JP5236195B2 - モノマー溶液組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、モノマー溶液組成物に関し、さらに詳しくは、ヒドロキシアルキルキトサンをビニル系モノマーに溶解してなるモノマー溶液組成物に関する。
従来、天然多糖として知られているキトサンは、工業的にはエビ、カニなどの甲殻類から分離されるキチンを脱アセチル化することによって生産され、2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコースを1構成単位とする塩基性多糖類である。また、キトサンは、成膜性、抗菌性、保水性、凝集能などの特有の性質を有し、機能性高分子として各方面で実用されている。
近年、キチン、キトサンに関する様々な研究が行われ、キトサンは反応性アミノ基を有し、該アミノ基を利用し各種誘導体とすることで各種の機能が付与され、新たな応用展開が進んでいる。例えば、キトサンは、素材分野では、各種フィルム、不織布、繊維製品への抗菌性付与コーティング材として、医療分野では、創傷被覆剤として、化粧品分野では、粉体特性の改良剤として、塗料分野では、増粘剤、分散剤或いは被膜形成剤として、意匠分野では、抗菌性付与、および顔料着色がなされた種子用着色剤などへの利用が試みられている。
また、キトサン誘導体の一種であるヒドロキシアルキルキトサンは、例えば、特許文献1に記載され、該ヒドロキシアルキルキトサンの架橋重合体からなる半透性膜状物としての有用性が開示されている。また、特許文献2には、高置換度の水溶性ヒドロキシアルキルキトサンの製造技術とその応用としてのフィルム形成剤が開示され、特許文献3には、製造方法の記載とともに、ヒドロキシアルキルキトサンが、フィルム形成剤を中心とした各種用途に有用であることが記載されている。さらに、特許文献4には、キチンまたはキトサンとビニル系モノマーとの分散溶液およびその利用方法が開示され、特許文献5には、キトサンの酸の塩を含有する感光性樹脂組成物が開示されている。
特開昭51−006879号公報 特開昭57−180602号公報 特公昭64−005601号公報 特開平6−263919号公報 特開平10−101721号公報
上記特許文献1、2、3は、いずれもフィルムの安定した強度を得る方法として、フィルム形成時に架橋剤を使用した例が記載されている。しかしながら、これらの方法では、フィルム形成時の溶媒除去工程に加え、その後の加熱による架橋工程を要するなど、環境面での制限や工程面に課題が残る。さらに、特許文献4には、キトサンの分散液が開示されているが、該分散液はフィルムに均一性が求められる用途では問題があり、利用面に制限がある。特許文献5には、キトサン塩が開示されているが、このキトサン塩は塩であるために、親水性が強く、モノマーとして親水性モノマーを使用せねばならず、疎水性モノマーへの使用には制限がある。
また、キトサン自体は、水にも有機溶媒にも溶解せず、クエン酸を含めた酢酸、乳酸などの有機酸の希酸水溶液には、キトサンが酸と塩を形成して溶解する。このキトサンの希酸水溶液を各種物品にコーティングし、水分を蒸発させることによって、乾燥状態では丈夫なフィルムとなり、簡単にキトサンの持つ機能を各種物品に付与することができる。しかし、キトサン水溶液から得られる乾燥フィルム中には有機酸が残存しているために、その乾燥フィルムが水に接触すると、再び溶解してしまい、耐水性を有するフィルムは得られないという課題もある。
さらに、キトサン水溶液を基材表面に塗布する場合、基材表面が特に疎水性または親油性である場合には、親水性であるキトサン水溶液ではハジキが起こり、均質な塗膜が得られない。従って、本発明の目的は、キトサン誘導体を含み、疎水性の基材表面に塗布可能で、かつ平滑で安定な塗膜形成が可能なキトサン誘導体のモノマー溶液を提供することにある。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、ヒドロキシアルキルキトサンをビニル系モノマーに溶解してなる(ただし、有機酸またはその誘導体を含有するものを除く)ことを特徴とするモノマー溶液組成物を提供する。該ビニル系モノマーとしては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびグリセリンモノ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記ヒドロキシアルキルキトサンとしては、ヒドロキシエチルキトサン、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシブチルキトサンおよびヒドロキシプロピルヒドロキシブチルキトサンから選ばれる少なくとも1種であること;ヒドロキシアルキルキトサン(A)と、ビニル系モノマー(B)との質量比率が、A:B=1:99〜80:20であること;ヒドロキシアルキルキトサンが、キトサンとアルキレンオキサイドとの反応生成物であり、キトサンへのアルキレンオキサイドの置換度が、キトサンを構成するピラノース環1モルあたり少なくとも0.5モルであることが好ましい。
また、本発明は、さらに光重合開始剤および/または光重合促進剤を含み、感光性である上記のモノマー溶液組成物;該モノマー溶液組成物からなる硬化層を有することを特徴とする物品を提供する。該物品の表面は、インクジェット記録方法で印字可能である。
本発明によれば、物品の表面に、ヒドロキシアルキルキトサンを含むビニルポリマーからなる平滑で強度に優れ、さらに親水性を有する塗膜を容易に形成することができるモノマー溶液組成物が提供される。
次に好ましい実施形態を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明で使用するヒドロキシアルキルキトサンの原料であるキトサンは、既に工業的に生産されており、種々のグレードのものが入手でき、本発明に使用するキトサンの起源、および製法に特別な制限はなく、従来より工業生産されているキトサンはいずれも使用できる。キトサンとしては、脱アセチル化度が30%以上、キトサン1質量%、酢酸1質量%の水溶液の粘度が1mPa・s〜10000mPa・sであるものを使用することが好ましい。
上記キトサンのアミノ基および/または水酸基に、アルキレンオキサイドを付加反応させることで本発明で使用するヒドロキシアルキルキトサンが得られる。また、キチンを出発物質とし、これをヒドロキシアルキル化した後、脱アセチル化してもよい。上記のヒドロキシアルキル基として、好ましくは、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、およびヒドロキシプロピルヒドロキシブチル基が挙げられる。
前記の如く、キトサンとアルキレンオキサイドとを反応させて本発明で使用するヒドロキシアルキル化キトサンを製造する場合、例えば、キトサンを含水イソプロピルアルコールなどの含水アルコール媒体中に、または水中に攪拌分散し、この混合物を水酸化ナトリウムなどでアルカリに調整後、アルキレンオキサイドを添加し、常圧若しくは加圧下で加熱攪拌することによりヒドロキシアルキルキトサンを得ることができる。なお、ヒドロキシアルキルキトサンの製造方法は、上記方法に限定されない。
本発明で用いるヒドロキシアルキルキトサンは、キトサンへのアルキレンオキサイドの置換度が、キトサンを構成するピラノース環1モルあたり少なくとも0.5モル、好ましくは1〜3モルである。上記置換度が、0.5未満では、ヒドロキシアルキルキトサンのビニル系モノマーに対する溶解性が不十分であり、このようなモノマー溶液では、均質な塗膜が形成されない。一方、上記置換度が3モルを超えても、ビニル系モノマーに対する溶解性および得られる塗膜物性には特段の向上はなく、逆に高置換度化のためのコスト増を招き不経済である。
上記ヒドロキシアルキルキトサンを溶解するビニル系モノマーとしては、特にN−ビニルホルムアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレートが好ましく、その他(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチルエステル;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート;スチレン、クロロプレン;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジンなどが挙げられる。
本発明のモノマー溶液組成物は、前記ヒドロキシアルキルキトサンを上記モノマーに溶解して得られる。モノマー溶液組成物の製造方法(溶解方法)としては、モノマーにヒドロキシアルキルキトサンを添加しても、ヒドロキシアルキルキトサンにモノマーを添加してもどちらでもよく、溶解にあたっては室温攪拌で十分であるが、必要に応じて加熱してもよい。また、前記ヒドロキシアルキルキトサンおよび/または上記モノマーを複数混合して溶解してもよい。ただし、有機酸またはその誘導体を含有するものを除く。
上記モノマー溶液組成物の製造におけるヒドロキシアルキルキトサン(A)とビニル系モノマー(B)との質量比率は、両者の合計を100質量%としたとき、A:B=1:99〜80:20である。ヒドロキシアルキルキトサンの使用量が1質量%未満では、ヒドロキシアルキルキトサンが有する特性が発揮されず、一方、ヒドロキシアルキルキトサンが80質量%を越えると、塗膜形成時にクラックや剥離などの問題を生じることがある。さらに、ヒドロキシアルキルキトサンの溶解のし易さや、より平滑で均質な塗膜が効率よく形成される点でA:B=1:99〜60:40が好ましい。
上記本発明のモノマー溶液組成物は、該組成物に使用されているモノマーと同様な用途、例えば、各種コーティング剤、UV硬化インキ、木工塗料、繊維改質剤、接着剤、化粧品・医薬・医用材料などの用途に有用である。特に好ましい用途は、感光性樹脂塗料(コーティング剤)としての用途である。該用途に使用する場合には、本発明のモノマー溶液組成物は、さらに光重合開始剤および/または光重合促進剤を含む。また、該感光性樹脂塗料には、各種物性を調製する目的で、反応性希釈剤や反応性オリゴマーなども含み得る。該感光性樹脂塗料は、基材に塗布後、紫外線、または電子線照射などの活性エネルギー線照射により硬化させ、基材表面に均一かつ平滑で安定な塗膜を形成することができる。
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン類;ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルなどのベンゾイン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;2−エチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキシド類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが使用でき、これらは単独でも2種以上の混合でも使用できる。前記光重合開始剤の使用量は従来技術と同様であり、例えば、前記本発明のモノマー溶液組成物100質量部あたり約0.1〜10質量部である。
また、光重合促進剤は、上記感光性組成物の硬化時の酸素による影響を軽減し、硬化スピードを速めるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチルなどが使用でき、これらは単独でも2種以上の混合でも使用できる。前記光重合促進剤の使用量は従来技術と同様であり、例えば、前記本発明のモノマー溶液組成物100質量部あたり約0.1〜10質量部である。
前記反応性希釈剤や反応性オリゴマーなどとしては、塗布基材種や各用途に応じて適宜選択され、1分子中2個以上のアクリロイル基を有するアクリル系プレポリマーが好ましい。例えば、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリフルオロアルキルアクリレート、シリコーンアクリレート、メラミンアクリレートなどが使用でき、これらは単独でも2種以上の混合でも使用できる。上記反応性希釈剤や反応性オリゴマーなどの使用量は従来技術と同様であり、例えば、前記本発明のモノマー溶液組成物100質量部あたり約0〜50質量部である。
本発明のモノマー溶液組成物は、塗膜形成における基材、膜厚、塗膜形成方法などの目的に応じてさらに有機溶剤を含むことができる。有機溶剤としては、本発明のモノマー溶液組成物に悪影響を与えない有機溶剤なら特に制限はない。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、オクタノールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルなどのエステルなどが使用でき、より好ましくは、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフランなどの低沸点有機溶剤が塗膜形成時の溶媒除去がし易く効率的であるので好ましい。有機溶剤の使用量は、モノマー溶液組成物100質量部あたり0〜500質量部であり、より好ましくは、0〜100質量部である。
さらに、上記モノマー溶液組成物には前記成分以外に、例えば、ブロッキング防止剤、有機樹脂、硬化剤樹脂、スリップ剤、体質顔料、帯電防止剤、沈降防止剤、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、増粘剤、接着剤、無機フィラーなどが添加され、特に制限はない。
ブロッキング防止剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーンなどのシリコーン、二酸化ケイ素顔料などが挙げられる。有機樹脂は、好ましくは水性樹脂、エマルジョン樹脂などであり、例えば、ポリビニルアルコール系、アクリル樹脂系、酢酸ビニル系、ウレタン系、デンプン系、セルロース系などの水性樹脂、エマルジョン樹脂などが挙げられる。
硬化剤樹脂としては、モノマー溶液組成物の硬化性を高める理由から、例えば、フェノール樹脂やアミノ樹脂などが挙げられる。スリップ剤としては低分子ポリエチレンワックス、低分子弗化ポリエチレンワックス、クリスタルワックス、カルナバワックスなどが挙げられる。
体質顔料としては、炭酸カルシウムや天然石灰石を粉砕して得られる重質炭酸カルシウム、さらに同様の機能を果たす消石灰の使用も好ましく、これらは、塗膜形成時の成膜性改善や、ひびわれ防止などの役割を果たすため、必要に応じて添加される。着色剤としては、有機顔料、無機顔料など、塗料用、印刷用、プラスチック用として一般に使用されるものが挙げられる。
上記帯電防止剤、沈降防止剤、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、増粘剤、接着剤、無機フィラーなどは、各種インキや塗料組成として、一般に使用されるものが、必要に応じて添加される。これらの添加剤は、本発明のモノマー溶液組成物中に2質量%以下の量で添加されることが好ましい。
以上の本発明のモノマー溶液組成物が塗布される基材としては、例えば、紙、樹脂成形体、金属、ガラス板、木材などが挙げられ、塗布方法としては、例えば、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ブレードコーター、スピンコーター、フローコーター、ディップコーター、スプレーなどの従来公知の方法が挙げられる。
上記溶液を塗布後に必要に応じて乾燥し、塗膜の硬化を行う。乾燥方法としては、塗布基材自体に熱源を接触させる方法、熱送風により塗布基材に接触させず加熱する方法、赤外線やマイクロ波などの照射乾燥などが挙げられる。塗膜の硬化は、通常光硬化性塗料に使用される紫外線照射または電子線照射を利用する。紫外線照射における光源には、特に限定はなく、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、白熱灯、レーザーなどが使用されるが、好ましくは高圧水銀ランプ、メタルハライドランプである。また、電子線照射の場合には、一般に電圧が300keV以下の低エネルギー電子線加速器を使用するのが好ましい。
本発明のモノマー溶液組成物により形成される塗膜の膜厚は、特に限定されないが、0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmである。また、塗膜厚みが0.1μm未満では、屈曲、擦傷性の弱い塗膜となり、一方、50μm超、特に100μm超では、塗膜の硬化速度の低下、塗膜内成分の未硬化、乾燥不良、ブロッキングなどを引き起こしやすく、塗膜強度の低下にも繋がるので好ましくない。
なお、本発明におけるキトサンの脱アセチル化度は、コロイド滴定により測定された滴定量から算出する。具体的には、指示薬にトルイジンブルー溶液を用い、ポリビニル硫酸カリウム水溶液でコロイド滴定することにより、キトサン分子における遊離アミノ基を定量し、キトサンの脱アセチル化度を求める。以下、試料調製および滴定試験は約20℃の室温にて行った。
・試料調製と滴定試験
0.5質量%酢酸水溶液に所定量のキトサンを添加し、キトサン純分濃度が0.5質量%濃度となる調製液を正確に100gとし、攪拌溶解する。次にこの調製液10gとイオン交換水90gを正確に採取し、攪拌混合にて、0.05質量%のキトサン溶液を調製する。さらにこの0.05質量%キトサン溶液から10gを正確にはかりとり、そこにイオン交換水50ml、トルイジンブルー溶液約0.2mlを添加し、ポリビニル硫酸カリウム溶液(N/400PVSK)にて滴定する。滴定速度を2ml/分〜5ml/分とし、測定溶液が青から赤紫色に変色後、30秒間以上保持する点を終点の滴定量とする。
・空試験
上記滴定試験に使用した調製液の代わりに、イオン交換水を使用し、同様の滴定試験を行う。
・計算方法
X=1/400×161×f×(V−B)/1000=0.4025×f×(V−B)/1000
Y=0.5/100−X
X:キトサン中の遊離アミノ基質量(グルコサミン残基質量に相当)
Y:キトサン中の結合アミノ基質量(N−アセチルグルコサミン残基
質量に相当)
f:N/400PVSKの力価
V:試料の滴定量(ml)
B:空試験滴定量(ml)
脱アセチル化度(%)=(遊離アミノ基)/{(遊離アミノ基)+(結合アミノ基)}×100=(X/161)/(X/161+Y/203)×100
なお、161はグルコサミン残基の当量分子量、203はN−アセチルグルコサミン残基の当量分子量である。
また、本発明におけるキトサン溶液の粘度測定は以下の方法で行った。1質量%酢酸水溶液に所定量のキトサンを添加し、キトサン純分濃度が1質量%濃度になるよう調製する。この調製液を攪拌溶解した後、恒温槽にて20℃に保ちながらB型回転粘度計を使用し、粘度測定を行った。なお、キトサン純分とは、キトサン試料における固形分換算を意味し、具体的には、キトサン試料を105℃、2時間乾燥して求められる固形分質量である。
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中の「部」または「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
表1に、実施例および比較例として用いた各モノマー溶液組成物の組成を示した。
<実施例1>
N−ビニルホルムアミド(Aldrich試薬)90gにヒドロキシブチルキトサン(原料キトサン:1%酢酸水溶液粘度6mPa・s、脱アセチル化度83%/ヒドロキシブチル化度1.1)10gを分散し、室温で4時間撹拌溶解し、一晩静置後、再度室温で1時間撹拌溶解し、100gの本発明のモノマー溶液組成物を調製した。
<実施例2〜16>
表1に示すように、ヒドロキシアルキルキトサンの種類、ヒドロキシアルキル化度(置換度)、並びにヒドロキシアルキルキトサンと各種ビニル系モノマーの配合比、ビニル系モノマーの種類を変えた本発明のモノマー溶液組成物を、実施例1と同様の方法により調製した。
<比較例1>
比較例1は、ヒドロキシアルキル化反応を実施してないキトサン(ヒドロキシアルキル化度=0、1質量%酢酸水溶液粘度6mPa・s、脱アセチル化度85%、以下単に「キトサン」という)を用いたものである。N−ビニルホルムアミド(Aldrich試薬)90gにキトサン10gを分散した後、室温で4時間撹拌したが溶解しなかった。そこで、さらに室温で72時間連続撹拌したが全く溶解せず、キトサンのN−ビニルホルムアミド溶液を得ることができなかった。
<比較例2>
比較例2では、N,N−ジメチルアクリルアミド(株式会社興人製:商品名DMAA)90gにキトサン10gを分散した後、室温で4時間撹拌したが溶解しなかった。そこで、さらに室温で72時間連続撹拌したが全く溶解せず、キトサンのN,N−ジメチルアクリルアミド溶液を得ることはできなかった。
実施例1〜16、比較例1および2のビニル系モノマーに対するヒドロキシアルキルキトサンまたはキトサン溶解性の評価を以下の基準にて行い、結果を表1に示す。
<溶解性評価基準>
○:全部溶解して均一溶液を得ることができる。
△:一部溶解するが均一溶液を得ることができない。
×:全く溶解しない。
Figure 0005236195
Figure 0005236195
<実施例17>
下記の成分を混合して感光性樹脂組成物を調製した。
・実施例1のモノマー溶液組成物 70部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 30部
・ポリエステルアクリレート 20部
(東亞合成(株)製 アロニックスM−8030)
・光重合開始剤 5部
(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
・光重合促進剤(p−ジエチルアミノ安息香酸エチル) 3部
<実施例18>
・実施例3のモノマー溶液組成物 55部
・トリプロピレングリコールジアクリレート 25部
・2−ヒドロキシエチルアクリレート 20部
・ポリエステルアクリレート 30部
(東亞合成(株)製 アロニックスM−8030)
・光重合開始剤 5部
(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
・光重合促進剤(ジエチルアミノ安息香酸エチル) 3部
<実施例19>
・実施例4のモノマー溶液組成物 60部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 40部
・ポリエステルアクリレート 6部
(東亞合成(株)製 アロニックスM−7100)
・光重合開始剤 5部
(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
・光重合促進剤(ジエチルアミノ安息香酸エチル) 3部
<比較例3>
・アクリロイルモルホリン 50部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 25部
・2−ヒドロキシエチルアクリレート 20部
・ポリエステルアクリレート 30部
(東亞合成(株)製 アロニックスM−8030)
・光重合開始剤 5部
(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
・光重合促進剤(ジエチルアミノ安息香酸エチル) 3部
実施例17〜19および比較例3で調製した感光性樹脂組成物を、厚さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、膜厚が約10μmになるようバーコーターで塗布した。その後、高圧水銀ランプを搭載した紫外線照射装置にて900mJ/cm2の積算照射光量の紫外線を照射することで硬化塗膜を作製した。得られた塗膜はいずれもクラックの発生がなく、平滑で均質安定な塗膜を有していた。
次に、実施例18と比較例3で得たコーティングフィルムに対し、水性インクを用いるインクジェットプリンターで印刷したところ、実施例18で得たコーティングフィルムの印刷物は鮮明であったのに対し、比較例3で得たコーティングフィルムの印刷物は不鮮明なものであった。
以上の如き本発明によれば、物品の表面に、ヒドロキシアルキルキトサンを含むビニルポリマーからなる平滑で強度に優れ、さらに親水性を有する塗膜を容易に形成することができるモノマー溶液組成物が提供される。上記塗膜には水性インクを用いるインクジェット法にて印字可能である。

Claims (8)

  1. ヒドロキシアルキルキトサンをビニル系モノマーに溶解してなる(ただし、有機酸またはその誘導体を含有するものを除く)ことを特徴とするモノマー溶液組成物。
  2. 前記ビニル系モノマーが、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびグリセリンモノ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のモノマー溶液組成物。
  3. 前記ヒドロキシアルキルキトサンが、ヒドロキシエチルキトサン、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシブチルキトサンおよびヒドロキシプロピルヒドロキシブチルキトサンから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載のモノマー溶液組成物。
  4. 前記ヒドロキシアルキルキトサン(A)と、前記ビニル系モノマー(B)との質量比率が、A:B=1:99〜80:20である請求項1〜3のいずれか一項に記載のモノマー溶液組成物。
  5. 前記ヒドロキシアルキルキトサンが、キトサンとアルキレンオキサイドとの反応生成物であり、前記キトサンへの前記アルキレンオキサイドの置換度が、前記キトサンを構成するピラノース環1モルあたり少なくとも0.5モルである請求項1〜4のいずれか一項に記載のモノマー溶液組成物。
  6. さらに光重合開始剤および/または光重合促進剤を含み、感光性である請求項1〜5のいずれか一項に記載のモノマー溶液組成物。
  7. 請求項6に記載のモノマー溶液組成物からなる硬化層を有することを特徴とする物品。
  8. インクジェット記録方法で印字される物品である請求項7に記載の物品。
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