JP5188499B2 - 防汚性ポリプロピレン樹脂組成物並びにそれを利用した家電筐体および便座 - Google Patents

防汚性ポリプロピレン樹脂組成物並びにそれを利用した家電筐体および便座 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、家電筐体や便座の表面に防汚性を付与することができる防汚性ポリプロピレン樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から樹脂への防汚性付与の方法として、シリコーン化合物やフッ素化合物などの撥水・撥油性を有する物質を樹脂へ練り込む方法や、シリコーン系塗装などによる表面コーティングを施す方法、フッ素系単分子膜により表面改質を行う方法、樹脂表面にフッ素樹脂のような低表面エネルギーの樹脂フィルムを張り付ける方法などが行われている。
【0003】
特許文献1によると、母相となる樹脂と相溶性の良い樹脂をグラフト重合したシリコーン樹脂を、母相となる樹脂に添加することで、分散性が良く、耐久性にも優れた防汚性樹脂組成物を開示している。また、特許文献2によると、パーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物を母相となる樹脂に配合し、含フッ素化合物のフッ素の含有割合を高め、表面自由エネルギーを低くすることで、パーフルオロアルキル基が母相となる樹脂表面に配向しやすいようにして防汚性を高めた樹脂組成物を開示している。また、特許文献3によると、シリコーン成分を含有するウレタン系塗料を用いて、水中構造物表面に防汚塗膜を形成する方法を開示している。また、特許文献4によると、シリコーン樹脂やフッ素樹脂などの低表面エネルギー層(フィルム)を便座表面へ設けることで防汚性を高めた便座を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】
特開2000−279345号公報
【特許文献2】
特許第3411054号公報
【特許文献3】
特開2006−45339号公報
【特許文献4】
特許第3838371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、例えば特許文献1では樹脂に添加されたシリコーン樹脂は組成物表面近傍にはほとんど存在しないため、防汚性が弱いという課題があった。また、防汚性を向上させるためにシリコーン樹脂の含有量を多くすると、母相となる樹脂の機械物性が変わるという課題もあった。特許文献2では、パーフルオロアルキル基の母相樹脂表面への配向が十分ではなく防汚性が弱いという課題があり、またパーフルオロアルキル基を含有する一部の物質は生体への蓄積性が高く生体への影響が心配される物質として注目されているという課題があった。また、特許文献3では、塗装、乾燥、硬化の工程が必要となり、加工コストが高いという問題があった。特許文献4では、樹脂フィルムを基材と一体成型することで得られた防汚塗膜は、基材がポリプロピレン樹脂の場合、密着性が弱く、特に切り傷があるとその箇所から剥がれてしまうという課題があった。また、樹脂フィルムがフッ素樹脂フィルムの場合、油性成分が染み込んでしまい、長期間放置すると黄ばみ汚れの原因となるという課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、このような課題を解決するものであり、ポリプロピレン樹脂と、極性基を有するシリコーンオイルと、前記極性基を有するシリコーンオイルと前記ポリプロピレン樹脂との相溶性を向上させる相溶化剤と、を含み、前記極性基を有するシリコーンオイルが前記ポリプロピレン樹脂に分散している、防汚性ポリプロピレン樹脂組成物である。本来シリコーンオイルとポリプロピレン樹脂はなじみ難いが、シリコーンオイルの一部に極性基を導入することで、相溶化剤がシリコーンオイルの極性基とポリプロピレン樹脂とをなじませることが出来るようになり、シリコーンオイルがポリプロピレン樹脂中で微分散するため、ポリプロピレン樹脂組成物から成形された物品の表面近傍にシリコーンオイルが存在することで、優れた防汚性を有する防汚性ポリプロピレン樹脂組成物を実現できる。
【0006】
また、本発明は、上記防汚性ポリプロピレン樹脂組成物を成形して製造された部位を含む家電筐体である。当該家電筐体は全ての部位が当該組成物を成形して製造されてもよいし、一部の部位のみが当該組成物を成形して製造され、他の部位は異なる組成物を成形して製造されてもよい。これにより、コーヒー、お茶、味噌汁など食品由来の汚れが付きにくく、また付いても除去しやすい防汚性の高い炊飯器、電気湯沸かし器などを実現することができる。
【0007】
また、本発明は、上記防汚性ポリプロピレン樹脂組成物を成形して製造された部位を含む便座である。便座、特に温水洗浄便座は、便蓋、便座シート、本体部から構成される。当該便座は全ての部位が当該組成物を成形して製造されてもよいし、一部の部位のみが当該組成物を成形して製造され、他の部位は異なる組成物を成形して製造されてもよい。便座シートの下面や、本体部の底板等の汚れの付着しやすい部位を、上記防汚性ポリプロピレン樹脂組成物を成形して構成することが好ましい。特に、便座シートの下面(裏面)には尿などの跳ね返りが飛散するが、本発明の便座では、乾いたトイレットペーパーで簡単に汚れを取り除くことができ、掃除の手間を省けるという効果がある。また、便座シートの下面に付着した尿などが拭き取られず放置され、乾燥してしまうことで汚れが固着した場合でも、その汚れを軽い力で簡単に取り除くことができるという効果がある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、高度の防汚性を発現する防汚性ポリプロピレン樹脂組成物を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態における防汚性ポリプロピレン樹脂組成物の断面模式図
【図2】本発明の第2の実施の形態における防汚性ポリプロピレン樹脂組成物の断面模式図
【図3】本発明の第3の実施の形態における洋式トイレの外観模式図
【図4】ポリプロピレン樹脂に極性基含有シリコーンオイルのみを添加した比較例を示した断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂を基体樹脂として含有する。ポリプロピレン樹脂とは、プロピレンが重合して形成され、成形加工用の汎用プラスチックとして広く使用されている重合体である。
【0012】
本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物は、防汚性を発揮する成分として、極性基を有するシリコーンオイルと、当該シリコーンオイルと基体樹脂のポリプロピレン樹脂との相溶性を向上させる相溶化剤とを含む。
【0013】
極性基を有するシリコーンオイルとしては、具体的には、極性基を有する変性シリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルは、コストが安く入手しやすいため、簡単に安価な防汚性ポリプロピレン樹脂組成物が得られるため好ましい。ここでシリコーンオイルとは、ジメチルポリシロキサン構造から構成された低分子量の重合体であり、常温(20℃)で液体の性状を示すものをいう。変性シリコーンオイルとは、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部を、前記極性基によって置換したシリコーンオイルをいう。なお、変性シリコーンオイルは市販品を利用することができる。
【0014】
本発明では常温で固体の性状を示すシリコーン樹脂ではなく、シリコーンオイルを使用する。シリコーンオイルはポリプロピレン樹脂よりも融点が低いために、混練時や成形時にプロピレン樹脂中で分散しやすく、十分な防汚効果を発揮することができる。一方、シリコーン樹脂は、一般に融点がポリプロピレン樹脂よりも高いために、混練時や成形時に溶融せず、ポリプロピレン樹脂中で大きな塊を形成し十分に分散しないので、十分な防汚効果を発揮できない。さらに、シリコーンオイルは樹脂組成物中での流動性が高いため、成形体表面に向かってシリコーン成分が移動するという現象が生じる。そのため、成形体表面にシリコーン成分が存在する比率が高くなり、高度の防汚性及び耐摩耗性を達成することができる。
【0015】
極性基とは、酸素、硫黄、窒素、ハロゲンなど電気陰性度の高い原子によって分極が生じている有機基のことをいう。具体的には、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基等が挙げられる。
【0016】
当該極性基は、相溶化剤が持つ反応基と反応し得るように選択することが好ましい。例えば相溶化剤が無水カルボン酸基を有する場合には、極性基はアルカリ性を示す基であることが好ましく、特にアミノ基であることが好ましい。すなわち、相溶化剤が無水カルボン酸変性ポリプロピレン樹脂である場合には、極性基を有するシリコーンオイルはアミノ変性シリコーンオイルであることが好ましい。
【0017】
極性基を有する変性シリコーンオイルには、直鎖状のポリシロキサン構造の両末端に極性基を導入した両末端型、直鎖状のポリシロキサン構造の片末端のみに極性基を導入した片末端型、直鎖状のポリシロキサン構造の側鎖に極性基を導入した側鎖型のものがあるが、本発明ではいずれを用いてよい。しかしながら、側鎖に極性基を多数有する側鎖型の変性シリコーンオイルは、相溶化剤と反応しやすく、相溶化剤の配合量が少量であっても本発明の効果を向上させることができる。また、安価で簡便に入手可能なことから、側鎖型アミノ変性シリコーンオイルが望ましい。
【0018】
本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物における極性基含有シリコーンオイルの含有量は、所望の防汚性や相溶化剤の種類に応じて適宜決定することができるが、組成物の総量に対して1〜10質量%程度が望ましい。より望ましくは2〜8質量%程度である。含有量が少ないと防汚効果が小さく、逆に多すぎるとポリプロピレン樹脂組成物の剛性、耐衝撃性などの機械物性が低下することになる。
【0019】
本発明における相溶化剤は前記極性基含有シリコーンオイルと前記ポリプロピレン樹脂との相溶性を向上させる成分である。具体的には、変性ポリプロピレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂、変性ポリスチレン樹脂等が挙げられるが、なかでも変性ポリプロピレン樹脂を好ましく使用することができる。変性ポリプロピレン樹脂は主体構成要素がポリプロピレン樹脂であるため、本発明の組成物を構成する基体樹脂たるポリプロピレン樹脂となじみやすく、また変性部分がシリコーンオイルの極性基ともなじみやすいために、ポリプロピレン樹脂と極性基含有シリコーンオイルとを相溶させることが容易である。
【0020】
変性ポリプロピレン樹脂としては特に限定されず、反応基を導入したポリプロピレン樹脂や、フッ素又はシリコーンで変性したポリプロピレン樹脂等が挙げられる。変性ポリエチレン樹脂、変性ポリスチレン樹脂についても同様である。変性ポリプロピレン樹脂等は市販品を利用できる。変性ポリプロピレン樹脂等が有し得る反応基としては、無水マレイン酸基等の無水カルボン酸基や、オレイン酸基、リノール酸基等のカルボン酸基等の酸基のほか、アミノ基、エポキシ基、シラノール基等が挙げられる。ポリプロピレン樹脂との混練中に変性ポリプロピレン樹脂と極性基含有シリコーンオイルとを反応させる場合は、無水カルボン酸基を有するものが望ましい。この無水カルボン酸変性ポリプロピレン樹脂は安全、安価で比較的簡単に入手することができるためである。
【0021】
本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物における相溶化剤の含量は、所望の防汚性や極性基含有シリコーンオイルの種類に応じて適宜決定することができるが、組成物の総量に対して0.1〜5質量%程度が望ましい。より望ましくは0.3〜2.0質量%程度である。含有量が少ないと防汚効果が小さく、逆に多すぎると相溶化剤に含まれる未反応の反応基が汚れを付着させる原因になり、逆に防汚性が悪くなる場合がある。
【0022】
極性基含有シリコーンオイルと相溶化剤の配合割合は特に限定されないが、高度の防汚性を実現するには、質量比は1:1〜8:1程度が好ましく、2.5:1〜7.5:1程度がより好ましい。最も好ましい配合割合は5:1程度である。
【0023】
本発明の好適な態様によると、極性基含有シリコーンオイルはアミノ変性シリコーンオイルであり、相溶化剤は酸変性ポリプロピレン樹脂であり、本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物が、この2成分を、互いと化学反応によって結合した形態で含み、かつ、前記アミノ変性シリコーンオイルを未反応の形態でも含む。極性基含有シリコーンオイルと変性ポリプロピレン樹脂が結合していることで、基体樹脂たるポリプロピレン樹脂中での極性基含有シリコーンオイルの分散性を向上させることができる。さらには未反応の変性シリコーンオイルが、変性ポリプロピレン樹脂と結合した極性基含有シリコーンオイル同士の間に入り込むことで、防汚性ポリプロピレン樹脂組成物の表面近傍をシリコーンオイルが覆うことになり、高度の防汚性を有するポリプロピレン樹脂組成物を実現できる。この際、酸変性ポリプロピレン樹脂は無水カルボン酸変性ポリプロピレン樹脂であることが好ましく、アミノ変性シリコーンオイルは側鎖型アミノ変性シリコーンオイルであることが好ましい。
【0024】
本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物は、さらに抗菌剤を含有することが好ましい。これにより、防汚性に加えて抗菌性を付与することができ、特に便座などへ応用した場合に抗菌性と防汚性をあわせ持つクリーン便座を実現することができる。抗菌剤としては、ワサビ成分(アリルイソチオシアネート)などの有機系の抗菌剤や、銀・亜鉛・銅などの無機系の抗菌剤が挙げられる。しかし、有機系の抗菌剤は、極性基含有シリコーンオイル、相溶化剤及びポリプロピレン樹脂との混練時の熱により変質してしまう可能性があるので、本発明では無機系の抗菌剤を使用することが望ましい。無機系の抗菌剤としては、東亞合成社製の銀系無機抗菌剤「ノバロン」(登録商標)やシナネンゼオミック社製の無機抗菌剤「ゼオミック」、富士ケミカル社製の銀系無機抗菌剤「バクテキラー」(登録商標)などが挙げられ、これらは防カビ効果も期待できる。なお、抗菌剤はこれらに限定されるものではなく、本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物に分散し、抗菌効果を発揮できるものであればよい。
【0025】
抗菌剤の配合量は所望の抗菌効果を考慮して適宜決定すればよいが、組成物全量に対して0.4質量%を超えて2.0質量%以下が好ましい。通常、抗菌剤は0.2質量%程度の配合量でも抗菌効果を発揮できるが、本発明者らの検討により、シリコーンオイルを配合した本発明の系では抗菌効果が発揮されにくいことが判明した。そのため、0.4質量%を超えた配合量が好ましく、より好ましくは0.8質量%以上である。一方、抗菌剤の配合量が多すぎると防汚効果が阻害される傾向があるので、2.0質量%以下が好ましい。
【0026】
また、本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物は、さらに非反応性のシリコーンオイルを含有してもよい。非反応性のシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のストレートシリコーンオイルや、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、親水性特殊変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の非反応性の変性シリコーンオイルが挙げられる。後述のように、非反応性のシリコーンオイルを配合することにより、汚れが除去しやすくなるため、防汚性に優れたポリプロピレン樹脂組成物を得ることができる。非反応性のシリコーンオイルの配合量は所望の防汚効果を考慮して適宜決定すればよいが、通常、組成物全量に対して0.5〜5質量%程度である。
【0027】
本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物を製造するには、各成分を混合して混練すればよい。極性基含有シリコーンオイルと相溶化剤とが化学反応によって結合した状態で含まれるポリプロピレン樹脂組成物を製造する場合には、予め極性基含有シリコーンオイルと相溶化剤を反応させておき、その反応物をポリプロピレン樹脂に混練する方法、又は、ポリプロピレン樹脂、極性基含有シリコーンオイル及び相溶化剤を混合して混練する際に極性基含有シリコーンオイルと相溶化剤との化学反応を進行させる方法を採用することができる。プロセスの簡便さを考えると後者の方法が望ましい。
【0028】
さらにシリコーンオイルを未反応の形態でも含むポリプロピレン樹脂組成物を製造する場合には、相溶化剤に対して過剰量の極性基含有シリコーンオイルを配合するか、又は、非反応性のシリコーンオイルを配合すればよい。プロセスの簡便さを考えると後者が望ましい。
【0029】
混練方法は特に限定されない。例えば二軸の押出し機に、相溶化剤ペレットと極性基含有シリコーンオイルとポリプロピレン樹脂ペレットとを所定量投入し、混練を行うことで、防汚性ポリプロピレン樹脂組成物からなるペレットを作製することができる。このペレットは、極性基含有シリコーンオイルを高濃度に含有するマスターバッチであってもよく、そのまま成形に使用できるコンパウンドであってもよい。
【0030】
(実施の形態1)
図4はポリプロピレン樹脂31に極性基含有シリコーンオイル32を添加した比較例を示した断面模式図であり、図1は本発明の第1の実施の形態における防汚性ポリプロピレン樹脂組成物の断面模式図である。図1で示した防汚性ポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂1に相溶化剤としての変性ポリプロピレン樹脂2と極性基を有するシリコーンオイル3を分散させたものである。そして、変性ポリプロピレン樹脂2の一部には極性基含有シリコーンオイル3が化学反応により結合しているものである。この実施形態では、極性基含有シリコーンオイル3の実質的にすべての分子が、変性ポリプロピレン樹脂2と結合している。図1の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物の表面近傍では、変性ポリプロピレン樹脂2と結合した極性基含有シリコーンオイル3が、図4の比較例における極性基含有シリコーンオイル32と比較してより細かく分散している。これは、極性基含有シリコーンオイル3の各分子が変性ポリプロピレン樹脂と結合しているために、極性基含有シリコーンオイル3が、ポリプロピレン樹脂1中で微分散することが可能となったためである。なお、変性ポリプロピレン樹脂2は、図では模式的に表したものであり、実際は図に示すように全て直線ではなく、その長さも図の限りではない。同様に、極性基含有シリコーンオイル3、32も図では楕円で示したが、形状、大きさは図に示す限りではない。
【0031】
ここで、防汚性について説明する。本発明でいう防汚とは、水やアルコールあるいは油や有機溶剤などに固形物が溶解もしくは分散して生じた汚れを付着しにくくする、もしくは付着した汚れを除去しやすくする、もしくは液体が乾燥することで溶解または分散していた固形物が析出して生じた乾燥汚れを除去しやすくするというものである。このような汚れとしては、コーヒー、お茶、味噌汁、油、醤油、ドレッシング、野菜汁、果汁などの食品由来の汚れや、マジック、ペンキなどの汚れ、あるいは糞便や尿、泥の汚れなどが挙げられる。本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物はこれらの汚れに対して高い防汚効果を示し、特に上記乾燥汚れを乾拭きで拭き取る場合に高い効果を発揮する。
【0032】
本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物における防汚の原理は、シリコーン成分の撥水性、撥油性を利用したものである。シリコーン成分はポリプロピレン樹脂と比較して、撥水・撥油性を有しており、水やアルコールあるいは油や有機溶剤などをはじくため汚れは付着しにくくなり、また付着した汚れも除去しやすい。また、汚れに含まれる液体が乾燥し溶解もしくは分散していた固形分が付着して生じた汚れに関しては、固形分が無機物の場合、組成物が撥水性であると結合力が小さくなり、固形分が有機物の場合、撥油性であると結合力が小さくなり除去しやすくなる。ポリプロピレン樹脂と極性基含有シリコーンオイルはなじみが悪いため、図4に示すようにポリプロピレン樹脂中では極性基含有シリコーンオイルはある大きさの塊となって存在する。したがって、極性基含有シリコーンオイルの塊同士の間隔は広いものとなる。そのため、ポリプロピレン樹脂組成物の表面で極性基含有シリコーンオイル32が存在している箇所に付着した汚れ33は除去が容易であるが、極性基含有シリコーンオイル32が存在しない箇所に付着した汚れ33は通常のポリプロピレン樹脂と同程度の除去性能しか発現できない。一方で、本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物では、ポリプロピレン樹脂1と極性基含有シリコーンオイル3を、相溶化剤である変性ポリプロピレン2が媒介することで、極性基含有シリコーンオイル3の分散性が向上する。すなわち、図1に示すように、図4と比較してより細かく分散できるようになる。したがって、極性基含有シリコーンオイルの塊同士の間隔は狭いものとなり、付着した汚れ4の下には極性基含有シリコーンオイルが存在するようになり、防汚性が向上することとなる。
【0033】
以上から、本実施形態の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物は、コーヒー、お茶、味噌汁など食品由来の汚れやマジック、ペンキなどの汚れ、あるいは糞便や尿の汚れなどを付きにくくし、また付着し乾燥しても除去しやすくするなどの高い防汚効果を有する。よって、炊飯器やジャーポットなどの家電筐体、あるいは便座などポリプロピレン製で防汚効果が求められる様々な製品や部品に用いることができる。
【0034】
(実施の形態2)
図2は本発明の第2の実施の形態における防汚性ポリプロピレン樹脂組成物の断面模式図である。図2の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂5に相溶化剤としての変性ポリプロピレン樹脂6と極性基を有するシリコーンオイル7を分散させたものである。そして、変性ポリプロピレン樹脂6の反応点より過剰な量の極性基含有シリコーンオイル7を添加することにより、未反応の極性基含有シリコーンオイル8がポリプロピレン樹脂5中に存在することになる。シリコーンオイル同士はなじみやすいため、未反応の極性基含有シリコーンオイル8は、変性ポリプロピレン樹脂6と反応した極性基含有シリコーンオイル7同士の隙間を埋めるように存在することとなる。
【0035】
これと同等の効果を非反応性のシリコーンオイルを添加する方法でも実現できる。この場合に使用するシリコーンオイルは極性基含有シリコーンオイルである必要はなく、ストレートタイプのシリコーンオイルで良い。この場合は、図中の未反応の極性基含有シリコーンオイル8を非反応性のシリコーンオイルとして扱うことができる。図2では未反応の極性基含有シリコーンオイル8を直線で図示したが、この形状や大きさに限定されるものではない。このようにして、防汚性ポリプロピレン樹脂組成物の表面がシリコーンオイルで覆われる比率がさらに高くなり、汚れ9を除去しやすくなるため、実施の形態1における防汚性ポリプロピレン樹脂組成物よりもさらに高度の防汚性を有する防汚性ポリプロピレン樹脂組成物を実現できる。
【0036】
この実施形態において、未反応の極性基含有シリコーンオイル又は非反応性のシリコーンオイルの配合量は、通常、組成物全量に対して0.5〜5質量%程度であり、シリコーンオイルの総配合量のうちおよそ半分程度であることが望ましい。
【0037】
本実施形態により防汚性に関する耐磨耗性も向上させることができる。防汚性ポリプロピレン樹脂組成物の表面に付着した汚れを、布、ゾウキン、タオル、紙などの拭き取り物で拭き取る際には、汚れと拭き取り物との両方とも乾燥していると、拭き取り物が防汚性ポリプロピレン樹脂組成物表面の汚れが付着していない箇所にある極性基含有シリコーンオイル7あるいは未反応の極性基含有シリコーンオイル8も擦ることになり、シリコーンオイルが剥ぎ取られる。しかしながら剥ぎ取られても、防汚性ポリプロピレン樹脂組成物の内部から表面へ向かって未反応の極性基含有シリコーンオイル8がブリードしてくるため、表面が極性基含有シリコーンオイルに再度覆われることで防汚性が復活する、すなわち耐摩耗性を向上させることができる。
【0038】
以上から、本実施形態の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物は、コーヒー、お茶、味噌汁など食品由来の汚れやマジック、ペンキなどの汚れ、あるいは糞便や尿の汚れなどを付きにくくし、また付着し乾燥しても除去しやすくするなどの高い防汚効果を有する。よって、炊飯器やジャーポットなどの家電筐体、あるいは便座などポリプロピレン製で防汚効果が求められる様々な製品や部品に用いることができる。
【0039】
(実施の形態3)
図3は本発明の第3の実施の形態における洋式トイレの外観模式図である。洋式トイレは、便器22と、便器22の上部に設置された便座から構成される。便座は、使用者が座るための便座シート21、便座シート21の上部で開閉できる便蓋23、便座シート21と便蓋23とが取り付けられた本体部24から構成される。便座は温水洗浄便座であっても良い。その場合、水道から洗浄水の供給を受けるための給水配管(図示せず)および壁面のコンセントから電源供給を受けるための電気ケーブル(図示せず)が備えてある。
【0040】
便座シート21は、座る人の荷重に耐えたり、酸・アルカリ・アルコール等を含むトイレ用洗剤に耐えたりできるよう、ポリプロピレン樹脂製であることが多い。ポリプロピレン樹脂は一般的に防汚性に優れるが、油脂成分をよく染み込んでしまうという欠点がある。よって、便座シート21、特に裏側の普段目立たないところに尿や便等が付着すると、その油脂成分が染み込み、黄ばみ汚れの原因となる。また、それら汚れが乾いてしまうと、乾拭きでは除去しにくいという問題もある。
【0041】
本実施の形態では、実施の形態2における防汚性ポリプロピレン樹脂組成物を使用した。具体的には、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を1質量%と側鎖型アミノ変性シリコーンオイル5質量%とポリプロピレン樹脂とを二軸押出し機で混練してコンパウンドを作製し、それを射出成型機で成型を行い、防汚性ポリプロピレン樹脂組成物を用いた便座シートを作製した。なお、側鎖型アミノ変性シリコーンオイルは、官能基当量が2700のもの、無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、酸価が52のものを用いているため、全ての反応点が反応すると仮定すると、未反応の変性シリコーンオイルは約2.5質量%と算出される。
【0042】
次に、防汚性について記述する。使用者が便座シート21に座り、小便あるいは大便を行うと、その跳ね返りが便座シート21の裏に付着する。また、温水洗浄便座の場合、大便の後お尻を洗浄することにより便を含んだ温水が便座シート21の裏に付着する。しかしながらシリコーン成分は撥水性であるため、これらの汚れを着きにくくし、あるいは付いても汚れが濡れ広がらない。したがって、この状態ではトイレットペーパーで容易に拭き取ることが可能となる。また、便座シート21の裏側は見えにくく、このような汚れが放置されて乾燥し便座シート21に固着してしまうことがある。このような場合でも、油脂成分の染み込みがなく、シリコーンオイルと汚れとの結合力が小さいため、トイレットペーパーによる乾拭きや濡れゾウキン等で簡単に取り除くことができる。さらには、シリコーンオイルと変性ポリプロピレン樹脂とを含有させることで防汚性ポリプロピレン樹脂組成物がゴム性状に近づき、便座シート21の傷付きを防ぐことができる。特に便座シート21の表面は、使用者が使用前にトイレットペーパーで拭いたり、ベルトなどが当たったりするため傷が付きやすいが、本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物によりこれを回避することができる。そのため、傷に汚れが入り込むことがなく、汚れを付きにくくし、また付いても除去しやすくする。なお、ポリプロピレン樹脂がゴム性状に近づくメカニズムは不明であるが、変性ポリプロピレン樹脂や極性基含有シリコーンオイルなどが添加されたため、おそらく、ポリプロピレンの結晶化度が低下した、あるいはそれら添加物がポリプロピレン樹脂中で滑剤的な働きをしていると想像される。
【0043】
また、防汚性ポリプロピレン樹脂組成物に抗菌剤を含有させることにより、抗菌性と防汚性をあわせ持つ便座を実現できる。
【0044】
なお、本実施の形態では洋式トイレの便座シートにおいてのみ防汚性について記述したが、本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物は、温水洗浄便座本体部、本体裏面(図示なし)、便器22、便蓋23、温水洗浄便座を制御するリモコン(図示なし)、洗浄水を噴射するノズル(図示なし)などの成形体にも適用可能である。特に人為的なメンテナンスを行うことが困難な洗浄水を噴射するノズルに適用した場合、使用後毎回ノズルに付着した汚れを少ない水流により洗浄することが可能となり、清潔性を高めたノズルを実現できる。
【0045】
このようにして作製した洋式トイレの便座は、糞便や尿の汚れなどが付きにくく、また付いて乾燥しても除去しやすくするなどの高い防汚効果を有する。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0047】
(成形体の作製方法)
基体樹脂であるポリプロピレン樹脂としては、高結晶グレードの市販品を使用した。このポリプロピレン樹脂に対して、表1で示す配合比で表1に示す各成分を配合して一般的な混練機を用いて混練を行い、一般的な射出成形機により射出成形し、87mm×47mm×t 2.5mmの防汚性ポリプロピレン樹脂組成物の成形体(ペレット)を作製した。なお、表1に示す配合比は最終組成物中の濃度を表す。
【0048】
表1に示した各成分として以下の市販品を用いた。
極性基含有シリコーンオイル:官能基当量が2700の側鎖型アミノ変性シリコーンオイル
変性ポリプロピレン:酸価が52の無水マレイン酸変性ポリプロピレン
シリコーンコンセントレート:防汚ポリプロピレン樹脂マスターバッチとして市販されている東レ・ダウコーニング社製「シリコーンコンセントレート(品番:BY27−001)」(シリコーン樹脂である超高分子量シリコーンポリマーとポリプロピレン樹脂の混合物)
クリンベル:防汚ポリプロピレン樹脂マスターバッチとして市販されている富士ケミカル社製防汚剤「クリンベル(品番:CB−50PP)」(シリコーン樹脂とポリプロピレン樹脂の混合物)
【0049】
(食品に由来する汚れに対する防汚性能評価)
以上で得られた各成形品を用いて、下記評価基準にしたがって防汚性能を評価した。結果を表1に示す。
【0050】
(1)汚れの作製
ネスレ日本社製インスタントコーヒー「商品名:NESCAFE Excella」1gを水に均一分散させた500gのコーヒーを作製し、2mlのスポイトでPP樹脂片に1滴ずつ滴下後、40℃で60分間乾燥・固着させた。
【0051】
(2)防汚性能評価方法
作製した汚れを、乾いた紙(日本製紙クレシア社製キムワイプ)を用いて「1kg荷重、10往復」および「3kg荷重、30往復」の条件で拭き取った後、汚れの状態を目視観察し、下記に示す状態に応じて点数をつけた。
・汚れがほぼ完全に除去されている ・・・ 2.0点
・汚れの大半が除去されている(汚れの輪郭がやや残る) ・・・ 1.5点
・汚れの約半分以上が除去されている ・・・ 1.0点
・汚れの一部が除去されている ・・・ 0.5点
・汚れがほぼ完全に残る ・・・ 0点
【0052】
そして、「1kg荷重、10往復」での平均点と「3kg荷重、30往復」での平均点の和(4点満点)を「防汚指数」と定義し、防汚性能を評価した。
【0053】
【表1】
Figure 0005188499
【0054】
表1より、ポリプロピレン樹脂に極性基含有シリコーンオイルと変性ポリプロピレン樹脂とを配合してなる本発明の組成物は、高度の防汚性能を達成していることが分かる。
【0055】
(尿汚れに対する防汚性能評価)
次に、実施例1と比較例1のポリプロピレン樹脂成形体について下記手順により尿汚れの防汚性を評価した。尿汚れは、人工尿(バイオ・ラッド・ラボラトリーズ社製 ライフォチェック定量用尿コントロール(正常))を用いて、ポリプロピレン樹脂成形体表面に作製した。人工尿の作製方法は取扱説明書に準じたが、取扱説明書に記載されていたものより2倍の濃度の人工尿を作製した。その人工尿を、2mLのスポイトで各成形体に1滴ずつ6箇所に滴下した後、40℃で60分間乾燥・固着させることで尿の擬似汚れを作製した。
【0056】
作製した汚れを、乾いた紙(日本製紙クレシア社製キムワイプ)及び湿った掃除用シート(花王社製トイレクイックル)を用いて拭き取り、その拭き取り後の汚れの除去程度を目視観察した。ただし、乾いた紙を使用した場合は500g荷重で5往復の条件、湿った掃除用シートを使用した場合は300g荷重で1往復の条件であった。
【0057】
いずれの紙を用いた場合でも、比較例1の成形体では汚れを除去することができなかったが、実施例1の成形体では完全に汚れを除去することができた。
【0058】
(耐摩耗性評価)
次に、実施例1の成形体について下記評価基準により耐摩耗性を評価した。
摩耗試験は、各成形体表面を、掃除用シート(花王社製トイレクイックル)を用いて、700gの荷重で一定回数往復させる事で行った。往復の頻度は、発明者らが独自に設けたストレスモードにより設定した。これによると、1週間あたり1.4回の掃除を行い、1回の掃除では1箇所2往復拭き、年間おおよそ150往復、10年間で1500往復の拭き取りがなされることになる。その後、上記と同様の防汚性能評価試験を行い、防汚指数を求めた。
【0059】
摩耗試験前の防汚指数は表1に示したとおり、3.6であったが、摩耗試験後も2.5という防汚指数を維持していた。すなわち、実施例1の成形品は十分な耐摩耗性を有していることが分かった。
【0060】
(抗菌活性評価)
実施例1で得たペレットに対して東亞合成社製の銀系無機抗菌剤「ノバロン」(登録商標)を、表2に記載の添加量で配合した後、プレート状に成形した。得られた各プレートについて、以下の試験方法及び条件により抗菌活性を評価した。結果を表2に示す。
試験方法:JIS Z 2801( 2000年版)に規定のフィルム密着法
使用した菌種:E.coli(大腸菌)NBRC3972、及び、S.aureus(黄色ブドウ球菌)NBRC12732
菌液条件:1/500NB 0.4mL
作用条件:35℃、24hr
被覆フィルム:4cm×4cm
【0061】
表2中の適合性は、JIS Z 2801に規定された、抗菌加工製品の抗菌効果の定義(抗菌活性値2.0以上)における適合性を意味する。
【0062】
【表2】
Figure 0005188499
【0063】
表2より、本発明の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物に抗菌剤を配合することで十分な抗菌活性を得るには、抗菌剤を組成物全量に対して0.4%を超える配合量で添加することが必要であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る防汚性ポリプロピレン樹脂組成物を用いると、防汚性の高い炊飯器、電気湯沸かし器、便座などを実現することができる。また、家電以外でもバンパーなどの自動車用部品などに防汚性を付与することができる。
【符号の説明】
【0010】
1 ポリプロピレン樹脂
2 変性ポリプロピレン樹脂
3 極性基含有シリコーンオイル
4 汚れ
5 ポリプロピレン樹脂
6 変性ポリプロピレン樹脂
7 極性基含有シリコーンオイル
8 未反応の極性基含有シリコーンオイル
9 汚れ
21 便座
22 便器シート
23 便蓋
24 本体部
31 ポリプロピレン樹脂
32 極性基含有シリコーンオイル
33 汚れ

Claims (7)

  1. ポリプロピレン樹脂と、
    極性基を有するシリコーンオイルと、
    前記極性基を有するシリコーンオイルと前記ポリプロピレン樹脂との相溶性を向上させる相溶化剤と、を含み、
    前記相溶化剤は酸変性ポリプロピレン樹脂であり、
    前記極性基は、前記相溶化剤が持つ反応基と反応し得る極性基であり、
    前記極性基を有するシリコーンオイルと前記相溶化剤との配合割合は、質量比で2.5:1〜7.5:1であり、
    前記極性基を有するシリコーンオイルが前記ポリプロピレン樹脂に分散していることを特徴とする、防汚性ポリプロピレン樹脂組成物。
  2. 極性基を有するシリコーンオイルはアミノ変性シリコーンオイルであり、
    防汚性ポリプロピレン樹脂組成物において、前記極性基を有するシリコーンオイルと前記相溶化剤は、互いと化学反応によって結合した形態で含まれ、かつ、前記アミノ変性シリコーンオイルは未反応の形態でも含まれる請求項1記載の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物。
  3. 酸変性ポリプロピレン樹脂は無水カルボン酸変性ポリプロピレン樹脂である請求項1又は2記載の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物。
  4. アミノ変性シリコーンオイルは側鎖型アミノ変性シリコーンオイルである請求項又は記載の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物。
  5. さらに抗菌剤を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物を成形して製造された部位を含む家電筐体。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の防汚性ポリプロピレン樹脂組成物を成形して製造された部位を含む便座。
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