JP2004339473A - エマルション塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い光沢値の塗膜を得られることと塗料の安定性とを両立することができるエマルション塗料組成物を提供する。
【解決手段】ガラス板上に、乾燥膜厚が50μmとなるようにアプリケータで塗布した後、JIS K 5600に定められた標準条件において1日放置させて得られる塗膜の60度光沢値が70以上であり、かつ、pHが7〜11のエマルション樹脂と、固形分酸価が90以下である水溶性樹脂および顔料からなる顔料分散ペーストとを、上記エマルション樹脂/上記水溶性樹脂の固形分質量比が25/1〜60/1となるように含んでいることを特徴とするエマルション塗料組成物であり、水溶性樹脂/顔料の固形分質量比は、0.5/100〜5/100であることが好ましい。
【解決手段】ガラス板上に、乾燥膜厚が50μmとなるようにアプリケータで塗布した後、JIS K 5600に定められた標準条件において1日放置させて得られる塗膜の60度光沢値が70以上であり、かつ、pHが7〜11のエマルション樹脂と、固形分酸価が90以下である水溶性樹脂および顔料からなる顔料分散ペーストとを、上記エマルション樹脂/上記水溶性樹脂の固形分質量比が25/1〜60/1となるように含んでいることを特徴とするエマルション塗料組成物であり、水溶性樹脂/顔料の固形分質量比は、0.5/100〜5/100であることが好ましい。
Description
本発明は、建築物の外装および内装に用いられる、エマルション塗料組成物に関し、特に、高光沢塗膜を形成するエマルション塗料組成物に関する。
建築物の外装や内装に塗布される塗料としては、環境問題の観点から、エマルション樹脂を利用した水性塗料が用いられている。それらは60度の光沢値が70以上である高光沢塗膜を得ることができる艶有り塗料と、それ未満の光沢値を有する塗膜を得ることができる5分ヅヤ、3分ヅヤ等の艶消し塗料とに大別することができる。(例えば、非特許文献1参照。)
エマルション樹脂を利用した艶有り塗料は、一般に、着色顔料を水溶性樹脂に分散させたものを原材料として使用している。この場合、分散安定性および樹脂自体の安定性を確保するため、水溶性樹脂は、比較的高い酸価を有することが必要とされている。一方、塗料の安定性を確保するためにエマルション樹脂のpHは7以上に設定されていることが多い。
エマルション樹脂を利用した艶有り塗料は、一般に、着色顔料を水溶性樹脂に分散させたものを原材料として使用している。この場合、分散安定性および樹脂自体の安定性を確保するため、水溶性樹脂は、比較的高い酸価を有することが必要とされている。一方、塗料の安定性を確保するためにエマルション樹脂のpHは7以上に設定されていることが多い。
このようにpHが7以上のエマルション樹脂と比較的高い酸価を有する水溶性樹脂とを含んだ水性塗料では樹脂同士で中和の競争反応が起こり、例えば、水溶性樹脂の安定性が低下することによって顔料が凝集し、結果的に得られる塗膜の光沢値が不充分となり、設計時の光沢が得られない場合があった。
ところで、塗料中に含まれる有機溶剤等の有機化合物は、水溶性樹脂やエマルション樹脂の安定性を向上する働きがあることが経験的にわかっている。しかしながら、環境への配慮として、揮発性有機化合物(VOC)の含有量を1質量%以下とすることが切望されている。
関西ペイント株式会社技術研究所著、「やさしい技術解説シリーズ(3)水性塗料の技術動向」、第1版、日本塗料新聞社、1994年4月1日、p.240−270
関西ペイント株式会社技術研究所著、「やさしい技術解説シリーズ(3)水性塗料の技術動向」、第1版、日本塗料新聞社、1994年4月1日、p.240−270
本発明は、高い光沢値の塗膜を得られることと塗料の安定性とを両立することができるエマルション塗料組成物を提供することにある。
本発明は、ガラス板上に、乾燥膜厚が50μmとなるようにアプリケータで塗布した後、JISK 5600に定められた標準条件において1日放置させて得られる塗膜の60度光沢値が70以上であり、かつ、pHが7〜11のエマルション樹脂組成物、固形分酸価が90以下である水溶性樹脂および顔料を、上記エマルション樹脂組成物/上記水溶性樹脂の固形分質量比が25/1〜60/1となるように含んでいることを特徴とするエマルション塗料組成物であり、水溶性樹脂/顔料の固形分質量比は、0.5/100〜5/100であることが好ましく、エマルション樹脂組成物は、ガラス転移温度が−40〜−5℃であるモノマー混合液から得られる別のエマルション樹脂を含んでいることが好ましい。
ここで、顔料体積濃度は、例えば、10〜25%であり、揮発性有機化合物の含有量が1質量%以下であることが好ましい。
また、本発明は、基材に対して、上記のエマルション塗料組成物を塗布して塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法である。
本発明のエマルション塗料組成物は、エマルション樹脂組成物、水溶性樹脂および顔料を、それぞれ所定の種類および割合で含んでいるので、エマルション樹脂組成物の安定性が高く、塗料自体の安定性と塗膜の高光沢とを高い次元で両立することができる。これは、pH範囲を調整することでエマルション樹脂組成物と水溶性樹脂との間で引き起こされる中和反応が抑制され、水溶性樹脂が顔料から脱離するのを防止できることによって塗料全体の安定性が向上したことによると考えられる。
本発明のエマルション塗料組成物は、ガラス板上に、乾燥膜厚が50μmとなるようにアプリケータで塗布した後、JIS K 5600に定められた標準条件において1日放置させて得られる塗膜の60度光沢値が70以上である。すなわち得られる塗膜は、高光沢値を有している。上記光沢値の測定方法としては特に限定されず、当業者によってよく知られている光沢計を挙げることができる。
本発明のエマルション塗料組成物は、pHが7〜11のエマルション樹脂組成物、固形分酸価が90以下である水溶性樹脂および顔料を、上記エマルション樹脂組成物/上記水溶性樹脂の固形分質量比が25/1〜60/1となるように含んでいる。
本発明のエマルション塗料組成物に含まれるエマルション樹脂組成物は、pHは7以上、11以下である。pHが7未満であると、上記エマルション樹脂組成物の安定性が低下し、ひいては塗料の安定性を低下させることになり、また、pHが11を超えると強いアルカリ性を示すため、取り扱い時の安全性の点で問題になる。好ましくは7.5以上、9.5以下である。
上記エマルション樹脂組成物に含まれるエマルション樹脂はモノマー混合液を乳化重合して得ることができるが、pHの調整は、このモノマー混合液中に含まれるモノマーや、中和のために用いられる化合物等の種類の選択および量の調整によって行うことができる。
上記モノマー混合液は、例えば、得られるエマルション樹脂が水中で安定に分散できるように、酸基含有エチレン性不飽和モノマーまたは塩基性基含有エチレン性不飽和モノマーを含んでいることが好ましい。上記酸基含有エチレン性不飽和モノマーとして具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α−ハイドロ−ω−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]ポリ[オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル)]、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3−ビニルサリチル酸、3−ビニルアセチルサリチル酸等のカルボン酸基含有不飽和モノマー等を挙げることができる。また、塩基性基含有エチレン性不飽和モノマーとして具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和モノマー等を挙げることができる。
上記モノマー混合液は、その他のモノマーを含むことができ、具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等のアミド基含有不飽和モノマー;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボニル基含有不飽和モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチルエステル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;スチレン、メチルスチレンのビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル等を挙げることができる。
上記エマルション樹脂は、エマルジョンの安定性、造膜性の観点から、上記酸基含有エチレン性不飽和モノマーを含んだモノマー混合液を乳化重合することによって得られるものであることが好ましい。ここで、上記モノマー混合液の酸価は5以上、30以下であることが好ましい。5未満であると得られるエマルション樹脂の機械的安定性が低下する恐れがあり、30を超えると得られるエマルション樹脂が増粘して取り扱いが困難になる恐れがある。
また、上記モノマー混合液は1分子中に2つ以上の不飽和基を有する架橋性モノマーと連鎖移動剤とを含むことができる。
上記架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジアリルフタレート等を挙げることができる。
また、上記連鎖移動剤としては、具体的には、ラウリルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオグリコール酸−2−エチルへキシル、2−メチル−5−t−ブチルチオフェノール、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。
上記架橋性モノマーと上記連鎖移動剤とを含む場合、上記架橋性モノマーと上記連鎖移動剤との質量比は、得られるエマルション樹脂の安定性および得られる低温造膜性の観点から、2/1以上、30/1以下であることが好ましく、かつ、上記モノマー混合液に占める上記架橋性モノマーの含有率は1〜6質量%であることが好ましい。さらに、得られる塗膜のタック性および低温造膜性の観点から、上記モノマー混合液中に占める上記連鎖移動剤の含有率は0.1質量%以上、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
上記モノマー混合液のガラス転移温度(Tg)は、−40℃以上、−5℃以下である。Tgが−40℃未満の場合は得られる塗膜のタック性が不充分になる恐れがあり、Tgが−5℃を超える場合は得られる塗膜の低温造膜性が不充分になる恐れがある。好ましくは、−10℃以下である。なお、上記Tgは個々のモノマーから得られるホモポリマーのTgを意味する。
また、得られるエマルション樹脂の安定性の観点から、上記モノマー混合液は上記酸基含有不飽和モノマーとしてカルボン酸基含有不飽和モノマーを含んでいて、モノマー混合液の酸価が5以上、50以下であることが好ましい。さらに好ましくは、10以上、40以下である。
上記エマルション樹脂は上記モノマー混合液を乳化重合して得ることができる。上記乳化重合方法としては当業者によってよく知られた方法を用いることができ、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物;亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤と上記開始剤のような酸化剤を組み合わせたもの等のレドックス開始剤;4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系化合物等の重合開始剤を上記モノマー混合液に対して0.1〜3質量%含有させる方法等を挙げることができる。なお、上記モノマー混合液が上記架橋性モノマーと上記連鎖移動剤とを含む場合は、1段の乳化重合を行うことが好ましい。
上記中和に用いられる化合物としては特に限定されないが、環境に対する配慮の観点から、揮発性の比較的低い有機化合物または無機化合物が好ましい。このようなものとして、上記エマルション樹脂が酸基含有エチレン性不飽和モノマーを含んだモノマー混合液を乳化重合することによって得られるものである場合は、具体的には、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の塩基性有機化合物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性無機化合物を挙げることができる。また、上記エマルション樹脂が塩基含有エチレン性不飽和モノマーを含んだモノマー混合液を乳化重合して得られるものである場合は、具体的には、酢酸、乳酸等を挙げることができる。
上記エマルション樹脂組成物は、さらに、上記の酸基含有エチレン性不飽和モノマーまたは塩基性基含有エチレン性不飽和モノマー、および、その他のモノマーを含むガラス転移温度が20〜100℃である別のモノマー混合液を乳化重合することによって得られる、別のエマルション樹脂を含むことができる。この樹脂によって得られる塗膜のタック性を向上させることができる。なお、造膜性の観点から、上記別のモノマー混合液には、上記架橋性モノマーを含んでいないことが好ましい。上記別のエマルション樹脂を含む場合、上記エマルション樹脂/上記別のエマルション樹脂の固形分比が6/4以上、9/1以下であることが好ましい。上記範囲外では、得られる塗膜のタック性を向上させることができない。好ましくは7/3以上、8/2以下である。
本発明のエマルション塗料組成物に含まれる水溶性樹脂としては、例えば、親水性官能基を有している。上記親水性官能基としては特に限定されず、例えば、水酸基、アミド基およびポリオキシアルキレン基等のノニオン性官能基;アミノ基、イミノ基およびヒドラジノ基等のカチオン性官能基およびカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性官能基を挙げることができる。ここで、上記水溶性樹脂は固形分酸価が90以下である。90を超えると得られる塗膜の60度光沢値が低下する。また、数平均分子量は、例えば、1000〜100万程度のものである。このような水溶性樹脂は当業者によってよく知られた方法で製造することができる。
このようなもので市販されているものとしては、具体的には、ディスパービック190(固形分酸価25)、ディスパービック191(固形分酸価30)、ディスパービック192(固形分酸価0)、ディスパービック184(固形分酸価0)、ディスパービック185(固形分酸価0)(以上、ビックケミー社製)、EFKA−4540(固形分酸価0)、EFKA−4550(固形分酸価0)、EFKA−4560(固形分酸価0)(以上、EFKAケミカル社製)、フローレン720W(固形分酸価89)、フローレン740W(固形分酸価0)、フローレン745W(固形分酸価44)、フローレンTG−750W(固形分酸価25)、フローレン760W(固形分酸価0)(以上、共栄社化学社製)等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のエマルション塗料組成物に含まれる顔料としては特に限定されず、例えば、黄鉛、黄色酸化鉄、酸化鉄、カーボンブラック、二酸化チタン等の無機顔料;アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等の有機顔料等の着色顔料や、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、クレー、タルク等の体質顔料を挙げることができる。
本発明のエマルション塗料組成物における上記水溶性樹脂/上記顔料の固形分質量比は、0.5/100以上、5/100以下であることが好ましい。上記範囲外では顔料分散性が低下したり、得られた塗膜の耐水性が低下する。顔料分散性、耐水性の観点から、1.5/100以上、4.5/100以下であることがさらに好ましい。
本発明のエマルション塗料組成物は、上記エマルション樹脂/上記水溶性樹脂の固形分質量比が、25/1以上、60/1以下である。上記範囲外では光沢が低下したり、タック性、塗膜隠蔽性が低下する。これらの観点から、30/1以上、45/1以下であることが好ましい。
なお、本発明のエマルション塗料組成物の顔料体積濃度は、10〜25%であることが好ましい。10%未満であるとタック性が低下する恐れがあり、25%を超えると得られる塗膜の60度の光沢値や低温造膜性が低下する恐れがある。
本発明のエマルション塗料組成物は、オキサゾリン基含有樹脂および/またはカルボジイミド基含有化合物を含んでいてよい。これらのものを含むことで、被塗装物表面に対する付着性を向上させることができる。上記オキサゾリン基含有樹脂としては特に限定されず、水分散あるいは水溶化されたものを挙げることができ、例えば、1分子中の側鎖に少なくとも1つのオキサゾリン基を有するものを挙げることができる。
このようなオキサゾリン基含有樹脂で市販されているものとしては、例えば、水溶性タイプとしてエポクロスWS−700(日本触媒社製)等、水分散タイプとしてエポクロスK−2010E、エポクロスK−2020E、エポクロスK−2030E(いずれも日本触媒社製)等を挙げることができる。
上記カルボジイミド基含有化合物としては特に限定されず、水分散あるいは水溶化されたものを挙げることができ、例えば、1分子中に少なくとも1つのカルボジイミド基を有するものを挙げることができる。上記カルボジイミド基含有化合物としては、例えば、有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応によりイソシアネート末端ポリカルボジイミドを合成した後、更にイソシアネート基との反応性を有する官能基を持つ親水性化合物を付加することにより得ることができる。このようなカルボジイミド基含有化合物で市販されているものとしては、具体的には、水溶液タイプとしてカルボジライトV−02、カルボジライトV−02−L2、カルボジライトV−04、カルボジライトV−06(いずれも日清紡績社製)等、水分散タイプとしてカルボジライトE−01、カルボジライトE−02(いずれも日清紡績社製)等を挙げることができる。
上記オキサゾリン基含有樹脂およびカルボジイミド基含有化合物を含む場合、上記エマルション樹脂組成物固形分100質量部に対する上記オキサゾリン基含有樹脂およびカルボジイミド基含有化合物の固形分の和は0.3〜5質量部であることが好ましい。0.3質量部未満であると、付着性が不充分になる恐れがあり、5質量部を超えると、それに見合う効果が得られず、経済的でない。
本発明のエマルション塗料組成物は、さらに、必要に応じて、上記エマルション樹脂組成物に含まれるエマルション樹脂の有する反応性官能基と架橋反応可能な硬化剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、凍結防止剤、造膜助剤等、当業者によってよく知られているものを含むことができる。
上記凍結防止剤および上記造膜助剤はVOCに該当するものが多く、環境に対する配慮の観点から、これらを含まないことが好ましい。なお、本発明のエマルション塗料組成物は、上記凍結防止剤および上記造膜助剤を含まなくても、充分な凍結防止性能および造膜性能に優れている。
本発明のエマルション塗料組成物は、環境に対する配慮の観点から、VOCの含有量が1質量%以下であることが好ましい。上記VOCは常圧において揮発性を有する有機化合物であり、VOCの含有量を1質量%以下である場合は、本発明の効果がより発揮される。なお、エマルション塗料組成物中のVOCの有無および含有量は、水素炎イオン化検出器(FID検出器)付きガスクロマトグラフィによる分析等、当業者によってよく知られた方法を用いて得ることができる。
本発明の塗膜形成方法は、基材に対して、上述のエマルション塗料組成物を塗布することを特徴とするものである。上記基材としては特に限定されず、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム等およびその表面処理物の金属基材、セメント類、石灰類、石膏類等のセメント系基材、ポリ塩化ビニル類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、アクリル類等のプラスチック系基材等、および、これらからなる建築物や構造物等を挙げることができる。
また、塗布する方法としては特に限定されず、例えば、刷毛塗り、ローラー塗装、ロールコーター、カーテンフローコート、スプレー塗装等により種々の基材に対して行うことができる。塗装後、常温放置または強制的に加熱して乾燥・硬化させることによって塗膜を得ることができる。なお、塗布量、塗装膜厚および乾燥・硬化時間は、塗料の種類や適用する基材に応じて任意に設定することができる。
なお、上記基材は、表面にシーラー、下塗りまたは中塗りが塗布されていてもよい。上記シーラーは、一般に下地調整材として用いられるものであり、特に基材がセメント系基材のように多孔質である場合、基材と上塗りや中塗りとの付着性向上、直上に塗布される塗料の吸い込み防止、脆弱な下地の補強、下地からのアルカリ成分の溶出抑制、シミや汚れのブリード防止を目的として施されるものである。
上記下塗りおよび中塗りは、一般に、下地隠蔽性や、下地の変形による上塗りの割れ防止のための応力緩和等を目的として用いられるものである。上記シーラー、下塗りおよび中塗りとしては特に限定されず、アクリル系、アルキド系、ポリエステル系、塩化ビニル系およびエポキシ系等、当業者によってよく知られているものを挙げることができる。形態は有機溶剤型、水性型いずれであってもよいが、環境への配慮から、水性型であることが好ましい。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下において「部」とあるのは「質量部」を意味する。
製造例1 顔料分散ペースト1の製造
タイペークCR−50(石原産業社製二酸化チタン)200部、SP−600N(ダイセル社製ヒドロキシセルロース系増粘剤)1部、SNデフォーマ1070(サンノプコ社製消泡剤)1部、ディスパービック190(ビックケミー社製顔料分散剤、固形分40%、固形分酸価10)15部およびイオン交換水53部を混合した後、ガラスビーズを用いディスパーにて分散し、顔料分散ペーストを得た。
タイペークCR−50(石原産業社製二酸化チタン)200部、SP−600N(ダイセル社製ヒドロキシセルロース系増粘剤)1部、SNデフォーマ1070(サンノプコ社製消泡剤)1部、ディスパービック190(ビックケミー社製顔料分散剤、固形分40%、固形分酸価10)15部およびイオン交換水53部を混合した後、ガラスビーズを用いディスパーにて分散し、顔料分散ペーストを得た。
製造例2〜8 顔料分散ペースト2〜8の製造
表1の配合に基づいてディスパービック190を各水溶性樹脂に代えたこと以外、製造例1と同様にして顔料分散ペースト2〜8を製造した。
表1の配合に基づいてディスパービック190を各水溶性樹脂に代えたこと以外、製造例1と同様にして顔料分散ペースト2〜8を製造した。
実施例1
滴下漏斗、温度計、窒素導入管、還流冷却器および撹拌機を備えたセパラブルフラスコにイオン交換水34.5部、ペレックスSS−H(花王社製アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)0.3部を仕込み、窒素雰囲気のもとで80℃に昇温した。スチレン13部、2−エチルへキシルアクリレート57部、メチルメタクリレート27部、ジアセトンアクリルアミド1部およびメタクリル酸2部からなる、Tgが19℃、酸価が13であるモノマー混合液に、ペレックスSS−H1.2部をイオン交換水50部に溶解させた乳化剤水溶液中に加え、ミキサーを用いて乳化させてプレエマルジョンを調製した。このようにして得られたプレエマルションと過硫酸アンモニウム10.3部をイオン交換水13部に溶解させた開始剤水溶液を別個の滴下漏斗から同時に滴下した。前者は120分間、後者は150分間にわたって均等に滴下を開始した。滴下終了後、同温度でさらに120分間反応を継続し、冷却してエマルション樹脂を得た。このエマルション樹脂に対してアンモニア水を添加し、各々pHが6、7、9、12であるエマルション樹脂a〜dを得て、各々エマルション樹脂組成物とした。
滴下漏斗、温度計、窒素導入管、還流冷却器および撹拌機を備えたセパラブルフラスコにイオン交換水34.5部、ペレックスSS−H(花王社製アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)0.3部を仕込み、窒素雰囲気のもとで80℃に昇温した。スチレン13部、2−エチルへキシルアクリレート57部、メチルメタクリレート27部、ジアセトンアクリルアミド1部およびメタクリル酸2部からなる、Tgが19℃、酸価が13であるモノマー混合液に、ペレックスSS−H1.2部をイオン交換水50部に溶解させた乳化剤水溶液中に加え、ミキサーを用いて乳化させてプレエマルジョンを調製した。このようにして得られたプレエマルションと過硫酸アンモニウム10.3部をイオン交換水13部に溶解させた開始剤水溶液を別個の滴下漏斗から同時に滴下した。前者は120分間、後者は150分間にわたって均等に滴下を開始した。滴下終了後、同温度でさらに120分間反応を継続し、冷却してエマルション樹脂を得た。このエマルション樹脂に対してアンモニア水を添加し、各々pHが6、7、9、12であるエマルション樹脂a〜dを得て、各々エマルション樹脂組成物とした。
なお、各エマルション樹脂組成物のうち、pHが6である各aのエマルション樹脂組成物は調製後に塗料化のために撹拌していたところ凝集物が多量に発生したため、機械的安定性が不充分と考え、塗料化しなかった。
上記エマルション樹脂b〜dのそれぞれ290部に対して、製造例1で得られた顔料分散ペースト1を150部、SNデフォーマ1070を5部、アジピン酸ジヒドラジド5%水溶液14部、アデカノールUH−420(旭電化社製ウレタン系増粘剤)を6部およびイオン交換水35部を混合して、各々、エマルション樹脂組成物/水溶性樹脂の固形分質量比が43/1、水溶性樹脂/顔料の固形分質量比が3/100、顔料体積濃度が17%のエマルション塗料組成物を得た。
これら塗料に含まれる揮発性有機化合物(VOC)の含有量をFID検出器付きHP−5890(ヒューレットパッカード社製ガスクロマトグラフィ)にて分析し、検出された揮発成分のピーク面積の合計を予め作成したトルエン標準サンプルの検量線式に代入して求めたところ、いずれも0.1質量%であった。
得られた各エマルション塗料組成物を、JIS K 5600で定められた標準条件下でガラス板上にアプリケータを用いて乾燥膜厚が50μmとなるように塗布した後、同条件下で1時間放置し、さらに40℃の恒温室にて24時間放置して光沢値評価板を得た。
実施例2〜4および比較例1〜4
製造例1で得られた顔料分散ペースト1に代えて各々製造例2〜8で得られた顔料分散ペースト2〜8を用いたこと以外、実施例1と同様にして、各々顔料体積濃度が17%のエマルション塗料組成物を得た。これらの塗料に含まれるVOCの含有量を実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィにて分析したところ、いずれも0.1質量%であった。
製造例1で得られた顔料分散ペースト1に代えて各々製造例2〜8で得られた顔料分散ペースト2〜8を用いたこと以外、実施例1と同様にして、各々顔料体積濃度が17%のエマルション塗料組成物を得た。これらの塗料に含まれるVOCの含有量を実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィにて分析したところ、いずれも0.1質量%であった。
評価試験
得られた各光沢値評価板の60度光沢値を光沢計(ビックケミー社製micro−TRI−gloss)にて測定した。なお、評価結果は表2に示した。
得られた各光沢値評価板の60度光沢値を光沢計(ビックケミー社製micro−TRI−gloss)にて測定した。なお、評価結果は表2に示した。
表2から明らかなように、本発明のエマルション塗料組成物は、塗料自体の安定性と得られた塗膜の高光沢とを高い次元で両立していることがわかった。
本発明のエマルション塗料組成物は建築物の外装および内装に対して用いることができ、VOCが1質量%以下である場合は、学校等の公共施設や不特定多数の人間が集散する建築物等に対して特に好適である。
Claims (6)
- ガラス板上に、乾燥膜厚が50μmとなるようにアプリケータで塗布した後、JIS K 5600に定められた標準条件において1日放置させて得られる塗膜の60度光沢値が70以上であり、かつ、pHが7〜11のエマルション樹脂組成物、固形分酸価が90以下である水溶性樹脂および顔料を、前記エマルション樹脂組成物/前記水溶性樹脂の固形分質量比が25/1〜60/1となるように含んでいることを特徴とするエマルション塗料組成物。
- 前記水溶性樹脂/前記顔料の固形分質量比は、0.5/100〜5/100である請求項1に記載のエマルション塗料組成物。
- 前記エマルション樹脂組成物は、ガラス転移温度が−40〜−5℃であるモノマー混合液から得られる別のエマルション樹脂を含んでいる請求項1または2に記載のエマルション塗料組成物。
- 顔料体積濃度は10〜25%である請求項1〜3のいずれか1つに記載のエマルション塗料組成物。
- 揮発性有機化合物の含有量が1質量%以下である請求項1〜4のいずれか1つに記載のエマルション塗料組成物。
- 基材に対して、請求項1〜5のうちのいずれか1つのエマルション塗料組成物を塗布して塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法。
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JP5290951B2 (ja) * | 2007-02-23 | 2013-09-18 | 株式会社日本触媒 | 塗料用水性樹脂組成物 |
-
2004
- 2004-01-20 JP JP2004011862A patent/JP2004339473A/ja active Pending
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