JP2003201530A - 熱間加工性に優れた高強度チタン合金 - Google Patents

熱間加工性に優れた高強度チタン合金

Info

Publication number
JP2003201530A
JP2003201530A JP2002302159A JP2002302159A JP2003201530A JP 2003201530 A JP2003201530 A JP 2003201530A JP 2002302159 A JP2002302159 A JP 2002302159A JP 2002302159 A JP2002302159 A JP 2002302159A JP 2003201530 A JP2003201530 A JP 2003201530A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
strength
titanium alloy
mass
alloy
deformation resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002302159A
Other languages
English (en)
Inventor
Soichiro Kojima
壮一郎 小島
Hideto Oyama
英人 大山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2002302159A priority Critical patent/JP2003201530A/ja
Publication of JP2003201530A publication Critical patent/JP2003201530A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Forging (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度チタン合金として汎用されているTi
−6Al−4V合金に匹敵し、或いはこれを上回る常温
強度を有すると共に、熱間鍛造やその後の2次加工を含
めた熱間加工性に優れ、所望形状に低コストで効率よく
熱間加工を行うことのできるチタン合金を提供するこ
と。 【解決手段】 700℃で焼鈍した後の室温(25℃)
での引張強さが895MPa以上で、850℃での高速
引張りにおける変形抵抗が200MPa以下であり、且
つ上記引張強さと変形抵抗との比が9以上である高強度
で熱間加工性に優れたチタン合金を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、実用温度域で高強
度を示すと共に高温時の変形抵抗が小さくて熱間加工性
に優れたチタン合金に関し、このチタン合金は、高強度
と優れた熱間加工性を活かして、例えば航空機分野、自
動車分野、船舶分野などに幅広く利用できる。
【0002】
【従来の技術】Ti−6Al−4V合金に代表されるα
−β型チタン合金は、軽量且つ高強度で優れた耐食性を
有していることから、航空機や自動車、船舶分野などを
始めとする様々の分野で、鉄鋼材料に代わる構造材や外
板材等としての実用化が積極的に進められている。
【0003】ところが、高強度のチタン合金はα−β温
度域、即ち熱間加工温度域での変形抵抗が大きくて鍛造
加工性や2次加工性が悪いため、汎用化を進める上で大
きな障害となっている。そのため、熱間加工時の加工回
数と加熱回数を増やし、製品歩留まりを犠牲にして充分
な余肉をつけた状態で熱間加工を行っているのが実情で
あり、熱間プレス加工を行うにしても、適用可能なプレ
ス能力の限界サイズに甘んじている。また棒状や線状に
熱間圧延する場合でも、高速圧延を採用すると大きな変
形抵抗に起因して大きな加工発熱を生じ組織不良を招く
ので低速で圧延せざるを得ず、生産性を高める上で大き
な障害となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
事情に着目してなされたものであって、その目的は、高
強度チタン合金として現在最も広範に利用されているT
i−6Al−4V合金に匹敵し、或いはこれを上回る常
温強度を有すると共に、熱間鍛造やその後の2次加工を
含めた熱間加工性に優れ、所望形状に低コストで効率よ
く熱間加工することのできるチタン合金を提供すること
にある。
【0005】
【課題を達成するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係るチタン合金とは、700℃で焼鈍
した後の室温(25℃)での引張強さと、850℃での
高速引張りにおける変形抵抗との比が9以上であり、高
い常温強度を有すると共に卓越した熱間加工性を有する
高強度チタン合金である。
【0006】本発明にかかる高強度チタン合金のより好
ましい特性は、700℃焼鈍後の室温(25℃)での引
張強さで895MPa以上の高強度を有し、且つ、85
0℃での高速引張りにおける変形抵抗は200MPa以
下の低い値を示し、或いは更に、700℃で焼鈍した後
の500℃での引張強さが、室温(25℃)での引張強
さの45%以上で、実用温度域では充分な耐熱強度を有
しているものであり、こうした特性は、従来の高強度チ
タン合金に見られない特異な特性である。
【0007】本発明の上記チタン合金において更に好ま
しい態様は、α−β型に属し、β変態点が850℃超で
あるチタン合金であり、β変態点を850℃超とするこ
とにより、チタン合金本来の温度と鍛造性の観点から如
何なる組成であっても、換言すれば純チタンであっても
熱間鍛造が難しくなる800℃以下での加工を避けるこ
とができ、顕著な加工割れなどを起こすことがなくなる
ので好ましい。
【0008】また、上記特性を発揮する本発明の高強度
チタン合金を成分組成の観点からみると、好ましいの
は、α安定化元素としてAlを3〜7質量%、Cを0.
08〜0.25質量%含有し、且つβ安定化元素を、下
記式で示されるMo当量で3.0〜10質量%含有する
ものである。 Mo当量=Mo(mass%)+(1/1.5)V(mass%)+1.25Cr(mass%)+
2.5Fe(mass%)
【0009】より具体的には、α安定化元素としてAl
を3〜7質量%、Cを0.08〜0.25%含み、β安
定化元素として上記Mo,V,Cr,Feよりなる群か
ら選択される少なくとも1種、より好ましくはこれらの
うちCrとFeを、上記Mo当量で3.5〜8.0質量
%含有するものである。
【0010】また、更に他の元素として、Sn:1〜5
質量%、Zr:1〜5質量%、Si:0.2〜0.8質
量%よりなる群から選択される少なくとも1種の元素を
含むチタン合金も好ましいものとして推奨される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らは、先に指摘した様な
従来技術の問題点に鑑み、現在、高強度チタン合金とし
て最も広範に利用されているTi−6Al−4V合金に
匹敵し、或いはこれを上回る常温強度を有すると共に、
通常の上限使用温度域である約500℃付近でも充分な
強度を確保しつつ、通常のα−β型チタン合金では熱間
加工性が難しくなる800℃前後以上の高温での変形抵
抗を下げることで熱間加工性を改善し、強度と熱間加工
性の共に優れたチタン合金を開発すべく、特にチタン合
金組成を中心にして研究を進めてきた。
【0012】その結果、後述する如く合金元素の種類や
含有率をうまく調整してやれば、常温〜約500℃程度
の実用温度域ではTi−6Al−4V合金に匹敵し、或
いはこれを上回る強度を有しつつ、卓越した熱間加工性
を有するチタン合金が得られることを知り、上記本発明
に想到したものである。
【0013】こうした高強度と優れた熱間加工性を兼ね
備えたチタン合金は、後述する如く主として合金元素の
種類と量を適切に選択・制御することによって得ること
ができるが、現存するチタン合金には見られない本発明
チタン合金の特殊性は、常温強度と高温条件下での高速
引張りにおける変形抵抗との比に現れる。即ち本発明の
チタン合金は、当該合金を700℃で2時間加熱焼鈍し
たのち自然放冷したものの室温(25℃)での引張強度
(ASTM E8に準拠して求められる値)Aと、当該
チタン合金を850℃×5分間大気雰囲気下で加熱し、
その直後に歪速度100/secで高速引張試験を行っ
た時の変形抵抗(引張試験片の平行部長さが均一に変形
すると仮定して、歪速度100/secでの高速引張試
験における最大荷重を、引張試験前の平行部の面積で除
した値)Bとの比(A/B)が9以上を示すところに特
徴を有している。
【0014】ちなみに図1は、後記実験例で得た本発明
のチタン合金、と、従来の代表的な高強度チタン合
金であるTi−6Al−4V合金(従来合金)および
JIS2種チタン(純チタン)について、試験温度と
引張強さおよび高速引張り時の変形抵抗の関係を示した
グラフである。尚、常温(25℃)から500℃までの間
の引張強さはASTM E8に準拠して求め、700℃
から950℃までの変形抵抗値は、歪速度100/se
cでの高速引張試験によって求めた値を示している。
【0015】この図からも明らかな様に、本発明のチタ
ン合金、と従来合金や純チタンは、何れも試験
温度が高くなるにつれて強度(変形抵抗)が低下してい
くことに変わりはない。また、常温から約500℃程度
までの温度域(即ち、実際の使用温度域)における強度
低下傾向は、代表的な高強度チタン合金であるTi−6
Al−4Vからなる従来合金と本発明に係るチタン合
金、の間で大きな違いは見られない。
【0016】ところが、熱間加工温度域、殊に800〜
950℃のα−β温度域における変形抵抗を比較する
と、従来合金はかなり高い強度(変形抵抗)を維持し
ているのに対し、本発明チタン合金、の強度(変形
抵抗)は極端に低くなっている。このことから、本発明
のチタン合金は、常温から約500℃程度までの実用温
度域では高強度を示し、且つ熱間加工温度域では強度が
著しく低下し変形抵抗の大幅低下により優れた熱間加工
性を示すことが分る。
【0017】本発明では、こうした常温強度〜500℃
程度までの高温強度に優れ、且つ熱間加工温度域での低
い変形抵抗(即ち、優れた熱間加工性)を、現存するチ
タン合金に見られない特性として定量化するため、例え
ば後記表1〜3に示す如く実際の測定値を基に、[70
0℃で2時間加熱焼鈍したのち自然放冷したものの室温
(25℃)での引張強度]Aと、[850℃×5分間大
気雰囲気で加熱しその直後に歪速度100/secで高
速引張試験を行った時の変形抵抗]Bとの比で、「A/
B≧9以上」であるものと定めた。本発明においてより
好ましいのは、A/Bが10以上、更に好ましくは12
以上のものである。
【0018】ちなみに、α−β型の代表的な高強度チタ
ン合金であるTi−6Al−4V合金(従来合金)の
上記測定法によって求められるA/Bの値は、表3から
も明らかな如く[994/319=3.1]であり、本
発明で規定する上記「A/B≧9」の要件を大幅に下回
っている。なお図1や表1〜3には、参考のため従来の
チタン合金に比べて熱間加工の容易なJIS2種純チタ
ンの特性も併記した。
【0019】即ち本発明の高強度チタン合金は、既存の
チタン合金に対し、上記「A/B≧9」という強度特性
によって特徴付けられ、公知のチタン合金とは明確に区
別される新規な高強度チタン合金である。更に本発明の
高強度チタン合金は、その優れた強度特性や熱間加工
性、或いは更に熱間加工時の組織制御の安定性等を考慮
すると、上記「A/B≧9」という強度特性に加えて、
下記特性を有するものが好ましい。
【0020】700℃で焼鈍した後の室温(25℃)
での引張強さが895MPa以上であること。この特性
は、高強度チタン合金としての位置付けをより明確にす
る上で望ましい特性であり、前述した既存の代表的な高
強度チタン合金であるTi−6Al−4V合金のAST
M規格で定められる強度の下限値が895MPaである
ことから、この既存合金に匹敵する特性を満たす条件と
して定めた。ちなみに、後記実施例として挙げた本発明
に係る高強度チタン合金の常温強度は、通常のTi−6
Al−4V焼鈍材と同等の1000MPa前後の値を示
している。
【0021】850℃での高速引張りにおける変形抵
抗が200MPa以下であること。この特性は、既存の
高強度チタン合金には見られない卓越した熱間加工性を
より具体的に数値化した値である。通常の鍛造温度を想
定し、該温度条件下で充分に変形抵抗が小さく安定して
優れた加工性を保障するには、上記温度条件下での変形
抵抗が200MPa以下、より好ましくは150MPa
以下、更に好ましくは100MPa以下であることが望
ましい。ちなみに、後記実施例に示した本発明合金の該
変形抵抗値は何れも100MPa以下である。
【0022】700℃で焼鈍した後の500℃での引
張強さが、室温(25℃)での引張強さの45%以上で
あること。この強度特性は、本発明合金を実用化する際
に曝される高温条件下での強度保持性、即ち実用上の耐
熱特性を表す指標として定めたもので、常温強度に対し
500℃レベルの高温条件下でも強度の低下が少なく、
耐熱強度特性に優れたものであることを表している。よ
り高レベルの耐熱強度特性を確保するには、50%以
上、更に好ましくは55%以上を維持することが望まし
い。ちなみに、後記実施例に挙げた本発明合金、は
何れも55%以上を有している。
【0023】β変態点が850℃超であること。この
変態点は、熱間加工途上で被加工材が降温した場合で
も、熱間加工を安定して継続可能にするための特性とし
て定めたもので、最低でも850℃以上の加熱温度を確
保して熱間加工を行うには、β変態点が850℃超、よ
り好ましくは900℃以上であることが望ましい。ちな
みにβ変態点が850℃以下のものでは、等軸組織を得
るのに加熱温度を850℃(β変態点)以下の比較的低
温にしなければならず、如何なる組織であれ鍛造性が著
しく劣化し、鍛造時に割れなどを引き起こし易くなる。
【0024】α−β型であること。本発明のチタン合
金は、強度−延性バランスと耐熱性を良好なものとする
ための要件として、α−β型に属するものであることが
望ましい。しかして、α型チタン合金となる組成では熱
間変形抵抗が大きくなり易く、またβ型チタン合金とな
る組成では耐熱性に劣るものとなり易く、何れも本発明
で意図する高強度・高加工性チタン合金としての要求特
性になじみ難いものとなる。
【0025】上記強度特性を示す高強度チタン合金の製
法は特に制限されないが、本発明者らが実験により確認
したところでは合金元素の種類と含有量が重要になると
思われる。現時点で具体的な合金元素の種類や含有量を
特定することはできないが、以下に示す成分組成の要件
を満たすチタン合金は、本発明で定める前記強度特性を
満たす高性能のものになることを確認している。
【0026】即ち、本発明にかかるチタン合金の好まし
い成分組成は、α安定化元素としてAlを3〜7質量%
(より好ましくは3.5〜5.5質量%)、Cを0.0
8〜0.25質量%(より好ましくは0.10〜0.2
2質量%)含有し、且つβ安定化元素を、下記式で示さ
れるMo当量で3.0〜10質量%(より好ましくは
3.5〜8.0質量%)含有するものである。 Mo当量=Mo(mass%)+(1/1.5)V(mass%)+1.25Cr(mass%)+
2.5Fe(mass%)
【0027】より具体的には、α安定化元素としてAl
を3〜7質量%(より好ましくは3.5〜5.5質量
%)、Cを0.08〜0.25%(より好ましくは0.
10〜0.22質量%、更に好ましくは0.15〜0.
20質量%)含み、β安定化元素として、Mo,V,C
r,Feから選ばれる少なくとも1種、より好ましくは
これらのうち少なくともCrとFeを、上記Mo当量で
3.5〜8.0質量%含有するものである。また、これ
らの元素に加えて、Sn:1〜5質量%、Zr:1〜5
質量%、Si:0.2〜0.8質量%よりなる群から選
択される少なくとも1種の元素を含むチタン合金も、優
れた性能を発揮し得ることを確認している。
【0028】なお、上記で推奨する含有元素の好ましい
含有量を定めた理由は下記の通りである。まずAl含量
は、Ti−6Al−4V相当の強度を確保するために下
限値を推奨し、また上限値については、熱間加工条件下
において変形抵抗の上昇と熱間延性の低下を抑えること
のできる許容限として推奨している。またC量も、Ti
−6Al−4V相当の強度を確保するために下限値を推
奨し、また上限値については、TiCの多量析出により
熱間延性を劣化させることのない許容限として推奨して
いる。
【0029】またMo当量の下限を定めたのは、同様に
Ti−6Al−4V相当の強度を確保するためであり、
上限値については、熱間加工時の変形抵抗を上昇させず
且つβ変態点を下げ過ぎないための要件として推奨して
いる。更にSn,Zr,Siについては、常温〜500
℃レベルの温度域における強度上昇効果を発揮し得る量
として下限を規定し、一方、上限値については、Sn,
Zrの場合は熱間延性、Siの場合は常温延性を夫々劣
化させることのない量として推奨している。
【0030】本発明で好ましく使用されるチタン合金の
具体例としては、後記実施例でも明らかにする如く、
「Ti−5Al−6.25Cr−0.2C合金」や「T
i−5Al−0.5Mo−2.4V−2Fe−0.2C
合金」等が例示される。また、Sn,Zr,Si等を含
むチタン合金の具体例としては、「Ti−6Al−4S
n−4Cr−0.5Fe−0.2Si−0.2C」や
「Ti−6Al−4Sn−6Cr−0.5Fe−0.2
Si−0.2C」等が例示される。これら合金元素の作
用は、合金元素の種類や2種以上の元素の複合添加、更
にはそれらの添加量によってもかなり変動するので、そ
れら合金元素の種類や複合添加、或いは好適添加量など
は、用いる合金元素に応じて適宜に選択・決定すればよ
い。
【0031】しかし、本発明で推奨する上記成分組成の
チタン合金に共通する化学成分は、代表的な高強度チタ
ン合金であるTi−6Al−4V合金に対してややAl
含量が少な目で、且つ少量のCを含んでいる点である。
そしてこれらAlやCの作用は次の様に推測される。即
ちAlやCは周知の通りα安定化元素であり、一般的に
は高温強度の上昇に寄与する。しかしこれらの含有率を
適切に制御すれば、室温から500℃レベルの温度まで
は温度上昇に伴う大幅な強度低下を起こさないが、より
高温の熱間加工温度域では強度上昇を抑え、変形抵抗を
大幅に低下させることが可能となる。特にCは、室温か
ら500℃レベルの温度域までは固溶強化に寄与する
が、熱間加工温度域では強化に寄与しなくなると考えら
れる。更にCは、微量の添加でβ変態点を大幅に上昇さ
せる作用も有しているため、本発明にとって極めて有用
な元素であると考えられる。
【0032】また、上記チタン合金を用いた熱間加工材
の製造条件も特に制限されないが、好ましい条件として
は、前記成分組成の好ましい要件を満たすチタン合金
を、常法に従って溶製し鋳造した後、該鋳塊を常法より
もやや低い温度域、好ましくは当該チタン合金のβ変態
温度(Tβ)を基準にしてTβ〜(Tβ+200℃)、
より好ましくはTβ〜(Tβ+100℃)に加熱してか
ら、70〜80%程度の加工率で荒鍛造し、次いで、好
ましくは(Tβ−50℃)〜800℃程度の温度域で、
70〜80%程度の加工率で仕上げ加工を施す方法であ
る。該仕上げ加工の後は、必要により700〜800℃
×60〜120分程度で焼鈍することも有効である。
【0033】尚、断面サイズが比較的小さいチタン合金
鋳塊の場合は、鋳造時の冷却速度が速いため鋳塊の結晶
粒は比較的小さくなる。従ってこの様な場合は高温での
荒鍛造を省略し、鋳塊をそのまま低温、即ちTi−Cの
2元系で言うところの包析温度以下に加熱してから仕上
げ鍛造することも有効である。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0035】実施例1 本発明にかかる代表的なチタン合金として、Ti−5A
l−6.25Cr−0.2C合金(β変態点:915
℃)と、Ti−5Al−0.5Mo−2.4V−2Fe
−0.2C合金(変態点:967℃)を、コールドク
ルーシブルインダクション溶解法(CCIM)により溶
製・鋳造して25kg鋳塊を製造し、この鋳塊を、通常
よりやや低めの好ましい加熱温度として1000℃に加
熱した後、80%の加工率で荒鍛造する。次いで850
℃に加熱し、75%の加工率で仕上げ鍛造し、700℃
×2時間加熱→空冷で焼鈍を施すことにより鍛造丸棒を
作製した。
【0036】この鍛造材を用いて、室温から500℃ま
での引張強度(ASTM E8に準拠)を測定した。ま
た、上記鋳塊から図2に示す寸法・形状の試験片を切出
し、各試験片を大気雰囲気下に700℃〜950℃で5
分間加熱し、その直後に、高速引張試験機(富士電波工
機社製商品名「サーメックマスターZ」)を用いて、歪
速度100/secで高速引張り試験を行い、変形抵抗
を求めた。なお変形抵抗値は、該高速引張り試験で得た
最大荷重を引張試験前の平行部の面積で除して算出し
た。結果を表1に示す。
【0037】また、上記で得た各鋳片、を使用し、
上記の条件で荒鍛造、仕上げ鍛造および等軸晶化のため
の焼鈍を行い、各々について、700℃で2時間加熱焼
鈍した後、0.1〜0.2℃/secの速度で冷却し、
島津製作所製の引張試験機(商品名「AG−E230k
N オートグラフ引張試験機」)を用いて、室温(25
℃)〜500℃での引張強度をASTM E8に準拠し
て求めた。結果を表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】図1は、上記表1,2の結果を、試験温度
(℃)と引張強さ(常温〜500℃)および変形抵抗
(700℃〜950℃)の関係として図示したものであ
る。なお表1,2及び図1には、従来の代表的なチタン
合金であるTi−6Al−4V合金(従来合金)とJ
IS2種チタン(純チタン)の測定結果を併記した。
【0041】表1,2及び図1からも明らかな様に、代
表的な高強度チタン合金である従来合金は、常温〜5
00℃の実用温度域で高強度を有している反面、熱間加
工温度域である700〜950℃の高温域でもかなり高
強度を維持しており、変形抵抗が大きいため熱間加工性
に欠ける。
【0042】これらに対し本発明のチタン合金、
は、常温〜500℃の実用温度域では従来合金を上回
る高強度を有しており、しかも熱間加工が想定される8
00〜950℃の高温域での変形抵抗は、易加工性の純
チタンと同程度に低く、熱間加工性においても非常に
優れたものであることが分る。
【0043】即ち、実用温度域での強度および熱間加工
温度域での変形抵抗について、本発明の規定要件を満た
すチタン合金、と従来合金や純チタンを比較す
ると、下記表3に示す通りであり、本発明のチタン合金
、はいずれも高強度と優れた熱間加工性を兼備して
いることが分る。
【0044】
【表3】
【0045】実施例2 室温から500℃までの高強度化に主眼を置いたチタン
合金の例として、表4に示す符号a,bの合金を使用
し、それ以外は前記実施例1と全く同様にして溶製→鋳
造→鍛造→焼鈍を行い、得られた各焼鈍材について、同
様にして常温(25℃)および高温(500℃)引張強
度、並びに850℃での高速引張り時における変形抵抗
を測定し、表4に併記する結果を得た。また表4には、
比較のため前掲の代表的な従来合金であるTi−6Al
−4V合金を用いた場合の値も併記した。
【0046】
【表4】
【0047】表4からも明らかな様に、本発明の規定要
件を満たす符号a,bのチタン合金は、代表的な高強度
チタン合金である符号cの従来合金に較べて、常温で格
段に優れた引張強度を有しているにも拘わらず、850
℃における変形抵抗は低く優れた熱間加工性を有してい
ることが分る。
【0048】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、常
温〜500℃の実用温度域で高強度を有すると共に、熱
間加工温度域での変形抵抗が低くて優れた熱間加工性を
有しており、高い熱間加工性の下で高強度のチタン合金
部材を与えるチタン合金を提供し得ることになった。
【0049】また本発明の高強度チタン合金は、上記の
様に熱間加工温度域での変形抵抗が低いことから、1回
当たりの加工率(熱間鍛造時の鍛造比、熱延時の減面率
や圧下率など)を大きく取ることができ、所望サイズ、
厚さ、直径の加工品を少ない加工回数で生産性良く得る
ことができる。更には、熱間加工時の抵抗発熱が少な
く、熱間加工時の温度上昇も低く抑えられるので、当該
チタン合金のβ変態点を考慮して高めの加工温度を採用
した場合でも高温変態を起こすことなく、所望の強度特
性を備えた加工製品を容易に得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高強度チタン合金と従来合金の試験温
度と引張強さ(および変形抵抗)の関係を示すグラフであ
る。
【図2】高温域での変形抵抗測定用試験片の形状・寸法
を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 683 C22F 1/00 683 691 691B 691C 692 692A 692Z 694 694A 694B

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 700℃で焼鈍した後の室温(25℃)
    での引張強さと、850℃での高速引張りにおける変形
    抵抗との比が9以上であることを特徴とする熱間加工性
    に優れた高強度チタン合金。
  2. 【請求項2】 700℃で焼鈍した後の室温(25℃)
    での引張強さが895MPa以上である請求項1に記載
    の高強度チタン合金。
  3. 【請求項3】 850℃での高速引張りにおける変形抵
    抗が200MPa以下である請求項1または2に記載の
    高強度チタン合金。
  4. 【請求項4】 700℃で焼鈍した後の500℃での引
    張強さが、室温(25℃)での引張強さの45%以上で
    ある請求項1〜3のいずれかに記載の高強度チタン合
    金。
  5. 【請求項5】 β変態点が850℃超である請求項1〜
    4のいずれかに記載の高強度チタン合金。
  6. 【請求項6】 α−β型である請求項1〜5のいずれか
    に記載の高強度チタン合金。
  7. 【請求項7】 α安定化元素としてAlを3〜7質量
    %、Cを0.08〜0.25質量%含有し、且つβ安定
    化元素を、下記式で示されるMo当量で3.0〜10質
    量%含有するものである請求項6に記載の高強度チタン
    合金。 Mo当量=Mo(mass%)+(1/1.5)V(mass%)+1.25Cr(mass%)+
    2.5Fe(mass%)
  8. 【請求項8】 更に他の元素として、Sn:1〜5質量
    %、Zr:1〜5質量%、Si:0.2〜0.8質量%
    よりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む
    ものである請求項6または7に記載の高強度チタン合
    金。
JP2002302159A 2001-10-22 2002-10-16 熱間加工性に優れた高強度チタン合金 Pending JP2003201530A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002302159A JP2003201530A (ja) 2001-10-22 2002-10-16 熱間加工性に優れた高強度チタン合金

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001324075 2001-10-22
JP2001-324075 2001-10-22
JP2002302159A JP2003201530A (ja) 2001-10-22 2002-10-16 熱間加工性に優れた高強度チタン合金

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003201530A true JP2003201530A (ja) 2003-07-18

Family

ID=27666359

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002302159A Pending JP2003201530A (ja) 2001-10-22 2002-10-16 熱間加工性に優れた高強度チタン合金

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003201530A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006283062A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Kobe Steel Ltd 耐熱チタン合金及びそれによって形成されたエンジンバルブ
JP2007084915A (ja) * 2005-09-23 2007-04-05 Taifu Chin ゴルフクラブヘッド用低密度合金
JP2009515047A (ja) * 2005-11-03 2009-04-09 ロベルト・ペー・ヘンペル 冷間加工可能なチタン合金
US8562763B2 (en) 2004-04-09 2013-10-22 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation High strength α+β type titanuim alloy
JP2023503829A (ja) * 2019-11-15 2023-02-01 ▲蘇▼州森▲鋒▼医▲療▼器械有限公司 高疲労強度の医療用チタン合金とその熱間加工及び熱処理方法、並びに機器
JP7401760B2 (ja) 2020-02-21 2023-12-20 日本製鉄株式会社 α+β型チタン合金棒材の製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8562763B2 (en) 2004-04-09 2013-10-22 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation High strength α+β type titanuim alloy
JP2006283062A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Kobe Steel Ltd 耐熱チタン合金及びそれによって形成されたエンジンバルブ
JP4492959B2 (ja) * 2005-03-31 2010-06-30 株式会社神戸製鋼所 耐熱チタン合金及びそれによって形成されたエンジンバルブ
JP2007084915A (ja) * 2005-09-23 2007-04-05 Taifu Chin ゴルフクラブヘッド用低密度合金
JP2009515047A (ja) * 2005-11-03 2009-04-09 ロベルト・ペー・ヘンペル 冷間加工可能なチタン合金
JP2023503829A (ja) * 2019-11-15 2023-02-01 ▲蘇▼州森▲鋒▼医▲療▼器械有限公司 高疲労強度の医療用チタン合金とその熱間加工及び熱処理方法、並びに機器
JP7511275B2 (ja) 2019-11-15 2024-07-05 ▲蘇▼州森▲鋒▼医▲療▼器械有限公司 高疲労強度の医療用チタン合金とその熱間加工及び熱処理方法、並びに機器
JP7401760B2 (ja) 2020-02-21 2023-12-20 日本製鉄株式会社 α+β型チタン合金棒材の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6849231B2 (en) α-β type titanium alloy
JP5582532B2 (ja) Co基合金
US5516375A (en) Method for making titanium alloy products
CN107250416A (zh) Ni基超耐热合金的制造方法
CN111826550B (zh) 一种中等强度耐硝酸腐蚀钛合金
JPH0138868B2 (ja)
JP6826879B2 (ja) Ni基超耐熱合金の製造方法
JP2007084864A (ja) 被削性及び熱間加工性に優れたα−β型チタン合金
JP2009215631A (ja) TiAl基合金及びその製造方法並びにそれを用いた動翼
CN100478472C (zh) β-钛合金,由这种合金制备热轧产品的方法和其应用
JP3873313B2 (ja) 高強度チタン合金の製造方法
JP2005002451A (ja) 耐熱ばね用Fe−Ni−Cr基合金および耐熱ばねの製造方法
JP4507094B2 (ja) 良好な延性を有する超高強度α−β型チタン合金
KR102318721B1 (ko) 고강도 고성형성 베타 타이타늄 합금
JP2003201530A (ja) 熱間加工性に優れた高強度チタン合金
JP2005076098A (ja) 高強度α−β型チタン合金
WO2017170433A1 (ja) Ni基超耐熱合金の製造方法
JP2669004B2 (ja) 冷間加工性に優れたβ型チタン合金
JPH05255780A (ja) 均一微細組織をなす高強度チタン合金
JP2004091893A (ja) 高強度チタン合金
US5417779A (en) High ductility processing for alpha-two titanium materials
JP3374553B2 (ja) Ti−Al系金属間化合物基合金の製造方法
KR102245612B1 (ko) 우수한 기계적 특성을 가지는 저비용 Ti-Al-Fe-Sn계 타이타늄 합금
JP4263987B2 (ja) 高強度β型チタン合金
JPH11335758A (ja) 冷延性に優れた高強度チタン合金

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040810

A621 Written request for application examination

Effective date: 20041125

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051124

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070807

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071002

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20080219

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20080805

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02