JP5321015B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
そして車両用シートは、上述のキャッチ部に係合可能なロック部と、スライドレールと、リンクアームを備える。スライドレールとロック部は、車両用シートの下部に配設されている。またリンクアームの一端が車両用シート(スライドレール)の前側に嵌装されており、リンクアームの他端が下段面に傾倒可能(回転可能)に軸支されている。
またリンクアームの前側への回転動作によって、車両用シートを前側に変位させつつ、車両用シート下部のロック部を、車両前側の第二キャッチ部に係合する。こうすることで車両用シートを、段差部から車両前側に張り出させて固定する(前方ポジションで保持する)ことができる。
しかし車室内の他の構成(例えばシートベルトやエアバッグ)を考慮すると、前方ポジション時のスライド量には限界を設ける必要がある。このため典型的には、スライド量の少ないスライド機構を用いるのであるが、そうすると後方ポジション時のスライド量も少なくなり、例えば車室空間の広い車種では、使い勝手の大幅な向上が見込めない。
もっともスライド量調節可能のスライド機構を用いることもできるが、そうするとシート構成が思いのほか複雑となる。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、より簡単な構成によって、車両用シートのスライド量をそのポジションに応じて可変とすることにある。
そして車両用シートに、車両一側位置と他側位置の間のスライド移動を可能とするスライド機構を設ける。こうして車両用シートを、一方ポジション時と他方ポジション時の双方でスライド移動可能とするのであるが、このときシートの使い勝手などを考慮して、車両用シートのポジションに応じてスライド量を可変とすることが望ましい。
そのうえでリンクアームに、係止部のスライド移動を規制する第一被係止部を設けるとともに、リンクアームの一側向きの回転動作によって、車両用シートを一方ポジションとしつつ、第一被係止部を、係止部のスライド移動範囲の途中に設けられた中間位置に配置して、係止部のスライド移動範囲を、第一被係止部のみに係止する中間位置と車両他側の間に限定する構成とする。
このようにリンクアームの一側向きの回転動作によって(一方ポジションへの変位により)、第一被係止部を、係止部のスライド移動の途中位置(中間位置)に配置する。こうすることで一方ポジションの車両用シートのスライド移動が、中間位置(第一被係止部のみによって係止部が係止される位置)から他側位置の間に限定される。
また上記構成では、リンクアームの他側向きの回転動作によって(他方ポジションへの変位により)、第一被係止部がスライド移動を邪魔しない位置に変位する。このため他方ポジションの車両用シートは、第一被係止部に邪魔されることなく、一側位置から他側位置の間でスライド移動を行うことができる。
また上記構成では、スライド移動の途中位置(中間位置)から他側の範囲に係止部を配置することで、車両用シートのポジション変位が可能となる。このため車両用シートがポジション変位する際には、中間位置から他側の間に係止部が配置した状態とされる。
図1を参照して、本実施例の車室床面には段差部が形成されており、車両前側の床面(下段面DP)よりも車両後側の床面(上段面UP)が一段高くされている。上段面UPと下段面DPの間は傾斜面(立ち上がり面RP)とされている。
また上段面UPには、複数のキャッチ部(第一キャッチ部36、第二キャッチ部38)が車両前後に並列して配設されている。これらキャッチ部は、いずれも棒状部材(断面円状)であり、上段面UPに形成された凹状部(D3,D4)に配置する。
そして車両用シート2は、シートクッション4及びシートバック6を有する。
シートクッション4下部の後側にはロック部8が設けてある。このロック部8の下部は凹状とされており、棒状の第一キャッチ部36又は第二キャッチ部38が嵌り込み状に係合する。
またシートクッション4下部の前端(後述するロアレール44)にはフック部10が設けてある。フック部10の下方は、各ストライカ部(棒状)と係合可能な爪状である。
また車両用シート2が下方傾斜状の時(車両用シート2の変位時)には、フック部10の先端を車両後側に向かって傾斜させる。こうして後述する位置合わせ動作時には、フック部10の先端が、シートクッション4前端を回転中心(C1)とする半径E1の回転軌跡を描く構成とする(図3及び図4の破線T1を参照)。
そして本実施例では、第一ストライカ部32を、下段面DP前側の凹状部D1内に配置する。このとき第一ストライカ部32を、前方ポジション時のフック部10の回転軌跡(図4の破線T1を参照)の途中に設ける。
また第二ストライカ部34を、下段面DP後側(段差部近傍)の凹状部D2内に配置する。このとき第二ストライカ部34を、後方ポジション時のフック部10の回転軌跡(図3の破線T1を参照)の途中に設ける。
さらに車両用シート2は、後述のスライド機構Sによって車両前側位置(FP)から後側位置(BP)の間をスライド移動する。そしてこの種の構成では、車両用シート2の各ポジションに応じてスライド量を可変とすることが望ましい。
そこで本実施例では、後述する比較的簡単な構成(係止部7、第一被係止部23、第二被係止部28)によって、車両用シート2のスライド量をそのポジションに応じて可変とした。以下、各構成について詳述する。
本実施例では、一対の係止部7,7をシートクッション4に配設する(図2を参照)。これら一対の係止部7,7は、いずれもS字状又はクランク状(側面視)をなし、平板状の取付け部7aと、それに連なるJ状の爪部7bを有する。
そしてこれら一対の係止部7,7を、爪部7b同士を対面配置した状態で、各々の取付け部7aでシートクッション4下部の中央に固定する。このとき一対の係止部7,7の間に、後述する後方リンクアーム(平板状)を配置可能なクリアランスを設けておく。こうすることでこれら一対の係止部7,7を車両用シート2と一体でスライド移動可能とする。
リンク機構Lは、一対の前方リンクアーム20(本発明のリンクアームの一例)と、後方リンクアーム26を有する(図1及び図2を参照)。
後方リンクアーム26はI字状(側面視)の平板部材である。そして後方リンクアーム26の上端を、シートクッション4下部の中央部(ブラケットB)に回転可能に軸支する。また後方リンクアーム26の下端を、上段面UPのブラケットBに傾倒可能に軸支することで、後方リンクアーム26をシートクッション4の中央に配設する。
そして後方リンクアーム26は、ポジション変位時において、上段面UPのブラケットBを回転中心(C2)として車両前後に傾倒回転する(図3の破線T2を参照)。
また後方リンクアーム26は、上段面UP上で回転するため、後述する下段面DPの前方リンクアーム20よりも高い位置で回転する。このため後述する変位動作時には、後方リンクアーム26で支持された車両用シート2の後側が、前方リンクアーム20で支持された車両用シート2の前側よりも上方に配置することとなる。
そして一対の前方リンクアーム20は、ポジション変位時において、下段面DPのブラケットBを回転中心(C3)として車両前後に回転する。そして本実施例では、前方リンクアーム20の回転半径E3を、後方リンクアーム26の回転半径E2よりも大きく設定して、比較的緩やかな回転軌跡を描く構成とした(図3の破線T3を参照)。
そして第一被係止部23は、棒状部材(断面円状)であり、一対の前方リンクアーム20(上部アーム22)に橋渡し状に配設されている。
この第一被係止部23は、一対の前方リンクアーム20の前側への傾倒によって、後述するように係止部7のスライド移動の経路内に配置する。そして係止部7は、第一被係止部23との係合によってその前後動が規制されることとなる(図1及び図4を参照)。
また第二被係止部28は、後方リンクアーム26の下端側に設けられた一対のフランジ状の部位(フランジ部分28a,28a)である(図2を参照)。
この第二被係止部28(フランジ部分)は、後方リンクアーム26が上段面UP側に倒れることで爪部7b上に配置する。そして係止部7は、後方リンクアーム26に沿ってスライド移動可能であるが、第二被係止部28(フランジ部分28a,28a)と爪部7bの係合によってその上下動が規制される。
スライド機構Sは、一対のレール部材(アッパーレール42とロアレール44)を有する(図1及び図2を参照)。本実施例では、これら一対のレール部材を、シートクッション4下部の両側に固定する。そして車両用シート2に固定のアッパーレール42を、ロアレール44に対して車両前後に摺動可能とする。
そして図示しないロック解除レバーを操作して、スライド機構Sのロックを解除することにより、車両用シート2を、車両前側位置(FP)から後側位置(BP)にスライド移動することができる(図1を参照)。
そしてリンク解除レバーを操作してリンク機構Lの回転動作を行い、後方ポジションへの車両用シート2のポジション変位を行う(図3を参照)。
このとき前方リンクアーム20と後方リンクアーム26の車両後側への連携回転によって、車両用シート2前側が、車両用シート2後側よりも下方に配置した状態となり、車両後側に移動する(変位動作)。そして後方ポジションにおいて、後方リンクアーム26を後倒しして、車両用シート2前側の高さ位置に車両用シート2後側の高さ位置を合わせる(位置合わせ動作)。こうすることで車両用シート2が略水平となり、上段面UP上の後方ポジションに変位する。
またロック部8も、位置合わせ動作によって上段面UPの第二キャッチ部38に係合することで、後方ポジションの車両用シート2を上段面UPに固定することができる。
前方リンクアーム20は後側に傾倒しており、下部アーム24が下段面DPに倒れて配置するとともに、上部アーム22が上方傾斜状に配置する。このとき第一被係止部23は、下段面DP近くに配置する(係止部7のスライド移動を邪魔しない位置に配置する)。
このため後方ポジションの車両用シート2は、第一被係止部23に邪魔されることなく、前側位置(FP)から後側位置(BP)の間でスライド移動を行うことができる(図1を参照)。
そしてスライド移動の途中位置(mp)から後側に係止部7を配置することで、車両用シート2のポジション変位が可能となる。このため車両用シート2がポジション変位する際には、途中位置(mp)から後側の間に係止部7が配置した状態とされる。
つぎに前方ポジションへの車両用シート2のポジション変位を行う(図2及び図4を参照)。このとき前方リンクアーム20と後方リンクアーム26の車両前側への連携回転によって、車両用シート2前側が、車両用シート2後側よりも下方に配置した状態となり、車両前側に移動する(変位動作)。このとき後方リンクアーム26が、変位動作によって一対の係止部7,7の間から係脱する。そして前方ポジションにおいて、後方リンクアーム26を前倒しして、車両用シート2前側の高さ位置に車両用シート2後側の高さ位置を合わせる(位置合わせ動作)。こうすることで車両用シート2が略水平となり、下段面DP側に張り出す第一ポジションに変位する。
またロック部8も、位置合わせ動作によって上段面UPの第一キャッチ部36に係合することで、前方ポジションの車両用シート2を段差部から張り出し状に固定することができる。
そして前方ポジション時の前方リンクアーム20では、下部アーム24が下段面DPから起立するとともに、上部アーム22が略水平に(ロアレール44に沿って)配置する(図4を参照)。
そして第一被係止部23は、上部アーム22に追従して、係止部7のスライド移動途中位置(係止部のスライド移動範囲の途中に設けられた中間位置mp)に配置する。このため車両用シート2をスライド移動させると、第一被係止部23によって係止部7が係止される位置(中間位置MP)にてそのスライド移動が規制されることとなる。よって前方ポジションの車両用シート2は、第一被係止部23と係止部7の係合によって、そのスライド移動が中間位置(MP)から後側位置(BP)の間に限定される(スライド量が限定される)。
このため本実施例の車両用シート2は、いずれのポジション時においても、乗員に違和感を極力生じさせることなく使用することができる。
実施例2の基本構造は、実施例1とほぼ同一であるため、共通の構造等については対応する符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本実施例では、前方ポジションの車両用シート2が、後方ポジションの車両用シート2よりも下方に配置する例を説明する(図5を参照)。本実施例では、第二ストライカ部34を、下段面DPよりも一段高い中段面に設ける。
また第一キャッチ部36を、一対の後方リンクアーム26aの間に橋渡し状として溶接固定する(二点の溶接個所にて固定する)。より詳しくは、前倒し状態の後方リンクアーム26aの張出し部位E(下段面DP側に張り出す部位)に第一キャッチ部36を固定する。
この後方リンクアーム26aの上部(直線部分)を、シートクッション4下部の中央部(ブラケットB)に回転可能に軸支する。また後方リンクアーム26aの下部(屈曲部分)を、立ち上がり面RPのブラケットBに傾倒(回転)可能に軸支する。
後方ポジションの車両用シート2は、上段面UP上に配置する。このとき後方リンクアーム26aは、その上部(直線部分)が上段面UP上に後倒し状態となる。
そして車両用シート2を前方ポジションに変位させる(図5の破線状態を参照)。
このとき後方リンクアーム26a(略L字状)を、立ち上がり面RPのブラケットBを中心に車両前側に前倒したのち、車両用シート2を略水平とする。このように本実施例では、後方リンクアーム26aが、立ち上がり面RPのブラケットB(上段面UPよりも下方)で前倒し状態となることから、上段面UPよりも下方位置で略水平状態となる。
このため本実施例では、前方ポジションの車両用シート2と、後方ポジションの車両用シート2の高さ位置を異ならせることで、車室空間を前後上下に有効利用することができる。
また上述の第一キャッチ部36を、段差部の立ち上がり面RPに配設する構成としてもよい。そして前方ポジションへの変位動作によって、シートクッション4のロック部8を、立ち上がり面RPの第一キャッチ部36に係合する構成とする。
(1)本実施例では、車両前側に下段面DPを形成するとともに、車両後側に上段面UPを形成したが、車両床面の形状を限定する趣旨ではない。すなわち車両前側に上段面UPを形成するとともに、車両後側に下段面DPを形成してもよい。また車両左側に上段面UPを形成するとともに、車両右側に下段面DPを形成してもよい。
なお本実施例では、着座側が前方を臨むように車両用シートを配置したが、車両用シートの向きは特に限定しない。
なお後方リンクアームは、専ら車両用シートを変位させるための部材であるため、例えばシートクッションの中央部に一つだけ設ける構成(よりシンプルな構成)としてもよい。また前方リンクアームは、車両用シートを支持する部材でもあるため、シートクッションに複数設ける構成が好ましい。
また同様に後方リンクアーム26も、凹状部内に収納する構成としてもよく、上段面上に配設する構成としてもよい。
(4)また本実施例では、L字状の前方リンクアーム20と、I字状又はL字状の後方リンクアーム26を例示したが、これらリンクアームの形状を限定する趣旨ではない。また段差部(特に立ち上がり面)の形状も特に限定しないが、立ち上がり面の形状と前方リンクアームの形状を対応させることで、よりコンパクトな構成となる。
(6)また本実施例では、車両用シート2を固定するための構成として、キャッチ部及びロック部、フック部及びストライカ部を例示した。このほかにも車両用シート2を固定可能であれば各種の構成を採用することができる。
(7)また本実施例では、リンク機構に、前方リンクアームと後方リンクアームを設けたが、リンク機構の構成を限定する趣旨ではない。すなわち車両用シートがポジション変位可能であるならば、後方リンクアームを適宜省略してもよい。この場合には、第二被係止部を、上段面に直接配設することができる。
4 シートクッション
6 シートバック
7 係止部
7a 取付け部
7b 爪部
8 ロック部
10 フック部
20 前方リンクアーム
22 上部アーム
23 第一被係止部
24 下部アーム
26 後方リンクアーム
26a 後方リンクアーム
28 第二被係止部
28a フランジ部分
32 第一ストライカ部
34 第二ストライカ部
36 第一キャッチ部
38 第二キャッチ部
42 アッパーレール
44 ロアレール
B ブラケット
UP 上段面
RP 立ち上がり面
DP 下段面
E 張出し部位
L リンク機構
S スライド機構
Claims (1)
- リンク機構を介して、車両一側の下段面よりも車両他側の上段面が高くされた車室床面に配設される車両用シートにおいて、
前記リンク機構に、前記車両用シートと前記下段面を連結するリンクアームを設けて、前記車両用シートを、前記リンクアームの回転動作によって、前記上段面よりも車両一側に張出す一方ポジションと、前記上段面上に配置する他方ポジションの間を変位させる構成とし、
前記車両用シートに、車両一側位置と他側位置の間のスライド移動を可能とするスライド機構と、前記車両用シートと一体でスライド移動する係止部を設けて、前記車両用シートを、前記一方ポジション時と前記他方ポジション時の双方でスライド移動可能とするとともに、前記係止部を、前記車両用シートに追従させて、車両一側から車両他側にかけてのスライド移動範囲を移動可能とし、
前記リンクアームに、前記係止部のスライド移動を規制する第一被係止部を設けるとともに、前記リンクアームの一側向きの回転動作によって、前記車両用シートを前記一方ポジションとしつつ、前記第一被係止部を、前記係止部のスライド移動範囲の途中に設けられた中間位置に配置して、前記係止部のスライド移動範囲を、前記第一被係止部のみに係止する前記中間位置と前記車両他側の間に限定する構成とし、
前記他方ポジション時の上段面上に、前記係止部の上下動を規制する第二被係止部を設けるとともに、前記第二被係止部を、前記係止部のスライド移動範囲のうちで前記中間位置と車両一側の間の範囲に配置して、前記中間位置と前記車両一側の間に配置する前記係止部が前記第二被係止部のみに係止する構成とした車両用シート。
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2008
- 2008-11-26 JP JP2008301334A patent/JP5321015B2/ja not_active Expired - Fee Related
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