JP5227483B1 - リチウム二次電池用複合活物質およびその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用複合活物質およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、大充放電容量、高速充放電特性、および良好なサイクル特性を併せ持ったリチウム二次電池の作製が可能なリチウム二次電池用複合活物質、並びにその製造方法を提供することを目的とする。本発明のリチウム二次電池用複合活物質の製造方法は、比表面積30m/g以上の黒鉛と、リチウムイオンと化合可能な電池活物質とを混合して、混合物を得る混合工程と、混合物に球形化処理を施し、黒鉛とリチウムイオンと化合可能な電池活物質とを含有する略球状のリチウム二次電池用複合活物質を製造する球形化工程とを有する。

Description

本発明は、リチウム二次電池用複合活物質およびその製造方法に関する。
電子材料の小型軽量化、および、HEVまたはEVの開発の進展に伴い、大容量、高速充放電特性、良好なサイクル特性、かつ安全性に優れた電池の開発の要望は益々増大している。なかでも、リチウムイオン二次電池(リチウム二次電池)が最も有望な電池として注目されている。
しかしながら、優れた性能を示すリチウム二次電池が開発される前提として、各種性能に優れた負極材料、正極材料、電解液、セパレータ、または集電体などが開発され、且つ、それらの特性を十分に生した電池設計がなされなくてはならない。
なかでも、負極材料は基本的な電池特性を決定するものであるため、充放電容量などの特性がより優れる材料の開発が活発に行われている。より具体的には、従来、負極材料としては、主として黒鉛粉体などの炭素材料が使用されているが、黒鉛の理論電気容量は372mAh/gであり、より高い充放電容量を得るために黒鉛より高い理論電気容量を有する他の材料(例えば、シリコン、錫、アルミニウムなど)と組み合わせて使用することが試みられている。
例えば、特許文献1では、鱗片状黒鉛とシリコン粉末とを混合させ、高速気流中で粉砕、造粒して得られる黒鉛とSiとを複合化した材料が開示されている。なお、特許文献1においては、黒鉛原料の比表面積は0.5〜20m/g程度であることが好ましい旨が記されており、実施例欄において上記範囲の比表面積を有する黒鉛が使用されている。また、特許文献2では、剥離黒鉛フレークとスズなどの金属とを混合した材料が開示されている。
特開2008−27897号公報 米国特許出願公開第2009/0117466号明細書
上述したように、近年、電池材料に対する要求特性が非常に高まってきており、例えば、充放電容量のみならず、サイクル特性に対する要求水準も非常に高まってきている。
本発明者らは、上述した特許文献1および2に記載の材料(複合活物質)を用いたリチウム二次電池の性能について検討を行ったところ、いずれにおいても数サイクルまたは数十サイクル後には急激な容量劣化が認められ、更なる改良が必要であった。これは、サイクルの進行とともに、例えば、Siなどのリチウムイオンと化合する電池活物質が微細化し、材料からの脱落などにより電子伝導性が失われたことが原因と考えられている。
本発明は、上記実情に鑑みて、大充放電容量、高速充放電特性、および良好なサイクル特性を併せ持ったリチウム二次電池の作製が可能なリチウム二次電池用複合活物質、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、該リチウム二次電池用複合活物質を用いた電池を提供することも目的とする。
本発明者らは、従来技術について鋭意検討を行った結果、電池活物質と黒鉛との密着性が十分でないことが一つの問題点であることを見出し、以下の構成によって上記課題を解決できることを見出した。
(1) リチウム二次電池用複合活物質の製造方法であって、
比表面積30m/g以上の黒鉛と、リチウムイオンと化合可能な電池活物質とを混合して、混合物を得る混合工程と、
前記混合物に球形化処理を施し、黒鉛およびリチウムイオンと化合可能な電池活物質を含有する略球状のリチウム二次電池用複合活物質を製造する球形化工程とを有する、リチウム二次電池用複合活物質の製造方法。
(2) 前記黒鉛が膨張黒鉛である、(1)に記載のリチウム二次電池用複合活物質の製造方法。
(3) 前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質が、シリコン、スズ、アルミニウム、アンチモン、およびインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する、(1)または(2)に記載のリチウム二次電池用複合活物質の製造方法。
(4) 前記球形化工程が、ハンマミル、ピンミル、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミルおよびサンプルミルからなる群から選ばれる高速回転衝撃式粉砕機によって行われる、(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質の製造方法。
(5) 前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質の平均粒子径が1μm以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質の製造方法。
(6) 黒鉛およびリチウムイオンと化合可能な電池活物質を含有する略球状のリチウム二次電池用複合活物質であって、
加速電圧10kV以下での走査型電子顕微鏡(SEM)観察により観察されるリチウム二次電池用複合活物質表面上に露出している前記黒鉛の面積率が95%以上である、リチウム二次電池用複合活物質。
(7) タップ密度が0.8g/cm以上である、(6)に記載のリチウム二次電池用複合活物質。
(8) 比表面積が5〜100m/gである、(6)または(7)に記載のリチウム二次電池用複合活物質。
(9) 前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質の平均粒子径が1μm以下である、(5)〜(7)のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質。
(10) 前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質の一部が前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質の凝集体である2次粒子の形態で存在し、前記2次粒子の平均径が5μm以下である、(6)〜(9)のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質。
(11) (6)〜(10)のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質を含むリチウム二次電池。
(12) 満充電状態において前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質が60%以上充電され前記黒鉛が50%以下充電された状態で使用される、請求項11に記載のリチウム二次電池。
(13) 請求項6〜10のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質を含む負極を有するリチウム二次電池であって、
前記負極の電位がリチウム参照極に対して0.4Vを下回らない範囲で使用される、請求項11または12に記載のリチウム二次電池。
(14) 三次元構造を有する集電体とその上に配置される請求項6〜10のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質とを含む電極を有する、リチウム二次電池。
本発明によれば、大充放電容量、高速充放電特性、および良好なサイクル特性を併せ持ったリチウム二次電池の作製が可能なリチウム二次電池用複合活物質、並びにその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、該リチウム二次電池用複合活物質を用いた電池を提供することもできる。
(A)実施例1にて作製したリチウム二次電池用複合活物質のXRD回折パターン(*:膨張黒鉛由来のピーク、+:Si由来のピーク)、(B)膨張黒鉛と標準珪素試料との混合物のXRD回折パターン(*:膨張黒鉛由来のピーク、+:Si由来のピーク) 実施例1にて作製したリチウム二次電池用複合活物質のSEM(走査型電子顕微鏡)による2次電子像(加速度電圧10kV)(A)倍率:500倍、(B)倍率:2000倍 実施例1にて作製したリチウム二次電池用複合活物質を用いたハーフセルの充放電容量とサイクルによる充放電容量の変化を表す図である。 実施例1にて作製したリチウム二次電池用複合活物質を用いたハーフセルのサイクルによる充電容量の変化を表す図である。 実施例1にて作製したリチウム二次電池用複合活物質を用いたハーフセルのサイクルによるクーロン効率の変化を表す図である。 実施例1にて作製したリチウム二次電池用複合活物質を用いたハーフセルのレート特性を表す図である。 比較例1にて作製したリチウム二次電池用複合活物質のSEM(走査型電子顕微鏡)による2次電子像(加速度電圧10kV)(A)倍率:3000倍、(B)倍率:10000倍 比較例1にて作製したリチウム二次電池用複合活物質を用いたハーフセルのサイクルによる充電容量の変化を表す図である。 比較例2にて作製したリチウム二次電池用複合活物質のSEM(走査型電子顕微鏡)による2次電子像(加速度電圧10kV)(A)倍率:750倍、(B)倍率:5000倍 比較例2にて作製したリチウム二次電池用複合活物質を用いたハーフセルのサイクルによる充電容量の変化を表す図である。 レーザー回折式の粒度分布測定器による電池活物質の粒度分布測定結果を示す図である。 実施例1にて作製したリチウム二次電池用複合活物質の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)による2次電子像(加速度電圧10kV、倍率10000倍) 実施例2にて作製したリチウム二次電池用複合活物質のSEM(走査型電子顕微鏡)による2次電子像(加速度電圧10kV)(A)倍率:1000倍、(B)倍率:4000倍 実施例2にて作製したリチウム二次電池用複合活物質の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)による2次電子像(加速度電圧10kV、倍率10000倍) 実施例2にて作製したリチウム二次電池用複合活物質を用いたフルセルの充放電サイクルにともなう放電容量の変化を表す図である。 実施例2にて作製したリチウム二次電池用複合活物質を用いたフルセルの充放電レートと放電容量維持率の関係を表す図である。 比較例1にて作製したリチウム二次電池用複合活物質の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)による2次電子像(加速度電圧10kV、倍率10000倍)
以下に、本発明のリチウム二次電池用複合活物質およびその製造方法について詳述する。
まず、従来技術と比較した本発明の特徴点について詳述する。
本発明の製造方法の特徴点の一つとしては、所定の比表面積の黒鉛を使用して、黒鉛およびリチウムイオンと化合する電池活物質の混合物に対して球状化処理を施している点が挙げられる。より具体的には、まず、膨張黒鉛や薄片化した黒鉛(薄片状黒鉛)などの所定の比表面積を有する黒鉛が持つ巨大な空間または表面積を利用して、黒鉛表面に電池活物質(好ましくは微粒子化した電池活物質)を高度に均一分散させる。その後、得られた電池活物質高分散黒鉛組成物に球形化処理を施すことにより、黒鉛AB面間の高い接着性に基づいて黒鉛と電池活物質との密着性を高めることが可能となる。上記手順によって得られるリチウム二次電池用複合活物質は、大きな比表面積を示す極めて薄い厚みの黒鉛シートで、電池活物質を包み込む形状を有している。よって、本発明のリチウム二次電池用複合活物質は、従来のリチウム二次電池用複合活物質と比較して、黒鉛と電池活物質との間の接触頻度と密着注が比較にならない程良好である。その結果、電池活物質に高い導電性を付与し、かつ、充放電サイクルに伴う電池活物質の粒子崩壊による導電パスの欠落をも回避することが可能となり、結果としてリチウム二次電池の高いサイクル特性を実現することが出来る。
また、従来、黒鉛と電池活物質とからなるリチウム二次電池用複合活物質は、電池活物質の体積膨張や収縮を緩和するために複合活物質中に膨張緩和の空間を敢えて設けていた。しかしながら、本発明のリチウム二次電池用複合活物質は、全く逆の発想で黒鉛と電池活物質とを出来るだけ高分散させ、さらに圧着することで、電池活物質の膨張を強固な黒鉛AB面内に封じ込め、導電性の維持と複合活物質の変形を抑制している。
さらに、充放電サイクルに伴い電池活物質が微粉化などの物理的変形を受けても、電池活物質は柔軟に層間距離を調節できる黒鉛層間に挟まれた状態で維持されるので、電池活物質の導電性は維持される。
さらには、本発明のリチウム二次電池用複合活物質を球形化した成型材料とすることにより、粉化した電池活物質はそれを内包する薄片状黒鉛の層からの脱落を抑制することができる。または、球形化処理を施されて得られるリチウム二次電池用複合活物質は、球形化により黒鉛エッジ面を実質的に外表面に露出しない構造を有する。さらに必要に応じて、その表面をCVD炭素で被覆することにより、電池活物質または黒鉛エッジ面がリチウム二次電池用複合活物質の表面に露出することの無いエッジレス構造とすることができる。このような構造を有するリチウム二次電池用複合活物質は、より優れた安全性を示す。
本発明のリチウム二次電池用複合活物質の構造上の特徴を表す特性としては、その形状が略球状であり、10kV以下の低加速電圧で走査型電子顕微鏡を用いて本発明のリチウム二次電池用複合活物質の2次電子像を観察すると、リチウム二次電池用複合活物質表面上に露出している黒鉛の面積率が95%以上である点が挙げられる。つまり、電池活物質が実質的に該複合活物質中に内包されている。さらに、該2次電子像中において、薄い黒鉛層を透過して、黒鉛層内に挟み込まれた状態で内包された電池活物質を直接観察できる。
また、X線回折においては、黒鉛層間にインターカレーションした層間化合物に起因するピークはほとんど認められず、この複合活物質が黒鉛と電池活物質との機械的混合物からなる複合体であることがわかる。このように薄い厚みの黒鉛シートによって微細な電池活物質を包み込むことにより、黒鉛シート間内での電池活物質の高度な分散と密な接着が図られる。その結果、本来、非導電性または導電性の低い電池活物質から大きな電池容量を引き出し、さらには微細な電池活物質に起因する物質内のリチウムイオンの拡散距離が小さいという特性を生かし、極めて高い充放電レート特性、および、良好なサイクル特性を有するリチウム二次電池を作製可能なリチウム二次電池用複合活物質を提供することができる。
まず、本発明のリチウム二次電池用複合活物質の製造方法について詳述し、その後製造されるリチウム二次電池用複合活物質の態様について詳述する。
本発明のリチウム二次電池用複合活物質の製造方法は、所定の黒鉛およびリチウムイオンと化合可能な電池活物質を混合する混合工程と、得られた混合物に球形化処理を施す球形化工程とを備える。
以下に、工程ごとに、使用される材料、および、その手順について詳述する。
<混合工程>
混合工程は、比表面積30m/g以上の黒鉛と、リチウムイオンと化合可能な電池活物質(以後、単に電池活物質も称する)とを混合して、混合物を得る工程である。本工程を実施することによって、極めて広い黒鉛表面に電池活物質が均一に混じり合い、極めて高度に電池活物質が分散した混合物を得ることができる。後述するように、黒鉛は大きな面積を有しているため、混合物中の黒鉛表面に分散し付着した電池活物質は、黒鉛に僅かな圧力を加えるだけで黒鉛に挟みこまれる形で、黒鉛間に包み込まれる(言い換えれば内包される)。
まず、本工程で使用される材料(黒鉛、電池活物質など)について詳述し、その後本工程の手順について詳述する。
(黒鉛)
本工程で使用される黒鉛は、比表面積が30m/g以上を示す。上記範囲内であれば、高表面積(好ましくは、厚みの薄い)の黒鉛表面に高度に電池活物質が分散したリチウム二次電池用複合活物質が得られる。その結果として、本発明のリチウム二次電池用複合活物質を用いた電池材料は、大充放電容量および良好なサイクル特性を示す。なかでも、該複合活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル特性がより優れる点で、40m/g以上が好ましく、60m/g以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、製造の手順が煩雑となり、合成が困難な点で、比表面積は200m/g以下が好ましい。
黒鉛の比表面積が30m/g未満の場合、黒鉛と電池活物質との混合が不均一となり、成型時の電池活物質の脱落や成型複合物表面への電池活物質の露出などが起こり、結果として、リチウム二次電池用複合活物質を用いたリチウム二次電池の充放電量およびサイクル特性に劣る。
なお、黒鉛の比表面積は、窒素吸着によるBET法(JIS Z 8830、一点法)を用いて測定したものである。
黒鉛中においては、黒鉛面を重ねる方向でグラフェンシートが複数枚重なった層が含まれており、グラフェンシートは主にファンデルワールス力によって互いに結合している。
上記所定の比表面積を示す黒鉛中に含まれる積層したグラフェンシートの層の平均厚みは、リチウム二次電池用複合活物質を用いたリチウム二次電池の充放電量およびサイクル特性がより優れる点で、29nm以下が好ましく、22nm以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、製造手順が煩雑になることから、通常、4.4nm以上である場合が多い。
なお、一般的に、単一のグラフェンシートの厚みは0.34nmという薄さといわれており、平均厚みが18nmより薄い場合には比表面積は約50m/gより大きくなると計算される。また、グラフェン単一シートは、2630m/gに達する比表面積の理論値を有する。
なお、上記平均厚みの測定方法としては、電子顕微鏡観察(TEM)によって黒鉛を観察し、黒鉛中の積層したグラフェンシートの層の厚みを10個以上測定して、その値を算術平均することによって、平均厚みが得られる。
使用される黒鉛の嵩比重の下限は特に制限されないが、黒鉛への電池活物質のより均一かつより高度な分散がなされる点で、0.01g/cm以上が好ましく、0.02g/cm以上がより好ましい。上限は、製造上の問題から、0.05g/cm以下の場合が多い。
なお、嵩比重の測定方法としては、500mlのガラス製メスシリンダーに試料を圧縮しないように挿入し、その試料重量を試料体積で除して求める。
本工程で使用される黒鉛としては、市販品を使用してもよいし、公知の方法で製造してもよい。
該黒鉛としては、いわゆる膨張黒鉛や、薄片状黒鉛を使用することができる。
膨張黒鉛の製造方法としては、例えば、酸中に黒鉛(例えば、鱗片状黒鉛)を室温で浸漬した後、得られた酸処理黒鉛に加熱処理(好ましくは、700〜1000℃で処理)を施すことにより製造することができる。より具体的には、硫酸9重量部と硝酸1重量部の混酸に鱗片状天然黒鉛を1時間程度浸漬後、酸を除去し、水洗・乾燥を行う。その後、得られた酸処理黒鉛を850℃程度の炉に投入することで膨張黒鉛が得られる。なお、酸処理黒鉛の代わりに、アルカリ金属など黒鉛と層間化合物を形成した黒鉛を使用しても、膨張黒鉛を得ることが出来る。
上記で得られた酸処理黒鉛の嵩密度は特に限定されないが、酸処理黒鉛が十分に膨張する点で、0.6g/cm以上が好ましく、0.7g/cm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、製造上の問題から、1.0g/cm以下の場合が多い。
なお、嵩密度の測定方法としては、100mlのガラス製メスシリンダーに試料を圧縮しないように挿入し、その試料重量を試料体積で除して求める。
また、薄片状黒鉛の製造方法としては、上記膨張黒鉛を溶媒に分散後、超音波処理や大きなズリ応力を与える粉砕機(例えば、石臼)などで処理することにより、膨張黒鉛のヒンジ部が破壊され、グラフェンシート枚数で50枚程度(好ましくは、10〜150枚)が積層した薄片状の黒鉛を得ることができる。
なお、上記比表面積を示す膨張黒鉛を構成するグラフェンシートの枚数と、それを解砕した薄片状黒鉛を構成するグラフェンシートの枚数は、基本的にほぼ同一と推測される。
(電池活物質)
本工程で使用される電池活物質としては、リチウムイオンと化合可能な電池活物質(好ましくは、負極活物質)である。言い換えれば、リチウムイオンと化合して、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る物質(例えば、金属、金属の炭化物、窒化物、酸化物など)であればよい。例えば、リチウムイオンの吸収および放出が可能な金属もしくは非金属、または、リチウムと合金化可能な金属酸化物である。
より具体的には、Si、Sn、Al、Sb、Zn、Bi、Cd、Pb、In、Ag、Ga、Geなどの金属(リチウムと合金化可能な金属)もしくはこれら金属を含む合金(例えば、Si合金、Sb合金、Sn合金、In合金)、または、SnO、SnOなどの金属酸化物(リチウムと合金化可能な金属酸化物)などが挙げられる。なかでも、得られるリチウム二次電池用複合活物質を用いて得られるリチウム二次電池の放電容量およびサイクル特性がより優れる点で、電池活物質がSi、Sn、Al、Sb、およびInからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有することが好ましく、Si、Snの元素を含有することがより好ましい。
なお、該合金については、上記した金属の組み合わせからなる合金の他、リチウムイオンを吸蔵および放出しない金属を含む合金であってもよい。この場合、合金中の上記リチウムと合金化可能な金属の含有量はより多いほうが好ましい。SEM観察で得られる2次電子像で判断する粒子の均一性やサイクル特性などから判断すると、金属含有量の上限は70質量%であるこどが好ましく、60質量%以下がより好ましい。
使用される電池活物質の形状は特に制限されず、粉状、板状、粒状、繊維状、塊状、球状など、あらゆる形状のものが使用可能である。
使用される電池活物質の平均粒子径としては、黒鉛と電池活物質との複合化時の電池活物質の脱落やサイクルに伴う電池活物質の膨張破壊などがより抑制される点で、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。下限値については、特に制限はなく小さいほうが好ましい。通常の粉砕方法では、平均粒子径0.01μm程度までの微粉末を製造することが可能であり、この程度の粒径の粉末を有効に用いることができる。
なお、平均粒子径の測定方法としては、レーザー回折式の粒度分布測定器が用いられる。より具体的には、D50:50%体積粒径を平均粒子径とする。
なお、上記所定の平均粒子径の電池活物質を得る方法としては、攪拌槽型攪拌ミル(ビーズミル等)等などの公知の装置を用いて電池活物質の粉砕を行うことによって、上記した粒径の小さい粉末を得ることが可能である。図11に、一例として、ビーズミルにより粉砕した電池活物質の粒度分布をレーザー回折式の粒度分布測定器により測定した結果を示す。この結果によると、D50:50%体積粒径、つまり平均粒子径は0.096μmであった。この結果は、ビーズミルを用いることで、所定の平均粒子径の電池活物質を得ることが可能であることを示すものである。
(工程の手順)
上述した黒鉛と電池活物質との混合方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができ、いわゆる乾式処理または湿式処理などが挙げられる。なお、得られる混合物中での黒鉛と電池活物質とがより均一に混合する点より、湿式処理の態様が好ましい。
乾式処理としては、例えば、公知の攪拌機(例えば、ヘンシェルミキサー)に上述した黒鉛と電池活物質とを加え、混合する方法がある。
湿式処理としては、例えば、上述した黒鉛と電池活物質とを溶媒中に分散させ、得られた溶液を混合攪拌して、溶媒を除去する方法が挙げられる。
湿式処理の際に使用される溶媒の種類は特に制限されず、黒鉛と電池活物質とを分散させることができる溶媒であればよい。例えば、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、アミド系溶媒(例えば、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル)、エステル系溶媒(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル)、カーボネート系溶媒(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート)、エーテル系溶媒(例えば、セロソルブ)、ハロゲン系溶媒、水およびこれらの混合物などが挙げられる。
なかでも、得られるリチウム二次電池用複合活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル特性がより優れる点で、アルコール系溶媒が好ましい。
湿式処理において、黒鉛と電池活物質とを混合攪拌する条件は特に制限されず、使用される材料に応じて適宜最適な条件が選択される。通常、攪拌時間としては、黒鉛と電池活物質とのより均一に分散する結果、得られるリチウム二次電池用複合活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル特性がより優れる点で、1〜2時間程度が好ましい。
また、必要に応じて、攪拌処理時に超音波を加えてもよい。
溶媒を除去する方法は特に制限されず、公知の装置(例えば、エバポレータ)などを使用する方法が挙げられる。
黒鉛と電池活物質との混合比は特に制限されないが、得られるリチウム二次電池用複合活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル特性がより優れる点で、黒鉛100質量部に対して、電池活物質を10〜230質量部混合することが好ましく、40〜150質量部混合することがより好ましい。
また、溶媒の使用量は特に制限されないが、より高度な分散が図られる結果、得られるリチウム二次電池用複合活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル特性がより優れる点で、黒鉛100質量部に対して、溶媒を3000〜15000質量部混合することが好ましく、5000〜7000質量部混合することがより好ましい。
<球形化工程>
球形化工程は、混合物に球形化処理を施し、黒鉛およびリチウムイオンと化合可能な電池活物質を含有する略球状のリチウム二次電池用複合活物質を製造する工程である。
本工程を実施することにより、黒鉛のシートがその内部に電池活物質を取り込むように折り畳まれて球形化する。その際、黒鉛のエッジ部は内部に折り畳まれ、形成されるリチウム二次電池用複合活物質の表面には実質的に露出しない構造が得られる。
以下に、鱗片状の黒鉛を使用した場合と、比表面積の大きな黒鉛(膨張黒鉛または薄片状黒鉛)を使用した場合との球形化工程におけるメカニズムの違いについて詳述する。
例えば、特開2008−27897に記載されるように、鱗片状の黒鉛と電池活物質とを高速気流中に置くと、黒鉛の長軸方向、即ち黒鉛のAB面は気流の方向に配列し、気流と垂直に設けられたピンまたは衝突板に衝突し、黒鉛AB面は圧縮変形し、結果的に電池活物質を挟み込む形で球形化する。この場合、黒鉛表面に存在する電池活物質の多くは衝突時の衝撃で黒鉛表面から離れ、たまたま黒鉛AB面間に挟まれた状態の電池活物質のみが黒鉛層間に挟み込まれる。
一方、本発明においては、例えば、使用される比表面積の大きな黒鉛が膨張黒鉛の場合、膨張黒鉛の長軸は黒鉛C軸方向であり、高速気流中に該黒鉛が置かれると、黒鉛C軸が気流方向に配列し、ピンや衝突板に衝突する。その結果、まず黒鉛C軸が圧縮され、黒鉛は膨張前の形態に近い状態に変化する。これは黒鉛のAB面に付着した電池活物質が黒鉛で押し潰され、完全に電池活物質が黒鉛層同士で挟み込まれることを意味する。一旦C軸方向に圧縮された黒鉛は、AB面が長軸となる構造に変化し、やがて黒鉛AB面が折り畳まれた球形成型体へと変化する。
また、薄片状黒鉛の場合、黒鉛AB面に平行方向の圧縮と垂直方向の圧縮を同時に受けるが、黒鉛AB面の弾性率が低いため、黒鉛AB面に垂直方向の圧縮により黒鉛AB間で容易に接着して変形し、薄片状黒鉛表面に付着した電池活物質は黒鉛AB面内に挟み込まれる作用が先行する。その後、弾性率の高い黒鉛AB面の変形が起こり、球形化が進行する。
また、膨張黒鉛または薄片状黒鉛は、それを構成する積層したグラフェンシートの層の厚みが小さいため、より小さなAB面方向の圧縮力でAB面の変形が容易に行われることはいうまでもない。
球形化処理の方法は特に制限されず、主に衝撃応力を加えられる粉砕機であれば特に限定されない。粉砕機としては、例えば、高速回転衝撃式粉砕機が挙げられ、より具体的にはサンプルミル、ハンマミル、ピンミル等を用いることができる。なかでも、黒鉛と電池活物質との混合がより均一に実施され、結果として得られる複合活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル特性がより優れる点で、ピンミルが好ましい。
高速回転衝撃式粉砕機としては、高速回転するローターに試料を衝突させて、その衝撃力による微細化を達成するものが挙げられ、例えば、ローターに固定式あるいはスイング式の衝撃子を取り付けたハンマーミルタイプのハンマー型、回転する円盤にピンや衝撃ヘッドを取り付けたピンミルタイプの回転円盤型、試料がシャフト方向に搬送されながら粉砕する軸流型、狭い環状部での粒子の微細化を行うアニュラー型等が挙げられる。より具体的には、ハンマミル、ピンミル、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミルなどが挙げられる。
なお、本工程を上記高速回転衝撃式粉砕機で行なう場合には、通常100rpm以上、好ましくは1500rpm以上、また、通常20000rpm以下の回転速度で球形化を行うことが好ましい。過度の衝撃力により球形化より粉砕が進行する。したがって衝突速度は20m/秒〜100m/秒程度とすることが好ましい。
粉砕と異なり、球形化処理は低い衝撃力で処理するため、本工程は通常循環処理を行うことが好ましい。その処理時間は、使用する粉砕機の種類や仕込み量等によって異なるが、通常2分以内であり、適切なピン或いは衝突板の配置がなされた装置であれば処理時間は10秒程度で終了する。
また、球形化処理は空気中で行うことが好ましい。窒素気流同処理を行うと、大気開放時に発火する危険がある。
<リチウム二次電池用複合活物質>
上述した工程を経て得られるリチウム二次電池用複合活物質(以後、単に複合活物質とも称する)は、略球状であり、黒鉛と電池活物質とを含有する。
以下、得られた複合活物質について詳述する。
複合活物質の形状は、上記処理によって略球状の形状を有する。略球状とは、複合活物質が丸みを帯びた構造を有し、破砕粒に一般的に見られるような鋭いエッジ(峰部や綾部)を有さない形状であることを意図する。
より具体的には、略球状とは、長径と短径との比率であるアスペクト比(長径/短径)が1〜3の範囲程度(本発明の効果がより優れる点で、1〜2がより好ましい)の複合活物質粒子の形状を表す。上記アスペクト比は、少なくとも100の粒子について一つ一つの粒子の長径/短径を求め、それらの算術平均した値(算術平均値)を意味する。
なお、上記における短径とは、走査型電子顕微鏡などによって観察される粒子の外側に接し、粒子を挟み込む二つの平行線の組み合わせのうち最短間隔になる二つの平行線の距離である。一方、長径とは、該短径を決定する平行線に直角方向の二つの平行線であって、粒子の外側に接する二つの平行線の組み合わせのうち、最長間隔になる二つの平行線の距離である。これらの四つの線で形成される長方形は、粒子がちょうどその中に納まる大きさとなる。
加速電圧10kV以下での走査型電子顕微鏡(SEM)観察により観察されるリチウム二次電池用複合活物質表面上に露出している黒鉛の面積率は、95%以上である。なかでも、98%以上がより好ましく、99%以上がさらに好ましい。上限値は特に制限されず、100%が挙げられる。面積率が上記範囲内であれば、複合活物質の表面上に露出している電池活物質の量が少なく、結果としてサイクル特性などに優れる。
上記面積率が上記範囲外(95%未満)の場合、電池活物質の脱落などが生じやすく、サイクル特性に劣る。
面積率の測定方法としては、加速電圧10kV以下での走査型電子顕微鏡(SEM)(好ましくは、倍率2000倍以上)によって、少なくとも100個以上の複合活物質を観察し、各複合活物質表面上に占める黒鉛の面積率を測定し、それらを算術平均した値である。
また、加速電圧10kV以下での走査型電子顕微鏡(SEM)観察により観察されるリチウム二次電池用複合活物質表面上に露出している電池活物質の面積率は、5%以下が好ましい。なかでも、2%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。下限は特に制限されず、0%が挙げられる。面積率が上記範囲内であれば、複合活物質の表面上に露出している電池活物質の量が少なく、結果としてサイクル特性などに優れる。
面積率の測定方法としては、加速電圧10kV以下での走査型電子顕微鏡(SEM)(好ましくは、倍率2000倍以上)によって、少なくとも100個以上の複合活物質を観察し、各複合活物質表面上に占める電池活物質の面積率を測定し、それらを算術平均した値である。
また、リチウム二次電池用複合活物質の特徴として、加速電圧10kV以下での走査型電子顕微鏡(SEM)観察により観察すると、薄い黒鉛層を透過して黒鉛層内に挟み込まれた状態で内包された電池活物質を直接観察できる。
また、リチウム二次電池用複合活物質の好ましい態様として、黒鉛のエッジ部がその表面上に実質的に露出していない態様が挙げられる。エッジ部が表面に露出していないことによって、充放電サイクル時に発生しやすい電解液の分解や黒鉛の破壊がより抑制され、結果としてサイクル特性の向上がもたらされる。
本発明のリチウム二次電池用複合活物質の好ましい態様としては、複合活物質中に含まれるリチウムイオンと化合可能な電池活物質の一部がリチウムイオンと化合可能な電池活物質の凝集体である2次粒子の形態で存在し(いいかえると、リチウムイオンと化合可能な電池活物質が1次粒子およびその凝集体である2次粒子の形態で存在し)、その2次粒子の平均径が5μm以下、好ましくは2μm以下である態様が挙げられる。なお、2次粒子の平均径の下限は特に制限されないが、通常、0.3μm以下の場合が多い。2次粒子の平均径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により観察されるリチウム二次電池用複合活物質の断面において観察される2次粒子を少なくとも100個以上観察し、各2次粒子の円相当径を画像解析により算出することで求める。円相当径とは、対象物の形状を、対象物の投影面積と同じ投影面積をもつ円と想定したときの当該円の直径である。
リチウム二次電池用複合活物質の断面を観察する方法としては、例えば、複合活物質を顕微鏡試料固定用樹脂にて硬化させた後、1種類以上のサンドペーパーで研磨を繰り返し(複数種類のサンドペーパーを用いる場合は目の粗いものから順に使用する)、その後、2000番サンドペーパーで研磨を行い、その後、0.5μmアルミナ研磨剤で研磨し、最後に0.02μmのダイヤモンドペーストで研磨することで、複合活物質の断面を露出させ、その後、スパッタリング法で複合活物質の断面を導電化する等の方法がある。
また、2次粒子か否かの判断は、加速電圧10kV以下での走査型電子顕微鏡(SEM)観察により観察されるリチウム二次電池用複合活物質の断面において観察される1次粒子が別の1次粒子と一部でも接触しているか否かにより判断する。すなわち、1次粒子が別の1次粒子と一部でも接触していれば2次粒子に該当すると判断する。
複合活物質中における電池活物質の含有量は、上述した混合工程における黒鉛と電池活物質との含有量により適宜調整できる。
なかでも、得られる複合活物質を使用したリチウム二次電池のサイクル特性がより優れる点で、電池活物質の含有量は、複合活物質全量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%がより好ましく、30質量%以上が特に好ましい。上限としては、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
なお、得られる複合活物質において電池活物質の含有量が上記範囲内である場合でも、複合活物質表面に露出する黒鉛の面積率は上記範囲内となる。
なお、電池活物質をSiとする場合、複合活物質中のSiの含有量を30質量%とした場合、Siのみに由来する充放電容量は1200mAh/g程度となる。
複合活物質の粒径(D50:50%体積粒径)は特に制限されないが、得られる複合活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル特性がより優れる点で、2〜40μmが好ましく、5〜35μmがより好ましく、5〜30μmがさらに好ましい。
なお、粒径(D90:90%体積粒径)は特に制限されないが、得られる複合活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル特性より優れる点で、10〜60μmが好ましく、20〜45μmがより好ましい。
さらに、粒径(D10:10%体積粒径)は特に制限されないが、得られる複合活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル特性がより優れる点で、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。
D10、D50およびD90は、レーザー回折散乱法により測定した累積粒度分布の微粒側から累積10%、累積50%、累積90%の粒径にそれぞれ該当する。
なお、測定に際しては、複合活物質を液体に加えて超音波などを利用しながら激しく混合し、作製した分散液を装置にサンプルとして導入し、測定を行う。液体としては作業上、水やアルコール、低揮発性の有機溶媒を用いることが好ましい。この時、得られる粒度分布図は正規分布を示すことが好ましい。
複合活物質の嵩密度は特に制限されないが、得られる複合活物質の体積当たりの容量をより大きくするため、0.5g/cm以上が好ましく、0.7g/cm以上がより好ましい。上限は特に制限されない。
嵩密度の測定方法は、25mlのメスシリンダーを用いる以外、上述した黒鉛の嵩密度の測定方法と同じである。
複合活物質のタップ密度は特に制限されないが、得られる複合活物質の体積当たりの容量をより大きくするため、0.8g/cm以上が好ましく、1.0g/cm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、1.6g/cm以下が好ましい。
タップ密度の測定方法は、試料を25mlメスシリンダーには入れ、タッピングを行い、容量変化がなくなった時点の試料重量を試料体積で除して求める。
複合活物質の比表面積(BET比表面積)は特に制限されないが、得られる複合活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル特性がより優れる点で、5m/g以上が好ましく、8m/g以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、100m/g以下が好ましい。
複合活物質の比表面積(BET比表面積)の測定方法は、試料を300℃で30分真空乾燥後、窒素吸着1点法で測定する。
必要に応じて、複合活物質の表面を炭素で被覆することができる。該処理を実施することにより、複合活物質の表面積を調整し、電気化学的安定性を高めることができる。
炭素で被覆する方法は特に制限されないが、例えば、CVD法が挙げられる。より具体的には、トルエン等のガスを流し、750〜1100℃でCVD処理を行うことが好ましい。
<リチウム二次電池>
上述した複合活物質は、リチウム二次電池で使用される電池材料(電極材料)に使用される活物質として有用である。
上記複合活物質を用いた電池材料の特徴として、電池材料の理論値に近い容量が得られること、サイクル特性が良好なこと、レート特性が優れていることが挙げられる。電池材料の理論値に近い容量が得られる理由としては、微細化した電池活物質の周囲に導電性の優れた黒鉛が十分に存在できることが挙げられる。また、サイクル特性が良好な理由としては、サイクルに伴い電池活物質が粉化しても、電池活物質は薄い黒鉛層に密着して包まれているために導電パスを失うことがないことが挙げられる。さらに、レート特性が優れている理由としては、電池活物質が微細化している結果、Liイオンの拡散距離が小さいことが挙げられる。特に、レート特性は粒子径が小さくなるほど良好になることは理論的に明らかであるが、サイクルに伴いさらに微細化した電池活物質が脱落することなく、薄い黒鉛層に確実に保持された環境下で十分に導電パスが確保されて初めて達成されるものである。
複合活物質を使用してリチウム二次電池用負極を製造する方法は特に制限されず、公知の方法を使用することができる。
例えば、複合活物質と結着剤とを混合し、加圧成形または溶剤を用いてペースト化し、銅箔上に塗布してリチウム二次電池用負極とすることができる。より具体的には、複合活物質92g、13%PVDF/NMP溶液62g、導電用カーボンブラック0.5g、およびNMP29gを混合し、通常用いられる双腕型ミキサーを用いて良好なスラリーが得られる。
なお、集電体としては銅箔以外に、電池のサイクルがより優れる点で、三次元構造を有することが好ましい。三次元構造を有する集電体の材料としては、例えば、炭素繊維、スポンジ状カーボン(スポンジ状樹脂にカーボンを塗工したもの)、金属などが挙げられる。
三次元構造を有する集電体(多孔質集電体)としては、金属や炭素の導電体の多孔質体として、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、金属発泡体、金属織布、金属不織布、炭素繊維織布、または炭素繊維不織布などが挙げられる。
使用される結着剤としては、公知の材料を使用でき、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、SBR、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、膠などが用いられる。
また、溶剤としては、例えば、水、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
なお、ペースト化する際には、上記のように必要に応じて、公知の攪拌機、混合機、混練機、ニーダーなどを用いて攪拌混合してもよい。
複合活物質を用いて塗工用スラリーを調製する場合、導電材として導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブまたはその混合物を添加することが好ましい。上記工程により得られた複合活物質の形状は、比較的、粒状化(特に、略球形化)している場合が多く、粒子間の接触は点接触となりやすい。この弊害を避けるために、スラリーにカーボンブラック、カーボンナノチューブまたはその混合物を配合する方法が挙げられる。カーボンブラック、カーボンナノチューブまたはその混合物はスラリー溶剤の乾燥時に該複合活物質が接触して形成する毛細管部分に集中的に凝集することが出来るので、サイクルに伴う接点切れ(抵抗増大)を防止することが出来る。
カーボンブラック、カーボンナノチューブまたはその混合物の配合量は特に制限されないが、複合活物質100質量部に対して、0.2〜4質量部であることが好ましく、0.5〜2質量部であることがより好ましい。カーボンナノチューブの例としては、シングルウォールカーボンナノチューブ、マルチウォールカーボンナノチューブがある。
(正極)
上記複合活物質を使用して得られる負極を有するリチウム二次電池に使用される正極としては、公知の正極材料を使用した正極を使用することができる。
正極の製造方法としては公知の方法が挙げられ、正極材料と結合剤および導電剤よりなる正極合剤を集電体の表面に塗布する方法などが挙げられる。正極材料(正極活物質)としては、酸化クロム、酸化チタン、酸化コバルト、五酸化バナジウムなどの金属酸化物や、LiCoO、LiNiO、LiNi1−yCo、LiNi1−x−yCoAl、LiMnO、LiMn、LiFeOなどのリチウム金属酸化物、硫化チタン、硫化モリブデンなどの遷移金属のカルコゲン化合物、または、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロールなどの導電性を有する共役系高分子物質などが挙げられる。
(電解液)
上記複合活物質を使用して得られる負極を有するリチウム二次電池に使用される電解液としては、公知の電解液を使用することができる。
例えば、電解液中に含まれる電解質塩として、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C)、LiCl、LiBr、LiCFSO、LiCHSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiN(CFCHOSO、LiN(CFCFOSO、LiN(HCFCFCHOSO、LiN{(CFCHOSO、LiB{(C(CF、LiN(SOCF、LiC(SOCF、LiAlCl、LiSiFなどのリチウム塩を用いることができる。特にLiPFおよびLiBFが酸化安定性の点から好ましい。
電解質溶液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/lであるのが好ましく、0.5〜3mol/lであるのがより好ましい。
電解液で使用される溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート、1,1−または1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソフラン、4−メチル―1,3−ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテルなどのエーテル、スルホラン、メチルスルホランなどのチオエーテル、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル−2−オキサゾリン、エチレングリコール、ジメチルサルファイトなどの非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
なお、電解液の代わりに、高分子固体電解質、高分子ゲル電解質などの高分子電解質を使用してもよい。高分子固体電解質または高分子ゲル電解質のマトリクスを構成する高分子化合物としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリレートなどのアクリレート系高分子化合物、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)やビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子化合物が好ましい。これらを混合して使用することもできる。酸化還元安定性などの観点から、PVDFやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子化合物が特に好ましい。
(セパレータ)
上記複合活物質を使用して得られる負極を有するリチウム二次電池に使用されるセパレータとしては、公知の材料を使用できる。例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などが例示される。合成樹脂製微多孔膜が好適であるが、中でもポリオレフィン系微多孔膜が、膜厚、膜強度、膜抵抗などの点から好適である。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜などである。
リチウム二次電池は、上述した負極、正極、セパレータ、電解液、その他電池構成要素(例えば、集電体、ガスケット、封口板、ケースなど)を用いて、常法に従って円筒型、角型あるいはボタン型などの形態を有することができる。
本発明のリチウム二次電池は、各種携帯電子機器に用いられ、特にノート型パソコン、ノート型ワープロ、パームトップ(ポケット)パソコン、携帯電話、携帯ファックス、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオカメラ、携帯テレビ、ポータブルCD、ポータブルMD、電動髭剃り機、電子手帳、トランシーバー、電動工具、ラジオ、テープレコーダー、デジタルカメラ、携帯コピー機、携帯ゲーム機などに用いることができる。また、さらに、電気自動車、ハイブリッド自動車、自動販売機、電動カート、ロードレベリング用蓄電システム、家庭用蓄電器、分散型電力貯蔵機システム(据置型電化製品に内蔵)、非常時電力供給システムなどの二次電池として用いることもできる。
なお、本発明の複合活物質を含む負極を使用したリチウム二次電池においては、満充電状態において前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質が60%以上充電され前記黒鉛が50%以下充電された状態で使用されることが好ましい。特に、電池活物質としてシリコンを用いた場合、シリコンの平均充放電電位はリチウム参照極に対して0.4V付近にあり、黒鉛よりも0.2Vほど貴である。そのため、上記複合活物質を含む負極を使用したリチウム二次電池を充電した場合、まずシリコンが充電され、その後黒鉛の充電がはじまる。リチウム二次電池の黒鉛負極においては、充電によりLiC6が生成されるが、この物質は化学的、熱的に不安定な物質である。上記態様であれば、充電直後においても、表面の大部分を覆っている黒鉛の充電量が少ないために複合活物質表面へのLiC6の露出が少ない。そのため、たとえSEI膜が分解してもただちに電解液と反応して発熱することを抑制することができる。
また、本発明の複合活物質を含む負極を使用したリチウム二次電池においては、負極の電位がリチウム参照極に対して0.4Vを下回らない範囲で使用されることが好ましい。この範囲で使用すると、上記と同じ理由で複合活物質表面へのLiC6の露出が少なく、そのため、たとえSEI膜が分解してもただちに電解液と反応して発熱することを抑制することができる。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
(膨張黒鉛の調製)
平均粒子径1mmの鱗片状天然黒鉛を硫酸9重量部、硝酸1重量部の混酸に室温で1時間浸漬後、No3ガラスフィルターで混酸を除去して酸処理黒鉛を得た。さらに酸処理黒鉛を水洗後、乾燥した。乾燥した酸処理黒鉛5gを蒸留水100g中で攪拌し、1時間後にpHを測定したところ、pHは6.7であった。乾燥した酸処理黒鉛を850℃に設定した窒素雰囲気下の縦型電気炉に投入し、膨張黒鉛を得た。酸処理黒鉛の嵩密度は0.78g/cmであった。膨張黒鉛の比表面積は42m/g、嵩比重は0.023g/cm、積層したグラフェンシートの層の平均厚みは21nmであった。
(混合工程)
平均粒子径0.23μmの金属Si(15質量部)をビーカー中で3000質量部のエタノールに投入し、2分間の撹拌を行った。
金属Siが分散したエタノールに上記膨張黒鉛(35質量部)を加え、膨張黒鉛と金属Si微粉末を含む均一混合スラリーを調製した。エバポレーターを用い、このスラリーからエタノールを回収し、粉末の混合物を得た。
(球形化工程)
ピンミル(フリッチェ社製)(ローター直径10cm、回転速度:8000rpm、処理時間:2分)を用いて、上記で得られた粉末の混合物を球形状に造粒成形して、黒鉛の含有量70質量%、金属Siの含有量30質量%からなる略球形のリチウム二次電池用複合活物質を得た。
その物性は以下の通りである。嵩密度:0.65g/cm、タップ密度;1.15g/cm、粒度分布D90:45μm、D50:28μm、D10:6.7μm、XRD:図1A参照、比表面積:10.7m/g、形状:図2のSEM参照、平均アスペクト比:1.45であった
図1Aに示すように、上記で得られた複合活物質のXRDには、黒鉛と結晶性Siの回折パターンが認められる。このことから、金属SiはSiC等に変化することなく、黒鉛層に分散して存在していることが明らかである。
また、図1BにSiとの複合化前の膨張黒鉛と標準珪素物質の混合材料の回折パターンを示す。図1Aと図1Bとを比較すると、複合化した後の膨張黒鉛の回折パターンに変化は見られない。このことから、黒鉛の層間には金属Si微粒子がインターカレーションすることなく、折りたたまれた黒鉛によって金属Si微粒子が内包された状態であることが分かる。
図2は、10kV以下の低加速電圧にて、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて実施例1の複合活物質の2次電子像を観察した図である。該図から分かるように、黒鉛表皮を透過して電池活物質Si金属の粒子を明瞭に観察することが出来る。
このことから、複合活物質においては、薄い黒鉛層で電池活物質を挟み込んだ構造であることを直接観察することができる。また、表面に露出する電池活物質が極めて少ないこと、黒鉛エッジ面が複合材の表面に存在しないことも同時に確認できる。
より具体的には、SEM観察により観察されるリチウム二次電池用複合活物質表面上に露出している黒鉛の面積率は98%であり、露出しているSi金属の面積率は2%であった。。
図12は、SEMを用いて実施例1の複合活物質の断面の2次電子像を観察した図である。複合活物質の断面を観察するために、以下の手順を行った。まず、複合活物質を顕微鏡試料固定用樹脂にて硬化させた後、400番サンドペーパーで研磨を行い、その後1500番サンドペーパーで研磨を行い、その後2000番サンドペーパーで研磨を行った。その後、0.5μmアルミナ研磨剤で研磨し、最後に0.02μmのダイヤモンドペーストで研磨することで、複合活物質の断面を露出させ、その後、スパッタリング法で複合活物質の断面を導電化させ、SEM観察を行った。
図12に代表される複合活物質の断面の2次電子像を複数枚撮影し、その画像において観察される金属Si微粒子の2次粒子を120個観察し、2次粒子の平均径を画像解析により算出したところ、その値は2μm以下であり、大きな2次粒子の形成は見られなかった。
(負極製造)
上記複合活物質92質量部、PVDF含有NMP溶液(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)(含有量:13%)62質量部、導電用カーボンブラック0.5質量部、およびNMP29質量部を秤り取り、双腕型ミキサーを用いて3分間混合することで塗工用スラリーを調製した。
本スラリーを銅箔に塗工し、乾燥して、負極を製造した。その後、Li金属を対極とし、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=1:3、1.2モル/リットルのLiPF電解液を用いてハーフセルを作製し、以下の電池評価を行った。
(電池評価:充放電容量とサイクル特性)
上記ハーフセルを用い、得られた複合活物質の充放電容量とサイクル特性の評価を行った。
充放電のレートはともにC/20を用い、充電側でのカットオフ電圧は0.01V、放電側のカットオフ電圧は1.5Vとし、サイクル実験を行った。このハーフセルはSiの理論容量を4200mAh/gとしたとき、計算上の理論容量は1220mAh/gであるが、初期の不可逆容量は220mAh/gであるため、計算される可逆容量は1000mAh/gとなる。
図3に示すように実験により得られた値、充電容量、放電容量ともに950mAh/gと計算値に近い値が得られた。なお、計算値より実際の放電容量が小さかった理由は、複合活物質を製造する際に、一部のSi活物質が脱落したためと思われる。
図4に、18サイクルまでのC/20でのサイクル特性の評価の結果を示す。
該図4に示されるように、放電容量に劣化は全く見られなかった。またこのハーフセルは非常に高いクーロン効率(数サイクル後は100%を維持している)を持つことも確認された(図5参照)
(評価:レート特性)
先に作製したハーフセルを用い、複合活物質のレート特性の評価を行った。
充電はC/15で行い、放電はC/15、C/7.5、C/3.8、C/1.8で行った。充電側でのカットオフ電圧は0.01V、放電側のカットオフ電圧は1.5Vとした。図6に示すようにC/1.8においてもC/15で得られた放電容量の98%と非常に高い放電容量が得られ、この材料は非常に良好なレート特性を持つことが確認された。
<実施例2>
(膨張黒鉛の調製)
実施例1と同様の方法で膨張黒鉛を得た。膨張黒鉛1質量部を80質量部のエタノールに混合し、超音波浴で10分間処理することにより、膨張黒鉛内で重なったグラフェンシートの乖離を促し、比表面積を増加させた。得られた膨張黒鉛の比表面積は98m/g、嵩比重は0.006g/cmであった。
(混合工程、球形化工程)
実施例1と同様の方法で、混合工程、球形化工程を実施し、黒鉛の含有量70質量%、金属Siの含有量30質量%からなる略球形のリチウム二次電池用複合活物質を得た。
その物性は以下の通りである。嵩密度:0.66g/cm、タップ密度;1.17g/cm、粒度分布D90:24μm、D50:11μm、D10:6.5μm、比表面積:11.2m/g、形状:図13のSEM参照、平均アスペクト比:1.56であった。
図13は、10kV以下の低加速電圧にて、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて実施例2の複合活物質の2次電子像を観察した図である。該図から分かるように、黒鉛表皮を透過して電池活物質Si金属の粒子を明瞭に観察することが出来る。
このことから、複合活物質においては、薄い黒鉛層で電池活物質を挟み込んだ構造であることを直接観察することができる。また、表面に露出する電池活物質が極めて少ないこと、黒鉛エッジ面が複合材の表面に存在しないことも同時に確認できる。
より具体的には、SEM観察により観察されるリチウム二次電池用複合活物質表面上に露出している黒鉛の面積率は98%であり、露出しているSi金属の面積率は2%であった。
図14は、実施例1と同様の方法で、SEMを用いて実施例2の複合活物質の断面の2次電子像を観察した図である。図14に代表される複合活物質の断面の2次電子像を複数枚撮影し、その画像において観察される金属Si微粒子の2次粒子を120個観察し、2次粒子の平均径を画像解析により算出したところ、その値は2μm以下であり、大きな2次粒子の形成は見られなかった。
なお、複合活物質の断面を観察するための手順は、実施例1と同様であった。
(負極製造)
上記複合活物質92質量部、PVDF含有NMP溶液(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)含有量:13%)62質量部、導電用カーボンブラック0.5質量部、およびNMP29質量部を秤り取り、双腕型ミキサーを用いて3分間混合することで塗工用スラリーを調製した。本スラリーをカーボンクロス(東レ TCC−4310)に塗工し、乾燥して、負極を製造した。
(正極製造)
LiNi1−x−yCoAl84質量部、PVDF含有NMP溶液(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)(含有量:12%)66質量部、導電用カーボンブラック8質量部、およびNMP29質量部を秤り取り、双腕型ミキサーを用いて3分間混合することで塗工用スラリーを調製した。本スラリーをアルミ箔に塗工し、乾燥して、正極を製造した。
(フルセル製造)
上記負極と正極を電極とし、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=1:3、1.2モル/リットルのLiPF電解液を用いてフルセルを作製し、以下の電池評価を行った。
(電池評価:充放電容量とサイクル特性)
上記フルセルを用い、得られた複合活物質の充放電容量とサイクル特性の評価を行った。
充放電のレートは充電、放電ともにC/5を用い、充電側でのカットオフ電圧は3.9V、放電側のカットオフ電圧は3.3Vとし、放電深度40%でサイクル実験を行った。この試験において、50サイクルごとにC/10で、充電側のカットオフ電圧を4.1V、放電側のカットオフ電圧を2.7Vとし、サイクル試験開始前の放電容量(初期容量)を基準と下放電容量維持率の評価を行った。図15に、1200サイクルまでのサイクル特性の評価の結果を示す。1200サイクル後の放電深度40%における放電容量は、サイクル試験開始直後における放電容量の89%の容量を維持した。また、1200サイクル後の50サイクルごと放電容量維持率でも、初期容量の91%を維持しており、非常に良好なサイクル特性が見られた。実施例2では、膨張黒鉛とエタノールとを混合した後に超音波浴で10分間処理を行い、膨張黒鉛の比表面積を増加させたが、これによりSi粒子の膨張黒鉛内部への分散が促進され、2次粒子の形成が少なかったことが良好なサイクル特性の一因となっているものと考えられる。
(評価:レート特性)
先に作製したフルセルを用い、複合活物質のレート特性の評価を行った。
充電はC/10で行い、放電はC/20、C/10、C/5、C/2、1C、2C、4Cで行った。充電側でのカットオフ電圧は4.1V、放電側のカットオフ電圧は2.7Vとした。図16に示すように4CにおいてもC/20で得られた放電容量の67%と非常に高い放電容量が得られ、この材料は非常に良好なレート特性を持つことが確認された。
<比較例1>
以下に、比較例1の態様について詳述する。なお、比較例1は、特許文献1の記載に態様に該当する。該態様では、所定の黒鉛が使用されていない。
(混合工程)
平均粒子径0.23μmの金属Si(15質量部)をビーカー中で3000質量部のエタノールに投入し、2分間の撹拌を行った。
金属Siが分散したエタノールに市販の鱗片状黒鉛(比表面積2m/g以下)(35質量部)を加え、鱗片状黒鉛と金属Si微粉末を含む均一混合スラリーを調製した。エバポレーターを用い、このスラリーからエタノールを回収し、粉末の混合物を得た。
(球形化工程)
ピンミル(フリッチェ社製)(ローター直径10cm、回転速度:18000rpm、処理時間:2分)を用いて、上記で得られた粉末の混合物を球形状に造粒成形して、略球形のリチウム二次電池用複合活物質を得た。
その物性は以下の通りである。タップ密度;0.9g/cm、粒度分布D50;18μm。複合活物質全量に占める金属Siの質量割合は、TGA測定から36質量%と見積もられた。
図7は、10kV以下の低加速電圧にて、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて複合活物質の2次電子像を観察した図である。この図に示すようにこの複合活物質においては、黒鉛のエッジ部が折り畳まれた様子は確認されず、黒鉛片が重なり合った構造が確認された。
また、10kV以下の低加速電圧でのSEM(走査型電子顕微鏡)観察では黒鉛表皮を透過して電池活物質Si金属の粒子を明瞭に観察することはできなかった。また表面にも数多くのSi粒子の存在が確認された。
より具体的には、SEM観察により観察されるリチウム二次電池用複合活物質表面上に露出している黒鉛の面積率は55%であり、露出しているSi金属の面積率は45%であった。
図17は、実施例1と同様の方法で、SEMを用いて実施例2の複合活物質の断面の2次電子像を観察した図である。該図に見られるように、Si粒子の2次粒子が多く確認された。図17に代表される複合活物質の断面の2次電子像を複数枚撮影し、画像の観察を行ったところ、その画像において観察される金属Si微粒子の2次粒子を120個観察し、2次粒子の平均径を画像解析により算出したところ、その値は5μmを上回っており、大きな2次粒子の形成が顕著に見られた。
(電池評価:充放電容量とサイクル特性)
次に、得られた複合活物質を用いて、上記実施例1の(負極製造)と同様の手順に従って、ハーフセルを作製し、実施例1と同様の電池評価(充放電容量とサイクル特性)に従って電池評価を行った。
このハーフセルはSiの理論容量を4200mAh/gとしたとき、計算上の理論容量は1520mAh/gであるが、初期の不可逆容量は274mAh/gであるため、計算される可逆容量は1246mAh/gとなる。
初期放電容量としては、1250mAh/gと計算値に近い値が得られた。しかしながら、図8に示すようにこのハーフセルの容量は急激に劣化し、10サイクルで初期容量の66%、19サイクルで4%と大きく低下した。
該結果から分かるように、特許文献1に記載の複合活物質を使用した態様では、所望の効果が得られない。
<比較例2>
以下に、比較例2の態様について詳述する。なお、比較例2は、特許文献2の記載に態様に該当する。該態様では、球形化工程を実施していない。
(混合工程)
平均粒子径0.23μmの金属Si(15質量部)をビーカー中で3000質量部のエタノールに投入し、2分間の撹拌を行った。
金属Siが分散したエタノールに実施例1で用いた膨張黒鉛(35質量部)を加え、膨張黒鉛と金属Si微粉末を含む均一混合スラリーを調製した。エバポレーターを用い、このスラリーからエタノールを回収し、粉末の混合物を得た。混合物中、黒鉛の含有量は70質量%で、金属Siの含有量は30質量%であった。
(電極作製)
上記で得られた粉末の混合物(250mg)をステンレス製のメッシュ(5cm×5cm)の上に均一に広げた後、1cm辺り100kg重の力を2分間、加えることで圧縮し、電極を作製した。得られた電極の厚みは、0.2μmであった。
図9は、10kV以下の低加速電圧にて、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて上述の電極の2次電子像を観察した図である。この図に示すように、10kV以下の低加速電圧でのSEM(走査型電子顕微鏡)観察では黒鉛表皮を透過して電池活物質Si金属の粒子を観察することができた。
より具体的には、SEM観察により観察されるリチウム二次電池用複合活物質表面上に露出している黒鉛の面積率は98%であり、露出しているSi金属の面積率は2%であった。
しかし、図9に示すように、該電極中の複合活物質では金属Siを含んだ黒鉛は圧縮方向に重なるのみで、球状化はされていない。また、黒鉛のエッジ部が折り畳まれた様子は確認されず、黒鉛片が重なり合った構造が確認された。
(電池評価:充放電容量とサイクル特性)
次に、圧縮により得られた電極を用いて、Li金属を対極とし、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=1:3、1.2モル/リットルのLiPF電解液を用いてハーフセルを作製し、実施例1と同様の電池評価(充放電容量とサイクル特性)に従って電池評価を行った。
このハーフセルはSiの理論容量を4200mAh/gとしたとき、計算上の理論容量は1220mAh/gであるが、初期の不可逆容量は220mAh/gであるため、計算される可逆容量は1000mAh/gとなる。
実験により得られた値、充電容量、放電容量ともに890mAh/gと計算値また実施例1で得られた値より低い値となった。なお、放電容量が小さかった理由は、球状化した場合に比べ、この電極においては金属Siと黒鉛の接触が不十分であるためと考えられる。
また、図10に示すようにこのハーフセルの容量は急激に劣化し、10サイクルで初期容量の40%と大きく低下した。
該結果から分かるように、特許文献2に記載の複合活物質を使用した態様では、所望の効果が得られない。
<実施例3>
本発明のリチウム二次電池向け複合活物質を、三次元構造を有する集電体に配置したときの効果を比較するために、集電体として、カーボンクロス、および銅箔を用いたリチウム二次電池をそれぞれ作製し、充放電試験を行った。以下、その詳細を述べる。
(負極製造:カーボンクロス集電体)
実施例1と同様の方法で、黒鉛の含有量70質量%、金属Siの含有量30質量%からなる略球形のリチウム二次電池用複合活物質を得た。この複合活物質92質量部、PVDF含有NMP溶液(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)含有量:13%)101質量部、導電用カーボンブラック0.5質量部、およびNMP47質量部を秤り取り、双腕型ミキサーを用いて1分間混合し、その後、スパチュラを用いて撹拌した。この操作を2回行った後、さらにNMP459質量部を加え、双腕型ミキサーを用いて1分間混合し、その後、スパチュラを用いて撹拌した。その後、さらにNMP552質量部を加え、双腕型ミキサーを用いて1分間混合し、その後、スパチュラを用いて撹拌することで塗工用スラリーを調整した。カーボンクロス(東レ TCC−4310)を本スラリーに浸漬した後、引き上げ、余分なスラリーをタッピングにより除去した。その後乾燥して、負極を製造した。
(負極製造:銅箔集電体)
実施例1と同様の方法で、黒鉛の含有量70質量%、金属Siの含有量30質量%からなる略球形のリチウム二次電池用複合活物質を得た。この複合活物質92質量部、PVDF含有NMP溶液(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)含有量:13%)101質量部、導電用カーボンブラック0.5質量部、およびNMP47質量部を秤り取り、双腕型ミキサーを用いて1分間混合し、その後、スパチュラを用いて撹拌した。この操作を2回行った後、さらにNMP507質量部を加え、双椀型ミキサーを用いて1分間混合し、その後、スパチュラを用いて撹拌することで塗工用スラリーを調整した。本スラリーを銅箔に塗工し、乾燥して、負極を製造した。
(正極製造)
LiNi1−x−yCoAl84質量部、PVDF含有NMP溶液(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)(含有量:12%)66質量部、導電用カーボンブラック8質量部、およびNMP29質量部を秤り取り、双腕型ミキサーを用いて3分間混合することで塗工用スラリーを調製した。本スラリーをアルミ箔に塗工し、乾燥して、正極を製造した。
(フルセル製造) 上記負極と正極を電極とし、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=1:3、1.2モル/リットルのLiPF電解液を用いてフルセルを作製し、以下の電池評価を行った。
(電池評価:充放電容量とサイクル特性)
上記フルセルを用い、得られた複合活物質の充放電容量とサイクル特性の評価を行った。
充放電のレートは充電、放電ともに0.3Cを用い、充電側でのカットオフ電圧は4.1V、放電側のカットオフ電圧は2.7Vとし、放電深度100%でサイクル実験を行った。試験は60サイクル実施し、1サイクル目に対する60サイクル後の容量維持率の比較を行った。表1にその結果を示す。
なお、カーボンクロスおよび銅箔を使用したサンプルはそれぞれ3つずつ用意し、測定を行った。
複合活物質スラリーをカーボンクロスに塗工した負極を有するフルセルにおいては、60サイクル後の容量維持率が全て90%を超えており、良好なサイクル特性を示した。一方で、複合活物質スラリーを銅箔に塗工した負極を有するフルセルにおいては、60サイクル後の容量維持率が90%を下回った。カーボンクロスは、三次元構造を有する集電体である。表1の結果は、三次元構造を有する集電体に複合活物質を担持することで、より良好なサイクル特性を実現できることを示すものである。

Claims (13)

  1. リチウム二次電池用複合活物質の製造方法であって、
    比表面積30m2/g以上の膨張黒鉛または薄片状黒鉛と、リチウムイオンと化合可能な電池活物質とを混合して、混合物を得る混合工程と、
    前記混合物に球形化処理を施し、黒鉛およびリチウムイオンと化合可能な電池活物質を含有する略球状のリチウム二次電池用複合活物質を製造する球形化工程とを有する、リチウム二次電池用複合活物質の製造方法。
  2. 前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質が、シリコン、スズ、アルミニウム、アンチモン、およびインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する、請求項に記載のリチウム二次電池用複合活物質の製造方法。
  3. 前記球形化工程が、ハンマミル、ピンミル、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミルおよびサンプルミルからなる群から選ばれる高速回転衝撃式粉砕機によって行われる、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用複合活物質の製造方法。
  4. 前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質の平均粒子径が1μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池用複合活物質の製造方法より得られる、黒鉛およびリチウムイオンと化合可能な電池活物質を含有する略球状のリチウム二次電池用複合活物質であって、
    加速電圧10kV以下での走査型電子顕微鏡(SEM)観察により観察されるリチウム二次電池用複合活物質表面上に露出している前記黒鉛の面積率が95%以上である、リチウム二次電池用複合活物質。
  6. タップ密度が0.8g/cm3以上である、請求項に記載のリチウム二次電池用複合活物質。
  7. 比表面積が5〜100m2/gである、請求項5または6に記載のリチウム二次電池用複合活物質。
  8. 前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質の平均粒子径が1μm以下である、請求項5〜7のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質。
  9. 前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質の一部が前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質の凝集体である2次粒子の形態で存在し、前記2次粒子の平均径が5μm以下である、請求項5〜8のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質。
  10. 請求項5〜9のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質を含むリチウム二次電池。
  11. 満充電状態において前記リチウムイオンと化合可能な電池活物質が60%以上充電され、前記黒鉛が50%以下充電された状態で使用される、請求項10に記載のリチウム二次電池。
  12. 請求項5〜9のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質を含む負極を有するリチウム二次電池であって、
    前記負極の電位がリチウム参照極に対して0.4Vを下回らない範囲で使用される、請求項10または11に記載のリチウム二次電池。
  13. 三次元構造を有する集電体とその上に配置される請求項5〜9のいずれかに記載のリチウム二次電池用複合活物質とを含む電極を有する、リチウム二次電池。
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