JP5210874B2 - 冷間加工可能なチタン合金 - Google Patents

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Description

本発明は、冷間加工可能なα+β型チタン合金と、冷間加工可能なα+β型チタン合金を製造するための熱処理方法とに関する。本発明は、さらに上記熱処理されたα+β型チタン合金を、チタン合金製構造部材を冷間加工によって製造するために用いる方法に関する。
チタン合金製構造部材の使用は、様々な技術分野で益々魅力的になっている。この魅力の理由は、特にチタン合金が、比重が小さいと同時に高強度であり、腐食感受性が小さいことにある。
チタン合金は基本的に、常温時の構成相に応じていわゆるα型、α+β型、β型の各チタン合金に分類される。純粋なチタンは、常温ではα相(六方晶構造)で存在し、約890℃(β変態点)で、体心立方晶のβ相に変態する。チタン合金の変態温度は、合金含有物の種類と量に影響されるだけでなく、チタン合金の機械的、化学的、または熱による前処理にも影響される。
特定の合金元素の添加によって、α相をより広い温度領域にわたって安定化することができる(β変態点の上昇)。他の合金元素を添加すると、β相が生成され、安定化される(β変態点の降下)。従って、これらの合金元素は、いわゆるα安定化元素と、β安定化元素とに分けることができる。技術的に用いられるα安定化元素は、例えば酸素、窒素、炭素またはアルミニウムである。今日技術的に用いられるβ安定化元素は、例えば水素、バナジウム、モリブデン、鉄、クロム、銅、パラジウムまたはケイ素である。
α相を多く含む合金は、β相を多く含む合金よりも、強度が通常減少する。β相を多く含むチタン合金の比重は、α相を多く含むチタン合金の比重よりも、通常大きくなる。βチタンの立方格子は滑り面の個数が多いため、β相はα相よりも冷間加工性がよくなる。技術的に用いられる合金は、通常1つの妥協点として、α安定化元素とβ安定化元素の適切な混和によってα相とβ相の割合を調整して、例えば構造部材に所望の製造特性、強度値および腐食耐性が得られるようしている。
チタン合金で構造部材を製造する際の未解決の問題は、他の金属素材またはプラスチックと比較して、利用できる製造方法の多様性に欠けることである。チタン合金は、通常、溶接や熱間加工に多大の費用がかかる。それだけでなく、技術的に使用できるチタン合金は、極めて狭い範囲でしか冷間加工ができない。冷間加工できるとは、その成形の際に強度の著しい低下や割れを生じることなく、その材料を常温で成形できることをいう。
溶接加工、熱間加工および冷間加工は、更に、こうして製造された構造部材の強度に大きな影響を与えるので、高い応力がかかる構造部材、または安全に関わる箇所にある構造部材は、このような方法に限定されてのみ加工される。従って、チタン構造部材を製造する際には、広範囲でコストのかかる切削加工による製造に頼らざるを得ない。従って、今日、チタン合金製構造部材は、例えば航空、特に軍事上の航空分野および医療分野などの殆ど高価な製品だけに用途が限られる。
ロシア国特許RU2211873公報によれば、次のようなチタン合金が公知である。即ち、このチタン合金は、アルミニウムを1.5〜3.0重量%(以下すべての%表示は、重量%の表示である)、モリブデンを4.5〜8.0%、バナジウムを1.0〜3.5%、鉄を1.5〜3.8%含む。この合金は、比較的安価な合金元素をベースに製造されていて、熱処理後、強度と延性の特定の比に到達し、いくつかの種類の固定用部材やばねの製造に用いることができる。この合金の主たる欠点は、これらの特性を得るに必要な熱処理が高価なことである。
ロシア国特許RU1584408公報によれば、次のようなチタン合金が公知である。すなわちこのチタン合金は、アルミニウムを1.2〜3.8%、モリブデンを5.1〜6.5%、バナジウムを4.0〜6.5%、ケイ素を0.01〜0.05%、水素を0.005〜0.015%含む。この合金は、多段階の成形中に延性が上昇し、リベットの製造に用いられる。しかし、この合金は、高い応力がかかる構造部材のためには強度特性が不十分である。
米国特許US4,842,652公報によれば、α+β型チタン合金(Ti−6426)を熱処理する次のような方法が公知である。即ち、β変態点より高い温度による熱間鍛造、β変態点より下であるがβ変態点マイナス50℃までの領域で1〜4時間にわたる鍛造合金の固溶化処理、常温の水冷または温度100〜1400°F(204〜760℃)の塩浴への移送、および温度1100〜1200°F(593〜650℃)で2〜16時間の焼きもどし(析出処理)からなる方法である。このような熱処理は、α+β型チタン合金の破壊強度および低い振動強度の向上を可能にするが、同時に、常温における塑性加工性を失わせる。
最後に、米国特許US5,679,183公報によれば、α+β型チタン合金を熱処理する次のような方法が公知である。即ち、この方法は、α+β相領域で加工度30%以上の熱間加工を行い、続いてβ変態点マイナス55〜10℃の温度領域で60分間加工し、空冷し、この空冷されたチタン合金を、続いてβ変態点マイナス250〜120℃の温度領域で60分間熱処理し、空冷する。熱処理のこのような方法は、延性を目立って悪化させることなく、破壊強度を上昇させることができる。しかし、合金の延性は、この合金を常温で通常の製品形状に加工できる程十分ではない。
しかし、冒頭に挙げたような特に有利なチタン合金の特性に鑑みれば、チタン合金製構造部材の他の多くの技術分野への適用、特に有利な製造技術を必要とする大量生産製品の分野への適用は、関心をそそるものであろう。
従って、本発明の課題は、安価に加工できるチタン合金と、このチタン合金の安価な加工方法を提供することにある。
この課題は、次のようなチタン合金によって解決される。即ち、このチタン合金は、アルミニウムを約2〜4.0重量%、バナジウムを約4〜5.5重量%、モリブデンを約4.0〜6.0重量%、ジルコニウムを約0.5〜1.5重量%、錫を約0.5〜1.5重量%含有する。
本発明によるこのチタン合金は、1つには、前もって特別な熱処理を行わずに、即ち例えば熱間圧延による半製品製造後に直接、冷間加工によって加工するのに適している。しかし、これにとどまらず、上記冷間加工可能なα+β型チタン合金は、より高い冷間加工度と冷間加工された構造部材の高い強度を同時に得たい場合、本発明による下記の熱処理法を用いるのに適している。この種の合金化を行ったα+β型チタン合金と、本発明による熱処理方法との組み合わせからは、冷間加工性と製造された構造部材の強度の点で、特に良好な結果が得られる。
上記重量割合で上記合金元素を合金化することにより、半製品の冷間加工性と製品の強度に特に有利な常温時のα+β型混相組織が、特にこの合金が本発明による熱処理方法で処理される場合に得られる。錫とジルコニウムは、中性の置換型合金元素であって、その添加は効果的な固溶強化を生じる。錫およびジルコニウムの含有量が0.5%以下であれば、合金強化を生じない。合金中の錫およびジルコニウムの最適な含有量は、重量で0.5〜1.5%である。このような濃度は、α相とβ相の固溶強化によって合金強度を高くするが、合金の延性は殆ど変化しない。錫とジルコニウムの含有量が、1.5重量%より明確に高くなると、合金の延性が悪化する。
そのほか、チタン合金が酸素を約0.1〜0.4重量%含むと有利であることが判った。この合金元素の添加は、熱処理されたチタン合金の冷間加工性と強度を得るために有利であることが実証された。酸素は、強いα安定作用を持つ元素である。合金中の酸素含有量が増加すると、α相割合が増加し、また侵入型固溶体が形成されるので著しい加工硬化が生じる。合金中の最適な酸素含有量は、0.1〜0.4重量%である。このような酸素含有量は、α相割合(約3〜5%)に大きな変化を生じないが、合金の強度と全体的な強度レベルの向上が得られ、延性が低下することは殆どない。
本発明の課題は、冒頭に述べた熱処理方法であって下記のステップを含む方法により解決する。
1. 低い焼きなまし温度、即ち変態点(β変態点)マイナス160〜230℃の温度範囲で、チタン合金を焼きなます。
2. チタン合金を常温まで冷却する。
本発明は次のような認識に基づく。即ち、米国特許US5,679,183公報から公知の合金類は、熱処理によって既存のα粒子が増加せず、微細層状形態を持つ新たな粒子を生じるという認識である。このような方法で形成された2相性組織は、特記すべき破壊強度を持つが、延性が著しく減少するという犠牲をともなう。次に、β変態点マイナス250〜120℃という温度領域で加熱すれば、分布した析出が拡大し、延性の上昇が得られる。しかし、組織は、少量のβ相と、異なる形態(幾何学的に均一で層状)のα相の粒子からなるので、2相性のままである。このような組織は、常温で延性を提供する出発点にはならない。
本発明は、球状組織が強度と延性の良好な組み合わせを呈するという認識に基づいている。球状組織は、β変態点近くの2相領域における変形の後にα+β型チタン合金中に得られる。しかし、強度と延性の調和は、組織の構成要素の大きさに依存する。α相析出が、幾何学的に均一に細かくなるほど、強度が高くなって、延性は小さくなる。α相の球状粒子が非常に大きければ、延性の上昇が少ないのに、強度と耐破壊性が著しく低下する。
従って、常温で成形を行い、典型的な製品形状のために十分な加工度、特に60%以上の加工度を実現するためには、合金の化学的組成を正しく選択することと、強度をそれほど減少させずに調和の取れた延性上昇を得るための熱処理方法とが必要である。
本発明による熱処理方法によれば、一方で高い延性を呈しながら、他方で成形の際に加工硬化が非常に少ないα+β型チタン合金が得られる。低い焼きなまし温度までのチタン合金の加熱は、様々な加熱速度で行うことができる。応力割れの形成を防止するため、好ましくは、毎分20℃以下という遅い加熱速度での加熱を選択する。チタン合金の焼きなましは、好ましくは不活性雰囲気中で行う。これは脆化作用のある元素(たとえば酸素、窒素または炭素)がチタン合金中に拡散するのを防止するためである。
チタン合金を周囲温度まで冷却するのも、やはり不活性雰囲気中で行うのが好ましい。α+β型チタン合金は、多くの金属素材と同様、焼きなまし温度から急冷(焼き入れ)することにより硬化できる。しかし、この効果は、冷間加工性が良好なチタン合金素材を作りたい場合は望ましくない。従って、冷却速度は、チタン合金の焼き入れが回避されるような小さい速度とするのが好ましい。
第1の有利な実施形態の場合、チタン合金を、低い焼きなまし温度で5時間以上、特に約7時間焼きなましする。この焼きなまし時間は、主として焼きなましされる構造部材の寸法に依存する。チタン合金製構造部材は、通常、20mm以上の壁厚を持たない。焼きなまし時間を5時間以上とすれば、特に例えば直径10〜20mmの丸棒の場合、所望の相構成が得られ、従って所望の冷間加工可能なチタン合金半製品が得られる。7時間の焼きなましが、信頼性ある結果再現に有利であることが実証された。
本発明による方法は、発展形として、低い焼きなまし温度で焼きなましする前に下記のステップを行うことができる。
1. 高い焼きなまし温度、すなわち変態点(β変態点)マイナス50〜100℃、特に変態点(β変態点)マイナス60〜100℃の温度で、チタン合金を焼きなましする。
2. チタン合金を低い焼きなまし温度まで冷却する。
焼き戻しの第1段階として、β変態点マイナス50〜100℃という温度領域を選択する。この合金の組織は、この温度でβマトリックスの中に配置された分離したα相の球状粒子を特徴とする。この温度で恒温保持すると、過剰の(二次)α相が解消し、α相とβ相の平衡状態に近づくだけでなく、ポリゴン化実現の過程で構造欠陥が減少する。恒温保持終了後、この合金を、冷却速度0.01〜0.02℃/秒で、β変態点マイナス160〜230℃の温度まで冷却する。このような冷却速度とすれば、冷却中にβマトリックスからα相の新たな粒子が形成されることはなく、既存の一次α結晶が組織内で成長することができる。焼き戻し第2段階で3〜6時間恒温保持すれば、均質化焼きなまし過程を完了することができる。続いて、冷却速度2.5〜3.5℃/秒で常温まで冷却すれば、二次α相の析出を防止するに十分である。
この2段階の焼き戻しを行うことにより、α相粒子の粒径が1〜2μmから5〜7μmと大きくなり、[Mo]eq=14〜15に相当するβ相の組成を得ることができる。また第1の焼き戻し段階におけるポリゴン化プロセスを実現する過程で生じたα相中の欠陥密度を減少させることもできる。良好な冷間加工性を得るための相構成は、これによってさらに最適化することができる。前もって行われる焼きなましステップも、不活性雰囲気中で行われるのが好ましい。また、上述と同様、チタン合金を冷却する際には、応力割れを生じないような冷却速度とするように留意しなければならない。
この発展形はさらに最適化することができる。即ち、チタン合金を高い焼きなまし温度で1時間以上、特に約2時間焼きなましする。この場合も、焼きなまし時間は、チタン合金半製品の寸法に依存する。1時間以上、特に2時間の焼きなまし時間は、信頼性をもって所望の相構成を再現できることが実証された。
さらに、本発明のこの発展形において、チタン合金を、低い焼きなまし温度で3時間以上、好ましくは3〜6時間、特に好ましくは約4時間焼きなましすれば有利である。高い焼きなまし温度で焼きなましが予め行われている場合、所望の目的に応じて信頼性ある相構成を得るに必要な低い焼きなまし温度における焼きなまし時間を、減少させることができる。例えば直径10〜20mmの丸棒材料などの通常の寸法の半製品の場合、3時間以上、特に4時間で十分なことが実証された。
チタン合金を高い焼きなまし温度から冷却速度0.01〜0.02℃/分で低い焼きなまし温度まで空冷するのが、特に有利である。この冷却速度であれば、望ましくない相組成、内部応力、および望ましくない量の合金元素の析出が回避される。
高い焼きなまし温度を約770〜830℃、特に800℃とするのが、特に有利である。この温度領域は、技術的に慣用される大部分のα+β型チタン合金に対して有効であることが実証された。
本発明の方法は、さらに発展させて、チタン合金を低い焼きなまし温度から冷却速度約2.5〜3.5℃/分で常温まで空冷することができる。この冷却速度によれば、合金元素の望ましくない析出や望ましくない相形成が防止されて、冷間加工性および冷間加工された構造部材の強度の点で最適な結果が得られる。
本発明による方法は、チタン合金を熱処理前に熱間圧延で加工する場合にも、有利に用いることができる。熱間圧延は、チタン合金から例えば形材半製品または金属板半製品を製造する方法の1つのである。熱間圧延によって、組織は影響を受ける。この方法によって影響を受けた組織は、本発明による熱処理ステップに特に好適である。
低い焼きなまし温度を約670〜730℃、特に700℃とすれば、さらに有利である。この焼きなまし温度は、技術的に慣用される大部分のα+β型チタン合金に効果的であることが実証された。
さらに、チタン合金に少なくとも1つのα安定化元素と少なくとも1つのβ安定化元素を添加すれば、本発明による方法にとって有利である。このような合金元素の添加により、特定の用途のためにα相とβ相の割合が最適化されたチタン合金を製造することができる。安定化合金元素の割合は、半製品に所望の冷間加工性および冷間加工された構造部材に所望の強度が得られるように、本発明による方法に適合して調整されなければならない。
さらに、本発明による方法は、低い焼きなまし温度による焼きなましの後、および/または高い焼きなまし温度による焼きなましの後、チタン合金の表面層を機械的に、特に切削によって除去する。焼きなまし処理は、たとえ不活性雰囲気で行われても、しばしばチタン合金半製品の表面に或る程度の影響を与える。この影響は、半製品の脆化と割れ感受性の増大を生じ、そのため冷間加工性が減少し、冷間加工製品の強度が低下する。このような不利な効果に対処するため、影響を受けた半製品の周縁層を冷間加工前に除去する。これには特に切削加工が適する。
本発明のもう1つの態様は、上述の如く熱処理されたα+β型チタン合金から冷間加工によってチタン構造部材を製造することである。これにより、チタン合金から大量生産で構造部材を安価に製造することができる。これは、例えば自動車分野の多数の構造部材、特に駆動トレイン内の可動構造部材として用いられる構造部材のために追求する価値がある。
この場合、本発明による方法は、特に冷間圧造および/またはネジ転造によるチタンねじの製造に役立つ。この用途は、例えば自動車分野のホイールボルトの製造に適している。チタン合金製ホイールボルトの使用は、一方でホイールの慣性力を軽減することができ、走行性とスプリング快適性が改善され、他方で自動車の燃費を下げることができるという利点がある。チタンボルトの使用は、特にアルミニウム合金またはマグネシウム合金製の軽合金ホイールと組み合わせて用いる場合、例えばスチールボルトを用いた場合にしばしば生じる接触腐食が防止されるという利点がある。
本発明のもう1つの態様は、次のステップを含むチタンボルトの製造方法である。
−熱間圧延によって丸棒材料を製造する。
−この丸棒材料を、上述の熱処理方法によって熱処理する。
−冷間圧造によって、ボルトの頭を成形する。
−ネジ転造によってネジ山を成形する。
この方法によって、大量生産構造部材としてのチタンボルトを製造技術的に特に安価に製造することが可能となる。このチタンボルトは、DIN分類8.8に定める強度値を達成してこれを上回り、従って、例えばホイールボルトとしての使用に適する。
α相部分とβ相部分を含む本発明のチタン合金は、α相粒子の大きさが約5〜7μmであることが特徴である。このチタン合金は、モリブデン当量として[Mo]eq=14〜15が得られる合金元素を含むことが好ましい。このモリブデン当量は、合金組成の状態と量から計算された数値であって、α型チタン合金の場合は通常0〜2.5、α+β型チタン合金の場合は2.5〜10、β型チタン合金の場合は10以上である。
本発明の特に好ましい実施形態として、手順と合金組成の例を下記に述べる。
α+β型チタン合金として、公知の合金Ti−3.0Al−4.5V−5.0Moを用いる。この合金生成後、熱間圧延により、例えば直径13mmの丸棒材料を製造する。この半製品は、通常の長さであれば市販されている。
この半製品に、焼きなまし炉で下記の熱処理を加える。
−800℃に加熱する。
−800℃で2時間、焼きなましする。
−毎秒0.02℃の速度で770℃まで冷却する。
−770℃で30分間、焼きなましする。
−毎秒0.02℃の速度で740℃まで冷却する。
−740℃で30分間、焼きなましする。
−毎秒0.02℃の速度で700℃まで冷却する。
−700℃で4時間、焼きなましする。
−焼きなまし炉から半製品を取り出し、大気中で常温まで冷却する。
このように処理した半製品は、続いてさらに加工することができる。たとえば、冷間圧造によりネジの頭を生成し、常温でネジ転造によりネジ山を生成する。オプションとして、次の加工をする前に、半製品の周縁層を機械加工によって除去できる。
消耗電極を用いた2回の真空溶解法によって、合金を製造した。合金の化学的組成は、Ti−3.0%Al−5.0%Mo−4.5%V−1.0%Zr−1.0%Sn−0.25%Oである(β変態点の温度は880℃である)。
得られた重量8kgのインゴットは、β領域の温度で等温鍛造して90×90mmの直方体とし、次に型鍛造して高さ45mmとした。次に、このインゴットを切断して45×45mmの四角形断面を持つ線条とし、α+β領域の温度で鍛造して、直径30mmの棒材を得た。この棒材を、直径が25mmになるまで旋盤で削った。こうして得られた半製品を、直径が16mmとなるまで、β変態点マイナス50〜100℃の温度領域で圧延した。予め定められた温度での最初の加熱は、30分間行った。次のプロセス間の加熱は、4分間行った。総圧延比は65%であった。
圧延後、直径16mmの棒材を、860〜780℃の温度領域で2時間熱処理し、続いて冷却速度0.02K/秒で700℃(β変態点マイナス190℃)まで冷却し、4時間恒温保持した。常温への冷却は、冷却速度3K/秒で行った。
この棒材を、直径13mmまで旋盤で削った。
直径16mmの棒材を、上記2つの実施例と同じ方法で製造した。圧延後、直径16mmの棒材を、860〜780℃の温度領域で2時間熱処理し、続いて常温まで空冷した。次に棒材を温度700℃(β変態点マイナス190℃)まで加熱して、4時間保持した。常温への冷却は大気中で行った。
この棒材を、直径13mmまで旋盤で削った。
本発明による熱処理の更なる有利なプロセスを[表1]〜[表3]に示す。
Figure 0005210874
下記の表は、本発明の有利な特性と、一般に用いられる合金Ti−3.8%−6.5%V−5.1%Mo−0.01%H−0.05%Siとの比較を示す。
Figure 0005210874
*第2段階への冷却は、冷却速度0.02℃/秒で行った。
**熱処理終了後の冷却は、冷却速度3℃/秒で行った。
Figure 0005210874
*第1段階後、常温への冷却は大気中で行った。
**熱処理終了後の冷却は空気中で行った。
錫とジルコニウムを添加すると強度を高めることができるが、可塑性は高い水準のまま残る(表1)。従来の技術と比較した場合の(表2)請求項に書かれた熱間加工と熱処理の諸条件と共に、常温時のプレス加工による加工度60%以上の変形を実現することができる(表1)。

Claims (15)

  1. 態点(β変態点)マイナス160〜230℃の温度である低い焼きなまし温度で3時間以上チタン合金を焼きなましするステップと、
    このチタン合金を常温まで冷却するステップを含む冷間可能なα+β型チタン合金を製造するための熱処理方法であって、
    上記低い焼きなまし温度で焼きなましする前に、
    変態点(β変態点)マイナス60〜100℃である高い焼きなまし温度で1時間以上、上記チタン合金を焼きなましするステップと、
    上記低い焼きなまし温度まで上記チタン合金を冷却するステップを含むことを特徴とする熱処理方法。
  2. 請求項に記載の熱処理方法において、上記チタン合金は、上記高い焼きなまし温度で2時間焼きなましすることを特徴とする熱処理方法。
  3. 請求項またはに記載の熱処理方法において、上記チタン合金を、上記低い焼きなまし温度で3〜6時間焼きなましすることを特徴とする熱処理方法。
  4. 請求項2または3に記載の熱処理方法において、上記チタン合金を上記高い焼きなまし温度から冷却速度0.01〜0.02℃/分で上記低い焼きなまし温度まで空冷することを特徴とする熱処理方法。
  5. 請求項のいずれか1つに記載の熱処理方法において、上記高い焼きなまし温度が770〜830℃であることを特徴とする熱処理方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1つに記載の熱処理方法において、上記チタン合金を上記低い焼きなまし温度から冷却速度2.5〜3.5℃/分で常温まで空冷することを特徴とする熱処理方法。
  7. 請求項1〜のいずれか1つに記載の熱処理方法において、上記チタン合金は、上記熱処理の前に、熱間圧延によって加工されることを特徴とする熱処理方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1つに記載の熱処理方法において、上記低い焼きなまし温度が670〜730℃であることを特徴とする熱処理方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1つに記載の熱処理方法において、上記チタン合金は、少なくとも1つのα安定化元素と少なくとも1つのβ安定化元素を添加して合金化されることを特徴とする熱処理方法。
  10. 請求項に記載の熱処理方法において、上記チタン合金は、アルミニウム2〜4.0重量%、バナジウムを4〜5.5重量%、モリブデンを4.5〜6.0重量%、ジルコニウムを0.5〜1.5重量%、錫を0.5〜1.5重量%含み、残りはチタンおよび不純物であることを特徴とする熱処理方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1つに記載の熱処理方法において、上記低い焼きなまし温度および上記高い焼きなまし温度の少なくとも一方で焼きなました後、上記チタン合金の表層面を機械的に除去することを特徴とする方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1つに記載の熱処理方法によって熱処置されたα+β型チタン合金を、冷間加工によるチタン構造材の製造に用いることを特徴とする方法。
  13. 請求項12に記載の方法を、冷間圧造およびねじ転造の少なくとも一方によるチタンボルトの製造に用いることを特徴とする方法。
  14. 熱間圧延によって丸棒材料を製造し、
    この丸棒材料を請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法によって熱処理し、
    この丸棒材料に冷間圧造によってボルトの頭を成形することを特徴とするチタンボルトの製造方法。
  15. 請求項14に記載の製造方法において、上記丸棒材料にねじ転造によってネジ山を成形することを特徴とするチタンボルトの製造方法。
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