JP5233303B2 - Z方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Z方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板およびその製造方法に関し、詳しくは、万が一、脆性き裂が発生した場合であっても、構造物全体の崩壊を阻止することができるZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板およびその製造方法に関する。
上記の高強度厚肉鋼板とは板厚50mmを超えるものが対象であり、そして、強度クラスとしては引張強さが490MPa以上のものが対象となる。
なお、「Z方向」とは、厚肉鋼板の表面と裏面を結ぶ方向で、いわゆる「板厚方向」を指す。また、「アレスト特性」とは、き裂の伝播を停止させることができる特性のことである。
近年、各種の鋼構造物の規模が大型化するに伴い、その素材として使用される各種の鋼板に要求される板厚や強度はますます大きくなってきている。特に、近年では国際商取引が活発になっていることから、商業用船舶はより大型化してきており、そのため板厚50mmを超える船体構造用の高強度厚肉鋼板が求められるようになってきた。
上記のような高強度厚肉鋼板においては、使用時の力学的な拘束力も大きくなることから、板厚中心部の特性のさらなる向上が要求される傾向にある。しかしながら、板厚中心部の特性の向上は未だ不十分である。
あらゆる構造物において、脆性破壊による崩壊は瞬時に構造物全体が崩壊し甚大な被害が想定されることから、絶対に避けるべき破壊形態である。
したがって、建造物は脆性破壊の発生を避けるべく設計がなされるものの、設計を上回る外力の作用や施工に起因する欠陥など、設計者の想定外の異常事態に起因して脆性破壊が発生してしまう場合も考慮する必要がある。
脆性破壊が発生すると、極めて高速のき裂伝播により脆性破壊が構造物全体に広がり、このため、構造物全体が破壊してしまう。しかしながら、き裂伝播に対する抵抗性が著しく高い鋼材は、進展してきたき裂を停止させることができる特性(アレスト特性)を有する。
そして、このアレスト特性を有した部材を適所に配した構造物は、き裂の発生およびその伝播の各段階で二重の安全性(ダブルインテグリティ)を有することになり、構造物の設計思想として極めて重要なものである。
さらに、最近では、脆性き裂が発生した鋼板内でのき裂伝播を停止させることに代えて、き裂伝播経路にある別の部材との接合部においてき裂伝播を停止させることが検討されている。
例えば、大型コンテナ船における脆性き裂の発生部位はハッチサイドコーミングであるが、き裂を上記ハッチサイドコーミング内において停止させるのは極めて困難であり、このため、き裂の進展経路上にあるアッパーデッキ材においてき裂を停止させる試みが多くなされている。
なお、上記のアッパーデッキはハッチサイドコーミングに対して直交して接合されている。このため、ハッチサイドコーミングで発生したき裂がアッパーデッキ材に侵入・伝播するのは、鋼板の表面と裏面を結ぶ方向(Z方向)であって、一般に認められるような鋼板の圧延方向(以下、「L方向」ともいう。)や鋼板の圧延方向およびZ方向の両方向に対して直角な方向(以下、「C方向」という。)ではない。したがって、アッパーデッキ材で脆性き裂を停止させるためには、上記Z方向の脆性き裂伝播停止特性を向上させることが肝要である。
しかしながら、上述したように、商業用船舶等の構造物の大型化に伴い使用鋼材の板厚はますます厚肉化している。このため、材料的特性および力学的特性の両面において、厚肉鋼材の特性向上に対する要求はより苛酷なものとなってきている。
鋼材にアレスト特性を付与する方法として最も単純なものは、靱性を著しく向上させる元素であるNiを含有させることである。
Niを含有させることによるアレスト特性の改善効果は大きく、例えば、−165℃という極低温環境でのダブルインテグリティを保証する鋼材としては、9%のNiを含有させたいわゆる「9%Ni鋼」が一般的であり、JIS G 3127(2000)にも規定されている。
また、特許文献1には、特定の化学組成を有する鋼を低温加熱し、その加熱時のオーステナイト粒の粗大化を防ぎ、次いでAr3変態点以上のできるだけ低い温度で適量の圧延(いわゆる「低温圧延」)を行った後、Ar3変態点とAr1変態点の間の2相域で適度の圧延を行って、結晶粒の微細化および破面上でのセパレ−ション発生を促し、アレスト特性を向上させる「脆性破壊発生抵抗特性と脆性亀裂停止特性の優れた低温用鋼」が開示されている。
特許文献2には、特定の化学成分からなる鋳片をAc3点以上の温度から冷却速度2℃/s以上で水冷を開始し、該鋳片の表裏面から厚みの1/3迄の表層部をAr3点以下に冷却して該水冷を中止し、該鋳片の復熱が終了する迄の間に仕上圧延を開始し、該仕上圧延終了後、該鋳片の表裏面から厚みの1/3迄をAc3点未満に復熱すると共に該鋳片の表裏面から厚みの1/3以上をAc3点以上に復熱するという、未再結晶域での昇温下圧延による再結晶と逆変態の組合せにより、特に鋼板の表層近傍において微細な組織を確保し、シアリップを効果的に作用させる「脆性亀裂伝播停止特性の優れた鋼板の製造方法」が開示されている。
特許文献3には、特定の化学成分からなる鋼片をAc3変態点以上、1100℃以下の温度に加熱し、950℃以下での累積圧下率が10〜50%の圧延を行った後、その段階での板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領域をAr3変態点以上の温度から2℃/s以上の冷却速度で冷却を開始し、Ar3変態点以下で冷却を停止して復熱させることを1回以上経由させる経過で、最後の冷却後の復熱が終了するまでの間に仕上げ圧延を完了させ、該圧延完了後の鋼板の前記上下表層域をAc3変態点未満に、またはAc3変態点以上に、あるいはAc3変態点とその上下温度域に復熱し、圧延終了後は必要に応じて、加速冷却あるいは加速冷却と焼戻しを施すことによって、表層部の組織を超細粒化して脆性き裂伝播時のシアリップ形成を促す「脆性亀裂伝播停止特性と低温靱性の優れた厚鋼板の製造方法」が開示されている。
さらに、特許文献4には、表面切欠きが存在する場合の破壊特性について評価する技術として、公称応力−公称歪み曲線における降伏後の降伏棚が1%以上で、且つ公称応力が最大となる公称歪み(εu)から求めた加工硬化指数(n=ln(1+εu))が0.15以上である「高歪負荷状態での耐延性破壊特性に優れた鋼材」が開示されている。
特開昭55−148746号公報 特開平3−2322号公報 特開平7−126798号公報 特開2002−30379号公報
上述したとおり、Niによるアレスト特性の改善効果は大きく、アレスト特性を向上することができるが、Niは非常に高価な元素であり、Niを9%も含有させるとなると、鋼材コストの高騰を引き起こす。したがって、Niを含有させることによるアレスト特性の向上は、コスト面での問題が多い。
また、特許文献1で開示された、2相域での圧延により細粒化を行い、セパレ−ション発生を促す技術によれば、Niなどの高価な元素を含有させることなく、アレスト特性を向上させることが可能である。しかしながら、一般的に2相域での圧延は、生産性を著しく損ねてしまう。このため、特許文献1で提案された技術は、大量生産製品に対して必ずしも現実的とはいえないものである。
特許文献2で開示された、未再結晶域での昇温下圧延による再結晶と逆変態の組合せにより、特に鋼板の表層近傍において微細な組織を確保し、脆性き裂伝播時のシアリップ形成を促す技術によれば、Niなどの高価な元素を添加することなく、アレスト特性を向上させることが可能である。しかしながら、この技術は、鋳片の水冷中に該鋳片の表裏面から厚みの1/3迄の表層部をAr3点以下に冷却して該水冷を中止し、該鋳片の復熱が終了する迄の間に仕上圧延を開始し、該仕上圧延終了後、該鋳片の表裏面から厚みの1/3迄をAc3点未満に復熱すると共に該鋳片の表裏面から厚みの1/3以上をAc3点以上に復熱するという、極めて煩雑な工程を必要とするものである。このため、特許文献2で提案された技術も、大量生産製品に対して必ずしも現実的とはいえないものである。
特許文献3で開示された、鋼板の表層組織を超細粒化することにより、脆性き裂伝播時のシアリップ形成を促す技術によっても、Niなどの高価な元素を添加することなく、アレスト特性を向上させることが可能である。しかしながら、この技術の場合も、圧延途中に冷却を行い復熱させることによって、鋼板の表層組織の超細粒化を達成するものであるため、コストのかかる煩雑な工程が必要となる。このため、大量生産製品に対して必ずしも現実的とはいえないものである。しかも、厚肉材の場合には、復熱を伴う途中冷却を実現するためには補助加熱工程が必須の要件になってしまう。このため、特許文献3で提案された技術は、特に厚肉材に適用する場合には、設備コストやエネルギーコストの上昇を避けられないということからも実現性に乏しいものである。
加えて、上述の特許文献1〜3に開示された技術はいずれも、鋼板のZ方向のき裂伝播停止特性を向上させるためのものではない。
特許文献4で開示された技術は、表面切欠き付き試験体を用いた引張試験で「耐延性破壊特性」を評価したものであり、表面切欠きが存在する場合について、鋼板の表面方向にき裂が伝播する場合の破壊特性について評価する技術である。しかしながら、その対象は「延性破壊」であって「脆性破壊」ではない。このため、特許文献4で提案された技術は、必ずしも表面方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板に対して適用できるものではない。
このように、従来は、Z方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を低コストで提供することは困難であった。
そこで、本発明は、Z方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板、特に、−10℃において8000N/mm1.5以上のアレスト特性を有し、引張強度(TS)が490MPa以上である、Z方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を低コストで提供することを目的とする。上記高強度厚肉鋼板の製造方法を提供することもまた、本発明の目的とするところである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、種々の検討と実験を行った。その結果、次の(a)〜(l)に示す知見を得た。
(a)Z方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を低コストで提供するためには、高価な合金成分を多量に含有させる方法は採用できない。
(b)Z方向のアレスト特性を向上させるためには、鋼板の組織を全体的に微細なものとすることが効果的であるが、この方法は生産性、設備コストやエネルギーコストなどの点から必ずしも現実的ではない。
(c)鋼板の組織を全方位的に微細なものとしなくても、き裂が進展する方向の組織を微細にしておけば、アレスト特性を向上させることができる。具体的には、EBSP法(電子後方散乱パターン(Electron Back Scattering Pattern)法)を用いて15゜以上の方位差を有する境界を結晶粒界(以下、この結晶粒界を「有効結晶粒界」といい、それに囲まれた結晶粒を「「有効結晶粒」という。)とみなした場合、き裂が進展する方向に上記有効結晶粒界が密に分布しておれば、アレスト特性を高めることができる。そして、Z方向のアレスト特性を向上させるためには、厚肉鋼板の圧延方向に垂直な断面(以下、「C断面」という。)における板厚中心部から板厚方向への距離が板厚の1/4である位置(以下、「板厚1/4位置」という。)を中心として、Z方向で特定長さを有する任意の直線と交差する有効結晶粒の粒界数NzとC方向で前記と同じ特定長さを有する任意の直線と交差する有効結晶粒の粒界数Ncとの比Nz/Ncが1.05以上であることが必要である。
(d)脆性き裂の進展経路を微細に屈曲させて破面の凹凸を増加させることは、脆性き裂の伝播抵抗を増大させることにつながるので、アレスト特性の向上に極めて効果的である。
(e)Z方向に進展する脆性き裂の進展経路を微細に屈曲させるためには、鋼中介在物の扁平化が効果的であり、特に、MnSなどの圧延により薄く引き延ばされる介在物をL方向とC方向に等しく扁平化していることが望ましい。これは、前記の方向のうちどちらか一方向のみに引き延ばされた形であれば、破面の屈曲は大きくはならないからである。そして、MnSなどの圧延により薄く引き延ばされる介在物をL方向とC方向に等しく扁平化させるための具体的な製造条件としては、圧延開始前の鋼塊の幅W0(mm)と圧延後の最終形状の厚肉鋼板の板幅W1(mm)の比であるW1/W0が1.40以上であることが望ましい。
(f)厚肉鋼板にアレスト特性を付与させることができるその他の方法としては、未再結晶域の圧下による細粒化効果を利用する熱加工制御法(TMCP(Thermo−Mechanical Control Process)法)を適用することが考えられる。しかしながら、通常のTMCP法を適用した厚肉鋼板では、未再結晶域の圧下による細粒化効果が板厚中心部まで浸透しないため、板厚中心部の組織サイズは粗大化する傾向にあり、板厚中心部におけるシャルピー衝撃特性が、厚肉鋼板の板厚1/4位置または表層部分におけるシャルピー衝撃特性よりも悪化する傾向が顕著となる。さらに、板厚中心部は加工の浸透度が低いこともあり、上部ベイナイト組織が主体となる。一般に、上部ベイナイト組織は「MA」と称されるラス間の硬質組織の影響によって、細粒フェライト組織に比べて靱性が低下する。このように、これまで汎用的に実施されているTMCP法の範囲内では、TMCP条件を種々調整した場合であっても、板厚中心部組織の靱性不足により、−10℃におけるアレスト特性は4000N/mm1.5程度に留まってしまう。このため、目標とする8000N/mm1.5以上という値には到底及ぶものではない。したがって、汎用的なTMCP条件に留まらず、より広範囲のTMCP条件で実験を行う必要がある。
(g)そこで、本発明者らは汎用的なTMCP条件を逸脱して、より広範囲のTMCP条件で種々の実験を行った結果、高強度厚肉鋼板の目標強度である490MPa以上の引張強度(TS)を実現するためには、適切な焼入れ性を有した化学成分にコントロールすることが必要であること、そして、その焼入れ性の指標としては次の(1)式で示される炭素当量Ceqを用いることができることを見出すとともに、その炭素当量Ceqを0.32〜0.40とする必要があることを見出した。
Ceq=C+(Mn/6)+(Cu/15)+(Ni/15)+(Cr/5)+(Mo/5)+(V/5)・・・(1)。
ただし、(1)式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
(h)そして、厚肉鋼板の素材である鋼塊の加熱条件のコントロールは極めて有効であり、特に、低温化または短時間化を図ることにより、圧延後の変態時にフェライト変態を起こさせ、もって初期オーステナイト粒径を微細にすることができることを見出した。
具体的には、厚肉鋼板の素材である鋼塊の加熱工程においては、鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(h)が次の(2)式を満足するように鋼塊を加熱することによって、低温化と短時間化を図ることが好ましい。
t×exp(Tr3/270000000)≦580・・・(2)。
ここで、tは鋼塊の加熱時間(h)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。
なお、「鋼塊」とは、圧延、鍛造、押し出しなどの各工程に供給される素材のことであり、連続鋳造で製造され、分塊工程を省略して次の工程に供給される鋳片(連鋳鋼片)も含んでいる。
(i)次に、圧延後に得られる厚肉鋼板の板厚中心部の有効結晶粒の粒径が25μm以下であることが、高強度厚肉鋼板の靱性の向上にとって有効なことを見出した。ここで、既に述べたように「有効結晶粒」とは、EBSP法を用いて15゜以上の方位差を有する境界を結晶粒界とみなした場合の結晶粒を意味する。
なお、「有効結晶粒の粒径」とは、有効結晶粒の面積と等価な面積を有する円の直径を指す。
このように、圧延後に得られる厚肉鋼板を、その板厚中心部において、有効結晶粒の粒径を25μm以下とするためには、圧延温度の低温化が有効であり、調整板厚と、圧延温度および仕上圧延温度のコントロールが有効である。調整板厚を増加し、また、温度を低温化することにより、変態前のオーステナイト中の転位密度を上昇させることができるからである。
具体的には、圧延工程においては、圧延途中の任意の厚みA(mm)における圧延温度B(℃)と、最終圧延により最終形状の厚肉鋼板の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(4)式および(5)式を満足するように圧延することが好ましい。
A−1.5G≧0・・・(4)、
B−C−20−(1400/G)≦0・・・(5)。
ここで、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終形状の厚肉鋼板の板厚(mm)を、それぞれ表す。
(j)さらに、圧延後の冷却工程における冷却速度および冷却停止温度のコントロールも有効であり、水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(6)式および(7)式を満足するように水冷を行うことが好ましい。
E−500≦0・・・(6)、
F−2≧0・・・(7)。
ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。
(k)なお、冷却後にAc1点以下の温度で焼戻すと、ベイナイト組織中の硬化組織が一部無害化する効果を有する場合があるので、必要に応じ実施する。
(l)このように、板厚中心部で有効結晶粒の粒径の微細化を確保した鋼板は厚肉にもかかわらず、極めて良好なアレスト特性を示し、十分に目標特性に到達する。ただし、加熱圧延条件が不適切で板厚中心部の有効結晶粒の粒径が粗大化しているものは、前記(c)の〔Nz/Nc〕が1.05以上である場合でも靱性は悪くなる。
本発明に係るZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板とその製造方法は、このような知見に基づいて完成されたものである。
ここに、本発明の要旨は、下記の(1)〜(6)示すZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板ならびに(7)および(8)に示すZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法にある。
(1)質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.50%以下、Mn:0.4〜2%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Al:0.002〜0.05%、N:0.01%以下、Nb:0.003〜0.1%を含有するとともに、次の(1)式で示される炭素当量Ceqが0.32〜0.40を満たし、残部はFeおよび不純物からなる化学組成を有し、板厚中心部のC断面における有効結晶粒の粒径が25μm以下であり、かつC断面における板厚1/4位置を中心として、Z方向で特定長さを有する任意の直線と交差する有効結晶粒の粒界数NzとC方向で前記と同じ特定長さを有する任意の直線と交差する有効結晶粒の粒界数Ncとの比Nz/Ncが1.05以上であることを特徴とするZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
Ceq=C+(Mn/6)+(Cu/15)+(Ni/15)+(Cr/5)+(Mo/5)+(V/5)・・・(1)。
ただし、(1)式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
また、C断面、有効結晶粒、有効結晶粒の粒径、板厚1/4位置、Z方向およびC方向の意味は、それぞれ次に示すとおりである。
C断面:厚肉鋼板の圧延方向に垂直な断面、
有効結晶粒:EBSP法を用いて15゜以上の方位差を有する境界を結晶粒界とみなした場合の結晶粒、
有効結晶粒の粒径:有効結晶粒の面積と等価な面積を有する円の直径、
板厚1/4位置:厚肉鋼板の板厚中心部から板厚方向への距離が板厚の1/4である位置、
Z方向:厚肉鋼板の表面と裏面を結ぶ方向、
C方向:厚肉鋼板の圧延方向およびZ方向に対して直角の方向。
(2)質量%で、さらに、Ni:1%以下を含有したことを特徴とする、上記(1)に記載のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
(3)質量%で、さらに、Cu:2%以下およびCr:1%以下の元素のうち1種または2種を含有したことを特徴とする、上記(1)または(2)に記載のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
(4)質量%で、さらに、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下およびB:0.005%以下の元素のうち1種または2種以上を含有したことを特徴とする、上記(1)から(3)までのいずれかに記載のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
(5)質量%で、さらに、Ti:0.1%以下を含有したことを特徴とする、上記(1)から(4)までのいずれかに記載のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
(6)質量%で、さらに、Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下およびREM:0.002%以下の元素のうち1種または2種以上を含有したことを特徴とする、上記(1)から(5)までのいずれかに記載のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
(7)上記(1)から(6)までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼塊を、下記の工程1〜3によって、加熱し、圧延し、冷却することを特徴とするZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法。

[工程1]鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(h)が次の(2)式を満足するように鋼塊を加熱する工程。

t×exp(Tr3/270000000)≦580・・・(2)。

ここで、tは鋼塊の加熱時間(h)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。

[工程2]圧延開始前の鋼塊の幅W0(mm)、圧延後の最終形状の厚肉鋼板の板幅W1(mm)、圧延途中の任意の厚みA(mm)における圧延温度B(℃)と、最終圧延により最終形状の厚肉鋼板の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(3)〜(5)式を全て満足するように圧延する工程。
W1/W0≧1.40・・・(3)、
A−1.5G≧0・・・(4)、
B−C−20−(1400/G)≦0・・・(5)。

ここで、W0は圧延開始前の鋼塊の幅(mm)を、W1は圧延後の最終形状の厚肉鋼板の板幅(mm)を、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終形状の厚肉鋼板の板厚(mm)を、それぞれ表す。

[工程3]水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(6)式および(7)式を満足するように水冷を行う工程。

E−500≦0・・・(6)、
F−2≧0・・・(7)。

ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。
(8)上記(1)から(6)までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼塊を、下記の工程1〜4によって、加熱し、圧延し、冷却し、焼戻すことを特徴とするZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法。

[工程1]鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(h)が次の(2)式を満足するように鋼塊を加熱する工程。

t×exp(Tr3/270000000)≦580・・・(2)。

ここで、tは鋼塊の加熱時間(h)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。

[工程2]圧延開始前の鋼塊の幅W0(mm)、圧延後の最終形状の厚肉鋼板の板幅W1(mm)、圧延途中の任意の厚みA(mm)における圧延温度B(℃)と、最終圧延により最終形状の厚肉鋼板の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(3)〜(5)式を全て満足するように圧延する工程。
W1/W0≧1.40・・・(3)、
A−1.5G≧0・・・(4)、
B−C−20−(1400/G)≦0・・・(5)。

ここで、W0は圧延開始前の鋼塊の幅(mm)を、W1は圧延後の最終形状の厚肉鋼板の板幅(mm)を、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終形状の厚肉鋼板の板厚(mm)を、それぞれ表す。

[工程3]水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(6)式および(7)式を満足するように水冷を行う工程。

E−500≦0・・・(6)、
F−2≧0・・・(7)。

ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。

[工程4]Ac1点以下の温度で焼戻す工程。
なお、「REM」は、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量はREMのうちの1種または2種以上の元素の合計含有量を指す。
以下、上記(1)〜(6)に示すZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板に係る発明ならびに(7)および(8)に示すZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法に係る発明を、それぞれ、「本発明(1)」〜「本発明(8)」という。また、総称して「本発明」ということがある。
本発明のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、工業的な規模での生産が容易であり、−10℃において8000N/mm1.5以上のZ方向アレスト特性を有し、脆性き裂が発生した場合でも構造物全体の崩壊を阻止することが可能なため、各種の鋼構造物、特に、大型コンテナ船を始めとする商業用船舶の素材として用いることができる。そして、このZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、本発明の方法によって製造することができる。
以下に、本発明の各要件について詳しく説明する。ここで、化学組成を表す「%」は、特に断らない限り、「質量%」を意味する。
(A)化学組成について:
C:0.01〜0.12%
Cは、強度確保に必要な元素である。0.01%以上を含有させなければ実用的な強度を有する鋼を生産することはできない。一方、その含有量が0.12%を超えると、ベイナイト変態領域の靱性劣化が顕著化するとともに、溶接熱影響部の靱性も損ねる。したがって、Cの含有量は0.01〜0.12%とする。強度とアレスト特性のバランスの点からのC含有量の好ましい範囲は、0.03〜0.10%である。
なお、Cの含有量は、上記の範囲において、前記の(1)式で示される炭素当量Ceq、すなわち、〔C+(Mn/6)+(Cu/15)+(Ni/15)+(Cr/5)+(Mo/5)+(V/5)〕の値が0.32〜0.40をも満たすようにする必要がある。このことについては後述する。
Si:0.50%以下
Siは、精錬段階での脱酸に必要な元素であるとともに強度上昇に寄与する元素である。しかしながら、Siの含有量が0.50%を超えると、溶接熱影響部における島状マルテンサイトの生成を助長して靱性に悪影響を及ぼす。したがって、Siの含有量は0.50%以下とする。好ましいSiの含有量は、0.30%以下である。
なお、前記したSiの効果を確実に発現させるためには、Siを0.03%以上含有させるのが好ましい。このため、Siの含有量は0.03〜0.50%とすることがより好ましく、0.03〜0.30%とすればさらに一層好ましい。
Mn:0.4〜2%
Mnは、強度確保のための必要な元素である。しかしながら、その含有量が0.4%未満ではこれらの効果を得ることができない。一方、Mnの含有量が2%を超えると、溶接熱影響部の靱性が大幅に劣化する。したがって、Mnの含有量は0.4〜2%とする。Mn含有量の好ましい範囲は0.6〜1.6%である。
なお、後述するように、Mnの含有量は、上記の範囲において、前記の(1)式で示される炭素当量Ceq、すなわち、〔C+(Mn/6)+(Cu/15)+(Ni/15)+(Cr/5)+(Mo/5)+(V/5)〕の値が0.32〜0.40をも満たすようにする必要がある。
P:0.05%以下
Pは、不純物として鋼中に存在し、溶接熱影響部における粒界割れの原因となる。Pの含有量が多くなり、特に、0.05%を超えると、溶接熱影響部における粒界割れの発生が著しくなる。したがって、Pの含有量は0.05%以下とする。なお、その混入量はできるだけ低くするのが好ましく、良好なアレスト特性を安定して得るために、Pの含有量は0.03%以下とすることが好ましい。
S:0.008%以下
Sは、不純物として鋼中に存在し、脆性破壊の基点となるMnSを形成して、アレスト特性を損なう元素である。特に、Sの含有量が0.008%を超えると、アレスト特性の劣化が顕著になる。このため、Sの含有量は0.008%以下とする。なお、その混入量はできるだけ低くするのが好ましく、良好なアレスト特性を安定して得るために、Sの含有量は0.003%未満とすることが好ましい。
Al:0.002〜0.05%
Alは鋼の脱酸に必要な元素であり、本発明に係る鋼の場合には、0.002%以上の含有量が必要である。しかしながら、Alの含有量が多くなり、特に、0.05%を超えると、析出物の増加を通じてアレスト特性の劣化が顕著化する。したがって、Alの含有量は0.002〜0.05%とする。好ましいAl含有量の範囲は0.002〜0.04%である。
N:0.01%以下
Nは、不純物として鋼中に存在し、析出物を形成することで靱性劣化をもたらす元素である。このため、低温靱性確保のためにNの含有量は低い方がよく、特に、Nの含有量が0.01%を超えると、アレスト特性の著しい劣化をきたす。したがって、Nの含有量は0.01%以下とする。好ましいNの含有量は0.006%以下である。
Nb:0.003〜0.1%
Nbは、組織の微細化、靱性の向上、焼入れ性の向上および析出硬化による強度上昇に有効な元素であり、特に、未再結晶域の拡大効果が大きいことから、TMCP法を適用する鋼材には必要な元素である。前記の効果はNbの含有量が0.003%以上で発揮される。しかしながら、Nbの含有量が0.1%を超えると、析出物の増加により却って靱性の劣化をもたらす。したがって、Nbの含有量を0.003〜0.1%とする。Nb含有量の好ましい範囲は0.003〜0.04%である。
本発明においては、残部はFeで構成されるが、製造工程の種々の要因により他の不純物が含まれることもある。
なお、本発明のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、必要に応じてさらに、下記第1群から第5群までの中から選ばれた1種または2種以上の元素を含有させることができる。
第1群:Ni:1%以下、
第2群:Cu:2%以下およびCr:1%以下の元素のうち1種または2種、
第3群:Mo:0.5%以下、V:0.1%以下およびB:0.005%以下の元素のうち1種または2種以上、
第4群:Ti:0.1%以下、
第5群:Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下およびREM:0.002%以下の元素のうち1種または2種以上。
すなわち、前記第1群から第5群のグループのうちの元素の1種または2種以上を任意元素として含有させてもよい。
以下、上記の任意元素に関して説明する。
第1群:Ni:1%以下
Niを含有させると、鋼板のアレスト特性を向上させることができる。しかしながら、Niの含有はコストアップ要因となる。このため、含有させる場合のNiの含有量を1%以下とする。含有させる場合のNiの好ましい含有量は0.6%以下である。なお、Niによるアレスト特性向上効果を確実に発現させるためには、Niを0.03%以上含有させることが好ましい。
なお、後述するように、Niの含有量は、上記の範囲において、前記の(1)式で示される炭素当量Ceq、すなわち、〔C+(Mn/6)+(Cu/15)+(Ni/15)+(Cr/5)+(Mo/5)+(V/5)〕の値が0.32〜0.40をも満たすようにする必要がある。
第2群:Cu:2%以下およびCr:1%以下の元素のうち1種または2種
CuおよびCrは、強度を高める作用を有するので、この効果を得るために上記の元素を含有させてもよい。以下、上記のCuおよびCrについて詳しく説明する。
Cu:2%以下
Cuを含有させると、靱性を劣化させずに強度を向上させることができる。しかしながら、その含有量が2%を超えると、析出物増加によりアレスト特性の劣化をきたし、さらに、熱間での加工の際、表面に微小な割れを発生させる。したがって、含有させる場合のCuの含有量は2%以下とする。含有させる場合のCu含有量の好ましい上限は1%である。なお、Cuによる強度向上効果を確実に発現させるためには、Cuを0.03%以上含有させることが好ましい。
Cuの含有量は、上記の範囲において、前記の(1)式で示される炭素当量Ceq、すなわち、〔C+(Mn/6)+(Cu/15)+(Ni/15)+(Cr/5)+(Mo/5)+(V/5)〕の値が0.32〜0.40をも満たすようにする必要がある。このことについては後述する。
Cr:1%以下
Crを含有させると、強度を上昇させることができる。しかしながら、その含有量が1%を超えると、靱性の劣化をきたし、さらに、溶接熱影響部に硬化した組織を形成して靱性を劣化させる。したがって、含有させる場合のCrの含有量は1%以下とする。含有させる場合のCr含有量の好ましい上限は0.6%である。なお、Crによる強度向上効果を確実に発現させるためには、Crを0.05%以上含有させることが好ましい。
Crの含有量についても、後述するように、上記の範囲において、前記の(1)式で示される炭素当量Ceq、すなわち、〔C+(Mn/6)+(Cu/15)+(Ni/15)+(Cr/5)+(Mo/5)+(V/5)〕の値が0.32〜0.40をも満たすようにする必要がある。
なお、上記のCuおよびCrは、そのうちのいずれか1種のみ、または2種の複合で含有させることができる。
第3群:Mo:0.5%以下、V:0.1%以下およびB:0.005%以下の元素のうち1種または2種以上
Mo、VおよびBは、焼入れ性の向上および強度を高める作用を有するので、これらの効果を得るために上記の元素を含有させてもよい。以下、上記のMo、VおよびBについて詳しく説明する。
Mo:0.5%以下
Moを含有させると、焼入れ性および強度を向上させることができる。しかしながら、Moの含有はコストアップ要因となり、また、その含有量が0.5%を超えると、溶接熱影響部の靱性を劣化させる。したがって、含有させる場合のMoの含有量は0.5%以下とする。含有させる場合のMo含有量の好ましい上限は0.3%である。なお、Moによる焼入れ性と強度の向上効果を確実に発現させるためには、Moを0.02%以上含有させることが好ましい。
なお、後述するように、Moの含有量は、上記の範囲において、前記の(1)式で示される炭素当量Ceq、すなわち、〔C+(Mn/6)+(Cu/15)+(Ni/15)+(Cr/5)+(Mo/5)+(V/5)〕の値が0.32〜0.40をも満たすようにする必要がある。
V:0.1%以下
Vを含有させると、焼入れ性の向上および析出硬化による強度の向上に有効となる。しかしながら、Vの含有量が0.1%を超えると、靱性の著しい劣化をもたらす。このため、含有させる場合のVの含有量は0.1%以下とする。含有させる場合のV含有量の好ましい上限は0.06%である。なお、Vによる焼入れ性と強度の向上効果を確実に発現させるためには、Vを0.003%以上含有させることが好ましい。
なお、Vの含有量についても、上記の範囲において、前記の(1)式で示される炭素当量Ceq、すなわち、〔C+(Mn/6)+(Cu/15)+(Ni/15)+(Cr/5)+(Mo/5)+(V/5)〕の値が0.32〜0.40をも満たすようにする必要がある。
B:0.005%以下
Bを含有させると、オーステナイト粒界からのフェライト変態を抑制して焼入れ性が向上する。また、強度を高めることができる。しかしながら、Bの含有量が0.005%を超えると靱性が劣化する。したがって、含有させる場合のBの含有量は0.005%以下とする。含有させる場合のB含有量の好ましい上限は0.0015%である。なお、Bによる焼入れ性および強度の向上効果を確実に発現させるためには、Bを0.0003%以上含有させることが好ましい。
なお、上記のMo、VおよびBは、そのうちのいずれか1種のみ、または2種以上の複合で含有させることができる。
第4群:Ti:0.1%以下
Tiを含有させると、酸化物粒子の構成元素として有効となり、また高温延性を高めて連続鋳造で製造される鋼塊のひび割れを防止するのに有効となる。しかしながら、Tiの含有量が0.1%を超えると、TiCを生成し、靱性を劣化させる。このため、含有させる場合のTiの含有量は0.1%以下とする。含有させる場合のTi含有量の好ましい上限は0.04%である。なお、Tiによるこれらの効果を確実に発現させるためには、Tiを0.003%以上含有させることが好ましい。
第5群:Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下およびREM:0.002%以下の元素のうち1種または2種以上
Ca、MgおよびREMは、介在物の形態制御効果を有するので、この効果を得るために上記の元素を含有させてもよい。以下、上記のCa、MgおよびREMについて詳しく説明する。
Ca:0.004%以下
Caを含有させると、介在物の形態制御効果を有し、これによって、アレスト特性が向上する。しかしながら、Caの含有量が0.004%を超えると、鋼の清浄度自体を大きく低下させる。このため、含有させる場合のCaの含有量は0.004%以下とする。含有させる場合のCa含有量の好ましい上限は0.002%である。なお、Caによる上記の効果を確実に発現させるためには、Caを0.0003%以上含有させることが好ましい。
Mg:0.002%以下
Mgを含有させると、介在物の形態制御効果を有する。具体的には、微細酸化物の分散密度を増すことができ、これによって、溶接熱影響部の靱性が向上する。しかしながら、Mgの含有量が0.002%を超えると、微細酸化物が得られないし、鋼の清浄度を大きく低下させる。したがって、含有させる場合のMg含有量は0.002%以下とする。含有させる場合のMg含有量の好ましい上限は0.0015%である。なお、Mgによる微上記の効果を確実に発現させるためには、Mgを0.0002%以上含有させることが好ましい。ここで、Mgを溶鋼中に含有させる工程は、Alを溶鋼中に含有させる前に行うことが好ましい。
REM:0.002%以下
REMを含有させると、介在物の形態制御効果を有する。具体的には、微細酸化物の分散密度を増すことができ、これによって、溶接熱影響部の靱性が向上する。また、REMを含有させることによって、過剰なSを硫化物として固定する効果も得られる。しかしながら、REMの含有量が0.002%を超えると、微細酸化物が得られないし、鋼の清浄度を大きく低下させる。このため、含有させる場合のREMの含有量は0.002%以下とする。含有させる場合のREM含有量の好ましい上限は0.0015%である。なお、REMによるこれらの効果を確実に発現させるためには、REMを0.0002%以上含有させることが好ましい。
既に述べたように、上記の「REM」は、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量はREMのうちの1種または2種以上の元素の合計含有量を指す。
なお、REMを溶鋼中に含有させる工程は、Alを溶鋼中に含有させる前に行うのが好ましく、それぞれのREM元素に分離して鋼中に含有させてもよいし、ミッシュメタルとして混合した状態で鋼中に含有させてもよい。
Ceqの値:0.32〜0.40%
本発明で規定する高強度厚肉鋼板は強度部材として使用されることから、規格材として十分な強度を保有している必要がある。したがって、高強度厚肉鋼板の化学組成は各々の規定範囲を満足するだけではなく、適切な焼入れ性を有していることが必要である。
高強度厚肉鋼板の焼入れ性を表すパラメータとしては炭素当量を用いることができる。特に、引張強さが490MPa以上の強度クラスの高強度厚肉鋼板の場合には、IIW(国際溶接協会)で規定されている炭素当量式を用いることができる。すなわち、次の(1)式で示される炭素当量Ceqを用いて整理することができる。
Ceq=C+(Mn/6)+(Cu/15)+(Ni/15)+(Cr/5)+(Mo/5)+(V/5)・・・(1)。
ただし、(1)式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
この炭素当量Ceqが0.32%よりも低い場合には十分な強度が確保されず、一方、0.40%よりも高い場合には焼き入れ性が過大となり特に、溶接熱影響部の靭性を顕著に損ねる。したがって、炭素当量Ceqを0.32〜0.40%と規定する。なお、炭素当量Ceqの好ましい範囲は0.32〜0.38%である。
上記の理由から、本発明(1)に係るZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、上述した範囲のCからNbまでの元素を含有するとともに、前記の(1)式で示される炭素当量Ceqが0.32〜0.40を満たし、残部はFeおよび不純物からなる化学組成を有することと規定した。
また、本発明(2)に係るZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、本発明(1)のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板に、さらに、Ni:1%以下を含有したことと規定した。
同様に、本発明(3)に係るZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、本発明(1)または(2)のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板に、さらに、Cu:2%以下およびCr:1%以下の元素のうち1種または2種を含有したことと規定した。
本発明(4)に係るZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、本発明(1)から(3)までのいずれかのZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板に、さらに、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下およびB:0.005%以下の元素のうち1種または2種以上を含有したことと規定した。
本発明(5)に係るZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、本発明(1)から(4)までのZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板のいずれかに、さらに、Ti:0.1%以下を含有したことと規定した。
本発明(6)に係るZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、本発明(1)から(5)までのZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板のいずれかに、さらに、Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下およびREM:0.002%以下の元素のうち1種または2種以上を含有したことと規定した。
(B)板厚中心部のC断面における有効結晶粒の粒径について:
高強度厚肉鋼板の靱性は、圧延後に得られる厚肉鋼板の板厚中心部のC断面における有効結晶粒の粒径が25μm以下の場合に向上することがわかった。
なお、有効結晶粒が、EBSP法を用いて15゜以上の方位差を有する境界を結晶粒界とみなした場合の結晶粒を指すことは既に述べたとおりである。
具体的には、EBSP法を用いて、倍率300倍で5視野以上の観察を行い、15°以上の方位差を有する境界を結晶粒界とみなした。そして、ひとつずつの有効結晶粒内部の面積を求め、その面積と等価な面積を有する円の直径を、それぞれの有効結晶粒の粒径として評価した。
これは、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡で認められる粒界を基準として有効結晶粒の粒径を定量化した場合には、隣接する結晶粒の方位差が小さい場合などに破面単位との対応が悪く、組織サイズを代表する数値となり得ないためである。
したがって、本発明のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板においては、板厚中心部における有効結晶粒の粒径が25μm以下であることと規定した。
(C)C断面における板厚1/4位置を中心とした部位での〔Nz/Nc〕について:
Z方向の有効結晶粒の粒径が小さい場合、Z方向のアレスト特性を向上させることができる。これは、有効結晶粒内ではき裂が劈開破壊によって進展するのに対し、粒界ではテアリッジと称される延性破壊領域が存在し、き裂伝播抵抗の増加をもたらすためである。組織の微細化による脆性き裂伝播抵抗の向上は基本的にこのようなメカニズムであると考えられている。
そして、本発明者らの検討によって、C断面における板厚1/4位置を中心として、Z方向で特定長さを有する任意の直線と交差する有効結晶粒の粒界数NzとC方向で前記と同じ特定長さを有する任意の直線と交差する有効結晶粒の粒界数Ncとの比Nz/Ncが1.05以上である場合に確実にZ方向のアレスト特性を向上させることができることが明らかになった。
したがって、本発明のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板においては、前記の〔Nz/Nc〕が1.05以上であることと規定した。
なお、Z方向とC方向においてそれぞれ、各長さが200μmである4本以上の同数の直線と交差する有効結晶粒の粒界数を求めれば、測定位置のバラツキを排除することが可能である。
なお、これまでに述べた本発明(1)〜(6)に係るZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、例えば、本発明(7)あるいは本発明(8)の製造方法によって製造することができる。
(D)製造条件について
以下に詳述する製造条件は、上述の表面方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板を経済的に要領よく実現するための方法の一つであり、厚肉鋼板自体の技術的範囲はこの製造条件によって規定されるものではない。
厚肉鋼板の素材である鋼塊の加熱条件のコントロール、すなわち、加熱温度と加熱時間のコントロールは、鋼塊再加熱時の初期オーステナイト粒径の微細化を制御する主な製造条件であり、本発明において極めて重要である。
高い温度での加熱あるいは長時間の加熱は、オーステナイト粒の成長を促進するので、最終組織の結晶粒粗大化に繋がってしまう。したがって、加熱温度を低く、そして、加熱時間を短く制御する必要がある。ただし、温度と時間には等価性があるため、どちらか一方の条件を満足すればよい。
すなわち、加熱の低温化または短時間化を図ることにより、圧延後の変態時にフェライト変態を起こさせ、もって初期オーステナイト粒径を細粒にすることができる。
上述の等価性を実験的に明らかにしたところ、肉厚鋼板の素材である鋼塊の加熱工程においては、鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(h)が、次の(2)式の規定を満足していることが経済的に優れた厚肉高アレスト鋼板を製造する条件として好ましいことがわかった。
t×exp(Tr3/270000000)≦580・・・(2)。
ここで、tは鋼塊の加熱時間(h)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。
なお、加熱温度が極端に低い場合には、変形抵抗の増加などにより圧延の実現が困難となるので、加熱温度は800℃以上にすることが好ましい。ただし、加熱温度は1050℃以下にすることが好ましい。
また、上記の〔t×exp(Tr3/270000000)〕の値は、変形抵抗の増加による圧延能率の阻害を回避するため50以上とすることが好ましい。
次に、鋼板の熱間圧延時のいわゆる「幅出し比」は、介在物の形状制御を通じて表面方向のアレスト特性に大きな影響を及ぼす。
すなわち、脆性き裂の進展経路を微細に屈曲させて破面の凹凸を増加させることは、脆性き裂の伝播抵抗を増大させることにつながるので、アレスト特性の向上に極めて効果的である。
そして、Z方向に進展する脆性き裂の進展経路を微細に屈曲させるためには、鋼中介在物の扁平化が効果的であり、特に、MnSなどの圧延により薄く引き延ばされる介在物をL方向とC方向に等しく扁平化していることが望ましい。これは、前記の方向のうちどちらか一方向のみに引き延ばされた形であれば、破面の屈曲は大きくはならないからである。
MnSなどの圧延により薄く引き延ばされる介在物をL方向とC方向に等しく扁平化させるための具体的な製造条件としては、圧延開始前の鋼塊の幅W0(mm)と圧延後の最終形状の厚肉鋼板の板幅W1(mm)の比であるW1/W0(幅出し比)を1.40以上とすることが好ましい。すなわち、前記のW1/W0が、次の(3)式を満足するように圧延することが好ましい。
W1/W0≧1.40・・・(3)

ここで、W0は圧延開始前の鋼塊の幅(mm)を、W1は圧延後の最終形状の厚肉鋼板の板幅(mm)を、それぞれ表す。
なお、上記のW1/W0は、圧延形状の乱れによる歩留まり悪化を回避するため4以下とすることが好ましい。
次に、厚肉高アレスト鋼板を経済的に得る方法としては、圧延工程での調整板厚と、圧延温度および仕上圧延温度のコントロールも有効である。未再結晶域での圧延量を増加させ、フェライト変態前のオーステナイト中の転位密度を高くすることでフェライト変態を促進するというTMCP技術を適用することで、厚肉材の板厚中心部でも十分な組織の微細化を期待することができるからである。この未再結晶域での圧下量を制御する製造上のパラメータとしては、調整板厚、調整時の圧延開始温度および仕上温度の3つが重要であることを知見した。
本発明者らによる多数の実験により得られた条件は、圧延工程においては、圧延途中の任意の厚み(調整板厚)A(mm)における圧延温度(調整時圧延温度)B(℃)と、最終圧延により最終形状の厚肉鋼板の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(4)式および(5)式を満足するように圧延することである。
A−1.5G≧0・・・(4)、
B−C−20−(1400/G)≦0・・・(5)。
ここで、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終形状の厚肉鋼板の板厚(mm)を、それぞれ表す。
上記(4)式および(5)式の両方ともを満足しない場合には、フェライト変態前の転位密度が不足し、板厚中心部の最終組織における組織サイズが粗大化することになるので、効率よく厚肉高アレスト鋼板を得ることができない。
なお、上記の(4)式における〔A−1.5G〕の値は、圧延能率の低下を回避するために、5以下とすることが好ましい。
また、(5)式における〔B−C−20−(1400/G)1.5G〕の値は、圧延能率の低下を回避するために、−60以上とすることが好ましい。
また、十分な強度を確保するために、このような厚肉材の場合には、圧延後の冷却工程における冷却速度と冷却停止温度のコントロールも有効であり、水冷時の冷却速度が2℃/s以上であり、かつ水冷停止温度が500℃以下とするのが好ましい。すなわち、水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(6)式および(7)式を満足するように水冷を行うのが好ましい。
E−500≦0・・・(6)、
F−2≧0・・・(7)。
ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。
なお、水冷停止温度E(℃)の値は、常温の工業用水を用いることから自ずと常温以上となる。
また、板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)の値は、水冷による理論限界冷却速度からおよそ50以下となる。
また、冷却後にAc1点以下の温度で焼戻すと、ベイナイト組織中の硬化組織が一部無害化する効果を有する場合があるので、必要に応じて実施すればよい。
なお、焼戻しする場合は、焼き戻しの効果を発現させる下限の温度である200℃以上とすることが好ましい。
上記の理由から、本発明(7)に係るZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法は、前記(A)項に記載の本発明(1)から(6)までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼塊を、前記の工程1〜3によって、加熱し、圧延し、冷却することと規定した。
また、本発明(8)に係るZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法は、前記(A)項に記載の本発明(1)から(6)までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼塊を、前記の工程1〜4によって、加熱し、圧延し、冷却し、焼戻すことと規定した。
なお、前述のように本発明の高強度厚肉鋼板は板厚50mmを超えるものを対象とするが、本発明(7)や本発明(8)の製造方法を用いれば、板厚65mm以上といった極厚の厚肉鋼板についても有用に製造することができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1および表2に、今回供試した鋼塊の化学成分を示す。なお、表1および表2中の鋼No.1〜37は、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼塊である。一方、表2中の鋼No.38〜43は、化学組成が本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼塊である。
これらの各種の鋼塊を用い、表3および表4に示す製造条件に基づいて種々の高強度厚肉鋼板を製造した。
なお、試験番号1−2については、表3中には明示していないが、冷却後520℃で焼戻しを行っている。
Figure 0005233303
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このようにして得た各鋼板について、引張特性、板厚中心部における有効結晶粒の粒径、C断面における板厚1/4位置を中心とした部位での〔Nz/Nc〕およびZ方向のアレスト特性を調査した。
引張試験は、JIS Z 2201(1998)に準じた引張試験片を、板厚1/4位置を中心としてC方向に採取し、室温で引張試験速度を10N/(mm・s)として行い、降伏強度(YS)と引張強度(TS)を測定した。
なお、上記の降伏強度は下降伏点から求め、明確な降伏点が現れない場合には、0.2%耐力を降伏強度とした。引張特性の目標は、490MPa以上のTSを有することとした。
板厚中心部における有効結晶粒の粒径は、先ず、被検面がC断面になるようにして、各鋼板から板厚中心部を含むように試験片を採取し、次いで、その試験片を樹脂に埋め込んで鏡面研磨した後、EBSP装置を用いて、倍率を300倍として5視野の観察を行い、15゜以上の方位差を有する境界を結晶粒界とみなして、それに囲まれた部分を有効結晶粒と判定し、その後さらに、画像解析によって、ひとつずつの有効結晶粒内部の面積を求め、その面積と等価な面積を有する円の直径に換算して、それぞれの有効結晶粒の粒径として評価した。
C断面における板厚1/4位置を中心とした部位での〔Nz/Nc〕は、EBSP装置を用いて、図1に例示する方法で求めた。
すなわち、被検面がC断面になるようにして、各鋼板から板厚1/4位置を含むように試験片を採取し、その試験片を樹脂に埋め込んで鏡面研磨した後、EBSP装置を用いて、倍率を300倍として5視野の観察を行い、15゜以上の方位差を有する境界を結晶粒界とみなして粒界を表示させた。次いで、その表示画面上で、板厚1/4位置を中心とする任意の位置でZ方向に直線を描画させ、直線と交差する有効結晶粒の粒界数をカウントした。同様に、前記の表示画面上で、板厚1/4位置を中心とする任意の位置でC方向に直線を描画させ、直線と交差する有効結晶粒の粒界数をカウントした。なお、測定位置のバラツキを排除するため、前記5視野の各表示画面上において、Z方向およびC方向にそれぞれ、長さが200μmである直線を4本ずつ描画した。
なお、Z方向およびC方向についてそれぞれ、4本ずつ描画した長さ200μmの直線と交差する有効結晶粒の粒界数の算術平均値を求めて、〔Nz〕および〔Nc〕として評価した。
表面方向のアレスト特性は、図2に示す形状の試験体を組み立て、通常の混成型ESSO試験として評価を行った。
すなわち、図2に示すように、上部および下部に脆化板を配して供試鋼板中をき裂が板厚の表面と裏面を結ぶZ方向に進展するようにして、上部脆化板と供試鋼板および下部脆化板と供試鋼板をそれぞれ、電子ビーム溶接することで試験体を組み立て、−10℃において混成型ESSO試験を実施した。
上記のESSO試験は「Go or No−Go試験」であるため、「No−Go」となった最大のK値を材料のKcaとして評価した。アレスト特性の目標は、8000N/mm1.5以上のKcaを有することである。
なお、図2において、「EBW」は電子ビーム(Electron Beam Welding)を意味し、また、「EH36」はシャルピー要求温度が−40℃であるEグレードの降伏点353MPa(36kgf/mm2)級の鋼板を意味する。評価対象の鋼板は元厚のまま試験載荷方向がL方向となるように500mm長さの鋼板を加工し、電子ビーム溶接により上下の鋼板と接合して混成型ESSO試験に供している。
表5に、上記の各試験結果をまとめて示す。なお、表5中の各供試鋼板における「板厚中心部における有効結晶粒の粒径」は、前述のようにして求めた有効結晶粒の粒径のうちの最大粒径である。
Figure 0005233303
表5から、本発明で規定する条件を満たす本発明例の試験番号1−2、試験番号1−3、試験番号2−6、試験番号3−1および試験番号4〜37の鋼板は、いずれも厚肉であるにもかかわらず、−10℃でのKcaが8000N/mm1.5以上であって、Z方向のアレスト特性に優れており、しかも、引張強度(TS)も490MPa以上という目標を達成していることが明らかである。
これに対して、本発明で規定する条件から外れた比較例の試験番号の鋼板の場合、いずれも−10℃でのKcaが8000N/mm1.5に達しておらず、Z方向のアレスト特性に劣るものである。しかも、その一部のものの引張強度(TS)は490MPa以上という目標に達しておらず引張特性にも劣っている。
すなわち、試験番号1−1の鋼板は、鋼の化学組成が本発明で規定する条件を満たす鋼No.1を用いているにも拘わらず、その〔Nz/Nc〕が1.01であって、本発明で規定する下限値を下回るため、−10℃でのKcaは4822N/mm1.5と低く、Z方向のアレスト特性に劣っている。
試験番号1−4の鋼板は、鋼の化学組成が本発明で規定する条件を満たす鋼No.1を用いているにも拘わらず、板厚中心部における有効結晶粒の粒径が27μmであって、本発明で規定する上限値を上回るため、−10℃でのKcaは7250N/mm1.5で目標の8000N/mm1.5に達しておらず、Z方向のアレスト特性に劣っている。
試験番号2−1の鋼板は、鋼の化学組成が本発明で規定する条件を満たす鋼No.2を用いているにも拘わらず、その〔Nz/Nc〕が1.02であって、本発明で規定する下限値を下回るため、−10℃でのKcaは6610N/mm1.5と低く、Z方向のアレスト特性に劣っている。
試験番号2−2〜2−5の鋼板は、いずれも、鋼の化学組成が本発明で規定する条件を満たす鋼No.2を用いているにも拘わらず、板厚中心部における有効結晶粒の粒径がそれぞれ、30μm、30μm、32μmおよび41μmであって、本発明で規定する上限値を上回っている。このため、−10℃でのKcaはそれぞれ、7150N/mm1.5、6550N/mm1.5、6220N/mm1.5および6920N/mm1.5であって、目標の8000N/mm1.5に達しておらず、Z方向のアレスト特性に劣っている。上記の試験番号の鋼板のうち、試験番号2−3および試験番号2−4の鋼板については、引張強度(TS)がそれぞれ、456MPaと465MPaであって、490MPa以上という目標に達しておらず引張特性にも劣っている。
試験番号3−2の鋼板は、鋼の化学組成が本発明で規定する条件を満たす鋼No.3を用いているにも拘わらず、板厚中心部における有効結晶粒の粒径が32μmであって、本発明で規定する上限値を上回るため、−10℃でのKcaは6790N/mm1.5で目標の8000N/mm1.5に達しておらず、Z方向のアレスト特性に劣っており、しかも、その引張強度(TS)は485MPaであって、490MPa以上という目標に達しておらず引張特性にも劣っている。
試験番号38の鋼板は、鋼の化学組成が本発明で規定する条件から外れた鋼No.38を用いており、しかも、板厚中心部における有効結晶粒の粒径が45μmであって、本発明で規定する上限値を上回るため、−10℃でのKcaは6630N/mm1.5で目標の8000N/mm1.5に達しておらず、Z方向のアレスト特性に劣っている。
試験番号39の鋼板は、鋼の化学組成が本発明で規定する条件から外れた鋼No.39を用いているため、−10℃でのKcaは6780N/mm1.5で目標の8000N/mm1.5に達しておらず、Z方向のアレスト特性に劣っている。
試験番号40の鋼板は、鋼の化学組成が本発明で規定する条件から外れた鋼No.40を用いており、しかも、板厚中心部における有効結晶粒の粒径が59μmであって、本発明で規定する上限値を上回るため、−10℃でのKcaは7050N/mm1.5で目標の8000N/mm1.5に達しておらず、Z方向のアレスト特性に劣っている。
試験番号41の鋼板は、鋼の化学組成が本発明で規定する条件から外れた鋼No.41を用いているため、−10℃でのKcaは7230N/mm1.5で目標の8000N/mm1.5に達しておらず、Z方向のアレスト特性に劣っている。
試験番号42の鋼板は、鋼の化学組成が本発明で規定する条件から外れた鋼No.42を用いており、しかも、板厚中心部における有効結晶粒の粒径が35μmであって、本発明で規定する上限値を上回るため、−10℃でのKcaは6490N/mm1.5で目標の8000N/mm1.5に達しておらず、Z方向のアレスト特性に劣っている。
試験番号43の鋼板は、鋼の化学組成が本発明で規定する条件から外れた鋼No.43を用いているため、−10℃でのKcaは7600N/mm1.5で目標の8000N/mm1.5に達しておらず、Z方向のアレスト特性に劣っている。
以上のとおり、本発明のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、工業的な規模での生産が容易であり、−10℃において8000N/mm1.5以上のZ方向アレスト特性を有し、脆性き裂が発生した場合でも構造物全体の崩壊を阻止することが可能なため、各種の鋼構造物、特に、大型コンテナ船を始めとする商業用船舶の素材として用いることができる。そして、このZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板は、本発明の方法によって製造することができる。
C断面における板厚1/4位置を中心とした部位での〔Nz/Nc〕をEBSP装置を用いて求める方法の一例を説明する図である。 Z方向のアレスト特性を評価するために行った混成型ESSO試験で用いた試験体について説明する図である。

Claims (8)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.50%以下、Mn:0.4〜2%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Al:0.002〜0.05%、N:0.01%以下、Nb:0.003〜0.1%を含有するとともに、次の(1)式で示される炭素当量Ceqが0.32〜0.40を満たし、残部はFeおよび不純物からなる化学組成を有し、板厚中心部のC断面における有効結晶粒の粒径が25μm以下であり、かつC断面における板厚1/4位置を中心として、Z方向で特定長さを有する任意の直線と交差する有効結晶粒の粒界数NzとC方向で前記と同じ特定長さを有する任意の直線と交差する有効結晶粒の粒界数Ncとの比Nz/Ncが1.05以上であることを特徴とするZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
    Ceq=C+(Mn/6)+(Cu/15)+(Ni/15)+(Cr/5)+(Mo/5)+(V/5)・・・(1)
    ただし、(1)式中の、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
    また、C断面、有効結晶粒、有効結晶粒の粒径、板厚1/4位置、Z方向およびC方向の意味は、それぞれ次に示すとおりである。
    C断面:厚肉鋼板の圧延方向に垂直な断面、
    有効結晶粒:EBSP法を用いて15゜以上の方位差を有する境界を結晶粒界とみなした場合の結晶粒、
    有効結晶粒の粒径:有効結晶粒の面積と等価な面積を有する円の直径、
    板厚1/4位置:厚肉鋼板の板厚中心部から板厚方向への距離が板厚の1/4である位置、
    Z方向:厚肉鋼板の表面と裏面を結ぶ方向、
    C方向:厚肉鋼板の圧延方向およびZ方向に対して直角の方向
  2. 質量%で、さらに、Ni:1%以下を含有したことを特徴とする、請求項1に記載のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
  3. 質量%で、さらに、Cu:2%以下およびCr:1%以下の元素のうち1種または2種を含有したことを特徴とする、請求項1または2に記載のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
  4. 質量%で、さらに、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下およびB:0.005%以下の元素のうち1種または2種以上を含有したことを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
  5. 質量%で、さらに、Ti:0.1%以下を含有したことを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
  6. 質量%で、さらに、Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下およびREM:0.002%以下の元素のうち1種または2種以上を含有したことを特徴とする、請求項1から5までのいずれかに記載のZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板。
  7. 請求項1から6までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼塊を、下記の工程1〜3によって、加熱し、圧延し、冷却することを特徴とするZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法。
    [工程1]鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(h)が次の(2)式を満足するように鋼塊を加熱する工程。
    t×exp(Tr3/270000000)≦580・・・(2)
    ここで、tは鋼塊の加熱時間(h)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。
    [工程2]圧延開始前の鋼塊の幅W0(mm)、圧延後の最終形状の厚肉鋼板の板幅W1(mm)、圧延途中の任意の厚みA(mm)における圧延温度B(℃)と、最終圧延により最終形状の厚肉鋼板の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(3)〜(5)式を全て満足するように圧延する工程。
    W1/W0≧1.40・・・(3)
    A−1.5G≧0・・・(4)
    B−C−20−(1400/G)≦0・・・(5)
    ここで、W0は圧延開始前の鋼塊の幅(mm)を、W1は圧延後の最終形状の厚肉鋼板の板幅(mm)を、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終形状の厚肉鋼板の板厚(mm)を、それぞれ表す。
    [工程3]水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(6)式および(7)式を満足するように水冷を行う工程。
    E−500≦0・・・(6)
    F−2≧0・・・(7)
    ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。
  8. 請求項1から6までのいずれかに記載の化学組成を有する鋼塊を、下記の工程1〜4によって、加熱し、圧延し、冷却し、焼戻すことを特徴とするZ方向のアレスト特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法。
    [工程1]鋼塊の加熱温度Tr(℃)と加熱時間t(h)が次の(2)式を満足するように鋼塊を加熱する工程。
    t×exp(Tr3/270000000)≦580・・・(2)
    ここで、tは鋼塊の加熱時間(h)を、そして、Trは加熱温度(℃)を、それぞれ表す。
    [工程2]圧延開始前の鋼塊の幅W0(mm)、圧延後の最終形状の厚肉鋼板の板幅W1(mm)、圧延途中の任意の厚みA(mm)における圧延温度B(℃)と、最終圧延により最終形状の厚肉鋼板の板厚G(mm)に仕上げる際の仕上圧延温度C(℃)が、次の(3)〜(5)式を全て満足するように圧延する工程。
    W1/W0≧1.40・・・(3)
    A−1.5G≧0・・・(4)
    B−C−20−(1400/G)≦0・・・(5)
    ここで、W0は圧延開始前の鋼塊の幅(mm)を、W1は圧延後の最終形状の厚肉鋼板の板幅(mm)を、Aは圧延途中の任意の厚み(mm)を、BはAにおける圧延温度(℃)を、Cは仕上圧延温度(℃)を、そして、Gは最終形状の厚肉鋼板の板厚(mm)を、それぞれ表す。
    [工程3]水冷停止温度E(℃)および板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)が、次の(6)式および(7)式を満足するように水冷を行う工程。
    E−500≦0・・・(6)
    F−2≧0・・・(7)
    ここで、Eは水冷停止温度(℃)を、そして、Fは板厚中心部における水冷中の平均冷却速度F(℃/s)を、それぞれ表す。
    [工程4]Ac1点以下の温度で焼戻す工程。
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