まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。図4は、パチンコ遊技機を開放した状態を示す斜視図である。図5は、遊技盤ユニットを示す分解斜視図である。
パチンコ遊技機1は、図1、図2及び図4に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
図4に示すように、遊技盤6は、遊技領域7が前面に形成された合成樹脂製の盤面板200と、所定の厚み幅寸法を有し、盤面板200を取り付ける取付面(取付部)が前面に設けられたスペーサ部材250と、から構成され、該遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット49等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技用部品ユニット310が一体的に組み付けられている(図5参照)。
遊技盤6と遊技用部品ユニット310とが一体的に組み付けられた遊技盤ユニット300(図5参照)を前面枠101の前面に取り付けるには、遊技盤6の左端部を図中太矢印に示すように、前面枠101に形成された縦長長方形状の開口部115の左上下位置に設けられた係止凹部116a,116bに、遊技盤6の左端部を差し込んだ状態で、右端部を盤押え金具117a,117bで係止することにより取り付けられるようになっている。係止凹部116a,116bには盤押えバネ118a,118bが設けられており、係止凹部116a,116bに係止された遊技盤6の前後のガタツキが防止されている。盤面板200が取り付けられた状態において、該遊技盤6の背面に設けられた遊技用部品ユニット310が開口部115を介して前面枠101の背面側に臨むようになっている。
図5に示すように、遊技盤ユニット300は、遊技盤6と、遊技盤6の背面側に配置され、遊技盤6を背面側から装飾する装飾体301と、装飾体301の背面に取り付けられ、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット49と、から主に構成されている。
装飾体301は、後述するように透明に形成される遊技盤6の遊技領域7を背面側から装飾する立体状に形成された装飾部材であって、前後方向に所定幅の板厚を有し、前方の遊技盤6の背面に着脱可能に取り付けられ、取り付けられた状態において、遊技盤6を透して遊技者から視認可能とされる。装飾体301の前面は、特に詳細な図示はしないが非平坦面状に形成され、奥行き感のある立体装飾部とされている。
また、装飾体301の前面左側には、演出用モータ352により前後方向を向く回動軸(図示略)周りに回動する円盤状の可動演出部351を有する可動演出装置350が、盤面板200を通して前面側から視認できるように設けられている。可動演出部351の前面には複数の演出用LED353が設けられており、遊技の進行に応じて、これら複数の演出用LED353を発光させたり可動演出部351を回転させたりすることにより演出することができるようになっている。
遊技盤6の主に下部側に設けられる各種表示装置(例えば第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b等)、駆動手段(ソレノイド16,21等)、LED、各種スイッチ(例えば第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15a、カウントスイッチ23等)から延出される配線は、遊技盤6の背面と装飾体301の前面との間から側方に引き出される。装飾体301の略中央位置には、背面側に配設される演出表示装置9の表示面を視認可能とするための開口部303が形成されている。
装飾体301や変動表示制御ユニット49だけでなく、他の装置や基板等の遊技に関連する複数の遊技用部品が一体的に組み付けられてなる遊技用部品ユニット310は、後述するように遊技盤6に対して着脱可能に取り付けられる。
図1に戻って、遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び第2入賞確認スイッチ15bによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部9aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部9bとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
なお、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a,29cに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30aによって検出され、入賞口29b,29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
第1始動入賞口13a内には、始動入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b)が設けられている。この実施例では、第1始動入賞口13a内で、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとが上下に配置されている(本例では、第1始動口スイッチ14aが上側に配置され、第1入賞確認スイッチ14bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第1始動入賞口13a内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第1始動口スイッチ14aで検出され、次いで第1入賞確認スイッチ14bで検出される。
また、第2始動入賞口13b内には、始動入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b)が設けられている。この実施例では、第2始動入賞口13b内で、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bとが上下に配置されている(本例では、第2始動口スイッチ15aが上側に配置され、第2入賞確認スイッチ15bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第2始動入賞口13b内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第2始動口スイッチ15aで検出され、次いで第2入賞確認スイッチ15bで検出される。
また、大入賞口内には、大入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23a)が設けられている。この実施例では、大入賞口内で、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとが配置されている(本例では、カウントスイッチ23が上側に配置され、第3入賞確認スイッチ23aが下側に配置されている)。従って、この実施例では、大入賞口内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まずカウントスイッチ23で検出され、次いで第3入賞確認スイッチ23aで検出される。
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとして、それぞれ異なる検出方式のスイッチが用いられる。この実施例では、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよびカウントスイッチ23として近接スイッチを用い、第1入賞確認スイッチ14b、第2入賞確認スイッチ15b、第3入賞確認スイッチ23aとしてフォトセンサを用いている。
また、第1始動口スイッチ14aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、第1特別図柄の変動表示が開始され、賞球払出が実行される。また、第2始動口スイッチ15aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、第2特別図柄の変動表示が開始され、賞球払出が実行される。また、カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことにもとづいて、賞球払出が実行される。また、第1始動口スイッチ14aによる検出結果に加えて第1入賞確認スイッチ14bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、第2始動口スイッチ15aによる検出結果に加えて第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、カウントスイッチ23による検出結果に加えて第3入賞確認スイッチ23aの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。従って、第1入賞確認スイッチ14b、第2入賞確認スイッチ15b、第3入賞確認スイッチ23aは、異常入賞の判定のみに用いられる。
このように、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15a、カウントスイッチ23は近接スイッチを用いて構成し、第1〜第3入賞確認スイッチ14b,15b,23aはフォトセンサを用いているが、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aの検出方式はこの実施例で示したものにかぎらず、例えば、第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23と、第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aとで異なる検出方式であれば、逆に第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23としてフォトセンサを用い、第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aとして近接スイッチを用いてもよい。この場合、フォトセンサである第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23の検出結果にもとづいて特別図柄の変動表示や賞球払出処理が実行され、近接スイッチである第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aの検出結果は、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、大入賞口の異常入賞の判定のみに用いられることになる。また、例えば、電磁式のスイッチである近接スイッチや光学式のフォトセンサに代えて、第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23または第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aとして、機械式のスイッチ(マイクロスイッチなど)を用いてもよい。
また、この実施例では、特別図柄の変動表示や賞球払出処理の実行の契機となる第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23は、異常入賞の判定に用いられる第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aよりも上流側に設けられていたが、異常入賞の判定に用いられるスイッチの下流側に設けてもよい。
そして遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第1入賞確認スイッチ14b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第1始動口スイッチ14aにて検出された遊技球数と第1入賞確認スイッチ14bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えたと判定すると、所定のエラーとして、第1始動入賞口13aへの異常入賞が発生したと判定する。また、第2始動口スイッチ15a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第2入賞確認スイッチ15b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第2始動口スイッチ15aにて検出された遊技球数と第2入賞確認スイッチ15bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えたと判定すると、所定のエラーとして、第2始動入賞口13bへの異常入賞が発生したと判定する。また、カウントスイッチ23(近接スイッチ)から入力した検出信号と第3入賞確認スイッチ23a(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、カウントスイッチ23にて検出された遊技球数と第3入賞確認スイッチ23aにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えたと判定すると、所定のエラーとして、大入賞口への異常入賞が発生したと判定する。
このように、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aと、を互いに異なる検出方式のセンサ(本例では、近接スイッチとフォトセンサ)により構成していることで、例えば電磁波などを用いて第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、大入賞口への入賞数が実際の入賞数よりも多くなるように認識させるような不正行為が行われた場合に、近接スイッチにて検出された遊技球数とフォトスイッチにて検出された遊技球数とに差が生じ、遊技制御用マイクロコンピュータ156はこの差球数が所定の閾値を超えた場合に異常入賞が発生したと判定するため、確実な不正行為対策を講ずることができる。
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cが設けられている。天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
図1および図2では、図示を省略しているが、左枠LED28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠LED28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる所定の小当り図柄(所定表示結果)であると「小当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「非確変」または「確変A」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての第1大当り状態(15ラウンド大当り状態)に移行する。大当り遊技状態(通常15ラウンド大当り状態)では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が、第1期間となる所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。15ラウンド大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第1ラウンド数(例えば「15」)となる。ラウンドの実行回数が「15」となる15ラウンド大当り状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出玉(賞球)が得られる。なお、15ラウンド大当り状態は、第1特定遊技状態ともいう。
特図ゲームにおける確定特別図柄として「確変B」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての第2大当り状態(高速15ラウンド大当り状態)に移行する。第2大当り状態では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が、第1大当り状態における第1期間よりも短い第2期間(例えば0.5秒間)あるいは所定個数(例えば3個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。第2大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第2ラウンド数(例えば「15」)となる。
このような第2大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞すれば15個の出玉(賞球)が得られるが、大入賞口の開放期間が第2期間(0.5秒間)であって、非常に短い。そのため、第2大当り状態は実質的には出玉(賞球)が得られない大当り遊技状態である。なお、第2大当り状態は第2特定遊技状態ともいう。また、第2大当り状態は、第1大当り状態に比べてラウンドの実行回数が少ないものであってもよい。すなわち、第2大当り状態は、各ラウンドで大入賞口を開放状態に変化させる期間が第1大当り状態における第1期間よりも短い第2期間となることと、ラウンドの実行回数が第1大当り状態における第1ラウンド数よりも少ない第2ラウンド数となることのうち、少なくともいずれか一方となるものであってもよい。
また、「非確変」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば100回)の特図ゲームが実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。このように「非確変」に対応する大当り図柄特別図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に時短状態に制御される大当り図柄は、非確変大当り図柄(「通常大当り図柄」ともいう)と称される。また、大当り図柄のうち非確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう)と称される。
「確変A」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態が終了した後や、確変状態において「確変B」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第2大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。
こうした「確変A」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、確変大当り図柄と称される。また、「確変B」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく大当り遊技状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、突確大当り図柄と称される。また、大当り図柄のうち確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「確変大当り」と称される。突確大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「突確大当り」(「突確大当り」ともいう)と称される。なお、これら大当り図柄は任意であり、例えば、遊技者に大当り図柄であることや、大当り種別を認識されないようにするために、大当り図柄を数字とせずに予め定められた記号等にしてもよい。
「小当り」に対応する特別図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示された後には、小当り遊技状態に制御される。この小当り遊技状態では、第2大当り状態と同様に特別可変入賞球装置20において大入賞口を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させる可変入賞動作が行われる。すなわち、小当り遊技状態では、例えば特別可変入賞球装置20を第2期間にわたり第1状態(開放状態)とする動作が、第2回数{第2ラウンド数に等しい実行回数(本例では、15回)}に達するまで繰り返し実行される。なお、小当り遊技状態では、第2大当り状態と同様に、特別可変入賞球装置20を第1状態とする期間が第2期間となることと、第1状態とする動作の実行回数が第2回数となることのうち、少なくともいずれか一方が行われるように制御されればよい。小当り遊技状態が終了した後には、遊技状態の変更が行われず、可変表示結果が「小当り」となる以前の遊技状態に継続して制御されることになる。ただし、可変表示結果が「小当り」となる特図ゲームが実行されたときに、特別遊技状態における特図ゲームの実行回数が所定回数に達していれば、小当り遊技状態の終了後には、特別遊技状態が終了して通常状態となることがある。可変入賞動作により特別可変入賞球装置20を第1状態とする回数が「15」である小当り遊技状態における遊技は、第2大当り状態における遊技と同様に、15回開放遊技とも称される。なお、第2大当り状態における各ラウンドで特別可変入賞球装置20とは別個に設けられた入賞球装置を第1状態に変化させる場合には、小当り遊技状態でも、第2大当り状態と同様の態様で、その入賞球装置を第1状態に変化させるようにすればよい。
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口13bを通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。なお、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組み合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口13bに遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口13bは、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、高開放制御期間ではない確変状態である潜伏確変状態は高確低ベース状態とも称される遊技状態である。
また、この実施例では、通常状態において「確変B」に対応する「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われない第2確変制御(潜伏確変状態)へ移行する。また、確変状態において「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる第1確変状態へ移行する。
このように確変状態のうちには、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われるものの他に、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われないもの(潜伏確変)が含まれていてもよい。また、例えば、特図ゲームにける可変表示結果が「確変大当り」となったことに基づく第1大当り状態の終了後には、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる第1確変状態(高確高ベース状態ともいう)に制御され、その後、特図表示結果が「大当り」となることなく、特図ゲームの実行回数が所定回数(例えば70回)に達したときには、確変制御は継続して行われるものの、時短制御や高開放制御が終了して行われなくなる第2確変状態(高確低ベース状態ともいう)に制御されるようにしてもよい。
また、この実施例では、確変状態であるときに特図ゲームにおける可変表示結果が「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には第2確変状態(潜伏確変状態)へと移行するようになっていたが、確変状態だけでなく、時短状態であるときに特図ゲームにおける可変表示結果が「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後にも第1確変状態へと移行するようにしてもよい。あるいは、「確変大当り」に基づく第1大当り状態の終了後には、再び特図表示結果が「大当り」となるまで第1確変状態に制御される一方、「突確大当り」に基づく第2大当り状態の終了後には、第1確変状態に移行して、特図表示結果が「大当り」となることなく特図ゲームの実行回数が所定回数に達したときに第2確変状態へと移行するようにしてもよい。時短制御と高開放制御は、それらの開始と終了が同時に(連動して)行われる一方で、確変制御の開始と終了は、時短制御や高開放制御の開始や終了と必ずしも連動するものでなくてもよい。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板31は基板収納ケース150に収納されている。
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板90やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板90には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。なお、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース97aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ43が設けられている。球切れスイッチ43が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ43が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行なわれる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路60が内蔵されている。乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23、第3入賞確認スイッチ23aおよび各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25aに駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
(遊技盤)
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の構造について、図面にもとづいて説明する。図6は、遊技盤を示す分解斜視図である。図7は、スペーサ部材を示す背面図である。図8は、複数の遊技盤を積み重ねた状態を示す斜視図である。図9は、図8のA−A断面図である。図10は、図8のB−B断面図である。
図6〜図9に示すように、遊技盤6は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等の透明な合成樹脂材(透光性材)にて四角状に形成される盤面板200と、該盤面板200の背面200b側に一体的に取り付けられる非透光性を有する枠状に形成されるスペーサ部材250と、から主に構成される。盤面板200の厚み幅寸法P1(図9参照)は約1cm程度であり、全体が透明に形成されている。なお、本実施例では盤面板200全体が透明に形成されているが、当該盤面板200の前面側からその背面側に配設される装飾体301を透視可能な透光性を有していれば、半透明であってもよいし、着色されていてもよい。また、全体が透光性を有していなくても、少なくとも遊技領域7の一部に透光部が形成されていればよい。
盤面板200には、背面側に配設される演出表示装置9の表示面を前面側に臨ませるとともに、センター枠飾り11(図1参照)が取り付けられる取付穴201と、可変入賞球装置15(図1参照)が取り付けられる取付穴と特別可変入賞球装置20(図1参照)が取り付けられる取付穴とが一体化された取付穴203と、アウト口26(図1参照)を形成するアウト口穴204と、ゲート32(図1参照)が取り付けられる左右の取付穴205,205と、各入賞口29a〜29dを構成する入賞口部材が取り付けられる開口206a〜206dと、がそれぞれ前後方向に貫通して形成されている。
各取付穴201〜206の周囲前面には、各部材を取り付けるためのネジが螺入されるネジ穴TAが複数箇所に形成されているとともに、後述する外レール401及び内レール402(図11参照)が取り付けられる取付穴TBが複数箇所に形成されている。
また、盤面板200の周囲には、スペーサ部材250から前面側に突設され、後述する外レール飾り600a〜600cを取り付けるための取付ネジが取り付けられるネジ穴が先端に形成された複数の取付用ボス260a〜260h及びスペーサ部材250から前面側に突設され、後述する証紙貼付部材601(図11参照)を取り付けるための取付ネジが取り付けられるネジ穴が先端に形成された取付用ボス260jがそれぞれ挿通される挿通穴207a〜207jが、それぞれ対応した位置に前後方向に貫通して形成されている。
また、盤面板200を前面側から見たときにおける左上部、左下部、右上部には、スペーサ部材250から前面側に突設される複数の位置決め用ボス261a〜261cがそれぞれ嵌合される位置決め穴208a〜208cが、それぞれ対応した位置に前後方向に貫通して形成されている。また、盤面板200における後述する配線挿通孔706に対応する位置には、スペーサ部材250に組み付けられたときに配線挿通孔706に合致する配線挿通孔706’が形成されている。なお、これら以外にも、複数の挿通穴や取付穴等が形成されている。
また、盤面板200の側面における四隅近傍位置には、スペーサ部材250に形成された弾性係止爪270a〜270dがそれぞれ係止される係止段部220a〜220dがそれぞれ形成されている。係止段部220a〜220dは、盤面板200の側面における前面側の縁辺部に切欠形成される(図10参照)。
スペーサ部材250は、非透光性を有する合成樹脂材により、外形が盤面板200と同形に形成された板状部材の中央に略円形の開口部251が形成されることにより枠状に形成されている。すなわち、前面250aに盤面板200が取り付けられたときに当該盤面板200の背面250bにおける遊技領域7に対応する領域(背面領域)を取り囲むように延設される延設部(内周壁254に沿うように形成される部分)を有している。
詳しくは、図6〜図9に示すように、スペーサ部材250は、枠状に形成された背板252と、該背板252の周縁から前面側に向けて立設された側壁253と、背板252の開口部251の周縁から前面側に向けて立設される内周壁254と、背板252の前面側における内周壁254と側壁253とに囲まれた領域に格子状に立設されるリブ255と、により構成されている。内周壁254及びリブ255の高さ幅寸法(前後幅寸法)P2は約1cmで、側壁253の高さ幅寸法(前後幅寸法、約2cm)の約半分とされており、これら内周壁254及びリブ255の前端面にて構成される前面250a上に、盤面板200がその背面200bを当接するように組み付けられる(図9参照)。そして組み付けられた盤面板200の側周面の外側に側壁253が配置されて該側壁253により被覆され、接触や落下による損傷から保護されるようになっている。
つまり、スペーサ部材250は、実質的な板厚である厚み幅寸法P2(図9参照)は約1cmであり、内周壁254及びリブ255の前端面にて構成される前面250aにより盤面板200の取付面が構成されており、該前面250aに配置される盤面板200によって厚み幅寸法が約2cmの遊技盤6が構成される。
側壁253の四隅近傍には、盤面板200の側周面に形成された係止段部220a〜220dに弾性的に係止される弾性係止爪270a〜270dが、前端部から切り溝を切り込むことにより形成されている。
図6及び図9に示すように、背板252の前面側には、前述した取付用ボス260a〜260h,260jと、位置決め用ボス261a〜261cとが、それぞれリブ255の交差位から前面側に向けて突設されている。これら取付用ボス260a〜260h,260j及び位置決め用ボス261a〜261cは、側壁253の前端部より若干前面側に突出する長さを有している。そして特に取付用ボス260c、260fに関しては、他の取付用ボス260a,260b,260d,260e,260g,260h,260j及び位置決め用ボス261a〜261cよりも若干長めに形成されており、後述するように組み付けられた盤面板200の遊技盤面200aよりも前面側に突出するようになっているとともに、ネジ穴260k(図9参照)が上下方向に貫通して形成されている。
このように構成されたスペーサ部材250の前面250aに盤面板200を配置すると、盤面板200に形成された各位置決め穴208a〜208c内に位置決め用ボス261a〜261cが背面側から嵌合され、スペーサ部材250に対する盤面板200の組み付け位置が決定されるとともに、各挿通穴207a〜207h,207j内に取付用ボス260a〜260h,260jがそれぞれ挿通され、各取付用ボス260a〜260h,260jの先端に形成されたネジ穴が、盤面板200の遊技盤面200a側に臨むことになる。
また、盤面板200の背面200bがスペーサ部材250の前面250aに当接されると、各弾性係止爪270a〜270dが各係止段部220a〜220dに弾性的に係止され、スペーサ部材250からの盤面板200の離脱が規制される。このように各弾性係止爪270a〜270dが各係止段部220a〜220dに弾性的に係止された状態において、各弾性係止爪270a〜270dの先端は、盤面板200の遊技盤面200aよりも前面側に突出しないようになっている(図10参照)。
図10には、弾性係止爪270aが係止段部220aに係合された状態が示されている。なお、弾性係止爪270b〜270d及び係止段部220b〜220dにおいても、弾性係止爪270a及び係止段部220aと同様に構成されているため、ここでの詳細な説明は省略することとする。
弾性係止爪270aの基部から先端部までの長さ寸法P10は、盤面板200の厚み幅寸法P1よりも短寸に形成されているため(P10<P1)、係止段部220aに弾性係止爪270aが係止された状態において、該弾性係止爪270aの先端部は遊技盤面200aから所定幅寸法P11分だけ背面側に退避した位置に配置される。よって、弾性係止爪270aの先端は盤面板200の遊技盤面200aよりも前面側に突出することがない。
また、弾性係止爪270aの係止片部の長さ寸法P12は、盤面板200の側面における背面側の端縁辺から係止段部220aまでの幅寸法とほぼ同寸に形成され、係止部の長さ寸法P13は、係止段部220aの長さ寸法(P11+P13)よりも短寸に形成されている。つまり、盤面板200の背面200bをスペーサ部材250の前面250aに当接したときに弾性係止爪270aが係止段部220aに係止されるため、係止状態において盤面板200がスペーサ部材250に対して前後にガタつくことがない。
このように各弾性係止爪270a〜270dを含む側壁253の前端部は、組み付けられた盤面板200の遊技盤面200aよりも前面側に突出しない長さに形成されているため、盤面板200の遊技盤面200aよりも前面側に突出して、後述する製造時や保管、搬送時等において各弾性係止爪270a〜270dが床面や他の遊技盤6等と接触して破損することが防止される。
また、前面250aに盤面板200を配置することにより弾性係止爪270aが係止段部220aに係止されて盤面板200の前面250aからの離脱が防止されるため、盤面板200を前面250aに簡単に取り付けることができる。また、弾性係止爪270aは遊技盤面200aに形成される遊技領域7に影響が及ばない盤面板200の側面に係止されるばかりか、係止状態において弾性係止爪270aの先端が遊技盤面200aから突出することがないので、複数の遊技盤6を積み重ねたときに弾性係止爪270aの先端が上方の遊技盤6に接触して破損することが防止される。
また、各位置決め穴208a〜208c内に嵌合された位置決め用ボス261a〜261c及び各挿通穴207a〜207h,207j内に挿通された取付用ボス260a,260b、260d〜260h,260jは、盤面板200の遊技盤面200aよりも前面側に突出しないが、取付用ボス260c、260fに関しては、盤面板200の遊技盤面200aから約5mmほど前面側に突出する。
具体的には、図9に示すように、スペーサ部材250の前面250aに突設された取付用ボス260c、260fの突出長さ寸法P3は、盤面板200の厚み幅寸法P1よりも長寸であり(P1<P3)、また、盤面板200の遊技盤面200aからの突出長さ寸法P4は、嵌合凹部264c、264fの深さ寸法P5よりも長寸(P4>P5)とされている。
図6に示すように、背板252における開口部251の下部には、アウト口穴204に連通するアウト開口部262が形成されている。背板252の前面側におけるアウト開口部262の周縁にもアウト口リブ263が立設され、その前端面が盤面板200の背面200bにおけるアウト口穴204の周縁に当接するようになっており、これにより前後方向に所定幅寸法を有するアウト開口部262を構成している。
図7に示すように、背板252の背面250bにおける取付用ボス260c、260fに対応する箇所には、該取付用ボス260c、260fの先端がそれぞれ嵌合可能な内径(大きさ)を有する円形状の嵌合凹部264c、264f(図9中拡大図参照)が凹設されており、図9に示すように複数の遊技盤6を上下方向に積み重ねたときに、下方の遊技盤6の取付用ボス260c、260fが嵌合凹部264c、264fに嵌合されるようになっている。つまり、嵌合凹部264c、264fの内径L7は、取付用ボス260c、260fの外径L6よりも大寸に形成されている(L7>L6、図9中拡大図参照)。
背板252における開口部251の上部左右側及び下部左右側には、装飾体301に設けられた位置決め用ボス301a,301bが嵌合可能な円形状の位置決め穴265a〜265dが形成されている。詳しくは、背板252における位置決め用ボス301aに対応する位置に位置決め穴265aが設けられ、位置決め用ボス301bに対応する位置に位置決め穴265bが設けられている。なお、本実施例では位置決め穴265c,265dは使用されないが、スペーサ部材250を複数の機種に共通して使用する場合において、例えば装飾ユニットの前面下部に突設された位置決め用ボスが嵌合可能な位置決め穴として用いることができるようになっている。また、開口部251の上部および下部の左右側には、装飾体301を取り付けるためのネジ穴266a〜266dが形成されている。
これら位置決め穴265a〜265dのうち、背面側から見て右上及び右下の位置決め穴265a,265dの内径L1は、位置決め用ボス301a,301bの外径よりも大径であり、かつ、背面側から見て左上及び左下の位置決め穴265b,265cの内径L2よりも大径とされている(L1>L2)。
よって、装飾体301をスペーサ部材250の背面に取り付ける際には、まず位置決め用ボス312a(または312d)を、位置決め穴265b(または265c)よりも内径の大きな位置決め穴265a(または265d)に嵌合し、これを足掛かりとして他方の位置決め用ボス312b(または312c)を、内径の大きな位置決め穴265b(または265c)に嵌合することで、変動表示制御ユニット49等の重量物が組み付けられた装飾体301のスペーサ部材250に対する位置決めを容易に行うことができるようになっている。
背板252の背面250bにおける開口部251の周縁の一部(本実施例では、背面から見て開口部251の周縁における右側下部(図中網点領域)を除く部分)には、後述する外レール飾り600a〜600cの前端部604の先端が係合する略C字形をなす帯状の係合段部267が、開口部251の周縁の一部に沿って複数箇所に延設されている。なお、係合段部267は、スペーサ部材250の背面250bにおける開口部251の周縁に沿うように形成される当接面267aと、該当接面267aの外周縁に垂設される規制面267bと、から構成されている(図14参照)。また、左右側の係合段部267,267には、装飾体301を取り付けるためのネジ穴269a〜269dが形成されている。
また、スペーサ部材250を背面から見て、開口部251の周縁における右側下部には、盤面板200に設けられるセンサ、ソレノイド、モータ、LED等の電気部品または電気部品が搭載された基板から延設される電源コードやケーブルあるいはアース線等を含む配線を収容する配線収容部700(図7中網点領域)が形成されている。尚、配線収容部700の詳細な構造については後述する。
また、背板252の背面250bにおける嵌合凹部264c、264fの近傍位置には、後述する外レール飾り600aに形成される上下方向を向く係合爪606aが係合する係合段部268aと、外レール飾り600bに形成される上下方向を向く係合爪606bが係合する係合段部268bと、が形成されている。
次に、このように構成される遊技盤6の製造工程について簡単に説明すると、合成樹脂に熱を加えて溶かした樹脂を金型に流し込んで盤面板200の原板を形成した後、所定の加工装置を用いて原板を切削して所定の形状に加工する。一方、スペーサ部材250を成型し、これら盤面板200とスペーサ部材250とを一体的に組み付けて遊技盤6を構成する。
次いで、盤面板200の表面に障害釘K(図14参照)や各種入賞装置等の取付穴等を開設した後、釘打機まで搬送して障害釘Kを打設する。これらの加工は、例えば遊技盤を搬送コンベア上に載置して搬送する際に順次行われていく。そして取付穴等の加工機を通して釘打機まで移送する際には、次の加工工程で待機させる際に場所をとらないようにするために、複数枚の本体板を積み重ねて効率よく搬送コンベアにて搬送する。
また、釘打ち加工後に後述する打球レールや小型の入賞装置等を取り付けた後、大型の入賞装置や制御回路基板等の大型部品を取り付けるが、組付工程が煩雑化することから組付速度が低下するため、釘打ち及び小型の入賞装置を取り付けた後に、遊技盤を積み重ねて待機することがある。
このように、遊技盤6を取付穴等の加工機を通して釘打機まで移送する際には、次の加工工程で待機させる際に場所をとらないようにするために、複数枚の本体板を積み重ねて搬送したり、積み重ねた状態で待機することがある(図8参照)。
図8に示すように、盤面板200の遊技盤面200aに、障害釘Kや各種入賞装置等を取り付けていない状態において、遊技盤6は上下方向に積み重ねることができる。このように遊技盤6を積み重ねた場合、一の遊技盤6の前面とその上方に積み重ねられた他の遊技盤6の背面とが当接するが、盤面板200及びスペーサ部材250は合成樹脂材にて形成されているため、上方に積載された遊技盤6が滑落しやすい。
しかし、図9に示すように、スペーサ部材250の前面250aに突設された取付用ボス260c、260fの長さ寸法P3は、盤面板200の厚み幅寸法P1よりも長寸であることで、下方の遊技盤6の盤面板200の遊技盤面200aから突出した取付用ボス260c、260fの先端が、上方の遊技盤6のスペーサ部材250の背面250bに形成された嵌合凹部264c、264fに嵌合されるため、下方の遊技盤6に対する上方の遊技盤6の横滑りが規制されて滑落が防止されるとともに、積載位置が決定されるため、図のように複数の遊技盤6を上下方向に積み重ねることができる。
また、スペーサ部材250の前面250aに盤面板200を取り付けたときに、上方の遊技盤6の横滑りを規制する取付用ボス260c、260fが挿通穴207c、207fに挿通されて前面250aに対する盤面板200の取付位置が決定されるため、前面250aに対する盤面板200の面方向の位置ずれを防止できる。
なお、本実施例では、取付用ボス260c、260fが嵌合可能な大きさを有する嵌合凹部264c、264fがスペーサ部材250の背面250bに凹設されていたが、例えばスペーサ部材250の背板252に形成した穴部と盤面板200の背面200bとにより嵌合凹部が形成されていてもよい。
また、盤面板200の遊技盤面200aからの突出長さ寸法P4は、嵌合凹部264c、264fの深さ寸法P5よりも長寸(P4>P5)とされていることで、下方の遊技盤6の盤面板200の遊技盤面200aから突出した取付用ボス260c、260fの先端が、上方の遊技盤6のスペーサ部材250の背面250bに形成された嵌合凹部264c、264fに嵌合された状態において、上方の遊技盤6のスペーサ部材250の背面250bと下方の遊技盤6の遊技盤面200aとの間に所定幅(例えば1〜3mm程度)の隙間P6が形成されるため、遊技盤面200aに傷が付くことが防止される。
なお、本実施例では、図8に示すように、取付用ボス260c、260fは遊技盤6の表面側2箇所に設けられることで、下方の遊技盤6に対する上方の遊技盤6の水平回転が規制されて下方の遊技盤6に対する上方の遊技盤6の向きが決定されるため、複数の遊技盤6を積み重ねる際の安定性が向上するばかりか、積み重ねられた遊技盤6に何らかの衝撃が加わった場合にその衝撃が各取付用ボス260c、260f及び嵌合凹部264c、264fに分散され、一の取付用ボス260c、260f及び嵌合凹部264c、264fに局所的に加わることがないので、取付用ボス260c、260fの損傷が防止される。
また、遊技盤6はこれら2つの取付用ボス260c、260fを通る仮想直線を中心として上下辺側が若干前後方向に揺動することになる。これにより、遊技盤6を積み重ねたときに下方の遊技盤6の上辺側または下辺側にも荷重が加わることになり、上方の遊技盤6の荷重が全て下方の遊技盤6の取付用ボス260c、260fの2点に集中することが防止されるため、取付用ボス260c、260fの破損が防止される。なお、取付用ボス260c、260fを3箇所以上に設け、上方の遊技盤6の荷重を全て取付用ボスの配置位置にて受支するようにしてもよい。
また、本実施例では、取付用ボス260c,260f及び嵌合凹部264c,264fは横断面円形状に形成されていたが、取付用ボス260c,260f及び嵌合凹部264c,264fを横断面非円形状とすることで、下方の遊技盤6に対する上方の遊技盤6の水平回転を規制してもよい。具体的には、取付用ボス260c,260f及び嵌合凹部264c,264fの横断面形状を、例えば多角形状、楕円形状等としたり、あるいは円形状の凸部及び凹部に相対回転を規制するためのキー(係止片)とキー溝(係止溝)等を形成すれば、取付用ボス260c,260fを嵌合凹部264c,264fに嵌合したときに該取付用ボス260c,260fの軸心を中心とした双方の相対回転を規制できる。なお、このようにした場合は、1つの取付用ボス及び嵌合凹部でも下方の遊技盤6に対する上方の遊技盤6の水平回転を規制することが可能となる。
また、取付用ボス260c、260fに対応する位置に嵌合凹部264c、264fが形成されているとともに、取付用ボス260c、260fには、ネジ穴206kが先端から下端の嵌合凹部264c、264fにかけて上下方向に貫通して形成されていることで、嵌合凹部264c、264fに取付用ボス260c、260fが嵌合された状態において、ネジ穴206kの取付用ボス260c、260fの先端部側の開口と嵌合凹部264c、264fの内面側の開口とが合致するため、複数の遊技盤6を積み重ねたときに、上下の遊技盤6,6のネジ穴206kが上下方向に連通する。よって、例えば積み重ねた状態において最上位の遊技盤6の上方からネジ穴206kに線材(例えば金属棒や紐等)を全ての遊技盤6のネジ穴206kに挿通することで、遊技盤6の滑落をより効果的に防止することができる。
また、遊技盤6は、厚み幅寸法P1が約1cmの盤面板200を厚み幅寸法P2が約1cmのスペーサ部材250に一体的に組み付けることで、従来のようにベニヤ合板からなる遊技盤と同じ形状及び同じ板厚(約2cm)に形成されるため、ベニヤ合板からなる遊技盤を製造する製造ラインを使用して、取付穴や釘打ちの加工を施すことができる。
このようにアクリル樹脂材からなる盤面板200とスペーサ部材250とを組み合せることにより所定の板厚の遊技盤6を構成することで、盤面板200のみで所定の板厚の遊技盤6を形成する場合に比べて、製造コストを低減できるばかりか、軽量の遊技盤を構成することができる。また、スペーサ部材250により透明な盤面板200の背面200b側が保護されるので、製造時や搬送時における盤面板200の損傷や破損が防止される。
次に、盤面板200の前面に各種部材が取り付けられた遊技盤6の構造について、図11〜図16にもとづいて説明する。図11は、遊技盤の前面側に対する各種部材の取り付け状況を示す斜視図である。図12は、遊技盤の前面に各種部材が取り付けられた状態を示す正面図である。図13は、各種部材が取り付けられた複数の遊技盤を積み重ねた状態を示す斜視図である。図14は、図13のC−C断面図である。図15は、(a)は図13の要部拡大斜視図、(b)は図13のD−D断面図である。
(遊技盤に取り付けられる部材)
遊技盤6における盤面板200の遊技盤面200aには、図11及び図12に示すように、打球発射装置(図示略)から発射された遊技球を遊技領域7内に誘導する発射球案内通路(図示略)の一部を構成する外レール401及び内レール402、外レール飾り600a〜600c、障害釘K、風車(図示略)、証紙貼付部材601、球戻り防止装置410等が取り付けられるとともに、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、ゲート32、装飾部材25(図1参照)等が各取付穴201〜206に前面側から取り付けられる。
これら外レール401及び内レール402、外レール飾り600a〜600c、障害釘K、風車、球戻り防止装置410、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、ゲート32、装飾部材25は、遊技盤面200a上に配設される遊技用構造物であり、そのうち遊技領域7の周囲に配設される外レール飾り600a〜600c及び各レール401,402を除く障害釘K、風車、球戻り防止装置410、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、ゲート32、装飾部材25は、遊技領域7に遊技球の流下の障害となるように配設され、遊技球の流下方向を変更させる流下方向変更部材を構成する。
また、外レール飾り600a〜600cは、遊技盤面200aにおける遊技領域7の周囲に配設されることで、遊技盤面200a上に立設される正面視円弧状の各誘導面601a〜601cの端部同士が接続されて環状の誘導面が構成される(図12参照)。なお、外レール401は誘導面601a,601bの一部の内側に沿って配設され、実質的に誘導面601a,601bを構成している。内レール402の一部は誘導面601cの一部の内側に沿って配設され、実質的に誘導面601cの一部を構成している。
このようにこれら誘導面601a〜601cにより、遊技盤面200aは、中央部に形成される略円形の遊技領域7とその周囲に形成される非遊技領域とに区画されるため、外レール飾り600a〜600c及び外レール401及び内レール402は遊技領域7を形成するレール部材を構成している。
各レール401,402は帯状の金属板から構成され、遊技盤面200a側の縁辺部に長手方向に向けて所定間隔おきに固設された複数の取付ピン(図示略)を遊技盤面200aに形成された複数の取付穴TBに圧入することにより、縁辺部と遊技盤面200aとの間に隙間を設けて取り付けられる。このように縁辺部と遊技盤面200aとの間に隙間を設けて取り付けることで、各レール401,402の側面に遊技球が接触することにより振動が生じても、縁辺部と遊技盤面200aとが擦れることがないので、遊技盤面200aが削れることにより生じた粉が遊技盤面200aに付着して遊技盤面200aが汚れたりする可能性が低い。
また、外レール401及び内レール402とは、遊技球の直径よりも若干大寸の幅寸法離間されていることで、発射球案内通路400を移動する遊技球は、外レール401における発射球案内通路400に臨む側面(立設面)を滑るまたは転動するように接触することが多く、該側面上に遊技球が落下しても大きな振動が生じることは少ないため、少なくとも球戻り防止装置410が取り付けられる端部側において遊技盤面200aと縁辺部との間に隙間が形成されていれば縁辺部と遊技盤面200aとが擦れることがないので、遊技盤面200aが削れることにより生じた粉が遊技盤面200aに付着して遊技盤面200aが汚れたりする可能性が低い。
外レール飾り600a〜600cは、遊技領域7の左側縁に沿って遊技球の誘導面601aが形成される外レール飾り600aと、遊技領域7の上側縁から右側縁中央部に沿って遊技球の誘導面601bが形成される外レール飾り600bと、遊技領域7の右側縁中央部から下側縁に沿って遊技球の誘導面601cが形成される外レール飾り600cと、を含む。
外レール飾り600aは、取付用ボス260a〜260dの先端に形成されたネジ穴に取付ネジ602a〜602dをそれぞれ螺入することで取り付けられ、外レール飾り600bは、取付用ボス260e,260fの先端に形成されたネジ穴に取付ネジ602e,602fを螺入することで取り付けられ、外レール飾り600cは、取付用ボス260g,260hの先端に形成されたネジ穴に取付ネジ602g,602hを螺入することで取り付けられる。
これら外レール飾り600a〜600cは、遊技盤面200a上に立設される立体円弧状の本体603を有し、該本体603の内壁603aの外面に誘導面601a〜601cが形成されているとともに、内壁603aの前端部604は、本体603の前面よりも前面側に突出している(例えば、図14参照)。つまり、本体603の前面に垂設される前端部604は、誘導面601a〜601cに沿って延設される円弧状の突片からなる。
図14に示すように、内壁603aにおける遊技盤面200a側の縁辺部のうち誘導面601a〜601c側の縁辺部には切欠凹溝KMが形成され、遊技盤面200aとの間に隙間(例えば、高さ約0.3mm、幅約2mm)が長手方向に向けて延設されている。このように内壁603aの後端面における誘導面601a〜601c側の縁辺部に形成された切欠凹溝KMにより、縁辺部と遊技盤面200aとの間に隙間が形成され、誘導面601a〜601cに遊技球が接触することにより内壁603aに振動が生じても、縁辺部と遊技盤面200aとが擦れることがないので、遊技盤面200aが削れることにより生じた粉が遊技盤面200aに付着して遊技盤面200aが汚れることがない。
図12に示すように、外レール飾り600aにおける周縁所定箇所には、スペーサ部材250の背面250bに形成された係合段部268aに係合する係合爪606aが、本体603の上面から上方に向けて突設されている。
また、外レール飾り600bは、外レール飾り600a,600cと同様に内壁603aにおける遊技盤面200a側の縁辺部に切欠凹溝KMが形成されているため、誘導面601bに遊技球が接触することにより内壁603aに振動が生じても、縁辺部と遊技盤面200aとが擦れることがないので、遊技盤面200aが削れることにより生じた粉が遊技盤面200aに付着して遊技盤面200aが汚れることがない。
また、外レール飾り600bにおける周縁所定箇所には、スペーサ部材250の背面250bに形成された係合段部268bに係合する係合爪606bが、本体603の上面から上方に向けて突設されている。
外レール飾り600cは、盤面板200のアウト口穴204及びスペーサ部材250のアウト開口部262内に前面側から嵌合される筒状部605が、誘導面601cにおける最下位置から背面側に向けて連設されている。このように誘導面601cにより外レール飾り600cに一体形成された筒状部605に向けて誘導(流下)された遊技球が、該筒状部605の前面開口となるアウト口26内に誘導されて遊技盤6の背面側に排出されるようになっている。
また、外レール飾り600cの誘導面601cにおけるアウト口26の近傍位置は、遊技領域7の下部位置に上向きに配設されており、誘導面601cに沿って遊技球を転動により誘導するだけでなく、上方から流下してくる遊技球が直接落下される頻度が高い部位であり、遊技球の落下による衝撃により振動しやすい。よって、外レール飾り600cに一体形成された筒状部605を盤面板200のアウト口穴204及びスペーサ部材250のアウト開口部262内に前面側から嵌合することで、外レール飾り600cが遊技盤面200aに対して強固に取り付けられ、振動の発生が抑制されるため、内壁603aにおける遊技盤面200a側の縁辺部と遊技盤面200aとが擦れにくくなり、遊技盤面200aが削れて粉が生じにくくなる。
(遊技盤の積載)
以上説明してきたように、遊技盤面200aに種々の遊技用構造物(流下方向変更部材)が取り付けられた遊技盤6は、図13に示すように上下方向に積み重ねることができる。前述したように、釘打ち加工後に後述する打球レールや小型の入賞装置等を取り付けた後、大型の入賞装置や制御回路基板等の大型部品を取り付けるが、組付工程が煩雑化することから組付速度が低下するため、釘打ち及び小型の入賞装置を取り付けた後に、遊技盤を積み重ねて待機することがある。
このように遊技盤6を上下方向に積み重ねたときには、図14に示すように、各遊技盤6の外レール飾り600a〜600cの前端部604が、上方に積み重ねられる遊技盤6のスペーサ部材250に形成される略C字形の係合段部267にそれぞれ係合するとともに、図15に示すように、外レール飾り600aに突設された係合爪606aがスペーサ部材250の背面250bに形成された係合段部268aに係合するとともに、外レール飾り600bに突設された係合爪606bがスペーサ部材250の背面250bに形成された係合段部268bに係合することで、下方の遊技盤6に対する上方の遊技盤6の横滑りが規制されて滑落が防止されるとともに、積載位置が決定されるため、図13のように複数の遊技盤6を上下方向に積み重ねることができる。
具体的には、円弧状片からなる前端部604は、遊技領域7の周縁に沿って垂設される誘導面601a〜601cに沿うように正面視環状(円形状)に形成されていることで、全体として遊技盤面200aに突設される凸部を構成している(図12参照)。一方、係合段部267は、スペーサ部材250の背面250bにおける開口部251の周縁に沿うように形成される当接面267aと該当接面267aの外周縁に垂設される規制面267bとから、背面視略C字形に構成されることで、全体として背面250bに凹設される凹部を構成している(図7参照)。
よって、図14に示すように、下方の遊技盤6の前端部604が上方の遊技盤6の係合段部267に嵌合したときに、該前端部604の外周に規制面267bが配置されて水平方向の移動が当接規制されるため、正面視環状(円形状)の前端部604からなる凸部が係合段部267からなる凹部に嵌合することになる。なお、本実施例では、係合段部267の規制面267bは当接面267aの外周縁に垂設されていたが、内周縁に垂設されていてもよく、この場合、前端部604が係合したときに該前端部604の内側に規制面267bが配置されて水平方向の移動が当接規制される。
また、係合段部267に係合する前端部604および係合段部268a,268bに係合する係合爪606a、606bは外レール飾り600a〜600cに配設されていることで、上方の遊技盤6の荷重は非遊技領域に配設される外レール飾り600a〜600cに加わるとともに、該外レール飾り600a〜600cに加わった荷重は前述したようにスペーサ部材250にて受支される。つまり、上方の遊技盤6の荷重は円形の遊技領域7の周囲に均等に加わるため、積載された遊技盤6の安定性が向上するばかりか、盤面板200の特に遊技領域7に荷重が直接加わることがないので、盤面板200の撓みや損傷等が防止される。
また、外レール飾り600a〜600cにおける前端部604までの高さ寸法P15よりも、遊技領域7に設けられた障害釘Kの高さ寸法P20の方が長寸とされているが(P15<P20)、外レール飾り600a〜600cの高さ寸法P15と盤面板200の背面200bと開口部251とにより形成される凹状の収容空間部(逃げ部)の深さ寸法P22との合算寸法(P15+P22)が、障害釘Kの高さ寸法P20よりも長寸(P15+P22>P20)とされている。
よって、遊技領域7内に設けられる流下方向変更部材のうち、外レール飾り600a〜600cの前端部604よりも前面側に突出して障害釘K等が設けられていても、スペーサ部材250の背面250bに、盤面板200の背面200bと開口部251とにより障害釘Kを収容可能な大きさを有する凹状の逃げ部が形成されていることで、遊技盤6を積み重ねた場合に、下方の遊技盤6の障害釘Kの前端部が逃げ部内に収容されるため、積み重ねの際に上方の遊技盤6と干渉することがない。
また、外レール飾り600a〜600cの本体603の前面に突設されている前端部604の突出長さ寸法P16は、係合段部267の深さ寸法P17よりも長寸(P16>P17)とされていることで、外レール飾り600a〜600cの前端部604が上方に積み重ねられる遊技盤6の係合段部267に係合している状態において、該外レール飾り600a〜600cの本体603を含む各種部材の前面部と、上方の遊技盤6の背面(スペーサ部材250の背面250b)と、の間に所定幅の隙間P18が形成されるため、互いに接触して損傷することが防止される。
また、上方の遊技盤6の荷重は遊技領域7内に設けられる障害釘K等の流下方向変更部材(障害物)に加わることなく、遊技領域7の外側に配置される外レール飾り600a〜600c等にかかるようになっていることで、流下方向変更部材が変形するなどして遊技球の流下に支障をきたすことがない。
また、本実施例では、凹状の係合段部267に嵌合する凸状の前端部604が、遊技用構造物の一例である外レール飾り600a〜600cに形成されていたが、例えば凸部を、外レール401、内レール402、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、ゲート32、装飾部材25等の流下方向変更部材に設け、スペーサ部材250の背面250bにおける凸部に対応する位置に凹部を形成し、積み重ねたときに流下方向変更部材に設けた凸部が凹部に嵌合すればよい。
なお、本実施例では、スペーサ部材250は盤面板200の背面200bに取り付けられているため、係合段部267,268a,268bはスペーサ部材250の背面250bに形成されていたが、スペーサ部材250を遊技盤面200a上に取り付ける場合、係合段部267,268a,268bは盤面板200の背面200bに形成すればよい。
(配線収容溝)
次に、配線収容部700の詳細な構造について、図7及び図16〜図21にもとづいて説明する。図16は、スペーサ部材の左下角部近傍を示す要部拡大背面図である。図17は、図16のスペーサ部材を内側から見た状態を示す斜視図である。図18は、図16のI−I矢視図である。図19は、(a)は図16のE−E断面図、(b)は図16のF−F断面図、(c)は図16のG−G断面図、(d)は図16のH−H断面図である。図20は、配線収容部の配線状況を示す背面図である。図21は、図20のJ−J断面図である。尚、以下の説明においては、スペーサ部材を背面から見たときを基準として上下左右方向を説明する。つまり、図16の左右側を左右方向、上下側を上下方向として説明する。
まず、図7に示されるように、スペーサ部材250は、背面からみて略円形に形成される開口部251の周縁における右側下部がやや外側に膨出するように形成されている。従って、前述したように遊技盤6を積載し、下方の遊技盤6の外レール飾り600a〜600cにより構成される環状の前端部604が略C字形に形成される係合段部267に係合された状態において、配線収容部700は環状の前端部604の外側に位置するようになっている。
図16及び図17に示すように、配線収容部700は、スペーサ部材250の背面250bにおける開口部251の右側下部に形成されている。具体的には、開口部251の周縁(内縁)に沿って延設される帯状の溝部701と、溝部701の長手方向の略中央位置から外側に向けて連設される第1凹部702及び第2凹部703と、溝部701の長手方向の上端部から外側に向けて連設される第3凹部704と、から主に構成されている。尚、第1凹部702のさらに外側には、遊技盤6の積載時において下方の遊技盤6のアース金具721(図11及び図21参照)との接触を回避するための金具逃げ凹部705が形成されている。
第1凹部702は、溝部701から外側の角部に向けて漸次幅狭になるように背面視略三角形状に形成され、その先端部には、後述するケーブルCを盤面板200の前面側に挿通させるための配線挿通孔706が前後に貫通して形成されている。
第2凹部703は、第1凹部702に隣接するように、溝部701から下側に向けて漸次幅狭になるように背面視略帯状に形成され、その先端部には前述した位置決め穴265dが前後に貫通して形成されている。
第3凹部704は、溝部701の上端部から外側の周縁にかけて、右側に向けて背面視略帯状に形成されている。また、第3凹部704における外周縁には係合段部268aが凹設されている。
第1凹部702及び第2凹部703は、背面(裏面)及び開口部251側(遊技領域7側、内側方)の2面が開口する凹部であり、第3凹部704は、背面(裏面)、開口部251、外側の3面が開口する凹部であり、背面250bから底面まで所定の深さ寸法P30を有している(図19(b)参照)。
図16〜図19に示すように、溝部701は、開口部251を囲むように形成される内周壁254の一部(本実施例では内周壁254の約1/6の長さ)に沿うように延設され、特に図19に示すように、底面701aと、内側面701b及び外側面701cと、から上面が開口する凹溝状に形成され、背面250bから底面701aまで、第1〜3凹部702〜704よりも深い深さ寸法P31を有している(P31>P30)。溝部701は、その開口周縁の一部がスペーサ部材250の遊技領域7側を向く内周壁254に沿うように形成される配線収容凹部の一部を構成しており、内側面701bは内周壁254の外周面の一部である。
また、内周壁254における溝部701に対応する部分には、配線を挿入するための配線挿入部710a〜710eが、長手方向の異なる位置に複数箇所に切欠形成されている。具体的には、配線挿入部710aは、第3凹部704に対応する位置に該凹部の開口幅と略同幅に形成され、配線挿入部710bは、第1凹部702と第3凹部704との間の外側面701cに対応する位置に形成され、配線挿入部710cは、第1凹部702及び第2凹部703に対応する位置に該両凹部の両開口合計幅と略同幅に形成され、配線挿入部710d,710eは、第2凹部703よりも左右方向の中央寄りの外側面701cに対応する位置に形成されている。
また、これら配線挿入部710a〜710eは、内周壁254の上端から溝部701の底面701aにかけて切り欠くように形成された配線挿入部710a,710b,710d,710eと、内周壁254の上端から溝部701の底面701aよりもやや上方の所定高さ位置(第1凹部702の底面と同じ高さ位置)にかけて切り欠くように形成された配線挿入部710cと、を含む。
このように配線挿入部は、内周壁254の上端から溝部701の底面701aにかけて切り欠くように形成されていてもよいし、内周壁254の上端から溝部701の底面701aにかけて切り欠くように形成されよりもやや上方の所定高さ位置にかけて切り欠くように形成された配線挿入部のいずれにしてもよい。
また、内周壁254における内側面701bの上端からは、外側面701cに向けて突出する内側突起712a〜712c(第1突起)が長手方向の所定箇所に形成されているとともに、外側面701cの上端からは、内側面701bに向けて突出する外側突起713a〜713c(第2突起)が、長手方向の所定箇所に配設されている。
具体的には、内側突起712aは、内周壁254の溝部701側における配線挿入部710a,710b間に配設され、内側突起712bは、内周壁254の溝部701側における配線挿入部710c,710d間に配設され、内側突起712cは、内周壁254の溝部701側における配線挿入部710d,710e間に配設されている。
一方、外側突起713aは、外側面701cにおける配線挿入部710b,710c間の内周壁254に対応する位置に形成され、外側突起713bは、配線挿入部710cに対応するとともに第1凹部702と第2凹部703との間に形成され、外側突起713cは、外側面701cにおける配線挿入部710d,710e間の内周壁254に対応する位置に形成されている。
また、これら内側突起712a〜712c及び外側突起713a〜713cの突出長さP41は、溝部701の幅寸法P40よりも幅狭(約1/2)とされており、溝部701の上方からケーブルCを挿通可能、かつ、逸脱しにくいように形成されている。また、底面701aにおける各内側突起712a〜712c及び外側突起713a〜713cに対応する位置には成型用孔部714が形成されており、スペーサ部材250の成型時に各内側突起712a〜712c及び外側突起713a〜713cを一体に成型できるようになっている。
次に、このように構成された配線収容部700における配線状況の一例を、図20及び図21にもとづいて説明する。
本実施例では、例えば図20及び図21に示すように、特別可変入賞球装置20に設けられた基板(図示略)から延出されるアース線e1と、内レール402を盤面板200に固設するための取付ピン402aから延出されるアース線e2と、が配線挿入部710eから溝部701内に挿入されている。そしてこれらアース線e1,e2は、内周壁254に沿うように溝部701内に収容され、第1凹部702からスペーサ部材250の配線挿通孔706及び盤面板200の配線挿通孔706’を介して盤面板200の前面側に挿入される。
そして、アース線e1の一端に設けられた配線側コネクタCNH1は、外レール飾り600a内に設けられたアース基板720の背面に設けられた基板側コネクタCNK1に接続され、アース線e2の一端に設けられた配線側コネクタCNH2は、同じくアース基板720の背面に設けられた基板側コネクタCNK2に接続される。
アース基板720の前面所定箇所には、略U字形に屈曲されたアース金具721が弾性変形可能に設けられており、外レール飾り600aの前面に形成された窓部722を介して前面側に臨むように設けられている。そして、図4に示すように前面枠101に組み付けられた状態において、該前面枠101の前面がガラス扉枠102により閉止されたときに、該ガラス扉枠102の背面に設けられたアース金具(図示略)に接触され、これにより静電気がアースされるようになっている。
以上説明したように、本発明の遊技盤6にあっては、特別可変入賞球装置20や内レール402から延出されたアース線e1,e2をアース基板720の背面に設けられた基板側コネクタCNK1,2に接続するときに、基板側コネクタCNK1,2に連通する配線挿通孔706がやや離れた位置にある場合でも、配線挿入部710a〜710eが遊技領域7の周縁長手方向に異なる位置に複数形成されていることで、複数のうち特別可変入賞球装置20や内レール402の間近にある配線挿入部710eから、非透光性のスペーサ部材250の裏面側に引き込んで隠蔽しつつ溝部701内に収容できることで、盤面板200を通して見えるアース線e1,e2を遊技領域7の背面側で配線挿通孔706に対応する配線挿入部710cまで取り回したりすることなく、極力短寸化して目立たないようにすることができる。
また、配線挿入部710a〜710eが遊技領域7の周縁長手方向に異なる位置に複数形成されていることで、例えば装飾部材25の背面側から引き出された別のアース線e3をアース基板720に接続する場合には、その間近にある別の配線挿入部710cから非透光性のスペーサ部材250の裏面側に引き込んで隠蔽しつつ溝部701内に収容することができる。さらに、配線挿入部710a〜710eは内周壁254の上端から下方に向けて切り欠かれた切欠凹部にて形成されていることで、配線をスペーサ部材250の背面250b側から盤面板200に近づけるだけで配線収容部700内に挿入できるので、配線作業が容易になるとともに、配線挿入部710a〜710eを簡単に形成できる。
また、例えば機種変更により、盤面板200における特別可変入賞球装置20や内レール402の取付ピン402aの配設位置が変更したとしても、別の配線挿入部710a〜710dからスペーサ部材250の裏面側に引き込んで溝部701内に収容することができるため、スペーサ部材250を複数の機種間で共通に使用することができるばかりか、各機種の配置位置に対応して配線を目立たないように処理することができる。
また、配線挿入部710eは、盤面板200に対して起立する内周壁254に形成されていることで、アース線e1,e2を内周壁254を通して溝部701内に引き込むことでスペーサ部材250の肉厚内に収容できるため、スペーサ部材250の背面に装飾体301が組み付けられたときに、該装飾体301に接触して配線が切断すること等が防止される。
また、複数の配線挿入部710a〜710eそれぞれに対応する配線収容溝を別個に形成することなく、複数の配線挿入部710a〜710eは一つの溝部701に連通していることで、引き込んだアース線e1,e2を1つの配線収容部700にまとめて収容できるため、スペーサ部材250の構造が簡素化される。
また、配線収容部700の一部が内周壁254に沿って延設される溝部701にて構成されていることで、配線を遊技領域7の周縁に沿って収容できるばかりか、複数の配線挿入部710a〜710eを配線収容部700に連通させやすくなる。さらに、溝部701と該溝部701から連設される第1凹部702とで深さ寸法P30,31が異なるとともに、溝部701の方が深く形成されていることで、第1凹部702との連設部にも壁ができるばかりか、第1凹部702に対応する配線挿入部710cには、第1凹部702の底面とほぼ同高さの低壁が立設され、左右側面が壁により覆われているため、配線を溝部701に沿って収容することができる。
また、配線収容部700は、内周壁254に沿って延設される溝部701を有し、溝部701における配線挿入部710a〜710eの近傍位置には、配線押えとしての内側突起712a〜712cや外側突起713a〜713cが設けられていることで、溝部701に沿って配線できるとともに、配線挿入部710a〜710eからアース線e1,e2が外れないように押えることができる。
特に、内周壁254から溝部701を挟んで該内周壁254と対向する対向壁部である外側面701cに向けて突設される内側突起712a〜712cおよび外側面701cから内周壁254に向けて突設される外側突起713a〜713cを含む配線押えのうち、配線挿入部の配線排出部である配線挿通孔706側近傍の配線押えは内側突起とされている。つまり、配線挿入部710aにおける配線挿通孔706側近傍の配線押えは内側突起712a、配線挿入部710dにおける配線挿通孔706側近傍の配線押えは内側突起712b、配線挿入部710eにおける配線挿通孔706側近傍の配線押えは内側突起712cであるため、配線挿入部710a,710d,710eから溝部701に挿入され配線挿通孔706側に屈曲された配線を各配線挿入部710a,710d,710eの近傍位置で押えることができるため、屈曲による配線の浮き上がりを防止できる(例えば、図20における配線挿入部710eに対応する内側突起712cを参照)。
また、配線収容部700は、溝部701と、該溝部701の所定箇所から所定の配線排出部である配線挿通孔706に向けて連設される連設凹部としての第1凹部702と、内周壁254から溝部701を挟んで内周壁254と対向する対向壁部である外側面701cに向けて突設される内側突起712a〜712c(第1突起)および外側面701cから内周壁254に向けて突設される外側突起713a〜713c(第2突起)を含み、第1凹部702の近傍位置(特には溝部701との連設角部)には外側突起713a,713bが設けられていることで、溝部701から第1凹部702側に屈曲された配線を連設角部で押えることができるため、屈曲による配線の浮き上がりを防止できる(例えば、図20における外側突起713a、713bを参照)。
また、これら内側突起712a〜712c及び外側突起713a〜713cは、図19に示すように、内側面701b及び外側面701cの上端から水平に突出されていることで、スペーサ部材250の背面250bよりも背面側に突出しないように設けられるため、遊技盤6の背面側に配設される部材に内側突起712a〜712c及び外側突起713a〜713cが衝突して破損することが防止される。
また、打球発射装置(図示略)にて発射された遊技球を遊技領域7に誘導する外レール401および該外レール401よりも内側に配設される内レール402からなる導電性を有する金属製の打球誘導レールを備え、複数の配線挿入部710a〜710eのうち配線挿入部710eは内レール402と最も近接する位置に設けられていることで、内レール402からアース線e2を最短距離で引き込むことができる。
図20に示すように、内レール402は、遊技領域7の周縁に沿って配設されることで、遊技領域7内に配設される全ての遊技用部品に対し、少なくともスペーサ部材250よりも近い位置にあるため、例えば装飾部材25等の非透光性部材が当接または近接するように配設されていれば、遊技用部品が配線収容部700から離れた位置(例えば遊技領域7の上部等)に設けられていても、該内レール402を介してアースさせることができる。よって、複数の配線挿入部710a〜710eのうち少なくとも一つが内レール402と最も近接する位置に設けられていれば、遊技領域7内に配設される各遊技用部品を、内レール402を介して、かつ、配線を目立たせないようにアースさせることが可能となる。
次に、図22〜図24には、本発明の変形例が示されている。図22は、変形例としての配線収容部を示す背面図である。図23は、(a)は図22のスペーサ部材の内周壁を示す内側側面図、(b)は図22のK−K断面図である。図24は、変形例としてのスペーサ部材を示す背面図である。
本実施例では、配線収容部700は、内周壁254に沿って延設される溝部701と、該溝部701の所定箇所から連設される第1〜3凹部702〜704とから構成されていたが、背面の開口周縁の一部がスペーサ部材250の遊技領域7側を向く内周壁254に沿うように形成されるものであれば、図22に示すように、内周壁254に沿って延設される溝部を有しない形状であってもよい。
つまり、本変形例の配線収容部750は、背面の開口周縁の一部が内周壁254の一部に沿うように設けられた背面視略三角形状に形成された凹部である。そして、配線収容部750における遊技領域7側に形成される内周壁254には、配線挿入部751a〜751dが長手方向の異なる位置に複数形成されている。このように配線収容部750は、内周壁254の長手方向の異なる位置に複数形成される全ての配線挿入部751a〜751dに連通する一つの凹部にて構成されていれば、形状は種々に変形可能である。
また、配線挿入部751a〜751dは、実施例のように上端から切り欠かれてなる切欠部に限定されるものではなく、図23に示すように、配線を挿通可能なものであれば、配線挿通孔にて構成されていてもよい。
尚、配線挿入部は、内側面701bを構成する内周壁254の長手方向の異なる位置に複数形成されていたが、例えば配線収容部700,750の一部を開口部251側に開口するように形成し、該開口部251側の開口周縁に配線を押えるための複数の壁部を間を空けながら立設することで、各壁部間に形成されるものであってもよい。
さらに壁部は、板状に構成されるものでなくても、例えば複数の柱状体を並設することで構成されていてもよい。
このように形成された配線収容部750には、例えば前述したアース線等に限定されるものではなく、例えば、一般入賞口29a,29cに入賞した遊技球を背面側の装飾体301側に誘導する入賞球誘導通路の所定箇所に設けられ、遊技球を検出可能な入賞口スイッチ30’等から延出される配線C1を収容してもよく、この場合、各入賞口スイッチ30’の間近にある配線挿入部751b,751dから挿入させることで、配線が目立たないようにスペーサ部材250の背面側に引き込むことができる。
また、配線はアース線やスイッチ等のセンサからの配線だけでなく、例えばソレノイドやモータ等の他の電気部品と遊技制御基板31あるいは演出制御基板80とを接続する信号線や電源ケーブル等、種々の配線を含む。
また、配線収容部750内に収容された配線は、配線収容部750内に形成された挿通孔から前面側に挿通するものに限定されるものではなく、配線収容部750の外周縁に形成された切欠部752から外側に引き出せるようにしてもよい。
また、本実施例では、配線収容部700は、スペーサ部材250の開口部251の周縁右側下部に沿うように1つだけ形成されていたが、図24に示すように、例えば、開口部251の周縁右側上部に沿うように形成された配線収容部700Aや、開口部251の周縁左側上部に沿うように形成された配線収容部700Bや、開口部251の周縁左側下部に沿うように形成された配線収容部700Cのように、開口部251の周縁の一部に沿うように形成されていればよい。
例えば本実施例では、図1及び図24に示すように、盤面板200に配設されるゲート32のゲートスイッチ32aからの配線C2を、その背面側に配設される装飾体301に配線挿通孔を形成して背面側に挿通させようとしても、可動演出装置350の可動演出部351、つまり可動する部材があって配線挿通孔を形成できないため、その間近に配線収容部700Aが形成されていれば、配線C2を極力目立たせないように配線収容部700Aに収容することができる。
また、配線収容部700,700A〜Cのように複数箇所に別個に形成されていてもよいし、あるいは開口部251の全周縁にわたり連続して形成されていてもよい。
また、上記した配線収容部700,750,700A〜Cは、スペーサ部材250の背面250bに埋設されるように凹設されてなるものであったが、例えばスペーサ部材250の背面250bに立設された内壁及び外壁と底壁とにより断面略凹状に形成されていてもよい。
また、前記実施例のスペーサ部材250は、外形が盤面板200と同形に形成された正面視四角形状をなす板材の中央に円形の開口部251が形成されることにより枠状に形成されていたが、前面250aに盤面板200が取り付けられたときに当該盤面板200の背面における遊技領域7に対応する領域を取り囲むように延びる延設部(内周壁254の部分)を有していれば必ずしも枠状に形成されていなくてもよく、遊技領域7に対応する領域の周縁の少なくとも一部に沿うように延びる延設部を有する非枠状のスペーサ部材であってもよい。さらに、1つのスペーサ部材でなく、複数個のスペーサ部材により構成されてもよい。
また、前記実施例のスペーサ部材250は、開口部251が盤面板200の遊技盤面200aに形成された遊技領域7とほぼ同形状に形成され、開口部251の開口周縁、つまり内周壁254が遊技領域7の周縁に沿うように配設されていたが、スペーサ部材250の延設部の内縁は、必ずしも遊技領域7の周縁に沿うように配設されていなくてもよい。
また、前記実施例に記載したようなパチンコ遊技機1において、携帯電話等からの電波を遮断するとともに、遊技球と障害釘との接触等の原因に基づいて遊技盤に蓄積した静電気を逃がす(たとえば、1000V〜数万Vで瞬間的)ために、電気的に接地(アース)された導電層が形成されたものがある。そのような導電層が形成された遊技機としては、たとえば、遊技盤面に貼り付けられる台板装飾シートとして、表側より透明フィルム、図柄表示層、裏打ち紙、導電層の順に積層するとともに、さらに導電層の裏側にベースシートを積層したものがあった。
また、そのような導電層が形成された遊技機としては、たとえば、遊技盤において、不透明のカーボンよりなる導電塗料層を形成し、遊技盤上の電気部品を当該導電塗料層を介して電気的に接地させ、導電塗料層の印刷パターンによりインピーダンスを調整するものがあった。
しかし、前述したような従来の遊技機では電気部品を接地させるための導電性部材として、たとえばカーボン塗料のような不透明な物質を用いていたため、装飾的な見地から、遊技盤のベースとなる基板の前面側に導電性部材を設けることができず、導電性部材の配置場所が制限されていた。
そこで、電気的に接地可能な導電性部材の配置場所の制限を緩和することが可能となるように、遊技領域7に、所定の電気部品(例えば、始動入賞装置15、および特別可変入賞球装置20等の電気部品)、および遊技球の軌道を変えるための障害釘Kが設けられたパチンコ遊技機1にあっては、
(1)ベースとなる基板(例えば盤面板200)と、該基板に貼付され、電気的に接地される導電性フィルムとを含み、前記電気部品および前記障害釘のそれぞれは、導電性を有するそれぞれの挿入部が前記導電性フィルムを貫通し、当該挿入部が貫通した部分において前記導電性フィルムと電気的に接続された態様で前記基板に取り付けられることにより、前記導電性フィルムを介して電気的に接地され、前記導電性フィルムは、透明であることを特徴とすることで、遊技盤6において、透明の導電性フィルムが基板に貼付され、電気部品および障害釘のそれぞれが、導電性を有するそれぞれの挿入部が導電性フィルムを貫通し、当該貫通した部分において導電性フィルムと電気的に接続された態様で基板に取り付けられることにより、導電性フィルムを介して電気的に接地される。基板に貼付される導電性フィルムが透明であり、接地されているので、たとえば、遊技盤のベースとなる基板の前面側において、後方の装飾性を損なうことなく導電性部材を配置することができ、遊技盤において、電気的に接地可能な導電性部材の配置場所の制限を緩和することができる。
よって、前記導電性フィルムを用いることで、例えば前記実施例における各種電気部品や基板から延出されたアース線e1,e2に替えて、このような導線性フィルムを介して電気的に接地するようにしてもよい。
(2)また、前記導電性フィルムは、透明のフィルム基材に導電性物質(銀、または、酸化インジウムスズ等の導電性物質)による透明の導電パターンが印刷により形成されていることが好ましく、このような構成によれば、導電性フィルムにおいて、透明のフィルム基材に導電性物質による透明の導電パターンが印刷により形成されているので、導電パターンに基づいて導電性フィルムの電気抵抗を調整することができ、過大な漏電電流が流れにくくなるようにすることができる。
(3)また、前記導電パターンは、前記導電性物質よりなる線形の導電線部が網状のパターンで形成され、該網状のパターンにおける網目部の大きさが、前記障害釘と前記電気部品とのそれぞれにおける前記挿入部の幅方向の大きさ、および、該挿入部を挿入するために前記基板に形成された挿入部孔の幅方向の大きさよりも小さいことが好ましく、このような構成によれば、導電線部が網状のパターンで形成され、当該網状のパターンにおける網目部の大きさが、障害釘と電気部品とのそれぞれにおける挿入部の幅方向の大きさ、および当該挿入部を挿入するために基板に形成された挿入部孔の幅方向の大きさよりも小さいので、遊技盤において、挿入部を挿入する位置に関わらず障害釘および電気部品を接地させることができる。
(4)また、遊技盤6は、基板(例えば盤面板200)と、前記導電性フィルムとの間に接着される透明の中間部材をさらに含み、該中間部材は、前記基板の熱膨張率と、前記導電性フィルムの熱膨張率との間の範囲内での熱膨張率を有する(中間部材は、熱膨張率が、基板の熱膨張率と、導電性フィルムの熱膨張率との間の範囲内のものが用いられる)ことが好ましく、このような構成によれば、基板と導電性フィルムとの間に接着される透明の中間部材が、基板の熱膨張率と、導電性フィルムの熱膨張率との間の範囲内での熱膨張率を有するので、遊技盤が熱膨張したときに、中間部材が基板と導電性フィルムとの間の範囲内の熱膨張率であることに基づいて熱膨張時の緩衝材となるので、基板と導電性フィルムとの熱膨張率の違いに基づいて、導電性フィルムが基板から剥がれるのを防ぐことができる。
(5)また、遊技盤6は、基板(例えば盤面板200)と、前記導電性フィルムとの間に接着される透明の中間部材をさらに含み、該中間部材は、前記基板の厚さと、前記導電性フィルムの厚さとの間の範囲内での厚さを有することが好ましく、このような構成によれば、遊技盤が熱膨張するときに、厚みが厚いもの程、伸びが大きくなるが、基板と導電性フィルムとの間に接着される透明の中間部材が、基板の厚さと、導電性フィルムの厚さとの間の範囲内での厚さを有するので、中間部材が基板と導電性フィルムとの間の範囲内の厚みであることに基づいて熱膨張時の緩衝材となるので、熱膨張時の緩衝材となることにより、基板と導電性フィルムとの熱膨張率の違いに基づいて、導電性フィルムが基板から剥がれるのを防ぐことができる。
(6)また、前記基板と前記導電性フィルムとは、異なる材質(例えば、盤面板200はアクリル、導電性フィルムのフィルム基材はトリアセチルセルロース)で構成され、前記導電性フィルムは、前記基板および前記導電性フィルムの材質と異なる材質(導電性フィルムの導電線部は銀または酸化インジウムスズ等の導電性物質、中間部材はポリエチレンテレフタレート)の前記中間部材を介して、前記基板に貼付され、前記基板と前記中間部材との間は、前記基板と前記中間部材との接着に好適な第1の透明の接着剤を用いて接着され、前記導電性フィルムと前記中間部材との間は、前記導電性フィルムと前記中間部材との接着に好適な第2の透明の接着剤を用いて接着されることが好ましく、このような構成によれば、基板と中間部材との間が、基板と中間部材との接着に好適な第1の透明の接着剤を用いて接着され、導電性フィルムと中間部材との間が、導電性フィルムと中間部材との接着に好適な第2の透明の接着剤を用いて接着されるので、接着対象の2つの部材に好適な接着剤を用いて、基板に中間部材を介して導電性フィルムを接着することができる。
(7)また、前記導電性フィルムは、導電性を有する銀を含む(導電性物質として銀により導電パターンが形成されている)とすることが好ましく、このような構成によれば、導電性フィルムが、導電性を有する銀を含むので、導電パターンの導電性および透明性を向上させることができる。
(8)また、前記導電性フィルムは、導電性を有するスズ、ゲルマニウム、亜鉛、ガリウム、マグネシウムのうち少なくとも1種類を含む酸化インジウム膜を含む(たとえば、導電性物質として酸化インジウムスズにより導電パターンが形成されている)ことが好ましく、このような構成によれば、導電性フィルムが、導電性を有するスズ、ゲルマニウム、亜鉛、ガリウム、マグネシウムのうち少なくとも1種類を含む酸化インジウム膜を含むので、導電パターンの導電性および透明性を向上させることができる。
(9)また、前記基板(例えば、盤面板200)は、導電性を有しないアクリル基板により形成されることが好ましく、このような構成によれば、基板が、導電性を有しないアクリル基板により形成されているので、透明の導電性フィルムおよびアクリル基板により、遊技盤全体の透明性を向上させることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。