JP2003201530A - 熱間加工性に優れた高強度チタン合金 - Google Patents
熱間加工性に優れた高強度チタン合金Info
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Abstract
−6Al−4V合金に匹敵し、或いはこれを上回る常温
強度を有すると共に、熱間鍛造やその後の2次加工を含
めた熱間加工性に優れ、所望形状に低コストで効率よく
熱間加工を行うことのできるチタン合金を提供するこ
と。 【解決手段】 700℃で焼鈍した後の室温(25℃)
での引張強さが895MPa以上で、850℃での高速
引張りにおける変形抵抗が200MPa以下であり、且
つ上記引張強さと変形抵抗との比が9以上である高強度
で熱間加工性に優れたチタン合金を開示する。
Description
度を示すと共に高温時の変形抵抗が小さくて熱間加工性
に優れたチタン合金に関し、このチタン合金は、高強度
と優れた熱間加工性を活かして、例えば航空機分野、自
動車分野、船舶分野などに幅広く利用できる。
−β型チタン合金は、軽量且つ高強度で優れた耐食性を
有していることから、航空機や自動車、船舶分野などを
始めとする様々の分野で、鉄鋼材料に代わる構造材や外
板材等としての実用化が積極的に進められている。
度域、即ち熱間加工温度域での変形抵抗が大きくて鍛造
加工性や2次加工性が悪いため、汎用化を進める上で大
きな障害となっている。そのため、熱間加工時の加工回
数と加熱回数を増やし、製品歩留まりを犠牲にして充分
な余肉をつけた状態で熱間加工を行っているのが実情で
あり、熱間プレス加工を行うにしても、適用可能なプレ
ス能力の限界サイズに甘んじている。また棒状や線状に
熱間圧延する場合でも、高速圧延を採用すると大きな変
形抵抗に起因して大きな加工発熱を生じ組織不良を招く
ので低速で圧延せざるを得ず、生産性を高める上で大き
な障害となっている。
事情に着目してなされたものであって、その目的は、高
強度チタン合金として現在最も広範に利用されているT
i−6Al−4V合金に匹敵し、或いはこれを上回る常
温強度を有すると共に、熱間鍛造やその後の2次加工を
含めた熱間加工性に優れ、所望形状に低コストで効率よ
く熱間加工することのできるチタン合金を提供すること
にある。
のできた本発明に係るチタン合金とは、700℃で焼鈍
した後の室温(25℃)での引張強さと、850℃での
高速引張りにおける変形抵抗との比が9以上であり、高
い常温強度を有すると共に卓越した熱間加工性を有する
高強度チタン合金である。
ましい特性は、700℃焼鈍後の室温(25℃)での引
張強さで895MPa以上の高強度を有し、且つ、85
0℃での高速引張りにおける変形抵抗は200MPa以
下の低い値を示し、或いは更に、700℃で焼鈍した後
の500℃での引張強さが、室温(25℃)での引張強
さの45%以上で、実用温度域では充分な耐熱強度を有
しているものであり、こうした特性は、従来の高強度チ
タン合金に見られない特異な特性である。
しい態様は、α−β型に属し、β変態点が850℃超で
あるチタン合金であり、β変態点を850℃超とするこ
とにより、チタン合金本来の温度と鍛造性の観点から如
何なる組成であっても、換言すれば純チタンであっても
熱間鍛造が難しくなる800℃以下での加工を避けるこ
とができ、顕著な加工割れなどを起こすことがなくなる
ので好ましい。
チタン合金を成分組成の観点からみると、好ましいの
は、α安定化元素としてAlを3〜7質量%、Cを0.
08〜0.25質量%含有し、且つβ安定化元素を、下
記式で示されるMo当量で3.0〜10質量%含有する
ものである。 Mo当量=Mo(mass%)+(1/1.5)V(mass%)+1.25Cr(mass%)+
2.5Fe(mass%)
を3〜7質量%、Cを0.08〜0.25%含み、β安
定化元素として上記Mo,V,Cr,Feよりなる群か
ら選択される少なくとも1種、より好ましくはこれらの
うちCrとFeを、上記Mo当量で3.5〜8.0質量
%含有するものである。
質量%、Zr:1〜5質量%、Si:0.2〜0.8質
量%よりなる群から選択される少なくとも1種の元素を
含むチタン合金も好ましいものとして推奨される。
従来技術の問題点に鑑み、現在、高強度チタン合金とし
て最も広範に利用されているTi−6Al−4V合金に
匹敵し、或いはこれを上回る常温強度を有すると共に、
通常の上限使用温度域である約500℃付近でも充分な
強度を確保しつつ、通常のα−β型チタン合金では熱間
加工性が難しくなる800℃前後以上の高温での変形抵
抗を下げることで熱間加工性を改善し、強度と熱間加工
性の共に優れたチタン合金を開発すべく、特にチタン合
金組成を中心にして研究を進めてきた。
含有率をうまく調整してやれば、常温〜約500℃程度
の実用温度域ではTi−6Al−4V合金に匹敵し、或
いはこれを上回る強度を有しつつ、卓越した熱間加工性
を有するチタン合金が得られることを知り、上記本発明
に想到したものである。
備えたチタン合金は、後述する如く主として合金元素の
種類と量を適切に選択・制御することによって得ること
ができるが、現存するチタン合金には見られない本発明
チタン合金の特殊性は、常温強度と高温条件下での高速
引張りにおける変形抵抗との比に現れる。即ち本発明の
チタン合金は、当該合金を700℃で2時間加熱焼鈍し
たのち自然放冷したものの室温(25℃)での引張強度
(ASTM E8に準拠して求められる値)Aと、当該
チタン合金を850℃×5分間大気雰囲気下で加熱し、
その直後に歪速度100/secで高速引張試験を行っ
た時の変形抵抗(引張試験片の平行部長さが均一に変形
すると仮定して、歪速度100/secでの高速引張試
験における最大荷重を、引張試験前の平行部の面積で除
した値)Bとの比(A/B)が9以上を示すところに特
徴を有している。
のチタン合金、と、従来の代表的な高強度チタン合
金であるTi−6Al−4V合金(従来合金)および
JIS2種チタン(純チタン)について、試験温度と
引張強さおよび高速引張り時の変形抵抗の関係を示した
グラフである。尚、常温(25℃)から500℃までの間
の引張強さはASTM E8に準拠して求め、700℃
から950℃までの変形抵抗値は、歪速度100/se
cでの高速引張試験によって求めた値を示している。
ン合金、と従来合金や純チタンは、何れも試験
温度が高くなるにつれて強度(変形抵抗)が低下してい
くことに変わりはない。また、常温から約500℃程度
までの温度域(即ち、実際の使用温度域)における強度
低下傾向は、代表的な高強度チタン合金であるTi−6
Al−4Vからなる従来合金と本発明に係るチタン合
金、の間で大きな違いは見られない。
950℃のα−β温度域における変形抵抗を比較する
と、従来合金はかなり高い強度(変形抵抗)を維持し
ているのに対し、本発明チタン合金、の強度(変形
抵抗)は極端に低くなっている。このことから、本発明
のチタン合金は、常温から約500℃程度までの実用温
度域では高強度を示し、且つ熱間加工温度域では強度が
著しく低下し変形抵抗の大幅低下により優れた熱間加工
性を示すことが分る。
程度までの高温強度に優れ、且つ熱間加工温度域での低
い変形抵抗(即ち、優れた熱間加工性)を、現存するチ
タン合金に見られない特性として定量化するため、例え
ば後記表1〜3に示す如く実際の測定値を基に、[70
0℃で2時間加熱焼鈍したのち自然放冷したものの室温
(25℃)での引張強度]Aと、[850℃×5分間大
気雰囲気で加熱しその直後に歪速度100/secで高
速引張試験を行った時の変形抵抗]Bとの比で、「A/
B≧9以上」であるものと定めた。本発明においてより
好ましいのは、A/Bが10以上、更に好ましくは12
以上のものである。
ン合金であるTi−6Al−4V合金(従来合金)の
上記測定法によって求められるA/Bの値は、表3から
も明らかな如く[994/319=3.1]であり、本
発明で規定する上記「A/B≧9」の要件を大幅に下回
っている。なお図1や表1〜3には、参考のため従来の
チタン合金に比べて熱間加工の容易なJIS2種純チタ
ンの特性も併記した。
チタン合金に対し、上記「A/B≧9」という強度特性
によって特徴付けられ、公知のチタン合金とは明確に区
別される新規な高強度チタン合金である。更に本発明の
高強度チタン合金は、その優れた強度特性や熱間加工
性、或いは更に熱間加工時の組織制御の安定性等を考慮
すると、上記「A/B≧9」という強度特性に加えて、
下記特性を有するものが好ましい。
での引張強さが895MPa以上であること。この特性
は、高強度チタン合金としての位置付けをより明確にす
る上で望ましい特性であり、前述した既存の代表的な高
強度チタン合金であるTi−6Al−4V合金のAST
M規格で定められる強度の下限値が895MPaである
ことから、この既存合金に匹敵する特性を満たす条件と
して定めた。ちなみに、後記実施例として挙げた本発明
に係る高強度チタン合金の常温強度は、通常のTi−6
Al−4V焼鈍材と同等の1000MPa前後の値を示
している。
抗が200MPa以下であること。この特性は、既存の
高強度チタン合金には見られない卓越した熱間加工性を
より具体的に数値化した値である。通常の鍛造温度を想
定し、該温度条件下で充分に変形抵抗が小さく安定して
優れた加工性を保障するには、上記温度条件下での変形
抵抗が200MPa以下、より好ましくは150MPa
以下、更に好ましくは100MPa以下であることが望
ましい。ちなみに、後記実施例に示した本発明合金の該
変形抵抗値は何れも100MPa以下である。
張強さが、室温(25℃)での引張強さの45%以上で
あること。この強度特性は、本発明合金を実用化する際
に曝される高温条件下での強度保持性、即ち実用上の耐
熱特性を表す指標として定めたもので、常温強度に対し
500℃レベルの高温条件下でも強度の低下が少なく、
耐熱強度特性に優れたものであることを表している。よ
り高レベルの耐熱強度特性を確保するには、50%以
上、更に好ましくは55%以上を維持することが望まし
い。ちなみに、後記実施例に挙げた本発明合金、は
何れも55%以上を有している。
変態点は、熱間加工途上で被加工材が降温した場合で
も、熱間加工を安定して継続可能にするための特性とし
て定めたもので、最低でも850℃以上の加熱温度を確
保して熱間加工を行うには、β変態点が850℃超、よ
り好ましくは900℃以上であることが望ましい。ちな
みにβ変態点が850℃以下のものでは、等軸組織を得
るのに加熱温度を850℃(β変態点)以下の比較的低
温にしなければならず、如何なる組織であれ鍛造性が著
しく劣化し、鍛造時に割れなどを引き起こし易くなる。
金は、強度−延性バランスと耐熱性を良好なものとする
ための要件として、α−β型に属するものであることが
望ましい。しかして、α型チタン合金となる組成では熱
間変形抵抗が大きくなり易く、またβ型チタン合金とな
る組成では耐熱性に劣るものとなり易く、何れも本発明
で意図する高強度・高加工性チタン合金としての要求特
性になじみ難いものとなる。
法は特に制限されないが、本発明者らが実験により確認
したところでは合金元素の種類と含有量が重要になると
思われる。現時点で具体的な合金元素の種類や含有量を
特定することはできないが、以下に示す成分組成の要件
を満たすチタン合金は、本発明で定める前記強度特性を
満たす高性能のものになることを確認している。
い成分組成は、α安定化元素としてAlを3〜7質量%
(より好ましくは3.5〜5.5質量%)、Cを0.0
8〜0.25質量%(より好ましくは0.10〜0.2
2質量%)含有し、且つβ安定化元素を、下記式で示さ
れるMo当量で3.0〜10質量%(より好ましくは
3.5〜8.0質量%)含有するものである。 Mo当量=Mo(mass%)+(1/1.5)V(mass%)+1.25Cr(mass%)+
2.5Fe(mass%)
を3〜7質量%(より好ましくは3.5〜5.5質量
%)、Cを0.08〜0.25%(より好ましくは0.
10〜0.22質量%、更に好ましくは0.15〜0.
20質量%)含み、β安定化元素として、Mo,V,C
r,Feから選ばれる少なくとも1種、より好ましくは
これらのうち少なくともCrとFeを、上記Mo当量で
3.5〜8.0質量%含有するものである。また、これ
らの元素に加えて、Sn:1〜5質量%、Zr:1〜5
質量%、Si:0.2〜0.8質量%よりなる群から選
択される少なくとも1種の元素を含むチタン合金も、優
れた性能を発揮し得ることを確認している。
含有量を定めた理由は下記の通りである。まずAl含量
は、Ti−6Al−4V相当の強度を確保するために下
限値を推奨し、また上限値については、熱間加工条件下
において変形抵抗の上昇と熱間延性の低下を抑えること
のできる許容限として推奨している。またC量も、Ti
−6Al−4V相当の強度を確保するために下限値を推
奨し、また上限値については、TiCの多量析出により
熱間延性を劣化させることのない許容限として推奨して
いる。
Ti−6Al−4V相当の強度を確保するためであり、
上限値については、熱間加工時の変形抵抗を上昇させず
且つβ変態点を下げ過ぎないための要件として推奨して
いる。更にSn,Zr,Siについては、常温〜500
℃レベルの温度域における強度上昇効果を発揮し得る量
として下限を規定し、一方、上限値については、Sn,
Zrの場合は熱間延性、Siの場合は常温延性を夫々劣
化させることのない量として推奨している。
具体例としては、後記実施例でも明らかにする如く、
「Ti−5Al−6.25Cr−0.2C合金」や「T
i−5Al−0.5Mo−2.4V−2Fe−0.2C
合金」等が例示される。また、Sn,Zr,Si等を含
むチタン合金の具体例としては、「Ti−6Al−4S
n−4Cr−0.5Fe−0.2Si−0.2C」や
「Ti−6Al−4Sn−6Cr−0.5Fe−0.2
Si−0.2C」等が例示される。これら合金元素の作
用は、合金元素の種類や2種以上の元素の複合添加、更
にはそれらの添加量によってもかなり変動するので、そ
れら合金元素の種類や複合添加、或いは好適添加量など
は、用いる合金元素に応じて適宜に選択・決定すればよ
い。
チタン合金に共通する化学成分は、代表的な高強度チタ
ン合金であるTi−6Al−4V合金に対してややAl
含量が少な目で、且つ少量のCを含んでいる点である。
そしてこれらAlやCの作用は次の様に推測される。即
ちAlやCは周知の通りα安定化元素であり、一般的に
は高温強度の上昇に寄与する。しかしこれらの含有率を
適切に制御すれば、室温から500℃レベルの温度まで
は温度上昇に伴う大幅な強度低下を起こさないが、より
高温の熱間加工温度域では強度上昇を抑え、変形抵抗を
大幅に低下させることが可能となる。特にCは、室温か
ら500℃レベルの温度域までは固溶強化に寄与する
が、熱間加工温度域では強化に寄与しなくなると考えら
れる。更にCは、微量の添加でβ変態点を大幅に上昇さ
せる作用も有しているため、本発明にとって極めて有用
な元素であると考えられる。
の製造条件も特に制限されないが、好ましい条件として
は、前記成分組成の好ましい要件を満たすチタン合金
を、常法に従って溶製し鋳造した後、該鋳塊を常法より
もやや低い温度域、好ましくは当該チタン合金のβ変態
温度(Tβ)を基準にしてTβ〜(Tβ+200℃)、
より好ましくはTβ〜(Tβ+100℃)に加熱してか
ら、70〜80%程度の加工率で荒鍛造し、次いで、好
ましくは(Tβ−50℃)〜800℃程度の温度域で、
70〜80%程度の加工率で仕上げ加工を施す方法であ
る。該仕上げ加工の後は、必要により700〜800℃
×60〜120分程度で焼鈍することも有効である。
鋳塊の場合は、鋳造時の冷却速度が速いため鋳塊の結晶
粒は比較的小さくなる。従ってこの様な場合は高温での
荒鍛造を省略し、鋳塊をそのまま低温、即ちTi−Cの
2元系で言うところの包析温度以下に加熱してから仕上
げ鍛造することも有効である。
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
l−6.25Cr−0.2C合金(β変態点:915
℃)と、Ti−5Al−0.5Mo−2.4V−2Fe
−0.2C合金(変態点:967℃)を、コールドク
ルーシブルインダクション溶解法(CCIM)により溶
製・鋳造して25kg鋳塊を製造し、この鋳塊を、通常
よりやや低めの好ましい加熱温度として1000℃に加
熱した後、80%の加工率で荒鍛造する。次いで850
℃に加熱し、75%の加工率で仕上げ鍛造し、700℃
×2時間加熱→空冷で焼鈍を施すことにより鍛造丸棒を
作製した。
での引張強度(ASTM E8に準拠)を測定した。ま
た、上記鋳塊から図2に示す寸法・形状の試験片を切出
し、各試験片を大気雰囲気下に700℃〜950℃で5
分間加熱し、その直後に、高速引張試験機(富士電波工
機社製商品名「サーメックマスターZ」)を用いて、歪
速度100/secで高速引張り試験を行い、変形抵抗
を求めた。なお変形抵抗値は、該高速引張り試験で得た
最大荷重を引張試験前の平行部の面積で除して算出し
た。結果を表1に示す。
上記の条件で荒鍛造、仕上げ鍛造および等軸晶化のため
の焼鈍を行い、各々について、700℃で2時間加熱焼
鈍した後、0.1〜0.2℃/secの速度で冷却し、
島津製作所製の引張試験機(商品名「AG−E230k
N オートグラフ引張試験機」)を用いて、室温(25
℃)〜500℃での引張強度をASTM E8に準拠し
て求めた。結果を表2に示す。
(℃)と引張強さ(常温〜500℃)および変形抵抗
(700℃〜950℃)の関係として図示したものであ
る。なお表1,2及び図1には、従来の代表的なチタン
合金であるTi−6Al−4V合金(従来合金)とJ
IS2種チタン(純チタン)の測定結果を併記した。
表的な高強度チタン合金である従来合金は、常温〜5
00℃の実用温度域で高強度を有している反面、熱間加
工温度域である700〜950℃の高温域でもかなり高
強度を維持しており、変形抵抗が大きいため熱間加工性
に欠ける。
は、常温〜500℃の実用温度域では従来合金を上回
る高強度を有しており、しかも熱間加工が想定される8
00〜950℃の高温域での変形抵抗は、易加工性の純
チタンと同程度に低く、熱間加工性においても非常に
優れたものであることが分る。
温度域での変形抵抗について、本発明の規定要件を満た
すチタン合金、と従来合金や純チタンを比較す
ると、下記表3に示す通りであり、本発明のチタン合金
、はいずれも高強度と優れた熱間加工性を兼備して
いることが分る。
合金の例として、表4に示す符号a,bの合金を使用
し、それ以外は前記実施例1と全く同様にして溶製→鋳
造→鍛造→焼鈍を行い、得られた各焼鈍材について、同
様にして常温(25℃)および高温(500℃)引張強
度、並びに850℃での高速引張り時における変形抵抗
を測定し、表4に併記する結果を得た。また表4には、
比較のため前掲の代表的な従来合金であるTi−6Al
−4V合金を用いた場合の値も併記した。
件を満たす符号a,bのチタン合金は、代表的な高強度
チタン合金である符号cの従来合金に較べて、常温で格
段に優れた引張強度を有しているにも拘わらず、850
℃における変形抵抗は低く優れた熱間加工性を有してい
ることが分る。
温〜500℃の実用温度域で高強度を有すると共に、熱
間加工温度域での変形抵抗が低くて優れた熱間加工性を
有しており、高い熱間加工性の下で高強度のチタン合金
部材を与えるチタン合金を提供し得ることになった。
様に熱間加工温度域での変形抵抗が低いことから、1回
当たりの加工率(熱間鍛造時の鍛造比、熱延時の減面率
や圧下率など)を大きく取ることができ、所望サイズ、
厚さ、直径の加工品を少ない加工回数で生産性良く得る
ことができる。更には、熱間加工時の抵抗発熱が少な
く、熱間加工時の温度上昇も低く抑えられるので、当該
チタン合金のβ変態点を考慮して高めの加工温度を採用
した場合でも高温変態を起こすことなく、所望の強度特
性を備えた加工製品を容易に得ることが可能となる。
度と引張強さ(および変形抵抗)の関係を示すグラフであ
る。
を示す説明図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 700℃で焼鈍した後の室温(25℃)
での引張強さと、850℃での高速引張りにおける変形
抵抗との比が9以上であることを特徴とする熱間加工性
に優れた高強度チタン合金。 - 【請求項2】 700℃で焼鈍した後の室温(25℃)
での引張強さが895MPa以上である請求項1に記載
の高強度チタン合金。 - 【請求項3】 850℃での高速引張りにおける変形抵
抗が200MPa以下である請求項1または2に記載の
高強度チタン合金。 - 【請求項4】 700℃で焼鈍した後の500℃での引
張強さが、室温(25℃)での引張強さの45%以上で
ある請求項1〜3のいずれかに記載の高強度チタン合
金。 - 【請求項5】 β変態点が850℃超である請求項1〜
4のいずれかに記載の高強度チタン合金。 - 【請求項6】 α−β型である請求項1〜5のいずれか
に記載の高強度チタン合金。 - 【請求項7】 α安定化元素としてAlを3〜7質量
%、Cを0.08〜0.25質量%含有し、且つβ安定
化元素を、下記式で示されるMo当量で3.0〜10質
量%含有するものである請求項6に記載の高強度チタン
合金。 Mo当量=Mo(mass%)+(1/1.5)V(mass%)+1.25Cr(mass%)+
2.5Fe(mass%) - 【請求項8】 更に他の元素として、Sn:1〜5質量
%、Zr:1〜5質量%、Si:0.2〜0.8質量%
よりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む
ものである請求項6または7に記載の高強度チタン合
金。
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