次に図面に従い本発明の第一実施形態を説明する。図1はパチンコ機設置島の内部構造を示す断面図である。パチンコ機設置島101は背中合わせ状に設けたパチンコ機102を複数台整列させて形成したものであり、パチンコ球はこのパチンコ機設置島101内で循環され使用される。本発明のパチンコ球研磨揚送装置の研磨揚送部103はパチンコ機設置島101の略中央下部に設置され、パチンコ球を揚送するための揚送パイプ104が前記研磨揚送部103の上方に鉛直に設けられる。そして、揚送されたパチンコ球が貯留される球タンク105がパチンコ機設置島101の略中央上部に設置される。球タンク105にはパチンコ機設置島101の両端部に向かい下傾する供給樋106が接続され、パチンコ球はこの供給樋106を流下して各パチンコ機102に供給される。また、各パチンコ機102より排出されたパチンコ球を回収する集球樋107が、前記パチンコ機設置島101の下部に前記研磨揚送部103へ向かって下傾するように設けられる。
図2は本発明に係るパチンコ球研磨揚送装置の斜視図、図3は図2においてベルト搬送機構を上方に旋回させた状態の斜視図である。本発明に係るパチンコ球研磨揚送装置は、基板1上に鉛直に設けられた支持板2の前面に、パチンコ球を搬送するベルト搬送機構111と、パチンコ球の表面の汚れを拭き取る研磨機構112とが相対するように設けられ、さらに、ベルト搬送機構111にパチンコ球を供給するパチンコ球供給部113と、ベルト搬送機構111からパチンコ球を排出し揚送するパチンコ球揚送部114とが設けられて大略構成される。
先ず、ベルト搬送機構111について図4乃至図6に従い説明する。図4は本発明に係るパチンコ球研磨揚送装置の正面図、図5は側面図、図6は断面図である。ベルト搬送機構111は、二枚の長方形板状のコンベヤフレーム3a,3bが適宜間隔を離して平行に配置され、両コンベヤフレーム3a,3bの一方端に架設された支持軸4により五個の従動プーリ5が独立に回転自在に支持され、さらに、他方端に架設された回転軸6により五個の駆動プーリ7が支持され、これら五組の対を成す従動プーリ5と駆動プーリ7との間に無端状の搬送ベルト8が其々巻掛されて大略構成される。各搬送ベルト8はテンションプーリ9とフリープーリ10を周回させることで適宜張力が与えられ、また、コンベヤフレーム3a,3bに適宜間隔で設けられたコロローラ11により各搬送ベルト8の搬送面12が内側から支えられる。
前記コンベヤフレーム3a,3bの一方端に架設された支持軸4は前記支持板2の下部にて該支持板2に固定され、コンベヤフレーム3a,3bの他方端は、後述する排出ガイド63を保持し前記支持板2の上部に固設された保持枠13に載置され、前記ベルト搬送機構111は支持板2の前面に約30度の角度の傾斜状に設けられる。すなわち、搬送ベルト8の搬送面12は約30度の角度の傾斜状に張設される。なお、両コンベヤフレーム3a,3bの他方端に突起部14a,14bが設けられ、この突起部14a,14bは保持枠13の両側に固着された支持部材15a,15bの凹部16に嵌合される。そして、一方の支持部材15aに設けられた止着具17がコンベヤフレーム3aの突起部14aに掛止され固定される。
前記支持板2の後面に、図5に示したように、モータ18が固設され、このモータ18の回転は転向機構19により回転出力軸20に方向転換されると共にクラッチ21を介して前記回転軸6に伝動される。このため、モータ18の駆動により回転軸6が回転すると各駆動プーリ7が図6の矢印a方向に回転し、搬送ベルト8を巡回動させて、搬送ベルト8の搬送面12が約30度の角度の斜め上向きに走行する。なお、クラッチ21を操作するノブ22を引くことによりモータ18の回転出力軸20と回転軸6との連繋が断たれる。加えて、前記突起部14aと前記止着具17の掛止を解除すると、コンベヤフレーム3a,3bは、図4に二点鎖線で示したように、前記支持軸4を支点として上方に旋回させることができる。この際には、前記支持板2の下部とコンベヤフレーム3a,3bの中間部との間に架設された伸縮自在のガススプリング23の弾性力により、コンベヤフレーム3a,3bを起立状態に支持できる。
前記各駆動プーリ7の内部は、図7にその断面図を示したように、前記回転軸6から駆動プーリ7へ伝達されるトルクを一定以下に制限し、過負荷によるベルト搬送機構111の破損を防止するためのトルクリミッタ24が設けられる。このトルクリミッタ24は、駆動プーリ7の外周縁から該駆動プーリ7の中心に向かって穿設された螺子孔25の内部に調節ネジ26を螺挿し、この調節ネジ26にコイルバネ等からなる弾性体27を介して球形押片28を固着し、この球形押片28が回転軸6の外周縁に刻設された半球状の凹部29に嵌合されるようにしたものである。なお、調節ネジ26の位置を変えることにより、球形押片28が半球状の凹部29に嵌合される力を調節して、トルクリミッタ24の作動トルクを任意に設定できる。
次に研磨機構112について図6、図8、図9を用いて説明する。図8は本発明に係るパチンコ球研磨揚送装置の研磨機構を示す上面図、図9はその断面図である。研磨機構112は、上面が開口した扁平な長方形箱状の固定枠30と、前記固定枠30の内部に並列に五列設けられる細長い板状の押圧板31と、前記押圧板31の長尺方向に移動可能に該押圧板31の上面に敷設される研磨布32とから大略構成され、前記押圧板31が前記搬送ベルト8の搬送面12に相対するように前記支持板2の前面にて前記ベルト搬送機構111の下方に設けられる。
前記固定枠30は、長辺の長さが前記搬送ベルト8の搬送面12と略同程度であり、幅が並列状に五列巻掛された搬送ベルト8の全幅より若干広く形成される。前記固定枠30の内部はコイルバネ等からなる多数の弾性体33が適宜間隔で立設され、この弾性体33上に前記押圧板31が五列の並列状に支持される。そして、図6に示したように、押圧板31の下端部と中央部と上端部の底面に形成された鉤状片34が、固定枠30の内部に形成された鉤状片35と係合することにより、押圧板31は固定枠30の内部に保持される。前記押圧板31の上面は、図8に示したように、パチンコ球が保持される断面円弧状の溝36が一定間隔で幅方向に蛇行するように形成され、パチンコ球の回転方向をずらしながら表面全体が一様に研磨されるようにしている。
さらに、前記固定枠30の上端縁および下端縁に略直方体のガイド片37a,37bが固設される。このガイド片37a,37bは押圧板31上にて研磨布32を移動させるに際して、研磨布32が滑らかに押圧板31上に導かれるようにし、また、押圧板31上から滑らかに引き出されるようにするものである。よって、ガイド片37a,37bの一長辺は曲面状に形成され、この一長辺は固定枠30の外方に向けられ且つ押圧板31の上面と略同じ高さとなるように設けられる。
そして、前記固定枠30は支持板2の前面に突設されたブラケット38a〜38cにより前記ベルト搬送機構111の下方にて前記各押圧板31の溝36が前記各搬送ベルト8の搬送面12に相対するように約30度の角度の傾斜で支持される。
使用前の研磨布ロール39は、図6に示したように、固定枠30の下方にて支持板2の前面に突設された支持軸40に回転自在に支持され、前記研磨布32が引き出されるまた、巻取軸41、フリープーリ42a,42bが其々固定枠30の下方にて支持板2の前面に突設され、さらに、ガイドプーリ43a,43bがブラケット38c,38aの内部にてガイド片37a,37bの長尺方向と平行に設けられる。研磨布ロール39より引き出された研磨布32は、フリープーリ42aとガイドプーリ43aを周回され前記ガイド片37aより押圧板31の上面に導かれる。さらに、前記ガイド片37bより押圧板31の外部へ導かれ、ガイドプーリ43bとフリープーリ42bを周回され巻取軸41に巻回される。
前記巻取軸41の取付位置にて前記支持板2の後面にモータ44が固設され、このモータ44の回転は巻取軸41に伝動される。このため、モータ44の駆動により巻取軸41が図6の矢印b方向に回転すると、研磨布32は引っ張られるようにして押圧板31を斜め下向きに移動し巻取軸41に巻き取られていく。なお、この研磨布32の巻き取りは、一定時間が経過するごとに所定時間だけモータ44を駆動させるタイマーにより間欠的に行なわれる。
次にパチンコ球供給部113について図10および図11に従い説明する。図10はパチンコ球供給部を示す拡大断面図、図11は図10におけるX−X線断面図である。パチンコ球供給部113は、各搬送ベルト8の搬送面12にパチンコ球を流入させる供給ガイド45と、パチンコ球を五列に整列させて前記供給ガイド45に流入させる球箱46とから大略構成される。
前記供給ガイド45は、図11に示したように、二枚の側壁板48を取付枠47の側板内側に当接させて立設すると共に、前記側壁板48間に五枚のガイド板49と四枚の仕切板50とをその上側縁51,52に段差を設けながら交互に立設し球供給樋53を形成したものである。前記ガイド板49の上側縁51は、図10に示したように、従動プーリ5の外周に相対するように中間部が円弧状に形成され、その両端に約15度の角度に傾斜した直線状縁および約30度の角度に傾斜した直線状縁が形成される。また、側壁板48および仕切板50の上側縁52も従動プーリ5の外周に相対するように中間部が円弧状に形成され、その一端に約30度の角度に傾斜した直線状縁が形成される。そして、前記ガイド板49の上側縁51を側壁板48および仕切板50の上側縁52よりもパチンコ球の半径程度低く設け、ガイド板49の上側縁51を底辺とし側壁板48および仕切板50を側壁とする五列の球供給樋53が形成される。
前記供給ガイド45を前記取付枠47内に保持するために、取付枠47の一方の側板から他方の側板へ貫通する支軸54および固定軸55が挿通される。そして、各ガイド板49は軸受部材56を介して支軸54に其々独立に傾動自在に軸支される。また、ガイド板49の側面に設けられた円状孔57に円筒形のスペーサー部材58が遊嵌され、前記固定軸55はこのスペーサー部材58に挿通される。従って、スペーサー部材58の外周と円状孔57の内周には若干の隙間59が形成され、ガイド板49はこの隙間59の範囲内で傾動可能である。そして、ガイド板49の下側縁に設けられた凹部と取付枠47の脚部上面との間にコイルバネ等からなる弾性体60を立設することで、ガイド板49の上側縁51は、図10において矢印cで示したように、前記従動プーリ5方向に付勢される。なお、前記軸受部材56と前記スペーサー部材58は、両側壁板48および各仕切板50同士の間隔をパチンコ球の径より若干広幅に維持する役割も担っている。
このような供給ガイド45は、取付枠47の脚部を前記基板1上に載置することで、従動プーリ5に巻回された各搬送ベルト8と各ガイド板49の円弧状の上側縁51とがパチンコ球の径と同程度の距離を隔てて相対し、且つ、約30度の角度に傾斜した球供給樋53の終端部が固定枠30の下端縁に固設されたガイド片37bに臨むように固定される。また、前記球箱46は前記供給ガイド45の側方に設置され、内部にパチンコ球を五列に整列させる整列レール61が約15度の角度に下傾する傾斜状に設けられている。そして、球箱46内のパチンコ球は前記整列レール61を流下して前記供給ガイド45の球供給樋53の始端部へ滑らかに流入する。
次にパチンコ球揚送部114について図12乃至図14と図5に従い説明する。図12はパチンコ球揚送部を示す拡大断面図、図13は図12におけるY−Y線断面図である。また、図14はパチンコ球揚送部を示す拡大斜視図である。パチンコ球揚送部114は、逆流阻止部材としてのアンチバック板62を備える排出ガイド63と、前記アンチバック板62の上方に設けられパチンコ球列を編成してパチンコ球を下から上へ揚送する揚送管路64とから大略構成される。
前記排出ガイド63は、搬送ベルト8の搬送面12より流出したパチンコ球を前記駆動プーリ7の外周面に沿って上方へ転動させ該パチンコ球を揚送管路64へ流入させるものであり、図13に示したように、並列状に五組配列された球ガイド65を保持枠13に内設して形成される。この球ガイド65は板状のスペーサー66の両面に一対の側壁板67を密着させ前記アンチバック板62を遊挿し得る隙間が設けられる。そして、球ガイド65の一側は駆動プーリ7の外周に相対するように円弧状に形成され、さらに、前記一対の側壁板67間に設けられた隙間の中央を中心として断面円弧状のガイド溝68が形成される。
前記アンチバック板62は、図12に示したように、側面略L字形状であり、駆動プーリ7の外周に相対する円弧状縁69が形成され、前記円弧状縁69の反対側縁下方に引掛片70が設けられ、さらに、側面の中央付近に大径円状孔71およびL字折曲部の外方寄りに小径円状孔72が穿設される。このアンチバック板62は、前記円弧状縁69が前記ガイド溝68の底部となるように一対の側壁板67間の隙間へ遊挿される。そして、保持枠13の一方の側板から他方の側板へと前記小径円状孔72を貫通するように挿通された支軸73により其々独立に傾動自在に軸支される。また、前記大径円状孔71へ遊挿されるように該大径円状孔71よりも小径の固定軸74が保持枠13の一方の側板から他方の側板へと挿通される。従って、固定軸74の外周と大径円状孔71の内周との間に若干の隙間75が形成され、アンチバック板62はこの隙間75の範囲内で傾動可能である。さらに、前記保持枠13の背面に固設された掛止板76と各アンチバック板62の引掛片70との間にスプリングコイル等からなる弾性体77が張架される。従って、アンチバック板62の円弧状縁69の上端部は、図12において矢印dで示したように、前記駆動プーリ7方向に付勢される。
このような排出ガイド63は、駆動プーリ7に巻回された各搬送ベルト8と各アンチバック板62の円弧状縁69とがパチンコ球の径と同程度の距離を隔てて相対し、且つ、球ガイド65の始端部が固定枠30の上端縁に固設されたガイド片37aに臨むように固定される。そして、前記排出ガイド63の上方に排出パイプ78が載設され、さらに、前記球タンク105が設置された高さまでパチンコ球を揚送する揚送パイプ104が前記排出パイプ78の上方に載設される。これら排出パイプ78および揚送パイプ104の内部はパチンコ球と略同径の筒状通路が平行に五列穿設された揚送管路64が形成されている。この揚送管路64の始端部は前記球ガイド65の終端部に位置するように設けられ、球ガイド65から流出したパチンコ球が流入し得るようになっている。
次に本発明に係るパチンコ球研磨揚送装置の作用を説明する。球箱46内のパチンコ球Bは整列レール61によって五列に整列され供給ガイド45の球供給樋53に導かれる。球供給樋53の約15度の角度に下傾した斜面を転下したパチンコ球Bは、従動プーリ5に巻回された搬送ベルト8とガイド板49の上側縁51との間に流入する。ガイド板49は弾性体60の伸張力により支軸54を支点として図10の矢印c方向に付勢されることから、パチンコ球Bはガイド板49の上側縁51から圧力を受けて搬送ベルト8へ押圧されて挟持される。そして、パチンコ球Bは搬送ベルト8の搬送面12により搬送されて、ガイド板49の約30度の角度に上傾した上側縁51を上向きに転動する。
球供給樋53の終端部に到達したパチンコ球Bは、ガイド片37bを経由して研磨布32が敷設された押圧板31上の溝36へと導かれる。押圧板31は弾性体33の伸張力により搬送ベルト8の搬送面12方向に付勢されることから、溝36内のパチンコ球Bは押圧板31から圧力を受けて、図9に示したように、コロローラ11に支持された搬送ベルト8の搬送面12と押圧板31上に敷設された研磨布32との間に挟持される。そして、パチンコ球Bは溝36に保持されながら搬送ベルト8の搬送面12の走行により従動プーリ5から駆動プーリ7方向へ斜め上向きに搬送される。溝36に保持されながら搬送されるパチンコ球Bは幅方向に蛇行する溝36により搬送ベルト8の走行方向と直交する方向にも回転させられる。このため、研磨布32によってパチンコ球Bの表面全体の汚れが効率よく拭き取られる。
押圧板31の終端部に到達したパチンコ球Bは、ガイド片37aを経由して排出ガイド63に形成された球ガイド65の始端部に流入し、駆動プーリ7に巻回された搬送ベルト8とガイド溝68の底部であるアンチバック板62の円弧状縁69との間に挟持される。アンチバック板62は、弾性体77の引張力により支軸73を支点として図12の矢印d示した方向に付勢されることから、パチンコ球Bはアンチバック板62の円弧状縁69から圧力を受けて駆動プーリ7に巻回された搬送ベルト8へ押圧されて挟持される。そして、パチンコ球Bは駆動プーリ7の外周に沿って約30度の角度の上傾方向から垂直方向へと向きを変えるように転動される。
パチンコ球Bがアンチバック板62の円弧状縁69を上方へ向かって転動されるに従って、アンチバック板62は、図12に二点鎖線で示したように、支軸73を支点として円弧状縁69の上端部が駆動プーリ7から離れる方向に傾動する。そして、パチンコ球Bが円弧状縁69の上端部を通過して排出パイプ78内の揚送管路64へ流入すると、弾性体77の引張力によって前記上端部は元の位置に戻り、揚送管路64へ流入した該パチンコ球Bはアンチバック板62の上側縁79により下方から支持されパチンコ球Bの逆流が防止される。
このようにして、揚送管路64へパチンコ球Bが一つ一つ流入し、パチンコ球Bは揚送管路64で互いに当接するように垂直にパチンコ球列を編成する。そして、パチンコ球Bが排出ガイド63から揚送管路64内へ次々と流入するに従って、揚送管路64内のパチンコ球列は下から上へと押し上げられる。このパチンコ球列は揚送パイプ104の揚送管路64内へと継続され、パチンコ球Bは前記球タンクの設置高さまで押し上げられるようにして揚送される。なお、パチンコ球列の最下に位置するパチンコ球Bにはパチンコ球列全ての重量が掛かるが、このパチンコ球Bはアンチバック板62の上側縁79に支持されることからパチンコ球列が逆流することはない。
一方、研磨布32が巻取軸41に全て巻き取られたら、研磨布ロール39の交換作業を行なう。この際には、ノブ22を引いて回転軸6とモータ18の回転出力軸20との連繋を断つとともに、コンベヤフレーム3aの突起部14aと保持枠13に設けられた止着具17との掛合を解除して、図4に二点鎖線で示したように、コンベヤフレーム3a,3bを支持軸4を支点として上方に旋回させて、研磨機構112の上面を露出させる。そして、巻取軸41から古い研磨布32を取り外し、支持軸40に使用前の新しい研磨布ロール39を装着したら、研磨布32をフリープーリ42aとガイドプーリ43aを周回させて押圧板31の上面に敷設し、さらに、ガイドプーリ43bとフリープーリ42bとを周回させて巻取軸41に巻回する。このように研磨布ロール39の交換作業は、低位置で容易に安全に行うことができる。
また、パチンコ球研磨揚送装置の運転中に、一部の搬送ベルト8へゴミ等の異物が侵入または付着して該搬送ベルト8の走行が過負荷な状態になったとしても、駆動プーリ7に内蔵されたトルクリミッタ24の作動により、その過負荷状態の搬送ベルト8が巻掛されている駆動プーリ7のみが回転を停止する。つまり、他の駆動プーリ7の回動や搬送ベルト8の走行は支障なく継続されるため、パチンコ球Bの研磨および揚送が中断されることはない。また、過負荷状態のままで駆動プーリ7がモータ18によって無理に回転駆動され続けることがなくなり、ベルト搬送機構111に重大な破損を起こすおそれを回避できる。
次に本発明の第二実施形態を説明する。なお、第二実施形態は、パチンコ球揚送部114におけるパチンコ球Bの逆流阻止部材および該逆流阻止部材が設けられる排出ガイドの構成が上述した第一実施形態と相違するのみである。従って、同一の構成については同一の符号を付すことにより詳しい説明を省略し、相違する構成について説明する。図15は本発明の第二実施形態に係るパチンコ球揚送部の拡大断面図、図16は拡大斜視図である。また、図17はスプロケットに組み込まれたワンウェイクラッチを示す断面図である。第二実施形態のパチンコ球揚送部114は、逆流防止部材としてのスプロケット80を備える排出ガイド81と、前記スプロケット80の上方に設けられパチンコ球列を編成してパチンコ球を下から上へ揚送する揚送管路82とから大略構成される。
前記排出ガイド81は、前記駆動プーリ7の外周縁に相対する円弧状のガイド溝83が並列に五列形成され、前記ガイド溝83の上方にパチンコ球と略同径の筒状通路が平行に五列穿設された揚送管路82が形成される。また、排出ガイド81の後面から前記揚送管路82の始端部方向へ該各揚送管路82に其々対応する略直方形の空間84が五箇所形成され、ここに五個のスプロケット80が其々内蔵される。前記スプロケット80はパチンコ球が保持される凹部85が円周上に一定間隔で形成されている。そして、保持枠13の一方の側板から他方の側板へ貫通する支軸86により、前記凹部85が前記揚送管路82の始端部に出没可能となる位置で前記空間84内に軸支される。さらに、スプロケット80と支軸86との間には、ワンウェイクラッチ120が組み込まれる。
前記ワンウェイクラッチ120は、図17に示したように、断面円環状の外輪121と、前記外輪121の内側に同心円状に設けられる断面円環状の内輪122と、前記外輪121と前記内輪122との隙間に円周方向に沿って一定間隔で配置される複数の転動体123,123,…と、前記各転動体123を保持する保持器124とから概ね構成され、前記外輪121が前記内輪122に対して、一方向にのみ回転可能であって、逆方向には回転不能にしたものである。
前記外輪121の内周面には、前記各転動体123の配置と同じ間隔で湾曲凹部125,125,…が形成され、また、該湾曲凹部125,125,…同士間に位置するように前記保持器124に仕切片126,126,…が形成される。前記各転動体123は、湾曲凹部125と仕切片126と内輪122の外周面とにより形成される空間部127に保持され、該各空間部127内で自在に自転し得ると共に、円周方向に若干移動し得るようになっている。また、前記各湾曲凹部125は、一方端寄りを深く切り欠くと共に他方端寄りを浅く切り欠くことにより、前記各空間部127の一方端寄りが転動体123の大きさよりも若干広く形成された広幅域128となり、他方端寄りが転動体123の大きさよりも若干狭く形成された狭幅域129となるようにしている。また、各仕切片126の一方の側面であって前記空間部127の広幅域128側に、コイルバネ等からなる弾性体130が固着され、前記各転動体123は、該各弾性体130の弾性力により狭幅域129側に一様に付勢されている。
このようなワンウェイクラッチ120では、外輪121が順方向(弾性体130による転動体123の付勢方向と同じ向き)へ回転しようとすると、転動体123は弾性体130の弾発力に抗して空間部127の広幅域128へ移動する。すると、転動体123は空間部127の広幅域128において自在に自転することができ、前記外輪121は前記内輪122に対して滑らかに回転可能となる。一方で、外輪121が逆方向(弾性体130による転動体123の付勢方向と逆の向き)へ回転しようとすると、転動体123が弾性体130の弾発力により空間部127の狭幅域129へ移動する。そうすると、転動体123は前記外輪121の内周面と前記内輪122の外周面との間に挟持されて自転できなくなる。従って、前記外輪121が前記内輪122に対して回転不能となる。すなわち、ワンウェイクラッチ120は、外輪121を内輪122に対して一方向にのみ回転可能にし、逆方向には回転不能にするものである。上述したワンウェイクラッチ120は、その外輪121が前記スプロケット80に対して固着され、内輪122が前記支軸86に対して固着される。こうしてスプロケット80は、パチンコ球が前記揚送管路82内を下から上へ転動する順方向にのみ回転可能、かつ、逆回転不能に支軸86に支持される。
このような排出ガイド81は、駆動プーリ7に巻回された各搬送ベルト8と円弧状のガイド溝83とがパチンコ球の径より若干狭い距離を隔てて相対し、且つ、ガイド溝83の始端部が固定枠30の上端縁に固設されたガイド片37aに臨むように固定される。そして、揚送パイプ104が前記排出ガイド81の揚送管路82に接続されるように該排出ガイド81の上方に載設され、前記球タンク105の設置高さまでパチンコ球が揚送される。
このように構成した第二実施形態のパチンコ球揚送部114では、搬送ベルト8の搬送面12より流出したパチンコ球Bが、駆動プーリ7に巻回された各搬送ベルト8と前記円弧状のガイド溝83との間に挟持されながら該ガイド溝83に沿って上方へ転動する。そして、パチンコ球Bは前記スプロケット80の凹部85に一旦嵌入し該スプロケット80を図15の矢印eで示した順方向に回転させてから前記揚送管路82に流入する。スプロケット80は、ワンウェイクラッチ120の働きにより逆回転不能であるから揚送管路82へ流入したパチンコ球Bはガイド溝83の方向へ逆向きに転下することが阻止される。従って、揚送管路82内に編成されたパチンコ球列が上から下へ逆流することが防止される。
次に本発明の第三実施形態を説明する。なお、第三実施形態は、パチンコ球揚送部114におけるパチンコ球Bの逆流阻止部材の構成が上述した第二実施形態と相違するのみである。従って、同一の構成については同一の符号を付すことにより詳しい説明を省略し、相違する構成について説明する。図18は本発明の第三実施形態に係るパチンコ球揚送部の拡大断面図、図19は拡大斜視図である。また、図20は回転ローラに組み込まれたワンウェイクラッチを示す断面図である。第三実施形態のパチンコ球揚送部114は、一対の回転ローラ87a,87b間に巻回された無端ベルト88からなる逆流防止部材を含む排出ガイド81と、前記無端ベルト88の上方に設けられパチンコ球列を編成してパチンコ球を下から上へ揚送する揚送管路82とから大略構成される。
前記一対の回転ローラ87a,87bは、前記排出ガイド81の各揚送管路82に対応するように形成された五箇所の空間84に其々上下方向に並ぶように支軸89a,89bにより軸支される。そして、回転ローラ87a,87b間に無端ベルト88が其々巻回される。前記無端ベルト88の搬送面90は揚送管路82の始端部に位置すると共に、該揚送管路82の内壁よりも若干内方に位置するように張設される。こうして、パチンコ球が搬送面90の押圧により該搬送面90に相対する前記揚送管路82の内壁と該搬送面90との間に挟持されつつ転動されるようにしている。また、回転ローラ87aと支軸89aとの間には、図20に示したように、上述した第二実施形態と同様なワンウェイクラッチ120が組み込まれる。このワンウェイクラッチ120の外輪121は回転ローラ87aに対して固着され、さらに、内輪122は支軸89aに対して固着される。こうして、回転ローラ87aは、無端ベルト88の搬送面90に当接するパチンコ球を下から上へ転動させる方向にのみ回転可能、かつ、逆回転不能に支軸89aに支持される。従って、前記無端ベルト88は、その搬送面90によりパチンコ球が前記揚送管路82内を下から上へ転動する順方向にのみ走行可能であり逆向走行不能である。
このように構成した第三実施形態に係るパチンコ球揚送部114では、パチンコ球Bが搬送面90と揚送管路82の内壁との間に挟持されつつ上方へ転動し、パチンコ球Bは無端ベルト88を図18の矢印fで示した順方向に走行させて揚送管路82に流入する。無端ベルト88は、回転ローラ87aと支軸89aとの間に組み込まれたワンウェイクラッチ120の働きにより、逆向走行不能であるから、揚送管路82へ流入したパチンコ球Bはガイド溝83の方向へ逆向きに転下することが阻止される。従って、揚送管路82内に編成されたパチンコ球列が上から下へ逆流することが防止される。