以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図24は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。これらのうち、図1〜図14はワード線方向に直交する方向の断面図であり、図15〜図24は、ワード線方向の断面図である。
また、図25〜図28は、この半導体装置の製造途中の平面図である。
この半導体装置はプレーナ型のFeRAMであって、以下のようにして製造される。
最初に、図1(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、n型又はp型のシリコン(半導体基板)1に素子分離溝を形成し、その中に酸化シリコン膜等の絶縁膜を素子分離絶縁膜2として埋め込む。このような素子分離構造はSTI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれる。これに代えて、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)により素子分離を行ってもよい。
次いで、シリコン基板1のメモリセル領域にpウェル3を形成する。
その後、シリコン基板1の活性領域表面を熱酸化し、ゲート絶縁膜4となる熱酸化膜を形成する。更に、シリコン基板1の上側全面に多結晶シリコン膜を形成し、これをパターニングしてゲート電極5を形成する。メモリセル領域における一つのpウェル3上には、ワード線の一部となる二つのゲート電極5がほぼ平行に配置される。
続いて、ゲート電極5の両側のpウェル3内にn型不純物をイオン注入してn型ソース/ドレインエクステンション6a、6bを形成する。そして、シリコン基板1の上側全面に絶縁膜を形成した後、その絶縁膜をエッチバックしてゲート電極5の横に絶縁性サイドウォール7として残す。その絶縁膜として、例えば、CVD法により酸化シリコン(SiO2)膜を形成する。
更に、ゲート電極5と絶縁性サイドウォール7とをマスクに使用して、pウェル3にn型不純物を再びイオン注入することにより、ゲート電極5の横のシリコン基板1にn型ソース/ドレイン領域8a、8bを形成する。
なお、二つのゲート電極5に挟まれるn型ソース/ドレイン領域8bはビット線の一部として機能し、また、pウェル3の両側の二つのn型ソース/ドレイン領域8aは後述するキャパシタの上部電極に電気的に接続される。
次いで、シリコン基板1の上側全面にコバルト層等の高融点金属層をスパッタ法により形成する。そして、その高融点金属層をアニールしてシリコンと反応させ、n型ソース/ドレイン領域8a、8bの表層に高融点金属シリサイド層9を形成する。その後に、素子分離絶縁膜2等の上で未反応となっている高融点金属層をウエットエッチングにより除去する。
ここまでの工程により、pウェル3の上に、ゲート電極5とn型ソース/ドレイン領域8a、8b等を備えたn型MOSトランジスタの基本構造が完成する。
図25(a)はこの工程を終了した後の平面図である。なお、同図では、絶縁性サイドウォール7と高融点金属シリサイド層9を省略してある。また、先の図1(a)は、図25(a)のA1−A1線に沿う断面図に相当する。
次に、図1(b)に示すように、シリコン基板1の上側全面にCVD法によりカバー絶縁膜14を形成する。そのカバー絶縁膜14は、下から順に、厚さ約20nmの酸化シリコン膜と厚さ約80nmの窒化シリコン(SiN)膜とをこの順に積層してなる。
更に、このカバー絶縁膜14の上に、TEOSガスを使用するプラズマCVD法により第1の層間絶縁膜15として酸化シリコン膜を形成した後、その第1の層間絶縁膜15の上面をCMP法により研磨して平坦化する。そのような研磨の結果、第1の層間絶縁膜15の厚さは、シリコン基板1の平坦面上で約700nmとなる。
そして、これらカバー絶縁膜14と第1の層間絶縁膜15とをフォトリソグラフィーとエッチングによりパターニングして、n型ソース/ドレイン領域8a、8bにコンタクトホール12a、12bを形成する。
続いて、コンタクトホール12a、12bの内面と第1の層間絶縁膜15の上面にスパッタ法によりグルー膜を形成した後、そのグルー膜の上にCVD法によりタングステン膜を形成し、このタングステン膜でコンタクトホール12a、12bを完全に埋め込む。なお、グルー膜としては、例えば厚さ約30nmのチタン膜と厚さ約20nmの窒化チタン膜がこの順に形成される。
そして、第1の層間絶縁膜15の上の余分なグルー膜とタングステン膜とをCMP法により研磨して除去し、これらの膜をコンタクトホール12a、12b内にのみ第1の導電性プラグ13a、13bとして残す。
第1の導電性プラグ13a、13bの直径は特に限定されない。本実施形態ではその直径を約0.25μmとする。
このようにして形成された第1の導電性プラグ13a、13bは、酸化され易いタングステンを主成分とするため、酸素含有雰囲気において容易に酸化してコンタクト不良を起こし易い。
そこで、次の工程では、図2(a)に示すように、第1の導電性プラグ13a、13bと第1の層間絶縁膜の15の上に、プラグの酸化を防ぐ酸化防止絶縁膜16として、酸窒化シリコン(SiON)膜をCVD法により100nmの厚さに形成する。
次いで、この酸化防止絶縁膜16の上に絶縁性密着膜17としてCVD法により酸化シリコン膜を厚さ約130nmに形成する。
更に、この絶縁性密着層17の上にスパッタ法でアルミナ膜を厚さ約20nmに形成し、それを下地絶縁膜18とする。
次に、図2(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、下地絶縁膜18の上に、スパッタ法により第1の導電膜19としてプラチナ膜を形成する。第1の導電膜19は、後でパターニングされてキャパシタ下部電極になり、その膜厚は約150nmである。
また、第1の導電膜19はプラチナ膜に限定されない。プラチナに代えて、イリジウム等の貴金属、あるいは酸化プラチナや酸化イリジウム(IrO2)等の酸化貴金属を第1の導電膜19の材料として採用してもよい。
更に、第1の導電膜19の上に、スパッタ法によりPZT(Lead Zirconate Titanate: PbZrTiO3)膜を約140nmの厚さに形成して、このPZT膜を強誘電体膜20とする。
なお、強誘電体膜20の成膜方法としては、スパッタ法の他に、MOCVD(Metal Organic CVD)法やゾル・ゲル法もある。
強誘電体膜20の材料はPZTに限定されない。その材料としては、SrBi2Ta2O9、SrBi2(TaxNb1-x)2O9、Bi4Ti2O12等のBi層状構造化合物や、PZTにランタンをドープしたPLZT(Pb1-xLaxZr1-yTiyO3)、或いはその他の金属酸化物強誘電体を採用し得る。
ここで、スパッタ法で形成されたPZTは、成膜直後では殆ど結晶化しておらず、強誘電体特性に乏しい。そこで、強誘電体膜20のPZTを結晶化させるための結晶化アニールとして、酸素含有雰囲気中で基板温度を約585℃とするRTA(Rapid Thermal Anneal)を約90秒間行う。なお、MOCVD法で強誘電体膜20を形成する場合は、この結晶化アニールは不要である。
また、上記のように下地絶縁膜18の上に第1の導電膜19を形成したことで、下地絶縁膜18を省く場合と比較して第1の導電膜19中のプラチナの配向性が良好となっている。そして、このような第1の導電膜19の配向の作用によって、強誘電体膜20中のPZTの配向が揃えられ、強誘電体膜20の強誘電体特性が向上する。
更に、上記の強誘電体膜20の上に、スパッタ法で酸化イリジウム膜を厚さ約250nmに形成し、この酸化イリジウム膜を第2の導電膜21とする。
第2の導電膜21は酸化イリジウム膜に限定されず、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、レニウム、及びパラジウム等の酸化貴金属膜を第2の導電膜21として形成してもよい。
続いて、図3(a)及び図15(a)に示すように、第2の導電膜21の上に、マスク材料膜22としてスパッタ法により窒化チタン膜を約20nmの厚さに形成する。なお、マスク材料膜22は、レジストよりもエッチレートが低い膜であれば特に限定されない。例えば、窒化チタン膜に代えて窒化チタンアルミニウム(TiNAl)膜をマスク材料膜22として形成してもよい。
更に、このマスク材料膜22の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して、キャパシタ上部電極形状の第1のレジストパターン23を形成する。
そして、図3(b)及び図15(b)に示すように、第1のレジストパターン23をマスクにしてマスク材料膜22をドライエッチングすることにより、上部電極形状のハードマスク22aを形成する。このドライエッチングは、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング装置を用いて行われ、塩素ガスとアルゴンガスとの混合ガスがエッチングガスとして使用される。
次に、図4(a)及び図16(a)に示すように、上記のICPエッチング装置を引き続き用いて、ハードマスク22aと第1のレジストパターン23とをマスクにして第2の導電膜21aをドライエッチングすることにより、上部電極21aを形成する。
このドライエッチングにおけるエッチングガスは特に限定されないが、本実施形態では塩素とアルゴンとの混合ガスが使用される。
このようなエッチング雰囲気に曝された第1のレジストパターン23はダメージを受けその側面が後退するが、上部電極21aの上面はハードマスク22aによって保護されているので、上部電極21aの上面にエッチングが及ぶことはない。
図25(b)はこの工程を終了した後の平面図である。先の図4(a)は、図25(b)のA2−A2線に沿う断面図に相当する。また、図16(a)は、図25(b)のB1−B1線に沿う断面図に相当する。
この後に、過酸化水素水(H2O2)と水酸化アンモニウム(NH4OH)溶液との混合溶液よりなるエッチング液にシリコン基板1を浸すことにより、ハードマスク22aをウエットエッチングして除去する。
続いて、図4(b)及び図16(b)に示すように、シリコン基板1の上側全面にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して、上部電極21aの上に第2のレジストパターン27を形成する。
図26(a)は、本工程を終了後の平面図である。なお、先の図4(b)は、図26(a)のA3−A3線に沿う断面図に相当する。また、図16(b)は、図26(a)のB2−B2線に沿う断面図に相当する。
図26(a)に示されるように、第2のレジストパターン27の平面形状は、ワード線方向、すなわちゲート電極5の延在方向に延びるストライプ状であって、上部電極21aの各々がその第2のレジストパターン27によって覆われる。
次に、図5(a)及び図17(a)に示すように、第2のレジストパターン27をマスクにして強誘電体膜20をドライエッチングし、キャパシタ誘電体膜20aを形成する。このドライエッチングも、第2の導電膜21のエッチング(図4(a))と同様に、ICPエッチング装置を用いて行われ、そのエッチングガスとして塩素とアルゴンとの混合ガスが使用される。
この後に、第2のレジストパターン27は除去される。
図26(b)は、第2のレジストパターン27を除去した後の平面図であって、先の図5(a)は図26(b)のA4−A4線に沿う断面図に相当し、図17(a)は図26(b)のB3−B3線に沿う断面図に相当する。
図26(b)に示されるように、キャパシタ誘電体膜20aは、島状の複数の上部電極21aに共通のストライプ状の平面形状を有する。
ここで、強誘電体膜20をパターニングして強誘電体膜20aにしたとき、強誘電体膜20aがダメージを受け、その強誘電体特性が劣化しているおそれがある。そのダメージは酸素雰囲気中でのアニールにより回復される。このようなアニールは、回復アニールとも呼ばれ、例えば基板温度650℃の条件下で行われる。
続いて、図5(b)、図17(b)に示すように、第1の導電膜19、キャパシタ誘電体膜20a、及び上部電極21aの上に、第1の水素バリア絶縁膜28としてスパッタ法によりアルミナ膜を厚さ約50nmに形成する。
第1の水素バリア絶縁膜28は、還元され易いキャパシタ誘電体膜20aを水素等の還元性物質から保護するために形成され、アルミナ膜の他、PZT膜、PLZT膜、及び酸化チタン膜のいずれかであってもよい。
次に、図6(a)及び図18(a)に示すように、第1の水素バリア絶縁膜28の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第3のレジストパターン30とする。
図27(a)は、この工程を終了後の平面図である。そして、先の図6(a)は図27(a)のA5−A5線に沿う断面図に相当し、図18(a)は図27(a)のB4−B4線に沿う断面図に相当する。
図27(a)に示されるように、第3のレジストパターン30の平面形状は、キャパシタ誘電体膜20aを覆うストライプ状である。
次に、図6(b)及び図18(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
図29は、本工程で使用されるICPエッチング装置100の構成図である。
このICPエッチング装置100は、チャンバ106の側壁102が石英(SiO2)よりなり、その側壁102の周囲には、チャンバ106内にプラズマを発生させるためのアンテナコイル103が巻かれている。このアンテナコイル103には、周波数が例えば13.56MHzの第1の高周波電源104が接続される。
一方、チャンバ106の下部には、シリコン基板1を載置するための基板載置台101が設けられ、チャンバ106内のイオン種をシリコン基板1側に引き付けるバイアス用の第2の高周波電源105が基板載置台101に高周波的に接続される。この第2の高周波電源105の周波数は特に限定されないが、本実施形態では460kHzとする。
更に、チャンバ106には、エッチングガスを導入するためのガス導入口106aと、ガスを排気してチャンバ106内を所定の圧力に減圧するためのガス排出口106bとが設けられる。
図6(b)及び図18(b)の工程では、このようなICPエッチング装置100を用い、塩素とアルゴンとの混合ガスをエッチングガスにしながら、以下のようにして2ステップのドライエッチングを行う。
最初の第1のステップでは、第3のレジストパターン30をマスクにして、第1の導電膜19の途中の深さまでドライエッチングする。なお、本ステップの初期の段階では、第3のレジストパターン30で覆われていない部分の第1の水素バリア絶縁膜28もエッチングされる。
本ステップにおける塩素とアルゴンの流量比は45:55(=Cl2:Ar)に設定され、第1の高周波電源104のパワーは1800W、第2の高周波電源105のパワーは1000Wとされる。また、基板温度は25℃、チャンバ106内の圧力は0.9Paとする。
このようなエッチング条件では、エッチングが基板の横方向にも進むようになるので、第1の導電膜19に由来する導電性のエッチング生成物がキャパシタ誘電体膜21aの側面に付着し難くなると共に、第3のレジストパターン30の側面が後退するようになる。
そして、次の第2のステップでは、第3のレジストパターン30と第1の導電膜19とのエッチング選択比が第1のステップよりも低下するようにエッチング条件を変更し、第1の導電膜19のエッチングを完了する。
エッチング選択比は、塩素ガスとアルゴンガスとの流量比、第1の高周波電源104のパワー、第2の高周波電源105のパワー、チャンバ106内の圧力、及び基板温度等のプロセスパラメータにより制御し得る。
例えば、エッチングガス中の塩素流量を第1のステップよりも増大させることにより、第3のレジストパターン30と第1の導電膜19とのエッチング選択比が第1のステップよりも低下する。本実施形態では、塩素とアルゴンの流量比を60:40(=Cl2:Ar)とする。
このような条件を採用することで、第1のステップよりも第3のレジストパターン30の側面の後退が更に加速するので、キャパシタ誘電体膜20aの側面へのエッチング生成物の付着が一層抑制される。
このように選択比を変更しながら複数ステップに分けてエッチングをすることで、下部電極19aの側面の過度の傾斜によって下部電極19aの寸法が設計値よりも小さくなるのを防ぎつつ、エッチング生成物の付着を抑制できる。
なお、下部電極19aの寸法精度を優先させたい場合には、上記の第1のステップのみで第1の導電膜19をエッチングするようにしてもよい。また、エッチング生成物の抑制を優先させたい場合には、上記の第2のステップのみで第1の導電膜19をエッチングするようにしてもよい。
エッチングをこのように複数回に分けて行うか否かによらず、上記のように第3のレジストパターン30の側面は後退する。そのため、エッチングの途中において、第3のレジストパターン30の側方の上部電極21aと第1の水素バリア絶縁膜28とが露出し、エッチングされるようになる。
これにより、図6(b)の点線円内に示すように、上部電極21aの上面には、第3のレジストパターン30の後退を反映して他の領域よりも高位となった段差面21xと、段差部分21yとが形成される。
ここまでの工程により、下部電極19a、キャパシタ誘電体膜20a、及び上部電極21aを順に積層してなる強誘電体キャパシタQが形成された。
この後に、第3のレジストパターン30は除去される。
図27(b)は、このように第3のレジストパターン30を除去した後の平面図である。そして、先の図6(b)は図27(b)のA6−A6線に沿う断面図に相当し、図18(b)は図27(b)のB5−B5線に沿う断面図に相当する。
図27(b)に示されるように、上記の段差部21yは、後退した第3のレジスト30の側面を反映して、複数の上部電極21aに共通の仮想直線L上に沿って形成される。
次いで、図7及び図19に示されるように、水素等の還元性物質からキャパシタ誘電体膜20aを保護する第2の水素バリア絶縁膜32として、厚さが約20nmのアルミナ膜をシリコン基板1の上側全面にスパッタ法で形成する。なお、アルミナ膜に代えて、PZT膜、PLZT膜、及び酸化チタン膜のいずれかを形成してもよい。
キャパシタQの側面はテーパー状となっているので、その側面に第2の水素バリア絶縁膜32が良好なカバレッジで形成される。そのため、キャパシタQの側面の第2の水素バリア絶縁膜32に局所的に膜厚が薄い部分が形成され難く、該側面での水素ブロック性を維持することができる。
そして、この第2の水素バリア絶縁膜32の上に第2の層間絶縁膜33としてCVD法により酸化シリコン膜を形成した後、その表面をCMP法により研磨して平坦化する。
このCMPを終了した後に、第2の層間絶縁膜33を脱水するためのアニールを行ってもよい。そのような脱水アニールは、例えばN2Oプラズマ雰囲気中で行われる。
更に、第2の層間絶縁膜33の上にスパッタ法によりアルミナ膜を厚さ約50nmに形成し、そのアルミナ膜を第3の水素バリア絶縁膜34とする。第3の水素バリア絶縁膜34は、第1及び第2の水素バリア絶縁膜28、32と同様に、水素等の還元性物質からキャパシタ誘電体膜20aを保護する役割を担う。そのような機能を有する膜には、アルミナ膜の他に、PZT膜、PLZT膜、及び酸化チタン膜もある。
そして、この第3の水素バリア絶縁膜34の上にCVD法で酸化シリコン膜を厚さ約300nmに形成し、その酸化シリコン膜をキャップ絶縁膜35とする。
次いで、図8及び図20に示すように、キャップ絶縁膜35の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第4のレジストパターン36を形成する。
そして、第4のレジストパターン36の窓36aを通じてドライエッチングを行うことにより、上部電極21aの上の各絶縁膜28、32〜35に第1のホール33aを形成する。このドライエッチングは、例えば、C4F8、Ar、O2、及びCOの混合ガスをエッチングガスとする平行平板プラズマエッチング装置で行われる。
また、図20に示されるように、このエッチングによって下部電極19aのコンタクト領域CRの上の各絶縁膜28、32〜35には第2のホール33bが形成される。
この後に、第4のレジストパターン36は除去される。
次に、図9及び図21に示すように、ここまでの工程でキャパシタ誘電体膜20aが受けたダメージを回復させるため、酸素含有雰囲気中において回復アニールを行う。
このとき、第1導電性プラグ13a、13bは、酸化防止絶縁膜16により酸化が防止される。
次いで、図10及び図22に示すように、シリコン基板1の上側全面にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像して第5のレジストパターン39を形成する。
そして、第5のレジストパターン39が備える窓39aを通じてドライエッチングを行い、第1の導電性プラグ13aの上方の各絶縁膜17、32〜35に第3のホール33cを形成する。
このドライエッチングは、C4F8、Ar、O2、及びCOの混合ガスをエッチングガスとする平行平板プラズマエッチング装置で行われ、酸窒化シリコンよりなる酸化防止絶縁膜16がこのエッチングにおけるストッパとなる。
この後に、第5のレジストパターン39は除去される。
続いて、図11及び図23に示すように、CHF3、Ar、及びO2の混合ガスをエッチングガスとして用い、平行平板型エッチング装置において第3のホール33cの下の酸化防止絶縁膜16をエッチングする。
これにより、第3のホール33c内に第1の導電性プラグ13a、13bが露出すると共に、第1及び第2のホール33a、33b内の異物が除去されて、これらのホール33a、33bから露出する上部電極21aと下部電極19aの上面が清浄化される。
次に、図12及び図24に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、第1〜第3ホール33a〜33cの内面とキャップ絶縁膜35の上面に、グルー膜として窒化チタン膜をスパッタ法で約100nm程度の厚さに形成する。そして、グルー膜の上にCVD法でタングステン膜を形成し、このタングステン膜で各ホール33a〜33cを完全に埋め込む。その後に、キャップ絶縁膜35の上の余分なグルー膜とタングステン膜とをCMP法により研磨して除去し、これらの膜を各ホール33a〜33c内にのみ第2の導電性プラグ37として残す。
図28は、この工程を終了した後の平面図である。なお、先の図12は図28のA7−A7線に沿う断面図に相当し、図24は図28のB6−B6線に沿う断面図に相当する。
次いで、図13に示すように、キャップ絶縁膜35と第2の導電性プラグ37のそれぞれの上面にスパッタ法により金属積層膜を形成し、それをパターニングして一層目金属配線40とする。
このパターニングでは、キャップ絶縁膜35上に金属積層膜のエッチング残渣が残らないようにオーバーエッチングが行われる。このようにオーバーエッチングを行っても、キャップ絶縁膜35によって第3の水素バリア絶縁膜34が保護されているので、第3の水素バリア絶縁膜34までエッチングは及ばず、第3の水素バリア絶縁膜34の膜厚と水素バリア性とを維持することができる。
なお、金属積層膜としては、例えば、厚さ約60nmのチタン膜、厚さ約30nmの窒化チタン膜、厚さ約360nmの銅含有アルミニウム膜、厚さ約5nmのチタン膜、及び厚さ約70nmの窒化チタン膜をこの順に形成する。
また、パターニングの前に、この金属積層膜の上に反射防止膜として酸窒化シリコン膜を形成してもよい。
この後は、図14に示すように、金属配線と層間絶縁膜とを複数積層し、多層配線構造を得る。
この例では、二層目〜五層目金属配線41〜44と第3〜第6の層間絶縁膜45〜48を交互に複数積層する。これらのうち、金属配線41〜44は、一層目金属配線40と同様に、アルミニウム膜を含む金属積層膜をパターニングして得られる。また、第3〜第6の層間絶縁膜45〜48としては、例えばCVD法により酸化シリコン膜を形成し得る。
そして、最上層の五層目金属配線44の上には、酸化シリコンよりなる第1のパッシベーション膜49と、水分ブロック性に優れた窒化シリコンよりなる第2のパッシベーション膜50とがCVD法によりこの順に積層される。
以上により、本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成した。
この半導体装置の製造方法では、図6(b)を参照して説明したように、第3のレジストパターン30の側面が後退するようなエッチング条件を用いて第1の導電膜19をエッチングし、下部電極19aを形成した。
既述のように、このようにレジストが後退する条件を採用することで、キャパシタ誘電体膜20aの側面に第1の導電膜19に由来する導電性のエッチング生成物が付着するのを抑制できる。これにより、キャパシタ誘電体膜20aの側面において、エッチング生成物によって上部電極21aと下部電極19aとが電気的に短絡し難くなり、強誘電体キャパシタQが不良になるのを防止できる。
図30(a)〜(c)は、強誘電体キャパシタQのサンプルのSEM(Scanning Electron Microscope)像を基にして描いた図である。各々のサンプルでは、上記のように2ステップで第1の導電膜19をエッチングするときに、第1のステップにおけるエッチングガス中の塩素の流量比(=100×Cl2流量/(Cl2流量+Ar流量))を変えている。
図30(a)に示されるように、エッチングガス中における塩素流量が35%の場合は、キャパシタ誘電体膜20aの側面に、エッチング生成物90がフェンス状に付着している。これは、第3のレジストパターン30(図6(b)参照)と第1の導電膜19とのエッチング選択比が他の二つの場合よりも大きく、第3のレジストパターン30の後退量が不足し、キャパシタ誘電体膜20aの側面においてエッチングが十分に行われないためと推測される。
一方、図30(b)、図30(c)のように、エッチングガス中における塩素流量が45%と55%の場合では、上記のようなエッチング生成物90は発生してない。
本願発明者の調査によると、エッチング生成物90が出現し始めるのは、塩素流量が約37%を下回った場合である。よって、エッチング生成物90が発生するのを抑制するには、塩素流量を37%以上にコントロールするのが有効である。
但し、本願発明者が行った別の調査によると、エッチングガス中における塩素流量が大きすぎると、キャパシタ誘電体膜20aのスイッチング電荷量Qsw等の強誘電体特性が劣化することが明らかとなった。これは、塩素流量が大きすぎると、第3のレジストパターン30の後退が過度となってキャパシタ誘電体膜20aの側面のエッチング量が多くなり、キャパシタ誘電体膜20aの平面サイズが縮小することが原因であると推測される。
このような強誘電体特性の劣化が顕著になるのは、エッチングガス中における塩素流量が52%を超えた場合である。
したがって、塩素流量比を37%以上52%以下の範囲で制御することにより、キャパシタ誘電体膜20aの強誘電体特性を維持しながら、エッチング生成物の発生を抑制することができる。
但し、ICPエッチング装置100(図29参照)に設けられた塩素用のマスフローメータの精度が不十分であったりすると、上記の範囲内で塩素ガスをコントロールしているつもりでも、実際にはその範囲から外れることがある。例えば、アナログマスフローメータの動作保証範囲の上限付近で流量を制御しようとする場合、流量の誤差は±5%程度となる。したがって、塩素用のマスフローメータとアルゴン用のマスフローメータのそれぞれの誤差を合わせると±10%程度にもなってしまい、塩素流量比を正確に制御するのが難しい。
塩素流量比が制御できているか否かを半導体装置の製造途中に把握するのは困難で、半導体装置の完成後に目視観察によりエッチング生成物を発見することで始めて明らかになる場合がある。しかしながら、これでは半導体装置の不良を完成後まで見つけることができず、極めて非効率的である。
そこで、本実施形態では、塩素流量が上記の範囲内で制御されているかどうかを判断する目安として、上部電極21aの上面に形成された段差面21x(図6(b)参照)の幅c1を以下のように利用する。
図31は、塩素とアルゴンとの混合ガスで第1の導電膜19をエッチングするときの塩素流量比(=100×Cl2流量/(Cl2流量+Ar流量))と、強誘電体キャパシタQの各幅g、b、c1との関係を調査して得られたグラフである。
このグラフの横軸は、2ステップで第1の導電膜19をエッチングする際における、第1ステップの塩素流量比を示す。第2ステップの塩素流量比はこの調査では固定している。
また、各グラフの右側の式はそれぞれのグラフの近似式を表す。その近似式の下の係数R2は、近似式の決定係数と呼ばれ、この値が1に近いほど近似の精度が高いことを示す。
更に、同図の下側の断面図と平面図に示されるように、各幅のうちgは下部電極19aの下面の幅を示す。また、bは上部電極21aの下面の幅を示し、c1は上部電極21aに形成された段差面21xの幅を示す。
上記のように、キャパシタ誘電体膜20aの強誘電体特性を維持しながらエッチング生成物の発生を抑制するには、塩素流量比を37%以上52%以下の範囲で制御するのが好ましい。図31では、このような範囲を塩素流量比についての許容範囲ΔGとして示している。
また、図31に示されるように、塩素流量比の増大と共に各幅g、b、c1が縮小する。
これは、塩素流量比が増大すると、第3のレジストパターン30と第1の導電膜19とのエッチング選択比が低下し、第3のレジストパターン30の側面の後退量が大きくなってキャパシタQの側面のエッチング量が多くなるためと推測される。
更に、各幅g、b、c1は塩素流量比にほぼ線形に依存しており、各幅g、b、c1と塩素流量比とは概ね一対一に対応している。したがって、各幅g、b、c1を測定することで、塩素流量比の凡その値を推定することができることになる。
例えば、塩素流量比の許容範囲ΔGに対応する幅c1の許容幅ΔZを求め、該幅c1の測定値がこの許容幅ΔZ内に収まっていれば、塩素流量比も許容範囲ΔGに収まっていると推定できる。
但し、グラフの傾きが緩やかだと、各幅g、b、c1の測定誤差によって塩素流量比の推定値に誤差が大きく生じ、推定精度が悪くなってしまう。
したがって、各幅g、b、c1のうちグラフの傾きの絶対値が最も大きい段差面21xの幅c1を測定し、その測定値に基づいて、他の幅g、bを利用する場合よりも高い精度で塩素流量比を推定するのが好ましい。
なお、既述のように、図31の横軸は、第1の導電膜19を2ステップでエッチングするときの第1ステップでの塩素流量比を示している。したがって、上記により推定される塩素流量比は第1ステップにおける値となる。
第2ステップのエッチングでは、既述のように第3のレジストパターン30と第1の導電膜19とのエッチング選択比を第1のステップよりも低くし、第3レジストパターン30の後退を加速させるので、そもそもエッチング生成物が発生し難い。したがって、エッチング生成物の発生を抑制するために、塩素流量比の高精度な制御が求められるのは、第2ステップよりも第1ステップである。
但し、第2ステップでも塩素流量比を高精度に制御することが求められる場合には、第2ステップにおける塩素流量比について図31と同じ調査を行い、上記と同様にしてその塩素流量比を推定してもよい。これについては、単一のステップのみで第1導電膜19をエッチングする場合でも同様である。
ところで、塩素流量比については、上記のように幅c1のみから推定を行ってもよいし、幅c1と他の幅とを組み合わせて推定を行ってもよい。
例えば、上部電極21aの上面の幅c0(図4(a)参照)と段差面21xの幅c1とを組み合わせ、これらの差(c0−c1)を利用して塩素流量比の推定を行ってもよい。
図32は、塩素流量比と差(c0−c1)との関係を模式的に示すグラフである。
この場合も、図31と同様に、塩素流量比の許容範囲ΔGに対応する差(c0−c1)の許容幅ΔZを求め、該差(c0−c1)の測定値がこの許容幅ΔZ内に収まっていれば、塩素流量比も許容範囲ΔGに収まっていると推定できる。
特に、差(c0−c1)は、上部電極21a上での第3のレジストパターン30の後退量に相当する量であり、上部電極21aの設計寸法には依存しない量である。したがって、図32のグラフは、上部電極21aの設計寸法が異なる品種でもほぼ同じ傾向を呈するので、図32を利用することで全ての品種について塩素流量比を推定することができる。
以下に、その推定方法について詳細に説明する。
図33〜図35は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図33に示すように、最初のステップS1では、図3(a)で説明した第1のレジストパターン23を形成する。
次いで、ステップS2に移り、CD-SEM装置等の線幅測定装置を用いて、その第1のレジストパターン23の下面の幅a(図3(a)参照)を自動的に測定する。
その幅aが、設計上許容される範囲の外にあると、第1のレジストパターン23をマスクにするエッチングで形成される上部電極21aの幅が設計値から外れることになる。
そこで、次のステップS3では、幅aが設計上許される許容範囲内にあるか否かが判定される。
そして、許容範囲内にない(NO)と判断された場合には、ステップS9に移って第1のレジストパターン23を剥離した後、その第1のレジストパターン23を再形成して、ステップS2からやり直す。
一方、ステップS3において許容範囲内にある(YES)と判断された場合には、ステップS4に移り、図4(a)で説明した第2導電膜21のドライエッチングを行い、上部電極21aを形成する。
続いて、ステップS5に移り、図4(a)の図中に示すような上部電極21aの下面の幅bと、上部電極21aの上面の幅c0とを測定する。この測定は、ハードマスク21aを除去した後に、例えばCD-SEM装置等の線幅測定装置を用いて自動的に行う。
このように幅b、c0を実際に測定することにより、上部電極21aが設計通りの幅で加工されているかどうかを把握することができる。
次に、ステップS6に移り、図4(b)で説明した第2のレジストパターン27を形成する。
そして、ステップS7に移り、CD-SEM装置等を用いて、第2のレジストパターン27の下面の幅d(図4(b)参照)を測定する。
第2のレジストパターン27は、強誘電体膜20のエッチングマスクとなるものであり、その幅が設計上の許容範囲からずれていると、強誘電体膜20をエッチングして得られるキャパシタ誘電体膜20aの幅が設計値からずれてしまう。
そこで、次のステップS7では、上記の幅dが、設計上許される許容範囲にあるか否かが判断される。
そして、許容範囲にない(NO)と判断された場合には、ステップS10に移り、第2のレジストパターン27を剥離した後、再び第2のレジストパターン27を形成し、ステップS7からやり直す。
一方、ステップS7において許容範囲にある(YES)と判断された場合には、図34のステップS11に移る。
そのステップS11では、図5(a)で説明したように、第2のレジストパターン27をマスクにして強誘電体膜20をドライエッチングし、キャパシタ誘電体膜20aを形成する。
次いで、ステップS12に移り、このキャパシタ誘電体膜20aの下面の幅e(図5(a)参照)を測定する。その測定は、例えばCD-SEM装置を用いて行われる。このように幅eを実際に測定することで、キャパシタ誘電体膜20aが設計寸法の通りに加工できているかどうかを把握することができる。
続いて、ステップS13に移り、図5(b)で説明した第1の水素バリア絶縁膜28を形成する。
その後、ステップS14に移り、図6(a)で説明したような第3のレジストパターン30を形成する。
そして、ステップS15に移り、CD-SEM装置等を用いて、第3のレジストパターン30の下面の幅fを自動的に測定する。
第3のレジストパターン30は、第1の導電膜19のエッチングのマスクとして使用するものである。したがって、第3のレジストパターン30の幅が設計上の許容範囲からずれていると、第1の導電膜19をエッチングして得られる下部電極19aの幅が設計値からずれることになる。
このような不都合を回避するため、次のステップS16では、上記で測定した第3のレジストパターン30の下面の幅fが、設計上の許容範囲内にあるか否かが判断される。
そして、許容範囲内にない(NO)と判断された場合には、ステップS20に移って第3のレジストパターン30を剥離する。そして、第3のレジストパターン30を再び形成した後、ステップS15からやり直す。
これに対し、ステップS16において許容範囲内にある(YES)と判断された場合にはステップS17に移る。
そのステップS17では、図6(b)で説明したように、第3のレジストパターン30をマスクにして第1の導電膜19をドライエッチングし、下部電極19aを形成する。
このドライエッチングでは、第3のレジストパターン30の側面が後退したことで、上部電極21aの上面に既述のような段差面21x(図6(b)参照)が形成される。
図31と図32を参照して説明したように、その段差面21xの幅c1は、このドライエッチングで使用されるエッチングガス中の塩素流量比を推定するのに利用できる。
次のステップS18では、段差面21xの幅c1と下部電極19aの幅g(図6(b)参照)を、CD-SEM等の測長装置により自動的に測定する。
次いで、ステップS19に移り、ステップS5で測定した上部電極21aの上面の幅c0と、ステップS18で測定した段差面21xの幅c1との差(c0−c1)を算出する。
そして、図35の次のステップS21に移り、差(c0−c1)が図32の許容範囲ΔZ内にあるか否かを判断する。
ここで、許容範囲ΔZ内にある(YES)と判断された場合には、塩素流量比が許容範囲ΔG(図32参照)内にあると推定される。この場合は、キャパシタQの側面にエッチング生成物が付着しておらず、かつキャパシタ誘電体膜20aも劣化していないと推定されるので、キャパシタQが不良になるおそれはなく、キャパシタQの形成を終了する。
これに対し、許容範囲ΔZ内にない(NO)と判断された場合には、塩素流量比が許容範囲ΔG(図32参照)から外れていると推定されるので、キャパシタQの側面にエッチング生成物がフェンス状に付着している可能性がある。
そこで、この場合はステップS22に移り、SEM等によって実際にキャパシタQを観察することにより、フェンスの有無を確認する。
そして、エッチング生成物がない(NO)と判断された場合には、キャパシタQが不良になるおそれがないので、キャパシタQの形成を終了する。
一方、エッチング生成物がある(YES)と判断された場合には、一度付いたエッチング生成物を除去することはできないので、ステップS23に移り、そのキャパシタQが属する1ロット(25枚)のシリコン基板1を廃棄する。
そして、ステップS24に移ってICPエッチング装置100(図29参照)の稼動を停止した後、ステップS25においてエッチング装置の100の状態を確認する。本ステップでは、例えば、塩素流量を測定するためのマスフローメータの校正が正しくなされているかどうか等の確認作業が行われる。
以上により、本実施形態における基本ステップが完了する。
このように、本実施形態では、上部電極21aの段差面21xの幅c1が、第1の導電膜19のエッチング時の塩素流量比に依存することを利用するので、キャパシタQを実際に観察しなくてもその側面にエッチング生成物があるかどうかを判断することができる。そのため、エッチング生成物があると判断された場合にのみ、確認のためにキャパシタQを観察すればよく、製造工程の簡略化が図られる。また、エッチング生成物があると判断された場合には、エッチング装置の稼動を停止する等して、後続の製品ロットにもエッチング生成物が発生するのを未然に防ぐことが可能となる。
特に、図31に示したように、段差面21xの幅c1は他の幅g、bと比較して塩素流量の変動に敏感に反応する。したがって、差(c0−c1)も塩素流量の変動に対して敏感に反応するので、差(c0−c1)を利用することで塩素流量が許容範囲にあるかどうかを精度良く推定できる。
これに対し、特許文献1では、(b−g)/2に相当する量を「広がりΔW」とし、この「広がりΔW」と塩素流量比との関係が開示されている。但し、上記のように、幅g、bは塩素流量比の変動に対する反応が鈍いので、「広がりΔW」を用いたのでは本実施形態のように高精度に塩素流量比を推定するのは困難である。
ところで、上記では、第1の導電膜19をエッチングするときのエッチング条件のうち塩素流量比に着目したが、第3のレジストパターン30の後退量は、塩素流量比だけでなく、第1及び第2の高周波電源104、105(図29参照)のパワー、チャンバ106内の圧力、基板温度等のプロセスパラメータにも依存する。
したがって、これらのプロセスパラメータの各々について、図31の類似のグラフを作成することによっても、上記と同様にしてエッチング生成物の有無を判断することができる。
図36は、そのようなグラフを模式的に示す図である。
図36の横軸は、第1及び第2の高周波電源104、105のパワー、チャンバ106内の圧力、及び基板温度のうちのいずれか一のプロセスパラメータPEを示す。一方、縦軸は、図31と同様に段差面21xの幅c1を示す。
この場合、プロセスパラメータPEを様々に変化させて予め実験を行うことで、エッチング生成物が発生せず、かつ、キャパシタ誘電体膜20aのスイッチング電荷量が低下しないようなプロセスパラメータPEの許容範囲ΔGを予め求めておく。
そして、既述の図33〜図35のフローチャートに従い、幅c1の測定値が許容範囲ΔGに対応する範囲ΔZに収まっている場合には、エッチング生成物が発生しておらず、かつ、キャパシタ誘電体膜20aのスイッチング電荷量が低下していないと判断できる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記では、図13の工程において第2の導電性プラグ37を介して上部電極21aと一層目金属配線40とを電気的に接続しているが、第2の導電性プラグ37を省いて、第1のホール33aに一層目金属配線40を直接埋め込むようにしてもよい。
更に、アルミニウム膜を含む各配線40〜44に代えて、銅配線を形成してもよい。
以下に、本発明の諸態様を付記にまとめる。
(付記1) 半導体基板の上方に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜の上に、第1の導電膜、強誘電体膜、及び第2の導電膜を順に形成する工程と、
前記第2の導電膜をパターニングして上部電極にする工程と、
前記強誘電体膜をパターニングしてキャパシタ誘電体膜にする工程と、
前記上部電極の上にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクにして、該レジストパターンの側面を後退させながら、前記第1の導電膜をエッチングし、下部電極を形成する工程と、
前記上部電極の上面のうち、前記レジストパターンの後退を反映して他の領域よりも高位となった段差面の幅を測定する工程と、
前記段差面の幅に基づいて、前記エッチングのときに前記キャパシタ誘電体膜の側面に付着したエッチング生成物の有無を判断する工程と、
前記エッチング生成物が無であると判断された場合に、前記上部電極、前記キャパシタ誘電体膜、及び前記下部電極を第2の絶縁膜で被覆する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2) 前記上部電極の幅を測定する工程と、
前記上部電極の幅と前記段差面の幅との差を求める工程とを更に有し、
前記エッチング生成物の有無の判断を、前記差に基づいて行うことを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記エッチング生成物の有無の判断において、前記エッチング生成物を発生させないための前記差の許容範囲を予め求めておき、前記差が前記許容範囲から外れているときに、前記エッチング生成物が発生していると判断することを特徴とする付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4) 前記差の前記許容範囲として、前記エッチング生成物を発生させず、かつ、前記キャパシタ誘電体膜の強誘電体特性を劣化させない範囲を採用することを特徴とする付記3に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5) 前記上部電極の前記幅は、該上部電極の上面の幅であることを特徴とする付記1〜付記4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記6) 前記第1の導電膜のエッチングは、前記レジストパターンと前記第1の導電膜とのエッチング選択比を変更して、複数のステップに分けて行われることを特徴とする付記1〜5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記7) 前記第1の導電膜のエッチングは、塩素とアルゴンガスとを含むプラズマ雰囲気中において行われ、
前記エッチング選択比の変更は、塩素とアルゴンガスとの流量比、前記プラズマ雰囲気の圧力、前記プラズマを発生させるための高周波電力のパワー、及び基板温度のいずれかの変更により行われることを特徴とする付記6に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8) 前記第1の導電膜と前記第2の導電膜のうち、少なくとも一方として、貴金属膜又は酸化貴金属膜を形成することを特徴とする付記1〜付記7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記9) 半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜の上に形成され、下部電極、強誘電体材料よりなるキャパシタ誘電体膜、及び上部電極を備えた強誘電体キャパシタとを有し、
前記上部電極の上面に段差部が形成されたことを特徴とする半導体装置。
(付記10) 前記下部電極はストライプ状に形成され、
前記上部電極は前記下部電極の上方に複数形成され、
前記段差部は、前記複数の上部電極に共通の仮想直線上に沿って形成されたことを特徴とする付記9に記載の半導体装置。
1…シリコン基板、2…素子分離絶縁膜、3…pウェル、4…ゲート絶縁膜、5…ゲート電極、6a、6b…n型ソース/ドレインエクステンション、7…絶縁性サイドウォール、8a、8b…n型ソース/ドレイン領域、9…高融点金属シリサイド層、12a、12b…コンタクトホール、13a、13b…第1の導電性プラグ、14…カバー絶縁膜、15…第1の層間絶縁膜、16…酸化防止絶縁膜、17…絶縁性密着膜、18…下地絶縁膜、19…第1の導電膜、19a…下部電極、20…強誘電体膜、20a…キャパシタ誘電体膜、21…第2の導電膜、21a…上部電極、22…マスク材料膜、22a…ハードマスク、23…第1のレジストパターン、27…第2のレジストパターン、28…第1の水素バリア絶縁膜、30…第3のレジストパターン、32…第2の水素バリア絶縁膜、33…第2の層間絶縁膜、33a〜33c…第1〜第3のホール、34…第3の水素バリア絶縁膜、35…キャップ絶縁膜、36…第4のレジストパターン、36a…窓、37…第2の導電性プラグ、39…第5のレジストパターン、39a…窓、40…一層目金属配線、41〜44…二層目〜五層目金属配線、45〜48…第3〜第6の層間絶縁膜、49…第1のパッシベーション膜、50…第2のパッシベーション膜。