〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して詳しく説明する。図1は第1実施形態における画像形成装置100を示す断面図であり、図2は画像形成装置と画像送信装置の接続を示す図である。
[画像形成装置の概略構成について]
図1及び図2を用いて、余白無し印字に対応している電子写真方式のフルカラー画像形成装置を説明する。ここで、余白無し印字とは、前記転写材の全域において画像を形成する画像形成モードによる画像形成方式のことをいう。これに伴い、以下の説明において、前記転写材の全域において画像を形成する画像形成モードを余白無し印字モードという。また、前記転写材の所定領域を除く領域内において画像を形成する画像形成モードを余白有り印字モードという。
本実施形態の画像形成装置は、使用可能な転写材の最大サイズはSRA3(幅320mm×長さ450mm)である。またプロセススピードは117mm/秒である。A4横送りの印字速度としては、24枚/分が可能である。
本実施形態の画像形成装置100は、図2に示すように、画像送信装置としてのパソコン101とケーブル102を介して接続される。画像データは、パソコン101からケーブル102を経由して、画像形成装置100に送信される。
画像形成装置100は、転写材Pに対して、余白無しの印字を行うための第一の画像形成モードである余白無し印字モードと、通常の余白有りの印字を行うための第二の画像形成モードである余白有り印字モードと、による画像形成を実施する機能を備えている。ここで余白とは、転写材の中で予め設定される所定領域である。このため、転写材の所定領域を除く領域内において画像を形成する画像形成モードを余白有り印字モードという。画像形成装置は、各画像形成モードに応じて画像形成を実施する機能を有する。
[画像形成装置の構成と動作について]
本実施形態の画像形成装置として、図1に示すように、4ドラム、中間転写方式のフルカラープリンタを用いて説明する。本画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の画像形成手段(画像形成ステーション10)10a〜10dを有し、さらに中間転写体としての中間転写ベルト1を含む転写装置および定着器(定着手段)3を有する。
各画像形成ステーション10a〜10dは画像形成ユニットとしてユニット化され、それぞれ像担持体である感光体ドラム11(ドラム状電子写真感光体)11a〜11dが矢印方向に回転可能に設置される。感光体ドラム11a〜11dの外周表面上に、それぞれ感光体ドラム表面を一様に帯電する一次帯電ローラ12a〜12dが配置される。一次帯電ローラ12の感光体ドラム回転方向下流側には、画像信号に対応して変調されたレーザー光を感光体ドラム表面に露光するレーザー露光器13a〜13dが配置される。さらにレーザー露光器13の下流側には、レーザー露光により形成された感光体ドラム表面上の各色の静電潜像を、対応する色のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを用いて現像する現像器14a〜14dが配置される。
感光体ドラム11a〜11dの中間転写ベルト1を挟んだ位置(転写位置)には、感光体ドラムとともに一次転写部を形成する一次転写ローラ15a〜15dが対向設置される。この一次転写ローラ15a〜15dには、一次転写電源としてそれぞれ一次転写電源16a〜16dが接続され、それぞれ可変な一次転写電圧Vy、Vm、Vc、Vkが印加される。
中間転写ベルト1は、駆動ローラ1a、テンションローラ1b、二次転写対向ローラ1cの3本のローラに張架して設置され、各画像形成ステーション10a〜10dを縦貫して、感光体ドラム11a〜11dに接触配置される。中間転写ベルト1は、駆動ローラ1aにより図の矢印方向に回転駆動される。感光体ドラム11a〜11dの一次転写ローラ15a〜15dの下流側には、ドラムクリーナ17a〜17dが設置される。また中間転写ベルト1の表面には、ベルトクリーナ4が配置される。
以上のように構成された画像形成装置の画像形成動作について、イエローの画像形成ステーション10aを例にして説明する。イエローステーション10aの感光体ドラム11aは、アルミニウムの円筒体表面に光導電層を形成してなっており、矢印方向へ回転する過程で一次帯電ローラ12aにより、表面を一様にマイナス帯電(帯電電位=−600V)される。ついでレーザー露光器13aにより画像露光が行われ(露光後の表面電位=−200V)、感光体ドラム11aの表面に原稿のイエロー画像成分と対応した静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器14aによりマイナス帯電したイエロートナーを用いて現像され、静電潜像がイエロートナー像として可視化される。
得られたイエロートナー像は、一次転写ローラ15aに一次転写電源16aから一次転写電圧を印加することによって、中間転写ベル1上に一次転写される。転写後の感光体ドラム11aは、表面に付着している転写残トナーがドラムクリーナ17aによって除去され、次の画像形成に供される。
以上の画像形成動作を、各画像形成ステーション10a〜10dにおいて所定のタイミングを持って行い、感光体ドラム11a〜11d上のトナー像をそれぞれの一次転写部で中間転写ベルト1上に順次重ねて一次転写する。フルカラーモードの場合は、中間転写ベルト1に対してイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順でトナー像を順次転写し、単色や2〜3色モードの場合は、必要な色のトナー像が上記と同じ順で転写される。その後、中間転写ベルト1上の4色のトナー像は、中間転写ベルト1の矢印方向の回動にともない、二次転写ローラ(転写手段)2が中間転写ベルト1を挟んで接地された二次転写対向ローラ1cと当接された二次転写部に移動される。そこに給送ローラ9により所定のタイミングをもって供給された転写材P上に、二次転写ローラ2に二次転写電源21から二次転写電圧を印加する。これによりトナー像は一括して転写材Pに二次転写される。二次転写ニップ部を通過した未定着トナー像を載せた転写材Pは、定着器3へと搬送され、加熱・加圧されて永久定着像となる。また、定着装置3から排出された転写材Pは、装置外の排出トレイ8に排出される。
図3により転写材カセット5を説明する。図3は転写材カセット5の斜視図である。
図3に示すように、転写材Pは、転写材カセット5内にある一対の長手位置規制板52により、各回転体と長手中心(走査方向の中心)が整列されて蓄積される。前記回転体とは、感光体ドラム11a〜11d、中間転写ベルト1、定着ローラ30、加圧ローラ31、及びクリーニングローラ(回収手段)32、33である。
これにより、転写材カセット5から取り出された転写材Pは、感光体ドラム11a〜11d、中間転写ベルト1、定着ローラ30、加圧ローラ31、及びクリーニングローラ32、33と、長手中心が整列した状態で二次転写ニップ部、定着ニップ部に挿通される。つまり、本実施形態の画像形成装置はいわゆる中央基準構成となっている。ピックアップローラ対51により転写材カセット5から取り出された転写材Pは、給送装置6の搬送ローラ61と、給送ローラ9により、中間転写ベルト1上のトナー像に同期した所定のタイミングで二次転写部に挿通される。
ここで、転写材Pに対する塗り足し領域を説明する。図4は転写材Pに対する塗り足し領域を示す図である。
本画像形成装置において転写材Pに余白無し印字を行う場合には、図4に示すように、通常の余白有りの印字を行う場合に転写材P内の印字領域を決定するマスク領域Eが大きくなる。具体的には、転写材Pの先端部、後端部、左端部、右端部について各々2mmの幅を有する塗り足し領域Bの分だけ転写材Pよりも大きな領域となる。こうして、塗り足し領域Bの画像部分までを含めた画像を感光体ドラム上に形成することで、中間転写ベルト1を介して、転写材P上に転写されたものは、余白無し印字画像となる。
尚、二次転写時に転写材Pより外側にある塗り足し領域のトナーの一部は、二次転写ローラ2上に付着することになる。この付着トナーは、二次転写ローラ2に当接している二次転写ローラクリーナ22で除去される。
一方で、二次転写部において二次転写工程を終えた転写材P上には、表面のみならず、図5に示す端部を取り囲む周囲四辺の裁断面部分である紙こば面の一部に対してもトナーが転写される。図5は紙こばトナーの付着状態を示す斜視図である。
この転写材Pが定着器3内に進入した際、図6に示すように、定着ニップ部において紙こば面上のトナーが未定着のままとなり、定着ローラ30及び加圧ローラ31の表面上にオフセットする現象が発生する。図6にトナーがオフセットする状態を示す。
このオフセットトナーが各ローラ表面に付着すると、転写材Pの表面及び裏面の汚れを引き起こす。ここで、定着ローラ30及び加圧ローラ31には、それぞれクリーニングローラ32及び33が当接されており、これらを用い、両ローラ表面に付着したトナーが回収される。
かくして、4色のトナー像が転写、定着された余白無しのフルカラー画像が転写材P上に得られる。
[画像形成装置の構成部品について]
本実施形態では、感光体ドラム11(11a〜11d)に直径30.6mmの負帯電性のOPCドラムを用いる。また、一次帯電ローラ12(12a〜12d)にDC成分にAC成分を重畳した帯電電圧を印加し、環境を問わず、感光体ドラム11の表面を約−600Vに一様に帯電する。レーザー露光器13(13a〜13d)は、波長760nmの近赤外レーザーダイオードと、感光体ドラム11にレーザー光を走査するポリゴンミラーとを有する。レーザー露光器13を用いることにより、感光体ドラム11の表面電位を露光部で−200Vに低下して、これを画像部とする静電潜像を形成する。
現像器14(14a〜14d)は、非磁性トナー(非磁性一成分現像剤)を用いた現像方式の現像器である。非磁性トナーとしてワックスを含んだコア/シェル構造の粒径6μmの重合トナーを使用した。この非磁性トナーを塗布ローラによって現像スリーブの表面にコーティングして担持させる。そして、現像スリーブの回転にともない弾性ブレードでトナー層厚を規制する。その後、現像スリーブ上のトナーを感光体ドラム11と対向した現像部へ搬送し、現像スリーブに印加したDC成分にAC成分を重畳した現像電圧によって感光体ドラム11(11a〜11d)上の静電潜像の露光部に付着させる。こうして、静電潜像を反転現像する。
一次転写ローラ15(15a〜15d)は、直径8mmの芯金上にEPDMの導電ゴム層を長手方向にわたり被覆して、直径16mmに形成したものである。それぞれの芯金が給電バネを介して一次転写電源16(16a〜16d)に接続される。一次転写ローラ15のローラ硬度はアスカーCで35°であり、その抵抗値は1×106Ωである。
二次転写ローラ2は、直径14.0mmのアルミ製芯金と層厚4mmのシリコンゴム層と表層である層厚100μmのフッ素樹脂層で構成される外径22.1mmのローラである。シリコンゴムとフッ素樹脂を抵抗調整することでローラ抵抗値を1×108Ωとしている。二次転写ローラ55の硬度は45°(ASKER−C)である。この二次転写ローラ2も、芯金が給電バネを介して高圧電源の二次転写電源21に接続されている。
二次転写ローラクリーナ4としてはウレタンゴムブレードが用いられている。
駆動ローラ1a、テンションローラ1b、二次転写対向ローラ1cは、いずれも直径32mmのアルミニウム製導電ローラからなり、芯金部が給電バネを介して接地されている。
中間転写ベルト1は、カーボン分散により抵抗調整したポリイミド樹脂製の単層シームレスの無端ベルトであり、厚さ75μm、周長1115mmの寸法を有している。JIS−K6911に準拠し、電極とベルト表面との良好な接触性を得るために、導電性ゴムを電極として使用し、Advantest製R8340超高抵抗計を用いて、中間転写ベルトの体積抵抗率ρv、表面抵抗率ρsを測定する。これにより、100Vを10秒印加時にρv=5×108Ωcmの値が得られる。
3本のローラ1a、1b、1cに張架された中間転写ベルト1のテンションは6kgfである。駆動ローラ1a、テンションローラ1b間の距離は500mmである。各画像形成ステーション10(10a〜10d)の感光体ドラム11(11a〜11d)と一次転写ローラ15(15a〜15d)とで構成される一次転写部は、ローラ1a、1b間の中間転写ベルト1上に均等間隔で配置される。各一次転写ローラ15は両端に設けられたバネにより、中間転写ベルト1の裏面に8.5Nの圧力で当接されている。
定着ローラ30は、外径46mm、厚み2mmの鉄の芯金上に、耐熱性を有しかつ硬度の低い厚み2mmのシリコンゴム弾性層を設け、更にその上に厚み50μmのPFA樹脂層を設けており、また、内部はヒータによって加熱されるようになっている。定着ローラ30の温度は、定着ローラ30に当接する温度検知素子によって定着ローラ30の表面温度を検知され、温度制御回路がヒータを断続的に作動させることにより、前記表面温度が所定の温度(例えば180℃程度)となるよう制御される。
一方、定着ローラ30に圧接し回転する加圧ローラ31は、外径44mm、厚み2mmの鉄の芯金上に、耐熱性を有しかつ硬度の低い厚み2mmのシリコンゴム弾性層を設け、更にその上に厚み50μmのPFA樹脂層を設けた構造をなしている。但し、内部にヒータは持たない。加圧ローラ31は両端に設けられたバネにより、定着ローラ30に対して980Nの圧力で当接されている。
クリーニングローラ32及び33は、アルミニウムパイプ製の金属ローラである。パイプ厚みは2mm、外径は10mmである。また、それぞれ定着ローラ30と加圧ローラ31に対して、19.6Nの圧力で当接されている。
[クリーニング制御について]
ここで、本実施形態の画像形成装置における、クリーニングローラ32及び33のクリーニング制御について説明する。クリーニング制御は、パソコン101により、クリーニングモードの指令が出ることによって行われる。画像形成装置は、前記クリーニングモードを実施する機能を有する。
本実施形態の画像形成装置では、余白無し印字が行われたページ数が、画像形成装置内に付属の不図示のプリンターコントローラによって、カウントされる。余白有りでの通常印字ページ数はカウントされない。記録媒体としては、同プリンタ−コントローラ内のメモリ(RAMや書き換え可能なROM等)が用いられる。余白無し印字がA4サイズ以下の転写材を使用して行われたときは1ページ、A4サイズ以上A3サイズ以下の転写材を使用して行われたときは2ページとカウントされる。ただし、同一用紙に両面印刷を行った場合は、余白無し印字がA4サイズ以下の転写材を使用して行われたときに2ページ、A4サイズ以上A3サイズ以下の転写材を使用して行われたときに4ページとカウントされる。
このようにしてカウントされた余白無し印字ページ数が、累積で1000ページに到達すると、パソコン101上には、メッセージが表示される。具体的には、まず、転写材カセット5内にクリーニング材(クリーニングペーパー)として白紙のSRA3サイズの普通紙を一枚セットするようなメッセージが表示がされる。次に、クリーニング制御を開始するためのパソコン操作を行うよう、メッセージが表示される。
ユーザーがこのメッセージに従うと、クリーニングローラ上のトナーを、クリーニングペーパー上に再回収するためのシーケンスが稼働する。本実施形態の画像形成装置では、最初に、印字動作中の180℃のヒータ制御状態で60秒間の空回転が行われる。これにより、各クリーニングローラ上のトナーを、定着ローラと加圧ローラ上に強制的に逆流させる。
このようにして、その後の印字動作で逆流による画像汚れを引き起こす可能性がある各クリーニングローラ上の付着トナーをできるだけ多く、定着ローラ及び加圧ローラ表面に逆流させる。この後、転写材カセット5内よりクリーニングペーパーを定着ニップに自動的に搬送し通過させる。これにより、クリーニングペーパー上でトナーの再回収を行なう。
[印字可能な転写材サイズについて]
本実施形態の画像形成装置において、ユーザーは、パソコン101上において、転写材カセット5にセットされた転写材のサイズ情報を設定できる。転写材が画像形成装置内を搬送される際の、走査方向のサイズを転写材の「幅」、プロセス方向のサイズを転写材の「長さ」とすると、本画像形成装置で設定可能な転写材の幅は100mm〜320mm、長さは148mm〜450mmの範囲である。また、本実施形態の画像形成装置においてユーザーがパソコン101から画像データの送信を行う際、余白無し印字モードで印字動作を行うか、余白有りモードで印字動作を行うかの設定を行える。余白無し印字モードを使用した場合は、転写材Pの全面に対して印字が行われた最終画像が得られ、余白有り印字モードを使用した場合には、転写材Pの先端部、後端部、左端部、右端部に5mm幅の余白が形成された最終画像が得られる。
ここで、本画像形成装置においては、余白無し印字モードにより動作可能な最大の転写材の幅W1は312mm(A3フルブリードサイズの転写材通紙時の幅に対応)である。また、余白有り印字モードにより動作可能な最大の転写材の幅W2は320mm(SRA3サイズの転写材通紙時の幅に対応)との制限が設けられており、これに反する設定は、パソコン101上でユーザーが行えないようになっている。つまり、転写材カセット5にセットされた転写材の幅が312mm以下である場合は余白無し印字モードと余白有り印字モードのいずれを指定して画像データの送信を行うこともできる。一方、転写材カセット5にセットされた転写材の幅が312mmより大きな幅である場合は、余白有り印字モードを指定しての画像データの送信しか行えない。
また、前述したように、本画像形成装置においては、クリーニング制御実施時に転写材カセット5内にセットされ、使用されるクリーニングペーパーは、幅WCLが320mmである白紙のSRA3サイズの普通紙である。
以上により、本実施形態の画像形成装置においては、図7に示したように、
W1 < W2 = WCL
なる関係が成り立つ。ここで、W1は、余白無し印字モードにより動作可能な最大の転写材の幅であり、W2は、余白有り印字モードにより動作可能な最大の転写材の幅であり、WCLは、使用されるクリーニングペーパーの幅である。図7にW1とWCLの関係を示す。
従って、本実施形態の画像形成装置では、幅320mmのクリーニングペーパーを用いてクリーニング制御を行う。これにより、余白無しの印字が可能な最大の幅312mmの転写材を用いて余白無しの印字動作を継続している場合、クリーニングローラ上に付着したトナーを確実に再回収することができる。これは、余白無しの印字時に、クリーニングニップ内の圧力の作用により、各クリーニングローラにより回収されたトナーのクリーニングローラ上での付着領域の幅が前記転写材の幅に対して拡がっていたとしても、その付着領域の幅に対して幅広だからである。
また、前記転写材を用いて余白無しの印字動作中、前記転写材が定着器内を搬送される際の定着器との相対位置関係に、走査方向のばらつき(位置ズレ)が生じることもある。この場合にも、各クリーニングローラにより回収されたトナーのクリーニングローラ上での付着領域の幅が、前記転写材の幅に対して拡がる。しかし、前記クリーニングペーパーを用いてクリーニング制御を行うことで、同様に、クリーニングローラ上に付着したトナーを確実に再回収することができる。
一方では、前記クリーニングペーパーを用いてクリーニング制御を実施中、前記クリーニングペーパーが定着器内を搬送される際の定着器との相対位置関係に、走査方向のばらつき(位置ズレ)が生じることもある。この場合には、クリーニングペーパーによりトナーの再回収を行える走査方向の領域が変化するが、上述の設定が満たされている限り、クリーニング制御により、クリーニングローラ上に付着した全トナーを確実に再回収することができる。
更には、余白無し印字を行う前記転写材や、クリーニング制御を行う前記クリーニングペーパーの寸法自体に、幅のばらつきが生じていたとしてもよい。上述の設定が満たされている限り、クリーニング制御により、クリーニングローラ上に付着したトナーを確実に再回収することができるからである。
以上説明したように、本実施形態における画像形成装置では、使用される転写材とクリーニングペーパーの幅の関係を次のようにする。即ち、余白無し印字モードで使用可能な最大の転写材の幅をW1、余白有り印字モードで使用可能な最大の転写材の幅をW2、クリーニング制御で使用されるクリーニングペーパーの幅をWCLとすると、W1<W2=WCL、とされる。このため、クリーニング制御によりクリーニングローラ上に付着したトナーを確実に再回収し、転写材の汚れを防止することができる。
尚、本実施形態の画像形成装置においては、余白有り印字モードで使用可能な最大の転写材の幅W2と、クリーニング制御で使用されるクリーニングペーパーの幅WCLとが、同じ幅を有する(W2=WCL)とされたが、これに限るものではない。例えば、W2=WCLでなくとも、WCLと、余白無し印字モードで使用可能な最大の転写材の幅W1とが、W1<WCLの関係を満たせば、クリーニング制御によりクリーニングローラ上に付着したトナーを確実に再回収し、転写材の汚れを防止することができる。
但し、実際に生じ得る、クリーニングニップ内の圧力の作用やその他のばらつきを想定すると、
WCL − W1 ≧ 8mm
であることが望ましい。
尚、その他のばらつきとは、主に3つある。まず、転写材が定着器内を搬送される際の定着器との相対位置関係の主走査方向のばらつきである。次に、クリーニングペーパーが定着器内を搬送される際の定着器との相対位置関係の走査方向のばらつきである。最後に、転写材やクリーニングペーパーの寸法自体の幅のばらつきである。
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態における画像形成装置は、第1実施形態の画像形成装置と同様に、図1の構成を有する。また、画像形成装置の動作や構成部品等も、第1実施形態の画像形成装置と同様である。
本実施形態の画像形成装置において特徴的なのは、クリーニング制御実施時にクリーニングペーパーとして使用される転写材である。前述の実施形態では、画像形成装置の余白有り印字モードで使用可能な最大幅の転写材を用いたが、本実施形態では、画像形成装置の余白無し印字モードによって印字動作が行われた転写材の使用履歴に応じて、転写材のサイズが変更される点が特徴である。
本実施形態の画像形成装置においても、余白無し印字モードにより動作可能な最大の転写材の幅は312mm(A3フルブリードサイズの転写材通紙時の幅に対応)である。また、余白有り印字モードにより動作可能な最大の転写材の幅は320mm(SRA3サイズの転写材通紙時の幅に対応)である。
本実施形態の画像形成装置は、ページ数をカウントするカウント手段と、画像形成モードにおいて動作した転写材の幅を記憶する転写材使用履歴記憶手段とを有する。これにより、画像形成装置内に付属の不図示のプリンターコントローラによって、余白無し印字が行われたページ数がカウントされ、その際に使用された転写材の最大幅W1mが記憶される。
例えば、余白無し印字がA4サイズ以下の転写材を使用して行われたときは1ページ、A4サイズ以上A3サイズ以下の転写材を使用して行われたときは2ページとカウントされる。ただし、同一用紙に両面印刷を行った場合は、余白無し印字がA4サイズ以下の転写材を使用して行われたときに2ページ、A4サイズ以上A3サイズ以下の転写材を使用して行われたときに4ページとカウントされる。
このようにしてカウントされた余白無し印字ページ数が、累積で1000ページに到達すると、パソコン101上には、クリーニング制御を開始するためのパソコン操作を行うよう、メッセージが表示される。メッセージは、例えば、転写材カセット5内にクリーニングペーパーとして、その幅WCLmが余白無し印字中に使用された最大幅の転写材よりも幅広である白紙の普通紙を一枚セットし、クリーニング制御を開始せよ、とのメッセージが表示される。
図8は、印字中に使用される転写材の幅とクリーニングペーパーの転写材の幅との関係を示す図表である。図8を用いて、余白無し印字中に使用された最大の転写材の幅と、クリーニングペーパーとして使用されるべき転写材としてメッセージ表示される転写材の種類との関係を例示する。
ユーザーがこのメッセージに従うと、クリーニングローラ上のトナーを、クリーニングペーパー上に再回収するためのシーケンスが稼働する。本実施形態の画像形成装置では、最初に、印字動作中の180℃のヒータ制御状態で60秒間の空回転が行われる。これにより、各クリーニングローラ上のトナーを、定着ローラと加圧ローラ上に強制的に逆流させる。このようにして、その後の印字動作で逆流による画像汚れを引き起こす可能性がある各クリーニングローラ上の付着トナーを、できるだけ多く定着ローラ及び加圧ローラ表面に逆流させる。その後、転写材カセット5内よりクリーニングペーパーを定着ニップに自動的に搬送し通過させることで、クリーニングペーパー上でトナーの回収を行なう。
以上により、本実施形態の画像形成装置においては、
W1m < WCLm
なる関係が成り立つ。ここで、W1mは、余白無し印字が行われた際に使用された転写材の最大幅であり、WCLmは、クリーニングペーパーの幅である。
本実施形態の画像形成装置では、余白無し印字中に使用された最大幅の転写材よりも幅広のクリーニングペーパーを用いてクリーニング制御を行うことで、クリーニングローラ上に付着した全トナーを確実に再回収することができる。これは、各クリーニングローラにより回収されたトナーのクリーニングローラ上での付着領域の幅が、前記転写材の幅に対して拡がっていたとしても、トナーの付着領域の幅よりもクリーニングペーパーの幅の方が広いからである。
また、本実施形態のクリーニング制御によれば、余白無し印字動作中、前記転写材が定着器内を搬送される際の定着器との相対位置関係に、走査方向のばらつき(位置ズレ)が生じても、クリーニングローラ上に付着した全トナーを確実に再回収することができる。
また、前記クリーニングペーパーを用いてクリーニング制御を実施中、前記クリーニングペーパーが定着器内を搬送される際の定着器との相対位置関係に、走査方向のばらつき(位置ズレ)が生じても全トナーの再回収が可能である。更には、余白無し印字を行う前記転写材や、クリーニング制御を行う前記クリーニングペーパーの寸法自体に、幅のばらつきが生じていたとしても、全トナーの再回収が可能である。
また、クリーニング制御実施時に使用されるクリーニングペーパーの種類の選択範囲が広がり、ユーザーがクリーニングペーパーを準備する上での負担が軽減される。
以上説明したように、本実施形態における画像形成装置では、次のような構成である。即ち、使用される転写材とクリーニングペーパーの幅の関係が、余白無し印字モードでの使用履歴のある最大の転写材幅をW1m、クリーニング制御で使用されるクリーニングペーパーの幅をWCLmとすると、W1m < WCLm、とされる。このため、画像形成装置の余白有り印字モードで使用可能な最大幅の転写材をクリーニングペーパーとして使用しなくともよい。こうして、クリーニング制御によりクリーニングローラ上に付着したトナーを確実に再回収し、転写材の汚れを効率よく防止することができる。
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態における画像形成装置は、図9の構成を有する。図9は第3実施形態に用いられる画像形成装置200の断面図である。
本画像形成装置は、第1実施形態で述べた転写材カセットを複数保有する以外は、第1実施形態の画像形成装置100と同様の構成である。
図9に示すように、本実施形態の画像形成装置200は、転写材カセット5に加え、転写材カセット5A、転写材カセット5B、転写材カセット5Cを有する。各転写材カセットの構成は、図3で示した構成と同様である。転写材Pは各転写材カセット内のそれぞれ一対の長手位置規制板により、感光体ドラム11a〜11d、中間転写ベルト1、定着ローラ30、加圧ローラ31、クリーニングローラ32、33と長手中心が整列されて蓄積されている。
これにより、各転写材カセットから取り出された転写材Pは、感光体ドラム11a〜11d、中間転写ベルト1、定着ローラ30、加圧ローラ31、クリーニングローラ32、33と長手中心が整列した状態で二次転写ニップ部、定着ニップ部に挿通される。つまり、本実施形態の画像形成装置も中央基準構成となっている。各々の転写材カセットに付属のピックアップローラ対51、51A、51B、51Cにより転写材Pが各転写材カセットから取り出される。転写材Pは、給送装置6の搬送ローラ61、61A、61B、61Cと、給送ローラ9により、中間転写ベルト1上のトナー像に同期した所定のタイミングで、二次転写部に挿通される。
ここで、本実施形態の画像形成装置における特徴について述べる。
本実施形態の画像形成装置においては、ユーザーは、パソコン101上において、各転写材カセット5、5A、5B、5Cのそれぞれにセットされた転写材のサイズ情報を設定できる。これらのサイズ情報は、画像形成装置内に付属の不図示のプリンターコントローラによって記憶される。いずれの転写材カセットに関しても、設定可能な転写材の幅は100mm〜320mm、長さは148mm〜450mmの範囲である。また、パソコン101から画像データの送信を行う際、使用する転写材(転写材カセット)の指定と、余白無し又は余白有りの印字モードの指定を行うことができる。但し本画像形成装置においては、プリンターコントローラに記憶された各転写材カセットにセットされた転写材サイズの情報に基づき、転写材カセット毎にどの印字モードが指定可能か、が決定される。
また、第1実施形態では、クリーニング制御実施時に、ユーザーが所定サイズのクリーニングペーパーを転写材カセットにセットし、その後パソコン101上でクリーニング制御を開始するためのパソコン操作を行うことで制御が開始される構成であった。しかし、本実施形態の画像形成装置では、制御時に使用されるクリーニングペーパーとして、ある一つの転写材カセットにセットされた転写材が自動的に選択され、制御開始時にはそれが自動的に使用される。
以下に、本実施形態の例を述べる。図10、図11、図12はそれぞれ、第3実施形態において転写材カセットにある転写材のサイズを示す図表である。
図10のように転写材カセットに各サイズの転写材がセットされた場合の例を説明する。図10の例では、転写材カセット5にはA3サイズ(幅297mm)、転写材カセット5AにはA4横送りサイズ(幅297mm)がセットされる。また、カセット5BにはA3フルブリードサイズ(幅312mm)、カセット5CにはSRA3サイズ(幅320mm)の転写材がセットされる。
この場合、ユーザーがパソコン101上で転写材カセット5、転写材カセット5A、転写材カセット5Bを指定して画像データを送信する場合は、余白有り印字、余白無し印字の何れのモードも指定可能である。一方で、転写材カセット5Cを指定して画像データを送信する場合には、余白無し印字モードの指定は不可能で、余白有り印字モードの指定のみが可能である。
ここで、各転写材カセットにセットされた転写材を任意の配分で使用しながら印字動作が継続された場合、第1実施形態の画像形成装置と同様となる。即ち、プリンターコントローラによって余白無し印字が行われたページ数がカウントされ、クリーニング制御の実施タイミングが決定される。が、この際本実施形態においては、クリーニングペーパーとして、転写材カセット5Cにセットされた転写材が自動的に搬送され使用される。つまり、本実施形態では、転写材カセット5C内にセットされた転写材をクリーニングペーパーとして自動的に搬送し、クリーニング制御が実施される。このため、前述の実施形態のように、ユーザーが転写材カセット内にクリーニングペーパーをセットしクリーニング制御を開始するためのパソコン操作を行わなくてもよい。
図11の例では、転写材カセット5にはA3サイズ(幅297mm)、転写材カセット5AにはA4横送りサイズ(幅297mm)の転写材がセットされる。また、カセット5BにはA3フルブリードサイズ(幅312mm)、カセット5CにはB4サイズ(幅257mm)の転写材がセットされる。
この場合、ユーザーがパソコン101上で転写材カセット5、転写材カセット5A、転写材カセット5Cを指定して画像データを送信する場合は、余白有り印字、余白無し印字の何れのモードも指定可能である。一方で、転写材カセット5Bを指定して画像データを送信する場合には、余白無し印字モードの指定は不可能で、余白有り印字モードの指定のみが可能である。
各転写材カセットにセットされた転写材を任意の配分で使用しながら印字動作が継続された場合、所定タイミングにて、転写材カセット5Bにセットされた転写材が自動的に搬送され、クリーニング制御が実施される。
上記何れのケースにおいても、
W1t < W2t = WCLt
を満たす。ここで、W1tは、使用される転写材とクリーニングペーパーの幅の関係が、余白無し印字モードで使用される最大の転写材の幅であり、W2tは、余白有り印字モードで使用される最大の転写材の幅である。また、WCLtは、クリーニング制御で使用されるクリーニングペーパーの幅である。
従って、本実施形態では、各転写材カセットにセットされた転写材を任意の配分で使用しながら印字動作が継続されたとしても、所定タイミングにおいて所定の転写材カセットよりクリーニングペーパーを自動的に搬送しクリーニング制御を実施する。これにより、良好なクリーニングを行い、転写材の汚れを防止することができる。また、クリーニング制御実施時にユーザーがクリーニングペーパーを転写材カセットにセットしなければならない煩わしさも解消される。
尚、図12の例では、転写材カセット5と転写材カセット5BにはA3サイズ(幅297mm)、転写材カセット5Aと転写材カセット5CにはA4横送りサイズ(幅297mm)の転写材がセットされる。
この場合、ユーザーがパソコン101上で転写材カセット5、転写材カセット5A、転写材カセット5B、転写材カセット5Cのいずれを指定して画像データを送信する場合も、余白無し印字モードの指定は不可能である。この場合は、余白有り印字モードの指定のみが可能である。
このような場合には、ユーザーがある転写材カセットより転写材を取り除き、他の転写材カセット内の転写材よりも幅の狭い転写材をセットして初めて、その転写材カセットを指定して画像データを送信する場合に余白無し印字モードの指定が可能となる。このために、例えばユーザーは、転写材カセット5Aまたは転写材カセット5CにセットされたA4横送り(幅297mm)の転写材の向きを、A4縦送り(幅210mm)に変えて同じ転写材カセット内にセットし直しても良い。
以上説明したように、本実施形態における画像形成装置は、転写動作以前に転写材を保持する複数の転写材保持手段として転写材カセットを有する構成である。そして、前記転写材保持状態記憶手段に記憶された転写材幅に関する情報に基づいて、余白無し印字モードや余白有り印字モードによる画像形成の可否と、を決定する。
この場合において、各転写材カセットにセットされた転写材の幅情報を元に、各転写材カセットにセットされた転写材を使用して、余白無し印字モードでの印字動作が可能か否か、余白有り印字モードでの印字動作が可能か否かが決定される。また、クリーニング制御実施時に自動的に使用される転写材がセットされた転写材カセットが決定される。このため、クリーニング制御によりクリーニングローラ上に付着したトナーを確実に再回収し、転写材の汚れを防止することができる。これと同時に、クリーニング制御実施時にユーザーがクリーニングペーパーを転写材カセットにセットしなければならない煩わしさを解消する。このため、画像形成装置使用に際するユーザーの利便性も高めることもできる。
尚、本実施形態の画像形成装置は、複数の転写材カセット内にセットされた転写材のサイズが、パソコン上でユーザーにより入力される構成であったが、これに限るものではない。各転写材カセット内にセットされている転写材のサイズを自動的に判別するための機械的或いは光学的な機構が、画像形成装置自体に備えられている構成である場合もある。このような場合にも、その判別結果を利用して、各転写材カセットにセットされた転写材を使用して、余白無し印字モードでの印字動作が可能か否か、余白有り印字モードでの印字動作が可能か否かが決定される。また、クリーニング制御実施時に自動的に使用される転写材がセットされた転写材カセットが決定されるので、同様の効果が得られる。
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