方リンクアームを、一方ポジションへの変位動作によって車両一側に倒すとともに、車両用シートの下部に設けたロック部を、他方リンクアームに設けたキャッチ部に係合する構成とした。
このように本発明では、比較的シンプルな構成のリンク機構を用いるとともに、リンク機構の回転を利用して、他方ポジション時のリンクアームをコンパクトに配置することができる。
図1を参照して、本実施例の車室床面には段差部が形成されており、車両前側の床面(下段面DP)よりも車両後側の床面(上段面UP)が一段高くされている。
そして上段面UPと下段面DPは、立ち上がり面RPによってつながっている。この立ち上がり面RPは、下段面DPから上段面UPに向かって直線状に傾斜する傾斜面である(立ち上がり角度θ1)。
そして車両用シート2は、図1を参照して、シートクッション4及びシートバック6を有する。シートクッション4下部の後側にはロック部8が設けてある。このロック部8の下部は凹状とされており、各キャッチ部(棒状)が嵌り込み状に係合する構成である。
またシートクッション4下部の前端にはフック部10が設けてある。フック部10の下方は、各ストライカ部(棒状)と係合可能な爪状である。
また車両用シート2が下方傾斜状の時(車両用シート2の変位時)には、フック部10の先端を車両後側に向かって傾斜させる。そして後述する位置合わせ動作によって、フック部10の先端が、シートクッション4前端を回転中心(C1)とする半径E1の回転軌跡を描く構成とする(図2及び図3の破線T1を参照)。
そして本実施例では、第一ストライカ部32を、下段面DP前側の凹状部D1内に配置する。このとき第一ストライカ部32を、前方ポジション時のフック部10の回転軌跡(図3の破線T1を参照)の途中に設ける。
また第二ストライカ部34を、下段面DP後側(段差部近傍)の凹状部D2内に配置する。このとき第二ストライカ部34を、後方ポジション時のフック部10の回転軌跡(図2の破線T1を参照)の途中に設ける。
そこで本実施例では、比較的シンプル且つコンパクトな構成(リンク機構L)によって、車両用シート2のポジション変位を行うこととした。以下、各構成について詳述する。
リンク機構Lは、一対の前方リンクアーム20(一方リンクアームの一例)と、後方リンクアーム26(他方リンクアームの一例)を有する(図1及び図2を参照)。
後方リンクアーム26はI字状(側面視)の平板部材である。この後方リンクアーム26の上端を、シートクッション4下部の中央部(ブラケットB)に回転可能に軸支する。また後方リンクアーム26の下端を、上段面UPのブラケットBに傾倒可能に軸支することで、後方リンクアーム26をシートクッション4の中央に配設する。
そして後方リンクアーム26を、後述のポジション変位時において、上段面UPのブラケットBを回転中心(C2)として車両前後に傾倒回転する構成とする(図2の破線T2を参照)。
そして後倒し状態の後方リンクアーム26が上述の凹状部D3内に収納配置する。このため凹状部D3の深さ寸法が、後方リンクアーム26の幅寸法以上に設定されるとともに、凹状部D3の長さ寸法が、後方リンクアーム26の長さ寸法以上に設定される。
また一対の前方リンクアーム20は、共にL字状(側面視)の平板部材であり、上部アーム22と下部アーム24を有する(両アームが屈曲角度θ2で連接する)。この上部アーム22を、シートクッション4の前端部に回転可能に軸支する。また下部アーム24を、下段面DPのブラケットBに傾倒可能に軸支することで、前方リンクアーム20をシートクッション4前側の両側に配設する。
そして一対の前方リンクアーム20を、ポジション変位時において、下段面DPのブラケットBを回転中心(C3)として車両前後に回転する構成とする。このとき前方リンクアーム20の回転半径E3を、後方リンクアーム26の回転半径E2よりも大きく設定して、比較的緩やかな回転軌跡を描く構成とする(図2の破線T3を参照)。
また上部アーム22は、下部アーム24の後端から若干傾斜して起立する。このとき上述の屈曲角度θ2を適宜調節するなどして、下段面DP(下部アーム24)に対する立ち上がり角度θ3を、立ち上がり面RPの傾斜角度θ1と同一に設定する。
そしてリンク解除レバーを操作してリンク機構Lの回転動作を行い、車両用シート2を後方ポジション(他方ポジション)に変位させる(図1及び図2を参照)。
このとき前方リンクアーム20と後方リンクアーム26の車両後側への連携回転によって、車両用シート2前側が、車両用シート2後側よりも下方に配置した状態となり、車両後側に移動する(変位動作)。そして後方ポジションにおいて、後方リンクアーム26を後倒しして、車両用シート2前側の高さ位置に車両用シート2後側の高さ位置を合わせる(位置合わせ動作)。こうすることで車両用シート2が略水平となり、上段面UP上の後方ポジションに変位する。
またロック部8も、位置合わせ動作によって上段面UPの第二キャッチ部38に係合することで、後方ポジションの車両用シート2を上段面UPに固定することができる。
さらに位置合わせ動作によって、後倒し状態の後方リンクアーム26を凹状部D3内に収納配置する。このため本実施例では、リンク機構Lの回転動作によって、後方ポジション時の両リンクアーム20,26を車室床面に沿ってコンパクトに配置させることができる。
つぎに車両用シート2を前方ポジション(一方ポジション)に変位させる(図3及び図4を参照)。
このとき両リンクアーム20,26の車両前側への連携回転によって、車両用シート2前側が、車両用シート2後側よりも下方に配置した状態となり、車両前側に移動する(変位動作)。そして前方ポジションにおいて、後方リンクアーム26を前倒しして、車両用シート2前側の高さ位置に車両用シート2後側の高さ位置を合わせる(位置合わせ動作)。こうすることで車両用シート2が略水平となり、下段面DP側に張り出す前方ポジションに変位する。
またロック部8も、位置合わせ動作によって上段面UPに配置する後方リンクアーム26の第一キャッチ部36に係合することで、前方ポジションの車両用シート2を段差部から張り出し状に固定することができる。
また位置合わせ動作によって、後方リンクアーム26が前倒し状態となり、シートクッション4の下方に配置する。このため本実施例では、リンク機構Lの回転動作によって、両リンクアーム20,26が、いずれもシートクッション4の下方位置にコンパクトに配置する。
このため本実施例によれば、よりシンプル且つコンパクトな構成によって、車両用シートのポジション変位を行うことができる。
よって本実施例の車両用シート2は、いずれのポジション時においても、乗員に違和感を極力生じさせることなく使用することができる。
また前方リンクアーム20は、上述の形状だけでなく、その他各種の形状を取り得る。
例えば図5(a)では、前方リンクアーム20aが略Z字状とされて、下部アーム24と上部アーム22aを有する。上部アーム22aは、その上端が屈曲状とされて、シートクッション4に軸支されている。
また図5(b)では、前方リンクアーム20bが略逆L状とされて、下部アーム24bは段差部直近から、立ち上がり面RPに沿って直線状に配置する。また上部アーム22bは上段面UPに沿って配置して、シートクッション4に軸支されている。
上述の形状の前方リンクアーム20a,20bであれば、後方ポジション時において、車室床面(下段面DP、立ち上がり面RP、上段面UPのいずれか)に沿ってコンパクトに配置することができる。
実施例2の基本構造は、実施例1とほぼ同一であるため、共通の構造等については対応する符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本実施例では、前方ポジションの車両用シート2が、後方ポジションの車両用シート2よりも下方に配置する例を説明する(図6を参照)。本実施例では、第二ストライカ部34を、下段面DPよりも一段高い中段面に設ける。
また第一キャッチ部36を、一対の後方リンクアーム26aの間に橋渡し状として溶接固定する(二点の溶接個所にて固定する)。より詳しくは、前倒し状態の後方リンクアーム26aの張出し部位E(下段面DP側に張り出す部位)に第一キャッチ部36を固定する。
この後方リンクアーム26aの上部(直線部分)を、シートクッション4下部の中央部(ブラケットB)に回転可能に軸支する。また後方リンクアーム26aの下部(屈曲部分)を、立ち上がり面RPのブラケットBに傾倒(回転)可能に軸支する。
後方ポジションの車両用シート2は、上段面UP上に配置する。このとき後方リンクアーム26aは、その上部(直線部分)が上段面UP上に後倒し状態となる。そして後方ポジション時においては、乗員の昇降を極力邪魔しないよう、前方リンクアーム20が車室床面(立ち上がり面RP及び上段面UP)に沿ってコンパクトに配置される。
そして車両用シート2を前方ポジションに変位させる(図6の破線状態を参照)。
このとき後方リンクアーム26a(略L字状)を、立ち上がり面RPのブラケットBを中心に車両前側に前倒したのち、車両用シート2を略水平とする。このように本実施例では、後方リンクアーム26aが、立ち上がり面RPのブラケットB(上段面UPよりも下方)で前倒し状態となることから、上段面UPよりも下方位置で略水平状態となる。
このため本実施例では、前方ポジションの車両用シート2と、後方ポジションの車両用シート2の高さ位置を異ならせることで、車室空間を前後上下に有効利用することができる。
また上述の第一キャッチ部36を、段差部の立ち上がり面RPに配設する構成としてもよい。そして前方ポジションへの変位動作によって、シートクッション4のロック部8を、立ち上がり面RPの第一キャッチ部36に係合する構成とする。
(1)本実施例では、車両前側に下段面DPを形成するとともに、車両後側に上段面UPを形成したが、車両床面の形状を限定する趣旨ではない。すなわち車両前側に上段面UPを形成するとともに、車両後側に下段面DPを形成してもよい。また車両左側に上段面UPを形成するとともに、車両右側に下段面DPを形成してもよい。
なお本実施例では、着座側が前方を臨むように車両用シートを配置したが、車両用シートの向きは特に限定しない。すなわち着座側が後方や側方を臨むように車両用シートを配置してもよい。
(3)また実施例1では、上部アーム22の立ち上がり角度θ3と、立ち上がり面RPの傾斜角度θ1を同一に設定した。上部アーム22が下方傾斜状であれば、段差部の立ち上がり面RPに沿って後方に傾斜して起立する。このため上部アーム22の立ち上がり角度θ3と、立ち上がり面RPの傾斜角度θ1を厳密に同一に設定する(クリアランスCを厳密に一定とする)必要はない。また前方リンクアームと車室床面を当接させてもよい(クリアランスを設けない構成としてもよい)。
また実施例2では、前方リンクアームと車室床面を当接させたとしたが、両部材の間に適宜クリアランスを設けてもよい。
なお後方リンクアームは、専ら車両用シートを変位させるための部材であるため、例えばシートクッションの中央部に一つだけ設ける構成(よりシンプルな構成)としてもよい。また前方リンクアームは、車両用シートを支持する部材でもあるため、シートクッションに複数設ける構成が好ましい。
また同様に後方リンクアーム26も、凹状部D3内に収納する構成としてもよく、上段面上に配設する構成としてもよい。
(7)また本実施例の車両用シート2には、スライド機構を設けることもできる。そしてスライド機構によって、各ポジションの車両用シート2を車両前後にスライド移動させることができる。
4 シートクッション
6 シートバック
8 ロック部
10 フック部
20 前方リンクアーム
22 上部アーム
24 下部アーム
26 後方リンクアーム
32 第一ストライカ部
34 第二ストライカ部
36 第一キャッチ部
38 第二キャッチ部
B ブラケット
L リンク機構
DP 下段面
RP 立ち上がり面
UP 上段面
Claims (1)
- 車両一側の下段面と、前記下段面よりも高い車両他側の上段面と、これら下段面と上段面をつなぐ立ち上がり面を有する車室床面に、リンク機構を介して配設される車両用シートにおいて、
前記リンク機構に、前記車両用シートと前記下段面を連結する一方リンクアームと、前記下段面よりも高い位置にある車室床面と前記車両用シートを連結する他方リンクアームとを設けるとともに、前記一方リンクアームの回転半径を、前記他方リンクアームの回転半径よりも大きく設定して、
前記一方リンクアームと前記他方リンクアームの連携回転によって、前記車両一側を向く車両用シート一側を、前記車両他側を向く車両用シート他側よりも下方に配置した状態で前記車両一側又は前記車両他側に移動させる変位動作と、前記他方リンクアームの更なる回転による倒れ動作によって、前記車両用シート一側の高さ位置に前記車両用シート他側の高さ位置を対応させる位置合わせ動作を行うことにより、前記車両用シートを、前記上段面上に配置する他方ポジションと、前記車両一側に張り出す一方ポジションの間で変位させる構成とし、
前記一方リンクアームを、前記車室床面の面形状に対応した形状として、前記他方ポジションへの変位動作によって前記車室床面に沿って配置する構成とし、
前記他方リンクアームを、前記一方ポジションへの変位動作によって前記車両一側に倒すとともに、前記車両用シートの下部に設けたロック部を、前記他方リンクアームに設けたキャッチ部に係合する構成とした車両用シート。
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