JP5254770B2 - ブレーキ装置の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブレーキ装置の制御装置に関するものである。
ブレーキ装置の制御装置の一形式として、特許文献1に示されているものが知られている。特許文献1の図11に示されているように、ブレーキ装置の制御装置は、ブースタ圧力スイッチ204が正常である場合には、ブースタ圧力信号を取り込み(S5)、その取り込まれたブースタ圧力信号に基づいてブースタ12が助勢限界状態にあるか否かを判定する(S6)。制御装置は、ブースタ12が助勢限界状態にあると判定すれば、増圧制御を行う(S8)。具体的には、制御装置は、ポンプ62を作動させてマスタシリンダ液圧PMより差圧ΔPだけ高い液圧をブレーキシリンダ50に発生させ、それにより、ブースタ12の助勢限界の前後を問わず、ブレーキの効きを安定させるように制御している(特許文献1の図13,14参照)。
特開平11−20670号公報
上述したブレーキ装置の制御装置においては、ブースタ圧力スイッチ204からのブースタ圧力信号に基づいてバキュームブースタ12が助勢限界状態にあるか否かを判定するようになっている。この場合、ブースタ圧力スイッチ204の出力(検出)にバラツキがあったり、ブースタ圧力スイッチ204自体に異常があったりすると、実際にはバキュームブースタ12が助勢限界に到達していないのにポンプ62を作動させたり、逆に助勢限界に到達しているのにポンプ62を作動させていなかったりすることでブレーキ装置に所望のブレーキ性能を発揮させることができないおそれがあった。
そこで、本発明は、ブレーキ装置の制御装置において、負圧センサの出力(検出)にバラツキがあったり、そのセンサ自体に異常があっても、ブレーキ装置に所望のブレーキ性能をできるだけ発揮させることを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、ブレーキ操作部材の操作に応じたブレーキ液圧を形成するマスタシリンダと、エンジンから負圧が供給されその負圧を利用することでブレーキ操作部材の操作力を助勢してマスタシリンダに出力するバキュームブースタと、マスタシリンダから供給されるブレーキ液圧の供給を受けて車両の各車輪に制動力を付与するホイールシリンダと、マスタシリンダとホイールシリンダを繋ぐ油圧経路に接続され、電動モータの出力により駆動されてブレーキ液圧を形成してマスタシリンダと独立してホイールシリンダに供給する油圧ポンプと、バキュームブースタに供給されている負圧を検出する負圧検出手段と、を備えたブレーキ装置に適用される制御装置において、制御装置は、油圧ポンプを駆動させその駆動により形成されるブレーキ液圧をブレーキ操作部材の操作に応じて形成されたマスタシリンダ圧に加圧してホイールシリンダに供給する助勢制御を行う助勢制御手段と、負圧検出手段から出力される第1情報を取得する第1情報取得手段と、エンジンを制御するエンジン制御装置から出力される情報であってバキュームブースタに供給される負圧を推定可能な第2情報を取得する第2情報取得手段と、第1情報取得手段で取得した第1情報と第2情報取得手段で取得した第2情報とからバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する負圧供給判定手段と、負圧供給判定手段の判定結果に応じて助勢制御の許否を決定する助勢制御許否決定手段と、
第2情報からエンジン制御装置からの情報が正常であるか否かを判定する第4判定手段と、を有し、第4判定手段がエンジン制御装置からの情報が正常でないと判定した場合、負圧供給判定手段は、バキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かの判定を行わず、助勢制御許否決定手段は助勢制御の禁止を決定し、助勢制御許否決定手段で助勢制御の許可が決定された場合、助勢制御手段は助勢制御を実行可能となり、助勢制御許否決定手段で助勢制御の禁止が決定された場合、助勢制御手段は助勢制御を行わないことである。
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、第2情報は、エンジンへの吸入空気量、エンジンのスロットル開度、エンジンを冷却する冷却水の温度、エンジンの回転速度のうち少なくとも一つを有することである。
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または請求項2において、負圧供給判定手段は、第1情報からバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第1判定手段と、第2情報からバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定手段と、を有し、第1および第2判定手段の両方がバキュームブースタへの負圧が不足していると判定した場合、負圧供給判定手段はバキュームブースタへの負圧が不足していると判定するとともに、助勢制御許否決定手段は助勢制御の許可を決定することである。
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項3の何れか一項において、制御装置は、第1情報から負圧検出手段が正常であるか否かを判定する第3判定手段を有し、負圧供給判定手段は、第2情報からバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定手段を有し、第3判定手段が負圧検出手段が正常でないと判定した場合、負圧供給判定手段は第2判定手段によりバキュームブースタへの負圧が不足しているか否かを判定することである。
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項4において、車両の減速度が第2情報から算出される制御開始減速度以上である場合には、負圧供給判定手段はバキュームブースタへの負圧が不足していると判定し、助勢制御許否決定手段は助勢制御の許可を決定することである。
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または請求項2において、ブレーキ装置は、マスタシリンダの圧力を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、車両の減速度を検出する減速度検出手段と、をさらに備え、負圧供給判定手段は、第1情報からバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第1判定手段と、第2情報からバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定手段と、車両の減速度からバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第5判定手段と、を有し、制御装置は、マスタシリンダ圧検出手段から出力される第3情報からマスタシリンダ圧検出手段が正常であるか否かを判定する第6判定手段をさらに有し、第1および第2判定手段の両方がバキュームブースタへの負圧が不足していると判定した場合において、第6判定手段がマスタシリンダ圧検出手段が正常でないと判定した場合であって、車両の減速度が第2情報から算出される制御開始減速度以上である場合には、負圧供給判定手段はバキュームブースタへの負圧が不足していると判定し、助勢制御許否決定手段は助勢制御の許可を決定することである。
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、第1情報取得手段が、負圧検出手段から出力される第1情報を取得し、第2情報取得手段が、エンジンを制御するエンジン制御装置から出力される情報であってバキュームブースタに供給される負圧を推定可能な第2情報を取得する。負圧供給判定手段が、第1情報取得手段で取得した第1情報と第2情報取得手段で取得した第2情報とからバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定し、助勢制御許否決定手段が、負圧供給判定手段の判定結果に応じて助勢制御の許否を決定する。そして、助勢制御許否決定手段で助勢制御の許可が決定された場合、助勢制御手段は助勢制御を実行可能となり、助勢制御許否決定手段で助勢制御の禁止が決定された場合、助勢制御手段は助勢制御を行わない。これにより、制御装置は、負圧検出手段から出力される第1情報だけでなく、エンジンを制御するエンジン制御装置から出力される情報であってバキュームブースタに供給される負圧を推定可能な第2情報もあわせて、バキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定し、その判定結果に応じて助勢制御の許否を決定する。したがって、負圧検出手段の出力(検出)にバラツキがあったり、負圧検出手段自体に異常があったりしても、エンジン制御装置からの第2情報に基づく助勢制御の許否決定を利用して、ブレーキ装置に所望のブレーキ性能をできるだけ発揮させることができる。
これに加えて、制御装置は、第2情報からエンジン制御装置からの情報が正常であるか否かを判定する第4判定手段を有し、第4判定手段がエンジン制御装置からの情報が正常でないと判定した場合、負圧供給判定手段は、バキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かの判定を行わず、助勢制御許否決定手段は助勢制御の禁止を決定する。これにより、エンジン制御装置からの情報が正常でない場合、助勢制御を確実に禁止することができる。
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1において、第2情報は、エンジンへの吸入空気量、エンジンのスロットル開度、エンジンを冷却する冷却水の温度、エンジンの回転速度のうち少なくとも一つを有する。これにより、エンジンからバキュームブースタに供給されている負圧情報を確実かつ適切に得ることができる。
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項1または請求項2において、負圧供給判定手段は、第1情報からバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第1判定手段と、第2情報からバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定手段と、を有し、第1および第2判定手段の両方がバキュームブースタへの負圧が不足していると判定した場合、負圧供給判定手段はバキュームブースタへの負圧が不足していると判定するとともに、助勢制御許否決定手段は助勢制御の許可を決定する。これにより、第1情報と第2情報の両方を使用してバキュームブースタへの負圧が不足していることを的確に判定し、ひいては的確に助勢制御を実行することができる。
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、請求項1乃至請求項3の何れか一項において、制御装置は、第1情報から負圧検出手段が正常であるか否かを判定する第3判定手段を有し、負圧供給判定手段は、第2情報からバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定手段を有し、第3判定手段が負圧検出手段が正常でないと判定した場合、負圧供給判定手段は第2判定手段によりバキュームブースタへの負圧が不足しているか否かを判定する。これにより、負圧検出手段が正常でない場合でも、第2判定手段が第2情報からバキュームブースタへの負圧が不足しているか否かを判定し、助勢制御を的確に実行することができる。
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、請求項4において、車両の減速度が第2情報から算出される制御開始減速度以上である場合には、負圧供給判定手段はバキュームブースタへの負圧が不足していると判定し、助勢制御許否決定手段は助勢制御の許可を決定する。これにより、負圧検出手段が正常でない場合でも、車両の減速度と第2情報とからバキュームブースタへの負圧が不足しているか否かをより確実かつ的確に判定し、助勢制御の開始をより的確に実行することができる。
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、請求項1または請求項2において、ブレーキ装置は、マスタシリンダの圧力を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、車両の減速度を検出する減速度検出手段と、をさらに備え、負圧供給判定手段は、第1情報からバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第1判定手段と、第2情報からバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定手段と、車両の減速度からバキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第5判定手段と、を有し、制御装置は、マスタシリンダ圧検出手段から出力される第3情報からマスタシリンダ圧検出手段が正常であるか否かを判定する第6判定手段をさらに有し、第1および第2判定手段の両方がバキュームブースタへの負圧が不足していると判定した場合において、第6判定手段がマスタシリンダ圧検出手段が正常でないと判定した場合であって、車両の減速度が第2情報から算出される制御開始減速度以上である場合には、負圧供給判定手段はバキュームブースタへの負圧が不足していると判定し、助勢制御許否決定手段は助勢制御の許可を決定する。これにより、エンジン制御装置が正常であり、エンジン制御装置とブレーキ装置の制御装置との間の通信が正常であり、そして負圧検出手段が正常であると判定された場合であって、第1および第2情報からバキュームブースタへの負圧が不足していると判定された場合において、マスタシリンダ圧検出手段が正常でない場合であっても、その正常でないマスタシリンダ圧検出手段の代わりに車両減速度を利用して的確に助勢制御の開始を実行することができる。

以下、本発明に係るブレーキ装置の制御装置を適用した車両の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1はその車両の構成を示す概要図であり、図2はブレーキ装置の構成を示す概要図である。この車両Mは、前輪駆動車であり、車体前部に搭載した駆動源であるエンジン11の駆動力が後輪でなく前輪に伝達される形式のものである。なお車両Mは前輪駆動車でなく、他の駆動方式の車両例えば後輪駆動車、四輪駆動車でもよい。
車両Mは、エンジン11、変速機12、ディファレンシャル13および左右駆動軸14a,14bを備えており、エンジン11の駆動力は、変速機12で変速されディファレンシャル13および左右駆動軸14a,14bを経て駆動輪である左右前輪Wfl,Wfrにそれぞれ伝達される。エンジン11は、エンジン11の燃焼室内に空気を流入する吸気管11aを備えており、吸気管11a内には、吸気管11aの開閉量を調整して同吸気管11aを通過する空気量を調整するスロットルバルブ15aが設けられている。
スロットルバルブ15aは、アクセルペダル16とスロットルバルブ15aがワイヤによって繋がれたワイヤ式でなく、電子制御式である。すなわち、スロットルバルブ15aは、エンジンECU(エンジン制御装置)17からの指令によるモータ15bの駆動によって開閉され、スロットルバルブ15aの開閉量はスロットル開度センサ15cによって検出されその検出信号がエンジンECU17に送信されており、エンジンECU17からの指令値となるようにフィードバック制御されている。エンジンECU17は、基本的にはアクセル開度センサ16aが検出するアクセルペダル16の踏込み量を受信してその踏込み量に応じたスロットルバルブ15aの開閉量に相当する指令値をモータ15bに送信する。また、エンジンECU17は、検出されたエンジン11の状態を受信してその状態を勘案して決定したスロットルバルブ15aの開閉量に相当する指令値をモータ15bに送信する。
変速機12は、エンジン11の駆動力を変速して駆動輪に出力する自動変速機であり、複数段(例えば4速)の前進段と後進一段の変速段を有するものである。変速機12は、運転者により選択されたレンジに応じた変速段の範囲で車両負荷と車速に基づき、変速を行うようになっている。
また、車両Mは、車両Mを制動させる液圧ブレーキ装置(ブレーキ装置)Aを備えている。液圧ブレーキ装置Aは、各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrr(図2に示す)、ブレーキ操作部材であるブレーキペダル21、バキュームブースタ22、マスタシリンダ23、リザーバタンク24、液圧自動発生装置であるブレーキアクチュエータ25、およびブレーキ装置の制御装置であるブレーキECU26を備えている。
各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrは、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの回転をそれぞれ規制するものであり、各キャリパCLfl,CLfr,CLrl,CLrrに設けられている。各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrに第1液圧である基礎液圧、第2液圧である補助液圧または第3液圧である制御液圧が供給されると、各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrの各ピストン(図示省略)が摩擦部材である一対のブレーキパッド(図示省略)を押圧して各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrと一体回転する回転部材であるディスクロータDRfl,DRfr,DRrl,DRrrを両側から挟んでその回転を規制するようになっている。なお、本実施形態においては、ディスク式ブレーキを採用するようにしたが、ドラム式ブレーキを採用するようにしてもよい。
バキュームブースタ22は、負圧供給装置であるエンジン11からの圧力である負圧の作用でブレーキペダル21の操作力に応じてブレーキペダル21の操作力を倍力することにより補助液圧(パワーピストンに生じた力により形成される液圧)を形成し、その補助液圧をホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrに付与し、その補助液圧によって車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrに第2摩擦制動力を発生させ得る装置である。
具体的には、バキュームブースタ22は、図2に示すように、パワーシリンダ22aと、このパワーシリンダ22a内に往復動可能に収納されたパワーピストン22bと、パワーシリンダ22aとパワーピストン22bとの間に介在されたダイヤフラム22cと、パワーシリンダ22a内をパワーピストン22bおよびダイヤフラム22cで区画されたパワーシリンダ負圧室22dおよびパワーシリンダ大気圧室22eを備えている。パワーシリンダ負圧室22dは接続管22fを介してエンジン11の吸気管11aが接続されており、負圧が供給されるようになっている。パワーシリンダ大気圧室22eは大気に選択的に開放可能となっている。これにより、バキュームブースタ22は、パワーピストン22bの両側に気体の圧力差(負圧と大気圧との差)を生じさせ、この圧力差をパワーピストン22bを押す力に変換し、これをプッシュロッド22gを通してマスタシリンダ23のピストンに作用させて倍力作用を行うものである。なお、接続管22fには、バキュームブースタ22から吸気管11aへの気体の流れのみを許容する逆止弁22f1(図1参照)が設けられている。
また、液圧ブレーキ装置Aは、バキュームブースタ22に供給されている負圧すなわちエンジン11の吸気管11a内の負圧(接続管22f内の負圧)を検出する負圧センサ(負圧検出手段)22f2を備えており、この検出信号はブレーキECU26に送信されるようになっている。
マスタシリンダ23は、プッシュロッド22gからの入力を液圧(基礎液圧+補助液圧)に変換し、各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrに供給する。すなわち、マスタシリンダ23は、ドライバによるブレーキペダル21の操作力(踏力)とその操作によりバキュームブースタ22のパワーピストン22bに発生する力との合力(バキュームブースタ22により倍力されたブレーキ操作力)を入力し、基礎液圧と補助液圧からなる液圧に変換して出力している。基礎液圧は、ブレーキペダル21の操作力(踏力)により形成される液圧分であり、補助液圧は、パワーピストン22bに発生する力により形成される液圧分である。なお、基礎液圧によって車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrに第1摩擦制動力が発生される。
リザーバタンク24は、ブレーキ液を貯蔵してマスタシリンダ23にそのブレーキ液を補給するものである。
ブレーキアクチュエータ25は、マスタシリンダ23と各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrとの間に設けられて、ブレーキペダル21の操作の有無に関係なく自動的に形成した制御液圧をホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrに付与し、対応する車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrに第3摩擦制動力を発生させ得る装置である。
図2を参照してブレーキアクチュエータ25の構成を詳述する。ブレーキアクチュエータ25は、独立して作動する液圧回路である複数の系統から構成されている。具体的には、ブレーキアクチュエータ25は、X配管である第1系統25aと第2系統25bを有している。第1系統25aは、マスタシリンダ23の第1液圧室23aと左後輪Wrl,右前輪WfrのホイールシリンダWCrl,WCfrとをそれぞれ連通して、左後輪Wrl,右前輪Wfrの制動力制御に係わる系統である。第2系統25bは、マスタシリンダ23の第2液圧室23bと左前輪Wfl,右後輪WrrのホイールシリンダWCfl,WCrrとをそれぞれ連通して、左前輪Wfl,右後輪Wrrの制動力制御に係わる系統である。
第1系統25aは、差圧制御弁41、左後輪液圧制御部42、右前輪液圧制御部43、および第1減圧部44を含んで構成されている。
差圧制御弁41は、マスタシリンダ23と、左後輪液圧制御部42の上流部および右前輪液圧制御部43の上流部との間に介装されている常開リニア電磁弁である。この差圧制御弁41は、ブレーキECU26により連通状態(非差圧状態)と差圧状態を切り替え制御されるものである。差圧制御弁41は非通電して通常連通状態とされているが、通電して差圧状態(閉じる側)にすることによりホイールシリンダWCrl,WCfr側の液圧をマスタシリンダ23側の液圧よりも所定の制御差圧分高い圧力に保持することができる。この制御差圧はブレーキECU26により制御電流に応じて調圧されるようになっている。これにより、ポンプ44a,54aによる加圧を前提に制御差圧に相当する制御液圧が形成されるようになっている。
左後輪液圧制御部42は、ホイールシリンダWCrlに供給する液圧を制御可能なものであり、2ポート2位置切換型の常開電磁開閉弁である増圧弁42aと2ポート2位置切換型の常閉電磁開閉弁である減圧弁42bとから構成されている。増圧弁42aは、差圧制御弁41とホイールシリンダWCrlとの間に介装されており、ブレーキECU26の指令にしたがって差圧制御弁41とホイールシリンダWCrlとを連通または遮断できるようになっている。減圧弁42bは、ホイールシリンダWCrlと調圧リザーバ44cとの間に介装されており、ブレーキECU26の指令にしたがってホイールシリンダWCrlと調圧リザーバ44cとを連通または遮断できるようになっている。これにより、ホイールシリンダWCrl内の液圧が増圧・保持・減圧され得るようになっている。
右前輪液圧制御部43は、ホイールシリンダWCfrに供給する液圧を制御可能なものであり、左後輪液圧制御部42と同様に増圧弁43aと減圧弁43bとから構成されている。増圧弁43aおよび減圧弁43bがブレーキECU26の指令により制御されて、ホイールシリンダWCfr内の液圧が増圧・保持・減圧され得るようになっている。
第1減圧部44は、ポンプ(油圧ポンプ)44a、ポンプ用モータ(電動モータ)44b、調圧リザーバ44cを含んで構成されている。ポンプ44aは、調圧リザーバ44c内のブレーキ液を汲み上げて、そのブレーキ液を差圧制御弁41と増圧弁42a,43aとの間に供給するようになっている。このポンプ44aは、ブレーキECU26の指令にしたがって駆動されるポンプ用モータ44bによって駆動されるようになっている。
調圧リザーバ44cは、ホイールシリンダWCrl、WCfrから減圧弁42b、43bを介して抜いたブレーキ液を一旦溜めておく装置である。また、調圧リザーバ44cは、マスタシリンダ23と連通しており、調圧リザーバ44c内のブレーキ液が所定量以下である場合には、マスタシリンダ23からブレーキ液が供給される一方で、所定量より多い場合には、マスタシリンダ23からのブレーキ液の供給が停止されるようになっている。
これにより、差圧制御弁41によって差圧状態が形成されるとともにポンプ44aが駆動されている場合(例えば、横滑り防止制御、トラクションコントロールなどの場合)、マスタシリンダ23から供給されているブレーキ液を調圧リザーバ44c経由で増圧弁42a,43aの上流に供給することができるようになっている。
第2系統25bは、差圧制御弁51、左前輪液圧制御部52、右後輪液圧制御部53、および第2減圧部54を含んで構成されている。
差圧制御弁51は、マスタシリンダ23と、左前輪液圧制御部52の上流部および右後輪液圧制御部53の上流部との間に介装されている常開リニア電磁弁である。この差圧制御弁51は、差圧制御弁41と同様に、ブレーキECU26によりホイールシリンダWCfl,WCrr側の液圧をマスタシリンダ23側の液圧に対してよりも所定の制御差圧分高い圧力に保持できるようになっている。
左前輪液圧制御部52および右後輪液圧制御部53は、ホイールシリンダWCfl,WCrrに供給する液圧をそれぞれ制御可能なものであり、左後輪液圧制御部42および右前輪液圧制御部43と同様に、それぞれ増圧弁52aと減圧弁52b、増圧弁53aと減圧弁53bから構成されている。増圧弁52aと減圧弁52b、増圧弁53aと減圧弁53bがブレーキECU26の指令によりそれぞれ制御されて、ホイールシリンダWCfl内およびホイールシリンダWCrr内の液圧がそれぞれ増圧・保持・減圧され得るようになっている。
第2減圧部54は、第1減圧部44と同様に、ポンプ(油圧ポンプ)54a、ポンプ用モータ44b(第1減圧部44と共用)、調圧リザーバ54cを含んで構成されている。ポンプ54aは、調圧リザーバ44cと同様な調圧リザーバ54c内のブレーキ液を汲み上げて、そのブレーキ液を差圧制御弁51と増圧弁52a,53aとの間に供給するようになっている。このポンプ54aは、ブレーキECU26の指令にしたがって駆動されるポンプ用モータ44bによって駆動されるようになっている。
このように構成されたブレーキアクチュエータ25は、通常ブレーキの際には全ての電磁弁が非励磁状態にされて、ブレーキペダル21の操作力に応じたブレーキ液圧、すなわち基礎液圧+補助液圧をホイールシリンダWC**にそれぞれ供給できるようになっている。なお、**は、各輪に対応する添え字であって、fl,fr,rl,rrのいずれかであり、左前、右前、左後、右後を示している。以下の説明及び図面において同じである。
また、ブレーキアクチュエータ25は、ポンプ用モータ44bすなわちポンプ44a,54aを駆動するとともに差圧制御弁41,51を励磁すると、マスタシリンダ23からの基礎液圧+補助液圧に制御液圧を加えたブレーキ液圧をホイールシリンダWC**にそれぞれ供給できるようになっている。
さらに、ブレーキアクチュエータ25は、増圧弁42a,43a,52a,53a、および減圧弁42b,43b,52b,53bを制御することでホイールシリンダWC**の液圧を個別に調整できるようになっている。これにより、ブレーキECU26からの指示により、例えば、周知のアンチスキッド制御、前後制動力配分制御、横滑り防止制御(具体的には、アンダステア抑制制御、オーバステア抑制制御)、トラクションコントロール、車間距離制御等を達成できるようになっている。
また、ブレーキアクチュエータ25には、マスタシリンダ23内のブレーキ液圧であるマスタシリンダ圧を検出する圧力センサ(マスタシリンダ圧検出手段)25a1が設けられており、この検出信号はブレーキECU26に送信されるようになっている。本実施の形態では、圧力センサ25a1は、第1系統25aであってマスタシリンダ23と差圧制御弁41との間に設けるようにしたが、第2系統25bの同等の位置に設けるようにしてもよい。
また、液圧ブレーキ装置Aは、図1,2に示すように、ブレーキペダル21のストローク量を検出するペダルストロークセンサ21aを備えている。この検出信号はブレーキECU26に送信されるようになっている。ブレーキペダル21のストローク量はブレーキペダル21の操作状態を示すものであり、ペダルストロークセンサ21aはブレーキ操作状態検出手段である。
また、液圧ブレーキ装置Aは、図1に示すように、車輪速度センサSfl,Sfr,Srl,Srrを備えている。車輪速度センサSfl,Sfr,Srl,Srrは、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの付近にそれぞれ設けられており、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの回転に応じた周波数のパルス信号をブレーキECU26に出力している。
また、液圧ブレーキ装置Aは、図1に示すように、車両Mの前後方向の加速度を検出する加速度センサSgを備えている。加速度センサSgは、その検出信号をブレーキECU26に出力している。
ブレーキECU26は、マイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、図6〜図10のフローチャートに対応したプログラムを実行して、バキュームブースタ22に供給されている負圧が、所定制動力を発揮させる所定圧力に対して不足している場合、ブレーキアクチュエータ25を制御してその不足分を補ってブレーキペダル21の操作に応じた目標ブレーキ液圧をホイールシリンダWC**に供給する。
ブレーキECU26は、液圧ブレーキ装置Aを制御する制御装置である。図3に示すように、ブレーキECU26は、バキュームブースタ22に供給されている負圧を負圧センサ22f2から取得する負圧取得部(負圧取得手段)26aと、マスタシリンダ23の圧力をマスタシリンダ圧センサ25a1から取得するマスタシリンダ圧取得部(マスタシリンダ圧取得手段)26bを有している。ブレーキECU26は、バキュームブースタ22に供給されている任意の負圧と、その負圧における該バキュームブースタ22の助勢限界に対応したマスタシリンダ23の圧力である助勢限界圧との関係を示す負圧−助勢限界圧マップが記憶されている第1記憶部(第1記憶手段)26cを有している。
第1記憶部26cに予め記憶されている負圧−助勢限界圧マップは、図4に示すような初期マップである。初期マップは、車両Mの車種ごとの設計値であり、シミュレーションで求めたり、実際の実験値に基づいて求めたりすることができる。負圧−助勢限界圧マップは、図5に示す負圧毎における操作力F1に対するマスタシリンダ圧の関係により求めることができる。
バキュームブースタ22は、ブレーキペダル21の操作力F1がある値まで増加すると、大気圧室22eの圧力が大気圧に達してしまい(大気圧室22eに外気を導入しても負圧室22dと大気圧室22eの圧力差が増加しなくなるため)、パワーピストン22bに生じる力F2のさらなる形成(増加)は行われなくなる。すなわち、大気圧室22eの圧力が大気圧に到達するまでは、ブレーキペダル21の操作力F1にパワーピストン22bに生じる力F2を加えた合力が、バキュームブースタ22から出力される。一方、到達時点以降においては、その到達時点の力F2にブレーキペダル21の操作力F1の増加分のみを加算した合力が、バキュームブースタ22から出力される。大気圧室22eの圧力が大気圧に到達した時点が、バキュームブースタ22が助勢限界に到達した時点である。換言すると、助勢限界とは、バキュームブースタ22が助勢機能をそれ以上発揮できなくなり、大気圧と負圧室22dの圧力差である負圧により決定される。
このことから、任意の負圧において操作力F1を変化させてバキュームブースタ22の助勢限界に対応したマスタシリンダ圧を取得することで、その負圧における助勢限界圧を演算することができる。例えば、負圧がPnn(本実施の形態のブレーキ装置の目標ブレーキ液圧を得るための負圧)のときの助勢限界圧はPmc(n)であり、負圧がPnnより小さいPn3のときの助勢限界圧はPmc(3)であり、負圧がPn3より小さいPn2のときの助勢限界圧はPmc(2)であり、負圧がPn2より小さいPn1のときの助勢限界圧はPmc(1)である。なお、負圧が0のときには助勢限界は生じないで操作力F1がそのままマスタシリンダ圧となるので助勢限界圧は存在せず、すべての領域で助勢を行うことができない。
このように演算された負圧とその負圧における助勢限界圧は一対一に関連付けができるので、関連付けられた複数のデータ(負圧,助勢限界圧)から図4に示す負圧−助勢限界圧マップを得ることができる。なお、助勢限界圧は、任意の負圧において操作力F1を変化させてバキュームブースタ22の助勢限界に対応したマスタシリンダ圧のことである。
さらに、ブレーキECU26は、負圧取得部26aで取得された負圧と第1記憶部26cで記憶されている負圧−助勢限界圧マップとから求められる助勢限界圧を判定用助勢限界圧として演算する判定用助勢限界圧演算部(判定用助勢限界圧演算手段)26dを有している。なお、判定用助勢限界圧は、マスタシリンダ圧に基づいて助勢制御を開始するか否かを判定する際に使用する判定値である。
さらに、ブレーキECU26は、ポンプ44a,54aを駆動させその駆動により形成されるブレーキ液圧をブレーキペダル21の操作に応じて形成されたマスタシリンダ圧に加圧してホイールシリンダWC**に供給する助勢制御を行う助勢制御部(助勢制御手段)26eを有している。すなわち、助勢制御部26eは、マスタシリンダ圧取得部26bで取得されたマスタシリンダ圧が判定用助勢限界圧演算部26dで演算された判定用助勢限界圧以上である場合、ポンプ44a,54aを駆動させその駆動により形成されるブレーキ液圧をブレーキペダル21の操作に応じて形成されたマスタシリンダ圧に加圧することで、ブレーキペダル21の操作に応じた目標ブレーキ液圧をホイールシリンダWC**に供給する助勢制御を行う。
さらに、ブレーキECU26は、負圧センサ22f2から出力される第1情報を取得する負圧センサ情報取得部(負圧センサ情報取得手段:第1情報取得手段)26fを有している。第1情報は、負圧センサ22f2が検出した負圧信号(負圧情報)、負圧センサ22f2自体の正常・異常を示す信号(センサ自身の情報)、負圧センサ22f2とブレーキECU26との間の通信状態に関する情報を少なくとも含む情報である。
さらに、ブレーキECU26は、エンジン11を制御するエンジンECU(エンジン制御装置)17から出力される情報であってバキュームブースタ22に供給される負圧を推定可能な第2情報を取得するエンジン情報取得部(エンジン情報取得手段:第2情報取得手段)26gを有している。第2情報は、エンジンECU17が取得する信号であってバキュームブースタ22に供給される負圧に関係する信号(負圧関係情報)、エンジンECU17自体の正常・異常を示す信号(ECU自身の情報)、エンジンECU17とブレーキECU26との間の通信状態に関する情報を少なくとも含む情報である。負圧関係情報は、エンジン11への吸入空気量、エンジン11のスロットル開度、エンジン11を冷却する冷却水の温度、エンジン11の回転速度のうち少なくとも一つを有する。第2情報は、第1情報とは発信源が異なる情報である。
エンジン11のスロットル開度が小さいほうが負圧は高くなるという関係がある。すなわち、エンジン11の吸入空気量が少ないほうが負圧は高くなるという関係があり、エンジン11の回転速度が小さい(低い)ほうが負圧は高くなるという関係がある。また、エンジン11の冷却水の温度が低いとアイドルアップし冷却水の温度が高くなるとアイドルアップを止めており、アイドルアップ量は冷却水温度と正比例の関係があるため、冷却水温度が低いほど負圧が低くなるという関係がある。
負圧供給判定部(負圧供給判定手段)26hは、負圧センサ情報取得部26fで取得した第1情報と、エンジン情報取得部26gで取得した第2情報とからバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定するものである。負圧供給判定部26hは、第1情報からバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定する第1判定部(第1判定手段)26h1、第2情報からバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定部(第2判定手段)26h2を有している。
第1判定部26h1では、負圧センサ22f2から取得した負圧値が所定値より大きい場合には、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されている(バキュームブースタ22に供給されている負圧が適正である)と判定する。なお、所定値は、エンジン11の吸気管11a内で発生する負圧の最大値より小さい値であり、例えば、エンジン回転数が最も低いアイドリング状態での負圧値を若干下回る値等に設定されている。
第2判定部26h2では、エンジン11のスロットル開度が所定量より小さい場合には、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されていると判定し、エンジン11の吸入空気量が所定量より小さい場合には、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されていると判定し、または、エンジン11の回転速度が所定回転数より小さい場合には、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されていると判定する。また、エンジン11の冷却水温度が所定温度より高い場合には、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されていると判定する。
第1および第2判定部26h1,26h2の両方がバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定した場合、負圧供給判定部26hはバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定する。第1および第2判定部26h1,26h2の何れか一方がバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定した場合(負圧が不足していない(負圧が適正である)と判定した場合)、負圧供給判定部26hはバキュームブースタ22への負圧が不足していない(適正である)と判定する。
また、後述する第3判定部26i1が負圧センサ22f2が正常でないと判定した場合、負圧供給判定部26hは第2判定部26h2によりバキュームブースタ22への負圧が不足しているか否かを判定する。さらに、後述する第4判定部26i2がエンジンECU17からの情報が正常でないと判定した場合、負圧供給判定部26hは、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かの判定を行わない。
負圧センサ・エンジンECU正常判定部(負圧センサ・エンジンECU正常判定手段)26iは、第1情報から負圧センサ22f2が正常であるか否かを判定する第3判定部(第3判定手段)26i1と、第2情報からエンジンECU17からの情報が正常であるか否かを判定する第4判定部(第4判定手段)26i2とを有している。第3判定部26i1は、負圧センサ22f2から送信されるセンサ自身の正常・異常を示す情報に基づいて負圧センサ22f2が正常であるか否かを判定する。第4判定部26i2は、エンジンECU17から送信されるECU自身の正常・異常を示す情報、エンジンECU17とブレーキECU26間の通信の正常・異常を示す情報に基づいてエンジンECU17が正常であるか否かを判定する。
助勢制御許否判定部26jは、少なくとも負圧供給判定手段の判定結果に応じて助勢制御の許否を決定するものである。助勢制御許否判定部26jは、この決定に際して、負圧センサ・エンジンECU正常判定部26iの判定結果も考慮するようにしてもよい。
以下、判定を場合分けして具体例を挙げて説明する。
1)判定パターン1
エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が正常であると判定した場合において、第1および第2判定部26h1,26h2の両方がバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定した場合、負圧供給判定部26hはバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定し、この判定結果により、助勢制御許否判定部26jは、助勢制御の許可を決定する。
2)判定パターン2
エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が正常であると判定した場合において、第1判定部26h1がバキュームブースタ22への負圧が適正であると判定する一方で、第2判定部26h2がバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定した場合、負圧供給判定部26hは、負圧センサ22f2からの情報に基づき、バキュームブースタ22への負圧が適正であると判定し、この判定結果により、助勢制御許否判定部26jは、助勢制御の許可を決定する。このとき、負圧供給判定部26hは、エンジンECU26からの情報(第2情報)に基づく負圧が不足である旨の判定結果に関わらず、負圧センサ22f2からの情報(第1情報)に基づく負圧が適正である旨の判定結果を優先させて、バキュームブースタ22へは負圧が適正に供給されていると判定する。
3)判定パターン3
エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が正常であると判定した場合において、第2判定部26h2がバキュームブースタ22への負圧が適正であると判定した場合、負圧供給判定部26hはバキュームブースタ22への負圧が適正であると判定し、この判定結果により、助勢制御許否判定部26jは、助勢制御の禁止を決定する。
4)判定パターン4
また、エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が異常である(正常でない)と判定した場合において、第2判定部26h2がバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定した場合であって、車両減速度が所定値(制御開始減速度)以上である場合には、負圧供給判定部26hは、バキュームブースタ22への負圧がバキュームブースタ22が助勢限界状態に達するまで不足していると判定する。この判定結果により、助勢制御許否判定部26jは、助勢制御の許可を決定する。
車両減速度は、加速度センサSgから取得した車両Mの前後方向の加速度から算出することができる。なお、車両減速度は、車輪速度センサSfl,Sfr,Srl,Srrから取得した信号から算出される車輪速度から算出するようにしてもよい。また、所定値(制御開始減速度)は、エンジンECU17から取得されるバキュームブースタ22に供給される負圧に関係する信号(負圧関係情報)のうちいずれかのもの(エンジン11への吸入空気量、エンジン11のスロットル開度、エンジン11を冷却する冷却水の温度、エンジン11の回転速度)から推定された負圧から算出される値である。例えば、エンジン11への吸入空気量の場合、負圧は次のように算出される。
負圧は、1−(エンジン11への流入空気量/大気圧での流入空気量)で求められるので、大気圧での流入空気量を演算すればよい。大気圧での流入空気量は、4ストロークエンジンであれば、(シリンダ断面積×ピストンストローク)×気筒数×エンジン回転数/2で求めることができる。そして、このように算出された負圧に対応した制御開始減速度を算出する。まず、実験あるいは設計値から事前に求めた負圧−助勢限界圧特性マップを基に負圧から助勢限界圧が求められ、さらに、実験あるいは設計値から事前に求めたマスタシリンダ圧−減速度特性マップから、助勢限界圧をマスタシリンダ圧とした時の減速度を求めることで、制御開始減速度が算出される。あるいは、負圧が不足していると判定した場合には、求めた負圧によらず制御開始減速度を一つ決めてもよい。この場合、例えば、負圧0で通常を超える強い踏力(例えば40kgf)でブレーキペダル21が踏まれたときに発生する減速度等を制御開始減速度として設定する。
5)判定パターン5
また、エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が異常である(正常でない)と判定した場合において、第2判定部26h2がバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定した場合であって、車両減速度が所定値(制御開始減速度)未満である場合には、負圧供給判定部26hはバキュームブースタ22への負圧が適正であると判定する。この判定結果により、助勢制御許否判定部26jは、助勢制御の禁止を決定する。
6)判定パターン6
さらに、エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が異常である(正常でない)と判定した場合において、第2判定部26h2がバキュームブースタ22への負圧が適正であると判定した場合には、負圧供給判定部26hはバキュームブースタ22への負圧が適正であると判定する。この判定結果により、助勢制御許否判定部26jは、助勢制御の禁止を決定する。
7)判定パターン7
また、エンジンECU17からの情報が異常である(正常でない)と判定した場合には、負圧供給判定部26hはバキュームブースタ22への負圧が適正に供給されているか否かの判定を行わず、助勢制御許否判定部26jは、助勢制御の禁止を決定する。
次に、上記のように構成した液圧ブレーキ装置の作動を図6〜図10のフローチャートに沿って説明する。
ブレーキECU26は、例えば車両のイグニションスイッチ(図示省略)がオン状態にあるとき、上記フローチャートに対応したプログラムを所定の短時間(例えば10ミリ秒)毎に実行する。ブレーキECU26は、上述した各種センサから情報を取り込む(取得する;ステップ102)。このとき、負圧センサ22f2、マスタシリンダ圧センサ25a1以外のセンサからの情報を取り込んでいる。具体的には、加速度センサSg、車輪速度センサSfl,Sfr,Srl,Srr、ペダルストロークセンサ21aからの情報を取り込んでいる。
続けて、ブレーキECU26は、負圧センサ22f2が検出した負圧信号(負圧情報)を取得するとともに(ステップ104)、負圧センサ22f2自体の正常・異常を示す信号(センサ自身の情報)、負圧センサ22f2とブレーキECU26との間の通信状態に関する情報を少なくとも取得する(ステップ106)。これらの情報は、負圧センサ22f2から出力される第1情報(上述した)である。
そして、ブレーキECU26は、エンジンECU17から出力される情報であってバキュームブースタ22に供給される負圧を推定可能な情報、すなわちエンジンECU17が取得する信号であってバキュームブースタ22に供給される負圧に関係する信号(負圧関係情報)を取得するとともに(ステップ108)、エンジンECU17自体の正常・異常を示す信号(ECU自身の情報)、エンジンECU17とブレーキECU26との間の通信状態に関する情報を少なくとも取得する(ステップ110)。これら情報は、エンジンECU17から出力される第2情報(上述した)である。
続けて、ブレーキECU26は、このように取得した第1情報および第2情報とからバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定し(負圧供給判定手段)、その判定結果に応じて助勢制御の許否を決定し(助勢制御許否決定手段)、助勢制御の許可を決定した場合、助勢制御を実行可能とし、助勢制御の禁止を決定した場合、助勢制御を行わないように(禁止するように)している。
ブレーキECU26は、ステップ112において、第2情報からエンジンECU17からの情報が正常であるか否かを判定する(第4判定手段)。具体的には、ブレーキECU26は、第2情報のうち、エンジンECU17から送信されるECU自身の正常・異常を示す情報や、エンジンECU17とブレーキECU26間の通信の正常・異常を示す情報に基づいてエンジンECU17が正常であるか否かを判定する。
ブレーキECU26は、ステップ114において、第1情報から負圧センサ22F2が正常であるか否かを判定する(第3判定手段)。具体的には、ブレーキECU26は、第1情報のうち、負圧センサ22f2から送信されるセンサ自身の正常・異常を示す情報に基づいて負圧センサ22f2が正常であるか否かを判定する。
ブレーキECU26は、ステップ116,132において、第2情報からバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定する(第2判定手段)。具体的には、ブレーキECU26は、エンジン11のスロットル開度が所定量より小さい場合には、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されていると判定し、エンジン11の吸入空気量が所定量より小さい場合には、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されていると判定し、または、エンジン11の回転速度が所定回転数より小さい場合には、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されていると判定する。また、エンジン11の冷却水温度が所定温度より高い場合には、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されていると判定する。
ブレーキECU26は、ステップ118において、第1情報からバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定する(第1判定手段)。具体的には、ブレーキECU26は、負圧センサ22f2から取得した負圧値が所定値より大きい場合には、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されている(バキュームブースタ22に供給されている負圧が適正である)と判定する。なお、所定値は、エンジン11の吸気管11a内で発生する負圧の最大値より小さい値であり、例えば、エンジン回転数が最も低いアイドリング状態での負圧値を若干下回る値等に設定されている。
以下、判定を場合分けして具体例を挙げて説明する。
1)判定パターン1
まず、ブレーキECU26が、エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が正常であると判定した場合(ステップ112,114でそれぞれ「YES」と判定した場合)において、エンジンECU17からの情報(第2情報)および負圧センサ22f2からの情報(第1情報)の両方に基づいてバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定した場合(ステップ116,118でそれぞれ「YES」と判定した場合)について説明する。
この場合、ブレーキECU26は、バキュームブースタ22への負圧が不足していると判定する。そして、この判定結果により、ブレーキECU26は、助勢制御の許可を決定する(ステップ120)。このときの許可は許可1である。許可1は、マスタシリンダ圧センサ25a1で実際に測定したマスタシリンダ液圧と負圧センサ22f2で実際に測定した負圧から算出した判定用助勢限界圧とを比較し、その比較結果に応じてポンプ44a,54aの駆動、および/または差圧制御弁41,51の制御による助勢制御を許可するフラグである。
続けて、ブレーキECU26は、ステップ122以降において、助勢制御を許可/禁止するフラグに対応する処理を実行する。すなわち、ブレーキECU26は、助勢制御を許可/禁止するフラグが許可1であれば(助勢制御の許可/禁止状態が許可1で示す状態であれば)、助勢制御1を実行し、また、許可2であれば助勢制御2を実行し、また、禁止であれば助勢制御を行わない、すなわち助勢制御を終了させる終了処理を実行する。
なお、許可2は、許可1とは第1情報から得た負圧を使用せず、第2情報から推定した負圧を使用する点で異なり、ポンプ44a,54aの駆動、および/または差圧制御弁41,51の制御による助勢制御を許可するフラグである。また、禁止は、いずれの許可(許可1、許可2)で許可され実施されている助勢制御を終了させたり、助勢制御を禁止したりするフラグである。
上述した、エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が正常であると判定した場合において、エンジンECU17からの情報および負圧センサ22f2からの情報の両方に基づいてバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定した場合に説明を戻す。この場合には、上述したように、許可禁止フラグは許可1であるため、ブレーキECU26は、プログラムをステップ124に進めて(ステップ122で「許可1」を選択して)、助勢制御1を実行する。
ブレーキECU26は、ステップ124において、図7に示すフローチャートに示すサブルーチンである助勢制御1に沿って助勢制御を実行する。ブレーキECU26は、マスタシリンダ圧センサ25a1からマスタシリンダ圧を示すマスタシリンダ圧信号を取得し(ステップ202)、負圧センサ22f2から負圧を示す負圧信号を取得する(ステップ204)。そして、ブレーキECU26は、ステップ204で取得された負圧と第1記憶部26cで記憶されている負圧−助勢限界圧マップとから求められる助勢限界圧を判定用助勢限界圧として演算する(ステップ206)。
続いて、ブレーキECU26は、バキュームブースタ22が助勢可能な状態にあるか否かを判定する(ステップ208)。具体的には、ブレーキECU26は、ステップ202で取得されたマスタシリンダ圧がステップ206で演算された判定用助勢限界圧以上であれば、バキュームブースタ22が助勢可能な状態ではないと判定し(「YES」と判定し)、逆に判定用助勢限界圧未満であれば、バキュームブースタ22が助勢可能な状態であると判定する(「NO」と判定する)。ここで、助勢可能な状態とは、バキュームブースタ22に供給されている負圧の作用により助勢が可能な状態のことをいう。
バキュームブースタ22が助勢可能な状態である場合には、ブレーキECU26は、ステップ108で「NO」と判定し、終了処理を行う(ステップ210)。具体的には、ブレーキECU26は、図8に示すフローチャートに示すサブルーチンである終了処理に沿って増圧制御の終了処理を実行する。この終了処理ルーチンにおいては、ステップ302において、差圧制御弁41(または/および51)のソレノイドにそれをオフにする信号が出力されて、差圧制御弁41(または/および51)がオフされ(開状態とされ)、ステップ304において、ポンプ用モータ44bにそれをオフにする信号が出力されてポンプ用モータ44bがオフされポンプ44a(または/および54a)の駆動が停止される。以上でこの終了処理ルーチンの一回の実行が終了し、それにより、図7に示す助勢制御1ルーチンの一回の実行も終了し、図6に示す制御ルーチンの一回の実行も終了する。なお、図8に示す増圧制御の終了処理は、増圧制御を終了させる終了処理という作用だけなく、ブレーキペダル21の踏込開始から助勢限界に到達するまでの通常ブレーキの処理という作用も有する。通常ブレーキの処理とは、マスタシリンダ23からの液圧をホイールシリンダWC**にそのまま供給するため、差圧制御弁41(または/および51)の前後で差圧が生じないように開状態とすることである。
一方、バキュームブースタ22が助勢可能な状態ではない場合には、ブレーキECU26は、ステップ208で「YES」と判定し、助勢制御を行う(ステップ212)。助勢制御は、ポンプ44a,54aを駆動させその駆動により形成されるブレーキ液圧をブレーキペダル21の操作に応じて形成されたマスタシリンダ圧に加圧することで、ブレーキペダル21の操作に応じた目標ブレーキ液圧をホイールシリンダWC**に供給する制御である(助勢制御手段)。
具体的には、ブレーキECU26は、図9に示すフローチャートに示すサブルーチンである増圧制御に沿って助勢制御を実行する。ブレーキECU26は、ステップ402において、マスタシリンダ圧および負圧の今回値に基づき、今回のマスタシリンダ圧に増圧すべき液圧、例えば、ホイールシリンダWC**の目標ブレーキ液圧と実際に発生しているホイールシリンダ圧(=マスタシリンダ圧)との差である目標差圧ΔPを演算する。なお、目標ブレーキ液圧は、図5の負圧ごとの操作力−マスタシリンダ圧特性を基に、現在の負圧の特性を適正負圧Pnnの特性に補正するように算出される。
そして、ブレーキECU26は、決定された目標差圧ΔPに応じ、差圧制御弁41(または/および51)のソレノイドに供給すべき電流値Iを決定する(ステップ404)。目標差圧ΔPとソレノイド電流値Iとの関係がブレーキECU26の記憶部(ROM)に記憶されており、その関係に従って目標差圧ΔPに対応するソレノイド電流値Iが決定されるのである。続いて、ブレーキECU26は、差圧制御弁41(または/および51)のソレノイドに、決定されたソレノイド電流値Iで電流を供給させることにより、差圧制御弁41(または/および51)を制御(差圧制御)する(ステップ406)。
その後、ブレーキECU26は、ポンプ用モータ44bにそれをONにする信号を出力する(ステップ408)。それにより、ポンプ44a(または/および54a)は、調圧リザーバ44c(または/および54c)から作動液を汲み上げ、作動液を各ホイールシリンダWC**に吐出し、その結果、各ホイールシリンダWC**にマスタシリンダ圧より目標差圧ΔPだけ高い液圧が発生させられる。以上でこの増圧制御ルーチンの一回の実行が終了し、それにより、図7に示す助勢制御1ルーチンの一回の実行も終了し、図6に示す制御ルーチンの一回の実行も終了する。
2)判定パターン2
次に、ブレーキECU26が、エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が正常であると判定した(ステップ112,114でそれぞれ「YES」と判定した)場合において、さらにブレーキECU26がエンジンECU17からの情報(第2情報)に基づきバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定(ステップ116で「YES」と判定)する一方で、負圧センサ22f2からの情報(第1情報)に基づきバキュームブースタ22への負圧が適正であると判定(ステップ118で「NO」と判定)した場合について説明する。
この場合、ブレーキECU26は、バキュームブースタ22への負圧が適正であると判定する。すなわち、ブレーキECU26は、エンジンECU26からの情報(第2情報)に基づく負圧が不足である旨の判定結果に関わらず、負圧センサ22f2からの情報(第1情報)に基づく負圧が適正である旨の判定結果を優先させて、バキュームブースタ22へは負圧が適正に供給されていると判定する(ステップ118の判定)。これは、接続管22fには、バキュームブースタ22から吸気管11aへの気体の流れのみを許容する逆止弁22f1が設けられており、一旦、負圧室22d内の負圧が適正になると、吸気管11aの負圧が不足しても、しばらくは負圧室22d内の負圧は適正範囲に保たれるからである。
そして、この判定結果により、ブレーキECU26は、助勢制御の許可を決定する(ステップ126)。このときの許可は、上述したステップ120の処理のときと同様に許可1である。続けて、ブレーキECU26は、許可禁止フラグが許可1であるため、上述したようにプログラムをステップ124に進めて(ステップ122で「許可1」を選択して)、助勢制御1を実行する。なお、この場合、負圧は適正に供給されているので、実際には助勢制御は行われない。
3)判定パターン3
次に、ブレーキECU26が、エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が正常であると判定した(ステップ112,114でそれぞれ「YES」と判定した)場合において、さらにブレーキECU26がエンジンECU17からの情報(第2情報)に基づきバキュームブースタ22への負圧が適正であると判定(ステップ116で「NO」と判定)した場合について説明する。
この場合、ブレーキECU26は、バキュームブースタ22への負圧が適正であると判定する。すなわち、ブレーキECU26は、負圧センサ22f2の情報(第1情報)の内容による負圧の不足・適正の判定(負圧供給判定)結果に関わらず、第2情報に基づく負圧供給判定結果を優先させて、バキュームブースタ22へは負圧が適正に供給されていると判定する(ステップ116の判定)。なぜならば、接続管22fには、バキュームブースタ22から吸気管11aへの気体の流れのみを許容する逆止弁22f1が設けられており、吸気管11aの負圧が適正であれば、負圧室22d内の負圧は適正範囲に保たれている。
そして、この判定結果により、ブレーキECU26は、助勢制御を行う必要がないため、助勢制御の禁止を決定する(ステップ128)。このとき、ブレーキECU26は、許可禁止フラグを禁止に設定する。続けて、ブレーキECU26は、許可禁止フラグが禁止であるため、プログラムをステップ130に進めて(ステップ122で「禁止」を選択して)、終了処理を実行する。
ブレーキECU26は、ステップ130において、図8に示すフローチャートに示すサブルーチンである終了処理に沿って終了処理を実行する。この終了処理ルーチンにおいては、ステップ302において、差圧制御弁41(または/および51)のソレノイドにそれをオフにする信号が出力されて、差圧制御弁41(または/および51)がオフされ(開状態とされ)、ステップ304において、ポンプ用モータ44bにそれをオフにする信号が出力されてポンプ用モータ44bがオフされポンプ44a(または/および54a)の駆動が停止される。以上でこの終了処理ルーチンの一回の実行が終了し、それにより、図6に示す制御ルーチンの一回の実行も終了する。
これにより、ブレーキECU26が、エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が正常であると判定した場合において、さらにブレーキECU26がエンジンECU17からの情報(第2情報)に基づきバキュームブースタ22への負圧が適正であると判定した場合には、助勢制御は禁止され行われない。このとき、負圧は適正に供給されていると判定されるので、バキュームブースタ22が所望の性能を発揮すると判定され、助勢制御は必要ないと判定(決定)される。
4)判定パターン4
次に、ブレーキECU26が、エンジンECU17からの情報(第2情報)が正常であるが、負圧センサ22f2が異常である(正常でない)と判定した(ステップ112,114で「YES」、「NO」と判定した)場合において、さらにブレーキECU26がエンジンECU17からの情報(第2情報)に基づきバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定(ステップ132で「YES」と判定)した場合であって、車両減速度が所定値(制御開始減速度)以上である場合(ステップ134で「YES」と判定)について説明する。
この場合、ブレーキECU26は、バキュームブースタ22への負圧がバキュームブースタ22が助勢限界状態に達するまで不足していると判定する。すなわち、ブレーキECU26は、負圧センサ22f2が異常であると判定したため、第2情報に基づきバキュームブースタ22への負圧が不足しているか適正であるかを判定し(ステップ132の判定)、さらに詳細にバキュームブースタ22が助勢限界状態に達しているか否かを車両減速度を使用して判定する(ステップ134の判定)。なお、この判定は、上述したように、加速度センサSgから取得した車両Mの前後方向の加速度と、所定値(制御開始減速度)とを比較して行われ、車両減速度が所定値以上であればバキュームブースタ22が助勢限界状態であると判定される。
そして、この判定結果により、ブレーキECU26は、助勢制御の許可2を決定する(ステップ136)。このとき、ブレーキECU26は、許可禁止フラグを許可2に設定する。続けて、ブレーキECU26は、許可禁止フラグが許可2であるため、プログラムをステップ138に進めて(ステップ122で「許可2」を選択して)、助勢制御2を実行する。
ブレーキECU26は、ステップ138において、図10に示すフローチャートに示すサブルーチンである助勢制御2に沿って助勢制御を実行する。例えば、第2情報のうちエンジン11への吸入空気量を例に挙げて説明する。ブレーキECU26は、ステップ502において、まず、吸入空気量と演算した大気圧での流入空気量から推定負圧値を求める。さらに求めた推定負圧値ごとの減速度とソレノイド電流Iとの関係(演算式、マップ)と、減速度とから、差圧制御弁41(または/および51)のソレノイドに供給すべき電流値Iを決定する。推定負圧値ごとの減速度とソレノイド電流Iとの関係がブレーキECU26の記憶部(ROM)に記憶されており、その関係に従って推定負圧値と減速度に対応するソレノイド電流値Iが決定されるのである。続いて、ブレーキECU26は、差圧制御弁41(または/および51)のソレノイドに、決定されたソレノイド電流値Iで電流を供給させることにより、差圧制御弁41(または/および51)を制御(差圧制御)する(ステップ504)。また、第2情報が負圧を正確に演算できない情報の場合には、減速度に応じて一定の勾配で助勢するような制御を行ってもよい。すなわち、推定負圧値ごとの減速度とソレノイド電流Iとの関係(演算式、マップ)の代わりに、減速度とそれに比例する電流値Iとの関係に従って、差圧制御弁41(または/および51)を制御する。
その後、ブレーキECU26は、ポンプ用モータ44bにそれをONにする信号を出力する(ステップ506)。それにより、ポンプ44a(または/および54a)は、調圧リザーバ44c(または/および54c)から作動液を汲み上げ、作動液を各ホイールシリンダWC**に吐出し、その結果、各ホイールシリンダWC**にマスタシリンダ圧より所定圧ΔPだけ高い液圧が発生させられる。以上でこの助勢制御2ルーチンの一回の実行も終了し、図6に示す制御ルーチンの一回の実行も終了する。
これにより、例えば車両の始動当初において、負圧センサ22f2の出力が不安定である場合において(この場合負圧センサ22f2は正常でないと判定される)、エンジン11がアイドルアップ中などで、負圧が不足していると判定されても、確実に助勢制御を実行することができる。
5)判定パターン5
次に、ブレーキECU26が、エンジンECU17からの情報(第2情報)が正常であるが、負圧センサ22f2が異常である(正常でない)と判定した(ステップ112,114で「YES」、「NO」と判定した)場合において、さらにブレーキECU26がエンジンECU17からの情報(第2情報)に基づきバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定(ステップ132で「YES」と判定)した場合であって、車両減速度が所定値(制御開始減速度)未満である場合(ステップ134で「NO」と判定)について説明する。
この場合、ブレーキECU26は、バキュームブースタ22への負圧がバキュームブースタ22が助勢限界状態に達するまで不足していないと判定する。換言すると、バキュームブースタ22への負圧が適正であると判定する。
そして、この判定結果により、助勢制御を行う必要がないため、ブレーキECU26は、助勢制御の禁止を決定する(ステップ140)。このとき、ブレーキECU26は、許可禁止フラグを禁止に設定する。続けて、ブレーキECU26は、許可禁止フラグが禁止であるため、プログラムをステップ130に進めて(ステップ122で「禁止」を選択して)、終了処理を実行する。この終了処理は、上述した判定パターン3で実行する終了処理と同様である。以上でこの終了処理ルーチンの一回の実行を終了し、図6に示す制御ルーチンの一回の実行も終了する。
6)判定パターン6
次に、ブレーキECU26が、エンジンECU17からの情報(第2情報)が正常であるが、負圧センサ22f2が異常である(正常でない)と判定した(ステップ112,114で「YES」、「NO」と判定した)場合において、さらにブレーキECU26がエンジンECU17からの情報(第2情報)に基づきバキュームブースタ22への負圧が適正であると判定(ステップ132で「NO」と判定)した場合について説明する。
この場合、ブレーキECU26は、第2情報に基づき、バキュームブースタ22への負圧が適正であると判定する。そして、この判定結果により、助勢制御を行う必要がないため、ブレーキECU26は、助勢制御の禁止を決定する(ステップ140)。このとき、ブレーキECU26は、許可禁止フラグを禁止に設定する。続けて、ブレーキECU26は、許可禁止フラグが禁止であるため、プログラムをステップ130に進めて(ステップ122で「禁止」を選択して)、終了処理を実行する。この終了処理は、上述した判定パターン3、5で実行する終了処理と同様である。以上でこの終了処理ルーチンの一回の実行を終了し、図6に示す制御ルーチンの一回の実行も終了する。
7)判定パターン7
そして、ブレーキECU26が、エンジンECU17からの情報(第2情報)が異常である(正常でない)と判定した(ステップ112で「NO」と判定した)場合について説明する。
この場合、ブレーキECU26は、バキュームブースタ22への負圧が適正に供給されているか否かの判定を行わない。そして、助勢制御の実行を禁止するため、ブレーキECU26は、助勢制御の禁止を決定する(ステップ142)。このとき、ブレーキECU26は、許可禁止フラグを禁止に設定する。続けて、ブレーキECU26は、許可禁止フラグが禁止であるため、プログラムをステップ130に進めて(ステップ122で「禁止」を選択して)、終了処理を実行する。この終了処理は、上述した判定パターン3、5、6で実行する終了処理と同様である。以上でこの終了処理ルーチンの一回の実行を終了し、図6に示す制御ルーチンの一回の実行も終了する。
なお、上述した、ステップ120,126,128,136,140,142の処理が、助勢制御許否決定手段である。この助勢制御許否決定手段は、第1情報と第2情報とからバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定する負圧供給判定手段の判定結果に応じて助勢制御の許否を決定するものである。負圧供給判定手段は、ステップ116,118,132,134の処理である。また、上述したステップ104,106の処理が第1情報取得手段であり、ステップ108,110の処理が第2情報取得手段である。
上述した説明から明らかなように、本実施の形態によれば、第1情報取得手段(26f,ステップ104,106)が、負圧センサ22f2から出力される第1情報を取得し、第2情報取得手段(26g,ステップ108,110)が、エンジン11を制御するエンジンECU17から出力される情報であってバキュームブースタ22に供給される負圧を推定可能な第2情報を取得する。負圧供給判定手段(26h,ステップ116,118,132,134)が、第1情報取得手段(26f,ステップ104,106)で取得した第1情報と第2情報取得手段(26g,ステップ108,110)で取得した第2情報とからバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定し、助勢制御許否決定手段(26j,ステップ120,126,128,136,140,142)が、負圧供給判定手段(26h,ステップ116,118,132,134)の判定結果に応じて助勢制御の許否を決定する。そして、助勢制御許否決定手段で助勢制御の許可が決定された場合、助勢制御手段は助勢制御を実行可能となり、助勢制御許否決定手段で助勢制御の禁止が決定された場合、助勢制御手段は助勢制御を行わない(ステップ122,124,130,138)。これにより、制御装置(ブレーキECU26)は、負圧センサ22f2から出力される第1情報だけでなく、エンジン11を制御するエンジンECU26から出力される情報であってバキュームブースタ22に供給される負圧を推定可能な第2情報もあわせて、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定し、その判定結果に応じて助勢制御の許否を決定する。したがって、負圧センサ22f2の出力(検出)にバラツキがあったり、負圧センサ22f2自体に異常があったりしても、エンジンECU26からの第2情報に基づく助勢制御の許否決定を利用して、ブレーキ装置Aに所望のブレーキ性能をできるだけ発揮させることができる。
また、第2情報は、エンジン11への吸入空気量、エンジン11のスロットル開度、エンジン11を冷却する冷却水の温度、エンジン11の回転速度のうち少なくとも一つを有する。これにより、エンジン11からバキュームブースタ22に供給されている負圧情報を確実かつ適切に得ることができる。
また、負圧供給判定手段(26h,ステップ116,118,132,134)は、第1情報からバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定する第1判定手段(26h1,ステップ118)と、第2情報からバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定手段(26h2,ステップ116,132)と、を有し、第1および第2判定手段の両方がバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定した場合、負圧供給判定手段はバキュームブースタへの負圧が不足していると判定するとともに(ステップ116,118で「YES」と判定)、助勢制御許否決定手段は助勢制御の許可を決定する(ステップ120)。これにより、第1情報と第2情報の両方を使用してバキュームブースタ22への負圧が不足していることを的確に判定し、ひいては的確に助勢制御を実行することができる。
また、制御装置(ブレーキECU26)は、第1情報から負圧センサ22f2が正常であるか否かを判定する第3判定手段(26i1,ステップ114)を有し、負圧供給判定手段(26h,ステップ116,118,132,134)は、第2情報からバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定手段(26h2,ステップ132)を有し、第3判定手段(26i1,ステップ114)が負圧センサ22f2が正常でないと判定した場合(ステップ114で「NO」と判定)、負圧供給判定手段は第2判定手段(26h2,ステップ132)によりバキュームブースタ22への負圧が不足しているか否かを判定する。これにより、負圧センサ22f2が正常でない場合でも、第2判定手段(26h2,ステップ132)が第2情報からバキュームブースタ22への負圧が不足しているか否かを判定し、助勢制御を的確に実行することができる。
また、制御装置(ブレーキECU26)は、第2情報からエンジンECU17からの情報が正常であるか否かを判定する第4判定手段(26i2,ステップ112)を有し、第4判定手段がエンジンECU17からの情報が正常でないと判定した場合(ステップ112で「NO」と判定)、負圧供給判定手段(26h,ステップ116,118,132,134)は、バキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かの判定を行わず、助勢制御許否決定手段は助勢制御の禁止を決定する(ステップ142)。これにより、エンジンECU26からの情報が正常でない場合、助勢制御を確実に禁止することができる。
また、制御装置(ブレーキECU26)は、車両の減速度が第2情報から算出される制御開始減速度以上である場合(ステップ134で「YES」と判定)には、負圧供給判定手段(26h,ステップ116,118,132,134)はバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定し、助勢制御許否決定手段は助勢制御の許可を決定する(ステップ136)。これにより、負圧センサ22f2が正常でない場合でも、車両の減速度と第2情報とからバキュームブースタ22への負圧が不足しているか否かをより確実かつ的確に判定し、助勢制御の開始をより的確に実行することができる。
なお、上述した実施の形態においては、ステップ134において、車両減速度と所定値を比較して、車両減速度が所定値以上であればバキュームブースタ22が助勢限界状態に達していると判定するようにしていたが、マスタシリンダ圧センサ25a1が正常の場合には、車両減速度の代わりにマスタシリンダ圧を使用するようにしてもよい。この場合、マスタシリンダ圧と所定値を比較すればよい。この所定値は、制御開始マスタシリンダ圧であり、図5のマップと、第2情報から演算した推定負圧値によって算出される。
(変形例)
次に、本発明によるブレーキ装置の制御装置を適用した車両の他の実施の形態(変形例)を図11,12を参照して説明する。上述した実施の形態と同一の構成については同一符号を付してその説明を省略する。
本変形例のブレーキECU26は、図11に示すように、減速度取得部(減速度取得手段)26k、およびマスタシリンダ圧センサ情報取得部(マスタシリンダ圧センサ情報取得手段)26lをさらに有している。減速度取得部26kは、車両Mの前後方向の加速度を加速度センサSgから取得するものである。車両Mの前後方向の加速度のうち車両Mの減速度を示すものが減速度である。
マスタシリンダ圧センサ情報取得部(M/C圧センサ情報取得部)26lは、マスタシリンダ圧センサ25a1から出力される第3情報を取得するものである(第3情報取得手段)。第3情報は、マスタシリンダ圧センサ25a1が検出したマスタシリンダ圧信号(マスタシリンダ圧情報)、マスタシリンダ圧センサ25a1自体の正常・異常を示す信号(センサ自身の情報)、マスタシリンダ圧センサ25a1とブレーキECU26との間の通信状態に関する情報を少なくとも含む情報である。
また、本変形例のブレーキECU26においては、図11に示すように、負圧供給判定部26hは、減速度からバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定する第5判定部(第5判定手段)26h3をさらに有している。具体的には、上述した判定パターン4と同様に、車両減速度が所定値(制御開始減速度)以上である場合には、第5判定部26h3は、バキュームブースタ22への負圧がバキュームブースタ22が助勢限界状態に達するまで不足していると判定する。この判定結果により、助勢制御許否判定部26jは、助勢制御の許可を決定する。
さらに、本変形例のブレーキECU26においては、図11に示すように、負圧センサ・エンジンECU正常判定部26iは、マスタシリンダ圧センサ25a1から送信されるセンサ自身の正常・異常を示す情報に基づいてマスタシリンダ圧センサ25a1が正常であるか否かを判定する第6判定部(第6判定手段)26i3をさらに有している。
このような構成したブレーキ装置Bの作動について説明する。上述した判定パターン1において、すなわち、エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が正常であると判定した場合において、第1および第2判定部26h1,26h2の両方がバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定した場合において、第6判定部26i3がマスタシリンダ圧センサ25a1が正常であると判定した場合には、助勢制御許否判定部26jは、助勢制御の許可(許可1)を決定する。
一方、第6判定部26i3がマスタシリンダ圧センサ25a1が正常でないと判定した場合であって、第5判定部26h3がバキュームブースタ22への負圧がバキュームブースタ22が助勢限界状態に達するまで不足していると判定した場合には、助勢制御許否判定部26jは、助勢制御の許可(許可2)を決定する。また、第6判定部26i3がマスタシリンダ圧センサ25a1が正常でないと判定した場合であって、第5判定部26h3がバキュームブースタ22への負圧がバキュームブースタ22が助勢限界状態に達するまで不足していないと判定した場合には、助勢制御許否判定部26jは、助勢制御の禁止を決定する。
さらに、このように構成したブレーキ装置Bの作動を図12のフローチャートに沿って説明する。上述した判定パターン1のように、ブレーキECU26が、エンジンECU17からの情報が正常であり、負圧センサ22f2が正常であると判定した場合(ステップ112,114でそれぞれ「YES」と判定した場合)において、エンジンECU17からの情報(第2情報)および負圧センサ22f2からの情報(第1情報)の両方に基づいてバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定した場合(ステップ116,118でそれぞれ「YES」と判定した場合)について説明する。
この場合において、まず、ブレーキECU26が、マスタシリンダ圧センサ25a1が正常であると判定した場合(ステップ602で「YES」と判定した場合)について説明する。このとき、マスタシリンダ圧センサ25a1の検出値は正常であるので、その検出値を使用して助勢制御を実行することは可能であるため、ブレーキECU26は、助勢制御の許可(許可1)を決定する(ステップ120)。以降の処理は、上述した判定パターン1でした説明と同様であるため、その説明は省略する。
次に、ブレーキECU26が、マスタシリンダ圧センサ25a1が正常でないいと判定した場合(ステップ602で「NO」と判定した場合)について説明する。続けてブレーキECU26は、上述したステップ134の処理と同様に、検出した車両Mの減速度が所定値以上であるか否かを判定する(ステップ604)。
ブレーキECU26は、車両Mの減速度が所定値以上であると判定した場合(ステップ604で「YES」と判定した場合)には、バキュームブースタ22への負圧がバキュームブースタ22が助勢限界状態に達するまで不足していると判定する。この判定結果により、ブレーキECU26は、ステップ136の処理と同様に、助勢制御の許可(許可2)を決定する(ステップ606)。以降の処理は、上述した判定パターン4でした説明と同様であるため、その説明は省略する。
一方、ブレーキECU26は、車両Mの減速度が所定値以上であると判定した場合(ステップ604で「NO」と判定した場合)には、バキュームブースタ22への負圧がバキュームブースタ22が助勢限界状態に達するまで不足していないと判定する。この判定結果により、ブレーキECU26は、ステップ128の処理と同様に、助勢制御の禁止を決定する(ステップ608)。以降の処理は、上述した判定パターン3でした説明と同様であるため、その説明は省略する。
これによれば、ブレーキ装置Bは、マスタシリンダ22の圧力を検出するマスタシリンダ圧検出手段25a1と、車両Mの減速度を検出する減速度検出手段Sgと、をさらに備え、負圧供給判定手段26hは、第1情報からバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定する第1判定手段26h1と、第2情報からバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定手段26h2と、車両Mの減速度からバキュームブースタ22に負圧が適正に供給されているか否かを判定する第5判定手段26h3(ステップ604)と、を有し、制御装置26は、マスタシリンダ圧検出手段25a1から出力される第3情報からマスタシリンダ圧検出手段25a1が正常であるか否かを判定する第6判定手段26i3(ステップ602)をさらに有し、第1および第2判定手段26h1,26h2の両方がバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定した場合において、第6判定手段26i3がマスタシリンダ圧検出手段25a1が正常でないと判定した場合であって、車両Mの減速度が第2情報から算出される制御開始減速度以上である場合には、負圧供給判定手段26hはバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定し、助勢制御許否決定手段26jは助勢制御の許可(許可2)を決定する。これにより、エンジン制御装置17が正常であり、エンジン制御装置17とブレーキ装置Bの制御装置26との間の通信が正常であり、そして負圧検出手段22f2が正常であると判定された場合であって、第1および第2情報からバキュームブースタ22への負圧が不足していると判定された場合において、マスタシリンダ圧検出手段25a1が正常でない場合であっても、その正常でないマスタシリンダ圧検出手段25a1の代わりに車両減速度を利用して的確に助勢制御の開始を実行することができる。したがって、例えば車両の始動当初において、マスタシリンダ圧検出手段25a1の出力が不安定である場合において(この場合マスタシリンダ圧検出手段25a1は正常でないと判定される)、エンジン11がアイドルアップ中などで、負圧が不足していると判定されても、確実に助勢制御の開始を実行することができる。
本発明による液圧ブレーキ装置の制御装置を適用した車両の一実施の形態を示す概要図である。 図1に示す液圧ブレーキ装置の構成を示す概要図である。 図1、図2に示す制御装置の構成を示す制御ブロック図である。 負圧−助勢限界圧マップ(初期マップ)を示す図である。 負圧毎におけるブレーキペダルの操作力とマスタシリンダ圧の関係を示す図である。 図1に示す制御装置にて実行される制御プログラム(助勢制御)のフローチャートである。 図6に示す助勢制御1ルーチンのフローチャートである。 図6,7に示す終了処理ルーチンのフローチャートである。 図7に示す増圧制御ルーチンのフローチャートである。 図6に示す助勢制御2ルーチンのフローチャートである。 本発明による液圧ブレーキ装置の制御装置を適用した車両の変形例の実施の形態を示す概要図である。 図11に示す制御装置にて実行される制御プログラム(助勢制御)のフローチャートである。
符号の説明
11…エンジン、12…変速機、13…ディファレンシャル、15a…スロットルバルブ、15b…モータ、15c…スロットル開度センサ、16…アクセルペダル、16a…アクセル開度センサ、17…エンジンECU(エンジン制御装置)、21…ブレーキペダル、22…バキュームブースタ、22f2…負圧センサ(負圧検出手段)、23…マスタシリンダ、23a,23b…第1および第2液圧室、23c,23d…第1および第2出力ポート、24…リザーバタンク、25…ブレーキアクチュエータ、25a1…マスタシリンダ圧センサ(マスタシリンダ圧検出手段)、26…ブレーキECU(制御装置)、26a…負圧取得部(負圧取得手段)、26b…マスタシリンダ圧取得部(マスタシリンダ圧取得手段)、26c…第1記憶部(第1記憶手段)、26d…判定用助勢限界圧演算部(判定用助勢限界圧演算手段)、26e…助勢制御部(助勢制御手段)、26f…負圧センサ情報取得部(第1情報取得手段)、26g…エンジン情報取得部(第2情報取得手段)、26h…負圧供給判定部(負圧供給判定手段)、26h1…第1判定部(第1判定手段)、26h2…第2判定部(第2判定手段)、26h3…第5判定部(第5判定手段)、26i…負圧センサ・エンジンECU正常判定部、26i1…第3判定部(第3判定手段)、26i2…第4判定部(第4判定手段)、26i3…第6判定部(第6判定手段)、26j…助勢制御許否判定部(助勢制御許否判定手段)、26k…減速度取得部(減速度取得手段)、26l…マスタシリンダ圧センサ情報取得部(第3情報取得手段)、41,51…差圧制御弁、42a,43a,52a,53a…増圧弁、42b,43b,52b,53b…減圧弁、44c,54c…調圧リザーバ、44a,54a…ポンプ(油圧ポンプ)、A…液圧ブレーキ装置、Sg…加速度センサ、Sfl,Sfr,Srl,Srr…車輪速センサ、Wfl,Wfr,Wrl,Wrr…車輪、WCfl,WCfr,WCrl,WCrr…ホイールシリンダ。

Claims (6)

  1. ブレーキ操作部材(21)の操作に応じたブレーキ液圧を形成するマスタシリンダ(23)と、
    エンジン(11)から負圧が供給されその負圧を利用することで前記ブレーキ操作部材の操作力を助勢して前記マスタシリンダに出力するバキュームブースタ(22)と、
    前記マスタシリンダから供給されるブレーキ液圧の供給を受けて車両(M)の各車輪(W**)に制動力を付与するホイールシリンダ(WC**)と、
    前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダを繋ぐ油圧経路(25a,25b)に接続され、電動モータ(44b)の出力により駆動されてブレーキ液圧を形成して前記マスタシリンダと独立して前記ホイールシリンダに供給する油圧ポンプ(44a,54a)と、
    前記バキュームブースタに供給されている負圧を検出する負圧検出手段(22f2)と、
    を備えたブレーキ装置(A)に適用される制御装置(26)において、
    前記制御装置(26)は、
    前記油圧ポンプを駆動させその駆動により形成されるブレーキ液圧を前記ブレーキ操作部材の操作に応じて形成されたマスタシリンダ圧に加圧して前記ホイールシリンダに供給する助勢制御を行う助勢制御手段(26e、ステップ124,138)と、
    前記負圧検出手段から出力される第1情報を取得する第1情報取得手段(26f,ステップ104,106)と、
    前記エンジンを制御するエンジン制御装置(17)から出力される情報であって前記バキュームブースタに供給される負圧を推定可能な第2情報を取得する第2情報取得手段(26g,ステップ108,110)と、
    前記第1情報取得手段で取得した第1情報と前記第2情報取得手段で取得した第2情報とから前記バキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する負圧供給判定手段(26h,ステップ116,118,132,134)と、
    前記負圧供給判定手段の判定結果に応じて前記助勢制御の許否を決定する助勢制御許否決定手段(26j,ステップ120,126,128,136,140,142)と、
    前記第2情報から前記エンジン制御装置からの情報が正常であるか否かを判定する第4判定手段(26i2,ステップ112)と、を有し、
    前記第4判定手段がエンジン制御装置からの情報が正常でないと判定した場合、前記負圧供給判定手段は、前記バキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かの判定を行わず、前記助勢制御許否決定手段は前記助勢制御の禁止を決定し(ステップ142)、
    前記助勢制御許否決定手段で前記助勢制御の許可が決定された場合、前記助勢制御手段は前記助勢制御を実行可能となり、前記助勢制御許否決定手段で前記助勢制御の禁止が決定された場合、前記助勢制御手段は前記助勢制御を行わないことを特徴とするブレーキ装置の制御装置。
  2. 請求項1において、前記第2情報は、前記エンジンへの吸入空気量、前記エンジンのスロットル開度、前記エンジンを冷却する冷却水の温度、前記エンジンの回転速度のうち少なくとも一つを有することを特徴とするブレーキ装置の制御装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記負圧供給判定手段は、前記第1情報から前記バキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第1判定手段(26h1,ステップ118)と、前記第2情報から前記バキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定手段(26h2,ステップ116,132)と、を有し、
    前記第1および第2判定手段の両方が前記バキュームブースタへの負圧が不足していると判定した場合、前記負圧供給判定手段は前記バキュームブースタへの負圧が不足していると判定するとともに、前記助勢制御許否決定手段は前記助勢制御の許可を決定する(ステップ120)ことを特徴とするブレーキ装置の制御装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項において、前記制御装置は、前記第1情報から前記負圧検出手段が正常であるか否かを判定する第3判定手段(26i1,ステップ114)を有し、前記負圧供給判定手段は、前記第2情報から前記バキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定手段(26h2,ステップ116,132)を有し、
    前記第3判定手段が前記負圧検出手段が正常でないと判定した場合、前記負圧供給判定手段は前記第2判定手段により前記バキュームブースタへの負圧が不足しているか否かを判定する(ステップ132)ことを特徴とするブレーキ装置の制御装置。
  5. 請求項4において、前記車両の減速度が前記第2情報から算出される制御開始減速度以上である場合には、前記負圧供給判定手段は前記バキュームブースタへの負圧が不足していると判定し(ステップ134)、前記助勢制御許否決定手段は前記助勢制御の許可を決定する(ステップ136)ことを特徴とするブレーキ装置の制御装置。
  6. 請求項1または請求項2において、前記ブレーキ装置は、前記マスタシリンダの圧力を検出するマスタシリンダ圧検出手段(25a1)と、前記車両の減速度を検出する減速度検出手段(Sg)と、をさらに備え、
    前記負圧供給判定手段は、前記第1情報から前記バキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第1判定手段(26h1,ステップ118)と、前記第2情報から前記バキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第2判定手段(26h2,ステップ116,132)と、前記車両の減速度から前記バキュームブースタに負圧が適正に供給されているか否かを判定する第5判定手段(26h3,ステップ604)と、を有し、
    前記制御装置は、マスタシリンダ圧検出手段から出力される第3情報から前記マスタシリンダ圧検出手段が正常であるか否かを判定する第6判定手段(26i3,ステップ602)をさらに有し、
    前記第1および第2判定手段の両方が前記バキュームブースタへの負圧が不足していると判定した場合において、前記第6判定手段が前記マスタシリンダ圧検出手段が正常でないと判定した場合であって、前記車両の減速度が前記第2情報から算出される制御開始減速度以上である場合には、前記負圧供給判定手段は前記バキュームブースタへの負圧が不足していると判定し(ステップ604)、前記助勢制御許否決定手段は前記助勢制御の許可を決定する(ステップ606)ことを特徴とするブレーキ装置の制御装置。
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