JP5271467B2 - エポキシ接着フィルムによる仮接着方法 - Google Patents
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Description
接着の際に接着面からはみ出した接着剤は、上記のように寸法精度が要求される場合には除去する必要があり、外観上も好ましくない。例えば、特開平11−35892号公報には、フィルム状の接着剤を加熱および加圧して接着して生じる接着面からの接着剤のはみ出しを、耐熱テープを用いて除去するフィルム接着剤による接着方法が提案されている。
特開平6−157995号公報、特開平6−329999号公報および特開平10−204396号公報には、接合時には粘着性を示すが、加熱により硬化する、仮接着と接着が可能な熱硬化性粘着シートが開示されている。このような熱硬化性粘着シートは、加熱により接着するため、加熱を要する部位の仮接着は不可能である。
しかし、粘着テープや粘着シートは、仮接着に使用はできるが、低分子量のゴムや樹脂および可塑剤が配合されているため柔らかく、被着体の接着面形状に合わせた微細加工が困難であり、かつ耐溶剤性に劣る。
エッチングで、エポキシ接着フィルムの接着が不要な部分や、はみ出した部分を除去することにより、複雑で微細な接着面形状でも精密な接着を行うことができる。
まず、本発明におけるエポキシ接着フィルムを被着体の二つの接着面間に挟み、加熱または加熱および加圧する加熱工程について以下に説明する。
加熱工程においてエポキシ接着フィルムを用いて接着する際の条件は、接着に適した条件であれば良く、加熱温度は60〜300℃が好ましい。60℃未満ではエポキシ接着フィルムが溶融しない虞があり、300℃を超えると分解する虞があるためである。また、加圧は必要に応じてすれば良いが、0〜20MPaが好ましい。20MPaを超えると被着体が破壊する虞がある。
また、本発明は、加熱工程で接着後、接着が不要な部分である接着面間のエポキシ接着フィルムを、エッチングにより全て除去して接着面間を剥離させることにより、仮接着方法として適用することができる。
アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、カルバミド酸エステルなどが使用できる。これらのうちN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンの使用が、エポキシ樹脂硬化物を膨潤させる効果があり、分解物の溶解性が良好なために特に好ましい。これらの溶媒は、併用することができ、また、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒などに代表されるその他の溶媒と併用することもできる。
さらに、本発明を仮接着方法として適用する場合は、上記した接着面からはみ出した部分の除去よりもさらにエッチングを進行させ、接着が不要な部分である接着面間のエポキシ接着フィルムを、エッチングにより全て除去して接着面間を剥離させることができる。
本発明におけるエポキシ接着フィルムは、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類とを重合させた重量平均分子量70,000以上の高分子量エポキシ重合体を主成分とするのが好ましく、このエポキシ接着フィルムは、200℃以下の熱圧着が可能であり、接着強度、耐熱性および耐溶剤性に優れ、さらに接着面と同形に打ちぬくことが可能であるため、微細加工が可能である。エポキシ接着フィルムには、主成分として高分子量エポキシ重合体の他に、多官能エポキシ樹脂、硬化剤、架橋剤等を必要に応じて適宜含む。
また、本発明に用いる二官能フェノール類としては、分子内に2個のフェノール性水酸基を有する化合物ならば制限無く使用でき、さらに、ハロゲン化された二官能フェノール類であるとフィルムが難燃化でき好ましい。例えば、単環二官能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、多環二官能フェノールであるビスフェノールA、ビスフェノールF、ナフタレンジオール類、ビフェノール類およびこれらのアルキル置換体などのハロゲン化物、アルキル置換体などが挙げられる。これらの化合物は2種類以上を併用することができる。
エポキシ基/フェノール性水酸基=1/0.9〜1/1.1
の範囲とすることが好ましい。フェノール性水酸基が0.9未満の場合には、直鎖状に高分子量化せず副反応が起きて架橋し溶媒に溶けなくなり、1.1を超えると高分子量化が進まなくなる。
アルカリ金属化合物の例としては、ナトリウム、リチウム、カリウムの水酸化物、ハロゲン化物、有機酸塩、アルコラート、フェノラート、水素化物、ホウ水素化物、アミドなどがある。これらの中で、アルカリ金属化合物触媒が、リチウム化合物触媒であると合成終了後の吸着剤による除去が容易であるので好ましい。
イミダゾール類としては、イミダゾール、2−イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン、ベンズイミダゾール、1−シアノエチルイミダゾールなどが挙げられる。
例えば、アミド系溶媒としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素などがある。
エーテル系溶媒としては、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどがある。
これらの化合物は、複数種類を併用することができる。この多官能エポキシ樹脂の高分子量エポキシ重合体に対する配合量は、高分子量エポキシ重合体100重量部に対して、1〜200重量部の範囲が好ましい。
多官能フェノールは、単環二官能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、多環二官能フェノールであるビスラェノールA、ビスフェノールF、ナフタレンジオール類、ビスフェノール類およびこれらのハロゲン化物、アルキル置換体、さらに、これらのフェノール類とアルデヒド類との重縮合物であるノボラック樹脂、レゾール樹脂などが使用できる。
アミン類は、脂肪族の1級アミン、2級アミン、3級アミン、芳香族の1級アミン、2級アミン、3級アミン、グアニジン類、尿素誘導体など、具体的には、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジシアンジアミド、トリルビグアニド、グアニル尿素、ジメチル尿素などが挙げられる。
イミダゾール化合物は、アルキル置換イミダゾール、ベンズイミダゾールなどが使用できる。
酸無水物は、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ピロメリット酸二無水物、ベイゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などが使用できる。
硬化剤の配合量は、多官能エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜70重量部使用することが好ましい。
本発明で好ましく用いるイソシアネート類は、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するもので、例えばジイソシアネート類として、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート及びこれらの異性体、アルキル置換体、ハロゲン化物、ベンゼン環への水素添加物などが挙げられる。
さらに、3個のイソシアネート基を有するトリイソシアネート類、4個のイソシアネート基を有するテトライソシアネート類などを使用することもでき、これらを併用することもできる。
ケトンオキシム類としては、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどがある。
アルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノールなどの単官能アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの二官能アルコール類などがある。
フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、ブチルフェノール、フェニルフェノール、ナフトールなどの単官能フェノール類、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノール、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルスルホンなどの二官能フェノール類とその異性体及びハロゲン化物、ピロガロール、ヒドロキシヒドロキノン、フロログルシン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ナフトールノボラック、レゾールなどの多官能フェノール類などがある。
アミン類としては、N−プロピルアミン、イソプロピルアミン、N−ブチルアミン、イソブチルアミン、ベンジルアミン、トリエチレンジアミンなどがある。
このワニスを塗布した後に、溶媒を除去する。溶媒の除去は、溶媒抽出、真空乾燥、加熱乾燥など種々の方法を用いることができるが、加熱による乾燥が好ましい。その温度は、使用するワニスの組成あるいは支持体の分解温度よりも低い温度で行う。この溶媒除去により、支持体上に塗付されたワニスは、Bステージ(半硬化)状態に形成されて、本発明におけるエポキシ接着フィルムが得られる。その厚みは一般的には200μm以下とするのが好ましい。
また、エポキシ接着フィルムを、接着面の形状におおむね合わせて裁断し、加熱工程を経た後の除去工程ではみ出した部分や不要な部分をエッチングして除去もでき、この場合、上記以外のエポキシ接着フィルムも使用できる。
(実施例1)
二官能エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:172)を用い、二官能フェノール類として、ビスフェノールA(水酸基当量:114)を用い、エポキシ基/フェノール性水酸基=1/1.02となるように配合し、触媒として水酸化リチウムをエポキシ樹脂1モルに対して0.05モルの存在下に、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、溶液の固形分濃度が30重量%となるように配合を調整し、120℃で10時間、その溶媒中で加熱して重合させて得たフィルム形成能を有するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が200,000の高分子量エポキシ重合体を得た。
上記加熱工程後のサンプルを、120℃の上記エッチング液に2時間浸漬した。接着の不要な部分である接着面の穴の部分および接着面の周りのエポキシ接着フィルムは溶解した。熱プレスにより溶融して接着面の縁からはみ出した後エッチングされた残りの幅(接着面の縁からはみ出しているエポキシ接着フィルムの幅)は80μmであった。エッチング後のサンプルの接着強さはエッチング前と同じ値であった。
さらにこのサンプルを120℃のエッチング液に浸漬したところ、10時間後にはSUS304からSiウエハが剥離した。SUS304とSiウエハの接着面のエポキシ接着フィルムは全て溶解していた。
高分子量エポキシ重合体の合成の際、触媒としてナトリウムメトキシドをエポキシ樹脂1モルに対して0.04モルおよびイミダゾール0.05モルを添加し、溶媒としてシクロヘキサノンを使用した以外は、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が70,000の高分子量エポキシ重合体を得た。
実施例1で得られたエポキシ接着フィルムを、被着体として厚さ35μmの銅箔とSUS304とした以外は実施例1と同様にして接着を行った。熱プレスによる接着後のサンプルの引張接着強さは61MPaであった。このサンプルを120℃の実施例1と同様の組成のエッチング液に3時間浸漬した。接着面にある穴および接着面の周りにある余分なエポキシ接着フィルムは溶解した。接着面の縁からはみ出しているエポキシ接着フィルムの幅は70μmであった。エッチング後のサンプルの接着強さはエッチング前と同じ値であった。このサンプルをN,N−ジメチルアセトアミド中に24時間浸漬したが、接着部位の外観に変化はなく、引張接着強さは浸漬前と同じ値であった。
実施例1の高分子量エポキシ重合体の原料である二官能フェノール類として、テトラブロモフェノールA(水酸基等量:227)を用いた以外は実施例1と同様にして、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が200,000の高分子量エポキシ重合体を得た。この高分子量エポキシ重合体を実施例1と同様にワニス配合を行い、実施例1と同様にしてエポキシ接着フィルムを得た。このエポキシ接着フィルムを用いて、実施例1と同様にして接着を行った。
熱プレスによる接着後のサンプルの引張接着強さは45MPaであった。このサンプルを120℃の実施例1と同様の組成のエッチング液に1時間浸漬した。接着面にある穴の部分および接着面の周りにある余分なエポキシ接着フィルムは溶解した。接着面の縁からはみ出しているエポキシ接着フィルムの幅は50μmであった。エッチング後のサンプルの引張接着強さはエッチング前と同じ値であった。このサンプルをN,N−ジメチルアセトアミド中に24時間浸漬したが、接着部位の外観に変化はなく、引張接着強さは浸漬前と同じ値であった。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に使用したカラムは、TSK gel G6000+G5000+G4000+G3000+G2000(東ソー(株)製品名)であり、溶離液にはN,N―ジメチルアセトアミドを使用し、試料濃度は2重量%とした。
スチレン換算重量平均分子量は、予め様々な分子量のスチレンを用いて分子量と溶出時間の関係を求めた後、サンプルの溶出時間から分子量を算出してスチレン換算重量平均分子量とした。
引張強さの測定は、(株)東洋ボールドウィン製テンシロンを用い、引張速度は5mm/minとした。
また、接着面の縁からはみ出したエポキシ接着フィルムの幅は、断面写真から読み取った。
Claims (6)
- エポキシ接着フィルムを被着体の二つの接着面間に挟み、加熱または加熱および加圧する接着工程と、前記二つの接着面間のエポキシ接着フィルムをエッチングにより全て除去して前記接着面間を剥離させる除去工程とを含み、
前記エポキシ接着フィルムは、ナトリウムメトキシドおよびイミダゾールを触媒として二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類とを重合させた重量平均分子量70,000以上の高分子量エポキシ重合体を主成分とし、さらに架橋剤、多官能エポキシ樹脂及び硬化剤を含むエポキシ接着フィルムであって、前記二官能エポキシ樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂、前記二官能フェノール類はビスフェノールAであり、前記架橋剤はフェノールノボラック樹脂でイソシアネート基をマスクしたイソホロンジイソシアネート、前記多官能エポキシ樹脂はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、前記硬化剤はフェノールノボラック樹脂であることを特徴とするエポキシ接着フィルムによる仮接着方法。
- 前記接着工程と前記除去工程の間に、エポキシ接着フィルムのうち仮接着が不要な部分および溶融して接着面からはみ出した部分の少なくとも一方を、被着体またはエポキシ接着フィルムの仮接着に必要な部分を破損することなくエッチングする、はみ出し除去工程をさらに有する請求項1記載のエポキシ接着フィルムによる仮接着方法。
- 前記除去工程において、アルカリ金属化合物と有機溶媒を含むエッチング液によりエッチングする請求項1または2記載のエポキシ接着フィルムによる仮接着方法。
- エッチング液における有機溶媒は、アミド系およびアルコール系の少なくとも一方を含む請求項3記載のエポキシ接着フィルムによる仮接着方法。
- はみ出し除去工程後に、接着面からのエポキシ接着フィルムのはみ出しの幅が100μm以下である請求項2記載のエポキシ接着フィルムによる仮接着方法。
- 二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類とをエポキシ基/フェノール性水酸基=1/0.9〜1/1.1の当量比で重合させた請求項1〜5のいずれか記載のエポキシ接着フィルムによる仮接着方法。
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