JP5311605B2 - 液晶パネルおよび液晶表示装置 - Google Patents
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Description
該第1光学素子が、実質的に光学的に等方性を有し、
該液晶セルの初期配向方向と該第1偏光子の吸収軸の方向とが、実質的に平行であり、
該第1偏光子の吸収軸と該第2偏光子の吸収軸とが、実質的に直交である。
Re[590]≦10nm …(1)
|Rth[590]|≦10nm …(2)
ただし、Re[590]およびRth[590]は、それぞれ、23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値および厚み方向の位相差値である。
Re[590]≦10nm …(3)
10nm<Rth[590]≦200nm …(4)
Re[590]≦10nm …(5)
−200nm≦Rth[590]<−10nm …(6)
ただし、Re[590]およびRth[590]は、それぞれ、23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値および厚み方向の位相差値である。
Re[590]≦10nm …(7)
10nm<Rth[590]≦100nm …(8)
ただし、Re[590]およびRth[590]は、それぞれ、23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値および厚み方向の位相差値である。
図1は、本発明の好ましい実施形態による液晶パネルの概略断面図である。図2(a)は、この液晶パネルがEモードを採用する場合の概略斜視図であり、図2(b)は、この液晶パネルが、Oモードを採用する場合の概略斜視図である。図2では、上側が視認側であり、下側がバックライト側である。なお、見やすくするために、図1ならびに図2(a)および(b)における、各構成部材の縦、横および厚みの比率は実際とは異なって記載されていることに留意されたい。この液晶パネル100は、電界が存在しない状態でホモジニアス配列に配向させた液晶分子を含む液晶層を備える液晶セル10と、該液晶セル10の一方の側(図2(a)では視認側)に配置された第1偏光子21と、該液晶セル10と該第1偏光子21との間に配置された第1光学素子30と、該液晶セルの他方の側(図2(a)ではバックライト側)に配置された第2偏光子22とを少なくとも備える。上記第1光学素子30は、実質的に光学的に等方性を有する。上記液晶セル10の初期配向方向と上記第1偏光子21の吸収軸の方向は、実質的に平行である。上記第1偏光子21の吸収軸と上記第2偏光子の吸収軸は、実質的に直交である。なお、実用的には、第1偏光子21および第2偏光子22の外側(液晶セルを備える側とは反対側)には、任意の適切な保護層(図示せず)が配置され得る。このような液晶パネルを含む液晶表示装置は、従来の液晶表示装置に比べ、斜め方向のカラーシフト量が格段に小さいという特徴を有する。
図1を参照すると、本発明に用いられる液晶セル10は、一対の基板11、11’と、基板11、11’の間に挟持された表示媒体としての液晶層12とを有する。一方の基板(アクティブマトリクス基板)11’には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的にはTFT)と、このアクティブ素子にゲート信号を与える走査線およびソース信号を与える信号線とが設けられている(いずれも図示せず)。他方の基板(カラーフィルター基板)11には、カラーフィルターが設けられる。なお、カラーフィルターは、アクティブマトリクス基板11’に設けてもよい。あるいは、例えば、フィールドシーケンシャル方式のように液晶表示装置のバックライトにRGB3色光源が用いられる場合は、上記カラーフィルターは省略され得る。上記基板11、11’の間隔(セルギャップ)は、スペーサー(図示せず)によって制御されている。基板11、11’の液晶層12と接する側には、例えばポリイミドからなる配向膜(図示せず)が設けられている。
本明細書において、偏光子とは、自然光や偏光から任意の偏光に変換し得る素子をいう。本発明に用いられる偏光子としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。好ましくは、自然光又は偏光を直線偏光に変換するものである。このような偏光子としては、入射する光を直交する2つの偏光成分に分けたとき、そのうちの一方の偏光成分と通過させる機能を有し、且つ、そのうちの他方の偏光成分を、吸収、反射、および散乱させる機能から選ばれる少なくとも1つ以上の機能を有するものが用いられる。
上記偏光子の23℃で測定した波長550nmの透過率(単体透過率ともいう)は、好ましくは41%以上、さらに好ましくは43%以上である。なお、単体透過率の理論上の上限は50%であり、実現可能な上限は46%である。また、偏光度は、好ましくは99.8%以上、さらに好ましくは99.9以上である。なお、偏光度の理論上の上限は100%である。上記の範囲であれば、液晶表示装置に用いた際に正面方向のコントラスト比を高くすることができる。
図1(a)および(b)を参照すると、第1偏光子21および第2偏光子22を配置する方法としては、目的に応じて任意の適切な方法が採用され得る。上記第1偏光子21は、好ましくは、液晶セル10に対向する側の表面に接着層(図示せず)を設け、第1光学素子30の表面に貼着される。上記第2偏光子22は、好ましくは、液晶セル10に対向する側の表面に接着層(図示せず)を設け、液晶セル10の表面に貼着される。なお、液晶セル10と第2偏光子22との間に任意の光学素子が配置される場合は、上記第2偏光子22は、上記任意の光学素子の表面に貼着され得る。
上記偏光子に用いられる光学フィルムとしては、任意の適切な偏光フィルムが選択される。上記偏光子は、例えば、ヨウ素または二色性染料を含有するポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする高分子フィルムの延伸フィルムによって得ることができる。あるいは、米国特許5,523,863号明細書に開示されているような、二色性物質と液晶性化合物とを含む液晶性組成物を一定方向に配向させたO型偏光子や、米国特許6,049,428号明細書に開示されているような、リオトロピック液晶を一定方向に配向させたE型偏光子を用いることもできる。
図1および図2を参照すると、第1光学素子30は、液晶セル10と第1偏光子21との間に配置される。このような形態によれば、当該第1光学素子が、偏光子の液晶セル側の保護層として機能することとなり、偏光子の劣化を防ぎ、結果として、液晶表示装置の表示特性を長時間、高く維持することができる。第1光学素子30は、実質的に光学的に等方性を有する。本明細書において、「実質的に光学的に等方性を有する」とは、光学素子の位相差値が、液晶パネルの光学特性に実質的に影響を与えない程度に小さいものをいう。
Re[590]≦10nm …(1)
|Rth[590]|≦10nm …(2)
ただし、Re[590]およびRth[590]は、それぞれ、23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値および厚み方向の位相差値である。
本明細書において、Re[590]とは、23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値をいう。なお、本明細書において「面内の位相差値」とは、光学素子が単独の位相差フィルムで構成される場合には当該フィルム面内の位相差値を意味し、光学素子が位相差フィルムを含む積層体で構成される場合には、積層体全体の面内の位相差値を意味する。Re[590]は、波長590nmにおける光学素子の遅相軸方向、進相軸方向の屈折率を、それぞれnx、nyとし、d(nm)を光学素子の厚みとしたとき、式:Re[590]=(nx−ny)×dによって求めることができる。なお、遅相軸とは面内の屈折率の最大となる方向をいう。
Re=(nx−ny)×d …(i)
R40=(nx−ny’)×d/cos(φ) …(ii)
(nx+ny+nz)/3=n0 …(iii)
Rth=(nx−nz)×d …(iv)
φ =sin−1[sin(40°)/n0] …(v)
ny’=ny×nz[ny2×sin2(φ)+nz2×cos2(φ)]1/2 …(vi)
図1を参照すると、第1光学素子30を配置する方法としては、目的に応じて任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記第1光学素子30は、その表面に接着層(図示せず)を設け、第1偏光子21と液晶セル10に貼着される。このように、各光学素子の隙間を接着層で満たすことによって、液晶表示装置に組み込んだ際に、各光学素子の光学軸の関係がずれることを防止したり、各光学素子同士が擦れて傷ついたりすることを防止することができる。さらに、各光学素子の層間の界面で生じる反射や屈折の悪影響を少なくすることができるため、鮮明な画像が表示できる液晶表示装置が得られうる。
本発明に用いられる第1光学素子の構成(積層構造)は、上記D−1項に記載の光学特性を満足するものであれば、特に制限はない。具体的には、第1光学素子は、実質的に光学的に等方性を有する高分子フィルムであってもよく、2枚以上の位相差フィルムで構成される積層体であってもよい。好ましくは、上記第1光学素子は、単独の実質的に光学的に等方性を有する高分子フィルムである。表示均一性に優れ、且つ、液晶パネルを薄くすることができるからである。上記第1光学素子が積層体である場合には、接着層を含んでもよい。積層体が2枚以上の位相差フィルムを含む場合には、好ましくは、異なる特性を有する位相差フィルムが用いられる。なお、上記実質的に光学的に等方性を有する高分子フィルム、および位相差フィルムの詳細については、D−4項で後述する。
第1光学素子に用いられる光学フィルムとしては、任意の適切なものが採用され得る。上記光学フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性などに優れるものが好ましい。
工法が用いられる。例えば、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、およびソルベントキャスティング法等から適宜、適切なものが選択され得る。これらの製法の中でも、ソルベントキャスティング法が好ましい。平滑性、光学均一性に優れたフィルムを得ることができるからである。上記ソルベントキャスティング法は、具体的には、例えば、主成分となる熱可塑性樹脂、添加剤等を含む樹脂組成物を溶剤に溶解した濃厚溶液(ドープ)を脱泡し、エンドレスステンレスベルトまたは回転ドラムの表面に、シート状に均一に流延し、溶剤を蒸発させてフィルムを成形する方法である。
Re[590]≦10nm …(3)
10nm<Rth[590]≦200nm …(4)
Re[590]≦10nm …(5)
−200nm≦Rth[590]<−10nm …(6)
ただし、Re[590]およびRth[590]は、それぞれ、23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値および厚み方向の位相差値である。
本発明の液晶パネルは、好ましくは、液晶セルと第2偏光子との間に任意の光学素子が配置される。図4は、本発明の別の実施形態による液晶パネルの概略断面図である。図5(a)は、この液晶パネルがEモードを採用する場合の概略斜視図であり、図5(b)は、この液晶パネルがOモードを採用する場合の概略斜視図である。図52では、上側が視認側であり、下側がバックライト側である。図4ならびに図5(a)および(b)における各構成部材の縦、横および厚みの比率は、実際とは異なっていることに留意されたい。この液晶パネル101は、液晶セル10と第2偏光子22との間に、下記式(7)および(8)を満足する第2光学素子をさらに備える。このような形態によれば、当該第2光学素子が、偏光子の液晶セル側の保護層として機能することとなり、偏光子の劣化を防ぎ、結果として、液晶表示装置の表示特性を長時間、高く維持することができる。
Re[590]≦10nm …(7)
10nm<Rth[590]≦100nm …(8)
ただし、Re[590]およびRth[590]は、それぞれ、23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値および厚み方向の位相差値である。
本発明に用いられる第2光学素子のRe[590]は0nm〜10nmであり、さらに好ましくは0nm〜6nmであり、特に好ましくは0nm〜4nmである。上記の範囲とすることによって、斜め方向の光漏れ量が小さく、鮮明な画像が表示できる液晶表示装置を得ることができる。
図4を参照すると、第2光学素子40を配置する方法としては、目的に応じて任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記第2光学素子40は、その表面に接着層(図示せず)を設け、第2偏光子22と液晶セル10に貼着される。このように、各光学素子の隙間を接着層で満たすことによって、液晶表示装置に組み込んだ際に、各光学素子の光軸の関係がずれることを防止したり、各光学素子同士が擦れて傷ついたりすることを防ぐことができる。さらに、各光学素子の層間の界面で生じる反射や屈折の悪影響を少なくすることができるため、鮮明な画像が表示できる液晶表示装置を得ることができる。
本発明に用いられる第2光学素子の構成(積層構造)は、上記E−1項に記載の光学特性を満足するものであれば、特に制限はない。具体的には、第2光学素子は、位相差フィルム単独であってもよく、2枚以上の位相差フィルムで構成される積層体であってもよい。好ましくは、上記第2光学素子は、単独の位相差フィルム、または2枚の位相差フィルムの積層体である。斜め方向の光漏れ量と、カラーシフト量を低減することができるからである。上記第2光学素子が積層体である場合には、接着層を含んでもよい。積層体が2枚以上の位相差フィルムを含む場合には、これらの位相差フィルムは同一であっても異なっていてもよい。なお、位相差フィルムの詳細については、E−4項で後述する。
第2光学素子に用いられる位相差フィルムとしては、任意の適切な位相差フィルムが採用され得る。上記位相差フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性などに優れるものが好ましい。
図6は、本発明の好ましい実施形態による液晶表示装置の概略断面図である。なお、見やすくするために、図6における各構成部材の縦、横および厚みの比率は、実際とは異なっていることに留意されたい。この液晶表示装置200は、液晶パネル100(または液晶パネル101)と、液晶パネル100(または液晶パネル101)の両側に配置された保護層60、60’と、保護層60、60’のさらに外側に配置された表面処理層70、70’と、表面処理層70’の外側(バックライト側)に配置されたバックライトユニット80とを備える。上記バックライトユニット80は、バックライト81と、反射フィルム82と、拡散板83と、プリズムシート84と、輝度向上フィルム85とを備える。これらの光学部材を用いることによって、より一層表示特性に優れた液晶表示装置を得ることができる。なお、図7に例示した光学部材は、本発明の効果が得られる限りにおいて、液晶表示装置の照明方法や液晶セルの駆動モードなど、用途に応じてその一部が省略され得るか、または、他の光学部材に代替され得る。
本発明の液晶パネルおよび液晶表示装置が用いられる用途は、特に制限はないが、例えば、パソコンモニター,ノートパソコン,コピー機などのOA機器、携帯電話,時計,デジタルカメラ,携帯情報端末(PDA),携帯ゲーム機などの携帯機器、ビデオカメラ,液晶テレビ,電子レンジなどの家庭用電気機器、バックモニター,カーナビゲーションシステム用モニター,カーオーディオなどの車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニターなどの展示機器、監視用モニターなどの警備機器、介護用モニター,医療用モニターなどの介護・医療機器などの各種用途に用いることができる。
(1)偏光子の水分率の測定方法:
カールフィシャー水分計[京都電子工業(株) 製品名「MKA−610」]を用いて、150℃±1℃の加熱炉にサイズ10mm×30mmに切り出したサンプルを入れ、窒素ガス(200ml/分)を滴定セル溶液中にバブリングさせて測定した。
(2)偏光子の単体透過率、偏光度の測定方法:
分光光度計[村上色彩技術研究所(株)製 製品名「DOT−3」]を用いて、23℃で測定した。
(3)分子量の測定方法:
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法よりポリスチレンを標準試料として算出した。具体的には、以下の装置、器具および測定条件により測定した。
・分析装置:TOSOH製「HLC−8120GPC」
・カラム:TSKgel SuperHM−H/H4000/H3000/H2000
・カラムサイズ:6.0mmI.D.×150mm
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流量:0.6ml/min.
・検出器:RI
・カラム温度:40℃
・注入量:20μl
(4)厚みの測定方法:
厚みが10μm未満の場合、薄膜用分光光度計[大塚電子(株)製 製品名「瞬間マルチ測光システム MCPD−2000」]を用いて測定した。厚みが10μm以上の場合、アンリツ製デジタルマイクロメーター「KC−351C型」を使用して測定した。
(5)フィルムの平均屈折率の測定方法:
アッベ屈折率計[アタゴ(株)製 製品名「DR−M4」]を用いて、23℃における波長589nmの光で測定した屈折率より求めた。
(6)位相差値(Re、Rth)の測定方法:
平行ニコル回転法を原理とする位相差計[王子計測機器(株)製 製品名「KOBRA21−ADH」]を用いて、23℃における波長590nmの光で測定した。
(7)透過率(T[590])の測定方法:
紫外可視分光光度計[日本分光(株)製 製品名「V−560」]を用いて、23℃における波長590nmの光で測定した。
(8)光弾性係数の絶対値(C[590])の測定方法:
分光エリプソメーター[日本分光(株)製 製品名「M−220」]を用いて、サンプル(サイズ2cm×10cm)の両端を挟持して応力(5〜15N)をかけながら、サンプル中央の位相差値(23℃/波長590nm)を測定し、応力と位相差値の関数の傾きから算出した。
(9)液晶表示装置のカラーシフト量(Δxy)の測定方法:
液晶表示装置に黒画像を表示させ、23℃の暗室でバックライトを点灯させてから、30分経過した後、ELDIM社製 製品名「EZ Contrast160D」を用いて、表示画面の法線方向(方位角0°、極角0°)の色相(x0,y0)と、斜め方向(方位角60°、極角60°)の色相(x60,y60)とを測定し、次式:Δxy={(x0−x60)2+(y0−y60)2}1/2から算出した。
[参考例1]
ポリビニルアルコールを主成分とする高分子フィルム[クラレ(株)製 商品名「9P75R(厚み:75μm、平均重合度:2,400、ケン化度:99.9モル%)」]を30℃±3℃に保持したヨウ素とヨウ化カリウム配合の染色浴にて、ロール延伸機を用いて、染色しながら2.5倍に一軸延伸した。次いで、60±3℃に保持したホウ酸とヨウ化カリウム配合の水溶液中で、架橋反応を行いながら、ポリビニルアルコールフィルムの元長の6倍となるように一軸延伸した。得られたフィルムを50℃±1℃の空気循環式恒温オーブン内で30分間乾燥させて、偏光子P1およびP2を得た。上記偏光子P1およびP2の光学特性は、表1の通りである。
[参考例2]
厚み40μmのノルボルネン系樹脂を含有する高分子フィルム[(株)オプテス製 ZEONOR ZF14−040(平均屈折率=1.53)]をそのまま用い、高分子フィルム1−Aとした。上記高分子フィルム1−Aの特性は、表2の通りである。
厚み80μmのセルロース系樹脂を含有する高分子フィルム[富士写真フィルム(株)製 商品名「ZRF80S」(平均屈折率=1.48)]をそのまま用い、高分子フィルム1−Bとした。上記高分子フィルム1−Bの特性は、表2の通りである。
ポリエチレンテレフタレートフィルム[東レ製S−27E、厚み75μm]にエチルシリケート溶液[コルコート(株)製 コルコートP]をグラビアコーターで塗工し、130℃で30秒間乾燥して厚み0.1μmのガラス質高分子膜を形成した。下記構造式(I)で表される高分子液晶[重量平均分子量(Mw)=5,000]を5重量部、重合性官能基と有する液晶化合物[BSAF社製、商品名「PaliocolorLC242」(ne=1.654,no=1.523)]20重量部、および光重合開始剤[チバスペシャリティケミカルズ(株)製、商品名「イルガキュア907」]1.25重量部を、シクロヘキサノン75重量部に溶解して、組成物の混合溶液を作製した。上記混合溶液を、基材として上記ポリエチレンテレフタレートフィルムのガラス質高分子膜上にロッドコーターを用いて塗工し、80℃±1℃の空気循環式恒温オーブンで2分間乾燥して、その後、室温に冷却して、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、ホメオトロピック配列に配向させた液晶化合物を含有する組成物の固化層を形成した。次いで、空気雰囲気下、混合溶液を塗工した側から紫外線(メタルハライドランプを光源とした照射装置を使用)を400mJ/cm2(波長365nmの値を測定)照射し、上記組成物の固化層を硬化させて、ホメオトロピック配列に配向させた液晶化合物を含有する組成物の硬化層(厚み0.6μm)を形成した。次に、セルロース系樹脂を含有する高分子フィルム[富士写真フィルム(株)製 商品「TDY−80UL」]の表面に、基材として用いたポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離しながら、アクリル系粘着剤層(厚み10μm)を介して、上記硬化層のみを互いの遅相軸が直交するように積層した。このようにして作製した、セルロース系樹脂を含有する高分子フィルムとホメオトロピック配列に配向させた液晶化合物を含有する組成物の硬化層の積層体を、高分子フィルム1−Cとした。上記高分子フィルム1−Cの特性は、表2の通りである。なお、セルロース系樹脂を含有する高分子フィルム単独のRe[590]は3.2nm、Rth[590]は55.6nmであり、ホメオトロピック配列に配向させた液晶化合物を含有する組成物の硬化層単独のRe[590]は3.1nm、Rth[590]は−60.6nmであった。
[参考例5]
厚み80μmのセルロース系樹脂を含有する高分子フィルム[富士写真フィルム(株)製 商品名「TDY−80UL」(平均屈折率=1.48)]をそのまま用い、高分子フィルム2−Aとした。上記高分子フィルム2−Aの特性は、表3の通りである。
[参考例6]
IPSモードの液晶セルを含む液晶表示装置[日立製作所(株)製 液晶テレビ 商品名「Wooo(型番:W32−L7000)」(画面サイズ:698mm×392mm)]から、液晶パネルを取り出し、液晶セルの上下に配置されていた光学フィルムを全て取り除いて、上記液晶セルのガラス面(表裏)を洗浄した。このようにして作製した液晶セルを液晶セルAとした。
IPSモードの液晶セルを含む液晶表示装置[東芝(株)製 液晶テレビ 商品名「Beautyful face(型番:32LC100)」(画面サイズ:698mm×392mm)]から、液晶パネルを取り出し、液晶セルの上下に配置されていた光学フィルムを全て取り除いて、上記液晶セルのガラス面(表裏)を洗浄した。このようにして作製した液晶セルを液晶セルBとした。
[実施例1]
参考例6で得られた液晶セルAの視認側の表面に、アクリル系粘着剤層(厚み23μm)を介して、第1光学素子として、参考例2で得られた高分子フィルム1−Aを、その遅相軸が上記液晶セルAの長辺と実質的に平行(0°±0.5°)となるように貼着した。続いて、この高分子フィルム1−Aの表面に、接着剤層(厚み1μm)を介して、第1偏光子として、参考例1で得られた偏光子P1を、その吸収軸が上記液晶セルAの長辺と実質的に平行(0°±0.5°)となるように貼着した。このとき、上記液晶セルAの初期配向方向と上記偏光子P1の吸収軸は、実質的に平行である。次に、上記液晶セルAのバックライト側の表面に、アクリル系粘着剤層(厚み23μm)を介して、第2光学素子として、参考例5で得られた高分子フィルム2−Aを、その遅相軸が上記液晶セルAの長辺と実質的に直交(90°±0.5°)するように貼着した。続いて、この高分子フィルム2−Aの表面に、接着剤層(厚み1μm)を介して、第2偏光子として、参考例1で得られた偏光子P2を、その吸収軸が上記液晶セルAの長辺と実質的に直交(90°±0.5°)するように貼着した。このとき、上記偏光子P1の吸収軸と上記偏光子P2の吸収軸は、実質的に直交である。上記偏光子P1およびP2の外側(液晶セルとは反対の側)には、接着剤層(厚み1μm)を介して、保護層として、参考例5で得られた高分子フィルム2−Aをそれぞれ貼着した。
第1光学素子として、参考例3で得られた高分子フィルム1−Bを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルBおよび液晶表示装置Bを作製した。この液晶パネルBは、図5(a)に示すEモードの構成である。バックライトを点灯させた直後の液晶表示装置Bは、全面で良好な表示均一性を有するものであった。バックライトを点灯し続けて30分経過後に、液晶表示装置Bの斜め方向のカラーシフト量(Δxy)を測定した。得られた特性は、表4の通りである。
第1光学素子として、参考例4で得られた高分子フィルム1−Cを用い、当該高分子フィルム1−Cにおける、セルロース系樹脂を含有する高分子フィルムの側を偏光子P1に貼着したこと以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルCおよび液晶表示装置Cを作製した。この液晶パネルCは、図5(a)に示すEモードの構成である。バックライトを点灯させた直後の液晶表示装置Cは、全面で良好な表示均一性を有するものであった。バックライトを点灯し続けて30分経過後に、液晶表示装置Cの斜め方向のカラーシフト量(Δxy)を測定した。得られた特性は、表4の通りである。
第1光学素子および第2光学素子として、参考例5で得られた高分子フィルム2−Aをそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルHおよび液晶表示装置Hを作製した。この液晶パネルHは、図7(a)に示すEモードの構成である。バックライトを点灯させた直後の液晶表示装置Hは、全面で良好な表示均一性を有するものであった。バックライトを点灯し続けて30分経過後に、液晶表示装置Hの斜め方向のカラーシフト量(Δxy)を測定した。得られた特性は、表4の通りである。
第1光学素子として、参考例5で得られた高分子フィルム2−Aを用い、第2光学素子として、参考例3で得られた高分子フィルム1−Bを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルIおよび液晶表示装置Iを作製した。この液晶パネルIは、図8(a)に示すEモードの構成である。バックライトを点灯させた直後の液晶表示装置Iは、全面で良好な表示均一性を有するものであった。バックライトを点灯し続けて30分経過後に、液晶表示装置Iの斜め方向のカラーシフト量を測定した。得られた特性は、表4の通りである。
[実施例4]
参考例7で得られた液晶セルBのバックライト側の表面に、アクリル系粘着剤層(厚み23μm)を介して、第1光学素子として、参考例2で得られた高分子フィルム1−Aを、その遅相軸が上記液晶セルBの長辺と実質的に直交(90°±0.5°)するように貼着した。続いて、この高分子フィルム1−Aの表面に、接着剤層(厚み1μm)を介して、第1偏光子として、参考例1で得られた偏光子P1を、その吸収軸が上記液晶セルBの長辺と実質的に直交(90°±0.5°)するように貼着した。このとき、上記液晶セルBの初期配向方向と上記偏光子P1の吸収軸は、実質的に平行である。次に、上記液晶セルBの視認側の表面に、アクリル系粘着剤層(厚み23μm)を介して、第2光学素子として、参考例5で得られた高分子フィルム2−Aを、その遅相軸が上記液晶セルBの長辺と実質的に平行(0°±0.5°)となるように貼着した。続いて、この高分子フィルム2−Aの表面に、接着剤層(厚み1μm)を介して、第2偏光子として、参考例1で得られた偏光子P2を、その吸収軸が上記液晶セルBの長辺と実質的に平行(0°±0.5°)となるように貼着した。このとき、上記偏光子P1の吸収軸と上記偏光子P2の吸収軸は、実質的に直交である。上記偏光子P1およびP2の外側(液晶セルとは反対の側)には、接着剤層(厚み1μm)を介して、保護層として、参考例5で得られた高分子フィルム2−Aをそれぞれ貼着した。
第1光学素子として、参考例3で得られた高分子フィルム1−Bを用いたこと以外は、実施例4と同様の方法で、液晶パネルEおよび液晶表示装置Eを作製した。この液晶パネルEは、図5(b)に示すOモードの構成である。バックライトを点灯させた直後の液晶表示装置Eは、全面で良好な表示均一性を有するものであった。バックライトを点灯し続けて30分経過後に、液晶表示装置Eの斜め方向のカラーシフト量(Δxy)を測定した。得られた特性は、表5の通りである。
第1光学素子として、参考例4で得られた高分子フィルム1−Cを用い、当該高分子フィルム1−Cにおける、セルロース系樹脂を含有する高分子フィルムの側を偏光子P1に貼着したこと以外は、実施例4と同様の方法で、液晶パネルFおよび液晶表示装置Fを作製した。この液晶パネルFは、図5(b)に示すOモードの構成である。バックライトを点灯させた直後の液晶表示装置Fは、全面で良好な表示均一性を有するものであった。バックライトを点灯し続けて30分経過後に、液晶表示装置Fの斜め方向のカラーシフト量(Δxy)を測定した。得られた特性は、表5の通りである。
第1光学素子および光学素子2として、参考例5で得られた高分子フィルム2−Aをそれぞれ用いたこと以外は、実施例4と同様の方法で、液晶パネルJおよび液晶表示装置Jを作製した。この液晶パネルJは、図7(b)に示すOモードの構成である。バックライトを点灯させた直後の液晶表示装置Jは、全面で良好な表示均一性を有するものであった。バックライトを点灯し続けて30分経過後に、液晶表示装置Jの斜め方向のカラーシフト量(Δxy)を測定した。得られた特性は、表5の通りである。
第1光学素子として、参考例5で得られた高分子フィルム2−Aを用い、第2光学素子として、参考例3で得られた高分子フィルム1−Bを用いたこと以外は、実施例4と同様の方法で、液晶パネルKおよび液晶表示装置Kを作製した。この液晶パネルKは、図8(b)に示すOモードの構成である。バックライトを点灯させた直後の液晶表示装置Kは、全面で良好な表示均一性を有するものであった。バックライトを点灯し続けて30分経過後に、液晶表示装置Kの斜め方向のカラーシフト量を測定した。得られた特性は、表5の通りである。
実施例1〜6に示すように、実質的に光学的に等方性を有する第1光学素子を、液晶セルと、該液晶セルの一方の側に配置された第1偏光子との間に配置し、この第1光学素子に隣接する第1偏光子の吸収軸が、該液晶セルの初期配向方向と実質的に平行となるように配置した液晶パネルを作製することによって、斜め方向のカラーシフト量(Δxy)が小さい液晶表示装置を得ることができた。一方、比較例1〜4に示すように、本発明の液晶パネルの構成を満たさない液晶パネルは、斜め方向のカラーシフト量(Δxy)が大きな液晶表示装置しか得ることができなかった。
11、11’ 基板
12 液晶層
21 第1偏光子
22 第2偏光子
30 第1光学素子
40 第2光学素子
31、41 比較例の第1光学素子
32、42 比較例の第2光学素子
60、60’ 保護層
70、70’ 表面処理層
80 バックライトユニット
81 バックライト
82 反射フィルム
83 拡散板
84 プリズムシート
85 輝度向上フィルム
100、101 液晶パネル
200 液晶表示装置
300 繰り出し部
310 ヨウ素水溶液浴
320 ホウ酸とヨウ化カリウムとを含む水溶液の浴
330 ヨウ化カリウムを含む水溶液浴
340 乾燥手段
350 偏光子
360 巻き取り部
Claims (11)
- 電界が存在しない状態でホモジニアス配列に配向させた液晶分子を含む液晶層を備えるIPSモード、FFSモード、またはFLCモードの液晶セルと、該液晶セルの一方の側に配置された第1偏光子と、該液晶セルと該第1偏光子との間に配置された第1光学素子と、該液晶セルの他方の側に配置された第2偏光子と、前記液晶セルと前記第2偏光子との間に位相差フィルムとして配置された第2光学素子と、を少なくとも備え、
該液晶セルの初期配向方向と該第1偏光子の吸収軸の方向とが、実質的に平行であり、
該第1偏光子の吸収軸と該第2偏光子の吸収軸とが、実質的に直交であり、
前記第1光学素子が、下記式(1)および(2)を満足し、
Re[590]≦10nm …(1)
|Rth[590]|≦10nm …(2)
前記第2光学素子が、遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、nx≒ny>nz、並びに下記式(7)および(8’)を満足する、液晶パネル。
Re[590]≦10nm …(7)
10nm<Rth[590] …(8’)
ただし、Re[590]およびRth[590]は、それぞれ、23℃における波長59
0nmの光で測定した面内の位相差値および厚み方向の位相差値である。 - 前記第1光学素子が、セルロース系樹脂またはノルボルネン系樹脂を含有する高分子フィルムを含む、請求項1に記載の液晶パネル。
- 前記第1光学素子が、下記式(3)および(4)を満足する第1位相差フィルムと下記式(5)および(6)を満足する第2位相差フィルムとを含む、請求項1に記載の液晶パネル:
Re[590]≦10nm …(3)
10nm<Rth[590]≦200nm …(4)
Re[590]≦10nm …(5)
−200nm≦Rth[590]<−10nm …(6)
ただし、Re[590]およびRth[590]は、それぞれ、23℃における波長590nmの光で測定した面内の位相差値および厚み方向の位相差値である。 - 前記第2位相差フィルムが、ホメオトロピック配列に配向させた液晶化合物を含有する組成物の固化層または硬化層からなる、請求項3に記載の液晶パネル。
- 前記第1偏光子および前記第1光学素子が前記液晶セルの視認側に配置されてなる、請求項1から4のいずれかに記載の液晶パネル。
- 液晶セルのバックライト側に配置された偏光子の吸収軸と、液晶セルの初期配向方向が互いに直交するように配置されている、請求項5記載の液晶パネル。
- 前記第1偏光子および前記第1光学素子が前記液晶セルのバックライト側に配置されてなる、請求項1から4のいずれかに記載の液晶パネル。
- 液晶セルのバックライト側に配置された偏光子の吸収軸と、液晶セルの初期配向方向が互いに平行になるように配置されている、請求項7記載の液晶パネル。
- 前記第2光学素子は、下記式(8)を満足する請求項1から8のいずれかに記載の液晶パネル。
10nm<Rth[590]≦100nm …(8) - 請求項1から9のいずれかに記載の液晶パネルを含む、液晶テレビ。
- 請求項1から9のいずれかに記載の液晶パネルを含む、液晶表示装置。
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