まず、本発明の遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1(以下、パチンコ機1と略称する)を正面からみた正面図であり、図2はパチンコ機を示す背面図である。尚、以下の説明において、図1の手前側をパチンコ機の前面(表面)側、奥側を背面(裏面)側として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ機の前面(表面)とは、遊技者側からパチンコ機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。
(パチンコ機の前面(表面)構造)
図1は、本発明が適用されたパチンコ機及びカードユニットを示す正面図である。パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠100(図2参照)と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101(図2参照)と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び上皿扉枠103がそれぞれ一側を中心に開閉可能に設けられているとともに、下皿枠104が取り付けられている。また、前面枠101の背面側には、機構部品等が取り付けられる機構板105(図2参照)が一側を中心にして開閉可能に取り付けられている。
図1に示すように、ガラス扉枠102の下方に取り付けられた上皿扉枠103の前面には、遊技媒体(遊技球)としてのパチンコ球(打球)を貯留可能な打球供給皿(上皿とも言う)3が、パチンコ機1の前方(パチンコ機1の前面方向)に向けて膨出するように設けてある。打球供給皿3の下方には、打球供給皿3から溢れたパチンコ球を貯留する余剰球受皿4(下皿とも言う)が、パチンコ機1の前方(パチンコ機1の前面方向)に向けて膨出するように設けてあるとともに、その側方には、パチンコ球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠102の背面には、前面枠101に対して着脱可能に取り付けられた遊技盤6が配置されている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄を変動表示する複数の変動表示領域を含む変動表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。また、変動表示装置9の上部には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての特別図柄を変動表示する特別図柄表示器(特別図柄表示装置)8が設けられている。変動表示装置9には、たとえば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示領域(図柄表示エリア)がある。変動表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄であって、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての飾り図柄の変動表示を行なう。変動表示装置9は、後述する演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81(図3参照)によって制御される。特別図柄表示器8は表示部が小型であるので、変動表示の態様および変動表示の表示結果が変動表示装置9と比べて見づらいため、遊技者は主として変動表示装置9の方に注目する。
特別図柄表示器8は、たとえば0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。特別図柄表示器8は、遊技者に当りの種類を把握しづらくさせるために、0〜99など、より多種類の数字を変動表示するように構成されていてもよい。また、変動表示装置9は、液晶表示装置よりなる画像表示装置で実現されている。変動表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、飾り図柄の変動表示を行なう。
なお、本実施例においては、変動表示装置9は、液晶表示装置を用いた例について説明するが、これに限らず、変動表示装置9は、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ドットマトリクス、7セグメントLED等のLED(Light Emitting Diode)、エレクトロルミネッセンス、蛍光表示管等のその他の画像表示式の表示装置により構成されてもよい。また、変動表示装置9は、回転ドラム式表示装置等の機械式の表示装置であってもよい。
変動表示装置9の下方には、パチンコ球を受け入れ可能な入賞領域としての第1始動口15aおよび第2始動口15bを有する始動入賞装置15が設けられている。始動入賞装置15では、上部に第1始動口15aが設けられ、その下部に第2始動口15bが設けられている。第2始動口15bの左右には、開閉動作をすることが可能な態様で一対の可動片13,13が設けられている。第1始動口15aは、上方を向いて開口しており、常にパチンコ球の進入(受け入れ)が可能な状態となっている。一方、第2始動口15bは、上方に第1始動口15aの周囲の構造物が設けられ、左右に可動片13,13が設けられているため、可動片13,13が閉状態であるときにパチンコ球の進入(受け入れ)が不可能な状態となり、可動片13,13が開状態であるときにパチンコ球の進入(受け入れ)が可能な状態となる。このように、第1始動口15aは入賞のしやすさが変化せず、第2始動口15bは可動片13,13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する。
なお、始動入賞装置15は、可動片13,13が閉状態になっている状態において、第2始動口15bに入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、パチンコ球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。また、始動入賞装置15は、始動口として、入賞のしやすさが変化しない第1始動口15aのみが設けられたものであってもよく、可動片13,13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する第2始動口15bのみが設けられたものであってもよい。
始動入賞装置15の可動片13,13は、後述する開放条件が成立したときに、ソレノイド16によって駆動されることにより、閉状態から所定期間開状態とされた後、閉状態とされる。始動入賞装置15の可動片13,13が開状態となることにより、パチンコ球が第2始動口15bに入賞し易くなり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態(第1の状態)となる。一方、始動入賞装置15の可動片13,13が閉状態となることにより、パチンコ球が第2始動口15bに入賞しなくなり(始動入賞しにくくなり)、遊技者にとって不利な状態(第2の状態)となる。第1始動口15aに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14aによって検出される。また、第2始動口15bに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14bによって検出される。
変動表示装置9の下部には、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bに入った有効入賞球の記憶数すなわち保留記憶(始動記憶または始動入賞記憶ともいう)数を表示する4つの特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。特別図柄保留記憶表示器18は、保留記憶数を入賞順に4個まで表示する。特別図柄保留記憶表示器18は、第1始動口15aまたは第2始動口15bに始動入賞があるごとに、保留記憶の記憶データが1増えて、点灯状態のLEDの数を1増やす。そして、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、保留記憶の記憶データが1減って、点灯状態のLEDの数を1減らす(すなわち1つのLEDを消灯する)。具体的には、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、点灯状態をシフトする。なお、この例では、第1始動口15aまたは第2始動口15bへの入賞による保留記憶数に上限数(4個まで)が設けられている。しかし、これに限らず、保留記憶数の上限数は、4個以上の値にしてもよく、4個よりも少ない値にしてもよい。
始動入賞装置15の下部には、ソレノイド21によって開閉される開閉板を用いた特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は、開閉板によって開閉される大入賞口が設けられており、大当り遊技状態において開閉板が遊技者にとって有利な開状態(第1の状態)に制御され、大当り遊技状態以外の状態において開閉板が遊技者にとって不利な閉状態(第2の状態)に制御される。このように、特別可変入賞球装置20は、大当り遊技状態となるときに開放条件が成立する。特別可変入賞球装置20に入賞し遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域:特別領域)に入った入賞球及び他方の領域に入ったパチンコ球は、そのままカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切換えるためのソレノイド21a(図3参照)も設けられている。
パチンコ球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、複数種類の識別情報としての普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10における変動表示が開始される。この実施の形態では、左右のLED(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行なわれ、たとえば、変動表示の終了時に左側のLEDが点灯すれば当りになる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)となったときに、始動入賞装置15の可動片13,13の開放条件が成立し、始動入賞装置15における可動片13,13が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した有効通過球の記憶数、すなわち、始動通過記憶数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器41が設けられている。ゲート32へのパチンコ球の通過があるごとに、始動通過記憶の記憶データが1増えて、普通図柄始動記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10における変動表示が開始されるごとに、始動通過記憶の記憶データが1減って、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6には、パチンコ球を受け入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域として、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、および、第4通常入賞口39よりなる複数の通常入賞口が設けられる。第1通常入賞口29へのパチンコ球の入賞は、第1入賞口スイッチ29aによって検出される。第2通常入賞口30へのパチンコ球の入賞は、第2入賞口スイッチ30aによって検出される。第3通常入賞口33へのパチンコ球の入賞は、第3入賞口スイッチ33aによって検出される。第4通常入賞口39へのパチンコ球の入賞は、第4入賞口スイッチ39aによって検出される。なお、第1始動口15a、第2始動口15b、および、大入賞口も、パチンコ球を受け入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域を構成する。また、遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aが内蔵される装飾発光部25が設けられ、下部には、入賞しなかったパチンコ球を回収するアウト口26がある。
遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠LED28a(図3参照)が内蔵される天枠発光部28Hと、左枠LED28b(図3参照)が内蔵される左発光部28Lおよび右枠LED28c(図3参照)が内蔵される右発光部28Rが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。これら天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾用LEDは、パチンコ遊技機1に設けられている装飾発光体の一例である。
そして、この例では、左発光部28Lの所定箇所に、賞球払出中に点灯する賞球LED51が設けられ、右枠LED28cの所定箇所に、補給球が切れたときに点灯する球切れLED52が設けられている。尚、本実施例では賞球LED51及び球切れLED52を左枠LED28bや右枠LED28cとは個別に設けていたが、左枠LED28bや右枠LED28cの発光態様を異ならせることにより賞球払出中や補給球が切れた旨を報知するようにしてもよい。また、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
上皿扉枠103の前面における打球供給皿3の左右側方には、供給皿左右外LED200cにより発光する扉枠左発光部204L,扉枠右側方発光部204Rが設けられている。また、打球供給皿3の左右側面には、上皿扉枠103前面における打球供給皿3の左右側方に設けられた供給皿左LED200a,供給皿右LED200bにより発光する供給皿左発光部200L,供給皿右発光部200Rが設けられているとともに、打球供給皿3の前面には、打球供給皿3の内部に設けられた供給皿前LED201aにより発光する供給皿前発光部201が設けられている。
余剰球受皿4の周縁上面には、余剰球受皿4の内部に設けられた受皿LED202aにより発光する受皿発光部202が設けられている。尚、これら扉枠左発光部204L,扉枠右側方発光部204R、供給皿左発光部200L,供給皿右発光部200R及び受皿発光部202の詳細については後述することとする。また、余剰球受皿4の左右側には、内蔵された受皿左LED203a及び受皿右LED203bにより発光する受皿左発光部203L及び受皿右発光部203Rが設けられている。
賞球LED51、球切れLED52、装飾LED25a、天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28c、供給皿左LED200a、供給皿右LED200b、供給皿左右外LED200c、供給皿前LED201a、受皿LED202a、受皿左LED203a、受皿右LED203b等の各種発光手段は、主基板31から出力される演出制御コマンドに基づき演出制御用マイクロコンピュータ81から出力されるシリアル信号に基づいて点灯制御(LED制御)される。また、スピーカ27からの音発生制御(音制御)は、後述する音声出力基板70によって行なわれる。
カードユニット50には、たとえば、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ、記録媒体としてのカードが挿入されるカード挿入口、および、カード挿入口の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を解放するためのカードユニット錠が設けられている。
遊技者の操作により打球発射装置から発射されたパチンコ球は、打球誘導レール117を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。パチンコ球が、第1始動口15aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されるか、または、第2始動口15bに入り第2始動口スイッチ14bで検出されると、特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄が変動表示を始める。特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、保留記憶数を1増やす。
特別図柄表示器8における特別図柄の変動表示は、変動表示が行なわれるごとに設定された変動表示時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が特定表示結果としての大当り図柄(大当り表示結果ともいう)であると、大当りとなり、大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(たとえば10個)のパチンコ球が入賞するまで開放する。そして、特別可変入賞球装置20の開放中にパチンコ球がV入賞領域に入賞しカウントスイッチ23で検出されると、継続権が発生し特別可変入賞球装置20の開放が再度行なわれる。継続権の発生は、たとえば15ラウンドのような所定回数を上限値として許容される。このような制御は、繰返し継続制御と呼ばれる。繰返し継続制御において、特別可変入賞球装置20が開放されている状態がラウンドと呼ばれる。なお、V入賞領域を設けずに、各ラウンドにおいて無条件で継続権が発生するように制御してもよい。
停止時の特別図柄表示器8における特別図柄が大当り図柄のうちの予め定められた特別な大当り図柄(確変大当り図柄)である場合には、大当り遊技状態後に大当りとすると判定される確率(大当り確率)が、大当り遊技状態と異なる通常状態である通常遊技状態よりも高くなる確率変動状態(以下、確変状態と呼ぶ)という遊技者にとってさらに有利な状態になる。以下、確変状態は、高確率状態(高確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。また、非確変状態は、低確率状態(低確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。
また、特別図柄表示器8での変動表示の停止時における特別図柄の表示結果が、確変大当り図柄である場合には、大当り遊技状態後に変動時間短縮状態である時短状態に所定期間に亘り制御される。時短状態とは、通常遊技状態に比べて、特別図柄表示器8、変動表示装置9、および、普通図柄表示器10のそれぞれの変動表示時間(変動開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御状態をいう。さらに、時短状態中には、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、始動入賞装置15の可動片13,13の開放時間が長くされ、開放回数が増加させられる。時短状態中では、図柄の変動表示時間が短縮されるので、後述する保留記憶数が早期に消化され、保留記憶数の上限(たとえば「4」)を超えて発生した始動入賞が無効になってしまう状態を減少でき、短期間に頻繁に表示結果を導出表示して早期に大当り表示結果を導出表示しやすくなるので、時間効率的な観点で変動表示の表示結果が大当り図柄の表示結果となりやすくなり、遊技者にとって有利な遊技状態となる。このように、確変大当りの場合は、大当り遊技状態の終了後の所定期間において、高確率状態かつ時短状態に制御されることとなる。大当り遊技状態の終了後の所定期間に亘る時短状態は、次の大当り遊技状態が発生するか、または、特別図柄および飾り図柄の変動表示が所定回数(100回)行なわれるまでの、いずれか早い方の条件が成立するまで継続される。
また、入賞に応じたパチンコ球の払出しの面から考えると、時短状態は、非時短状態と比べて、普通図柄の変動表示時間が短縮され、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められ、当り時における始動入賞装置15の可動片13,13の開放時間が長くされ、当り時における始動入賞装置15の可動片13,13の1度の開放回数が多くされることに基づいて、通常遊技状態と比べて始動入賞装置15の可動片13,13が開放状態となりやすい。したがって、時短状態では、第2始動口15bへの入賞(始動入賞が有効である場合と無効である場合との両方を含む)が生じやすくなるため、遊技領域7へ打込んだパチンコ球数(打込球数)に対して、入賞に応じた賞球として払出されるパチンコ球数(払出球数)の割合が、通常遊技状態と比べて多くなる。一般的に、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合は、「ベース」と呼ばれる。たとえば、100球の打込球数に対して40球の払出球数があったときには、ベースは40(%)となる。この実施の形態の場合では、たとえば通常遊技状態のような非時短状態よりもベースが高い時短状態を高ベース状態と呼び、逆に、そのような高ベース状態と比べてベースが低い通常遊技状態のような非時短状態を低ベース状態と呼ぶ。
このように、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合が一般的に「ベース」と呼ばれるが、たとえば1分間等の単位時間におけるパチンコ球の最大発射数は、一定数に制限されている。このため、「ベース」は、単位時間において、遊技領域に設けられた複数の入賞口への入賞による賞球の払出球数の合計値によっても示すことができる。たとえば、単位時間におけるパチンコ球の最大発射数を100球とすると、単位時間における入賞による賞球の払出球数の合計値は、一般的な「ベース」の値と一致することとなる。このような関連性に基づいて、本実施形態では、第1始動口15a、第2始動口15b、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、および、第4通常入賞口39のそれぞれを異常監視対象入賞口としており、該異常監視対象入賞口の入賞による賞球の払出球数の合計値は、ベースと呼ばれ、入賞に関する異常監視の対象として用いられる。
確変状態(高確率状態)と非確変状態(低確率状態)とのどちらの状態であるかは、確変状態においてセットされるフラグである確変フラグがセットされているか否かに基づいて判断される。また、時短状態(高ベース状態)と非時短状態(低ベース状態)とのどちらの状態であるかは、時短状態においてセットされるフラグである時短フラグがセットされているか否かに基づいて判断される。
また、前述の時短状態に制御されていない状態においては、特別図柄の保留記憶数が所定個数以上となるごとに、特別図柄および飾り図柄の変動表示時間を短縮する記憶変動短縮状態に制御する記憶変動短縮制御が行なわれる。記憶変動短縮制御は、特別図柄の保留記憶数が所定個数未満となった段階で終了する。したがって、時短状態に制御されていない状態においても、特別図柄および飾り図柄の変動表示時間が短縮される場合がある。
変動表示装置9において変動表示される飾り図柄は、特別図柄表示器8における特別図柄の変動表示の装飾効果を高めるために、特別図柄の変動表示と所定の関係を有して変動表示される装飾的な意味合いがある図柄である。このような図柄についての所定の関係には、たとえば、特別図柄の変動表示が開始されたときに飾り図柄の変動表示が開始する関係、および、特別図柄の変動表示の終了時に特別図柄の表示結果が導出表示されるときに飾り図柄の表示結果が導出表示されて飾り図柄の変動表示が終了する関係等が含まれる。特別図柄表示器8により予め定められた大当り図柄が表示結果として導出表示されるときには、変動表示装置9により、左,中,右図柄がゾロ目となる大当り図柄の組合せが表示結果として導出表示される。このような特別図柄による大当り図柄の表示結果および飾り図柄による大当り図柄の組合せの表示結果は、大当り表示結果という。
特別図柄表示器8と変動表示装置9とは変動表示結果が前述したような対応関係になるため、以下の説明においては、これらをまとめて変動表示部と呼ぶ場合がある。
次に、リーチ表示態様(リーチ)について説明する。本実施形態におけるリーチ表示態様(リーチ)とは、停止した図柄が大当り図柄の一部を構成しているときに未だ停止していない図柄については変動表示が行なわれていること、および、すべてまたは一部の図柄が大当り図柄のすべてまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態である。
たとえば、変動表示装置9において、図柄が停止することで大当りとなる有効ライン(本実施の形態の場合は横1本の有効ライン)が予め定められ、その有効ライン上の一部の表示領域に予め定められた図柄が停止しているときに未だ停止していない有効ライン上の表示領域において変動表示が行なわれている状態(たとえば、変動表示装置9における左,中,右の変動表示領域のうち左,右の表示領域に同一の図柄が停止表示されている状態で中の表示領域は未だ変動表示が行なわれている状態)、および、有効ライン上の表示領域のすべてまたは一部の図柄が大当り図柄のすべてまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態(たとえば、変動表示装置9における左,中,右の表示領域のすべてに変動表示が行なわれており、常に同一の図柄が揃っている状態で変動表示が行なわれている状態)をリーチ表示態様またはリーチという。
また、リーチの際に、通常と異なる演出がLEDや音で行なわれることがある。この演出をリーチ演出という。また、リーチの際に、キャラクタ(人物等を模した演出表示であり、図柄(飾り図柄等)とは異なるもの)を表示させたり、変動表示装置9の背景画像の表示態様(たとえば、色等)を変化させたりすることがある。このキャラクタの表示や背景の表示態様の変化をリーチ演出表示という。また、リーチの中には、それが出現すると、通常のリーチに比べて、大当りが発生しやすいように設定されたものがある。このような特別(特定)のリーチをスーパーリーチという。
また、変動表示装置9については、大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなることを報知する予告演出である大当り予告が行なわれる場合がある。
この実施の形態の場合は、大当りとして、通常大当りおよび確変大当りというような複数種類の大当りが設けられている。以下の説明においては、大当りの種類を特定せずに単に「大当り」と示すときは、これら複数種類の大当りを代表して示す場合である。
通常大当りは、大当り遊技状態の終了後に確変状態にならず、かつ、時短状態にならないことにより、低確率状態、かつ、低ベース状態となる大当り(非確変大当り)である。このような、低確率状態かつ低ベース状態となった状態は、低確低ベース状態と呼ばれる。確変大当りは、大当り遊技状態の終了後に確変状態になり、かつ、所定期間に亘り時短状態になる高確率状態、かつ、高ベース状態となる大当りである。このような、高確率状態かつ高ベース状態となった状態は、高確高ベース状態と呼ばれる。確変大当りとなった後においては、所定期間が経過すると時短状態が終了し、高確率状態、かつ、低ベース状態になる。このような、高確率状態かつ低ベース状態となった状態は、高確低ベース状態と呼ばれる。
また、変動表示装置9については、大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなることを報知する予告演出である大当り予告が行なわれる場合がある。
(パチンコ機の背面(裏面)構造)
次に、パチンコ遊技機1の背面(裏面)の構造について図2を参照して説明する。図2は、パチンコ機及びカードユニットを示す背面図である。
図2に示すように、パチンコ遊技機1裏面側では、変動表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声出力基板70、LEDドライバ基板(図示省略)、および、球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。
さらに、パチンコ遊技機1裏面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板910やタッチセンサ基板91Aが設けられている。電源基板910は、一部が払出制御基板37と重なっているが、払出制御基板37に重なることなく外部から視認可能に露出した露出部分には、パチンコ遊技機1における主基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチが設けられている。さらに、露出部分における電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、電気部品制御基板には、電気部品制御用マイクロコンピュータを含む電気部品制御手段が搭載されている。電気部品制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)にしたがってパチンコ遊技機1に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、変動表示装置9、LEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を電気部品制御基板に含めて説明を行なうことがある。その場合には、電気部品制御基板に搭載される電気部品制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号にしたがってパチンコ遊技機1に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。
パチンコ遊技機1裏面において、上方には、各種情報をパチンコ遊技機1外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板159が設置されている。ターミナル基板159には、少なくとも、球切れ検出スイッチ167の出力を導入して外部出力するための球切れ用端子、賞球情報(賞球個数信号)を外部出力するための賞球用端子および球貸し情報(球貸し個数信号)を外部出力するための球貸し用端子が設けられている。また、中央付近には、主基板31からの各種情報をパチンコ遊技機1外部に出力するための各端子を備えた情報端子基板(情報出力基板)36が設置されている。
尚、前記球切れ用端子、賞球情報(賞球個数信号)及び球貸し情報(球貸し個数信号)は、主基板31から情報端子基板36を介して外部に出力するようにしてもよい。すなわち、このようにターミナル基板159に設けられた球切れ用端子、賞球用端子、球貸し用端子を情報端子基板36に設けることで、配線や基板の取り付け作業等を容易にすることができる。また、ターミナル基板159及び情報端子基板36それぞれに設けられる各端子を1つの基板にまとめて搭載してもよく、このようにすることで製造コストを削減することができる。
図示しない遊技機設置島から供給される球を貯留可能な球タンク38に貯留されたパチンコ球は、タンクレールを通り、カーブ樋を経てケースカバーで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、通路内に球がない旨を検出する遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ197が設けられている。球切れスイッチ197が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ197はパチンコ球通路内のパチンコ球の有無を検出するスイッチであるが、球タンク38内の補給球の不足を検出する球切れ検出スイッチ167も誘導レールにおける上流部分(球タンク38に近接する部分)に設けられている。球切れ検出スイッチ167がパチンコ球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対してパチンコ球の補給が行なわれる。
入賞に基づく景品としてのパチンコ球や球貸し要求に基づくパチンコ球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、パチンコ球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらにパチンコ球が払出されると、スイッチ片19a(図7参照)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ19(図3参照)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチ19がオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。尚、満タンスイッチ19がオンした状態において、球払出装置の動作及び打球発射装置の駆動は必ずしも停止させなくてもよいし、あるいはオンした時点から所定時間経過後に停止させるようにしてもよい。
(パチンコ機の回路構成)
図3は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、パチンコ遊技機1に搭載されている払出制御基板37、LEDドライバ基板35、音声出力基板70、インタフェース基板66、中継基板77、および、演出制御基板80も示されている。主基板(遊技制御基板)31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する基本回路(遊技制御手段に相当)となる遊技制御用マイクロコンピュータ156と、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、カウントスイッチ23、第1入賞口スイッチ29a、第2入賞口スイッチ30a、第3入賞口スイッチ33a、第4入賞口スイッチ39a、満タンスイッチ19からの信号の他、電源断信号およびクリア信号等の各種信号を遊技制御用マイクロコンピュータ156に与える入力ドライバ回路58と、始動入賞装置15の可動片13,13を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21、および、大入賞口内の経路を切換えるためのソレノイド21aを遊技制御用マイクロコンピュータ156からの指令にしたがって駆動する出力回路59と、遊技制御用マイクロコンピュータ156からの指令にしたがって各種の情報信号をホール管理コンピュータ等のパチンコ遊技機1の外部に設けられた装置に出力する情報出力回路53とが搭載されている。情報出力回路53から出力された情報信号は、情報端子基板36を介して、パチンコ遊技機1の外部に出力される。
尚、本実施例では満タンスイッチ19の検出信号は払出制御基板37を経由して主基板31に入力されるようになっているが、払出制御基板37を経由することなく入力ドライバ回路58に直接入力されるようにしてもよい。
情報出力回路53から出力される情報信号としては、大当り1情報信号、大当り2情報信号、大当り3情報信号、高確率情報信号、時短情報信号、第1始動情報信号、第2始動情報信号、第1入賞数異常信号、第2入賞数異常信号、第1ベース異常信号、第2ベース異常信号、および、始動口入賞異常信号が含まれる。
大当り1情報信号、大当り2情報信号および大当り3情報信号のそれぞれは、確変大当り、非確変大当り等の大当りの種類を特定した大当りの発生を示す信号である。高確率情報信号は、確率変動が生じたことを示す信号である。時短情報信号は、時短状態が生じたことを示す信号である。第1始動情報信号は、第1始動口15aへの入賞により特別図柄および飾り図柄の変動表示開始に利用されるパチンコ球が検出されたことを示す信号である。第2始動情報信号は、第2始動口15bへの入賞により特別図柄および飾り図柄の変動表示開始に利用されるパチンコ球が検出されたことを示す信号である。
第1入賞数異常信号は、第1始動口15a、第2始動口15b、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、および、第4通常入賞口39のそれぞれを異常監視対象入賞口として、後述するように実行される入賞数監視処理において、所定の単位時間中での入賞数が第1入賞数異常判定値以上となったことに基づく異常状態(以下、入賞数異常状態または第1入賞数異常状態ともいう)が生じたときに、そのような異常が生じた旨を示す信号である。第2入賞数異常信号は、第1始動口15a、第2始動口15b、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30、第3通常入賞口33、および、第4通常入賞口39のそれぞれを異常監視対象入賞口として、後述するように実行される入賞数監視処理において、所定の単位時間中での入賞数が第1入賞数異常判定値よりも大きい第2入賞数異常判定値以上となったことに基づく異常状態(以下、入賞数異常状態または第2入賞数異常状態ともいう)が生じたときに、そのような異常が生じた旨を示す信号である。
第1ベース異常信号は、前述の異常監視対象入賞口を対象として、後述するように実行される入賞数監視処理において、所定の単位時間中でのこれら入賞口への入賞数に基づく賞球数の合計値(以下、ベースという)が第1のベース異常判定値以上となったことに基づく異常状態(以下、ベース異常状態または第1ベース異常状態ともいう)が生じたときに、そのような異常が生じた旨を示す信号である。第2ベース異常信号は、前述の異常監視対象入賞口を対象として、後述するように実行される入賞数監視処理において、所定の単位時間中でのこれら入賞口への入賞数に基づく賞球数の合計値(ベース)が第1のベース異常判定値よりも大きい第2のベース異常判定値以上となったことに基づく異常状態(以下、ベース異常状態または第2ベース異常状態ともいう)が生じたときに、そのような異常が生じた旨を示す信号である。
始動口入賞異常信号は、第2始動口15bを対象として、可動片13,13が閉状態であるときにパチンコ球が入賞したことに基づく異常状態が生じたときに、そのような異常状態が生じた旨を示す信号である。
なお、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、カウントスイッチ23、第1入賞口スイッチ29a、第2入賞口スイッチ30a、第3入賞口スイッチ33a、第4入賞口スイッチ39a等のスイッチは、センサと称されているものでもよい。すなわち、パチンコ球を検出できる遊技媒体検出手段(この例ではパチンコ球検出手段)であれば、その名称を問わない。入賞検出を行なう第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、カウントスイッチ23、第1入賞口スイッチ29a、第2入賞口スイッチ30a、第3入賞口スイッチ33a、および、第4入賞口スイッチ39aへのパチンコ球の入賞を検出する入賞検出手段でもある。
なお、ゲート32のような通過ゲートであっても、賞球の払出しが行なわれるものであれば、通過ゲートへパチンコ球が進入することが入賞になり、通過ゲートに設けられているスイッチ(たとえばゲートスイッチ32a)が入賞検出手段になる。また、V入賞領域に入賞したパチンコ球がカウントスイッチ23でも検出される。よって、大入賞口に入賞したパチンコ球数は、カウントスイッチ23による検出数に相当する。また、V入賞領域に入賞したパチンコ球はV入賞スイッチのみで検出されるようにし、大入賞口に入賞したパチンコ球数は、V入賞スイッチによる検出数とカウントスイッチ23による検出数との和になるようにしてもよい。また、V入賞領域を設けず、最終ラウンド以外のラウンドでは、常に継続権が発生するようにしてもよい。また、V入賞領域を設け、1ラウンド目は無条件(V入賞領域への入賞によらず)継続権が発生し、2ラウンド目以降においてV入賞領域への入賞により継続権が発生するようにしてもよい。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する変動データ記憶手段)としてのRAM55、およびプログラムにしたがって制御動作を行なうプロセッサであるCPU56、および、I/Oポート57を含む。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。なお、1チップマイクロコンピュータは、CPU56の他に少なくともRAM55が内蔵されていればよい。また、ROM54およびI/Oポート57は、外付けであっても内蔵されていてもよい。
遊技制御用マイクロコンピュータ156においては、CPU56がROM54に格納されているプログラムにしたがって制御を実行する。したがって、以下に説明するような遊技制御用マイクロコンピュータ156が実行する(または、処理を行なう)ということは、具体的にはCPU56がプログラムにしたがって制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。また、遊技制御手段は、CPU56を含む遊技制御用マイクロコンピュータ156で実現されている。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、クロック信号を発生させるクロック回路、システムリセット手段として機能するリセットコントローラ、乱数回路、および、CPU56に割込要求信号を送出するCTCを内蔵する。
乱数回路は、特別図柄および飾り図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否かを判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。この乱数回路は、初期値(たとえば、0)と上限値(たとえば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則にしたがって更新させていき、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bへの始動入賞が生じたときに乱数回路から数値データを乱数値R1として読出し、その数値データに基づいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを判定する。そして、大当りとすると判定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。なお、乱数回路が発生させた乱数は、確変とするか否かを決定するための確変判定用乱数や、特別図柄の変動パターンを決定する変動パターン決定用乱数など、大当りとするか否かの判定以外の判定用乱数として用いてもよい。
乱数回路は、ユーザによる数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および、数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能により、乱数回路は、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路が更新する数値データの初期値を設定する機能を有しており、たとえば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行なって得られた数値データを、乱数回路が更新する数値データの初期値として設定する。これにより、乱数回路が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。また、初期値を設定するときに、IDナンバを用いた所定の演算を行なうことにより、遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバを見ただけでは乱数の初期値を認識しにくくすることができる。そのため、無線信号を用いた取込み信号をパチンコ遊技機1に対して発生させるなどの行為によって、大当り状態への移行条件を不正に成立させられてしまうことをより確実に防止することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
クロック回路は、システムクロック信号をCPU56に出力し、このシステムクロック信号を2の7乗(=128)分周して生成した所定の周期の基準クロック信号CLKを、各乱数回路に出力する。リセットコントローラは、ローレベルの信号が一定期間入力されたとき、CPU56および各乱数回路に所定の初期化信号を出力して、遊技制御用マイクロコンピュータ156をシステムリセットする。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、発生可能な乱数の値の範囲が異なる2つの乱数回路を搭載する。第1の乱数回路は、12ビットの疑似乱数を発生する乱数回路(以下、12ビット乱数回路ともいう)である。12ビット乱数回路は、12ビットで発生できる範囲(すなわち、1から4095までの範囲)の値の乱数を発生する機能を備える。また、第2の乱数回路は、16ビットの疑似乱数を発生する乱数回路(以下、16ビット乱数回路ともいう)である。16ビット乱数回路は、16ビットで発生できる範囲(すなわち、1から65535までの範囲)の値の乱数を発生する機能を備える。2つの乱数回路は、予め選択されたどちらか一方の回路が乱数の発生に用いられる。
なお、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ156が2つの乱数回路を内蔵する場合を説明するが、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1つの乱数回路を内蔵してもよく、3以上の乱数回路を内蔵してもよい。また、この実施の形態では、12ビット乱数回路および16ビット乱数回路を包括的に表現する場合、または、12ビット乱数回路と16ビット乱数回路とのうちいずれかを指す場合に、乱数回路という。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板910において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、パチンコ遊技機1に対する電源電力の供給が停止したときである電源断時でも、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータとは、バックアップデータとして、RAM55に保存される。制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを、遊技の進行状態を示すデータと定義する。この実施の形態では、RAM55の全部の記憶領域が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板910からのリセット信号が入力される。また、払出制御用マイクロコンピュータのリセット端子にも、電源基板910からのリセット信号が入力される。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156および払出制御用マイクロコンピュータは動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156および払出制御用マイクロコンピュータは動作停止状態になる。したがって、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156および払出制御用マイクロコンピュータの動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156および払出制御用マイクロコンピュータの動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(主基板31を含む)に搭載してもよいし、複数の電気部品制御基板のうち一つまたは複数にリセット回路を搭載し、そこからリセット信号を他の電気部品制御基板に供給するようにしてもよい。
さらに、払出制御基板37を経由して、電源基板910からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力ドライバ回路58に入力される。電源断信号は、入力ドライバ回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに入力される。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力ドライバ回路58に入力される。クリア信号は、入力ドライバ回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに入力される。
尚、本実施例では、電源断信号は払出制御基板37を経由して主基板31に入力されるようになっているが、払出制御基板37を経由することなく入力ドライバ回路58に直接入力されるようにしてもよい。また、電源基板910からの電源電圧が所定値以下に低下したことを検出する電断検出回路(図示略)を、主基板31に設けてもよいし、主基板31及び払出制御基板37の双方に設けてもよい。あるいは、電源基板910に設け、電源断信号を主基板31及び払出制御基板37の双方に入力されるようにしてもよい。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、払出制御基板37を経由して、満タンスイッチ19からの満タン信号が入力されたときに、前述した受皿LED202aを発光させる旨を示す演出制御コマンドを演出制御基板80に送信する。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、大当り遊技状態以外の状態においてカウントスイッチ23により球が検出されたとき、すなわち、例えば大当り遊技状態以外の状態において特別可変入賞球装置20の開閉板が前述した不正器具等により遊技者にとって有利な開状態(第1の状態)とされてカウントスイッチ23により球が検出されたときに、エラーが発生したとして、供給皿左LED200a,供給皿右LED200b、供給皿左右外LED200cを発光させる旨を示す演出制御コマンドを演出制御基板80に送信する。
また、クリア信号は、主基板31において分岐され、払出制御基板37にも供給される。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156が入力ポートを介して入力したクリア信号の状態を、出力ポートを介して払出制御基板37に出力してもよい。
また、複数のスイッチのそれぞれは、入力ドライバ回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに接続されている。これにより、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、複数のスイッチのそれぞれから各スイッチの入力状態を示す入力検出信号を受ける。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156が搭載するシリアル出力回路78は、シフトレジスタなどによって構成され、CPU56が出力する演出制御コマンドをシリアルデータに変換して、中継基板77を介して演出制御基板80に送信する。また、シリアル出力回路78は、CPU56が出力する制御信号をシリアルデータに変換して、中継基板77を介して特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41に出力する。なお、特別図柄表示器8、特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10および普通図柄保留記憶表示器41には、シリアルデータをパラレルデータに変換するシリアル−パラレル変換ICがそれぞれ設けられ、中継基板77からの制御信号をパラレルデータに変換して、特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41に供給される。
また、本実施例では、CPU56が出力する制御信号をシリアル出力回路78にてシリアルデータに変換して、中継基板77を介して特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41に出力するようになっていたが、これら特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41からなる各表示器を主基板31に中継基板等を介すことなく直接接続し、CPU56が出力する制御信号をパラレルデータのまま各表示器8、18、10、41に出力するようにしてもよい。このようにすることで、外部から信号が入ることがないので、正確な表示を行うことができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、演出制御基板80に表示制御、音制御、および、LED制御を含む演出制御を指令するための制御信号としての演出制御コマンド(演出制御信号)を送信する。演出制御基板80には、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156からの演出制御コマンドを受信し、変動表示装置9での表示制御を行なう演出制御用マイクロコンピュータ81等の電気部品制御手段が搭載されている。
この実施の形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドをシリアルデータ方式として受信し、飾り図柄を可変表示する可変表示装置9の表示制御を行う。尚、演出制御手段が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドをパラレルデータ方式として受信し、飾り図柄を可変表示する可変表示装置9の表示制御を行うようにしてもよい。
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段が、遊技盤6に設けられているステージLED25bの表示制御を行うとともに、枠側に設けられている賞球LED51、球切れLED52、天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28c、供給皿左右LED200a,200b、供給皿左右外LED200c,供給皿前LED201a、受皿LED202a、受皿左右LED203a,203b、方向LED510a〜510dの表示制御を行い、スピーカ27からの音出力の制御を行う。
また、演出制御基板80の演出制御用マイクロコンピュータ81には、演出制御手段が出力する各LED51、52、28a、28b、28c、200a,200b、200c,201a、202a、203a,203b、510a〜510dを表示制御するための制御信号をパラレルデータからシリアルデータに変換するシリアル出力回路253が搭載されている。また、演出制御基板80の演出制御用マイクロコンピュータ81には、入力したシリアルデータをパラレルデータに変換して演出制御手段に出力するシリアル入力回路254が搭載されている。したがって、演出制御手段は、シリアル出力回路253を介して制御信号をシリアルデータ方式として出力することによって、各LED51、52、28a、28b、28c、200a,200b、200c,201a、202a、203a,203b、510a〜510dの表示制御を行う。
また、遊技盤側には、シリアルデータをパラレルデータに変換するためのシリアル−パラレル変換ICが搭載された盤側IC基板としての装飾基板98、ステージ装飾基板99が設けられている。盤側IC基板98,99は、中継基板88を介して演出制御基板80と接続される。また、前面枠101側には、シリアルデータをパラレルデータに変換するためのシリアル−パラレル変換ICが搭載された各枠側IC基板としての中前板天基板473a、左前板天基板473b、右前板天基板473c(図3参照)、上皿左サイド基板310L、上皿右サイド基板310R(図3参照)、上皿前左反射板332L、上皿前右反射板332R(図3参照)、受皿LED基板353、左幕板LED基板340L、右幕板LED基板340R(図3参照)、ジョグ基板508(図3参照)が設けられている。これら各枠側IC基板473a、473b、473c、310L、310R、332L、332R、353、340L、340R、508は、中継基板88,89を介して演出制御基板80と接続される。
なお、図3に示すように、演出制御基板80、中継基板88および中継基板89は、バス型に1系統の配線ルートで接続される。図4は、中継基板77および演出制御基板80の回路構成例を示すブロック図である。なお、図4に示す例では、演出制御に関して演出制御基板80のみを設ける場合を示すが、LEDドライバ基板および音声出力基板を設けてもよい。この場合、LEDドライバ基板および音声出力基板には、マイクロコンピュータは搭載されていないが、マイクロコンピュータを搭載してもよい。
演出制御基板80は、演出制御用CPU86、RAM85、シリアル出力回路253、シリアル入力回路254、クロック信号出力部256および入力取込信号出力部257を含む演出制御用マイクロコンピュータ81を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU86は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、シリアル入力回路260および入力ポート261を介して演出制御コマンドを受信する。この場合、シリアル入力回路260は、シリアルデータ方式として受信した演出制御コマンドをパラレルデータに変換し出力する。また、演出制御用CPU86は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)262に可変表示装置9の表示制御を行わせる。
この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ81と共動して可変表示装置9の表示制御を行うVDP262が演出制御基板80に搭載されている。VDP262は、演出制御用マイクロコンピュータ81とは独立したアドレス空間を有し、そこにVRAMをマッピングする。VRAMは、画像データを展開するためのバッファメモリである。そして、VDP262は、VRAM内の画像データをフレームメモリを介して可変表示装置9に出力する。
演出制御用CPU86は、受信した演出制御コマンドに従ってCGROM(図示せず)から必要なデータを読み出すための指令をVDP262に出力する。CGROMは、変表示装置9に表示されるキャラクタ画像データや動画像データ、具体的には、人物、文字、図形や記号等(飾り図柄を含む)、および背景画像のデータをあらかじめ格納しておくためのROMである。VDP262は、演出制御用CPU86の指令に応じて、CGROMから画像データを読み出す。そして、VDP262は、読み出した画像データにもとづいて表示制御を実行する。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路74が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。図4には、ダイオードが例示されている。
さらに、演出制御用CPU86は、シリアル出力回路253を介してLEDを駆動する信号を出力する。シリアル出力回路は、入力したLEDを駆動する信号(パラレルデータ)をシリアルデータに変換して中継基板88に出力する。また、演出制御用CPU86は、音声合成用IC173に対して音番号データを出力する。
また、クロック信号出力部256は、クロック信号を中継基板88に出力する。クロック信号出力部256からのクロック信号は、中継基板88,89を介して各枠側IC基板473a、473b、473c、310L、310R、332L、332R、353、340L、340R、508に搭載されたシリアル−パラレル変換ICや入力ICに供給される。また、クロック信号出力部256からのクロック信号は、中継基板88を介して盤側IC基板98,99に搭載されたシリアル−パラレル変換ICや入力ICに供給される。したがって、この実施の形態では、各シリアル−パラレル変換ICおよび各入力ICに共通のクロック信号が供給されることになる。
また、入力取込信号出力部257は、演出制御用CPU86の指示に従って、中継基板88,89を介して、枠側IC基板508に入力取込信号(ラッチ信号)を出力する。枠側IC基板508に搭載された入力ICは、演出制御用マイクロコンピュータ81からの入力取込信号を入力すると、ジョグスイッチ512a〜512dの検出信号をラッチし、シリアルデータ方式として中継基板88,89を介して演出制御用マイクロコンピュータ81に出力する。
また、入力取込信号出力部257は、演出制御用CPU86の指示に従って、中継基板88,89を介して、枠側IC基板508以外の各枠側IC基板473a、473b、473c、310L、310R、332L、332R、353、340L、340Rに入力取込信号(ラッチ信号)を出力する。各枠側IC基板に搭載された入力ICは、演出制御用マイクロコンピュータ81からの入力取込信号の入力の基づいて演出制御コマンドをラッチして取り込む。
音声合成用IC173は、音番号データを入力すると、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路175に出力する。増幅回路175は、音声合成用IC173の出力レベルを、ボリューム176で設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM174には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば飾り図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
また、演出制御基板80の演出制御用マイクロコンピュータ81は、制御信号としてのシリアルデータとともに、クロック信号を中継基板89に出力する。また、入力ICに入力信号をラッチさせるための入力取込信号を中継基板88に出力する。
中継基板88は、演出制御用マイクロコンピュータ81から入力したシリアルデータおよびクロック信号を、盤側IC基板98,99に搭載された各シリアル−パラレル変換ICに供給する。そして、各シリアル−パラレル変換ICは、入力したシリアルデータに付加されているアドレスが自分のアドレスに合致するか否かを確認し、合致していれば入力したシリアルデータをパラレルデータに変換して、遊技盤6に設けられた各LED25a、25bに供給する。
また、中継基板89は、バス型に1系統の配線ルートで中継基板88と接続されており、各シリアル−パラレル変換ICに接続されるシリアルデータ線およびクロック信号線は、盤側IC基板上でバス形式に接続されている。また、盤側IC基板に搭載された各シリアル−パラレル変換ICにはそれぞれ固有のIDがある。
中継基板89に入力されたシリアルデータおよびクロック信号は、各枠側IC基板473a、473b、473c、310L、310R、332L、332R、353、340L、340R、508に搭載された各シリアル−パラレル変換ICに供給される。そして、各シリアル−パラレル変換ICは、入力したシリアルデータに付加されているアドレスが自分のアドレスに合致するか否かを確認し、合致していれば入力したシリアルデータをパラレルデータに変換して、前面枠101に設けられた各LED51、52、28a、28b、28c、200a,200b,200c、201a、202a、203a,203b、510a〜510dに供給する。
また、各シリアル−パラレル変換ICに接続されるシリアルデータ線およびクロック信号線は、各枠側IC基板上でバス形式に接続されている。また、シリアル−パラレル変換ICに接続されるシリアルデータ線およびクロック信号線は、中継基板89から直接接続される。また、各枠側IC基板に搭載された各シリアル−パラレル変換ICにはそれぞれ固有のIDがある。
また、枠側IC基板508には、前面枠101に設けられたジョグスイッチ512a〜512dの検出信号を入力する入力ICが搭載されている。この実施の形態では、枠側IC基板508に搭載された入力ICと演出制御用マイクロコンピュータ81とは、中継基板88,89を介して入力信号線、クロック信号線および入力取込信号線が接続されており、演出制御用マイクロコンピュータ81は、所定のタイミングで、入力取込信号を中継基板88,89を介して入力ICに出力する。すると、入力ICは、入力取込信号(ラッチ信号)に基づいてジョグスイッチ512a〜512dからの検出信号をラッチし、中継基板88,607を介して演出制御用マイクロコンピュータ81に出力する。この場合、入力ICは、ジョグスイッチ512a〜512dからパラレルに入力した検出信号をシリアルデータに変換して出力する。
盤側IC基板88,89に搭載されたシリアル−パラレル変換ICと各枠側IC基板473a、473b、473c、310L、310R、332L、332R、353、340L、340R、508に搭載されたシリアル−パラレル変換ICとは、1系統の配線を介して接続されている。1系統の配線を介して接続とは、具体的には、各中継基板88,89がバス型に接続されているとともに、各シリアル−パラレル変換ICがバス型またはデイジーチェーン型に接続されていることである。なお、この実施の形態では、各シリアル−パラレル変換ICはバス型に接続されている。このように、この実施の形態では、盤側IC基板に搭載された各シリアル−パラレル変換ICと、各枠側IC基板に搭載された各シリアル−パラレルICとが、中継基板88,89を介してコネクタを用いて1系統の配線を介して接続されている。そのため、コネクタの着脱を行うだけで前面枠101と遊技盤6との配線作業を行うことができ、前面枠101と遊技盤6との着脱作業をさらに容易に行えるようにすることができる。
また、この実施の形態によれば、盤側IC基板に搭載されたシリアル−パラレル変換IC、枠側IC基板に搭載されたシリアル−パラレル変換ICおよび入力ICに、演出制御用マイクロコンピュータ81から共通のクロック信号を入力する。そのため、シリアル−パラレル変換ICへのクロック信号の配線と入力ICへのクロック信号の配線とを共通化することができ、演出制御手段と盤側IC基板との間の通信、および演出制御手段と枠側IC基板との間の通信を、それぞれ1チャネルを用いて実現することができ、配線数を低減することができる。また、盤側IC基板に搭載されたシリアル−パラレル変換IC、枠側IC基板に搭載されたシリアル−パラレル変換IC、および入力ICとを容易に同期させることができ、クロック信号用の配線数も低減することができる。
この実施の形態では、各シリアル−パラレル変換ICには、あらかじめアドレスが付与されており、演出制御用マイクロコンピュータ81は、シリアルデータに変換した制御信号を出力する際に、シリアルデータにアドレスを付加して出力する。尚、制御信号は、固定長(コマンドのバイト数(例えば2バイトや3バイトのコマンド))のコマンドで構成され、アドレスに対応するビットを異ならせている。各IC基板に搭載されたシリアル−パラレル変換ICは、シリアルデータを入力すると、入力したシリアルデータに付加されているアドレスが自分のアドレスに合致するか否かを確認し、合致していればパラレルデータに変換して各LEDに供給する(すなわち、出力する)。アドレスが合致していなければ各LEDへの供給は行わない。尚、シリアル−パラレル変換ICに入力されるシリアルデータは、アドレスに対応するビット以外のビットも点灯パターン等に応じて異なっており、これにより各アドレスに対応するLEDが様々な点灯パターンにて発光するようになっている。
つまり、演出制御用マイクロコンピュータ81は、満タンスイッチ19からの満タン信号が入力されたときに遊技制御用マイクロコンピュータ156から出力される受皿LED202aを点滅(発光)させる旨を示す演出制御コマンドを受信したことに基づいて、前面枠101側に設けられた受皿LED202aを制御するための制御信号を出力するときには、枠側シリアル−パラレル変換回路(受皿LED202aに信号を出力する枠側シリアル−パラレル変換回路)を特定可能なアドレス情報を付加した制御信号をシリアル出力回路253からシリアル信号方式で出力する。
また、演出制御用マイクロコンピュータ81は、大当り遊技状態以外の状態においてカウントスイッチ23から球検出信号が入力されたときに遊技制御用マイクロコンピュータ156から出力される供給皿左LED200a,供給皿右LED200b,供給皿左右外LED200cを点滅(発光)させる旨を示す演出制御コマンドを受信したことに基づいて、前面枠101側に設けられた供給皿左LED200a,供給皿右LED200b,供給皿左右外LED200cを制御するための制御信号を出力するときには、枠側シリアル−パラレル変換回路(供給皿左LED200a,供給皿右LED200b,供給皿左右外LED200cに信号を出力する枠側シリアル−パラレル変換回路)を特定可能なアドレス情報を付加した制御信号をシリアル出力回路253からシリアル信号方式で出力する。
このように、演出制御用マイクロコンピュータ81は、シリアルデータに変換した制御信号を出力する際に、シリアルデータにアドレスを付加して出力し、各IC基板に搭載されたシリアル−パラレル変換ICは、シリアルデータを入力すると、入力したシリアルデータに付加されているアドレスが自分のアドレスに合致するか否かを確認し、合致していればパラレルデータに変換して各LEDに供給するようになっているため、前面枠101における遊技盤6以外の箇所に設けられた受皿LED202aや供給皿左LED200a,供給皿右LED200b,供給皿左右外LED200c等のLEDによる発光演出が行われる際に、該発光により遊技盤6側に設けられた変動表示装置9等にて行われている演出が遮られることがないので、演出効果の減退を防止できるとともに、パラレルの場合に比べてシリアルの方が配線数が少なくなるので、配線が容易になる。
(パチンコ機の全体構成(前面側))
次に、パチンコ機1の全体構成(前面側)を説明する。図5は、パチンコ機1を開放した状態を示す斜視図であり、図6は、前面枠及び機構板を斜め背面側から見た状態を示す斜視図である。
パチンコ機1は、図5及び図6に示されるように、複数のパチンコ機1を並設可能な図示しない遊技機設置島に固設される縦長の方形状をなす外枠100と、外枠100の一側を中心に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、前面枠101の一側を中心に開閉可能に取り付けられ、前面枠101の背面側に配置される機構板105と、から主に構成されている。これらのうち外枠100は木材にて構成され、前面枠101及び機構板105は合成樹脂財にて構成されている。
前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及びその下方に配置される上皿扉枠103が一側を中心にそれぞれ開閉可能に設けられているとともに、上皿扉枠103の下方には下皿枠104が取り付けられている。ガラス扉枠102の中央には、閉状態において遊技盤6の表面に形成された遊技領域7の前方を被覆するとともに、該遊技領域7を遊技者側から透視可能とする略円形の透視窓110が設けられている。透視窓110の上部左右側には、前面枠101の上部左右側に配設されるスピーカ27,27から出力される音を放音するための放音穴111が形成されている。
上皿扉枠103は、前面に前述した打球供給皿3が取り付けられているとともに、ガラス扉枠102を開放することにより開放可能となるように構成されている。打球供給皿3の上流側端部には、背面側の機構板105に設けられた球払出装置97から払い出される賞球を受け入れ可能とする払出口112が形成されているとともに、打球供給皿3に待機(貯留)している待機球を前面枠101の背面に形成された後述する余剰球誘導通路に流出させて余剰球受皿4に返却するための球抜き口113が内部に形成されている。また、打球供給皿3の下流側端部には、打球供給皿3に待機している待機球を、後述する発射装置により打ち出される発射位置に誘導する待機球誘導口119が形成されている。尚、打球供給皿3の内部構造については後述する。
下皿枠104は、前面枠101の前面下部に取り付けられており、その前面には、余剰球受皿4及び打球操作ハンドル5が取り付けられている。また、余剰球受皿4の配設位置には、後述する余剰球誘導通路を流下してきたパチンコ球が返却される返却口120が形成されている。尚、余剰球受皿4の内部構造については後述する。
前面枠101は、前述した遊技盤6を背面側から取り付け保持可能に構成されているとともに、該遊技盤6の前面に形成された遊技領域7を前面側から視認可能とするための略円形の遊技用開口114が略中央に形成されている。遊技用開口114の上部左右側には、スピーカ27を有するスピーカユニット27aを前面側から嵌合することにより取り付け可能なスピーカ取付穴115が形成されている。スピーカユニット27aは、スピーカ27本体と、該スピーカ本体を被覆するカバー体とが一体化されてなるものであり、スピーカ取付穴115に取り付けられた状態において、その後部が前面枠101の背面側に突出した状態で取り付けられるようになっている(図10参照)。
上皿扉枠103の閉状態において前記払出口112に対向する箇所には、該払出口112に連通する払出連通口112aが形成されている。また、払出連通口112aの下方には、上皿扉枠103が開放されたときに払出口112から賞球を回収して余剰球誘導通路130に流出させて余剰球受皿4に返却するための賞球返却通路407a(図8参照)に連通する賞球返却口113aが形成されている。また、賞球返却口113aの近傍には、後述するファール球を前面枠101の背面側に形成される余剰球誘導通路130に流出させるためのファール球口116が形成されている。また、ファール球口116のさらに側方には、打球供給皿3から球抜き口113を介して流出された待機球を前面枠101の背面側に形成される余剰球誘導通路130に流出させるための球抜き連通口106が形成されている。
前面枠101の前面における遊技用開口114の下方には、発射装置により打ち出される打球を遊技領域7に向けて誘導する打球誘導レール117(図1参照)が設けられる。また、打球誘導レール117の途中には、発射装置により打ち出されたものの遊技領域7に到達することなく戻ってきたファール球を前述したファール球口116に誘導して回収するファール球誘導通路118(図1参照)が形成されており、該ファール球は、ファール球口116を介して背面側の余剰球誘導通路130に流出された後、余剰球受皿4に返却されるようになっている。また、このファール球誘導通路118近傍には、打球供給皿3から球抜き口113を介して流出された待機球を球抜き連通口106に誘導する球抜き誘導通路(図示略)が形成されており、これらファール球及び待機球はファール球口116及び球抜き連通口106に連通する誘導通路を介して余剰球誘導通路130に流出される。
(パチンコ機の全体構成(背面側))
次に、パチンコ機1の全体構成(背面側)を図7〜図9に基づいて説明する。図7は、前面枠を示す背面図であり、図8は、前面枠の前面に組み付けられる各種部材を示す分解斜視図であり、図9は、前面枠の背面に取り付けられる各種部品を示す分解斜視図である。
前面枠101の裏面下部には、図7〜図9に示されるように、機構板105側に設けられる球払出装置97から払い出されたパチンコ球を払出連通口112aに向けて誘導する第1払出球誘導通路131aに接続される第2払出球誘導通路131bと、上方の払出連通口112aと下方の返却連通口120aとを連通する余剰球誘導通路130と、アウト口26に流入したアウト球を機構板105側に形成された後述する合流通路163に向けて誘導するアウト球誘導通路132と、が形成されている。
第2払出球誘導通路131bの上流側端部は、払出連通口112aの上方位置において第1払出球誘導通路131aの連通口131cに接続され、該第1払出球誘導通路131aを流下してきた払出球が流入されるようになっている。流入した払出球は、後述するバックプレート135に取り付けられた傾斜板133上に落下し、該傾斜板133により前方の払出連通口112aに向けて誘導されるようになっている。また、この第2払出球誘導通路131bの下流側は、払出連通口112aの下端縁から背面側に向けて突設されるとともに、前記傾斜板133が上面に載置される傾斜板保持片133aの側方に形成されており、余剰球誘導通路130の上流側端部と連通している。
従って、打球供給皿3が満杯になって払出連通口112aを介して傾斜板133上まで球が詰まってきた場合、第2払出球誘導通路131bから傾斜板133上に誘導落下された払出球は、傾斜板133から側方に溢れて余剰球誘導通路130内に流入することになる。すなわち、打球供給皿3から溢れた余剰球は、余剰球誘導通路130内に流入して返却連通口120aに誘導されるようになっている。
余剰球誘導通路130は、前面枠101の裏面から背面側に向けて突設された水平な樋板により底面が形成されている。また、前側面は前面枠101の前面板101aにより形成されているとともに、背側面は合成樹脂材からなるバックプレート135及び流し部材136の背面板(図6,図9参照)により形成されており、払出連通口112a側から返却連通口120a側に向けて下方に傾斜するように、左右方向に延設されている。このように余剰球誘導通路130は、底面及び前後側面が被覆されている。
バックプレート135は、図6に示されるように、第2払出球誘導通路131b、余剰球誘導通路130、アウト球誘導通路132の背側面を被覆可能な横長板状に形成されており、その周縁の複数箇所に取り付けられる複数のバックプレート取付ネジN1,N2により前面枠101の背面下部に取り付けられるようになっている。
バックプレート135の上辺には、遊技盤6下部に形成されたアウト口26の背面を被覆するアウト口被覆部材(図示略)との干渉を回避するための切り欠き137が形成されている。また、アウト球誘導通路132の下流側端部との対向位置にはアウト球連通口138が形成されているとともに、第1払出球誘導通路131aの連通口131cとの対向位置には連通口131dが形成されている。
また、バックプレート135の前面には、前述した傾斜板133の後端が傾斜板保持片133aとの対向位置に取り付けられているとともに、アウト球誘導通路132の底面を構成する樋板の背面側の端部と該バックプレート135の前面との間に形成される隙間を塞ぐための突片(図示略)が、樋板に沿って突設されている。
尚、このような突片は、図示はしないが、特に余剰球誘導通路130の上方に形成される樋板、すなわち、余剰球誘導通路130の上方を閉塞している前面枠101の背面に突設された板部材の背面側端部とバックプレート135の前面との間に設けられることが好ましい。つまり、余剰球誘導通路130の上方は、アウト球誘導通路132の底面を構成する樋板を含む前面枠101の背面から略水平に突設される複数の板部材により閉塞され、これら板部材によりアウト口26との連通が遮断されているため、これら板部材の背面側端部とバックプレート135の前面との間に隙間を突片により閉塞することで、余剰球誘導通路130内に進入されたセル板等の不正器具を前記隙間から余剰球誘導通路130の外部に延出してアウト口26にアプローチさせることが困難となる。
また、余剰球誘導通路130の上方には、該余剰球誘導通路130と同様に前面枠101の背面に形成されたアウト球誘導通路132が形成され、これら通路は互いに垂直方向を向く前面枠101の背面に沿って上下に配設されているとともに、互いの通路の背面が1枚のバックプレート135により被覆されることで互いに非連通状態とされているため、返却口120からアウト口26に連通するアウト球誘導通路132への不正器具の挿通が困難となっている。
また、アウト口26と返却口120とは、パチンコ機1の左右方向の略中央位置に互いに上下に配設されているが、返却口120から上流側、すなわち、払出口112側に向けて延設される余剰球誘導通路130は、返却口120の背面奥方において、その上方に配設されたアウト球誘導通路132を避けるように、パチンコ機1を正面から見て左斜め上方(背面から見て右斜め上方)に向けて屈曲形成されていることで、パチンコ機1の前面側から返却口120を介して余剰球誘導通路130内に挿通した不正器具をそのまま押し込んだときにバックプレート135に当たってしまい、さらに奥方まで差し込むためには左側に屈曲させなければならないため、不正器具を挿入し難くなっている。
また、バックプレート135は複数のバックプレート取付ネジN1,N2により前面枠101の背面下部に取り付けられるため、余剰球誘導通路130やアウト球誘導通路132内で球詰まりが発生した場合でもバックプレート135を取り外すことで球詰まりを解消することができる。
流し部材136は、返却連通口120aの背面を被覆するとともに、上面に形成された受け入れ口136aを介して受け入れた余剰球を、返却連通口120a側に向けて誘導可能な前面及び上面が開口する箱状に形成された部材である。そして、その周縁に取り付けられる複数の流し部材取付ネジN3により前面枠101の背面下部に取り付けられるようになっている。
また、受け入れ口136aの後縁辺からは取付片136b(図6参照)が上向きに立設されており、該取付片136bの背面にはバックプレート135の下部が当接されるようになっている(図9参照)。このように流し部材136の背面側にバックプレート135を配置した状態において、バックプレート135の背面下部側から取り付けたバックプレート取付ネジN2を取付片136bの両端に挿通して前面枠101の裏面に形成されたネジ孔に螺入するようになっている。つまり、流し部材136の取付片136bの背面とバックプレート135の下部とが重合した状態で取り付けられることで、バックプレート135が背面側に向けて押圧されても取付片136bとの間に隙間が形成されにくくなっている。
また、余剰球誘導通路130の背面を被覆するバックプレート135は、背面に配置される機構板105が図示しない係止部材等を介して前面枠101に係止されることで、該機構板105の前面により前面枠101側に向けて押圧されるようになっているため(図9参照)、余剰球誘導通路130に挿入されたセル板等によりバックプレート135が背面側に向けて押圧されても、樋板の背面側端部との間に隙間が形成されにくい。
余剰球誘導通路130は、図6,図7に示されるように、通路途中に上下方向に屈曲する段部141が形成されており、該段部141には満タンスイッチ19が設けられている。詳しくは、樋板の一部が段部141において切り欠かれており、該切欠部には、満タンスイッチ19を押圧可能なスイッチ片19aが、前面枠101に枢支された上端を中心に揺動自在に設けられている。スイッチ片19aは、通常時においてその一部が通路内に突出する突出位置に保持されており、余剰球受皿4の球が満杯状態となって満タンスイッチ19の下流側に余剰球が詰まって滞留し、その球によりスイッチ片19aが押圧されて満タンスイッチ19がon状態となった場合には、球払出装置97の駆動が停止されて賞球及び貸球の払出動作が不能動化されるようになっている。
このように余剰球誘導通路130が前面枠101側に形成されているため、満タンスイッチ19も前面枠101に取り付けられている。また、余剰球誘導通路130における段部141の近傍には、前述した賞球返却口113a及びファール球口116が形成されており、ファール球及び返却賞球が、該余剰球誘導通路130を介して余剰球受皿4に返却されるようになっているとともに、返却連通口120aの上方には球抜き連通口106が形成されており、打球供給皿3から流出された待機球が余剰球受皿4に返却されるようになっている。
アウト球誘導通路132は、段部141よりも下流側の余剰球誘導通路130の上方位置において払出連通口112a側に向けて延設されており、前面枠101の裏面から背面側に向けて突設された水平な樋板により底面が形成されている。また、前側面は前面枠101の前面板101aにより形成されているとともに、背側面はバックプレート135(図6,図9参照)により形成されている。
そして、アウト口26から流下してきたアウト球は、下流側端部において背面側に誘導され、バックプレート135に形成されたアウト球連通口138を介して機構板105側に流出されるようになっている。
次に、機構板105の構造について説明すると、図2及び図6に示されるように、機構板105の上部には球タンク38が設けられ、図示しない遊技機設置島の供給樋より導出された供給管(図示略)よりパチンコ球が球タンク38に供給されるようになっているとともに、球タンク38内に貯留されたパチンコ球は、供給球誘導通路160を流下して払出装置97に供給されるようになっている。
また、供給球誘導通路160の経路中には球切れスイッチ197が設けられており、この球切れスイッチ197により払出装置97での1回の球貸球数である25球のパチンコ球が通路内に準備されているか否かが検出されるようになっている。
この払出装置97には、球切り用のスプロケット(図示略)が設けられており、これらスプロケットが駆動回転されることでパチンコ球が1球ずつ下方に排出されるようになっている。また、スプロケットが同期回転することで交互にパチンコ球が排出される。尚、これら排出されたパチンコ球は、図示しない賞球用カウントスイッチにて検出された後、前述した第1払出球誘導通路131aを流下し、前面枠101側の第2払出球誘導通路131b内に流出して打球供給皿3に供給されるようになっている。
また、供給球誘導通路160における球払出装置97の配置位置の上流側には、球タンク38及び供給球誘導通路160内のパチンコ球を排出するための球抜き通路161の上端が接続されており、球抜き弁(図示略)を球抜きレバー(図示略)を操作することにより、球タンク38及び供給球誘導通路160内のパチンコ球を外部に排出することができるようになっている。
球抜き通路161は、機構板105の前面におけるアウト球連通口138との対向位置に形成された合流口162まで延設されている。また、合流口162からは、合流通路163が下方に向けて延設されている。つまり、アウト球誘導通路132を流下してくるアウト球及び後述する入賞球は、アウト球連通口138及び合流口162を介して合流通路163内に流入し、機構板105の下面から機構板105外部に排出されるようになっている。尚、機構板105外部に排出されたパチンコ球は、図示しない遊技機設置島に設けられるアウト球タンク内に落下し、計数された後に遊技機設置島内に貯留される。
また、機構板105の下部前面側には、前述した遊技領域7において各種入賞口15,20,29,30,33,39に入賞した入賞球を回収する入賞球回収路164が設けられている。各種入賞口15,20,29,30,33,39に入賞した入賞球は、遊技盤6を通して背面側に流出された後、図7に示されるように、遊技盤6の背面を覆うように形成された入賞球誘導カバー体170(図7参照)により収集されるようになっている。収集された入賞球は、図7に示されるように、入賞球誘導カバー体170の下面に形成された流出口を介して下方に流出された後、該流出口の鉛直下方に配置される入賞球回収路164(図6参照)の上面開口から入賞球回収路164内に落下される。
入賞球回収路164内に落下した入賞球は、その下部に形成された連通路165を介して前面枠101側のアウト球誘導通路132の上流部に流出されるようになっている。つまり、回収された入賞球は、アウト球誘導通路132から再び機構板105側の合流通路163に流出されるため、機構板105を介して外部に排出されることになる。
このように機構板105には、第1払出球誘導通路131a,供給球誘導通路160,球抜き通路161,合流通路163,入賞球回収路164等の余剰球誘導通路130を除く各種球通路が形成されている。
以上説明したように、本実施例のパチンコ機1にあっては、余剰球誘導通路130を、打球供給皿3から溢れた余剰球が機構板105を介すことなく余剰球受皿4に誘導されるように前面枠101の背面に形成するとともに、該前面枠101の背面における余剰球誘導通路130近傍に満タンスイッチ19を設けているため、従来のように、余剰球誘導通路130の一部に機構板105側に形成した通路との連通部等が形成されることがないので、余剰球受皿4から不正器具等を進入させても、該不正器具を余剰球誘導通路130の外部に突出させることが困難となるため、不正器具を前面枠101の背面とその背面側に配置される機構板105の前面との間からアウト口26を介して遊技領域7内の特別可変入賞球装置20の開閉板等を強制的に開放させて球を不正に入賞させるといった不正行為を効果的に防止することができる。
また、余剰球誘導通路130が前面枠101から機構板105にわたり形成されることがない、つまり通路内における前面枠101と機構板105との連通部に段部等が形成されることがないので、球詰まりの発生等が防止される。
(前面枠の前面に対する各種部品の取付構造)
次に、前面枠101の前面側から取り付けられる各種部材について、図8に基づいて説明する。図8は、前面枠の前面に組み付けられる各種部材を示す分解斜視図である。
前面枠101の上部左右側に形成されたスピーカ取付穴115,115には、前述したように、スピーカユニット27a,27aが前面側から取り付けられる。スピーカユニット27aの上面には、スピーカ取付穴115,115の上部内面に形成された前後方向を向く位置決め片27cに嵌合可能な位置決め溝27bが、上面後端から前方に向けて凹設されている。よって、スピーカユニット27aは、位置決め溝27bを位置決め片27cに合わせた状態で前面枠101の前面側からスピーカ取付穴115,115に向けて後部を挿入することにより、位置決め溝27bの前壁が位置決め片27cの前端に当接規制されることにより前後位置が決定されるとともに、スピーカ取付穴115,115に対してがたつきなく嵌合される。
この状態で、スピーカユニット27aに形成された各取付ネジ孔27dにスピーカ取付ネジ27eを取り付け、前面枠101に設けられたネジ孔27fにそれぞれ螺入することで前面枠101に取り付けられる。このようにスピーカ取付穴115,115に取り付けられた状態において、スピーカユニット27aの後部が前面枠101の裏面から背面側に向けて張り出すようになっている。
尚、スピーカユニット27aは、スピーカ27の音出力部(コーン正面)が前面に開放されるように、後方の本体部が箱状のカバー体(エンクロージャ)内に収納されて一体化されたものであるため、スピーカのコーンから正面に出る音と背面に出る音とが効果的に遮断され、これにより音が打ち消しあうことが防止されることで、特に低音域の音質が効果的に向上されるようになっている。尚、スピーカユニット27aの前面におけるスピーカ27の音出力部(コーン)の外側方には、カバー体(エンクロージャ)の内部(スピーカ背面)に連通する縦長長方形状の開口部が形成されており、背面からの音も利用して低音再生が行われることで、より音質が向上するようになっている。
また、左右のスピーカユニット27a,27aの間には、該スピーカユニット27aから延出される配線を被覆するスピーカ配線カバー400が、スピーカユニット27aの中央側を取り付ける取付ネジ27eにより取り付けられるとともに、左側のスピーカユニット27aの近傍に取り付けられるスピーカ中継基板401が、スピーカ配線カバー400により被覆されるようになっている。
前面枠101の前面における遊技用開口114の左側には、該前面枠101を補強する上下方向を向く上前面枠補強板金402がネジを介して取り付けられる。上前面枠補強板金402の下端には、上皿扉枠103の上端を回動自在に枢支する中ヒンジ板金403が取り付けられるとともに、その下方位置には、上皿扉枠103の下端を回動自在に枢支する下ヒンジ板金404が取り付けられている。また、上前面枠補強板金402よりも中央側には、破損防止カバー405が取り付けられている。
払出連通口112aの近傍には、シリアル中継基板406が取り付けられるとともに、その前方には貯留カバー407が取り付けられる。貯留カバー407は、ガラス扉枠102の開放時に払出連通口112aからこぼれた賞球を賞球返却口113aに誘導する賞球返却通路407aが背面側に形成されているとともに、この前面側に配置される打球供給皿3の裏面に形成される球抜き口113と対向する箇所には該球抜き口113と連通する球抜き連通口407bが形成されており、背面側に形成されるファール球誘導通路118に連通されている。
貯留カバー407の右側には、打球誘導レール117を構成する発射点レール408が取り付けられるとともに、さらにその右側には、上皿扉枠103をロックするロック装置のロック片(図示略)が係止される被係止部を有する上皿ロック409が取り付けられているとともに、その前方には錠前飾り411が取り付けられている。尚、遊技用開口114の内周左右側には、遊技盤6の帯電を防止するための中アース板金410,410がそれぞれ取り付けられている。
(前面枠の背面に対する各種部品の取付構造)
次に、前面枠101の背面側から取り付けられる各種部材について、図9に基づいて説明する。図9は、前面枠の背面に取り付けられる各種部品を示す分解斜視図である。尚、図9においては、前面枠101の背面を正面から見た状態として説明する。
前面枠101の背面上部におけるスピーカ取付穴115,115間には、ドアスイッチを構成するスイッチバー415、前板スイッチバネ416、ドアスイッチカバー417が取り付けられている。スイッチバー415は、前後方向を向く棒材にて構成されており、前板スイッチバネ416により前面側に向けて付勢された状態で設けられている。そして、通常状態においては、その前端が前面枠101の前面側に突出しており、前面枠101の前面側に配置されるガラス扉枠102が閉状態となったときに、該ガラス扉枠102の背面所定箇所に当接し、前板スイッチバネ416の付勢力に抗して背面側に向けて移動されるようになっている。
また、ガラス扉枠102により背面側に押圧された状態において、スイッチバー415の後端はドアスイッチカバー417から貫通して背面側に突出されるとともに、この状態において、前面枠101の背面側に配置される機構板105に設けられた前板スイッチ(図示略)を押圧するようになっている。
すなわち、ガラス扉枠102が開放されたときには、スイッチバー415の前端は開放されるので、前板スイッチバネ416の付勢力により前方に付勢され、後端は前記前板スイッチ(図示略)から離脱されるので、ガラス扉枠102の開放が検出されるようになっている。
また、ガラス扉枠102が閉状態においては、スイッチバー415の後端は前記前板スイッチ(図示略)を押圧する状態で保持されるが、機構板105が開放された場合には、スイッチバー415は保持されたままであるが、その後端から前記前板スイッチ(図示略)が機構板105とともに離脱されるため、機構板105の開放も検出できる。
前面枠101における左右のスピーカ取付穴115,115は、前面枠101の上部背面から後向きに突設された膨出壁からなる膨出部121,121の内部にそれぞれ形成されている。膨出部121,121の背面におけるスピーカ取付穴115,115の背面側開口123の側方に形成された垂直面122及び左側下部には、機構板105を前面枠101の背面に近接配置した状態で保持するための機構板止め具418a,418bがそれぞれ突設されているとともに、遊技用開口114の右側上下位置には、機構板105の右側辺の上下端部を回動自在に支持する上機構板ヒンジ419a及び下機構板ヒンジ419bがそれぞれ突設されている。
また、前面枠101の背面右側上下角部には、外枠100に対して前面枠101を回動自在に枢支するための上内蝶番420a及び下内蝶番420bが取り付けられている。また、上機構板ヒンジ419aの近傍には上アース板金421aが取り付けられ、背面左下角部には下アース板金421bが取り付けられている。
遊技用開口114の周囲には、遊技盤6を遊技用開口114に対して着脱自在に保持するための上下一対の左遊技盤押え部材422a及び右遊技盤押え部材422bがそれぞれ4箇所に設けられている。また、背面左側には、外枠100に対して前面枠101を施解錠可能であるとともに、前面枠101に対してガラス扉枠102を施解錠可能な施解錠装置423が、左側辺部に沿って上下方向に設けられている。
背面右側には、下前面枠補強板金424が上下方向に向けて取り付けられている。また、余剰球誘導通路130における段部141(図8参照)の近傍には、前述した満タンスイッチ19、スイッチ片19a、前面枠中継基板424が配設されている。また、アウト球誘導通路132の上流側端部近傍に形成された凹部には、遊技盤6の下部を保持するためのセンターフック425が配設されているとともに、その下方には配線押さえ426が取り付けられている。
尚、バックプレート135、流し部材136に係わる部材に関しては、図6において説明済みであるため、ここでは同様の符号を付すことによりその説明は省略するものとする。
(ガラス扉枠構造)
次に、図10〜図13に基づいて、ガラス扉枠102の構造を説明する。図10は、前板飾りの前面に取り付けられる各種部品を示す分解斜視図であり、図11は、(a)は前板ベースの背面に取り付けられる各種部品を示す分解斜視図であり、(b)は前板ベースの前面に取り付けられる各種部品を示す分解斜視図であり、図12は、前板飾りと前板ベースとの組み付け状態を示す斜視図であり、図13は、前板ベースの前面に取り付けられる各種部品の一部及び背面に配置されるLED基板を示す分解斜視図である。
ガラス扉枠102は、図12に示されるように、遊技者側から遊技盤6の表面に形成された遊技領域7を透視可能とするための円形状の透視用開口450aが中央に形成された前板飾り451(図10参照)と、前板飾り451の背面に取り付けられ、円形状のガラス窓取付用開口452aが中央に形成された前板ベース452(図11参照)と、から構成される。これら各部材451,452に形成される透視用開口451a及びガラス窓取付用開口452aは、その円弧の下部が各部材の下端辺から下方に向けて湾曲状に張り出すように形成されている。
まず、図10に基づいて前板飾り451の構造を説明すると、透視用開口451aの上方左右側には、スピーカ27から出力される音を前方に向けて放音させるための円形状の放音穴453,453がそれぞれ形成されている。また、左右の放音穴453,453の間には、後述するトップレンズが背面側から嵌合されるトップレンズ取付部464が前面側に突出するように形成されている。
前板飾り451の前面における透視用開口451aの周囲には、放音穴454が上部に形成された左上クリアベース455a及び右上クリアベース455bと、これら左上クリアベース455a及び右上クリアベース455bの下方に配置される左下クリアベース456a及び右下クリアベース456bが取り付けられる。
これら左上クリアベース455a、左下クリアベース456a及び右上クリアベース455b、右下クリアベース456bそれぞれの外側には、図13に示すように、横断面略凹溝状のレンズ配置部610が上下方向に向けて形成されている。詳しくは、左上クリアベース455a、左下クリアベース456aの外側のレンズ配置部610には、上下方向に延びる直線状のサイドインナーレンズ457a,457cが上下に配置され、その前面側には、透明な合成樹脂材からなる帯状の左サイドレンズ458a及び右サイドレンズ458bが取り付けられている。また、右上クリアベース455b、右下クリアベース456bの外側のレンズ配置部610には、上下方向に延びる直線状のサイドインナーレンズ457b,457dが上下に配置され、その前面側には、透明な合成樹脂材からなる帯状の右サイドレンズ458bが取り付けられる。
尚、これら左右のレンズ配置部610には、後述する6個の第1反射部612及び5個の第2反射部613が長手方向に向けて交互に形成されているとともに、該レンズ配置部610の表面はメッキ処理が施されている。
これら棒状のサイドインナーレンズ457a〜457dにより、その背面側に6個ずつ配置される左枠LED28b,右枠LED28cの光が上下方向に拡散されるようになっている。また、前面4隅には、ガラス扉枠102を回動するためのヒンジ(図示略)及び回動軸の他端を係合する係合部を被覆するヒンジカバー459a〜459dがそれぞれ取り付けられている。
放音穴453,453とトップレンズ取付部464との間には、透明なレンズからなり、LEDの光を透過可能な飾り部材460,460が取り付けられるとともに、左右の放音穴453,453の前面側には、スピーカ27のコーン等を保護するためのスピーカネット461が取り付けられるとともに、放音穴453,453の周囲を装飾する上ストラクチャー462a,462bが取り付けられる。また、下部左右側には、フレーム構造をなす下ストラクチャー462c、462dが取り付けられる。
さらに、前板飾り451の前面における透視用窓451aの左右側部に設けられる各種部材をそれぞれ前面側から被覆する透明な左クリアレンズ463a,右クリアレンズ463bと、前板飾り451の前面における透視用窓451aの上部を被覆する透明な上クリアレンズ463cがそれぞれ取り付けられる。尚、これら左クリアレンズ463a,右クリアレンズ463bを通して上ストラクチャー462a,462bや下ストラクチャー462c、462dが視認可能とされている。
また、上記各種レンズは、LEDからの光を透光可能な透光性を有する合成樹脂材等にて構成されていればよい。
次に、図11に基づいて前板ベース452の構造を説明すると、図11(a)に示されるように、ガラス窓取付用開口452aには、透明なガラス窓(図示略)が背面側から取り付けられ、ガラス窓取付用開口452aの周囲4箇所に設けられた窓押さえ470により保持されるようになっている。また、ガラス窓取付用開口452aの上部左右側には円筒状の放音穴471が形成されている。
前板ベース452の背面左右側辺部及び上辺部には、左前板補強板金472a,右前板補強板金472b,上前板補強板金472cがそれぞれネジにより取り付けられて補強されている。
図11(b)に示されるように、前板ベース452の前面下辺部には、下前板補強板金472dが前面側から取り付けられて補強されている。前面における左右の放音穴471,471間には、天枠LED28aが前面に複数実装された中前板天基板473a及びその左右側に配設される左前板天基板473b及び右前板天基板473cが取り付けられているとともに、左前板天基板473b及び右前板天基板473cの前面側には、左天基板シート474a,右天基板シート474bが取り付けられる。
前板ベース452の前面左右辺部には、複数の左枠LED28b及び1つの賞球LED51が前面に実装された上下方向に延びる左前板基板475aと、複数の右枠LED28c及び1つの球切れLED52が前面に実装された上下方向に延びる右前板基板475bとが取り付けられるとともに、これらの前面側には、左前板基板シート476a及び右前板基板シート476bが取り付けられる。
このように構成された前板飾り451及び前板ベース452は、図12に示されるように、前板ベース452の前面と前板飾り451の背面とを互いに当接させた状態でネジ止めすることにより一体化されて、ガラス扉枠102として構成される。尚、前板飾り451のトップレンズ取付部464には、トップレンズ480、トップレンズカバー481、トップレンズベース482が背面側から取り付けられ、これらトップレンズ480、トップレンズカバー481、トップレンズベース482が取り付けられた状態で前板飾り451と前板ベース452とが一体化される。
また、前板飾り451の前面下辺部には、下飾り483が配置され、該下飾り483の裏面に、前板飾り451と前板ベース452とを一体化するためのネジが螺入されるようになっている。また、前板ベース452の背面における左前板補強板金472a背面には、前板返し板金477が取り付けられる。
(左右発光部構造)
次に、図14〜図19に基づいて、左発光部28L及び右発光部28Rの詳細な構造を説明する。図14は、前板飾りの前面を示す要部拡大正面図であり、図15は、前板飾りに対するサイドインナーレンズの取付状態を示す要部拡大斜視図であり、図16は、図14のA−A断面図であり、図17は、(a)は図16のB−B断面図、(b)は図16のC−C断面図、(c)は図16のD−D断面図であり、図18は、サイドインナーレンズにおける導光状態を示す断面図であり、図19は、サイドインナーレンズの発光状態を示す概略図である。
尚、図17(a)における図16のB−B断面図及び図17(c)における図16のD−D断面図は、図示を明確にするために後述する第1の凹部603及び第2の凹部604の上下中央位置よりもやや下方位置にて切断した状態を示す断面図としている。
尚、左発光部28L及び右発光部28Rの構造はほぼ同様であるため、ここでは右発光部28Rについて説明し、左発光部28Lの構造の詳細な説明は省略する。また、右発光部28Rに設けられるサイドインナーレンズ457b,457dは上下対象に形成されているため、図14〜図19においては、両者のうち下方のサイドインナーレンズ457dの詳細な構造のみを説明し、サイドインナーレンズ457bの詳細な説明は省略することとする。
右発光部28Rには、図14に示されるように、前述した導光部材としてのサイドインナーレンズ457b,457d(サイドインナーレンズ457bは図示略)及びその背面(裏面)側に配置される右枠LED28cとから主に構成される直線発光部600が、前板飾り451における右側辺に沿って上下方向に設けられている。
サイドインナーレンズ457dは、特に図15に示されるように、透明な合成樹脂材により棒状に形成されている。詳しくは、帯状に形成される板状部601と、板状部601の左右方向の前面中央部から前方に向けて延設される中央リブ602C及び板状部601の左右方向の前面端部からそれぞれ外側斜め前方に向けて延設される左リブ602L,右リブ602Rと、が一体成形により構成されている。つまり、上下方向に延設されるサイドインナーレンズ457dは、左右方向に並設されるとともに、それぞれの後端が一体化されてなる3本の左リブ602L,中央リブ602C,右リブ602Rにて構成され、左リブ602L及び右リブ602Rは、中央リブ602Cに対して所定角度傾斜した状態で設けられているため、左リブ602Lと中央リブ602Cとの間及び右リブ602Rと中央リブ602Cとの間には、断面略三角形状をなす空間が上下方向に向けて形成されている。
これら左リブ602L,中央リブ602C,右リブ602Rの前端面及び板状部601の裏面には、長手方向にわたりローレット加工が施され、開角θ3=90度をなす縦断面三角形状の切欠が上下方向に向けて連続して形成されており(図16参照)、内部の光が外方に放射されるようになっている。
サイドインナーレンズ457dの裏面には、板状部601裏面から左リブ602L,中央リブ602C,右リブ602Rの基部までの深さを有するとともに、左右幅方向に延びる3個の第1の凹部603及び2個の第2の凹部604(図13参照)が、長手方向に向けて所定間隔おきに交互に凹設されている。また、サイドインナーレンズ457dの表面側における第1の凹部603に対応する箇所には、第1の凹部603を形成するための第1の凸部605が、左リブ602Lと中央リブ602Cとの間及び右リブ602Rと中央リブ602Cとの間にそれぞれ前方に向けて凸設されているとともに、サイドインナーレンズ457dの表面側における第2の凹部604に対応する箇所には、第2の凹部604を形成するための第2の凸部606が、左リブ602Lと中央リブ602Cとの間及び右リブ602Rと中央リブ602Cとの間にそれぞれ前方に向けて凸設されている。
第1の凹部603は、図15及び図18に示されるように、垂直方向を向く垂直導入面607aと、該垂直導入面607aの上端から裏面側に向けて連設され、水平方向を向く上水平導入面607bと、該垂直導入面607aの下端から裏面側に向けて連設され、水平方向を向く下水平導入面607cと、により側面視略逆コ字形に形成された照射光導入面を構成しており、その裏面側に配置される右枠LED28cからの照射光が該サイドインナーレンズ457d内部に導入されるようになっている。
尚、垂直導入面607aには上下方向にわたりローレット加工が施され、開角θ3=90度をなす縦断面三角形状の切欠が上下方向に向けて連続してなる光拡散部が形成されており、内部の光が外方に放射されるようになっている。
第2の凹部604は、垂直方向を向く垂直反射面608aと、該垂直反射面608aの上端から裏面側に向けて上方に傾斜する上傾斜反射面608bと、該垂直反射面608aの下端から裏面側に向けて下方に傾斜する下傾斜反射面608cと、からなる反射面を構成しており、上記照射光導入面から内部に導入されてサイドインナーレンズ457d内部を長手方向に向けて誘導された光を前側に向けて反射するようになっている。
尚、本実施例では、垂直反射面608aにはローレット加工が施されていないが、該垂直反射面608aの上下方向にわたりローレット加工を施し、開角θ3=90度をなす縦断面三角形状の切欠が上下方向に向けて連続してなる光拡散部が形成されるようにしてもよく、このようにすることで内部の光が外方に放射されるため、第2の凸部606における輝度を高めることができる。
サイドインナーレンズ457dの下端には、前記第2の凹部604の上半分、つまり上下幅寸法が垂直反射面608aの上下幅寸法の半分の垂直反射面608a’(図示略)と上傾斜反射面608b’(図示略)とからなる第2の半凹部604’が形成されているとともに、その前面側には、該第2の凹部604’を形成するための第2の半凸部606’(図14,図19参照)が凸設されている。
尚、特に図示はしないが、サイドインナーレンズ457dと上下対象に形成されるサイドインナーレンズ457bの上端にも、第2の半凹部604’及び第2の半凸部606’が同様に形成されている。
また、特に図示はしないが、サイドインナーレンズ457dの上端には、特に詳細な図示はしないが、前記第2の凹部604の下半分、つまり上下幅寸法が垂直反射面608aの上下幅寸法の半分の垂直反射面608a’(図示略)と下傾斜反射面608c’(図示略)とからなる第2の半凹部604’(図示略)が形成されているとともに、その前面側には、該第2の凹部604’(図示略)を形成するための第2の半凸部606’(図示略)が凸設されている。
すなわち、このサイドインナーレンズ457dと上下対象に形成されるサイドインナーレンズ457bの下端には、特に詳細な図示はしないが、前記第2の凹部604の上半分、つまり上下幅寸法が垂直反射面608aの上下幅寸法の半分の垂直反射面608a’(図示略)と上傾斜反射面608b’(図示略)とからなる第2の半凹部604’(図示略)が形成されているとともに、その前面側には、該第2の半凹部604’(図示略)を形成するための第2の半凸部606’(図示略)が凸設されているため、これらサイドインナーレンズ457dの上端に形成される第2の半凹部604’とサイドインナーレンズ457bの下端に形成される第2の半凹部604’とにより、互いの上下端部同士を付き合わせたときに1つの第2の凹部604及び第2の凸部606が形成されるようになっている。
一方、前板飾り451の前面には、図15に示されるように、サイドインナーレンズ457dを前方から配置可能な前述したレンズ配置部610が、前板飾り451の右側辺に沿って上下方向に向けて延設されている。レンズ配置部610は、サイドインナーレンズ457dが配置された状態において板状部601の裏面と当接する底壁面610aと、左リブ602Lの外面及び右リブ602Rの外面それぞれと当接する傾斜壁面610b,610cとから前方に開放する横断面略凹溝状に形成されている。
底壁面610aには、該底壁面610aの裏面側に配置される各右枠LED28cとの対向位置に、該右枠LED28cの照射面を前方に露呈させるための照射用開口611が上下方向にわたって複数形成されており、上下方向に向けて所定間隔おきに配設された各右枠LED28cからの照射光を前方に向けて照射させることができるようになっている。
照射用開口611の前方には、サイドインナーレンズ457dが配置された状態において、第1の凹部603内に収容されて係合する三角柱状の照射光反射部612が左右方向に向けて架設されている。この照射光反射部612の裏面側には、図18に示されるように、裏面側に向けて下方に傾斜する上照射光反射面612bと、裏面側に向けて上方に傾斜する下照射光反射面612cとがそれぞれ形成されている。上照射光反射面612bは、右枠LED28cからの照射光を、該第1の凹部603の上方に設けられた第2の凹部604の下傾斜反射面608cに向けて反射させて、上水平導入面607bに入射させる。下照射光反射面612cは、右枠LED28cからの照射光を、該第1の凹部603の下方に設けられた第2の凹部604の上傾斜反射面608bに向けて反射させて、下水平導入面607cに入射させるようになっている。
また、底壁面610aには、サイドインナーレンズ457dが配置された状態において、第2の凹部604内に嵌合される補助反射部613が前方に向けて凸設されている。補助反射部613は、垂直方向を向く垂直補助反射面613aと、該垂直補助反射面613aの上端から裏面側に向けて上方に傾斜する上補助反射面613bと、該垂直補助反射面613aの下端から裏面側に向けて下方に傾斜する下補助反射面613cと、により縦断面略三角形状に形成されており、サイドインナーレンズ457dが配置された状態において、垂直補助反射面613aは垂直反射面608aの裏面に当接し、上補助反射面613bは上傾斜反射面608bの裏面に当接し、下補助反射面613cは下傾斜反射面608cの裏面に当接するようになっている。
また、底壁面610aの下端部には、特に詳細な図示はしないが、前記補助反射部613の上半分、つまり上下幅寸法が垂直補助反射面613aの上下幅寸法の半分の垂直補助反射面613a’(図示略)と上補助反射面613b’(図示略)とからなる半補助反射部613’(図16参照)が形成されており、サイドインナーレンズ457dが配置された状態において、サイドインナーレンズ457dの下端の垂直反射面608a’(図示略)が垂直補助反射面613a’(図示略)に、また、上傾斜反射面608b’(図示略)が上補助反射面613b’(図示略)に当接もしくは近接するようになっている。
また、底壁面610aの上端部には、特に詳細な図示はしないが、前記補助反射部613の下半分、つまり上下幅寸法が垂直補助反射面613aの上下幅寸法の半分の垂直補助反射面613a’(図示略)と下補助反射面613c’(図示略)とからなる半補助反射部613’(図示略)が形成されており、サイドインナーレンズ457bが配置された状態において、サイドインナーレンズ457bの上端の垂直反射面608a’(図示略)が垂直補助反射面613a’(図示略)に、また、下傾斜反射面608b’(図示略)が下補助反射面613b’(図示略)に当接もしくは近接するようになっている。
レンズ配置部610を構成する前板飾り451及び照射光反射部612,補助反射部613は、非透光性の合成樹脂材にて構成されているとともに、底壁面610a、傾斜壁面610b,610c及び上記各反射面612a〜612c,613a〜613cにはメッキ処理が施されているため、サイドインナーレンズ457d内部から放射される光を損失させることなく効率よく反射して再度内部に入射させるようになっている。
次に、上述のように構成されたサイドインナーレンズ457d、前板飾り451、右枠LED28cの詳細な構造及び互いの配置関係等について説明する。
図14に示されるように、サイドインナーレンズ457dの表面側には、第1の凸部605(第1の凹部603)と第2の凸部606(第2の凹部604)とがそれぞれ上下方向に向けてほぼ一定間隔おきに交互に形成されている。尚、図14の拡大図には、左リブ602L,中央リブ602C,右リブ602R及び第1の凸部605,第2の凸部606に係る寸法(単位はmm)が記載されている。尚、該寸法は小数第2以下を四捨五入した寸法としている。
第1の凹部603及び第2の凹部604は、図16及び図18に示されるように、裏面側に向けて開放する凹溝状に形成されている。詳しくは、第1の凹部603を構成する垂直導入面607aの上下幅寸法L1は約5mmであり、上水平導入面607b及び下水平導入面607cの前後幅寸法L2は約2.5mmとされている。
この第1の凹部603内に収容される照射光反射部612の垂直反射面612aの上下幅寸法は、前記垂直導入面607aの上下幅寸法L1よりも短寸とされており、垂直反射面612aの上端と上水平導入面607bとの間及び垂直反射面612aの下端と下水平導入面607cとの間には僅かな隙間が形成されている。よって、右枠LED28cからの照射光がこの僅かな隙間から照射光反射部612よりも前方に向けて放射されるようになっている。
照射光反射部612は、上傾斜反射面612bと下傾斜反射面612cとの接合端辺、すなわち頂辺が底壁面610aよりもやや前方に位置するように設けられている。また、上水平導入面607bに対する上傾斜反射面612bの傾斜角度及び下水平導入面607cに対する下傾斜反射面612cの傾斜角度θ1はそれぞれ約45度とされている。各右枠LED28cは、光を前方に向けて略水平に照射、すなわち、垂直導入面607aに対して直交方向に照射するように配置されているため、該右枠LED28cからの照射光は、上傾斜反射面612bと下傾斜反射面612cとによりそれぞれ上下方向に反射されるようになっている。
第2の凹部604を構成する垂直反射面608aの上下幅寸法L4は約1.8mmであり、上傾斜反射面608bの上下幅寸法L5及び下傾斜反射面608cの上下幅寸法L6、すなわち、上傾斜反射面608b及び下傾斜反射面608c上下の端辺間の垂直幅寸法はそれぞれ約2.5mmであり、上傾斜反射面608bの上端辺と下傾斜反射面608cの下端辺との間の上下幅(垂直幅)寸法L3(L3=L4+L5+L6)は約6.8mmとされている。
また、上下方向を向くサイドインナーレンズ457d(板状部601)の裏面に対する上傾斜反射面608b及び下傾斜反射面608cの傾斜角度θ2はそれぞれ約135度とされている。つまり、サイドインナーレンズ457d(板状部601)の裏面に対して直交する水平面に対する上傾斜反射面608b及び下傾斜反射面608cの傾斜角度はそれぞれ約45度であるため、上水平導入面607b,下水平導入面607cに対して直交方向に入射した光を前方に向けて効率よく反射させることができるようになっている。
図16に示されるように、複数の右枠LED28cが前面における長手方向に向けて所定間隔おきに複数配置された右前板基板475bは、レンズ配置部610の裏面側に近接配置されているとともに、各右枠LED28cが底壁面610aに形成された各照射用開口611に臨むように配設されている。すなわち、各照射光反射部612の裏面側には右枠LED28cがそれぞれ配設されているが、補助反射部613の裏面側には右枠LED28cは配設されない。尚、各右枠LED28cは、光を前方に向けて略水平に照射、すなわち、垂直導入面607aに対して直交方向に照射するように配置されている。
サイドインナーレンズ457dは、図15に示されるように、裏面に形成された第1の凹部603を照射光反射部612に対向させるとともに、第2の凹部604を補助反射部613に対向させた状態で、レンズ配置部610の前面側から配置する(図14参照)。レンズ配置部610内に配置された状態において、板状部601の裏面及び左リブ602L,右リブ602Rの裏面が底壁面610a,傾斜壁面610b,610cにそれぞれ当接するとともに、第1の凹部603内に照射光反射部612が収容して嵌合され、第2の凹部604内に補助反射部613が嵌合されるようになっている(図16参照)。
次に、サイドインナーレンズ457dの発光態様について、図18及び図19に基づいて説明する。尚、図19においては、主に発光している領域が白色で示され、ほとんど発光していない領域が黒色で示されている。
図18に示されるように、サイドインナーレンズ457dに対する光の供給は、各第1の凹部603から行われる。右枠LED28cから照射された光は、前方に向けてほぼ水平に照射されるため、照射用開口611を通過した光は主に上傾斜反射面612b及び下傾斜反射面612cにより上方及び下方に向けて反射する。ここで、照射方向とほぼ平行な上水平導入面607bに対する上傾斜反射面612bの傾斜角度及び下水平導入面607cに対する下傾斜反射面612cの傾斜角度θ1=45度であるため、反射光は上水平導入面607b及び下水平導入面607cに対してほぼ直交する方向に反射する。
つまり、上水平導入面607b及び下水平導入面607cに対する入射角は0度となるため、入射光は上水平導入面607b及び下水平導入面607cによりほぼ屈折することなく、上方及び下方に向けてほぼ垂直に入射し、そのまま直線的に進む。
ここで、下水平導入面607cから入射した入射光は、下方に向けてほぼ垂直に進み、該下水平導入面607cの直下に配設された上傾斜反射面608bに入射する。この入射光の光路は、上傾斜反射面608bの法線Hに対して臨界角θ4よりも大きな角度であり、入射前のエネルギーが全て反射光になるため、前方に向けてほぼ水平に反射する。よって、該上傾斜反射面608bの前方位置、すなわち、第2の凸部606の上部付近がその周辺に比べて強く発光する(図19参照)。
尚、上水平導入面607bから入射した入射光は、上方に向けてほぼ垂直に進み、該上水平導入面607bの直上に配設された別の下傾斜反射面608c(図示略)に入射する。この入射光の光路は、下傾斜反射面608cの法線Hに対して臨界角θ4よりも大きな角度であり、入射前のエネルギーが全て反射光になるため、前方に向けてほぼ水平に反射する。よって、該下傾斜反射面608cの前方位置、すなわち、第2の凸部606の下部付近がその周辺に比べて強く発光する(図19参照)。
第1の凹部603に戻って、右枠LED28cから照射された光は、上述のように全てが上下の照射光反射面612b,612cに向けて水平に照射されるわけではなく、上水平導入面607bや下水平導入面607cに対して斜めに入射する光もあるため、これら光は、レンズ内部に透過され、または反射することになる。
ここで、右枠LED28cからの照射光または上水平導入面607bや下水平誘導面607c等で反射した反射光等、上照射光反射面612bの上端辺と上水平導入面607bとの隙間もしくは下照射光反射面612cの下端辺と下水平導入面607cとの隙間に入り込んだ光は、垂直導入面607aに入射し、レンズ内部に透過され、または反射することになるため、該垂直導入面607aの前方上下位置、すなわち、第1の凸部605の上下部付近がその周辺に比べて強く発光する(図19参照)。
また、垂直導入面607aに入射した光は、反射した場合でもその裏面側に垂直反射面612bが配置されていることにより、反射光が外部に放射されることなく、該垂直反射面612aに反射して再度垂直導入面607aに入射するため、垂直導入面607aが明るくなる。さらに、垂直導入面607aにはローレット加工が施されていることで、その裏面側上下端付近から入射する光が凹凸面により上下方向にわたり分散して反射されるため、照射光反射部612により右枠LED28cからの照射光が遮られても、上下幅方向にわたり発光することになる。
このように、サイドインナーレンズ457dにあっては、裏面側に配置された右枠LED28cとの対向位置に、各導入面607a〜607cからなる第1の凹部603が凹設されていることにより、右枠LED28cから前方に向けて水平に照射される光により、第1の凹部603の前方に形成される第1の凸部605付近が、その周辺に比べて強く発光する(図19参照)。つまり、右枠LED28cが発光することにより、サイドインナーレンズ457dの表面における各第1の凹部603の正面位置に、主に垂直導入面607aから導入された入射光により発光する第1の発光部が形成される。
また、裏面側に配置された右枠LED28cと対向しない位置に、各反射面608a〜608cからなる第2の凹部604が凹設されていることにより、主に上下の水平導入面607b,607cからサイドインナーレンズ457d内部に透過して垂直方向に誘導された光が、上下の傾斜反射面608b,608cにて前方に向けて反射誘導されるため、第2の凹部604の前方に形成される第2の凸部606付近が、その周辺に比べて強く、かつ、第1の凸部605とほぼ同じ輝度で発光する(図19参照)。つまり、右枠LED28cが発光することにより、サイドインナーレンズ457dの表面における各第2の凹部604の正面位置に、主に上下の水平導入面607b,607cから導入された入射光により発光する第2の発光部が形成される。
また、垂直導入面607aと右枠LED28cとの間には非透光性部材からなる照射光反射部612が配置されており、これにより垂直導入面607aの裏面側が遮られていることで、右枠LED28cの照射光が直接垂直導入面607aを透過して前方に放射されることがないので、第1の発光部における輝度が適度に低下される。
一方、右枠LED28cの前面側には上下の傾斜反射面612b,612cが形成されており、右枠LED28cの照射光を上下の水平導入部607b,607cに対して直交方向に入射させるようになっているため、反射による光の損失を極力抑えた状態で照射光を第2の凹部604側に向けて誘導することができるばかりか、透過光が上下の水平導入部607b,607cの直下及び直上に形成される上下の傾斜反射面608b,608cに向けて直線的に誘導され、上下の傾斜反射面608b,608cに入射する前に外部に放射することを効果的に防止できるため、第2の発光部における輝度を高めることができる。
さらに、上下の傾斜反射面608b,608cの裏面側には、非透光性部材からなる上下の補助反射面613b,613cが近接配置されているため、上下の傾斜反射面608b,608cから外部に放射される光が再度内部に入射されるため、第2の発光部における輝度を高めることができる。
また、図16にて説明したように、垂直導入面607aの上下幅寸法L1=約5mmであるのに対し、上傾斜反射面608b及び下傾斜反射面608cそれぞれの上下幅寸法L5,L6の合計幅寸法L5+L6=約5mmであることで、サイドインナーレンズ457dを正面から見たときにおける発光領域の上下幅寸法が、垂直導入面607aの上下幅寸法L1と、上傾斜反射面608b及び下傾斜反射面608cそれぞれの上下幅寸法L5,L6の合計幅寸法L5+L6とがほぼ同寸(L1=L5+L6)であるため、第1の発光部及び第2の発光部の輝度をほぼ同じようにすることができる。
さらに、垂直導入面607aの上下幅寸法L1よりも垂直反射面608aの上下幅寸法L4の方が短寸(L1>L4)であることで、発光領域を構成する上傾斜反射面608bと下傾斜反射面608cとが大きく分離されることがないので、第2の発光部の輝度の低減が防止される。
このように、裏面側に右枠LED28cが配置される第1の凸部605(第1の発光部)における輝度が適度に低減されるとともに、裏面側に右枠LED28cが配置されない第2の凸部606(第2の発光部)における輝度が効果的に向上されていることで、第1の凸部605(第1の発光部)と第2の凸部606(第2の発光部)との輝度の差が極力小さくなっている。これにより輝度の違いによる違和感が生じなくなり、第2の凸部606(第2の発光部)の裏面側にもあたかも右枠LEDが配置されて発光しているように見せることができるため、多量のLEDを配置することなく、インパクトのある発光演出を実現することが可能となる。
尚、サイドインナーレンズ457dの下端に形成された第2の半凹部604’に関しては、前述した上傾斜反射面608b’(図示略)が上傾斜反射面608bと同様の作用・効果を奏するとともに、サイドインナーレンズ457bの上端に形成された第2の半凹部604’(図示略)に関しては、前述した下傾斜反射面608c’(図示略)が下傾斜反射面608bと同様の作用・効果を奏するため、サイドインナーレンズ457dの下端及びサイドインナーレンズ457bの上端もあたかも右枠LEDが配置されて発光しているように見える。
さらに、サイドインナーレンズ457b,457dの接合部には、前述したように、サイドインナーレンズ457dの上端に形成された第2の半凹部604’(図示略)と、サイドインナーレンズ457bの下端に形成された第2の半凹部604’(図示略)とにより第2の凹部604(図示略)が形成され、他の第2の凹部604と同様の作用・効果を奏するため、サイドインナーレンズ457b,457dの接合部もあたかも右枠LEDが配置されて発光しているように見える。
また、垂直導入面607a,上水平導入面607b,下水平導入面607cに対してそれぞれ斜めに入射してサイドインナーレンズ457d内部に透過した入射光は、主にローレット加工が施された面、つまり各リブ602L,602C,602Rの前端面や板状部601の裏面から外部に放射される。つまり、サイドインナーレンズ457d内部に透過した入射光は全て垂直方向に向けて進むわけではなく、レンズ内面にて反射しながら進む光もあり、これによりサイドインナーレンズ457dの上下方向に延設された各リブ602L,602C,602Rの前端面が、上下方向にわたって均等に発光するため、サイドインナーレンズ457dの表面を長手方向にわたり発光させることができる。
また、サイドインナーレンズ457d内部から板状部601の裏面から外部に放射された光は、その裏面に近接配置される底壁面610aにより反射されて再度内部に透過されるとともに、サイドインナーレンズ457d内部から左右のリブ602L,602Rの外面から外部に放射された光は、その外側に近接配置される傾斜壁面601b,610cにより反射されて再度内部に透過され、これによりサイドインナーレンズ457d内部を誘導される光が裏面側に放射しにくくなり、光が前方に向けて放射されやすくなるため、サイドインナーレンズ457d全域を効率よく発光させることができる。
(打球供給皿の内部構造)
次に、打球供給皿3の内部構造を、図20に基づいて説明する。図20は、打球供給皿の内部構造を示す分解斜視図である。
図20に示されるように、打球供給皿3は、上皿扉枠103の本体を構成する上皿本体板300と、上皿本体板300の前方及び左右側方を被覆する上皿カバー体301と、上向きに開口する皿状に形成される上皿球受け302と、から主に構成されている。上皿本体板300の前面左右側には、扉枠左発光部204L,扉枠右側方発光部204R及び供給皿左発光部200L,供給皿右発光部200Rを構成する各種部材が組み付けられるとともに、上皿本体板300の前面中央には、上皿カバー体301及び上皿球受け302が前面側から取り付けられる。尚、上皿本体板300の前面中央上部には、上皿球受け302に待機する待機球との当接による磨耗を保護するカバーシール315が取り付けられる。
上皿本体板300の前面左右側には、上・中・下段に配置され、供給皿左発光部200L,供給皿右発光部200Rを発光させる供給皿左LED200aと、該供給皿左LED200aの外側上下に配置され、扉枠左発光部204L,扉枠右側方発光部204Rを発光させる供給皿左外LED200cと、を前面に有する上皿左サイド基板310L,上皿右サイド基板310Rと、上皿左基板シート311L,上皿右基板シート311Rと、上皿左横飾り312L,上皿右横飾り312Rと、上皿左クリアベース313L,上皿右クリアベース313Rと、上皿左サイドレンズ314L,上皿右サイドレンズ314Rと、がそれぞれ記載した順に前面側から取り付けられている。
また、上皿本体板300の前面における上皿左サイド基板310L,上皿左基板シート311L,上皿左横飾り312L,上皿左クリアベース313L,上皿左サイドレンズ314Lのさらに左側には、上皿扉枠103を前面枠101に対して回動可能に枢支するための上皿ヒンジ316及び上皿軸カバー317が取り付けられている。
上皿カバー体301は、合成樹脂材からなる1枚の板材を側面視で略V字状をなすように屈曲し、該屈曲部が前方に向けて突出するように形成されており、内部空間に上皿球受け302が配設可能とされている。また、左右方向を向く屈曲部301aは上下方向に所定幅を有しており、該屈曲部301aに供給皿前発光部201を構成する横長帯状の前面が形成されている。
そしてその左右側部には、上皿左横飾り320L,上皿右横飾り320Rが背面側から差し込まれて取り付けられるとともに、上皿左横飾り320L,上皿右横飾り320Rの外側には、上皿左横Vレンズ321L,上皿右横Vレンズ321Rと、上皿左横レンズ322L,上皿右横レンズ322Rと、ロゴ(図示略)が刻印された左ロゴレンズ323L,右ロゴレンズ323Rと、がそれぞれ記載した順に取り付けられている。
また、屈曲部301aの背面には、上皿前レンズ330と、上皿前中レンズ331L,331Rと、上皿前左反射板332L,上皿前右反射板332Rと、上皿前左シート333L,上皿前右シート333Rと、供給皿前LED201aを前面に有する上皿前左基板334L,上皿前右基板334Rと、上皿前基板カバー335と、がそれぞれ記載した順に背面側から取り付けられている。
この棒状の上皿前中レンズ331L,331Rにより、その背面側に配置される4つの供給皿前LED201aの光が左右方向に拡散されるようになっている。
このように、供給皿左発光部200Lを発光させる発光体としての供給皿左LED200aを有する上皿左サイド基板310L及び供給皿左発光部200Rを発光させる発光体としての供給皿右LED200bを有する上皿右サイド基板310Rは、上皿本体板300の前面左右側にそれぞれ前向きに設けられている。従って、パチンコ機1の左右側面側を向く供給皿左発光部200L及び供給皿右発光部200Rは、前方に向けて光を照射する供給皿左LED200a,供給皿右LED200bの前方に前後方向に縦向き姿勢で配置される各レンズ321L〜323L,321R〜323Rが間接的に面発光することで発光するようになっている。
具体的には、上皿左横Vレンズ321L,上皿右横Vレンズ321Rは、上段及び下段の供給皿左LED200a,供給皿右LED200bにより発光し、左ロゴレンズ323L,右ロゴレンズ323Rは、中段の供給皿左LED200a,供給皿右LED200bによりそれぞれ発光するようになっている。
また、本実施例では、特に図示はしないが、三角形状の左ロゴレンズ323L,右ロゴレンズ323Rは、刻印された図示しないロゴのみが発光するようになっているが、略三角形状をなす左ロゴレンズ323L,右ロゴレンズ323R全域を面発光させてもよい。
また、上皿左サイド基板310L及び上皿右サイド基板310Rの前面における供給皿左LED200a,供給皿右LED200bそれぞれの外側に配置される供給皿左外LED200c及び供給皿右外LED200cが発光することで、前面側を向く上皿左サイドレンズ314L、上皿右サイドレンズ314Rが面発光、つまり扉枠左発光部204L,扉枠右側方発光部204Rが発光するようになっており、例えば遊技に関わる演出や装飾用発光部として利用されている。
また、供給皿左外LED200c及び供給皿右外LED200cからの照射光は、後述するように上皿左横飾り312L,上皿右横飾り312R及び上皿左クリアベース313L,上皿右クリアベース313Rにより誘導され、上皿左サイドレンズ314L,上皿右サイドレンズ314Rを通してパチンコ遊技機1の前方及び側方に放射されるようになっている。
(打球供給皿の発光部構造)
次に、図21及び図22に基づいて、供給皿前発光部201の発光部構造を説明する。図21は、(a)は上皿前中レンズを示す正面図であり、(b)は(a)のE−E断面図であり、図22は、(a)は図21(b)の要部拡大図であり、(b)は(a)のF−F断面図である。
供給皿前発光部201には、図21に示されるように、前述した導光部材としての上皿前中レンズ331L,331R及びその背面(裏面)側に配置される供給皿前LED201aとから主に構成される直線発光部が左右方向に設けられている。
上皿前中レンズ331L,331Rは、透明な合成樹脂材により棒状に形成されている。図22(b)に示されるように、側面視凸状に形成され、その前面は中央発光面331a,上発光面331b,下発光面331cとから構成されている。これら中央発光面331a,上発光面331b,下発光面331cには、長手方向にわたりローレット加工が施され、開角θ3=90度をなす縦断面三角形状の切欠が上下方向に向けて連続して形成されており(図22(a)参照)、内部の光が外方に放射されるようになっている。
上皿前中レンズ331L,331Rの裏面には、上下幅方向に延びる第1の凹部703及び第2の凹部704が、長手方向に向けて所定間隔おきに交互に凹設されている。第1の凹部703は、図22(a)に示されるように、左右方向を向く横導入面707aと、該横導入面707aの左端から裏面側に向けて連設され、前後方向を向く左縦導入面707bと、該横導入面707aの右端から裏面側に向けて連設され、前後方向を向く右縦導入面707cと、により側面視略逆コ字形に形成された照射光導入面を構成しており、その裏面側に配置される供給皿前LED201aからの照射光が上皿前中レンズ331L,331R内部に導入されるようになっている。
尚、横導入面707aには左右方向にわたりローレット加工が施され、開角θ3=90度をなす縦断面三角形状の切欠が左右方向に向けて連続してなる光拡散部が形成されており、内部の光が外方に放射されるようになっている。
第2の凹部704は、左右方向を向く横反射面708aと、該横反射面708aの左端から裏面側に向けて左方に傾斜する左傾斜反射面708bと、該横反射面708aの右端から裏面側に向けて右方に傾斜する右傾斜反射面708cと、からなる反射面を構成しており、上記照射光導入面から内部に導入されて上皿前中レンズ331L,331R内部を長手方向に向けて誘導された光を前側に向けて反射するようになっている。
尚、横反射面708aには左右方向にわたりローレット加工が施され、開角θ3=90度をなす縦断面三角形状の切欠が左右方向に向けて連続してなる光拡散部が形成されており、内部の光が外方に放射されるようになっている。
また、図21(b)に示されるように、上皿前中レンズ331Lの左端には、前記第2の凹部704の右半分、つまり左右幅寸法が横反射面708aの左右幅寸法の半分の横反射面708a’(図示略)と右傾斜反射面708c’(図示略)とからなる第2の半凹部704’が形成されているとともに、その前面側には、該第2の凹部704’を形成するための第2の半凸部706’が凸設されている。
尚、上皿前中レンズ331Lと左右対象に形成される上皿前中レンズ331Rの右端には、第2の半凹部704’及び第2の半凸部706’が同様に形成されている。
また、上皿前中レンズ331Lの右端には、前記第2の凹部704の左半分、つまり左右幅寸法が横反射面708aの左右幅寸法の約1/4の横反射面708a’(図示略)と左傾斜反射面708b’(図示略)とからなる第2の半凹部704’(図示略)が形成されているとともに、その前面側には、該第2の凹部704’(図示略)を形成するための第2の半凸部706’(図示略)が凸設されている。
すなわち、この上皿前中レンズ331Lと左右対象に形成される上皿前中レンズ331Rの左端には、特に詳細な図示はしないが、前記第2の凹部704の右半分、つまり左右幅寸法が横反射面708aの左右幅寸法の約1/4の横反射面708a’(図示略)と右傾斜反射面708c’(図示略)とからなる第2の半凹部704’(図示略)が形成されているとともに、その前面側には、該第2の半凹部704’(図示略)を形成するための第2の半凸部706’(図示略)が凸設されているため、これら上皿前中レンズ331Lの右端に形成される第2の半凹部704’と上皿前中レンズ331Rの左端に形成される第2の半凹部704’とにより、互いの左右端部同士を付き合わせたときに、左右幅が横反射面708aの約半分の横反射面708a’からなる1つの第2の凹部704及び第2の凸部706が形成されるようになっている。
一方、上皿前左反射板332L,上皿前右反射板332Rの前面には、上皿前中レンズ331L,331Rを前方から配置可能なレンズ配置部710が、第1の凹部705に対応する箇所に形成されている。レンズ配置部710には、その裏面側に配置される各供給皿前LED201aとの対向位置に、該供給皿前LED201aの照射面を前方に露呈させるための照射用開口711が左右方向にわたって複数形成されており、左右方向に向けて所定間隔おきに配設された各供給皿前LED201aからの照射光を前方に向けて照射させることができるようになっている。
照射用開口711の前方には、上皿前中レンズ331L,331Rが配置された状態において、第1の凹部703内に収容されて係合する三角柱状の照射光反射部712が左右方向に向けて架設されている。この照射光反射部712の裏面側には、裏面側に向けて右方に傾斜する左照射光反射面712bと、裏面側に向けて左方に傾斜する右照射光反射面712bとがそれぞれ形成されている。左照射光反射面712bは、供給皿前LED201aからの照射光を、該第1の凹部703の左方に設けられた第2の凹部704の右傾斜反射面708cに向けて反射させて、左縦導入面707bに入射させる。右照射光反射面712cは、供給皿前LED201aからの照射光を、該第1の凹部703の右方に設けられた第2の凹部704の左傾斜反射面708bに向けて反射させて、右縦導入面707cに入射させるようになっている。
また、上皿前左反射板332L,上皿前右反射板332Rには、上皿前中レンズ331L,331Rが配置された状態において、第2の凹部704内に嵌合される補助反射部713が前方に向けて凸設されている。補助反射部713は、左右方向を向く横補助反射面713aと、該横補助反射面713aの左端から裏面側に向けて左方に傾斜する左補助反射面713bと、該横補助反射面713aの右端から裏面側に向けて右方に傾斜する右補助反射面713cと、により横断面略三角形状に形成されており、上皿前中レンズ331L,331Rが配置された状態において、横補助反射面713aは横反射面708aの裏面に当接し、左補助反射面713bは左傾斜反射面708bの裏面に当接し、右補助反射面713cは右傾斜反射面708cの裏面に当接するようになっている。
また、上皿前左反射板332L及び上皿前右反射板332Rの前面左端部には、特に詳細な図示はしないが、前記補助反射部713の右半分、つまり左右幅寸法が横補助反射面713aの左右幅寸法の半分の横補助反射面713a’(図示略)と右補助反射面713c’(図示略)とからなる半補助反射部713’が形成されており、上皿前中レンズ331Lが配置された状態において、上皿前中レンズ331Lの左端の横反射面708a’(図示略)が横補助反射面713a’(図示略)に、また、右傾斜反射面708c’(図示略)が右補助反射面713c’(図示略)に当接もしくは近接するようになっている。
また、上皿前左反射板332L及び上皿前右反射板332Rの前面右端部には、特に詳細な図示はしないが、前記補助反射部713の左半分、つまり左右幅寸法が横補助反射面713aの左右幅寸法の半分の横補助反射面713a’(図示略)と左補助反射面713b’(図示略)とからなる半補助反射部713’が形成されており、上皿前中レンズ331Rが配置された状態において、上皿前中レンズ331Rの右端の横反射面708a’(図示略)が横補助反射面713a’(図示略)に、また、左傾斜反射面708b’(図示略)が左補助反射面713b’(図示略)に当接もしくは近接するようになっている。
上皿前左反射板332L,上皿前右反射板332R及び照射光反射部712,補助反射部713は、非透光性の合成樹脂材にて構成されているとともに、その前面及び上記各反射面712a〜712c,713a〜713cにはメッキ処理が施されているため、上皿前中レンズ331L,331R内部から放射される光を損失させることなく効率よく反射して再度内部に入射させるようになっている。
次に、上述のように構成された上皿前中レンズ331L,331R、上皿前左反射板332L,上皿前右反射板332R、供給皿前LED201aの詳細な構造及び互いの配置関係等について説明する。
第1の凹部703及び第2の凹部704は、図22に示されるように、裏面側に向けて開放する凹溝状に形成されている。詳しくは、第1の凹部703を構成する横導入面707aの左右幅寸法L1は約4.4mmであり、左縦導入面707b及び右縦導入面707cの前後幅寸法L2は約3.4mmとされている。尚、図21及び22には各部位に係る寸法(単位はmm)が記載されている。また、各寸法は小数第2以下を四捨五入した寸法としている。
この第1の凹部703内に収容される照射光反射部712の横反射面712aの左右幅寸法は、前記横導入面707aの左右幅寸法L1よりも短寸とされており、横反射面712aの左端と左縦導入面707bとの間及び横反射面712aの右端と右縦導入面707cとの間には僅かな隙間が形成されている。よって、供給皿前LED201aからの照射光がこの僅かな隙間から照射光反射部712よりも前方に向けて放射されるようになっている。
照射光反射部712は、左傾斜反射面712bと右傾斜反射面712cとの接合端辺、すなわち頂辺が底壁面710aよりもやや前方に位置するように設けられている。また、左縦導入面707bに対する左傾斜反射面712bの傾斜角度及び右縦導入面707cに対する右傾斜反射面712cの傾斜角度θ1はそれぞれ約45度とされている。各供給皿前LED201aは、光を前方に向けて略水平に照射、すなわち、横導入面707aに対して直交方向に照射するように配置されているため、該供給皿前LED201aからの照射光は、左傾斜反射面712bと右傾斜反射面712cとによりそれぞれ左右方向に反射されるようになっている。
第2の凹部704を構成する横反射面708aの左右幅寸法L4は約2.7mmであり、左傾斜反射面708bの左右幅寸法L5及び右傾斜反射面708cの左右幅寸法L6、すなわち、左傾斜反射面708b及び右傾斜反射面708c左右の端辺間の左右幅寸法はそれぞれ約2.2mmであり、左傾斜反射面708bの左端辺と右傾斜反射面708cの右端辺との間の左右幅寸法L3(L3=L4+L5+L6)は約7.2mmとされている。尚、上皿前左反射板332L,上皿前右反射板332Rの前面から横反射面708aまでの前後幅は約3.5mmとされている。
また、左右方向を向く上皿前中レンズ331L,331Rの裏面に対する左傾斜反射面708b及び右傾斜反射面708cの傾斜角度θ2はそれぞれ約125度とされている。つまり、上皿前中レンズ331L,331Rの裏面に対して直交する前後面に対する左傾斜反射面708b及び右傾斜反射面708cの傾斜角度はそれぞれ約35度であるため、左縦導入面707b,右縦導入面707cに対して直交方向に入射した光を前方に向けて効率よく反射させることができるようになっている。
複数の供給皿前LED201aが前面における長手方向に向けて所定間隔おきに複数配置された上皿前左反射板332L,上皿前右反射板332Rは、レンズ配置部710の裏面側に近接配置されているとともに、各供給皿前LED201aが各照射用開口711に臨むように配設されている。すなわち、各照射光反射部712の裏面側には供給皿前LED201aがそれぞれ配設されているが、補助反射部713の裏面側には供給皿前LED201aは配設されない。尚、各供給皿前LED201aは、光を前方に向けて略水平に照射、すなわち、横導入面707aに対して直交方向に照射するように配置されている。
上皿前中レンズ331L,331Rは、図21(b)に示されるように、裏面に形成された第1の凹部703を照射光反射部712に対向させるとともに、第2の凹部704を補助反射部713に対向させた状態で前面側から配置する。また、配置された状態において、裏面が上皿前左反射板332L,上皿前右反射板332Rの前面にそれぞれ当接するとともに、第1の凹部703内に照射光反射部712が収容して嵌合され、第2の凹部704内に補助反射部713が嵌合されるようになっている。
このように構成された上皿前中レンズ331L,331Rは、第1の凹部703及び第2の凹部704が形成されていることにより、前述したサイドインナーレンズ457dと同様に発光する。すなわち、裏面側に配置された各供給皿前LED201aとの対向位置に、各導入面707a〜707cからなる第1の凹部703が凹設されていることにより、供給皿前LED201aから前方に向けて水平に照射される光により、第1の凹部703の付近が、その周辺に比べて強く発光する。つまり、各供給皿前LED201aが発光することにより、上皿前中レンズ331L,331Rの表面における各第1の凹部703の正面位置に、主に横導入面707aから導入された入射光により発光する第1の発光部が形成される。
また、裏面側に配置された各供給皿前LED201aと対向しない位置に、各反射面708a〜708cからなる第2の凹部704が凹設されていることにより、主に左右の縦導入面707b,707cから上皿前中レンズ331L,331R内部に透過して左右方向に誘導された光が、左右の傾斜反射面708b,708cにて前方に向けて反射誘導されるため、第2の凹部704の前方に形成される第2の凸部706付近が、その周辺に比べて強く、かつ、第1の凸部705とほぼ同じ輝度で発光する。つまり、各供給皿前LED201aが発光することにより、上皿前中レンズ331L,331Rの表面における各第2の凹部704の正面位置に、主に左右の縦導入面707b,707cから導入された入射光により発光する第2の発光部が形成される。
また、横導入面707aと供給皿前LED201aとの間には非透光性部材からなる照射光反射部712が配置されており、これにより横導入面707aの裏面側が遮られていることで、供給皿前LED201aの照射光が直接横導入面707aを透過して前方に放射されることがないので、第1の発光部における輝度が適度に低下される。
一方、供給皿前LED201aの前面側には左右の傾斜反射面712b,712cが形成されており、供給皿前LED201aの照射光を左右の縦導入面707b,707cに対して直交方向に入射させるようになっているため、反射による光の損失を極力抑えた状態で照射光を第2の凹部704側に向けて誘導することができるばかりか、透過光が左右の縦導入面707b,707cの直下及び直上に形成される上下の傾斜反射面708b,708cに向けて直線的に誘導され、上下の傾斜反射面708b,708cに入射する前に外部に放射することを効果的に防止できるため、第2の発光部における輝度を高めることができる。
さらに、上下の傾斜反射面708b,708cの裏面側には、非透光性部材からなる上下の補助反射面713b,713cが近接配置されているため、上下の傾斜反射面708b,708cから外部に放射される光が再度内部に入射されるため、第2の発光部における輝度を高めることができる。
また、図22(a)にて説明したように、横導入面707aの上下幅寸法L1=約4.4mmであるのに対し、左傾斜反射面708b及び右傾斜反射面708cそれぞれの左右幅寸法L5,L6の合計幅寸法L5+L6=約4.4mmであることで、上皿前中レンズ331L,331Rを正面から見たときにおける発光領域の左右幅寸法が、横導入面707aの左右幅寸法L1と、左傾斜反射面708b及び右傾斜反射面708cそれぞれの左右幅寸法L5,L6の合計幅寸法L5+L6とがほぼ同寸(L1=L5+L6)であるため、第1の発光部及び第2の発光部の輝度をほぼ同じようにすることができる。
さらに、横導入面707aの左右幅寸法L1よりも横反射面708aの左右幅寸法L4の方が短寸(L1>L4)であることで、発光領域を構成する左傾斜反射面708bと右傾斜反射面708cとが大きく分離されることがないので、第2の発光部の輝度の低減が防止される。
このように、裏面側に供給皿前LED201aが配置される第1の発光部における輝度が適度に低減されるとともに、裏面側に供給皿前LED201aが配置されない第2の発光部における輝度が効果的に向上されていることで、第1の発光部と第2の発光部との輝度の差が極力小さくなっている。これにより輝度の違いによる違和感が生じなくなり、第2の発光部の裏面側にもあたかも供給皿前LED201aが配置されて発光しているように見せることができるため、多量のLEDを配置することなく、インパクトのある発光演出を実現することが可能となる。
また、横導入面707a,左縦導入面707b,右縦導入面707cに対してそれぞれ斜めに入射して上皿前中レンズ331L,331R内部に透過した入射光は、主にローレット加工が施された面、つまり各前面331a,331b,331cから外部に放射される。つまり、上皿前中レンズ331L,331R内部に透過した入射光は全て左右方向に向けて進むわけではなく、レンズ内面にて反射しながら進む光もあり、これにより上皿前中レンズ331L,331R左右方向にわたって均等に発光するため、上皿前中レンズ331L,331Rの表面を長手方向にわたり発光させることができる。
また、上皿前中レンズ331L,331Rの裏面から外部に放射された光は、その裏面に近接配置される上皿前左反射板332L,上皿前右反射板332Rの前面により反射されて再度内部に透過されることで、上皿前中レンズ331L,331R内部を誘導される光が裏面側に放射しにくくなり、光が前方に向けて放射されやすくなるため、上皿前中レンズ331L,331R全域を効率よく発光させることができる。
(打球供給皿の左右の発光部構造)
次に、図23〜図28に基づいて、扉枠左発光部204L,扉枠右側方発光部204Rを構成する上皿左サイドレンズ体及び上皿右サイドレンズ体の構造を説明する。図23は、(a)は上皿左サイドレンズ体を示す平面図であり、(b)は上皿左サイドレンズ体を示す正面図であり、(c)は上皿左サイドレンズ体を示す右側面図であり、図24は、図23(b)のA−A断面図であり、図25は、(a)は上皿左サイドレンズ体の上部拡大断面図であり、(b)は上皿左サイドレンズ体の下部拡大断面図であり、図26は、上皿左サイドレンズ体における導光状態を示す拡大断面図であり、図27は、上皿左サイドレンズ体の発光状態を示す概略図であり、図28は、凹レンズにおける光の屈折状態を示す原理図である。また、図24における左側を上皿左サイドレンズ体の前面側、右側を上皿左サイドレンズ体の背面側として説明する。
尚、図23〜図28において、上皿左サイドレンズ体の一部を構成する上皿左基板シート311L及び上皿左サイドレンズ314Lの図示は省略している。扉枠右側方発光部204Rの発光部構造は、扉枠左発光部204Lの発光部構造とほぼ同様であり、同様の作用・効果を奏するため、ここでの詳細な説明は省略する。
扉枠左発光部204Lの一部を構成する上皿左サイドレンズ体800は、図20及び図23に示されるように、供給皿左LED200a及びその外側に配置された本発明の発光体としての供給皿左外LED200cを前面に有する上皿左サイド基板310Lと、該上皿左サイド基板310Lの前面側に配置される上皿左基板シート311L(図示略)と、該上皿左基板シート311Lの前面側に配置される上皿左横飾り312Lと、該上皿左横飾り312Lの前面における左側に配置される上皿左クリアベース313Lと、該上皿左クリアベース313Lの前面側に配置される上皿左サイドレンズ314L(図示略)と、から構成される。
上皿左サイド基板310L及び上皿左横飾り312Lは、上皿本体板300の前面にネジを介して取り付けられるようになっており、上皿左クリアベース313Lは、係止爪を介して上皿左横飾り312Lに係止されている。
図23に示されるように、上皿左横飾り312Lは、非透明な合成樹脂材にて上皿左サイド基板310Lの前面を被覆するように形成されている。上皿左横飾り312Lの前面及び背面(全面)にはメッキ処理が施されており、上皿左クリアベース313Lの内部を誘導され背面側に放射された光を前方に向けて反射するようになっている。これにより、供給皿左外LED200cから上皿左クリアベース313Lの内部に誘導された光を背面側への放射により損失することなく、前方に集中させることができるため、上皿左クリアベース313Lの発光量の低減を防止することできる。上・中・下段の各供給皿左LED200aに対応する箇所には、各供給皿左LED200aを上皿左基板シート311Lを通して前方に臨ませるための開口801a〜801c(図23(b)参照)がそれぞれ形成されている。
左側上下の各供給皿左外LED200cに対応する箇所には、図24に示されるように、前方に向けて膨出する中空状の膨出部802a,802bが形成されており、該膨出部802の前端面に上皿左クリアベース313Lの背面(裏面)が当接して配置されるようになっているとともに、膨出部802a,802bの前端面には、後述する柱状導光部805a,805bが遊挿可能な挿通口803がそれぞれ形成されている。
上皿左クリアベース313Lは、透明な合成樹脂材により厚さ約3mm(図24参照)の板材により帯状に形成されており、上皿左横飾り312Lの前面に上下方向に向けて取り付けられている。図24に示されるように、上皿左クリアベース313Lの背面313b(裏面)における上下の各供給皿左外LED200cに対応する箇所には、円柱状の柱状導光部805a,805bが後向きに突設されているとともに、柱状導光部805a,805bの後端面には、各供給皿左外LED200cからの照射光を導光部材としての上皿左クリアベース313Lの内部に導入する略半球面状の照射光導入面806aを構成するための照射光導入凹部806がそれぞれ凹設されている。つまり、照射光導入凹部806は背面側に向けて開放する凹部である。
これら上下の柱状導光部805a,805bは、それぞれ上皿左横飾り312Lの前面側から挿通口803内に挿通され、各照射光導入面806aが各供給皿左外LED200cに対向するように近接配置されている。
また、上皿左クリアベース313Lの前面313a(表面)における照射光導入凹部806の前方位置、つまり照射光導入凹部806との対向位置には、照射光導入面806aから導入され誘導された入射光を反射させる入射光反射面807aを構成するための入射光反射凹部807が凹設されている。つまり、入射光反射凹部807は前面側に向けて開放する凹部である。
入射光反射面807aは、図23(b)中の拡大図に示すように、上皿左クリアベース313Lの正面視、つまり上皿左クリアベース313Lを前面側から見て円形に形成されているとともに、円周方向に向けて60度の間隔で均等に分割されてなる正面視略三角形状をなす複数(6つ)の反射面にて構成されている。各反射面は、特に図26に示されるように、円の中心点から周縁方向に向けて外側に膨出し、かつ、円周方向に向けて外側に膨出する湾曲面に形成されている。すなわち、入射光反射凹部807は、正面視略三角形状をなす複数の湾曲面状の反射面により、円の中心に向けて凹む略六角錐形状に形成されている。
このように、背面側に向けて開放する照射光導入凹部806を構成する照射光導入面806aと、前面側に向けて開放する入射光反射凹部807を構成する入射光反射面807aとは、互いに中央部が近接するように凹む凹面にて構成さていることで、上皿左クリアベース313Lにおける各供給皿左外LED200cとの対向位置に凹レンズ部を形成している。
さらに、上皿左クリアベース313Lの前面313aにおける入射光反射凹部807の周囲からは、円筒状の筒状発光部808a,808bが前方に向けて突設されている。言い換えると、入射光反射凹部807は、上皿左クリアベース313Lの前面313a(表面)から供給皿左外LED200cと反対側に向けて突設された筒状発光部807の内側に形成されている。
筒状発光部808a,808bの外周面には、環状の段部809a,809bが所定間隔おきに形成されており、これら段部809a,809bにより、筒状発光部808a,808bの肉厚が先端に向けて段階的に肉薄になっている。そしてこれら段部809a,809bが形成されることにより、筒状発光部808a,808bの外周面に、供給皿左外LED200cの照射方向に対して直交する面、つまり前面側を向く環状の発光面が形成される。
上皿左クリアベース313Lの前面313aにおける筒状発光部808aの下方近傍位置には、図23(b)に示されるように、上下方向を向くとともに、左右幅方向に向けて互いに等間隔おきに配置された複数(4枚)の発光板810が前方に向けて立設されている。また、図24に示されるように、上皿左クリアベース313Lの背面313bにおける発光板810との対向位置には、上下方向に向けてローレット加工が施され、開角θ3=約90度をなす縦断面三角形状の切欠が上下方向に向けて連続して形成されており、内部の光が外方に放射されるようになっている。これらローレット加工により形成された左右幅方向を向く複数の凹条及び凸条により、入射光反射面807aにより誘導された光を前方の発光板810に向けて乱反射させる上反射部811が形成されている。
この上反射部811は、上方の筒状発光部808a側から下方の筒状発光部808b側に向けて内側(上皿左クリアベース313Lの内部側)に向けて傾斜する傾斜面上に形成されており(傾斜角θ5=2.5度)、入射光反射面807aにより誘導された光を前方の発光板810に向けて効率よく反射できるようになっているため、各発光板810の前端面及び各発光板810間を上方から下方に向けて略均一に発光できるようになっている。
このように、筒状発光部808aの下方近傍位置に上反射部811が形成されていることにより、供給皿左外LED200cから上皿左クリアベース313Lの内部を誘導されてきた入射光により、筒状発光部808aの下方近傍位置(発光板810付近)が発光されるようになっている。つまり、上反射部811からの反射光により第2の発光部が形成されるようになっている。
上皿左クリアベース313Lの前面313aにおける下方の筒状発光部808bの下方近傍位置には、図23(b)及び図24に示されるように、筒状発光部808bとほぼ同形状をなす筒状発光部808cが形成されている。尚、筒状発光部808cの外周面には環状の段部809a,809bが形成されており、これら段部809a,809bにより、筒状発光部808a,808bの外周面に供給皿左外LED200cの照射方向に対して直交する面、つまり前面側を向く環状の発光面が形成される。また、内部には円柱状の凹部807bが形成されており、該凹部807bの底面は、後述する下反射部812からの反射光により発光する平坦状の円形発光面807cとされている。
尚、該凹部807bの底面に形成される円形発光面807cにローレット加工等を施し、光を拡散させるようにしてもよく、このようにすることで、円形発光面807cにおける発光量が増加するとともに、光が拡散することで演出効果が向上する。
また、上皿左クリアベース313Lの背面313bにおける筒状発光部808cとの対向位置には、上下方向に向けて凹凸加工が施され、開角θ3=約109.5度をなす三角錐状の凸部が上下左右方向に向けて連続して形成されており、内部の光が外方に放射されるようになっている。これら該凹凸加工により形成された複数の凹凸部により、入射光反射面807aにより誘導された光を前方の筒状発光部808cに向けて乱反射させる下反射部812が形成されている。
このように、筒状発光部808bの下方近傍位置に下反射部812が形成されていることにより、供給皿左外LED200cから上皿左クリアベース313Lの内部を誘導されてきた入射光により、筒状発光部808bの下方近傍位置に形成された筒状発光部808cが発光されるようになっている。つまり、下反射部812からの反射光により第2の発光部が形成されるようになっている。
また、上皿左クリアベース313Lの前面313aには、前面側に開放する断面凹状(図23(c)参照)の凹溝条813が、上皿左クリアベース313Lの上部右側の端縁部から筒状発光部808aにかけて左右方向に延設されるとともに、筒状発光部808aから発光板810を通過して、筒状発光部808b,808cにかけて上下方向に延設され、さらに筒状発光部808cから上皿左クリアベース313Lの下部右側の端縁部にかけて延設されており、上皿左クリアベース313Lの表面側に筋状の発光部が形成されるようになっている。
また、前述したように、上皿左横飾り312Lの前面にはメッキ処理が施されているため、供給皿左外LED200cから上皿左クリアベース313Lの内部を誘導されてきた入射光が上皿左クリアベース313Lの背面313b側から放射しても、該放射した光は上皿左横飾り312Lの前面により前方に反射することで、上皿左横飾り312Lの背面側に放射されて上皿左クリアベース313Lの前面側の発光量が低減することが防止される。
このように、本実施例における上皿左クリアベース313Lは、回路基板を模したレンズ形状とされており、筒状発光部808a〜808cは発光部、発光板810はヒートシンク、凹溝条813は配線プリントパターンであり、これらが発光して見えるようになっている。
また、この上皿左クリアベース313Lのように回路基板を模したレンズ形状は、特に詳細な図示や説明等はしないが、例えば左上クリアベース455a,右上クリアベース455bや左下クリアベース456a,右下クリアベース456b等にも適用されており(図13,14参照)、これらも上皿左クリアベース313Lと同様の作用・効果を奏するようになっている。
次に、上述のように構成された上皿左クリアベース313L及び供給皿左外LED200cの詳細な構造及び互いの配置関係等について説明する。尚、図23〜図25には各部位の寸法(単位はmm)が記載されている。尚、該寸法は小数第2以下を四捨五入した寸法としている。
柱状導光部805a,805bは、直径約8.5mmであり、上皿左クリアベース313Lの背面313bから先端までの長さが約3.6mmとされている。また、照射光導入凹部806の深さは約2.6mmとされている。
筒状発光部808a,808bは、内径約6mmで、基部外径(最大外径)約10mm、中部外径約9mm、先端部外径約8mmとされているため、各段部809a,809bには、直系方向の幅寸法が約1mmの環状の発光面が形成されている。また、基部,中間部,先端部それぞれの前後方向の長さは約2.5mmとされている。
筒状発光部808cは、内径約5mmで、基部外径(最大外径)約10mm、中部外径約9mm、先端部外径約8mmとされているため、各段部809a,809bには、直系方向の幅寸法が約1mmの環状の発光面が形成されている。また、基部,中間部,先端部それぞれの前後方向の長さは約2.5mmとされている。
また、正面視円形をなす入射光反射凹部807の入射光反射面807aの直径は、筒状発光部808a,808bの内径と同様に約6mmとされている。入射光反射面807a及び筒状発光部808cの円形発光面807cは、図26に示されるように、上皿左クリアベース313Lの前面313aよりも内側、つまり上皿左クリアベース313Lの内部に埋設された位置に設けられているとともに、特に各筒状発光部808a,808bの入射光反射面807aは、その中心部が上皿左クリアベース313Lの背面313bを超えて柱状導光部805a,805b内に入り込む程度の深さに形成されている。具体的には、各筒状発光部808a,808bの入射光反射面807aの中心部は、図25に示されるように上皿左クリアベース313Lの背面313bより柱状導光部805a,805b内に約0.6mm入り込んでいる。
このようにすることで、入射光反射面807aを極力照射光導入面806aに近接して設けることができるため、照射光導入面806aからの入射光が周囲に拡散される前にその近傍位置にて入射光反射面807aから外部に放射されて発光するとともに、内部にて反射させて周囲に誘導し、近傍の発光板810や筒状発光部808cを発光させることができる。
各発光板810は、図23(b)中拡大図及び図25(a)に示されるように、厚さ約1mm、上下幅寸法約17.5mmであり、各発光板810間の離間幅寸法は約1.5mmとされている。尚、各発光板810間の表面は、上皿左クリアベース313Lの前面313aよりも約0.5mm前方に***している。
尚、これら各部位の寸法は、上記した寸法に限定されるものではなく、種々に変更可能である。
次に、上皿左クリアベース313Lの発光態様について、主に図26〜図28に基づいて説明する。尚、図27においては、主に発光している領域が白色で示され、ほとんど発光していない領域が黒色で示されている。
ここで、照射光導入面806a及び入射光反射面807aは、前述したように互いに内向きに凹むように形成され、中央の部分が周辺よりも薄いいわゆる凹レンズ部を構成していることから、まず凹レンズにおける光の屈折態様を、図28の原理図の基づいて簡単に説明すると、凹レンズの場合、光軸に平行に入射する平行光線は、レンズを通過することにより拡散することになる。これら拡散する光は、図中点線で示される経路を通過するように見えることになり、これら点線はレンズの中心から焦点距離fだけ離れた焦点Pに集まる。つまり、焦点Pは見かけ上の光源位置であり、該焦点Pから照射された光線方向に屈折することになる。
このように凹レンズは、指向性の高いLEDからの照射光を効果的に拡散することができるため、照射光導入面806a及び入射光反射面807aにより凹レンズ部を構成することにより、供給皿左外LED200cからの照射光を上皿左クリアベース313L内において効果的に拡散できる。
具体的に説明すると、図26に示されるように、上皿左クリアベース313Lに対する光の供給は、各柱状導光部805a,805bの照射光導入凹部806から行われる。供給皿左外LED200cから前方に向けてほぼ水平に照射された光は、略半球面状の照射光導入面806aに照射されることで、図中複数の矢印で示されるように、上下左右方向に拡散する。前方の入射光反射面807aに到達した光の一部は、入射光反射面807aを透過して外部、つまり前方に放射されるため、入射光反射面807aが明るくなる(図27参照)。
すなわち、上皿左クリアベース313Lの前面313aにおける各供給皿左外LED200cとの対向位置に形成される各入射光反射面807aの領域が第1の発光部として形成される。
また、入射光反射面807aは互いに異なる方向を向く6つの反射面により形成されていることで、光は多方向に向けて拡散して放射されることになるため、発光態様が複雑になり、装飾効果が向上する。尚、本実施例では、入射光反射面807aは互いに異なる方向を向く複数の反射面により形成されていたが、例えば半球面状等の1つの反射面にて形成されていてもよい。
照射光導入面806aから導入され、入射光反射面807aの周囲に拡散した光の一部が筒状発光部808a,808b内に誘導される。このように筒状発光部808a,808bの先端部方向に向けて誘導される光の一部は、主に供給皿左外LED200cの照射方向に対して直交する面、つまり前面側を向く先端面や段部809a,809bにより形成された環状の発光面から放射されるため、筒状発光部808a,808bが環状に発光して見える(図27参照)。
また、照射光導入面806aから導入されて入射光反射面807aに到達した光の一部は、入射光反射面807aにて反射して上下左右方向、つまり上皿左クリアベース313Lの内部方向に誘導される。そして、例えば入射光反射面807aの下方近傍に設けられた下反射部812にて乱反射され、前方の筒状発光部808cに向けて誘導された一部の光が円形発光面807cや、筒状発光部808cの先端面及び段部809a,809bにより形成された環状の発光面から放射されるため、筒状発光部808c全域が、筒状発光部808bよりも若干弱い光量で発光して見える(図27参照)。
尚、筒状発光部808aの照射光導入面806aから入射光反射面807aにて反射して、入射光反射面807aの下方近傍に設けられた上反射部811にて乱反射され、前方の発光板810に向けて誘導された一部の光が、供給皿左外LED200cの照射方向に対して直交する面、つまり前面側を向く発光板810の先端面や各発光板810間の隙間面から放射されるため、複数の発光板810及びその間の隙間全域が、筒状発光部808aよりも若干弱い光量で発光して見える(図27参照)。
さらに、入射光反射面807aにて反射して上皿左クリアベース313Lの内部方向に誘導された光の一部が、凹溝条813を介して放射されることにより、筋状の光が見えることになる。
以上説明したように、上皿左サイドレンズ体800にあっては、照射光導入面806aが導光部材としての上皿左クリアベース313Lの裏面における照射光導入凹部806に形成されていることで、発光体としての供給皿左外LED200cからの照射光を周囲に拡散させることなく、上皿左クリアベース313Lの内部に確実に導入させることができるため、上皿左クリアベース313Lの表面における入射光反射面807aを効果的に発光させることができるとともに、導入された入射光の一部が該入射光反射面807aにより上皿左クリアベース313Lの内部において周囲に誘導されるため、供給皿左外LED200cと照射光導入凹部806とを離間して供給皿左外LED200cからの照射光の一部を上皿左クリアベース313Lの背面313bに直接照射したりすることなく、上皿左クリアベース313Lにおける照射光導入凹部806及びその周辺領域を、上皿左クリアベース313Lの内部で広範囲にわたり発光させることができる。
すなわち、上皿左クリアベース313Lにおける供給皿左外LED200cとの対向位置に、球面状の照射光導入面806a及び入射光反射面807aにより凹レンズ部が形成されているため、供給皿左外LED200cからの照射光を上皿左クリアベース313Lの内部において効果的に拡散することができるため、上皿左クリアベース313Lにおける供給皿左外LED200cとの対向位置に形成される入射光反射面807a、つまり第1の発光部を発光させることができるとともに、上皿左クリアベース313Lにおける供給皿左外LED200cとの対向位置の周囲を広範囲にわたり発光させることができる。
特に、供給皿左外LED200cの周囲を明るくするために、供給皿左外LED200cを上皿左クリアベース313Lの背面313bから離間して配置しなくても、照射光を上皿左クリアベース313Lの内部にて拡散して周囲に誘導できることで、供給皿左外LED200cに対して照射光導入面806aを近接配置し、これにより上皿左サイドレンズ体800全体を肉薄に構成することができるため、設計上の自由度が向上する。
さらに、供給皿左外LED200cに対して照射光導入面806aを近接して配置できることで、供給皿左外LED200cからの照射光が照射光導入面806aに到達するまでの間に周囲に拡散されて光量が損失することを極力抑えることができるため、光量の低下が防止される。
また、照射光導入凹部806は、上皿左クリアベース313Lの背面313bから供給皿左外LED200cに向けて突設された柱状導光部805a,805bの端面に形成されていることで、上皿左クリアベース313L全体の肉厚を大寸にすることなく、照射光導入面806aを背面側に配置される供給皿左外LED200cに極力近接させることができるため、照射光を効率よく上皿左クリアベース313L内に導光させることができる。
また、入射光反射凹部807は、上皿左クリアベース313Lの前面313aから供給皿左外LED200cと反対側に向けて突設された筒状発光部808a,808bの内側に形成されていることで、入射光反射面807aから外部に放射された光を周囲に拡散することなく、筒状発光部808a,808bの内周面に反射して前方に向けて効率よく誘導することができる。
また、入射光反射面806aは、上皿左クリアベース313Lの前面313aよりも内側に形成されていることにより、入射光反射面806aによる反射光の内部での誘導効果を効果的に向上させることができる。
また、上皿左クリアベース313Lの背面313bにおける照射光導入凹部806から離間した位置に形成され、照射光導入面806aから導入され誘導された入射光を表面側に向けて反射させる上反射部811及び下反射部812を備え、供給皿左外LED200cが発光した状態において、上皿左クリアベース313Lの前面313aにおける照射光導入凹部807の正面位置に、照射光導入面806aから導入された入射光により発光する第1の発光部が形成されるとともに、上皿左クリアベース313Lの前面313aにおける上反射部811及び下反射部812の正面位置に、入射光反射面807aにて反射した反射光により発光する第2の発光部が形成されるようにしたことで、上皿左クリアベース313Lの裏面における供給皿左外LED200cとの対向位置に照射光導入凹部806が凹設されることにより供給皿左外LED200cからの照射光が表面側に向けて誘導されるだけでなく、該照射光の一部が照射光導入面806aから上皿左クリアベース313Lの内部に導入されて上反射部811及び下反射部812側に向けて誘導されやすくなり、上反射部811及び下反射部812にて表面側に向けて反射される反射光の光量が増加するため、供給皿左外LED200cが裏面側に配置された第1の発光部だけでなく、供給皿左外LED200cが配置されていない第2の発光部にて発光させることができるため、供給皿左外LED200cの配置数量を増加することなく発光部を増加することができる。
さらに、上反射部811の前方には発光板810が形成され、また、下反射部812の前方には筒状発光部808cが形成されることで、これら上反射部811及び下反射部812にて反射した反射光にて、供給皿左外LED200cが配置されていない第2の発光部を効果的に発光させることができる。
また、上皿左クリアベース313Lの前面313aから供給皿左外LED200cと反対側に向けて突設された筒状発光部808a,808bが発光することで、上皿左クリアベース313Lの前面313aよりも前方位置が発光することになり、光に奥行き感を持たせることができるとともに、パチンコ機1の側方からの光の視認性が向上する。
特に、扉枠左発光部204L,扉枠左発光部204Rは、着座して遊技を行う遊技者の視点よりも下方に位置するものであるため、所定のエラーが発生したことに基づいて筒状発光部808a,808bが発光することで、上皿左クリアベース313Lの前面313aが平面状に発光する場合に比べて、エラーに基づく発光を遊技者や遊技店の店員等が気づきやすくなる。
また、この上皿左クリアベース313Lにおける照射光導入凹部806及び入射光反射凹部807のような凹レンズ形状の構成は、上皿左クリアベース313Lだけでなく、例えば左上クリアベース455a,右上クリアベース455bや左下クリアベース456a,右下クリアベース456b等、他のレンズ部にも適用可能である。
(余剰球受皿の内部構造)
次に、余剰球受皿の内部構造について、図29に基づいて説明する。図29は、余剰球受皿4の内部構造を示す分解斜視図である。
図29に示されるように、余剰球受皿4は、下皿枠104を構成する下皿本体板350と、余剰球受皿4の背面を覆う下皿背板351と、上向きに開口する皿状に形成される下皿球受け352と、から主に構成されている。下皿本体板350の中央部には、下皿球受け352を収容可能な球受け収容部350aが前方に向けて膨出するように形成されており、該球受け収容部350aには、下皿球受け352が背面側から取り付けられるようになっている。
下皿球受け352は、受皿LED202aを上面に有する受皿LED基板353が取り付けられる下皿LEDベース354を介して球受け収容部350aに取り付けられる。下皿LEDベース354は、透明な合成樹脂材により、下皿球受け352の前縁及び左右側縁を囲む平面視略コ字形に形成されており、その前縁及び左右側縁上部には、受皿発光部202を構成する平面視略コ字形をなす上面板354aが形成されているとともに、前縁及び左右側縁下部には、上面板354aとほぼ同形をなす下板354bが形成されており、該下面板354bの上面に受皿LED基板353が取り付けられるようになっている。
そして、この上面板354aの上方には、上面板354aとほぼ同形をなす乳白色のシボシート355が配置されるとともに、さらにその上方には、下皿アクリルセンター356が配置されている。このシボシート355により受皿LED202aからの光を拡散され、かつ受皿発光部202が面発光されるようになっている。
このように構成された余剰球受皿4は、球が貯留される下皿球受け352の前縁及び左右側縁上部に、所定幅を有する平面視略コ字形をなす平坦な受皿発光部202が、上向きに発光可能な状態で設けられている。
また、受皿発光部202を発光させる発光体(演出用の電気部品)としての受皿LED202aを有する受皿LED基板353は、該受皿発光部202の発光面を構成する下皿アクリルセンター356から下方に離間した位置に配置され、さらにこれら受皿LED基板353と下皿アクリルセンター356との間にシボシート355及び上面板354aが配設されており、指向性の高い受皿LED202aからの光を拡散させて下皿アクリルセンター356を面発光させることができるようになっている。
下皿本体板350の前面左右側には、受皿左LED203aが前面に実装される左幕板LED基板340L及び受皿右LED203bが前面に実装される右幕板LED基板340Rが取り付けられ、その前面には、下皿幕板保護シート341及び左下皿LEDケース342L,右下皿LEDケース342Rが取り付けられる。また、左下皿LEDケース342L,右下皿LEDケース342Rの前面外側には、凹凸加工が施された下皿光拡散レンズ343がそれぞれ取り付けられるとともに、一方の右下皿LEDケース342Rの前面内側には、下皿アクリルサーキット344及び下皿ストラクチャー345がネジにより取り付けられる。
この棒状の下皿光拡散レンズ343により、その背面側に配置される1つの受皿左LED203a,受皿右LED203bの光が上下方向に拡散されるようになっている。また、左側には、コ字形をなす下皿メッキフレーム346及び下皿ストラクチャーカバー347が取り付けられる。
さらにこれらの前面側には、透明な左下皿アクリルカバー348L及び右下皿アクリルカバー348Rが取り付けられ、さらにその下方には、左下皿下飾り349L及び右下皿下飾り349Rが取り付けられ、これらにより受皿左発光部203L及び受皿右発光部203Rが形成される。尚、下皿本体板350の前面右側には、打球操作ハンドル5を構成するハンドルベース540が取り付けられるハンドル取付部551が突設されている。
また、下皿本体板350の前面左側における左幕板LED基板340Lの取付位置の内側には、前後に貫通する貫通口が形成されており、その背面側には、左下皿ストラクチャー560が配置され、さらにその背面側には、下皿アクリルサーキット561、下皿メッキ飾り562が配置される。そして、この下皿メッキ飾り562の前面には、その背面側から取り付けられるネジにより、下皿メッキ飾り562と、さらに下皿本体板350の前面側に配置される左下皿アクリルカバー348Lが取り付けられるようになっており、下皿本体板350を挟んでその前後の下皿メッキ飾り562と左下皿アクリルカバー348Lとが一体化された状態で取り付けられる。尚、下皿メッキ飾り562の背面側には、下皿幕板保護シート563及び前面に左下皿LEDが実装される左下皿LED基板564が取り付けられている。尚、右下皿アクリルカバー348Rを通して左下皿ストラクチャー560等が視認できるようになっている。
また、下皿球受け352の下面には、球抜き穴を開閉自在とするスライド板570と、該スライド板570を球抜き穴の閉塞方向に付勢するコイルバネ571と、これらスライド板570及びコイルバネ571を配設するための下皿球抜きベース572が下面側からネジにより取り付けられている。
(余剰球受皿の発光部構造)
次に、図30に基づいて、受皿右発光部203L及び受皿右発光部203Rの発光部構造を説明する。図30は、(a)は下皿光拡散レンズ及び右下皿LEDケースを示す正面図であり、(b)は(a)のG−G断面図であり、(c)は(b)のH−H断面図である。尚、受皿右発光部203L及び受皿右発光部203Rにおける下皿光拡散レンズ343は左右同様に構成されているため、ここでは受皿右発光部203Rの構造を説明し、受皿左発光部203Lの詳細な説明は省略することとする。
受皿右発光部203Rには、図30に示されるように、前述した導光部材としての下皿光拡散レンズ343及びその背面(裏面)側に配置される受皿右LED203bとから主に構成される直線発光部が上下方向に設けられている。
下皿光拡散レンズ343は、透明な合成樹脂材により棒状に形成されている。詳しくは、帯状に形成される板状部801(図30(c)参照)と、板状部801の左右方向の前面中央部から前方に向けて延設される中央リブ802C及び板状部801の左右方向の前面端部からそれぞれ外側斜め前方に向けて延設される左リブ802L,右リブ802Rと、が一体成形により構成されている。つまり、上下方向に延設される下皿光拡散レンズ343は、左右方向に並設されるとともに、それぞれの後端が一体化されてなる3本の左リブ802L,中央リブ802C,右リブ802Rにて構成され、左リブ802L及び右リブ802Rは、中央リブ802Cに対して所定角度傾斜した状態で設けられているため、左リブ802Lと中央リブ802Cとの間及び右リブ802Rと中央リブ802Cとの間には、断面略三角形状をなす空間が上下方向に向けて形成されている。
これら左リブ802L,中央リブ802C,右リブ802Rの前端面及び板状部801の裏面には、長手方向にわたりローレット加工が施され、開角θ3=90度をなす縦断面三角形状の切欠が上下方向に向けて連続して形成されており(図30(b)参照)、内部の光が外方に放射されるようになっている。
下皿光拡散レンズ343の裏面上下方向の中央位置には、板状部801裏面から左リブ802L,中央リブ802C,右リブ802Rの基部までの深さを有するとともに、左右幅方向に延びる第1の凹部803が凹設されている。また、下皿光拡散レンズ343の表面側における第1の凹部803に対応する箇所には、第1の凹部803を形成するための第1の凸部805が、左リブ802Lと中央リブ802Cとの間及び右リブ802Rと中央リブ802Cとの間にそれぞれ前方に向けて凸設されている。
第1の凹部803は、垂直方向を向く垂直導入面807aと、該垂直導入面807aの上端から裏面側に向けて連設され、水平方向を向く上水平導入面807bと、該垂直導入面807aの下端から裏面側に向けて連設され、水平方向を向く下水平導入面807cと、により側面視略逆コ字形に形成された照射光導入面を構成しており、その裏面側に配置される受皿右LED203bからの照射光が該下皿光拡散レンズ343内部に導入されるようになっている。
尚、垂直導入面807aには上下方向にわたりローレット加工が施され、開角θ3=90度をなす縦断面三角形状の切欠が上下方向に向けて連続して形成されており、内部の光が外方に放射されるようになっている。また、下皿光拡散レンズ343の上下端は斜めに切り欠かれており、裏面側に向けて上方に傾斜する傾斜反射面808b、808cが形成されている。
一方、右下皿LEDケース342Rの前面には、下皿光拡散レンズ343を前方から配置可能なレンズ配置部810が上下方向に向けて延設されている。レンズ配置部810には、該その裏面側に配置される受皿右LED203bとの対向位置に、該受皿右LED203bの照射面を前方に露呈させるための照射用開口811が形成されており、受皿右LED203bからの照射光を前方に向けて照射させることができるようになっている。
照射用開口811の前方には、下皿光拡散レンズ343が配置された状態において、第1の凹部803内に収容されて係合する三角柱状の照射光反射部812が左右方向に向けて架設されている。この照射光反射部812の裏面側には、裏面側に向けて下方に傾斜する上照射光反射面812bと、裏面側に向けて上方に傾斜する下照射光反射面812cとがそれぞれ形成されている。上照射光反射面812bは、受皿右LED203bからの照射光を傾斜反射面808cに向けて反射させて、上水平導入面807bに入射させる。下照射光反射面812aは、受皿右LED203bからの照射光を傾斜反射面808bに向けて反射させて、下水平導入面807cに入射させるようになっている。
また、右下皿LEDケース342Rの上下端部には、下皿光拡散レンズ343が配置された状態において、下皿光拡散レンズ343の下端に形成された傾斜反射面808b’及び上端に形成される傾斜反射面808cそれぞれに当接もしくは近接する補助反射面が形成されている。
レンズ配置部810を構成する右下皿LEDケース342R及び照射光反射部812は、非透光性の合成樹脂材にて構成されているとともに、右下皿LEDケース342Rの前面及び上記各反射面812a〜812cにはメッキ処理が施されているため、下皿光拡散レンズ343内部から放射される光を反射して再度内部に入射させるようになっている。
次に、上述のように構成された下皿光拡散レンズ343、右下皿LEDケース342R、受皿右LED203bの詳細な構造及び互いの配置関係等について説明する。
第1の凹部803は、裏面側に向けて開放する凹溝状に形成されている。詳しくは、第1の凹部803を構成する垂直導入面807aの上下幅寸法L1は約5mmであり、上水平導入面807b及び下水平導入面807cの前後幅寸法L2は約2.5mmとされている。
この第1の凹部803内に収容される照射光反射部812の垂直反射面812aの上下幅寸法は、前記垂直導入面807aの上下幅寸法L1よりも短寸とされており、垂直反射面812aの上端と上水平導入面807bとの間及び垂直反射面812aの下端と下水平導入面807cとの間には僅かな隙間が形成されている。よって、受皿右LED203bからの照射光がこの僅かな隙間から照射光反射部812よりも前方に向けて放射されるようになっている。
照射光反射部812は、上傾斜反射面812bと下傾斜反射面812cとの接合端辺、すなわち頂辺が底壁面810aよりもやや前方に位置するように設けられている。また、上水平導入面807bに対する上傾斜反射面812bの傾斜角度及び下水平導入面807cに対する下傾斜反射面812cの傾斜角度θ1はそれぞれ約45度とされている。受皿右LED203bは、光を前方に向けて略水平に照射、すなわち、垂直導入面807aに対して直交方向に照射するように配置されているため、該受皿右LED203bからの照射光は、上傾斜反射面812bと下傾斜反射面812cとによりそれぞれ上下方向に反射されるようになっている。
右下皿LEDケース342Rは、レンズ配置部810の裏面側に近接配置されているとともに、受皿右LED203bが照射用開口811に臨むように配設されている。すなわち、各照射光反射部812の裏面側には受皿右LED203bがそれぞれ配設されている。
下皿光拡散レンズ343に対する光の供給は、第1の凹部803から行われる。受皿右LED203bから照射された光は、前方に向けてほぼ水平に照射されるため、照射用開口811を通過した光は主に上傾斜反射面812b及び下傾斜反射面812cにより上方及び下方に向けて反射する。ここで、照射方向とほぼ平行な上水平導入面807bに対する上傾斜反射面812bの傾斜角度及び下水平導入面807cに対する下傾斜反射面812cの傾斜角度θ1=45度であるため、反射光は上水平導入面807b及び下水平導入面807cに対してほぼ直交する方向に反射する。
つまり、上水平導入面807b及び下水平導入面807cに対する入射角は0度となるため、入射光は上水平導入面807b及び下水平導入面807cによりほぼ屈折することなく、上方及び下方に向けてほぼ垂直に入射し、そのまま直線的に進む。
ここで、下水平導入面807cから入射した入射光は、下方に向けてほぼ垂直に進み、該下水平導入面807cの直下に配設された傾斜反射面808bに入射する。この入射光の光路は、上傾斜反射面808bの法線H(図示略)に対して臨界角θ4よりも大きな角度であり、入射前のエネルギーが全て反射光になるため、前方に向けてほぼ水平に反射する。よって、該傾斜反射面808bの前方位置、すなわち、下端付近がその周辺に比べて強く発光する。
尚、上水平導入面807bから入射した入射光は、上方に向けてほぼ垂直に進み、上端に形成された傾斜反射面808cに入射する。この入射光の光路は、下傾斜反射面808cの法線H(図示略)に対して臨界角θ4よりも大きな角度であり、入射前のエネルギーが全て反射光になるため、前方に向けてほぼ水平に反射する。よって、該傾斜反射面808cの前方位置、すなわち、上端付近がその周辺に比べて強く発光する。
第1の凹部803に戻って、受皿右LED203bから照射された光は、上述のように全てが上下の照射光反射面812b,812cに向けて水平に照射されるわけではなく、上水平導入面807bや下水平導入面807cに対して斜めに入射する光もあるため、これら光は、レンズ内部に透過され、または反射することになる。
ここで、受皿右LED203bからの照射光または上水平導入面807bや下水平誘導面807c等で反射した反射光等、上照射光反射面802bの上端辺と上水平導入面807bとの隙間もしくは下照射光反射面812cの下端辺と下水平導入面807cとの隙間に入り込んだ光は、垂直導入面807aに入射し、レンズ内部に透過され、または反射することになるため、該垂直導入面807aの前方上下位置、すなわち、第1の凸部805の上下部付近がその周辺に比べて強く発光する。
また、垂直導入面807aに入射した光は、反射した場合でもその裏面側に垂直反射面812bが配置されていることにより、反射光が外部に放射されることなく、該垂直反射面812aに反射して再度垂直導入面807aに入射するため、垂直導入面807aが明るくなる。さらに、垂直導入面807aにはローレット加工が施されていることで、その裏面側上下端付近から入射する光が凹凸面により上下方向にわたり分散して反射されるため、照射光反射部812により受皿右LED203bからの照射光が遮られても、上下幅方向にわたり発光することになる。
このように、下皿光拡散レンズ343にあっては、裏面側に配置された受皿右LED203bとの対向位置に、各導入面807a〜807cからなる第1の凹部803が凹設されていることにより、受皿右LED203bから前方に向けて水平に照射される光により、第1の凹部803の前方に形成される第1の凸部805付近が、その周辺に比べて強く発光する。つまり、受皿右LED203bが発光することにより、下皿光拡散レンズ343の表面における第1の凹部803の正面位置に、主に垂直導入面807aから導入された入射光により発光する第1の発光部が形成される。
また、垂直導入面807aと受皿右LED203bとの間には非透光性部材からなる照射光反射部812が配置されており、これにより垂直導入面807aの裏面側が遮られていることで、受皿右LED203bの照射光が直接垂直導入面807aを透過して前方に放射されることがないので、第1の発光部における輝度が適度に低下される。
一方、右枠LED28cの裏面側には上下の傾斜反射面812b,812cが形成されており、受皿右LED203bの照射光を上下の水平導入部807b,607cに対して直交方向に入射させるようになっているため、反射による光の損失を極力抑えた状態で照射光を傾斜反射面808b,808c側に向けて誘導することができるばかりか、透過光が上下の水平導入部807b,807cの直下及び直上に形成される上下の傾斜反射面808b,808cに向けて直線的に誘導され、上下の傾斜反射面808b,808cに入射する前に外部に放射することを効果的に防止できるため、上下端における輝度を高めることができる。
さらに、上下の傾斜反射面808b,808cの裏面側には、非透光性部材からなる上下の補助反射面が近接配置されているため、上下の傾斜反射面808b,808cから外部に放射される光が再度内部に入射されるため、上下端における輝度を高めることができる。
また、垂直導入面807a,上水平導入面807b,下水平導入面807cに対してそれぞれ斜めに入射して下皿光拡散レンズ343内部に透過した入射光は、主にローレット加工が施された面、つまり各リブ802L,802C,802Rの前端面や板状部801の裏面から外部に放射される。よって、下皿光拡散レンズ343の上下方向に延設された各リブ802L,802C,802Rの前端面が、上下方向にわたって均等に発光するため、下皿光拡散レンズ343の表面を長手方向にわたり発光させることができる。
また、下皿光拡散レンズ343内部から板状部801の裏面から外部に放射された光は、その裏面に近接配置される底壁面810aにより反射されて再度内部に透過されるとともに、下皿光拡散レンズ343内部から左右のリブ802L,802Rの外面から外部に放射された光は、その外側に近接配置される傾斜壁面801b,810cにより反射されて再度内部に透過され、これにより下皿光拡散レンズ343内部を誘導される光が裏面側に放射しにくくなり、光が前方に向けて放射されやすくなるため、下皿光拡散レンズ343全域を効率よく発光させることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
例えば、前記実施例では、照射光導入面806aが球面状に形成されていたが、凹状の入射光反射凹部807を構成するものであれば、例えば互いに異なる方向を向く複数の導入面等により凹状に形成されていてもよい。また、入射光反射面807aは互いに異なる方向を向く複数の反射面にて形成されていたが、球面状に形成されていてもよく、これら形状は種々に変形可能である。
また、前記実施例では、照射光導入面806aは柱状導光部805a,805bの端面に凹設されていたが、上皿左クリアベース313Lの背面313bに直接凹設されていてもよい。
また、前記実施例では、入射光反射面807aは上皿左クリアベース313Lの前面313aよりも内側に埋設するように凹設されていたが、上皿左クリアベース313Lの前面313aに凹設されていれば、必ずしも埋設されていなくてもよい。
また、前記実施例では、入射光反射凹部807の近傍に形成された上反射部811及び下反射部812は、ローレット加工により形成された凹凸条にて構成されていたが、内部を誘導された入射光を前方に向けて反射しうるものであれば、例えばサンドブラスト加工等により形成された凹凸面等により構成されていてもよい。
また、これら上反射部811及び下反射部812の前面側に設けられるものは、発光板810や筒状発光部808c等に限定されるものではなく、種々に変更可能であるとともに、特に発光部等が設けられていなくてもよい。
また、前記実施例では、入射光反射凹部807の周囲前方に筒状発光部808cが突設されていたが、必ずしも筒状発光部808cが設けられていなくてもよい。
また、前記実施例では、入射光反射面807aは透明な合成樹脂材により構成されていたが、半透明または不透明(非透光材)にて構成されていてもよい。あるいは、反射効率が高くなるように入射光反射面807aの少なくとも一部をメッキ処理等を施してもよい。
また、前記実施例では、供給皿左発光部200L,供給皿右発光部200R及び扉枠左発光部204L,扉枠左発光部204Rは、所定のエラーが発生したことに基づいて発光するようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、供給皿左発光部200L,供給皿右発光部200Rのみを発光させるようにしてもよい。また、例えば遊技に関連する演出装置としてこれら発光部を発光させてもよいし、装飾用発光部として発光させてもよい。さらに、球切れや賞球時に発光させるようにしてもよい。また、これら供給皿左発光部200L,供給皿右発光部200R及び扉枠左発光部204L,扉枠左発光部204Rとともに供給皿前発光部201を発光させてもよい。
また、受皿発光部202は、余剰球受皿4が球で満杯になったことに基づいて発光するようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば遊技に関連する演出装置としてこれら発光部を発光させてもよし、装飾用発光部として発光させてもよい。さらに、球切れや賞球時に発光させるようにしてもよい。
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ機1が適用されていたが、遊技球を用いてゲームを行うことが可能なスロットマシン等の他の遊技機にも適用可能である。