JP5290951B2 - 塗料用水性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
水性塗料による塗膜は、一般的に溶剤型の塗料による塗膜に比べて、塗膜硬度が低く、汚染物質が付着した時の染み込み性が高い傾向にある。特に、顔料分の少ないクリヤー塗料においては、塗膜硬度の低下が顕著であり、一度汚染物質が付着すると、塗膜表面からその汚れを除去することは困難な場合が多かった。また、クリヤー塗料は、意匠性付与剤として艶消し剤を使用することが多く、この艶消し剤の使用により耐温水白化性が低下し、クリヤー塗料において耐汚染性と耐温水白化性とを高レベルで両立することは従来困難であった。
以下に本発明を詳述する。
なお、塗料用水性樹脂組成物の製造方法において用いる(メタ)アクリルエマルション(A)は、後述する(メタ)アクリルエマルション(A)の製造方法によって製造されたものであることが好ましい。
なお、上記質量比は、固形分による質量比を表す。
上記有機溶媒としては、水と混合することができるものである限り特に制限されず、例えば、メタノールのような低級アルコール等の親水性溶媒等を用いることができる。
(メタ)アクリルエマルション(A)と水溶性樹脂(B)とが架橋構造を形成する形態としては、(メタ)アクリルエマルション(A)と水溶性樹脂(B)とが直接、架橋構造を形成する形態(第1の形態)、(メタ)アクリルエマルション(A)と水溶性樹脂(B)とが他の化合物(C)を介して架橋構造を形成する形態(第2の形態)がある。
なお、上記質量比は、固形分による質量比を表す。
また、水溶性樹脂(B)が、N−ビニル環状ラクタム単位を有する重合体を含む場合、(メタ)アクリルエマルション(A)と水溶性樹脂(B)とが架橋構造を形成しないものである場合であっても、(メタ)アクリルエマルション(A)と水溶性樹脂(B)とを含む組成物から得られる塗膜が耐候性や耐汚染性に優れたものとなる。
このような、乳化重合によって得られる(メタ)アクリルエマルション(A)と、N−ビニル環状ラクタム単位を有する重合体を含む水溶性樹脂(B)とを必須として構成される塗料用水性樹脂組成物もまた、本発明の1つである。
なお、上記質量比は、固形分による質量比を表す。
これらの中でも、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、イソシアネート基、オキサゾリン基、ヒドラジノ基、カルボニル基が好ましい。より好ましくは、オキサゾリン基、カルボキシル基、ヒドラジノ基、カルボニル基である。
すなわち、上記架橋構造を形成し得る官能基(α)及び(β)は、オキサゾリン基、カルボキシル基、ヒドラジノ基、カルボニル基のいずれかであることが好ましい。
架橋構造がオキサゾリン基とカルボキシル基との組み合わせ、又は、ヒドラジノ基とカルボニル基の組み合わせで形成されると、塗料組成物から得られる塗膜の低温硬化性が向上し、塗膜の物性が更に優れたものとなる。
塗料用水性樹脂組成物がこのようなものであると、通常、耐温水白化性に関しては、溶剤系塗料のほうが優れるものであるところ、環境に配慮した水系の塗料組成物で優れた耐温水白化性を発揮する塗膜を形成することができるものとなり、耐汚染性と耐温水白化性という従来両立が困難であった2つの性能を高いレベルで両立することができるものとなる。更に、この塗料用水性樹脂組成物から形成される塗膜は、耐候性、耐凍害性、及び、耐ブロッキング性等にも優れ、しかも、これらの物性を長期に渡って維持することが可能である。更に、この塗料用水性樹脂組成物は1液安定性が良好であり、かつ、塗装時に1工程で低汚染性塗膜を形成することができることから、塗工時の作業性や、経済性にも優れたものとなる。
通常の顔料等を含む塗料の場合、顔料を含むことで塗膜が硬質化して耐汚染性が向上することになり、また、着色塗料であるため、温水白化が目立ち難い。これに対し、クリヤー塗料の場合には、顔料が少なく、着色していないため、塗料として使用される樹脂組成物に高いレベルの耐汚染性、耐温水白化性が要求されることになり、特に意匠性付与剤としシリカ・樹脂ビーズ等の艶消し剤を使用した艶消しクリヤー塗料においては、更に高いレベルの耐汚染性、耐温水白化性が要求されることになる。この塗料用水性樹脂組成物は、顔料を含む通常の塗料に比べて耐汚染性や耐温水白化性の要求レベルが高いクリヤー塗料、特に、艶消しクリヤー塗料として充分に使用できるものであり、耐汚染性や耐温水白化性を長期に渡って維持でき、しかも、塗工時の作業性や、経済性にも優れた高耐久性クリヤー塗料、特に、高耐久性艶消しクリヤー塗料として好適に用いることができる。
本発明の塗料用水性樹脂組成物は、特に、窯業系無機建材へのトップコート塗料の原料として好適に使用されるものである。このような、本発明の塗料用水性樹脂組成物を含む窯業系無機建材用トップコート塗料用水性樹脂組成物もまた、本発明の1つである。
なお、上記架橋構造を形成し得る官能基及びその組み合わせを有するものは、後述する単量体成分及び単量体比を用いることによって、得ることができる。
なお、上記耐ブロッキング性は、後述する耐ブロッキング性試験により評価するものとする。
より好ましくは、ΔL≦2であり、更に好ましくは、ΔL≦1.5である。このように水性であるにもかかわらず耐温水白化性の良好な膜を形成することができる塗料用水性樹脂組成物は、低汚染性塗膜を形成することができる高耐久性クリヤー塗料、特に、高耐久性艶消しクリヤー塗料として好適に用いることができる。
耐温水白化性は、後述する耐温水白化性試験により評価するものとする。なお、耐温水白化性試験において、ΔL≦3であると、充分な耐温水白化性を有するため、建築建材の塗料として用いる際に、色調の変化を防止することで鮮やかな色彩を保つことができる。
(メタ)アクリルエマルション(A)のガラス転移温度は、エマルションを構成する各単量体成分のホモポリマーのガラス転移温度を用いて、下記Foxの式より計算される。
1/Tg=Σ(Wn/Tgn)/100
ここで、Wnは単量体nの質量%、Tgnは単量体nからなるホモポリマーのTg(K:絶対温度)を示す。
すなわち、本発明における(メタ)アクリルエマルション(A)が、オキサゾリン基含有単量体(a)及び反応性基含有単量体(b)を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体(A0)を含み、該重合体(A0)は、Tgの異なる2種類以上の重合体から構成されるものであることは、本発明の好ましい実施形態の1つである。
(メタ)アクリルエマルション(A)がTgの異なる2種類以上の重合体から構成されるものである場合、硬さを付与する成分(硬質部)と軟らかさを付与する成分(軟質部)とが、それぞれ少なくとも1種類ずつ存在すればよい。硬質部のTgとしては、好ましくは60〜150℃、より好ましくは70〜120℃、最も好ましくは80〜106℃であり、軟質部のTgとしては、好ましくは−40〜40℃、より好ましくは−25〜30℃、最も好ましくは−10〜20℃である。硬質部のTgと軟質部のTgの差としては、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上、最も好ましくは70℃以上である。中でも、異なるTgからなる多段重合により得られる重合体が好ましく、最終段のTgがそれ以前の少なくとも1つの重合体を形成する段のTgよりも低いことが成膜性の観点から特に好ましい。
なお、Tgは、上述したFox式による計算値であるが、実測値の場合にも、同様の範囲が好ましい。Tgの実測値は、例えば、Tgは水性樹脂組成物を示差熱走査熱量分析することによって得ることができる。
示差熱走査熱量分析を行う測定装置としては特に限定されず、例えば、DSC220C(セイコーインストゥルメンツ社製)等、市販品を挙げることができる。また、DSC曲線を描画する方法、DSC曲線から一次微分曲線を得る方法、スムージング処理を行う方法、目的のピーク点の温度を求める方法として特に限定されず、上記測定装置によって得られたデータから作図する方法を挙げることができる。上記方法は、通常の数学的処理を行うことができる解析ソフトウェアを用いて行うことが好ましい。上記解析ソフトウェアとしては特に限定されず、例えば、EXSTAR6000(セイコーインストゥルメント社製解析ソフトウェア)等を挙げることができる。なお、このようにして求められたピーク点の温度は、作図による誤差として上下5℃程度の誤差を含む場合がある。
また、重合体を合成する際には、架橋構造を形成し得る官能基を有する単量体は最終段に重合することが好ましい。ただし、それ以前の重合工程に含まれてもよい。(メタ)アクリルエマルション(A)としてパワーフィード構造をもつものを製造する場合は、徐々に架橋構造を形成し得る官能基を有する単量体を増加していくことが好ましい。
オキサゾリン基含有単量体(a)、反応性基含有単量体(b)は、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
なお、上記重合体中のオキサゾリン基の含有量は、1質量%以上であることが好ましい。1質量%未満であると、オキサゾリン基が有する架橋性能が不充分となるおそれがある。
なお、上記重合体中のカルボニル基の含有量は、1質量%以上であることが好ましい。1質量%未満であると、カルボニル基が有する架橋性能が不充分となるおそれがある。
上記カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド等のアルキルアンモニウム塩;等が挙げられる。
上記両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤;等が挙げられる。
すなわち、(メタ)アクリルエマルション(A)が、オキサゾリン基含有単量体(a)、反応性基含有単量体(b)及び反応性乳化剤(c)を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体(A1)や、カルボニル基含有単量体及び反応性乳化剤(c)を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体(A2)を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つである。
このような反応性乳化剤の例を以下に示す。
すなわち、(メタ)アクリルエマルション(A)が、オキサゾリン基含有単量体(a)、反応性基含有単量体(b)及びシランカップリング剤(d)を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体(A3)や、カルボニル基含有単量体及びシランカップリング剤(d)を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体(A4)を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つである。
(R10)n−Si−(R11)4−n (2)
(式(2)中、R10は、ラジカル重合性を有する基であり、R11は、水酸基、アルキル基、エポキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基のうちから選択される1種以上を有する置換基であり、nは、1〜3の整数である。)で示されるSi含有単量体を含むことが好ましい。これによりアクリルポリマー鎖をシロキサン結合によって強固に架橋した構造を形成し、例えば、光酸化触媒反応によるポリマー劣化の抑制や、耐温水白化性、更に耐ブロッキング性を向上させることができる。更に、オキサゾリン基含有単量体(a)と反応性基含有単量体(b)の架橋により、耐候性、耐水白化性、耐ブロッキング性、耐汚染性を大幅に向上させることができる。
このような、塗料用水性樹脂組成物が含む(メタ)アクリルエマルション(A)の製造方法であって、カルボキシル基含有単量体を含む重合性単量体(i)を重合する工程と、オキサゾリン基含有単量体を含む重合性単量体(ii)を重合する工程との、少なくとも2つの工程を含み、該重合性単量体(ii)を重合する工程前の反応系内のpHが6以上である(メタ)アクリルエマルション(A)の製造方法もまた、本発明の1つである。
本発明の(メタ)アクリルエマルション(A)の製造方法は、重合性単量体(i)を重合する工程と、重合性単量体(ii)を重合する工程との、少なくとも2つの工程を含むものである限り、その他の工程を含むものであってもよい。なお、単量体(i)が含むカルボキシル基含有単量体としては、上述した(メタ)アクリル酸系単量体が好ましい。
この場合、水溶性樹脂(B)における官能基(β)を有する重合体の含有割合は、水溶性樹脂(B)100重量部に対して、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、70質量%以上である。更に好ましくは、90質量%以上であり、最も好ましくは、100質量%、すなわち、水溶性樹脂(B)が官能基(β)を有する重合体のみから構成されていることである。含有割合が50質量%未満であると、本発明の塗料用水性樹脂組成物から得られる塗膜が充分な耐候性、耐汚染性等を発揮しないおそれがある。
なお、本発明において、水溶性樹脂(B)には、アルカリ可溶性樹脂が含まれる。
なお、水溶性樹脂(B)は、N−ビニル環状ラクタム単位を有する重合体を含むものである限り、その他の成分を含んでいてもよい。
なお、(メタ)アクリル酸、マレイン酸のエステルとしては、炭素数1〜20のアルキルエステル、ジメチルアミノアルキルエステル及びその四級塩、ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。
また、重合反応の反応温度は、特に限定されないが、0〜200℃が好ましい。より好ましくは、50〜150℃である。
反応圧力は、特に限定されるものではなく、常圧下、減圧下、加圧下のいずれで反応させてもよいが、常圧下又は減圧下で溶媒を沸騰させながら反応させると、効果的に除熱ができ、反応制御が容易となるので好ましい。
重合反応を行う雰囲気は、反応が進行する限り特に制限されるものではないが、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
基幹ポリマーであるN−ビニル環状ラクタム単位を有する重合体は、N−ビニルピロリドンやN−ビニルカプロラクタム等由来のN−ビニル環状ラクタム単位を20質量%以上有するポリマーであることが、グラフト効率を向上させる点から好ましい。基幹ポリマー中のN−ビニル環状ラクタム単位が20質量%未満であると、グラフト鎖として導入されていないカルボキシル基含有不飽和単量体を含むポリマーが副生しやすくなる。
カルボキシル基含有不飽和単量体の割合が、グラフト鎖成分の全重量に対して25質量%未満であると、得られるグラフトポリマーにおいてカルボキシル基の性質を十分に発現されないおそれがある。
なお、グラフト重合反応の方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、沈殿重合等の重合方法によって行うことができるが、これらの中でも溶液重合が好ましい。
上記グラフト重合における反応温度、反応圧力、使用する溶媒等は、上述したN−ビニル環状ラクタム単位を有する重合体の場合と同様である。
<Tg>
各段で用いた単量体組成から、上述したFoxの式を用いて算出した。なお、全ての段で用いた単量体組成から算出したTgを「トータルTg」として記載した。
得られた塗料用水性樹脂組成物約1gを秤量し、熱風乾燥機にて110℃1時間乾燥させ、乾燥残量を、不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で算出し表示した。
pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により25℃での値を測定した。
BM型粘度計(東京計器社製)により30min−1、25℃にて測定した。粘度測定時には、粘度に応じてローターを選定した。
動的光散乱法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems社製「NICOMP Model 380」)を用い、体積平均粒子径を測定した。
熱勾配試験機の上に置いたガラス板上に厚さ0.2mmのアプリケーターで得られた水性樹脂分散体を塗工、乾燥し、その塗膜にクラックの生じた温度を最低成膜温度(MFT)(℃)とした。
製造例A1
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計、及び、還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水432部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水145部、乳化剤(例:アクアロン−HS−10/第一工業製薬社製)の25%水溶液60部、2−エチルヘキシルアクリレート110部、メチルメタクリレート380部、アクリル酸10部からなる滴下用プレエマルションを調整し、そのうち全重合性単量体成分の総量の10%にあたる70.5部をフラスコに添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、過硫酸アンモニウムの5%水溶液30部を添加して重合を開始した。その後、滴下用プレエマルションの残部を240分にわたり均一に滴下した。滴下終了後、同温度で180分間維持し、続けて、25%アンモニア水7部を添加し、系のpHが6以上になったことを確認して重合を終了し、水性樹脂分散体を得た。
表1に、使用した各単量体の量を、使用した全単量体成分合計量100重量部に対する比率(重量部)で示した。得られた(メタ)アクリルエマルション(A1)について、各種物性を評価した。評価結果を表1に示す。
なお、以下において、(メタ)アクリルエマルション(A1)を水性樹脂分散体(A1)とも表記する。以下、同様に表記する。
下記表1に示す乳化剤及び単量体成分を用いて重合した他は、製造例A1と同様にして(メタ)アクリルエマルション(A2)を得た。これについて、製造例A1と同様に各種物性を評価した。評価結果を表1に示す。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計、及び、還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水432部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水72.5部、乳化剤(例:アクアロンHS−10/第一工業製薬社製)の25%水溶液30部、2−エチルヘキシルアクリレート55部、メチルメタクリレート185部、アクリル酸10部からなる一段目のプレエマルションを調整し、そのうち全重合性単量体成分の総量の10%にあたる70.5部をフラスコに添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、過硫酸アンモニウムの5%水溶液30部を添加して重合を開始した。その後、1段目のプレエマルションの残部を120分にわたり均一に滴下した。滴下終了後、同温度で60分間維持し、一段目の重合を終了した。次に25%アンモニア水7部を添加し、系のpHが6以上になったことを確認し、引き続いて、脱イオン水72.5部、乳化剤(例:アクアロンHS−10/第一工業製薬社製)の25%水溶液30部、2−エチルへキシルアクリレート55部、メチルメタクリレート170部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン25部からなる2段目のプレエマルションを120分間にわたって均一に滴下した。滴下終了後、同温度で180分間維持して重合を終了し、水性樹脂分散体を得た。
表1に、一段目、二段目にそれぞれ使用した各単量体の量を、両段で使用した全単量体成分合計量100重量部に対する比率(重量部)で示した。
これについて、製造例A1と同様に各種物性を評価した。評価結果を表1に示す。
下記表1に示す乳化剤及び単量体成分を用いて重合(製造例A4については3段重合)した他は、製造例A1と同様に操作してアクリルエマルション(A2)〜(A13)及び(A19)を得た。
これらについて、製造例A1と同様に各種物性を評価した。評価結果を表1に示す。
2段目滴下前の25%アンモニア水の添加を無しにした以外は、製造例A3と同様の組成、操作で重合し、水性樹脂分散体(A14)を得た。
2段目滴下前に25%アンモニア水2.0部を添加した以外は、製造例A3と同様の組成、操作で重合し、水性樹脂分散体(A15)を得た。
2段目滴下前に25%アンモニア水3.5部を添加した以外は、製造例A3と同様の組成、操作で重合し、水性樹脂分散体(A16)を得た。
2段目滴下前に25%アンモニア水6部を添加した以外は、製造例A3と同様の組成、操作で重合し、水性樹脂分散体(A17)を得た。
2段目滴下前に25%アンモニア水11部を添加した以外は、製造例A3と同様の組成、操作で重合し、水性樹脂分散体(A18)を得た。
表1に示す乳化剤及び単量体成分を用いて重合した他は、製造例A3と同様にして水性樹脂分散体(A20)を得た。
市販品の水溶性アクリル樹脂(商品名:JDX−6500(NV30%)/ジョンソンポリマー社製)を用い、A21とした。
<乳化剤>
アクアロンHS−10:第一工業製薬社製
アデカリアソープSR−10:旭電化工業社製
ハイテノールN−08:第一工業製薬社製
なお、表1で示す乳化剤の数値は、各段(各段での使用量は全て同量)で用いた乳化剤の合計量を示す。すなわち、例えば、「3(部)」と記載していた場合、2段重合の場合は、1段目及び2段目の重合にそれぞれ1.5部ずつ使用したことを示し、また3段重合の場合は、1段目〜3段目の重合にそれぞれ1部ずつ使用したことを示す。
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−70℃)
MMA:メチルメタクリレート(Tg:105℃)
St:スチレン(Tg:100℃)
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート(Tg:83℃)
t−BMA:ターシャリーブチルメタクリレート(Tg:107℃)
AA:アクリル酸(Tg:106℃)
GMA:グリシジルメタクリレート(Tg:40℃)
IPO:2−イソプロペニル−2−オキサゾリン(Tg:100℃)
RUVA:2−[2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(Tg:100℃)
HALS:4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(Tg:130℃)
TMSMA:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(Tg:70℃)
DAAM:ジアセトンアクリルアミド(Tg:65℃)
なお、上記単量体の化合物名の後に括弧書きにて示したTgは、当該単量体からなるホモポリマーのTg(℃)である。
製造例B1
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、脱イオン水206部と、N−ビニルピロリドン90部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。室温下で攪拌しながら、0.1%の硫酸銅水溶液0.045部、25%アンモニア水溶液0.5部、30%過酸化水素水溶液2.1部を加え、重合を開始した。内温が重合熱によって上昇した後、80℃で1.5時間加熱攪拌を続けた。次に、30%過酸化水素水溶液1.0部を加えた後、更に1時間加熱攪拌を続け、ポリビニルピロリドン(PVP)ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液はNV30.0%、K値は29.8であった。
なお、ポリビニルピロリドンポリマーのK値は、ポリビニルピロリドンポリマーを水に1質量%の濃度で溶解させた溶液の粘度を25℃において毛細管粘度計によって測定し、この測定値を用いて次のフィケンチャー式から計算した。K値が高いほど、分子量は高いと言える。
(logηrel)/C=〔(75Ko2)/(1+1.5KoC)〕+KoK=1000Ko
(式中、Cは、溶液100ml中のポリビニルピロリドンのg数を表す。ηrelは、溶媒に対する溶液の粘度を表す。)
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、脱イオン水39.1部と、PVPポリマー溶液(B1)400部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。室温下で攪拌しながら、85℃まで昇温し、温度が一定になったところで、80%アクリル酸水溶液37.5部、脱イオン水75.2部、25%アンモニア水溶液34.5部を混合した水溶液を90分かけて投入した。平行して過硫酸アンモニウム3.7部を脱イオン水69.5部に溶解させた開始剤水溶液を同様に90分かけて投入した。投入終了後、同温度で1時間加熱攪拌を続け、反応を終了した。得られたポリマー溶液はNV29.6%であった。
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、脱イオン水39.1部と、PVPポリマー溶液(B1)305部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。室温下で攪拌しながら、85℃まで昇温し、温度が一定になったところで、80%アクリル酸水溶液73.1部、脱イオン水75.2部、25%アンモニア水溶液34.5部を混合した水溶液を90分かけて投入した。平行して過硫酸アンモニウム3.7部を脱イオン水69.5部に溶解させた開始剤水溶液を同様に90分かけて投入した。投入終了後、同温度で1時間加熱攪拌を続け、反応を終了した。得られたポリマー溶液はNV29.3%であった。
冷却管、窒素導入ライン、温度計を設置した重合容器に、脱イオン水39.1部と、PVPポリマー溶液(B1)400部を加え、窒素を導入して窒素雰囲気とした。室温下で攪拌しながら、85℃まで昇温し、温度が一定になったところで、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン30.0部、脱イオン水82.7部、25%アンモニア水溶液34.5部を混合した水溶液を90分かけて投入した。平行して過硫酸アンモニウム3.7部を脱イオン水69.5部に溶解させた開始剤水溶液を同様に90分かけて投入した。投入終了後、同温度で1時間加熱攪拌を続け、反応を終了した。得られたポリマー溶液はNV29.4%であった。
下記表2に示す単量体成分を用いた以外は、製造例B4と同様に操作してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液はNV29.8%であった。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水1391部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水204部、乳化剤(「ハイテノールN−08/第一工業製薬社製」)の25%水溶液84部、エチルアクリレート385部、メタクリル酸315部からなるプレエマルションを調整し、そのうち全重合性単量体成分の総量の10%にあたる99部をフラスコに添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら75℃まで昇温し、過硫酸アンモニウムの5%水溶液29.4部添加し重合を開始した。その後、1段目のプレエマルションの残部を240分にわたり均一に滴下した。滴下終了後、同温度で180分間維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、300メッシュの金網でろ過して水性樹脂(B7)を得た。得られたポリマー溶液は、NV30.3%であった。
水溶性アクリル樹脂(ジョンソンポリマー社、商品名;JDX−C3000)に脱イオン水を加え、アンモニアでpH8に調整し、80℃1時間攪拌した後、室温まで冷却後、300メッシュの金網でろ過して、不揮発分30%の水性樹脂(B8)を得た。ポリマー溶液は、NV29.5%であった。
市販品のコロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:スノーテックス30、SiO2含有量30%)を用い、水溶性樹脂(B5)とした。ポリマー溶液は、NV30.0%であった。
上記製造例B1〜B8について、表2に示す。
PVP:N−ビニルピロリドンを重合させて得られるホモポリマーであることを表す。
VP−AA:ポリビニルピロリドンにアクリル酸をグラフト重合させたものであることを表す。
VP−OX:ポリビニルピロリドンに2−イソプロペニル−2−オキサゾリンをグラフト重合させたものであることを表す。
VP−DM:ポリビニルピロリドンにジアセトンアクリルアミドをグラフト重合させたものであることを表す。
EA−MA:エチルアクリレートとメタクリル酸との共重合であることを表す。
その他の記載は表1と同様である。
製造例A1で得た(メタ)アクリルエマルション(A1)に、製造例B2で得た水溶性樹脂(B1)を配合固形比が(A1):(B1)=95:5となるように配合し、塗料用水性樹脂組成物1を調整した。得られた塗料用水性樹脂組成物について、下記試験方法に従って物性を評価した。結果を表3に示す。
下記表3、4及び5に示されるように水性樹脂分散体(A1)〜(A21)及び水溶性樹脂(B1)〜(B8)を用いた以外は、参考例1と同様の操作を行って、記載の配合比にて塗料用水性樹脂組成物を調製した。得られた塗料用水性樹脂組成物のそれぞれについて、下記試験方法に従って物性を評価した。結果を表3、4及び5に示す。
製造例A19で得た(メタ)アクリルエマルション(A19)に、製造例B5で得た水溶性樹脂(B5)を配合固形比が(A19):(B5)=95:5となるように配合し、得られた塗料用水性樹脂組成物100部に対して、20%アジピン酸ジヒドラジド水溶液(C1)10部を配合して、塗料用水性樹脂組成物28を調製した。下記試験方法に従って物性を評価した。結果を表4に示す。
下記表4に示されるように水性樹脂分散体(A10)及び水溶性樹脂(B6)、(B7)を用いた以外は、実施例27と同様の操作を行って、記載の配合比にて塗料用水性樹脂組成物を調製した。得られた塗料用水性樹脂組成物のそれぞれについて、下記試験方法に従って物性を評価した。結果を表4に示す。
<物性試験方法>
1、配合
(1)クリヤー塗料配合(塗料配合1)
得られた塗料用水性樹脂組成物をホモディスパー1500min−1下で成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(CS−12:チッソ社製)、及び、ブチルセロソルブの1/1混合溶液を該樹脂組成物のMFTが0〜5℃になるように添加し、希釈水、消泡剤(SNデフォーマー777(シリコン系消泡剤:ノプコ社製)を添加してNV30%に設定し、増粘剤としてアクリセットWR−503A(アルカリ可溶型増粘剤:日本触媒社製)を、クレーブス単位粘度計(VISCOMETER MODEL:KU−1、BROOK FIELD社製)により、25℃にて65±1KUとなるよう添加・調整し、同回転数にて30分間攪拌しクリヤー塗料を得た。そして1日以上経過後、下記2〜6の各試験に供した。
得られた塗料用水性樹脂組成物をホモディスパー1500min−1下で成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(CS−12:チッソ社製)、及び、ブチルセロソルブの1/1混合溶液を該樹脂組成物のMFTが0〜5℃になるように添加し、希釈水、消泡剤(SNデフォーマー777(シリコン系消泡剤:ノプコ社製)を添加してNV30%に設定し、艶消し剤としてエポスターMA1010(日本触媒社製)を該樹脂組成物100部に対し、8.8部添加し、増粘剤としてアクリセットWR−503A(アルカリ可溶型増粘剤:日本触媒社製)を、クレーブス単位粘度計(VISCOMETER MODEL:KU−1、BROOK FIELD社製)により25℃にて65±1KUとなるよう添加・調整し、同回転数にて30分間攪拌しクリヤー塗料を得た。そして1日以上経過後、下記2〜6の各試験に供した。
得られた塗料用水性樹脂組成物をホモディスパー1500min−1下で成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(CS−12:チッソ社製)、及び、ブチルセロソルブの1/1混合溶液を該樹脂組成物のMFTが0〜5℃になるように添加し、希釈水、消泡剤(SNデフォーマー777(シリコン系消泡剤:ノプコ社製)を添加してNV30%に設定し、艶消し剤として、mizukasil P−50(水澤化学工業社製)を該樹脂組成物100部に対し4部添加し、増粘剤としてアクリセットWR−503A(アルカリ可溶型増粘剤:日本触媒社製)を、クレーブス単位粘度計(VISCOMETER MODEL:KU−1、BROOK FIELD社製)により25℃にて65±1KUとなるよう添加・調整し、同回転数にて30分間攪拌しクリヤー塗料を得た。そして1日以上経過後、下記2〜6の各試験に供した。
得られた塗料用水性樹脂組成物をホモディスパー1500min−1下で成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(CS−12:チッソ社製)、及び、ブチルセロソルブの1/1混合溶液を該樹脂組成物のMFTが0〜5℃になるように添加し、希釈水、消泡剤(SNデフォーマー777(シリコン系消泡剤:ノプコ社製)を添加してNV30%に設定し、後述する白色ペーストを該樹脂組成物100部に対し45部添加し、黒色ペースト(ユニラント88、コンクブラック:横浜化成社製)5重量部を添加し、増粘剤としてアクリセットWR−503A(アルカリ可溶型増粘剤:日本触媒社製)を、クレーブス単位粘度計(VISCOMETER MODEL:KU−1、BROOK FIELD社製)により25℃にて65±1KUとなるよう添加・調整し、同回転数にて30分間攪拌しクリヤー塗料を得た。そして1日以上経過後、下記2〜6の各試験に供した。
上記1で得られた樹脂組成物を、JIS K6717(2006年)に準ずるメタクリル酸メチルを用いて押出成形により作製した黒アクリル板(75mm×150mm×3mm、日本テストパネル社製)に5milアプリケーターで塗装し、100℃の熱風乾燥機にて10分間乾燥して、試験板を作成し、23℃にて24時間養生した。養生後、該試験板のL値(L0)を色差計(日本電色工業社製、分光式色差計SE−2000)にて測定し、続けて60℃に調温した温水中に没水浸漬させ試験を開始した。同温度で240時間後、該試験板を温水から引き上げ、キムタオル(クレシア社製)で水分をふき取り、1分以内に上記色差計でL値(L1)を測定した。
ΔL=(L1)−(L0)として、L値の変化値を算出し、下記の基準に従って耐温水白化性を評価した。
−評価基準−
◎:ΔL=2.0未満
〇:ΔL=2.0以上、3.0未満
△:ΔL=3.0以上、4.0未満
×:ΔL=4.0以上、5.0未満
××:ΔL=5.0以上
JIS A5430(2004年)に準ずるスレート板(70mm×150mm×6mm、日本テストパネル社製)に、溶剤系シーラー(エスケー化研社製、商品名「EXシーラー」)を乾燥重量20g/m2になるようにエアスプレーにて塗装し、23℃にて24時間乾燥させた後、下記に示す配合で調整したベースコート用塗料(I)を5milアプリケーターにて塗装し、100℃の熱風乾燥機にて10分間乾燥させた。
(ベースコート用塗料(I))
(1)アクリルエマルション(アクリセットEX−41:日本触媒社製):300部
(2)白色ペースト(下記の調整ペースト):135部
・分散剤(デモールEP:花王社製):60部
(ディスコートN−14:第一工業製薬社製):50部
・湿潤剤(エマルゲンLS−106:花王社製):10部
・プロピレングリコール:60部
・脱イオン水:210部
・酸化チタン(CR−95:石原産業社製):1000重量部
・抑泡剤(ノプコ8034L:サンノプコ社製):10重量部
・ガラスビーズ(直径1mm):500重量部
上記をホモディスバー3000rpm撹拌下で配合。全て加えて60分間撹拌して調製。
(3)成膜助剤(ブチルセロソルブ):15重量部
(CS−12:チッソ社製):15重量部
(4)黒色ペースト(ユニラント88、コンクブラック:横浜化成社製):10重量部
(5)抑泡剤(ノプコ8034L:サンノプコ社製):1.5重量部
その後、上記1で得られた樹脂組成物を5milアプリケーターにて塗装し、100℃の熱風乾燥機にて10分間乾燥させ、試験板を作成し、23℃にて24時間養生した。
養生後の試験板の側面、背面をアルミテープでシールし、該試験板の色差(L0、a0、b0)を色差計(日本電色工業社製、分光式色差計SE−2000)にて測定し、下記の耐侯性試験条件にて1000h試験を行い、上記色差計で、該試験板の色差(L1、a1、b1)を測定し、下記式によりΔEを算出した。
試験機:メタルウェザー(KU−R4型:ダイプラウィンテス社製)
照射:60℃−50% 4時間(照射強度:80mW/cm2)
湿潤:35℃−98% 4時間
シャワー:湿潤前後各30秒
−評価基準−
◎:ΔE=2.0未満
〇:ΔE=2.0以上、3.0未満
△:ΔE=3.0以上、4.0未満
×:ΔE=4.0以上、5.0未満
××:ΔE=5.0以上
耐候性試験と全く同様の条件で試験板を作製した。養生後の試験板の側面、背面を2液硬化型溶剤系樹脂でシールし、凍結融解試験機にて耐凍害性試験を行った。このとき、凍結融解条件は、気中凍結(−20℃で2時間)、水中融解(20℃で2時間)とし、4時間/1サイクルとして、30倍ルーペを用いて試験板にクラックが入るまでのサイクル数を測定し、下記の基準に従って評価した。
◎:400サイクルでクラックなし
○:300〜400サイクルでクラック発生
△:200〜300サイクルでクラック発生
×:100〜200サイクルでクラック発生
××:100サイクル未満でクラック発生
上記1で得られた樹脂組成物を、JIS R3202(1996年)に準ずるフロートガラス板(70mm×150mm×2mm、日本テストパネル社製)に5milアプリケーターで塗装し、100℃の熱風乾燥機にて10分間乾燥して、試験板を作成した後、直ちに該試験板を60℃の熱風乾燥機内に速やかに移動させ、1分間調温後に、該試験板上に、ガーゼ(萬星衛生材料社製、日本薬局方ガーゼタイプ1)、フロートガラス板(70mm×75mm×2mm、日本テストパネル社製)、おもりの順で積載し、同温度で10分間放置した。このとき、荷重は280g/cm2になるようにした。その後、試験板を室温まで冷却した後、該試験板上のガーゼをゆっくりと剥離して塗膜の状態を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
−評価基準−
◎:異常なし(ガーゼ痕なし)
○:わずかにガーゼ痕あり
△:浅くガーゼ痕あり
×:深くガーゼ痕あり
××:ガーゼの剥離が困難
ベースコート用塗料(I)に代えてベースコート用塗料(II)を使用した以外は全て上記4の耐候性試験と同じ条件で試験板を作製した。なお、ベースコート用塗料(II)とは、上述したベースコート用塗料(I)のうち、(4)黒色ペーストを使用しない以外は全て同じ配合にて調製したものである。
養生後、該試験板のL値(L0)を色差計(日本電色工業社製、分光式色差計SE−2000)にて測定し、JIS Z2381(大気暴露試験方法通則)に準じ、以下の条件にて屋外暴露試験を行った。1ヶ月後、6ヶ月後に試験板を引き上げ、上記色差計でL値(L1)を測定した。
ΔL=(L1)−(L0)として、L値の変化値を算出し、1ヶ月後のL値で初期汚染性、6ヶ月後のL値で長期汚染性を評価した。
−試験条件−
南面30度、直接暴露(暴露地:大阪府吹田市/(株)日本触媒敷地内)
−評価基準−
◎:ΔL=2.0未満
〇:ΔL=2.0以上、3.0未満
△:ΔL=3.0以上、4.0未満
×:ΔL=4.0以上、5.0未満
××:ΔL=5.0以上
Claims (10)
- 乳化重合によって得られる(メタ)アクリルエマルション(A)と、水溶性樹脂(B)とを必須として構成される塗料用水性樹脂組成物であって、
該塗料用水性樹脂組成物は、(メタ)アクリルエマルション(A)と水溶性樹脂(B)とが架橋構造を形成し得るものであって、
該(メタ)アクリルエマルション(A)が官能基(α)を有する重合体を含むものであり、該水溶性樹脂(B)が該官能基(α)と架橋構造を形成し得る官能基(β)を有する重合体を含むものであり、
該官能基(β)を有する重合体は、N−ビニル環状ラクタム単位を有する重合体であり、
該(メタ)アクリルエマルション(A)が、カルボキシル基含有単量体を含む重合性単量体(i)を重合した後に、オキサゾリン基含有単量体を含む重合性単量体(ii)を更に加えて重合を行う段階的重合工程によって製造されるものである場合には、該(メタ)アクリルエマルション(A)は、重合性単量体(ii)を重合する工程前の反応系のpHを10未満に設定して重合性単量体(ii)を重合する工程を行うことで製造される
ことを特徴とする塗料用水性樹脂組成物。 - 前記架橋構造を形成し得る官能基(α)及び(β)は、オキサゾリン基及び/又はカルボキシル基であることを特徴とする請求項1に記載の塗料用水性樹脂組成物。
- 前記架橋構造を形成し得る官能基(α)及び(β)は、官能基(α)がオキサゾリン基であり、官能基(β)がカルボキシル基であることを特徴とする請求項2に記載の塗料用水性樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリルエマルション(A)は、オキサゾリン基含有単量体(a)、反応性基含有単量体(b)及び反応性乳化剤(c)を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体(A1)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗料用水性樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリルエマルション(A)は、オキサゾリン基含有単量体(a)、反応性基含有単量体(b)及びシランカップリング剤(d)を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体(A3)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗料用水性樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリルエマルション(A)は、オキサゾリン基含有単量体(a)及び反応性基含有単量体(b)を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体(A0)を含み、
該重合体(A0)は、Tgの異なる2種類以上の重合体から構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗料用水性樹脂組成物。 - 前記塗料用水性樹脂組成物は、それによって形成される膜の耐温水白化性がΔL≦3であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の塗料用水性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の塗料用水性樹脂組成物によって構成されることを特徴とする窯業系無機建材用トップコート塗料用水性樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の塗料用水性樹脂組成物が含む(メタ)アクリルエマルション(A)の製造方法であって、
該製造方法は、重合性単量体を2段階以上で段階的に重合させる製造方法であり、カルボキシル基含有単量体を含む重合性単量体を重合する工程と、オキサゾリン基含有単量体を含む重合性単量体を重合する工程との、少なくとも2つの工程を含み、該オキサゾリン基含有単量体を含む重合性単量体を重合する工程前の反応系内のpHが6以上であることを特徴とする(メタ)アクリルエマルション(A)の製造方法。 - 前記製造方法は、オキサゾリン基含有単量体を含む重合性単量体を重合する工程を行う前の反応系内のpHを6以上とすることを特徴とする請求項9に記載の(メタ)アクリルエマルション(A)の製造方法。
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