JP5277346B2 - 車両の旋回制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、制動を利用して車両の旋回を制御する車両の旋回制御装置に関する。
本願は、2010年3月4日に、日本に出願された特願2010−047832号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
この種の旋回制御装置の一例として、車両の左右方向の加速度(以下、横加速度という)と車速に基づいて算出される横G規範ヨーレートと車両の実ヨーレートとの偏差を0に近づける方向に、特定の車輪を制動制御することにより、車両挙動の安定化を図るものが知られている。
また、別の旋回制御装置の例として、制動時に、旋回状態(例えば、操舵角や操舵角の変化率)に応じて、前輪の左右の制動力を異ならせるとともに後輪の左右の制動力を異ならせるように制御することにより、ヨーモーメントをアシストし、回頭性の向上を図るものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、操舵角速度または操舵角加速度に基づき算出した第1ヨーモーメントと、操舵角と車速とヨーレートに基づき算出した第2ヨーモーメントと、を加算して修正ヨーモーメントを算出し、この修正ヨーモーメントを発生するように前輪の左右の制動力を異ならせるとともに後輪の左右の制動力を異ならせるように制御して、回頭性の向上を図るものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
日本国特許第2572860号公報 日本国特開2005−153716号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載の旋回制御装置では、制動時の旋回時に常にヨーモーメントをアシストするので、ヨーモーメントが過大となって安定性が低減する場合が考えられ、現実的ではない。また、通常旋回時の応答性を向上させることはできない。
一方、前記特許文献2に記載の旋回制御装置は、急旋回時(操舵角速度や操舵角加速度が大きいとき)に前記第1ヨーモーメントが大きく反映されるようになっており、このときには回頭性が向上するが、通常旋回時には効果的でない。また、通常旋回時の応答性を向上させることはできない。
そこで、この発明の課題は、通常旋回時の応答性を向上させることができる車両の旋回制御装置を提供することである。
この発明に係る車両の旋回制御装置では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
(1) 本発明の一態様に係る装置は、前記車両の走行状態に基づいて左右車輪に制動力を付与することにより車体にヨーモーメントを発生可能な車両の旋回制御装置であって、車両の操舵量を検知する操舵量検知部と;前記車両の車速を検知または推定する車速検知部と;前記車両の左右方向の加速度を検知する横加速度検知部と;前記車両のヨーレートを検知するヨーレート検知部と;前記操舵量検知部および前記車速検知部の検知信号に基づいて第1の制動力制御量を決定する第1制動力制御量演算部と;前記横加速度検知部および前記車速検知部の検知信号に基づいて算出した規範ヨーレートと前記ヨーレート検知部により検知された実ヨーレートとの偏差であるヨーレート偏差を算出し、前記ヨーレート偏差を打ち消すように第2の制動力制御量を決定する第2制動力制御量演算部と;前記第1制動力制御量演算部が決定した前記第1の制動力制御量と前記第2制動力制御量演算部が決定した前記第2の制動力制御量とを加算または乗算することにより得られる総制動力制御量に基づいて前記制動力を制御する制動制御部と;を備える。
(2) 上記(1)の装置で、前記第1制動力制御量演算部は、前記車速が大きいほど前記第1の制動力制御量を小さく設定してもよい。
(3) 上記(1)または(2)の装置で、アクセル開度またはアクセルペダル操作量に基づいて要求トルクの大きさを検知する要求トルク検知部を更に備え、
前記第1制動力制御量演算部は、前記要求トルク検知部の検知信号が所定値よりも小さいときに、車速が小さいほど前記第1の制動力制御量を大きくしてもよい。
(4) 上記(1)〜(3)の装置で、前記第1制動力制御量演算部は、前記操舵量検知部の検知信号に基づいて算出される転舵速度または転舵量が大きいほど前記第1の制動力制御量を大きくしてもよい。
(5) 上記(1)の装置で、前記第1制動力制御量演算部は、横加速度が大きいほど前記第1の制動力制御量を小さくしてもよい。
上記(1)の発明では、車体挙動(横Gおよびヨーレート)に基づき算出されたフィードバック制御量に、操舵入力(操舵角)に基づき算出されたフィードフォワード制御量を加算または乗算して得られる総制御量に基づいて制動力を制御する。このため、車両挙動の安定性を確保しつつ、操舵の応答性を向上させることができる。また、操舵の追従性も向上する。例えば、定常円旋回時などのように、操舵入力後に操舵保持という過程において、制御量の変動が抑制されて追従性が向上する。
上記(2)の発明によれば、高速域において車両挙動の安定性が低下するのを防止できる。
上記(3)の発明によれば、例えば、低中車速のタックイン時の回頭性が向上する。
上記(4)の発明によれば、前方障害物からの回避操作やレーンチェンジなどのときの操舵の応答性が向上する。
上記(5)の発明によれば、制動により車両挙動が不安定となるのを防止できる。
この発明に係る車両の旋回制御装置の実施形態における制御ブロック図である。 実施形態における補正部のブロック図である。 ゲインGの算出方法を説明する図である。 補正係数HS1の算出方法を説明する図である。 補正係数HS2決定処理を示すフローチャートである。 補正係数HS3の算出方法を説明する図である。 実施形態における制動力制御量算出のブロック図である。
以下、この発明に係る車両の旋回制御装置の実施形態を図1から図7の図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。
車両の旋回制御装置1は、ブレーキ制御部2と、ブレーキ装置10(制動制御部)とを備えている。
ブレーキ制御部2は車両の走行状態に応じて前後左右輪の制動力制御量を決定する。ブレーキ装置10は、ブレーキ制御部2によって決定された各輪の制動力制御量に基づいて、各輪の制動力を制御する。
ブレーキ制御部2には、車両のステアリングホイールの操舵角(操舵量)を検知する操舵角センサ3、車速を検知する車速センサ4、車両の左右方向(車幅方向)の加速度すなわち横加速度(以下、横Gと略す)を検知する横加速度センサ(以下、横Gセンサと略す)5、車両のヨーレートを検知するヨーレートセンサ6、車両のアクセル開度を検知するアクセル開度センサ7から、それぞれ検出値に応じた検知信号が入力される。また、ブレーキ制御部2には、車両の車輪と路面との摩擦係数を算出するμ算出部8から、算出した摩擦係数に応じた電気信号が入力される。
ブレーキ制御部2は、舵角規範ヨーレート演算部11、定常規範ヨーレート演算部12、補正部13、横G規範ヨーレート演算部14、ヨーレート偏差演算部16、制御量演算部17とを備えている。この制御量演算部17は、フィードフォワード制御量演算部(以下、FF制御量演算部と略す)18と、フィードバック制御量演算部(以下、FB制御量演算部と略す)19と、を備えている。
舵角規範ヨーレート演算部11(第1制動力制御量演算部)は、操舵角センサ3(操舵量検知部)により検知された舵角と、車速センサ4(車速検知部)により検知された車速とに基づいて、舵角規範ヨーレートを算出する。運転者が車両を積極的に曲げたいときには操舵角を大きくするので、舵角規範ヨーレートは大きくなる。つまり、舵角に基づいて算出される舵角規範ヨーレートが大きいときは、車両を曲げたいという運転者の操舵意志が大きいと推定できる。
定常規範ヨーレート演算部12(第1制動力制御量演算部)は、定常規範ヨーレートゲインテーブル21を参照して車速に応じた定常規範ヨーレートゲインKvを算出し、舵角規範ヨーレートに定常規範ヨーレートゲインKvを乗じて定常規範ヨーレートω_highを算出する。この実施形態における定常規範ヨーレートゲインテーブル21は、横軸が車速、縦軸が定常規範ヨーレートゲインKvであり、車速が大きくなるほど定常規範ヨーレートゲインKvは1に収束し、車速が小さくなるほど定常規範ヨーレートゲインKvが大きくなるように設定されている。この実施形態において、定常規範ヨーレートω_highは車速が低いほど高ゲインとなる。
補正部13(第1制動力制御量演算部)には、定常規範ヨーレートω_highに対して時間変化量平滑化処理あるいはピークホールド処理などを行ってノイズが除去された定常規範ヨーレートω_highが入力される。
補正部13は、ノイズ除去された定常規範ヨーレートω_highに対して、走行状態に応じた調整を行うことにより、フィードフォワードヨーレート制御量(以下、FFヨーレート制御量という)ωffを算出する。補正部13におけるFFヨーレート制御量ωffの算出方法については後で詳述する。
横G規範ヨーレート演算部14(第2制動力制御量演算部)は、横Gセンサ5(横加速度検知部)により検知された横G(横加速度)と、車速センサ4により検知された車速とに基づいて、横G規範ヨーレートω_lowを算出する。横G規範ヨーレートω_lowは、現在の横Gで発生することができるヨーレートであり、例えばω_low=Gy/Vで表される。ここでGyは横Gセンサ5により検知された横加速度検出値、Vは車速センサ4により検知された車体速である。
ヨーレート偏差演算部16(第2制動力制御量演算部)は、横G規範ヨーレートω_lowからヨーレートセンサ6(ヨーレート検知部)により検知されたヨーレート(実ヨーレート)を減算し、ヨーレート偏差Δωfbを算出する。
制御量演算部17は、FF制御量演算部18(第1制動力制御量演算部)においてFFヨーレート制御量ωffに基づいてフィードフォワード制御量(以下、FF制御量と略す)を算出し、FB制御量演算部19(第2制動力制御量演算部)においてヨーレート偏差Δωfbに基づいてフィードバック制御量(FB制御量と略す)を算出する。そして、制御量演算部17は、FF制御量とFB制御量を加算して総制御量を算出し、この総制御量をブレーキ装置10に指令値として出力する。制御量演算部17における総制御量の算出方法については後で詳述する。
次に、図2から図6の図面を参照して、補正部13におけるFFヨーレート制御量ωffの算出方法を説明する。
図2に示すように、補正部13は、ゲインG演算部31、定常規範ヨーレートゲイン調整部32、補正係数HS1演算部33、補正係数HS2演算部34、補正係数HS3演算部35を備えている。
補正部13の定常規範ヨーレートゲイン調整部32において、ゲインG演算部31で算出したゲインGと定常規範ヨーレートω_highとを乗算して、ゲイン調整された定常規範ヨーレートω_t1が算出される。さらに、このゲイン調整後の定常規範ヨーレートω_t1に、補正係数HS1演算部33および補正係数HS2演算部34で算出した補正係数HS1,HS2を乗じ、さらに補正係数HS3演算部35で算出した補正係数HS3を加算することにより、FFヨーレート制御量ωffが算出される。
ωff=ω_high×G×HS1×HS2+HS3 ・・・ 式(1)
次に、図3を参照して、ゲインG演算部31において算出されるゲインGについて説明する。
ゲインGは、車速に応じて算出されるゲインGaと、ヨーレート変化率に応じて算出されるゲインGbと、ヨーレート偏差の積分値に応じて算出されるゲインGcと、転舵速度に応じて算出されるゲインGdとを乗算して算出される。
G=Ga×Gb×Gc×Gd ・・・ 式(2)
各ゲインGa,Gb,Gc,Gdは、それぞれ図3に示すゲインテーブル40,41,42,43を参照して算出される。以下、この実施形態における各ゲインテーブル40,41,42,43を説明する。
ゲインGaを算出するゲインテーブル40において、横軸は車速であり、縦軸はゲインGaである。このゲインテーブル40中で、低車速域ではGa=1で一定で、車速が所定範囲内の領域では車速が高くなるにしたがってゲインGaが徐々に小さくなっていき、高車速域ではGa=0で一定となる。これにより、車速が低いときには、FFヨーレート制御量ωffを大きくして、応答性および追従性を向上させ、車速が高いときには、FFヨーレート制御量ωffを大きくしないようにして、車両挙動の安定性を図る。
ゲインGbを算出するゲインテーブル41において、横軸はヨーレート変化率であり、縦軸はゲインGbである。このゲインテーブル41中で、ヨーレート変化率が小さい領域ではGb=1で一定で、ヨーレート変化率が所定範囲内の領域ではヨーレート変化率が大きくなるにしたがってゲインGbが徐々に小さくなっていき、ヨーレート変化率が大きい領域ではGb=0で一定となる。ここで、ヨーレート変化率とは、ヨーレートセンサ6で検知される実ヨーレートの時間的変化であり、実ヨーレートを時間微分することにより算出できる。例えば、激しいスラローム走行をしているときや、車両挙動が不安定であるときなどには、大きなヨーレート変化率が現れる。このようなときには、FFヨーレート制御量ωffを大きくすべきではない。したがって、ヨーレート変化率が大きいときにはゲインGbを小さい値にして、FFヨーレート制御量ωffを大きくしないようにする。
ゲインGcを算出するゲインテーブル42において、横軸はヨーレート偏差積分値であり、縦軸はゲインGcである。このゲインテーブル42中で、ヨーレート偏差積分値が小さい領域ではGc=1で一定で、ヨーレート偏差積分値が所定範囲内の領域ではヨーレート偏差積分値が大きくなるにしたがってゲインGcが徐々に小さくなっていき、ヨーレート偏差積分値が大きい領域ではGc=0で一定となる。ここで、ヨーレート偏差積分値とは、横G規範ヨーレートω_lowとヨーレートセンサ6で検知される実ヨーレートとの偏差を、操舵を開始したときから積算した値である。例えば、このヨーレート偏差が小さくてもその状態が長時間続いた場合にはヨーレート偏差積分値が大きくなる。このようなときは、ゆっくりではあるが徐々に車がスピン状態になっている可能性があるので、FFヨーレート制御量ωffを大きくすべきではない。そこで、ヨーレート偏差積分値が大きいときにはゲインGcを小さい値にして、FFヨーレート制御量ωffを大きくしないようにする。
ゲインGdを算出するゲインテーブル43において、横軸は転舵速度であり、縦軸はゲインGdである。
このゲインテーブル43は、転舵速度が大きいほどゲインGdが大きくなり、且つ、転舵速度が正の場合には転舵速度が負の場合よりもゲインGdが大きくなるように設定されている。ここで、転舵速度は操舵角センサ3で検知される操舵角の時間変化量と舵角に基づき決定される値であり、操舵角を時間微分して舵角と比較することにより算出することができる。転舵速度が正の場合とは、ステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)から離間する方向に回転操作している状態で同方向に向けた舵角の時間変化量が生じているときおよびステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)に向けて回転操作している状態で同方向への舵角の時間変化量が生じているときである。転舵速度が負の場合とは、ステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)から離間する方向に回転操作している状態で中立位置に向く方向に舵角の時間変化量が生じているときおよびステアリングホイールを中立位置に戻す方向に回転操作している状態で中立位置から離間する方向に舵角の時間変化量が生じているときである。
なお、ステアリングホイールを中立位置から離間する方向に回転操作している状態で転舵速度を正と定義し、ステアリングホイールを中立位置に向けて回転操作している状態で転舵速度を負と定義してもよい。
転舵速度が正の場合は、運転者が車両を大きく曲げたいという操作意志が大きいと推定できるので、転舵速度が大きくなるほどゲインGdを大きい値にして(最大値はGd=1で一定)、FFヨーレート制御量ωffが大きくなるようにする。これにより、操舵の応答性を向上させる。一方、転舵速度が負の場合は、運転者が操作を収束させたい状態と推定できるので、転舵速度が小さくなるほどゲインGdを小さい値にして(最小値はGd=0で一定)、FFヨーレート制御量ωffを大きくしないようにする。
これにより、前方障害物からの回避操作やレーンチェンジなどのときの操舵の応答性が向上する。
なお、インテーブル43のゲインGdは転舵速度、転舵加速度に代えて転舵角(転舵量)に基づいて算出してもよい。転舵角が大きいほど、運転者が車両を積極的に曲げたいという操作意志が大きいと推定できるからである。
次に、図4を参照して、補正係数HS1演算部33において算出される補正係数HS1について説明する。
この補正係数HS1は、運転者が車両を前荷重にしてハンドルを切ることにより車両を曲げる操作を行うときなどを想定した補正係数である。
図4に示すように、補正係数HS1は、操舵速度に応じて算出される補正係数HS1aと、車両の前荷重に応じて算出される補正係数HS1bとを乗算して算出される。
HS1=HS1a×HS1b ・・・ 式(3)
車両の前荷重とは車両前方への荷重移動量であり、例えば、車両の前後方向の加速度を検知する図示しない前後加速度センサに基づいて推定できる。この場合、前後加速度センサは、前後方向への荷重移動量を推定する荷重移動量推定部と言うことができる。
各補正係数HS1a,HS1bは、それぞれ図4に示す補正係数テーブル44,45を参照して算出される。この実施形態における補正係数テーブル44,45を説明する。
補正係数HS1aを算出する補正係数テーブル44において、横軸は操舵速度であり、縦軸は補正係数HS1aである。この補正係数HS1aテーブル44は、操舵速度が小さい領域ではHS1a=1で一定で、操舵速度が所定範囲内の領域では操舵速度が大きくなるにしたがって補正係数HS1aが徐々に小さくなっていき、操舵速度が大きい領域ではHS1a=0で一定となる。
補正係数HS1bを算出する補正係数テーブル45において、横軸は前荷重(車両前方への荷重移動量)であり、縦軸は補正係数HS1bである。この補正係数HS1bテーブル45は、前荷重が小さい領域ではHS1b=1で一定で、前荷重が所定範囲内の領域では前荷重が大きくなるにしたがって補正係数HS1bが徐々に小さくなっていき、前荷重が大きい領域ではHS1b=0で一定となる。
前述したように車両を前荷重にしてハンドルを切ると車両を曲げ易くなるが、前荷重が大きくなるにしたがって車両挙動が不安定になり易く、また、操舵速度が大きいほど車両挙動が不安定になり易い。補正係数HS1は、このような操舵時のFFヨーレート制御量ωffを調整するための補正係数である。
補正係数HS1を上述のように算出する結果、操舵速度が小さい領域で且つ前荷重が小さい領域では補正係数HS1は1となるので、FFヨーレート制御量ωffを大きくでき、回頭性および応答性を向上できる。これに対して、操舵速度および前荷重が大きくなるにしたがって補正係数HS1は1よりも小さくなっていくので、FFヨーレート制御量ωffを小さくでき、これにより車両挙動の安定性を確保できる。
次に、補正係数HS2演算部34において算出される補正係数HS2について説明する。
この補正係数HS2は、車輪と路面との摩擦係数(以下μと略す)が高い路面(以下、高μ路と略す)でレーンチェンジ(操舵をして、すぐに元の進行方向に戻す操作)をする場合を想定した補正係数である。
補正係数HS2は、1を最大値として、下記の条件を満たした場合に所定の減少カウント値を初期値から減算し、下記のいずれの条件も満たさない場合に1に向けて所定の増加カウント値を加算するよう構成されるゲインである。条件としては、(a)摩擦係数μが高いと判断されたとき(または高摩擦係数の路面走行に対応する前後または横方向加速度が検出されているとき)、(b)操舵角が大きいと判断されたとき、(c)横G減少率が大きいと判断されたとき、(d)ヨーレート減少率が大きいと判断されたときに所定の減少カウント値を減算する。なお、上記条件は、(a)から(d)のうち少なくとも1つまたは複数を任意に組合わせたものであればよい。特に高摩擦係数時の車両挙動収束性を考慮すると、上記(a)と、(b)から(d)のいずれかを組合わせて用いることが好ましい。
なお、摩擦係数μは、μ算出部8により算出される。また、横G減少率とは、横G(横加速度)の減少速度であり、横Gセンサ5で検知される横Gに基づいて算出でき、ヨーレート減少率とは、ヨーレートセンサ6で検知される実ヨーレートの減少速度である。
図5のフローチャートに従って、補正係数HS2を決定する処理の一例を説明する。
初めに、ステップS01において、摩擦係数μが閾値μthよりも大きいか否かを判定する。
ステップS01における判定結果が「YES」(μ>μth)である場合には、ステップS02に進み、操舵角δが閾値δthよりも大きいか(δ>δth)、あるいは、横G減少率ΔGが閾値ΔGthよりも大きいか(ΔG>ΔGth)、あるいは、ヨーレート減少率γが閾値γthよりも大きいか(γ>γth)のうち1つでも満たされるものがあるか否かを判定する。
ステップS02における判定結果が「YES」である場合には、ステップS03に進み、減算処理により補正係数HS2を変更し、本ルーチンの実行を一旦終了する。この減算処理は、補正係数HS2の初期値から所定の減算カウント値を減算していき、補正係数HS2が0に収束していくようにする。
一方、ステップS01における判定結果が「NO」(μ≦μth)である場合、および、ステップS02における判定結果が「NO」である場合には、ステップS04に進み、加算処理により補正係数HS2を変更し、本ルーチンの実行を一旦終了する。この加算処理は、所定の増加カウント値を加算していき、補正係数HS2が1に収束していくようにする。
なお、補正係数HS2の初期値は0から1の間の所定値とする。
高μ路においてレーンチェンジを行ったときに、ヨーレートおよび横Gが急激に減少する場合には、操舵により進行したい方向と逆の方向へ大きなヨーレートが発生することがある。この時に、FFヨーレート制御量ωffを大きくすると、操舵に対する車両のトレース性が悪化する虞がある。補正係数HS2はこれを抑制するための係数である。つまり、摩擦係数μ、操舵角、横G減少率、ヨーレート減少率が大きい場合には、補正係数HS2を小さい値とすることで、FFヨーレート制御量ωffを大きくしないようにし、これによりレーンチェンジ後のヨーレートの収束性を向上する。
次に、図6を参照して、補正係数HS3演算部35において算出される補正係数HS3について説明する。
この補正係数HS3は、運転者がタックインをしたときなどを想定した補正係数である。タックインは、旋回中にアクセルペダルを急に戻したときに車両が前荷重となって旋回内側に入り込む現象であるが、運転者によってはこれを利用して積極的に旋回操作を行う場合がある。しかしながら、このタックインを利用した旋回操作を、車両への要求トルクが大きいとき(換言すると、アクセル開度が大きいとき)からアクセルを開放するときや、車速が大きいときに行うと、車両挙動が不安定になり易い。補正係数HS3は、タックイン時のFFヨーレート制御量ωffを調整するための補正係数である。
図6に示すように、補正係数HS3は、車速に応じて算出される補正係数HS3aと、車両の要求トルクに応じて算出される補正係数HS3bとを乗算して算出される。
HS3=HS3a×HS3b ・・・ 式(5)
なお、車両の要求トルクは、アクセル開度センサ7(要求トルク検知部)で検知したアクセル開度から算出できる。
各補正係数HS3a,HS3bは、それぞれ図6に示す補正係数テーブル51,52を参照して算出される。この実施形態における補正係数テーブル51,52を説明する。
補正係数HS3aを算出する補正係数テーブル51において、横軸は車速であり、縦軸は補正係数HS3aである。この補正係数HS3aテーブル51中で、車速が所定範囲よりも小さい領域ではHS3aは正の一定値であり、車速が前記所定範囲内では車速が大きくなるにしたがって補正係数HS3aが徐々に小さくなっていき、所定速度V0を越えると負の値となり、車速が前記所定範囲より大きい領域ではHS3aは負の一定値となる。
補正係数HS3bを算出する補正係数テーブル52において、横軸は車両の要求トルクであり、縦軸は補正係数HS3bである。この補正係数HS3bテーブル52中で、要求トルクが所定値T0よりも小さい領域ではHS3bが正の値で、要求トルクが所定値T0以上の領域では補正係数HS3b=0となる。ここで、前記所定値T0は極めて小さい値であり、例えば、アクセル開度がゼロに近いときに対応した要求トルクに設定される。
このように補正係数テーブル51,52を設定することにより、要求トルクが所定値T0以上の場合(すなわち、タックイン状態ではないと判断されるとき)には、車速の大きさに関わらず補正係数HS3が0となり、FFヨーレート制御量ωffを補正しないようにできる。
また、要求トルクが所定値T0以下の場合(すなわち、タックイン状態であると判断されるとき)には、車速がV0よりも小さいときには、補正係数HS3が正の値となるので、FFヨーレート制御量ωffを大きくできる。一方、車速がV0以上のときには、補正係数HS3が負の値となるので、FFヨーレート制御量ωffを小さくできる。さらに、車速がV0よりも小さい場合、要求トルクが同じときには、車速が小さいほど補正係数H3を正値の大きな値にして、FFヨーレート制御量ωffをより大きくできる。これにより、車速が低中速のタックイン時の回頭性を向上させることができる。一方、車速がV0以上の場合、要求トルクが同じときには、車速が大きいほど補正係数H3を負値の大きな値にして、FFヨーレート制御量ωffを小さくし、車両挙動の安定を図る。
次に、図7を参照して、制御量演算部17において実行されるブレーキ制御量演算について説明する。
前述したように、制御量演算部17のFF制御量演算部18においてFFヨーレート制御量ωffに基づいてFF制御量が算出され、FB制御量演算部19においてヨーレート偏差Δωfbに基づいてFB制御量が算出される。制御量演算部17はこれらのFF制御量とFB制御量を加算して各輪に対する総制御量を算出する。
初めに、FF制御量演算部18におけるFF制御量の算出について説明する。
まず、操舵角センサ3で検知された操舵角に基づいて、前輪側の旋回内輪(以下、FR旋回内輪と略す)と後輪側の旋回内輪(以下、RR旋回内輪と略す)に対する増圧配分とを決定する。これらの増圧配分に基づいて、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frとRR旋回内輪に対する増圧係数K1rrを算出する。ここで、操舵による荷重移動が大きい場合には、操舵角に応じて、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frが大きくなるように設定してもよい。
そして、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frとRR旋回内輪に対する増圧係数K1rrとに基づいて、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffの算出と、RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffの算出とが、並行して実施される。
まず、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffの算出を説明する。補正部13で演算されたFFヨーレート制御量ωffに増加係数K1frを乗じて、FR旋回内輪に対するFFヨーレート制御量ω1ffを算出する。
次に、増圧量テーブル60を参照し、FR旋回内輪に対するFFヨーレート制御量ω1ffに応じて、FR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkを算出する。増圧量テーブル60において、横軸はFFヨーレート制御量ω1ffであり、縦軸はブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkである。この実施形態では、FR旋回内輪に対するFFヨーレート制御量ω1ffが0以下の場合にはブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkは0であり、FR旋回内輪に対するFFヨーレート制御量ω1ffが0以上ではFFヨーレート制御量ω1ffが大きくなるにしたがってブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkが増大していく。
次に、リミット処理部61において、FR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkが上限値を超えないようにリミット処理を行う。この上限値は、上限値算出部62によって算出される任意の値であり、この値を超えないよう設定することで液圧増圧量ΔP1ffkの急変動を抑制する。
次に、リミット処理されたFR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkに、車速に応じたゲインを乗じて、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffを算出する。なお、車速に応じたゲインは、ゲインテーブル63に基づいて算出される。このゲインテーブル63において、横軸は車速であり、縦軸はゲインである。車速が小さい領域ではゲイン=1で一定で、車速が所定範囲内では車速が大きくなるにしたがってゲインが徐々に小さくなっていき、車速が大きい領域ではゲイン=0で一定となる。
このように車速に応じたゲインを乗じる結果、車速が大きいときには、FR旋回内輪のFF増圧量ΔP1ffは0となる。換言すると、高車速時にはFR旋回内輪のFF増圧量ΔP1ffが無効とされる。これにより、高車速時に操舵アシストブレーキに起因して車両挙動が不安定になるのを防止できる。この実施形態において、ゲインテーブル63は無効化部を構成する。なお、車速に応じたゲインを乗じるのに替えて、高車速ほど低くなる制限値を与え、この制限値をΔPlffが上回らないように設定してもよい。
RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffの算出は、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffの算出と同じであるので、簡単に説明する。
補正部13で演算されたFFヨーレート制御量ωffに、RR旋回内輪に対する増加係数K1rrを乗じて、RR旋回内輪に対するFFヨーレート制御量ω2ffを算出する。
次に、増圧量テーブル64を参照し、RR旋回内輪に対するFFヨーレート制御量ω2ffに応じて、RR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffkを算出する。増圧量テーブル64は増圧量テーブル60と同じであるので説明を省略する。
次に、リミット処理部65において、RR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffkが上限値を超えないようにリミット処理を行う。上限値は、上限値算出部66によって算出される。上限値算出部66は上限値算出部62と同じである。
次に、リミット処理されたRR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffkに、ゲインテーブル67により算出したゲインを乗じて、RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffを算出する。ゲインテーブル67はゲインテーブル63と同じであるので、説明を省略する。この実施形態において、ゲインテーブル67は無効化部を構成する。
また、FF制御量演算部18は、内輪減圧量算出部70を備えている。内輪減圧量算出部70は、高速時や高横Gの時には制動により車両挙動が不安定となるという前提の下に、予め旋回内輪のブレーキ液圧を制限する。
内輪減圧量算出部70では、第1減圧率テーブル71を参照して車速に応じた減圧率を算出するとともに、第2減圧率テーブル72を参照して横Gに応じた減圧率を算出し、これら減圧率を乗じることで総減圧率を算出する。
第1減圧率テーブル71において、横軸は車速であり、縦軸は減圧率である。車速が小さい領域では減圧率=0で一定で、車速が所定範囲内では車速が大きくなるにしたがって減圧率が徐々に大きくなっていき、車速が大きい領域では減圧率=1で一定となる。
第2減圧率テーブル72において、横軸は横Gであり、縦軸は減圧率である。横Gが小さい領域では減圧率=0で一定で、横Gが所定値以上になると横Gが大きくなるにしたがって減圧率が徐々に大きくなっていき、横Gが大きい領域では減圧率=1で一定となる。
これにより、総減圧率は、走行時の車速および横Gに応じて、0から1の間の値に設定される。
そして、このようにして求めた総減圧率にブレーキ装置10のマスタシリンダ圧を乗じ、さらにマイナス1を乗じて内輪減圧量ΔPdを求める。
次に、FB制御量演算部19におけるFB制御量の算出について説明する。
FB制御量演算部19では、ヨーレート偏差演算部16で演算されたヨーレート偏差Δωfbに基づいて、FR旋回内輪のFB増圧量ΔP1fb、前輪側の旋回外輪(以下、FR旋回外輪と略す)のFB増圧量ΔP3fb、RR旋回内輪のFB増圧量ΔP2fb、後輪側の旋回外輪(以下、RR旋回外輪と略す)のFB増圧量ΔP4fbを算出する。なお、以降の旋回方向は偏差Δωfbの符号が正で、規範ヨーレートおよび実ヨーレートがともに正の場合を例に説明する。
FR旋回内輪のFB増圧量ΔP1fbは、ヨーレート偏差Δωfbに基づき、増圧量テーブル80を参照して算出する。増圧量テーブル80において、横軸はヨーレート偏差Δωfbであり、縦軸はFB増圧量ΔP1fbである。この実施形態では、ヨーレート偏差Δωfbが0以下の場合にはFB増圧量ΔP1fbは0であり、ヨーレート偏差Δωfbが0以上ではヨーレート偏差Δωfbが大きくなるにしたがってFB増圧量ΔP1fbが増大していく。
RR旋回内輪のFB増圧量ΔP2fbは、ヨーレート偏差Δωfbに基づき、増圧量テーブル81を参照して算出する。増圧量テーブル81において、横軸はヨーレート偏差Δωfbであり、縦軸はFB増圧量ΔP2fbである。この実施形態では、ヨーレート偏差Δωfbが0以下の場合にはFB増圧量ΔP2fbは0であり、ヨーレート偏差Δωfbが0以上ではヨーレート偏差Δωfbが大きくなるにしたがってFB増圧量ΔP2fbが増大していく。
FR旋回外輪のFB増圧量ΔP3fbは、ヨーレート偏差Δωfbに基づき、増圧量テーブル82を参照して算出する。増圧量テーブル82において、横軸はヨーレート偏差Δωfbであり、縦軸はFB増圧量ΔP3fbである。この実施形態では、ヨーレート偏差Δωfbが0以上の場合にはFB増圧量ΔP3fbは0であり、ヨーレート偏差Δωfbが0以下ではヨーレート偏差Δωfbの絶対値が大きくなるにしたがってFB増圧量ΔP3fbが増大していく。
RR旋回外輪のFB増圧量ΔP4fbは、ヨーレート偏差Δωfbに基づき、増圧量テーブル83を参照して算出する。増圧量テーブル83において、横軸はヨーレート偏差Δωfbであり、縦軸はFB増圧量ΔP4fbである。この実施形態では、ヨーレート偏差Δωfbが0以上の場合にはFB増圧量ΔP4fbは0であり、ヨーレート偏差Δωfbが0以下ではヨーレート偏差Δωfbの絶対値が大きくなるにしたがってFB増圧量ΔP4fbが増大していく。
つまり、FB制御量演算部19では、ヨーレート偏差Δωfbが0以上の場合は、実ヨーレートが横G規範ヨーレートω_lowよりも小さい。この場合、ヨーレートを増大させる方向(換言すれば、ヨーレート偏差Δωfbを打ち消す方向)に、各輪のFB制御量を設定する。具体的には、FR旋回内輪およびRR旋回内輪のブレーキ液圧を増大させる方向にFB増圧量を設定し、FR旋回外輪およびRR旋回外輪のブレーキ液圧を増大させないようにFB増圧量を設定する。
一方、ヨーレート偏差Δωfbが0以下の場合は、実ヨーレートが横G規範ヨーレートω_lowよりも大きい。この場合、ヨーレートを減少させる方向(換言すれば、ヨーレート偏差Δωfbを打ち消す方向)に、各輪のFB制御量を設定する。具体的には、FR旋回外輪およびRR旋回外輪のブレーキ液圧を増大させる方向にFB増圧量を設定し、FR旋回内輪およびRR旋回内輪のブレーキ液圧を増大させないようにFB増圧量を設定する。
そして、制御量演算部17は、各輪の総制御量を以下のように算出して、ブレーキ装置10に出力する。FR旋回内輪のFF増圧量ΔP1ffとFR旋回内輪のFB増圧量ΔP1fbと内輪減圧量ΔPdを加算した値をFR旋回内輪に対する総制御量とする。RR旋回内輪のFF増圧量ΔP2ffとRR旋回内輪のFB増圧量ΔP2fbと内輪減圧量ΔPdを加算した値をRR旋回内輪に対する総制御量とする。FR旋回外輪のFB増圧量ΔP3fbをFR旋回外輪の総制御量とする。RR旋回外輪のFB増圧量ΔP4fbをRR旋回外輪の総制御量とする。
ブレーキ装置10は、入力した各輪の制御量に応じて、各輪のブレーキ圧を制御する。
この実施形態の車両の旋回制御装置によれば、車体挙動(横Gとヨーレート)に基づき算出されたFB制御量に、操舵入力(操舵角)に基づき算出されたFF制御量を加えた総制御量に基づいてブレーキ圧を制御する。このため車両挙動の安定性を確保しつつ、操舵の応答性を向上させることができる。また、操舵の追従性も向上する。例えば、定常円旋回時などのように、操舵入力後に操舵保持という過程において、制御量の変動が抑制されて追従性が向上する。
〔他の実施形態〕
なお、この発明は前述した実施形態に限られるものではない。
例えば、前述した実施形態では、FF制御量とFB制御量を加算して総制御量を算出したが、FF制御量とFB制御量を乗算して総制御量を算出することも可能である。
また、車速センサの検出値に替えて、車輪速センサの検出値に基づき推定される推定車速を用いてもよい。
また、前述した実施形態では、FF制御量演算部18において、高車速時にFR旋回内輪のFF増圧量ΔP1ffおよびRR旋回内輪のFF増圧量ΔP2ffを無効とすることで、高車速時に操舵アシストブレーキに起因して車両挙動が不安定になるのを防止した。一方で、操舵速度が極めて大きいときやABS作動時にも旋回内輪のFF増圧量を無効にしてもよい。
この車両の旋回制御装置を搭載することで、車両の挙動の安定性を確保しつつ、操舵の応答性を向上させることができる。また、操舵の追従性も向上する。例えば、定常円旋回時などのように、操舵入力後に操舵保持という過程において、制御量の変動が抑制されて追従性が向上する。
1 車両の旋回制御装置
3 操舵角センサ(操舵量検知部)
4 車速センサ(車速検知部)
5 横Gセンサ(横加速度検知部)
6 ヨーレートセンサ(ヨーレート検知部)
7 アクセル開度センサ(要求トルク検知部)
10 ブレーキ装置(制動制御部)
11 舵角規範ヨーレート演算部(第1制動力制御量演算部)
12 定常規範ヨーレート演算部(第1制動力制御量演算部)
13 補正部(第1制動力制御量演算部)
14 横G規範ヨーレート演算部(第2制動力制御量演算部)
16 ヨーレート偏差演算部(第2制動力制御量演算部)
18 FF制御量演算部(第1制動力制御量演算部)
19 FB制御量演算部(第2制動力制御量演算部)
63,67 ゲインテーブル(無効化部)

Claims (5)

  1. 車両の走行状態に基づいて左右車輪に制動力を付与することにより車体にヨーモーメントを発生可能に構成された車両の旋回制御装置であって、
    車両の操舵量を検知する操舵量検知部と;
    前記車両の車速を検知または推定する車速検知部と;
    前記車両の左右方向の加速度を検知する横加速度検知部と;
    前記車両のヨーレートを検知するヨーレート検知部と;
    前記操舵量検知部および前記車速検知部の検知信号に基づいて第1の制動力制御量を決定する第1制動力制御量演算部と;
    前記横加速度検知部および前記車速検知部の検知信号に基づいて算出した規範ヨーレートと前記ヨーレート検知部により検知された実ヨーレートとの偏差であるヨーレート偏差を算出し、前記ヨーレート偏差を打ち消すように第2の制動力制御量を決定する第2制動力制御量演算部と;
    前記第1制動力制御量演算部が決定した前記第1の制動力制御量と前記第2制動力制御量演算部が決定した前記第2の制動力制御量とを加算または乗算することにより得られる総制動力制御量に基づいて前記制動力を制御する制動制御部と;
    を備えることを特徴とする車両の旋回制御装置。
  2. 前記第1制動力制御量演算部は、前記車速が大きいほど前記第1の制動力制御量を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両の旋回制御装置。
  3. アクセル開度またはアクセルペダル操作量に基づいて要求トルクの大きさを検知する要求トルク検知部を更に備え、
    前記第1制動力制御量演算部は、前記要求トルク検知部の検知信号が所定値よりも小さいときに、車速が小さいほど前記第1の制動力制御量を大きくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の旋回制御装置。
  4. 前記第1制動力制御量演算部は、前記操舵量検知部の検知信号に基づいて算出される転舵速度または転舵量が大きいほど前記第1の制動力制御量を大きくすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の旋回制御装置。
  5. 前記第1制動力制御量演算部は、横加速度が大きいほど前記第1の制動力制御量を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両の旋回制御装置。
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