JP5243673B1 - プディングの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の実施の形態に係る口溶け良好なプディングは、基本的には、準備工程、均質化工程、殺菌工程、一次冷却工程、カップ充填工程および二次冷却工程を経て製造される。なお、これらの工程は、原料液の性状等の理由により適宜入れ替えられてもよいし、一部省略されてもよい。
(1)準備工程
準備工程では、原料液が購入されるか、調合される。
この均質化工程では、均質機や均質機付きのプレート式殺菌機等により、準備工程において準備された原料液が均質化される。均質化工程における均質圧力等は、原料液の分散質のメディアン径が1.0μm以上6.0μm以下の範囲内になり、且つ、分散質のメディアン径の標準偏差が0.30以下となる程度に設定される。なお、本発明の実施の形態において、原料液をこのように均質化するには、均質圧力を1MPa以上15MPa以下の範囲で設定することが好ましい。
加熱工程では、ジャケット及び攪拌機付きタンクやプレート式殺菌機等により、均質化工程を経た原料液が加熱される。この加熱工程では、原料液が、90℃以上150℃以下の範囲内の温度で2秒以上10分以下の範囲内の時間、加熱されることが好ましい。
一次冷却工程では、ジャケット及び攪拌機付きタンクやプレート式殺菌機等により、加熱工程を経た原料液が、所定範囲内の温度になるまで冷却される。一次冷却工程における原料液の冷却温度は、原料液に含まれるゲル化剤のゲル化温度より5〜15℃高い温度であることが好ましい。冷却温度は、例えば、寒天では45℃以上55℃以下の温度範囲内に設定されることが好ましく、カラギーナンでは50℃以上60℃以下の温度範囲内に設定されることが好ましく、ファーセルランでは45℃以上55℃以下の温度範囲内に設定されることが好ましく、ゼラチンでは25℃以上35℃以下の温度範囲内に設定されることが好ましく、ローメトキシルペクチンでは35℃以上45℃以下の温度範囲内に設定されることが好ましく、脱アシルジェランガムでは35℃以上45℃以下の温度範囲内に設定されることが好ましく、アルギン酸ナトリウムでは35℃以上45℃以下の温度範囲内に設定されることが好ましい。
カップ充填工程では、一次冷却工程を経た原料液がカップ(容器)に充填されて密封される。このカップ充填工程は、カップフィルシール充填機やフォームフィルシール充填機等を使用して実行することができる
二次冷却工程では、カップ充填工程においてカップに充填された原料液が冷蔵庫において静置され、冷却される。その結果、原料液がゲル化し、所望のプディングが得られる。なお、二次冷却工程では、例えば、冷蔵庫内または冷凍庫内を静かに動くコンベアー上で、カップ入りの原料液が連続的に冷却されることが好ましい。また、二次冷却工程では、カップ内のプディングの中心温度が1℃以上10℃以下の範囲内の温度となる程度に冷却温度が設定されることが好ましい。
(1)
本発明の実施の形態に係るプディングの製造方法では、均質化工程において、原料液の分散質のメディアン径が1.0μm以上6.0μm以下の範囲内になり、且つ、分散質のメディアン径の標準偏差が0.30以下となるように、原料液が均質化処理される。
本願発明者らが鋭意検討した結果、上述のようにしてプディングの原料液を均質化処理することにより、得られるプディングの口溶けおよび舌触りが従来のものよりも良好になることが明らかとなった。したがって、本発明の実施の形態に係るプディングの製造方法を使用すれば、従来のプディングよりも口溶けおよび舌触りに優れるプディングを製造することができる。
本発明の実施の形態に係るプディングの製造方法において原料液中に5質量%以上40質量%以下の範囲内(13質量%以上25質量%以下の範囲内が好ましい)の乳脂肪が含有されれば、従来のプディングよりも口当たりが極めて優しいクリーミィなプディングを製造することができる。
(A)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、一次冷却工程において、原料液をゲル化剤のゲル化温度以下に冷却して、原料液のゲル化能力を一旦失わせて貯蔵することもできる。なお、かかる場合、原料液を再加温してゲル化剤の溶融温度以上に加温して溶融させ、原料液のゲル化能力を復活させた後、原料液を再冷却して、一次冷却温度(原料液に含まれるゲル化剤のゲル化温度より5〜15℃高い温度)に冷却する。そして、この後にカップ充填工程および二次冷却工程が実行される。
先の実施の形態では詳細に言及しなかったが、本発明の実施の形態に係るプディングの製造方法は、カスタードプディングにも適用することができる。なお、かかる場合、カスタードプディングは、基本的には、準備工程、均質化工程、殺菌工程、一次冷却工程、カップ充填工程、凝固工程および二次冷却工程を経て製造される。なお、これらの工程は、原料液の性状等の理由により適宜入れ替えられてもよいし、一部省略されてもよい。
以下に、実施例を示して本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に限定されることはない。
5.8重量部の脱脂粉乳(Q)(株式会社明治製)、7.6重量部の砂糖(株式会社明治フードマテリア製)、10.5重量部の生クリーム(株式会社明治製)、0.3重量部のゼラチン(新田ゼラチン株式会社製)、0.4重量部の寒天(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)、14.7重量部のデキストリンMD220(株式会社林原商事製)、0.05重量部の乳化剤(太陽化学株式会社製)、0.02重量部のキサンタンガム(太陽化学株式会社製)、0.14重量部のクリームフレーバーBD−03799(曽田香料株式会社製)および0.16重量部のバニラフレーバーMV−0603(株式会社昭和農芸製)を60.33重量部の原料水に溶解させて一次原料液を調合した。なお、ここで、一次原料液には、6.03質量%の無脂乳固形分、5.05質量%の乳脂肪、7.60質量%の砂糖が含有されていることになる。また、この一次原料液の固形分は33.22質量%であった。また、この一次原料液の甘味度を算出したところ、その甘味度は8.24であった。なお、甘味度は下記式から算出された。
ただし、0.533は無脂乳固形分中の乳糖の含有割合であり、0.2は砂糖に対する乳糖の甘味度である。
二次原料液を2MPaの均質圧力で均質化した後に95℃で5分間殺菌処理し、70℃に冷却してから、80gずつをカップに充填した。そして、カップ入りの二次原料液を氷水に浸漬することにより冷却して所望のミルクプディングを得た。
(3−1)破断強度の測定
上述のようにして得られたミルクプディングを一晩10℃の冷蔵庫で冷蔵して凝固させた。そして、このミルクプディングの一部をレオナーII(株式会社山電)にセットし、このミルクプディングの破断強度を測定した。プランジャーは直径1.0mmの円柱体であり、プランジャーの昇降速度は1mm/秒であった。
このとき、本実施例に係るミルクプディングの破断強度は22.5gf/cm2であった(表1参照)。
上述のようにして得られたミルクプディングを試験者に食させたところ、従来品よりも口溶けおよび舌触りがよく、適度な硬さが感じられるとの感想であった。
殺菌処理後の二次原料液を70℃まで冷却して試料液を調製した。
この試料液をレーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製SALD−2100)にセットし、二次原料液中の分散質のメディアン径(分散質の累積個数が50%となるときの分散質の粒子径)を測定すると共にその標準偏差を求めた。なお、本実施例に係る二次原料液中の分散質のメディアン径は2.30μmであり、その標準偏差は0.27であった(表1参照)。
・ミルクプディングの破断強度:15.4gf/cm2
・従来品よりも口溶けおよび舌触りがよく、適度な硬さが感じられるとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:2.44μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.21
・ミルクプディングの破断強度:14.4gf/cm2
・従来品よりもクリーミーな食感で口溶けおよび舌触りがよいとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:2.40μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.20
・ミルクプディングの破断強度:13.4gf/cm2
・従来品よりもクリーミーな食感で口溶けおよび舌触りがよいとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:2.43μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.16
・ミルクプディングの破断強度:10.1gf/cm2
・従来品よりもクリーミーな食感で口溶けおよび舌触りがよいとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:2.53μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.19
・ミルクプディングの破断強度:20.9gf/cm2
・従来品よりも口溶けおよび舌触りがよく、適度な硬さが感じられるとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:1.83μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.28
・ミルクプディングの破断強度:14.5gf/cm2
・従来品よりも口溶けおよび舌触りがよく、適度な硬さが感じられるとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:1.89μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.22
・ミルクプディングの破断強度:13.7gf/cm2
・従来品よりもクリーミーな食感で口溶けおよび舌触りがよいとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:1.95μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.22
・ミルクプディングの破断強度:12.1gf/cm2
・従来品よりもクリーミーな食感で口溶けおよび舌触りがよいとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:2.14μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.16
・ミルクプディングの破断強度:12.7gf/cm2
・従来品よりもクリーミーな食感で口溶けおよび舌触りがよいとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:2.03μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.26
・ミルクプディングの破断強度:10.3gf/cm2
・従来品よりもクリーミーな食感で口溶けおよび舌触りがよいとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:2.17μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.17
・ミルクプディングの破断強度:19.5gf/cm2
・従来品よりも口溶けおよび舌触りがよく、適度な硬さが感じられるとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:1.14μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.16
・ミルクプディングの破断強度:16.2gf/cm2
・従来品よりも口溶けおよび舌触りがよく、適度な硬さが感じられるとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:1.53μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.23
脱脂粉乳(Q)を4.800重量部とし、生クリームを30.000重量部とし、デキストリンMD220を5.00重量部とし、乳化剤を0.10重量部とし、原料水を51.640重量部とし、均質圧力を25MPaとした以外は、実施例1と同様にして原料液を調製した後にミルクプディングを調製した。なお、ここで、一次原料液には、6.00質量%の無脂乳固形分、14.3質量%の乳脂肪、7.60質量%の砂糖が含有されていることになる。また、この一次原料液の固形分は33.10質量%であった。また、この一次原料液の甘味度を算出したところ、その甘味度は8.24であった。
・ミルクプディングの破断強度:24.1gf/cm2
・硬く、べたつき、口溶けが悪いとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:5.80μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.33
均質圧力を15MPaとした以外は、実施例3と同様にして原料液を調製した後にミルクプディングを調製した。なお、ここで、一次原料液には、6.02質量%の無脂乳固形分、13.16質量%の乳脂肪、7.60質量%の砂糖が含有されていることになる。また、この一次原料液の固形分は33.27質量%であった。また、この一次原料液の甘味度を算出したところ、その甘味度は8.24であった。
・ミルクプディングの破断強度:16.4gf/cm2
・やや硬く、べたつき、口溶けが悪いとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:2.40μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.32
均質圧力を15MPaとした以外は、実施例4と同様にして原料液を調製した後にミルクプディングを調製した。なお、ここで、一次原料液には、6.05質量%の無脂乳固形分、15.13質量%の乳脂肪、7.60質量%の砂糖が含有されていることになる。また、この一次原料液の固形分は33.27質量%であった。また、この一次原料液の甘味度を算出したところ、その甘味度は8.25であった。
・ミルクプディングの破断強度:18.9gf/cm2
・硬く、べたつき、口溶けが悪いとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:6.64μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.34
均質圧力を15MPaとした以外は、実施例5と同様にして原料液を調製した後にミルクプディングを調製した。なお、ここで、一次原料液には、6.07質量%の無脂乳固形分、25.21質量%の乳脂肪、1.50質量%の砂糖が含有されていることになる。また、この一次原料液の固形分は33.29質量%であった。また、この一次原料液の甘味度を算出したところ、その甘味度は2.15であった。
・ミルクプディングの破断強度:28.6gf/cm2
・硬く、べたつき、口溶けが悪いとの感想
・二次原料液中の分散質のメディアン径:8.44μm
・二次原料液中の分散質のメディアン径の標準偏差:0.40
Claims (7)
- 原料液を準備する準備工程と、
前記原料液中の分散質のメディアン径が1.0μm以上6.0μm以下の範囲内となると共に前記分散質のメディアン径の標準偏差が0.30以下となるように前記原料液を均質化処理する均質化工程と
を備える、プディングの製造方法。 - 前記均質化工程では、前記原料液を1MPa以上15MPa以下の範囲内の均質圧力で、前記原料液中の分散質のメディアン径が1.0μm以上6.0μm以下の範囲内となると共に前記分散質のメディアン径の標準偏差が0.30以下となるように前記原料液を均質化処理する
請求項1に記載のプディングの製造方法。 - 前記原料液には、5質量%以上40質量%以下の範囲内の脂肪が含有される
請求項1または2に記載のプディングの製造方法。 - 前記原料液には、5質量%以上10質量%以下の範囲内の無脂乳固形分が含有される
請求項1から3のいずれか1項に記載のプディングの製造方法。 - 前記原料液には、20質量%以上40質量%以下の範囲内の固形分が含有される
請求項1から4のいずれか1項に記載のプディングの製造方法。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のプディングの製造方法により得られる、プディング。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載のプディングの製造方法により得られ、
破断強度が10.0gf/cm2以上25.0gf/cm2以下の範囲内である
プディング。
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