次に、図面に従い本発明に係るパチンコ球揚送研磨装置の最良の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明が適用されるパチンコ機設置島の内部構造を示す正面断面図である。パチンコ機設置島101には多数のパチンコ機102が背中合わせとなるようにして列設されており、パチンコ球はそれらパチンコ機102とパチンコ機設置島101内を循環する。パチンコ機設置島101のほぼ中央部に、本発明に係るパチンコ球研磨揚送装置103が配置される。また、パチンコ機設置島101のほぼ中央上部に球タンク105が設置され、該球タンク105にはパチンコ機設置島101の両端部に向かい下傾し各パチンコ機102にパチンコ球を供給する供給樋106が接続されている。また、パチンコ機設置島101の下部に、その中央部に向かい下傾し各パチンコ機102から排出されたパチンコ球を回収しパチンコ球研磨揚送装置103へ導く集球樋107が配設されている。パチンコ球研磨揚送装置103には、その一側に前記球タンク105に研磨されたパチンコ球を揚送するための揚送パイプ104が立設されている。
図2は本発明に係るパチンコ球研磨揚送装置の斜視図、図3は同ベルト搬送機構を上方へ起立させた状態の斜視図である。本発明に係るパチンコ球研磨揚送装置103は、水平な基板1の上面であって鉛直に設けられた支持板2の前面に設けられ、パチンコ球を搬送するベルト搬送機構111と、該ベルト搬送機構111と相対し対向位置するように設けられパチンコ球の表面を磨く研磨機構112と、ベルト搬送機構111と研磨機構112との間にパチンコ球を供給するパチンコ球供給部113と、ベルト搬送機構111と研磨機構112との間から排出されるパチンコ球を揚送するパチンコ球揚送部114と、該パチンコ球揚送部114の上面に立設される揚送パイプ104と、から大略構成されている。
先ず、図4乃至図6に基づきベルト搬送機構111について説明する。図4は本発明に係るパチンコ球研磨揚送装置の正面図、図5は同側面図、図6は同正面断面図である。ベルト搬送機構111は、適宜間隔を離して平行に配置される長方形板状の二枚のコンベヤフレーム3a,3bを有する。両コンベヤフレーム3a,3bの一方端(下端)に支持軸4により五個の従動プーリ5が独立して回転自在に軸着され、さらに、他方端(上端)に回転軸6により五個の駆動プーリ7が支持される。これら五組の対を成す従動プーリ5と駆動プーリ7との間には、それぞれ無端状の搬送ベルト8が巻掛されている。各搬送ベルト8はテンションプーリ9とフリープーリ10とを設けることで適宜張力が与えられ、また、コンベヤフレーム3a,3bの長手方向に沿って適宜間隔離して設けられたコロローラ11により各搬送ベルト8の搬送面12が内側から支えられる。
前記コンベヤフレーム3a,3bの一方端に架設された支持軸4は、前記支持板2の下部にて該支持板2に固定される。また、コンベヤフレーム3a,3bの他方端は、前記支持板2の上部に固設し後述する排出ガイド68を保持する保持枠13上に載置される。前記ベルト搬送機構111は、支持板2の前面に基板1に対して約30度の角度で傾斜状に設けられる。すなわち、搬送ベルト8の搬送面12も約30度の角度で傾斜状に張設される。両コンベヤフレーム3a,3bの他方端の両外側面に、突起部14a,14bが設けられる。これら突起部14a,14bは、両保持枠13の外側面に固着された支持部材15a,15bの凹部16に嵌合される。そして、一方の支持部材15aに設けられた止着具17をコンベヤフレーム3aの突起部14aに掛止してコンベヤフレーム3a,3bが固定される。
図5に示すように、前記支持板2の後面にモータ18が固設される。このモータ18の回転は、転向機構19により回転出力軸20に方向転換されると共にクラッチ21を介して前記回転軸6に伝動される。このため、モータ18の駆動により回転軸6が回転すると各駆動プーリ7が図6の矢印a方向へ回転し、搬送ベルト8を巡回動させて該搬送ベルト8の搬送面12が基板1の上面に対して約30度の角度をなし斜め上向きに走行する。なお、クラッチ21を操作するノブ22を引くことにより、モータ18の回転出力軸20と回転軸6との連繋が断たれる。加えて、前記突起部14aと前記止着具17の掛止を解除すると、図4の二点鎖線に示すようにコンベヤフレーム3a,3bが、前記支持軸4を支点として上方に回動して起立する。この際には、前記支持板2の下部とコンベヤフレーム3a,3bの中間部との間に架設された伸縮自在のガススプリング23により、コンベヤフレーム3a,3bの起立状態を支持するようにしている。
前記各駆動プーリ7の内部には、図7にその断面図を示したように、前記回転軸6から駆動プーリ7へ伝達されるトルクを一定以下に制限し、過負荷によるベルト搬送機構111の破損を防止するためのトルクリミッタ24が設けられる。このトルクリミッタ24は、駆動プーリ7の外周縁から該駆動プーリ7の中心に向かって穿設された螺子孔25の内部に調節ネジ26を螺挿し、この調節ネジ26に弾性体であるコイルバネ27を介して球形押片28を固着し、この球形押片28を回転軸6の外周面に刻設された半球状の凹部29に嵌合して構成される。そして、調節ネジ26の位置を変えることにより、球形押片28の半球状の凹部29に嵌合する力が調節され、トルクリミッタ24の作動トルクを任意に設定できるようにしている。
次に、図6、図10、図11を用いて研磨機構112について説明する。図10は研磨機構の平面図、図11はベルト搬送機構と対向位置する研磨機構の断面図である。研磨機構112は、上面が開口した扁平な長方形箱状の固定枠30と、該固定枠30の内部にその長手方向に沿って五列並列に設けられる細長い板状の押圧板31と、該押圧板31の長手方向に沿って移動可能な状態で該押圧板31の上面に敷設される研磨布32と、から大略構成される。そして該研磨機構112は、前記押圧板31が前記搬送ベルト8の搬送面12に相対し近接して対向する状態で、前記支持板2の前面において前記ベルト搬送機構111の下方に設けられる。
前記固定枠30は、長辺の長さが前記搬送ベルト8の搬送面12と略同程度であり、短辺の幅が並列状に五列巻掛された搬送ベルト8の全幅より若干広く形成される。前記固定枠30の内部には、その長手方向に沿って弾発手段としての多数のコイルバネ33が適宜間隔隔てて立設され、これらコイルバネ33上に前記五列の押圧板31が並列状に支持される。そして、図6に示すように、押圧板31の下端部と中央部と上端部の底面に形成された鉤状片34が、固定枠30の内部に形成された鉤状片35と係合することにより、押圧板31は固定枠30の内部に保持される。図10に示すように前記押圧板31の上面は、長手方向に対し直交する面内の断面がパチンコ球が保持される円弧状をなす溝36が一定間隔で幅方向に蛇行するように形成され、パチンコ球の回転方向をずらしながら表面全体が一様に研磨されるようにしている。
さらに、前記固定枠30の長手方向に沿った上端縁および下端縁に略直方体形状のガイド片37a,37bが固設される。これらガイド片37a,37bは押圧板31上面にて研磨布32を移動させるに際して、該研磨布32が押圧板31上面に滑らかに導かれるようにし、また、押圧板31上面から滑らかに引き出されるようにするものである。よって、ガイド片37a,37bの一長辺は曲面状に形成され、この一長辺は固定枠30の外方に向けられ且つ押圧板31の上面と略同じ高さとなるように設けられる。
そして、前記固定枠30は支持板2の前面に突設されたブラケット38a〜38cにより支持される。この際、固定枠30が基板1の上面に対して約30度の角度に傾斜し、前記各押圧板31の溝36が前記ベルト搬送機構111の下方にて前記各搬送ベルト8の搬送面12と平行に対向位置することになる。
図6に示すように使用前の研磨布ロール39は、固定枠30の下方にて支持板2の前面に突設された支持軸40に回転自在に支持され、該研磨布ロール39から前記研磨布32が引き出される。また、巻取軸41、ガイド軸42a,42bが固定枠30の下方にて支持板2の前面にそれぞれ平行に突設される。更に、前記上部のブラケット38cの内部にガイドプーリ43aが、また下部のブラケット38aの内部にガイドプーリ43bがそれぞれガイド片37a,37bの長手方向と平行に設けられる。そこで、研磨布ロール39より引き出された研磨布32は、ガイド軸42aとガイドプーリ43aに案内され押圧板31上端のガイド片37aより該押圧板31の上面に導かれる。さらに、該研磨布32は押圧板31下端のガイド片37bより該押圧板31の外部へ導かれ、ガイドプーリ43bとガイド軸42bに案内され巻取軸41に巻き取られる。
前記巻取軸41の取付位置であって前記支持板2の後面にモータ44が固設され、このモータ44の駆動軸の回転力は巻取軸41に伝達される。このため、モータ44の駆動により巻取軸41が図6の矢印b方向へ回転すると、研磨布32は引っ張られるようにして押圧板31上面を斜め下向きに移動し巻取軸41に巻き取られていく。なお、この研磨布32の巻き取りは、タイマーによって一定時間が経過するごとにモータ44が所定時間だけ駆動することにより間欠的に行なわれる。
図8に示すように前記ガイド軸42a,42bには、それぞれ所定の間隔離して研磨布32の横ズレを防ぐ一対の横ズレ防止具45が固定される。所定の間隔とは、研磨布32の幅寸法とほぼ同じ寸法である。通常、研磨布ロール39から引き出され巻取軸41に巻き取られる研磨布32は、その間に幅方向すなわち研磨布32の流れ方向に対して直交する方向に横ズレを起こす傾向に有る。このように研磨布32が途中で横ズレを起こすと、研磨布32が斜めになって皺ができ各溝36内を転動するパチンコ球に加わる力が不均等になり、これによりパチンコ球の磨きむらが生じたりパチンコ球の送りにバラツキが生ずるといった支障がでる。そこで、研磨布32が常に横ズレすることなく正常に移動するようにガイド軸42a,42bにそれぞれ一対の横ズレ防止具45が設けられる。
前記横ズレ防止具45は、弾力性を有した合成樹脂材により成形され、図9(イ)(ロ)に示すように中央にガイド軸42a,42bの嵌る嵌挿孔46が開設されたドーナッツ板状の固定板47と、該固定板47の一側面から該側面に対して直交するように延設される抑止板48と、からなる。前記固定板47には、抑止板48と対向する他側に嵌挿孔46と連通しかつガイド軸42a,42bを嵌挿孔46に嵌めるための挿入口49が開設されている。また、抑止板48の裏面48aは、先端側から固定板47側へ向かうに従い漸次窄まるテーパー面に形成されており、その長手方向に沿った両側縁は嵌挿孔46の内周面にほぼ接するようになっている。ガイド軸42a,42bにその中心軸線に対して直交する方向から一対の横ズレ防止具45を互いの抑止板48が互いに向き合うようにして嵌めた状態では、抑止板48がガイド軸42a,42bの外周面であってその中心軸線に沿って位置し、該抑止板48とガイド軸42a,42bとの間に研磨布32の両側縁部が介在することになる。
そこで、研磨布39の移動中に該研磨布39に横ズレが起きようとしても、抑止板48の裏面48aとガイド軸42a,42bの外周面との間には隙間を形成し、抑止板48の短手方向の両側縁をガイド軸42a,42bの外周面に接近させているので、その両側縁で研磨布39をガイド軸42a,42bの外周面に押え付けることになる。よって、研磨布39における側縁部の幅方向の動きが固定板47と共に抑止板48により抑えられ、これにより研磨布32の横ズレが防止される。例えば、抑止板48がなく固定板47のみでは、研磨布32が該固定板47を乗り越えてしまう。
次に、図12および図13に従いパチンコ球供給部113について説明する。図12はパチンコ球供給部部位の拡大正面断面図、図13は図12におけるX−X線断面図である。パチンコ球供給部113は、各搬送ベルト8の搬送面12と研磨布32で覆われる押圧板31上面との間にパチンコ球を流入させる供給ガイド50と、パチンコ球を五列に整列させて前記供給ガイド50に流入させる球箱51と、から大略構成される。
図13に示すように前記供給ガイド50は、取付枠52の側板内側に二枚の側壁板53を当接させて立設すると共に、両側壁板53間に五枚のガイド板54と四枚の仕切板55とをその上側縁56,57に段差を設けながら交互に立設して球供給樋58を形成している。図12に示すように前記ガイド板54の上側縁56は、従動プーリ5の外周面に対向位置するように中間部が円弧状に形成され、その両側に連続して基板1の上面に対して約15度の角度に傾斜した直線状縁および同約30度の角度に傾斜した直線状縁が形成される。また、側壁板53の上側縁および仕切板55の上側縁57も従動プーリ5の外周面に対向位置するように中間部が円弧状に形成され、その一端に連続して基板1の上面に対して約30度の角度に傾斜した直線状縁が形成される。そして、前記ガイド板54の上側縁56を側壁板53の上側縁および仕切板55の上側縁57よりもパチンコ球の半径程度低く設け、ガイド板54の上側縁56を底辺とし側壁板53および仕切板55を側壁とする五列の球供給樋58が形成される。
前記供給ガイド50を前記取付枠52内に保持するために、該取付枠52の一方の側板から他方の側板へ貫通する支軸59および固定軸60が挿通される。そして各ガイド板54は、軸受部材61を介して支軸59に其々独立して傾動自在に軸支される。また、ガイド板54の側面に設けられた円状孔62に円筒形のスペーサー部材63が遊嵌され、前記固定軸60はこのスペーサー部材63に挿通される。従って、スペーサー部材63の外周面と円状孔62の内周面との間には若干の隙間64が形成され、ガイド板54はこの隙間64の範囲内で傾動可能となる。そして、ガイド板54の下側縁に設けられた凹部と取付枠52の脚部上面との間に弾発手段としてのコイルバネ65を立設することで、ガイド板54の上側縁56は、図12の矢印cで示すように、前記従動プーリ5側へ付勢される。なお、前記軸受部材61と前記スペーサー部材63は、両側壁板53および各仕切板55同士の間隔をパチンコ球の径より若干広幅に維持する役割も担っている。
このような供給ガイド50では、取付枠52の脚部を前記基板1上に載置することで、従動プーリ5に巻回された各搬送ベルト8と各ガイド板54の円弧状の上側縁56とがパチンコ球の径と同程度の距離を隔てて対向位置する。また、基板1の上面に対して約30度の角度に傾斜した球供給樋58の終端部が固定枠30の下端縁に固設されたガイド片37bに臨むようになっている。また、前記球箱51は前記供給ガイド50の側方に設置され、内部にパチンコ球を五列に整列させる整列レール66が基板1の上面に対して約15度の角度で供給ガイド50側へ下傾するように傾斜状に設けられている。そして、球箱51内のパチンコ球は前記整列レール66を流下して前記供給ガイド50の球供給樋58の始端部へ滑らかに流入する。
次に、図14乃至図16と図5に従いパチンコ球揚送部114について説明する。図14はパチンコ球揚送部部位の拡大正面断面図、図15は図14におけるY−Y線断面図、図16はパチンコ球揚送部の拡大斜視図である。パチンコ球揚送部114は、逆流阻止部材としてのアンチバック板67を備える排出ガイド68と、該排出ガイド68の上方に設けられスプロケット88が配置されると共にパチンコ球列を編成してパチンコ球を上へ揚送する排出パイプ部69と、から大略構成されている。
前記排出ガイド68は、搬送ベルト8の搬送面12と固定枠30の押圧板31上面との間より流出されるパチンコ球を前記駆動プーリ7の外周面に沿って上方へ転動させ、該パチンコ球を排出パイプ部69へ揚送させるものである。そして該排出ガイド68は、図15に示すように両保持枠13間に5組の球ガイド71が並列上に横並べして設けられる。各球ガイド71は、一対の側壁板72が所定の隙間離して配置固定され、その隙間にアンチバック板67が介装される。また、一対の側壁板72間の外周端面は下面と駆動プーリ7とは反対側面が開放されている。そして、駆動プーリ7の外周面と対向する各球ガイド71の一側縁は、該駆動プーリ7の外周面に対向位置して所定の間隔離れその外周面に合わさる円弧状面71aが形成され、該円弧状面71aに長手方向に対して直交する断面が円弧状となるガイド溝73が形成される。
図14、図17に示すように前記アンチバック板67は側面略L字状に形成され、その一側縁に前記と同様に駆動プーリ7の外周面に対向位置してその外周面に合わさる円弧状縁74が形成され、該円弧状縁74の反対側である他側に引掛片75が設けられている。また、前記一側の下縁に凹溝76が設けられる。この凹溝76は、両保持枠13間に差し渡された支軸77に嵌脱自在に嵌合させるものであり、嵌合した状態ではアンチバック板67が該支軸77を中心として両側壁板72間で上下に回動すなわち揺動することになる。前記両保持枠13における駆動プーリ7と反対側の端面間に掛止棒78が架設され、該掛止棒78とその端面から外方へ突出するアンチバック板67の引掛片75との間に、弾発手段であるスプリングコイル79が着脱自在に掛け止めされる。これにより、支軸77を中心としてアンチバック板67の上端部が図14の矢印d方向へ回動し、該アンチバック板67が前記駆動プーリ7側へ付勢されることになる。
ただ、アンチバック板67は、そのまま回動してその円弧状縁74が駆動プーリ7の外周面に直接当たるようなことはなく、その上側縁67aが上方に位置する排出パイプ部69の下面一部に設けられた下壁80の下面に当接し、円弧状縁74が駆動プーリ7の外周面と所定の間隔離れた位置で停止するようになっている。すなわち排出ガイド68では、駆動プーリ7に巻回された各搬送ベルト8と各アンチバック板67の円弧状縁74とがパチンコ球の径とほぼ同程度の距離を隔てて対向位置し、且つ、球ガイド71の始端部が固定枠30の上端縁に固設されたガイド片37aに臨むように固定される。また、アンチバック板67の前記上側縁67aにおける駆動プーリ7側の角部が排出パイプ部69の一側に設けられる後記する揚送管路81の下端面に臨み、その揚送管路81内の最下端に位置するパチンコ球がアンチバック板67の前記上側縁67aの上面に載り停止できるようになっている。
前記スプリングコイル79を引掛片75から外した状態では、アンチバック板67がその支持を失い支軸77を中心として下方へ回動することになるが、図18に示すようにその途中でアンチバック板67の一側を引き上げることにより支軸77と凹溝76との嵌合が外れ、アンチバック板67が支軸77と直交する方向から取り外せる。逆に、支軸77に凹溝76を嵌めると共に引掛片75にスプリングコイル79を掛け止めすることによりアンチバック板67が同方向から取り付けられることになる。よって、稼動中にいずれかのアンチバック板67が破損してその交換をする場合は、スプリングコイル79を該アンチバック板67から取り外すと共に支軸77から凹溝76の嵌合を解き、破損したアンチバック板67を取り外して新しいアンチバック板67を取り付ければ済む。よって、従来のようにパチンコ球揚送部114を分解し排出ガイド68を取り外すなどしてアンチバック板67の交換をする必要がなく、そのままの状態で交換すべきアンチバック板67のみを交換でき、その交換作業が簡単に行なえる。
前記排出ガイド68の上部に設けられ両保持枠13により挟まれる排出パイプ部69は、前記5組の球ガイド71にそれぞれ対応して5組の排出パイプ板95が重なるように並設して構成される。各排出パイプ板95内には、駆動プーリ7側に位置して上下端面が開放すると共に下部の駆動プーリ7と対向する面が少し切り欠かれた鉛直な揚送管路81が形成され、反対側に中空部86が形成される。そして、該中空部86内に外周縁にパチンコ球が嵌まり込む凹窪部87が列設されたスプロケット88が配置される。該スプロケット88は前記アンチバック板67の上方であって該アンチバック板67に近接して配置され、水平な中心軸90により支持されて揚送管路81の中心軸線を含む面内で回動するが、内装されるワンウェイクラッチ120により一方すなわちパチンコ球が揚送される方向へのみ回転し得る。また、スプロケット88の外周縁の凹窪部87の一部が通口85を介して揚送管路81内に介入し、揚送管路81内のパチンコ球は凹窪部87に嵌りつつスプロケット88を回動させながら揚送される。そこで、駆動プーリ7とアンチバック板67との間に挟まれ上方へ転動するパチンコ球がアンチバック板67から離れて上昇するとすぐにスプロケット88の凹窪部87に嵌り込むようになる。前記排出パイプ部69の上面に、揚送管路81と連通する揚送管路81を設けた揚送パイプ104が立設される。
図19に示すように前記スプロケット88におけるワンウェイクラッチ120は、断面円環状の外輪121と、前記外輪121の内側に同心円状に設けられる断面円環状の内輪122と、前記外輪121と前記内輪122との隙間に円周方向に沿って一定間隔で配置される複数の転動体123,123,…と、該各転動体123を保持する保持器124と、から概ね構成される。そして、前記外輪121が前記内輪122に対して一方向にのみ回転可能であって、逆方向には回転不能になっている。
前記外輪121の内周面には、前記各転動体123の配置と同じ間隔で湾曲凹部125,125,…が形成され、該湾曲凹部125,125,…同士間に位置するように前記保持器124に仕切片126,126,…が形成される。前記各転動体123は、湾曲凹部125と仕切片126と内輪122の外周面とにより形成される空間部127に保持され、該各空間部127内で自在に自転し得ると共に、円周方向に若干移動し得るようになっている。前記各湾曲凹部125は、一方端寄りを深く切り欠くと共に他方端寄りを浅く切り欠くことにより、前記各空間部127の一方端寄りが転動体123の大きさよりも若干広く形成された広幅域128となり、他方端寄りが転動体123の大きさよりも若干狭く形成された狭幅域129となるようにしている。また、各仕切片126の一方の側面であって前記空間部127の広幅域128側に、弾性体であるコイルバネ130が固着され、前記各転動体123は、該各コイルバネ130の弾性力により狭幅域129側に一様に付勢されている。
このようなワンウェイクラッチ120では、外輪121が順方向(コイルバネ130による転動体123の付勢方向と同じ向き)へ回転しようとすると、転動体123はコイルバネ130の弾発力に抗して空間部127の広幅域128へ移動する。すると、転動体123は空間部127の広幅域128において自在に自転することができ、前記外輪121は前記内輪122に対して滑らかに回転可能となる。一方、外輪121が逆方向(コイルバネ130による転動体123の付勢方向と逆の向き)へ回転しようとすると、転動体123がコイルバネ130の弾発力により空間部127の狭幅域129へ移動する。そうすると、転動体123は前記外輪121の内周面と前記内輪122の外周面との間に挟持されて自転できなくなる。従って、前記外輪121が前記内輪122に対して回転不能となる。すなわち、ワンウェイクラッチ120は、外輪121を内輪122に対して一方向にのみ回転可能にし、逆方向には回転不能にするものである。上述したワンウェイクラッチ120は、その外輪121が前記スプロケット88に対して固着され、内輪122が前記回動軸89に対して固着される。このようにしてスプロケット88は、パチンコ球が前記揚送管路81内を下から上へ転動する順方向にのみ回転可能、かつ、逆回転不能に回動軸89に支持される。
次に、本発明に係るパチンコ球研磨揚送装置の作用を説明する。球箱51内のパチンコ球Bは、整列レール66によって五列に整列され供給ガイド50の球供給樋58に導かれる。球供給樋58における従動プーリ5側へ約15度の角度で下傾した斜面を下方向へ転動したパチンコ球Bは、従動プーリ5に巻回された搬送ベルト8とガイド板54の上側縁56との間に流入する。ガイド板54は圧縮スプリング65の弾発力により支軸59を支点として図12の矢印c方向へ付勢されることから、パチンコ球Bはガイド板54の上側縁56から圧力を受けて搬送ベルト8へ押圧されて挟持される。そして、パチンコ球Bは搬送ベルト8の搬送面12により搬送されて、球供給樋58内のガイド板54における駆動プーリ7側へ約30度の角度で上傾した上側縁56を更に上方向へ転動する。
球供給樋58の終端部に到達したパチンコ球Bは、ガイド片37bを経由して研磨布32が敷設された押圧板31上の溝36へと導かれる。押圧板31はコイルバネ33の弾発力により搬送ベルト8の搬送面12側へ付勢されることから、溝36内のパチンコ球Bは押圧板31から圧力を受けて、図11に示すようにコロローラ11に支持された搬送ベルト8の搬送面12と押圧板31上に敷設された研磨布32との間に挟持される。そしてパチンコ球Bは、溝36に保持されながら搬送ベルト8の搬送面12の走行により従動プーリ5から駆動プーリ7側へ斜め上向きに搬送される。溝36に保持されながら搬送されるパチンコ球Bは、幅方向に蛇行する溝36により搬送ベルト8の走行方向と直交する方向にも回転させられる。このため、研磨布32によってパチンコ球Bの表面全体の汚れが効率よく磨かれる。
押圧板31の終端部に到達したパチンコ球Bは、ガイド片37aを経由して排出ガイド68に形成された球ガイド71の始端部に流入し、駆動プーリ7に巻回された搬送ベルト8とガイド溝73の底部となるアンチバック板67の円弧状縁74との間に挟持される。アンチバック板67は、スプリング79の引張力により支軸77を支点として図14の矢印d方向に付勢されることから、パチンコ球Bはアンチバック板67の円弧状縁74から圧力を受け駆動プーリ7に巻回された搬送ベルト8へ押圧されて挟持される。そして、該パチンコ球Bは駆動プーリ7の外周面に沿って基板1の上面に対して約30度の傾斜角度で搬送された後、今度はほぼ鉛直方向で上方に向きを変えて転動される。
前記のようにパチンコ球Bがアンチバック板67の円弧状縁74を上方へ向かって転動するに従って、アンチバック板67は、図14の二点鎖線に示すように支軸77を支点として円弧状縁74の上端部すなわち上側縁67aがスプリング79の弾性に抗して駆動プーリ7から離れる方向へ回動する。そして、パチンコ球Bが円弧状縁74の上端部である上側縁67aを通過して排出パイプ部69内の揚送管路81へ流入すると、スプリング79の引張力によって前記上側縁67aは元の位置に戻る。これにより、揚送管路81へ流入したパチンコ球Bはアンチバック板67の上側縁67aに載り支持されることになり、アンチバック板67がパチンコ球Bの逆流を防止する機能を果たすことになる。また、この場合、アンチバック板67から離れて上昇するパチンコ球はすぐにスプロケット88の凹窪部87に嵌まり込む。
このようにして、排出パイプ部69の各揚送管路81へパチンコ球Bが一つ一つ流入し、流入した各パチンコ球Bは揚送管路81内で互いに上下に重なるようにして垂直にパチンコ球列を編成する。そして、排出ガイド68から揚送管路81内へ次々とパチンコ球Bが流入するに従って、各揚送管路81内のパチンコ球列は下から上へと押し上げられる。これらパチンコ球列は揚送パイプ104の各揚送管路81内へと継続され、パチンコ球Bは前記球タンク105の設置高さまで押し上げられるようにして揚送される。この間、各パチンコ球列のパチンコ球Bはワンウェイクラッチ120の組み込まれたスプロケット88により一個ずつ支持されながら揚送される。よって、仮にパチンコ球の揚送動作が停止したときも、スプロケット88から上方に有るパチンコ球を該スプロケット88が逆回転せずに受け止めることになるので、各揚送管路81内に球列を編成して並ぶパチンコ球Bが逆流することはない。アンチバック板67もパチンコ球の逆流を防止する機能を果たすが、該アンチバック板67は特にスプロケット88のワンウェイクラッチ120が破損して逆流防止機能を失った場合には有益である。
一方、研磨布32が巻取軸41に全て巻き取られたら、研磨布ロール39の交換作業を行なう。この際には、ノブ22を引いて回転軸6とモータ18の回転出力軸20との連繋を断つとともに、コンベヤフレーム3aの突起部14aと保持枠13に設けられた止着具17との掛合を解除して、図4の二点鎖線に示すように、コンベヤフレーム3a,3bを支持軸4を支点として上方に回動して起立させ、研磨機構112の上面を露出させる。次に、巻取軸41から古い研磨布32を取り外し、支持軸40に使用前の新しい研磨布ロール39を装着する。そして、その研磨布ロール39から引き出した研磨布32をガイド軸42aとガイドプーリ43aを介して押圧板31の上面に導き敷設する。更に、押圧板31の上面から引き出された研磨布32はガイドプーリ43bとガイド軸42bを介して巻取軸41に巻回される。この際、各ガイド軸42a,42bに所定の間隔離し抑止板48が互いに向かい合うようにして研磨布32の横ズレを防ぐ横ズレ防止具45を取着し、抑止板48を研磨布32の両側縁部の表面に宛がう。これにより、稼働中の研磨布32の端縁が横ズレするのが防止される。また、研磨布ロール39の交換作業が、低位置で容易に且つ安全に行うことができる。
図20はスプロケットの他の実施例を示すパチンコ球揚送部部位の拡大正面断面図、図21は同平面図である。なお、この実施例は本発明と基本的な構成が同じなので、本発明と同一部位は同一番号を付して詳しい説明は省略する。この場合は、両保持枠13間に揚送管路81とは反対側でありかつ各中空部86の下部隅角部に位置して回動軸89が横架されている。また、各排出パイプ板95における中空部86内に前記スプロケット88の中心軸90の両端部を支承する平面コ字型の可動枠91が配置される。該可動枠91は揚送管路81とは反対側の下部を前記回動軸89に軸着され、該回動軸89を中心とし揚送管路81の中心軸線を含む面内で上下に揺動する。これにより、スプロケット88の中心軸90が揚送管路81に対して接離自在に設けられることになる。また、両保持枠13間における揚送管路81とは反対側の外側面間に横板92が架設され、該横板92の内側面に各中空部86内に配置される可動枠91に対応位置して弾発手段である圧縮コイルバネ93が取着される。該圧縮コイルバネ93の一端は横板92の内面に固着され、他端は各可動枠91における回動軸89のほぼ真上に位置する連結片部94に固着されている。
前記各排出パイプ板95の中空部86内において、常態では圧縮コイルバネ93の付勢により可動枠91が回動軸89を中心として下方へ揺動し、可動枠91の揚送管路81側の下縁が中空部86内の揚送管路81側の両側下部に設けられた支持棚96の上面に載って、スプロケット88が停止している。また、スプロケット88の外周縁に設けられた凹窪部87の一部が通口85を介して揚送管路81内に介入している。そこで、揚送管路81内をパチンコ球が揚送されるときは、図20に示すように該パチンコ球が凹窪部87に一個ずつ嵌りながらスプロケット88が回転する。これに対し、仮にパチンコ球の揚送動作が停止したとき、スプロケット88より上方に有るパチンコ球、すなわちスプロケット88の凹窪部87に嵌っているパチンコ球を含めその上方に有るパチンコ球の球荷重が該スプロケット88に加わるが、逆流を防止すべくスプロケット88は回転せずに停止しその球荷重を受け止める。
パチンコ球が揚送されている途中、例えば図22に示すようにスプロケット88と揚送管路81の内周面との間、すなわちスプロケット88の外周面に設けられた隣接する凹窪部87間の凸部87aと揚送管路81の内周面との間で、パチンコ球が噛みそうになったとしても、そのパチンコ球により加えられる力によってスプロケット88が押されると共に可動枠91が回動軸89を中心とし圧縮コイルバネ93の付勢に抗して揺動する。これにより、スプロケット88が揚送管路81から離れ図22の矢視方向へ逃げるように移動することになるので、スプロケット88と揚送管路81の内周面との間でパチンコ球が噛むといったことがなくなる。噛みそうになったパチンコ球が凹窪部87に受け入れられスプロケット88が正常に回転するようになれば、圧縮コイルバネ93の付勢により可動枠91が揺動して元の位置に戻る。
パチンコ球研磨揚送装置103の運転中に、一部の搬送ベルト8へゴミ等の異物が侵入または付着して該搬送ベルト8の走行が過負荷な状態になったとしても、駆動プーリ7に内蔵されたトルクリミッタ24の作動により、その過負荷状態にある駆動プーリ7のみが回転を停止する。すなわち、他の駆動プーリ7の回動動作や搬送ベルト8の走行は支障なく続行されるため、パチンコ球の研磨および揚送が中断されることはない。また、モータ18によって駆動プーリ7が過負荷状態のままで無理に回転駆動され続けることがなくなり、ベルト搬送機構111に重大な故障が生ずるという危険性が回避できる。